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1953-07-11 第16回国会 衆議院 大蔵委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十一日(土曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 苫米地英俊君    理事 坊  秀男君 理事 内藤 友明君    理事 佐藤觀次郎君 理事 井上 良二君    理事 島村 一郎君       有田 二郎君    宇都宮徳馬君       大上  司君    大平 正芳君       藤枝 泉介君    福田 繁芳君       本名  武君    小川 豊明君       木原津與志君    久保田鶴松君       春日 一幸君    平岡忠次郎君       福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      北島 武雄君  委員外出席者         参  考  人         (日本経済新聞         社常務取締役) 萬  直次君         参  考  人         (十条製紙株式         会社取締役)  山田 誼衡君         参  考  人         (中越パルプ工         業株式会社取締         役)      川野 力男君         参  考  人         (群馬県コンニ         ャク生産協会事         務局長)    武田 武一君         参  考  人         (全国コンニヤ         ク原料輸入協会         顧問)     田中 淳一君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 七月十日  漁業協同組合に対する法人税撤廃に関する陳情  書  (第七五一号)  富士山頂払下げ反対に関する陳情書  (第八〇〇〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  参考人より意見聴取の件  関税定率法等の一部を改正する等の法律案(内  閣提出第一一六号)     ―――――――――――――
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  本日は主税局関係の法案を審査いたしたいと存じますが、そのうちで、関税定率法等の一部を改正する等の法律案につきまして、参考人出席を求めておりますので、まず参考人方々から意見を聴取いたしたいと存じます。  本日の問題は一印刷用紙及びこんにやくに対する輸入税についてでありまして、御出席参考人は、お手元に配付してあります印刷物の通りであります。  参考人方々におかれましては、本問題に関し忌憚のない御意見を開陳せらるるようお願いいたします。なお発言の時間は、お一人大体十五分くらいでお願いしたいと存じます。  それでは、まず日本経済新聞社常務取締役萬直次君にお願いいたします。
  3. 萬直次

    萬参考人 日本新聞協会におきまして、新聞巻取紙需給関係が非常に困難でございますので、この需給バランスをはかるために、若干の外紙輸入しなければならぬ事態になつたのであります。これにつきまして、この外紙国内価格よりもかなり上まわつておりますので、これが関税を軽減していただきたいということを、協会といたしまして切に要望する次第なのでございます。  第一番に、現在の新聞用紙需給状態につきまして御説明申し上げますが、本年の二月に、通産省経済審議庁経済総合見通しというものを参考にいたしまして、昭和二十八年度、すなわち昭和二十八年の四月より二十九年の三月に至る一箇年間における新聞用紙生産を、大体八億二千万ポンド予定をいたしたのでございます。新聞関係用紙は、かなり長い間戦時中の統制が戦後に続きまして、ようよう一昨年ごろより用紙のわくがはずされまして、これがために、従来縛られておりました新聞需要というものが非常に増大して参つたのでございます。そういう関係で、需給がなかなか一致しない面がありますので、協会といたしましても、今年の需給面を種々検討いたしたのでありますが、例年冬季において電力が非常に困窮いたしまして、十二月、一月、二月、ことに一月、二月におきまして減産のやむない状態に今日までなつておるのでございます。それで、製紙に対して電力の特別の配当をお願いいたしておるのでありまするが、通産省のお見込みによりましても、冬季においてやはり一〇%の減産を来すのではないかというお見通しを持つておられるのであります。他方この原木面におきましては、わが国森林資源が非常にきゆうくつになつている関係から、なかなか困難な状態でございまして、これはやはり本年の二月に、林野庁で、本年度の用材の生産並びに消費の大体のお見込みを出されておりまするが、新聞用紙原料である原木は、従来パルプと一緒に計算されておるのでありまして、今年度林野庁計算によりますと、一千八百九十万石というものが予定されておるのでございます。これは昨年度昭和二十七年度におきましては千八百万石でございましたから、今年は五分の九十万石だけが増加するという状態なつておるのであります。一方用紙の八億二千万ポンドというものは、昨年の生産実績に対しましては、約二二%の増加ということになつておるのでございます。原木の面におきましては、昨年とほとんどかわりがないこの千八百九十万石のうちには、輸出貿易の非常に重要な部分を占めておるところの化学繊維関係パルプが含まれておりますので、私ども考えといたしましては、われわれの希望する新聞用紙に対する原木面において、今年非常にたくさんの割当を受けるということは困難な事態なつておるのでございます。従いまして、通産省が今年度予想されました生産量というものを、はたして確保できるかどうかということを、私どもとしては非常に疑問といたしておるのでございます。ここで本年の七月以降十二月までの六箇月間の通産省の大体の需給予想を申し上げますと、通産省紙業課におきましては四億八千四百四十万ポンドというものを予定しておるのでございます。これに対して需要の面は、四億九千三十三万六千ポンドということを、これまた予想いたしておるのでございます。この通産省の四億八千四百四十万ポンドというものは、私ども新聞協会側調査によりますと、やや過大に見られるのでございますが、かりに、これをば一応前提にいたしましても、需給バランスにおきましては、年末において、約六百万ポンド不足するという形になるのでございます。通産省におきましては、明年の一月、二月、三月の分につきましては、生産のお見込みがまだ示されておりませんのでこれは、私どもが推算いたすところによりますと、三箇年間において、需要が大体二億三千八百万ポンド、これに対しまして、やはり新聞協会の大体の予想によりますと、二億二千万ポンドと見込んでおるのでございます。この不足額が、約一千八百万ポンドに達するのでございます。  他方、この通産省のお見込みによりまする十二月末の在庫高、つまり残高は、約一千九百八十万ポンドでございます。これは全新聞使用量の大体一週間分に相当いたしておるのでございます。これは、むろん現在輸入の手続中でありまする八千五百余トンを含んでの残高でございます。新聞の発行におきましては、私どもは、少くとも消費量の約一箇月分をストックとして需給バランスをとるような方法を希望いたすのでございますが、一箇月ということが非常に多いといたしましても、少くとも三週間分はどうしてもストックをして需給バランスをとることを考えなければ、非常に困難な事態になるのでございます。  かような需給見通しからいたしまして、新聞協会といたしましては、まことにやむを得ないのでありますが、政府お願いいたしまして、本年度少くとも二万トン、約四千万ポンド輸入お願いいたしまして、これによつて需給を調整して行きたいという考えを持ちまして、この点につきましては、かねて関係当局に対しても、いろいろとお願いをいたしておつたのでございます。たまたま五月の末に参りまして、新聞用紙供給量のうち三割七、八分という大量を供給なされておりまする王子製紙において、非常に長期のストライキが行われたのでございます。これは、われわれに非常に脅威を与えまして、新聞界といたしましては、やむを得ず消費を節約するということによりまして、何とか食いつなごうと策したのでございます。その約三週間のストライキが解決いたしました結果、王子製紙におきましては、ストックが皆無という状態に達したのでございます。このために私どもは、政府お願いをいたしまして、ここに緊急輸入といたしまして、カナダから八千五百トンを輸入いたすということによつて、当面の困難を埋めることにいたしたのでございます。しかしながら、依然として一般的な需給面におきましては、約二万トン程度のものが不足するとわれわれは見ておるのでございまして、これはむろん、今後の需結の状態とにらみ合せまして、これが対策を私どもとしては行いたいと思つておるのでございます。以上のような状況でございまして、需給面から申しましても、新聞用紙というものが非常に困窮いたしておりまして、ややもすると消費を節減しなければならぬような事態に追い込まれる、そしてそれが常に不安定であるということでございます。  他方、今回の輸入価格の面を見ますと、現在新聞社におきましては、国内におきまして最高価格一連——一連と申しますのは、四ページの新聞が一千枚でもつて一連と称しておりますがこの一連が千五百円でございます。その他それよりも低い価格もございますので、新聞社側が現在使用しているものの平均値は、大体千四百六十円ないし七十円という状態なつておるのでございます。これに対しまして輸入紙値段は、大体東京におきまして、一〇%の関税を含めて千六百円余でございます。それから地方におきましては、運賃関係から、これが約千六百六十円に相なるのでございます。現在の国内値段に比較いたしまして、約百円ないし百六十円の高値になるのでございます。そこでこれを五彩に引下げました場合におきましては、東京におきましては大体千五百三十八円ほどになります。地方は、これよりも運賃関係でもつてなお五十円くらいは高いのでございます。この計算につきましては、委員会の方にもこまかい資料を出しておるのでございますが、この中におきまして、外国紙は、日本においては長さによつて取引いたしておるのでございます。つまり一連千枚ということを標準にしまして、その単位当りポンドが五十ポンドでなくて、五十一ポンドでありましても、数量でもつて取引いたしておるのでございますが、外紙輸入いたします場合には、これは重量をもつて取引いたしております関係から、外紙が、単位当りポンドが、五十二・七ポンドということで、五十ポンドという標準を越えているために、それだけ長さにおいては短かい。この関係から、そういう値段が出て参つておるのでございます。この外紙単位当りの目方につきましては、これはカナダパウエルリバーの製品でごいますが従来からこの品物が一番日本に入つておりまして、継続的には、朝日新聞社米軍の委託によりまして、スターズ・アンド・ストライプスを印刷いたしております関係から、使つておりまして、この紙の大体の斤量というものは、割合正確になつておるのでございますが、先年これが重量の試験をいたしました結果だけを参考に申し上げておきますと、当時朝日新聞社は、十条製紙研究室に委託しまして検査した結果は、五十三ポンドなつておるのでございます。それから本年の三月の十九日に王子製紙研究室において検査の結果は、五十丁四ポンドであります。また越えて四月十一日に本州製紙中央研究所において検査いたしました結果は、五十三・二ポンドなつておるのでございます。かようにかなり不同があるのでございますが、新聞社におきましても、それぞれの研究室において研究した結果、五十二・七ポンドという結論を得ておりますので、私どもは五十二・七ポンドをもつて計算の基礎といたしておる次第でございます。  以上のごとき関係から、私どもはこの輸入税をぜひともお下げを願いたいということを切望いたすものでございます。ただ輸入するということは、決して貴重な外貨をむだに使うということではございません。国内における需給がもしもバランスを得、安定を得るならば、むろんわれわれは国内産業発展のためにも、また従来からの親類のような関連産業発展のためにも、ぜひ国内供給のみによつてつて行きたいのでございますが、かような状態で、まことにやむを得ず若干のものを輸入しなければならぬという状況なつておるのでございまして、この点につきましては、私どもはできるだけ国内製紙業者に対しても刺激を与えないように、また政府においても、いろいろ対外的に貿易政策あるいは関税政策関係からも、あまり関税率を大きく動かすこともいかがなものであろうかというような点を考慮いたしまして、新聞協会といたしましては、関税はぜひ免除してもらいたいという希望が非常に多いのでございます。これは関税の従来の戦後の経緯に徴しましても、五%というのが元来関税率を戦後まとめるときに政府の原案であつたのでございます。その当時、われわれ新聞界におきましては、当時の責任者より、もし現実に輸入される場合においては、何とかして免除することを考慮するから、五%でがまんしてもらいたいということを了解を求められまして、これを承認いたしたのでございます。ただ当時は占領下でございましたので、司令部に参りましてから、一般下級紙の中に打ち込みまして、これが一〇%に上つたのでございます。さようなわけでございまして、われわれとしては、きわめて妥当な線といたしまして五%をお願いしておるような次第でございます。  たいへん長く申し上げました。これをもつて私の話を終ることといたします。
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、十条製紙株式会社山田さんにお願いいたします。
  5. 山田誼衡

