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1953-08-04 第16回国会 衆議院 水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月四日(火曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 山中日露史君    理事 日野 吉夫君 理事 小高 熹郎君       川村善八郎君    夏堀源三郎君       濱田 幸雄君    白浜 仁吉君       赤路 友藏君    淡谷 悠藏君       田中幾三郎君    辻  文雄君       松田 鐵藏君    中村 英男君  出席国務大臣         外 務 大 臣 岡崎 勝男君  出席政府委員         保安政務次官  前田 正男君         保安庁保安局長 山田  誠君         農 林 技 官         (水産庁次長) 岡井 正男君  委員外出席者         農 林 技 官         (林野庁指導部         猟政調査課長) 葛  精一君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 八月一日  委員川村善八郎君及び高橋英吉辞任につき、  その補欠として岡野清豪君及び佐藤榮作君が議  長の指名委員に選任された。 同月四日  委員岡野清豪君及び中村時雄辞任につき、そ  の補欠として川村善八郎君及び辻文雄君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  加工水産物輸出振興に関する法律案佐竹新  市君外四十五名提出、衆法第二七号)  公海漁業に関する件  水産資源保護増殖に関する件     —————————————
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより会議を開きます。  公海漁業に関する件について議事を進めます。本件について各委員より、質疑の通告があります。順次これを許します。小高熹郎君
  3. 小高熹郎

    小高委員 岡崎外務大臣にお尋ねしたいのであります。去る六月十二日日本アメリカカナダ三国の漁業条約批准書交換を終り、ここにようやく平和への転換、公海漁業への躍進を期待し得る段階に当面いたしたのであります。われわれはこのまさに千載一遇の機会におきまして、いよいよ腹をきめ、腰をすえ、独立国家としての権威ある万全の国策を樹立しなければならないと考えておるものであります。ところで政府におきましては、韓国との経済復興協力あるいは公海漁業確保に対処する具体案等については、すでに慎重な研究行つておると思うのでありますが、顧みてわが国公海漁業の主権の確保という点につきましては、過去における政府外交は、遺憾ながら極東情勢の変化に対処する措置のきわめて貧困さを露呈しておるものでございまして、国民大衆のひとしく悲憤慨嘆にたえざるところであります。この際私は特に権威ある国策の策定に資するため、次の三点についてまずお伺いをいたし、その次に第四点といたしまして、竹島問題についてお尋ねしようと思つておるものでございます。  第一点として承りたいことは、去る昭和二十七年九月二十七日国連軍によつて設定され、このために日本漁業に非常な制約と不便を与えられております防衛水域は、朝鮮休戦に伴い必然的に解消されるものと了承してさし  つかえなきやいなやの点でございます。また政府防衛水域のすみやかな解除方法について、事前にいかなる交渉をいたされておるか。朝鮮休戦するであろうことは、一、二箇月前からその空気がわかつてつたのでございますから、さだめしこれに対して適当な措置が講ぜられておると思うのでございますが、この点もあわせてお伺いをいたしたい。また何らの方法も講ぜられておらなくて、休戦になつてそれから大急ぎで何らかの措置をとられたか、それらもあわせて伺いたいのでございます。元来この防衛水域なるものは、私の思考するところによれば、まことに奇妙な存在であり、およそ戦時国際法においてもその類例を見ないものと思うのであります。