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1953-07-01 第16回国会 衆議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月一日(水曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 苫米地英俊君    理事 坊  秀男君 理事 内藤 友明君    理事 佐藤觀次郎君 理事 井上 良二君    理事 島村 一郎君       有田 二郎君    宇都宮徳馬君       大平 正芳君    黒金 泰美君       藤枝 泉介君    宮原幸三郎君       福田 繁芳君    本名  武君       小川 豊明君    久保田鶴松君       春日 一幸君    平岡忠次郎君       福田 赳夫君  出席国務大臣        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    今泉 兼寛君         大蔵事務官         (管財局長)  阪田 泰二君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局国有財         産第一課長)  木村 三男君         大蔵事務官         (管財局閉鎖機         関課長)    岩動 祐之君         日本専売公社塩         脳部長     西川 三次君         国民金融公庫総         裁       櫛田 光男君         参  考  人         (全国銀行協会         連合会会長) 千金良宗三郎君         参  考  人         (全国地方銀行         協会会長)   亀山  甚君         参  考  人         (全国相互銀行         協会会長)   上山 英三君         参  考  人         (商工組合中央         金庫理事)   加藤 八郎君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 七月一日  委員飛鳥田一雄君に辞任につき、その補欠とし  て木原津與志君が議長の指名で委員に選任され  た。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国の所有に属する物品の売払代金納付に関す  る法律の一部を改正する法律案参議院提出、  参法第一号)  地方公共団体負担金納付特例に関する法  律案内閣提出第一一号)  塩業組合法案内閣提出第一二号)  信用金庫法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三号)  小額通貨整理及び支払金端数計算に関する  法律案内閣提出第一四号)(参議院送付)  一般会計歳出財源に充てるための緊要物資  輸入基金からする一般会計への繰入金に関する  法律案内閣提出第三四号)  昭和二十一年度における一般会計帝国鉄道会  計及び通信事業特別会計借入金償還斯限の  延期に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第四三号)  金管理法案内閣提出第五五号)(参議院送  付)  造幣局特別会計法の一部を改正する法律案(内  閣提出第七〇号)  昭和二十八年度における国債整理基金に充てる  べき資金の繰入の特例に関する法律案内閣提  出第七一号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八三号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第八四号)  閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出  第九四号)  昭和二十八年度における特定道路整備事業特別  会計歳出財源特例に関する法律案内閣  提出第九七号)  漁船保険特別会計における漁船保険事業に  ついて生じた損失を補てんするための一般会計  からする繰入金に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第九九号)  設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一一四号)  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一一七号)  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二三号)  社寺等に無償で貸し代けてある国有財産処分  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第二八号)(予)  相互銀行法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二四号)  信用保証協会法案内閣提出第一二五号)  中小金融及び類似金融対策に関する件     ―――――――――――――
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  まず一昨六月二十九日本委員会に付託されました相互銀行法の一部を改正する法律案及び信用保証協会法案の両案を一括議題として、政府当局より提案趣旨説明を聴取いたします。愛知政務次官
  3. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいま議題となりました相互銀行法の一部を改正する法律案外一件につきまして、その提案理由を御説明いたします。  最近中小金融円滑化は、とみにその重要性を加えつあり、政府においても、このために各般施策を講じているのでありますが、この種金融を担当している相互銀行の任務は、ますます重きを加えて参つているのであります。御承知通り相互銀行は、一昨年六月相互銀行法の制定により金融機関としての基礎を確立して以来、鋭意その使命の達成に努力しているのでありまして、本年四月末現在においては、掛金及び預金合計額は二千三百七十八億円、給付及び貸出しの合計額は二千二百十億円に達するという目ざましい活動をしているのであります。このような中小金融部門における相互銀行の役割の重要性と、その業績の進展とにかんがみ、その行う金融を一層円滑にし、取引者の利便をはかるため、相互銀行の一部を改正して、相互銀行が新たに内国為替取引業務を営むことができるようにすることといたしました。但し、個々相互銀行がこの業務を営もうとする場合におきましては、大蔵大臣認可を受けなければならないこととし、当該相互銀行業況等を総合勘案して、慎重に個別的に認否を決定することとしているのであります。  以上が本法律案提案趣旨及び概略でございます。  次に、信用保証協会法案でありますが、これは前国会提案後、衆議院の解散に不成立となつたものでありますが、次にその内容提案理由説明いたします。  最近中小金融円滑化は、とみにその重要性を加えつあり、政府においても、そのために各般施策を講じて来ているのでありますが、中小企業者等は、その信用力の不十分であることが一般金融機関から資金融通を受けがたいおもな原因となつていることにかんがみまして、その信用力を補強することが中小金融対策としてはきわめて有効な手段であると考えられますので、この見地から政府においては、つとに信用保証協会設立を認めるとともに、中小企業信用保険制度を設けているのであります。  この信用保証協会は、現在各都道府県にその出資または寄附を中心として民法による公益法人として設立されており、その数は五十一に上つており、中小企業者等金融機関から資金を借り入れる場合に、その債務保証する業務を行つているのでありますが、これに関する法制化が行われていないために、その基礎が不安定であり、保証業務円滑化を欠くうらみがなしとしない現状であります。よつてこの際信用保証協会法を制定し、これが法制化により基礎の強化をはかり、その業務の一層の発展をはかることとしたのであります。以下この法律案の主要な点について説明いたしますと、第一に、信用保証協会は、本法による法人とし、民法規定による財団法人に準ずるものといたしております。  第二に、協会は、中小企業者等金融機関から資金融通を受けること等により、金融機関に対して負担する債務保証を行うことを主たる業務といたしております。  第三に、協会に対しては、民法公益法人と大体同様な税法上の優遇措置も講ずることといたしております。  第四に、民法法人たる現在の協会は、法施行後二年間に本法による協会に転換することができます。  第五に、本法における主務大臣は、大蔵大臣及び通商産業大臣といたしまして、主務大臣は、設立認可、その他所要の監督を行うほか、その権限の一部を地方公共団体の長に委任することができるこことしております。  以上が二つの法徒案提案理由並びにその内容の概要であります。  何にとぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 以上で説明は終りました。     ―――――――――――――
  5. 千葉三郎

    千葉委員長 次に本日の日程に掲げました二十一法案中、ただいま説明を聴取いたしました両法案を除いた残りの十九法案一括議題として質疑を行います。  なお本日は、政府委員といたしまして、愛知大蔵政務次官阪田管財局長河野銀行局長、さらに通商産業省の中小企業庁振興部長、また説明員といたしまして、西川塩脳部長木村国有財産第一課長櫛田国民金融公庫総裁並びに岩動閉鎖機関課長、以上の諸君が御出席になつております。  質疑は通告順によつてこれを許します。大平君。
  6. 大平正芳

    大平委員 私は閉鎖機関令の一部改正法律案と、塩業組会法案に関連いたしまして、二、三の点を質問いたしたいと思います。  まず閉鎖機関でございますが、今度この改正法律案が出まして、提案理由を拝聴いたしますと、まことにけつこうなことでございまして、こういつたアクシヨンがすみやかにとられることを期待しておるのでございますが、ただ若干問題点があるように思いますので、それを確かめておきたいと思います。今度の改正によりまして、残余財産処分ができることになるわけでございまして、国民経済的に、こういつた残念財産が適当に活用されることは、まことにけつこうなことでございますが、その前提といたしまして、在外債務総額を越える額を留保せしめている。また将来におきまして、在外債務弁済を必要とする機関にありましては、政令で別に定める金額留保せしめ、そのあと社債弁済とか、あるいは在外財産処分ができるといことになつておるのです。一体こういつた留保財産を算出する基礎になる留保額を、この法律案で有権的にきめようというのか、それとも何かこの根拠になる条約とか、あるいは協定というものがあるのか、そのあたりがまず第一に伺いたい点でございます。
  7. 阪田泰二

    阪田政府委員 閉鎖機関清算事務もだんだんと進捗いたしまして、現在二百四十四機関ばかり残つておるわけでございますが、そのうち今お尋になりました在外活動閉鎖機関、これが従来の閉鎖機関令によりますれば、社債弁済残余産財あるいは処分ができないということになつてつたわけでございますが、お説のように、今回の法律改正によりまして、そういう処置一定の条件のものとにできるようにいたしたわけで、これによりまして、現在残つております閉鎖機関清算も至急に完了するようにいたしたい、こういうような気持でこの法案を出したわけであります。しかしただいまお示しのように、在外関係の債権、債務資産、この処置関係は、条約あるいは国際関係によりまして、まだ明確にきまつてない点が非常に多くあるわけであります。そういうような関係もあります以外に、現在実際問題として在外資産負債関係はどのくらいのものがあるかということも、ほんとうに確認されておらず、またそういう資産を評価してみればどういうことになるか、さらに今後の外交関係によりまして、そういうものの処分方針その帰属、こういうものをどういうように決定いたすかような点が実ははつきりいたさないわけであります。従いまして今回の改正におきましては、そういう点も考慮いたしまして、在外関係負債資産を超過する額を留保すればよいわけでありますが、それ以外におきましても、今申し上げましたような問題がありますので、そういうような問題に備えるために、一定政令で定める金額をなお留保する、その上で初めての社債弁済在外資産処理に当る、こういうような規定にいたしたわけであります。この規定を適用して、現在懸案になつておりまする在外活動閉鎖機関清算を終了する、あるいはこの法律規定だよりまして、指定の解除を受けて、一般清算手続、あるいは継続的なことに移行する、あるいは新会社設立を見る、こういうような事態になることは、非常に希望いたしておるわけでありますが、ただいま申し上げましたようないろいろな国際関係法律的な問題、あるいは事実上の問題もありまして、現在のところでは、この法律によつて道は開かれるわけでもりまするが、この法律が通れば、ただちにそういう処理がなされるというようなことは見通しがつかない、かような状態でございます。
  8. 大平正芳

    大平委員 政令で別に定める金額というのは、どういう意味ですか。
  9. 阪田泰二

    阪田政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、在外活動閉鎖機関債務弁済残余財産処分をいたそうというときには、在外債務資産を超過する額のほか、一定の額を留保しなければならない。心の一定の額につきましては、先ほど来御説明申し上げましたように、在外資産負債処理方針が、国際関係等によつてまだきまつていない、また在外資産負債そのものの確認、あいは評価が現在はつきりなされていないということでありますので、そのような要素を考慮して、そういう将来起ることがあるような負担を十分に確保できるような金額考えて、それだけの金額個々閉鎖機関について政令で定めたい、かような考えでおります。
  10. 大平正芳

    大平委員 そうしますと、将来の不安定な事実問題、法律問題があるのだか、この中において、政令留保する金額を一応きめておいて、あとはとにかく早く清算を完了し、また閉鎖機関解除をやつて、新会社設立を認めて行こう、こういう趣旨のようですが、先ほど局長のお話では、まだ実際やるか、やらぬかわからない、一応法律上の道は開いておくけれども、具体的は新会社設立するとか、あるいは残余財産処分をどんどん認めるというところまで機が熟していないようですが、今言うように、政令でそういつた不安定要素のはきだめをつくつておいて、いち早くこういつた処理を進めて行こうという御意図でなければならぬと思うのですが、そのあたりはどうですか。
  11. 阪田泰二

    阪田政府委員 御趣旨通りでありまして、政令で定める一定金額留保して、こういうような社債弁済残余財産処分等手続に移り得る可能性のあるものがありますれば、もちろんただちに実行して行きたい、かように考えておるわけであります。先ほどの御説明は、今のような情勢から言いまして、留保する金額が多くなつて、直ちに実行に移せるものは少いであろう。ただちに一定留保をやつて一定手続に移れるものは、現在のところあまりないのじやないか。このような気持で申し上げたわけであります。もちろんこの規定を適用いたしまして、ただちにできるものがあれば、やつて行きたいと思つております。今後の情勢によりまして、可能なものが出て参りますれば、ただちにそのときから実施して行きたい、かように考えております。
  12. 大平正芳

    大平委員 それでは、閉鎖機関処理はいち早く進められんことを希望いたします。  次に、塩業組合法案関係して、若干塩業政策についてお伺いたしたいと思います。現在食料塩は、九十万トンくらい国内で消費するということでございますが、まだ半分程度輸入塩に仰いでおるという実情でありまして、昭和二十五年でしたか、公社の方で――というより政府の方で、七十万トンの内地塩増産計画を閣議できめられたということでございますが、一本七十万トンというのはどういう根拠できめられたか、それをまず伺いたい。
  13. 西川三次

    西川説明員 七十万トンをきめましたのは、別段深い理由はないのでありますが、過去におきまして、国内塩生産能力としまして、ピークが六十二、三万トンの場合がございました。それから製塩の許可をいたしております。設備能力としまして、六十万トンというのが現在の額になつておりますので、そういう点を考慮いたしまして、目先達成可能の数量といたしまして、とりあえず七十万トンを目標にしたわけであります。
  14. 大平正芳

    大平委員 七十万トン確保のためには、どのくらい資金がいるお見込みですか。
  15. 西川三次

    西川説明員 所要資金につきましては、実はただいま作業中でありますので、正確なる金額を申し上げるわけに行きませんが、大体大ざつぱに申しまして、約百億程度資金が必要のように考えられます。
  16. 大平正芳

    大平委員 その百億というのは、自己資金を除いて、外部からの借入金をいうのですか、総額をいうのですか。
  17. 西川三次

    西川説明員 総需要貿でございます。
  18. 大平正芳

    大平委員 それをどのような方法で調達しようというお考えですか。
  19. 西川三次

    西川説明員 御承知のように、製塩施設法の中の改良補助金と、農林漁業金融公庫から融資を受けます融資と、それに自己資金、こういうふうな三本建になつております。
  20. 大平正芳

    大平委員 その七十万トン計画というのは、何でも五箇年計画でお進めになるというように伺つておりますが、現在の農林漁業金融公庫からというよりも農林漁業資金から出しておりました金は十一、二億程度であつたように思いますし、専売局の方の改良事業資金も、二、三億程度であつたように思いますが、こういつた足取りでは、五箇年間に百億の増産計画をやつて完遂するということは、非常にむずかしかろうと思うのでありますし、また農林漁業資金というのは、沿革的に見ますと、これは昭和二十四年の予算をつくるときに、思い切つた財政の刷新があつたわけです。そのときに、土地改良補助金を切る――農民が一定の耕地で同じ労力でやる場合に土地改良をしたら収益が多いという場合には、これは一つの収益事業だから、これに対してまで補助をする必要はなかろうというような理由で、補助金切つて、そのかわりに融資に置きかえましようというような約束で、少し遅れましたけれども、やがて農林漁業資金というかつこうで、あれが国策で具体化されたわけでして、最近の実情を見ますと、土地改良だけでなく、林業であれ、農産加工事業であれ、あるいは塩業にまでこういつた資金を使つておるということは、農林漁業資金を創設した沿革からいつてもおかしいし、また一体農林漁業金融公庫なるものに、塩業というものをよく存じられている専門家がおるのかどうか。現在の農林漁業資金貸付状況を見ておりましても、大部分地方局の方で御検討されて、公社の方で見ておる、仕事はほとんど公社系統で消化されておる様子でございますが、農林漁業資金というパイプだけを通じておるというかつこうになつておるので、いかにも油と水をくつけたようなかつこうになつておりますが、こういつたものは、農林漁業資金というような便宜の方法によらぬで、本格的に、公社として資金を安定的に供給する方法をお考えなつた方が、実態に即するのではなかろらかと思うわけでございます。聞くところによりますと、日本専売公社改正で、専売公社投資能力を付与するというように聞いております。もし専売会計から関連事業投資ができるという道が開かれるのでございましたら、そういつた線沿つて、大蔵省としても塩業増産資金農林漁業資金によらずに、専売公社がこれを計画し、設定し、かつ投資すをというようなかつこうに持つて行つた方が、実態に即してよろしいのじやないかというような感じがするわけでございますが、塩脳当局並びに大蔵当局の御所見を伺いたいと思います。
  21. 今泉兼寛

    今泉政府委員 ただいま、塩業改良資金農林漁業金融公庫の方から融資のかつこうにおいて出ておるけれども、これを専売公社の方に移して、専売公社の方で直接こういつた融資を見たらどうかというお尋ねであろうと思うのでございます。現在専売公社法規定では、そういつた民間融資するという道は開かれておりません。そこで今度専売公社法の一部改正法律によりまして、投資ができるという規定を挿入すべく、まだ上程されておりませんけれども、本国会にそういつた改正案提出することに相なつておりますが、あわせてその際に、融資まで見て、公社として融資ができるようなかつこうにおいて今の塩業資金等公社専売益金等から融資したらどうか、こういう御趣旨であろうと思うのでございますが、投資につきましては、かなり固定的な資産となつて寝るというようなかつこうになりまして、考えようによつては、将来資金が寝るという点で、かえつて融資より公社負担になるのじやないかというような考え方もございますけれども、投資についても、目下公社として考えられますることは、たとえばかりに小名浜の加圧式製塩工場等モデル工場としてできているのでございますけれども、これを今後将来民間に払い下げるというようなことが不可能な場合、あるいはこれを現物出資するというような必要があつた場合において、これをも投資考えようじやないか、それから将来フィリピンとか、あるいはタイあたり塩田開発というようなことをやる場合に、どうしても民間資金としては出がたい、あるいは民間資金が出ても、やはり、どうしても公社の一部投資が必要であるというような場合に、これを広げる道を開いておこうじやないかという意味合いにおきまして、今度の公社法改正投資ということが入つたのでございます。今御説の通り融資までも公社ができるということになりますと、これは一般金融機関との融資関係もございますし、それから今の開発銀行、あるいは農林漁業金融公庫等融資というようなものとの兼ね合いもございまして、公社がそこまで立ち入つて融資関係で見るのが適当かどうかという問題については、相当議論もあることでございますし、今後融資できるかどうかという問題については、なほ慎重考慮を要する問題であろうと考えられますので、御説の御趣旨もございますので、その点は十分検討して政府の態度もきめてみたい、こう考えておる次第でございます。
  22. 大平正芳

    大平委員 農林漁業資金そのものが、すでに一般金融機関から融資を受けられない、または受けがたい事業に対する投融資政府の方で考えたわけですが、塩業実態から申しまして、農林漁業資金にたよるものと、公社投融資によるものと、私は何らそこに性格的な変化はないと思うのです。問題は、塩業をよく知つている者、または多数の技術者を擁しているところで端的に処理した方が、よほど能率が上り正確に参る。今の状態では、一応農林漁業公庫を単に通すというだけであつて、ほとんど素通りじやないかと思いますし、実態的な査定を加えているような事実もございませんので、大蔵当局においてとくとこの点は御再考されまして、専売公社法改正と相まつて、来年度の予算編成におきまして、こういつた点を具体化されるように、私強はく希望しております。  それから塩業組合法でございますが、これは同僚の福田委員からも御質問があつたように聞いておりますが、この問いろいろ検討してみますと、塩業組合は、以前は預金を受入れて、貸付仕事をやつてつた。それが今度の改正法案に載つていない。これは内輪を聞いてみますと、何でも銀行局の方に御反対があつたようです。銀行局の方では、農協なんかに金融的機能を持たしたために、今日見るように農協は赤字をたくさん抱えまして、ずいぶんお困りのようで、この点は十分同情するのですが、しかし塩業に関する限りは、組合員自体経済力、あるいはその経済に対する組合把握力といつた点が、農協なんかとは比較にならぬと思います。農協にせつかく認めた金融機能を今剥奪するというわけにも行かぬし、農協再建整備を今鋭意やつているようでございまして、これも軌道に乗せて行かなければいけませんが、あつものにこりてなますを吹くというようなことで、単なるそういつた意味の御反対であればこれはどうかと思うのですが何か特に塩業組合について、金融機能を持たすということに不都合な理由がおありなのかどうか、その点を銀行局長から伺いたい。
  23. 河野通一

