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1953-10-08 第16回国会 衆議院 大蔵委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月八日(木曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 宇都宮徳馬君 理事 坊  秀男君    理事 本名  武君 理事 久保田鶴松君    理事 春日 一幸君       有田 二郎君    大平 正芳君       小山倉之助君    齋藤 憲三君       小川 豊明君    木原津與志君       井上 良二君    福田 赳夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (為替局長)  東條 猛猪君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 九月十一日  委員三和精一辞任につき、その補欠として小  坂善太郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員小坂善太郎辞任につき、その補欠として  三和精一君が議長指名委員に選任された。 十月三日  委員小川豊明辞任につき、その補欠として井  谷正吉君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員櫻内義雄辞任につき、その補欠として福  田繁芳君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員井谷正吉辞任につき、その補欠として小  川豊明君が議長指名委員に選任された。 同日  委員福田繁芳辞任につき、その補欠として齋  藤憲三君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  外貨予算及び昭和二十九年度予算見通しに関  する件     —————————————
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  まず参考人出席要求に関する件につきましてお諮りいたします。これは明日の金融に関する小委員会におきまして、中小企業金融公庫の運営に関する問題について参考人から意見を聴取いたしたいと存じますが、本問題について参考人出席を求むることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 なお税制に関する小委員長より来る十二、十三の両日、税制改正に関する問題について参考人から意見を聴取いたしたいとの申出がありましたが、本問題に関しましても参考人出席を要求することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようですから、さよう決定いたします。  なお参考人選定等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じまするが、この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから参考人選定等につきましては委員長に御一任願うことに決定いたしました。     —————————————
  7. 千葉三郎

    千葉委員長 これより税制に関する件及び金融に関する件の両件を一括して政府当局質疑を行います。なお本日は右両件に関しまして主として昭和二十九年度予算及び外貨予算の問題を検討して参りたいと存じます。さよう御了承を願います。  なお後ほど大蔵大臣、さらに主計局長もお見えになるはずになつておりますが、これから東條為替局長下半期外国為替予算につきましての御説明をお願いしたいと存じます。東條為替局長
  8. 東條猛猪

    東條説明員 昭和二十八年度の下期の外国為替予算につきまして簡単に御説明を申し上げます。お手元に「昭和二十八年度下期外国為替予算について」という資料を配付申し上げてございますので、大体この順序に従いまして御説明を申し上げて参ります。  昭和二十八年度の下期の外国為替予算は、申し上げるまでもなく十月から昭和二十九年の三月までの下半期に関するものでございまして、政府に設けてございます閣僚審議会で九月二十八日に決定せられたのでございます。この昭和二十八年十月から二十九年三月までの期間にわたりまして、貿易及び貿易外のいろいろの計画、あるいは見通しに基きます所要額を、米ドル決済でございましようと、あるいはポンド決済でございましようと、あるいはいわゆるオープン決済清算協定決済に基きますとを問わず、すべて米ドルに換算いたしました金額でもつて編成いたしておるわけであります。  今期予算総額は、輸入貨物予算額は十三億三千五百万ドル貿易外は三億二千三百万ドル合計十六億五千八百万ドルと相なつております。これを前年同期の修正予算額と比較いたしますると、輸入貨物関係は一億六千五百万ドルの減と相なつております。つまり前年同期の輸入貨物修正予算額は十五億ドルと相なつておるわけでありますが、なお貿易外は二千五百万ドルの減と相なつておりまして、前年同期は三億四千九百万ドルというわけであります。これら輸入貨物両者合計いたしまして一億九千百万ドルの減少と相なつておるわけであります。  そこで輸入貨物予算の概要でございますが、その詳細はここに書きました通りでございまして、大きなものをごらんいただきますと一番の食糧は二億四千五百万ドル、六番の繊維におきまして三億四千四百万ドル、十一番の石油関係におきまして五千八百万ドル、行をかえまして十五番目の機械及び鉄鋼製品類におきまして六千八百万ドル、それから二十三番に飛びまして、いわゆる自動承認制AAにおきまして、一億三千七百万ドル予備費におきまして一億七千万ドル合計で十三億三千五百万ドルと相なつているわけであります。貿易外の三億二千三百万ドル内訳もここでごらんいただきまする通りでありまして、貨物輸出入に伴いますところの運輸関係におきまして五千三百万ドル。それから外国投資収益といたしまして二千六百万ドル、十二番目の短期の資本取引におきまして一億一千三百万ドル合計で三億二千三百万ドルと相なつておるわけであります。  そこでこの今期輸入貨物予算編成上の重点といたしましては、最近の国際収支あとで申し上げまするような逆調傾向なつておりますること、それから朝鮮休戦後の情勢変化に対処いたしまする場合には、日本経済自立基礎を確立することがぜひとも必要でございますが、そのために、総合的な国際収支の均衡をいかなることがありましても長期的には達成することが、日本経済自立のために必要であるという意味合いにおきまして、それを目的といたしまするとともに、一面におきましては、本年度の下期にいろいろといわゆるインフレ的な気構えもございまするし、そういう要因を除去いたしまして、物価の安定を期することがぜひ必要であると存じまするが、それがためには食糧その他民生安定上不可欠な物資につきましては、十分輸入手当をすることが必要でございまするし、また同時に輸出振興観点から、必要な輸出原材料の確保をすることが、これまた必要であるわけでありまして、一面不要品不急品輸入は極力抑制いたさなければなりませんが、これらの重要原材料、あるいは民生安定上不可欠の物資につきましては、十分の輸入数量を見込んで予算を組むというのが下期の予算重点と相なつておるわけでございます。  そこで最近の外貨収支見込みでございますが、下期に入ります前に、最近までの国際収支実績を御参考に申し上げてみますと、昭和二十八年の四月から最近九月の二十日までの国際収支実績でございますが、これはちよつと資料としてお手元に御配布申し上げませんでたいへん恐縮に存じますが、お聞き流しをいただきたいと存じます。四月から九月の二十日までにおきまして、受取りでは十億一千百万ドルに相なつております。ところが支払いにおきまして十億九千四百万ドルなつております。そこでこの期間支払い超過は八千三百万ドルということに相なつております。ところがこれを昨年の同期、つまり昭和二十七年の四月から九月の二十日までの数字を申し上げますと、受取りにおきましては十億六千七百万ドル支払いにおきまして八億九千二百万ドル、差引きまして受取り超過が一億七千五百万ドルと相なつておつたわけでございます。そこで昨年度の同期と本年の期間とを比較対照いたしますると、国際収支逆超は二億五千九百万ドルと相なるわけでございます。つまり一億七千五百万ドルの受取り超過でございましたものが、本年は八千三百万ドル支払い超過でございまするので、両者合計いたしました二億五千八百万ドル国際収支逆超ということに相なつておるわけであります。こういう上期の国際収支実績でございまするが、しからば本年度の下期の外貨予算との関連においてどうであるかという点でございまするが、これはお手元資料の六番に示しましたように、本年度の下期におきまするところの外貨収支見込みは、収入といたしまして輸出代金が六億二千四百万ドル貿易外収入を五億四千百万ドル合計十一億六千六百万ドルと見込んでおるのでありまするが、外貨支払いの面におきましては、本年上期までの予算実施に伴いまして生じておりまするところの支払い債務で、当期に繰越されまするところの支払いが約五億八千四百万ドルでありまして、これとただいま御説明を申し上げておりまする下期の予算実施によりまして、この下期期間中に実際の支払いなつて参りまするところの五億八千二百万ドルとを合計いたしますると、支払い合計は十一億六千六百万ドルと一応試算されるのでございます。従いまして、昭和二十八年度の下期中の外貨収支はほぼ収支が相償うということになるわけでございまするが、この貿易外収入の五億四千百万ドルと申し上げておりまするものの中に、御承知のごとき非常に大きな、私どもの推算では三億八千五百万ドル見当と見込んでおるのでございまするが、いわゆる駐留軍関係収入を見込んでおるという意味におきまして、この下期の外貨収支は、ここにございますように、ほぼ収支相償うとは申しますものの、この臨時的な三億八千五百万ドルと一応試算いたしておりまするところの臨時収入によつてささえられておるという、きわめて楽観を許さない事情の上にささえられておる、かようなことでございます。そこで右に申し上げました上期の国際収支実績と、この下期のほとんどんであるということとを考え合せまして、昭和二十八年度外貨収支といたしましては、七千万ドルないし八千万ドル見当支払い超過になるのじやなかろうかと予想いたしておるわけでございます。  次に輸入貨物予算を内容的に申し上げてみますと、原綿は、前年同期の百九万俵に比較いたしまして、今期は百三十五万俵、人絹用のパルプは、前年同期の三万四千トンに比較いたしまして、今期は六万八千トン、カリは前年同期の十三万トソに比較いたしまして、今期は十八万七千トン、燐鉱石は三十五万九千トンに比べまして、今期は五十二万トン、機械は前年の四千八百万ドルに比較いたしまして、今期は六千二百万ドルとそれぞれこれらの必需物資、あるいは輸出用原材料、あるいは産業合理化用機械につきましては、買付量増加を見込んでおる次第でございます。なかんずく原綿につきましては、綿糸月産十九万五千梱をベースといたしまして、輸出用及び国内の需要に十二分に応じ得る量を計上してございます。一面では先ほど申し上げました予算編成方針に従いまして、外国製日用品完成自動車等不要不急品輸入はできるだけ削減するという措置とつておる次第でございます。  なおここに書いてございませんが、食糧の問題でございますが、外米買付量は、本年のただいままでの外貨予算におきましては、九十万三千トンの外米輸入量計画いたしておりますが、御承知のような本年の災害、あるいはこれに伴いますところの天候関係凶作等関係もございまして、年間九十万三千トンのこの外米輸入量では不足を予想せられるわけでございますが、ただいま決定を見ておりまする下期の外貨予算におきましては、これを増額する措置を講じておりません。これは農林省当局におきまして、ただいま国内産供出米数量につきましていろいろ努力中でございますし、一面におきまして、海外に対する外米の発注の状況はよほど慎重な考慮を加えて実施いたしませんと、日本にとりましてかえつて不利な結果を来すということも考えられますので、それら国内産米供出量が逐次高まつて参りますことと、あるいは今後の海外のいろいろな関係をにらみ合せまして、適宜にこの下期の外貨予算において所要予算の追加の措置とつて参りたいという考え方をいたしておる次第でございます。  次に、貿易外予算編成方針も、おおむね輸入貨物予算に準じておるのでございますが、前期に比しまして増額の著しいのは、本邦資本海外投資におきまして四百八十万ドル見当を見ております。それから仲介貿易貨物代金を、七百二十三万ドル増加を見込んでおります。それから削減を行いましたものは海外への渡航費でございますが、これは前期——前年同期ではございませんで、上期に比較いたしまして約二割減の五十五万ドルを見ております。それから海外から外国人を招聘する費用、一例をあげて申し上げてみますと、各種の運動関係、あるいは娯楽関係、一音楽関係、さような外国人を招聘する費用前期に比較いたしまして五割減金額で申し上げますと、十二万五千ドルという程度の金額でございまするが、さような措置を講じておる次第でございます。  なお輸入貨物買付につきましては、この予算輸入公表基礎となるものでございまするが、今後品目、全額、あるいは買付地域というものにつきましては、そのときどきの情勢変化に応じましていろいろと増減いたしましたり、あるいは変更を加えるという必要がございましようし、また貿易外につきましても同様でございますので、今期におきましては、この輸入物資地域、あるいはポンド地域、あるいはオープン地域内訳は、一応の目安は用意はいたしておりまするが、実際の買付が行われるために外貨予算公表が行われるときまでは、できるだけ発表を差控えることが適当であろう、さような考え方をいたしておるわけでございます。  その次に、なお第一ページに物資内訳を多少こまかく書いてございますが、特に御説明を申し上げるまでもないと存じますので、省略させていただきます。  なお外貨予算関係は、全体のかような資金的なとりまとめにつきましては、大蔵省においてその事務を行つておるのでございますが、このきまりました予算の執行、あるいはこまかい輸入業者に対する割当の方式等は、通産省その他関係各省実施をいたすことでございまして、もしさような細部の点になりますれば、それぞれの関係省からお聞き取りを願いたい、かように思います。  非常に簡単な御説明で恐縮でございますが、一応申し上げまして、あとまたお尋ねに応じましてお答えいたします。
  9. 千葉三郎