    山田参考人 われわれの方の考え方について、大体のことを申し上げさしていただきますと、需給均衡は、現在の生産設備並びに生産能力から考えて十分とれておる、また今後のさらにある程度の使用量増加に対しても、十分にそれをまかない得ると考えております。また輸入紙値段が、国内の現在の産業を圧迫するのみならず、ひいては将来の発展を著しく阻害するというふうに考えております。現在の輸人価格は、この一〇%の関税を吸収いたしましても、なおかつ現在の国内価格よりも安い、こういうふうな考えを持つております。時間がかかりますので、お手もとに差上げました資料に基いて、大体のお話を進めて行きたいと思います。  第一番に、需給均衡がとれておるということでございます。これは資料の第一をごらん願いたいのでございますが、本年の四月現在における洋紙会加盟会社生産実績は、七千五百万ポンドなつております。そうして年内に新設される機械の生産能力は約九百万ポンド、さらに現有設備による増産は約五百万ポンド、これは中値逐次具体的に書いてございますから、それを見ていただきたいのでございますが、合せまして、本年末における生産能力というものは、少くともこの洋紙会加盟会社をもつていたしまして、優に八千九百万ポンドに達する。そのほかに現在も使用せられておるのでありますが、丸網抄紙機による生産が約二百万ポンドございまして、そのほかに、従来洋紙会に報告されておりましたが、最近に至つて、実際は紙はつつておるけれども洋紙会に報告せられていないというものが約二百万ポンド、それらを合せますと、優に九千万ポンドをはるかに越えることになるわけでございます。  冬季渇水による減産ということは、われわれとしても非常に問題にしておるわけでございますが、資料第三をごらん願いたいと思いますが、資料第三は、昨年度における昨年の一月から今年の五月までの生産高の変遷でございます。昨年の初めから非常な生産高の躍進を見まして、逐月増加をいたしております。十二月に至りましては、異常な炭労並びに電産のストの影響を受けまして、ごく少量ではございますが、減産をいたしましたが、最も渇水のひどい一月、二月、三月は非常に増産をいたした実績を示しております。われわれの方の数字は非常に手がたく数字を組んでおりまして、これは昨年の四月に紙業会から新聞協会あてに一新聞洋紙生産見込みを六億七百八十万ポンドと、二十七年度数量を申し上げましたが、実績はその予想に対しまして、六億一千四百五十万ポンドでありまして、当初の予想を六百七十万ポンド上まわつておるという実績を示しております。また渇水問題でございますが、これは新聞用紙生産工場に対しては、議会方面においても、また新聞社においても、非常な御援助を願つておることは事実でございまして、いろいろ特配というふうな措置を講じていただきまして、一般用紙よりも優遇されておる。また大口工場相当自家発電設備を最近著しく増強しておる。また冬季渇水のために、夏季豊水期におきまして、使用原料であるところのグランド・パルプ増産して、貯蔵して、いざ渇水期になつて電力が非常に減つたという場合においても、新聞用紙優先確保のためには、他の印刷紙を犠牲にしても増産を続けて来たわけでございます。その結果が第三表のような結果になつておるわけでございます。  次に、資料の第二をごらんいただきたいのでございますが、これは、われわれ製紙業者新聞用紙にいかに重点を置いてこれまで努力して来たかという資料でございます。昭和十二年というのは、わが国におきまして洋紙が従来最も多く生産された年でございまして、年間二十一億三千二百万ポンド、その中で新聞用紙の占めました数量は六億二千六百万ポンド、全体に対して二九%であつたのでございます。これはちよつと年度のとり方が違いまして、単なる一年間をとつた比較でございますが、二十七年度におきましては十九億五千九百万ポンドなつておりまして、それに対して新聞が六億九千三百万ポンド、総生産高の三五%が新聞なつておる。特に本年度予想に至りましては、総生産が二十二億八千五百万ポンドに対して、新聞需要数量は九億四千五百万ポンドで四一%、異常な新聞用紙増産に努力していることがはつきりわかるのであります。その次に、王子製紙ストライキによりましてストック減つた。これはまさにその通りでございますが、その生産減少いたしました数字は、約千八百万ポンドでございまして、先般輸入が決定せられました八千五百七十トンというものによりまして、これは千七百十匹万ポンド、ほとんど生産減と同数量なつておりまして、これでこのストツクの減少というものは補われた。しかも現在この輸入紙がまだ入つて来ないにもかかわらず、日々の新聞は、本来の姿に返つて発行されておるということでございます。以上の観点からわれわれは、国内新聞用紙生産というものは優にまかなえる。かりに水力の減少ということが見込まれましても、先ほど申し上げましたように九千万、あるいは九千二、三百万という能力を持つておるのでございますから、一〇%や一五%の減産の心配がありましても、優にまかなえるという確信を持つておるわけでございます。  次に、輸入価格国産品を圧迫するということでございますが、お手元に出してあります資料の第五をごらん願いたい。これは最近にわれわれの方で調査をいたしました実際の例でございまして、その内容については、最後に英文タイプで一部の写しがつけてございますが、これはそのほかにもわれわれはたくさんの例証を持つております。しかしあまりたくさん付することもどうかと思いまして、こういつた例を取上げたのでございますが、こういうふうに、特に欧州ものにおきましては著しく割安である。一〇%の関税が支払われても、優に現在の国内価格を下まわるということがはつきり言えるのでございます。それから今回のカナダのものにいたしましても、契約は五十二グラム・スクエアメーターということになつております。これはわれわれの例証にも、五十二グラム・スクエアメーターなつておりますが、この五十二グラム・スクエア・メータトというのは、内地の新聞とほとんど同じ厚さでございまして、この契約がこの通りに実行されるならば、その面から来る差異というものは考えられないのでございます。また新聞用紙輸入関税が軽減されるということになりますと、これが新聞用紙のみならず、一般市況をも圧迫するということが起るわけでございます。これは二十三年にソ連の巻取りが入つて来た。また二十七年にアメリカの巻取りが入つて来た。これらにはいずれも不良品があつたようでございますが、特に二十三年はまだ統制時代でございます。にもかかわらず、国内市況というものはこの二度にわたりまして非常な影響を受けて、相当の動揺を来しておるという実例もございます。  それから国内企業を圧迫するということでございますが、これは資料の第四をごらん願いたいのでございます。戦前におきましては、新聞用紙生産というものは、ごく大きな会社の一部の生産にかかつてつたのでございますが、現在はこの第四表が示しますように、四十社になんなんとするメーカーがつくつておる。しかもその生産量たるや、各社一社当りにおいては非常に少い。そういつたようなものを糾合して、これだけの新聞をまかなつて来た。しかもそれらの企業というものは、大企業と違いまして、ほとんど大半のものが戦後につくられた設備でやつておるのだ。従つてこれらの金利償却といつたような面から考えましても、相当の負担がかかつておる。それからさらにこれは戦前にも、また先ほど申し上げました二十三年、二十七年の輸入の際にもわれわれは経験したのでございますが、新聞用紙として輸入されたものが一般紙に流用される。従つてこれがまた一般紙市況を非常に圧迫するものである。これは過去の例がはつきり示しております。また輸入関税の引下げということが、紙パルプ産業の将来の発展を妨げる、これはわれわれの最も大きな関心を持つておるところでございまして、大メーカーが現在ある程度の収益をあげておるということは、戦前の非常に安い設備をもつてつており、従つてまたその設備が非常に大規模であり、また合理化されておるということで、割合コストが低くなつておるのでございますが、先ほども申し上げましたように、戦後新たに新聞用紙をつくられるメーカー設備というものは、全部戦後の非常に高い施設費をかけてやつた設備でございまして、コストが非常に高くついておる。かりに現在一箇月七百五十万ポンド生産をあげる新聞紙工場というものを新たにつくるといたしましますと、運転資金を込めまして、約四十億円の金が必要でございます。これに対する金利償却その他というようなものを考えますと、なかなか容易に手が出ない。従つてこういう一時的な輸入のために恒久的な関税定率というものが左右されるならば、将来の国内紙パルプ産業というものが非常に萎縮する。これは私の方の会社のことにわたりまして恐縮でございますが、現に九州新聞用紙が足りないため、近く九州新聞用紙マシンを新設する予定にしておりますけれども、こういうふうに恒久的であるべき関税定率というものが容易に動かされるということでありますと、厖大な資金をかけてそれだけの冒険をするということに非常な疑念を抱かざるを得ない。また特に中小メーカ—におきましては、現在でも採算点ぎりぎりでやつておられるものも、いろいろな関係から相当あると思いますが、それらの生産が著しく落ちるのじやないか。  次に原木の問題でございますが、原木の量があるないということは、これは常に議論されておるところでございますけれども、現在大メーカーにおいては、大体一年分以上の原木確保しておりますので、これは問題ないと思います。年内に原木が入らないために、工場がすぐ困るというような情勢だとはわれわれは考えておりません。それともう一つは、新聞用紙価格戦前に比して四百五倍になつておるというふうな説が行われておるようでありますが、原木の場合には、明らかに四百六十八倍になつております。これは資料の第九をごらん願えればわかります。これは実際の工場払出し単価を、基準年度をもとにいたしまして、その後の経過を出したものでございます。それから総原価に占める原木の費用というものは、最近の値上りによりまして著しく高騰をしておりまして、現在では三五%ないし三八%という比率を占めております。原木不足の問題は、先ほどもちよつと申し上げましたけれども、現在の日本の総原木使用量における比率は、資料の第十をごらん願えればわかるのでございますが、わずかに七・四%にすぎない。従つて今後の原木問題というものは、一に森林政策のいかんにあるのでございまして、この点は森林に恵まれておる日本の施策いかんによつては、将来スエーデン、ノールウエーといつたような国と同じ立場に行き得るというふうにわれわれは確信を持つておるのでございます。  その次に、高利潤、高賃金ということが問題にされるのでありますが、これは二十六年度においては、異常な紙のブームによりまして、各社とも非常な高利潤を上げましたけれども、二十七年に至りまして一様に著しい低下をしておる。特に新聞用紙にその大半を依存しておりまするところの王子の場合は、それが非常に顕著である。また賃金ベースの問題でございますが「これも資料第六をごらん願えればわかりますように、一部の大メ—カ—におきましてはかなりの高賃金になつておりますけれども、全体を見ますときに、必ずしも全体が著しく高賃金であるということは言えないのでございます。特に製紙産業の賃金の問題を論ずる場合には、平均年齢が非常に高く、また勤続年数が非常に長く、また男女構成比率というものは、男の方に非常にウエートがかかつておるということでございます。  それからもう一つは、資料の第七をごらん願いたいのでございますが、新聞用紙の一人当り生産高というものは、これは十条製紙の例をとつたのでございますが、昭和二十四年八月解体によりまして、十条製紙が発足いたしましたときの一人当り生産高は三千四百十ポンドにすぎなかつたものが、最近に至りましては五千ポンドを越え、この六月の実績から見ますと、約六千五百ポンドと、ほとんど倍増しておるということでございます。  それから次は、外貨割当制度があるから、関税に必ずしもそうウエートはかからぬじやないかということでございますが、外貨割当というものも一時的な現象であり、また外貨の増減によつていろいろ事情も変化する。またバーター・システムによりましての輸入ということも考えられるというふうなことから見まして、基本的産業の保護政策というものは、やはり関税定率といつたような恒久的な施策によるべきであるというふうに考えております。またかりに年間一万トンが輸入されると仮定いたしましても、年産約十億ポンドに達する現在の国内生産に対しましては、わずかに二%にすぎない。二万トンにいたしましても四%にすぎないということでございます。  次に外国市場のその後の状況でございますが、かつては外国市場も、全面的に統制されておるといつたような状態でございましたが、最近に至りましては生産が非常に伸びた。従つて各国とも統制は撤廃される、また輸出能力が出るという実情になつておりまして、さらに生産設備が増強されておりますので、将来においては、過去においてわれわれが経験したような相当安いものが入つて来るということも十分考えられると思うのでございます。それともう一つは、現在の日本生産設備と、外国の生産設備との比でありますが、これは資料の第十一でごらん願えばわかると思うのでありますが、日本では中小企業が非常に多いのに対して、アメリカの巨大な施設により、生産コストに非常な差があるということであります。また現在の原木価格を比較いたしましても、米国は日本の約半分にすぎないということでございます。  次に、新聞用紙輸入関税の問題でございますが、これは政府の方でも十分御承知でございますから申し上げませんが、昭和十二年に関税が撤廃になつたときに、内地の生産施設規模ができたから撤廃になつたという説が行われておるように聞くのでありますが、これはそうではなくて、当時日華事変が始まりまして、極東地区の相互協定といいますか、無税にしていろいろな物資の流通をやさしくするというような趣旨からなされたもので、これは当時の事情をお調べ願えばわかると思うのでございますが、実際には、十二年以後にはほとんど輸入はなかつたのでございます。  それから新聞用紙の製作費に占める比率というものは、われわれの方でわかりませんので、購読料に基きまして算定いたしましたものは、大体戦前の基準年度でありますところの九年—十一年ごろの五五%から六〇%、十一年の十月に至つては七二%に達したものが、現在では五二%と、決して戦前に比べてそう著しく高いものではない。以上で私の説明を終ります。
  6. 千葉三郎