    河野(通)政府委員 この点は先般福田委員からの御質問にお答え申し上げたのでありますが、現在銀行局といわず、大蔵省全体といたしましてとつておりまする基本的な考え方は、預金の受入れも含めて、信用事業というものは専業で行くべきだ、つまり事業と兼営で信用事業を行いますと、えてして事業から来るいろいろな損失とかいつたものが信用事業に影響する、信用事業がそういうものに影響されることは適当でないという考え方で、信用事業は専営でやる、しかもその役員の方も専心その業務に当る、こういう原則を立てまして、最近では中小企業等の事業協同組合に関しまして、やはり預金の受入れを認められたいという強い要望があるのでありますが、この原則に基いて、私どもは反対をいたしている次第であります。今お話がありました農業協同組合でありますが、これも私は今の原則からいいますと、やはり専営が筋であろうと思います。しかしながら農業協同組合というのは、御承知のようにいなかにおいて、非常に小さな部落単位でできている。そこで信用事業事業部門とをわけるということにいたしますと、非常に小さい単位でありますから、人事の点においても、経費の点からいつても、なかなかこれをまかない切れないという事態が起る、かたがたその地方には金融機関が実はあまりないといつたような地域でもありますので、これらの点につきましては、原則は今申し上げましたように私どもは考えておりまするが、そういう、特殊のことに農業協同組合という小さい単位でできておる組合という性質からいつて、これをいきなり専営にする、つまり経済事業と信用事業をわけるということは適当でないという考え方のもとに、そういう例外を認めておるわけであります。私どもといたしましては、農業協同組合に認めておる例をもつて、ただちに事業協同組合、あるいは塩業組合にそれを及ぼすことは適当でない、かように考えておる次第であります。
  24. 大平正芳

    大平委員 信用事業は専業による、その気持はわかりますが、しかし零細な資金を取扱う小規模の金融機関が、はたして専業でやつて行けるかどうか、この委員会でもいろいろ問題になりましたが、銀行等の支店、出張所等がずいぶん全国に多くなつて来た、このままで行けば、おそらく目抜通りは銀行になつてしまうのではないかというような御心配がありましたが、一体専業機関が店舗を独立して持つというようなことは、たいへん経費がかかることなんです。むしろ事業にしつかりしたボディーがあれば、それにくつけて金融事業もやるということの方が能率も上るし、また同時にコストが下るというような考え方もある。問題は組合自体の信用、あるいは組合員の経済力考え方の根本になるのではないか。兼業で行くことが一概に悪いわけではなかろうと思うわけです。また国民の貯蓄を吸収して行くというようなことは大事なことでございます。ボディーさえしつかりしておれば、そういつたところに、厳重な監督のもとに預金業務も一切許すというような行き方の方が、かえつて金融政策としてよろしいのではないかというような考え方もあり得ると思います。これは新しく出て来たものではない、元あつたものですから、前にやつてつたときにどういう弊害があつたのか、私はまだよく検討しておりませんが、前の実績をよく御検討願いまして、御再考願いたい。
  25. 春日一幸

    ○春日委員 関連質問……。今泉監理官にお伺いをいたしますが、例の工業塩については、現在法律によつて特別の価格が指定されておるのであります。ところが、これはもつぱら大企業がその適用を受けるものであつて、中小企業については、特例価格の適用が除外されておる、あるいはまたそういう特例が、そういうものを対象として行われていないようにいわれております。この問題につきましては、先般業界から、たしか今泉監理官のお手元にそういう陳情が行つておるはずでありますが、少くともそういう特例の価格措置を行うということであれば、ひとり大企業に対してのみならず、一般中小企業に対しても同様の特典を講ずべきであると私は思います。現在大企業は特別の価格で供給を受け、中小企業は高い値で原料を買つて製品化する、さすれば大企業に対して中小企業は、この面においてもとうてい競争に勝つことはできない、そういうような意味におきましても、戦前においては、こういうような問題は、大体において均衡した価格によつてそれぞれ特例が指定されておつた様子でありますが、戦後においては、中小企業者のそれぞれ熱意のある要望にかかわらず、これらの陳情はいまだ何ら採択されていないというような形であります。現在これに対してどういうふうなお考えであるか、ちよつとこの機会に伺つておきたいと思います。
  26. 西川三次

    西川説明員 御承知のように、工業塩について特別価格を現在設定しているわけでございますが、これは、大企業だけ特別価格を設定して中小企業に対してそういう恩典があまりないじやないかという御趣旨であろうと思いますが、この特別価格の制度は、政府としては相手が大企業であるからこれを認める、中小企業であるから認めない、こういう趣旨はごうもございません。そうではなくて、中小企業であろうとも、たとえば輸出振興上どうしても必要であるというようなもの、国際価格の関係で、高い外塩を使うためにどうしても太刀打ちができないというようなものに対しては――その一番の適例はソーダー工業でございます。それから塩を使う企業で、使う量の問題でございますが、たとえば原料のうち、一体どれくらい塩の量を使うかというような問題が、一番原価構成上重要な問題でございまして、中小企業でも、御承知のように塩蔵用の塩、魚を塩蔵するための塩は特別価格で設定してございます。これは、必ずも大企業だけでございませんで、かなり塩蔵用として塩を使う、こういうものは原価計算上の構成分子からいつてかなり高い比率を占めております。そういつた関係で、塩の価格を特別に認めてやらないと安い魚が家庭に入らないというものは、中小企業であつても、塩蔵である限りは認めておるものもございます。先般御陳情になつたことは、よく聴取いたしまして、現在検討は進めておりますが、塩の原価構成上の比率が二%ないし三%くらいしか占めていない、それから塩を使う全体の量からいつても、パーセンテージがあまりにも低いのではないか、そういうことが、現在まだ政府としてそういつた企業に特別価格を設定するまでに至つていない理由でございまして、先ほど申し上げました通り、大企業だからこれを認める、中小企業だから認めない、こういう措置はごうもとつておりません。将来とも、中小企業であつても、そういつた原価構成上、あるいは輸出振興上必要であるというものについては、同様に認めて行きたい、こういうふうに考えております。
  27. 春日一幸

    ○春日委員 ただいま御答弁がありましたが、問題は愛知県、埼玉県、あるいは北陸一帯に行われておる特殊窯業、土管とか瓦、こういうものに相当の塩が使われておるわけであります。これらのものは、御承知のように欠くべからざるところの建築資材でありまして、この点においては、輸出産業に劣るものではないと思うのであります。ところが、これらが塩の使用率が非常に軽少だと言われるのでありますけれども、これらの事業は非常に競争が激甚である、従つてたとえば二%でも三%でも、その塩の価格が原価構成のうち大きなウエートを占めておる。このことはいなみがたいことでございます。いずれにしても、そういうような生産目的に使うこと以外に他意はない、しかも一銭でも安くコストを下げるということは、建設に役立つことであります。せつかくそういう陳情が行われておるのだから、いくら塩の使用のパーセンテージが少いからといつて――それは多ければ許可してくれるといつても、たくさん塩を使つて塩辛い土管をつくるわけにも参りません。そういうような意味合いにおいて、彼らが累年にわたつて政府に陳情を続けて来たことは――そんなどうでもいいことなら、何回か続けて陳情するわけはございません。しかもそれらの中小企業の諸君は、塩の高いことが彼らの経営の大きな負担になつてある。従つて、この問題についてはひとつ早急に御処理を願つて、せつかくただいま慎重に考慮中だと承つておりますから、本国会において、何とか彼らの要望が達し得るような措置をひとつ講じてやつていただきたいことを強く要望いたします。  それから議事進行に関連もありますので、管財局長にお伺いしたいのでありますが、私は例の賠償機械の問題について、これが措置について、これが措置についてはすでに本委員会において二回にわたつてあなたに御要請をいたしておる、これは、中小企業者が賠償機械の払下げを受けておるのだが、その代金の決済について、今金がないために、せつかくの政府の御親切な配慮にもかかわらず、また連合国のそういう御理解にもかかわらず、困つておるのだから、せつかくの御親切なら、金を五年くらいの年賦によつてその納付ができるような特別の措置を講じてもらいたいという陳情が行われておる。これに対して、政府は一体どういうお考えを持つておるかということを十日前から伺つておる。土曜日にもこの問題に触れておる。ところが本日に至るまでまだ何の回答もございません。これは一考どうしたことでございましよう。しかも期間が限定されております。国会において、議員が再三にわたつてそういう質問をしても、何らそれに対する必要な資料の提出もなければ、また調査の結果に基くあなたの意見の御開陳も行われていない。一体あなたは、われわれがここで案ずるそれぞれの問題についてどういうふうにお考えになつておるか。貿や思いつきで質問をしているのじやない。業者が思い余つて寄り寄り協議をして、組合の決議をもつて、しかも地方自治団体の意見書まで添えてここに要請をして来ておる。従つて、私は国民の名においてあなたに陳情、あるいは意見を求めておる。再三再四にわたる質問にもかかわらず、その回答を遷延してこれを行わない。これは一体どういうことですか。そしてまた、その問題は一体どんなふうに進んでおるのか、この点について伺いたい。  それから開発銀行の問題についても同様でございます。中小企業者が、かつてそれぞれの重要産業再建のために融資を受けた。ところがこれがその後の不況のために、かつて受けた金を返済することができないで、そのことが中小企業経営の大きな不振の原因になつておる。これを救済するために政府、議会も考えなければならないが、それを考えるための資料として、一体戦後行われた、復興金融金庫によつて貸出された大企業に対する融資の残高と、中小企業に対する融資の残高が今どういう経緯をたどつており、しかもそれの見通しがどうであるか、この資料の提出を求めております。ところがこれまた今日まで御提出になつていない。少くともわれわれ委員がここで質問したり、資料の提出を要求したりしたことは、当局において最大能力をあげて、その翌日の委員会にこれを提出するだけの誠意と熱意があつてしかるべきだ。本日私がこういう苦情を申し述べることはまことに遺憾であると思います。これに対して政務次官は何と考えておるか。  それからまたこの委員会に大蔵大臣はちつとも出て来ない。大蔵省所管行政について、毎日こういう熱烈な討議が行われておるのに、大臣がちつとも出て来ないとは何事であるか。私はこの点について、千葉委員長に善処を促す。管財局長、政務次官の御答弁を求めます。
  28. 愛知揆一

    愛知政府委員 大蔵大臣は本日間もなくこちらに参ります。遅れたことは申訳ありませんが、ただいま間もなく参るはずであります。  それから御要求の資料につきましては、ごもつともでございますから、まだ出ていないものがあるようでありますが、至急督促をいたします。それから今の銀行局関係の資料は、明日午前十時までに御配付申し上げられます。
  29. 春日一幸

    ○春日委員 管財局の資料はいつですか。
  30. 阪田泰二

    阪田政府委員 中小企業の機械の交換の問題につきましては、この前お尋ねがありますましたときに申し上げたのでありますが、御承知のように、国有財産法、あるいは国有財産特別措置法の規定によりまして、一定金額以上のものは延納措置がとれることに現行法上なつておるわけであります。扱いといたしましては、三十万円以上の金額になる場合にはできますし、特別の重要な産業の用途に充てられるというようなものにつきましては、二十万円以上の金額になるものについても延納を認めております。延納期間は、普通の場合は五年でありますが、やはり特別の用途に供するような場合には、十年というようなことになつております。そういうようなわけでありまして、現在の法律の扱いといたしましては、延納はできることになつておるわけであります。ただ、御説のような場合は、金額の問題、あるいは延納の担保の問題、その他の問題で具体的に財務局、あるいは財務部と業者の間に話がつきかねる、こういうことじやないかと私ども想像いたしておるわけであります。それで、具体的な問題となつておる事情を現地に問い合せまして、個々の実際に応じて解決をつけて行きたい、このように私どもは考えておるわけであります。
  31. 春日一幸

    ○春日委員 私が十日ほど前に申しました意見というのは、この法律によると、大体これはケース・バイ・ケース、その実情に従つて延納の特例を認めるようになつておる様子でございます。ところが、彼らが要請をしておりますところのものは、これは一般的な問題として、すなわち何千件にわたるか何万件にわたるか知りませんが、今回全国の中小企業者が連合軍の好意によつて賠償機械の払下げを受けて、古いものを出すという、こういう新しい事態がここに発生をした。この新しい事態たるや、その国有財産処分に関する法律ができたときには、こういうような事態を想定しないでその法律ができておる。従つて、この法律でもつて新しい事態を律することにはやはり多少の無理があり、あるいは実情にそぐわない面が、その施行細則なり、あるいは本法の中においてもいろいろ指摘されております。従いまして、それによつてこそ陳情が行われておるのであります。そこで、あなたはその陳情書をお読みになりましたか、なりませんでしたか、この点をお聞きしたい。
  32. 阪田泰二

    阪田政府委員 ただいまの交換の差金の問題でありますが、中小企業の機械の交換の問題といたしましては、原則として同種の、また価格におきましても相応した機械を交換する、こういうような建前でございます。従いまして差金は出ない、出るにしてもあまり大きな差額は出ないというのが普通の状態でございまして、そういうような意味におきまして、一般的に非常に大きな処置に困るような差金が出るということは、今度の問題につきましては、想定していなかつたわけであります。ただ、やはりかなり高価な機械になりますと、その差額も相当な額になる場合が出て来る、こういうようなことでありますから、やはりさような場合の措置は、個別的に伺つて、現場で措置した方がいいのじやないか、このように私どもとしては考えておるようなわけでございます。
  33. 春日一幸

    ○春日委員 それは違います。価格につきましては、相応のものととりかえる、従つて差額金というものは出ないというふうに、あなたは原則としてはお考えになつておるようでありますが、そうではない。その賠償機械というものを払い下げる価格の決定というものは、価格評定委員会か審議委員会かが独立の審査をもつて、その価格の査定決定を行います。それから古い機械については、それもまたその価格査定が行われる。古い機械の価格決定は、おのずからスクラップの価格になつて参る。新しい機械の価格については、おのずから市価の価格になつて来るということはいなみがたい。市価より幾らか安い価格になることはありましようけれども、しかしながら、それは古い機械、がたがたになつた機械と、かつて軍需工場で使つた精密無類の機械とが同じような価格で査定されるというケースを現在はたどつてないのじやないか。それとも政府方針、あるいは連合軍の方針というものは、形が同じであれば、それはただかえるというのが趣旨であつたのか。もしそうであるといたしますれば、現在のあなた方の運営は、連合軍の指示した方向とは違つた執行をしておることになる。従つて、あなた方はもう少し彼らの陳情書を読んでいただきたい。価格評定委員会によつてきめられた価格が違つておるから、その差額というものがおのずから出て来る。その出て来る差額が、三十万か、四十万か、五十万か、あるいは百万か、大きなものは二百万にわたる価格が査定されて出て来ておる。その金を払うことができないから何とかしてくれという陳情は、これは当然であります。あなたのおつしやるように、形さえ同じであれば、がたがたでも、スクラップのようなものでも、精密無類のものでも、同じような価格でこれを評価するというのがあなた方の方針であり、連合国の指示もそこにあるとすれば、問題は自然解消いたしますが、一体問題はどちらでありますか、御答弁願います。
  34. 愛知揆一

    愛知政府委員 先般来、この問題につきましては、春日委員から再々御質問がありましたことは、私もよく承知いたしております。それは当面出ているところの陳情書に関連して、ケース・バイ・ケースに処置できるものは、ただちにケース・バイ・ケースの趣旨にできるだけ沿うような処置をいたそう、こういうふうに考えて手を打つてつたつもりなのであります。ただいま御指摘の問題、それから従来の経緯に徴して、もう一度考え直す点がありはしないかという点につきましては、とくと研究いたしまして、私どもの態度を決定いたしたいと思います。
  35. 春日一幸

    ○春日委員 先般虎ノ門公園事件におきまして、私どもの党の井上委員の質問に端を発して、緊急省議が開かれて、翌日この問題の処理がされたという例もございます。従いまして、この問題についても本日緊急省議を開かれて――御承知通り、これは二週間以内にその金を納付しなければならないということで、現実にその交換が進捗中でございます。従つてこれはいたずらな遷延を許す問題ではございません。ですから、この機会にひとつ緊急省議を開かれて、明日、あるいは明後日の本委員会等において政府の態度が明確に示されることによつて、全国の中小企業者の要望が何らかの形で達成されるようにとりはからわれんことを強く要望いたしまして、質問を終ります。
  36. 千葉三郎