    千葉委員長 御質疑はございませんか。——福田君。
  10. 福田赳夫

    福田(赳)委員 今大蔵大臣交渉しております借款によるいろいろな輸入計画なりがあると思いますが、それはこの表でどういうふうになつておるか、その関係について伺いたい。
  11. 東條猛猪

    東條説明員 借款は、大体福田先生の頭にあるのは二通りあると思います。一つ綿花借款関係であります。綿花借款は、第三回の綿花借款をただいま話合いをいたしておりまして、六千万ドル見当綿花の借入れを受けたいということで、輸出入銀行と今交渉をいたしております。御承知のように、第一回、第二回までは全額が四千万ドルでございまして、今回申し入れておりますところの六千万ドルがはたして実現せられるかどうか、これはただいま交渉中の問題でございまして、未定でございますが、この下期の外貨予算関係におきましては、綿花輸入につきましては、先ほど申し上げました月間生産綿糸十九万五千梱というのを計算いたしまして、綿花所要量を出してあるわけであります。そこでもし今後この綿花借款関係が出て参りますれば、当然それに響いて参るわけでありますが、この辺の関係がまだ未決定でございますので、この予算には十二分に織り込みかねるということになつておるわけであります。つまり綿花関係は、十九万五千梱という所要量から計算いたしましてこの予算を出しておるわけであります。従いまして、もし四千万ドルにいたしましても、六千万ドルにいたしましても、借款が成立いたしますれば、これの利払いとか、あるいは一部元本の返済等も起りますが、そういう関係でまだ金額が確定いたしておりませんので、貿易外の部面におきましても、その関係は織り込んでおらない、かような次第になつております。  それから次には、今いろいろと交渉しておりますところの火力借款機械の問題をお尋ねなつたと思いますが、火力借款は当然成立する、こういうことで、約四千万ドルに当りますところの機械は、外貨予算支払いとしては起らないということで、この予算とは無関係ということになつております。
  12. 福田赳夫

    福田(赳)委員 綿花借款の方はわかりましたが、火力の方は、ただいまお話国際収支の中で、受取りの中には入つておるわけですか。つまり四千万ドル借款というのは、国際収支の受取りの中に入つておるのかどうか。それからその受取りに見合うところの機械輸入がもうすでに前期で出ておるのか、あるいは今の機械鉄鋼製品の六千八百万ドルの中に入つておるのか、それらはどういう関係になりましようか。
  13. 東條猛猪

    東條説明員 四千万ドルないし六千万ドル綿花借款金額は、そういうことでございますので、受取りの欄にも立ててございません。国際収支としてはそれを見込まずに立てております。  それから機械の点でございますが、これは今も申しましたように、現実に外貨払いは、この当期においてはほとんど四千万ドルは起らない、外貨予算の必要はないということで、従つてこの予算には無関係なつております。
  14. 福田赳夫

    福田(赳)委員 それからもう一つ食糧の点でありますが、これは非常に重大問題なんです。この資料主食というところの一億七千二百万ドルというものは、大体どういう構想のもとにそういう数字なつたのか、それからこの主食はどういう内容を持つておるのか、それをひとつ伺いたいと思います。
  15. 東條猛猪

    東條説明員 主食内訳はというお尋ねでありますから申し上げますが、まずこの一億七千二百万ドル基礎なつておりますところの米——これは精米換算になりますが、小麦大麦というような主要食糧について申し上げて参りますと、米は、先ほども申し上げましたように一応昭和二十八年度外米買付予定を九十万三千トンと押えておるわけでございます。それで上期の外貨予算によりまして、この九十万三千トンのうち四十四万七千トンは買付ができる、従いまして九十万三千トンから四十四万七千トンを差引きました四十五万六千トンを下期の外貨予算で一応予定いたします。ただし御承知通りに米の買付につきましては、五%のアップ・アンド・ダウンが実際の商売のきめとしてありますので、この四十五万六千トンに五%をふやしました四十七万一千トンが外米につきましては一億七千二百万ドル基礎なつておるというように御承知いただきたいと思います。次は小麦でありますが、やはり二十八年度年度全体といたしまして百十万五千トンということに一応考えております。そのうち上期の外貨予算で六十万五千トンの手当ができる。従いまして下期の外貨予算で五十万トンを見込んでおる。しかしながら今の五%の増の関係がありますので、下期の外貨予算といたしましては五十二万五千トンを小麦として見込んでおります。それから大麦でありますが、これは二十八年度買付予定といたしまして五十八万二千トンを見ております。そのうち十五万トンが上期の外貨予算手当ができる次第でございますので、差引きました四十三万二千トンが下期の外貨予算として計上してあり、これに五%の増を見込みまして四十五万五千トンが下期の外貨予算で見込んでおる数字なつておるわけであります。米四十七万一千トン、小麦五十二万五千トン、大麦四十五万五千トン、これらの数量基礎にいたしまして予算の積算をいたしましたのが、この主食の一億七千二百万ドルです。それで先ほど申しましたように、特に米については、この数量では不足を生ずるでありましようが、これはぜひ適宜の措置を講じて増加して参りたいと考えております。
  16. 福田赳夫

    福田(赳)委員 ただいま伺いました国際収支ですね。これについて、ポンド地域ドル地域についてわけてひとつ話してもらいたいと思います。なお今度の外貨予算について、やはりポンドドルとにわけて、大体の数量資料をいただきたいと思います。
  17. 東條猛猪

