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渡辺政府委員 第一のお尋ねの、
調査査察部の問題でございますが、これは前会有田
委員からもいろいろ御
質問がございまして申し上げましたが、もう一ぺん繰返させてい
ただきたいと思います。
調査査察部は二つにわけまして、
一つは
調査課の事務、
一つは査察課の事務ということにな
つておることは、大上
委員よく御承知の
通りでございます。
調査課の任務につきましては、現在、資本金の大きい法人、
所得の大きい個人、この二つを
調査課が扱
つているわけでありますが、私たちの考え方としましては、大分
税務行政も昔に返
つて、おちつきをとりもどして参りましたので、
相当の
仕事を
税務署の方へむしろおろしていいのじやないだろうか、こういう感じを持
つております。しかしたとえば八幡製鉄とか富士製鉄とか、そういう会社の例をあげるのがいいかどうか知りませんが、本社は
日本橋の
税務署の管内にある。しかし工場からすれば、あるいは広畑にあり、金石にあり、あるいは室蘭にある、こういつたような大きな会社がございます。こういうのは、どうも
日本橋の
税務署が全部責任をも
つてやるにしては、
仕事が少し大き過ぎるように思います。従いまして、やはりそうしたような、本社は東京にありましても、工場は全国に散らば
つておる、しかも
相当大きな会社であ
つて、
税務署の所管にまかしておきますと、とかく現場の
調査——これは毎年やるわけではありませんが、やはり何年に一回くらいは、現場についても
相当調査すべきものがあろうと思いますが、そういうような点になかなか手が及ばない。こういうようなのは、やはり
調査課の所管というような
意味におきまして、少くとも国税局が責任をも
つて調査をして行くことが適当ではないかと思
つております。しかし現在の
調査課所管に属しているものの中には、必ずしもそこまで必要性を感じない分がかなりあるのではないかというふうに思います。従いまして、現在資本金五百万円以上の会社を
調査課の所管にしておりますが、もつとその範囲を狭めてといいますか、資本金の願を上げまして、あるいは個人については
税務署に移すとか、こういうことにしまして、
ただ特別必要がある場合におきましては、引上げた限度額より小さな会社であ
つても、あるいは個人についても、局で必要あらば
調査課でやる。こういつたような姿に持
つて行つたらばどうだろうか。こういうような点について、
国税庁の方でも研究しておりますし、われわれもそういう方向に漸次進んで行くべきではなかろうか、かように考えております。それから査察課の問題につきましては、なかなか税を単純に
徴収するという問題と違いまして、やはり脱税事件を扱うという問題でございますから、
証拠の点など、非常に訴訟に
なつたときの問題としてむずかしい問題がありまして、どうしてもある程度専門的に、その方面の知識教養をつけておきませんと
仕事がやれない。最近は、幸いに査察の問題も
対象がきま
つて来たといいますか、軌道に乗
つて来たように思いますが、まだまだ研究しなければならぬ点がございます。同時に、どこまでも大きな筋を追
つて仕事をして、あまり末梢に走らぬという方針を持続すべきだと思いますし、そのような
意味におきまして、やはりこれは少くとも国税局に所属さすべきものじやないか。こんなことで、現在の
調査査察部のあり方というものについては、さらにわれわれは十分検討してみたいと考えております。
それから第二の、通牒とわれわれが呼んでおりますものについての
お話でございますが、大体税のことは、昔に比べますと、
法律に規定する
事項が非常に多くな
つておりまして、政令に譲られておるものは少い。しかし政令も条文が
相当あります。御承知のように、特に法人税とか
所得税とかになりますと、
課税対象が千差万別でございまして、その一々にうまく具体的に当てはまるというか、先ほ
どもちよつと
お話が出ましたが、たとえば
たたき大工と
請負大工の問題にしましても、一応の原則ははつきり書けますが、具体的に当てはめてみるといつたようなことを一々
法律に書くのもなかなかむずかしい。現在のように、不十分でありましても、御承知のように法文が非常にふえまして、ちよつと見
ただけではわかりにくい。しかもすべての人がその一々の条文を全部知
つていなければならないというわけでもない。しかもやはりどなたかには必要な条文しか入
つていない。こういつたような
実情にあるものですから、どうしても少くとも解釈的な通牒といつたようなものがそこに必要にな
