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1953-07-03 第16回国会 衆議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月三日(金曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 千葉三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 苫米地英俊君    理事 坊  秀男君 理事 内藤 友明君    理事 佐藤觀次郎君 理事 井上 良二君       有田 二郎君    宇都宮徳馬君       大上  司君    大平 正芳君       黒金 泰美君    藤枝 泉介君       宮原幸三郎君    福田 繁芳君       本名  武君    小川 豊明君       久保田鶴松君    春日 一幸君       平岡忠次郎君    福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    今泉 兼寛君         大蔵事務官         (理財局長)  石田  正君         大蔵事務官         (管財局長)  阪田 泰二君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         大蔵事務官         (為替局長)  東条 猛猪君         国税庁長官   平田敬一郎君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      新沢  寧君         日本専売公社塩         脳部塩業課長  大谷  浩君         衆議院事務総長 大池  真君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 七月三日  委員春日一幸辞任につき、その補欠として中  澤茂一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中澤茂一辞任につき、その補欠として今  澄勇君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月二日  揮発油税軽減に関する請願山花秀雄紹介)  (第二二八三号)  同(岡村利右衞門紹介)(第二二八四号)  同(尾崎末吉紹介)(第二二八五号)  同(生田宏一紹介)(第二三四五号)  同(小平久雄紹介)(第二三四六号)  同(山田彌一紹介)(第二三四七号)  同外一件(平野三郎紹介)(第二三四八号)  石油関税減免措置延期に関する請願尾崎末  吉君紹介)(第二二八六号)  同(山花秀雄紹介)(第二二八七号)  同(平野三郎紹介)(第二三四九号)  同(高橋等紹介)(第二三五〇号)  同(竹尾弌君紹介)(第二三五一号)  同(生田宏一紹介)(第二三五二号)  農業所得税に関する請願大石ヨシエ紹介)  (第二三六四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国の所有に属する物品売払代金納付に関す  る法律の一部を改正する法律案参議院提出、  参法第一号)  地方公共団体負担金納付特例に関する法  律案内閣提出第一一号)  塩業組合法案内閣提出第一二号)  信用金庫法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三号)  小額通貨整理及び支払金端数計算に関する  法律案内閣提出第一四号)(参議院送付)  一般会計歳出財源に充てるための緊要物資  輸入基金からする一般会計への繰入金に関する  法律案内閣提出第三四号)  昭和二十一年度における一般会計帝国鉄道会  計及び通信事業特別会計の借入金の償還期限の  延期に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第四三号)  金管理法案内閣提出第五五号)(参議院送  付)  造幣局特別会計法の一部を改正する法律案(内  閣提出第七〇号)  昭和二十八年度における国債整理基金に充てる  べき資金の繰入の特例に関する法律案内閣提  出第七一号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八三号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第八四号)  閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出  第九四号)  昭和二十八年度における特定道路整備事業特別  会計歳出財源特例に関する法律案内閣  提出第九七号)  漁船保険特別会計における漁船保険事業に  ついて生じた損失を補てんするための一般会計  からする繰入金に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第九九号)  設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一一四号)  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一一七号)  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二三号)  社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第二八号)(予)  相互銀行法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二四号)  信用保証協会法案内閣提出第一二五号)  国有財産管理状況に関する件     —————————————
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に掲げました国の所有に州する物品売払代金納付に関する法律の一部を改正する法律案外二十法案一括議題として、前会に引続き質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。福田君。
  3. 福田赳夫

    福田(赳)委員 私は日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案、さらにこれとうらはらをなすところの設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案について、二、三政府の意向をただしたいのです。  まず第一に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案、これは日本といたしまして、まことにおめでたいようなかつこうの話なのでありますが、しかしよく考えてみますと、なけなしの外貨を使いまして日本海外進出する、今そういう時期に来ているのかどうか、ことにポンド為替状況など考えますと、ポンド圏に出て行くなどということはとうてい考えられない。さらにフィリピンの戦犯の釈放などに関連しまして、賠償交渉が急速に進展しようとしておるのであります。賠償交渉というのがこの法律案と非常に機微な関係を持つのではないかというふうに想像されるのであります。日本はそんな余力があるならば、大いに賠償を支払うべきではないか、こういうような意見がすぐ出る、これは当然のことじやないかと思うのであります。そこで伺つておきたいのでありますが、この間予算委員会において総理大臣は、日本政府が従来長く唱えて来た平和条約は、日本賠償実物賠償である、また労務賠償である、金銭賠償ではないという建前に対しまして、金銭賠償をあわせ考慮するという趣旨の答弁をされております。これは私は速記録を見たわけじやなく、新聞で見たのだから、正確な用語は知りませんが、日本政府の在来の建前と非常に違つておるというふうに考えます。この点についてどういうふうなことになつておるのか、真相をお聞かせ願いたい。
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 今の答弁理財局長がするそうですから、ちよつとお待ち願いたい。
  5. 福田赳夫

    福田(赳)委員 それでは賠償に対する問題は、これは本法案と非常に重大な関係があるのでありますが、あとまわしにいたしまして、法案内容について伺いたい。  まず第一に、明らかにしておきたいりは、輸出入銀行発足してからの大体の重要な仕事としては、どういう仕事をやつて来たか、具体的に御説明願いたい。
  6. 河野通一

    河野(通)政府委員 輸出入銀行発足以来やつて参りました仕事は、輸出入銀行法の規定に書いてございますように、いわゆる海外に対するプラント輸出のための金融を主としてやつて参りました。その後発足以来、数次にわたりまして法案改正をお願いいたしまして、輸出入金融業務等のある限られた範囲において、市中金融機関でできないような長期の輸入金融業務につきましても、これはできるようにいたして参つたのであります。また今お手元で御審議をいただいておりますような改正を今般また行いたいと思うのでありますが、現在までやつて参りましたおもなる仕事は、今申し上げましたようなプラント輸出金融が主たるものであります。
  7. 福田赳夫

    福田(赳)委員 プラント輸出ということは百も承知なのであります。ただそのプラントで、どういう所にどういうものを出されたか、おもなる実績をお聞かせ願いたい。
  8. 河野通一

    河野(通)政府委員 プラント輸出につきましては、品目地域別、両方からこれは申し上げた方がいいのではないかと思います。資料をお配りしてあるようでありますので、ごらん願えばわかるのでありますが、輸出入銀行融資及び保証状況というものの二枚目に書いてございますが、品目で申し上げますと、電気機械繊維機械繊維機械は大体紡織機とかそういつたものが多いのでありますが、輸出船舶車両、それから東南アジア開発のためにやつておりますものが二つ、ゴアの鉄鉱石マレーマンガン等の二件がございます。地域別には、そこにずつと書いてございますように、電気機械繊維機械、それらにつきまして地域別の数字がそこに上つておるわけであります。地域は相当広く各地にわたつておりまして、それぞれの実情に応じて、そこに掲げてあるようなことになつておるわけであります。金額としてやはり一番大きいのは、車両とか、船舶とか、そういつたものが非常に大きく占めておるわけであります。船舶は、最近におきましては若干市況の状況から見まして引合いがちよつと落ちておりますが、これらにつきましても、今後におきましては相当程度伸びるのではないかというふうに私どもは期待いたしておる次第であります。
  9. 福田赳夫

    福田(赳)委員 今回はさらにプラント輸出のほかに、海外投資をやろうということになつております。けさの朝日新聞を見ると、アラスカパルプ会社をつくるということが載つておりますが、当面政府は、海外投資はこの法律海外投資に対する条項を適用して計画しておられるのですか。
  10. 河野通一

    河野(通)政府委員 現在まで話の進んでおりますものは、まだ契約を締結するまで具体化しておるわけではありませんが、話の進んでおりますものは、一つはメキシコに織機製造のための会社をつくる、これに対して日本側現物出資をして行く、こういう計画が相当具体化に向つております。第二はインド製鉄関係会社をつくる。これは先般いろいろお話が出ておるいわゆる高碕案というのとは別の系統であります。それから次は、今福田さんから御指摘のあつたアラスカパルプ関係会社、これに対して日本側が相当な出資をする、場合によつて現物出資する、こういう計画であります。それから次はタイフイリピン等における塩田の開発のために日本側から投資をして行くというような計画があります。それから東南ア関係で、いろいろ投資金融対象になるものがそのほかたくさんございますが、まだ今申し上げたような事例ほど固まつて来てないのであります。その例を申し上げてみますと、たとえば鉄鉱石については、マレーのテマンガン、香港の馬鞍山、フィリピンのマテイ、インドの地区に二箇所ばかり、タイにも一つございます。銅についてはフィリピンのラプラプという鉱山、台湾金瓜石、石炭についてはボルネオのバラバツタンというところ、台湾にも一つ南庄というところの炭田の問題があります。ボーキサイトについては、マレーのジヨホール、ニツケルはインドネシアのセレベス、ニューカレドニア等にそういうものがあります。塩については、先ほど申し上げたような話の進んでおるもの以外に、フィリピン等開発事業計画されております。
  11. 福田赳夫

    福田(赳)委員 日本海外投資、これはあり余る外貨があれば大いに進出することについて異存はないのであります。しかし乏しい外貨を使うということから見ますと、こういうふうに投資的な進出をするのがいいのか、あるいは自由な貿易によつて向う資材を買いつけるのがよいのか、ここに大きな問題があるのではないかと思う。木材の例をとりましても、木材世界市場状況によつては、自由に買いつけて行くという行き方かよしのか、あるいは日本経営参加をして行くという方法によるか、これは議論があるところではないかと思う。その辺の見通しについて、一体政府はどういう考えを持つておるか、御見解を承りたい。
  12. 東条猛猪

    東条政府委員 外貨方面に言及せられてのお話でございますが、便宜私から申し上げます。福田委員承知のように、いわゆる海外投資形態を見てみますと、お話のように現実外貨がいる場合と、日本資本参加形態としては、日本の国内でつくられた機械とか資材とかいうものを現物出資をして、それによつて資本あるいは資本的な参加をするという投資形態考えられるわけであります。ただいまの、非常に大事な外貨であるので、全体としてあまり投資ということに重点を置くのも、いろいろ考え方がありはしないかというお尋ねについては、もし投資形態がすべて外貨を必要とするということでございますれば、これまたお話のような外貨事情もございますので、よほど考えなければならぬ点もあるだろうと思います。それから今銀行局長からは、いろいろ民間、あるいは事業家方面考えており、あるいはいろいろ計画しておるところの計画、あるいは見込みをあげたわけでありますが、これがどういう形でいつ実現するか、これは先方との話合いもありますし、またこの間ちよつとお話がありました国際関係等考えなければならぬ問題でありますので、一つ投資計画がある場合におきまして、すべてそれを日本として積極的に、いかなることがあつてもやつて行こうというまでのことをいたすかどうか、これは個々案件に応じて、その海外投資をやつたたらばどういう利害がある、日本として国際開発にどういうふうに協力し得るのだというメリットと、それからその海外投資はどの程度の外貨を必要とする案件であるか、あるいはその案件においては、日本現物出資でまかない得るものであるかどうかという個々の具体的なケース・バイ・ケース考えるべき問題でありまして、一般的な、原則的な議論をすることは少し危険というか、行き過ぎではなかろうかと考えております。
  13. 福田赳夫

    福田(赳)委員 十分ひとつ具体的なケースケースによつて慎重にやつてもらいたい。  さらに、この法案を見ますと、海外における生産資金ということをいつておりますが、これはどういうことを考えておるのか承りたい。
  14. 河野通一

    河野(通)政府委員 これは、先ほどお話のありました海外に対する投資金融類似金融であります。たとえば日本鉄鋼会社向う製鉄工場をつくる、そういつた場合に、その製鉄工場をつくつて行く場合の資金をいうので、つまりこつちから大体機械とかなんとか持つて行くわけであります。それから最初申し上げたのは、日本生産業者でなくて、別の会社ができて、向うでそういういろいろな開発事業をやる場合の投資ということでありまして、内容は同じようなものであります。
  15. 福田赳夫

    福田(赳)委員 この法案内容としては、製品についても融資対象とするという方向なのですが、そうすると、輸出入銀行というのが一種為替銀行というような色彩を帯びて来ると思う。今財界でも相当為替銀行をどうするかということは問題になつておりますが、その問題に関連しておる問題であるか、あるいはこれはそれとは別個に動く建前のものであるか、また今政府為替銀行についてはどういう考えを持つておるか、こういう点について伺いたい。
  16. 河野通一

    河野(通)政府委員 第一番の輸出入銀行プラント以外の製品に対する輸出金融をやる場合におきまして、これが一般市中為替銀行業務が競合して来ないかという点であります。この点は、非常にごもつともな御疑問でありまして、私どもは、輸出入銀行はあくまで市中銀行金融を補完するという建前でやつて参りたい。従いまして、これらの製品についての輸出金融を、輸出入銀行が大幅に取扱つて行くことを期待はいたしておりませんし、またそういうことをやらせるつもりはございません。ここで問題になるのは、第一点は非常に長い支払い期間がつけられる場合の問題であります。最近は御案内のように、なかなか輸出競争がはげしくなりました。そうすると、プラントとまで行きませんが、半製品等につきましても、相当支払い条件を長くいたします競争が行われて参つております。そういたしますと、これらにつきましてやはり三年であるとか、五年であるとかいうような支払い期間がつきますと、なかなか市中銀行だけでは、プラントでなくとも金融対象としてまかない切れない。少くとも全額をまかなうことはむずかしいということが起つて参ります。これらの事態を救済しようというのがこの目的であります。品目につきましては、私どももこれを無制限に広げて行くつもりはないのでありまして、例をあげて申し上げますと、今問題になつておりますのは、アルゼンチンが送油管……油を運ぶパイプを要求しております。しかしパイプは必要でないのであつてパイプの原料になる鉄の板が必要である。板を向うに運びまして、向うパイプにするということになる。その板は一体プラントであるかということが問題になるのでありますが、これらにつきまして疑問がありますので、それはプラントでないかもしれぬけれども、それらのものは同じように取扱つて行くようにしたいと思つておりますことが一つ、もう一点は、やはり類似の例でありますが、これもたしかアルゼンチンではなかつたかと思います。ベアリングプラント向うにつくるという問題があります。そのベアリングプラント向うにつくるにあたりまして、そのベアリングの材料になる特殊鋼でありますが、特殊鋼向うに送る。ところがこの特殊鋼も、ベアリングプラントと一緒に支払い期間が非常に長くなる。そういつたようなときにおきましては、ベアリングの原材料であるその特殊鋼は、これはプラントではない、部品とも言えないわけです。だからこれは輸出入銀行が取扱わないということでは、輸出を興して行くのに支障がある。そういつたものにつきましては、これを輸出入銀行に取扱わせて行くのが必要ではないかと思つております。  なお、これから申し上げますのは、私どもまだ結論を出しておりませんが、問題になりまするのは、もう一つこういう事例があります。今パキスタンといろいろ通商の約定を進めておりますが、この場合にこちらから肥料を出す、そして向うから米を入れる、しかもそれは五年という長い期間でその支払いを決済する。肥料を出して向うから米を入れる、そういつた場合に、肥料についてはプラントでもなんでもないのだが、これを一体輸出入銀行対象として取扱わせることがいいか悪いかの問題がある。この問題については、実は私は結論を出しておりません。しかし非常に長くなりますので、この肥料輸出についての市中金融がなかなかつきにくいという事情があるから、法律上はそういうふうな道を開いておいた方がいいのではないか。しかし具体的にそういうものを輸出入銀行対象にして、現実に適当であるかどうかについては、さらに検討を要すると思いますけれども支払い条件が非常に長くて、市中銀行では金融がなかなかつかぬという場合におきましては、やはり日本で必要なものを入れるための外貨の節約にもなるのだから、こういつた場合に、金融がつかないために約定ができないということではいけませんから、必要やむを得ない場合には、そういうものについても輸出入銀行融資対象にする道は開いておくべきではないかというふうに考えております。そういうわけで、支払い期限につきましても、品目につきましても、できるだけ私どもは制限して、市中為替銀行との業務の競合とかいつたことのないように、実際上において十分注意して行く。輸出入銀行業務方法書にも、その点ははつきり書いて行くようにさせるつもりでおります。  第二の為替銀行の機構の問題であります。この問題は、先般当委員会でもどなたかの御質問にお答え申し上げたのでありますが、私どもといたしましては、最近の貿易振興、ことに輸出振興のために外国為替銀行育成強化をはかつて行くことがますます必要になつて来るという考え方で、その一環として、為替専門銀行をつくつて育成強化して行きたいという考えを持つております。ただそれをつくる方法として、行政上の措置によつて、事実問題としてそれをつくつて行くのがいいか、あるいは法制的措置によつて、それをやつて行くのがいいかという点については、さらに検討を要すると思いますが、今私ども考えでは、やはり法制的に為替専門銀行を育てて行くことが必要ではないかと考えて、その方針で現在具体案を練つております。
  17. 福田赳夫

    福田(赳)委員 今私は、賠償問題について伺いたいと思つていたのですが、関係官はおりますか。
  18. 河野通一

    河野(通)政府委員 今呼んでおりますから……。
  19. 福田赳夫

    福田(赳)委員 それでは留保しまして、両法案に対する質問を終ります。
  20. 千葉三郎

    千葉委員長 関連して、苫米地君。
  21. 苫米地英俊

    苫米地委員 簡単に質問をしておきます。プラント輸出につきまして、非常な御配慮のあることはけつこうなことだと思います。また先般来他の輸出等についてもいろいろの御配慮があるようでありますが、日本投資をし、出資をし、東南アジアなどに進出するんだということを言えば言うほど、現地においては、また他の外国においては、いろいろな色めがねをかけて見るような傾向が非常に見られるのであります。そこでドイツあたりでは、これを税法の面から援助して行く、プラント輸出というようなものについて、また外国の船の注文を受けたような場合には、これを税の面で入札の競争に勝てるように計画して行つているように承知しております。この輸出入銀行法とは関係がないのでありますけれども日本においても——これは、あるいは他の方で資本家擁護だというような非難はあるかもしれませんが、この方面で、外国船舶注文を受ける場合に、税金もしくは損害賠償をする。それでなければ、プラント輸出もなかなか容易でないと思いますが、こういう面から御検討になつておりますか、お伺いしたいと思います。
  22. 平田敬一郎

