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1953-09-10 第16回国会 衆議院 大蔵委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年九月十日(木曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 宇都宮徳馬君 理事 大上  司君    理事 坊  秀男君 理事 本名  武君    理事 久保田鶴松君 理事 春日 一幸君       有田 二郎君    大平 正芳君       三和 精一君    小山倉之助君       櫻内 義雄君    井上 良二君       福田 赳夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 緒方 竹虎君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         大蔵事務官         (理財局長)  阪田 泰二君         参  考  人         (日本銀行総         裁)      一萬田尚登君         参  考  人         (日本銀行政策         委員会委員)  中山  均君         参  考  人         (日本銀行営業         局長)     佐々木 直君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 九月十日  委員福田繁芳君及び内藤友明君辞任につき、そ  の補欠として櫻内義雄君及び小山倉之助君が議  長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  金融に関する件  参考人より意見聴取の件     ―――――――――――――
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  本日はまず金融に関する件を議題として、御出席参考人方々から最近の金融状況について御意見を拝聴いたしたいと存じます。本日御出席参考人方々は、一一萬田日本銀行総裁日本銀行政策委員会委員中山均君、それから佐々本日本銀行営業局長の御三人でありまして、参考人方々におきましては、本問題に関し忌憚のない御意見の御開陳をお願いいたします。  それでは、これから日本銀行総裁が十一時までしかおられませんので、日銀総裁金融に対する見通しについての御意見を承りたいと思います。一萬田日本銀行総裁
  3. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 あまり時間がありませんので、あとで質問を受けるように聞いていますので、私がかつてなことをあまりしやべるわけにも行かないので、ごく簡単に金融情勢についてお話してみたいと考えます。  今後の金融情勢基本は、やはりこの第三・四半期におきまして財政上の払い、これは米の代金を中心といたしましようが、約二千二百億程度、この払いに対処するということが具体的に一番問題であると思うのであります。そうして今後の金融政策の一番基本になるのは何であるかと申しますと、これはひとり金融政策ばかりではありません。今後の日本経済見通し、あるいはまたさらにそれからいろいろと派生いたしますでありましよう問題でありますが、要するにまず物価問題、いわゆる物価を上げずして、できれば国際的な今日の状況からして、一層日本物価を下げる、そういうことがどうしても金融基本政策になるのであります。一方財政からは、いよいよ支払い超という一つの新らしい転機があります。そこに物価が他面めおいて騰貴するということになつて来ると、これは資本の蓄積もできません。一層物価騰貴に拍車をかける、これは国際的には経済競争力を一層なくして、言いかえれば輸出がうまく行かない、そうすると金融もうまく行かなと、日本経済が非常な混乱に逢着するということになる。それで金融政策基本は、いかにしてこの不利な客観的な條件下において物価を上げないように上げないように持つて行くかというところにある、こういうふうにお考えくださつてよろしいと思います。  そしてこれについて成算がありやいなや、こういう問題になるのですが、資金的な面においては、私は確信をもつて物価を上げないような政策をとり得る、そういう考えを持つておるのであります。しかし物価を上げるとかいう面においては、これはむしろ政治の面において御考慮を願う面が多いのであります。いろいろと物価騰貴に対する施策をやられるにおいては、いろいろと今後政府において、物価問題に取組まなくてはならない問題が多々ある。そういう際におきまして物価を上げない。それで日本の場合における物価を上げないということは、ただしやにむに物価を下げればよいという行き方にはやはり行かないのでありまして、生産コストを下げる、物をつくる費用が下つて行く、従つて物は下げてもよろしい、企業も成り立つというわけで、国際的には競争力が一層強くなる、こういう形になる。従つてどもは、物価を下げないために金融を締める、むろんそういう方法をとりますが、しかしただ金融を締めるごとによつていたずらに過大な投売りを誘致して、一時物価を下げる、そういう行き方は必ずしも妥当とも思いません。なるべく生産コストを下げる方法従つてそういう見地からやはり金利問題等考えているのでありまして、要は生産コストを下げて、そうして物価を下げる方法をとると同時に、そういうことをやるためにも金融を締めないと――金融をゆるめておいたら甘い気持になつて、そういう生産コストを下げる努力を怠らせるおそれがある。従つてむろん金融も締めて行かなければならない、こういう行き方従つて非常に苦しい状況日本経済が当面するでありましようが、ここでやはり私ども国民としてとくと考えておかなくてはならぬのは、日本経済インフレに持つて行つては、救われる道は絶対にありません。しかし私は、安定経済のもとにおいて国民が苦しんでいる、こういうときにおいては、日本経済は救われる道が多々ある、こういうふうなことであります。従つて日本経済が今後どういう方向に向うべきかは、内外の情勢からして私はきわめて明確であろう、こういうように考えている次第でございます。私の話はそのくらいにして、御質問等によつて……。
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 それでは御質疑がございましたらこれを許します。福田赳夫君。
  5. 福田赳夫

    福田(赳)委員 今総裁からきわめて抽象的、簡単なお話があつたのですが、きようは実はインフレ見通しいかんということについて、総裁から忌憚のない御意見を承ろうというふうに考えておつたのですが、今のお話ではどうもつかみにくい。しかしこれを日本銀行総裁に伺うというのも、私は適切でないかもしれないと思うのです。しかし総裁といたしまして、また日本銀行といたしまして、インフレ問題に関与する部分というのは、これは相当大きなものがある、こういう見地からお伺いしたいのであります。一体下期インフレ説というものが相当広汎に行われておるのです。たとえば政府あるいは与党の中におきましても、もうこれはとても現在の為替レートなんかは維持できない、これは早急に改訂すべしとの有力意見があるようにも聞いておる。またある新聞社論説委員の会合などで伺つたところによると、もう改訂すべきかどうかというような議論につきましては、その段階を越えて、幾らにすべきであるかというような議論から話が始まつておるというようなこともある。ちようど今見えました大蔵省の理財局長も、一昨日この委員会において、一万円札の問題があつて、一万円札の問題につきまして、これはインフレを刺激するのではないか、非常に心配であるというような意味質問がこの委員会において各委員から発せられたわけでありますが、これに対して理財局長は、現在の金融基調はきわめて堅実である、こういうように言うておられる。しかし実際見ますと、巷間においては、為替までかえなければならぬという議論もあるし、またわれわれ身辺のつまりいろいろな問題、衣食住のような問題をとらえてみましても、衣料品値段は最近どんどん上つておる、われわれの住の問題、建築資材のごときも、朝鮮休戦以来、また災害の関係等もありまして非常な勢いで上つておる、あるいは米のやみの値段のごときは、二百二十円もするという話でありますが、われわれの生活資材のほとんどすべてが非常な勢いで、またドツジ政策がとられて以来見られないところの大きな勢いで上つている。当面の問題になつておる政府資金の問題にいたしましても、これはわれわれがこの数年間経験したことのない大規模な政府資金撒布超過が行われる、そういうようなことを考えますと、これは民間で一般にそういうふうな心配をしておることは、あるいは理由なしとして葬り去るわけには行かない、こういうふうに考える。そこで金融の総本山である一萬田総裁にお伺いしたいのですが、一体あなたは率直にこの下期インフレーーまた下期インフレというのはだんだんと尾を引いて、先に先にと前進する問題でもありますが、この当面する国民心配インフレ台頭説に対しましてどういう判断をされておるか、これを率直にひとつこの委員会にお示し願いたい。
  6. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 今の御質問の点につきましては、先ほど簡単な私の話の中に現われておると思つておるのであります。要するにこのインフレ関係において、あるいは日本経済金融上その他の見通し基本になるのは、やはり物価問題にある、今後の物価動向にあるということを先ほど話した。その物価動向について、資金的関係においては、私は確信を持つて物価を上げない方向に行かせる自信を持つておるし、それをやるということも申し上げた。大体それで日本銀行総裁として、今後の見通しはどういうふうになつておるかという御判断ができるだろう、こういうふうに考えるわけです。それから今為替相場というような点について、巷間いろいろ話があるということ、これはどういううわさがあるかは知りませんが、そういううわさを聞くことすら私は適当でないといいますか、意外に感じます。そういう考え方は、すべてイージに、容易に、努力せずして行ごうとしておる。たとえば為替相場の問題を考える場合、あるいは国際収支考える場合に、それを改善し得ないとどうして言い得ましようか。そうして改善をする上において幾多の打たなければならぬ手があると思う、それをはたして打つておりますか。国際収支が悪いと言うが、ごく卑近な例を私わかりやすくとりますが、あの銀座通り高級商店にいかなる商品が並んでおるか。どういう車がこの貧乏国を今一体走りまわつておるか。今食糧問題で米が非常に高いという。一体食糧増産とか、あるいは国民の食生活についていかなる手を打つておりますか。今日人造米もできておる。あれは小麦を使うわけです。私も試食してみたのですが、あれを二割入れれば――今のところは価格関係が必ずしも安いとも言えませんけれども、あれを二割増産したら、今よりも二割の米がふえるということになる。  さらに理研行つてみたのですが、理研合成酒というのがありますが、米を使わずしてお酒ができる。私飲んでみた。これは専門家が飲んでみてもほとんど差異がない。かりに差異があつてもよろしい。この貧乏国食糧という問題と取組んで行かんとする場合は、国民が何も米の酒を飲まぬでもよろしい。合成酒でがまんする。そういうような一切の努力、あるいは覚悟をせずして、ただちよつと国際収支が悪いから為替相場を下げる。あれは何を意味するか、為替相場を下げることによつて、かりに輸出が増大しても、これはこの貧乏の国が自分のものを海外に安く売るということ以外の何物でもない。貧乏なものを、お互い終戦直後にたけのこ生活をいたしました、あの場合に、貧乏な自分の財産を安く売つてその目を暮す。ああいう場合は、少しでも高く売りたいに違いない。私はそういうような考え方では――日本の国の多くの八がそういうことを考えませんことを確信します。だらしのない、思惑的な人間が考えておるのかもしれませんが、もしもそういう考え方が今日日本国民に多いとすれば、日本の前途はもう少し大きな見地から考えなければならぬ。とうていそういうようなことでは行きません。今為替相場を動かしなんかしなくとも、十分輸出を増大するという道はある。まだまだ今日日本輸出にしても、実に完備していない。一体日本貿易商はどういう形にあるか。私どもは始終言うのですが、昔の三井物産にしても、まだ十四や二十にわかれているでしよう。そんな形では国際競争に乗り出せない。まして何百という貿易商があるが、皆弱い。皆ロスをする。こういうことで国際的に競争し得るものではないと私は思う。それですから、こういう点でも、まだ今日日本輸出商品値段を下げ得ない。また下げるごとについて一体具体的政策をどういうふうにとるべきかということを、事実何らか示しておるか。これも私不幸にしてまだ聞いてない。こういうふうな打たなければならぬ手が多々ある。そういうような点についで十分やつて行く。いたずらただ物を安くする、物を負けるような、何でもやすやすとできることに行つてくれないようにお願いしたい。ひとつそれだけ申し上げて、大体お答えなつたかと思うのですが、まだありますればお答えいたします。
  7. 福田赳夫