すなわち防衛水域と称するものは、敵国水域にこそ設定して、敵国に対する交易を遮断し、封鎖するためには必要であるとしても、これを自国の周辺に設定する理由については、実にこれが了解に苦しむところであります。私は日本立場としてきわめて不可解なできことであると感ぜざるを得ないのであります。従いまして、今後たとい米国韓国との間に相互防衛条約が締結されようとも、かかる防衛水域は当然この機会において解除さるべきであると信ずるものでありますが、この点岡崎外相所信伺いたいのであります。特にこの際つけ加えておきたいことは、目下日本さば漁業者が、その漁期を控え、数百隻の船がこの公海である朝鮮海峡への出漁に待機しておるという事実を御認識願いたいのでございます。  質問の第二点といたしましては、終戦以来今日に至るまで、韓国に拿捕抑留された日本漁船は実に百四十五隻に及んでいるのであるが、これらは一体いかなる理由によつて拿捕されたものであるか、この点を明確にお答えをいただきたいのでございます。たとえば韓国領海侵犯によるものが何隻、防衛水域侵犯によるものが何隻というように、類別してお答え願いたいのでございます。これがわからないと、何の理由で拿捕抑留されているか、つかまつたはつかまつたけれども、その理由に苦しんでいるのが、ただいま漁民実情でございます。さらに韓国に対して、これらの措置をどう交渉されたかということをつけ加えてお尋ねいたしたい。なおただいま中共に拿捕抑留されているわが国漁船の累計百十四隻及び抑留人員三百七十一名と言われ、さらに漁船、漁具の直接損害のみで約四十億と聞いているのでありますが、この抑留されている漁業従業員を、すみやかに一般中共引揚者と同様の方法をもつて帰還せしめる方策を政府考えておられるかどうか。また拿捕船返還及び拿捕防止についてはいかにお考えになつておられるかを、お伺いいたしたいのであります。  質問の第三点は、先般批准書交換を終えた日本アメリカカナダ三国の漁業条約についてであります。昨年六月十一日この条約の締結に関し承認を求めるの件につき本院において開かれました外務水産委員会連合審査会の席上におきまして、私は岡崎外相に対し、さけ、ますに関する質問中、アリューシャン列島の中ほどに位するアトカ島寄りの西経百七十五度線は、同条約による国際委員会が決定することになつていたにもかかわらず、附属議定書においてこの線をきめ、五箇年間自発的に漁業を抑止するということがうたわれているのはいかなる理由に塞ぐものであるか、すなわちこれは条約及び議定書をとりきめる際の一つ手落ちではなかつたか、しかしてこの手落ちが一部公海の自由を放棄したという国際的の先例となつて、将来の日本漁業を制約し、国際的漁業交渉の上に大なる禍根を残すであろうことを憂慮し、修正すべきことを抗議したのでありましたが、これに対し岡崎外務大臣は、条約及び議定書のとりきめに際し手落ちはなかつたと確信する、この線を規定し、五箇年間自発的に漁業を抑止する旨をうたつたことは適切な処置であり、これをもつて世界各国日本公海の自由の制限を承諾したようにとることとは信ぜられない、こうあなたは答弁されておることは、当時の速記録によつて明らかなところでございます。しかしながら、その後における世界各国の論調を見まするに、岡崎外務大臣の信ずるところとは逆に、断じて安閑たるを許さぬ状態にあると思われるのでございます。たとえば本年三月十日、鹿児島の漁船第三海洋丸が、ルソン島の北方パターン島の西方約二十マイルの公海、上において、領海侵犯理由をもつてフイリピン警備艇のため拿捕せられた事実、あるいは現在ブラフラ海における真珠の採取に関し濠州より提起されておる海域制限問題等、要するに諸外国が、さきに述べました日米加三国の漁業条約一つ国際的先例として取扱い、これを基調として日本漁業を制約せんとするものであり、この点まさに岡崎外務大臣の重大なる手落ちと断ぜざるを得ないのであります。しからば岡崎外相はその責任をいかにとられるか、再びその所信をただしたいところでありまするが、しかしながら顧みて三国漁業条約は、すでに批准書交換を済ませた今日、事ここに至つた際、特に私はこの重大なる手落ちを本条約に規定する国際委員会の審議に付し、すみやかにこれを修正するの意図を有せらるるやいなや、この点をお伺いいたしたいのでございます。  以上まず三点をお尋ねいたしまして、その次に竹島問題に移りたいと思います。