    平田政府委員 税の問題は主税局長がお答えすればさらにけつこうかと思いますが、私の知つている限りにおきまして申し上げますから、御了承を願いたいと思います。輸出振興するために、課税の面におきましてもできるだけのくふうと考慮をしようということで、昨年以来いろいろ関係局とも相談をいたしまして、大体今課税の上で輸出振興のために措置したいということにつきましては、あるいは御承知かと思いますが、一つ貿易商社海外進出する場合において支店設置を、たしますが、その際にいろいろな不動産、あるいは自動車等固定資産を取得する。そういうものにつきまして一時償却を認めますと、非常に進出がしやすくなる。ただ支店を設けましても、その支店だけではなかなか利益が出て参りませんが、そこに出した投資の費用が、一時償却でございますと、貿易商社全体に利益があります場合には、ほかの部分からそれだけ差引かれるということになりまして、深税も低くなつて進出しやすくなる、そういう点をねらいまして、支店設置の場合の特別償却を考慮する、これを一つ考身ております。もう一つは、御承知のように外国輸出するにつきましては、特にクレームその他の契約破棄関係からして損になる危険が多いので、普通の貸倒れ準備金一種の拡大になりますが、輸出につきましては、特別にそういう危険に備えるための準備金をあらかじめ積み立てる。それを積み立てました場合には、課税上の損金として扱うという技術を用意しよう、この二つの点で、昨年来通産省などといろいろ話合いまして、これはすでにまとまつて御提案をしたり、あるいは今後政令等関係で出すことになつております。さらに一歩進みましていろいろの措置をとるかどうか、これはなかなか問題が簡単でないので、そういう点につきましてよく検討するに値するかどうかと思いますが、ドイツにおきましては、課税が少し日本と違つておりでますので、必ずしもドイツの税制をのまま日本に当てはめるというわけにかは行かないと思います。ただしかしがら、できるだけ課税の面におきましても、他と著しく公平を失しないという一つの限界がございますので、それを配慮しつ促進するような措置を講ずるということで進んでおる次第でございます。
  23. 苫米地英俊

    苫米地委員 貿易業者に対する御配慮の点はわかりましたが、日本の造船所が、日本の船をつくつておつたのでは企業が成り立たない、外国船舶注文が大部減つて来ておる、これはトン当りの原価が非常に違つておるから自然そういうふうになるのたと思いますが、今後は、やはり造船業というものを発展ざせるためには、課税の面からこれを援助しないと、ダンピングや何かという非難も受けるので、陰にまわつて目立たないように応援するために、船舶造船所などに対しては何か考慮がございますか。
  24. 平田敬一郎

    平田政府委員 造船所の助長策はいろいろあると思いますが、金利を低くするとか、あるいは原料資材をできろだけ安く買入れるとか、課税の問題、いろいろあるかと思いますが、ただ課税の問題といたしましては、現況ではなかなか利益を思うように上げ得ないという状態でありまして、そういう場合におきまして、課税上特別に措置するということをいたしましても、すぐぴんと来るような措置はなかなかむずかしいのではないか、いろいろな償却その他の方法によりましてできるだけの措置をとるということは可能かと思いますが、それ以外に課税上、特に造船業についてどういう措置考えておるか、今のところ私どもといたしま治ては、まだ具体的に結論を得ておりません。なお研究を要する問題であろうかと思います。
  25. 苫米地英俊

    苫米地委員 私は船舶の場合でも、これは輸出品であるから、輸出品として相当税金を免除し得る方法があると思うのですが、いかがでしようか。輸出品は、小さいものについては考慮するけれども、大きな船については、輸出品であるけれども、税金で考慮できないという理由はなさそうに思いますが、いかがですか。
  26. 平田敬一郎

    平田政府委員 どういう税金をどういう考慮をするのか、ちよつと具体的にお聞きしませんと判断しかねるのでありますが、これは先ほど申し上げましたように、今貿易による利益に対しまして、全般的に課税を免除するということは、どうも少し全体としまして行き過ぎであるというので、今考えております措置は、支店を出した場合の特別償却、それから貸倒れ等になる危険がある場合、あるいは契約を破棄されるような場合の危険準備の積立金、そういうものにつきまして特別な措置をとる。輸出から上る利益に対しまして全般的に減免をやるというのは、まだそこまで結論を得ておりません。従つてそういう問題は、今後の問題ではないかと思いますが、今のところは今申し上げましたようなことでございます。
  27. 苫米地英俊

    苫米地委員 私はその点について、ほかの消耗品などが輸出される場合に税金を免除されれば、船が輸出される場合には、輸出品として税金をある程度考慮されることは当然だと思います。しかしまだそこまで進んでおらないということでありますから、それはその程度で問題を後に残すことにいたします。  先ほども質問がございましたが、資金海外投資、これは外貨との関係もあるし、また日本の外資導入ということともにらみ合せて考えなければならない問題だろうと思うのでございます。一体日本で外資を導入した場合と、日本外国投資する場合との利ざやの開きというものは、どんなふうに考えておられるのですか。
  28. 河野通一

    河野(通)政府委員 ちよつと御質問の点を聞き違つておるかもしれませんが、一応お答え申し上げまして、違つておりましたらまたお答えいたします。今外資で問題になつておりますのは、この前御審議をいただきました火力の発電機械四千万ドルの問題であります。これの金利は、まだはつきりきまつておりません。できるだけ安くいたしたいと思つておりますが、大体年四分五厘から五分くらいになるかと思つております。輸出入銀行海外投資をいたします場合の金利は、原則は七分ということになつておりますが、特別の場合におきましては、年五分まで引下げてやる。さらに輸出振興のために、輸出入銀行の金利をさらに引下ぐべしという要望が非常に強いのでありますが、今申し上げましたような例から申しますると、国際金利と比較いたしまして年五分という、しかも長期の金利でありますから、私は大体輸出入銀行の金利は世界的に見た水準からいつて、決して高くない、その程度ならば国際的に競争もできる金利であるというふうに考えております。
  29. 苫米地英俊

    苫米地委員 大体ただいまのお答えで、日本が導入する外資と、日本海外投資の利ざやの関係はわかつたのでございますが、輸出入銀行の平常の金利は少し高過ぎて、これは輸出入銀行ばかりでなく、政府金融機関の金利が少し高過ぎて、みんな経営上困つているらしく思われますが、これは引下げるお考えがございませんでしようか。
  30. 河野通一

    河野(通)政府委員 結論から申し上げますと、問題は日本開発銀行の金利等が主たる問題ではないかと思います。政府機関の金利一般につきましては、昨日ですか、福田委員からの御質問にお答え申し上げたのでありますが、私どもは、下げる方向に検討いたしたいというつもりであります。しかし政府金融機関の金利というものが一般市中金利とどういう関係に立つかということは、いろいろ考えなければならぬ問題であります。これを著しく低くして行くということが、政府金融機関の使命という点から見て、逸脱してはいけない。御承知のように、開発銀行その他の法律にも、金利は市中の金利をよく勘案してきめろということになつております。これはどういう意味かと申しますと、市中金融を補完するというのが政府金融機関の役目であります。市中金融でついて行くものならば、これは政府金融機関が出て行く必要はないわけであります。従つて市中でつかないような資金を供給するのが、これらの政府金融機関の役目だと思います。従いまして資金もつけるし、金利も非常に安いということにいたしますと、市中金融機関を補完するのではなくして、むしろそつちが第一になつて行くおそれもある。従いまして、そう無制限にこれを低く、一般の金利水準から度はずれた金利を出すということはいかがかというふうに私は考えております。しかしながら、具体的な問題といたしましては程度の問題でありますので、現在日本開発銀行の金利等につきましては、さらに一般的には別でありますけれども、特殊な事情があるものにつきましては、現に電気あるいは造船等については、相当な特殊な安いレートを出しております。これらの特殊な事情があるものにつきまして、さらに金利を下げるという点につきましては、今案われわれは検討を加えて行きたい、かように考えております。
  31. 苫米地英俊

    苫米地委員 御説明でよくわかりましたけれども、たとえてみれば造船の場合でも、現在の運賃では高過ぎるのでありますが、あの金利を払つたのじや造船ができないという状態にあるらしく聞いておるのであります。もちろんむやみに政府機関の金利を下げれば、市中銀行と競合するということになるけれども、ある限度これを下げるというのは、市中金利を下げる原因にもなると思うのでありますが、この点をよく御検討くださいまして、適当な引下げをすみやかにしてくださるように、御配慮をお願いいたします。
  32. 井上良二

    ○井上委員 二つ、三つ伺いたいのです。この法律案では、根本的な問題は、国際的な通貨事情の不安定に対処して、設備輸出の促進を通じて、重要物資の輸入を確保するということを目的にしておるようでありまして、現行法によりますと、損失補償はすべて邦貨の換算を基礎にして行つておる。そうすると、もし日本為替レート自体に変動があつた場合、補償契約の履行という問題の方に重大な支障を来して来る。そこで日本為替レート自体の変動というものについて、政府は一体どう考えておるか。為替レートは変動なしと見ておるか。もし変動が事前にわかつた場合の法的な処置は、一体どうしようとするのであるか、この点をまず伺いたい。
  33. 東条猛猪

    東条政府委員 お尋ねの日本の円の為替相場の問題でございますが、政府といたしましては、ただいま為替相場一ドル三百六十円の、基準外国為替相場の変更は考えておりません。
  34. 井上良二

    ○井上委員 もし変動があつた場合ということが予想され得るのですが、日本のような経済事情のもとにおいて、絶対に変動はないという断定がつきますか。
  35. 東条猛猪

    東条政府委員 ただいまのところは、外国為替相場を変更するということは考えておりません。
  36. 井上良二

    ○井上委員 そうすると、設備輸出を行いますおもなる相手国の為替相場の見通しについて、大蔵省はいかなる的確な資料に基いて、相手方の為替相場の算定見通しをはかつておりますか。
  37. 東条猛猪

    東条政府委員 申し上げるまでもございませんが、為替相場は二国間の通貨でございます。日本政府の方針と、外国政府の方針と両者相まつて、ここに為替相場ができますことはお話の通りでございます。そこで、それでは現状において、一体日本の対米ないし対英の為替相場が、日本政府の方針いかんにかかわらずどうなるであろうか、あるいはどう見通しを持つておるかというのが御指摘の点であろうと存じますが、私どもといたしましては、米ドルにつきましても、あるいは英ポンドにつきましても、さしむきのところ、そう大幅な変動というものはないと考えております。大幅なと申し上げますことは多少語弊があろうかと存じますが、特に米ドルにつきましては、現在の三百六十円の変更ということは考えられないのじやないか、それから英ポンドにつきましては、御承知のようにいろいろと方針もとられておるように承知いたしておりますが、これにつきましても、かりに少し売買の値幅を広くするという程度の変更は、将来にわたつて全然考えられないこともいかがであろうかと存じますが、あるといたしましても、多少の為替ビジネス上の値幅の問題が将来考えられるとすれば考えられるという程度の問題であろうと考えております。
  38. 井上良二

    ○井上委員 さような為替変動が絶対にないということも予想でき得ないと思います。もし為替レートの上に変動が起つた場合は、当然政府としては、それに対処する法的基礎をどこかに規定しておく必要があろうと思う。そうしないと、あとで問題を起して来ることになりますし、相手は外国のことになりますから、非常に問題がやつかいなことになりまして、事前にやはりそういう為替変動などを予想して、法案にちやんと規定しておくということは、私は必要じやないかというような考え方を一応持ちます。  次に伺いたいのは、それに関連しまして、国際通貨事情の見通しには、大蔵省が見通した場合と、直接利害関係の上に立つて輸出をしております業者の国際通貨事情の見通しというものがございます。国際通貨事情を的確に業者が把握いたしまして、大蔵省の見通しとそこに食い違いが生じて来ていることを予想して、輸出契約がかりにされたということになりますと、相手国との間になれ合いでそういうことが行われることがなきにしもあらずと予想されます。なれ合いの契約に対して、政府は一体どう防止しようとし、措置しようとしますか、伺いたいのであります。
  39. 東条猛猪

    東条政府委員 将来為替相場の変動が絶対に理論的に考えられないでもないということに対して、法文上いかなる構えがなつているかという点でございますが、為替相場の変動がかりにあつた場合、このプラント輸出の業者に不測の損失を及ぼしまして、輸出の意欲を阻害しないようにというねらいをもちまして、二百億円を限度として、損失の補償契約政府ができるようにお願いいたしたいというのが、今回御審議をいただいておりますところの法律案内容でございます。それから輸出振興のためには、正常な輸出為替相場の変動をおそれるためににぶるということでは困ると思いますので、このプラント輸出につきましても、御審議を願つておりますような法律案の成立を希望いたしておりますし、一般輸出につきましては、一年以内のデリヴアリの期間為替の予約は、やはり為替銀行また為替銀行が希望する場合におきましては、政府がその予約に応ずることによりまして、業者が為替損失が生ずるかもしれないという懸念から、正常な輸出が阻害せられないようにということを配慮いたしておるわけでございます。それからわれわれといたしましても、国際金融情勢の問題につきましては、及ばずながらいろいろ検討いたしておるわけであります。為替相場の問題、あるいは為替政策の問題は政府が決定をすることでございますので、将来いろいろ変動を考えておかなければならぬ場合におきましては、政府としましてその時時の情勢に応じた機宜の措置をとつて参りたいと考えております。
  40. 井上良二

    ○井上委員 次に、貿易振興をはかる上から、外貨の効率的運用という問題が非常に重要でございますのに、政府政府手持ちの外貨約八億ドルを外国銀行に預託をしておる。しかも無利子が大半だそして金利をもらつているのはわずか一分八厘くらいの非常に低利な金利で外国の銀行に預託をしておる。そうしてわが国の為替銀行その他日銀等には、わずかに一億二、三千カドルくらいしか預けていない。これはどういうことです。
  41. 東条猛猪

    東条政府委員 外貨の預託先ないしこれに伴う金利の問題でございますか、大蔵省が外国為替資金の運用管理を昨年八月以降あずかるようになりましてから、おもなる方法としては二つつております。一つは、ただいま後段でお話のございました日本側為替銀行に、この外貨資金を預けかえする、こういう問題でございます。御承知のように、外貨の問題につきましては、外国銀行にも、率直に考えましたところ、いろいろと従来便宜をこうむつている点もあります。それらの従来の経緯等もよく考えまして、日本側為替銀行育成強化ということのために、日本の手持ちの外貨を逐次日本側為替銀行に移すということで、まずドル、次にポンドというこの為替資金外貨の部分を、日本側為替銀行に逐次移して参るということをやつております。しかしながら私どもといたしましては、この預けかえのことは、そう効果を一挙に納めるというようなことは、よほど慎重な考慮がいるのではなかろうか。この事柄の実現には、よほど話合いでありまするとか、あるいはほかのいろいろの関係を考慮した上で実施したいということで、逐次実施をいたしておるわけでございます。  次に預けられている金利の問題でありますが、大部分が無利子であるという井上委員お話でございまするが、これも先ほど来申し上げておりまするような方針にのつとりまして、現在のところは、米ドルにつきましては、大体八〇%見当はむしろ定期預金になつております。なお外貨証券の運用方法といたしましては、預金のほかに、たとえば証券運用ということも考えられるわけであります。しかしながら国の資金でありまするから、安全確実な証券運用をすることが必要でございますので、そういう観点から、証券への運用も実施しております。米ドルにつきまして、今日無利子の当座預金というものは、資金の操作上必要な限度にとどめる。これも御承知のように、定期にいたしておきますと、勘定の移しかえ、あるいは資金の操作に非常に支障を来しますので、当座預金にしますのは、右申しましたような技術的な資金操作に必要な限度にとどめるということで、逐次これも改善をいたしました結果、先ほど申し上げましたような計数になつております。それからポンドにつきましては、これは最近の日本ポンド資金状況が相当きゆうくつになつておりますので、証券に運用しておりまする以外の部分は、当座預金になつております。しかしながらとれは資金の操作上やむを得ないことかと存じております。  定期預金の率でありますが、あるいは運用証券の利まわりの問題でありますが、これは各国一般並の金利をもちろんわれわれとして希望いたしておるわけでありまして、特段に低いレートということはございません。むしろ機会がありますれば、相当大口の預金でありますから、より有利な利まわり、あるいは利率ということには、交渉を怠つておらないつもりであります。
  42. 井上良二

    ○井上委員 在日の外国為替銀行に預けまして、日本為替銀行に預けないという結果は、いろいろな便宜があるというお話ですけれども、逆に、為替業務外国為替銀行が扱つてつて日本為替銀行は、これらの手下に使われておるという事実に立つて、大蔵省としては、為替銀行対策というものを新しくひとつ育成強化しようという考え方を持たれているのじやないですか。私はそうじやないかと思うのです。現実に無利子で預けなければならぬという理由はどこにあるのですか。そして多額のものが利子もとり得ないというようなことは、どういうことですか。外国銀行に何ゆえに定期として預けなければならぬか、そうしておかなければ日本貿易の信用が果されないという、何か政治的な大きな問題が横たわつているのですか。
  43. 東条猛猪

    東条政府委員 あるいは御説明が足りなかつたかもしれませんが、便宜と申しましたのは、過去日本側の銀行がまだ海外支店もできませず、一本立ちにならなかつた時代に、いろいろ便宜をこうむつた時期がございますので、その辺のところをよく考えまして、慎重に対外関係は処理しなければならぬという趣旨のことを申し上げましたので、その点は言葉が足りませんでしたら、訂正を申し上げます。  それから、先ほどちよつと申し上げたつもりでありますが、私どもといたしましては、日本側為替銀行、あるいは貿易商社が非常に強化されるということが、日本輸出貿易振興のために必要な条件であると考えておりまして、従いまして、日本側為替銀行育成強化ということには、大蔵省といたしまして十分努力いたしておるつもりであります。ただ一つの目標をきめまして、それに向つて着実にやつておるということを、先ほど申し上げたつもりでございます。  それから先ほども御説明申し上げたのでありまするが、特に外国系の為替銀行に無利子で、それらの銀行に都合のいい資金の預け方をしておるという事実はございません。先ほど来申し上げましたように、逐次これは利子付の定期預金にも切りかえますし、その利率につきましても、一般の市場のレートよりもできればさらに有利なものを出してくれという交渉は、怠つておらないつもりであります。従いまして、井上委員のお尋ねのように、外貨資金の預託の問題に関連いたしまして、私どもは十分そういうような本来の為替政策、あるいは外貨資金の運用という、今申し上げましたような観点からのみ事柄を処理いたしておるということを、申し添えておきます。
  44. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 為替局長に御質問申し上げます。この設備輸出為替損失補償法に関するものですが、きわみて率直にお尋ねします。この法案提出した理由は、対英、対米為替レートの変動を予想して出されたということが、重大関心事であります。その点を率直にお答え願います。  それからもう一つ予想される点は、たとえばプラント輸出先の動乱とか、そういうような事情のために、決済が不能になると予想されることはありませんか。そういう程度ならいいのですが、とにかく為替レートの変動があるというようなことを予想して、この法案が出されたのであるかどうか、その点率直にお答え願います。
  45. 東条猛猪

