○
松岡(俊)
委員 今
調達庁長官の御
説明もありましたが、私にはまだ納得があまりできません。
間接被害がどの
程度までということはなかなか問題でございましようが、
山林によ
つて主として生活しておる
附近の住民——
接収地内だけが問題にな
つておるが、その
付近一帯が射撃のために山草をとるわけにいかない。いなかの寒村は肥料を買う資力もなく、山草によ
つて肥料をつく
つておる、営農上の重大なる問題でありまして、こういう山草をとり得ないというのは、農家に対しての一大痛苦であります。また山菜その他によ
つて生活を
維持しているというほど、山菜というものが非常に山の者の生活上には重大な
関係があります。それから伐木によ
つて同様な生活をしておる。これが
接収地内に限
つているということが非常に不自然なんです。実際は
付近の
接収地に隣接した地方に最もその
関係があるのであります。これらの点については、現地を見ますとよくわかる、聞くばかりではわからないのです。ですから私は明後日の
日米合同委員会において実地調査の上、どの
程度までにこれらのことが測定されるかということによ
つて、さらに後日にもう一回
委員長の許可を得て、保留さしていただきたいと思います。あるいはこの
法案がその間に
決定するような場合がありまするとしても、これは
調達庁長官の方において特別に御考慮をいただいておかねばならぬと思います。また
農地局長その他の
方々が、
委員として明後日現地においでになるのですから、この
委員会の空気を体して、よくこれらの点を実地においてごらんをいただかなければならぬと思います。
次に私は、これも
水田君の御
質問によ
つて調達庁長官が修正のことを認証せられるような意向がわかりましたので、申し上げないでもさしつかえないようなものでありますけれ
ども、念のために、これは山形県の知事として、特別の
政府の所見を折返し願わなければならぬという問題でありますから、
委員諸君にはたいへん申訳ないけれ
ども、こういう懸案があ
つて、いかに終戦のために混雑した結果として起
つておる問題があるかということを、
委員諸君にもお聞きとり願う
意味においてもお許しを願い得るかと思います。この六月九日に山形県知事が
調達庁長官及び
農地局長に宛てて折返し所見を願うという申請が出ております。その要綱は
神町キャンプ地区の調達に伴う
補償について
昭和二十一年六月以降
連合軍のキヤンプ敷地として接収を受け引続き
駐留軍の
使用を受けている北村山郡東根町所在若木開拓地区中の一部一四八町余に対して昭和二十一年六月接収以前この土地の
使用者であ
つた右開拓地の入植者武田浅蔵外百十六名から
使用権に対する
補償措置についての要望を貴官宛提出している筈であるが未だ
措置を得ていないようであるからこの地域の状況並に陳情者の
主張とするところの
概要を述べ速急の善処をねがいたく要望する尚この件に対する国の方針を折返し御回示ねがいたい
一、本件土地は解散団体農地開発営団(以下単に開発営団という)が昭和十六年以降民有地を買収し昭和十九年以来三次に亘
つて入植者を入れ一戸当り適正営農規模面積として四町歩を配分農地の造成に当
つて来たが昭和二十一年六月
連合軍の進駐によ
つてキャンプ敷地として接収されたものである
二、本年二月十八日陳情に及んだ武田浅蔵以不百十六名の者は右の方針に基いて昭和十九年以降本件土地に入植この土地の開発に当り二十一年六月接収時には一四八町余の概ね七割九三町余の農地を造成しており且住居を構え居住をしていた
三、本件土地に対する前記入植者の土地
使用の
関係は自作農創設特別
措置法又は農地法に基く国有開拓財産の一特
使用の趣意と違い開発営団と入植者各人との間に賃貸借契約締結していたものであり年々賃借料を納入している
四、開発営団の入植者に対する本件土地の売渡しの方針は旧自作農創設特別
措置法又は農地法の趣意と異り農地を完全に造成した後に売渡す方針であ
つた模様で接収時売渡を受けず前記の賃借権設定のままであ
つた
五、開発営団の解散に当
つて本件土地は昭和二十二年