    福田(赳)委員 私も総裁がただいまおつしやられるように、何とかして金融の秩序、これは経済のもとですから、どうしても守つて行かなければならぬというふうに考えておるのです。それにはただいま総裁がおつしやられるように、いろいろ政策面、また政治面においてなすべきことが多々あるのでありまして、これができないで、そのしわを金融政策に持つて行くということになりますと、これは非常に困難なことではないかと思う。しかしながら今承りますと、総裁資金面においては絶対にインフレは阻止するという非常な御決意を承りまして、私は欣快にたえないのです。しかしそれだけでは、私は国民大衆というものは納得しないと思う。いろいろうわさもある、思惑もある、何かそこに資金面の問題として、総裁がどういう手でむずかしい政治上の弱点を、政治から来るところの悪というか、インフレ資金面へのデフレ政策というか、それで乗り切るという具体的な何かがあられるのではないかと思うのですが、これをひとつきよう国民全体に確信を持つてお示し願えれば幸甚だと思います。
  8. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 どういう政治が行われようとも、私が日本銀行総裁として、それを一切しりをぬぐうことができますればこれほどいいことはないかもしれません。しかしそういうばかげたことが行われ得るものではないのでありまして、金融面からいろいろとできるだけ結末をよくする処置をとりまするが、これも限界があることを知つてもらわなければなりません。かりに次々にインフレ予算を組んで、そうしてお前跡始末をしてインフレにしては相ならぬぞ、こういうことを言つても、そういうことが行われぬことは申すまでもない。これは資金面からはインフレにしないことはしますが、しかしこの限界がある。財政を組まれる場合において、均衡のとれたりつぱな予算を組まれることがまず第一でありますことば申すまでもありません。特に私お願いをしておきたいのは、別に皆さんを責めるわけでも何でもありません。参考人ですから、参考意見としてお聞きを願えばよろしいのですが、どうもイージーな行き方、一例を言いますと、それはそれでいいのですが、そういうこともおやりになるのもいい。たとえば先般三派協定というような、これは今日日本政治を支配しておるに間違いありません。それで造船船主が困る、何とかしなければならぬ、それでやつたことが金利をまける、こういうことです。これは、さしあたつて処置としては必ずしも悪いというのではありませんが、こういうことをやる以上は、それに引続いていかにして船を安くするか、金利をまけるということは、何も船が安くできるわけではない。これは何も造船技術が進んだわけでもないし、造船所を整理したわけでもないし、ただ銀行が当然受くべき金利を受けない、あるいは財政資金として受くべき金利、言いかえれば歳入にあるべき歳入減つたというだけのことだ。何も具体的に船が安く、言いかえればそういう行き方において、日本経済が一歩も前進していない、一歩も改善の跡を示さない。ただその始末が、何とか船主の経理を幾らかよくしてあげたというにすぎない。日本経済から見る場合には前進をしていない。こういうことが、やはり行き方が甘い。しかし時と場合において、そういうことも私は必要と思う。それを否定するわけではない。それであのこと自体についてかれこれ私は申すわけじやない。けれども同時にこういう場合は、すぐあとをおつかけて――それだけの犠牲を払うならば、すぐあとをおつかけて、いかにすれば具体的に日本の船が安くできるか、いかにすれば鉄が安くなるか、いかにすれば造船技術の上においてどうなるか、すべて   の造船所一体このままにしておいていいのか、悪いのか、こういうことが政策としてすぐおつかけて出て来ないと、日本経済というものは、結局どこもここもどうにもならなくなる。今度は資金面においても、ただ金利をまけるばかりで、これは長く続くものじやない。財政資金においてそういうものに使い得る資金は、どこかにそう無尽蔵にあるものじやない。ですからそういう意味において、私は生産コストを下げる意味において、今日金利を下げることに格段の努力を払つておるのでありますが、しかしイージーな行き方――ちよつと元を処理しなければならぬ。たとえば体にある毒をとることは忘れておつて毒は毒にそのままにして、何ら根本的にメスを入れず、おできができると、そのおできの頭に膏薬を張つてつたり、そうすればちよつと痛みはとまります。とまりますが、すぐにこれがまた吹き出て来る。決してからだ全体が健康体にならない。こういうことのないように、ただ私は参考人として具体的な例をとつて、あるいは当を得なかつたかもしれませんが、わかりやすいために、頭に浮かんだままを申し上げたが、もしもこれが悪ければいつでも今の例は取消してよろしゆうございます。
  9. 有田二郎

    有田(二)委員 今総裁から船価の問題が出ましたが、私も同感であつて、今度は開銀の小林中さんが非常に努力されて、大体私は二十億円程度全体の船価が下つた考えておりますが、これに対してもやはり運輸省側努力が足りないことと、造船所側努力なり、あるいは船主側努力というものは今まで足りなかつた。私は今度の小林中君のこの方面に対する努力は非常にけつこうで、今までの人では、私はとうてい今総裁の言われた通りに、船価の引下げということはむずかしいと考えておつたのでありますが、とにかく私は、全体的に日本そういつた生産者価格を引下げて行くという以外には、日本インフレを防止する道はないと思うのであります。そこで私が総裁にお尋ねいたしたいと思うことは、第一線銀行の問題であります。私先般大蔵委員会から近畿四国国政調査に参りましても、やはり税金の面から見ましても納税に対する銀行側の協力が乏しい。特にどうしたら脱税ができるか、どうしたら税金をうまくごまかすことができるかという相談相手銀行屋である。こういう点が私が国政調査をしました結果痛感した一点であります。  さらに最近の問題としましては、白木屋の問題であります。白木屋の株について、株を買う側にも銀行が、バツクしておる。さらにまた白木屋の社長さん側にもこれまた銀行がバツクしておる。銀行がそういつたもののバツクをしておるので、いろんな事件を起して来ておるというような例もあるのであります。ただいま銀行局検査部において、これらの検査を厳重にやつておられるそうでありますから、まことに私はけつこうだと思うのでありまするが、どうかひとつ、少くとも三千六百億という厖大なオーバーローンが行われている現段階におきまして、少くとも銀行方々は、日銀の金は即国民の金であります。この国民の金を銀行日本銀行を通じて今日貸し出しております上においては、その使用方法については、ぜひとも私は国策の線に沿うのみならず、現状インフレについて、ただいま日銀総裁は非常な努力をなさるとおつしやつておられまするが、日銀総裁努力だけでは私はとうてい不可能であると思う。もちろんただいまお話がありました通りに、国会においても、政府においても、この点についてインフレ抑制にあらゆる施策を施して努力をいたさなければならぬことはもちろんでありますが、第一線銀行におかれても、今日のオーバーローン状態から見て、少くとも国民から非難を受けないようにされる必要があると私は思うのでありまするが、さらにまた先般、大分前のことでありまするが、貿易公団の早船問題にしましても、その陰に銀行があつたのであります。従つて銀行というものがみずからよく反省をして、単なるお互い預金競争、その他の競争にうき身をやつさないで、今日の日本の置かれた状態、あるいは日本の今日のインフレに対する対策その他をあわせてお考え願つて日銀総裁と同じような気持になつて、各銀行の末端まで、このインフレ抑制に協力されるべきだと私は思うのでありまするが、総裁の御所見を承りたいと思います。
  10. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 まつた同感で、非常に激励を受けました。私は厚く御礼を申しておきます。
  11. 千葉三郎