    東条政府委員 お答え申し上げます。便宜上後段の点からお答え申し上げます。輸出先の動乱その他の関係で、為替決済の不能の問題は、御承知のように、これはむしろ輸出信用保険の問題でありまして、今輸出信用保険の問題につきましては、通産省の方から提案いたしまして、いろいろ国会では御審議を願つております。事柄といたしましては、輸出信用保険の対象として処理されるかどうかということで御承知を願いたいと思いますが、これは先刻御承知のことと思います。従つて設備輸出為替損失補償法と直接の関係はございません。  それから対米、対英の為替相場の変動を見越しての、あるいは織り込んでの改正であるかというお尋の点でございますが、私どもは、先ほどもちよつと申し上げましたように一現在のところ、対米ないし対英為替相場の変動があるとは考えておりません。ただ何分にも、このプラント輸出の代金決済の受渡しの時期が、今回の法律案でも御審議を願つておりますように、一番長い場合は十年まで行くわけであります。それで今はそう思つても、十年先はどうなるかわからぬじやないか、数年先はどうなるかわからぬじやないかという懸念を、実際このプラント輸出に当られます業者の方としては御心配になる向きもあろうかと思います。そういう方々に対しまして、政府といたしまして、十年までの範囲において、現在の契約ができた場合の為替相場が動いたならば、損益とも国庫に帰属する。これは益が出た場合もそうでありますし、損が出た場合もそうであります。とにかく現在の商売の基礎になつている円の金額は、エキスポーターに保証するということが、この法律案の趣旨でありまして、政府は今何ら対英、対米相場が変動があるとは考えておりませんが、非常に取引が長期にわたることでもあるし、そういう長期間の先まではちよつと心配だという貿易業者の心配の結果、このプラント輸出が衰え、意欲を阻害するというようなことがあつてはならないというのが、この法律案の趣旨であります。
  46. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 この期間を五年を十年に延ばす——実際こういうビジネスにおいて、十年というふうな長期間にわたる契約が予想されるのですか。ただ比較的近い将来の為替相場の変動をカムフラージユするような意味で、十年という一つ改正をして、その補償は、十牛もの間のことはわからぬから、今のこの法案を出しておくというふうな、カムフラージュに使われているような懸念があるわけですが、そういう点を納得の行くように御説明願いたいと思います。
  47. 東条猛猪

    東条政府委員 御承知のように、最近プラント類の輸出は、相当実は各国競争がはげしゆうございまして、何と申しますか、言葉は悪いのですが、輸出競争というものが相当行われております。従いまして、自然このプラント輸出につきましても、条件がいわば競争になりまして、これはもちろん価格の面もありますが、支払い条件競争ということになつておりまして、各国ともだんだん実は延ばして参るような傾向にございます。それでただいままでのところ、そう十年くらいまてというような事例を——直接のオファーを実は私は承知いたしておりませんが、一、二の事例をこれまた御参考までに申し上げますと、六年くらいまでという実は話がございます。国はちよつと商売関係がありますから申し上げたくないのでありますが、鉄道車両でありますとか、それに関連いたしました信号機、こういうようなものにつきましては、現に五年ではちよつと足りないというような引合いが参つておる事例がございます。そういう事例もございますし、なおまたプラント輸出振興ということを何としてもやつて行こうということを考えます場合におきましては、片方輸出入銀行金融の道もつけまするとともに、五年をさらに越えた長期のものでございましても、為替損失を補償するという態勢を整えておくことが、この際にぜひ望ましいという観点から、法律案改正を御審議願つておるのでありまして、平岡委員お話のように、為替相場の変動のことをカムフラージュするがために、五年を十年に延ばして御審議をいただくというようなつもりは毛頭ございません。
  48. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 そのお答えを率直に聞いておきます。そうしますと、正常なビジネスでこの損失補償法をあえて必要とする、予想される具体的事例は、やはり為替に帰着すると思われる。ほかに何かマーケット・プライスのようなものがありますか。
  49. 東条猛猪

    東条政府委員 設備為替損失補償法に関します限りは、今のお話のように為替相場の変動、万一あるべきことの予想される変動による損益を国庫でぬぐつてやるというのが、この法律案の趣旨でございます。
  50. 千葉三郎

    千葉委員長 福田委員に申し上げますが、理財局長が見えていますから、さつきの保留の質問をどうぞ。
  51. 福田赳夫

    福田(赳)委員 最近のフィリピンの方での捕虜の釈放問題に関連いたしまして、日本としては賠償問題を解決するという機運に向つて来ておると思うのです。この問題は、日本経済の当面の最大問題だと思うのでありますが、そういう際に、本法案のごときものが突如として提出される。そして日本国は、海外のいずれに対してもどんどん投資するというような気勢を示すということになると、この賠償問題に相当重大なる影響があるのではないかというふうな心配をするのであります。そこでいろいろ質問してみたいのですが、賠償は、従来の日本政府としては、実は労務の賠償である、そういう解釈をとつていると思う。ところが総理大臣は、先般の予算委員会で、金銭による賠償もするのだというふうに答えられたというように聞いておるのですが、そういうふうに平和条約の解釈ないし適用について、政府の方針がかわつているのかどうか、これをひとつ伺いたい。
  52. 石田正

    ○石田政府委員 これは賠償問題につきましては、御承知のごとく相手国によりまして状況が違つていると思うのです。と申しまするのは、たとえば今賠償要求の話が具体的に考えられる国といたしましてはフィリピンインドネシア、ビルマ、ヴェトナム——仏印三国、こういうようなものが考えられると思うのでございますが、この中で仏印三国につきましては、サンフランシスコの平和条約に調印もいたしましたし、また批准も済んでいるわけであります、従いまして、そういう仏印のような国が賠償要求をするということになりますれば、これは当然平和条約に基くところの賠償の要求ということに相なると思いますので、これは十四条の範囲内で処理をするということが、一応の筋であろうと考えられるのであります。それからビルマにつきましては、これは全然そういう法律上の関係がございません。これをどうするかという問題は、非常に処理のむずかしい問題であろうかと考えます。それからインドネシアとフィリピンにつきましては、これは平和条約には調印したけれども、しかし批准が済んでおらぬ、こういう関係になつているわけでございます。この中でフィリピンインドネシアの賠償要求につきましては、相当大きな額を要求する、また実際問題として、一番大きな問題であろうと思うのでありますが、これを処理するのにつきまして、批准をしたけれども、やはり平和条約の十四条というものをもとにして考えるということが一応の筋ではないか。要するに賠償について、何らの国際的な規定のないときは格別でありますけれども、一方におきまして条約があり、しかもその中で批准した国もある。こういうふうなことであり、片方のフィリピンインドネシアという国は、批准はいたしませんけれども、調印はあつたのだ。こういうことでありますから、やはり十四条をもとにして賠償問題を考えるのが筋であろうと、かように考えられるわけであります。ただ、そういうふうに日本としては考えるのが筋であると思いますけれども、十四条のいわゆる役務賠償、としうごとに太しまして、賠償の要求をいたしております国としては、それではなかなか満足できない、こういう意向がたびたびかわされている面もあるわけでございます。そのところで問題になりますのは、一体賠償の額は総額を幾らにしてくれるのだ、それから賠償期間というのはどのくらいの期間にしてくれるのだ、それからまた賠償方法というものは、十四条よりももつと広い範囲でやつてもらわなければ困るのだというような意向がありますことは、これは否定できないと思うのであります。従いましてそういう関係から、そういうことにつきまして先方から話がありました場合に、そういうものを一切受付けない、向うの方が話を持つて来ましても、どう処理するかは別問題として、そういうものには耳をふさいでいるというわけにはなかなか行まねるというのが、実情、ではないかと思うのであります。それでは、それに対してそういう交渉に応ずるかどうか、それから実際問題としてどうするかということにつきましては、これは相当慎重に考えなければならないのではないだろうか、少くとも十四条との関係から申しまするならば、役務賠償ということが現実になつているわけでございます。それに対して、それでは不満であるというふうなことがかりにありましても、そのうち外でやるかやらないかということは相当慎重に考えて処理すべきものだ、かように考えておるわけであります。
  53. 福田赳夫

    福田(赳)委員 一体国会が承認しておる賠償方式というものは、十四条の範囲を出ないと思います。これによれば、役務賠償ということになつておるのですが、それをどうも政府独断て、金銭賠償にするというふうなことを、しかも最高責任者である総理大臣がおつしやつておられる。それはどういう見解をとつておられるのか、法律的に政府の独断でできることではない。それをひとつお伺いしたい。
  54. 石田正

    ○石田政府委員 これは、十四条というものの範囲内で考えるのが筋だろうということを私が申し上げたわけであります。しかしながら、十四条というものの書き方は、過去に例のないような規定だろうと私は思います。賠償もするのであるけれども、その賠償につきまして、いろいろの制約がついております。たとえてみますならば、日本経済の存立を脅かさないことであるとか、あるいは外国為替上の大きな負担にならないとか、あるいはよその国に対しまして、為替上の負担を来さないようにするとか、そういうふうな制約かついた上でその範囲内で賠償を処理べきであるというのが十四条の規定じあろうと思います。これは、文章といたしましては非常に問題がありますけれども、結局役務賠償ということにしぼつてあると思います。ただしかし言葉の内容につきましては、たとえばサービスならサービスというものをどう解釈するかという問題につきましては、これは論議の余地があると思いますけれども、サービス賠償ということが原則になるであろうと思うのであります。そしてその多少あいまいな点を、一体どういうふうに具体的な問題に当てはめてやつて行くかということでございますが、これは十四条というものの根本趣旨は、日本の経済の許す限りということが、率直に言つて私は根本問題だろうと思うのでございます。日本でできる範囲という、要するに日本の力の許す限りにおいてということが根本思想だろうと思うのであります。その範囲内において、言葉や何かにつきましては多少ゆとりのある解釈もし、具体的に当てはめるときにおきましてどう解釈するかという問題が残る、こういう性質のものだろうと私は思います。おそらく総理もそういう意味でお話なつたので、日本の経済というものとにらみ合せてやつて行こう、こういう御趣旨じやないかと思います。
  55. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そうすると、役務賠償以外の方法でこの賠償を実行しようという際には、あらためて国会の承認を要すると私は考えるのですか、国会の承認を得る考えであるか。
  56. 石田正

    ○石田政府委員 これは結局条約の解釈の問題になると私は思います。そこで、たとえば金銭賠償をやることに相なりますれば、私はそれは十四条の範囲ではなくて、ほかの形で、何らか賠償協定というふうなものができるのが筋ではないだろうか、かように考えます。
  57. 福田赳夫

    福田(赳)委員 先ほど銀行局長よりの話では、やはり東南アジア、特にフイリピンに対しても、いろいろ法律の適用に従つて投資計画があるということなんです。そういう際に、フイリピンの賠償の要求に対してどういう立場をとるか、私はこれは相当重大なる問題になつて来るのじやないかと思いますが、あなた方一体どういうふうに考えておりますか。
  58. 石田正

    ○石田政府委員 私この法案の全体につきまして申し上げるのはいかがかと思いますが、お話の点は、設備輸出法案が今出ておる。かりにこれがフイリピンの方に適用された場合にはどうか、こういう御質問ではないかと思うのであります。これは、私は設備輸出の方の問題は民間同士の話合いで、そうして話合いがついたものについて、いわゆる支払い条件とか為替の変動とかいう問題につきまして助成をしようというのがこの趣旨でありまして、これをやつて賠償をやらないんだという意図はないのだろうと思います。従いまして向うの方も、これをやつたからもう賠償はやめて、設備輸出だけやるんだ、こういうふうにはフイリピンはとらないだろうというふうに私は考えるのであります。
  59. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そういう点じやないのです。私が心配しているのは、この法律を適用して、フィリピンあたりにどんどん投資をするということになれば、平和条約第十四条の規定は、これは日本支払い能力の限度まで賠償をとるのだ、こういう精神だというふうに見ておるのです。そうすると、限度はまだあるのじやないか、日本はどんどん支払うべきじやないか、こういうふうな議論が大きくフィリピン内部に出て来る可能性が、これはすぐ想像されるのであります。これをどういうふうに考えておるかということです。
  60. 石田正

    ○石田政府委員 御懸念の点はよくわかりました。しかし、これはなかなかむずかしい問題でございまして、フイリピンの例がございましたが、普通の正常貿易にいたしましても、たとえばインドネシアならインドネシアの場合におきましても、普通の貿易関係におきましての出超ということがあり得るわけであります。そうした場合には、これは支払能力があるからすぐ賠償ことられてしまうのだ、だから貿易は押えてしまえ、そういうふうな議論にまで展開するのはどうであろうかということを考えるわけでございます。それから、またフィリピンの具体的な場合から申しますと、私こまかい数字は存じませんが、フィリピンとの貿易関係は、日本が始終赤字であろうと思います。設備輸出がどのくらいできますか問題でありますけれども、そういう道を開いた結果におきまして、どういうふうな結果がフィリピンについて起るか、要するに今までの赤字を消す程度にとどまるものか、それとも非常な黒字になるかどうか。それからこれは設備輸出の方の関係でございますが、輸出入銀行を通ずるところの投資の問題があると思います。これが相当大きな投資をするということで、そこで問題になるわけでありますが、これも私は程度問題ではないだろうかというふうに考えておるのであります。たとえて申しますと、輸出入銀行は、私数字ははつきり記憶しておりませんけれども、かりに今百五十億なり百六十億の資金の余裕があるわけであります。その範囲で、輸出入銀行はあらゆる地域輸出に対して実際問題として処理をして行こう、こういう状況だと思います。そのうちフィリピンにどのくらいのものが行くであろうかということが問題になるわけであろうと思いますが、これは民間の資金としてどんどん行くのであつて輸出入銀行から投資の援助という部分はごくわずかな部分だ、大きな部分は日本の民間が投資するのだ、それに対して幾らか補助するという形もあろうかと思いますし、それからまた投資の大部分を輸出入銀行が見るという場合もあろうかと思いますけれども、今のような金額のあれから言いまして、結局賠償余力が相当あるということになるが、そういう点も必ずしも今までのように心配するほどのこともないであろうというふうに考えるわけであります。
  61. 福田赳夫

    福田(赳)委員 これは私は相当問題だろうと思います。ことに賠償の方のことは、理財局長の意見としては、これは相当警戒的な立場で当られるべき立場に立つておられるのではないかというふうに思うのです。ともかくこの法律自体は、日本が国外に出すのですから、これはいいことに違いないのですが、この実行にあたつては、東南アジアに対する適用については、よほど慎重にしてもらいたい。慎重にやるかどうか、あなたの今のお話では、どうもそうでもないようでありますが、私の方の考えでは、よほど慎重にしてもらわないと、当面の国の最大問題である賠償に重大なる影響がある、そういう考えであります。
  62. 石田正

    ○石田政府委員 非常に誤解を招くような言葉で申し上げたかもしれませんので、訂正の必要がありましたら訂正させていただきたいと思いますが、私の考えておりますことは、やはり賠償問題というものは、何らかの形において早く片づけるということが一番であろうと思います。これが片づかないと、いわゆる経済協力にいたしましても、それからまたこういう投資とか設備輸出とかいう問題にいたしましても、何となく割切れないものが残るということにならざるを得ないのではないか。しかも賠償問題というのは、先方の大きな要求とわれわれの力との間におきまして、なかなかうまく処理することが困難だという実情だと思います。そこでそういう経過におきまして、片方がうまく行かないから片方をやめるというわけに行かない、やはり並行して行かないとやむを得ないと思いますが、その間におきまして、今お話がありましたようなぐあいに、両方にらみ合せまして慎重にやるということは、当然配意すべきところであろう、かように考えております。
  63. 福田赳夫

    福田(赳)委員 それで了承しますが、ともかく賠償問題は、早く片づけた方がいいに違いない。しかも有利な条件で片づけた方がいい。そこで私どもちよつと疑問に思つているのですが、三月ごろ沈船引揚げに関する中間賠償というものに政府は調印をした。それは国会の承認を要することであるかどうか、お尋ねいたします。
  64. 石田正

    ○石田政府委員 これは外務省の方でやつておりまして、私こまかい手続は知りませんが、中間協定につきましては、外務省の方におきまして、国会の承認の手続をふむものであると考えております。
  65. 福田赳夫

    福田(赳)委員 それはどうして出て来ないのですか、どういう事情があるのですか、御承知ならば……。
  66. 石田正

    ○石田政府委員 これは外務省の方でやつておりますので、今国会中には出て、そうして承認を得る手続をふまれるもの、かように考えておるのでありまして、私率直に申し上げまして、どういう事情で遅れておりますか、よくその点は遺憾ながら承知いたしておりません。
  67. 千葉三郎

  68. 春日一幸

    春日委員 ただいま関連しております問題は賠償の問題でありますが、フィリピンは、いずれにいたしましても役務賠償では満足しない。のみならず、役務賠償はこれを排撃をいたしております。フィリピンの新聞の論調等を読んでみますると、これは先般もちよつと言及いたしましたが、日本がかつて軍閥によつて武力侵略をしたのだが、侵略は失敗をした、その武力侵略によつて達せられなかつた野望を、役務賠償の名による経済侵略によつて遂げようとしておる、こういうことが、新聞に——これは社説としてマニラ・タイムズか何かにも非常に、大きな社会面の記事として載ております。そこで彼らの主張は、これは役務賠償をあくまでも排して、現物賠償金銭賠償を主張いたしておることは歴然でございます。そういうような向うの意向に呼応して、吉田総理は、今回の一般施政演説の中におきまして、役務賠償に局限しない、何らかの現物賠償金銭賠償措置を講ずる、こういうような問題が言及されておりました。私は、これはただいま福田君の指摘されたように、非常に重大な問題であろうと思います。当然サンフランシスコの講和条約十四条の中には、賠償に関する一般規定がございまして、そのことは少くとも四十八箇国を拘束する問題でありましよう。しかしながらフィリピンは、この賠償条項が納得できないために、現在サンフランシスコ条約を批准いたしておりません。批准してもらうために、やはりフィリピンだけに対して何らかの現物賠償の挙に出る、こういうような総理の意向が明らかにされるといたしましたならば、これは他の四十七箇国の国々に対しても、やはり新しい問題を投げかけて行くであろうと思います。たとえばビルマでありますが、ラングーンの町の中には、日本軍残虐の記録という一つの大きな部屋があります。そこの中で、いろいろ侵略の罪悪が全部展示されておる。これを何とかして取払つてくれということを、私ども社会党はビルマ政府に要請をいたしました。ところが彼らが言いますのには、やはり日本政府との間に賠償の問題が解決できるまでは、これを取払うということはわれわれは考えていないという主張でございました。インドネシアにいたしましても、またビルマにいたしましても、これらの国々は、やはり日本から現物賠償が当然行われなければならぬ、彼らはあくまでこれを主張するという態度を持つております。アメリカがそういう賠償に対して、全部これを水に流しておる形をとつておりますが、これはアメリカの場合はおのずから別でございまして、たとえばわれわれの側から言わしむれば、沖繩における特殊の立場、あるいは日本における軍事基地、あるいは日米安全保障条約とか、その他彼らは賠償に値するような有形無形の特別の利益を得ておりますが、日本から直接侵略をされたところの南方諸国は、現物の賠償も何も得ていない。従つてアメリカは、伊豆における、あるいは硫黄島における、その他いろいろの地域において領土も占め、日本の国内において多くの拠点を占め、さらにまた安全保障条約等によつて特別のプラスを加えておるのだが、われわれはおのずから立場が違うのだ、従つて日本にあくまで現物賠償をさしたいんだという要請が強く行われておる。たまたまそういう希望にこたえるかのごとく、総理がそういう意見の発表をいたしておられる。このことは結局他の関係地域、中国あるいはインド、パキスタン、あるいはコロンボ、セイロン等にも当てはまる問題であろうと思うが、この問題について、あなたはどういうお考えをお持ちになつておられますか。少くとも今後この賠償問題について、役務賠償を乗り越えてそれを要請する地域に対しては、現物賠償をしてよいと考えておるか、悪いと考えておるか、その点についてまずお伺いをいたします。
  69. 石田正

