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1953-06-25 第16回国会 衆議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十五日(木曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 苫米地英俊君    理事 坊  秀男君 理事 内藤 友明君    理事 佐藤觀次郎君 理事 井上 良二君    理事 島村 一郎君       有田 二郎君    大平 正芳君       黒金 泰美君    藤枝 泉介君       福田 繁芳君    本名  武君       小川 豊明君    木原津與志君       久保田鶴松君    春日 一幸君       平岡忠次郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         大蔵事務官         (管財局長)  阪田 泰二君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         国税庁長官   平田敬一郎君  委員外出席者         検     事 吉田  要君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 六月二十四日  昭和二十八年度における特定道路整備事業特別  会計歳出財源特例に関する法律案内閣  提出第九七号)  特別減税国債法案内閣提出第九八号)  漁船保険特別会計における漁船保険事業に  ついて生じた損失を補てんするための一般会計  からする繰入金に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第九九号)  国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇三号) 同日  蓄音機針に対する物品税撤廃請願春日一幸  君紹介)(第一四八二号)  石油関税減免措置延期に関する請願堤ツル  ヨ君紹介)(第一四八三号)  同(春日一幸紹介)(第一四八四号)  同(勝間田清一紹介)(第一四八五号)  同(森清紹介)(第一四八六号)  同(加藤精三紹介)(第一五六八号)  同(小峯柳多君紹介)(第一五六九号)  揮発油税軽減に関する請願堤ツルヨ紹介)  (第一四八七号)  同(森清紹介)(第一四八八号)  同(中村三之丞紹介)(第一四八九号)  同(春日一幸紹介)(第一四九〇号)  同(勝間田清一紹介)(第一五六五号)  同(加藤精三紹介)(第一五六六号)  同(増田甲子七君紹介)(第一五六七号)  国有機械器具交換払下げに関する請願春日一  幸君紹介)(第一四九九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方公共団体負担金納付特例に関する法  律案内閣提出第一一号)  塩業組合法案内閣提出第一二号)  信用金庫法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三号)  小額通貨整理及び支払金端数計算に関する  法律案内閣提出第一四号)(参議院送付)  有価証券取引税法案内閣提出第二七号)  納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案内閣  提出第三一号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提  出第三二号)  富裕税法廃止する法律案内閣提出第三三  号)  一般会計歳出財源に充でるための緊要物資  輸入基金からする一般会計への繰入金に関する  法律案内閣提出第三四号)  登録税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三五号)  揮発油税法の一部を改正する法律案内閣提出  第三六号)  昭和二十一年度における一般会計帝国鉄道会  計及び通信事業特別会計の借入金の償還期限の  延期に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第四三号)  木船再保険特別会計法案内閣提出第五四号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六二号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六三号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六四号)  国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する  特別措置に関する法律案内閣提出第六五号)  国税徴収法の一部を改正する法律案内閣提出  第六六号)  造幣局特別会計法の一部を改正する法律案(内  閣提出第七〇号)  昭和二十八年度における国債整理基金に充でる  べき資金の繰入の特例に関する法律案内閣提  出第七一号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八三号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第八四号)  閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出  第九四号)  鉄道債券及び電信電話債券等に係る債務の保証  に関する法律案内閣提出第九五号)  昭和二十八年度における特定道路整備事業特別  会計歳出財源特例に関する法律案内閣  提出第九七号)  漁船保険特別会計における漁船保険事業に  ついて生じた損失を補てんするための一般会計  からする繰入金に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第九九号)  国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇三号)  国の所有に属する物品売払代金納付に関す  る法律の一部を改正する法律案参議院提出、  参法第一号)  社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第二八号)(予)  国有財産法等の一部を改正する法律案内閣提  出第四五号)(予)  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第四九号)(予)  金管理法案内閣提出第五五号)(予)  保険業法等の一部を改正する法律案内閣提出  第八五号)(予)  証券投資信託法の一部を改正する法律案内閣  提出第七八号)(予)     —————————————
  2. 千葉三郎

    ○千葉委員長 これより会議を開きます。  昨二十四日本委員会に付託されました昭和二十八年度における特定道路整備事業特別会計歳出財源特例に関する法律案漁船保険特別会計における漁船保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正下る法律案及び国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律の一節を改正する法律案の三法律案一括議題として、政府当局より提案趣旨説明を聴取いたします。
  3. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいま議題となりました昭和二十八年度における特定道路整備事業特別会計歳出財源特例に関する法律案外二法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  特定道路整備事業特別会計におきましては、道路整備特別措置法に基き実施せられる国の道路整備事業及び地方公共団体に対する資金貸付等に関する政府の経理を取扱つておるのでありますが、昭和二十八年度におきましては、その財源に充てるため、一般会計より二十五億円を繰入れることができることとしようとするものであります。  第二に、漁船保険特別会計における漁船保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  第十五回国会において成立いたしました漁船保険特別会計における漁船保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律によりまして、漁船損害補償法規定による拿捕抑留等事故保険事故とする特殊保険につき、昭和二十七年四月一日から同年十一月三十日までの間における漁船保険特別会計損失を補填するため、昭和二十八年度において、一般会計から五千万円をこの会計特殊保険勘定に繰入れることができることとなつておりますが、同年十二月以降引続き特殊保険保険事故が異常に発生し、本年三月までにさらに二千八百万円余の損失を生ずるに至りましたので、一般会計からの繰入額五千万円を七千八百万円に改めようとするものでございます。  第三に、国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案につきましてその提案理由を御説明申し上げます。  現行国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律は、昭和二十八年七月三十一日限りその効力を失いますので、八月一日以降におきましても、その効力を持たせるとともに、退職手当支給額勤続期間計算等について所要の改正をいたすこととし、この法律案提出いたした次第であります。  その改正の要点を申し上げます。一つ退職手当計算にあたり、恩給または共済給付相当額を控除する従来の方法は、事務上の手続も煩雑でありますので、これを癩止することといたしたのであります。また退職手当支給額につきましては、現行八割増の整理退職手当支給額改正法においても維持することとし、普通退職手当並びに傷病、死亡による退職等の場合の退職手当はおのおの整理退職手当の五割、八割程度とするとともに、整理退職手当とその他の退職手当との差を特に勤続期間の長くなるに従い縮めるようにいたしたのであります。  その二には、休職、停職その他現実に職務をとることを要しない期間が一月以上あつた場合には、その期間の二分の一を恩給法の例にならい在職期間から除算することといたしたのであります。  その三は、官吏俸給令による官吏に対する死亡賜金並びにこれに対応する雇用人に対する共済組合法による遺族一時金の一部を統合し、当分の間、死亡による退職の場合には、俸給月額の四月分に相当する額を死亡による退職手当に加算することといたしたのであります。  その四は、起訴中の退職手当の取扱いについての規定並びにその他必要な経過規定を置くとともに、保安庁職員給与法退職手当特例に関する規定等について、本改正趣旨に準じて必要な改正をいたした次第でございます。  以上がこの三法律案提案理由でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。     —————————————
  4. 千葉三郎

    ○千葉委員長 次に、本日の日程に掲げました三十四法案中、ただいま説明を聴取いたしました三法案を除いた三十一法案一括議題として質疑を行います。質疑通告順によつて漸次これを許します。内藤君。
  5. 内藤友明

    内藤委員 銀行局長にお尋ね申し上げたいと存じますが、今日日本建鉄、あるいは津上製作所などの不渡り手形の問題、並びにやみ金融のいろいろなごたごたした問題が起きまして、金融界はまことにどうも多事多難な様相を示しているのであります。極端な言葉を使いますることは慎まなければならぬのでありますが、あたかもパニツクの前夜のような感じが実はするのであります。大蔵省銀行局があるのかないのか、政府金融政策があるのかないのか、いささか私ども疑われるものがあるのであります。  そこで私は結論を申し上げますが、これは今まで少くない資金というものが消費方面に流れた結果が、今日のようなことになつたのではないかと思うであります。ジエサツプという人が、日本は妙なところであつて設備の改善をしなければならないところにまわすべき資金を、ビルデイングにまわしているということを述べているのであります。まさにその通りである。こういうことでは、私はこれから先の日本産業というものは思いやられるのでありますが、ここらで政府は、これは自由党の皆さんおられるので、いやなお気持を持たれるかも存じませんけれども、もう今日になりまして、この資金というものを野放図にほうつておくべきものでない、これはよほど考えて行かなければならぬという意味から、何か投資委員会のようなものでもおつくりになつて、もう少しこの資金というものを、日本産業にプラスになるようなところへまわるようにして行かなければならないのではないか。今日いろいろな問題の病源は、そこにあつたと私は思うのでありますが、これは銀行局長か、練達の政務次官か、どちらでもいいのでありますが、ひとつその通りかその通りでないのか、御返事をいただきたいと思うのであります。
  6. 河野通一