  12. 大上司

    大上委員 この際、時間がもうあまりありませんので、要約して一、二点お尋ねします。  ただいま最初の御説明なりあるいは各委員質問に対してのお答えで、総裁予算編成の点に触れておられましたが、終戦補給金政策がとられたのが、この二十八年度予算で初めて顔を出したようなことでございます。そこで昭和二十九年度においても、次の予算編成におきましても、こういうふうなものが非常に出て参りますと、まつた総裁と同じく、いわゆる船舶の利子補給の問題についても、われわれは同感でございます。従つてこの問題について補給金政策はどうすべきであるか、あるいはどういう科目はどの程度が必要であるか。あまり詳しくはおわかりでないと思いますが、この点についてひとつお尋ねしたいと思います。  第二点は、経済界もあるいは産業界も、終戦後大体平常に服したというか、正常にもどつて来た。ところが日本銀行におけるところの公定割引歩合というものがあります。そこでこれはもちろんオーバーローンの最大の原因であろうとは思いまするが、これは抑制するために、あなたの方におきましては高率適用なるものを持つております。ところがこれを根本的に改めなさる意思があるかないか、まずこういう二点をお尋ねします。
  13. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 第一点は補給金の問題の話ですが、これは私個人としては意見もありますが、補給金に関することについては、大蔵大臣通産大臣意見をお聞きなさる方がいいのじやないかと私は思います。私たち立場としては、日本経済を健全にやつて行くという立場であります。言いかえればなるべくそういうささえなくして、いかにして行くか、そういうことが私たち考えておる正道であります。しかし日本の置かれておる、あるいは日本の特殊的な事情から何とか考えなくてはならぬという面もあるかもしれません。これはどちらかというと、大蔵大臣通産大臣が考うべき事柄だと思つております。また補給金にまで日本銀行総裁がおしやべりをするということは、やはり過ぎたるは及ばざるがごとしの類であると思うのでありまして、これは個人的にはまた述べる機会もありましよう。  それからもう一つ日本銀行公定歩合の問題である。これは御承知のように、日本銀行公定歩合普通金利よりも高い、中央銀行金利市中銀行金利よりも高い、従つて日本銀行に金を借りれば市中銀行はもうけがない。こういうふうな形が公定歩合のあるべき姿であります。これは間違いない。ところが日本現状におきましては、相当長く、日本銀行公定歩合市中金利よりも安い。言いかえれば日本銀行から金を借りるごとによつて――そういうことは銀行は心がけておりませんよ。銀行はそういう意思はないのですが、結果としてやはり日本銀行から金を借りた場合に、そこで自分たち金利よりも安い結果利益も上る、こういうようなこと旭もなつております。これはその関係だけをとれば合理的であります。ただ問題は、今日大戦をやつて、こういうふうに荒廃して、すぶての家も、衣服も、資本も、その他の資金も何もかもふつ飛んで、国民だけが八千五百万ある。こういうものがある程度の生活で生きるためには、一体どうするかということ。全体の経済関係において、まだ資本もできない、ふつ飛んだ。そこでこういう場合においては、どうしてもまずある程度資金日本銀行から出すということが要請される。それなくしては日本経済は運行ができない。いい悪いは別です。そういうことに戦争の結果なつてしまつた。そういうふうな場合において、日本銀行金利市中銀行よりも高くして、日本銀行に借りに来るべからず、なるべく借りるな、借りるなというのが、すでに矛盾がある。だから日本銀行としては、そういう場合にある程度金利を上げずして、そうしてその金を日本経済にお使いになつて、早く日本経済が活動を大きくして、だんだん自己の力で資本の蓄積を始め、資本の蓄積ができて、それに応じて日本銀行金利市中銀行金利の開きをだんだん狭めて行く。そうして行くためには、日本銀行金利市中銀行金利よりも高いところに持つて行く。そういう過程であるが、中央銀行公定歩合は、国の経済運行の大きな灯台、目印であります。これがしばしば変更されるのではなかなか日本経済がやつて行けない。そこでそういう大きな目標はその目的を達するまですえ置いて、それをいかに調整するか、その調整弁がいわゆる高率適用であります。だから公定歩合はそのままにしておるが、高率適用ということをそこに置いて、そうして資本蓄積の状況資金の需給関係等を勘案して、日本銀行公定歩合市中銀行金利の差をこの高率適用でだんだん狭めて行くという役割を果して行く。従つてそういう状態は今日なお解消しておりません。今日の状況では、まだまだ資本の蓄積は今からこそ始まろうとしておるのです。大体財政は、昨年度においてもいろいろと議論がありましたが、結果においては、やはり二百億以上の引揚げ超過に終つておる。そういうふうに財政を引締めても、民間資本の蓄積というものが容易でない。今度の財政の払いによつて物価が上らないことに努力して行けば、この払い超は銀行の預金に当然なる。こういうふうにして銀行等の資金量もふえて行く傾向を今持ちつつある。これをうまくやつて行けば、まだ市中銀行金利は、預金量がふえ、資金量さえふえれば、金利は下る。ですから、今の公定歩合を、私の方は低いが今のままにして、市中銀行金利の方を下げて行くようにして、ある一定のところであべこべになるというふうに持つて行きたい。そういう過程でありますから、今お話のように、これを根本的にかえる意思があるかという点については、私はその意思は今持つておりません。まあ改善して行く、こういうふうな考え方であります。
  14. 春日一幸

    ○春日委員 ただいま総裁の御意見によりますと、日本経済の明暗は、一にかかつて物価のことにかかつておる、こういうことでございます。そこで物価の騰貴をあらゆる手段を尽して押えなければならぬ。インフレーシヨンの抑圧策が金融財政、いろいろな面を通じて考えられなければならない段階に立ち至つておると思うのであります。現実に千三百億の散布超過を見越しまして、やがて下半期にインフレーシヨンが来るであろう、こういう見通し経済界に立てられて、現に繊維業界をトップといたしまして、そういう方向へすでにスタートが切られているように私どもは思うのであります。そこでそれに対する日銀政策委を通じてどういうような施策が行われるかということは、われわれはもとより、国民全般の大きな重大関心事であろうと思うのであります。そこでただいま総裁は、これを抑圧するためには、一応その金融を引締めなければならぬことが考えられるが、しかしこのことは、やはり金融難から企業が手持ちストックをダンピングする。そうしてその企業自体を破綻に瀕せしめるおそれがあるので、金融の引締めは今日はなすべきではないと思う、こういうような御意見が述べられたと思います。そこでそれじやどうするかということになりますと、総裁の御意見としては、コストが自然的な形において次第に安くなつて来るような政策考えているという御意見でございます。コストが自然な形において下つて来るということは、もとより最も願わしいことでありますけれども、そのことはずつと以前からあなたを初め、日本政府も、また国会もその点はずいぶん精力的な努力を重ねて参りましたが、そういう結果は現われて参りませんし、さらにまた画期的な政策もなかなか考え及ばないというところにあろうと思うのであります。私があなたにお伺いをしたいことは、そのコスト高、これが自然の形においてコストの切下げに向いて来るような政策というものは、一体日銀政策委を通じてどういうようなものを考えておられるのであるか、このことをひとつお伺いをいたしたいと思うのであります。  それからもう一つは、もとより日本経済を安定せしめるためには、外貨勘定の問題も大きな條件の一つになろうと思う。そこでただいま御指摘になつたように、アメリカから高級自動車を買い、あるいは高級飲料を買つたり、衣料を買つたわ、こういうぜいたく輸入をしつつ、なおかつわれわれの経済安定をはかるというようなことは、まことに笑止千万だというような御批判があつたのであります。こういうようなぜいたく品の輸入ということ、あるいは外貨勘定に関連して、私は一萬田総裁の御意見も、当然通産行政の中に発言権があるべきはずだつたと思う。それはあなたが一半の責任を負われるべき問題であつて、あなたが批判的にそういう問題を述べられるべきではなくして、そういうような現象は、やはりあなたの力とあなたの職責を通じて抑制されなければならない問題ではなかつたかと思うのでありますが、こういうような問題についてどういう考えをお持ちになつているか、さらにまた将来に対してどういう御抱負をお持ちであるか、あわせてこの二点について答弁をいただきたい。
  15. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 第一点は、物価を下げる、それには生産コストを下げることから行く。それには一体金融的にどう考えるかという御質問でありますが、これについては、私の立場は、ただいたずらに全般的に金融を締めてもいけないというの私の考えであります。いる金は出す。しかしいらぬ金は出さない。いる金は金利も安くしてやる。こういうのが基調になつて、総体的に、総なめに単に金融を引締めるという行き方は、私は適当でなかろう、こういうふうに考える。ほんとうを言うと、正統的にといいますか、オーソドツクスな考えでごく端的に言うと、インフレインフレ――少し最近は無用につまらぬごとを言つておるようですが、そういうふうな行き方のときには、金利も上げる、資金もタイトにするというのが一つ行き方だ。しかしこれはごく普通のときの型で、まだ日本経済が弱いときには、そういうふうな行き方は必ずしも日本経済を育成するゆえんではないという見地に、私は立つておるのであります。また育成すべきところは育成する、押えるべきところは押える。押えるべきところはうんと金利も安くせぬでよろしい、金利は高くしてよろしい、金も締める。しかしいるところは、どうしても日本の国のためにいるんだから、この金は確保して金利も安くする。そういうふうに、金利から生産コストを下げることに努力するというのが具体的の行き方である。  それからもう一つの外貨の使い方についての御質問もありましたが、今のお話はごもつともでありまして、事実またそういうふうになつております。あの外貨の使用につきましては、閣僚審議会というものがありまして、日本銀行総裁もすでにアドヴアイザーとして出席して、十分自己の意見を述べることになつております。ただこれは最近そうなつたので、従来は日本銀行総裁にかわりまして、為替を専門に扱つておりました為替委員会ですか、その委員長をしておつた木内君がその場合は出ておつたのであります。こういう形でおつたのです。しかしああいうふうな制度がやまつたのですが、ああいう行き方はほんとうをいうと、適当でないと私も当時思つてつた。この金融全体を――金融全体ということは、ある意味において。日本経済の全体の立場に立つて、総合的かつ締めくくりをする立場にあるのがやはり金融です。その一番中心といいますか、もとになる日本銀行ですから、日本経済については非常に大きな責任と、また影響を待つものでございます。従つてああいうふうな経済機構には、日本銀行総裁というものがだれであろうと、日本銀行総裁としてやはり少くともアドヴアイザー的に意見を述べる、意見を聞いてもらう機会を与えられることは、ひとり外国為替に限らず、望ましいことである、私はこういうふうに考えております。
  16. 春日一幸

