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1953-06-13 第16回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月十三日(土曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 苫米地英俊君    理事 坊  秀男君 理事 内藤 友明君    理事 佐藤觀次郎君 理事 井上 良二君       宇都宮徳馬君    三和 精一君       福田 繁芳君    小川 豊明君       木原津與志君    平岡忠次郎君       島村 一郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         国税庁長官   平田敬一郎君  委員外出席者         検     事         (刑事局総務課         長)      津田  實君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    泉 美之松君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 六月十三日  委員山本正一君辞任につき、その補欠として松  永東君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月三十日  国の所有に属する物品売払代金納付に関す  る法律の一部を改正する法律案三浦辰雄君外  十一名提出参法第一号)(予) 同日  物品税中貴石、貴金属の製造課税小売課税に  変更反対に関する請願足立篤郎紹介)(第  一〇号)  油津港を貿易港に指定の請願伊東岩男君紹  介)(第三八号) 六月一日  台湾省出身日本軍人等の未払給料整理に関す  る請願今村忠助紹介)(第二一三号) 同月四日  揮発油税軽減に関する請願岡良一紹介)(  第三〇五号)  石油関税減免措置延期に関する請願岡良一  君紹介)(第三〇六号) 同月八日  商工組合中央金庫に対する政府預託金引揚反対  に関する請願山口丈太郎紹介)(第四六三  号)  日章飛行場返還に関する請願長野長廣君紹  介)(第四六四号) の審査を本委員会に付託された。 六月二日  所得税法の一部改正案に関する陳情書  (第三四号)  同(第三五号)  銅器及び漆器等に対する物品税軽減に関する陳  情書(第三六号)  物品税小売店頭課税に関する陳情書  (第三七号)  中共地区帰国者に対する定着援護資金増額に関  する陳情書  (第五四号) 同月八日  工場用地に関する再評価税及び讓渡所得税減免  の陳情書  (第一〇六号)  市町村民税課税標準となる所得税所得額の  決定に関する陳情書  (第一〇七号) 同月十日  林業関係税制改正に関する陳情書  (第三一一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  税制及び金融制度に関する件     ―――――――――――――
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  本日は国政調査の一環といたしまして、税制及び金融制度に関する件を議題に供します。まず政府当局から今回の税制改正に関する構想について説明を聴取したいと思つております。なお、本日は政府委員である主税局長の渡辺君が所用のために参られませんので、かわつて説明員の泉君から御聴取を願うことにいたします。
  3. 泉美之松

    泉説明員 二十八年度税制改正の大体の方針につきまして御説明申し上げたいと存じます。お手元に活版刷りにいたしました昭和二十八年度税制改正要綱というのがございます。これを御参考にしていただきたいと思います。なおそれとあわせまして、ガリ版刷りのものがお配りしてあると思いますが、これは実は活版刷りの方の七ページのところが、計数整理の結果少し数字が違うようになりましたので、それをお示ししたものでございますので、七ページの表を改めて、このガリ版刷りのものをごらんいただきたいと思います。  なおたいへん恐縮でございますが、ガリ版刷りのもので一箇所間違いがございますので、御訂正を願いたいと思います。それに再評価税の二十八年度税法改正による増減収額の欄でございます。再評価税増減収額のところで、ガリ版刷りの方では十億二千九百万となつておりますが、これは活版刷りの方にもありますので、十億三千九百万で、一千万円違つております。その点御訂正を願いたいと思います。  税制改正内容でございますが、これにつきましては、先般の解散になりました国会におきまして御審議願いました各税法のうち、御承知のように酒税関係の二法律案決定いただきまして、すでに三月一日から施行いたししおるのでございますが、それ以外の法案は、国会解散のため全部不成立になりましたので、その前回提案いたしておりました各税の改正につきまして再検討をいたしました結果、今度新しく要綱を改め、同時に各税法律案提案いたすことにいたしておるのでございます。今度の改正内容は、前回提案いたしましたものとほとんど根本的にはかえておらないのでございます。