    千葉委員長 塩業法の問題につきましては、他に関連の質問がございますけれども、この際大蔵大臣に対する御質疑を願いたいと思います。佐藤委員
  37. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 大蔵大臣はなかなか来られませんので、きようはできるだけ時間をさいてわれわれの要望に応じていただきたいと思います。  実は、昨日も開発銀行の問題が出ましたが、この外資導入につきましては、一体どのくらいの予定で外資を導入するのであるか。戦争前にタイの国がイギリスの経済に支配され、フイリピンがアメリカの経済に支配されていたことは御承知通りでございます。わが日本は、今日独立したと申しましても、アメリカの占領下にあるようなものでありますが、将来日本が独立国として立つて行くのには、この経済の問題についての自立経済ができなければ、日本の独立ということはできないのであります。そういう点、大蔵省は外資導入について一体どれくらいの計画を持ち、どういう考えを持つてつておられるかということを、ひとつ大臣から御答弁を願いたいと思います。
  38. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 ただいま外資導入につきまして具体的に話の進んでいるのは、佐藤さんも御承知の、例の火力発電に対する四千ドル余のものであります。これは昨日参議院の方の本会議通りましたので、近く政府保証することになつておりますが、大体七月中に話がまとまると考えております。そのほか水力発電につきましては、三箇年にわたつて約一億二千万ドルを申し込んでおりますが、これはまだ十分な話合いがついておりません。一応向うに資料を出して話をしてやるのでありまして、そのうち五、六千万ドルは相当話が進んでおりますけれども、まだ具体化いたしておりません。それからあとの分、たとえば愛知用水の問題であるとか、そのほかの問題についても出しておりますが、これはまだ向うとの話合いが軌道に乗つておりません。現在のところでは、大体電源開発を中心とするものと火力発電のもの、これだけが話合いになつておる次第であります。御参考までに申し上げておきますと、現在日本が米ドルで九億数千万ドル持つております。しかしこれは佐藤さん御承知のように、大体いわゆる特需といわれる分の一年ちよつと分くらいしかございませんので、やはりじきになくなる――なくしては困るのでありますけれども、そう大きな金額として依頼するわけにも参りませんので、できるだけ外資導入が、筋が立つて世界銀行等から入れ得るものは入れたいと考えておりますが、現在のところではそんなふうな段階でございます。
  39. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 われわれは日本の産業の興廃を考えますと、外資の導入のことについては、将来に向つていろいろ考えなければならぬ点があるかと思います。最近問題になつておりますMSA援助と外資の導入の関係について、大蔵大臣はどういうふうに考えておられるか、御答弁願いたいと思います。
  40. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 実はMSAの内容については、まだ私も何にも承知いたしておりません。ただ総理はこの間MSAを受諾したいというようなことを申されており、また向うと今度話合いをすることになつておるのでありますが、どういう程度金額で、またそれがどういうようなものかということについては、まだ内容は明らかでございません。明らかになりますれば意見を述べることができると思いますが、率直に申し上げて、まだ内容承知いたしておりませんから、この際意見を申し述べることはちよつとできない事情でございます。
  41. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 次に、金融、あるいは銀行問題について大蔵大臣の答弁を願いたいと思います。今中小商工業者、一般の国民は、税金の高いのと、もう一つは現在金融面について非常に苦しんでおる。最近の不渡り手形の問題、あるいはやみ金融の問題、その他一般の人々が金融難に悩んで、相当の大きな商社もつぶれそうになつておるということは、大蔵大臣御存じかと思います。しかるに現在特殊な地位にある日本銀行が、こういう問題についてどのような処置をしておるのか。日本には大蔵大臣がなくて、日本銀行の総裁があるかのような面が新聞などに発表されるわけでありますが、一体大蔵大臣は日本銀行を監督する責任があるのでありますが、そういう点についてどういうお考えを持つておられますか。
  42. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 大蔵大臣は、仰せのごとくに日本銀行を監督はいたしますが、今は日銀政策委員会というものがありまして、そういう問題は必ずこの政策委員会の議を経ることになつております。これはずつと以前の、政策委員会ができます前の日本銀行と大蔵省との関係とは違うことは、制度の上でよく御了承のことと思うのであります。しかし今仰せになりました不渡り手形等の問題につきましては、一万田総裁をこの間呼びまして、よく事情を聞き、適当な処置をとつてもらうように話合いがしてございますが、過日聞きましたところと私どもが調べておるところとでは、枚数においても金額においても著しくふえておる状況ではございません。しかしながら、朝鮮事変がああいうふうに休戦の見通しが濃くなつて参りましたことと、それに基いて、幾らか前途の注文に対する不安を感ずる向きもございましようし、それからまた多少予算上の措置が遅れておるために、出るべきものが出ておらぬ。一例をあげますれば、中小企業金融公庫法案も、この前通つておると百二十三億の金が実は出ておるわけであります。そういうものも出ていないといつたような事柄等もありますして、いろいろ原因はあるだろうと思います。しかし佐藤さんも御承知かと思いますが、最近破綻を示しておる大きな方の会社の例を見ますと、一口に言えば、これは相当経営がずさんです。ずいぶん乱暴な経営をやつてつて、はなはだしいのは、帳面につけていない債務が資本金の三倍にも達しておるというような乱暴な経営をやつておる。そういうこともあるので、これらについて私どもよく見ますと、実はあまりよそへ波及するようには考えておりません。また全般的な問題でないことは、個々会社の実例で大体ごらんを願つておると思うのでありますが、御承知のように、大体大きい企業はみな中小企業の下請とか、いろいろな関係を持つております。その余波が及んで行くので、こういうことをできるだけ防ぎたい。かように考えておるわけ合いであります。まだ一般問題となるほどの状況ではありませんが、しかし過日も申しましたように、経済界というものは一つの有機体をなしておるのでありますから、一角に起つて来る波がほかに及ぶということもありますので、その点については十分注意し、また日銀の方とも連絡をとつて、誤りのないようにいたしたい、かように考えております。
  43. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 大蔵大臣は、最近通産大臣から転任になつたばかりでございますので、いろいろわからぬ点があると思いますが、実は戦後一番景気のいいのは、やはり銀行の建物で、それから警察、税務署ですが、これはほとんど国民の膏血をしぼつてやる役所でございますが、どこに行つても目抜きの場所には銀行があるという有様で、この委員会でも同僚委員からたびたび指摘されましたが、少くとも銀行があの大きな建物をつくり、各所至るところに支店を設けておることは、おおうことのできない事実であります。こういう点で、銀行の建物はよくなるけれども、大衆は金を借りることができず、中小会社は倒れて行くというのが日本の現状でございます。そういう立場からして、われわれは銀行がこういうふうな利益を上げているとするならば、一体大蔵大臣はこれを国家管理、あるいは国営に移す意思があるかどうか、この点ひとつ大臣のお考えを承りたい。
  44. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私どもは、銀行その他を国営に移すというような考え方は、全然持つておりません。なお今仰せになりましたが銀行の建物が相当できておることは事実でございます。あれは戦災によつてほとんど全部こわれので、それを修理したものが大体多いと思いますが、最近においては、支店などは新しく許可しない方針をとつておりますし、また建物等についても、特に必要な程度にとどめ、華美に流れないようにということは注意いたしております。もつともその注意が遅れたじやないかと言われれば、それは遅れたかもしれませんが、そういうことは特に注意いたしております。それから膏血をしぼつた云々というようなお話がありましたが、銀行というものは、御承知のごとく預金者と、それからこれを一般に貸し出すことによつての利益から成り立つておるのでありまして、金融資本に対する御不満の点もあるかとは思いますけれども、しかしこれは預金者の金を需要者のために運用するその差益でもつて運用しておるのでのであつて、やはりこれはきわめて正しい公共的意味を持つた営業であるというふうに私どもは考えておる次第でございます。しかし公共的性質を持つておるだけに、これらの公共性にもう少し適してもらうように、今後ともこれを進めて参りたい、またでき得るだけ指導して参りたい、かように考えております。
  45. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 われわれは、少くとも銀行の社会性というものを考えておりますので、資本主義を謳歌される大蔵大臣にいくらそんなことを言つても馬の耳に念仏ですから、これは以上申しませんが、ただ現在中小企業に対する金融というものが非常に不足しておることは、これはいくら大蔵大臣がいろいろ答弁されましても、最近のやみ金融の事実を見ればわかるわけであります。そこで国会における大蔵大臣の演説の中にもございましたが、もつと国民金融公庫、あるいは中小企業金融公庫なども拡充して、思い切つて国家の資本を出して、徹底的にこういう方面を救う意思があるかどうか、この点について大蔵大臣の答弁を願いたいと思います。
  46. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 中小金融は、日本の中小企業の重要性からきわめて大切でございます。その点につきまして今お話がございまたが、大体銀行を調べてみますと、いわゆる六大銀行とか、あるいは都市における大銀行につきましては、従来中小企業に対する貸出しが二割五、六分に達しておつたのが、最近では一割八、九分に減少しております。従つて私どもは、これをもう少し出してもらうというぐあいに進めておるのであります。それから地方銀行についてみますと、大体その三割というものは中小企業に出しております。これは地方銀行の性質上そうなつておると思います。この方は、金額におきましてはあまり減つておりません。それは、もつとも貸出量から見ますと大きいもので、おそらくこの両方で六千億以上に達しておると考えております。それからあとのものにつきましては、国民金融公庫、これは出資をふやしましたり、資金運用部の金を出しましたり、あるいは預託をしましたりして、いろいろなことでこれを動かしております。さらに中小企業のいわゆる商工中金というものにつきましては、これは御承知のごとく相当出資もふやしておりますし、債券も引受けますし、さらに預託等も増加しておりますことは御承知通りと思います。それから中小企業金融公庫は、昨年御提案申し上げたのは、たしか政府の出資が三十五億円、それから資金運用部の金が五十億円、八十五億円であつたと思いますが、今御提案申し上げておるのは、出資が八十億円、それで資金運用部の分が二十億円、こんなぐあいになつておりまして、内容においてはよほど改善されております。これは佐藤さんに説明するまでもなく、その八十億という出資は無利息の金でありますから、従つて内容はよほど改善されております。そのほか開発銀行から引継ぐ分もありますので、当初において百二十三億円かを貸出すことに相なりますが、あまり貸出して足らぬ場合は、もちろんそれに対する措置をとりたいと思つております。私どもこれで足りるとは毛頭思つておりませんが、今の財政投融資関係から申しますと、初年度においてはこれくらいでいいのではないかと考えております。しかし次年度等に必要に応じてこれを増額して、中小金融円滑化に努めたい、かように考えております。
  47. 千葉三郎

    千葉委員長 佐藤君にお諮りしますけれども、大蔵大臣に対する質疑は非常に多いのですから、なるべく簡単に……。
  48. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 あと減税問題だけを一つ伺いたい。政府は盛んに減税々々といわれておりますけれども、われわれが選挙区に帰りましても、一番大きな問題は税金の問題であります。従つてこの税金がえらいということは、国民一般が身にしみて知つているわけでありまして、こういう点について、大蔵大臣は、税法について根本的にかえる意思があるかどうかという点が第一点。  それからわれわれが受ける陳情の中で、大蔵委員会が一番心配しておりますのは物品税の問題でございます。これは今七十二種のものだけがかかつておりまして、あとのものはだんだん減らされて参りましたけれども、この二百億のために中小企業者は困つておるわけです。このために、物品税を廃止する意思があるかどうか、これが第二点。  第三点は、今度富裕税がなくなることになりますが、そうすると高額所得者は――これは、富裕税が出るときにはいろいろうまいりくつをつけて富裕税をとつたのでありますが、今度これがうまくできないというので、富裕税がなくなるということになるのであります。そうすると、今度は高額所得者については、累進課税をしたらどうかということになつておるのでありますが、この点大蔵大臣はどう考えておるかという点が第三点であります。  第四点は、御承知通り今平衡交付金の問題とか、あるいは地方が非常に財源に困つておりまして、大蔵省にもいろいろ注文があるわけでございますが、そういう点について、地方税と国税の問題について、もう少し根本的に調整する意思があるかどうか、この四点についてお尋ねいたします。
  49. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 税制の現状は、私ども改める必要があると思います。それで今度中央地方を通じての根本的税制の一大調査会をつくりまして、最近に発足して、いろいろその方の協議をいたしました。その結果に基いて、税制の根本的改革をやりたいと思つております。いわゆるシヤゥプ勧告に基く税制というものは、よい点もたくさんございましたけれども、同時に日本の実状に合わぬ点もあるのでありまして、特に、たとえて申しますれば、固定資産税のごときものは、町村でとる、そこでただいま大きな工場のあるところは、非常に大きな財源を得ておるが、すぐ隣の工場がないところは、何も財源がないので、住民税その他に非常に不公平なことが行われておる、これは一例をあげるのでございますが、そういうようなぐあいでございまして、この税制の根本的改革は、もう少し日本の実状に合うものでぜひやりたい、かように考えておる次第でございます。  次に、税制に対して、いろいろ今の税金の賦課について苦情がある、このことは私もよく聞いておりますが、御承知のごとくに、所得額の低いものにだんだん税を減免するという方案をとつて、今度も納税すべき者の額を若干高めて、従来から申せば、そこまで行かなかつたのでありますが、今度は月額一万五千円、大体年収十八万円までは税がかからぬようになつておるというぐあいに措置いたしておりますし、もつとも佐藤さんからいうと、ではついでに二十四万円までやれといわれるかもしれませんが、そうやると、実は九百億ぐらい税収の不足を来すことになるので、私どもは一応この程度にしておりますが、いずれにしても、低いものをやるという考えで、減免する措置をとるつもりでおります。  さらに累進的のものはどうなるか、これはさようなぐあいにしておりまして、この前の税制でも今度の案でも、累進的に、以前に比べれば高額所得者によけいに払うことになつておることは、今度の改正案を見てもよくわかることと思うのであります。そんなときになぜ富裕税を廃止するのかというお尋ねであります。富裕ということと所得ということは一致しませんが、富裕税で払いにくいものが相当あります。のみならず、この前のはたしか十一億か十二億しか税収がなくて、徴税費どちらが多くなるかわからぬというので、私どもはむしろ所得税で行くのがほんとうであるという考え方から、そういう形式的な富裕税を廃止する、富裕税というと何だか富裕らしく見えのでありますが、実はそうではないのだから、収入の伴わぬそういうものはやめたらよかろうというので、廃止することにした次第であります。  物品税についてのことでありますが、物品品税は今仰せになつたように、でき得るだけこれを減して参りまして、近ごろは当初の物品税に比べますと、品目が非常に少くなつていることは御承知通りであります。但し、これも漸次そういうふうに少くする、減ずる方、あるいは免ずる方に持つて参りたいと思つておりますが、これは税収その他の関係もありまして、一気にそこに持つて行けぬ状態にあるのであります。  地方に対する平衡交付金の問題でありますが、この問題につきましては、今申し上げました税制の財源が偏在しておる点で、非常に公平を欠いておる点が少くないように思います。従いまして地方税の、いわゆる中央地方を通ずる税制の改革をやりまして、この改正に基いて、平衡交付金をもう少し公平に持つて行けるようにいたしたい、かように考えておる次第であります。
  50. 千葉三郎

    千葉委員長 関連質問といたしまして、本名君に質問を許します。
  51. 本名武

    ○本名委員 大臣にちよつと伺いたいと思います。この委員会もほとんど毎日のように開かれております。開くたびに必ず中小企業の金融問題が取上げられます。今も佐藤委員から詳しいお話がありました。私は重軌を避けたいと思いますが、先ほど佐藤委員は、大臣は資本主義に立つて中小企業の問題を取上げておるとかなんとか、えらい言葉で言つておられましたけれども、一向取上げてもらえないだろうという意味のことを言つておられたのであります。そこで私は、大臣の根本のお考えを伺いたい。実はいまさら一体中小企業金融対策をどうするといつても、御答弁は、大臣初め各政府委員みな同様の御答弁である。それでは中小企業者・零細国民は納得しない。私はそこで大臣の端的な、ほんとうの腹の中を聞きたい。中小企業に対して、政府として一体どういう心構えで対処するか。わかりやすく申し上げれば、元の大蔵大臣は非常にうまいことを言つた。りつぱな標語を掲げて、国民の前に中小企業対策を訴えた。それは貧乏人は麦を食え、あるいは中小企業者は五人や六人は死んでもかまわない、こういう言葉は、内容は私どもは絶対反対でありますが、こういう言葉こそはなかなかうまく腹の中を表現されたものだと思う。大蔵大臣も就任以来一箇月余でございます。今日のこの巷間の苦しい中小企業の実情を眺め、また委員会その他の会合において盛んに訴えておられるこの言葉をお聞きになつて、池田さんの標語にまさるとも劣らない端的な大蔵大臣の腹の中を、お話願いたい。
  52. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 もしそういう言葉で端的に現わすならば、中小企業者を全部立ち行くように、全部繁栄に持つて行くように行きたいというのが、私の根本の考え方であります。私どもはてそれに基いて、できるだけの施策を進めておるのであります。
  53. 本名武

    ○本名委員 敬愛する大蔵大臣から、非常に満足するお言葉をいただきました。しかしながら実際政府がなされようとする施策が、はたして今のお言葉通りに行くかどうかということです。今日の状態からいたしまして、貸出し資金をふやせとか、あるいはその他の財政操作をもつてもつと額をふやせというような要求は、今後においてもなされると思います。一例をあげますと、国民金融公庫の取扱いの実績を見ましても、一件平均当りの貸出額というものは、だんだんふえて行つております。こういう状況でありますが、せつかくの政府のこの支出というものが、ほんとうに大臣の今のお言葉のような態度で貸出しをなされるならば、貸出額のふえることもさることながら、件数がふえて、しかも銀行やその他正規の金融機関から借りるだけの能力や、あるいはそのいろいろな条件を持たない国民に対して、もつと安易に貸し出し得るような対策をとられなければ、せつかくの親心も無になると思います。そこで私は、国民金融公庫の今度の改正案は、一応今後お伺いしてから、賛成いたすなり反対するなりの態度をきめたいと思います。大蔵大臣の今の御説明のごとく、ほんとうに今後の庶民金融、あるいは中小企業金融に対して、絶対にこれが実現できるような、全うし得るような態勢をおとりいただきたいということを希望いたしまして、次の方が待つておられますから、私は終ります。
  54. 千葉三郎

    千葉委員長 関連して島村君に許します。
  55. 島村一郎

    ○島村委員 幸いに大蔵大臣がお見えになりましたので、私は大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。中小企業の金融難につきましては、各委員からお聞きの通りで、いまさら、申し上げる必要ないと存じます。しかるに先般政府関係金融機関において、ストライキが起つたという実情につきましては、大蔵大臣承知のことであろうと思いますが、いかでありますか。
  56. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私実はまだ聞いておりませんが……。
  57. 島村一郎

    ○島村委員 これは簡単なようで、なかなか簡単な問題でないと存じますので、大蔵大臣はひとつそれを取上げて、御研究をいただきたいと思います。とにかく私どもといたしましては、一般金融機関に範をたれるのが、政府関係金融機関でなければならないと存じます。なるほど労働問題として、取上げたい問題もあつたかもしれません。しかしながら、この公共性を十分に認識しておりましたならば、ああいう態度に出られないはずである。これに対して、将来どういうように対処されるか、この御意見を伺つておきたい。
  58. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 ただいま聞くところによると、一日だけストがあつたそうでございますけれども、業務には何ら支障なくやつたということでございます。しかし仰せのごとくに、さようなことは、こういつた中小金融に携わる者として、まことにおもしろくないことと存じますので、今後厳重に監督いたしたいと存じております。
  59. 島村一郎

    ○島村委員 ただいまの御答弁を伺いますと、大蔵大臣はなるほどその実情をごらんになりませんから、あるいは業務にさしつかえなかつたとお考えになるかもしれません。しかしそれを実際に見て参りました私といたしましては、決してその言葉をもつて満足いたしません。なぜかと申しますのに、中に入ることを絶対に禁ぜられたというよりも、じやまをされた。そうして机を一つ持ち出して、街頭において、お客様、御用がありますればということであります。しかしながら少くもあそこへ参ります者は、預金には参りません。国民金融公庫事業でございまして、それを街頭において受付けますと言いましても、お互い借金に行きます場合には、なるべく人に聞かしたくない、見てもらいたくないということは、人情であります。それをお客が御用があればこの机のところへ来いというそういう態度が、政府機関としてとるべき態度であるか、私は非常に憤慨にたえない。幸いに業務に支障がなかつたといたしますれば仕合せでありますが、おそらく業務に多少の支障があつたということは、想像に余りあるのであります。これらに対しまして、大蔵大臣は監督の地位にあられますので、どういうふうに対処して行かれるか、もう一ぺん伺いたい。
  60. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今仰せのごとき事実を、私は実は今までまつたく報告を受けていなかつたのでありますが、さような事実がありますれば、まことに遺憾千万であります。従いまして、今後十分に庶民金融の責めを果すように注意し、監督することにいたします。
  61. 島村一郎

    ○島村委員 大体大蔵大臣のお考えの見当がつきましたので、それ以上私は追究を試みようとは考えません。しかしながら、中小企業を対象としこの金融機関でありますので、これらの業務の遂行につきましては、十分深くお考えをいたできたいということを要望いたしまして、私の質問を終ります。
  62. 春日一幸