    河野(通)政府委員 御指摘のように、最近金融問題につきましては、いろいろ問題がありますことはお話通りであります。これらの問題につきましては、できるだけ適実方法でもつて解決をはかつて参らなければならないのであります。資金規正と申しますか、重点的な使用が非常に必要でありますことは、御意見の通りだと思います。従来からこれらの資金の問題につきましては、相当私どもやかましく言いまして、重点的な、効率的な資金使用ということについて、金融機関に対しては常に強力なる指導行つて参つてつたのであります。今後ますますそういう必要が痛感されることは、御指摘通りであります。大蔵大臣も先般の財政演説で申しておりますように、資金使用につきましては、今後一層重点的な、効率的な使用に意を用いて参らなければならぬと考えております。ただ問題は、そういつた重点的な資金使用をやつて参りまする方途として、何かここで直接に資金統制と申しますか、金融統制と申しますか、そういつた法的な規正を行うことがいいか悪いかにつきましては、私どもは、この際まだ直接的な金融統制まで行く段階ではないというふうに考えております。  なお今ビルお話等もありましたが、現在金融機関といたしましては、ビル、そういつたものに対する設備資金に融資を出すことは、抑制をするように強力に指導をいたしております。ただ間接にいろいろな形でビル資金が流れておることも、もちろんあるかと思いますが、これらの点につきましては、なかなか捕捉がむずかしい。これは裏から申しますると、やはり金融における一つの調整の限界というものが私はあると思う。ただ金融の面だけからこれらの問題を強く押えることによつては、たとえばビルをつくることか適当でないといたしました場合において、金融の面からだけでこの問題を解決するということは非常に困難な点もある。そうすれば、全体の産業政策として、これらの問題についてさらに統制を強化するかという問題になりますが、これは実は私の所管でもありませんので、この点ははつきりしたことは申し上げられませんが、おそらく方向としては、これらの問題についても、十分なる重点的な資材なり、あるいはそういつたものの使用を考えて参る方向に進まなきやならぬと思いますけれども、これらの問題につきましても、ただちに進んで資材とか、それらの問題の使用統制を法的に行うことがいいか悪いかの問題につきましては、現在の段階においては、まだ私は疑問があるのじやないかと考えております。従いまして今の段階におきましては、そういつた資金なり資材なりの重点的な使用ということを、できるだけ法の強制によらないで、そういう方向へ持つて行くというふうに配慮いたして行かなければならないのじやないか。それがためには、緊要なる産業合理化資金等につきまして、できるだけこれらを重点的に確保するように努力いたしますとともに、不要不急な資金使用につきましては、これをできるだけ抑制して行くというふうな方向で、今後とも強力に指導して参りたい、かように考えておる次第であります。
  7. 内藤友明

    内藤委員 重点使用の問題でありますが、また統制ということは悪いことである、そういうふうな段階ではないというお話でありますが、従来私ども大蔵省の皆様のいろいろなことを見ておりますと、こういう金融のことにつきましていつも発言なさるのは、日本銀行の総裁だけなのであります。あなた方から、これからの日本金融政策はこうするんだ、今日こういう状態だから、こういうこともしなければならぬのだということは、一言もお聞きしたことがない。一万田さん一人が汽車の中で——それは御連絡があるのかどうか知りませんけれども、ああいうことをおつしやつておられる。私はこういうところに大きな災いがあるんじやないかと思うのであります。今日の銀行やり方を見ておりますと、旧財閥——そんなものは今ないかも存じませんけれども、そういうところに比較的よけい流しまして、言葉をかえて申しますと、優良企業の方に流しまして——それはもちろん銀行側としましては、そうしなければならぬかとも思うのでありますが、しかしどうしても必要だというところへは、なかなか流れて行かないというふうなことが実はあるのであります。でありますから、将来大蔵省では、この金融の問題につきまして、今までのようなことでなく、ほんとう一つ腹を締めて御指導願わなければならぬのではないかと思うのであります。もしそれをなさらぬならば、銀行局はおやめになつたらいいと私は思うのであります。  それから次にお尋ね申上げたいのは、予算委員会預金のコストのことで大蔵大臣からいろいろ御答弁なさつておられたのでありますが、預金金利を引下げられないというのは、いろいろ原因がありましようけれども、私は大蔵省銀行に対する政策の誤りがここに現われて来ていると思うのであります。それは率直に申しまして、今日銀行やり方が非常にまずいと私は思う。銀行経営というものは非常にまずい。日活会館というのが日比谷の角にありますが、あの下だけにでも四つの銀行支店を出しているのです。日本の国はどこへ行きましても銀行支店がある。タバコの小売店よりも銀行支店が多いのであります。日本銀行支店で一ぱいになつてしまつて、つぶれて行くような状態になつておる。そういうことはほんとう銀行経営ではない。従つて金利を引下げようといたしましても、今日の状態では引下げられません。これをひとつあなた方の方で何とかお考えなさらなければ、私はいかぬのじやないかと思うのでありますが、やはり現状のまま、ああいう近くの隣合せに十でも二十でも支店をこしらえるんだ、そのままやるんだ、こういうお考えで依然としておやりなさるのかどうか。それをひとつお聞き申し上げたいのであります。
  8. 河野通一

    河野(通)政府委員 銀行店舗の問題でありますが、これは私ども非常にやかましく言いまして、現在配置転換その他で銀行の店、ことに大都市における店が非常に皆さんのお目ざわりになるように続出しておるという点は、従来から計画的に配置をやらして参つておりますし、絶対数においては、もうこれ以上ふやさないという方針をずつと前から堅持いたしております。ただ非常に新しいビルができたり、あるいは接収の関係で、従来あつた店が立ちのかなければならぬ。そういつた関係で、それにかわる店舗をつくるというようなことで、ある一部のビルデイングには、各銀行数行軒を並べるというようなことが実は起つておるのであります。問題は私はその程度問題だと思うのでありますが、今後におきまして、ことにあの丸の内あたり店舗につきましては、非常に強い増設の要望がありますけれども、現在のところでは、あと一、二配置転換その他で認める以外は全部押える、そういう方針で臨んでおります。
  9. 内藤友明

    内藤委員 押えるとおつしやつておられますけれども、裏から有力な人がちよつと来られますと、またふえると思うのでありますが、それは一応承つておきます。  それからこれは小さな問題でありますけれども、この間から問題になつておりました信用金庫法の一部を改正する法律案の名称の問題でありますが、これは貸金業法第三条には、貸金業者の業務は届出するということになつておりますが、そのときに疑わしいものがあればだめだぞというので、行政指導でやれるのですか、やれないのですか、それでやれますれば、こんなものをいまさら刺激するらしく出さぬでもいいと思うのですが、それで防ぎ切れないのでありましようか。
  10. 河野通一

    河野(通)政府委員 届出を受理いたします場合には、これが法令に違反しておる疑いがない限りは、受理いたすことが必要になつて参ります。いろいろ注意はいたすようにいたしましても、その名前をかえさせるということは、実は私どもとしては法的な根拠を持つておりません。従いまして昨日も申し上げたように、労働金庫等につきましては、できるだけ金庫という名前を使わないでもらいたいということを言つてつたのでありますが、これは事実として強制する方法がないものでありますから、現在までそういうことになつておる次第であります。これを弊害が起きておる現状から見ますると、やはり法的に禁止するという措置がどうしても必要になつて参ります。こういうことでこの法案提出いたしておる次第であります。
  11. 井上良二

    井上委員 国有財産法等の一部を改正する法律案に関連して、ちよつと伺いたい問題がございます。それは虎ノ門ニユーエンパイヤモータース自動車会社に今から四年ほど前に、いろいろなジグザグ・コースはありましたこの点管財局の方から御説明を願いたい。
  12. 阪田泰二