あとで申し上げますが、おもな修正点といたしましては、約四箇所だけ修正いたすことにいたしております。  あらかじめその点を申し上げますと、まず第一点は、前回提案いたしました法人税のうち、交際費接待費に関しまして制限規定を設け、一定限度以上の交際費接待費につきましては、その限度超過額の半分は、損金に算入しないということにいたす予定であつたのでありますが、いろいろ検討いたしました結果、なお限度等につきまして十分検討を要する点があると認められますので、今回はその制限規定提出は見合せることといたしております。  第二点は、有価証券取引税税率でございます。これは前回提案いたしましたときにおきましては、株式取引」つきましては、一般の場合には万分り二十、有価証券業者を売渡人といたします場合には万分の八という税率提案いたしておつたのでございますか、その後の株式の市況が御承知のような事情で不振を来しておりますのでそういつた事情を考慮いたしまして、万分の二十とありましたのを万分の十五、万分の八といたしておりましたのを万分の六というふうに、それぞれ二割五分引下げることにいたしておるのでございます。  第三点は、第三次の再評価についてでございます。第三次再評価につきましては、いろいろ御審議願つたのでございますが、そのうち今回修正いたしましたのは約三点ございます。順次申し上げますと、まず第一点は、前回提案いたしました際におきましては、第一次及び第二次の再評価基準日になりました昭和二十五年一月一日以後から今回の第三次再評価基準日であります昭和二十八年一月一日現在までの物価騰貴率を算定するにあたりまして昨年の三月ないし六月ごろの数字しかわかりませんでしたので、それを基礎にして物価騰貴率を見ておつたのであります。御承知のように卸売物価につきましては、大体七割程度つておるのでありますけれども、わが国の物価水準は諸外国に比較してやや高目である、また物価騰貴率をそのまま認めるということも、再評価の建前として穏当でなかろうという点からいたしまして、これを五割引上げるということにいたしておつたのでありますが、この点につきましては、その後もさして変動がございませんので、五割引上げにとどめております。ただ土地価格指数につきましては、昨年の三月の数字基準として六月の水準を想定いたしておつたのでありまして、それによりますと大体昭和二十五年一月一日の基準日に比較して十三割八分引上げることになる勘定になつてつたわけでありますが、昨年の九月の指数がわかりましたので、それを基礎にいたしますと、十三割八分というのが十六割七分というふうに引上げられることになるのであります。土地価格指数につきましては、最近相当騰貴が著しい関係から、これをむしろ押えた方がよくはないかと考えられる点もあるのでありますが、一般物価騰貴率に比べますと、土地価格騰貴率は、戦前との比較においてはまだ一般物価の半分程度でございます。今後におきまして、土地価格が下る見込みもございませんので、一応物価指数から出ました十六割七分という騰貴率をそのまま再評価の上で認めることといたしております。それから消費者物価指数による分につきましては、これも多少の変動はございますが、ほとんど変化がございませんので、前回提案通り二割引上げにとどめております。これが再評価税についての修正の第一点でございます。  修正の第二点は、御承知のように再評価限度額計算する際におきましては、取得価格にその後の物価騰貴率を乗じまして、それから定率法によつて計算した減価償却額を差引くことにいたしておるのでありますが、その減価償却額を差引く際におきまして、前回提案いたしました際は、第一次及び第二次の再評価の際使いました二十五年当時の耐用年数を使わずに、その後二十六年に改訂になりました耐用年数使つてつたのであります。そういたしますと、耐用年数の短縮された資産につきましては、第一次及び第二次の再評価限度額に比べまして、第三次の再評価限度額があまり上らないというような関係になります。そこで、昭和二十六年に耐用年数を改訂いたしたのでありますが、その後改訂されました耐用年数によつて償却をいたした期間がごくわずかでありますので、全面的に新しい耐用年数によつて計算することに改めずに、昭和二十五年までは元の古い耐用年数、それから後はその改正されたときどきの耐用年数によつて計算した減価償却限度額を差引いて計算するということに改めることにいたしております。これによりまして、耐用年数限度額が若干引上げられることになるわけでございます。  修正の第三点は、再評価税納付方法でございますが、そのうち法人減価償却資産につきましての再評価税につきましては、御承知のように前回提案は、第一次及び第二次再評価と同様に、第三次再評価におきましても、再評価を行いました最初年度におきまして、再評価税の六%のうちの半分の三%、それから二年目三年目におきまして一・五%ずつ、つまり四分の一ずつを納めるということにいたしておつたのでございますが、再評価をできるだけ行いやすくするようにという趣旨からいたしまして、個人と同様に、法人につきましても六%の再評価税を五年間に均分して一・二%ずつ納めることができるというふうに修正いたしておるのでございます。以上が第三次再評価につきましての修正点でございます。  それから税制改正のうちで第四の修正といたしましては、特別減税国債につきましてその軽減を受ける限度額を改めたことであります。