  4. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 防衛水域の問題につきましては、かねてから非公式にいろいろ意見交換をいたして参りました。いよいよ休戦ができることになりましたので、こちらから米国大使館を通じまして、国連司令官その他関係方面に申入れを行つております。しかしこの防衛水域なるものは、形はお話のように国際法でどういうカテゴリーに入るんだということは、なかなか言いにくいような部面もありまするけれども、しかし同時に、たとえば戦争状態のあつたときには、こういう事態は別に絶無というわけではないのでありまして、中国におきましても、日本の海軍によつてある程度海域制限の行われたこともありますし、また日本国内でも軍港付近におきましては、平時から漁業をとめておつたような部分もあるのであります。これはやむを得ないものと考えまして、今まで国連に協力する趣旨で、できるだけその間の調整をはかつて来たわけでありますが、今後この必要がなくなりますれば一まだ捕虜の一部は防衛水域内の海域の島におると思いますから、こういうものがなくなるようになりますれば、必要の理由が消滅するんじやないかと考えております。そういう意味交渉をずつと続けるつもりでおります。  それから朝鮮水域でつかまえられた漁夫とか漁船とかの問題につきまして、これをどういう理由でつかまえられたか、一々わけて答えろというお話であります。これは実は私はなはだうかつでありましたが、本日の御質問趣旨がそういうことであるというふうには委員長から聞いておりませんものですから、ここに資料を用意しておりません。いずれ資料を用意して差上げますが、要するに大邦丸事件でもおわかりになりますように、おもに先方領海侵犯というような理由をつけて来ておるのでありますが、その理由には首肯するに足るだけの根拠がないと思われるのが大部分であります。しかしある場合には、もちろん李承晩ラインとは申しませんが、李承晩ラインをさすものと思うような意味で、この李承晩ラインを侵犯して来たからだというようなことを言つている場合もあるのであります。しかし李承晩ラインについての法的な根拠等をこちらから反駁いたしますと、いろいろほかの理由にもなつて来ております。いずれにしましても、ほんとうの領海侵犯があつた場合は、これはまた別でありますが、そういう例は何か天候でも激変した場合を除いては私はないと思つております。従つて先方の言うことは無理であるのでありまして、防衛水域に入りましたときの了解も、つかまえるのではなくして、退去を要請して、それに応じて日本側漁船はじやまになる場合は退去する、こういうつもりでおりますから、つかまる理由はないと思います。従つてこちら側としては、文書による正式な抗議はもちろんいたしますが、抗議だけで問題は解決しないのでありますから、いろいろの筋を通じての方法によつて、とにかく実際上漁船なり漁夫なりがすみやかに帰つて来るようにとりはからうことを、従来からやつておるのであります。しかしそれと同時にちやんと文書による抗議はいたしております。  それから中共に捕えられておる漁船漁夫、これらにつきましてもできるだけの方法をもちまして——と申してもこれはおのずから限度がありまして、直接中共政府交渉することは先方で受付けておりません。しかし北京在外公館を持つておる国で日本親善関係にある国があるのであります。また香港等に在住する人で中共側と連絡のいい向きもあるのであります。また万国赤十字というような公共団体で、中共側とほかの仕事の上で連繋のあるものもありますので、いろいろの筋を通じてこれも努力をいたしております。やり方によつて多少ずつ効果が現われて来ておるように思われる向きもないでもないのでありますが、これは思うように効果が上つておりません。しかし今後ともできるだけ早くその返還を期待しておりまして、努力を依然として続けるつもりであります。  それから日米加三国の漁業条約につきましては——私はこういう問題についてはしろうとでありますから、むしろ伺いたいくらいで、あまり意見もありませんが、私の了解するところでは、この水域戦争前には日本漁船の進出しておらなかつたところと考えております。また建前上からいいましてあくまでも自発的であり、かつ魚種保存という意味でやつておるのであります。