    阪田政府委員 虎ノ門公園土地につきましては、この国会決算委員会におきましてもいろいろと問題になりまして、御説明申し上げておつたのでありますが、この土地は元来内務省所管に属しておりまして、都に対して公園用地として貸し付けてあつた土地でございます。その後内務省廃止になりまして、引続き建設省所管をいたしまして、東京都に貸し付け東京都が公園用地として使用するという形になつてつたものであります。ところが昭和二十四年でありましたか、東京都がこれをニユーエンパイヤモータース会社に貸し付けまして、しかも今日ごらんになりまするような鉄骨の二階建の建物、そのほか地下タンクその他の設備をいたしまして、公園として貸し付けておりまするにもかかわらず、公園としての実態を備えないような状態になりました。大蔵省の私どもの方といたしましては、この事実を発見いたしましたので、二十四年以来、大蔵省といたしましては現状がそういうふうな貸付けの目的通り使われていない——目的通り公園になつておるならさしつかえありませんが、現状が、約六百坪余りを坪当り五円十銭で貸し付け、その後当時の進駐軍が立ちのいた関係があつて、その会社は全体で約一千百坪の敷地を現に使用しており、その中に鉄筋二階建の建物が建てられておる。ところが本年一月末に貸借関係期間が満了しておる。それが今日依然として明渡しもせなければ、立ちのきもせずに堂々と営業を続けておる。これは一体どういうことですか、この点管財局の方から御説明を願いたい。
  13. 阪田泰二

    阪田政府委員 虎ノ門公園土地につきましては、この国会決算委員会におきましてもいろいろと問題になりまして、御説明申し上げておつたのでありますが、この土地は元來内務省所管に属しておりまして、都に対して公園用地として貸し付けてあつた土地でございます。その後内務省廃止になりまして、引続き建物省所管をいたしまして、東京都に貸し付け東京都が公園用地として使用するという形になつてつたものであります。ところが昭和二十四年でありましたか、東京都がこれをニューエンパイヤモータース会社に貸し付けまして、しかも今日ごらんになりまするような鉄骨の二階建の建物、そのほか地下タンクその他の設備をいたしまして、公園として貸し付けておりまするにもかかわらず、公園としての実態を備えないような状態になりました。大蔵省の私どもの方といたしましては、この事実を発見いたしましたので、二十四年以來、大蔵省といたしましては現状がそういうふうな貸付けの目的通り使われていない——目的通り公園になつておるならさしつかえありませんが、現状はそうなつていないから、これは実態からいつて大蔵省に返還せられるべきものである、こういうことを申して参つたわけであります。いろいろと建設省東京都等と交渉いたしまして、その間会計検査院からも注意を受けるというような事態がありましたが、先般、本年の六月一日でありますが、建設省及び東京都におきまして、虎ノ門公園公園の指定を廃止いたす措置をとりまして、その結果として大蔵省の方へ返還しで参りました。それで大蔵省でこれの引継ぎを受けまして、現在は大蔵省所管普通財産ということに相なつております。それで返還を受けましたあの財産をどう処置するかにつきましては、法律的にも適法な処分でなければなりませんし、またいろいろな経緯があつたものでありまするから、適正で公正な処置をしなければならぬ、だれが見ても御納得の行くような、筋の通つた処置をしなければならないということで、ただいま慎重に検討中でございます。まだ結論を出すには至つておりません。
  14. 井上良二

    井上委員 期間満了までに、貸し付けた者と所有者との間で今後の貸付をするかしないかということについて検討されるということなら、これはわかるのでございます。ところが契約期間は一月に切れておる切れておるのに、今日まだこの政府の所有物件に対してどうするか検討中だというのは、それはどういうことですか。
  15. 阪田泰二

    阪田政府委員 東京都とエンパイヤモータース会社の間の貸付契約は、一月末に満了いたしまして、二月末までにあれを原状に復して返す、こういう契約になつてつたわけであります。原状に復して返せば、これを公園にするのであるからということで、今日まで大蔵省に対して返還とか引継ぎとかの措置がなかつたわけであります。それで、期限におきまして東京都がそういうような措置をとりまして公園にもどせば、私どもはそのまま東京都に貸し付けておけば、別段何らの措置をとる必要がなかつたのでありますが、東京都が契約通りそういう措置会社にとらせることができませんで、やむを得ず公園の用途を廃止したというような形になつてどもの方へもどして参つたのであります。私どもとしては、そういうようないろいろの来歴のある土地でありますから、そういう現在の実態に即した措置をとらなければならぬ、こういうことで、いろいろと慎重に検討いたしておるわけでございます。
  16. 井上良二

    井上委員 いろいろと検討をせにやならぬというたつて、問題は東京都との間の契約が切れてしまつておる。それが公園用地であろうと他の用地であろうと、一応契約が満了して、その物件の所有権というものが国に、はつきり責任の所在が移つておるのです。そうすると現在はまつたく何らの契約なしに、不法占拠をしておるのであります。これをあなたの方は不法占拠と認めないのですか。
  17. 阪田泰二

    阪田政府委員 不法占拠といいますか、何といいますか、現在の状態といたしましては、国がエンパイヤーモータース会社とあの土地の貸付契約を締結しておるわけではありません。無契約の状態のまま、あの会社が現実にああいうような建物をあそこに持つている、こういうような状態になつておるわけであります。そういうような非常にむずかしい法律関係にある状態になつておりますので、それを解決するためには、今後十分に法律的な問題も検討してかからなければならないと私どもは考えております。
  18. 井上良二

    井上委員 どういうわけで、そんなにむずかしくものを考えるのですか。問題はあなたの方が、しからば東京都から公園の用地ということは取消して、その財産の引継ぎを受けた場合、当然契約期間が満了している現在においては、立ちのきの成規の手続をとりましたか。
  19. 阪田泰二

    阪田政府委員 問題の土地につきまして、立ちのきの請求をするというような二とも一つの考え方でありますが、ただそういうような考え方をとるべきだということが、法律的に可能であるかどうか、いろいろ検討しなければならないのであります。その辺のところを十分慎重に、はつきりさせた上で、具体的の措置に出たいと考えております。
  20. 井上良二

    井上委員 現実に契約書によつて契約期間が定められて、しかも貸借条件がはつきりきめられて契約をされて、その契約期間が完了しました以上は、当然爾後再契約するか、それとも再契約すべきものでないというのならば、当然明渡しを要求すべきものである。要求せずにおくというのは、一体どういうふうに法的にもつれることがあるのですか。法律的にもつれるとか、ややこしいというのは、それは一体どういうことです。
  21. 阪田泰二

    阪田政府委員 この問題は、法律的に混乱がなく、簡単にやれる問題でありますれば、当然東京都が契約通り期限が来たときに立ちのきさせて、原状回復をした上で処置すべき問題であつたわけであります。東京都におきましても、処置がむずかしかつたために、やむを得ず公園の用途を廃止して私どもの方に返して参つた、こういうような関係になつております。むずかしい点につきまして、いろいろと法律的にいいますると問題がありまして、まだ検討中でありますから、具体的には申し上げかねますが、たとえば借地権が存在しておるかどうか、こういうような点につきましては、一番慎重に検討してみなければならない、こういうふうに私どもは考えております。
  22. 井上良二

    井上委員 あなたは管財局長さんでしよう。あなたは国有財産を責任を持つて管財をせねばならぬ立場におる人で。その人が、何か民法上またその他の法規上——当然これに基く契約がされております場合は、これは一応われわれも法を守るという立場から、相手方の意向も十分聞いて、円滑な解決へ持つて行くということが妥当であると思います。ところが現実に、何らその会社といずれもが再契約をしたことはありませんし、契約に対して何らの条件は入つておりません。入つていない今日、あなたが管財局長としてこの問題を考える場合は、当然一応正式な文書で明渡しを要求すべきです。要求をせずに、何か相手方の利益を守るようなジクザグ・コースをたどつて、契約が切れてからまさに半年たとうとしているのです。あの一等場所をただで貸しておつて、一体あなたの責任は果されますか。いかなる理由があろうとも、そういう無謀なことは許されませんよ。あなたの職権によつてそんなことはできませんよ、国の財産は法律規定してあるのですから。国の財産はあなたのかつてな考え方で、あるものは延ばし、あるものは取立てを厳重にするというようなことが一体できますか。だから、あなたが一体何ゆえに無届で占拠しておるものを、何らの賃貸料金もとらず、新しい契約もせず、貸しておかなければならぬ理由があるのですか。この事件では、あなたもすでに御存じのように、会計検査院の者がこの会社に買収されて、ある者は十何万円の金をとり、ある者は十何万円をとり、二人の涜職者を出しておるのです。そういうまつたくむちやくちやな会社を相手にしておつて、それであなた方はこういうことでえんえんと日を延ばして、何らこれに対する対策を今日に至るも立てていないということでは、疑惑は一層深まります。そういうべらぼうなことはありませんよ。もつとはつきりしなさい。はつきりしなければ、あなたの責任を追究しますよ。はつきりしなさい。
  23. 阪田泰二