    東條説明員 二十八年度国際収支を大体通貨別外貨状況をまず第一段にというお話でありますが、まず御承知のように、ドルポンド清算勘定との三地域にわかれるわけでありま手ので、そのおのおのにつきまして申し上げてみたいと思います。  ドルでございますが、貿易貿易外を通じまして、受取りは十三億六千八百万ドルと見込んでおります。それ州らポンドでございますが、ポンドのうち、御承知のように最近のポンド資金不足関係で、IMFから買入れの措置とつておりますが、便宜ここ不はIMFから買入れの計数を抜きました数字を申し上げたいと存じます。但しポンドドルとのスワップ取引金額は、一応この中に含めて申し上げます。IMF数字を抜きましたポンド決済の受取りは四億八千八百万ドルと一応計算いたしております。それから清算勘定地域でございますが、これは四億六千四百万ドルと考えております。従いまして二十八年度の全体の受取りは、IMFからの買入れを抜いた数字で二十三億二千万ドルということに相なるわけであります。これに対しまず支払い金額でありますが、ドル地域支払いは、やはり同様輸入貿易外支払いを込めまして十二億五千六百万ドル見当かと考えております。ポンド地域でありますが、これは六億三千二百万ドル見当になろうかと考えております。オープン地域でありますが、これは五億一千万ドル見当になるわけであります。さよういたしますと、その合計金額は、二十三億九千八百万ドル見当に相なるわけでございます。先ほど申し上げました二十三億二千万ドル見当という数字と合せますと、全体といたしますと七千八百万ドル支払い超過、先ほど申し上げました、大体七千万ドルから八千万ドル近い数字の赤字になるであろうと申し上げました数字に合致するわけであります。ちよつとくどうございますが、このドルポンド数字には、ドルポンドスワップ数字が入つておりますから、その意味におきましては、実際の実需に基く取引よりはやや大き目に現われておりますが、数字のしりにおきましては、国際収支実績を反映しているというふうにお考えいただきたいと思います。  そこで次に下期の外貨予算の、特に輸入外貨予算地域別内訳であります。これは先ほど申し上げましたように、前期までは通貨別予算額発表いたしておつたわけでありますが、いろいろな観点から考えまして、通貨別予算発表することはかえつて適当でなかろうということで、発表を差控えておりまするので、さよう御承知いただきたいのでございますが、最後の総締めだけでもいいから、こういう仰せでございまするので申し上げますが、これから一応こういう見込みでやつて行きますが、そういう意味におきまして、私どもはこれは動くのがむしろ自然である、また情勢に応じては動かすべきである、かように考えておりまするので、さような含みを持つてお聞きを願いたいのでございます。ドル地域予算額は七億二千百万ドルでございます。それからスターリング地域予算額は二億八千二百万ドルでございます。清算勘定地域支払いは、三億三千百万ドルでございます。その総合計は十三億三千五百万ドル、先ほど申し上げました輸入貨物予算総額ということに相なるわけでございます。もちろんこの中には、それぞれ予備費を含めました金額でございます。
  18. 千葉三郎

    千葉委員長 ちよつとお尋ねしますが、貿易外収入の中で、国連の兵隊さんの落す金、それは本年度と昨年度と同様に見積つてあるわけですね。
  19. 東條猛猪

    東條説明員 二十八年度のただいま申し上げております輸入の受取り総額二十三億二千万ドルの中に、貿易外収入のうち、今仰せの駐留軍関係といたしましては、私ども一応七億八千万ドル見当駐留軍関係として見込んでおります。この内訳は、御承知のように特需でございますとか、あるいは駐留軍がこちらに駐留することに伴う向うの軍が公金として使います系統の金でありますとか、あるいは駐留軍の将兵が個人の金を使うというものでございますとか、そういうものが全部合さりまして、今申し上げました七億八千万ドル見当と見込んであるわけでございます。もちろんこの系統の受取りは、昨年度においてもあるわけでありまして、昭和二十七年度実績におきまして、つまり昭和二十七年四月から昭和二十八年三月までの今申し上げております駐留軍関係の受取りの実績は、私どもの推定では八億二千万ドル、二十七年度の八億二千万ドルを、この見込みにおきましては七億八千万見当、やや低目に見込んであるという数字であります。
  20. 千葉三郎

    千葉委員長 この下半期におきましては五億四千万ドルに見込んでいるのですか。
  21. 東條猛猪

    東條説明員 今申し上げました七億八千万ドル駐留軍関係の受取りの上期、下期でありまするが、私どもは、下期はむしろ多少上期よりは控え目に見まして、七億八千万ドルのうち約三億八千万ドル見当が下期の受取りではなかろうかということで、さような推定をいたしております。
  22. 千葉三郎

    千葉委員長 もう一つお尋ねしたいのですけれども、外国の投資収益の二千六百万ドル、この内容はどういうふうになつておりますか。
  23. 東條猛猪

    東條説明員 外国の投資収益の項目に含まれるものといたしましては、大体、日本外貨債の支払いの利子と、それから外資が導入せられましたに伴いまするその配当金、あるいはこちらの借入金の利子の総計、それから外国の銀行、あるいは各種の商社、そういうものの利潤の送金というようにわかれるのでありまするが、その三つにわけて申し上げますると、外貨債の利子といたしまして、千八百七十七万ドルを見込んでおります。それから、外資の導入に伴いまする株式の配当金、あるいは貸付金の利子、これは御承知通り外資法に基きまして、日本に外資が受入れられ、政府の承認がございました分につきましては、配当金あるいは利子の送金を保証いたしておるのでありますが、その関係が三百二十一万六千ドル、それから外国の銀行、商社等の利潤の送金は三百三十万ドルというように見込んでおるわけであります。この金額は全体といたしてみますると、上期に比較いたしますと、大体二百九十万ドル見当の減少に相なつております。今申し上げましたようなことで、やはり大きな部分は先般英米と話合いました外貨債の利子が多くなつております。
  24. 大平正芳

    ○大平委員 二、三お伺いしたいと思います。先ほどの御説明では、輸入貨物予算の中で、原綿であるとか、パルプであるとか、カリ塩であるとかというような輸出用原材料に相当重点を置いておられる、こういうことで、品目によりましては倍になつておるものもございますが、それが生産されまして完成品になりまして輸出されるということに相当濃厚な期待を置いてよるしいのですか、それとも物価高の気配で、内需に相当向くおそれがあるのじやないか、そういう心配があるのですが、この策定毎にあたりましてどうい考えでやつたのか、その点第一点に伺いたい。  第二点は、先ほど福田委員から御質問がありました食糧でございますが、数量的には伺いましたが、これは十六国会で成立いたしました予算輸入食糧の補給金の積算の基礎なつておる数量並びに価格とマッチしておるのですか。言いかえれば、今後組まれなければならぬ本年度の補正予算にこの外貨予算がどのような影響を及ぼすのか、それが第二点。  それから民生安定のために輸出用原材料と同様に予算作成にあたつて重点を置いた、こういうお話でございますが、主食につきましての非常に緊切な度合いは、十分了解ができますが、これを見ておりますと、砂糖に四千百万ドルということでございます。     〔委員長退席、坊委員長代理着席〕 砂糖についての今のような条件をどう考えているのか、これは前年同期並びに上期に比べて、数字はどのようになつておるのか、これは外貨予算当局としてどういうふうに考えておられるのか、それが第三点。  第四点は、最近、九月末現在までわかつておればけつこうですが、わが国手持ち外貨通貨別にどういう形で現在しておるのか、その点あわせて御答弁を願えれば仕合せだと思います。
  25. 東條猛猪