    千葉委員長 ありがとうございました。  次に、中越パルプ工業の川野力男君。
  7. 川野力男

    ○川野参考人 今回ここで問題になつておりまする関税定率法の改正によりまして、もし現行関税が引下げられた場合、私は中小新聞用紙メーカーの立場から自分の考えを述べてみたいと思います。  もしも関税が五%引下げられた場合は、新聞用紙メーカーのうち、特に中小メーカーに与える打撃は相当深刻なものがあると考えます。従来新聞用紙メーカーと申しますと、王子製紙と北越製紙とこの二社だけであつたのであります。しかるに戦後、昭和二十三年以来現在にかけまして、旧王子三社——王子、本州、十条、北越を加えました四大メーカ—のほかに、三十数社を算えるに至つております。しかしこれが現在におきましても、この四社だけが新聞用紙メーカーである、他のいわゆる中小メーカーの立場は、新聞用紙生産の上におきまして、ともすると忘れられがちなのであります。しかしこの三十数社は、戦後の新聞用紙不足に対応いたしまして、急速に増加して、鋭意生産に努力いたして来たものであります。この中小メーカ—の前記の四社に対する現在の生産の割合はどのようであるか、これは大体次のような数字を示して来ております。昭和二十四年度におきましては、大メーカーが九四%に対して中小メーカーは六%の比率でありました。それが二十五年は八六に対して一四。二十六年は八〇に対して二〇。二十七年におきましては六八に対して三二、こういうようにふえて来ておるのであります。なお今年末におきます推定から見ますと、五三に対する四六・七という比率になります。  以上のように、中小メーカーの大メーカ1に対する生産の比率というものは、このところ逐次増大して来ておりまして、現在における中小新聞用紙メーカーの重要度は相当大きく、この点から見ましても、中小新聞用紙メーカーとしては、新聞用紙需給に対しまして相当の貢献をして来たと信ずる次第でございます。しかるに、今ここで関税定率の改訂によりまして関税が五%引下げられたら、中小メーカ—の立場はどうなるか。現在の国内新聞用紙価格は、先ほど萬さんからもお話がありましたように、一連千五百三十円、四十円というところが平均でありまして、これより少いところもございます。それに対して中小新聞用紙メ—カ—の売値はどうなつておるか、結局その売値で行けば原価はどうなるか。そうすると、原価というものは売値一ぱいでありまして、採算点の限度に来ているものが大部分であると思います。また中小メーカーの持つております設備機械は、先ほども山田氏から御説明がありましたように、非常に小さいものでございますから、生産量においても非常に差異があります。なお新聞用紙の主要原料でございますサルフアイト・パルプ、グランド・パルプとかいうような設備があるなしによつても非常に影響を受けますので、この例をとりますと、サルフアイト・パルプ設備におきましても、現在新聞用紙生産に従事しております会社のうち、大メーカーも含めまして、これを持つておるものが七社、あと三十数社に及ぶものは持つていないのであります。こういうようなことが、製造原価が大メーカーに比べて非常に割高になつている原因でございます。またこれら中小メーカー設備は戦後のものでありまして、その償却もまだ十分行われていないというような点も、もちろん考慮に入れなければならないと思います。中小メーカーはこのような現状にありますがゆえに、もしもこの際関税が引下げられまして安くなり、外国品が輸入されるようなことになりますと、ただちにそれが国内品に影響を与えるものと考えざるを得ません。そして価格が下落することは当然予想せられます。この場合一前述のように、現在においてすでに原価一ぱいに来ておりますものが大部分であります中小メーカーにありましては、これら外国品と競争して値下げをするようなことができるであろうか、その余地はほとんどないと言つて過言ではありません。大部分のものがその場合経営の困難を来しまして、もちろん将来の生産設備の増強ということが阻害されますが、それのみならず、現在の生産量確保、維持というようなことが困難になるのではないかと存ずる次第でございます。その結果、これら中小メーカー生産量がむしろ減少いたしますと、せつかく関税引下げによつて新聞紙を輸入なされ、新聞発行の安定化を考えておられる新聞社側の御意図に逆の効果が現われて来はしないかということを危惧する次第でございます。そのほか、一方昭和二十四年以来もちろん新聞界の絶大なる御協力を得まして、最善を尽して新聞用紙生産に従事して参りました中小メーカーの諸君の努力が、あるいはこれによつて水泡に帰するようなことも起り得ないかと、これまた憂慮する次第でございます。  かくのごとき次第でありますから、関係御当局におかれましては、国内産業、特に中小企業の保護育成という見地に立たれまして、十分にこの点を御考慮くだされ、この際適切なる御判断と御配慮を賜わりまして、ぜひともこの関税定率を現行のままにすえ置かれるように、切に希望する次第でございます。
  8. 千葉三郎

    千葉委員長 政府委員に対する質疑はあとまわしにいたしまして、以上主君に対する御質疑をこの際お許しいたします。有田君。
  9. 有田二郎

    ○有田(二)委員 今いろいろお話を承つたのでございますが、日本経済新聞の萬さんにお尋ねしたいのです。今十条製紙山田さん、中越パルプの川野さんからお話がありまして、今までわれわれも紙の事情を存じ上げなかつたのですが、よく了承したわけです。ただ問題は、新聞社側から見まして、先般の王子製紙ストライキ、その他の製紙ストライキが原因して用紙が非常に不足して参りまして、新聞社もお困りですが、われわれ読者も非常に迷惑をいたしたのであります。従いまして、新聞経営の面からいつても、用紙不足ということはまつたく耐えられないところであろうと思うのでありますが、この紙の生産ということについては、国としてもまた重大なる問題であつて、両方の考え方は私は両方とも大切である、かように考えるのでありますが、ここで本委員会としては、どうしても一つの結論を生み出さなければならぬという立場に置かれておるのであります。今の両氏のお話を承りますと、大体需要量はまかない得る。ただ私の考えとしては、先般の王子製紙その他の諸会社ストライキがやはり大きく原因して、今日の不安を新聞社に与えているのじやないかという考えをいたすのでありますが、新聞協会の立場から御所見を承りたいと思います。
  10. 萬直次

    萬参考人 お答えいたします。用紙需給が、王子製紙ストライキのために非常にきゆうくつになつたという印象を与えていることは、事実であります。しかしただいま製紙業者の方の側から、需給は心配ないということを申されておるのでございまするが一日目ごらんになつておられるごとく、ああいうふうに一方がつるつるで、一方がざらざら、あるいは赤いのとか青いのとか、色が非常にかわつている、こういうことは原料面の不足ということが非常に反映いたしておるのでございます。それで原木の面が——これはわが国として、森林の資源の問題は重大な問題なのでございまするが、新聞関係の用材というものは、むろん全体の量から見れば六%か七%、年間五百万石前後ではないかと思いまするけれども、しかしただいま中越パルプの川野さんからも言われましたごとく、戦後中小の生産業者とわれわれとの関係も非常に密接でございまして、その原料の獲得難ということを私ども関係者はまのあたり見て、非常に苦しい経験をいたしておるのでございます。いろいろこの面におきましては、電力の面においても、原木の面においても、私どもは中小のメーカーに対しましては、各新聞社とも非常に協力をいたしておるのでございまするけれども、何分現実は、これが実際に困難な状態なつておるのでございます。その関係から、需給の面で、需要がどの程度今後延びるかということはわかりませんが、王子のストライキによりまして、たとえば九州地区とか、北海道地区、その他かなり多数の新聞社が建ページをかえるという計画を持つておりましたのを、全部先に繰延べて現在に至つておるのでございまして、できるだけこれを回復したいという考えを持つておるのでございますが、これは供給との関係でございまして、それぞれ新聞社としては苦労いたしておるのでございます。  それから現在ストックを持つておられるのは、全体のうちで、先ほども名前が出ました王子系の三社と北越製紙、大体この四社が比較的正常なストツクを持つて供給をされておるのでございますが、その他のメーカーはまつたくその日暮しといつてよろしいのでありまして、極端なのは、新聞社が工場ヘトラツクを持つてつて、できるのを右から左に持つて来る。そして、それがためにああいう色のかわつたものでも今日やむを得ず使用しておるというような状態でございまして、電力の面は、現在の電力開発が達成されたあかつきには、むろん将来だんだんと明るい面が出て来るという非常に明るい見通しを私どもは持つておりますけれども森林資源の面においては、とうてい楽観的な見通しはできないのでありまして、われわれの希望するところは、むしろ安い原木が入つて参りまして、それが国内メーカー設備によつて十分にまかなわれて、われわれにも豊富に供給していただければ、これに越したことはないのでございます。いろいろのわが国状況から、原木を今安く輸入するということもできない、そしてわれわれとしましては、この不足分を製品である紙によつて輸入いたしまして、何とかして食いつないで行こう、こういう状態でございます。  それからもう一つ御注意願いたいのは、新聞は御承知のようにあすに生産を延ばすことができない非常にきわどい何をやつておるのでございまして、ストツクが相当量なければ、こういう危うい橋を渡つて行くという状態でありますると、不安であつて、——いろいろのニユース報道の場合において、資材面が非常に危険だということは、全体的、心理的に非常に不安を与えるのであります。それから地方新聞社におきましても、かなり戦後に伸びた新聞社が多数ございます。これもおそらく製紙業者と同様に、昔からの新聞と、新興の新聞とが両方ございまして、それぞれの立場からいろいろと苦しい状態なつておるというような状態でございまして、私どもとしては、単に王子製紙のストテイキによる減産約二千万ポンドを、今回の輸入でもつてあれするということではとうてい需給は円滑に行かない、かように考えておるのでございます。そしてメーカーの方に十分のストツクを持つていただきたいということを希望いたしますが、これもメーカ—のいろいろの事情で、なかなかできないわけでございまして、結局は私どもがある程度のストックを持ちまして、みずからの発行する新聞に対するところの責任を果したい、かような考えを持つてお願いしておる次第でございます。
  11. 有田二郎

    ○有田(二)委員 十条製紙山田さんにお尋ねしたいのですが、今萬さんからお話がありましたように、新聞というものはわれわれにとつても非常に重大なものであつて、また国民全体にとつても非常に重大なものであることは御存じの通りであります。従つて今の萬さんのお話によりますと、生産さえ十分できれば、決して外国から紙を輸入しなくてもいいのだ、こういうお話がありますので、われわれもできる限り生産業者において、重大な使命を持つております新聞用紙については万遺漏なき方向をとられなければならぬ、また政府もさような方向に十分協力しなければならぬとわれわれは考えておる、そして資金関係では大蔵省、その他生産関係通産省を呼びまして、いずれあらためてこの問題は本委員会において検討いたしたいと思うのでありますが、生産者の立場においてこれを生産される場合におきまして、工場設備は、年々漸次ふえて参つておるのでありますからして、問題は私は原木であろうと思います。従つて、この用紙を海外から輸入するということでなくて、原本を輸入することができたら、私は、製紙会社もそれで非常に満足するところであり、また新聞協会も御満足であろうし、国民もまた迷惑がかからないという結論に到達するであろうと思うのでありますが、この原木の問題については、一体どういう関係で十分にこれが入つて来ないのか。新聞社側が御要求になるように、原木が非常に不安である、日本の木だけでは十分でないと私は考えておるが、海外から原木輸入しますためには、どういうような方法を政府にとらせればいいか、資金関係なり、あるいはドルの関係なり、あるいは海外との折衝なりをどういうように政府にやらせればいいかということについて、御所見を承りたいと思います。
  12. 山田誼衡