    阪田政府委員 大蔵首におきましては、会社の利益をはかるとか、そういうようなことのために処置を遷延している、こういうようなことは絶対にありませんから、はつきり申し上げておきます。それから半年も処分を遷延しておつた、こういうお話でございますが、これは御承知のように、建設省所管の財産なのでありまして、東京都がこれを借り受けて会社に貸しておつたわけであります。それで会社と交渉して、契約通り返さずべきを返さず、しかも大蔵省にも引継がずに今日まで持つてつてつたわけでありまして、私どもの方が東京都から返還を受けましたのは、六月一日のことであります。半年も処置を遷延しておつたことは絶対にございません。それで私どもといたしましては、かような問題のある土地でありまするから、公正にこれを処置したいということで、十分に慎重な研究をいたしたい、かように考えておるわけであります。それから契約関係がない、契約もしてないものを、どうしてそのままやつておるのかというお話でございますが、契約がございませんでも、具体的にああいう土地に、堅牢な半永久的と見られる建物その他の施設がなされておる、こういう事実に基き発生するような法律関係につきましても、十分検討しなければならぬと思います。ただ契約がない、こういうことだけで簡単に法律的な措置がとれるものではないというふうに私は考えております。
  24. 井上良二

    井上委員 あなたは何か言葉を非常に持つてまわるのですが、これが建設省所管であろうと、東京都の所管に移つておろうとも、このもの自身は国のものでしよう、これは国のものと違うのですか。国のものでないものを、あなたの方に所管がえをして来はしますまい、そうじやないですか。その土地使用収益等についての一応の行政的な管轄は、建設省がやつたり、東京都がやつてつたけれども、財産権は国のものでしよう。そうじやないですか、私はそうだと思う。そうじやなかつたら、あなたがこれを引継ぐわけはない。そういう見地から考えて、現に会社の利益をちつとも代表していないと言うんですけれども、あの一千坪に余る土地を、一文の金ももらわずに使わしておつて会社の利益を守つていないと、そんなことが言えるのですか。一等地ですよ。現実にあすこで会社に営業をさして、堂々と仕事をさしておるじやないか。それで何らの使用収益もとつていないじやないか。それで会社の利益を守つていないとどうして言えます。相手は民間の営利会社ですよ。そんなあなた、たけだけしいこと言わぬとおきなさい。実際のところ、結果はあなたのところが利益を守つていることになつているじやないですか、そういうことをお考えになりませんか。そうして財産権のはつきりした責任は、大蔵省じやないですか、その点をはつきりしてもらいたい。
  25. 阪田泰二

    阪田政府委員 もちろんお示しのように、この財産は国有財産であります。ところが国有財産の管理が当を得ていないといいますか、公園とするために東京都に貸しつけた、しかるにその目的通り使われていない、こういう国有財産の管理として不適当な、目的外に使われたという状態がありましたために、これを是正するという意味で、その第一段として、その実態に従つて大蔵省に返してもらうべきである、こう主張をいたしまして、それが六月一日に実現した、こういう形になつておるわけであります。私どもといしましては、これからこの国有財産の処置を軌道に乗せる、正当な処置をするための手続をとりたい、こう考えておるわけでありますが、その処置が今日きまつておりません。まだ具体的にこういうふうな処置で、こういうふうにするからということで御了承を得ることができないのは、はなはだ残念ですけれども、その辺のところは御了承願いたいと思います。
  26. 有田二郎

    ○有田(二)委員 関連して。私は与党の委員として、管財局長の話はまことに心外だと思う。大体六月一日にこちらへ移管されたことは、今の御答弁でわかりますけれども、このこと自体は、以前からはつきりしておる。六月一日に移管されたら、ただちにどういう手を打つべきであるかということは、管財局において十分検討されていなければならぬはずのものである。しかるに、今日に至つてもなおそれが検討中であるというような御答弁を承つたんでは、われわれとしても納得することができぬ。いやしくも公園という使用目的のために許されておつた土地を、東京都がそういう方向に持つてつたということは、東京都の大きな責任であつて、これを追究することはもちろんでありますが、本委員会としては、とにかくまず管財局が、六月一日に、国に、大蔵省に移管されたその日にただちに何らかの処置をとつて、そうしてそれから後に向うとどういう話合いをしようとも、今日までほうつておくということは、私はこの事態は許すことができないのである。私は、管財局には相当の役人がたくさんいて、そういつたことを日夜検討し努力しておられるものだと思うのでありますが、それが六月の一日に国に返る以前から、大体いろいろな問題があつたことははつきりしている、六月の一日に移管されたら、ただちに立ちのきの手続を、法的な措置をとつて——それからあとに向うとまた話合いがどうなろうとも、そういう措置がとられていないということは、私は管財局長の責任であると思うのですが、御所見を伺いたい。
  27. 阪田泰二

    阪田政府委員 お話のように、確かに六月一日以前からこれは非常に大きな問題になつてつた事件であります。私どもといたしましても、もちろんその前からこれを返させて、その上でどう処置すべきかということは、いろいろ検討しておりましたわけです。具体的に私どもの方の内部におきましても、いろいろの案をすでに考えております。しかし、内部事情を申し上げるわけでありますが、大臣も後迭されまして、実はまだ大臣にも、十分にこの関係の経緯を御説明する機会がないような状態であります。私どもの方で事務的に考えておりまする案を、ただちにこれが大蔵省一つの意見であるというふうに、ここで責任をもつて申し上げることができかねますので、その辺のところを、大蔵省としてはつきりした意見を申し上げる時期に至りますまで、はなはだ恐縮でありますが、御了承願いたいと思います。
  28. 有田二郎

    ○有田(二)委員 はなはだ恐縮でありますがと、そう折れて出たら話がわかる。今の井上委員に対する管財局長の答弁というものは、大蔵省は悪いことはしておらぬ、そういうまるつきりけんか腰な答弁ではないか。われわれ同じ大蔵委員の一人として、管財局長の答弁にちよつと納得しかねる。今申し上げたように、六月一日に移管されたときに、だだちに立ちのきの法的措置をとるのが妥当であつて、それをとつていなかつたということは、何としても大蔵省の手落ちであります。私はさように解釈します。そこで、おそらくそうであろうということも、管財局長もお考えであろうと思いますから、すみやかにこれに対する措置をおとりになつて、そうして他の委員からのお話になることに対して、十分にお答え申し上げるようにしなければ、ここでああでもない、こうでもないとやつていたら、口ごたえになるだけのことで、手落ちは何としても管財局にあると私はかように考えておる、すみやかにこれに対する適切な措置をおとりにならんことをお願いして、私の質問を終ります。
  29. 春日一幸

    春日委員 折れて出れば話がわかるという、こういうことでは問題の解決ができぬと思う。たとえば脱税者が発見された、その脱税者がまことに済みませぬと言つたら、大蔵当局はその脱税者を容赦するかというのです。有田委員は、体裁のいいことを言つて仲裁したような形になるが、われわれはこれを受取ることはできない。そこでちつとお伺いをしたいのでありますが、大体建物は無届で建築がされておると伺つております。少くとも大蔵省東京都に貸したときには、公園として貸した。ところが公園としての用途目的に沿わないで、そこへ鉄筋コンクリートの建物がまさに建とうとしておる。このことは、東京都内においてあなたの方にわからないはずはない。そういう事実自体を見のがしておつて、本日こういう問題を巻き起して来ておる。このことは、あなた方がやはり国有財産を管理する立場において、職をむなしくしたか、あるいは職を汚したか、ての二つのうちの一つであります。こり責任はあくまで追究されねばならぬと思います。それからもう一つ問題になることは、ただいまあなたは、こういう事実に基き発生した法律関係を調査しなければならぬと言われるが、どういうような違法な事実でも、その事実が発生したならば、それに対してどういう処置を講じて行くのであるか、たとえばこの問題なんかにつきまして、一体こういう不法に建築されたものを合法化することのためのどういう法律関係の調査が必要でありますかこの点をちよつと伺つておきたい。
  30. 阪田泰二