    ○春日委員 もう一点、そこで私どもが与えられますことは、コストの引下げに役立つであろうところの一切の施策は、とにもかくにもこれは実現を急いで行かなければならぬ、それでなければ、日本経済が大きく破綻する寸前にあるように、お互いがこれを憂えておるのであります。本日の新聞の報道によりますと、中共貿易の促進のために、国会初め財界代表二十五名が近く中共に渡ることが報道されておるのでありますが、このことは、第十六国会の衆参両院において中共貿易促進のために議員が行くことも決定いたしております。そこで私ども日本のコスト高を切下げるためには、まず基礎物資をできるだけ安く入手する、このことをまず考えなければならぬのであつて、製鉄に関する粘結炭のことも考えられましようし、また化学工業のための工業塩の格安入手の問題も考えられましよう。あるいは硫安工業に見合うところの豆かすに関連する豆類の輸入ということ、いずれにしてもただ中共に買つてくれということばかりでなく、われわれが工業化するところのそういう基礎物資を中共からできるだけ有利な條件で輸入するということは、日本のコスト高を切下げて行く経済安定に持つて行くことのために避けることのできない重要な問題であろうと私は思うのであります。そこで、あなたは政府に対してはアドヴアイザーとしていろいろ能力をお持ちになつておると思うのでありますが、こういう中共貿易がまさにこういうようなプロセスを経てここに実現をしようとしておるのでありますが、日銀総裁としてこれに対してどういう抱負、お考えをお持ちになつておるか、この機会にひとつ御腹臓のない御意見をお示しおき願いたいと思います。
  17. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 私の理解が足らないかもしれませんが、私の理解するところでは共産の国はどうも政治ということが経済よりも優位のように私は理解しておる。従いまして、何さま共産国との関係においては政治上の問題、政治というものが解決を見ないと、そう経済々々というわけにも行かないかのように私は考えております。従いまして、政治上のことについて私まつたく門外漢でございましてわかりませんので、経済上どういうことまでというということも言いかねると私は考えております。
  18. 千葉三郎

    千葉委員長 春日君、大分約束の時間が過ぎたんですが、どうですか。
  19. 春日一幸

    ○春日委員 それではよろしゆうございます。
  20. 千葉三郎

    千葉委員長 最後に井上君にお願いします。
  21. 井上良二

    ○井上委員 ごく簡単に、具体的に伺いたいのですが、物価を引下げ、できるだけインフレを抑制する、そのために日本銀行としても必要な金融政策をとりたい、こういうお話でございますが、世上伝えられるインフレヘの傾向に対して、これが何かことにせんためのインフレヘの議論のように今お話なつたように伺つております。現実にわが国の財政状態見通します場合、御存じの通り、約九千億余りの予算がその七割というものは九月から三月末までに使われる金であり、それとMSAの受入れという問題がここにある、そこへあなたの指揮下にあります各銀行の貸出し内容を調査をいたしてみますと、その二十七、八パーセントは設備その他生産施設の拡充に使われておりますけれども、あとの約七十五、六パーセントという貸出しはいずれもが滞貨を中心とする運転資金であります。この三つの事実を思い合せて考えるときに、この年末から来年へかけて、御存じの通り、電報、電話料金の値上げ、消費米価の引上げ、さらに電力料金の引上げの予想、そういうものが重なり合つて来て、インフレヘの傾向は必至であると見るのは、これは妥当な常識論でないかと私は見ている。それがそうならぬという見通しはあなたはどう説明されますか、これをひとつ明確にされたい。  それから、もちろんあなたに対してインフレ抑制への具体的な対策を要望するということは、金融という一つのわく内において操作をする立場におり事から、非常に無理な話でありますけれども、その金融操作がインフレヘの非常に大きな拍車になることは当然でありますから、従つてあなたの金融政策というものに対して打つ手が、これに対する大きな抑制になつて行くという見地から、お忙しい中をわざわざおいでを願つているわけであります。そこで、あなたには一応権限の限度はございますけれども、さて金融によるインフレヘの抑制を具体的にやろうとすれば、たとえば現実に三千六百億からオーバーローンになつているこの事実をあなたは何と見るか、一体どうしてこれを食いとめようとするか、具体的にどういう対策を持つているか。さらに現実に貨出しの内容が、市中銀行を中心にして、いずれも設備生産施設の拡充の方面に持つて行かずに、滞貨を中心にした運転資金に多くの金が使われておるというこの事実をどう抑制しようとするか。そういう具体的な問題に対して、国民がなるほど金融政策においてもこういう具体的な政策が打たれるということであれば、国民インフレヘの大きな不安を除去することができましよう。そういう具体的なことについて御説明を願いませんと、われわれは納得ができないのでありますが、その点どうお考えでありますか。
  22. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 日本経済インフレになる原因を持たぬ、要因を持たぬ、ただそれぞれ人がかれこれ言うている、そんなことは何も言うていやしない。要因があるからこそいろいろ心配をして、いろいろと妻打つている。ただそういう事態にある場合に、火事場みたいに、やじうまが出てわいわい言わぬ皆もいいじやないかということだと思う。火事を消す場合でも、やじうまが出てわいわい言えば、消防のポンプがなかなか行かない、火が消えない、そういう不利がある、こういうことを言つておる。インフレというものは、心理的な点が相当大きいということを考慮してもらわなければなりません。  それから具体的なことは相当申したつもりでありますが、さつき言うた、いる金は大いにそちらにまわす。それから全般的に物価を上げぬためには、金利も安くする。生産コストを下げる努力をするためには、日本銀行にやすやすと来ては悪いから、高率適用も御承知のように相当強いものを十月一日から実施する。それによつて状況を見て、さらに必要があればいろいろとまた金融政策の上に打つ手があるのでありますが、あまり先走つて、客観情勢の変化を見ずして、ある想定をもつていろいろと私がおしやべりすることは、かえつて経済にいろいろと無用な変動や臆測を生ぜしむるおそれがある。私はこういう事態の場合には、ああもしたい、ああもしよという案を持つてつても、やはりこれを発表するにおのずから時期があるのでありまして、そういう点はひとつごしんしやくを願いたいと思います。
  23. 井上良二

    ○井上委員 かんじんな点については、非常に及ぼす影響が大きいから、この国会の席を通しては発表できない、こういう御主張のようでございますが、わざわざ休会中に国会が本委員会を開いておりますのは、当面するインフレ問題に対して政府及び日銀はどういう対策を持つておるか。またわれわれも、できるだけこの問題に対しては真剣に、インフレ防止についての具体的な政策政府にお考えを願わなければならぬということで、この委員会は開かれておるのであります。あなたは、何かインフレの問題が世上に伝わると、何もわけのわからぬしろうとがこの問題にわいわい言つて余計な輿論を沸騰さしておる。それは失敬な議論です。実際あなたは失敬ですよ。インフレが起つたら、この犠牲はだれが一番受けるのですか。少数のお金持や物を持つた人は、インフレによつて利益を得てますます巨大な資本を積み上げて行くかわかりませんけれども、全体の大衆は、このために大きな生活の不安と深刻な打撃を受けるのです。だがゆえに、インフレに対する対策について真剣な意見を聞こうとするのはあたりまえです。インフレになるから何とかひとつ考えてくれ。何とかこれに対する対策はないか。みなが心配をするがゆえに、この問題が世上に取上げられておるのであります。それを、わいわい言うというような軽率に言葉を使つてもらつては困りますよ。あなたともあろうものがそんなことを言つてはたいへんだ。そこで私が今お伺いしているのは、さしあたりあなたのやられておるオーバー・ロンに対する具体的な対策をどうするのですか。具体的に、滞貨を中心にした運転資金の貸付が貸出しの八割に近いものになつている。一体こいう不純な貸出しの方法に対して、日銀として今後の貸付については相当牽制を加えて行くという手を打つべきではありませんか。そうしてあなたが生産拡充なり技術の向上なりについて心要な資金は低利で貸して行く、そうして物価を下げて行く、同時とそれがインフレ防止の大きな手である。こういう線を強硬に打出すことが、金融政策としても私は当然とらなければならぬことであろうと思う。同時に、あなたの仕事を助けておりますところの日銀政策委員会というものがあるそうですが、この委員会インフレ対策に対する活発な活動を私は切に希望したいのですが、それに対するあなたの御所見も伺いたい。
  24. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 あるいは私の言葉使いが悪かつたために、無用の刺激をしたようで、はなはだ恐縮に存じております。決してそういう意味ではないのでありまして、むしろあなた様のおつしやる通り、私は同感の意を表しているのである。おつしやる通りに今後努力して行こう、こういうふうに考えているわけでありまして、決してこのインフレ問題の論議について言つているんじやない。私の言うのは、こいうような場所でまじめに一生懸命考えてくださることはけつこうなんです。大いに論議してよろしい、またすべきなんだ。ただしかし、市井でいろいろとこれをやつても、病人のまくら元であまり言つても、また病人の神経を高ぶらせることになりますので、そういうような意味合いで、ごく軽い意味ですから、そうお怒りにならず、ひとつ……。
  25. 井上良二