これがほかの方に影響しましても、魚族の保護という意味でどうしても必要であるという結論が出ますならば、これは日本も協力して、どこの海域によらず継続して漁業のできるような程度魚種保存ということは努めるべきものであろうと思つております。フィリピンの例をおあげになりましたが、この船もフィリピンのそばの公海にいたからつかまえたという理由ではなくして、フイリピン沿海に入つて来たからつかまえた、こういうようなことになつておるようであります。その真偽は別としまして、少くとも沿海に、つまり領海侵犯という意味でつかまえたというふうになつておりまして、公海ではないということであろうと思います。ただ領海がどの範囲であるかという問題はもちろんあります。アラフラ海にしましても、これは一般漁業ではありませんけれども、真珠貝保存という意味からいろいろ話合いをいたしておりますが、まだ話合いが決定したわけではないのであります。われわれの方としては、やはり依然としてこの問題につきましても、公海の自由ということを原則といたしております。もし真珠貝保存等に必要であるとするならば、これは専門家研究にまつよりしかたがないのでありますが、その場合に、どういう自発的な抑制措置を講ずるかということについては、これは日本政府としても協議に応ずることは応じますけれども、ただ海を分割して、ここはどこの国、ここはよその国というふうに分割する原則については、これは応じられない、公海はあくまでも自由でなければいけないという趣旨で話をいたしております。そのためにまだ話が解決までに至つておりません。しかしこの原則だけはぜひ貫きたいというのが、日本政府考えであります。
  5. 田口長治郎

    田口委員長 外務大臣参議院外務委員会から出席を要求されておりますから、なるべく簡潔に要点をお願い  いたします。
  6. 小高熹郎

    小高委員 ただいま外務大臣からの答弁でありますが、防衛水域の件に関しては、わが国さば漁船数百隻が待機しておるので、当然これは戦争目的のために、それに必要なために設けられた防衛水域であるから、休戦した今日においては解消されるべきであると思う。これを私どもは強調しておるのであります。しかるところ、国連との協議を要するというようなことでありますれば、これまたいたし方ないのでありまするが、こういうことは、相談をするよりもむしろ、かように当方は解釈しておるから、さように了承してもらいたい、こういう程度のものでいいと思いますので、この点は希望意見として申し添えておきます。  なお中共に拿捕抑留されておりまする三百七十一名の漁民を、すみやかに一般中共引揚者同様の取扱いをしてくれという件でありまするが、これにはたいへん手数がかかる、北京外国公館等を通じて交渉しなければならぬというようなことでございまするが、これらに対して、さらに努力を払つていただきたいということを、この際希望しておきます。  なお第三点の日本アメリカカナダ三国の漁業条約に関する件でございまするが、これは多分この三国の漁業条約の第二章の第二項かと記憶しておりまするが、ここに一定の境界線等を引く場合には、一応三国の国際委員会においてとりきめてからこれを行うというような意味に私は解釈しておるのであります。それがあとが先になつて条約会議が終ると同時に、付属議定書に百七十五度線が明記されておるのは、一つ外交上の手落ちではなかつたかということを追究しておるのでございますが、これがそうでない、それでいいのだということであるとすれば、近く国際委員会が開かれるということは、水産庁予算面を見ましても、相当額国際委員会の経費が計上されておりますので、その委員会にぜひこれを提案してもらいたいと思うのであります。外務大臣の時間の都合があるから簡略にということでございますから、この点はもつと質問したいと思いまするが、次の竹島問題に移りたいと思います。去る五月二十八日、島根県の沖合いにありまするところの竹島に、韓国漁民三十名が上陸いたしまして、魚介類を採取しておつた。この事実を当時島根県の試験船島根丸がいち早く水産庁に報告し、政府に対してこれの措置をどうしたらいいかということをはかつたはずでありまするが、一箇月ほども捨てておいた。そのうち発砲事件あり、ごく最近におきましては、韓国竹島要塞を築くという情報が、ひんぴんとして地元から入つて来るのであります。