    ○春日委員 三点ばかりお尋ねいたします。やはりこれまた自立経済並びに中小企業振興に関する問題についてであります。結局今、日本の経済が当面しておりまするこの危局を打開するためには、税制の改革もありましようし、金融対策もありましよう。いろいろありますが、所詮は、有効需要を喚起する、つくつた品物が売れる態勢を政府考えるというところに、問題のキー・ポイントがあろうと思うのであります。ところが有効需要の喫起の方法としては、まず購買力を確保するの措置ということになりましよう。たとえば農民の購買力は二重米価制により、あるいは一般勤労大衆の購買力は、人事院の勧告するベースの実施とか、あるいは夏季手当云々というようなことになつて参りましよう。こういう国内の有効需要を確保する措置は、政府は全然とつていない。それならば、一体海外の輸出の有効需要という問題について、政府は何をやつておるかといえば、先般あなたの本会議における……。(「そんな関連質問があるか」「前提だ」と呼び、その他発言する者あり)そこで私はお伺いをしたいのであります。海外の貿易を振興する、東南アジア貿易の振興というお話がありましたが、現実には、私は何らなされていないのではないかと考えられる節々が非常に多いのであります。先般、あなたが通産大臣当時であられましたが、たとえばフィリピンにおいて、インターナシヨナル・フエアがありました。そのときに、西ドイツその他世界各国が生産品をそこへ陳列をして、自分の国の製品はこれこれであるから買つてくれという大きな宣伝が行われております。ところが日本だけは、そこに何も日本館というのはない。そこで私は在外事務所その他に寄つて聞いてみると、これについては通産省に対して、こういうよい機会だから、この機会を逸することなく、ひとつ日本館をつくれ、こういう要請が業者からも行われたそうでありますけれども、政府予算がないとかなんとかいうことで、結局その輸出ルート再開の好機を逸して、日本館だけがインターナシヨナル・フェアになかつた。せつかく政府がフイリピンと商売を始めようといつても、本年一月に何年ぶりかで開かれたインターナシヨナル・フェアに参加の機会を逸したということは、品に貿易再開、あるいは東南アジア貿易云々といつたところで、現実にそういうような事に臨んで機宜の適切なる処置を果していないのであります。あるいはパキスタン貿易についても、これは昨年の十二月に日パ協定が満期になつてしまつたが、少くとも十二月三十一日に満期になるとすれば、十月か九月ごろからいろいろと交渉して、引続いて一月一日から商売のできるような態度をとらなければならぬ。ところがこの問題は、御承知通り一月になつても二月になつても、十二月に満期になつたままその問題はすえ置かれて、その間において大きな問題が起き、その間それが世界の綿花、綿布の恐慌の一要素になつていたことは御存じの通りである。こういうように尽すべきところを全然お尽しになつていない。さらにまた中共貿易についても同様であります。総理大臣は、これは全然見込みはない、かりに期待したところで大したことはないといつております。少くとも商売というものは、買つてくれ、買つてくれといろいろと努力をしなければ販路というものは打開できない。ところが中共には四億何千万人というような大きな購買力がある。ところが、こんなものは商売をやつたつて大したことはないと一国の総理が頭からそういう態度で臨んで、はたして中共貿易が立つて行けるかどうか。たとえば総理大臣は、中国貿易というのは、戦前は満州を含んでおつたというが、今日の中共も満州を含んでおる。従いましてこの中共貿易、それから南方貿易、特に東南アジア諸地域は、これは社会党の政権でありますので、あるいは自由党の政権を彼らは相手にしないかもしれない。しかしながらその過程においても、なおかつ実際的にそんな商品見本市があつたときには、どんどんその機会を逸することなく適切なる処置を講ずべきであると思うが、政府は国にやるやるといつておりながら、何もやつていない。これでははたして今日の中小企業の救済、あるいは経済のこのパニック寸前の姿が、あなた方の力によつて救済できるかどうか、これに対する見通し並びにその対策いかん。  それからもう一つは、今の日銀政府委員会、ここにおられるのは、一万田さんだとか、宮島さん、山岸さん、中山さん、いずれも大財閥、大金融家、あるいは特権金融者、大蔵省の代弁者、こういう人たちであります。少くとも日銀というものは、これは国のためにある金融機関であり、国の金融機関の総元締めであります。従つて日銀というものに依存をするところの者は、これは中小企業も含まれ、勤労大衆も含まれなければならぬ。従つてこの日銀の金融政策というものに、中小企業者の意見、勤労大衆の意見があわせてその政策の中に盛り出されて来なければならぬと思う。その場合に、その政策を決定する日銀政策委員会の中に、中小企業者主びに勤労大衆が入つていないということは、そのことは勢い本日同僚諸君が指摘しておるように、大企業偏重の金融一辺倒の道をたどつて行くことは当然であります。従つてこういう政策を是正するために、今日あらためてこの日銀政策を委員会の中に労働者大衆の代表、あるいは中小企業者の代表を加える意思ありやなしや、この点御答弁を願いたいのであります。  それからもう一つは、外資導入の問題についてであります。外資導入の問題は、今回四千万ドルの問題が解決したけれども、実際においてあなた方がとつておられるところのウエートというものは、再軍備的外資導入に重点が置かれて、一般的な平和産業に対する外資導入については、なお等閉に付せられておるのそしりを免れがたいと思う。私は南方諸地域をいろいろ視察して参つたのでありますが、インドにおいては、イリゲーシヨンのためにポイント・フオアの一億何千万ドルかが入つておる。あなたが提唱しておられるところの愛知用水なんかは、ポイント・フォア計画の六億ドル資金を対象として交渉すれば、必ずしも輸出入銀行や開発銀行とかいうものを対象としないでも、なおかつこれの解決の道ははかり得ると思う。ポイント・フォアもあり、エカフエもある、その他東南アジア開発――日本を含めたアジア開発計画の世界主義計画というものはたくさんあります。これは同時に並行的におやりになる必要があると思うが、これに対して政府はどういうような交渉を行い、どういう見通しの上に立つておるか、その点について御答弁を伺いたい。もう一つは、現在の商業銀行が大企業に融資を偏重して、中小企業に非常に少いということは、金融のデータが正確に示しております。このことが非常にいけない。大体資金源というものは、庶民の預金がそういう資金フールをつくり、その資金が大企業に流されておる。中小企業が借りたいにも借りられないで、自分たちの同僚が集めた金が、商売がたきである――商売がたきでないかもしれませんが、対蹄的立場にあるところの大企業に流れて行くことは、遺憾であります。従つてこれが社会問題になり、政治問題になることは当然であります。従つてこれに政治的規制を加える方法として、すなわち商業銀行が融資をしようとする場合においては、大企業並びに中小企業に対するものの比率を一応法律によつて規制することができると思うが、そういう問題について、今中小企業者の不平を緩和し、あるいはまた合理的妥当な金融政策を打ち立てて行くことのために、法律によつて商業銀行の融資の比率を規制する意思ありやいなや、この問題をひとつお伺いしたい。  最後にもう一点伺いたいのは、税制の問題であります。附加価値税の問題は、現在の税制はシヤゥプ勧告を基案としておると思いますが、そのシヤウプ税制の背骨をなすものは、実に附加価値税であります。ところがその附加価値税は、社会党左右両派だけが反対をして、改進党、自由党が御賛成なさつて法律化された。ところが、これは日本の実情に沿わないということで、A日まで実施に移されていない。とこつが今日の税体系は、シヤウプ勧告によつてもたらされたものである。しかも税体系の背骨をなすところの附加価値税は実施されていない。従つて現在の税体系は、背骨のないぐにやぐにや人間が歩いておるような形である。そのために、中央の税体系を混乱に陥れることは当然であり、これが実態であります。またできもしない附加価値税を法律で認めて、アメリカの強権に対しては、まるでパンパン的にこれに追随して、しかも実際的にはこれを実施もしないで、中途半端な税体系を今日まで国民に押しつけて来た。その結果、今日このような大企業といわず、中小企業といわず、一般勤労大衆といわず、この税に対する不平不満、そのことから来た経済的混乱、生活の窮乏、こういうなものがもたらされて来ておるが、この附加価値税に対する処置を含めて、税体系の整備をするというために、緊急すみやかなる処置が必要であると思うが、これに対するあなたの所見いかん、以上四点についてお伺いしたい。
  63. 内藤友明

    ○内藤委員 議事進行について発言を求めたい。――実はこの委員会に法律が五十ほど出ております。今まで大蔵大臣はなかなかお見えにならぬ。また資料もなかなか出て来ません。これでは、私は審議はどうかと思うのであります。大臣に特にお考えいただきたいのは、委員長千葉さんでありましよう。それでいいのか悪いのか、私はあすから連日大臣にお出ましいただきたいということを、ひとつ委員長から申し上げていただきたいと思うのであります。  きようは、この委員会は午後からまた続いてありますし、ことに午後は外部の人を呼んでおるのでありますから、午前中はこの程度でひとつ休憩していただきたいと思うのであります。
  64. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 最初内藤さんにお答えしますが御承知のように、衆参両院に予算がかかつておりまするので、予算委員会に連日出ておつて、私はなまけて出ないのじやないということは、内藤さんが一番よく御承知だろうと思います。従いまして、本日は午前たまたま予算ございませんのでお伺いしました次第で、その点はどうか御了承願いたいと思います。  次に、春日さんの御質問にお答えをいたします。まず第一の南方開発の問題でございますが、御承知のごとくフィリピンのときは、まだ賠償問題その他各種の問題の案件があつて、特にフイリピン人の感情問題等も相当悪化しておるときで、まだそういう時期でなかつたというように私は了解しております。今後そういう機会は、怠らず努力することにいたしたいと考えております。  そのほかの問題につきましては、大分たくさん問題がありまするが、日銀の民主化への問題でございますが、政策委員各位は、それぞれ個人的立場でなく、公平な立場で、各種の利害を代表されて御発言になつておると思いますけれども、なおおつしやる点はよくくむことといたします。  それから外資導入について、政府のとつておる態度についてのお話でございましたが、これは御承知のごとく、電源開発その他で、軍需的なものは一つも盛られておりません。まつたく民需のものでございます。なお愛知用水等のものにつきましては、こちらヘガーナー氏が来たときに、私は電源開発に次いで第二番目の問題として提起してありましたが、南の方のポイント・フォア計画を日本に持つて来るという考えは、向うにはないようでありまして、この問題はなお今後とも努力を要することと考えております。  さらにその次に、中小金融への商業銀行の態度についてのお話でございましたが、これはさつきも申した通り、地方銀行等は相当努めておるのでありまするが、割合大都会を中心とした銀行が少々貸出しの率が減つておるので、その点に対する努力方を頼んでおり、勧めておる次第でございます。それでは、法律でどこへ何割貸すときめるかどうかという考えは、実は持つておりません。  その次に、税制のことでございましたが、これは先ほどちようど御答弁申し上げました通り、中央、地方を通ずる税制の根本的な調査会を設けて、今人選中でありまして、数日中にスタートします。それに基いてやりたいと思つております。今御指摘になつた附加価値税というものは、理論の上からはたいへんおもしろいものに考えられるが、実際日本の実情に合わないので、今日まで行われていないことになつておりまして、税というものは、お互いに国民が納税するものだから、やはり一番国民に納得の行く、そうして了解しやすい税でなければならぬので、今後この点について根本的に税制の改正をいたす所存であります。
  65. 春日一幸

    ○春日委員 そこで東南アジア貿易の問題でありますが、いろいろやると言つておられるけれども、現実には大したことはやつておられない。現に大した成果が上つていない。特に御指摘を申し上げたいことは、今度の役務賠償のことは、フイリピンなんかの新聞を読んでみますと、向うは、軍事侵略で達せられなかつた志をこの経済侵略によつて日本が行おうとしているのだ、従つて、その役務賠償なるものはフィリピンとしては断じて拒否すべきだ、こういうような意向がフィリピンに行われ、あるいはビルマ方面においても、あるいはインドネシアにおいてもそういう意見が強いのであります。従いまして、あなた方が実際問題として東南アジアの貿易を開こうと思えば、彼らの国民感情をやはり何とかして緩和して、実際効果の上る方法は、彼らの欲していることを一応実質的に解決するということでなけれでならぬと思います。だからこの点について、政府は適切な措置を講じて、そうして彼らが快く日本の商品を買えるような態勢を確立されることが、私は強く要望されると要いますので、この点申し上げておきます。  それから最後に申し上げたいことは、附加価値税に関する問題でありますが、ただいまの御答弁によりますと、これは理論としてはおもしろいが、日本の実情に沿わないのでできないとおつしやつております。できないなら、一体なぜあなた方は法律化されたか。されば、現在の税体系にこの附加価値税が背骨となつておるが、そういう半端な税制が、いろいろ産業経済に混乱を生じた素地をつくり上げておるということは、あなた方自由党の大きな罪悪でなければならぬ。今国民の前に、その罪悪を謝する意思があるかどうかということを伺いたいと思います。
  66. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私は、できないと答弁したのではなくて、附加価値税の問題もあるから、税制の根本的調査会をつくつて、それによつて実情に合うような税法に改めたいということを申しておるのでありますから、さよう御了承願います。  なお南方の問題についてのお話でありましたが、御承知のように、役務ということは、あのサンフランシスコ条約にうたつてあるのであります。日本の賠償は、日本人の生活水準を下げないでやり得る範囲であつて、それはサービスというふうになつております。もつともアンド・アザーワイズという言葉も入つておりますが、役務であるということは、条約に基く当然の建前でありまして、特に今御指摘になりましたが、たとえば役務である沈船引揚げについては、もうフイリピンの方とも了解がついて、近く議会にかかる――あるいはかかつておるかもしれませんが、運輸委員会ですから私よく知りませんが、そういうふうになつておりまして、この点は十分の誤解ないようにお願いいたしたいと存じます。但しいろいろ仰せの中にはごもつともな点もあるようでありますから、この点は十分検討いたしたいと思います。
  67. 内藤友明

    ○内藤委員 先ほど私が申し上げたことについて、大臣お答えになりましたが、それはわからぬでもない。予算委員会がお忙しいこともわかりますが、予算通りましても、この法案通りませんと何にもならない。これは並行して行かなければならぬものであります。この点よくお考えいただきたい。これは参議院でも衆議院でも、一つの悪いくせだと思いますが、予算というものは何だか重くて、普通の委員会が軽んぜられるような態度でありますが、それはとんでもないことであります。だから、予算委員会に一時間いらつしやるなら、ほかの委員会にも一時間いらつしやるというように、これは並行して行かなければならぬのであります。予算委員会に行つていたから怠けているのじやないぞということは、決して私が申し上げたことに対する御答弁ではないのであります。そのことは大臣よくお含み置きいただきたいと思います。そしてあすから連日お出ましいただきたい。あなたがお越しになるのをわれわれは非常に首を長くしてお待ち申している。こういう気持を持つておるということをよく御記憶いただきまして、どうぞあすからぜひお出ましいただきたいと思います。
  68. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今内藤さんが言われたことは、できるだけ努めるようにいたします。
  69. 千葉三郎

    千葉委員長 ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止〕
  70. 千葉三郎

    千葉委員長 速記を始めてください。
  71. 井上良二

    ○井上委員 私時間を非常にせいておりますから、二、三点だけ質問いたします。第一は、大蔵大臣は施政方針演説におきまして、本年度予算編成の前提となる経済諸事情には、当面急激なる変化を生じないということに考えましてこの予算が組まれておる、こう言うておりますのに、この大臣の施政方針演説をずつと読んでおりますと、国際収支と貿易の問題について、「国際収支の現状及び将来は決して楽観を許さない」こういうことを申されておる。そうしますと、予算の前提になる経済事情の変化は当分ないという見通しに立つて二十八年度予算は組まれた。しかるにその説明内容において、国際収支の現在及び将来は楽観を許さないと言うことは非常に矛盾をするのではないかと思います。現実にその説明においても、世界的な貿易の縮小、国際競争の激化、あるいはポンド地域への輸出の減退等をあげて、国際収支の現在及び将来はなかなか楽観を許さないこういう見通しを立てておられるわけですが、このことは必然に、二十八年度予算の執行の上に非常に大きな経済的な変動を日本に与えるという一つの不安を持つているわけです。そういう二つの矛盾した考え方がこの中に現われておることに対して、大臣はどうお考えになつておりますか、まずそれを伺いたい。
  72. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私は何もその点矛盾していないと考えます。私が申しておるのは、この二十八年度の予算を編成するにあたつて、当面さしむき急激な変化はない、こういう考え方から、この情勢の推移に応じての若干の調整を不成立予算に加えて提出しておる次第であります。しからば日本の貿易の前途はどうか、国際収支の前途はどうかと申しますると、これは先々そう楽観して行くわけには行かないから、そこでいろいろなことをやつて行かなければならぬ、こういう考え方でありまして、かりに二十八年だけについて申しまするならば、あるいはまたもう一年先の二十九年について申しましても、私どもは国際収支にそう急激な変化はないと考えておるのであります。しかし今の国際収支の状況は、これは井上さんよく御承知ですが、ごく大ざつぱにいえば、大体輸出の方が、輸出とほかのものを合せて十二億ドル、それから輸入の方が大体二十億ドル、この八億ドル見当のものを特需その他のもので埋めておりますが、これについて一億ドルくらい減りましよう。しかし今年は、輸出はこの間のポンドの向うとの協定によつて前年よりもふえることに協定されておりまするので、二十八年度は、これはかわりがないものと見てよかろうと思います。しからば二十九年度はどうか、こういうふうに見ましても、この点については私はそうかわりを認めないのであります。しかし日本全体としてみれば、今お話になつたような、世界的に貿易縮小の傾向のあるときでもあるし、また特需その他のものの内容もかわつて行くであろうし、またそういうものも多少先行き減るものという考えを持つ方が適当あでろうと思うので、先々は非常に楽観を許さないという意味で申しておるのでありまして、当面の問題について楽観を許さぬということを申しているのでないことは、そこをお読みくださるとよくわかるのであります。この点私どもは何ら矛盾をするものではない、かように考えております。
  73. 井上良二

    ○井上委員 予算の編成の前提となる経済事情は、当面急激な変化を生じないという意味と、「国際収支の現状及びと書いてあるが、現状というのは何を言うのですか。これは二十八年度現在じやないのですか。現状というのは将来を意味しておりませんよ。その場合においては、楽観を許さないとあなたははつきり自分で言うたじやないですか。
  74. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 楽観を許さないということは、悲観すべきだということではありません。楽観を許さないのであつて、注意しろということなんでありまして、それは前途非常に悲観だということとは全然意味が違います。
  75. 井上良二