と申しますのは、前回提案いたしました際は、本年の四月一日以後特別減税国債を発行いたしまして、それに減税措置を認めまして消化促進する予定であつたのでございますが、前回法案が成立いたしませんで、特別減税国債の発行か遅れることになるわけでございます。そういたしますと、四月から発行されておりますと、来年の三月三十一日までの間に、法人事業年度が終了して買う機会が二回あつたのでございますが、今度法案が成立してかりに八月一日から施行されることになりました場合におきましては、事業年度が一個しか来ない法人が大分あるわけでございます。従いまして、そういつた法人に、他の法人との権衡、それから個人昭和二十八年分の所得税につきまして、その所得税額の二割を限度として減税を認められるという関係などからいたしまして、事業年度が一回しか来ない法人につきましても、その税額年換算にいたしまして、その年換算額の二割までは減税を受けることができるというふうにいたしまして、消化促進をはかるというふうに修正いたしたのでございます。以上が修正案のおもなる点でございます。  あと前回提案いたしましたことに多少技術上読みやすくするとか、あるいは、たとえば利子税額簡易税額表を適用する場合が、前回提案の場合でございますと、本税額が十万円未満でかつ利子税額計算基礎となる期間が百八十日未満というふうにいたしておつたのでございますが、仕事の簡素化という点からいたしまして、百八十日未満というのを削りまして、本税額か十万円未満でありますれば、すべて利子税額計算簡易税額計算表によつて行うことができるというような技術的な修正を加えた以外は、大体前回提案のものと同様でございます。従いまして所得税につきましては、基礎控除は六万円、扶養控除最初扶養新族一人につきまして三万五千円、給与所得控除最高限度四万五千円ということになるわけでございます。なお従来勤労所得控除と称しておつたのでございますが、この控除につきましては、事の性質上給与所得控除といたす方、妥当であると考えられますので、給与所得控除ということに言葉を改めることにいたしておりますことを御了承いただきたいと思います。  それから所得者が負担いたしました社会保険料所得金額から控除する。  税率につきましても、この前御審議を願つておりました臨時特例法と同様に、従来八万円以下二〇%とありましたのを、二万円以下一五%、二万円から七万円二〇%、七万円を越える金額二五%というふうに改めました。  同時に富裕税の廃止を考慮いたしまして、最高税率を若干引上げまして、三百万円を越える金額に対しまして六〇%、五百万円を越える金額に対しまして六五%という税率を適用いたすことにいたしております。  それから生命保険料控除額は、四千円を八千円に引上げる。  医療費控除を、従来所得の一割を越える場合でない認められなかつたのを、五%を越える場合には認める、あるいはその医療費控除限度額が十万円でありましたのを、十五万円に引上げるというようなこと。  それから青色申告書提出した納税義務者が、その事業に専従する親族支払つた給与につきまして損金として認める範囲を、五万円から六万円に引上げる。それから親族範囲といいますのを、十八歳以上とありましたのを十五歳以上に拡大するということにいたしております。なお配偶者につきましては、いろいろ検討いたしたのでございますが、この点につきましても、前回通り配偶者は従来通り専従親族範囲から除くことにいたしております。それから退職所得についての控除額を二十万円に引上げる。  それから有価証券譲渡所得に対する所得税課税を廃止する。  それから山林所得につきましては、概算経費控除制を認めると同時に、いわゆる特別控除として、十五万円を引いた後の所得を、五分五乗の方式によりまして他の所得と総合課税するということに、前回提案通りといたしております。  それから不動産譲渡所得等の一時所得につきましては、半額課税方式によりまして、税負担軽減課税簡素化をはかるということにいたしておるわけでございます。  なお預貯金の利子に対する源泉選択税率は、前回提案通り、従来の百分の五十を百分の四十に改めることにしております。  それから匿名組合契約等に基く利益の分配について、源泉徴収制度を設ける。  それから前回提案いたしました際、いろいろ御審議をお願いしたわけでございますが、企業組合その他これらに準じまする法人課税適正化をはかる措置を講ずる。これは前回提案いたしましたものより、その後御審議の過程でいろいろ御意見も拝聴いたしましたので、若干修正をいたしまして、明らかに法人名前でやつております場合を除くということにいたしました。同時に最初政府提案におきましては、一定の事実がありました場合には、法人が単なる名儀人であつて個人がその事業から生ずる収益の取得者であるというふうに推定するということにいたしておりましたが、今回の提案におきましては、推定いたしまして更正決定をすることができるというふうに修正いたしました。同時に従来は六十七条の二の規定を設けておりましたが、更正決定規定でございますので四十五条の方へ繰上げてございます。以上が所得税につきましてのおもな税制改正内容でございます。  法人税につきましては、先ほど申し上げましたように、交際費制限規定提出を見合せるほかは前回通りでございます。