    ○井上委員 私がさいぜん質問しました点につきまして、ひとつお答え願いたい。たとえばオーバ―・ローンの問題、それからいわゆる滞貨を中心にする運転資金の貸付の問題、これなんかは当然あなたの方でやれる政策であります。それに対して具体的にお答えを願いたい。
  26. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 オーバーローンの問題、これは長い問題である。けれどもオーバーローンということを考える場合においては、これまた抽象的に考えては困る。日本という国が今日一体どういう状況にあるか、今日は貨幣経済である。日本の国の経済の実態というものが、こういう貨幣経済の上に現れている。日本の国の力というものは、オーバーローンをやむを得ないとしている国の力である。その国の根本に触れずして、ただ形式的にオーバーローンを形の上にとらわれて直すというようなことは、容易にできるものではない。またそう心配することはない。これは日本が勃興期に入つた明治において、資本の蓄積の乏しかつたときにこういう関係があつたということをごらんくださることによつても、ある程度理解ができるのであります。あるいはまたアメリカのごく初めの、独立以後においての資本蓄積のなかつた当時を考え、こういう大きな仕事をして、それが失敗するか、あるいは国が初めて生れるか、そういうようなあとにおいては、どうしてもある一定期間こういうことはやむを得ない。これを解消する道は、一に国民がその国情に応じたよな生活態様において、働いて蓄積する、そうして資本蓄積を増大することによつてこれを解決して行く以外には手がない。これは話が抽象的であるようでありますけれども、何ぼ繰返しても、こういう手しかない。こういう資金というものは無から有を生じない。これは働いて、いわゆる労働というものを加えて、そうしてそれをセーヴして行くという以外に絶対に手はない。そういうことを容易ならしめるような施策をみんなでやつて行くという以外に、オーバーローンの解消はない。一時解消する道はあるかもしれません。それはいろいろな道具を使つて一時解消する、しかしそれはすぐまたオーバーローンになる。それは根本が改まらない限りにおいては、必ずなる。やはりこれは国の本を正して、オーバーローンを必要としないように持つて行く、そこを忘れることがいかぬ。各般のことについて私の心配することは、どうもそういう点を忘れがちである。そうしてやすきにつく、形を整える、こういうことでは、なかなか日本経済も今後困難を増すのではないかと心配しているわけであります。
  27. 千葉三郎

    千葉委員長 日銀総裁に対する質疑はこの程度にしていただきまして、また中山政策委員も佐々木営業局長もおられるのですから、そちらの方にお願いして、約束の時間を三十分経過していますから、日銀総裁はこの程度にお願いしたいと思います。  次に緒方副総理に対する御質疑を願いたい。緒方副総理は、水害対策委員会の方でも早く来てくれということを大分言つておられますので、そういうお含みのもとに緒方副総理に御質問を願いたいと思います。
  28. 春日一幸

    ○春日委員 今朝来一萬田総裁金融に対するいろいろな御意見を承つておるのでありますが、これは私ども財政金融の国策を樹立する参考には全然なりはしないと思う。ただいま井上委員質問に対しまして、これはインフレーシヨンのあらしの進路にわれわれが位置しておるので、これを食いとめるための貝体的施策いかんということでいろいろみな心配しておる。それに対して、まるでがやがややじうまのようなことを言つてもらつたつてこれは言語同断だ。さらに私どもの主張するコストの切下げのための中共から原材料を輸入する方途いかん、これに対してどういう見解をお持ちであるか、私は政治はしろうとである、だから一向そういうことはわからないというようなこと、少くとも日本日銀総裁が内外の政治情勢をも何もわきまえないで、この日本金融行政をつかさどつておるということはまこに寒心にたえない。私はこういうような考え方や、あるいは財界や政界において一萬田法皇なんといつて奉るものだから増長してしまつておるのではないかと思うが、私は今後こういうような考え方を持つ日銀総裁国民経済の根幹をなすところの日銀を預けておくことについて非常に寒心にたえない。しかるべき機会においてこれの免職のための措置を講じなければならぬと思うのですが、私はそこで政策委員長がお見えになつておるのでお伺いをいたします。この問題は先般の大蔵委員会において、私どもから主張いたしたことでありますが、現在の日銀政策委員会の中には、中小企業者の代表あるいはまた勤労者の代表、こいうものが加わつておりません。すなわち政府の代表とか大企業、大金融家、そういう人たちばかりでこれが構成されております。従いまして日銀というものは、国民の共有の機関である。この日本銀行金融政策の影響を受けるものは中小企業者、勤労大衆を含めた全国民であります。この機関の運営方針の根本を議するところの政策委員会に中小企業者の代表、勤労者の代表が加わつていないということが、すなわち今日大企業偏重のこの金融政策におぼれて来た大きな原因の一つであろうと私は思います。従いまして、私は先般もしかるべき機会において、この日銀政策委員会の中に中小企業者の代表、勤労者の代表を加えよということを主張いたしまして、当時小笠原大臣から考慮の約束を得ておるのでありますが、その後この問題は政策委員会においてどういうような審議を経ておるのであるか。さらにまた緒方副総理はこの問題についてどういうお考えをお持ちであるか。この機会にあわせて伺つておきたいと思うのであります。  そもそも現在の中小企業というものに対する融資が大企業に対比いたしまして非常に低い。いろいろなデータで調査いたしてみますと、千万円を限度とする融資、こんな大きな融資を中小企業融資と見ても、なおかつそれは三〇%程度しかないといわれておる。すなわち七〇%が大企業に行き、三〇%が中小企業。こういうようなことは、やはり日銀政策を通じて適切な是正がされて行かなければならぬと思つておるわけであります。そのことのためには、やはり政策委員会の中にそういう直接利害を受けるものの代表を加えて、公平な方針を樹立して行かなければならぬと思うのでありますが、緒方副総理はこれに対していかにお考えになつておるのでありましようか。さらにまた政策委員長は、さきの委員会におけるわれわれ委員のこの要望に対して、どのような検討を進めておるのか。その経過の概要について御答弁を願いたい。
  29. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 今の春日君からの御質問の点は、私大蔵大臣の渡米中の臨時代理で、小笠原大臣が出発にあたりまして、そういう問題につきまして十分連絡しておりません。それで今お話の中に、十分考慮するという大臣の話があつたそうでございますが、これは私からかつて意見を申し上げぬ方がいいと思います。やはり考慮してきめるべきものだと考えております。
  30. 春日一幸

    ○春日委員 副総理としていかにお考えでありますか。御答弁を承りたい。
  31. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 副総理としては申し上げられません。
  32. 中山均

    中山参考人 私は中山均と申します。ただいまの御質問では、委員長舌あるかのような誤認があつたのでありますが、委員長は今の一萬田総裁であつて、私は一委員にすぎません。そういう見解から申し上げます。
  33. 春日一幸

    ○春日委員 責任者が出て答弁してください。
  34. 中山均

    中山参考人 責任者は委員長の一萬田総裁でございます。
  35. 春日一幸

    ○春日委員 それでは総裁にかわつて答弁してください。
  36. 中山均

    中山参考人 かわつては言いませんが、私は元来地方に長くおりまして、地方銀行を四十二年ばかり経営しております。今あなた様のお話のような点についての中小企業に対しましては、おそらく委員の中では、私が一番詳しい人間だと自任しております。そういう点から見まして、なお商工中金へも毎月参りますし、あるいは中小企業庁長官とも毎月会いますし、いろいろ施策考えつつありますが、むろん金ですべてを解決するという考え方は重要性が少いと思います。むしろ中小企業者そのものが今までのよな形でなくて、もう一段合理的におやりになることをお願いでして、そうしてそれに対して金をつけて行く、こいう方向でお進みになつた方が将来よくはないか、そう意味で、むろん私どもは何も今の委員会へ中小企業者の代表とか勤労者の代表が入ることがいいとか悪いとか、ぜひそうしたいという考え方はございません。といいますのは、今の代表でもそれぞれの代表がありまして、意見の一致が困難なことがたくさんあります。それは大きな意味で国全体の金融を思つておりますれば、当然一致すべきものでもありましようけれども、それでも、代表はやはりそれぞれの形を持つておる、そういう意味でありまして、今御指摘のよな一、二のものが入つたからどうごということはありませんけれども、あまり多数になることは、委員会としてはかえつて能率が下りはせぬかということも心配しております。決してあなたの説に私は反対しておりませんが、あまり多いことはどうか、こう考えております。
  37. 千葉三郎

    千葉委員長 春日君、なるべく緒方国務大臣の方に質疑してください。
  38. 春日一幸

    ○春日委員 ではそれでいいにしても、一体あなたは別に通産大臣でもないのだし、中小企業庁長官でもないのだから、私は金融問題としてお尋ねしておるのです。金融問題以外に中小企業者の生きる道がありといたしまして、それはあなたの所管事項ではありませんから、いらぬことをおつしやらぬようにお願いしたい。私があなたに申し上げておるのは、中小企業者が金融梗塞で悩んでおるのだから、日銀金融政策を通じて、彼らの苦境を打開しなければならぬ。従つて業者の代表がその運営の中に加わつて基本政策を樹立するために参画すべきである、こういう主張をしておるわけです。しかるにあなたの御答弁によると、あなたは中小企業者のこの困難を打開するのは金融ばかりじやない、ほかのこともいろいろあるのだと言われるが、そんなことはいらぬことだ。それはほかの委員会でわれわれの職責において行つて行くことだから、あなたの方では検討を進めてもらいたい。そこであなたに申し上げることは、あなたはいろいろ代表を兼ねておられるそうであるけれども、中小企業者の代表としてあなたはどういう資格、肩書を持つておられる。あなたがそういう立場におられないことは明白だ。だから私は中小企業者の純然たる機関代表を加えることによつて、全般的にそういう意見日銀政策の中に反映するような措置を講ぜられたい。このことを主張しておる。あなたに腹案も見識もなかつたら答弁される必要はない。いらんことをおつしやらぬよう御注意申し上げます。
  39. 井上良二