    阪田政府委員 建築関係につきましては、東京都が会社に貸付をいたしまして、東京都で措置をいたした事項であるわけでありますが、無届の建築というようなものではないわけであります。東京都は、あの土地にこういうような鉄骨の二階建の建物を建築することを認めて、建築許可もしで建てたもののようであります。そういう限りにおきましては、あの建物は、その関係だけを見れば、適法に契約通り建てられておるわけであります。その契約をしたこと自体が、東京都が現在貸付を受けた目的に反しておるではないか、こういうことは考えられるわけであります。そこで私どもといたしましては、さような関係は、当時は承知していなかつたわけでありますが、あそこにああいう建物が建ちましたことを発見いたしましたので、すぐにそのときに東京都、建設省に対しまして、注意をいたしたわけであります。
  31. 春日一幸

    春日委員 いつごろですか。
  32. 阪田泰二

    阪田政府委員 これは二十四年の六月ごろと記憶します。建物が建ちました直後気がつきましたので、これはもはや公園としての形態を備えていないではないか、一営利会社が占用しておる形になつておる。従つてもう公園ではないから返還すべきであつて、適切な措置をとるべきである、こういうことを東京都、建設省に申し入れております。その後やはり交渉に手間取りまして、今日まで延びて参つたわけでありまして、まことに遺憾に存じておる次第であります。
  33. 春日一幸

    春日委員 二十四年の一月に違法に建築されておる。それから貸付目的に反した用途に供せられておる。これがわかつており、しかもそのことを注意し、勧告したとかなとかいうことであるが、これに対して東京都の方は、その注意に従つて全然処理を行つていないわけであります。少くともあなた方の方は、国の権威において、あるいはまた管財局の責任において、そういう執行をして、相手がそれをてんで問題にしていない、そういうものを数年間にわたつて見のがしておる。こういうことは、少くともあなた方が弱い納税者たちに対して、脱税とか滞納とか、そういうことがあつて、滞納の催促をした、そうしてこれが四年間もほうつておくと、これを差押えて、競売にしてしまう。強い者にはなまぬるいが、弱い者には手きびしい。こういう管財局方針大蔵省の行政方針というものは、断じて許されるものではない。あなたは責任をとつて辞職しなさい。
  34. 井上良二

    井上委員 ただいま有田君や春日君からいろいろ御質問がございましたが、私としても、まだ納得の行かぬところがあります。第一は、過去の経過がどういう複雑のものでありましようとも、これは大蔵省がタツチして、仲立ちをして話を進めて来たものでありません。大蔵省東京都に貸し付け東京都とその会社との関係であり、また建設省との関係でありまして、大蔵省としては全然関係をしていないわけであります。従つて大蔵省としては、財産をそのまま引継いだことになりました以上は、白紙でよいわけです。そこで正式に立ちのきの公文書を出すべきである。立ちのきの公文書を出し得ないのはどういう理由なのか。その理由を具体的に御説明願いたい。これがわかりませんと、これを待つてつてよいものかわかりません。あなた方が当然公文書を出さなければならぬのに出せないというのは、どういうところに法的根拠がありますか、これを承りたい。
  35. 阪田泰二

    阪田政府委員 ただいまの問題につきましては、先ほどから御説明申し上げておる通りのことでありまして、立ちのきの要求書といますか、立ちのきの命令といいますか、そういうものを出さない、出すつもりはないと申し上げておるわけではありません。その点について今検討しているわけであります。
  36. 井上良二

    井上委員 検討するというのはどういうことですか。契約ができていないのに、前者が不当な貸付をした。従つてこの際大蔵省が引継いで契約を更新して、貸すか貸さぬかということを検討するというのならば、意義があると思いますが、相手がやはりりつぱな会社として営業しておる以上は、そこを明け渡せばただちに困りましようから、そういう契約期間内における契約更新その他についての検討をせられるということについては、それは意義があると思います。ところが契約が満了しておるのに引継いたのですから、従つて相手には何ら権限はないのです。それを、あなたがことさらに立ちのき命令を出すか出すまいかということで検討する理由が、わしらにはわかりません。そういうことをしておくから、この問題に対していろいろな疑惑を持たれるような種を、あなた方みずからがお巻きになつておるのではないかと思うのです。従つて、まだこの問題は大臣にさえも報告してないというお話でありまして、大蔵省として、何ゆえにあなたの手元でこんなに握つておかなければならないのか、そこに大きな問題があるのです。だから、この問題については、少くともただちに処置されることにならうと思いますが、至急に結論を出されて、いかなる処置をするかということについては、本委員会にあなたから正確に報告を願いたい。本委員会へのその報告によつて、われわれはまた意見を申し上げることにいたしますから、さようとりはからつてもらいたいと私は希望しておきます。
  37. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 先ほど井上委員からもいろいろお話がありましたし、春日君も言つておりましたが、われわれが非常に残念に思いますのは、こういうような強いものだと、大蔵省は手をつけぬ、弱いものだと、選挙区の人でも、税金を納めないと全部競売するということが盛んにやられているわけです。こういうような大蔵省やり方が、非常に大衆にいろいろな不満を与えておるわけです。こういう点について、われわれは実は大蔵大臣に意見を聞きたいのでありますが、きようは政務次官が来ておられますから、愛知政務次官はこういう問題について、片方においては、一般大衆の弱いものはどんどん執達吏が来て、あるいは封印までするのに、一方には東京など、しかも近いところにおいて、こういう大きな会社だと、ビルデイングを建てさせても平気で見過そうとしておる。こういう思想をどこまで大蔵省の責任者は考えておられるかという御説明をお願いしたい。
  38. 愛知揆一

    愛知政府委員 この虎ノ門公園の問題につきましては、先ほど来いろいろ管財局長からも御説明いたしたわけでございますが、率直に申し上げまして、六月一日に大蔵省所管がえになりましてから、その後どういう措置をとつたかということにつきましては、先ほど有田委員からお話がございました通り、その以後の大蔵省やり方、あるいは遷延しておることにつきましては、まことに遺憾でございまして、この点は委員の方々の御意見がごもつともだと思います。そこで実はたいへん遅くなつたのでありますが、昨日大蔵省としては省議を開いて、そして大臣に主宰をしてもらつて、これからの措置というものを、はつきり納得のできるような、筋の立つような結論を得たいと思いましたが、たまたま国会開会中でありますために、いろいろと往事に追われて、昨日その省議をするに至らなかつたのでありますが、すみやかに今明日中に大蔵省としては最高の方針を決定いたしまして、報告を申し上げたい、こういうふうに考えております。
  39. 千葉三郎

    ○千葉委員長 ちよつと一言申し上げますが、大蔵当局の方におきましは、すみやかにこの問題の結論を出して、本委員会に御報告をされんことを望みます。
  40. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もうひとつ管財局長にお尋ねしますが、これがたまたま東京都内に起つたので、こういうことがわかつたのでありますが、こういうような事件は、あなたの監督下にある国有財産の中に、あるいはあるのではないか、そういう点についてはつきりと、係争中のものがあつたら聞かせていただきたい。
  41. 阪田泰二

    阪田政府委員 国有財産関係につきましては、いろいろ国有財産を処分いたしましたり、貸付をいたしました関係におきまして、やはり遺憾でありますが、その売払いの目的通り使われていなかつた、用途をきめて貸し付けたものが、ほかの用途に使われておつたという事例がたまたまございます。さようなことにつきましては、やはりそれぞれその実態に応じて、是正するような措置をとつて来ているような次第であります。
  42. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それでは、最近のそういう処分された問題、あるいは係争中の問題、そういうものをひとつ統計に表わして、資料として大蔵委員会提出していただきたい、それだけお願いします。
  43. 有田二郎

    ○有田(二)委員 関連して。管財局長に今資料の要求がありましたが、由来管財関係のものは、終戦後旧陸軍、旧海軍の軍人、軍属の人が、そのまま財務局所管に移管された方が相当あるのです。その中には非常にまじめな方もおられるのでありますが、えてして間違いを起される方もある。これらの問題が、終戦後今日までいろいろ管財関係に問題のあつたことは、局長も御承知の通りであります。こういう点は十分念頭に入れて、そうして今他の委員から御要求がありました点を、資料として要求いたします。
  44. 井上良二

    井上委員 次に、信用金庫法の一部を改正する法律案に関連をいたしまして、先般来庶民金融の問題について政府の所見を伺つて参りましたが、庶民の最近の金融梗塞の関係や、なおこれに関連して正規な、法規の規定に従わないまぎらわしき金融業務を行つておりますものが、最近非常にふえて来ていることは、皆さんも御存じのことと思いますが、特にこのうちで、商法に規定してあります匿名組合の規定を利用いたしまして、保全経済会等の金融機関が新しく生れております。この問題については、すでに当委員会においても、たびたび議論がされて来たそうでありますが、この際匿名組合により、大衆から預金を、特定の人の出資という名前で集めまして、ある一定の期間を切つて高利の配当をやつているといいますか、そういう問題について、この法の解釈について、特に法務省の民事局の方に伺いたいのであります。商法五百三十五条から五百四十二条の匿名組合の規定と、同じく商法に規定してあります合名会社、合資会社等の規定、これは一体どう区別をいたしますか、この区別についての解釈を願いたい。
  45. 吉田要