法律第一七六号「農地開発営川の行う農地開発
事業を
政府において引継いだ場合の
措置に関する
法律」によ
つて昭和二十四年四月国有開発財産として取得されている以上の如き事情にあるが武田浅蔵以下百十六名の陳情の処理に当
つては更に左記事項をも勘酌されたく
意見を附する
一、昭和二十二年
法律第一七六号「農地開発営団の行う農地開発
事業を
政府において引継いだ場合の
措置に関する
法律」に基く本件土地の開拓財産取得は旧自作農創設特別
措置法第三十条第一項の
趣旨である自作農創設の目的に供する土地としての意であ
つて取得の時期において同法第三十条に基き買収したものとみなさるべきではなく
従つて昭和十九年以降陳情人等と開発営団との間に設定した賃借権は旧自作農特別
措置法第十二条第一項による権利消滅とはならない。
二、昭和二十一年六月接収時陳情者は、本件土地中の農地について離作料(
農業取得の二箇年分)をもら
つているが、これは離作によ
つて生ずる
損失に対する単なる
補償であ
つて同人等の賃借権の排除
措置ではない。
三、占領期間中の調達に伴う
補償は土地に対しては所有権以外の権利についてなされなか
つたが、
駐留軍の
使用に供する土地の調達にあた
つては、所有権以外の権利についても
補償されることにな
つているので陳情者の権利も当然
補償の
対象となるものと
考えられる。
なお本件陳情者等の入植地区は
前述のとおり適正営農規模面積として一戸四町歩を必要とする畑作地帯であるが(
水田造成が不能の地である)しばしば次の調達によ
つて現在一戸八反ないし一町六反の狭少な土地を売渡しを受けているにすぎず
農業経営が極度に困難であり生活が困窮している実情にあるのでかかる事情も充分に御考慮の上善処方おねがいする。
これが山形県知事として伺い出たものでございます。私は現地においてよくこれを調査したのでありまするが、終戦時に農地開発営団が解散されたがために、当然受くべきところの百十六名の開拓者が非常な困難を来しておる。これがただいま
水田君の
関連質問によ
つて明らかにな
つたのであります。これらの点は急速に解決しなければ、米軍に対する土地の者の反感が当然予想されるようなことにな
つていけないと思う。またこれらを利用して種種国家の実情を誤解せしむるようなぐあいに扇動する者も出ておる。これらの点から
考えて、一刻も早く終戦時の混雑の際に起
つた未解決の問題は、急速に解決せんければ、国家の現状からはなはだ憂慮すべきことだと思う、のであります。私の見たところ、山形県らわざわざ内灘
方面を視察などしてまわりましたが、もし山形県の大高根の射撃場の問題を、一たびほんとうに取上げるようなぐあいに
なつたらどうなるか。明後日これをごらんになりますれば、実にびつくりするだろうと思う。そういうところでも、東北人が比較的おとなしく、協力的な態度に出ておる。これを不問に付するようなことに
なつたらばどんなことになるか、私は国家のために深憂にたえない。私は先日これらの者によく納得せしむるようにしたのであります。明日は山形県知事初めこぞ
つて本省に参るようにな
つておるのであります。一たびこれらの問題に火をつけるようにするか、せぬかということは、
政府の対策、処置いかんによるのであります。それが先ほど
水田君のお話のようなぐあいに、
調達庁長官において考慮の余地がある。従来のようなぐあいじやいかぬ、でこぼこを相当に修正するようなところがあるということはわかりましたので私も少しく安心しておるのでありますけれ
ども、幸い
農地局長もここにおられるし、明後日は当局とともに現地視察に参るのであります。日本でただ
一つ砲弾下にあるのでありますが、山の
被害は海の
被害と違
つておりますけれ
ども、
被害を受けている山村では種種なる扇動に陥りやすいところもあります。これらをよく御注意願いたい。こういうぐあいに終戦当時の混雑のために住民に迷惑をこうむらせている点があります。これはただひとりこの地方民ばかりでなく、全国的にこういうものがあろうと思いますから、善処していただきたいと思います。