    山田参考人 私は、原木関係はちよつと専門外なので、あまり詳しい御回答もいたしかねるのでございますが、これについてはわれわれの方でも、戦争前からもまた戦争中も、原木の問題ということについては深刻な問題に当面しておるのでございまして、われわれといたしましては、相当十分な調査もし、また研究もいたしておつた次第でございます。特に南方林というものについては、戦争中にほとんどあらゆる調査を了しておりまして、将来日本国内の森林がどうしても足りないという場合には、ある程度これに依存しなければならぬということは、前々から考えておつた問題でございます。ただいまのところ、アメリカから輸入する、あるいはカナダから輸入するということも考えられるのでありますが、これは一昨年でありましたか一試験的に二、三の社で輸入をされましたけれども、非常に割高についており、またアメリカは、原木のままでは輸出をさせないというのが国の建前になつておるということでございます。従つて、現在その方面からの輸入ということは非常に困難なのでございまして、現在でも南方林というものについては、十分の調査を進め、またそれに対して、機が熱するならばいつでも応じ得るというような態勢も整えております。従つて、そういう方面からの輸入ということは当然考えられるべきでございまして、これらが可能になりました場合には、政府の積極的なる御後援をお願いしたいと思います。なお最も近く最も豊富にあります樺太、あるいはソ連からの輸入というものについては、現在の世界の情勢から考えられないのじやないかというふうな考えを持つております。  また国内の森林の問題でございますが、これにいたしましても、もう少し現在国内で使用されているものの方向転換をするといいますか、必要な部面に木材を使つて、必ずしも木材に依存しなくてもいい部分のものを他の分野に総合する。また国内の植林ということをもつと積極的にやる。これは、現在ではわれわれ業者がある程度やつておる状態でございまして、特にわれわれの社有林につきましては、全面的にやつておりますが、私有林の問題になりますと、まだその辺の将来の処置ということがはつきりきまつておりませんので、その点ひとつ政府においても、私有林の植林をどうすればいいかを検討されると同時に、国有林の植林ももつと積極的にやつていただきたい。また、われわれの社有林につきましても、もつと積極的な御後援をお願いしたい。それにつきましては、やはりいろいろ考え方があると思いますが、たとえば現在山林を買う場合に一番問題になりますのは、売つた人たちがそのときに非常に高率な税を課せられる、そのために、あとの植林がおろそかになるということがあるようでございます。従つて、山林を売つた場合には、それに植林の奨励金を交付するとか、あるいは植林した場合には、売つたその利益に対する税金をある程度軽減するとかといつたような方法によつて国内の森林をさらに増植させる、これが最も手近であり、最も容易な問題だと考えておりますし、しかもそのことがわれわれとしても最も重要である。従つてわれわれといたしましては、自分の山につきましては、年々相当の経費を計上いたしまして、植林並びに手入れを続けておるような状態でございます。そこで、私有林並びに国有林全般にわたつて、一貫した政策のもとに植林が行われることがわれわれとしては最も望ましいことであり、この点について、政府の積極的な御後援をお願いしたいというふうに考えております。
  13. 有田二郎

    ○有田(二)委員 十条、王子製紙は、今の御答弁によると、大体一年間ぐらいの原木の保有を了しているというお話でありますが、中小の代表の中越パルプさんにお尋ねしたいのですが、この原木について中小の方はどういう状態であるか。今山田さんのお話の中にあつたところの植林、林業関係の税金の問題については、今衆参両院の大蔵委員会で検討しつつありますし、今うしろに来ておられる主税局長も、さらにこの問題については御検討になることと思いますが、特に中小の方々のいわゆるパルプの問題、原木の問題、これについてひとつ御所見を承りたいと同時に、われわれが政府をどういうふうに鞭撻すればよいか——十条製紙王子製紙は一年間くらいの原木の御用意があるそうだが、中小にもそのような御用意があるか、なければ、今どういう状態にあるか。新聞協会のお話によると、今非常に困つているというようなお話でありますが、どういうふうになつているか、お聞きいたしたい。
  14. 川野力男

    ○川野参考人 ただいま御質問の原木につきましては、今御質問があつた通りに、王子ざんのようなところと違いまして、中小メーカーというものは、自分が山を持つているというようなところはほんの数社だと思われます。あとは、それぞれ買材でございまして、切つたものを買つて、自分の工場に入れているのであります。しかし中小メーカーとしましても、死活問題でございますから、それに対しては万全の手当を尽しておるわけでございますが、原木というものは、われわれが買う場合に現金で買わなくちやならない場合が多いのであります。そこで、中小メーカーとして原木をどうするか、どうなつておるかということになれば、やはりお金の問題になつて来るわけでございます。御承知のように、このような一般的不況の中にありまして、中小メーカーもやはり非常な金詰まりを受けておりますから、私どもといたしましては、大蔵当局におかれまして、銀行融資というような点について御協力を願いたいと思うのであります。現在市中銀行その他を見ましても、いわゆる選別融資、大企業ないし旧財閥というようなものに対して融資を多くするというようなことがありまして、われわれはなかなか融資を受けることができないのであります。もしも中小企業の保護育成ということをお考えくださいますならば、大蔵委員の方々におかれまして、いわゆる銀行融資をぜひともわれわれ中小メ—カ—にごあつせんくださるようにお願いいたします。
  15. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 十条製紙山田さんにお伺いしたいのですが、私たちは、外国から入れるのは外貨がいるから、なるべくならば国内の製品で間に合わせたいと思うのでありますが、われわれが一番心配しているのは、日本森林資源が非常に少いということです。しかも九州の水害は皆さん御承知の通りでありまして、そういう点で、われわれはこれから森林をつくらねばならぬときに現実に今木を切つているのだから、そういう新聞のようなところに少くて悪い材料を使わないでも、むしろそういうものは外国から輸入してでも、とりあえず現在及び将来の日本森林資源という問題について考えなければならぬのじやないかと思うのです。たとえば現在住宅問題があるけれども、御承知のように、日本は外国から輸入していないような関係で、木は非常に切られている。こういう立場から、私たちは森林資源確保ということについて非常に心配しているのであります。あなたは先ほど、日本は非常な森林国であつて、デンマーク、あるいはスエーデン、ノールウエー以上だというようなことを言つておられましたが、われわれが一番心配しているのは、わずかばかりのことのために国の全財産がなくなるということで、この間の九州の水害のように、一ぺん二千に億からの金が消費するというような恐ろしい結果が生れるのです。これは、ただ材木を濫伐したからということばかりではありませんで、今度の雨が六十一年ぶりの雨だつたということもありますけれども、少くともそういう災害を除くためには、現在のように、紙をつくるためにどんどん材木を切るというようなことでは将来のことが案ぜられるということをわれわれは心配しているのでありますが、そういう心配はいらないかどうか、紙屋さんは、自分のところだけがもうけて、重役さんに大きな配当をすればそれでよいのか、自分の会社のことだけお考えなつているのではないか、そういうことについてあなたの御意見を承りたい。
  16. 山田誼衡

    山田参考人 ただいまのお説でございますが、われわれは決して自分だけの立場で考えておるのじやございませんで、もちろん国全体の立場、あるいは現在の状態ということもいろいろ調査もし、十分考慮をしてやつておる次第でございます。お説の通り国内の森材資源というものが、やかましく言われ出してから相当の年月もたつておりますし、いろいろ問題になることは十分承知をいたしておりますけれども原木を使うにいたしましても、同じ原木の量から非常に多くの量がとれる新聞用紙というものは、国内でまかなうべきでありまして、もつと原木の効率の悪いものはむしろ減らすということは考えられるかもしれませんけれども、効率の最もいい新聞用紙国内でつくるということは、現在の森林の枯渇しておる際にも、特に必要な問題であるとわれわれ考えておる次第であります。
  17. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もう一点お伺いしたいのですが、私は紙のことは専門でございませんから知りませんけれども、現在一番われわれが心配しているのは、この間のストライキで、新聞社に紙がないということは現実の問題でありますけれども、しかしわれわれは将来のことを考えなければならぬ。前に樺太へ行きましたけれども、ああいうふうな、かなり無尽蔵な山があればいいのですけれども、今は樺太がない。内地をいろいろ見ましても、このままで行きますと非常に案ぜられるということが、われわれ国会議員の心配の種であります。現在住宅問題も、御承知のように材木が高いという点で進捗してないという立場から、われわれは、できるだけ外国から輸入するということについては反対をしているわけでございますけれども、こういう新聞用紙のような問題は、当分の間やむなくある程度まで入れなければならぬのじやないだろうかという考えを持つているわけでありますが、そういうことによつて相当の打撃を受けるということは、先ほど中越パルプの方からお話がありました。これは立場々々で御異議があると思いますが、量としてはわずかのものを入れておいた方が将来のためになるのではないかというような考えを持つておるわけであります。そういう点について、あなたはそれでは絶対いかぬというような強い反対の御意見があるかどうかをひとつお伺いしたいと思います。
  18. 山田誼衡

    山田参考人 われわれの現在の立場といたしましては、先ほども申し上げましたように、現在の生産設備もそこまで進んでおり、また紙パルプとして使つておる原木の量も全体量の七%余にすぎないというような量でもございますし、また現在の生産設備、あるいは能力というものから行きましても十分まかない得る。また先ほどストツクの問題がございましたけれども王子製紙ストライキによつて、あのときは明らかにストツクは著しく減りましたけれども、その後王子製紙は非常な増産に努めておりまして、特に他の一般紙に向けるべき生産新聞用紙に向ける。またわれわれの方も組合の協力を得て、休日の操業をしてさらにストツクの増加をはかる。われわれもストツクがある程度必要だ。これは資金関係もありますから、製紙業者が持つか、あるいは新聞社もある程度持たれるか、いろいろ問題があるところでございますが、現在のところ十分にまかなえるという考えを持つておりますので、そういつたような一時的な輸入措置に対して、関税定率というような恒久的な法律が変更されるということには、われわれとしては了解をいたしかねる次第でございます。
  19. 本名武

    ○本名委員 ただいままで御両者の御意見を伺いましたが、片方だけを伺つていると、どちらもごもつともに聞えるのでありますが、今後この法案を審議するにあたりまして、今伺いましたお話の中で二、三私の不審に思つたり、あるいはまた考えの及ばないところがあるので伺いたいと思います。  まず最初に十条製紙山田さんに伺いたいと思います。先ほど来お話を伺つておりますと、今後の生産量はむしろふえて行くということであります。一方お使いになる新聞協会の方では、需給のアンバランスが解消しないと言われる。一体ふえるという理由がどこにあるか。制約された原料を使つて、その原料増加されずに、技術その他設備の増強だけでふえるものかどうか。それから先ほど来両委員から非常に御心配なさつて質問されました森林資源の問題でありますが、この森林資源の問題解決のために、もつと集約的な利用方法はないか、その点から森林資源を擁護する道はないか、従つてそれによつて増産の道をたどる方法がないか。それからこれは川野さんのお話にあつたようですが、一応生産原価は限界に達していて、これ以上コストを下げることはむずかしいということですが、今日日本産業生産コストというものが、国際水準にかけ離れておることがやかましく騒がれておりますが、この社会性、公共性を持つた新聞用紙生産される会社が、敗戦その他による打撃によつて今日いまだ完全な復興を見てないと私どもは想像しておりますが、その過程にあつて、さらに今後コストを下げる努力をする方途がないと伺つたのでありますが、これらに対して私は非常に遺憾に思います。これらについて、もう少し御検討なさつた結果を伺いたいと思います。一応この三点についてお伺いしたいと思います。
  20. 川野力男

    ○川野参考人 実は先ほど、コストの引下げを強行する余地がない、引下げもむずかしいというお答えをしたわけでありますが、大部分の会社にそれがあてはまるかどうか、そのうちのある社につきましては、多少の引下げはできるだろうと思います。一昨年あたりは国内価格も高くて、それによつて、中小メーカーは売値をマツチさせて相当の利潤を上げて来たのでありますが、昨年外国品が輸入されまして、その輸入された品物はそう適応品ではなかつたのでありますが、そのときに一ぺんに下つて来た。その下り方が大きかつたので、そのときに、メーカーたちはそれにマッチするように合理化に努めたのでありますけれども、それに追いつかず、相当損失をこうむつておると思います。その後幾分値段が上つて参りまして、コストの引下げ、合理化ということにつては、中小メーカーはやはり死活の問題でありますから、決して等閑に付しておるわけではないのでありまして、各社それぞれ一生懸命にやつております。しかしながら大企業その他と違いまして、研究機関、調査機関、資金、技術者といつた面において非常に劣つておりますので、困難を来しており、なかなか思うように行かないのであります。そこで今後時日をかせばどうかということになりますが、現状をもつてしましては、その大多数のものはサルフアイト・パルプなどの設備を持たないので、非常にむずかしいと存じております。
  21. 山田誼衡

    山田参考人 ただいま生産増加をはかるために、原木の絶対量をふやさなくてもできるのかという御質問でございますが、これは、やはり絶対量はある程度ふえなければ、紙の絶対量もふえないと思いますけれども、ただ問題は、ごく高級な紙をつくる場合と、新聞のような紙をつくる場合一原木使用の絶対量の必要というものは、約新聞の場合には半分で済むわけでございます。従つてかりに新聞用紙というふうなものがどんどん輸入されて、国内生産が減るということになりますと、国内生産設備はおのずからもつと上級な紙に移行して行くということにおいて、原木使用量は絶体量が同じであつても、国内生産の紙の絶対量というものは一著しく減るということをひとつお考え願いたい。  もう一つは、従来は国内の針葉樹一本にたよつておつたわけでありますが、針葉樹の命数ということについてもいろいろ問題がございますので、最近の新設の設備というものは、大半が濶葉樹に移行しておる。従つて現在紙、パルプ原料として利用されなかつた新規の分野が開拓されておつて、針葉樹の使用量というものが、それほどふえなくても紙の絶対量は濶葉樹によつて著しくふえつある。今後もその傾向はますます著しいであろうというふうに考えております。
  22. 本名武