    ○井上委員 そこまで抗弁をされるなら、もう議論の余地はありませんよ。日本の文字をそういうように御解釈されるなら、まつたくそれは議論になりますから、私はこれ以上申しませんが、問題は、政府は国際収支の現状を維持することがなかなか前途困難であるというところから、朝鮮休戦に伴つて輸出振興に必要ないろいろな具体的な政策を打出されている理由はここにあろうと思う。従つて、そのことが国内のいろいろな面に影響して来ることは当然であり、これがわが国経済、財政及び税制の上にまで影響して来るということは、それぞれの専門家において論議をされているところであります。そういうことを一々ここで議論をすることは、時間が許しませんから申し上げませんが、われわれは前途なかなか楽観を許さないという立場に立つてものを考え、引締めて行くことが今日必要じやないかと考える。そういう面で、一番大きな犠牲なり、しわを寄せられて下積みにされるのは、中小企業と勤労庶民大衆であります。この中小企業と庶民大衆に対する打出しの政策は非常に貧困であります。コスト引下げに対する政府の手厚いいろいろな対策、貿易振興に対する必要ないろいろの政府の政策というものは、ことごとく中小企業以上の大産業を中心にした政策が中心になつていることは、一目瞭然であります。そういう点から、特に中小企業の振興に対して、またこれの一番大きながんになつております金融問題に対して、もつと政府は親切な、率直な見解を発表される必要があると思う。単に新しく中小企業の金融公庫を設けて、その資金百億を準備したとか、あるいは国民金融公庫に多少の資金を増額したとか、そういうことで現実の金融難の問題は解決できません。あなたみずから御答弁をされておりますように、今日市中銀行の貸出し状況を見、商工組合中央金庫の貸出し状況を見、また国民金融公庫の貸出し状況を見ました場合に、一体どういう状態になつておるかということを、あなたはよく御存じのことと思う。こういう片寄つた金融状況の中に置かれておる中小企業が、やむにやまれず高利のやみの金融にたよつてようやくその日を切り抜けておるというこの実情を、あなたは一体どう見ておるかということ、すでに全国に約一万のやみ金融業者があり、これが取扱う金融高は現在のところでもつて約四、五百億といわれておる、これをあなたはどう見るのですか。この実情をこのままほつておいていいとお考えになりますか。大蔵大臣としてこれに対する何か対策をお考えになつていますか。この点を具体的に御説明願いたい。
  76. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私ども、この楽観を許せぬという言葉を使つて、ここにあらゆる施策に努力しなければいかぬという意味を強い意味で申したことは――悲観ではない、むしろそう申し上げた方が、井上さんにはわかりがよかつたと思うのてあります。楽観を許さないから、あらゆる施策に努力すべきであるという意味で申したのであります。  さらに中小企業に対する金融の問題でありますが、私は中小企業を救う道は、ひとり金融のみではないと考えます。中小企業の本質を直すことについてのいろいろなやり方、特に必要であろうと思うのです。あるいは組合を強化するとか、各種のことが必要でございましよう。これについては、さきに私通商産業省におる時分に、いわゆる中小企業の診断等の企業診断を行つておりまして、その結果が出て参りますと、それに基いていろいろ処理したいと考えておりました。私がおる時分に、約九千の工場と約四万の商店を調査しましたから、相当まとまつた診断書が出て来るかと思います。それに基いて対策を立てることにいたしたいと思つておるのでありますが、その対策の一つがやはり金融だと考えるのであります。しからば金融についてはどうかと申しますと、金融については、従来とも中小企業金融に相当注意を払われておるのでありますが、しかしそのうち最も欠けておるものがいわゆる事業の合理化をするとか、各種のことをやるについても、中小企業者が長い資金を持てないという点であつたので、安定した長い資金を供給する、こういう建前が中小企業金融公庫となつて、今度皆さんの御協賛を経れば、これがスタートして参ることになるのであります。あとの問題は、大体零細なものについては国民金融公庫があり、中小商工業者に対しては商工組合中央金庫があります。今申します中小企業金融公庫ができますと、大体これで形は整つて参るのであります。あと、これでどういうふうに資金融通して行くかということは、今後の実情に残されていると考えておるのでありまして、実情に即しまして、これを持つて参らなければならぬと思つております  しからばやみ金融の対策はどうか。金貸し業者は、政府の方で認めておるのがたしか一万ちよつと以上あります。これは、どうも従来とも貸金業というものはあるものでありまして、貸金業について、これを整理するとか、やめさせるとかいうような考えは持つておりません。但し法のうちを越えないように、たとえば貸金業者で、借入金という名前のもとに一般から実質預金になるようなものをとつておるものについては、これは厳重なる法的措置をとりたいと考えております。その金融にもいろいろありまして、またいろいろこれらのものがそれぞれ相まつて行くところに、いわゆる経済の有機性があるのじやないかと思う。それをこの点はいかぬ、この点はいい、これはこうだ、こうのみ言えないところに、複雑な経済の有機性というものがあるのではないかと思うのでありまして、あなたはどういう御主張のもとにおつしやつているのか、その点は少し了解しかねますけれども、そういう点で、だんだん実情に即してやつて参ればいいのではないかと考えておる次第であります。
  77. 井上良二

    ○井上委員 中小企業の金融対策について、いつも大臣はそういう答弁でお茶を濁してしまうのです。考えておる、考えておるといつているけれども、資金的措置や、貸出し条件の緩和などに一向考慮が払われません。前に、国民金融公庫の最近の状況を私二、三調べたことがあります。たとえば東京、大阪等の国民金融公庫におきましては、毎月数千件の申込みがある。それに対して貸出しを許可するものは、わずかにその三割にしか当つておりません。あと七割近いものは、全然はねられております。それは一つは、資金わくの関係だけではなしに、いわゆる担保物件がなかつたり、相手方が得心するだけの保証人がそろつていなかつたりしているものであります。この説明を読んでも、いわゆる市中銀行から借りられない人を対象にして中小企業の庶民金庫をつくつているわけでしよう。だから市中銀行から借りられる人は、庶民金庫には来ないのです。それを市中銀行と同じ感覚で調査をし、貸出し条件をそろえようとするから、貸せぬことになつてしまう。対人信用はちつとも考えられていないのです。あくまで物件信用です。対人信用をもう少し多く取入れるべきではないかと思う。ほんとうにその人かまじめにやつておるならば、そのまじめにやつていることの実績を信用して、わずか十万円か二十万円か貸すのですから、そのくらいのものは、信用されて貸し出すようにしてやるようにしたらどうかと思います。それを、行き届いたあたたかいやり方がほとんどされておらない。そのようなことについて、ほんとうに行き届いた措置をやるべきではないかと私は考えます。  最後に一点伺つておきたいのは、給与べースの改訂を、近く人事院から政府に勧告するということが報ぜられておりますが、勧告しました場合、政府としてはこの勧告を受入れられるやいなや、そしてもし受入れるとすれば、その場合の財源的措置をどうするか。  いま一つは、夏季手当の問題がいろいろ論議され、私も本会議であなたに御質問申し上げて、あなたは考慮すると答弁されておりました。考慮されるといつてからずいぶんひまがいつているのですが、いまだ今日一向具体的に政府としては方針がきまらぬようです。すでに参議院の方でも法案提出して、政府に実施を迫ろうといたしております。今日の段階になつて、しかも本予算がいよいよ最終段階に入つて来たときに、あなたとしても出すなら出す、出さぬなら出さぬと、この際はつきりされることが必要ではないかと思いますが、具体的にあなたの所信を伺いたいと思います。
  78. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今の国民金融公庫の貸出しの問題でありますが、あなたは今、対物信用のみに重点を置いていると申されましたが、あれは対人信用でできていることは、お調べくださればよくわかります。そういうようになつております。またもつと貸し出したらいいじやないかというお話でございますが、やはりこれは、国民のたつとい税金から成り立つている資金でございますので、さように簡単には参らぬことは、おわかりが願えることと思うのであります。しかしながら私どもは、信用保証の限度を高めるとか、信用保険の付保率を高める、こういうことを考えることによつて、だんだんこれを広げて参りたいと考えている次第であります。  さらに人事院の勧告があつたらどうかというお話でございまするが、これは率直に申し上げまして、現在の財政状況では、この勧告を受入れがたいと存じます。  それから夏季手当等の問題につきましては、先般予算総会で御決議がありました。それは十二月十五日に支給すべき分を一部繰上げ支給することについての御決議がございました。これについて私どもがさらに考究をいたしますと御返事を申し上げておりますが、大分長く考えておるのじやないかということでございます。実は長く考えることなくて行けるほど財源措置があれば、私どもも長く考える必要はございませんが、そういう次第で、さらに検討考究しておる次第でございますかな、さよう御了承を願います。
  79. 千葉三郎

    千葉委員長 時間も大分経過いたしましたので、午前中はこの程度にとどめて、休憩いたしたいと思います。  なお本日は午後二時から中小金融及び類似金融対策について、四人の参考人の出席を求めておりますから、お含みおさ願いたいと思います。     午後零時五十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時二十八分開議
  80. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  午後は、本委員会における国政調査の一環として、中小金融及び類似金融対策に関する件を議題といたします。  本件に関しましては、参考人の方々の御出席を求めておるので、これより参考人の方々より本件に関する忘憚のない御意見を拝聴いたしたいと存じますが、この際委員長から一言ごあいさついたします。  最近における国際情勢の変転の影響を受けまして、国内景気も次第に不況の様相を深めて参り、特に中小企業は、その性格からいたしまして、不況に対する抵抗力がきわめて弱い関係上、不況のしわ寄せを深刻に受けまして、その結果が現在の中小企業の金融難として端的に現われているのであります。中小企業金融対策として、従来からもいろいろの施策が講ぜられ、また各種金融機関におきましても、中小金融の流通にはせつかく努力されておると思うのでありますが、決して現状をもつて十分とは言い得ないのであります。また既存金融機関の間隙を縫いまして、昭和二十五年ごろ発生いたしましたいわゆる株主相互金融は、その後ますます発展しまして、今日ではその資金量も数百億円に達するという盛況を呈しておりまして、零細金融に対するその社会的役割も必ずしも無視することができないと考えられるのであります。これは、一に中小金融に対する政府施策等が必ずしも当を得ていない結果とも見られるのでありまして、単にこれを取締るだけでは、問題の解決にはならないと考えられます。さらに保全経済会など匿名組合組織による利殖機関の横行も、金薬秩序の維持上、荏苒これを放置することは適当でないと考えられるのであります。本委員会におきましては、以上申し述べました中小金融対策特に株主相互金融のような類似金融にいかに対処すべきかなどにつきまして、参考人の皆様の御意見を拝聴いたしまして、本委員会の審査の参考に資したいと存ずる次第であります。  それで本日お出ましいただきました方々は全国銀行協会連合会会長千金良宗三郎さん、全国地方銀行協会会長亀山甚さん、全国相互銀行協会会長上山英三さん、それに商工組合中央金庫理事長村瀬さんのかわりに理事の加藤さんがお見えであります。  それでまず千金良さんから御意見の開陳をお願いいたしたいと思います。千金さんの御意見に対して御質疑があれば、あとでお許しいたします。お一人の発言時間は大よそ十五分ないし二十分程度でお願い申し上げたいと思います。それでは千金良さんからひとり……。
  81. 千金良宗三郎

    ○千金良参考人 私がただいま御紹介にあずかりました千金良宗三郎でございます。お尋ねの中小企業金融並びに類似金融のことを申し述べますに先だちまして、一般的な金融事情を少しく申し述べておきたいと思います。  まず最近の預金状態であります。最近の預金状態と、それから貸出しの状態、それに関厚しました原因等につきまして簡単に申し述べましてから、中小企業の金融のお話に移りたいと思います。これは時間の関係上、ごく簡単に申し述べますが、預金状態は、結論的に申しますと、非常に伸びが悪い。昨年の同期――同期と申しますと、二十八年の一月から五月まで、この間の期間を見て比較してみるのでありまするが、昨年は二千二百五十五億円、これだけ預金がふえたのでございます。本年は同期間におきまして、預金の増加高は四百九十七億円、すなわち四分の一にも足りないという状態であります。これはもとより粉飾預金整理というようなことも多少は影響しておるのでありまするが、これはもとより非常に軽微な原因でありまして、もと大大きな原因というのは結局財政資金の受払い事情、すなわち引揚げ超過の状態、それからその次は輸出の不振であります。  次に、銀行の貸出しの状態を申し上げますと、やはり同期間におきまする貸出しの増加高は千九百十三億円であります。これは昨年の同期においても、やはり二千百二十二億円という増加高でありまするからして、幾分下まわつておりますが、大してかわらない。  それから日本銀行の貸出し状況を申し上げますると、昨年の末以来、都市銀行を中心とした増資が行われました。これは大体本年の四月に払込みを完了したものでありますがこれが百四十五億円であります。これだけ自己資金がふえたのでありまするが、しかし預金の増勢が前述のごとく鈍化しておりましたし、また貸出しの増加は依然として衰えないという状態でありますので、銀行の資金繰りははなはだしくきゆうくつになつております。それが日本銀行の貸出しの増加高に現われております。すなわち同期間、つまり一月から五月までの期間の日本銀行の貸出しの増加高は六百六十八億円。従つて現在は約三千億を越えております。昨年同期におきまする日本銀行の貸出し残高は百二十七億円減少しております。これに比べますると、非常な貸出高の増加であるということが言えるのであります。  それから財政資金の受払いの状態でありますが、最近におきまする金融情勢がかような引締め傾向になつたことは、結局財政資金の揚げ超がふえたことであります。これが、やはり一月から五月までに、おきまする財政資金の対民間の受払高を見ますると、引揚げ超過高は千三百十六億円になつております。前年同期は八百七十八億円でありました。従つて今期は――今期と申しまするのは、今比較しております一月から五月までの期間におきまする引揚げ超過の増加高は、四百億円に上るわけであります。もちろん指定預金の預け入れ等が約二百五十億円に達したのでありますが、本年の年初以来の五箇月間の増加高は結局二十二億円にすぎないのであります。  それから日本銀行の銀行券の発行状況を申し述べます。最近日本銀行券の発行高は、やはりいつもと同じように収縮状態を続けております。それで一月から五月までの間の増加高は七百五十二億円となつておりました。前年同期は六百二十三億円であります。結局これよりも多いというのは、それだけ財政資金の引揚げが強いというわけであります。その状況は、現在のところでは、まず九月の末くらいまでは続くものではないか。従つて銀行の貸出しというものは、今までの状態とあまりかわらないだろうというのが現在の見通しであります。  さらに最近起りました九州における大水害の影響、これが予想外に大きいのであります。これが復興のために長期資金並びに短期資金等のつなぎ資金の需要が相当に上るものと予想されます。これがすでに計画されておりまする産業開発等の資金の上に加重せらるることによりまして、資金に対する需要はますます大きくなると予想されます。  一般金融界の状態は、ただいま申し述べたようでありますが、さらに、金融をきゆうくつにしておる原因がもう一つあるのであります。それは輸出の不振であります。これに基いて、滞貨金融が増加しておる状態であります。生産の方は、最近も引続いて増大の一途をたどつております。すなわち去る五月は、昭和九―十一年を一〇〇として一六〇、四月は一五八でありました。従つて生産はふえておるように見えますが、しかし、これに対して需要面においてはあまり振わない。これは輸出の不振のためであります。輸出は、五月の数字をとりましても、前年は一億八千万ドル、これに対して本年の五月中の輸出は八千九百万ドルであります。また四月は、前年が一億一千五百万ドルであつたのに対して九千四百万ドル、要するに輸出は非常に不振であります。さらにまた全国の百貨店の売上高を見ますと、去る三月は百二十七億円の売上高を示したのでありますが、最近は百億円と急速度に低下しております。このために手持ちの滞貨は増大しまして、これに対する金融の需要が非常にふえております。  以上のような金融逼迫の結果、中小企業はもとより、相当の大企業も金繰りが苦しくなり、不渡り手形を出すものが増加して来ました。すなわち、東京手形交換所における不渡り手形の枚数を見ますと、本年一月は一日平均が七百五十八枚、二月が七百五十四枚、三月が八百六十二枚、四月が八百五十二枚、五月が四百六十一枚と漸増の傾向にありまして、六月は枚数はやや減じておりますが、しかし特需関係の相当の大企業までが不渡りを出す状況にあります。かような不渡り手形増加の理由は、前述しましたような輸出や、国内消費の景気の後退によつて企業の利幅が減少し、金詰まりが非常に深刻となつておるところにありますが、さらにこれを掘り下げて考えてみますと、次の二つの場合があると思われます。すなわち、一つは中小企業の場合であります。朝鮮動乱後のブームによりまして、わが国経済が表面上膨脹し、多数の中小企業がこの情勢に乗じて経営を続けておりましたが、昨年以来経済整理の過程に入りまして、利潤の縮小から需給のルートが簡単にされるに至りました。過剰な業者が系列の外に押し出されて、金融難に陥つて、遂に不渡りを出すに至つたということであります。今までブローカーという存在があつたのが、ブローカーを通さなくてもよい、あるいは三人のブローカーを使つたのが二人になるというような状態が起つて来たのであります。次に最近顕著となつて来ました大企業の場合は、中小企業とまた別な原因があります。すなわち、特需メーカーを中心とするこれらの企業は、朝鮮動乱がなお継続されるというふうな誤つた見通しのもとに、特需に過大な期待をかけて設備拡張をはかつたのでありますが、その所要資金は、朝鮮休戦成立を警戒する金融機関からは調達が困難であつたのであります。従つてやみ金融に依存してこれを強行したために、企業はとかく金繰りが不調に陥りまして、相当の有名な会社でも不渡りを出すというような状態に陥つたのであります。この不渡りにつきましては、特に銀行協会におきましても不渡り対策委員会を設け、いかにして不渡りを減らすかということで対策を講じておりまして、すでに一、二の案も出ております。  次に、中小企業の金融のことでありますが、中小企業金融につきましては、普通銀行も相当めんどうを見ておるわけであります。中小企業に対する全金融機関の貸出しの中で、市中銀行は六割七分を占めております。また市中銀行は中小企業専門店舗を設けまして、特にこの金融の便宜をはかつておるのであります。二十八年二月末の全国銀行の貸出高は、約二兆二千二百億ありますが、そのうち三二・六%が中小企業の融資に使われておる資金であります。なお中小企業の育成強化のためには、一般の市中の金融機関といたしましては、信用保証協会の制度がございますが、信用保証協会は全国に五十一ありまして、市中銀行は相当これを利用しておるのであります。東京の信用保証協会の例を見ますと、昨二十七年度におきまして、保証の申込み件数が七千六百件、金額にして九十一億円であります。そのうち協会が受け入れましたのが六千六百件、七十二億円となつております。そのように、市中銀行は信用保証協会保証によつて中小企業金融に応ずることができました。また保証協会が代位弁済を行つた高は、東京都の補助金でこれを填補されました。協会は業者の再起更生を援護する立場から、緩急よろしきを得た方法で回収に当る、この制度が中小企業金融円滑化に大きな効果を与えておるのであります。ただ保証料金が問題でありまして、これは現在年三分の保障料金を徴しておりますが、これを引下げればなお一層中小企業金融に役立つかと思います。  なおそのほかに、中小企業信用保険の制度があります。これは今の信用保証協会をさらに保険することもできますし、また一般の貸出金の保険にも応ずるわけであります。これは昭和二十五年十二月にできまして、貸出高、あるいは保証高の七五%まで保険するのであります。これも問題はやはり料金でありまして、年二分二厘五毛という保険料をとつておりますが、この方が下りますと、結局保証協会保証料金も下り、一般の市中金利にもこれが影響して来るというよい結果が得られると思います。このほかに、もとより国民金融公庫でありますとか、商工中金でありますとか、いろいろな制度があることは申すまでもありません。  なおこの問題にあります類似金融の点でありますが、これは私はあまりつまびらかには知りませんが、大体三つの種類があるのじやないかと思うのであります。一つは貸金業法による普通いう貸金業者、または株主相互金融であります。それからまつたく業法外にある貸金業者、いわゆるしろうとの金貸し。それから第三は、これは厳格に言えば金貸し業者とは言えないでありましようが、例の保全経済会のごとき投資機関であります。この三つが類似金融機関と言えるであろうと思います。これは、もとより自己の資本金で融資をしている場合には問題はないのでありまするが、もしも投資者、あるいは出資者が、これは預金はとれないはずでありまするが、しかし預金だと思つて出しておる。それを非常に危険度の高い貸出しにまわす。しかもそれは非常に高利であるために、むしろ自分で資金を運用することのできないような未亡人であるとか、あるいは隠居であるとかいうような人が、よくそういうことを知らないで預けるつもりで出資をするというようなことがありますると、ここに問題が起るかと思うのであります。  それからまたわれわれ普通の金融業者として困りますことは、いろいろ類似の名前がつくのであります、たとえば相互銀行であるとか、あるいは国民金庫であるとかいうように。おそらくこれは信用金庫法に触れないのでありましようが、しかし非常に一般の社会からはまぎらわしい名前で、こういう名前をつけ又営業されますと、これを利用する人にも誤つた考えを与える、従つてまたそれによつて金融機関の迷惑もはなはだしいのであります。これはやはり整理して、なるべく名前を簡単に一定したらいいじやないか、こう思います。  私の中小金融並びに類似金融につきましての考えはこれだけでございます。
  82. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 千金良さんに対するお尋ねは、一番最後にいたしたいと思います。  それでは次に亀山さんにお願いいたします。
  83. 亀山甚