    ○石田政府委員 これは先ほどもちよつと申し上げたのでございますが、今の条約の範囲内におきましては、現物賠償ということを中心として考えるというのが、日本政府の立場であろうと思います。先ほど福田委員からもお話がありましたが、この三月にフィリピンとの間におきまして、沈船引揚げに関しますところの中間協定というものができましたのも、お互いに話合いました結果、まずこれをやろうということでやつたのでございまして、やはり筋といたしましては、日本政府はあのラインで考えて行くべきものではないか、あの十四条のサービス賠償のあれを基幹といたしまして考えて行くべきものではないかと考えております。
  70. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、総理大臣は役務賠償以外に、フィリピンその他に対しては、現物賠償によつて何らかの措置を講じたいと思う、従つてそれに対していろいろ研究している、こういう答弁をされておるんだが、このことは講和条約第十四条に違反する言動である、こういうふうにお考えになりますか。
  71. 石田正

    ○石田政府委員 私総理のお気持をはつきり承つておりませんので、どうも何と申し上げてよろしいか……。
  72. 春日一幸

    春日委員 気持じやなくて、物事の判断です。
  73. 石田正

    ○石田政府委員 これは私先ほども申しましたが、現在におきましては、十四条の役務賠償を中心として考えるべきだと思うのです。但し十四条というものの趣旨が何にあるかといいますと、日本の経済の許す範囲内において処置するというのが、私は根本であろうと思うのであります。それじや日本の経済の許す範囲ということをいいましても、なかなか抽象論になるおそれもありますので、たとえば為替の問題はこうであるとか、あるいはほかの国に迷惑を及ぼしてはいけないんだとか、そういうようなことで制約してあるというのが十四条の規定であろうと思うのであります。従いましてその根本趣旨によつて、今後も処理さるべきものである。これは将来の問題として、フィリピンなりインドネシアにいたしましても、それぞれの立場もございますし、要求もあることでございますから、いずれ話をいたしました結果、最後にどういう結論になりますか、私は予測できませんけれども、しかしできるだけ十四条の範囲でやつて行く。かりに十四条の解釈なんかにいたしましても、多少のゆとりがあると思います。具体的なアプライの方法についてもあると思いますけれども、しかし明らかに十四条を越える、極端なことを申しますれば、金銭賠償で行くということになれば、これは十四条のらちを越えて、別の処置方法が必要であろう、かように考えます。ただ私よくわかりませんが、総理は、日本の経済力の事情が許せば、十四条が基本であつても、それ以上のことができれば、そういうことをしたいものであるというお気持をお話なつたものであつて、必ずしも法律関係とか条約関係とか、そういうものをよく検討して、そういうことを並べ上げまして、こういう関係でこうたるのだということを申し上げたのではないだろうと思います。
  74. 春日一幸

    春日委員 あなたは理財局長として、日本の財政の収入、支出についてよくお見通しをお持ちになつております。従つて日本経済がそういう現物賠償に伴う支出、あるいは現金賠償に伴う支出の経済力を持つかどうかよく御存じであるので、日本が本年度において、あるいはここ二、三箇年間において、現物賠償をなし得るような予算の収支の状況にあるかどうか、この点についてひとつ御答弁を願いたいと思います。
  75. 石田正

    ○石田政府委員 これは、私結局申しまするのに、金額の問題だろうと思います。どのくらいの金額のことをするか、こういうことになるのであります。それから賠償という問題も、これは大切な問題でありまするが、そのほかにも国の予算なり、あるいは貿易とかいう関係にもなりますれば、いろいろな問題がございます。従いまして、予算の上でどれだけ余裕があるかということは、ほかの経費をどうするかということとのにらみ合いにおいてきまるものであろうかと思います。
  76. 春日一幸

    春日委員 国民生活をはなはだしく貧困に陥れしめない範囲において、そういう支出が可能であるかどうかお伺いいたしたい。
  77. 石田正

    ○石田政府委員 これも、ですから全体の予算の支出の中におきまして、どういうふうな形になるかというふうに判断するよりほかはないと思います。
  78. 春日一幸

    春日委員 この問題は、予算委員会か本会議でやります。  それから次は、為替管理局長に伺います。本法律案は、今回立法されんとしております独禁法に基く輸出カルテル、あるいは企業安定法に基く調整組合、こういうものを対象としてもやはり適用されますかどうか、この点を伺いたい。
  79. 東条猛猪

    東条政府委員 この設備損失補償法の内容は、要するに輸出業者が、あるいは為替相場の変動が起るかもしれぬということで、輸出を阻害するようなことに相なつてはならぬという趣旨でございます。問題は、この法律案の相手方は輸出者でございますから、だれが輸出者であるかということによつてきまると思います。
  80. 春日一幸

    春日委員 これは輸出する者、もしくは法人というふうになつておると思うのですが、いかがでございましようか。従いまして、カルテルは法人体の形になる場合もあろうと思いますが、そうした場合、そのカルテルはやはりそういうものの対象になり得ると思うのですが、いかがでしようか。
  81. 東条猛猪

    東条政府委員 別の官庁から御審議をいただいておりまする法律案内容をつまびらかにいたさないのでありますが、それらの改正法案におきまするいわゆる組合形態、あるいは連合体形態のものが、かかる種類の輸出の商取引をするということまでは、考えておらないのではなかろうかというふうに私は承知いたしております。
  82. 春日一幸

    春日委員 そこでお伺いしたいことは、例を一つとりますと、パキスタンと日本との貿易協定なんかでありますが、パキスタンとの協定によると、たしか向うから五十万べールかそこらの綿花を輸入する。その同一の金額を日本から輸出するのであるが、しかしこのことは、おのずからこの業者たちに、向うがこれの見返りとしてとるものは糸であるとか綿布であるとか、こういうものが大体その五十万ベールの対価の八割程度は考えられておるのではないかと思います。そういたしますと、日本一般雑貨として、そのパキスタンの協定に基いて輸出のできるものは二割か三割にしか当らない。そうしたときに、パキスタンの政府が主張しておることは、少くとも日本がヤーンなり綿布なりを向う輸出したその対価を、五年なり十年なりの長期のクレジットによつて決済ができる形にしてもらうならば、五十万べール程度の綿花の見返り輸入については、一般雑貨を輸入し得る用意がある、こういう話でございました。従いまして今日、日本の中小企業が生産過剰で非常に困つておるのだが、とりあえずその中小企業によつてできたところの平和的一般雑貨というようなものを、パキスタンへ大量輸出の道を開く方法として考えられることは、日本から輸出されるところの糸や綿布をまず五年程度の先払いにして、そうしてとりあえず向うから買つた綿花に対する分だけは、一般雑貨の輸入によつてこれを決済して行く、こういうことにしてくれという中小企業団体の陳情と運動とが行われております。そうした場合、パキスタンへ輸出するところの綿布業者や糸業者たちがカルテルをつくつて、そうしてそのパキスタンヘの輸出数量、その金額、こういうものを国内的には割当てて、そうして対パキスタンヘは一つの組合の形において一本の形で輸出をする、こういうような方法考えられないことではないと思いまするし、なおそうすることによつてのみ、日本一般雑貨を初めてパキスタンへ輸出する道がここに開かれると思うのであります。そうした場合、このカルテルが行うところの輸出、これに対して本法の適用を受けられるかどうか、この問題を伺つておきたいと思います。
  83. 東条猛猪

    東条政府委員 日本とパキスタンとの貿易とりきめの内容に関連してのお話でございますが、御承知のように、一応政府間では調印を了しておりますけれども日本とパキスタンとの貿易とりきめにおきましては、向うから原綿を六十万俵程度入れる、これは御承知のようにパキスタンの日本への輸出品目のうちの大きなものでありますが、そういう綿花を中心にいたしまして、出入りとも約三千万ないし三千二百万ポンド見当の商取引をやつて行こう、こういう話合いに相なつておることは御承知の通りであります。  そこでただいまのお話を伺つておりますと、あるいは私の聞き違いかも存じませんが、雑貨でありまするとか、あるいは繊維製品、そういうものに、今回の輸出入銀行法改正に伴いまする銀行のファイナンスの問題でありまするとか、あるいは設備損失補償法の為替のリスクの問題でありまするとか、そういうものの適用があるのではなかろうかというような前提のもとに、お尋ねでなかつたかと思いますが、これはもう春日委員承知の通りに、今御審議を願つておりまするところの設備輸出為替損失補償法案の主たる内容は、鉄鋼でありまするとか機械でありまするとか、あるいは純粋なプラント輸出とは言えませんけれども、先ほど銀行局長からるる御説明申し上げましたプラント、これに準ずるようなものにこの際としては設備損失補償法の対象を限定したい、こういうのがこの法律案の趣旨でございます。従いましてその組合が法人格を持つているかとか、あるいは当該人格を持つておる法人が、はたして実際の取引においてLCの発行を受け、あるいは手形の堂取入になるかという、現実の取引を考える場合の技術的な問題の一歩手前に、この為替リスクの補償に対する法律案対象が、そういう雑貨ないしは繊維類にはむしろ適用がないのだというお考えで御審議をいただきたいと思います。
  84. 春日一幸

    春日委員 それではプラントもしくはこれに準ずるということであるが、私は本法の精神はやはり輸出振興にあると思うのであります。私はそういうものにむしろ限定をしないで、一般的に輸出振興に大いに役立つというような場合においては、これを広く適用の対象にするのが本法の目的を達成するゆえんであると考えますので、この点については、さらに御再考を願いたいと思うのであります。  もう一つは平田さんにお伺いしたいのでありますが、インドとかパキスタントとか、特にフィリピンでありますが、これらの国の国内法によりますと、日本の商社が向うに出張所なり支社をつくつた場合、それに対して、あがる収益の二割かなんかの大きな税金をかけて、しかもその商売を通じて本社が得た利益の、たとえば日本の国内における商社が得た利益のさらに何割かをその国に納めさせるというような法律がございまして、従つてパキスタンなりフィリピン、まだほかの国にもあるかもしれませんが、そういうような国においては、日本人が商社をつくることができない。このことは非常に輸出を阻害をしておると思います。現在カラチには日本人が二百名近く行つておるのでありますが、しかし自分で家をつくつて支店、支社をつくれば厖大な税金がかかる。これではとてもとても経費がまかなえるものではないからというので、ほとんどホテル住まいで、支社というものはただ一社もできておりません。やはり店舗をかまえて商売をやつて行くということになれば、腰もすわりましようし、取引も能率的に行われるでありましよう。いろいろ日本輸出振興のために、多角にわたつて諸策がかくのごとく並行しておるのでありますが、こういうような、相手国の国内法によつて輸出振興がはなはだしく阻害されておる面については、外交折衝等によつて何らかの措置を講ずることによつて、彼らがそういう商事活動を自由にできるような態勢を打開いて行つていただかなければならぬと思うのであります。従つてこういうような国、たとえばパキスタンの日本における商社に対する待遇とか、あるいはフィリピン日本における支社等が日本の国内法によつてどういうような待遇を受けておるか。日本人たちがその地において受けておる待遇と、またそれぞれの国々の諸君が日本において受けておる待遇と、大体どの程度違つておるのか、この点御説明願いたい。
  85. 平田敬一郎

    平田政府委員 ただいまのお尋ねは、実は非常にごもつともなお尋ねだと存ずるのでありまして、私ども調べたところによりますと、どうも今のような状態ですと、せつかく向う支店を設けてやりましても、非常に大きな課税を受ける例が非常に多い。しかもその課税の仕方が、外形的な課税を受ける場合がありまして、利益をあげなくても相当な課税をするというような例が間々あるようであります。船舶等につきましても、ある国のごときは、入港したただそれだけの事実で相当重い税をとつておる事実もあるようでございます。従いましてこの問題につきましては、大蔵省といたしましてもよく事実を調べて、今後もできるだけいろいろな手を使いまして善処するようにいたしたい。現在の税法では、少くともそういう国々で現実に払いました税金を、日本課税する場合、経費として引くということはいたしておりますが、そういう税金を日本で払う税から引くというところまで行きますかどうか。そこに実は大きな問題があるわけであります。なおそれをやる上におきましては、相手国におきましてどういう課税をするかということにつきまして、ある程度話合いをした上でやりませんと、これまた結局向うにとられつばなしで、いたずらにこちらの財源が減るということになりますので、よく話合いをいたしたい。とりあえず、近く、たしか九月ごろでございましたか、エカフエでアジア諸国における二重課税の問題が一つの議題になるようでございまして、その際におきましては、民間からも専門家に行つてもらう、大蔵省も専門家を派遣いたしまして、さらに実情等もよく調べ、あるいは各国の意見なりを十分聞きまして、十分対策を立てるようにして参りたい。しかし何しろ平和条約も結ばれていないというところにおきましては、なかなかむずかしい。しかしパキスタンのような国は、大分進捗いたしておりますので、通商航海条約その他いろいろな国際間の条約が進行しております国との間におきましては、二重課税の防止に関する条約というようなものにつきましても、さらによく考えまして、お話のような障害をできるだけ排除するように努めて行くべきものだと考えます。
  86. 春日一幸

    春日委員 わかりました。そういう税法があるために、支社が一つもできないで非常に困つておりますので、支社ができて、やはり輸出振興のために日本の商社が海外の前線活動のできるような態勢を、政府の責任においてすみやかにおつくりを願いたいと強く要望いたします。  それから為替監理局長にお伺いをいたしますが、ヨーロツパでは、ヨーロツパ支払い協定というものがありまして、必ずしもドル建、ポンド建ということでなくて、多角決済の方法がついております。アジアにおける貿易振興するためには、やはりアジア支払い協定なり、何らかの方法で多角決済の道が開かれるのでなければ、現在の決済方式では、とてもとてもその貿易振興の道というものは、いつも外貨資金の涸渇という壁にぶつかつて、前進いたしません。従つてアジア支払い協定を結成することのために、何らかの方策を講じたことがあるかどうか、これに対する見通し並びに経過について伺いたい。
  87. 東条猛猪

    東条政府委員 貿易決済上の多角決済がいいのではないかという点は、まことに御指摘の通りでありまして、その意味において、非常にごもつともなお尋ねでございます。ただ欧州のEPUに相当するようなアジアの多角決済機構がつくられるかどうかという問題を研究するにあたりましては、決済同盟加盟国の貿易構造、貿易のしりをよく見る必要があります。つまり加盟国メンバー全体といたしまして、これが何とか全部帳消しになつて行くとか、あるいは相互の貿易構造を調べてみまして、いわば収支補完するような構造になつておりませんと、一時的につくつてみましても、結局全体としての帳面じりの決済資金は、いずれにしても国の間では動きますから、その意味における決済資金というものが非常に多額を要しまして、結局つくつてはみたが絵に描いたもちのようなもので、掛声だけに陥るおそれが十分にあります。また決済同盟をつくりまして、それを現実に円滑に運営して参りますためには、国際協力の度合いというか、民度と申しますか、お互いによく制度を理解し、協力し合うというところまでいろいろの点で発達しておることが、実は必要なわけであります。先般のエカフェの会議におきましても、実はアジアの決済機構の問題が議題として取上げられております。その意味におきまして、政府の部内でも多角決済機構の問題については、いろいろ検討いたしておりまするが、お尋ねのアジアのみの多角決済機構ということは、もちろん一つの非常に重要なテーマでありまして、絶えず研究、検討しておくべき問題でありますが、実現にはいろいろむずかしい点のある研究問題であるというふうに、御承知おき願いたいと思います。
  88. 春日一幸

    春日委員 この問題につきましては、日本商工会議所等も、非常に広汎な資料で一応の研究もでき上つております。その意見によると、アジア支払い協定は可能であるという結論がデータに基いて出ております。日本はアジアにおける唯一の工業国でありまして、この支払い協定ができるかできないかについてのキー・ポイントを握るものは、日本政府の態度であろうと思います。従いましてこの問題については、あなた方が右顧左眄するのでなく、現在の日本の中小企業が生産過剰になつて有効需要がない、どうしても海外に販路を求めなければならぬが、日本の雑貨を買つてくれるのは東南アジアである、東南アジアに決済方途を求めるならば、これはどうしても多角的決済方法考えなければならぬ、とすればこれは、やはり日本の中小企業の救済、あるいは日本の自立経済という問題についてはさくことのできない問題であろうと思います。わけてアジアにおける唯一の工業国としての日本の使命を考えますときに、支払い協定の可否のかぎを握るのは日本政府である。そういう意味におきまして、この問題はすみやかに結論を得られる、というよりも、むしろ指導的な使命を果されて、貿易の停滞が、こういう方向を通じてすみやかに道が開けて行くように御努力願いたいということを強く要望いたします。
  89. 千葉三郎

    千葉委員長 午後一時半まで休憩いたします。  なお午後は十一委員室において再開いたしますから、御了承願います。     午後零時三十分休憩      ————◇—————     午後二時十分開議
  90. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。午前中と同様、本日の日程に掲げました国の所有に属する物品売払代金納付に関する法律の一部を改正する法律案外二十法律案及び本委員会における国政調査の一環としての国有財産管理状況に関する件を一括議題として、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。井上良二君。
  91. 井上良二