    ○本名委員 川野さんのお話によりますと、結局は設備資金の問題になろうと思います。これは、むしろこの法案とは別個に解決さるべき問題だと思います。それから山田さんのお話、非常に心強く感じましたが、私ども、やはり森林を大切にしなければならない国民の一人といたしまして、どうもしろうと考えでは、もつともつと濶葉樹への転換度合いを強くするとか、あるいはまた枝条その他の利用を徹底することによつて、もう少し増産できやしないかというふうにも考えられますので、一段の御努力を期待してやまないものであります。もちろん新聞紙のことですから、繊維関係の問題も起きて参りますでしようけれども、そこはひとつ技術を御研究なさつて、どんどんやられればいいのじやないかと想像されます。  次に、新聞協会の萬さんにお伺いするのでありますが、先ほどお話を伺つておりますと、やはりどの問題もごもつとものように感ぜられましたが、ただ二、三点伺つておきたいことは、まず第一に森林資源の問題であります。萬さんは強く森林資源のことを提唱されました。私も同様戦前の濫伐、過伐による整備もできておらず、しかも今日の需要を満たさなければならないということは、いかに森林の公共性から考えて、あるいは国土保全の上から考えて、重要なことであるかということを痛感いたします。しかしながら一方考えなければならぬことは一枯渇しておる森林資源に対して、どうしても育てて行かなければならない、ふやして行かなければならないということを考えなければならぬと思うのであります。その場合にまずパルプ原料製紙原料考えましても、半数以上の原料が国有林である。この国有林の経営の面からだけを考えてみまして、また先ほどの民有林の育成の問題も、税その他、あるいは森林法の取扱い等について御意見がございましたが、これらの問題を考えてみますと、一応私はやはり森林の育成一森林の成長に対して、何かの還元されるものがなければならないと思います。国有林の場合には、木代金をもつて還元して、さらに森林の育成一再生産を行つておる。民有林におきましても、課税その他の対策によつて、どんどん木を植えさせなければならない。この場合に考えなければならないことは、この課税によつて、かりに一割を減額することによりまして、外国からどんどん木が入つて来るようになる、従いまして新聞紙の公共性からいいまして、非常に安いものをわれわれ国民に供給してくださるということはけつこうでありますが、反面に森林の育成に混乱を来すようなことになりはしないか。新聞紙の原料というものが、その輸入される用紙価格に見合うだけの生産コスト国内生産費を切り下げるということは、そのしわ寄せがどこに行くかと申しますと、大体においてまず木代金にかかつて行くと私は考えるのであります。第一にかかるのは木代金であります。その木代金にしわ寄せがかかると、自然森林の育成、再生産に支障を来すのではないかというふうに考えられるのでありますが、先ほどのお話のように森林を守る、森林を擁護する、あるいは節約するという点はけつこうでありますが、一方育成して行くという点から考えますと、逆に安い木を使わなければならないという現象から、今日の経済、あるいは工場経営の上から、ただちに木代金にしわ寄せさせるということは、森林の育成の上に支障を来すのではないかと考えるのであります。それらについて、私は専門的な御意見を承ろうとは存じませんが、一応森林の育成についても御検討なさる必要があるのではないかと思いますが、その点の御所見を承りたい。  もう一つは、今日国際収支の問題を非常にやかましく取上げておりますが、国内メーカーの方では、一応今後の需要は十分満たすと言われる。その場合に、外貨の節約から申しましても、さらにまた国内産業維持の上から申しましても、一応これらの面に協力して、何とか国内生産品を多く使うような方法がとれないかどうか、これらの点について新聞協会としての御所見を承りたいと思います。
  23. 萬直次

    萬参考人 森林資源の育成ということに対しましては、私どもまつたく同感でございます。私森林の問題については専門家でないので、この問題は実は簡単にお答えできないのでございまするが、森林の問題はむろん紙の原料こしてでなく、建築材、坑木、その他非常に多様な用途を持つておりまして、この全体の面から将来の日本森林資源を再生産して行く面に持つて行かなければならぬのでございますが、ただ私ども考えとしましては、森林の育成についていかなる方法をもつてこれに協力して行くかという面については、いろいろと研究いたしておるのでございます。これは、国家全体としての森林の政策としてやられる場合においては、われわれも決してこれに対してある程度犠牲を払うことにはやぶさかではないのでありまして、これは具体的な問題が出て参りますときには、われわれは輿論機関として、また新聞企業のいわゆる資材面における重大な関係のある業者として、十分に御協力いたそうと考えております。  それから外貨の点でございますが、これは、まことにわが国の現在の国際収支の関係から行きますと、できるだけ外貨は使わないということに当然努力しなければならぬのでありまして、実は私の方も、恐る恐るこの外貨の申請をいたしておるような次第でございまして、先ほど来申し上げましたように、戦前には外紙に依存して新聞を発行している会社が二、三社ございました。しかし外紙は、その輸送関係その他から非常に不安定でございまして、これに依存しておつたために、実は過去においてはこれらの新聞社は結果においては非常な失敗に終つたのでございます。従いまして、現在非常に多量のものを外紙に依存しようなんという考えはわれわれは全然持つておりません。ごく少量をもつてあれするということと、先ほど来出ましたように、国内製紙業者に対しては、実は最も密接な関連産業といたしまして、できるだけその発展を念願しておるわけでございますから、その方を圧迫するような外紙を入れるという考えはないのでございますが、何分にも若干量はどうしてもあれしないと、安定性がない、こういうわけでお願いしておるわけでございますから、その点をひとつ御了承願つておきたいと思います。
  24. 本名武

    ○本名委員 御両者の御意見、まことにありがとうございました。ただちよつと誤解されるといけないので、萬さんに申し上げておきますが、私は森林資源をやかましく考えなければならないために、森林資源を培養するのだから税率を下げるのをやめろという意味じやないので、一応森林資源の立場から今日深く考えなければならない問題であるから、その点一応御意見を承つただけでございまして、誤解のないようにお願いいたします。ありがとうございました。
  25. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 当面の関税定率の問題だと、外紙値段の問題がずいぶん影響すると思うのです。それで萬さんのお話では、千六百円のカナダものは五十二、三ポンドのものだというお話ですから、三十円ちよつとということになると思うのです。製紙業者の方から出された北欧ものだと、それが大分安いのでありますが、一体北欧ものは入らないものか、あるいはその点についてそういう交渉をされたかどうか、あるいは北欧ものがどうしても入らないのか、その点一言だけ伺つておきたい。
  26. 萬直次

    萬参考人 私どもは北欧ものというものも非常に研究いたしておりましたのですが、先般の場合は非常に緊急を要するもので、カナダの方からお願いいたしたわけですが、北欧ものも、値段は大体これは相手方が買うということになりますと足元を見まして、最近の引合いではカナダものとほとんど同じ値段だという商社側からの報告でございます。  それから同時に、北欧はあまり大量に生産いたしませんので、少しずつというような関係もありまして、私どもは非常にカナダと違うというふうには考えておらぬのであります。それだけお答えしておきます。
  27. 千葉三郎