つて来るのじやないかと思うのでございます。終戦後におきましては、御承知のように昔と大分考え方がかわりまして、昔は、この通牒というものは、ある
意味において門外不出のような感じでありましたが、現在におきましては、通牒とは申しましても、一応これを公表するような制度がとられておりまし、納税者の方にもよく納得してい
ただくようにや
つておるわけであります。従いまして、いろいろな通牒を大分公表されておりますが、しかし通牒である限りにおきましては、それはどこまでも
法律の範囲にとどまるべきものであり、同時に大部分は、
法律の範囲にとどまるべきもので、その解釈がどこまで権威を持つかという問題については、いろいろ議論があり、最終的には裁判所で
決定してもらわなければならぬものもございますが、少くとも
行政的な扱いとしてはこうだ、こういうものが通牒になるわけでございます。われわれといたしましては、どこまでもそれは
法律の範囲内、与えられた権能の範囲内のものであるべきだということでや
つておる次第でございまして、その通牒は、どういうものをどういうふうに今の御要求によ
つて差上げたらいいのか、私一応さらに別途よく
お話を伺つた上で、
提出すべきものがあれば
提出したいと考えております。
それからその次の
お話としまして、
税務署における事務が、とかく人員が少いのに、局あるいは
国税庁の監督的な
意味からの報告とかいろいろな方面に
仕事が奪われまして、かんじんかなめの本来の
仕事に十分に手がまわらないということがあるのじやないか。この御批判については、われわれも確かにそういう面が考え得るのじやないか。実はこの点につきましては、前から気にしておりまして、従来から何回かそういう点について、たとえば報告の整備でありますとか、いろいろなことはずいぶんや
つて来ておるのでありますが、現状において、これで十分だというようなことがなかなか言い切手い面があるんじやないかというふうに思
つております。方向としましては、確かにお説のように、不必要な書類をとる必要もございませんし、できるだけ簡素にやるべきじやないか。
ただいろいろやはりある程度の数字はつかんでおきませんと、監督的にも不十分な点もございますし、あるいはここで御議論を伺うときにも、その数字がやはりある程度どうしても必要な面がある。しかし、それをいかに簡素に、同時に効率的にや
つて行くか、この点につきましては、今後ともわれわれ御趣旨の点も体しまして、十分研究してみたいと思
つております。
それから出張旅費の点などにつきましても、いろいろ内部には実は悩みがあるのでございまして、今のような
お話を伺いますと、実はわれわれも非常にありがたいわけなんですが、何分予算の上からいいまして、予算規模をできるだけ小さくしたい。大蔵省は、御承知のように片方で主計局もあ
つて、予算をつかんでおる本家本元なものですから、つい遠慮しがちといいますか、主計局とずいぶん話しましても、まあこの辺でがまんしてくれと言われますと、そうかと言わざるを得ないような状態にあるわけでございます。そうかといいまして、それによ
つて行政か非常に支障を来し、不完全になるということは、これまたかえ
つて本来の趣旨に沿わないわけでありますので、今後もこの点につきましては、よく経理の方を担当しておる主計局の方とも話し合
つてみたいと思
つております。
それから最後に
お話になりました出納手当の問題でありますが、現在
税務署には、出納手当の制度はございません。これも実はずいぶん長年議論をしておるわけでございますが、最近におきましては、
銀行が国税代理店にな
つている。この国税代理店の
銀行に
税務署に来てもらいまして、そこで出納事務を大体や
つてい
ただくということで、できるだけ
税務署の者が直接現金に手を触れる、これは間違いのもとにもなりますし、また不祥な事件を起すもとになりますので、できるだけそのことを少くしたいということでや
つておりますが、しかし、と申してもやはり滯納処分とかいろいろな
関係で出まして、現金を受取
つて来ざるを得ない場合が幾つかあるわけでございまして、少くともそういう場合に、出納手当といつたような問題を考えるべきじやないか。ずいぶんこれは内部でも議論をしているわけでございます。他の現業
官庁にはその例があるのでございますが、
税務官吏が現業
官庁的な
仕事をしておりながら、現在御承知のように、まだ非現業職員にな
つているというようなことでも
つて、まだなかなかうまく話がついておりませんが、今後の問題といたしましては、さらに十分検討してみたい、かように考えております。