    東條説明員 第一点の、こういうような外貨予算を組んだ場合に、輸出見込みはどうか、原材料を入れても内需にまわるというおそれはないか、こういうお尋ねでございますが、まことに私どもといたしましてもごもつともな、いわば現在の日本の経済の一番むずかしい点に触れられた御質問として、敬意を表するのでございますが、御承知のように繊維でございますとか、綿糸布でございますとか、あるいはパルプ、あるいは一部の羊毛繊維につきましては、通産省その他関係当局で輸出輸入との物資別のリンク制をとつているわけであります。たとえば原綿でございますと、過去の輸出実績を押えまして、それの原綿の換算をいたしまして、それに一定の割増率をかけましたものを優先的にまず原綿の割当をする、設備の割当というのは、これはいわば補完する立場に置くというようなリンク制をとつている商品もあるわけでございます。そういう輸出と直結をいたしましたリンク制のとられておる物質につきましては、その仕組み上、輸出がシステムとして確立せられておるということは申せようかと思うのでありまするが、そういうふうないわゆるリンク制でない一般の物資の割当におきまして、国内消費に向おうと、あるいは輸出に向けようと、その規正を直接的にいたしておらない物資につきましては、申すまでもなく、高く売れ、もうかる方に商品がさばけるということは自然のことでありまして、その意味におきまして、下期の外貨予算で相当輸出原材料につきましてもたつぷりした予算をつけましても、それが必ずしもすべて所要輸出に向いて行くということは確言いたしがたいわけであります。で私どもはその意味におきまして、輸出見込みを立てる場合におきましては、もちろんそういうようなリンク制のとられたものにつきましては、そういう要素は加味いたすのでございますけれども、最近の輸出の伸び方、あるいはLCの状況というものから見ました一貫的な輸出見通しを立てるというのが実情でございまして、その意味におきまして、私どもはよほど今後財政なり金融なり、全体的に必要な健全通貨の施策がとられまして、日本の物価が上つて行かない、裏から申しますれば、円の購買力が上つて行くという総合的な施策がとられません場合においては、今御指摘のように、はたしてたつぷり組んだ予算が、所期の通り輸出に向くかどうかということは期待できないわけであります。そういう意味におきまして、どうぞ国会の方でも、そういう輸出の振興の方にこれらの原材料が経済的に流れて行く、正常な価格、あるいは経済の法則、運用の自然の姿として輸出に向いて行くような財政金融の引締め方策が国会でとられるということを、私どもとしては熱望せざるを得ないわけでございます。  それから第二の主食輸入に伴いまする輸出向きの外貨予算見込み方と、現在の予算あるいは今後提出を予想されますところの補正予算の価格差補給金の関係でございまするが、外米につきましては、よほど今後思い切つて増額するという措置がとられません限りは、まず現在の当初予算で成立いたしておりまするところの輸入価格差補給金でまかなつて行けるものという見通しを立てております。しかしこの点は、今後の年間ペース九十万三千トンの外米に実際どれだけの追加を現実に必要とするかということ、あるいは御承知のように端境期が問題になつて来るのでございますが、追加をいたしましても、ただちに下期の外貨予算を必要とするかどうか、来年の上期の輸入数量増加でも間に合うということでございますれば、補正予算の問題はないわけでございますが、現実の輸入の時期の問題、あるいは外米の価格差補給金を現実にいつ国庫において支出するかという、いわば予算の、あるいは財政の歳出の仕組みの問題ということとからまつて参るわけでございますが、私ども見通しとしては、現状においては、価格差補給金の日本の国内の予算措置とマッチしておる。ただ問題は、今後大幅に外米輸入の追加ということがあるならば、その辺のあんばいは必要となつて参るかもしれないというふうに考えております。  第三番目は、砂糖についてのお尋ねでございますが、粗糖は下期の外貨予算で買います分といたしましては、四十六万トンを見込んでおります。上期の外貨予算の引当ての分と合計をいたしますると、上期の外貨予算の点におきまして、大体二十三万六千トン見当を見込んでおりまするので、そういたしますると、大体六十九万六千トン、七十万トン近いものは上期、下期の外貨予算で入つて来るわけであります。この七十万トンの数字は、正常な砂糖の輸入からいたしますとやや下目でございます。下目でございますが、これは昨年度の、二十七年度外貨予算で比較的砂糖はたつぷり入りまして、本年度への繰越しの在庫が相当たくさんあります。そういう関係で、実際の需要の面は、今申し上げましたような輸入数字でも十分まかなつて行けるというふうに考えております。それから砂糖が一部には不要品不急品でないかというような議論も耳にいたすのでありますが、私どもといたしましては、砂糖については、ただいまのところ正常な需要はやはりまかなうという考え方を持つて行くのが適当ではなかろうかという考え方をいたしておるわけでございます。  第四番目には、最近の手持ち外貨資金の通貨別お尋ねでございますが、御承知のように、日本外貨資金は政府で持つておりますものと、それから日本銀行が持つておりまするものと、それから民間の為替銀行が自己資金で保有いたしておりまするものと、それらの所有者といたしましてはその三通りございます。  それから持つておる通貨の形態といたしましては、米ドルと英ポンドと、それからオープン債権と申しまするか、オープン決済地域との帳簿上のバランスによるものと、三通りあるわけでありますが、いずれもドル換算で申し上げまして、九月二十日現在で大体十億八百万ドル外貨がある、かように大体の見当としてはお考えを願いたいと思います。そのうち米ドルでございますが、米ドル外貨証券の運用せられおりますものとか、いろいろ形態を問わぬで、要するに米ドルとして、外貨資金としてのものといたしましては八億七千二百万ドル見当というふうにお考えを願いたいと思います。それからポンドでありまするが、ポンドドル換算で大体九千三百万ドル見当とお考えを願つてよろしいかと思うのであります。それから残りのオープン勘定が、これは各地域いろいろにわかれるのでありますけれども、四千三百万ドル見当、さような内訳なつております。急いで試算いたしましたので、合計が合うかどうかわかりませんけれども合計十億八百万ドル、大体かように相なつております。
  26. 大平正芳

    ○大平委員 今の最後の点ですが、ドルとかポンドとかは外国銀行に預金するとか、外貨債券を持つとか、いろいろなことがあるのだろうと思いますが、どういう形で運用しているのでしようか。
  27. 東條猛猪

    東條説明員 大平委員承知のように、その中のオープン勘定はいわゆる帳簿上の債権でございまして、これは限度を超過いたしました鳩合においては、それぞれ協定に従いまして、米ドルで払つたり、米ドルを受取つたりいたすわけでございます。残つております残高は帳簿上の債権で、これは運用とかなんとかいう問題はないわけであります。それから第二の運用の形式としましては、証券を買つておりまして、政府の持つております長期のものといたしましては、たとえば世界開発銀行債五百万ドル、短期のものといたしましては、大蔵省証券というような証券保有の形で持つております。それから残りは大体預金として預けておるということになるわけでありまして、その相手方といたしましては、日本側の最高銀行である場合もありますし、それから外国銀行である場合もあります。預けておる形式といたしましては、残高の関係からいつて、回転が早いポンド資金のような場合でありますとか、あるいは一定のものは当座預金にしております。しかしながら別に引当てがないと見られておりまして、細当金が長期に寝ておる、しかし証券運用としては少し見送つてみたいという場合におきましては、定期預金になつているということでございまして、結局政府の十億ドル外貨は、帳面上の債権として残つておりますものと、証券運用の形で残つておりますものと、それから各種の銀行に対する預金で残つておりますものと、さようになつておるわけであります。
  28. 大平正芳

    ○大平委員 日本の商社は御承知のように非常に小さくて、外国で商売をするには資金の調達難というか、調達力がない、信用の乏しい小さい商社がたくさん進出して行つて、外国で大きな資本と闘つても、資金力がないものだから非常に不利な条件に置かれておる。あるいは日本の小さい商社自体の間で非常な競争があるというような状況だろうと思うのです。そこで政府は、とにかくそういう形で保有している外貨を活用いたしまして、商社の信用を強化させるとか、外国銀行からの借入れ等の場合に、政府の信用を貸してやるとかというようなことにすると、よほど局面は明るくなつて来るのではないかと思います。そういつた点、今私はこれは単なる思いつきを申したわけですが、大蔵省当局はどういうふうに考えておるのか、参考までにひとつつておきたい。
  29. 東條猛猪

    東條説明員 外貨のいわゆる活用の方式として、非常に有益な御意見でございますが、日本の手持ち外貨日本側の銀行に頂けておるわけでありまするが、その預けておりまする目的の一つは、いわゆる今お話の現地にいろいろ進出いたしておりまする日本側商社の貿易活動に便益を供するために、現地の貸出に使うようにという指導をいたしておるわけであります。それでニューヨークならば、ニューヨークに店のございまする日本の商社がございますれば、それは日本側の銀行に参りまして、日本との間でこういう取引をしたい、あるいは日本との間でございませんでも、第三国貿易でこういう取引をしたい、それがためにはこれだけの金がほしいという話がございますと、政府が為替銀行に預託しております金を、為替銀行が商社に貸し付ける、かようなことにいたしておるわけであります。もちろん政府がみずからやるわけではございませんが、政府が預けております金、あるいは為替銀行が自己資金で持つております資金を現地で貸出しに運用いたしますからして、結果的には政府外貨が為替銀行を通じてそれらの商社の活動資金に向いておるということが申せるわけであります。ただこれは私から申し上げるまでもございませんが、為替銀行がそれらの商社に資金の貸出しをいたします場合においては、やはりこれはコマーシャル・ベースで貸出しが行われるわけであります。つまり相手方の商社の信用の度合い、あるいはその取引が確かに申請にあつたような、正常な健全な貿易取引であるかどうかということが、これが申すまでもなく貸出しの目安になるわけでありましてそういうコマーシャル・ベースに乗りまするところの資金の要求でございますれば、ただいま申しましたように、外貨がこれらの商社に貸出しが行われて行くわけであります。私どもといたしましても、政府の手持ちの外貨がそういう意味日本の商社の、特に海外に進出をいたしておりますところの商社の貿易活動を活発ならしめるためにこの資金が活用せられるということは、日本外貨資金の活用の方途として最も望ましいものの一つではなかろうかという観点で、従来とも、このいわゆる外貨の預託制度が始まりまして以来実行いたしております。ただちよつとお断りを申し上げておきたいと思いますことは、ポンド資金につきましては、御承知通りに最近非常にきゆうくつに相なつております。それから事実上ロンドン市場での日本側商社の活動はまだはかばかしくございません。そういう意味におきましてはただいまるる申し上げました日本外貨資金が、間接に在外商社の活動の資金として非常に活発になつたかというと、少し手前みそのようでありますが、活用せられるというところは主としてアメリカ、ニューヨーク方面が多いということに御了承を願いたいと思います。
  30. 小山倉之助

    ○小山委員 そういうことになりますと、非常なスペキュレティヴなものということになりはしませんか。もう一つは、たとえば思惑輸入をして、貿易会社が非常に損害を受けておるのですが、そういうことがあり得るとわれわれは心配するのですが、その点についての御考慮はどうなつておりますか。
  31. 東條猛猪