    ○井上委員 ただいま議題となりました国有財産管理状況に関する件に関連をいたしまして、国会、特に衆議院の管理いたしておりまする本館並びに第一、第二、第三会館、それから議員宿舎、こういう国有財産の建物の中で、民間の業者に食堂、または売店等を許可しておる件数はどれくらいありますか。
  92. 大池真

    ○大池事務総長 ただいま本院の議員食堂並びにその他の売店等の許可件数のお話でありますが、売店その他の営業的な面を許可いたしております件数は、第一、第二、第三議員会館並びに本院全部を通じまして、二十三件ございます。食堂につきましては、ただいま申し上げました議事堂並びに会館、宿舎等を全部合せまして十件でございます。
  93. 井上良二

    ○井上委員 これらの公共建物をこういう業者に貸し付けます場合に、いかなる条件でこれを貸しておりますか。そうしてその具体的な内容について、たとえて申しますと、食堂の場合は、いす、テーブルその他什器は本人持ちでありますか、それともこれは国有財産になつておりますか。その場合の賃料、使用料、それからガス、水道、電気の使用料は本人持ちでありますか、国庫が負担をしておりますか、これを伺いたい。
  94. 大池真

    ○大池事務総長 ただいま井上委員の御質問によります、衆議院におけるただいま申し上げましたような箇所におきまして、営業的な面を許可いたしております分につきましては、御質問のいす、テーブル並びにその営業をやりますについての必要の設備は、衆議院のものを使用さしておりまして、それに対しては、賃貸料等はございません。なお衆議院の方で、一応これで十分であると認めて貸し与えたもののほかは、什器類はもちろんのこと、業者みずから特にこういうものが必要だとしてこしらえてあるようでありますが、それは各業者の自由にまかせておる次第であります。なお賃貸料というものは全然とつておりません。
  95. 井上良二

    ○井上委員 国有財産を無償で貸し付けるという法的根拠はどこにありますか。
  96. 大池真

    ○大池事務総長 法的根拠に従つて貸し付けておるわけではありませんで、かりに食堂にいたしますれば、議員が国会開会中職務を遂行する面において、食事時間等によそへ出かけて行くということは職務執行上非常に支障を来すということの前提で、この新議事堂に移る以前の旧議事堂以来、むしろこちらの方で適当なる食堂営業者に設備を利用さして、食堂を設けた方がよろしいということできまりまして、それが引続いて、新議事堂に移りましても、大部分は従来の経営をしておりました者にその経営を許可する。従いまして、その食堂の営業そのものについての許可は、監督官庁に届け出て許可され、私どもの方は、請負わせました面についてのみ監督をいたし、営業に基きます所得税その他の税金関係等は、税務署の直接管轄するところであり、衆議院で請負わせることになれば、その都度一般の営業許可権に基きまして、東京都の方から受けてやつております。
  97. 井上良二

    ○井上委員 国権の最高機関である国会が、その所有する国有財産をみずから無償で貸し付けるという。これが国会内の職員やまた議員等の関係しました共済組合、または消費組合等が経営をいたします場合においてもやはり問題は多少ありますが、そういう福利厚生施設というのを全然逸脱した、第三の営利を目的とした業者に一定の場所を提供いたします場合は、当然一つの法的基礎を必要とするのであります。もしそれが慣例で行われて来ているということでありますならば、それは脱法もはなはだしいことと考えなければならぬし、またそういうことがかりに許されるということになりますと、解釈は非常に広範囲に解釈され得るのであります。今お話のように、食堂の場合は、そういう御説明も一応つきまするが、しからばその他の売店や、いろいろな複雑な仕事をやつている人に、いろいろな部屋を貸しておりますが、そういうものは説明がつかぬ事態が起つて来やせぬか。そういうことが国会においてかりに許されているということになれば、他の国有財産施設がそういうことに悪用ざれ出した場合、一体どうするかということになり得るのであります。従つてもしあなたの今の御説明のように、議員活動を有効に行わしめる一つの施設としてこれが許されているということならば、国有財産法の一部を改正して、さような公共的利用の場合には使うことができ得るような、無償で貸すことができ得るような規定を設ける必要がある。ただ国有財産法の二十二条によりますと、「営利を目的とし、又は利益をあげる場合には、」国有財産は貸し付けることができぬし、譲渡することはできないということが書いてある。従つて今やつておることはこれに反する。だからあなたの言うように、公な任務のためにそういう施設が必要であるというような法的な改正を国会に提案をして、法律的な裏づけの上においてやられることが、他の国有財産を管理する者に対しても一つの方向を示すことになりはせぬかと私は思うのです。でないと、営業者として入つて来ているのですから、営業が成り立たぬ以上はやらないわけです。そうしますと、その営業者は国有財産である机やいす及び一定の場所を無料で使い、ガス、水道、電燈、一切を無料で使う、こういうことが一体許されることになりましたら、他のしめしはつきません。そうお思いになりませんか。
  98. 大池真

    ○大池事務総長 ただいまの井上委員お話は、原則論としては確かにそういう点はあろうと思いますが、こちらの方の国有財産の一部分の使用を認めるという点におきましては、そのために、純粋の他の一般の営業者とは違いまして、その食堂なら食堂、あるいは売店なら売店の販売品等の——食堂におきましては、どういうものを幾らで売らせるということをその都度議会ごとに申出を受けまして、これに、ガス、水道等も、一般の経営であれば当然に自己支弁になるべきものが、衆議院の方のものを使つておるわけでありますから、そういうものの関係で、他の一般市価よりもはるかに一品ごとに安い値段で協定をいたしまして、その値段によつて売ることを許す、こういうことにして、それだけのもうけを得させないような配慮をいたしておる次第であります。かかる一般の売店が、ただいま申し上げました通り、二十三にもなつております。昔はごく少数の一、二ないし三、四にとどまつておつたのでありますが、いろいろの人員がふえまして、必要がありまして、各議員会館等の世話人の方で、こういうものを不便であるから置いてくれという申出に基きまして——こういうことは従来は事務局限りでやつておりましたが、最近は議院運営委員会に庶務小委員会というものができまして、かかる厚生面のことは、一切その庶務委員会を通じ、最後には議院運営委員会の決定をまつてやることに相なつております。従いまして、各世話人等の申出をその都度小委員会に諮りまして、それを置くが、それならどこに置くかということが常に問題になります。実際の場所を見定めまして、ここならば支障がなくできるだろうという場所のあるものに限つて許すということで、ちよちよいふえて参つておるような次第であります。今言うような営業そのものは、一般の営業許可を受けて、そちらの方面で監督する、私どもの方は、許可をした条件にそむかないように、また議員さんたちの不便がありましてこれをかえるというようなことは、純粋の営業許可にはありませんが、いつでも必要があれば立ち去ることができるような契約をいたしておりまして、それに基いて、従来からも慣例的にやつておるわけであります。これが今国有財産法の使用違反になるかどうかという点については、私どもは長い間の慣例で、別に今日まで非難を受けておりませんので、このまま使用していいものと心得ておつた次第でございますか、かような御議論のありましたことにつきましては、さつそく庶務小委員会の方に申入れをいたしまして、この点を研究していただくことにいたしたいと考えております。
  99. 井上良二

    ○井上委員 それからいろいろな売店やら、いろいろな福利厚生施設が必要とした店舗、事業所等を貸し与えておりますが、私はあなたの方の職員がつくつております共済組合、あるいは消費組合というものがございますが、ちようど鉄道の方でやつております弘済会というようなものがありますように、そういう一つのある団体が経営主体になつて行くということの方が正しいじやないか。何か第三者の運動が行われて、その運動によつて、あなたの方が庶務小委員会や、または事務局会議でここを貸すとか貸さぬとかを決定するということになつて来るのじやないかと思うのです。そのことのために、いろいろな話を私ども聞くのです。だからできることなら、消費組合なり、あるいは共済会において売店その他は経営させて行く、もし売店の経営が非常にうまく行かぬというようなことがあれば、そのときまた新しい対策はありますから、一応やはり筋を通しておかぬと、いろいろな同業関係競争や運動や、忌まわしい話がいろいうことさらに相手を傷つけんとして流布されることは、国会の権威の上からもはなはだ迷惑するところであり、議員がこれを見て知らぬ顔をしているといううわさを聞くのですが、そういう点からも、これはやはり国会の職員の福利厚生施設としてやつており、また議員全体の利便の上からやつているということで筋道を通して、それで法的基礎を明らかにしてやつて行くというふうにされるのが私は妥当ではないかと思う。われわれの足元で、そういう国有財産がどこの法規にも基いていない単なる慣例によつて、議員の利己的な利便のためにこれがかつてに利用されたのでは、他の官公庁が不当なことをやつておつたつてわれわれは追究できません。だからわれわれみずからのところを、みずから明らかにしておく必要があると思う。そういうように一応あなたの方でもお考えを願つて、この問題は明らかにしてもらいたい。特に最近のように、各会館に二つも三つものいろいろな部屋が貸されて、いろいろな営業が行われているということがあまり目に余る事情になつている。これはいろいろの弊害をいろいろなところに生んでいる。そういうことからして、あなたとしてはなかなかたいへんであろうと思いますけれども、これを許して、他の官庁の行政関係の財産管理が弛緩をしたらたいへんなことになつてしまいますから、これはやはり立法府としては、その点だけのけじめだけははつきりさせておいた方が私はいいじやないかと思う。人から非難をこうむらないような措置をしておいた方がいいじやないか。特に私が申し上げましたように、職員の福利厚生の施設のその一環の事業として、そういうものを経営させて行くという方向を一応考えてみる必要がありはせぬか。消費組合はあつちのすみの方で、か細い商売をやつて、こちらでは堂々と商人が至るところに店を張つてつている。これで消費組合が成り立つはずはありませんよ。だからそういう点で、もし消費組合がしろうとでうまく行かぬというならば、業者に請負わすとかなんとか、消費組合の責任でやらすという建前を明らかにした方がいいじやないかと、こういうふうに一応私は考えておるので、そういう点も御参考にされまして、善処されるようにお願いをしておきたい。
  100. 大池真

    ○大池事務総長 ただいまの井上委員のおつしやることは、たいへんごもつともと思いますが、いろいろ広範囲にわたつておりますので、ただちに消費組合の方でお引受けをするというような面も、ただいまの状態においてはできませんが、まずとりあえずの問題といたしまして洗濯屋の、従来やつておりました白洋舎をやめて、その方面を今回からいたすことに一つだけ取上げているわけであります。それ以外の点につきましては、ただいまの御趣旨を十分体しまして、小委員会等にもお話を申し上げまして、そういうことのできる面につきましては、そういう方針に進みたいと考えております。
  101. 井上良二

    ○井上委員 この問題はそのくらいにいたしておきまして、昨日質問をいたしました管財局長に対する質問で多少疑問な点が二、三残つておりますので、この際さらにこの問題について参二、三質問を許していただきたいと思います。  先般私が、元陸軍造幣廠の枚方製造所へ小松製作所への払下げ問題に関して、この払下げの許可はいつしたかということを質問いたしましたところが、一つは昨年の暮れですか、一つはことしの春一月ごろ許可をした、こういう話でございましたが、私の調べたところによると、あと月にある地区を許可をして、いま一つはまだ許可が正式になつてない、こういうことになつておるようでありますが、さようでございますか、その点まず明らかにしておきたい。
  102. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 この前実は十分資料を持つておりませんで御答弁申し上げたので、多少間違つておつた点があつたかと思いますが、この枚方製造所を小松製作所に処分して使用させるという方針を決定しますにつきましては、段階が二つあるわけでありまして、最初にあすこを一括転用して小松製作所に使用させるという方針を決定します段階と、それから具体的に払下げの契約内容を具して、こういうことで契約していいかということを現地から言つて参りましたのに対しまして承認をする段階と、二段階あるわけでございます。それで二地区——枚方には今回問題になつております地区が二つあるわけでありますが、甲斐田地区と申します方は、これは最初の方針の決定が二十七年の六月二日になされておりまして、それからあとの方の具体的な払下げ契約に対する大蔵省本省の承認が、本年の六月二十三日になされております。それから中宮地区の方につきましては、最初の方針の決定が二十七年の九月二十四日になされておりますが、具体的な払下げ契約に対する大蔵省としての承認の決定は、現在手続中でありまして、まだ完了いたしておりません。
  103. 井上良二

    ○井上委員 それでわかりました。そうしますと、小松製作所にこの施設を転用さすことを決定いたしたいという、この転用さすことを決定するということは、その施設を使つていいということの決定でないかと思うのですが、七の場合は、そこに賃貸借が生れて来るものです。そうすると、この両地区の賃貸借はあなたの方できめたのではなしに、大阪財務局にまかしてきめたのですか、その点を明らかに願いたい。  なおもしおわかりになつておりますならば、この払下げが決定いたしますまでの間のこの施設、物件等の賃貸借は、一箇月どのくらいもらつておりますか、御説明願いたい。
  104. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 先ほど第一段階として転用の方針を決定すると申し上げたわけでありますが、その転用の決定をするということは、会社に貸し付ける契約をするということではございません。こういうような軍の大きな工廠の施設等につきましては、これをどういう方面に処分して、どういう用途に使わせるかというようなことにつきまして、これを一括して処分する方針をきめることにいたしております。その方針といたしまして、これは小松製作所から申請があるが、ここに売り払つて、こういう工場施設に使わしていいだろうという方針を大蔵省としてきめたわけでございます。従いまして、実除に貸し付けると申しますか、この施設の中に会社が入つて機械の手入れをするとか、あるいは一部については動かしてやるとかいうようなことを認めましたのは、その後になつておりまして、現在甲斐田地区の方につきましては、まだ立ち入らせておりません。それから中宮地区につきましては、昨年の十月一日から立ち入らせているわけであります。  使用料につきましては土地、建物、これは大体立ち入りまして使つたものだけについてとつたわけでありまして、全体の施設を売り払う契約をするわけでありますが、そのうちで入つて使つたものだけということで調定いたしております。土地、建物につきましては、昨年の十月一日から今年の三月三十一日までの期間の分といたしまして二百四十五万一千五百三十円、それからその他変電所等の施設、これは別途使用いたしますので、その関係が十一万三千九百四十二円、それから事務所の土地、建物等に対する分が十五万円、それから機械器具等につきましては、九百四十一台を売り払う予定になつているわけでありますが、そのうちの四百七十六台分につきまして三百十四万三千五百六十七円、それから変電所の設備、機械等につきまして八万六千三百五十五円、大体これだけのものを調定いたしております。
  105. 井上良二

    ○井上委員 これほどの大きなものを払い下げます場合に、省議を開きましたか。省議にはこれはかけておりませんか。それから六月二十三日に、甲斐田地区ですか中宮地区ですか、今聞き落しましたが、どちらか大臣決裁を受けておりますが、この甲斐田地区なら甲斐田地区の大臣決裁を受けました六月二十三日は、参議院、衆議院とも本会議を開いておりまして、大臣は朝の十時から晩までずつと出ておりましたが、これだけ大きな物件を払い下げるについて、大臣が単なる盲判を押すはずはないと考えます。従つて、何か大臣をして納得せしめますところの具体的な資料というものが提示されなければならぬ。単に枚方地区のこれこれのものをこの価格で払い下げるということについての決裁であるか、それとも、これこれの物件をこの評価によつて払い下げるということですでに承認を得ていたのか、そういう問題がこれはあろうと思います。これはいずれ大臣の出席を求めて私は聞くつもりでありますが、いかなる方法で大臣の承認を得たか。それから、現に中宮地区の方が使用され、もうどんどん生産が行われておりますが、この地区の決裁はどういうわけであとまわしになつておるのか。それから私ども疑問に思いますのは、同じ枚方地方の地区において、一方は坪当り三十円ぐらい、一方は二百四十円ぐらい、同じ地区において、何ゆえにかくも坪当り価格が違うのかという疑問が起つて来ます。そういう点についても、この際一応御説明を伺つておきたいと思います。
  106. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 この両地区の払下げを決定いたしますにつきましては、決裁の文書をまわす前に、あらかじめ省議を開きまして決定をいたしております。  それから大蔵大臣にどういう説明をして、どういう決裁をしてもらつたかというお話でありますが、これにつきましては、私の方から直接大臣に御説明を申し上げたことはありません。文書課、次官等が大臣の御決裁をいつも得るようになつておりますので、その方で様子を聞きまして、御説明申し上げたと思います。  それから片一方の方がきまつたのに、片一方はなぜきまつておらぬかというお話でありますが、これは御承知のように、中宮地区の方はまだ決裁が済んでいないわけであります。これにつきましては、やはり非常に大きな、しかも内訳多数にわたる物件の処理をいたしますので、中の評価の問題等につきまして、いろいろと検討をいたしておるのでございます。見ておりますと、現地に問い合せましたり、いろいろこまかい点でありますが、評価のやり方を修正しなければならぬ問題がいろいろ出て来ますので、そのような関係で、特に遅らしたわけではないのですが、中宮地区の方はちよつと手間がかかりまして、遅れておるというのが実情でございます。  それから土地の坪当りの単価のお尋ねだと思いますが、一方は三十円、一方が二百四十円ということはございませんはずで、大体中宮地区の方が坪当り三百円程度、甲斐田地区の方が坪当り二百四、五十円程度の平均単価になつておると考えます。
  107. 井上良二

    ○井上委員 この中宮地区の払下げは、管財局長としては決裁をいたしておりますか。
  108. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 決裁いたしております。
  109. 井上良二

    ○井上委員 そういたしますと、あなたは現地を見たことがありますか。
  110. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 見たことはございます。昨年両地区とも見て参りました。
  111. 井上良二