企業合理化促進法租税特別措置法のごときは、特別償却範囲の拡張と、それから貸倒れ準備金の貸金の限度に基く制限引上げ、それから価格変動準備金につきまして、国債価格変動準備金の対象に入れるということにいたしております。なお前回の際におきましては、価格変動準備金の経過的な規定を削除するというのがございましたが、これは前回不成立に終りまして、今日に至りましてはもはや意味がなくなりましたので、この点は改正をいたさないことにいたしております。  それから貿易商社等について、五年間を限つて輸出契約取消し準備金制度を認める。なおこの名前は、前回提案いたしましたように輸出損失準備金制度というふうにいたしておりますが、要綱におきましては、わかりやすいように、輸出契約取消準備金という言葉使つておりますことを御了承願いたいと思います。  それから海外支店設置費特別償却、それか心個人有価証券譲渡所得課税を廃止する機会に、従来の制度を改めまして、法人に対して清算所得課税ずる。それから富裕税を、先ほど申し上げましたように本年末を課税時期とし、来年二月末に納付すべき分から廃止する。  それから相続税につきましては、全部前回提案通りでございまして、従来の累積課税制度を廃止いたしまして相続包括遺贈によつて取得した財産につきましては、その都度相続税課税する。贈与及び特定遺贈に上つて取得いたしました財産につきましては、一年間をまとめまして取得者に対して課税するという制度に改め、それから基礎控除を三十万円から五十万円、退職金死亡保険金との控除密を、従来の二十万円から三十万円に引上げる。税率につきましても、従来最低税率が百分の二十でありましたのを、相続税について百分の十五に下げる。それから贈与税につきましては百分の二十にいたしますが、それに応じまして、従来の課税価格の階級の刻みを緩和いたすということにしておるのでございます。  それから相続税延納を認める範囲を拡大いたしまして、税額が三万円を越える場合には延納を認める。そうして一定の要件を備えるときには、当然延納を認めるということにいたしておるのでございます。すべて前回提案通りでございますので、簡単に申し上げます。  それから砂糖消費税は、前回提案通り税率を二割程度引上げということにいたしております。なお再製糖に対して八百円、千七百円という税率を設けますと同時に、原料糖の方で課税を受けて、再製糖にした場合に課税を受けないという制度につきましても、一定制限のもとに認めるということにいたしてございます。  それから有価証券取引税につきましては、先ほど申し上げましたように、税率を二割五分方引下げることにいたしておるのでございます。  それから第三次再評価につきましても、先ほど申し上げた通りでございます。なお再評価税につきましては、いろいろ第三次再評価によつて限度引上げられる分について免税を要望する声もあつたのでありますが、いろいろ検討いたしました結果、やはり従来通り百分の六の税率課税することを適当と認めまして、その通りにいたしてございます。  それから特別減税国債を購入した場合につきましては、先ほど申し上げた通り修正するのであります。  その他は、登録税につきまして、印紙の不正使用を防止する方法を講ずる。  それから酒税物品税の例にならいまして、揮発油税などにつきましても、利子税制度を設けるということにいたしておるのでございます。  以上簡単でございますが、今回の税制改正案内容を御説明申し上げました。
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 これより質疑に入りますが、いかがいたしましようか、お諮りいたします。政府委員といたしましては、平田国税庁長官と、また河野銀行局長、さらに説明員といたしまして、銀行局から有吉特殊金融課長と法務省から津田刑事局総務課長長戸刑事局刑事課長が見えております。そこで税制の方だけ先に御質問いたしますか……。     〔「大臣次官はどうしたのです。大臣次官出席を要求します。」と呼ぶ者あり〕
  5. 千葉三郎

    千葉委員長 大臣出席を要求いたします。  暫時休憩いたします。     午後二時九分休憩      ————◇—————     午後二時二十二分開議
  6. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を再開いたします。  大蔵大臣出席をするのに多少の時間があるので、しばらく懇談会を開きたいと思いますが、いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 千葉三郎

    千葉委員長 さようとりはからいます。      ————◇—————     〔午後二時二十三分懇談会に入る〕     〔午後三時一分懇談会を終る〕      ————◇—————
  8. 千葉三郎

    千葉委員長 以上をもちまして懇談会をとじることといたします。  先ほど井上委員から大臣出席の御要求がありましたが、大臣は都合によつて出席ができないとの回答でありますので、次の委員会にはぜひ出席を願うことにいたします。  次会は公報をもつてお知らせすることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時二分散会