    ○井上委員 緒方臨時大蔵大臣に伺うのです。目下政府では例の補正予算を組んで、来るべき臨時国会に提案する準備を進められ、かつ次年度予算についても、各省からいろいろ要求額についての打合せがされておるという話でありますが、新聞の伝うるところによりますと、補正予算の限度は大体一兆円以内で全体のわくを押えたい。つまり本年度予算と補正予算の分は、従つてたかだか三百五十億以内にとどめたい、こういうことらしいのですが、それではたして現実の事態の要請がつじつまの合うことになりますかどうか。これは単に大蔵大臣というよりも、副総理としても、やはり国全体の財政経済見地から、これを一体どう処理しよう考とえておられるか。現実にあなたの御視察を願つて、その災害のいかに深刻なるかを経験されたことと思いますが、あの災害の復旧にいたしましても、さしあたり当面必要とする所要額は、相当莫大な額に達するのではないか。それだけでも、三百億やそこらの金では、とうてい当面の要求にはおよそ遠いものがある。そうすると、その他の補正の要求というものは全部抹殺をしなければならぬことになるが、一体この間をどう調整しようとするか、それは大蔵大臣が帰つて来なければ、臨時大蔵大臣ではどうにもならぬと申されますか。そうすると大蔵大臣が帰るまでは、その問題には触れずにおりますか。これは当面の問題でございますから、この点について明確な御答弁を願うとともに、さらにそういう具体的な財源の捻出の問題にからみまして、かつて前国会に、義務教育の半額負担のあの法案を修正いたしまして、富裕府県には半額負担をとりやめる、こういう法律を無視した修正法案が出て参りました。これは国会の全体の意向によつて審議未了になつた。ところが再び補正予算で新しくそういうことを考えなければならぬではないかということで、大蔵省首脳部の方において相談がされておる、こういう話ですが、さようなことにとりはからいつつありますか。さようなことは全然ないと言明できますか。この二つをまず御答弁を願いたいと思います。
  40. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 補正予算編成に際しまして、また次の二十九年度の予算編成につきまして、各省からどういう新規な要求が出ておるかということにつきまして、まだ私のところまで数字が参つておりません。予算の総額といたしましては、実は小笠原大臣がアメリカに参りまする前に、何とかして一兆のわくで食いとめたいという希望を申して参りましたけれども、まだそれは閣議にも上したわけではないのでありまして、今お話のように、おそらくいろいろやむを得ない新規要求というものもありましようし、私が関係しておりまする点でも、例の災害復旧の問題に、相当な巨額に上る経費がいるのではないかと考えるのであります。私のただ私見ですけれども、そういう一兆で押えるかどうかということは、非常に困難な問題と思いますが、ただ私は逃げるわけではありませんが、小笠原大臣が、そういう相当強い意見を持つておりまするので、私が留守中にそのわくを割つてもいいような感じを与えることはもちろん言うわけに参りませんし、非常な困難であろうということは予想しておりますが、今の方針といたしましては一兆のわくで参りたい、かように考えております。  それから義務教育半額負担、富裕県に対する金の問題につきましては、今どうするかということについては研究中であります。
  41. 井上良二

    ○井上委員 もう一点、さきに一萬田日銀総裁を中心にして、当面のインフレ対策に対する金融面からの抑制についての意見を伺つたのでありますが、問題は、金融面だけでは絶対の効果というものは十分発揮できない。国全体の財政政策が、その方向への強力な手を打たなければいかぬ、こういう話であります。これは当然のことでありますが、そうなりますと、政府の方では現在のわが国の当面しておりますインフレヘの一つの要素を、どう一体具体的に除去しようとするか。たとえば政府財政支出について、ある一定の散布を食いとめると言うてはおかしいのですが、それは国民経済、産業全体の動きとにらみ合して、政府財政支出には一定の抑制を加えて行く、こういうことが強力に行われることが一つであり、いま一つは、電力料金の引上げでありますとか、あるいはまた単価の値上りでありますとか、あるいはまた米価、特に消費米価の引上げでありますとか、それがまたはねかえつて、賃金ベースの改訂等に問題が及んで参りまして、全体の物価を引上げる情勢になりつつありますが、これらに落して一体政府はどういう具体的な対策をもつて臨まうとするか。たとえば具体的に、先般九つの配電会社の社長が東京に集まりまして、電力料金はこの冬に向つては引上げなければいかぬということを決定をいたして、政府にそれぞれの要請をするようでございますが、これに対して政府は、絶対電力料金の引上げは認めないという処置をとるつもりでありますか。あるいはまたは、今日大蔵省と農林省との間で、この秋の生産者米価の決定と、それに裏づけます消費者米価の決定に対して、かつて改進党、自由党、鳩山自由党の間に申合せをされました消費者価格はすえ置く、いわゆる二重価格制を採用する、この政治協定というものは踏みにじられて、消費者米価は百三円か百五円に引上げるこういうことが新聞には伝えられておりますが、さような方向になりますと、年末を中心にしていわゆる給与べースの人事院勧告の実施、年末手当の引上げ、同時に米価に伴う新しい賃金値上げの要求が起つて参りますが、そういうインフレヘの大きな高まり対して、一体どういう手をあなたとしてはお考えになつておりますか。これは政府全体の大きな当面のわが国経済に対する重要な政策と思いますから、この際国民が納得する方法でひとつ御答弁を願いたいと思います。
  42. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 物価の問題につきました、先ほど来インフレーシヨンの懸念に対していろいろ御意見の御開陳がありましたし、それでなくてもいろいろな角度からコスト高が問題になつております際に、できるだけ政府政策面を通してこれを引締めて参りたいということを考えております。電力の料金の問題につきましては、これは私十分にまだ頭に入つておりませんが、通産大臣が、先般予算委員会でありましたかどこかで、今年度電力料金の引上げは認めない方針であるということを、たしか申し述べたように思います。  それから米価の問題につきましては、これは第十六国会におきまして、自由党と改進党、分党自由党との間に話合いがありましたことは、今おつしやつた通りであります。ただいろいろ党としても問題がありますので、まだきめておりません。近いうちに政府側の態度をきめて、それから今の各党派との間の話合いもつけてみよう、そういう態度で今のところおります。  それからインフレに対する見通しでありますが、これは私まだ十分財政事情が頭に入つておりませんけれども、国庫収支は第三・四半期におきましては、相当の散布超過となるのが例年の例であります。昨年度におきましては、第三・四半期は約一千七百億円の散布超過になつておるのであります。本年度第三・四半期の国庫収支は、約二千百億円の散布超過と見込まれておるのでありますが、国庫指定預金を約四百億円程度引揚げる方針を持つておりまして、これによりまして、第三・四半期における国庫収支は、昨年と同じような、約一千七百億円程度の散布超過になるというような見通しを持つております。さらに日本銀行の高率適用の強化、あるいは金融機関の資金運用の効率化というようなことによりまして、インフレの防止に努力を払いまして、あまりあぶないことにならないようにいたしたい、さように考えております。
  43. 大平正芳

    ○大平委員 関連いたしまして副総理に三肩お尋ねしたいのですが、米価の問題は、保守三派の共同修正で、われわれが伺つているところでは、生産者米価は基準米価を七千五百円にして、あと八百円の完遂奨励金をつける。超過供出奨励金とか、あるいは早場米奨励金は、在来の通りということに伺つてつたのですが、最近の閉会後の新聞を見ますと、早場米奨励金には若干の増額が考えられていることと、それから基準米価を七千七百円にするというような新聞記事を見たのです。ことしの米価は、パリテイ計算によると七千百六十円とかで、あと特別加算を認めて七千五百円にするというように聞いたのでありますが、さらにそれを七千七百円に上げなければならぬような事情がその後起つたのかどうか、新聞の報道の真偽を私は確かめておりませんが、その点どうなつておるのでございましようか、ちよつとお伺いしたいと思います。
  44. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 小笠原大臣出発まぎわに、そういう農林省との間の話をして参つたのでございますが、今お尋ねになりました事情については、私はちよつと不案内でありますから、あとで政府委員から。
  45. 千葉三郎