    東條説明員 もしその買付をいたしました品物が日本向けの品物でございますれば、これは先ほど来御説明申し上げておりまする日本外貨予算数字によりまして、この物資はこれだけの輸入しかないという数量的な制約があるわけでございます。そこで今の代付資金が思惑に使われ左いかということは、私どもといたしましても、この制度が行われまして以来実は非常に気を使つている点でございまするが、日本側の銀行に申してやりまして、もし貸出しの対象になつておるところの物資日本向けの物資であるならば、政府のきめておる外貨予算の内容とよくにらみ合せてもらいたい。たとえばこれは一例でありまするが、日本航空が飛行機を入れるというような話でございますし、飛行機の商売には希望者が相当多いわけでありますが、われわれの方では、今度の外貨予算ではかりに三機なら三機の飛行機しか外貨予算に組んでないということでありますと、その買付の飛行機が日本向けであるという商社の申請になつておりますれば、そこで数量的な統制をするということで、私どもといたしましては、その品物が日本向けであるならば外貨予算数字とよくにらみ合せてやるようにという指導を、日本銀行を通じていたしております。それからその商社の話が日本向けでないのだ、第三国関係だということになりますと、これは外貨予算の制約がございません。そこで貸付に当つておりますところの為替銀行の自主的な判断にまつほかございません。先ほどから申し上げておりますように、その商売が信用度において、あるいは商売の内容においてコマーシャル・ペースに乗るかどうかというような判断は、私どもはまだ十分日本側の貸出しに当つておるところの為替銀行の判断というものを信用いたしておるわけであります。ことしの初めから、ドルにつきましては貸出しを運用いたしておりますが、今日までのところ、そういう制度がとられたために在外商社が思惑に向つたというようなことは、非難がございませんで、むしろまだ政府のそういう意思にかかしらず、実際問題として少し外貨資金の貸出しの実際の手綱の取方がまだ実はきゆうくつ過ぎる、もう少し実際の運用を楽にしてくれないかという話は、実はその外貨予算との関係で相当制約を加えておるものですから、そういう批判は耳にいたしておるわけであります。
  32. 小山倉之助

    ○小山委員 その金額は幾らあるかわかりませんか。
  33. 東條猛猪

    東條説明員 為替銀行に対しまするところの外貨を預託いたしておるものの使い道といたしましては、今申し上げました現地の貸出し資金のほかに、為替銀行として日本との貿易決済に必要な資金の部分をも実は政府が預けてやつておるわけであります。つまり為替銀行はできるだけ自己資金でもつて自分の商売に必要な外貨資金は調達をしろということを申しておるわけでありますけれども、御承知のような実際の資金のコストの関係から見て参りますと、外貨を持ちますとその運用の利まわりは比較的低く、しかもそれを比較的高い円資金のコストで全部が全部自分の銀行に必要な外貨資金を持つということは実際問題としてできにくい。一面政府の手持ちの外貨資金は、外国側の銀行に従来のいろいろの関係がありまして、相当部分を預けておりますけれども日本側の為替銀行の育成強化と申しますか、そういうことを考えますと、逐次政府の手持ちの外貨日本側の銀行に預けがえをして行くということも、また一つ方針ではなかろうか、かように考えまして、日本側の為替銀行には、為替銀行のそういう資金コストの問題と、それから政府方針の問題と両方の観点から、外貨を預託してやつておるわけであります。そこでその預託を受けました外貨を、先ほど申しました現地貸しに使うこともできますし、あるいは為替銀行としては、為替銀行自体の貿易決済に必要な金にも充当できるという仕組みをとつております関係上、現地の貸出しに幾ら政府の手持ちの金が預託してあるという、厳格な線の引き方はなかなかむずかしいのでございますが、ただいま政府が預けてやつております部分と、それから為替銀行が自己資金で、自分の手金で持つておりますものと合計いたしますと、大体日本側の為替銀行がそういう意味合いで持つております金は、いろいろ動きはありますけれども、大体一億ドル見当というふうに御承知を願いたいと思います。
  34. 木原津與志

    ○木原委員 外貨の運用の点について大平委員から質問がありましたからう関連してお尋ねいたしますが、大体政府発表によりますと、外貨の保有が十億八千万ドルということでありますが、ある種の発表によりますと、このうち七億ドルはアメリカの銀行に預金してある。その預金が一億ドルは無利息の当座預金それから五億ドルが定期になつておるが、その定期の利子が一分七厘五毛というようなべらぼうに低い利息で預けられておるというようなことをある本で見たことがあるのですが、そういつた事実があるのですか。
  35. 東條猛猪

    東條説明員 ただいまのお尋ね数字につきましては、多少違いがございますが、相当一億ドルを越えまする金額が当座預金として預けてあるということは、これは事実でございます。それから定期預金は、大体現在のニューヨークでございますと、定期預金の利子が一・七五%、これも事実でございます。それで御承知のように、政府外貨米ドルといたしまして現金として預入せられておるわけであります。これを証券に運用いたしましたり、あるいは格段の現金以外の形式によりまして運用せられません限りにおきましては、これはもうどこかの銀行の預金にせざるを得ないわけであります。それで預金になりました場合に、その定期預金につきまして、ニューヨークならばニューヨークの定期預金の一番利率のいい条件以上のものを特に日本の定期預金につけろと言いましても、これはビジネスの問題としてはつかないわけであります。さような意味におきまして、現在のところドルにつきましては、平均一・七五%ぐらいの定期預金の率となつております。というのは、現在のニューヨーク市場における定期預金の率としてそれは事実でございまして、また政府の定期預金もさように運用されておるわけでございます。それから当座預金の高につきましては、私どもしよつちゆう銀行別にもう少しこの当座預金の残高を減らす余地はないかということを検討いたしておりますけれども、これは相当多数の銀行に分割して預けられております。またそれが実際の日本貿易決済のために必要であるという観点から分散して預けられておるわけでありますが、それも貿易決済のためにぐるぐる動いておりまするから、ある程度のものは当座預金として預けて置くほかはない、しかもこれは無利子である、これもまた事実でございます。
  36. 木原津與志

    ○木原委員 金額も大体そんな割合になりますか。
  37. 東條猛猪

    東條説明員 最近のところで、当座預金は大体一億四千万ドル見当、無利子の分というふうに御承知願いたいと思います。
  38. 大平正芳

    ○大平委員 最後にもう一点。いろいろ御説明がございましたが、下半期外貨予算の性格でございますが、大体最近のように輸出が不振を伝えられ、インフレ気構えであつて、特に凶作を控えて非常な難局に立つておるわけですが、従つてまた政府としても、国会としても、相当ドラスティックなアクシヨンをとらないと経済が持たないというような気もしますし、またそういう輿論も起つて来ておる。そういう段階で組まれた予算であろうと思いますが、伺つてみますと、大体そういつた大きなアクシヨンは、この予算編成そのものは、経済の実勢、外貨のポジシヨン等を考えて、比較的技術的に事務的に組まれたものである、そういうふうに判断してさしつかえないのですかどうか。だとすれば、今後いよいよ来るべき通常国会は、いろいろな問題はあろうと思いますが、特に財政や経済の面でいろいろいわば新しい相当思い切つた施策がやられなければならぬと思います。そういうことになりますると、新しい政策の一つの鏡は、どうしても外貨予算の確保になつて来るわけでありますので、私は政府にひとつ御注文でございますが、何ら細工をしないで、経済の実勢そのままを移して、外貨予算のしりがとうなるかこうなるかということを考慮の外に置いて、そして一ぺん実勢そのものを移したバランスをとつて見たら一体どんな姿になるのかというようなことが、このいろいろな施策を考える場合に一つ基礎になりはしたいか、そういう感じがするのですが、その点どうお考えですか。そこで外貨状況、当面の輸出入状況等を政府が細工をしないで、大胆にひとつ十二分にやつて見るとどういうかつこうになるかというような姿を一ぺん見ておく必要が政府にも国会にもあるのじやなかろうかというような感じがするのですが、私の申し上げることが少し大胆すぎるかもしれませんが、どういう感じでしようか。こういう姿の予算そのものを見て、どこに問題点があるのかということはなかなか捕捉に困難ですが、政府の方で消化し、かつ調整する以前のもう少し生の状態がどういうことになつておるのかというようなことを一ぺん見せていただくと、非常に問題点を摘出したり把握したりするのに便利じやないか、そういう感じがするのですが、為替局長の御見解を伺います。
  39. 東條猛猪