    ○吉田説明員 合名会社、合資会社と匿名組合との区別というお話でございますが、合名会社は、無限責任社員だけからでき上つている会社でありまして、これは匿名組合との区別は明瞭であろうと思います。  合資会社と匿名組合との区別でありますが、合資会社は、無限責任社員と有限責任社員とからなつておりますが、これは実質的に申しますならば、匿名組合とかわりがないのであります。と申しますのは、無限責任社員というのは、結局営業者でありますし、有限責任社員というのは、出資者であるからであります。しかし一方は、法人の形態をとつているのでありまして、一方は契約の形態をとつている、それだけの違いがあります。これは歴史的に申しますならば、本来同じところから出ているものでありますから、実質的に同じになるのは当然なのでありますが、ただ一方は、匿名組合の方は、営業者だけが表に出て、出資者は裏に隠れているという性質のものであります。それから合資会社の方は、営業者と出資者が共同して営業を行うというような性質のものであります。従つて、そういうような関係から、一方は法人となり、一方は組合ということになつて来たのであります。ですから、匿名組合の方でありますと、営業者だけが商人ということになるわけであります。
  46. 井上良二

    井上委員 匿名組合というものの、今あなたが御説明をしております通りの性質から考えまして、特に営業者を責任者として、一つの組合をつくり、それに共同出資をするということに形式はなりますが、その場合に、全然顔も知らなければ、その人の過去の閲歴、資産、信用等も全然知らない者が、他の有利な条件を誇大に宣伝することによつて出資を求めるという場合は、匿名組合としての性格とは大分異なると考えますが、そうはお考えになりませんか。
  47. 吉田要

    ○吉田説明員 匿名組合は契約でありますから、全然知らない人と契約するということは不可能なのでありまして、契約をするときには、すでに知つているわけであります。それで今お話になりましたような、大衆を相手に匿名組合形式のものを締結することがどうか、これが匿名組合といえるかどうかということは、はなはだ疑問なのでありまして、何と申しましても契約でありますから、お互いがどういう話合いをしたかということできまつて来るわけでありますから、ただ利殖をはかることが目的で出資をさせるということだけで、ただちに匿名組合といえるかどうかということは、何とも申し上げられないだろうと思います。
  48. 井上良二

    井上委員 この民法の匿名組合の規定は、今あなたが御説明通り、特に自分が信用し、この人に出資したものをまかせておけば、相当の営業実績をあげて、うまくやつてくれるであろうという、その間には日ごろのその人の人格なり信用なり、社会的ないろいろな諸関係を考慮された上で出資契約が成り立つと思います。これがほんとうであろうと思うのであります。従つて、その範囲は非常に限られたものでなければならぬという解釈が正しいのではないかと思います。ところが、さきにも申します通り、新聞雑誌等に誇大な宣伝をし、しかも月何分という利子を支払うということを一つの広告の大きな魅力に使つて、ふだん何ら知己、縁故、取引の関係のない者から出資をせしめておる。これは明らかに匿名組合の規定に違反した行為であろうと思うが、そうは解釈できませんか。
  49. 吉田要

    ○吉田説明員 匿名組合というのは、営業者を信用いたしまして、その信頼に基いて出資をするという性格を持つたものであることは、申すまでもないことだろうと思います。ただ、そういうものでありますから、多数の者との契約に適しないということは、言えるだろうと思います。しかし、それが全然不可能とは言い切れないのじやないかと考えております。ただ、現在行われているような匿名組合形式のものが、はたして匿名組合かどうかということになりますと、個々の契約について当つてみなければわからないわけなのです。あるいは、中には匿名組合もあるかもしれません。ただ多数の人と一つの匿名組合契約を結ぶとしますれば、多数が同時に匿名組合員となるという方法によるか、あるいは個々別々に匿名組合契約をするということになりますれば、その都度計算関係が違つて参りますから、事実上不可能じやないかというふうに考えられるわけであります。
  50. 井上良二

    井上委員 匿名組合の規定によつて出資契約をいたします場合は、当然その事業内容なり、またその事業がうまく行くという一つの見通しの上に立つて、その主宰者を信用して出資されるということが、私は普通の常識上の行為でないかと思います。ところが、全国津々浦々に支店、出張所を設け、その事業内容に至つてもほとんど何ら示すことなく、単に何万円出資すれば、二箇月お預かりをいたします、そうしてその利子は何分お払いいたします、そういうことが主として契約の条件になつている。事業目的というものは、全然明らかにされておらぬ。単に出資した金額に対して、二箇月間を限つて何分の配当をいたします、何分の利益を差上げますという契約が、主としてその出資者を募る場合の条件にされております。そういうものが、はたして匿名組合といえるかどうか、こういう問題がここに起つて来ます。こういうように、現実に匿名組合の制定をいたしました精神をはるかに逸脱した行為が、平気で行われておりますが、もしそれほど大きな出資者が、全国津々浦々にわたりますような広汎なものになつて来ましたならば、当然それは株式会社の組織にかえるとか、あるいはまたは他の組織にかえるとかいうことの方が、私は商法規定の合理的なやり方ではないかと思います。民事局は、そういうふうにお考えになつておりませんか。そしてまたそういう逸脱された、非常にこれを悪用したやり方に対して、これを脱法と認めませんか。
  51. 吉田要

    ○吉田説明員 先まどの答弁に補足さしていただきまして、あわせて御答弁申し上げたいと思います。先ほど商法違反ではないかと言われたのでございますが、大体商法の規定は、その具体的な契約が匿名契約であれば、商法の五百三十五条以下の規定を適用するというだけでございますから、商法違反というような問題は起きて来ないわけでございます。その契約が五百三十五条以下の匿名組合に当りますならば、その上で実際にやつて行くことは、商法の規定に違反することになる、ということは考えられるわけです。しかしその場合でも、結局は債務不履行という問題になるわけでございますから、それを、たとえば商法違反であるから刑罰をかけるというようなことは、起つて来ないわけです。そこで、大衆を相手に匿名契約を結んだとしますならば、そういうことは可能かどうか。ということは、つまりかりにそれが匿名組合だつたとしますならば、五百三十五条以下の営業者の義務というものが履行できないようなことになるだろうというふうに考えられるだけであります。従つて商法上といたしましては、その場合債務不履行が出て来るのではないかということが考えられるだけでありまして、これを取締るかどうかという問題になりますと、ちよつと私の方の関係ではございませんので、ここでお答えいたしかねるわけであります。
  52. 井上良二

    井上委員 私は、法の議論をここでするつもりはありません。ただわれわれ常識的に判断をしました場合、匿名組合といいますのは、ごく少数の信用され信用した者の間につくるものが、大体匿名組合ではないか。それからさらに今度は大きくなりました場合に、合資会社ができ、合名会社ができて行く。さらにそれがまた発展して株式会社の組織にかわるということが、大体普通やられていることじやないかと思うのです。そういう商法に規定してあります資本の集め方や、商行為の責任の分担等についての規定を全然踏みにじつて、ごく小範囲のお互いの間の責任と信用上につくる匿名組合をもつて、全国的な組織にこれを持つて行く。そしてそれは、ほんとうのその組合の営業の内容その他は秘密にして全然わからない。単に、出資した者に対しての金利を払うという契約だけで金を集めておる。こういうことになつて来ますと、この商法の匿名組合の規定はまつたく意味をなさぬ。従つて匿名組合というものについて一定の制限を設けるといいますか、たとえば三十人なり五十人なり、ごく小範囲の人に限るというような、制限規定を設けるということにすることが必要でないか。これが善意に解釈され、善意に利用されておりますならば、われわれ大いに関心を持たなければなりませんが、これが運用されておるという弊害が一方に出ております以上は、この問題に対してもつと真剣に検討すべきじやないか。こういうふうに私どもは考えておりますが、さようにあなたの方ではお考えになつておりませんか。この法に対する改正の意思ありやいなや。改正しなくてもこれでいいとするのか。そういう逸脱的な行為が平気で行われておるものが最近たくさん出て来ておりますが、これがまたいろいろな国の行政の上に非常な支障を来しておる現実を見た場合、このまま放任しておいてはならぬと思うが、あなた方民事局としては、これをどう解釈されておるか、伺いたいと思います。
  53. 吉田要