  46. 福田赳夫

    福田(赳)委員 第一点は、政府予算執行にあたりまして、非常な散布超過になるのですが、政府支払いについて、計画的にこれを調整して行くことを考えておるかどうか、これが第一点です。それから第二点は、先ほどお話がありました臨時国会を、大体今のところいつごろお開きになる予想であるか、これが第二点。それから第三点は、先ほど来一萬田日銀総裁からいろいろお話があつたのですが、要するに金融政策委といたしましては、インフレ対策としては限界がある。どうしても正常なる政治をやつて行く態勢というものが必要になつて来ると思うのであります。いわゆる政局の安定で、今後副総理といたしまして、政局をどういうふうに担当して行かれるつもりであるか。これは非常に機微な問題でありましようが、日夜考えられておることを率直に、私見というようなことでもいいけれども、こう考えておるというお考えを、ひとつ懇切にお話願いたいと思います。
  47. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 お答えいたします。第一点の、予算の実施にあたつて支出を引締めることを考えておるかという御意見でありますが、これは国会の御意思を傷つけない程度で、できるだけそういうことをやつて参りたいと考えております。たとえば災害に関する経費でも、非常に大きなものに上ろうと思いますので、今までの公共事業費の中から、少しでも持ち寄ることができればやつてみたい。ただこれは国会でおきめになつたことでありますから、政府意思で簡単にはやれません。いずれにしましても、補正予算、また次の二十九年度の予算というものは、非常に編成難を予想されますので、そういう財源関係について今苦慮いたしておるところであります。  それから国会をいつ開くかという御質問でありますが、これは先般災害対策委員会でありますか、そこで実は決議案が出まして、決議がきまりまして、九月末までに臨理国会を開けという決議であつたのであります。予算の準備その他政府側の準備がどうもそれに間に合いそうにありませんので、今のところは、十月の末より早くは困難であるというふうに見通しております。  それから政局安定についてどういうことを考えておるか、これははなはだむずかしい問題で、特に私からここで申し上げるのは、片言隻語もまずくはないかと思うのでありますが、まあ少数単独内閣であります今の政府といたしましては、大体に国会の情勢を見ながら、これならば野党の諸君も、多少の御異論はあつても通していただけるというところを見まして、そうしてあらゆる手段を尽して政策を遂行いたしたい、かように考えております。
  48. 千葉三郎

    千葉委員長 緒方副総理に対する御質疑はこの程度にしていただきいと思います。建設委員会の方でしきりに急いでおりますから。
  49. 三和精一

    ○三和委員 一言だけ……。先ほど緒方副総理の御発言の中で非常に懸念しておる問題は、これはいつの新聞でありましたか、出ておりましたが、公共事業費が新規の分百二十億円のうち、半分はすでに使つておるが、あと六十億円残つておる。これが今度の災害か何かに使うのでありましようが、補正予算の方にまわすというようなことを聞いたのであります。われわれは前国会におきまして慎重審議して、それを国民に公約したのであります。軽々にこういうことをやられることは、国会を無視したことなんです。こういうことはあり得ないと思いますが、重ねて伺いたいと思います。
  50. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 国会の意思を尊重することは、申し上げるまでもないのであります。今の場合、政局の安定ということを一番大切に思つておりますので、その線を逸脱せぬようにやつて行くつもりでおります。
  51. 千葉三郎

    千葉委員長 中山政策委員、佐々木冨業局長、また政府委員それぞれ来ておられますから、そちらに御質疑を願います。
  52. 大上司

    大上委員 現在の銀行の経営についれは、大体金利基本線であり、なおさらにこれに幾分の付随の手数料が基心線に出ておると思うのですが、他の偉業に比較いたしまして銀行経営コストが高いといわれるが、あるいはもちろんこれについて、いわゆる従業員というか、銀行員の給与が他の産業に比して相当いいと承つております。そこで大体においてこの金利計算から見た場合に、他の産業を何パーセント追い抜いた基本給を持つているか、これをひとつお尋ねしたい。  それから次の問題は、大体銀行はこの金利で経営しておるのですが、いろいろ見るところによると、支店の拡張等において相当厖大な資金がいわゆる固定資産化されて積まれておる。この点われわれとしては、それだけ銀行はもうかるものだという、これは国民の感情から割出した一つ考え方なのであります。そこで現在、終戦後各支店あるいはビルの建設等において、銀行が利益の何パーセントをこれに注いでおるかということが第二点。これだけをひとつお尋ねしたいと思います。
  53. 佐々木直

    ○佐々木参考人 本日は実は年末インフレというような問題のお尋ねと心得て参りましたのでございますから、その点の資料を準備いたしておりません。ですから今この席でちよつとお答えはできません。
  54. 大上司

    大上委員 ではよく了承しました。  次にお尋ねしたいのですが、ただいま臨時大蔵大臣からも第三・四半期におけるとろの政府の散布超の問題が出ておりましたが、さすればこの年末においてインフレといわれ、あるいはそれについていろいろ論議されておりますが、年末の季節資金と申しますか、これは大体どの程度に持つて行かれ、どの程度の金額で、すなわち年末の通貨量を何千億円程度灯おやりになろうというその基準が大体あろうと思いますから、その数字をお知らせ願いたいと思います。
  55. 佐々木直

    ○佐々木参考人 今の自由主義経済におきまして、三箇月先の数字をはつきり申上げますことは、なかなか困難でございますが、一応私どもの目標といたしましては、六千三百億前後という数字でございます。去年の暮が五千七百億余りでございます。それに比べますと、約六百億ほど上まわつておりますけれども、現在すでに通貨の発行高は、去年の同期に比べて大体六百億増加いたしております。従いまして、大体去年のような銀行券の動き方を頭に入れて、そういう一応の見通しを立てたわけでございます。この六千三百億も決して容易にその辺で押えられる目標ではなく、六千三百億程度に持つて行きますのにも、相当各般の手を打つた上でできることだ、こういうふうに考えております。
  56. 大上司

    大上委員 六千三百億前後の通貨量と見た場合に、今日と年末の三箇月先の物価の値下りと申しますか、値上りというか、これは今日を一つの例としましたら何パーセント引上るか、おわかりでございますか。
  57. 佐々木直

    ○佐々木参考人 今の物価指数は、最近水害関係の木材の価格等と、それから最近の繊維市場における思惑買いの結果の高騰、そういうようなことで多少上つております。それで現在の基準から何パーセント上るというふうに申し上げることは非常に困難でございますが、例年九月ごろの物価に比べますと、十二月末の物価は、大体低いときでも二、三パーセントの高騰があるわけであります。しかしこれは季節的な高騰でありまして、基準物価がそれだけ上つているということは言えないと思うので、大体年を越えますと下つて参ります。これは去年がそういう状況でございます。従いまして、今年もそう大きな値上りは考えておりません。大体年末の季節的な高騰は、この結果自然考えられるものと、こういうふうに考えております。
  58. 大上司

    大上委員 昨日ですか、どこかの新聞で見せていただいたのですが、日本冶金会社において、これは新聞の字句でございますが、銀行が金を貸して、その債権を確保する線を逸脱して、そうして興業銀行等が融資をして何したというようなことが出ておりました。そこでこれまた国民感情からわれわれは考えるのですが、今日の企業家においては、みずから自分の企業というものを放任しておいて、なかなか銀行がかたいとか、出さぬとかいうことが巷間よく伝わつておるのですが、そこでこういう面について将来いろいろ出て来る、いわゆるきつい言葉で言うならば、金融独占資本というような一つの表現方法もあるかのように思います。そこでこれ等については、日銀の方においてはどのようなお取扱いか。もちろんこれは民事行為ですが、他面公取委員会に提訴せられておるということも新聞に出ております。銀行の運営と、債権の確保の面等いろいろ問題が伏在しておるように思うのですが、これ等についての将来の方針なり、あるいはこういうケースが相当出る傾向があると思われますか、あるいはこれで最後と思われますか、この点についてお尋ねしたい、
  59. 佐々木直

    ○佐々木参考人 ただいまの問題は、おそらく日本冶金の重役の交代について、取引銀行からの申入れを公取委員会に会社側が提訴する、そういお話のことだと思います。銀行の貸出しの資金の問題でないのではないかと私は了解しておりますが、実は私まだ公正取引委員会にそういうことが提訴されたかどうか、そういう点について確かめておりませんので、ここで申し上げかねます。ただ銀行自分の貸出しをいたしましたときに、そういう申入れをはたしてしたのか、それから具体的に新聞に出ているような事実がありましたかどうか、私全然存じませんので、ちよつとお答えいたしかねます。一般的な問題としては、今まではしばしば銀行が金を貸します場合に、その経営者が銀行として債権の確保に不安な場合に、ほかの経営者が銀行と相談の上入つた例はございます。
  60. 大平正芳