    東條説明員 ただいまの仰せは、外貨予算編成ないし国際収支見通しについて、日本の現在の経済の力を必ずしも正確に反映しておらぬ面があるのじやなかろうか、それを素裸のままで出したら、たとえば国際収支は一体どういう姿になるであろうかという点がお話の眼目であつたと存ずるのでありますが、問題は主として輸入の面に現われて来るかと思うのであります。輸出の方は、二十八年度の当初予算を国会で御審議に相なりましたときに、輸出総額は十一億八千万ドルということが国際収支の測定の基礎なつておつたのでありますが、先ほど来申し上げておりますところの輸出見通しは、あるいはこれはまたはずれるか三しれませんが、十二億一千九百万ドルということになつておりますので、輸出の面におきましては、これは私は、大して日本の実力をオーバー・ヴアリユーしておるという点はないのじやなかろうか、あるいは今後の経済の全体の姿によりましては、輸出はまた伸び悩みましてあるいは衰えまして、当初十一億八千万ドル、最近十二億一千九百万ドルを見込んでおりましたものが、またしぼむというおそれももちろんないでもございませんが、それはそれといたしまして、まず輸出については、そういう日本の経済のほんとうの姿を反映していないということにはならないだろう、こう思います。従いまして、問題は輸入の面になつて参ると思うのでありますが、今度の外貨予算は、金額におきましては、先ほど申し上げましたように、前年同期に比べますと一億六千五百万ドルという金額を減しております。そこで多少輸出が伸び悩んでおるので、輸入をしぼつておるんじやないかというお感じをお持ちかもしれませんが、実は、説明を落しましたが、単価の問題、価格の問題があるわけであります。御案内のように、国際物価は低落の傾向におもむいておりまして、金額は減つておりますけれども数量面をしさいに検討いたしますと、日本の正常な輸入依存量を特に大きく切つておるものはないということが申されると思います。ただすつ裸で示すという意味が、もしほんとうに輸入を野放しにしたらどうなんだということになつて参りますれば、出ほど申しました食糧関係にさらに相当の予算の追加を、いずれにいたしましてもしなければなりません。その面と、それからいわゆる不要品不急品、これは日本の経済の実際の姿でありますと、野放しにいたしましたら、自動車は何千台でも入つて来るだろうと思う。それからそこらのぜいたく品がたくさん入つて来ると思う。しかしいずれにしても、これらは金額的には大したウエートの問題ではない。そうなつて参りますと、日本の経済をほんとに裸でほうり出しましても、輸入数字が、これを実施いたしました結果約二十億ドルということで、この二十億ドル輸入が現在のところでそう厖大にふくれるということはないのではなかろうか、ありましても、これは非常に大胆な私の個人的な感じを申し上げますけれども、一割前後が関の山で、それ以上はついて行けないと思います。これは非常に購買力が出て来るような政策をとれば別問題でありますが、今のような姿でありますれば、年間二十億ドル輸入は、金額的には、単価の値下りを見ますと、相当たつぶりした予算であるということが申されると思います。ただそうは申せますが、これは、ドルポンドあるいはオープン地域通貨別地域の別をなくしたらどうかという問題に次はなつて参ります。その場合におきましては、これは申し上げるまでもないことでありますが、オープン地域に対しては、相当輸入措置をやらないと日本輸出が伸びないということで、最近オープン地域はほとんど軒並みに赤字になつておりますけれども、なおかつこの下期の外貨予算でも、オープン地域から思い切つて入れるという方針とつております。しかしもしそういう方針をやめまして、どこから買つてもよいのだという方針をとりますれば、このオープン地域からの輸入が相当ドルや、あるいはポンド地域に振りかわつて参ります。それから今期は、実は濠州羊毛をアルゼンチン、ブラジルへ相当地域転換をはかつております。そういうわけで、通貨別地域の撤廃をいたしますと、清算勘定地域からの輸入がもう少し落ちる、それからドルがふえる。場合によつてポンドも若干ふえるかもしれません。というように、輸入総量はかわらぬにいたしましても、通貨別には相当出入りが出て来る。それがもし起りますれば、逆に輸出の方にそれが響いて参りまして、清算勘定に本年の予算約三億八千万ドル見当と見込んでおりますが、これが逆に落ちて来る。日本が買いませんければ向うも買いませんから、輸出の方に響いて来るということがあり得ると思います。その意味におきまして、通貨別輸入を野放しにすれば多少輸出もかわつて来る、そのはね返りとして輸出にも影響があるということが申せると思います。要は、客観的な貿易ボリュームの全体としては、今大平さんのお話のように、野放しにしても輸入がふえるということもないじやなかろか、これは間違つておるかもわかりませんが、私はそういう見方をしております。またそういうふうに今度の外貨予算が組まれておると思います。ただ問題は、それをささえているところの受取りに八億ドルに近いところの特需関係駐留軍関係収入を見込んでおるというところに問題が集約されて来るのではなかろうか、間違つておるかわかりませんが、私のただいまの感じではそのように考えております。
  40. 小山倉之助

    ○小山委員 私は感じでお伺いいたしますが、先ほどもどなたか御質問になりましたが、繊維品の輸入も非常にふえております。それがもう内地の方へ動くことは当然だと私は思う。今度は外国人の招聘ですか、つまり今は、正常な海外の市場において輸贏を決するという頭ではなくして、大体日本人は内地でもうけさえすればよろしいという考えのような感じがするのです。ですから、繊維品の輸入も非常にふえている。それから外国人の招聘について五割減らしたと言つているが、私はこの減らし方は足りないじやないかと思う。ベース・ボールを入れた、学者を入れた、それ何を入れたというように、経営者に自分の会社だけもうければよいというような精神がみなぎつているではないか。ですから大蔵当局は、そういう点について十分なる施策を強硬にやつていただきたい。現われたところから一つ一つつて行こうじやありませんか。こういうような意味から、たとえば外国人を入れると、それは全部こつちの支払いになるかどうか、そのうち幾分かは日本のためになるか、そういう数字がありますかどうですか。そんなことの施策を十分練つていただきたいと思います。御意見を伺います。
  41. 東條猛猪

    東條説明員 外国人の招聘関係一つの例にあげられまして、自立心、奮発心が乏しいというお言葉であります。まことに私も御同感でございまして、仰せの通りであります。それで例としてあげられましたスポーツ、芸能関係外国人招聘の問題でありますが、これについて五割でも少いじやないかという仰せでありまして、まことにすぐれた御見識と敬服いたすのでありますが、ただ多少今のお言葉にもございましたように、たとえば野球でありますとか、麦るいはアイス・シヨーでありますとか、あるいは子供相手のいろいろな遊びでありますとか、あるいはこれからジャズが三組ばかり入つて来る。そういうものは、すべて貴重な日本外貨の負担になつておるというよな感じが一部の方、世間におありでございますようでありますから、この機会に申し上げたいのでありますが、実はジヤズでありますとか、アイス・シヨーでありますとか、あるいは一部の野球でありますとか、ああいうものは、日本外貨を、全然と申しますと少し言葉が強過ぎるかもしれませんが、負担にならないものが相当あります。海外からああいう団体あるいは個人が参りますと、費用といたしましては、大体三つにわかれるわけであります。一つは、ああいう人が内地へ来ますとき、ほんとうに外貨を持つて帰りたい、つまりいろいろ内地で働いたサービスの代償を外貨で持つて帰りたい、そういうことでもし契約が実現いたしますと、これが現実に一つ外貨払いなつております。一つは飛行機賃であります。最近船に乗つて来ることはほとんどありませんで、飛行機で来る。そうすると、もし日本の国内で飛行機の切符を買いますと、飛行機会社に円が入ります。今度は飛行機会社がその金を海外に送りたいということで、そのときは円の支払いのように目えますけれども、結局形をかえて外貨の負担になつて来る。航空賃というものが、外貨負担になり得る系統の経費であります。第三番目は、日本滞在の費用、それから、日本から持つて帰る真珠その他のみやげものであります。これは場合によつては、消極的な日本外貨の負担になつておるという考え方が成り立つのであります。いずれにしてもそういう内地の滞在費用、円払いの部分、そういうように費用の系統といいますか、内訳が三つにわかれるのであります。そこで日本外貨の負担になるということになりますと、結局第一番目のカテゴリーの、日本でいろいろ興行なり、あるいはサービスをした、それを向うへ持つて帰るというのと、それから海外の飛行機の航空賃というようなものが外貨負担になつて参る。大体そういうふうに達観してごらんになつていただけばいいかと思います。ところが、最近これからまた来ますジャズでありますとか、あるいはアイス・シヨーでありますとか、あるいは春日町でやつております子供相手のプレイ・グランドというものは、海外にも外貨を持つて参らない、飛行機は外国で往復切符を買つてつておる、それで結局日本での滞在の費用、あるいは若干のおみやげ代が日本で円の収入になるという系統のものが実は相当ございます。昭和二十八年度の上期の例を申し上げてみますと、いろいろの野球であり手とか、あるいはサッ力—でありますとか、そういう運動関係の件数が、二十八年度の上期に許可いたしましたものは十三件ございますが、そのうち外貨関係のないものが十一件であります。それから音楽関係でありますが、これが七件、このうち外貨関係のないものは一件であります。その他スポーツ、音楽以外にいろいろなものがございますが、それが五件、このうちの三件が外貨関係のないものであります。実は芸能関係、スポーツ関係は、実際は外貨関係なつておるわけでありますが、そこで一番最後の向うへ金を持つて帰る必要もない、飛行機賃は手前弁当でやる、日本では滞在費用と多少のみやげだけでいい、そういう一見いかにもばかな話が一体どうして起るのだろうかという点でありますが、これは私は外貨関係はないと申し上げましたが、非常に広い意味で申し上げますと、外貨関係があります。といいますのは、たとえばある一つの学校、あるいは慈善団体があるとします。そしてそこが相当海外とのコネクシヨンのある学校なり団体であるとしますと、外貨の送金を受けて、三百六十円の金にかえますと、大した余にはならない。しかしその金でもつて海外から人を呼んで、いろいろのこういう催しを内地でやりますと、内地では非常に収入が上る。そうすると、その収入でもつて学校なり、慈善団体の建物でありますとか、施設をやるということをやるわけであります。それでは為替管理当局としては、それは向うから受取るものを結局受取らなくなるという間接的な外貨の喪失があるのではないか、それも押えたらいいじやないかというのも、これまた一つの御意見だろうと思います。しかしながら、ただいままで私どもがやつて棄ております現実の方針は、まあそこまでやるのは行き過ぎじやなかろうか、向うへ金を持つて帰る必要もないし、飛行機賃も内地の外貨の負担にならない。ともかく滞在費用はそのかわり興行収入で上げるというものまで、為替管理の面からいかぬというのは行き過ぎではなかろうかということで、比較的その辺のところは、言葉は悪いのでありますが、大目に見るという態度で今まで来ております。しかしながら、こういう方針がいいかどうかということであります。これは今仰せのように、全般的な考え方の問題から、私どもといたしましても、常に検討を重ねておる問題でございまして、海外渡航の問題でありますとか、そういう全体の物事の考え方が国民全体として引締りまして、海外にはよほどのことがなければ行かぬ、いたずらに視察旅行的なことはやらぬということで、すべてのものが徹底してそういう気構えになるということになりますれば、あるいはこれらの日本の国内のそういうアーギユーメントのために直接日本外貨負担にならない場合も、あえて押えるべきだということも考えなければならぬ時代も来るのかもしれませんが、現状としてほかのいろいろの日本の姿を見ますると、そこまでこの面に突き進んでやるのはどんなものだろうか。ただそうは言いながら、仰せのように特需収入でささえられておるということで、正常な輸出はどこまでもやらなければならないことでありまして、経済の自立ということのためには、何としてもこれは切り開いていただかなければならぬ点でありますので、私どもといたしましては、たとい今申し上げましたような、比較的金額的にはウエートの少い点につきましても、常に御趣旨に沿いまして、反省を怠らず、全体の基調を乱さないように、あるいはできますれば、それに一歩先がけるように今後ともよく検討して参りたいと思います。
  42. 本名武