    ○井上委員 もつと高声で答弁を願いたいのです。これだけの物件でありますから、おそらく現地を視察されただろうと思います。あの中宮地区のすぐ前は、ごらんの通り商店街になつておりまして、しかも幅員約三メートルの道が、京阪国道に貫通しております。そういう交通の便利なよい地帯で、しかも住宅街として非常に適当な地理的条件にある土地であります。最近の地価の関係から、千円から千五百円、いいところは二千円もしておるということを、地元の者が言つております。この事実から考えて、これをあなたが決裁するにあたつて、五百円と押えたのは一体どういうわけですか。付近のそういう地価というものは、全然お考えになりませんか。たとえば税務署が固定資産税をとります場合、地価標準によつて算定をされて参りますが、これを売る場合には、そんなものは全然お考えになりませんか。
  112. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 大体この土地の売払い価格の調定につきましては、いろいろの要素を参考にいたしておるのでありますが、付近の類似の基準にされるような土地、こういうものの賃貸等級というものをまず求めております。しかし大体国有財産につきましては、賃貸等級のついていない土地が多いわけでありますから、近傍の同じような条件の土地の賃貸価格を一応推定いたしまして、そういうものを基礎にして——いろいろなやり方がありますが、そういうものに対する富裕税の評価の基準価格、あるいは地方の固定資産税の評価の基準価格というものを算定いたしまして、かようなものを参考にいたします。それから台帳価格がございまして、これは大体取得のとき、あるいは台帳に載せたときの値段が載つておるわけでありますが、そういうような値段から、その後のこういう地価の値上りの指数、これは勧業銀行等で調べておるのでありますが、そういうような指数をかけて出してみる。あるいはこれは当初買収しておりまして、正確に全面的にわかつておらないのですが、大体の買収価格はわかつております。そういうものに対して、買収時期から売払いまでの地価の値上りの指数というようなものをかけて出します。その他もちろん近隣に似たような土地の売買例があれば、そういうよりなものを参考に調べるとか、それかりその付近に精通する地元の人等の意見を聞くというようことで、いろいろそういうような数字を集めまして、総合判断して決定いたしておるわけであります。それでお話の土地でありますが、近所に千円とか二千円とかいう実例があるというお話であります。これは具体的のその場所なり事実は、初めて伺いましたので、私存じませんが、こういう大きな広い工場用地を処分するわけでありますから、やはりそういう用途に即した評価をいたす必要があるわけでありまして、工場等の入口に近い商店街というようなもの、ことに非常にいい場所にあつて、工場ができれば非常に商売上いいというような土地を、小さい面積を処分するというようなときには、これはかなり高い値段が経済原則からどうしても出て来ると思いますが、こういう広大な工場用地を処分いたします場合には、やはりそういう値段で全体の土地を売るということはむずかしいのじやないかと思います。お説のような問題は、十分検討してみたいと思いますが、一応の考えといたしましては、そういうようなことを私としては考えておるわけであります。
  113. 井上良二

    ○井上委員 小松製作所から、この中宮地区等の払下げ契約に基いて、どのくらい代金を支払われましたか、これが金額支払われぬとすれば、何年の契約で全部払うことになつておりますか。
  114. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 払下げ価格は、先ほど申し上げたように調定はいたしておりますが、売買契約はまだ最後の締結に至つておりませんので、払下げ代金は徴収いたしておらないわけであります。とり方といたしましては、これは固有財産特別措置法の規定によりまして、十箇年賦でとることになつております。最初に総払下げ価格の二割の頭金と申しますか、一時金を徴収いたしまして、その後十箇年賦で代金をとる。延納代金には八分の利息がつくというようなことで、徴取いたす予定になつております。
  115. 井上良二

    ○井上委員 一応払い下げてくれという申請を出しまして、払下げが決定をしませんと、金を払わないでもいいことになると思いますが、保証金とか、そういうものは全然国有財産の払下げの場合には必要としないことになつていますか。民間の場合は、大体売買契約ができますと、保証金なら保証金を何ほ入れるとしうことに、普通の取引はなつておりますが、国の場合はそういうことは必要ないのですか。
  116. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 これは一般の公入札等で処分いたしまする場合には、入札者に保証金を積ませるということはいたします。この場合は、随意契約で相手をきめて取引するのでありますので、これは契約の成立いたしましたときに、最初に二割の代金を今度とることにいたしております。現在は契約ができておりませんので、代金は徴収していないわけであります。
  117. 井上良二

    ○井上委員 それはちよつとおかしいですね。といいますのは、もし国が財政法第九条に基いて、適正な価格でなかつたら譲渡しないという方針のもとに、一定の適正な価格をはじき出した。しかし相手がその価格では受取らぬということになりました場合は、売買契約は成立しません。しかしこの問題は、現実においてはすでに小松製作所は国有財産を使用して生産を始めておるのであります。もし国が申し入れた価格が気に入らぬという場合ば、現在の貸借関係——貸借関係ができておるかどうかわかりませんが、代金を払つている以上は、貸借関係が事実上成立しておるということになりましよう。そうなつて、このまま居すわられた日にはどうなりますか。そんな高いものは買えぬといつて相手が居すわつて、安い賃貸価格しか払わぬということになつたらどうしますか。そこがちよつとおかしいことになりますね。何か強い非常に力のあるものには保証金をとらいでも貸すわ、そしてその売買においても、保証金も何にももらわいでも売買契約をするわ、そういうことが一体常識上考えられるのでしようか。
  118. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 払下げ価格の問題でありますが、会社の払下げ申請書は、これは文字通りとつてもおかしいのかもしれませんが、払下げ価格につきましては、官の指示通りということで払下げを申請して来ておられるのであります。もちろんこれは実際問題といたしましては、ただいままでいろいろと評価もいたしまするし、交渉もいたしまして、内諾はきまつておるのでございます。それから先ほど来申し上げましたように、これは売買契約が成立いたしましたときに二割をとるわけでありまして、その前にとる理由といいますか、根拠はないわけでありますが、御指摘のように、中へ立ち入らしておる、調査をしておる、あるいは一部については使用しておるという状態でありまして、こういうような立場で、事実問題として入つてしまつてすわり込む、それで値段の交渉等についていろいろと異議を唱えるというような心配が確かにあるわけであります。相手によつてはそういうものも確かにありまして、苦い経験をなめたこともあるわけであります。従いまして、この場合におきましては、すでに政府に納めさせたわけではありませんが、甲斐田地区につきまして、第一回に納める金額の二割に相当する金額が、その会社所有のままで預金になつておるわけでありますが、金を積ませまして、それを保管させております。それで契約が成立すれば、ただちにそれを収納できるような形に確保してございます。
  119. 井上良二

    ○井上委員 現在小松製作所の看板が上つておりますが、あそこから省線の四条畷の片町線につなく引込線かありますが、この引込線は現在国有財産になつておりますか、それとも国有鉄道の所管のもとに置いてありますか、それは一体現在どこの所有監督権の中に入つておりますか、その点を明らかにしておいていただきたい。
  120. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 この引込線は、私どもの方で管理しておりまするが、普通財産の整理になつております。今回の払下げの関係、どの分が払下げ分の中に入つておりますか、どこからどこまでの分が入つておりませんか、ちよつと今調べないとわかりかねます。調査の上で申し上げます。
  121. 井上良二

    ○井上委員 それは今度の払下げ物件の中に含まれてないと思いますが、しかるにこれを使つておつた場合はどうなりますか。
  122. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 これはやはりその使用の度数に応じて、そういう場合でありますれば、当然使用料金をとるわけであります。このほか枚方の施設につきましては、変電所の設備でありますとか、水道の設備でありますとか、いろいろ共用されるものがあるわけでありますが、そういうものは、払下げいたしません場合には、使用の程度に応じて使用料を当然とるわけであります。
  123. 井上良二

    ○井上委員 私は先般この枚方製造所に類似しました元陸軍造兵廠、または海軍造兵廠、その他の国有財産で最近払い下げました物件及び払下げの条件、評価等についての資料を要求しておりますが、まだ出ておりません。これを出していただけましようか。それから特に問題になつておりますこの枚方製造所の小松製作所へ払い下げますところの物件土地、建物等政府か評価いたしました評価簿、相手側から出しております申請書、これは現物のまま本委員会に今明日中に提出を願いたいと思いますが、できますか、この二つを伺つておきたい。
  124. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 ただいまの資料はできるだけ急速にとりまとめて御提出いたします。それから払下げ申請書等の実物は、実はまだ役所で処理を進めている書類でありますので、御用のときにその都度お見せいたしますことで御了承願います。
  125. 淺香忠雄

    ○淺香委員 議事進行について……。局長に伺うのですが、大阪枚方の旧工廠のあとの、今小松製作所が使つている問題のところへ私どもが視察に行くということに昨日なつたのでありますが、昨晩のラジオでは、理事会においてこれを財政法違反である、よつて局長の方から資料をいまだ出して来ないので視察に行くというようなことの放送があつたのであります。これはラジオを聞きました場合に、心理的にいろいろな影響を与える問題なりと私は考えるのでありますが、ラジオをお聞きになりました局長のそのときの心境は、どんな気持でお聞きになりましたか、一度お伺いしておきたいと思います。
  126. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 私はラジオを聞かなかつたものですから、その点の心境を申し上げようもないわけでありますが、事実に違反している報道といたしますれば、適当に処置いたしたいと思います。
  127. 淺香忠雄

    ○淺香委員 その点どういう根拠から財政法違反であるということを言われたのか、私には今のところわからぬのですけれども、ただこういうことが起つたから視察に行くというのなら話はわかりますが、財政法違反であるように思うから視察に行くということにつきまして、与える影響は非常に大きいと思います。  それから資料の点であります。先般来井上委員から資料の提出方をたびたび督促しておられますが、すでにあしたの晩現地へ視察に出発しようとするところの今日に至つておりますのに、まだ資料が出ておりません。この場合に、この何日の間資料の遅れておりますところの理由を、委員長にあなたの方から了解を求められたかどうかということも、一点お聞きしておきたいと思います。
  128. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 先ほどのラジオ放送の財政法違反とかいうお話ですが、これは私も実は聞いておらないわけですけれども、私どもといたしましても、どういう根拠に基いて、どういうわけでそういう放送がされたのかまつたく存じておりません。財政法違反というのは何を言つておるのか、私どもとしてもまつたく見当がつかない話であります。御了承願いたいと思います。  それから資料につきましては、これはかなり厖大な資料になりますので、急いでやつております。ただいまお話のいろいろ実地に御調査になるような場合には、必ず間に合うように調製いたしますから、御了承願いたいと思います。なおこの委員会の事務の方の方にも、御連絡申し上げてあります。
  129. 井上良二

    ○井上委員 私が昨日質問をいたしましたことに関連をして、今淺香さんから非常に重大な発言がありましたから、一応私から釈明を申し上げておきますが、これは私の勉強の不十分もあるかも存一ませんが、私の調べました財政法第九条には、「適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。」という規定があります。そこで私は、現地の諸事情を伺いまして、管財局の当局としては、これが適正な価格であると認定をしておりますが、少くとも地方税を徴収いたしております賃貸価格から、あるいはまたその附近の地理的諸条件から勘案をしまして、これが適正な対価であるとは、私は考えておりません。だから、私はこれを問題にしておるのであります。それは意見の相違ではありましよう。これが適正な価格であると当局は認めておりましようし、われわれはあの機械設備、建物等を評価しました場合、全体でもつて九億四千万という評価は、安きに過ぎると私はにらんでおるのでありまして、そこで財政法第九条に違反する疑いありという点を私は主張しておるのであります。これは一応現地を調べて、実際に当つてみて、それが適正な評価であるかどうかということが検討された後でないと、私どもとしては、はつきり違反であるとは言い切れませんが、私は財政法第九条の規定に違反する疑いありという発言をいたしておるのでありますから、その点は誤解のないように願いたいと思います。
  130. 淺香忠雄

    ○淺香委員 そういう趣旨におきまして、資料等も迅速に出していただかなければいかぬと思いますし、すでに明日出発に際して、それまでにこういう問題をよく数字的に検討いたしまして、そうして現地で見ることが正しいのであつて、現地へ着いてから資料をもらつて、そこで調べて来るということでは、徹底せぬきらいがあると思います。同時にこの問題は、ただいま井上委員からの発言もありましたが、たとえば今指摘されました土地の問題でも、通りに面した所はなるほど千円も二千円もするかもしれませんが、大きく一区画したところの土地であれば、その奥では十町の道のりのある所がある。そうした道路に面した所は、あるいはそれに近い価格であるかもしれないけれども、十町も十数町も離れておれば、なかなか通勤するにも不便であつて、その価格の十分の一、二十分の一が適正なるやもはかり知れません。そういう意味におきまして、この問題は非常に疑惑を生みつつあるようなかつこうでありますので、私は特に局長にお願いしておきたいことは、資料等を迅速に、しかも明確に、世間の疑惑を深めないように、あなた方が積極的にこの問題に熱意を持つて解決されるところの態度を切に希望する次第であります。
  131. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私はこの問題に関して、管財局長のこの委員会におけるところの御答弁は一応了承できる。しかしながら、お聞きのように両工場の所在地の選出議員諸君が、お話の通り相当問題にしておる。そこではたしてこれが財政法の違反になるものか、ならぬものか、ひいては世間の誤解も一掃いたしたい、こういう意味合いで、委員会が明後日の午前九時に実地調査に行くことになつておるわけです。そこで先ほど同僚議員が御請求しましたところの資料が幸い間に合えばけつこう、間に合わなければ、帰つた直後でもよろしいですから、可急的すみやかに用意していただきたい。それともう一つけ加えておきたいことは、先ほど来請求しました資料もけつこうですが、この両工場に対して、たとえば日本政府がその土地を、いつの時代に、どれだけの面積を、幾らで買収したか、建物をいつの時代に何坪、どれだけの価格でやられたか、ひいては機械設備もその通り、民間側でいいますれば、いわゆる工場財産の原価台帳と申しますか、そういつたものがありますれば、その書類は、相なるべく先ほど請求した書類より先んじて出してもらえれば、われわれが公平に判断して、世間の誤解を一掃するのに非常に役立つことができると思うのでありますから、それをあわせて請求して、大体いつごろできるかというところのお見通しを承つておきたいと思うのです。
  132. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 ただいまいろいろお話がございましたが、ごもつとものことでございまして、私どもといたしましても、この内容につきましては、できるだけ詳細にごらんを願いまして御判断をいただきたい、かように考えております。資料につきましても、大分多くなるものですから、ちよつと遅れておるので恐縮でございますけれども、必ず間に合うように調整いたしますから、御了承願いたいと思います。  なおただいま仰せの買収、あるいは建設等の際に、台帳価格といいますか、そういうものはちよつと本省の方にはございませんで、財務局の方に多分あると思います。そういうような次第で、ちよつと今すぐには提出いたしかねるわけですが、財務局の方に連絡いたしまして、すぐこういうものが出て来るように準備しておきたいと思います。御了承願います。
  133. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私は塩業組合法案について、前会の質問を継続いたしてみたいと思うのでございます。この法案に関する政府委員はどなたとどなたが御出席せられておるか、委員長からまず伺いたい。それから質問を進めます。
  134. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 申し上げます。日本専売公社監理官今泉さん、それから説明員といたしまして塩業課長の大谷さん、このお二人がお見えです。
  135. 福田繁芳

    福田(繁)委員 実は私、今日は塩の増産対策の根本問題に触れてみたいと思うので、相なるべくは総裁か塩脳部長の御出席をほしかつたのですが、何か今日御出席できなかつたやむを得ない理由でもあられるのか、あるいは時間でもお待ちすれば御出席願えるか、あるいはきようでなければ明日の十時には御出席願えるかということを、まず伺いたいと思います。
  136. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 塩脳部長は、ちようどきよう外出しておりまして、国会からの御招集があつたときもまだ帰つておりませんので、間に合いかねましたような次第で、かわりに大谷塩業課長が参つたような次第であります。私と塩業課長でお答えできるものはいたしたいと思います。
  137. 福田繁芳

    福田(繁)委員 御両君でもけつこうですが、国内塩業の増産対策の根本問題は例の塩の代金に事を発して来るわけであります。それで御両氏に、その問題に対して御質問申し上げることはかえつてお立場上どうかと思いますから、明日十時に、総裁は初めて大蔵委員会にお出ましになるのでありますから、総裁と塩脳部長とあわせて十時過ぎに御出席願いたい。私は明日に保留いたします。
  138. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  139. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 速記を始めてください。
  140. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私はきのう食糧庁長官にお尋ねしたのですが、総務部長は私のお尋ねしたのをお聞きになつていますか。
  141. 新沢寧

    ○新沢説明員 お聞きしております。
  142. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 実はこの問題は、昨日も申し上げましたように、日本の農民は、非常に生産費に償わない価格で米を供出されている一方、非常に高い外米を輸入しておるのであります。そういうことから、この点について日本の農民には不満がかなり多い。従つてこういう輸入された食糧の取扱いというものは、きわめて慎重でなければならないにもかかわらず、それの取扱いに対して、非常に不明朗な感じを与えることが幾つか問題になつておる。そこでそういうことを前提としてお尋ねするわけでありますが、今の食糧の配給機構はどういうふうになつておりますか。
  143. 新沢寧

    ○新沢説明員 お答え申し上げます。現在政府が配給を担当いたしておりますのは米でございますが、米につきましては、まず中央におきまして各県別の月別配給計画を、県から出されて参りました資料に基いて立てます。そうしてその配給計画を各県にございます、私どもの出先機関であります食糧事務所に通達いたします。食糧事務所から、これは登録になつております卸商がありますが、その卸商に対して売り渡す。卸商はさらに自分のところに登録を受けております小売商を通じて、所定の配給計画に従つて小売商が各消費者の家庭に配給する、こういう過程をとつております。
  144. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そこでちよつとお尋ねしたいと思うのですが、片柳さんというあなた方の先輩が社長をしておられる日本糧穀株式会社という会社があるのは、御承知だと思います。この会社はどういう仕事をしておられますか。
  145. 新沢寧

    ○新沢説明員 この会社は、配給と申しますか、主食の卸なり小売なりを担当している会社ではございません。主食の配給と別の仕事をやつておる会社です。
  146. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それはわかつている。だからどういう仕事をやつておられるか。あなたの方では、多分にここへも払下げをなさつておられるのではないかと思う。ここはどういう仕事をやつておられますか。
  147. 新沢寧

    ○新沢説明員 これは、主として配給に適さないものにつきまして、諸用途に向けますものの中間的な、取次的な機能と申しますか、そういうものをやつております。
  148. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 もう一点、さらに参議院の方で梶原さんという方が社長をしておられる全糧連というのがありますね。この全糧連というのはどういうことをなさつておられるか。
  149. 新沢寧

    ○新沢説明員 これは昔食糧配給公団というのがございましたが、食糧公団が廃止になりましてから、それぞれ米の配給業者、卸売業者、小売業者を含めておりますが、そういう配給業者にかわつて行つたわけでございます。公団がなくなつて、そういうふうに商人的なものにかわつて行つたわけなのでありますが、それの全国的な団体がございます。今お話のございました略称全糧連と申しますか、そういう卸業者の協同組合の全国連合会の会長をなさつておられる方です。
  150. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 日本糧穀というのは、主食になる食糧は取扱つていない、ただ主食になる以外のものを取扱つている、こういうふうな御答弁でした。それから全糧連は、もちろん配給米の仕事をしておる、こういうことですが、そうしますと、あなた方の先輩である片柳さんが日本糧穀株式会社の社長、さらにもう一人の先輩である方が全糧連の社長になつておられる。この全糧連に渡すものを日本糧穀が中継ぎをするようなことは全然ありませんか。
  151. 新沢寧