    ○亀山参考人 私亀山でございます。お尋ねのことにつきましてお話申し上げます。  わが国における中小金融重要性につきましては、いまさら申し上げる必要もないと思います。ことに最近の経済状況からして、この方面にしわ寄せが来るというような点も非常にございますので、われわれ非常な関心を持つておる次第でございまして、地方銀行としての立場から、この問題につきましていささか申し上げたいと思います。  地方銀方は、地方産業のおもな金融機関として重要な役割を果しております。このためには、資金の急速なる地方還元をはかることが必要でありますので、次のような措置が考えられて参ります。たとえば電電公社、国鉄公社専売公社等全国的に資金の動きを大きく支配する国営企業の資金は、それぞれ各地方の勤労の結晶たる資金の集合体でありますから、かかる資金は、可能な限り当該地方の出先当局に滞留させる。すなわち預金等の形でありますが、当該地方産業の資金源とするとともに、すでに中央に集中されてある資金も、またできるだけすみやかに地方に還元すべきである。次には、大企業の下請業者等に対する支払い促進の措置を講じまして、資金の還流を早めて行きたい。なお財政の投資をこの方面にも行つて行くこと。これについては、近々中小企業金融公庫が発足されることになつておりまして、この制度については、地方銀行は全面的に賛意を表し、これが業務の運営についても、大いに地方銀行を活用されんことを期待しておるのであります。ただ一部に、公庫の代理店を中小金融機関に限定して地方銀行を除外するという声がありますが、地方銀行は、次のごとき従来の中小金融に対する実情からいつて、はなはだ遺憾といわざるを得ないのであります。それで、地方銀行の中小企業に対する地方位と申しますか、そういうような点をいささか申し上げたいと思います。  中小企業金融に占める地方銀行の位置というものは、昭和二十八年一月末の統計によりますと、地方銀行は三千六百九十五億二千二百万円、全貸出しの三二%の位置を占めております。なおまた、開発銀行を通して行われております中小企業資金貸付状況から申しますと、これも本年の一月末でありますが、地方銀行は七億二千九百九十万円、四〇・四%の割合を占めておるのであります。また中小企業信用保険利用の状況でありますが、これは、二十五年の一月から二十八年の三月までの累計で申し上げますと、地方銀行は、件数で申しますと三千七百十六件、三二・九五%になつております。金額で申しますれば、四十三億五千九百万円で、三〇・七五%を占めておるのであります。でありますからして、かような財政資金の投下はできる限り多額を地方の方にまわし、かつまたこれらの事業に対して配分をするということが必要であろうと考えております。また、信用保証協会が今度法制化されることはけつこうでありますが、これとともに財政的裏づけをするよう、国による資金の出資を希望いたす次第であります。次に信用保険の補填率でありますが、現在は七五%でありますが、改正案では八〇%に引上げられることとなりましたが、しかしこれではまだ十分ではありませんので、小口のものに対しましては、危険率の高いものは特に九〇%まで補償ができるように改正を行われますように、希望いたしておる次第であります。  次に、類似金融機関の対策といたしまして一言申し上げます。貸金業者等は、非常な高率をもつて多額の資金を吸収している模様でありますが、もし万一、資金返済が不能な業者が続出して一般化するようなことになりましたならば、信用機構を破壊し、国民をして貯蓄意欲を喪失せしめるおそれがあります。ついては、これら業者のうち、悪質なものは徹底的に取締り、これの予防対策を講ずる必要があります。これらの対策といたしましてさしあたり考えられる方策は、次の通りであります。一は、政府はこれら貸金業者に対する所信を明示するとともに、啓蒙運動を行うこと。二は、地方庁、財務局、財務部等を動員して十分な監督指導を行うこと。三としまして、貸金の金利が現在日歩五十銭でありますが、これを大幅に引下げること。なお資金業者が地方において吸収した資金は、都市に集中して地方資を枯渇せしむる原因ともなつておりますので、これらについても適当な配慮を加えることが必要であると考える次第であります。  まことに簡単でありますが、以上をもちまして私のお話を終らせていただきます。
  84. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 上山参考人。
  85. 上山英三

    ○上山参考人 私は全国相互銀行協会会長の上山でございます。ただいま千金良さんから、一般情勢につきまして非常に明細にお話がございました。中小金融の大切な点及び中小金融の現状についてお話になつたのでありまするが、中小金融の困難ということについても、皆さん御理解を願いたいと思うのであります。一品に中小金融と申しましても、これはいろいろ考えなければならぬ点があるのであります。たとえば今中小金融の限界を一千万円にやられておりますが、これでいいかどうかという点もあります。それから中小金融の小の部分でありますが、これは零細金融に通ずる金融であります。この零細金融をやる場合に、はたして現在の金融機関が現在の金利をもつてつてペイするかどうか、この点はよほど考えなければならぬ問題であると思います。私は零細金融につきましては、かつて庶民金融金庫、今では国民金融公庫に吸収されていますが、この庶民金融金庫的の国家施設がもう少し重大に考えられてしかるべきではないか。普通の金融機関でできない仕事をやらせようとするときには、やはり国家機関においてまじめにこれを考えなければいかぬのじやないか。しからば零細金融というのはどういう金額で切るか、これはいろいろ問題がありましよう。まあ一般的に今の情勢から言いまして、一万円とか二万円ぐらいの金融、それまでの程度はそこへ入るのじやないか、これは独断で、中小金融の再高限を千万円と言つたところが、これも独断でありますが、そういうことをよほどまじめに考えなければならぬのではないかと考えるのであります。  それから中小金融の打開策につきましては、ただいま千金良さんも亀山さんもお話になりましたように、大銀行におきましても、地方銀行におきましても十分おやりくださつておりますし、また将来十分力をお入れくださらなければならぬと思うのでありますが、さしあたり私の考えでは、中小金融に関する専門の機関の育成、こういうことを政府において十分お考え願いたい。  私はこれを、相互銀行の場合を例にとつて説明申し上げたいと思うのであります。無尽会社から相互銀行に転換した、これは無尽会社が単に相互銀行へかわつたという意味ではないのであります。相互銀行法に載つておるものは、無尽会社の時代と全然かわつた一つの行き方をしておるのであります。従来無尽会社時代においては伸びなかつた。これは私一人の考えかもしれませんが、この監督機関におきまして、無尽会社に対する見方が非常に厳格でありまして、なるべく伸ばさないという方針にあつたように見えます。見えるのでありまして、政府がそういうやり方をおとりになつたとは私は申しません。しかるに相互銀行法、これは皆さん御存じの通り、議会の各派共同提案によつてなつたものでありますが、この相互銀行法成立以来、当局の態度が従来の態度から非常にかわりまして、助長政策になつたように思うのであります。その結果といたしまして、相互銀行は、皆様御存じの通り最近までは非常に順調な伸び方をしておるのであります。この一年間に資金量として八百五十億、融資量として七百二十億、こういうふうな伸び方をしておるのであります。しかも融資高はどうかというと、月約二百億に近い新規貸出しもできるようになりました。これは一に当局の心構えが非常にかわられたことに帰着すると私は考えております。しかも、これは法律ができただけではなくて、これに対して政府は、この機関が動くように油をさしておるのであります。それは政府の指定預金が現在――これは本月の回収が、ある地方においては延期される、災害地方においては、本月お返しする指定預金を延期するような方策をおとりになられたので――私、今その金額の正確な数字はお話できませんが、大体百二十億程度資金が出ておる。この資金が潤滑油となつて、これに数倍する貸出金が出たのであります。こういうことをよほどお考えくださいまして金融機関の指導にお当りくだされば、非常にいいのではないかと考えるのであります。しからばどういうふうな方策をなおこれ以上とるだきであるか。私はいかにも欲張りのようでありますが、しかし中小金融ということは非常に困難なことでありまして、政府においてその中小金融を打開してやるという御意思があるなれば、いま一段とこういうことができるように進めを願いたい。たとえば店舗の問題でありますが、店舗のごときはできるだけお許しを願いたい。この点は、既存の金融機関に非常に御迷惑になるという議論もあるかもしれませんが、新しくできた普通銀行におきましても、店舗はかなり十分お与えになつておるようであります。相互銀行の場合におきましては、すでにこれは取扱所とか会場とか、そういうような名前で、店舗と同じような形をしておつたものでありまして、これを店舗に直す、いわゆる整備計画と申しておりますが、大蔵省の整備計画というのは、はたからごらんになると非常にルーズにお考えになるかもしれません。われわれにとつても必ずしも満足ではありませんで、われわれとしてはもう少しこれは寛大にお扱いくださつてはどうかと思うのであります。  それからもう一つの点は、為替取引の問題でありますが、今度政府はいよいよ意を決せられて、相互銀行にも為替取引をお認めになるというふうな御決心になつたようでありますが、私ども当局の英断を非常に感謝しております。しかしながら、これはわれわれからいつたら当然の事柄でありまして、為替取引をするのは、これはなるほど技術的にいろいろ先進の金融機関の御教授、御指導に待たなければならぬことは多いと思うのでありますが、これは取引者大衆の利便のためでありまして、あえてこれをお許しくださつても、非常な特権をお与えくださつたとは思わないのであります。近ごろ新聞を拝見いたしますと、これは日本銀行と取引のある三行に限るというふうな記事が出ておるのでありますが、これはいかにもおかしいことではないか。相互銀行に為替の必要ありとするなれば、これは、相互銀行といえどもやはり態勢が整わなければなりませんから、すぐに飛びついて明日からやるということではありません。めいめいその態勢を整えて、しこうしてこれに応ずるだけの準備をなしてやるべきものだと考えております。あるいはやらない銀行もあると思います。しかしながら、一応はこれは当局としては為替取引を全部にお認めになるという方式をおとりくださるべきではないかと考えます。  もう一つ、これは多少離れた事柄でありますが、日本銀行との取引の問題であります。この問題も、これは何で中小金融関係があるか、これは非常と関係があると私は思うのであります。たとえば災害が起つた際に、日本銀行と取引があつた場合には、相互銀行はどういう状態であるか、こういうことは日本銀行のお手元においてわかつておる。その場合にどういう対策を立てるかということは、これは必要なことだと思うのであります。これは不時の際でありますが、日常の際としまして、この間国税長官の平田長官もお話になつたのでありますが、中小企業者と取引を持つた相互銀行こそ、これは納税組合なり、納税の窓口を持つべきじやないか、これは平田長官がお考えになりまして、日本銀行に対して、相互銀行のために日本銀行の窓口を開いてやつたらどうか、こういうお話があつたのであります。私どもとしましては、相互銀行は日本銀行からお金を拝借したり、オーバー・ローンのお願いをしたり、そういうことは考えておりません。私どもの考えておるのは、日常の金融の指導をしていただきたい。それから今度のような不時の場合には、われわれの内容を十分承知していただきたい。もう一つの問題は、ただいま申し上げました中小企業者の窓口としてやつてくださつたらどうか。これは監督官庁の銀行局ではありませんか、国税庁の長官みずからこの必要を感じて、日本銀行へお話になつた次第であります。  こういうふうに、私は現在われわれの悩みとする点を皆さんに訴えたわけでありますが、私自身としては、決してこれは無理なお願いだと考えておりません。これは当然許さるべき事柄であります。無尽から相互銀行法に大転換をいたしまして、その結果としてかなり有効に働いております。これは私の口から申さずとも、五月の毎日新聞で、ありますか、日本銀行の井上理事は、中小金融は、中小金融企業家がもう少し熾烈に、金融の要求をすべきだろうと思うのだが、そうでもない、ややいい状態だ、これはどういうところに原因があるか、中小企業専門の信用金庫とか、あるいは相互銀行の働きが大いにある、ことに相互銀行については、その働きを大いにわれわれは認める。こういうことを毎日新聞の座談会でおつしやつているのであります。日本銀行におきましても、最近中小金融に非常な御関心を持つて来ていますが、これは私は当然でありまして、まだ持ち方が少し少いのではないか、もう少し中小金融に対して関心をお持ちくださるのが、わが国金融機関の総本山たる日本銀行として考うべきことではないか、こう考えるのであります。中小金融につきましては、私の考えるところは以上の点であります。  なお類似金融対策でありますが、この点につきましては、銀行局その他におきまして、お気の毒と思われるほどの御苦心、私お察しいたします。この前の議会において、その態度を鮮明にされたことは、私は多とする次第であります。あるいは欲を言つたなれば、その場においてもう少しはつきりした方がよかつたのではないか、あるいはそのあとにおいてもその機会があつたのじやないか、こういう御議論があると思いますが、しかし私は、今でもおそくないと思います。そのわけは、先ほども亀山さん及び千金良さんからお話がありましたように、月二分、月三分、こういうような高い金を借りて現在仕事をやつて行けるかどうか、これは考えてみれば一目瞭然であります。こういう高い金を出して金融をして成り立つ金融業というものは、ごく少いはずだと私は考えております。そこでこういう金融機関金融機関として新しく認めるということは、私はどうかと思うのであります。この点は大蔵省もいろいろ思い煩つたことでありましようが、意を決した。時節としてはもう爛熟しておる。かつてやみ金融盛んなる時代におきましては、これは月二分、三分の金でも金さえあればすぐ金がもうかつた。こういう時代におきましたら、二分の金利をもつてつた金でも、あるいは、これをうまく利用し得たかもしれません。しかし世の中は安定しまして、いまや冷静な時代に返りまして、そこで二分とか三分の金を集めてやるというのは、あまりにそれは不合理なことと私は考えます。だから大蔵省の御決意の線に沿うて、十分私はおやりくださることはけつこうではないかと思います。先ほど申しましたように、それでは零細金融いかんといいますが、零細金融の問題になればなおさらのことでありまして、これは国の機関が少し力を入れまして、あるいは国民金融公庫にたくさん金を出しまして、この仕事をやつていただく、人が足りなければ人を増してやつていただく、庶民金融公庫的の仕事をおやりくださる、その方へ力を入れてくださる、こういうことは、現在として非常に適切なことではないか。過渡的に集めた金をどうするか、こういうむずかしい問題はあると思うのでありますが、しかしこのままほうつておいたらなおさらひどいことでありまするから、幸い大蔵省は非常な決意を持つてこれに当ると御決心になつたのでありますから、その決心を折らないようにおやりくださるのがいいではないか、私はそう考えます。一応これで終ります。
  86. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 それでは商工組合中央金庫理事の加藤さん。
  87. 加藤八郎