    ○吉田説明員 匿名組合契約というものが、少数の当事者間に契約される。従つて多数の者を相手とするような匿名契約というものは、ほとんどあり得ないということは、仰せられる通りだと思います。商法がまさしく少数の出資者ということを頭に置いていたのだろうということは、これはもう考えられるところであります。しかし何と申しましても、この五百三十五条の規定は、ただ営業者の営業というものを別段限つておるわけではないのでありまして、いろいろな営業を目的とするものがあると思います。そういたしますと、これを、出資者は何人でなくてはならないというふうに限つても、この標準をきめられないのではないかと考えられます。それからまた、大体現在行われておるものがはたして匿名組合かどうかということは、非常に疑問であります。もちろんその契約者のうちで、これは匿名組合であつても、この商法の匿名組合を十分に心得ていて、そうしてこれは匿名組合であるという意思でお互いに契約をしたとしますれば、これはまさに匿名組合だろうと思います。しかしそういう意思でやつたかどうかということは、これは個々の具体的な契約を見てみなければわからないのであります。全体として、これを匿名組合と見ていいかどうかということについては、はなはだ疑問なんじやないかと思います。契約でありますから、非常に多数の契約があるわけなのでありまして、どれか一つだけをつかまえて、性質はこうだというわけには行かないのではないかと思います。従つて、そういう特別な事態に対しては、特別立法をするということは考えられましようけれども、商法一般を改正するという必要はないのじやないかと考えます。
  54. 井上良二

    井上委員 これが常識的に考えて、少数の信用され、信用しておる者の間に匿名組合をつくつて、商行為を行うという契約を結ぶことについては、私ども何ら問題はありません。それがはるかにその規定の考え方から逸脱して、大規模な組織でこれが運営されるということになつて来た場合に、営業上の特定人の責任というものも非常に大きくなつて来ます。十人の場合と百人の場合と一万人の場合と五万人の場合とでは、非常に違つて参るのでございます。そういうことからしまして、非常な広範囲にわたる場合は、合資会社なり株式会社の組織の方がいいということになつておるのではないかと思うのです。そういう点から、現実にこの規定が悪用されて、今申すように、この規定によつて多数の人と契約をしようとする行為が行われて、このために非常な弊害を至るところに生じておるわけです。私は、商法全般に対しての改正をとやかくは申しませんが、少くとも匿名組合の規定がそういうふうに悪用されておる現実から考えて、この匿名組合の規定をさらにもつと整備するといいますか、たとえば、合資会社と株式会社との相違点等についても、もつと明確に規定した方がいいのではないかと思いますが、そうはお考えになりませんか。
  55. 吉田要

    ○吉田説明員 この匿名組合に関する規定は、当事者の意思解釈規定でありますから、この意思解釈の基準として、一応の型がきめられてあるだけなのでありまして、契約は自由でありますから、お互いにどういうような契約をしようと、これは何ともいたし方がないわけなのであります。そうなると、ただ商法に規定された匿名組合にぴつたり合つたものだけに、この匿名組合の規定を適用するというだけのことなのです。逆に違つたものが出て参りましたときは、それに類したものがあれば、類推適用するということも出て参りましようし、全然違つて参りますれば、今度は別な規定を適用するということになるだけなのです。ですからこの匿名組合を、たとえば出資者を三十人に限るといたしますれば、四十人の出資者が出た場合には、また別な契約だというだけのことでありまして、それが無効だとかなんとかいうことにはならないと考えます。
  56. 井上良二

    井上委員 契約の自由の原則から議論をしますならば、あなたのようなことも解釈がつくかもしれません。ところが、契約の自由という一つの商法の精神から、匿名組合の規定が悪用されておると私は思つておるのです。匿名組合というものを何ゆえに商法に規定してあるのか。大体合名会社、合資会社、株式会社という規定を何ゆえに商法に規定してあるのか。その精神から考えて、当然その匿名組合の範囲というものは、またお互いの契約いたします信頼関係というものは、およそ限度がある。そして匿名組合には、営業者の責任の範囲においても、それぞれその限度がある。それが何万人も、全然顔も知らなければ、声を聞いたこともない者が、支店において、本人が全然顔も知らなければ声を聞いたこともない者に、自分の命より二番目の金を預けておるのじやないですか。そういう現実が起つておるのです。そういうことを、この組合の規定を利用してやつている。そこには税金もかけなければ何もしないということで、えらい問題になつて来ておる。だからそこをあなた方の方で、これは契約も自由であるけれども、その契約の自由が、非常に社会に大きな弊害を、この法の規定に基いて起しておるという事実を認めなければいかぬと思います。そうすると、この法に対して、他との契約をいたすいろいろな商行為の関係において、もう一応検討をやり直して行く必要が起つて参ります。それを契約の自由だから、それは契約の内容を一々見てみなければわからぬ、そう言えばこれはそうかもしれない。そういうことになつたのでは、いつまでたつても話ができぬ。だから全然見知らぬ人を信用して出資をします場合には、信用していなければ出資契約はいたしませんから、やはりその人を信用しているということでしよう。ところが、顔を見たこともなければ、声を聞いたこともないのに、ただ月何ぼの利子をやるからということで出資させておるわけでしよう。そういうばかなことがその規定によつて行われておりまして、これによつて弊害が生じておりますから、弊害が生じておる以上は、いかに契約の自由といえども、それを規正するということが必要であろうと思うのであります。そうでなければ、あなた方月給をもらつて判を押しておるだけでは困ります。それはあなた方は専門家だから、もう少し検討してもらわないと、こういうことをやられたのでは困る。のれんに腕押しみたいな議論を、いつまでやつてつてもきりがつかぬから、もう少し検討してもらつて、もう一度ここへ出直して来てもらいたい。
  57. 有田二郎

    ○有田(二)委員 国税庁長官に一言お伺いしたいのですが、予定申告なんかで、業態をお調べになつて、この業態は昨年度よりこのくらいの増収があつたろうという見当のもとに、各国税局が税務署に命じて、この業態は何割増しというような指導を内部でなさつておられることについては、私は異論がないのであります。しかし、第一線の税務署が納税者に対して、お前の業態は去年から何割増しだ、何割増しに予定申告して来いというような指導をなさつて、その結果われわれのところには、税率が少々下つても、結局は税務署の方で何割増しということで頭からやつて来るから、減税じやないと言つて来る。選挙のときにも、相当野党の諸君から攻撃を受けておる。そこでわれわれは業態を調べて、昨年の状態よりも本年の状態が、この業態は大体何割増し見当増収があるはずだというような御見当をつけることは、まことにけつこうであり、国税局内でそういう御指導をなさることも当然であつて、これを野党が攻撃なさることは当らないと思う。しかしながら、予定申告はさることながら、いよいよ決定のときになりましても、一旦決定した以上は一歩も引かないというような話を間々われわれは承る。国税局なり税務署内部の指導はけつこうでありますが、業者は千差万別であります。非常にもうかつているところもあれば、業態が悪くて、あるいはそこの家族が病気とか、特別の事情のために収入が非常に少いというような者も、間々あるのであります。ただ国税局、あるいは国税庁で御調査になつて、昨年度よりこの業態が平均して大体何割方の増収があるべきだという見通しはけつこうでありますが、税金の決定というものは、正しい所得に対して正しい税の決定がなさるべきものである。国税庁の指導に基いて、各税務署がその個々の実態を見きわめないで、収益のないところに、頭からお前のところの業態は何割増しで予定申告して来ない限り受付けないというようなことをなさいますために、われわれ自由党は、選挙において非常な不利な立場に立つた。しかしながら国税庁側の、昨年度よりも本年度はこうあらねばならぬという面に対しては、われわれは異存がないので、それはまことにけつこうだと思うのでありますが、第一線の運営の方法においては、私はまだまだ研究する余地があると思う。国税庁側から十の指令が出たら、それが末端において三十も四十も響いて来て、結局業者の中には、ある業態は非常によい業態であるにもかかわらず、特殊な業者については、個個の事情によつてそれだけの収入をあげていないことも間々あるのであります。それで、これらの指導が末端においてよく行われていないために、われわれは世間から非常な攻撃を受けておるという事態があるのであります。これに対して国税庁長官の御所見を承りたいと思います。
  58. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 お答え申し上げます。ただいまのお話は、予定申告に関するお話だと存じますが、予定申告に関しましては、大体前年の決定で行く、むしろそれ以上によくは出すな、ただ前年の事情が、いろいろな特殊の事情のために非常に低くなつておるという人が常態に復したために、むしろある程度高く申告していただいた方が確定申告の際にいいのじやなかろうか、こういう例外的な人の場合におきましては、ある程度前年の実績額以上に申告することを勧奨する場合がありますが、予定申告につきましては、前年よりも、少くとも推定でよけいに申告していただくということは、方針といたしまして、できるだけ避けるということにいたしておる次第であります。ただ今御指摘のように、所得の状況がどういう状況であるかということについては、常時調査をいたしておりまするが、申告の指導方法といたしましては、大体そのようにいたしております。  なお徹底していない面におきましては、その趣旨をさらに徹底させまして、十分善処するようにいたしたいと思います。今の有田さんの御意見は、まことにごもつともだと思います。さらに予定申告につきましては、あまり欲張つたことはやらない方がいい、むしろそれよりも早く片づけた方がいいというふうに、実は考ておる次第でございます。
  59. 有田二郎