    ○新沢説明員 全糧連と申します団体は、先ほど申し上げましたように、配給米の配給機露でありますものの全国団体でございます。それで、この全糧連そのものは、商業行為をやつておりませんので、配給米につきましては、これは各県の傘下団体が政府から直接受けております。全糧連といたしましては、配給米のほかに、副業的にやつておる仕事があろうかと思います。そういう関係については存じませんが、少くとも主要食糧配給ルートを通じて政府が払下げをいたしますものにつきましては、御質問のような径路をとつて流れることはございません。
  152. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 この問題は、またあとでお伺いいたしますが、きのう私の質問につきまして、長官はこの事故米というのは、輸入の総量の二%弱だ、こういう答弁かありましたか、これは間違いありませんね。
  153. 新沢寧

    ○新沢説明員 お答え申し上げます。大体その見当でございます。
  154. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そういたしますと、東京食糧事務所を通じて、二十七年の五月ごろに黄変米の競争入札を行つたように聞いておりますが、この数量は幾らを入札に付しましたか。
  155. 新沢寧

    ○新沢説明員 お答え申し上げます。ただいま東京食糧事務所を通じて、競争入札をやつたことがあるかというようなお話でございますが、昨年やりましたのは、これは本省で直接取扱いまして、本省で入札をいたしまして、これが約三千七百トン落札をいたしております。
  156. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そのときの入札の資格者は、酒造会社のみと限定して、国税庁の証明を持つている者でなければできなかつたということを聞いておりますが、その入札の結果はどうであつたか。それからこれは国税局としても知つておるはずですから、この落札した会社名と、その数量とをひとつお教え願いたい。
  157. 新沢寧

    ○新沢説明員 ただいま申し上げました三千七百トンは、東洋醸造に三千トン、端数を切り上げて申しますと、中国醸造に四百六十トン、それから養命酒株式会社に二百八十トン、それだけ落札いたしております。
  158. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 聞くところによりますと、競争入札はその前にも一回行われたが、これは入札価格が役所の方の予定した最低価格に達しなかつたので、五月末にこれは再入札をやつたのだ、こういうふうに聞いております。そのときに、食糧庁の予定していたところの最低価格はトン当り幾らであつたのですか。
  159. 新沢寧

    ○新沢説明員 お答え申し上げます。今ちよつと手元に資料を持つておりませんので、そのときの最低入札価格は、後ほど調べましてお答え申し上げます。
  160. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それでは私の方で教えましよう。大体食糧庁の方では四万円を予定しておつた、こういうふうに聞いておる。そこでこれの価格に達しなかつたので、五月の末に再入札とでもいいますか、それを行つて、三万二千百円程度でこれを払い下げた、落札した。しかもそのときには、これは想像ですけれども、業者の談合によつてこうなつたんだということがうわさされておるが、これはあるかないかわからないが、三万二千円程度で払い下げた、そうしますと、この当時、払い下げたときのこの黄変米というものは、輸入はどのくらいで、また諸掛りというものはどれだけかかつておるのか、これはトン当りでけつこうですから、これをひとつお教え願いたい。
  161. 新沢寧

    ○新沢説明員 輸入米全体につきましてはともかくも、個別に事故品、黄変米等に限りまして、そういうような原価計算をやつた資料はございません。
  162. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そのとき東洋醸造へ払い下げたのは三千トンですね。
  163. 新沢寧

    ○新沢説明員 そうです。
  164. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そのほかに味の素系統の三楽とか、あるいは宝酒造とか、こういうところはこのとき払い下げませんでしたか。
  165. 新沢寧

    ○新沢説明員 ただいま申し上げましたのは、そのとき指名競争入札によりまして売却いたしました所を申し上げたのですか、その中には三楽は入つておりませんで、別の機会に国税庁の方の工場別割当に基きまして、随意契約によつて売却したものはございますが、その中に三楽酒造会社は入つております。
  166. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 随意契約の問題はあとで伺います。そのときに東洋醸造が落札した黄変米の三千トンですが、この米は食糧用として、すでに役所では配給にまわす手配をしておつた。従つて、この東洋醸造は静岡県の大仁にあるのですけれども、すでにその当時倉庫を分散したと思われる点があるのですが、政府が売り出した当時の倉庫は、どこの倉庫とどこの倉庫のものをお渡しになつたか。
  167. 新沢寧

    ○新沢説明員 お答え申し上げます。これはこまかい倉庫までちよつと資料が整つておりませんので、大体を申し上げますが、東洋醸造に売りましたものは、兵庫県及び京都、広島、和歌山、これらに貯蔵しておりましたものから売却いたしました。
  168. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 この東洋醸造に売り渡した黄変米が、昨年の夏になると、百トン程度だと思うのですけれども、和歌山県にこの米が流れて、配給所にまわつて、配給所によつて配給された。そうして警察の摘発を受けてたいへんな騒ぎになつた問題があるというのですが、きのう長官は、これは知らない、聞いておらない、こう言つたが、あなたはこれは御承知ですか。
  169. 新沢寧

    ○新沢説明員 私も実はなり立てでございまして、存じておりません。
  170. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 知つておらないとなると、聞くわけに行かないのですが、先ほど私が聞いた、和歌山県にすでにやる予定があつたから、静岡県の大仁にこの会社があるにもかかわらず、和歌山県の倉庫へすでに予定しておいたということが、ここで想像されるのであります。そしてこれを和歌山県に輸送したわけなんです。この証明は、どこで出すわけですか。
  171. 新沢寧

    ○新沢説明員 輸送証明は、その現品を保管しております食糧事務所で出すことになつております。
  172. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうしますと、きのうの答弁では、東洋醸造に払い下げたならば、東洋醸造がアルコール用として使うのであつて、その他にまわすことは許していない。そして、そういうことがあつた場合には、再度入札等はさせない、払下げはしないという答弁があつたのであります。そこで、この東洋醸造に払い下げられたものが和歌山県にまわるのは、米を持つて行くのですから、証明がなければできないはずです。その証明をどうやつて手に入れたか、これがわからない。百トンもの米を運ぶのに、証明書なしで運ぶはずはない。どうして役所はこれに対して証明を発行したのか。
  173. 新沢寧

    ○新沢説明員 輸送証明は、現地の食糧事務所で発行すると申しましたが、御指摘のような件に対して、輸送証明を発行したはずもないと思いますし、どうも私も発行していないのではないかと思つております。
  174. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうするとおかしいですね。東洋醸造に払い下げたのは、政府の黄変米を払い下げているわけです。それが輸送証明がなくて、百トンもの米が運べるでしようか。どうも私どもには、証明書の発行がなければ運べないと思う。それにもかかわらず、これが堂々と和歌山県に運ばれて、しかも食糧として食つてはいけないという米を、食糧としてまわされている。これは輸送証明がなければ運べないはずだが、あなたの方で発行しないというと、どういうことになるのか、今度は私にもわからなくなつて来る。  そこで、こういう食糧の横流しは、酒造用に用途転換が非常に行われていますが、国税局もこの事情を把握しておりますか。
  175. 平田敬一郎

    平田政府委員 御質問があるということで、けさ取調べて参つたのでございます。その事情を少し御説明申し上げます。  ただいま食糧庁からお話がありましたように、昨年の五月三十日に、指名競争入札によりまして、食糧用に向かない黄変米を酒造用に向ける、こういうことで行われたわけでございますが、その際国税庁といたしましては、業者から希望を聞きまして、この人は相当な酒をつくつており、指名競争入札に入るに適当な人だという意味の、入札資格相当者というものの証明書を、食糧庁に出しております。それを出しましたのが五人ほどおりまして、そのうち実際に参加しましたのは、今申し上げました三名、それが落札をした、こういうことであります。そのあとの点につきましては、いろいろ話を聞いておりまするが、私が聞きましたところによりますと、酒造用として払下げを受けました黄変米が、一部和歌山県かどこかで他に転用されまして、それが刑事事件になつて取調べられましたが、取調べの結果は、関係者の仲介の方が、それぞれある程度の責任を問われるという結果になつたらしいのでございます。東洋醸造自体といたしましては、一応直接責任はないということに現在のところなつておる。こういうことを、実はけさほど取調べて来たのでございます。短時間に調べて来たのでございますから、不正確な点がありましたら、またよく調べて御返事申し上げたいと思います。
  176. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは私はおかしいと思うのです。きのうの長官の答弁では、そういう払い下げた用途目的を変更するようなことはさせない、こう言つておりながら、これがそつちに流れておる。しかも輸送証明がなくて百トンも流れておる。それから調べた結果は、東洋醸造には何も責任もないのだ、中継ぎ場をしたブローカーだけが処罰されたけれども、大元は処罰されない、何の関係もないということになると、私はこの点でも非常に不明朗だと思いますので、この点はあとでお聞きします。  さらに、これはあなたの答弁外かもしれませんが、アルコール用として払い下げた場合に、払い下げた米の量に応じて課税するのか、それともできたアルコールの量で課税するのか、どういうことになるのですか。
  177. 平田敬一郎

    平田政府委員 これは酒は、もちろん原料によつて課税するというようなことはやつておりません。できた製品によつて課税いたしております。
  178. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、これは幾ら流しても損はないということになるわけですね。  それから三楽と宝は随意契約でやつておりますね。これはいつ幾ら払い下げましたか。
  179. 新沢寧

    ○新沢説明員 昨年の八月二十二日でございます。三楽に対しましては、これは工場が二つありますが、両方合せますと約六百二十トン、宝酒造に対しましては、これは四工場ございますが、約三百十トンでございます。
  180. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 こういう入札は、あなたの方はほとんど指名入札もしくは随意契約でやつておるようで、競争入札等のことはあまり一般にさせないでおるようですが、今まで払い下げられたものはほとんど随意契約ですか。
  181. 新沢寧

    ○新沢説明員 今まで払い下げておりますのは、指名競争入札によりますものと、随意契約によりますものとございます。
  182. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それからここできのうもちよつとお尋ねして、これはまたあとでお聞きしなければならぬかと思いますが、どうも食糧庁に関係のあつた方々が議員に出て、それが何々という会社をごしらえる。そうしてそこへこうしたものがいろいろ払い下げられて行くということは、どうもいい形ではない。人様に疑惑を持たれる。農民にああいう低米価で供出させて、こういう疑惑を持たれることをやつてはいけないと思う。これは犯罪であるとかないとかいう問題ではなくて、そういう点をもつと慎重に考えてもらわなければならない。この点について、私もつと自分の調べたものがありますが、あとで聞くとして、きようもう一つ食糧庁の問題で、さらに輸送の問題と麻袋の問題が大きな問題であります。そうして九十万トン米を輸入しておるとすると、この麻袋は九百万枚あなたの方で一年間に手に入るわけですね。大体そうですね。それから手持ちが五百万枚くらいあると思う。千四、五百万枚の麻袋を食糧庁は持つておる。その中から年々に二百四十万枚くらいずつあなたの方で払い下げている。払い下げ先も、たとえば石川産業、中本、こういうところへ払い下げている。これはかンニーとかフイツシヤー、百キロ入り、五十キロ入りというのがあるが、ガンニーは幾らくらいで払い下げるのか、あるいはフイツシヤーはどのくらいで払い下げておられるか。
  183. 新沢寧

    ○新沢説明員 ガンニーの方は、たしか一袋二十五円で払い下げていると思いました。これは間違つておりましたら御訂正申し上げます。フィッシヤーの方は、たしか二十円と記憶いたします。
  184. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 この麻袋は、あなたの方では小破とか中破とか大破とか区別してある。しかも小破のものを、大破あるいは中破といつて払い下げている傾向があるのだが、これはあなたは答えられないでしようが、そういう傾向が多分にある。なければあとで私がお聞きする。食糧庁から払い下げられた麻袋、ガンニーをあなたの方で二十五円で払い下げているものが五十円くらいでどんどん取引されているとするならば、これはあなたの方の二十五円が小破であるか中破であるか別としても、大破であるならばそんなことはできない。三分の一までは小破だ。あなたの方では、この点は小破であるにもかかわらず、もつと傷の大きいものとして払い下げているのじやないか。そういう疑惑がここで多分に持たれるのだが、これはどうですか。
  185. 新沢寧

    ○新沢説明員 麻袋の払下げにつきましては、食糧庁が直接払下げをやつておりませんので、この麻袋を運用する機関といたしまして、麻袋会社がございますが、それが回収して、実際の需要者に対する売渡しをやつておるわけでございますが、食糧庁といたしましては、食糧庁のポストに関連して参りますので、この麻袋会社に対して一応の払下げについての基準を与えますと同時に、払下げにあたりましては、その都度申請をさせまして、払下げを認めておるわけでございます。払下げの基準といたしましては、お話のように当継ぎをして十分保管に耐えるものは、何回か当継ぎをして使つて行く。非常に破れて、修理しても使えないものに限つて払下げを認めておるものでありまして、そういうもので申請をいたしておるわけでありますので、原則としては、そういうものはないかと思うのでありますが、多量のうちには、間違つて混入するものがあるいはあるかと思いますので、麻袋会社のそういう払下げにつきましては、さらに監督を厳重にいたしまして、そういう疑念のわかないようにいたしたい、こう考えます。
  186. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 先ほど申し上げましたように、麻袋でも麻袋会社というものがあつて、ほかの業者を集めて競争入札させるのでなく、麻袋会社に一手にやらせている。それから日本糧穀というあなた方の親玉がやつている会社、あるいは全糧連、こういうものまでそういうふうにやつている。ここに疑惑を持たれる問題がある。ことに、あなたのおつしやつたように、あるいは間違つて小破にしかすぎないものが、大破として取扱われているかもしれぬが、小破のものが大破の形でたくさん出ている。そうでなかつたならば、二十五円のものが五十円ずつで取引されるはずがない。  それから次にもう一つは、日通は食糧庁のドル箱だといわれておるのです。これは私が言つておるのではないんですが、こう言われているのです。私は農協に関係しておつてよくわかつておるのだが、農民の供出した米が農協の倉庫に入つている。これを駅へ搬出するのに、農協の車で安く運ぶからといつても、どうしても日通でなければいけない。日通で思うように運ぶ。それが日通の雇い車になつて行かなければ運べない。これほどいろいろ大きなものを大量に扱うのだから、日通という一つの組織のあるところにやらせなければならぬだろうということはわかるけれども、あなたの方と日通との関係は、まだ私掘り下げてないからはつきり言えないが、ただ日通は、食糧庁のドル箱だといわれている。安くやると言つても、日通でなければいけないというので、あくまでもそこにやらせているのですが、日通とあなたの方の関係はどういうふうになつているのですか。
  187. 新沢寧

    ○新沢説明員 関係はどうと言われても、私的な関係はないわけでありますが、食糧庁といたしましては、相当多量の、いろいろ輸送条件の違う荷物を取扱つております。その輸送条件の違う物ごとに、いろいろ別の多角計算をし、別々の業者に請負わせますよりは、日通として過去何年間か長い間やりました実際の実績等によつて出た輸送距離を基準といたしまして、公正妥当な価格を契約したしまして、しかもそうした方が便利だというわけで、元請という形で、日通に一括して請負わせておるというわけであります。
  188. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これはどうもたいへん私の尋ね方が悪かつた。どうなつておるかというのは、私的ということをお聞きしたのではなくて、日通との契約内容なんです。私の調べたところでは、日通との契約の中にさまざまの費目を計上してあつて、これは幾ら、それは幾らと行くと、非常に高い運賃をあなたの方は日通に払つておる。この契約も、今あなたは公正妥当と言われたが、これは日通にとつて公正妥当であるかもしれないが、われわれにとつては公正妥当と見ない。であるがゆえに、この点で旧通との輸送契約の経費算出の内訳を示してもらいたい。
  189. 新沢寧

    ○新沢説明員 御質問の通り、いろいろ費目にわけて別々建でいたしておりますが、計算の基礎といたしましては、これは運送の形態が通運形態と申しますか、保管しておる倉から小運送で駅に入り、それから大運送を経て消費地の倉に入るという過程を経ておりますので、いろいろ運賃の立て方が違つておりますために、品目がわかれておりますが、それぞれの項目につきましては、運輸省で定めました基準に、さらに世間における市場価格と申しますか、そういうものを参酌いたしまして、必ずしも法定運賃そのものを払つておるというわけではございませんので、やはり若干法定運賃よりも下まわつたところで話をきめております。一番大きな要件となりますのは輸送距離でありますが、これについては、すでに何年かやつておりまして、その輸送実績か年々よくわかつておるわけで、大体前年度に運んだ輸送距離を基準として運賃を算出しておる、こういうことであります。
  190. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 わかりました。私の調べたところでは、あなたの方で払い下げておる黄変米、あるいは水にひたつた麦、あるいは大豆等幾多の問題があつて、それがみなかつて食糧庁におられた人のつくられた会社へ主として払い下げられておる。しかも大豆のごときは、あるところへ——これは食糧庁の関係でなく、あるいはよその方の関係になるかもしれませんが、ここここヘこれだけやるから、ここここへ渡してくれと言う。そのここここというのは、味噌工業組合——今名前をちよつと忘れましたが、そういうところへ渡しておる。しかもこれはやはり参議院の議員の方で、あなたの方の先輩の方が会長をしておるところへやつておる。こういうふうに、みその方の会長もあなたの方の、かつての農林省の親玉であつた。麦もそうである、米もそうである。麻袋の方の会社の社長は調べませんでしたが、そういうふうに、みんなあなたの方から出た人ばかりに会社をつくらせて、そこへどんどん義理を立てていたのでは、国民がかわいそうですよ。そういうことのないようにしてもらいたい。私は、総務部長さんにこれ以上お聞きしてもいけないと思うので、この次にいたします。
  191. 新沢寧

    ○新沢説明員 今の御質問に対して若干釈明を申し上げます。食糧庁と申しますか、農林省の先輩に何かそういう利権関係のある会社をつくらせて、そういう会社に払い下げをしておるという疑いがある、こういうことでございますか、これはそうてはこさしませんで、いろいろ今おあげになりました会社——これは実は会社でなくて団体でありまして、それぞれの業界の中央団体というようなものが大部分でございます。それらの団体につきましては、これは各業界の利益を代表し、連絡を密にするという意味合いでできた会社でございまして、そういうような会社に元その仕事関係のあつた方々が、会長という形で入つているかもしれませんが、それは食糧庁の払下げと関連をつけて入つておるのではございません。別の意味合いで入つておるのであります。その点は釈明申し上げておきます。
  192. 淺香忠雄