    千葉委員長 以上三君に対する質疑は終了いたしまして、これからこんにやく関係の方に移ります。  群馬県コンニヤク生産協会務局長武田武一君。
  28. 武田武一

    ○武田参考人 ただいま委員長さんから御紹介を受けました群馬県コンニヤク生産協会の武田でございます。このたびの関税定率改訂に伴いますところのこんにやくの関税引上げに関しまして、生産者の立場から、ぜひ高率なる関税を課していただきたいということをお願い申し上げたいと思うのでございます。  先に結論を申し上げたわけでございますが、まず第一に、こんにやくは国民の生活必需品でないということであります。主要食糧でないということがまず第一点でございます。  第二点は、すでに国内におきまして、戦後食糧事情の好転に伴いまして、生産需要バランスがとれて来たということでございます。  それから第三点といたしましては、こんにやくの生産地というものは、すべて洪積層地帯の非常に急傾斜の山間地帯でございます。非常に耕地反別の狭い零細な農業経営をやつておる地帯でございます。しかるがゆえに、そこらの農家の保護育成という立場からも、ぜひこの輸入こんにやくに対しては、高率なる関税をかけて保護していただきたいということが第三点でございます。  それから第四点といたしましては、先ほどもお話がございましたが、貴重なる外貨の節約という点から参りましても、さきに申し上げました、すでに需給バランスがとれておるものに対しまして、貴重な外貨を出すという点につきましても、やはりこれは関税をかけていただきまして輸入を避けていただきたい、こういうことでございます。すべて日本農業の特質から参りましても、国際農業の関連からいたしましても、国の保護がなければやり得ないというのが日本の農業の実態でございます。これはさきに問題になりました濠州のミルクの輸入によるところの酪農の沈滞、あるいは砂糖の輸入によるところの北海道のてん菜の始末、これらを見ましても、すべて日本の農業それ自体は、国の保護政策なくしてはやり得ないのは私が申し上げるまでもないのでございます。かかる意味からいたしまして、こんにやく生産地帯におきましても、先ほど申し上げましたように、実際に需要生産バランスがとれて、しかも国民のどうしてもなくてはならないという品物でないという点からいたしまして、また産地の農業経営の実態からいたしまして、特に御検討をいただきたいと思うのでございます。  そこで、まず国民の必需品でないこんにやくというものについて、簡単に常識上申し上げますが、こんにやくの成分というものはマンナンでちりまして、水分が九六%にも及んでおります。しかもそのカロリーにおきましては十一ということで、だいこん、かぶらのたぐいでございます。従いまして国民の保健上においては、決して重要な産物でないのでございます。そういうのがこんにやくでございまして一国内生産されましたこんにやくの大体七割は食用に供され、一割は工業用、これは紡績用ののりとか、いろいろに使われますが、あとの二割が再生産の種子用として使われておるのが現状でございます。そういう事情でございますので、食用で使われておりますが、これは必需品ではなくて嗜好品でございます。  それから先ほど申し上げました第二点の需給バランスの問題でございます。戦後こんにやくの作付がいわゆる適地適作という線からだんだん復活をして参りまして、昭和二十七年における、すなわちすでに収穫したこんにやくでございますが、これにつきましては、農林省農業改良局特産課の調べにおきましても、作付面積が八千二百二十四町歩ということで、昭和九——十一年の平均七千七百七十八町歩にほぼ近い面積にふえて参つたのでございます。その収穫量におきましても、二十七年の収穫におきましては、千三百七十二万八千貫という収穫を得ております。戦前の、先ほど申し上げました九——十一年の生産高が千百七十八万九千貫ということで、すでに戦前の九——十一年の水準を生産の段階において追い越しておるのでございます。  なお、さらに昭和二十七年の生産消費の概要を申し上げまするならば、ただいま申し上げましたように、昭和二十七年の生産は千三百七十二万八千貫という生産を得、しかもその消費は千三百四十万四千貫ということで、消費をオーバーしておる生産の実情になつておるのでございます。かような実情からいたしましても、外産のこんにやくを輸入する必要はないと私は考えるのでございます。  その次に第三点として、こんにやくの産地は非常な山間急斜地帯の、しかも零細な経営をやつておる農家であるということ、しかもその農家を保護する立場、育成する立場からも、ぜひ高率なる関税をかけていただきたいということをお願い申し上げたわけでございますが、お手元参考にこんにやく栽培と農家経済という印刷物を差上げてございます。これによりまして簡単に御説明を申し上げます。主要県、すなわち全国で北海道、青森県を除いて、こんにやくはどこでもつくられておりますが、大体百町歩以上生産される県というのは十四、五県ございます。その主要生産県におきますところの一年の農産収入の中で、これらこんにやく地帯において、こんにやくの重要度というものがいかなるウエートを占めておるかということを示したものでございます。昭和四——七年と昭和二十四年の実績がここに出ておりますが、たとえば最近の昭和二十四年におきましては、こんにやく生産地帯におきます農家経営の実態というものは、年間の農業収入が二十七万七千六百円、そのうちこんにやくの生産額が十四万九千二百円ということで、そこの家の農業経営の五割三分八厘というものはこんにやくによつてささえられておる、これがこんにやく生産地帯の農家経営の実態でございます。なおさらに切りぼしと申しまして、本日ここにサンプルを持つて参りましたが、こういうぐあいに、干粉にして貯蔵して出しますが、こういうことになると、そのウエートはさらに高く、農業年間収入の七割五分五厘というものが今日この収入によつてまかなわれておる、これが米にかわり、衣類にかわつて行くのでございます。そういう実情の経営地帯でございますので、ここに安い外産を入れられるということになりますと、その農家は実に危殆に瀕する状態に陥るのでございます。  産地の状態はそういう状態でございますが、しからば輸入のこんにやく、いわゆる外産こんにやくに対してどうしてこういうふうに魅力を持つのであろうかという点を、生産者の立場から申し上げたいと思います。これは私が先ほど来申し上げておりますように、すでに国内生産需要バランスはとれておるにもかかわらず、昨年の八月、一部の方々によつて日本コンニヤク原料輸入協会というものが結成をされまして、盛んにこんにやく輸入の運動が展開をされたのでございます。このときわれわれ生産者といたしましては、産地農業経営の立場から、生命線であるということでわれわれも闘つて参りました。なぜそういうふうに外産のこんにやくに魅力があるかということを、ひとつ皆様方にお知らせを申し上げたいと思います。それはお手元にも差上げてございますが、これは、内地のこんにやく、特に群馬県の実情でございますが、われわれ農家が生産をいたしましたこんにやくの生産費を出しております。その生産費から参りますと、ただいまお手元にまわしました荒粉でございますが、その荒粉というものの一貫目の価格が二千百九十八円で売れなければ、農家は採算がとれないということでございます。なおさらに私どものところのコンニャク生産協会での自主的な調査によりますと、一貫目二千八百四十円で売らなければ農家は飢餓販売になる、こういうことでございます。しかるにその備考を見ていただけばわかりますように、昭和二十七年八月におきましては、二千百九十八円で売らなければ採算が合わないこんにやくが、千八百円という相場でございます。なおさらに昭和二十七年五月の最低時におきましては、千三百七十三円というこんにやくの相場でございます。それをこの生産地帯の農家は売つて、米を買つてつておるのが実情でございます。そういう内地産のこんにやくの相場に対しまして、外産に魅力がございますから、御参考にその外産のこんにやくの相場を申し上げてみたいと思いますが、外産につきましては、先ほど申し上げました日本コンニャク原料輸入協会というものが昨年結成されまして、盛んに外産こんにやくの輸入運動がなされたのでございますが、そのときに輸入申請をされて、計画的に輸入しようと考えました数量が千八百トンでございます。その千八百トンのこんにやくを二十七年の七月から本年の八月にかけて、四期にわけて、外産の輸入を計画し、申請をし、しかも運動をして参つたのでございます。しかもその申請額の内容から参りますと、その入つて来るこんにやくが幾らかということでございます。そのこんにやくはインドネシア産のこんにやくでございまして、トン当りにしますと百八十ドル、これに関税現行一五%、すなわち二十七ドルを加え、マージン六%、十二ドルを加えますと合計二百十九ドルということになりまして、邦貨に換算いたしますと七万八千八百四十円になります。お手元にまわしたのが外産の荒粉でございます。これがインドネシアの荒粉でございます。こういう荒粉がただいま申し上げました一トン当り邦貨七万八千八百四十円で入つて参りますと、これを一貫目に換算いたしますと、驚くなかれ二百九十六円という価格になるのでございます。先ほど私が申し上げました農林省統計調査事務所の調査によるところの換算額、一貫目二千百九十八円で売らなければ農家は採算が成り立たないというこんにやくに対しまして、二百九十六円の外産が入つて来るわけでございます。ここに輸入せんとする方の魅力があるのでございます。これを入れることによつて、いわゆる内地の農家で生産された荒粉は値段が下ります。しかもその安いこんにやくを入れる、そこに経済的な非常に大きな魅力があるわけで、運動しておるわけでございますが、これに対してわれわれ生産者といたしましては、先ほど来申し上げましたように、こんにやく以外につくり得ない傾斜地帯の、礫土地帯で農業をやつておる生産農家でございますので、この二百九十六円の荒粉が入りますと、もうすでに昔の負債整理組合のようなものをつくつて農家を救わなければならぬというような、究極の場面に追い込まれて参るのでございます、かような点から、ぜひともわれわれとしては生産者の立場から、この輸入のこんにやくを押える一つの方法といたしましての関税の引上げを徹底的にやつていただきたい、かように考えるのでございます。私古いこんにやくに対する歴史も調べてみましたが、昭和四年ごろからこんにやくの輸入関税引上げの運動が起りまして、昭和七年に最も熾烈に生産者が血の叫びをやりまして、ようやく昭和八年に輸入関税が議会を通過いたしました。そのときには、従量関税でございまして、一貫に対しまして五円五十銭という関税で、これをパーセンテージに直しますと五二%になつておりますが、そういう関税がようやく昭和八年に通過したのでございます。ところが現行一五彩程度でございまして、どうしてもこれはわれわれ生産者の立場から参りますと従価十割、すなわち価に対して一〇〇%の従量関税をかけてほしいということでございます。これは、決して関税をかけて輸入を抑制するがゆえに、日本国民全体が困るということはないのでございます。これは輸入せんとする一部の業者の方々と何十万何百万という数の多い生産農家とのウエートの問題になると思います。もしこの関税の引上げということが行われずに、かりに外産が入つて来ると仮定したならば、おそらく群馬県を中心といたしますところの全国二十有余県の生産県のこんにやく農家の状態は、まことに悲惨なるものがあると考えるのでございます。ぜひとも委員の方々におきましても、こんにやく生産地帯の哀れな経営の状態を御確認願いまして、今度の関税改正の際に、ぜひわれわれとしては従価十割を要望いたしております。本日も、ここに全県下の生産者の署名捺印を添えまして、請願書を持つて参りました。この中には、もちろん関税だけではございません。こんにやく生産地帯に対するところの恒久的施策の確立に関する請願と称しまして、中には関税の引上げ、あるいは御承知のインドネシアとの通商協定によりますところのこんにやく輸入品目の除外、あるいは目下国会で審議されようとしておりますところの農産物価格安定制度要綱の中に、こんにやく荒粉を包含して価格の安定をはかつていただきたいということ、なおさらに、御承知の通り海岸砂丘には海岸砂丘として、あるいは積雪寒冷地帯には積雪寒冷地帯としてのおのおのの特殊立法がございますが、それと同じように、こんにやくの生産地帯に対するところの特殊農業振興立法をしていただきまして、ぜひともこれら地帯の農家を救つていただきたい、こういう請願の内容でございます。私は本日本県下の三十有余万の生産農家の血の叫びを代弁しておるわけでございまして、ぜひともこの生産農家の状態を御了察願いまして、関税の改訂に対しまして特段の御高配をお願い申し上げたいと思うのでございます。なおさらに、ちようどこれからが産地のこんにやくの操業期でございまして、こんにやくの時期でございます。こういう地帯でこんにやくをつくつておるのか、こういう地帯に農業経営が成り立つのかという実情をひとつ見ていただきたい、かように考えます。傾斜の三十度、四十五度、六尺の石垣を積んで畑が四尺という実情の所でこんにやくをつくつております。それ以外に何ものもつくれません。そういう実情をぜひ大蔵委員の方々にも見ていただきまして、なるほどということで関税政策をぜひ御検討願いたい。  以上私が生産者にかわりましての意見でございますので、よろしく御検討をお願いいたします。
  29. 千葉三郎