    ○加藤参考人 私たちの担当しておりまする組合金融を通じまして、中小企業はどうなつておるかということにつきまして、若干申し上げてみたいと思うのでございます。  中小企業の金詰まりということは、先ほど来先輩の皆様方がおつしやつた通りでございまして、ことに最近のように、産業界の不況のときには、あらゆるしわが中小企業に寄せられまして、中小企業者は非常に苦しみ、金融に悩んでおるのでございます。従いまして、商工中金等に対する資金の需要というものも、非常に熾烈なものがあるのであります。今商工中金の昭和二十七年度、すなわちことしの三月末のバランスで見ますると、貸出しの残高が三百九十五億円に達しておるのでございまして、前事業年度末の貸出し残高に比べますと、百五十七億円の増加を見たのでございます。しからばこの貸出増百五十七億円の資金の手当は何によつてそれをまかなつたかと申しますると、まず第一に債券の発行の増加によりまする分が七十八億円でございます。なおこの七十八億円のうち、資金運用部の引受の額の増加が三十六億円あるのでございます。第二は預金の増加でございますが、これは年間七十五億円ございました。しかしこれはその内訳を見ますると、その大部分でございまする五十七億円が、政府からの指定預金、国庫の預討金でございまして、純然たる組合の系統機関預金として増加いたしましたものが、たつた十八億円にすぎなかつたのでございます。それから最後に借入金の増加でありますが、これは四億円の増加をしております。その内訳を見ますと、昨年の十二月二十六日に通産省から、補正予算でとつた二十億円の資金を中金に貸していただいたのでありまして、この二十億円の政府借入金というものがございまして、一方日本銀行等からの借入金が減りましたので、差引いたしまして四億円の借入金の増加を見たのであります。かように債券において七十八億円、預金において七十五億円、借入金四億円、合計百五十七億円というものが、貸出増の百五十七億円をまかなつたような次第であります。     〔内藤委員長代理退席、島村委員 長代理着席〕  以上申しました百五十七億円のうち、政府関係資金はどのくらいあつたかと申しますと、先ほど申しましたように、資金運用部の引受による債券の増加額三十六億円、それから政府の預託金の増加の五十億七千万円、通産省から借り入れました二十億という数で、合計いたしますると、百十四億円の金を政府から入れていただいた。百五十七億の資金の貸出しの増の内訳として、百十四億円の政府からの資金を入れた。パーセンテージにいたしますると、七二%というものが政府の力によつてふえたのであります。  なお年度末におきます総資金量中の政府資金の受入れ割合はどのくらいかと申しますと、昨年度末、すなわちこの三月末の資金の総量は三百九十五億円でありますが、そのうち政府からいただいております金は、出資金――これは見返り資金からの優先出資金も含めてでございますが、四億六千五百万円、それから債券の資金運用部による引受の額が六十八四六千八百万円、それから政府からの指定預金、すなわち預託金が五十七億七千万円、政府からの借入金が二十一億七千五百万円となつておりまして、合計百五十二億七千八百万円というのが政府からの資金であります。でありますから、総資金量のうち三八・六%、大体四%近いものを政府からの資金としていただいておるのでございます。しからばその前の昨年の三月末のときはどうであつたかと申しますと、政府から導入の資金は三十八億円しかなかつたのでありまして、中金の総資金量のうちに占める割合は一七・一%というものであつたのであります。でありますから、昭和二十七年度のこの一年間の事業年度中におきまして、政府からの導入資金の額は百十四億円の増加となり、それからこの総資金量の中において占める割合が一七・一%から三八・六%というふうにふえて参つたのであります。このように二十七年度は、政府から非常に多額の財政資金をいだきましたので、貸出高も先ほど申したように一年間に百五十七億円もふえて参りまして、中金としては未曽有の貸出しの増加を見たのであります。その前年の二十六年度の貸出しの増加は、年間を通じて大体八十億円であつたのでございますから、二十七年度は前年に比しほとんど倍に達する貸出しの増加があつたのでございまして、ある意味におきましては、組合金融といたしまして昨年は最良の年であつたのではないかと思われるのであります。しからば本年度の見通しはどうかと申しますと、まことに、暗澹たるありさまでありまして、まず政府からの預託金の五十七億円も、本年の十二月末までには毎月分割してお返ししなければならぬことになつておるのでありまして、一方毎月債券の発行高を極力ふやすことに努めまして、利付、割引合せて毎月十四、五億円の発行をいたしましても、旧債の償還額が毎月七億円序後ございますから、債券発行による手取金といたしま出して、月七億円前後しか見られないのでございます。他の一般預金の増加というものにつきましても、中金は店舗の数も少うございますし、また本質的に預金をいただける先が協同組合、またはその構成員というふうに限られておりますので、多く伸びることは期待できません。せいぜい二十億円も伸びましたならばよい方じやないかと思われるのでございます。従いまして日本銀行からの借入れなども、第一次高率適用を一ぱいまで借りるということにいたしましても、貸出しにまわし得る新たな資金というものは月平均いたしまして四、五億円にしかならないであろうと見込まれるのでございます。前事業年度の月平均十三億円ほどと貸出しが伸びたのと思い合せますれば、まことに雲泥の差があるのであります。もし今後、かりに毎月の貸出し増加が前年同月の貸出し増加と同じ割合に伸びるすると、これもなかなかこれだけでは足りぬだろうと思われますけれども、中小企業界の不況の状況、最近の状況を考えますと、さらに資金需要が、ふえて参るであろうと思いますので、前年と同じだけ貸出しの増加ということ存ではなかなか困難だろうと思います。けれども、かりにそういう状況のもとに考えた場合に、資金はどれだけいるかと申しますと、この十二月末までには九十億円の資金不足というような状況なのであります。中金の理事者といたしまして、まことに今他力本願的なことを申し上げますのは申しにくいのでございますけれども、本年度も、政府からひとつ大幅な長期の安定資金を導入していただくことを熱望してやまない次第でございます。ことにこの預託金の五十七億円、これは昨年お借りするときにはまことに助かつたのでございまして、このために中小企業の組合関係資金は非常に潤つてつたのでございます。本年これを返すというのは、その準備はしてございますけれども、業界にとつてなかなか大きな響きがあろうと思われるのでございます。なお中金といたしまして、今回中小企業金融公庫という政府機関が生れて参りました場合に、商工中金は直接政府からいろいろ資金の御援助をいただくことができなくなるであろうということを、われわれは最も憂慮しておるものでございます。もともと商工中金の発足の当時の事情を考えてみますると、中小企業というものは非常に力が弱いので、相互扶助の精神を持つて組合を結成し、相協力してやつて行く以外には救われる道がないというので、政府組合組織を奨励して参つたのでございまして、途中いろいろ組合の名前もかわり、また根拠法もかわりましたけれども、常にこれは一貫した政府考え方であつたのであります。しかしその組合をつくりましても、これに対する金融ということはなかなかうまく行かない。それで政府の強力な援助のもとに特殊の金融機関をつくろうというので、この商工中金というものは昭和十一年に設立されたということになつておるのでございまして、これは当時の提案理由等の説明を拝見しますと、そういうことがうかがわれるのでございます。でありまするから、商工中金といつたようなこういう機関は、政府からの特別の援助ということが前提として成り立つものでありまして、これをはずされますると、なかなか大音ではやつて行けない非常な困難な中小企業の金融であろうと思うのであります。従いまして、設立当初資本金一千万円で発足し、その場合五百万円は政府にお持ち願い、組合からは五百万円を出資して一千万円にした。そののち昭和十八年に資本金を三千万円にいたしました際にも、政府が半分の一千五百万円を持つてくださいまして、この出資金については、常に政府組合とが折半して持つていただいたという状況にあつたのであります。従いまして、業務につきましては広汎な監督に服します一一方、政府の出資に対しましては、昭和二十七年三月まで配当を免除するというような恩典を考えてくださいましたし、また税法上のいろいろな特典なども考えられまして、非常に中金を保護するということをなさつて、半官半民の機関となつていたのであります。また発足時当、預金資金の運用等につきましても、特に低利資金を中金が供給を受けまして、この低利資金組合に貸し付けるというような制度を設けられておつたのであります。すなわち、その当時市中の金利が五分ないし六分というような当時におきまして、中金は預金部から年三分二厘で債券を引受けてもらいまして、年三分九厘で組合融資をしたいというようなことに相なつておるのであります。ところが、その後の状況はどうであるかと申しますと、まず出資金についてでございますが、その後数次の増資によりまして、現在商工中金は約十五億円になつております。そのうち十億円は組合の出資でありまして、政府の出資は約五億円であります。その五億円の内容は、大部分が見返り資金からの優先出資でありまして、これは毎年償還して行くので、いわば借入金のようなものだろうと思います。こういう出資が大部分でありまして、純粋の政府の出資は二百十万円でございます。昨年十二月にいただいた通産省からの二十億円の金は、その当時、やがて増資とともに、出資の引受けに切りかえていただくというようなふうにもわれわれは聞いておつたのでありますが、今度公庫が設立されますと、この二十億の貸付金は、政府からの貸付ではなくて、公庫からの貸付に振りかえられ、公庫が設立後二年以内に引上げられるということに相なつております。今年の秋ごろに三億円ほどの増資をいたしたいと考えておりますが、その株主総会に当るわれわれの出資者の総代会の席上等におきましても、ぜひひとつ政府組合と同じような金額政府出資を考えていただきたい、今の状況はまつた政府が出資金を出さないで、組合だけでやるという形になつておるけれども、設立当初の沿革にかんがみて、政府からの同額の出資をお願いいたしたいという希望が強く表明されたのであります。また配当の免除というような点につきましても、現在商工中金はいまだに無配でありますが、優先出資分につきましては、年七分五厘の配当をしておるのでございます。これは見返り資金という特別な資金の運用として、当初から七分五厘の利息をつけることになつている金でありますから、当事者あるわれわれといたしましては当然であると思いますけれども、少くともこの株主である出資者から見ますと、一般の出資に対して配当も何もないときに、政府だけ七分五厘の優先利子をとるということははなはだ情がないのではないか、こういうものも免除してもらいたいというような希望が強く表明されておつたのであります。また預金資金を低利で利用することにつきましても、現在はそういうことはなくなりまして、毎月債券を多額に引受けていただきますので非常にありがたいのでありますけれども、その利率は、一般市中で発行する債券と同じ利率でありまして、二銭四、五厘のものになるのでございます。特別な安い金利という点の御援助をいただいておりません。それで、できることでございますれば、国民金融公庫さん、またこの政府機関に対しましては、預金部の資金を貸し付けるという形で、おそらく年六分七厘程度じやないかと思いますが、そういう資金をお貸ししておられるのでございますが、商工中金にも、そういう金を低利にお貸しいただけないかということをお願いいたしたいと思うのであります。  また現在、この資金運用部の金融債の引受の割合も法律できめられておるのでございまして、一回の発行額について六割まで、総額において五割までという制限があつて、多額の引受もある程度の制限があるのでございます。こういう点も、さらに資金運用部の引受率を大きくするというようなことをお考えいただけば非常に仕合せだと思うのでございます。  以上申し上げましたように、政府の特別の保護がだんだん少くなつて来るような気がいたすのでございます。現在の中小企業界の最も要望しております問題は、やはり低利の資金を長期に借りたいという問題じやないかと思うのでございます。先ほど上山さんからもお話がございましたように、インフレ時代には金利の高いくらいのことは問題でない、金さえ借りられれば、仕事をしてもうかるというような事情だつたかもしれませんが、最近は非常に利潤が少いので、低金利の金でなければ仕事をやつてももうからぬというようなことで、低利の金を要望され、また長期の安定した金でなければなかなか仕事がうまくやりにくいというようなことで、低利であり、かつ長期の金が非常に要望されておるのでございます。商工中金は幸いにいたまして、この債券で資金をまかなうということになりますので、長期の資金は持つておりますけれども、何分にも一般預金というようなものが非常に少い関係上、原価が非常に高くつきます。従いまして現在短期で日歩三銭、長期で年一割三分というような基準において貸出しをしておるような状況でありまして、こういう点は、一般の業界から値下げを要望されておるのでございます。でございますので、商工中金といたしましては、ひとつこの際商工中金設立当時のいきさつや、あるいは従来政府資金の一貫として果しました役割というような沿革などを再認識くださいまして、たとい中小企業金融公庫というものが誕生いたしましても、公庫と並行的に、中金に対して大幅な長期安定の低利資金を導入してくださるように、格別の御配慮を賜わりたいと思うのでございます。商工中金は組合金融だけでございまして、組合を結成しない多数の中小企業のあることは申すまでもないのでございまして、そういうものに対する政府金融機関として公庫をお設けになることは、非常にけつこうだと思うのでございますが、それと並行して、この従来からございました商工中金の強化育成ということについて、格別の御配慮をたまわりたいと思うのでございます。  それから次に中小金融について、株主相互金融とか、そういう問題についてでございますが、これはただいま先輩の上山さんが申し述べられ一たように、われわれもまつたくそんなふうに考えておるのでございます。何分この相互金融というようなものの貸出しの一口当りの平均というようなものを新聞で見ますと、三万二千円だとか、また貸出しの九〇%までは五十万円以下の貸出しだというようなことで、この実情を見ますと、まさしくこれは零細金融と申しますか、あるいは中小企業のうちでも小の部分の金融面における逼迫ということが、こういう金融に走らせる一つの下地じやないかと思うのでございます。もちろん中には、非常に大きな金融もあるそうでございますけれども、われわれその実態はよく存じません。いずれにいたしましても、手軽に借りられるというところが非常な魅力だそうでございまして、こういう点は、われわれ中小企業の金融に携わるものといたしましても、今後十分慎んで行かなければならないのではないかというふうに考えております。正常な金融がうまく行きますれば、自然こういう金融の伸びる余地もなくなると思うのでありまして、われわれも注意しなければならぬと考えておるのでございます。こういう金融実態というものはわれわれにもよくわかりません。ことに取引先なんかにおきましても、そういう債務は簿外債務として取扱つておる場合が多いそうでございまして、なかなか現れて参りません。しかし現実にそういう高い金利の金を借りておるけれども、将来これを低利の金に借りかえてやるならば、十分にやつて行けるというような見込みのある事業等につきましては、われわれも気がつき次第、そういうものを低利の中金の資金に肩がわりさせ、そうして高利の金をやめさせるようにしたいといつも考えておる次第でございます。特にこの問題につきまして、先輩の方々のおつしやつた以外のことを申し上げるだけの材料もありませんので、これで失礼いたします。
  88. 島村一郎

    ○島村委員長代理 ただいま四人の参考人の方々から、中小金融及び低利金融に関する有益な御意見を拝聴いたしましたが、参考人の方々のただいまの御意見に対し、質疑がございましたらこれを許します。
  89. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 加藤さんにお尋ねしたいのですが、今度中小企業金融公庫ができますが、これは金利が安いわけですから、商工中金なんかもおそらく相当影響を受けると思いますが、そういう点について、あなたの方の対策、あるいは現在の事情についてちよつと御説明願いたいと思います。
  90. 加藤八郎

    ○加藤参考人 私自身が政府から任命されておる中金の役人でございますので、政府のおやりになるお考えに対しまして批判的なことを申し上げることは、はなはだ申しにくいのでありますが、しかしせつかくのお尋ねでございますので、私個人としての考えを申し上げてみたいと思います。  この中小企業金融公庫という公庫が設立された場合に、われわれとして一番心配する点は、一つは組合の面からであり、一つは中金の面からであります。その組合の面からと申しますのは、協同組合というものは、先ほど申しましたように、中小企業の弱体化を強くして行くためには、結束して組合をつくつて、強い団体として行くよりほかないという政府の伝統的な政策だと私どもは信じておるのでありますが、こういうことが、今後組合をつくらなくとも、低利の政府資金が借りられるということになりますると、既存の組合の結束が弱まつて参りましようし、また新たに組合をつくろうという意欲も薄くなつて来はせぬかということが一つございます。それから中金といたしましては、これは組合金融の面だけから申しますると――組合を結成されていない組織につきましては別でございますが、今度の公庫の構想というものと、われわれの仕事の分野とが重複するものが多いというふうに考えられるのでございます。その結果、公庫の設立に伴つて、中金の弱体化を招きはせぬかということを心配いたすのでございます。商工中金のやつておる分野と申しますのは、債券の発行を認められまして、これによりまして大体五年ぐらいまでの長期の資金を供給するということが、中金として最も大きい使命であろうと思うのであります。これが今度の公庫によりますと、同じく五年程度の設備資金、またはその設備の新設に伴う運転資金をお貸しになるというような御構想になつておるのでありますが、その点におきまして、公庫の仕事とわれわれの仕事が非常に重複して来はせぬかと思うのであります。これが農林漁業金融公庫というようなものになりますと、よほど話が違つて参ります。これは御承知のように十五年以上二十五年の超長期と申しますか、そういうものに対する融資考えておるわけでありまして、法律の第一条にも、農林中央金庫等の貸しがたいところに貸すということをはつきり書いてあるのであります。しかし中小企業金融公庫の場合には、法律を見ますと、一般金融機関等の金融困難なる分野について融資するということも書いてありますが、その場合、商工中金というものを一体一般金融機関として、商工中金の貸しがたいものにお貸しになるという趣旨考えておられるかどうか。そういう点はつきりいたしませんけれども、いずれにしても、商工中金から融資するということになれば、資金のコストの関係上、年一割三分程度のものになる。しかし一方公庫から停りたる場合には一割で借りられるということになりますれば、公庫の金を借りるということになるのであろうと思うのでありまして、公庫の活動が一層大きな分野について融資されるということになりますと、組合金融としての中金が浮き上つたような形になるおそれがありはしないかと思うのであります。そういう点、設立後におきましていろいろお願い申し上げたいこともあるのでありますが、何と申しましても、われわれの資金は債券による資金であつてコストが高い、一方政府の方は、非常に安い金利でお貸しになる。そのこと自体はけつこうでありますけれども、その場合中金がどういうことになりますか、心配しております。
  91. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 今度は相互銀行の上山さんにお尋ねしたいのですが、相互銀行の前身は無尽ということで、非常に大衆に親しまれて、これが相当一般の中小企業金融に役立つたと思うのであります。ところが銀行という名前がつけば、やはりかみしもをつけなければならぬ。銀行という形をつくれば、やはり大きな資本主義の時代ですから、利潤も得なければならぬというような関係で、どうしても大きくなつて来る。こういうことになつて無尽がなくなるから、たとえば相互金融とか、いろいろなやみ金融ができたというふうに考えられる点もあるのであります。こういう点でわれのわれの聞いておりますのは、この無尽という貸付方法には、やはり従来とは違つた層があるのではないか。従来よりももう少し高い層、高い階級の中小企業者が利用しておるのではないかということが考えられるわけですがその点はどうなつておりますか。もう一つ、あなたの方はいろいろお話が出たのですが、銀行になつた以上は、やはり相互銀行として為替業務をやりたいと言われるのは、これは当然だと思うのであります。今度も法案が出ておりますが、これらの大銀行や地方銀行の方の、相互銀行が為替事務をやつてはいかぬという陳情は非常に虫のいいお話で、これは相互銀行の方が為替業務をやるということは、銀行として当然であると思います。そういう点について、相互銀行は脆弱な点があるからいかぬとか、いろいろなものがありますが、われわれは為替業務をやらせるのが当然で、いずれ銀行局長にも質問をするつもりでありますが、この二点について上山さんの御意見を伺いたいと思います。
  92. 上山英三

    ○上山参考人 ただいまのお話は、私ども日ごろ非常に考えている点であります。相互銀行が銀行になつたからやみ金融ができた、その点は私は承服できない点でありますが、これは先ほど申しましたように、金さえあればうまいことができたということの一つのなごりではないかと思います。だから世の中が平静になつて来ますと、そういうものがだんだんなくなつて来る、それからもう一つは、この金がたとえば一万円といつてもこの一万円を昔の金に直したときには大分小さい金になる。そこで非常に小さい金は、昔の庶民金融金庫というようなところでやつていただいたらどうかと私は思う。もし私の方でやれというならば、私の方はやりたいと思います。どういうふうにしてやるか、そうすれば、これは現在金利において最高三銭五厘で押えられています。大蔵省の方針は、相互銀行中小金融をりつぱにやらせてやりたいという親心であつたと思いますが、この親心は、私は非常にありがたいと思う。しかしながら、ただいまお話のあつたように、その結果小さいものはだんだんやれないのではないか。その小さいものも、今考えてみますればかなり零細資金ということになる。しかしその零細資金でなくとも、たとえばこれは庶民金融金庫時代におきましても、更生資金としては三百円、生産資金としては三千円、こういう金を今の金の値打にかえたならば、これは相当大きな金額になるのであります。だからただいま国民金融公庫がおやりになつているところは、昔の庶民金融金庫がおやりになつているところをやつているのでありますが、いかにも数字が大きくなつているから変なふうにも見えるのでありますけれども、これは庶民金融金庫の気持でおやりくださつたらいいではいかと私は思う。しかしただいまおつしやつた説は、まことにごもつともでありまして、私どもは銀行になりまして、普通銀行と同じような立場になつたら、私どもの立場は立つて行かない、なぜ立つて行かないかというと、普通銀行の金利は安い預金を集めておりますから、安い預金で普通の貸出しをやつたら、私どもは立でつて行かない。競争したら、普通銀行も安い小さいものもありますが、大部分平均してみますと、相互銀行の平均と普通銀行の平均はよほど違う。この意味におきまして、普通銀行のやつている通りにやつたら、相互銀行は存在の価値がないと私は思う。普通銀行がおやりにならないところにわれわれは入つて行かなければならぬ、こういう気持は十分持つております。ただいまのお話の点については、私ども始終頭を悩ましている点でありまして、私どもは、国民大衆の金融の疏通をはかるという相互銀行の第一条の精神を踏みはずしてはいけない、こういう気持は十分あるのでありますから、御了承願います。至らぬところは、痛烈な御批判を願いますればけつこうでありまして、私どもは先輩の金融機関の踏んだ跡を学び、われわれ独自の天地を開いて行きたい、それには世間一般の批評を聞きまして、反省に資したいと思います。  それから為替の問題でありますが、これは亀山さん、千金良さんを前にして悪いのでありますが、普通銀行といたしまして、相互銀行というものが出て来た。それに為替までやつたら普通銀行と同じではないか。こういう御説は一応ごもつともに感ぜられるのでありますけれども、しかしこれは、私為替というのは玉手箱の中に入つたような、そんなに貴重なものかどうか、私どもの方に許してくださいましても、どのくらいなものがやれるかどうか、それもわかりませんが、一応小さいものでも送金がしたい、取立てが起る、こういう状態でありまして、これは郵便局でも送金為替はやつているわけであります。すでに信用金庫でも為替をやります。農業協同組合においても為替をやつているのでありまして、為替をやる仕事は、これはやらしていただきましても、一般大衆のサービスとしても役立つことでありまして、佐藤さんからお話のあつた点にも合致するゆえんだと考えられます。
  93. 井上良二

    ○井上委員 全国銀行協会の方に質問をいたしますが、あなたの御説明を伺つておりますと、二十八年の二月末で二兆二千二百億という貸出しの総額で、その三二・六%というのを中小金融にまわしたというお話でございますが、この三二・六%という数字、中小企業とあなた方が見ておりますのは、どこからを中小企業と見ておりますか、銀行が中小企業として貸し出します業態は、一体どのくらいのところを言つておりますか。たとえば資本金何百万円ということで行きますか、あるいは今日政府の方で言つております、まあ工場でありますならば、従業員が五百人以下、三百人以下というようなことをさしておるようでありますが、あなた方の中小企業というのは一体どこをさしておりますか、それを一応お聞かせを願いたい。
  94. 千金良宗三郎

    ○千金良参考人 お答えいたします。ただいま御質問のありました中小企業金融の数字ですが、これは仰せの通り資本金一千万円以下の企業であります。もとより中小企業と申しますと、幅が非常に大きいのでありまして、今の零細金融――われわれのところは零細金融までは行かぬでしようが、一千万円以下から相当少額の、たとえば十何万円というところまで入るわけです。この数字は中小企業庁の出しました数字をとつたのであります。従つて私たちの考えは、今中小企業庁の標準でやつておるわけなのです。割合はその通りであります。しかしわれわれのところでもつてつておりまする金融実情というのは、普通の商人、あるいは小さい会社、またさらに大きな会社というふうなわけですから、相当各層の金融をやつておりますからして、これは店がたくさんありますと、その店の所在地によりまして得意先の層がかわつて参ります。大金融ばかりではないのであります。大体中小企業というものは、普通の金融の線に乗つておるものは普通の銀行がやつておるのであります。特別な金融機関に依存するのは、これは特別な事情があるのだと思います。
  95. 井上良二