    ○淺香委員 ちよつと関連して……。長官がおられれば長官に伺いたいのですが、あなたのわかつておる範囲内においてお示し願いたいと思う点は、最近世界の需給状況から見ましても、国家経済の面から見ましても、必然的に小麦に依存しなければならぬことは申すまでもないと思うのであります。その意味において、外米は価格も高い、財政的にも経済的にも小麦を今後の食糧生活の中心に考えなければならぬと私ども考えるのでありますが、それにつきましても、粉食の普及徹底について、どういうようなことでこの粉食の普及徹底を考えておられるか、おわかりになる範囲内においてお話を願いたい。
  193. 新沢寧

    ○新沢説明員 確かに日本の食生活の構造から言いまして、今までのように米ばかりにたよつておりましたのでは、困難な問題が打開されませんので、粉食にたよつて行かなくてはいけないという御意見は、私どもまことに同感でございます。粉食を普及することにつきましては、主食だすの問題ではございませんで、副食の問題にまでつながつている問題でありまして、単に啓蒙宣伝という過程だけでは、所期の目的を達することは困難であるという見地から、今回法律改正案を出しまして御審議を願つております案件関係いたすわけでございますが、学童給食の面におきまして、安い価格で小麦を払い下げる。学童が実際に食べることによつて、自分自身も粉食の体験をし、またその家族に対しても粉食を伸ばして行くような措置をするような意味合いで、私ども考え方一つの重点が、学童給食に置かれているのでございます。
  194. 淺香忠雄

    ○淺香委員 今のお答えですと、学校給食を通じて粉食の普及徹底をはかるようなお話でありましたが、しからば、現在学校給食のパンが悪い。PTAの会合ではしばしば問題になるのでありますが、ハンの質が悪くて子供が食べないところの原因は那辺にあるかを御承知でありましようか。
  195. 新沢寧

    ○新沢説明員 専門的な質問をいただきまして、私ちよつと答弁に窮するのでございますので、教えていただきたいと思つております。
  196. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 淺香さんに御相談いたしますが、総務部長ではそういう技術的なことはわからないだろうと思いますので、長官がおいでになつたときに願いたいと思います。
  197. 淺香忠雄

    ○淺香委員 けつこうです。
  198. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 昨日長官はすみやかに出すといつておられましたが、私の要求したアルコール用、菓子用、みそ用などにわけて、あなたの方で払い下げておる種別と、払下先と、数量、日時、その価格を急いで出してもらわないと、私の質問ができなくなつて来る。これを急いで出してください。
  199. 新沢寧

    ○新沢説明員 念のためにお伺いいたしますが、今おつしやつたものは、いわゆる事故米の処分としての品種別のものでございますか。
  200. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうです。
  201. 新沢寧

    ○新沢説明員 できるだけ早く出します。
  202. 井上良二

    ○井上委員 ただいま小川君の食糧問題に関連いたしまして、私も二、三伺つておきたいのです。政府はただいま国会に本年度の産米の買入れ並びに外国食糧の輸入の計画を予算に織り込んで提出いたしておりますが、米で九十万トン、大麦で六十二万トン、小麦で百五十七万五千トンというものを入れることになつておりますが、米の九十万トンというのは、どこどこから入れるつもりですか。そして予算に出ている価格で輸入できる見通しでありますか、伺いたいと思います。
  203. 新沢寧

    ○新沢説明員 お答え申し上げます。ただいま米の輸入先の予定はタイ、ビルマ、アメリカ、イタリア、スペイン、台湾、あと若干前に貸したものの返還等がございますが、おもなところは以上申し上げた通りでありまして、これらから輸入いたします価格は、それぞれ国別に違いますが、大体見込み価格を立てまして、それを平均いたしたものが予算に載つている価格でございまして、大体全部平均いたしますれば、予算に計上されているような価格で輸入できるものと考えております。
  204. 井上良二

    ○井上委員 私ども考えるところによりますと、御承知の通り、外米産地はそれぞれその国の輸出割当計画というものが実施されておるのでありまして、政府政府との外交折衝によらなければ予定量を確保することが事実上なかなか困難な実情にあります。その場合に問題になりますのは、例の価格の問題でありますが、この予定されておる価格ではたして輸入され得るかどうか、契約が成立するかどうかという心配が一つあります。もしこれが予定通り入りませんと、本年のこういう天候に基く作柄は、非常に憂慮されるのではないかと私は想定をいたしております。そういう状態のもとにおいて、この外国食糧の輸入割当というものが、今お話になりました各輸入相手国との間に具体的に成立をしておるのですか。それともこれから交渉を始めるのですか。その点は二十八米穀年度においてどう、二十九米穀年度においてどうという、ここに予算上の二十八年度内における大体の輸入見込みがおよそ立てられておるであろうと思いますが、今それがすぐおわかりでございませんでしたならば資料でひとつお出し願いたいと思います。この九十万トンの外米が輸入されるについて、例の問題の砕米はどのくらいのパーセンテージでこれに含まれておりますか。それともプラスしますのか、その点が一つ問題になつて来ます。  それから例のビルマにおきます黄変米の輸出規格という問題が、また外交折衝においてまだはつきり了解が成立していないような状態でございます。そういう場合に、ビルマからの割当を政府が引受ける場合、万が一また去年のように黄変米が入つておるということになつた場合、政府は全部をキヤンセルするだけの腹を持つておるのか、それとも黄変米の混入を防止するの外交的な話が成立するまでは、買付の契約はしないのか、これが一つ問題になつて来ます。そういう点について、よくひとつ御検討願つた上で、お答えを願いたいと思いますが、同時にこの九十万トンの外米が予定通り入りませんと、本年の政府の需給推算から来ます円地米の買付でありますが、これを大体四百二十三万トンほど政府は買い付ける予定をしておりますが、その四百二十三万トンの買付が予定通り行く——政府が予算米価として提出しております米価で予定通り進捗するとお考えになりますか、これをお答え願いたい。  それからその次に、最近外食券というものは一体どういうことになつておりますか。これは廃止したのですか。都会においては、内地米はわずかに十日分しか配給されておりません。あと五日分は外米であります。十日分しか即納をされていないのに、莫大な食糧庁の経費を使つてつておるのです。ところが、市中には、どこへ行つても白い飯が大盛りでどんどん供給されておる。このごろでは、汽車の窓からも平気で弁当が買い入れられるような状態にある。あの米は一体どこから来ておるか。あのまま政府はいつまでも放任しておくのですか。ああいうことをしていて、一方において都会の者には十日分しか食わさないで、やみで生きようとすれば、やみ米は非常な大きな値上りを来して家計を圧迫しておる、こういう食糧政策が一体ありますか。あなたにそういう政治的なことを言うたつて、私は事務の方をやつておるので、そんなむずかしいことは大臣に聞いてくれと言われればしまいですけれども、事務当局としても、この問題については真剣な検討、対策を講じて、統制するなら統制する、やめるならやめるなりはつきりせなければ、しておるやらしていないかわからずに、高い月給を出して、われわれじつと食糧庁の何万という人を養うわけに行きません。われわれは、十日分しかあなた方の行政において配給を受けていないのですから、そういう実情から考えて、もう少し内地米に対して打つ手はないかという問題を考えてみる必要があろうと思う。事務当局の見解を一応聞きたい。大臣は、あなた方の言うたことをそのまま受継いで答弁をされる、あなた方の進言によつて判をつきおるのだから、ロボツトみたいなものだ。ですから、あなた方のほんとうの真剣な腹というものをこの際私は承りたいと思う。
  205. 新沢寧

    ○新沢説明員 四、五点御質問がございましたので、順次お答え申し上げます、米の輸入の問題でございますが、米は確かに小麦等と比べますと、需給は世界的にきゆうくつでございますので、なかなかなまやさしい考えでは、計画通り入らないことは御指摘の通りでございますが、幸いにも米の世界における生産状況は、年々よくなつて来ておりまして、この四月にシンガポールで開かれました米の国際会議におきましては、米の生産国が輸出可能数量を、米の輸入国、消費国が米の輸入希望数量を持ち合つて会議をしたわけでございますが、その会議でつき合せた数字の結果は、たいへんうまいことに、昨年ほど輸出に困難しておるという状態ではございませんで、大体需給のバランスがとれた状態になつておつたわけであります。そしてこの会議におきまして、輸入国と輸出国との間の大体の大筋の道がここでついたわけでございます。個々の国との輸入の問題につきましては、それぞれ輸入協定か結んでおるわけでありますが、この中には、お話の通りもうすでに輸入協定ができて、本年度の輸入協定の中に入つている地域もございますし、今後九月以降新たなる協定が結び直されるものもあるわけでありますが、概観いたしまして、先ほど申し上げましたような事情で、こちらの所要数量に対しましては、輸出国側としては、大した難色を示すことなく輸出をしてくれるのじやないか、こういう見通しを持つておる次第でございます。ただ価格につきましては、需給事情が昨年に比較しまして非常によくなつたと申しましても、かつかつにバランスがとれおる状態でございますので、昨年に比較いたしまして、非常に有利な価格で取引できるということはあるいは望めないかもしれませんが、量については、ほぼ私たちの考えておる数字は確保でるのではないかと考えております。それから先ほど申しました輸入数量の九十万トンの中に、砕米は込めてございまして、大体タイから四万トン入れることになつております。  それから黄変米につきましては、これは昨年われわれといたしましても苦い経験をなめましたので、今年は慎重の上にも慎重を期している次第でございまして、その建前といたしましては、これは雨期を過ぎてから買いつけて入れて参りますと、非常に黄変米の発生率が高いわけでございます。雨期前に買いつけたものにつきましては、その懸念がほとんどないということがわかつておりますので、ビルマから入れる米につきましては、極力雨期前に、若干雨期にかかつたとしましても、八月一ぱいくらいには買付を了するようにということで、指定商社を督励しているわけでございます。幸いにいたしまして、今日まで船積みになつたものにつきましては、黄変粒の混入は見ておらないようであります。ただだんだん雨期に入るに従いまして、そういう問題が起きて来ようかと思いますし、商社だけでは向う政府なり関係機関に対しますのに弱いので、今回はそのうしろだてという意味合いで、本省から係官も出しまして、できるだけ現地でそういうような危険性のある米を船に積み込まないようにということでやつておる次第でございます。  それから予算面で見ている買付数量が、はたして買えるのかどうかというお問いでございますが、現在のような、作柄もまだかいもく見当のつかないときに、できるできないということも申し上げにくいと思いますけれども、できるだけその方向に向つて努力するというふうにお答えするほかないと思います。  それからやみが横行しているというお話でございますが、これはまことに私どももごもつともであると申すほかはないのであります。私どもといたしましても、できるだけ政府がたくさん買つて、正規のルートに流すというこの建前につきましては、まつたく御質問と同じように考えておる次第でございまして、いろいろ手を尽して、義務供出量以外においても、農家が喜んで売り渡すようなあらゆる手だてを考えて実施しておるわけでございます。今後もなおくふうを重ねまして、できるだけ政府の正規のルートに乗つて参りますよう努力したい、こう考えております。
  206. 井上良二

    ○井上委員 本年政府の経済政策並びに財政演説を聞きましても、米の輸入をできるだけ節約して麦類の輸入に振りかえるということを、政府は施政方針演説において明らかに示している。実際上振りかえることができますか。できるとあなた方事務当局では考えておりますか。この予算に提出しております数字、たとえば九十万トンを八十万トンに切るとか、あるいは麦の方をそれだけふやすとかいうようなことが現実にできますか。
  207. 新沢寧

    ○新沢説明員 財政演説でそういうお話がございましたが、これはただちにどうのこうのというわけではないと思うのでありまして、先ほどもお答えいたしたのでありますが、米から粉食へ、小麦へということは、主食の面だけではなかなか達成されない問題でございまして、副食を含めて、また国民の経済状態とも大いに関係して来るわけで——これは申し上げるのもおかしいかと思いますし、御承知のことかと思うのでありますが、実際米を食うよりも、粉食をとる方が食生活全体としましては、どうしても費用がかかるというのが実情でございますので、経済状態全体の向上発展とにらみ合せて、そういう方向に行くことは、私どもとしても望ましいことであると思いますし、そのようにみなが努力しなければならないと思いますか、急速に、一、二年のうちにただちにということは、あるいは困難かと存じます。
  208. 井上良二

    ○井上委員 たしか食糧庁所管じやなかつたかと思いますが、食糧研究所というものがあつたはずです。あそこは何を研究しておるのですか。そういうことを研究するのと違うのですか。  それから予算で四億九千九百万円ほどを投じまして、外国食糧輸入のロスを少くするために、岸壁にサイロを建設するということでありますが、一体このサイロはどこの港へ施設をし、だれが管理をいたしますか。そうしてその使用料はどうなつておりますか。
  209. 新沢寧

    ○新沢説明員 第一点のお問いの食糧研究所の機能でございますが、これは御指摘の通り、食生活を改善いたします上においてのいろいろな問題を研究しております。確かに粉食普及の問題も、一つの大きな課題として取上げておることは、御指摘の通りでございます。  サイロの問題でございますが、これは現在のところ、建設計画できまつておりますのは、横浜港に建てるということでございます。それ以外のところについては、予算との関係で、諸条件がいろいろ錯綜いたしますので、実地の選定を行つておりますが、まだいずれとも決定しておりません。このサイロの運営につきましては、これは国の施設であり、国がみずから運営して行くという建前をとつております。
  210. 井上良二

    ○井上委員 その食糧研究所というのがもう少し活発に活動いたしますならば、粉食の普及徹底というものが相当行けるではないかと考えるし、同時に、食糧庁は従来米麦だけがおれの所管だからということで、他の畜産、酪農等についてはどうも積極的でない。同じ食糧庁にあります他の食品課関係、たとえば澱粉、砂糖等の行政、油糧関係の行政、これなんかもほとんど活発な活動はされておりません。この面をもつと活発に粒食の行政等に対抗できるように盛り上げて行かなかつたら、粉食の普及はいよいよ困難になつて行きます。ところが米の方の問題は非常にやかましく論議され、検討され、いろいろな具体的な対策も立てられますけれども、いわゆる副食関係の蛋白、脂肪給源の対策については、ほとんど責任所管がないと言うていいほどであります。畜産局があるけれども、畜産局は、御承知の通り農家経済の安定と農業生産力を高めることをまず第一の条件にして、その結果できるものが国民の体位向上と食生活の改善ということになつてつて、これは第二次的になつておる。だから、かんじんの事実上消費者関係対象にしたものについては、蛋白、脂肪給源を所管する仕事をやる責任の明らかな政府機関はないような現状にある。これはあなたの所管じやないけれども、このことはもつと積極的に取上げられなければならぬし、これをやるためには、どうしても農産物価格の支持を一応政府の方で腹をきめてやらねばならぬのに、聞くところによると、農産物の支持価格というものはもう今度の国会でも問題にしない、高くなろうが安くなろうがそんなことはかまわない、米の価格だけ押えておけばいい、どうもこういう方針になつておるそうたが、やはりこれはさきにあなたが御指摘のように、どうしても副食関係を粉食の中へ取入れられるような総合栄養の構成が考えられませんと、何ぼ普及宣伝をしましてもだめであります。その点について、総務部長さんはお帰りになつたら、食糧庁の中にそういう一つの権威のある機関をつくられて、大臣の施政方針を具体化する方向に、やはり国の食糧政策を持つて行くべきである。いつまでも粒食の米麦だけに食糧庁がかじりついておつて、食生活の改善への新しい食糧構成の面については、予算的、法的措置が一向講ぜられないということでは、私はいかぬと思うのでありますが、あなたはどう思いますか。総務部長として長官や大臣を動かして、そういうことをやるだけの考えはありませんか。
  211. 新沢寧

    ○新沢説明員 その点については、私から御答弁するのもどうかと思いますので……。
  212. 井上良二

    ○井上委員 あなたをつかまえてどうこう言うのではないが、どうも官僚の機構というものを見ておると、事務当局が発言権の中心になつて立案するわけです。だから、従来の米麦中心の粒食本位の食糧政策というものは、もう日本の立地条件その他から、どうしても粉食に移行して行かなければいかぬという一つの方向が出ておりますから、少くとも食糧行政をそういう新たな方向へ持つて行くべきであると私は思う。口先では皆言うけれども、実際それを具体化し、実行し得る施策が立てられてないのです。そういう点について、事務当局としても御検討を願い、そういうことが国の政策に現われて来るようにやるべきではないか、こういうことをあなたに聞いておるのです。その結果大いに大臣にも次官にも吹つ込んでもらつて、どんどんやつてもらわなければいかぬ。私の考えはこういうわけです。これは政治的な意図を含んでおるということで、事務当局としてちよつと答弁はできないというのならば、一応そういう私の気持を御検討つて、対処していただきたいと存じます。  それから内地の米の配給についてですが、現実にやみ米が非常に高くなつて来て、特に庶民大衆は家計に非常に大きな不安を抱いておるのです。先般もこの問題に関して農林大臣や食糧庁長官に対して、直接このやみ米の暴騰に対する庶民大衆の家計への重圧を少しでも緩和するというところから、繰上げ配給とか、あるいはこの際一日分なり二日分なり特配をやつたらどうかということを私は要請しておいたのですが、これは具体的に実施されたのですか、それともまだ検討中ですか。いつになつたらそれがやられますか。この際できれば、あなたの方で検討されておつた経過及び結果を報告願いたいと思います。
  213. 新沢寧

    ○新沢説明員 やみ米が高くなりました理由については、あるいはほかの者からお答えしたことがあろうかと思いますので触れませんが、最近のやみ米の価格の足取りを見てみますと、私ども当初想像いたしましたように、やはりこれは局地的な、時期的な現象ではないだろうかという考え方をなおかえないような結果が出ております。その後非常に下つたとは申されませんけれども、上げ足の一歩をたどつたというのではございませんで、一時少し下つて、ずつと横ばいの状態を続けております。そういうわけでありまして、これは米だけではありません、そのほかの食糧、たとえま精麦の価格等の動きを見ましても、やはり先ほど申し上げたようなことかと思いますので、実は現在のところ、繰上げ配給、あるいは特配等の措置はまだいたさないでおります。
  214. 井上良二

    ○井上委員 よろしゆうございます。
  215. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 委員長から食糧庁にお願い申し上げたいのですが、先ほど同僚委員小川君から、黄変米が和歌山県に輸送されたことに対して輸送証明の問題がございました。この委員会におきまして、不明朗なことになつてはまことに残念に思いますから、この輸送証明の問題は、食糧庁の責任においてよく取調べられまして、委員会に御報告願いたいということを、委員長からお願い申し上げておきます。  次会は明四日午前十時から開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十六分散会