    千葉委員長 次に全国コンニヤク原料輸入協会顧問田中淳一君。
  30. 田中淳一

    ○田中参考人 ここにお呼び出しを受けましたのがちようど一昨日の朝でございまして、少し数字的の資料をつくろうといたしましたが、つくるひまもありませんでした。今お話になつたことにつきましても、大分われわれの調査と違つておりますので、意見もはなはだ違つて来るのであります。これから大体順序を追うて話を進めて参ります。  ただいまお話がありましたように、こんにやくは嗜好品でありまして、必需品ではございません。しかしながら、こんにやくは老若男女を問わず日本全国民が食べるものでありまして、もうこれは長年の習慣になつておる。今嗜好物になつたものじやない。では戦前はどうであつたかと申しますと、今お話になつた点がちようどそれでありますが、単位を一つにせぬとお聞き苦しいと思いますから一定いたしますが、今の荒粉に換算いたしまして、戦前には大体一年に四万駄、トン数にいたしまして一万一千三百トンくらいです。これだけの生産があつた。これは戦前と申しますか、もう統制なつ昭和十六、七年までの数量でございます。そのときに輸入物がどれだけあつたかと申しますと、大体二千トン内外、多いときは二千五、六百トン入つたこともあります。それを駄数に換算いたしますと六千駄。四万駄に対して六千駄入つておる。大体一割七分見当になります。そしてその当時の価格はどうであつたかと申しますと、相場は大体二割か三割の変動であります。これはきわめて普通の変動であります。従つてそれでもつて戦前の普通の供給需要をまかなえた。これで大した相場の変動もなく、いわゆる相場の調節ができた年なのであります。ところが戦争勃発と同時に、食糧事情のために他の作物への転作が行われて、こんにやくは非常に減つたのであります。そして昭和二十年、終戦のときにどうであつたかというと、四千駄なのです。ちようど戦前の十分の一に下つてしまつた。そしてこれは非常な暴騰をいたしました。その後年々増産をしておりまして、だんだんと出て来ております。しかしながら今お話のように、なかなか遅々として振わない。昨年の統計は——今申し上げたのは農林統計であります。昨年はまだ農林統計はできておりません。一昨年の数字でありまして、こんなに数はふえておらないのです。われわれ業者が生産者とも結びついて調べたところによりますと、大体昨年の生産高は一万八千駄ないし二万駄、ちようど戦前の半分でございます。それから、それがためにこの商売はどうなつたかと申しますと一あくまで私申し上げますが、需要があつて生産なんでございます。生産だけで需要はほうつておいてもいいものではありません。そこでこの変動はといいますと、昭和二十二年の相場から申し上げますが、終戦時に四万円のものが十二万円に高騰した。三倍です。それから二十三年は十六万円のものが二十九万円になつた。これは上る方から申し上げましたが、反対に上から下へ落ちているのです。それから二十四年は二十万円のものが三十八万円になつております。たつたこのくらいの俵四俵を一駄と申しますが、この相場が二十万円から三十八万円になつた。それから二十五年は十三万円のものが十八万円に上つております。この範囲で動いておるのですよ。それから二十六年は十六万円から二十九万円。二十七年は安値が十万円、高値が十七万円、戦前とは比べものになりませんけれども、昨年は割合よかつた。それが今年はどうです。まだ半年にしかなりませんが、十万円のものが二十六万円になつております。まさに三倍になろうとしている。戦争後こういう相場の上げ下げがあつた。上げ相場になつて投機の目標になつてしまつた。投機の目標になつたということは、原料の獲得が困難になることです。業者はもちろんのこと、場合によつては小さいこんにやく屋さんにもなかなか原料が入らない。入つてもぽかつと、安くなるんだから非常に損する。そういう状態なんです。これには業者も消費者も困つております。消費者は、今申しました通り必需品ではない、なくてはならぬものではありません。しかしこんにやくは大体下層階級が食いますから、現に九州の水害で非常に困つている。十万のものが二十六万、二倍半なんです。こういうことは国家の経済政策としていいかどうか。非常にこれは業者としても困つております。生産者もそれは困ります。生産者も、こう上げ下げがあつたんでは、計画が立ちません。そこでわれわれは、何とかしてこれを防がなければならぬ。そのためには一結局絶対量が不足なんですから、この需給を並行させなければならぬ。今の需給は平均しているとさつきもおつしやつたけれども、はたしてちやんと平均しているかというと、そうじやない。そこでこれを解決するためにはどうしたらいいかといいますと、絶対量をふやすために、外産を入れる以外に道はないのです。戦前ですらもやはり二千トン以上入つた。日本の一番大きな生産があつたときにも六千駄入つた。今まだ戦前の半分にも足らぬのに、昨年が一番多く入りまして千三百トンであります。こういうことで相場が維持できるわけはない。相場というものは非常によくわかります。こんにやくというものは、これだけなくてはならぬというものではない。しかしつくつたものは必ず食べてしまいます。そのかわり少かつたら暴騰します。これが商人が生きるか死ぬかの問題です。需要があつて生産、その生産したものが非常に少いので、こんなに迷惑がかかつている。そこでこれをどうしても輸入しなければならぬ。こういうことになつて来るのです。そこで昨年あたりはわれわれも大分いろいろな努力をして、輸入運動までやつて外産が多少入つて来た。千三百五十トン。そのために昨年は戦後一番相場が安定しています。ところがことしになつてからみな暴騰しているのは、この面なんです。そこでこの外産を輸入して、価格の調整をして、業界の安定に役立てるには、どれくらい輸入したらいいかという問題が起つて来る。そしてその安定した数字は、どういう税率をもつてやるべきかという問題に入つて来るわけです。そこでこのためには三つのことを考えなければいかぬ。まず第一に、日本内地の安定相場、いわゆる適正価格というのはどこにあるか、これを一つ考えなくちやならぬ。もう一つは、安定相場に調整して行くためにはどれだけ輸入が必要か。これが一つ。この適量を輸入したら安定します。その適量を輸入するにはどれくらいの税金をかけたらいいのか、現行税率は妥当かどうかということになるのであります。なるほど日本の農家が非常に困つたら、保護政策をとることは当り前です。これは世界の通則であります。  そこで第三の問題がきようの問題ですが、順序として、適正価格は幾らであるかということから申し上げます。これについては、生産費をもとにすることは当然ですが、私自身生産しておりませんから、数字はつきり申し上げられません。しかしこれに関して今年の三月四月だと思いますが、朝日新聞に、群馬側の中曽根さんの名儀と、それから大阪のわれわれの会長の名前で、両者の意見が出ておりますが、その中曽根さんの話を見ると一日本のこんにやくの生産費は一駄当り十五万ないし十八万になつている。しかし私はこれは実情から見て承服できない。その理由を申し上げます。これはこういう生産費のもとにしないけれども、業界のいろいろな団体があつて、そういうものが寄つてたかつてつくつた適正価格が幾らかということを、昨年十二月に業者が集まて、そこで発表したことがある。それによると、生王が一貫目二百五十円、精粉が一駄十一万円になつている。これが適正価格である。これでもつて日本需要供給を安定さすべきである。これが今まさに二十六万円になつている。二倍半です。だから十万ないし十一万というのが適正価格である。今度は他物価との比較を見ると、戦後各商品の物価は大体戦前の百五十倍から二百倍になつておる。米にしても何にしてもうすべての指数がそうです。それから見ると、二百倍と見て、十万円です。戦前の相場が五百円だから、まさに二百倍です。これから見ても、その辺が適正価格だと思う。さらにわれわれは米とこんにやくの収穫をよく比較して聞かされますが、私も元来こんにやく屋ではありませんから、よく知りませんが、こんにやくは一反歩に四貫目とれるそうです。これをかりに二百倍で換算すると、十万円です。同じく一反歩に米は幾らとれるか、これは地方によつて違いましようが、大体四石、これを今やみと公定値段の中をとると、一升百円として四万円です。これだけの相違があります。十万円と四万円では非常な差です。そういつたことから考えても、十万、十一万というところが適正だと思います。それから本品は、他の作物の適しない山間僻地につくるということになつておりますが、事実はそうでない。これは群馬県でも行けばわかりますが、畑地でほとんどつくつておる。ひどいのは、米の田をつぶしてこんにやくを植えようという人がある。これは事実であります。きのう聞いたのです。こういつた実情であります。いかにこんにやくが農家としてもうかるかということなんです。そういうふうないろいろなことを考えまして、こんにやくの適正価格はやはり十万か十一万ということになる。  それでは外産の輸入数量はどうしたらいいかというと、戦前でも二千トン入つておつた。戦後は絶対量が少いから、相場を維持するためには、四千トン、五千トン入れても間違いでない。暴騰させるならば別です。それで昨年は千三百五十トン入つたために、相場が安定した。これらの点から見て、やはり二千トン内外の輸入は必要だと思う。今年はいろいろな問題のために一トンも入らない。そこで先月の初め十四万五千のものが、もう二十五万になつてしまつた。こういうばか相場を出しておる。しかもこれは農家の手を離れておる。今持つておる者の分が暴騰しておるというかつこうであります。  そこで今度はどれだけの輸入レートにしたらいいかという本論に入ります。こういうふうに内地粉の適正価格、外産を入れなければならぬ数量等を勘案して、どうしたらいいかということになると、税金の問題は、前国会で出たときに、やはりわれわれは意見を出したことがあります。当時は相場が十万円、ちようど適正価格だとわれわれは見ておりますが、その際に、その当時一トンの原料輸入するのにどれだけの税金負担ができるか、いわゆる担税力がどこにあるかということをいろいろ考えた。それを元にして言いますと、当時、内地の相場が一駄十万円。そして外産の輸入が、話を縮めるためにジヤワ品だけを例にとりますと、ジャワ品は一トンのものが二駄半とれます。そこで同じ基礎で話すと、二駄半ということは、十二万五千円になる。日本の半値です。日本値段はどうかというと、一駄二十五万円が今の市中の相場です。ところが当時の輸入の採算はどうかというと、さつき百八十ドルと申しましたが、これは運賃や何かを入れると二百三十ドルでなければ買えない。二百三十ドルを換算すると、八万二千八百円になる。そのほかに輸入諸掛りが相当かかつて来る。最近は御承知のように食物検査がありますから、戦前になかつたものがかかる。われわれの口銭が五分ないし六分で五千円か六千円、加工賃が一万二千五百円、合計十一万三千円ぐらいになります。そこで当時の十二万五千円という日本で売れる相場から、この原価の十一万三千円を引くと、一万二千円になります。これが税金なり何なりを負担し得る力であります。これをCIFの値段の割合で出してみると、一割七分になる。現状においてはこの輸入税は一割五分です。二分の違いです。ですからこれをひつくるめて考えますのに、現在の関税一五%はきわめて妥当だと思います。これ以上げると、輸入が入らぬと思います。輸入が入らなければ、今のような暴騰を繰返します。内地産は少いのですから、どうしても輸入しなければならぬ。これが根本であります。もし現在のように輸入防遏の政策をとられる限りは、税金を上げることは無意味です。むしろ幾ら入れるということをまず第一に考慮に入れて、それでこの税金はこうするのだ、こういうふうにしなければならぬ。今は本末を顛倒しておる。入れないようなことにしておいて、税金をいじくる必要はない。われわれを縛つておいてやれ、こういう政策では、われわれは合点が行かない。そこでわれわれ商売人なり生産者なりのすべての実情を——生産者だけじやない、消費者あつて生産ですから、これをよく聞いて、これを円滑な商売をさせる、市況を安定させる、暴騰をやらせないというためには、絶対量をふやさなければならぬ。そのためには、足らぬところを輸入しなければならぬ。そういうことをきめてそれから税金をきめてやるということになる。この保護政策をとるならば、その基礎になることをしないで、われわれを縛ることだけ縛つておいて輸入をさせないということは、本末転倒だと思います。  簡単でございますが、これで私の意見を終ります。
  31. 千葉三郎

    千葉委員長 以上両君に対する質疑を許します。藤枝泉介君。
  32. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 大体わかりましたが、非常に開きがあることだけちよつと伺いたいと思います。田中さんにお伺いしたいのは、先ほど生産者側の武田さんからのお話だと、輸入のものをこちらの荒粉一貫当りに換算すると二百九十六円になる、それに対して、今のお話よく聞き取りにくかつたのでありますが、一五%の関税でも、内地のその当時の十万ないし十一万という値段とほとんど同じだというので、御両者のおつしやる輸入値段に非常な開きがあるように思うのでございますが、田中さんはどうお考えでしようか。
  33. 田中淳一

    ○田中参考人 私も今お話を伺つてつて、どうもしろうとの方はどうにでもお考えになるという気がしたのであります。二千九百円とかいうことは、生産費から割出したことと思いますか、われわれは大体二百五十円と思います。それで輸入品の値段は十分の一くらいになつております。こんなばかなことはないのです。こんなことでしたら、われわれは非常なもうけになります。こんなもうけはない。そうして外産は品物が悪い。それで今内地品の半値だと申し上げましたが、これを切りぼしという、つまり荒粉で換算してみますと、さらに悪いのです。五分の一が普通であります。それはつまり製粉する前に、非常に粉になつ生産の歩が悪い、いろいろなことを勘案して半値になります。ちよつと今すぐにそろばんがたちませんが……。
  34. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 それでは逆に武田さんにお伺いするのですが、トン二百三十ドルだという田中さんのお話なんですが、二百三十ドルにしても、あなたのさつきおつしやつたような換算をもつて行くと、荒粉において換算しても、少くとも現在の内地の値段とはえらい開きがあるように考えられるのですが、いかがでございますか。
  35. 武田武一

    ○武田参考人 ただいまの外産価格の問題について、価格に非常に大きな開きがあるということでございますが、先ほど私が申し上げましたのは、インドネシア産荒粉一貫当り二百九十六円という価格で千八百トン入れるという計画が昨年の七月できたわけでございます。その計算が、先ほど私が申し上げましたようにトン当り百八十ドルで、それに現行関税をかけて、マージンを入れて二百十九ドルになる。そういたしますると、荒粉一貫目に換算いたしますると二百九十六円になるのでございます。それではあまりにも内地の価格と外産の二百九十六円との差があるので、これは間違いではないかという御疑念を確かに抱くと思います。しかしながら、その差は私が先ほど来申し上げておりましたように、外産こんにやくに対するところの経済的な魅力であります。なお昭和二十七年産の外産輸入のCIFの価格を私は調査いたしました。そういたしますると、昭和二十七年にインドネシア、南支、香港、北支合せまして千四百七十八メートル・トン入つております。その輸入価格をトン当り平均いたしますると、十三万七千三百四十二円ということになります。それをメートル・トン当り二百六十六貫六百七十匁で割りますと、荒粉一貫目の価格が五百十五円となります。従いまして昨年の七月は二百九十六円であつたけれども一その後だんだん上つて参りまして五百十五円である。このくらいの上りはしかたがないのであります。従つて先ほど来私が申し上げておりますように、外産と内産との価格差が非常にはげしいということは、今の一事を申し上げてもよく御了解いただけると思うのであります。
  36. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 それからこれは私確かめておりませんから、あるいは誤りがあつたら訂正願いたいのでありますが、このこんにやくの粉が、何か支那の薬だとか、そういうようなことで税関を通つたということを一時新聞で見たのでありますが、それに関連して、生産者側の武田さん及び輸入関係に携わつておられます田中さんが何かお聞き及びのことがありましたら、簡単にお知らせ願います。
  37. 武田武一

    ○武田参考人 では生産者の立場から、ただいま御質問がありましたので、知り得る範囲のことを簡単に申し上げたいと思います。輸入こんにやくに対しましては、すでに新聞その他でも御承知のように、昨年の十一月四日農林、通産両省の協定によりまして、インドネシアとの通商協定によつてこんにやくの数量、時期を制限したのでございますが、それ以外は、こんにやくは入らないことは当然でございます。またわれわれ生産者農民といたしましては、政府の方針をそのまま遵奉いたしまして、輸入こんにやくに対して対処して来たのでございますが、しかるにことしになつて新たな事実を呼びまして、すでに神戸の税関におきまして、一月から三月の間に九十一トンの南方の荒粉が入つておる。しかも品名をこんにやくと言わずに、いろいろの名前を使つてつておるという事実を聞いております。なおさらに、私農林省でおととい調査をいたしましたが、現在税関未通過になつておりますこんにやくが——もちろん私が先ほど申しましたように、インドネシアとの通商協定、農林、通産両省の協定以外にこんにやくは入りようはずがありません。にもかかわらず、その入らないということを承知してかしないでかわかりませんが、要するに品名をいろいろに使つてこんにやくを入れております。その一つは、神戸税関に目下三八・八一六トンというこんにやくがつかまつております。これはドライド・タローという名称で入つておりますが、乾いたタローいもということであろうと思います。なおさらに四日市の税関におきましては、二〇・三〇二トンというものか、新聞で御承知と思いますが、チヤイニーズメデシンと称しましてかかつております。これは漢方薬という意味であります。さらに神戸の税関におきましては、四八・七二〇トン並びに五〇・五〇〇トンというものがエレフアント・ルート、英語で象の足と称しますが、この象の足はこんにやくと解するそうであります。そういうものが入つております。しかも税関につかまつております。さらに横浜税関には六七・〇三〇トンというものがこれまた英語で入つております。デベンス・タング、悪魔の舌と称するそうでありますが、これも解釈によつてこんにやくと称するものでありまして、以上合計いたしますと実に二百二十トンのこんにやくが、われわれ生産者の純真なる気持を踏みにじつてつております。これに対しましてわれわれ生産者といたしましては、いかに百姓といえどもつておられないということで、御承知の通り前国会の予算委員会におきましてこの問題が闘われ、さらに農林委員会において二度もこの問題が出ているような実情でございます。ただいま申し上げましたのは、品目詐称ないしはいろいろの名前で入つておりますこんにやくの実態でございます。
  38. 田中淳一

