○井上
委員 私、さいぜん
総裁に伺いましたように、たとえば
政府の本年度の
予算の執行面における場合、さらにこれに補正
予算が加わ
つて参ります場合を
考えると、本年度末から会計年度末にかけて相当
政府資金が散布超過になりはしないかという
見通しがあります。それを
一体消化するだけの
状態にあるかどうかという問題が
一つの大きな
心配であるわけであります。御存じの
通り、MSA援助は、保守党が足並をそろえて大体受入れるだろうという
見通しにおよそ立ち得るのです。そこへ持
つて棄て一般の
金融状況を見ておると、不健全な貸出しが相当多い。あなたは不健全と見てないかもしれないが、私
どもが見るところによると、かんじんの資本蓄積というか、生産能率を引上げてコストを下げて行くというその方面べの
資金の貸出しが積極的にされておらぬ。そういう
状況を三つ四つ集めて来て、そこへ
政府みずから
物価をつり上げて行く。あなたは今公共企業体の給料を上げるなという
お話ですが、何もか
つてにものずきで値上げの要求やストをや
つておるのではない。現実に生活よりも
物価が先まわ
つて上
つて行くところに問題がある。たとえば、すでにあなたが御存じの
通り、この年末には米の消費者価格を六百八十円から七百十円に上げようというおよその話合いができておる。そうしたならば黙
つておれませんよ。そういう悪條件をつくり出しておるこの事実から、
インフレは当然来るという
見通しが非常に強い。そういう
見通しであるがゆえに、滞貨
金融を中心にする運転
資金が相当大幅に貸し出されておるのではないか。物をつくるよりも倉庫へ入れておいた方がもうかるのだから。そういう不健全な
状況に対して、あなた方
日銀政策委員会としてはもつとその面を締めるように指導すべきだと私は思う。一萬田さんのように、
オーバー・
ローンはわが国の
経済の実態においてはやむを得ないものだという見方は、はなはだどうも
金融の
総裁としては不見識な言葉だと思う。
オーバー・
ローンなどというものは、いわゆる設備や生産力を拡充する方面にこの金が使われておるなら、それはある面で公債
政策と一緒ですよ。建設公債としてそれが完全に消化され得るなら、これは決して私はこわいとは思いません。ところが
オーバー・
ローンの内容が、不健全な面への貸出しが多いということにな
つて来て、現実に生産的な産業や商売や、そういうものに貸出しが少い、設備
資金にしても建設
資金にしても、たとえば旅館、ホテル、あるいはカフエー、競輪場、そういうものに莫大な
資金が投ぜられておる。これは決して国全体の
経済の正常な発展を
意味する
資金ではありません。そういう方面にあなた方としてはブレーキをかける力を持
つておる。それをやらずにおいて、
インフレを何とかして押えたいとい
つてみても、あなた方の力が足らぬ点もある、
政府の
物価政策も悪い、
政府の
財政資金計画も悪いということで逃げられたらたま
つたものではない。現実に
総裁は不急不要のものは海外から輸入しないようにしろ、高級自動車なんかやめちまえと
言つておる。しかしあなた方の指導しておる
銀行がものすごい大きな支店、出張所を相当建て、それがものすごい
資金を食うでしよう。全国の一流の建物の一階というものは全部
銀行ですよ。東京でも見てごらんなさい。りつぱなビルディングの一階は全部
銀行が占めておる。目抜きのいい所は
銀行の建物だ。そういうところに対して、あなた方はちつとも制裁を加えない。そうして
銀行の正常な経営というか、
資金操作に対して何らあなた方は力を用いないということは、
一体政策委員会というものは何をしておるか。そこをひとつざつくばらんに
お答えいただきたい。