    ○本名委員 参考に簡単なことを一、二点お伺いします。  先ほど来話がありましたが、外国食糧輸入の問題です。局長もお話があつたように、冷害、凶作その他で国民全体は非常に不安にかられている。ことにインフレ要因を含めた経済情勢の含みで、国民は非常に不安にかられている。外国食糧輸入するために外貨予算を増額しなければならぬだろう、しかしそれには慎重を要するということでしたが、この点です。そこで今日これだけ国民が騒いでいる問題ですが、最近農林省から何か話合いがあつたかどうか。もしあつたとすれば、数字の上で大体どの程度ふやさなければいかぬというお話があつたか。これはまだ正式の話合いでなく、雑談程度の話合いであつたかもしれませんが、その点をひとつ参考に伺いたいと思います。  それから先ほどのお話で、ふやすことは当然ふやさなければならないだろうが、非常に慎重を要するということでした。この慎重を要するというのは、為替管理の面から、事務的な面で慎重を要するのか、それとも外国との商取引のゼスチユアの上で慎重を要するのか。一例をあげれば、大麦などは、世界中の人間はたれも食わない、日本だけが食うのだ。そこで日本がこれを買うなどということを声を大きくすると、濠州あたりは盛んに増産すると同時に、値をつり上げて来る、値をつり上げることによつて、国の予算は二重麦価で非常に苦しんでいるときに、一層それに拍車をかけるようなことになる。こういうような商取上のゼスチュアから慎重を要する面もあるでしようが、いずれにいたしましても、局長の言われた慎重を要するというのはどういう点にあるのか。この二点を参考に伺いたいと思います。
  43. 東條猛猪

    東條説明員 最後の外貨予算は、閣僚審議会決定されるわけですが、閣僚審議会には農林大臣ももちろんおいでになつております。そういう意味で、閣僚審議会方針として慎重にやるということになつたわけでありますが、慎重を要するフアク夕—は、今お話のようにいろいろございますが、私ども最も重点を置いて慎重にというポイントは、今お話海外の市価のつり上げの問題だろうと思います。特に米のごときは、御承知のように、日本は非常な大手筋でありまして、まとまつた数量でぽつと出ますから、東南アジア諸国の米の値段が上つて日本買付競争上不利になるということで、そういう意味の弊害もいろいろ大きく出るだろうと思います。それからあといろいろございますが、それが一番心しなければならぬことだろうと思つております。  それから数量は九十万トンでは足りないというお話がありまして、数量はいろいろ雑談的にはございますけれども、御承知のように、まだ供米の割当がきまつおりませんし、いろいろな関係もありまして、農林省は雑談的の中にもなかなか慎重でありまして、はつきりした数字はまだお話がないというのが実情でございます。
  44. 本名武

    ○本名委員 慎重を期せられることは、いろいろな意味でけつこうでしよううけれども、国民が不安と非常な危惧にかられて、干上つてしまうようなことのないように、国民が安心の行くような発表を一日も早くしていただきたい。  それからさつき為替銀行の話が出たわけです。大分前だと思いますが、為替銀行を整理するとか、一、二行に限定するとか、あるいはまた外国為替銀行法を制定するとかいうような話があつたのですが、これは銀行局の所管か知りませんが、関係があるのですから、局長からそれらについて、もし事実そういう話があつたとすれば、どういうような内容であつたか、どんな方針であるかということをちよつと伺いたいと思います。
  45. 東條猛猪

    東條説明員 為替専門銀行の問題が中心のお話でありますが、この委員会の前々から銀行局長からも申し上げましたように、大蔵省といたしましては、やはり為替専門銀行はつくつた方がいいだろうという考え方で、事務的に検討いたしております。ただこれは貿易界なり金融界なり、いろいろその方面でほんとうにつくつた方がいいんだという機運が、やはり熟して来る必要がありはせんかと思いますが、大蔵省の事務的な見解といたしましては、つくつた方がよろしいというので検計いたしておる段階でございます。その他の一般の外国為替銀行を数を減らすんだとか、あるいはそれのどこかの銀行の業務をやめさすんだというようなことは考えておりません。むしろ事務的な考え方といたしましては、今申し上げましたような為替専門銀行をつくりまして、一行だけではいけませんで現在の一般の外国為替銀行の業務を補うように、やはり正常な為替業務は引続いてやつてもらう必要がある、従つで積極的にそれの方を減らすとかなんとかいうことは考えておりません。
  46. 大平正芳

    ○大平委員 ついでに電力借款の問題についてちよつと伺つておきたいのですが、新聞で伺つておりますと、何でも担保がどうだこうだというので、野党側にも反対があつたように聞いておりますし、東條局長の談も出ておつたようです。聞くところによると、十四日ごろ調印になるという話ですが、最終的にはどういうかつこうになつておりますか、それをお伺いしたいと思います。
  47. 東條猛猪