    ○井上委員 あなたはさいぜん手形の不渡りの状況、それから百貨店の売上げの低下、貿易の不振等による預金の減少の理由をあげておりましたが、これと同じように、逆に滞貨が非常に多くなつて不渡りが出だした、資金繰りが悪くとつたというところから中小企業金融問題が昨年以来大きな問題になつて来ておる。ところが今あなたの申されます三二%という数字、それから地方銀行の方が申されますのも、相当多く中小企業を対象にしておる。そこへ持つて来て信用金庫なり、相互銀行なり、商工中金というような中小企業対象の金融機関も相当これに活躍しておる。そうすると、金詰まりというりくつはどこからもわいて来ないのに、どういうわけで中小企業の金融がこんなにやかましくいわれておりますか。どうもあなた方のお話とは現実は逆ですね、そうお思いになりませんか。あなた方両銀行を集めると、これは七〇%からの中小企業対象の莫大な金融がされているわけです。そこへ相互銀行や信用金庫、あるいはまた商工中金等の資金が流れて行く、そうなれば百パーセント行つたことになるじやないか。そこであなた方の言う三十何パーセントという貸付の対象になる業態というものは、どうもそんな中小企業のわくの中に入らないものじやないかという疑問が起つて来ます。これはわれわれ中小企業金融対策を考えます上において、今申されました両銀行の代表者の御意見というのはどこまで信用してよいものか、ちよつとぐあいが悪いんですが、そうお思いになりませんか。あなた方は専門家で、私どもはよくわからないが、どうも数字がびしつと合わぬことになりますが、どうですか。これは、実際に対策を立てるためにあなた方にお忙しいところを来ていただいておるのですから、ざつくばらんに言うてもらわないと、政府に対して資金割をやかましく言い、貸付条件をこれからわれわれがやかましく言うてきめる上においても非常に重大なポイントになりますから……。二つの地方銀行と市中銀行と合してしまつたら八〇%近くになる、そこへあなた方の特殊銀行や金融機関を入れたら、中小企業金融はもう行き届いたものになる、百パーセント以上になる。そんなりくつはありませんから、あなた方専門家の方で、ひとつどういうことになつておるか、一ぺんわかるようにお話をしてみてくれませんか。
  96. 千金良宗三郎

    ○千金良参考人 お答えいたします。まことにごもつとものような質問なんですけれども、実を申しますと、ごもつともでないのです。それは日本全体の資金が不足なんです。従つてわれわれの方は、預金を全部貸してもなお貸し足りないという状況なんです。日本銀行に全体で借金が三千億余りあるというような状態なんです。一般金融が全部が需要の方が供給よりも多い、こういう状態です。従つて中小企業でもやはり同じ状態であります。幾ら貸しても、これが十分というわけには行かないのだろうと思います。
  97. 井上良二

    ○井上委員 そういうことになれば切りのない話でございますから、それ以上その問題には触れません。  次に商工中金の方に伺いたいですが、二十七年三月末に貸出しが三百九十五億、この三百九十五億の貸出しのうちで、あなた方の方で特に大口の貸出しといいますか、つまり金額からいいますと五十万円、百万円というよりも、一千万円以上というのが多いのではないかということになつておりますが、それはどうですか。
  98. 加藤八郎

    ○加藤参考人 お答えいたします。ただいまの一千万円以上の比率ということでございますが、この貸出しの比率を申しますと、大体八八%までは千万円以下というようなことになつております。しかし千万円以上のものはもちろんございます。それから何億というものもございますが、千万円未満の貸出しというものが、大体総貸出し件数の八八%ほどを占めております。一千万円以上のものももちろんたくさんございます。しかしこれは組合というものの規模によるのでありまして、個人個人に貸す金額というものは小さいのであります。けれども、何百人というような多数の構成員をかかえております大きな組合がありますれば、その仕事の分量というものは、自然まとまつたことになつて多くなりますので、その意味におきまして、金額も多いということがあるのでございます。個々にいたしますれば、平均して百万円前後になつた計算になつております。
  99. 井上良二

    ○井上委員 もう一点伺いますが、あなたの方は全国各県に一店ずつ店を持つておりまして、直接末端の信用組合なり、あるいは信用金庫等との取引関係はあまりやつておりませんですね。たとえば、信用金庫で集めました預金をあなたの方に預ける、信用協同組合か集めたものをあなたの方に預ける。ちようど農林中央金庫が農業協同組合に集めたものを一手に吸収しているというような、ああいう組織はあなたの方ではとつてないのですね。そうしますと、全国に新店をふやし、信用協同組合をふやし、信用金庫をふやして行くということにすれば、実際に預金がそこから入つて来て資金は次第に多くなる、そういう道は講じないのですか。それはまだ無理ですか。
  100. 加藤八郎

    ○加藤参考人 お答え申し上げます。ただいま中金の取引の下部機構とでも申しますか、そういうことで、信用金庫なり信用組合を使つたらどうかという御意見のように拝聴いたしますが、その信用金庫の点につきましては、商工中金の取引の対象には法律上なつておりません。それで信用金庫に私の方から御融通するということができませんので、その点はだめでございますが、信用組合の方は、これは中小企業協同組合法に基いて設立された組合でございまして、私の方の取引の対象になつてございます。それで従来あまり活撥でなかつたということ、御指摘の通りでございますが、これはちようど昨年の六月まででございますが、信用組合から信用金庫に移行するというような態勢のあれがたくさんございまして、そんな関係上、はつきり将来信用組合として存続するというようなことの未確定の状態におきまして取引が復活することは、将来金庫になれば取引きできなくなるというような関係もありまして、活撥な動きができなかつた。しかし最近になりまして、極力信用組合に対しましても中金と取引をするということを、われわれとして考えているのでございまして、現在におきましては、大分取引の信用組合が多くなりまして、百数十になつているのでございます。大体約三分の一くらいのものが取引できておりますが、なお設立当初のまだ海のものとも山のものともつかぬような信用組合なんかもございまして、そういう取引については、今後事業の進展に伴つて、自然中金とのつながりができて来ると思つております。
  101. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私は、簡単に地方銀行協会の亀山さんにちよつと一点伺いたい。先ほどあなたのお話にもありましたが、たしか一昨年と記憶いたしておりますが、あなたの会の方からわれわれ中央に陳情が参りまして、先ほどお話のように、地方の金が中央の銀行に集中して困る、吸い上げられて困る、そうすると地方産業の育成に非常に困るから何とか善処してもらいたいということを、あなたの前の会長さん当時に実は陳情を受けたのであります。そこでわれわれは、大蔵省なり日銀当局に対して、それではいかぬじやないか、地方、産業の育成のためにも相なるべくはそういう弊害を除去するようにしなければいかぬじやないかということを強く要望したことがあります。しかるに二箇年たつた今日、あなたのお話を聞いておりますと、依然としてそれを御要望されているのであります。一昨年以来、多少それが好転していると私は実は考えておつたのでありますが、さようなことはございますませんか。率直に、御遠慮なくその事情をもつと詳しく承りたいと思います。
  102. 亀山甚

    ○亀山参考人 お答え申し上げます。地方に資金を還元してほしいということは、私ども年来の希望でありまして、今日なおそれはかわつておりません。先ほど私が申し上げました中に、いろいろ中央の方に入るべき金も、たとえば電電公社であるとか、あるいは国鉄の金であるとかいうのは、当然その金は中央へ参るでありますが、参るにしましても、そこに多少の余裕を置いて順次参るというようなことになりますれば、つまり変化が少くて済む。地方の産業に幾分でもそれが役立つのだというような面がありますし、他の面におきましてもそういうようなことで、地方から中央と流れるものは、なるべく地方の方を回流することを希望する、こういうことを申しておりますので、今なお私ども、この要求についてはかわりはないのであります。何分よろしくお願い申し上げます。
  103. 福田繁芳

    福田(繁)委員 今度は全国相互銀行協会の上山さんに、はなはだ失礼でございますが率直に伺いたい。ほかでもないのですが、御承知相互銀行法の審議を私たち今やつておる。それに対する資料として、相互銀行が現在金融機関のどの程度の位置にあられるかということを知りたい。つい最近新聞に出ておりますように、例の大企業の不渡り手形が相当額出ておるのですが、これをあなたの相互銀行関係においてどの程度背負われたか。あるいはどの程度金額をお扱いになつておられるかということを、おさしつかえなければひとつ御公開願えれば、われわれ非常に参考資料になると思います。
  104. 上山英三

    ○上山参考人 ただいまの御質問、なかなかむずかしてお答えができないのです。御承知のように、大企業がいけないときにはその関連の下請機関のところへ来ますから、多少その影響を、受けたことは聞いておりますけれども、どれくらいであつたか、どういう程度かということはちよつと申し上げられません。  それから私の方の企業でありますが、中小企業の方の仕事をして行くにつきまして、製造の方へもだんだん開拓して行きたいと思つているのでありますが、現在の資金の配分は、まだ製造業には二七%くらい、大体は卸売、小売という方面に三七%くらいですか、こういうふうに出ていまして中小金融専門銀行としての将来、こういうふうに考えますれば、長期運転資金だけではなしに、やはり困つておられる中小企業の製造業者、そういう方向へもだんだん行くのがいいのじやないかと私は考えているのでありますが、ただいまのところは、ただいま申し上げたような割振りになつていますので、不渡り手形の影響といいましても、影響はあることはありますが、大したことではないということが言えると思います。
  105. 福田繁芳

    福田(繁)委員 もう一点、今度は商工中金の方に伺いたいのですが、商工中金の方は、大分資金が枯渇して非常にお困りになつておられるという先ほどのお話を聞いて、われわれ中小企業金融対策を立てる意味においても、非常に寒心にたえない。なかんずく政府の預託金が五十七億ほどあられるということです。それを、この年末までに払わなければならぬというような、文字通り寒心にたえぬ話を聞いたのですが、この五十七億というのは、おそらく分割で払うのではないかと思うのです。もし分割ならば、この十二月末までに何回に、一回どのくらいずつを払わなければいかぬことになつておるか。なおその預託金を完全に政府に払えることのお見通しが今日あられるかどうかということを、率直に伺いたいのであります。
  106. 加藤八郎

    ○加藤参考人 お答え申し上げます。五十七億の返済の今後の計画と申しますか、政府からのおさしず通り計画でございますが、これは毎月五億三千万円ずつ分割するというのと、そのほかに六月、八月、九月でございましたかに期限が来ます十億ずつというのがございます。従いましてその十億が来る月には、そのほかにさらに五億三千万円、十五億三千万円という返済の月があるのでございます。しかし六月分につきましては、政府におかれまして特にこの六月末の十億の返済を、十月と十一月の月半ばに半分ずつ返してよろしいという御決定が最近ございましたので、それだけ楽になつた次第であります。これに対する返還の考え方といたしましては、債券の発行による手取金が毎月七億ほどございますので、そういうもの、あるいは日本銀行の中小別わくとしてわくをもらつてつたり、また法律適用を受けても借りられる道がありますので、そういうことをいたしますれば、政府に対しましてお返しすることは間違いなくできると思う次第であります。
  107. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私おそく来たので、まことに申訳ないのですが、全国銀行協会の方と、地方銀行協会の方の両先生のお話はお聞きできなかつたので、あるいはもう御説明があつたのかどうかわかりませんが、今相互銀行協会の会長さんのお話を中途から承わつたのですが、今いろいろ問題になつおりますところの株主相互金融といわれておるのがありますね。これを先ほど上山先生ですか、大蔵省が英断をもつて取締るようにしたということに対して、たいへんに賞讃をされた、そこからお聞きしたのですが、こういうものをただ単に取締つたところで、あとから違つた形で、やはり資金需要と資金供給との関係から、あとからからとこういうものは出て来てしまうのではないか、こういうふうに心配されるのでありますけれども、これは一旦取締つたら、あとはできる心配はありませんか。私はこういう金融のことはわかりませんので、まことに初歩的な聞き方をするようですが、お伺いしたい。
  108. 上山英三

    ○上山参考人 これは取締つて必ずなくなるということは、私は言えないと思います。一つ取締りましても、また何か抜け穴を考えてやる。これは古い経験でまことに相すみませんが、私前に大蔵省の普通銀行課の仕事をやつてつたのですが、その当時の経験から申しますれば、一応取締りましても、また何かの機会には出て来るということを考えなければならぬ。ただ先ほど申しましたように、今非常に高い金利で金を集めていて、これでは実際上仕事にならないことははつきりしているように思うのです。そこで、これはやはり今日何とかしなければいけない。一番いいことは、芽が出たときにそれを押えればよかつたと思いますけれども、それもしないで現状になつております。今の場合になつて、これをほつておいていいかどうか、私はほつておくわけには行かないのではないか、こう考えますが、いかに取締りをうまくやつても、よほど目を光らしてやらないと、いろいろ出て来ると私は考えます。
  109. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 よくわかりました。そこでもう一点上山先生にお尋ねしたいのは、私は、相互銀行が今日それぞれ非常にりつぱな大企業に対する金融に入つて行くような状態なつたが、初めは無尽会社であつたと思います。そういう無尽会社であつた場合には、いろいろの批判や非難を受けながらも、無尽会社自体が先ほど申し上げたような、こういう金融に近い形をとつてその使命を果していたのが、今度相互銀行になつてしまつて、そういう使命を果さなくなくなつたから、今度こういうものが出て来る一つの原因じやないかと思うが、そういうことは関係がありませんか。
  110. 上山英三

    ○上山参考人 その点、私は先ほど申し上げました。
  111. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それでは千金良先生にお尋ねしたいと思うのですが、これを取締つてなくすことによつて、あるいは撲滅することによつて経済界に及ぼす影響というようなものがあるかないか。あるとすれば、どういう形が出て来るかということと、さらに、こういう形が続出するということは、結局中小企業の金融対策というものが貧困だから来たのではないか、私はこう思うのでありますけれども、この点の見解が一つ。さらにもう一つ、これは非常に大ざつぱなお尋ねでありますが、こういう形がどんどん発展して行く経済的な原因は、あなた方専門家から見た場合どこにあるのか。また弊害があるということは、これは皆さんも言つておるが、ただ弊害があるからといつてつておけないので、どうしたならばこれがなくせるかということを、ひとつお尋ねしたいと思います。
  112. 千金良宗三郎

    ○千金良参考人 御質問にお答えいたします。それはなかなかむずかしいことでありますが、もとよりこれは零細金融に対する機関が十分でない、それだから出たということは確かです。どうしたならばこれをなくせるかというと、それは結局普通の経済の問題というより、むしろ社会政策的な問題ではないかと思います。従つて国家施設でもつて、今度の中小企業金融公庫のようなものをもつと十分行き渡らせるということが、これをなくす一番正しい道だと思います。
  113. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 もう一点、今度は商工組合中央金庫の加藤先生に伺つておきたいと、思いますが、ただいまお聞きすると中小企業の金融対策というものは必ずしもよくなかつた。従つて、これを充足することによつてそれが相当防げるだろう、ほかに社会政策的な原因もあるだろう、こうおつしやいましたが、そこで商工組合中央金庫としては、そういう役目果をさなければならない立場にある。その立場にあるあなたの方に、最近政府からの資金の流れがきわめて困難になつて来ておる。しかし昨年あたりに比較すると、よくなつて来たというように私はお聞きしたのですが、そうでございますか。
  114. 加藤八郎

    ○加藤参考人 お尋ねの政府資金の入り方の状況と申しますか、それは先ほど申しましたように、昨事業年度、すなわちことしの三月末で終りましたこの一年の事業年度の間におきまする政府資金の導入というものは、これは比較でございますが、従来に比べまして非常にたくさんいただきまして、金額にして百十四億もふえて参りました。そのために中金としては、未曽有の円滑な金融ができたと申し上げていいと思います。しかし円滑と申しましても、これは金額の制限がございますから、借りたいというものの方から見れば、まだまだ足らぬ金額であつたと思います。ただ従来の貸出しの状況から見れば、昨年は非常にうまく行つた。しかし本事業年度は、そういう明るい見通しが立たぬということを申し上げたのでございます。なおそういう一般金融は非常に困難だとするようなものに対する貸出しということが、中金の使命ではないかというお話もあつたようでございますが、まさしく私どもも、さように自覚をいたしておりまして、一般のそういう金融を困難とするものに、信用保険をつけて貸すという取扱いにつきましては、今までの累計を申しますと、全部の信用保険の金額のうち、五一%は商工中金一人でこれを扱つておるのでありまして、これを見ましても、いかに信用薄弱なものにも信用保険等の方法でめんどうを見ているかということの一つの例になるかと思うのであります。
  115. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 もう一つ伺います。そうしますと、私がおそれているのは、今申し上げたような相互金融、こういうものは生産の資金にならないで、ほかの方に使われてしまつていることをなおおそれなければならないかと思つているのですが、あなた方の商工中金等は、その貸出される金が同時に生産資金に振り向けられるように、指導をされておるかどうかということをお尋ねします。ちようど病人は、息を引取るまでは生きる努力というものはするものです。従つてつぶれて行く中小企業も、人に迷惑をかけようがかけまいが寸最後までそういう無理な金も借りて生きる努力をしなければならぬ。そういうところからここに弊害も被害も出て来ると思うのです。従つて商工中金等において資金を貸し出す場合には、それが生産資金にまわり、同時にその受けた人が、さらにそれによつて発展し、維持されているような指導がなされなければならぬと思うが、そういう指導をあなた方の方でなされておるかどうか。
  116. 加藤八郎

    ○加藤参考人 中金の貸付というものは、もういくらつぎ込んでもだめだというような事業にまで貸すわけには参りません。これは、やはり中金自体が債務負担して金を貸しているのでありますから、やはり回収の安全をはかるということはもちろんでございます。しかしながら、非常に残酷に取扱つて、そのために生きるものまで殺すというようなことではいけませんので、できるだけそこは同情を持つて、生きるものならどこまでも生き通せるというようにやらせよいという金融相談的な意味でのめんどうは見ますけれども、一般の中小企業の組織自体の指導は、中小企業庁に指導部というものもございまするし各府県では、地方の商工課の方々がそういうものを指導されておる面も非常に多いのでございます。
  117. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 実は私のところれも、そういう金を借りるという人が来たが、なぜそういう金を借りるのだ、国民金融公庫もしくは商工中金へ行つたらいいじやないかと言つて教えてやつて、名刺を持たして心配してやつてくれと言つたところが、三月も四月もたつても、わずか五十万か百万の金が貸せるとも貸せないとも何のあいさつもない、こういう話であつたから、それでは行つてやろうというので、私が行つて聞いたところが、資金がなくて貸せないのだと言う。じやなぜあいさつしなかつたか、できないならできないと言つてやればいい。それをそうやつてひつぱつておくのはどういうことだと言つたら――これはあなたの方ではない、金融公庫の方でしたが、金がないから調査しておると言うのですが、それではまるでどうやつたら断われるか、断わる条件を調べるために調査して、そして三月も四月もかかつておるということになる。もしこういう実情だとするならば、いくらこれを押えつけても、そういう方面に走らざるを得なくなつて来るんじやないか、そういう点から、こういうものに対して野放図にやれということではなく、早く回答してやる親切があつてほしいと思うのです。これは私どもからいえばあなたに対する質問というよりは、むしろ希望になるかしれませんが、どうかそういうことにひとつお願いしたいと思います。
  118. 島村一郎

    ○島村委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。――御質疑もないようでありますから、以上をもつて中小金融並びに類似金融に関する参考意見の聴取を終ります。  この際委員長よりちよつとごあいさつを申し上げます。参考人の方々におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席くださいまして、中小金融並びに類似金融に関し長時間にわたつていろいろと有益な御意見を開陳せられ、本委員会の議案審査の上に多大の参考となりましたことを委員一同にかわりまして厚くお礼を申し上げます。  なお委員諸君に申し上げますが、次会は明二日午前十時より開会することとし、今日はこれにて散会いたします。     午後四時四十四分散会