    ○大平委員 先ほどの井上委員総裁に対する質問に関連して一、二伺つておきたいのですが、本委員会としても、中央銀行の問題についてはもつと勉強をしなければならぬと思つておるのですが、日銀が設備資金の融資について干渉をしておるというか、御相談を受けておる、そういうことをやつておるようですし、またそれに対しまして市中銀行の方では、設備資金日本銀行に相談しなければきまらぬ、こういう態度でおられるようであります。また日銀の方には融資斡旋部があつて、大口の融資については協調融資のあつせんなどをされておるようです。これは日本銀行としては、もとより金融全体をまく調整して参らなければならぬ責任もあり、関心もあるから、当然そういうことになるのだろうと思います。先ほど総裁が言われたように、戦後は資金の蓄積が乏しいから、日本銀行の方で世話をしてやらぬといけないからというよな事情もわかりますが、しかし相談に乗つたりあつせんしたりする御本人は日本銀行なんです。日本銀行というところはお金を持つたところんだから、お金を持つたところに相談を持ちかけるということになりますと、結局そこできまつたら、日銀の方で資金心配はしてやるということになるし、またそれを期待して市中銀行の方でも日銀に相談に上るということになるんです。元来中央銀行というのは、そういうことをやるのは邪道なんで、信用の危機に際して、日銀の信用で危機を打開して行くという非常に大切な役割があるわけで、一つ一つの大きな貸出しについて共同の責任を持つようになりますと、財界が危機に来た場合に、共同の責任について抜きも差しもならなくなるようなことを心配するわけです。そういうことが全然ないように、中央銀行が非常にひまでのんびりとやつておれるような世の中に早くなりたいんですけれども、そういうわけにも行きません。ただ設備資金とか融資あつせんというような形におい七日銀が参与することが、結局設備資金インフレというか、設備過剰というような結果になりやすい危険性が伏在しておると思うのです。総裁は、日本銀行としては最善を尽しておるので、インフレの問題の所在はもつとほかにあるのである、その方面に政府の方も御精進を願わなければならぬというような意思であつた。それも確かにそうです。しかし今の中央銀行のあり方自体の中にそういう危険性があるのじやないか、全然つつぱなせというわけじやないが、結局少し頭をつつ込み過ぎているという感じがするのです。また市中銀行の方から相談に行く以上は、日銀の方で何とか決をつけてもらうという期待があるわけです。総裁のお言葉をかりれば、そういうイージーな考え方があるのです。だからもう今の段階になつて、預金がある程度まで伸びて来て――戦後混乱の時期はともかくといたしまして、今日の段階になつては、融資斡旋部によるあつせん融資が行われるとか、あるいは設備資金についての相当な過ぎた干渉が行われているとかいうことからそろそろ脱却しなければいけないのじやないか、そういつた面にインフレ一つの素因が伏在しているように思うのです。もつともこれを具体的には私どうこう論証する材料を持つておりませんが、これは今後勉強しなければならぬ問題だし、本委員会としても取上げて慎重に研究しなければならぬ問題と思つておりますが、中山さんは非常に老練な金融家であられますし、ひとつ政策委員というお立場から、こういつた問題についてどのようなお考えを持つておられるのか、伺いたいと思います。
  61. 中山均

    中山参考人 私ども考えを申し述べてみたいと思いますが、戦後資金が非常に足りないときには、あの融資斡旋部というものは、相当の効果のあつたものと今日でも確信しております。しかし最近の行き方から見ますと、必ずしもそうでなく、単純な設備資金だけを特につくりたいというような事業はもうだんだん減つてきております。また場合によつては、それが過剰になる傾きもありますから、今のところでは、主として財界に非常に影響のあると認めるような救済資金ということに、ある程度これが動いておるような感じを持つておるわけであります。これは私はあまり日銀の力でおやりにならない方がよいということを常に感じておつて、そう、いう点につきましては、すでに委員会でも述べて、できるだけ受け身でやつてもらう、そうしてこれがどの程度日本の財界に響くかしいうことをよく調べて、その上でやるべきものはやる、またさもないものはやめる、あます一つ一つにこだわつて日本銀行が先に立つてやるということは、決して日本銀行の使命ではない、こう私は確信しております。なるべくそういうふうなことでなくて、真に日本経済安定のために、やむにやまれぬもの以外は、あまり動くことは害があつても益がないというような感じを持つております。
  62. 大平正芳

    ○大平委員 われわれももちろんそうあるべきだと考えております。ただ日銀人というか、ずつと以前から中央銀行でやられておつた人は、中央銀行けこうあるべきだというような考えを特つておられるようですが、終戦後の非常な混乱期を経過いたしまして、こういうような仕事になれまして、いわゆる習い性となるというか、中央銀行というのはこういうものだというように思われておる方が多いのではないか、従つて本来あらねばならぬような形に日本銀行方々がなられるように、政策委員会の方でもひとつ慎重に御指導願つて、そうして金融の安定、信用の安定というものが第一ですから、これを抜きも差しもならぬように、あまりつつ込まれないように慎重に御配慮願いたいと思います。
  63. 井上良二

    ○井上委員 ちよつと政策委員の方に伺いますが、日銀政策委員会では、年末から来年に予想されるこのインフレに対する考え方について、インフレになると見ておりますか。また政府の一部から放送しておりますように、インフレにはならないと見ておりますか、それをまず伺いたい。
  64. 中山均

    中山参考人 私は前から政府に向つて、もちろん権限ではありませんが、お願いしておりまして、政府の公共的事業のようなものの賃金を引上げをということは、非常に物価を上げる大きな材料だと思いますが、なるべくこれはしばらくやめてもらいたいということが一つ。もう一つは、これは、これは政府にもときどきお願いしておりますが、私の意が通りませんが、資本蓄積についてもう一段と政府が力を入れて、たとえて言つたならば、銀行の預金に対する税金ども考慮して、ここ一、二年はいかにして資金量をふやすか、また方々に散つた金をいかに常道に持つて行かせるかということについて、いま一段と考慮を払われたいとお願いしておるのでありまして、このままの姿で行きますならば、私はそう政府の言うようなほどに楽観はしておりません。できます限り、日本銀行としても政策委員としても、金融して行ける程度においての最高のところまでは出すべきである、こういうような考えを持つておるのであります。決して安心はしておりません。
  65. 井上良二

    ○井上委員 私、さいぜん総裁に伺いましたように、たとえば政府の本年度の予算の執行面における場合、さらにこれに補正予算が加わつて参ります場合を考えると、本年度末から会計年度末にかけて相当政府資金が散布超過になりはしないかという見通しがあります。それを一体消化するだけの状態にあるかどうかという問題が一つの大きな心配であるわけであります。御存じの通り、MSA援助は、保守党が足並をそろえて大体受入れるだろうという見通しにおよそ立ち得るのです。そこへ持つて棄て一般の金融状況を見ておると、不健全な貸出しが相当多い。あなたは不健全と見てないかもしれないが、私どもが見るところによると、かんじんの資本蓄積というか、生産能率を引上げてコストを下げて行くというその方面べの資金の貸出しが積極的にされておらぬ。そういう状況を三つ四つ集めて来て、そこへ政府みずから物価をつり上げて行く。あなたは今公共企業体の給料を上げるなというお話ですが、何もかつてにものずきで値上げの要求やストをやつておるのではない。現実に生活よりも物価が先まわつてつて行くところに問題がある。たとえば、すでにあなたが御存じの通り、この年末には米の消費者価格を六百八十円から七百十円に上げようというおよその話合いができておる。そうしたならば黙つておれませんよ。そういう悪條件をつくり出しておるこの事実から、インフレは当然来るという見通しが非常に強い。そういう見通しであるがゆえに、滞貨金融を中心にする運転資金が相当大幅に貸し出されておるのではないか。物をつくるよりも倉庫へ入れておいた方がもうかるのだから。そういう不健全な状況に対して、あなた方日銀政策委員会としてはもつとその面を締めるように指導すべきだと私は思う。一萬田さんのように、オーバーローンはわが国の経済の実態においてはやむを得ないものだという見方は、はなはだどうも金融総裁としては不見識な言葉だと思う。オーバーローンなどというものは、いわゆる設備や生産力を拡充する方面にこの金が使われておるなら、それはある面で公債政策と一緒ですよ。建設公債としてそれが完全に消化され得るなら、これは決して私はこわいとは思いません。ところがオーバーローンの内容が、不健全な面への貸出しが多いということになつて来て、現実に生産的な産業や商売や、そういうものに貸出しが少い、設備資金にしても建設資金にしても、たとえば旅館、ホテル、あるいはカフエー、競輪場、そういうものに莫大な資金が投ぜられておる。これは決して国全体の経済の正常な発展を意味する資金ではありません。そういう方面にあなた方としてはブレーキをかける力を持つておる。それをやらずにおいて、インフレを何とかして押えたいといつてみても、あなた方の力が足らぬ点もある、政府物価政策も悪い、政府財政資金計画も悪いということで逃げられたらたまつたものではない。現実に総裁は不急不要のものは海外から輸入しないようにしろ、高級自動車なんかやめちまえと言つておる。しかしあなた方の指導しておる銀行がものすごい大きな支店、出張所を相当建て、それがものすごい資金を食うでしよう。全国の一流の建物の一階というものは全部銀行ですよ。東京でも見てごらんなさい。りつぱなビルディングの一階は全部銀行が占めておる。目抜きのいい所は銀行の建物だ。そういうところに対して、あなた方はちつとも制裁を加えない。そうして銀行の正常な経営というか、資金操作に対して何らあなた方は力を用いないということは、一体政策委員会というものは何をしておるか。そこをひとつざつくばらんにお答えいただきたい。
  66. 中山均

    中山参考人 御指摘の点は、私ども常に非常に感じておる点でございまして、非常にうれしく、自分の主張の正しかつたということを特に感ずるくらいであります。その通りでありますが、私が銀行におつたから言うわけではありませんが、銀行の支店の建設につきましては、前には政策委員会で協議してやるというようになつてつたものを、はなはだ遺憾ながら途中から大蔵省の権限に全部移つております。それが一つ。それから借ります家はなるほど豪華である。私が見ても豪華である。あれほどの必要はないと思います。しかしそこが商売で、こちらが建てば隣も建つというのが今の日本行き方であります。そこで大蔵省は、銀行が建てますものは、銀行の自己資金の七〇%以内に押えております。銀行が利益を上げたから建てるということは世間の誤解であります。これは常にやかましく大蔵省がやつておりますから、そういう点はもし七〇%が多過ぎるというなら、あなた方のお力でそれを下げるとか、あるいは支店の設置についてはいかんと思つたら当然大蔵省がもう少し何とかやるべきだと思います。今のところでは、お説の通り、いかにも繁華街に軒を並べておるあの姿は、私ども横で見て非常につらく思います。あの豪華な自動車も非常につらく思います。なるべくそうしたくないと思つております。
  67. 千葉三郎

    千葉委員長 本日はこの程度で散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時二十七分散会