    東條説明員 火力借款の問題につきまして簡単に申し上げます。  約四千万ドル火力発電機械輸入につきまして、世界開発銀行からの借入れによりまして、その代金を調達をするということで交渉いたしておるわけでありまして、いろいろの交渉の経緯はございましたが、近く調印を見る運びに至ると存じております。契約の内容は、日本の開発銀行と世界銀行との借入れ契約が一つと、それから三電力会社と世界銀行との間の事業計画に関する契約書が一つ日本政府と世界銀行との間の債務の保証契約が一つ、正式の契約といたしましては三本建になるはずでございます。そこで、その契約の結果、世界銀行から開発銀行が四千万ドル見当の金を借りまして、それを三電力会社に又貸しをいたします。三電力会社は、それでもつて火力発電機械を購入する。それからその担保関係でありますが、開発銀行が世界銀行から借り入れました借入金の債務を、日本政府が保証いたします。これは日本政府といたしましては、過般国会で成立を見ました債務の保証をすることができるという予算の総則、あるいは法律の規定に従いまして、無形の保証をするわけであります。有形の担保を設定したり、あるいは抵当を出すということは全然ございません。要するに無形の債務保証契約をするわけであります。同時に開発銀行が内地の三電力会社に又貸しをいたしました債権を、世界銀行に対しまして質に入れます。当初は、世界銀行は三電力会社の資産の上に特定の物的担保の提供をしてもらいたいという有形担保の要求がありましたが、折衝の結果、今申し上げましたように、開発銀行が三電力会社に対する債権を質に入れる、これは今までにちよつと例のないことのように思つておりますが、さようなことが担保関係に相なつております。従いまして、契約が成立を見ましても、電力会社にいたしましても、あるいは政府にいたしましても、単純な債権質であり、あるいは単純な債務の保証でありまして、物的な抵当権の設定でありますとか、担保権の設定というものは何らございません。ただこの政府の債務保証契約の中に担保条項がございまして、その中に、将来日本政府が今回の四千万ドル以外に別途の外債を募集する、そしてその別途の外債を募集したときに、もしその債務について物的な担保を提供するというのであるならば、あらかじめ世界銀行と相談をしてもらいたい、相談を受けた場合においては、世界銀行は十分常識的に、そして好意を持つて相談には乗ります、そういう相談を受けた場合に、従来世界銀行の態度としては、ぎごちないことを何ら申しておらぬことも確信しておるが、そういう態度でもつて交渉に応ずるということは、世界銀行として約束をいたす。そこで政府が世界銀行と話合いをいたしますれば、私は常識的に円満に解決することを確信いたしますけれども、もし話合いがつかなかつたと仮定いたします場合におきましては、その新たな外債について有形担保を設定いたしまするが、その担保について今回の四千万ドルは、同順位の返済請求権があることにしてもらいたい。つまり世界銀行としては、今回は日本側の言い分に応じて全然物的担保はとらずに融資をする、ところが日本政府がほかの場合に物的担保を出さなければならぬというならば、相談をしてもらいたいし、相談がまとまらなければ、その財産については、自分の方はほかに対して担保を出すなら、同順位の担保請求権を持つ、従つて将来の問題としては、そういうことを日本政府は約束してもらいたい、こういうことになつておるわけであります。  それから問題となりますことは、日本政府だけでなくて、ポリティカル・サブ、デイヴィジヨンという言葉を使つておりますが、日本の解釈では、地方公共団体が入るという解釈をせざるを得ないのでありますが、そういうポリテイカル・サブ・デイヴィジヨン、それからガヴアメント・エージエンシー——政府関係機関、これらのものが将来長期の外債を募集して、しかも物的の担保を出すというのならば、今私が申し上げました政府に関する扱いと同様にしてもらいたいという条項があるわけであります。この点は、日本政府といたしまして本件の交渉上当初から非常に問題にした点でありまして、いろいろと折衝を重ねましたが、これは世界銀行が各国に貸し付けております契約条項のどこにも適用しておる例文である、従つて日本側に対してのみこの条項をはずすわけには行かないということになりまして、日本側の法制においては、今申しましたようなポリティカル・サプ・デイヴイジヨン、あるいはガヴアメント・エージェンシーについても、この規定を適用するということは困るのだということを申しました結果、日本の憲法の制限の範囲内において——憲法違反のことならばしかたがない、憲法の制限の範囲内においてという言葉を——これは各国の例文にはないことでありますけれども日本の場合には入れまして、やむを得ず地方公共団体、あるいは政府関係機関についても右の条項を適用するということでなければ、この火力借款は成立をしないということになりましたので、この担保条項につきましては、今申し上げましたようなことで話合いをつけるということになつたわけであります。それでくどく申し上げますが、世界銀行は、御承知のように五十五箇国が株主になつておりますところの国際的な銀行でありまして、多数の国を相手方として貸付契約を結んでおりますから、理事会が、また理事会を構成しておる理事が世界各国の代表者になりますから、その理事会で可決せられなければこの借款契約というものは成立しないわけでありますが、その成立を見るがためには、世界のどこの国に対しても実体的に同じ内容の規定でないと理事会が通らない、これは世界銀行の性格上さようなものであろうと思います。従つて世界各国並の条件を日本に対してははずせということを言うことは、結局理事会を通らず、交渉成立の見込みがないということになりましたので、担保条項の問題については、各国並、あるいは各国よりも憲法云々ということで、日本の実情に近いようになつておると思いますが、さようなことであるならばやむを得ないということが、担保条項に関する経緯になつております。
  48. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 さつきからいろいろ話のあつた問題の中で、もう少し具体的に伺つておきたいと思う問題なのですが、御承知通り日本の産業の中でも糸へんといわれましたものの、日本の経済に関連する今後の外貨予算の問題でありますが、綿布の外貨予算を今年度と来年度どのくらい見積つておられるか、それから羊毛の外貨予算を今年度と来年度でどのくらい見積つておられるか、これを伺つておきたいと思います。
  49. 東條猛猪

    東條説明員 お手元に差上げてございまする「昭和二十八年度下期外国為替予算について」の三ページに「輸入貨物外国為替予算」というのがございますが、左側の六番に繊維といたしましてあげてございまするところで、御承知をいただけると思います。原綿につきましては二億三千九百万ドル、原毛につきましては一億四百万ドルというのが、金額で現われておりまするところの数字でございます。そこで、それではこれの数量はどうなつておるかという点でございますが、これによりまして、原綿の方は百三十五万俵ということに相なるわけであります。そこで百三十五万俵を基礎といたしました場合に、需給関係はどういうようなことに相なるかというわけでありまするが、大体需要といたしましては、二十八年度の消費と、それから常備在庫を考えまして、その合計で二百九十二万俵程度の需要があるのではなかろうか。ところが上期の外貨予算におきまして買付ができる数字といたしましては、百十四万俵がすでに外貨予算で計上をいたしてございます。そこで今申し上げました百三十五万俵を下期の外貨予算に計上いたしておりますので、合計が二百四十九万俵ということに相なるわけであります。そこで二十八年度手当をいたしまして、二十九年度に繰越す分が出て来るわけでありますが、その数字を大体六十七万五千俵、かように押えておるのでございます。そういたしますと、差引きまして百八十一万五千俵というのが、二十八年度予算手当をせられまして、次期への繰越しを落しまして、現実にこの二十八年度の供給となつて現われて参る数量というわけであります。そこでこの百八十一万五千俵と、常備在庫を見込みました二百九十二万俵の差額百十万俵がどうやつて調達せられるかということになりますと、これは二十八年度の期初の在庫が約六十二万八千俵ございます。それから二十七年度予算つまり二十七年度までの予算でことしに輸入がずれるものが四十七万八千俵ございます。そこで二十七年度までのすでに成立を見ております予算の四十七万八千俵と、二十八年度期初の在庫の六十二万八千俵の合計で百十万六千俵ございます。それと、今申し上げました百八十一万五千俵というものと合わされまして、需要の二百九十二万一千俵というものがまかなわれる。これであるならば、下期の予算で綿糸月平均十九万五千俵という相当たつぷりした生産の基礎を見込んでありますが、綿花につきましては、十分に需給のバランスがとれる。むしろ今後の全般的な情勢で、場合によつたならば、この下期の外貨予算はここまで消化し切れないのではなかろうかという見方をいたしております。  それから羊毛の方でございますが、羊毛につきましては、年間の需要を大体八十四万俵程度に実は見込んでございます。下期の外貨予算では四十三万俵というものを予算に計上いたしてございます。端的に申し上げまして、羊毛につきましては、綿花ほど十二分に、消化し切れぬほどの予算が組んであるということはちよつと申し上げかねます。しかしこれは先ほど申し上げておきましたが、濠州羊毛につきましては、実は日本ポンド地域向けの輸出が思うように伸びない。特に濠州は、相当大きな日本側の輸入超過なつております。そこで日本の品物を進んで買つてもらうためには、ある程度濠州羊毛の輸入予算の上で削減しておきます方が、日本の商品の売込みのこれからのいろいろな外交交渉をやるきつかけをつくる意味においてよいのではなかろうか。その意味におきまして綿花ほどたつぷり予算を組んであるということは申せませんけれども、濠州羊毛を減らしました分は、相当大幅にアルゼンチン、つまりオープン協定に振りかえましてしかし全体といたしまして、濠州とアルゼンチンとではおのずから供給力に違いがございますから、数量は落ちております。しかしながら、綿花あるいは人絹パルプに相当たつぷりした予算を組み、羊毛につきましてはこの程度の予算を組んでおくならば、ここのところから繊維製品の値上りを来すということはないだろう、こういう通産省あたりの見解でございまして、われわれも納得の上で予算を組んだのであります。かようなわけであります。
  50. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 もう一つ、金へんといわれます鉄鋼材につきましての外貨予算は、本年度と来年度どれくらい考えておられますか。
  51. 東條猛猪

    東條説明員 鋼材関係の中で、御承知のように鉄鉱石が何と言つても大きな要素を占めるわけでありますが、鉄鉱石の年間輸入ベースは、二十八年度に四百十万トンということで予算を組んでおります。上期の予算で大体二百九万トン程度の手当をいたしておりますので、下期は二百一万トンということで四百十万トン、こういたしますと、大体年度末の二十九年度への繰越しは、五十四万八千トン程度の繰越しができるだろうというようなことで、一応鉄鉱石については予算を組んでいるわけであります。それでは鉄鉱石あるいは石炭を通じて、ベースはどれくらいに置いているかという問題でありますが、私どものこの計算の基礎におきましては、出銑ベースを年間四百三十三万六千トン、つまり銑鉄の生産を四百三十三万六千トンということに見ておけば、大体それに伴います鋼材の生産高、あるいはいろいろの機械、あるいは鉄鋼製品の需給は事欠くまいということででき上つております。
  52. 坊秀男

    ○坊委員長代理 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十分散会