○有田(二)委員
国税庁長官の
お話はよくわかりますが、長官は最近まで
主税局長をしておられて、第一線の
状態については、御研究になり、御検討になりつつあるところだと思うのであります。今までの
状態というものは、末端において、国税庁の方から昨年度の業態よりも同割増しでなけれげならぬというので、どこでも第一線の税務署は、何割増しというような
指導を強くいたしておるのであります。そのために納税者の方では、税率が下
つても、とにかく税率が下
つただけ今度は税務署の方で水増しをして来る、だから減税にならない、こういうような抗議をわれわれは受けておりますが、これについては、調査した結果、その業態が昨年よりもいいというものに対しては、正しい所得に対して正しい税金をかけることが、いわゆる税法の建前でありますから、私はいいと思う。ただ第一線の
指導の
方針において、国税庁から何割増しとい
つて指導が来ておるから、何割増しでなければならないのだという線を強く押し通して行かれるところに、世間に非常な誤解を招いておると、私はかように考えるのであります。従いまして、私は何割増しという国税庁の
指導はいけないとは
言つてない、それは正しいと考える。しかしながら、納税者の個々の事情を十分参酌しなければならぬのでありまして、今までの国税庁なり国税局なり税務署は、人手も足りなか
つたし、またいろいろな納税者の数も非常に多か
つたが、最近減税に次ぐ減税によ
つて、納税者の数も非常に減
つて来ておる。また調査も割合完成して来ておりまする現
段階におきましては、個々の納税者の
状態をよく調査して、かりに予定申告が一〇〇%であ
つて、
実態が八〇より収入がなければ、八〇の言い分を聞いてやるというような税務署の第一線の運営がなされなければならぬ。
国税庁長官としては、当然そうなされておる、かようにお考えでありましようが、第一線においては、さように行われていないものが間々あると思います。そこに非常に不満があ
つて、全国的に問題を起しておるのでありまして、特にこの点、国税庁としては、それらの
指導をや
つていただくと同時に、前に申しました、昨年度より本年は何割増しだ、問答無益だというような税務署員がよくあるのであります。そういうことのないように、三年ほど前に本
委員会において申したのでありますが、当時は主税局でありましたが、主税局から国税庁にかわりました当時から、大体税務署にはどの程度の割当が行
つておるか、本
委員会で尋ねますと、そういうことは絶対ないという。ところがわれわれが京都なり大阪へ参りまして調べますと、税務署の方では、国税庁側から割当が来ておりまして、いかんともいたしかたがないのであります、割当をまけていただく以外には、
方法はありません、こういうような確たる証拠を持
つて参りましたので、遂に国税庁側も折れまして、そういう
方法をおやめになりましたが、なお今日においても大体予定の額、税務署が一年間にどれだけの納税ができるであろうかというようなものをと
つておられまするが、そのと
つておられる
方向についても、私は無理のないように、
国税庁長官として御
指導を賜わりたいと思う。各税務署も国税局も、私が再々本
委員会で申し上げるように、漸次よくはな
つて参
つておりますが、まだまだその点ついては遺憾の点を見出すので、ひとつ十分
国税庁長官において御検討せられたい。何割増しというようなことを、内部的に
お話になることはけつこうでありますが、外部的に何割増しでなければいかぬということは通らない。正しい所得に対して、正しい税金がかけられるのがあたりまえであるが、不当なる税金がかけられることは、許されないことであろうと思うのであります。この点の御所見をぜひ承りたい。