    ○田中参考人 今の問題について、輸入関係がありますから申し上げます。今のお話はまさにその通りであります。どうも、これはわれわれまじめな輸入業者ではなくて、インチキ業者で、三軒だけです。これにはわれわれも非常に関心を持つておりまして、国家が許さぬのに入れた。そうなつたのについては、去年から一トンも輸入許可をしないものですから、しかもその上群馬県としては輸入反対運動をやつている。だから輸入はもう入らぬのだということで相場がぐつと上つて来た。それでもうかるものだからやつたわけです。そういう連中はもうかればいい、あとはどうなつてもかまわぬという手合いですから、ほかの者が非常に困つてしまつた。こればまさにわれわれ自身非常に不賛成です。それを一般貿易業者がやつたのだというふうに思われると非常に困る。このことは予算委員会でも問題になりまして、そのとき私も傍聴したのですが、その感想を申し上げますと、質問するのも答えるのも、何ともどうも弱い者いじめになつたような感じがします。なぜかというと、質問者の主たるところはその不当をつかれたのでして、なるほど悪い。つくことはいい。ですから、この不当を追求してくれるのはわれわれもありがたいのですが、しかしながら、質問者の趣意は、この不当が解決するまで、当局の措置がきまるまで輸入をこめてくれと言う。それに対し大臣はよろしいと言つている。この問答はわれわれにとつて非常に致命的です。これは群馬県の生産農家としては、非常にしやくにさわる。われわれでさえこういうことをやるのはいけないと思う。しかしながら今の状態はかわつて来ている。ともかく相場は十六万円から二十六万円になつている。それでこんにやくを生産する人は、この原料の手当に困つている。といつて、きよう二十円だつたものがあしたは三十円になつたから一十円値上げだなんていうことは、商売の道徳からいつてこれはできない。しかしこのままでは損になる。そういう場合どうするかというと、品質を押える。皆さんもおわかりだと思いますが、だんだん品質が悪くなつて、今は水みたいなこんにやくになつている。こういうことをせざるを得ないのです。生産者はどうかというと、一応これは生産者の手を離れているので、相場が今のところ上つても下つても大して苦痛にならない。それにもかかわらず、業者はそれに依存している。少しはわれわれの立場も考えてもらいたい。われわれはお役所に対して弱いのです、何を言われてもがまんしなければならない。     〔委員長退席。坊委員長代理着席〕 しかしこういう実情に対しては、政治家は側面から政治的に解決していただきたい。悪を追求するに急のあまり、そのため全員が困つております。それを、質問者の言う通り、よろしゆうございますとはどうしても言えない。これでは質問する方もせられる方も、まるで政治的な考慮は一つもない。われわれ政治の中心である議会で、こういう政治をやられてはたまらぬと思う。これはほんとうに困つている人がいるのだから、その辺よく事情を調べてみた上で審議してもらいたい。この問題は、社会党左派の方で言われたのだが、一般の中小企業のため——生産者もわれわれも中小企業です、この中小企業であるこんにやく屋さんをカバーして行くのがほんとうだと思いますから、もつと政治的に解決していただきたい。これでは政治的な考慮が一つも払われていないと思うのです。
  39. 島村一郎

    ○島村委員 私は、どうもこんにやくに対する知識はまつたくないのですが、両方のお話を伺つているとますますわからなくなる。まず武田君にお伺いしたいのですが、先ほどのお話のうちで、生産量消費量を上まわつているように伺つたのですが、私の聞き間違いであるか、もう一ぺん……。
  40. 武田武一

    ○武田参考人 ただいまの御質問に対してお答えします。昭和二十七年産におきましては、先ほど私が申し上げましたように、全国の作付面積において八千二百二十四町歩、生産高一千三百七十二万八千貫でございまして、二十六年の生産に比しますと作付において六〇・八%の増、収量において四〇%の増になつております。これ対しての二十七年の消費が千三百四十万四千貫ということでございまして、若干生産消費を上まわつているということを先ほど申し上げました。
  41. 島村一郎

    ○島村委員 それでは次に田中さんにお伺いしたいのですが、どうも輸入防遏策をとると、ただちに価格が暴騰するというお話を伺つたように思うのですが、その通りですか。
  42. 田中淳一

    ○田中参考人 そうです。
  43. 島村一郎

    ○島村委員 そうすると、そこのところがわからないのですが、内地において生産過剰しているのにかかわらず、輸入しなければ暴騰するということになると、どうも話がわからなくなる。たとえば品質がいいとか悪いとかいう問題がございますが、それを製品化する場合、あるいは原料として使う場合、よほど品質を悪くしないとコスト高になるというふうにお考えになるのですか。
  44. 田中淳一

    ○田中参考人 今生産消費とが一致しているというお話ですが、戦前と同じような生産があれば、決してこういう相場にはならない。生産したものだけは全部消費してしまい、足りなければ値は上る。余つてどこかに輸出するというものでない。つまりこうなるのは、需給バランスしていないということで、売れるにもかかわらず商品がないのです。これは経済の原則でありますからと、こう思います。
  45. 武田武一

    ○武田参考人 生産者の立場からふに落ちない点がございますので、私考えたことを申し上げたいと思います。先ほどのお話では、国内生産における需給のアンバランスによつて、目下消費者が非常に困つているという田中さんのお話でございました。私毎日こんにやくその他の農業経済に関して新聞を見ておりますが、こんにやくが食えなくて弱つたという消費者の悲鳴を書いた新聞を見たことがございません。その点だけを申し上げておきます。  なお先ほど群馬県のためにというお言葉でございましたが、全国にはこんにやくの生産県はたくさんございます。そこで私の方が特に主要な県であるがため、いわゆるジヤンヌダルクのように先頭に立つて、こんにやく生産業者のためにやつている。従つて組織としては、全国指導農業協同組合連合会の中に、全国コンニャク生産協会というわれわれの全国組織がございます。従つてたまたま本日私群馬県の事務局長として参考人に呼ばれたのでありますが、これは中央生産県という意味で、御指摘のように群馬県だけの百姓が決して欲をかくために言つているのではありませんで、全国のこんにやく生産者の血の叫びとお聞き取り願いたいのでございます。
  46. 福田赳夫

    福田(赳)委員 今生産者、業者の立場から、両方聞いたのですが、どうも意見がまつたく対立しておるようであります。意見の対立は、まあ立場が違うのですから、これはそういうことがあり得ると思う。しかしその基礎になる資料については、これは違うはずはないと思うのでございます。まず第一に需給状況について今お話がありましたが、これはどうもそう違いがあるはずがないのであります。これはひとつ委員長お願いしたいのですが、農林省に需給状況をぜひひとつ取調べてもらいたい。これは重要なる判断資料でございます。  それからもう一つは一生産費であります。先ほどの業者の方のお話によりますると、大体一駄十一万円だ。それから何か中曽根さんという人のお話では、十六万円から十八万円というお話でありますが、ここにも非常な開きがある、これはおそらく農林省で相当詳細なる調査をしておると思うのでありますが、これをひとつ本委員会に提出してもらいたい。これを委員長お願いいたします。  それから輸入価格の問題、これがまた関連して重大な問題であります。これにつきましても、両者の間に違いのあるはずがない問題でありまするが、非常に違つた意見が示されておるわけであります。これまた通産当局に要求しまして、本委員会に判断資料として提示願いたい、これをお願いいたします。
  47. 春日一幸

    ○春日委員 資料の提出要求でありますが、ただいま田中さんのお言葉によりますと、こんにやくの需要というものは、その原料のものプラス・アルフア、そしてあるだけ食つてしまうのだと思います。そこで問題となることは、現在の生産実数並びに輸入された数量だけでは、この問題の帰趨は私はわからないと思うのであります。従いまして、本日は生産者と輸入業者、いずれにしても原料関係の方ばかりで、ほんとうに需給状況を実際的に把握するためには、私はこんにやく屋さんの意見も必要であろうと思う。こんにやくをつくろうと思つてもいもがあるかどうか。こんにやくをつくろうと思つてもいもがない場合には、その原料に対する手当が必要でありましようし、つくろうと思えば、幾らでもいもが現実にあるということならば、これはそんなに原料を貴重な外貨を消費してまでも外国から輸入する必要はないだろう。国内農産物を保護しなければならぬという考えもわいて来るのでありますが、こんにやくの製造家の機関が何かあると思いますので、そういう方面から、こんにやくの需給がどういうふうな状況で行われ、それに対して原料手当がどういうふうな実態の上に置かれておるか、これをひとつ資料として御提出願つて、その上でわれわれ判断をいたしたいと思いますので、それを当局の方においても、あるいは業者の方においても、御提出を願いたいと思います。
  48. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私は輸入協会の田中さんにごく簡単に一点伺いたいと思う。あなたの先ほどのお話を伺つておりますると、前提が、国内生産に携わつておりますところの武田君の話を聞かれて、輸入業者としてごもつともな話であつたと思つて、一応私は了承するのでございます。ただ先ほど予算委員会でのわれわれ同僚委員のこの問題に対する検討の態度に対して、とかくの御批評がありました。われわれ大蔵委員会は、関税法という問題に関連いたします関係上、慎重に審議しなければいかぬという意味合いで、御両者をここへ招致いたしまして、そうしておもむろに御高見を伺つて、これを資料として関税法を再検討しようとしておるのでありますが、その点は、大蔵委員の同僚諸君に対しては正しく御認識願つておきたい。  そこで簡単に本問題を一点伺いたいと思うのでありまするが、先ほど同僚委員からの質問に御答弁された中に、最近非常に正規のルートをたどらなくて、密輸があるという話で、ときによれば、支那の薬だとか、象の足だとか言つて厖大な密輸がある。大体密輸があるということはどこに原因があるか、これを言いかえると、私たちの考えでは、国内価格と国外価格の差が大きい、これに対して関税法はどうしておるかということを今調べてみますと、現行法は一五%になつておる。あなたも輸入協会をおつくりなさつて、こういう密輸業者があるということは、業界発展のために非常に残念で、何とか撲滅したいという意味で御関心を持つておられるというお話、さすれば、私考えますのに、現行法の一五%という関税を、五〇%とか一〇〇%くらいに引上げると、国外価格国内価格の差がなくなつて、あなたたちの御希望しておるところの密輸がなくなるのではないか。これに対するあなたの御高見を、一度われわれ大蔵委員は伺いたい。
  49. 田中淳一

    ○田中参考人 最近値段が非常に上つた、これには密輸が非常に関係しているのです。それで農林省の態度は、大体内地の相場が十四万円ぐらいだつたらいいが、それ以上はいかぬ。ところが密輸がありましたために、相場は上らないのです。知らぬ間に入つちやつた。この前お話の通りに、相場は非常に下つてしまつて、どうしても上らない。われわれは輸入を望んでいた。そしてそれが押えられちやつた。ところがそういう連中は、いろいろなものを持つて輸入する業者と違います。業者は全額金を払つちやつておるのです。そこでどうも品物がとれない。輸入業者に行くわけです。その輸入業者の持つておる内地のこんにやくの粉がたくさんある。それを一ぺんにどつと出したから、二重にも三重にも相場をくずすようなことになつておる。ところがこれが今追究されまして、議会でもつて問題になつて、どうにもこうにもならないことになつた。そのために相場はまたぐつと上つたということは、これだけ今紛糾すれば一輸入は許されないだろう、日々の新聞輸入難だということが伝えられて来て、だつと上つて来た。とにかくそういうふうなばくち商売です。投機的になつておるために、それを当て込んでみなやつておる。われわれの言うのはそうじやない。そういう投機であるから、相場を平均と言つてはおかしいが、安定相場というものをつくつて、暴騰、暴落がないようにしたい。それには絶対量をふやさなければならない。内地だけではどうしても絶対量はふえない。今農林省へ資料提出方のお話がございましたが、これは非常にいいことです。われわれはバランスがとれていないと思つておる。そういうことであります。
  50. 千葉三郎

    千葉委員長 以上をもちまして、印刷用紙及びこんにをくに対する輸入税について、五人の参考人方々より御意見を全部拝聴いたした次第でありますが、この際委員長よりちよつとごあいさついたします。参考人方々におかれましては、御多用中にもかかわらず、わざわざ御出席の上、長時間にわたり印刷用紙及びこんにやくに対する輸入税について、忌憚のない御意見を開陳され、本委員会における法案審議の上に多大の参考となりましたことを、委員一同にかわり厚く御礼申し上げます。  本日は午後一時から本会議が開かれる予定なつておりますので、この程度にて散会いたします。  次会は来る十四日火曜日、午前十時より開会いたします。     午後一時十分散会