    ○有田(二)委員 国税庁長官お話はよくわかりますが、長官は最近まで主税局長をしておられて、第一線の状態については、御研究になり、御検討になりつつあるところだと思うのであります。今までの状態というものは、末端において、国税庁の方から昨年度の業態よりも同割増しでなけれげならぬというので、どこでも第一線の税務署は、何割増しというような指導を強くいたしておるのであります。そのために納税者の方では、税率が下つても、とにかく税率が下つただけ今度は税務署の方で水増しをして来る、だから減税にならない、こういうような抗議をわれわれは受けておりますが、これについては、調査した結果、その業態が昨年よりもいいというものに対しては、正しい所得に対して正しい税金をかけることが、いわゆる税法の建前でありますから、私はいいと思う。ただ第一線の指導方針において、国税庁から何割増しといつて指導が来ておるから、何割増しでなければならないのだという線を強く押し通して行かれるところに、世間に非常な誤解を招いておると、私はかように考えるのであります。従いまして、私は何割増しという国税庁の指導はいけないとは言つてない、それは正しいと考える。しかしながら、納税者の個々の事情を十分参酌しなければならぬのでありまして、今までの国税庁なり国税局なり税務署は、人手も足りなかつたし、またいろいろな納税者の数も非常に多かつたが、最近減税に次ぐ減税によつて、納税者の数も非常に減つて来ておる。また調査も割合完成して来ておりまする現段階におきましては、個々の納税者の状態をよく調査して、かりに予定申告が一〇〇%であつて実態が八〇より収入がなければ、八〇の言い分を聞いてやるというような税務署の第一線の運営がなされなければならぬ。国税庁長官としては、当然そうなされておる、かようにお考えでありましようが、第一線においては、さように行われていないものが間々あると思います。そこに非常に不満があつて、全国的に問題を起しておるのでありまして、特にこの点、国税庁としては、それらの指導をやつていただくと同時に、前に申しました、昨年度より本年は何割増しだ、問答無益だというような税務署員がよくあるのであります。そういうことのないように、三年ほど前に本委員会において申したのでありますが、当時は主税局でありましたが、主税局から国税庁にかわりました当時から、大体税務署にはどの程度の割当が行つておるか、本委員会で尋ねますと、そういうことは絶対ないという。ところがわれわれが京都なり大阪へ参りまして調べますと、税務署の方では、国税庁側から割当が来ておりまして、いかんともいたしかたがないのであります、割当をまけていただく以外には、方法はありません、こういうような確たる証拠を持つて参りましたので、遂に国税庁側も折れまして、そういう方法をおやめになりましたが、なお今日においても大体予定の額、税務署が一年間にどれだけの納税ができるであろうかというようなものをとつておられまするが、そのとつておられる方向についても、私は無理のないように、国税庁長官として御指導を賜わりたいと思う。各税務署も国税局も、私が再々本委員会で申し上げるように、漸次よくはなつてつておりますが、まだまだその点ついては遺憾の点を見出すので、ひとつ十分国税庁長官において御検討せられたい。何割増しというようなことを、内部的にお話になることはけつこうでありますが、外部的に何割増しでなければいかぬということは通らない。正しい所得に対して、正しい税金がかけられるのがあたりまえであるが、不当なる税金がかけられることは、許されないことであろうと思うのであります。この点の御所見をぜひ承りたい。
  60. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 御趣旨は私どもつたく同感でございまして、ただ私、有田委員よりももう一歩実は考えておるのであります。予定申告につきましては、同割増しなんということは全然考えておりません。現に国税庁におきまして、ことしの予定申告の際におきまして、ことしの所得は去年に比べてどうなるだろうということは、実は一ぺんも議題に上つておりませんし、そういう会議もいたしておりません。これは、最近のように大体経済情勢が横ばいになつて来まして、それほどの変動はない場合におきましては、むしろ前年きまつた所得額で一応予定申告をしていただきまして、確定申告の際に、よく実績を調査いたしまして、それで確実な納税をしていただく、こういうのが一番いいのじやないかと実は考えておるのであります。ただその確定申告の際におきまして、さらに御指摘のように、前年度からの増加割合にとらわれ過ぎるという御非難を私もたいへん受けましたので、この点は、ことしはさらに一層注意いたしまして、そういう御非難を一掃いたしたいので、絶無とまでは行かないにしても、少くとも国会でおしかりを受けるようなことがないように、一生懸命勉強して行きたいと思います。前年の増加ぐあいを、実は確定申告前に新聞に発表してくれという御要望があつた。これは私はいかぬと思う。新聞に発表しますと、みなそれをもとにいたしまして、大体国税庁の見込みはこうなつておる、それで納税者に押しつけてしまうというのはいかぬ。従いまして、所得の調査並びに個別的な折衝にあたりましては、御指摘のように、まつたくその人の所得額を個別的によく調べまして、的確につかまえる、それを申告してもらう、そこで適実化をはかつて行きたい。なお中央の方針並びに国会でいろいろおしかりを受けた事情につきましては、特別に印刷物をつくりまして、税務署の課長以上、局の係長以上全部に趣旨を徹底するようにしておりまして、実は先般の委員会質疑応答も、第一線に通報いたしております。今後におきましても、中央の方針がさらに一線によく徹底するように努力いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  61. 有田二郎

    ○有田(二)委員 国税庁の方針を承りまして、安心いたしました。もう少し早く国税庁長官にしておけばよかつた。以前われわれは、何割増し増しといじめられて来たが、今の御答弁によつて、何割増しということを言う税務署員がおつたら、それはいけないことだということがはつきりしたので、私も安心いたしました。これの問題については、いずれあらためて国税庁長官の意見を伺いたいと思います。
  62. 島村一郎

    ○島村委員 ちよつと関連して。事柄は少し違うと思いますが、去る昭和二十六年だと思いましたが、京阪方面にこの委員会から派遣されたことと同様な問題であります。要は、税務署から個人なり法人なりの所得を調査に参りますと、民主商工会という団体がありまして、ただちに七、八人の人間がそろつてしまう。そして早く言えば、威嚇を受ける。そういうために、公務を執行妨害されるということがたくさんあるようです。実は先般私の地元にこれが露骨に現われまして、警察の手を煩わしたような事態があつたのでありますが、これらに対しては、税務署の署員としても非常にお困りでありましようし、また私どもの立場にいたしますと、納税思想に及ぼす影響に対しても大きな懸念がありますが、これらに対して当局はどうお考えになつておるか。
  63. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 御指摘のように、全国的に特別な目的で結成されておりまする、民主商工会という納税者の一種の団体がありまして、こういう人たちは、一緒になつて極力申告を低くする。税務署から調査に行きますと、ややもすると、調査ができないような場合もある。いろいろ話しましても、なかなか普通の線で話に乗らない、つい勢いやむを得ず、お互いけんかをしたくなくても、きつい手段をとらなければ話がきまらない、こういう面が実は相当あるのであります。しかしこれに対しましては、私どもは率直に申しまして、よく調査いたしまして、ほかの納税者との課税の公平をはからなければ、他の納税者が納得しないということになりますので、そういうものに対しては、さらに一層優秀な者を向けまして、調査を徹底し、課税の公平を期するようにしたい。東京都内におきましても、大分あるようでありますが、そういうところにつきましては、特に調査を徹底いたしまして、適実な課税をするようにいたしたいと思います。
  64. 千葉三郎

    ○千葉委員長 本日は午後一時より本会議が開かれますので、これにて散会いたします。  次会は明二十六日午前十時から開会いたします。     午後零時三十分散会