はたして要塞を築くような準備を韓国がしておるか、もししておるとすれば、これに対する措置をどうしたらいいかということは、国民がただいま大きな関心事としてながめておるのであります。この点につきまして、このまま捨てておいたならば、壱岐はどうなる、対馬はどうなるという不安が続々と増して来ますので、あたかも不法入国をしておる者が、武器を持つておるからといつて、こちらは武器が貧弱であるからといつて、それに左右され、振りまわされて、自分の家を侵されながらどうすることもできないというような現状は、とうていわれわれは忍ぶことができないのでございまして、この竹島問題の今後の措置について、どう岡崎外務大臣はお考えなさつておるか、その点をお尋ねしたいのであります。
  7. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 竹島問題につきましての経緯は御承知のことと思いますので省略いたしますが、こちら側でもずつとただいまのところ抗議等をいたしておるわけであります。そこでこの措置をどうするかという点を申し上げますと、第一に私の考えでは、これは人の住まないような岩でありますけれども、これに対して常に日本の船が行つて、常にその状況を見て、またできるだけ日本漁夫等行つて、そこであわびとかわかめとか、いろいろとれるでしようが、それを実際にとつておる必要があると考えております。ただ領有しておる、日本領土の一部だからといつて、それだけ述べて、事実上韓国漁民が来て仕事をしておるのをほつておくということになりますと、これは主張と実際とが伴わない、こう考えております。できるだけひとつ島根県の方でも、そちらに行くことを許可をいたすと同時に、試験船でも、あるいは運輸省その他の船もありますので、こういう船ができるだけ頻繁に行きまして、実際上も日本領土であるということを示す必要があると思つております。今要塞を築くというようなうわさがあるというお話でありましたが、実はこういう意味で、その後も運輸省に依頼しまして、その実情を調べるようにしておつたのでありますが、昨日、これは私は口頭で報告を聞いたので、文書によりませんので、あるいは多少間違つておるかもしれませんが、運輸省試験船がさらに一昨々日でしたか、一昨日でしたか、一昨々日から一昨日にかけてでありましよう、現地に行つて見たそうであります。ところが韓国側の船はもちろん一隻もいない。島に上りましたところが韓国人も一人もいなかつたそうであります。それからくまなく状況を調べましたところが、何ら異状がないそうでありまして、そのまま引揚げて来て昨日報告したのを私は聞いたのであります。そのような実情のようでありますから、今の要塞云々のことは何かうわさで、間違いであろうと思いますが、今後もできるだけ頻繁に船を出しまして、実際上日本領有であるという実を示したいと考えております。しかしそれだけでは根本的の解決にはなりません。もちろん韓国側十分日本立場を理解させる必要があるのでありますが、この問題はやはり二つに考えられるのでありまして、つまり日本領土考えられる所に外国人無断で入つて来る。それはたとえば東京外国人無断で船を乗りつけて、東京湾から入つて来るというのと同じことであります。これに対しては適当な警察措置を講ずるのがあたりまえでありますけれども、なにせ竹島は人が住んでおりませんし、また人が長くそこの島の上で暮すというわけに行きません。船を持つて行かなければ暮せない所でありますから、そういう船がいないときに向うがやつて来るというような事態もあるのでありますが、これはできるだけ退去をせしむるようにやらなければならぬ。しかし同時に、もし韓国側で、伝えられるようにこの島に対する領土権主張しておるとすれば、これはいかに根拠のない、間違つておることではありましても、やはり一種主張でありますから、これは一種国際紛争というような形になるのでありまして、この国際紛争の 解決のためには武力を行使しないということは憲法の示すところでありますので、竹島の帰属問題に対しての解決は、平和的手段によるべきものであります。われわれは韓国との間の今までの関係もありますから、これは十分説明すれば最後には理解すると思うのでありまして、この問題については忍耐強く主張を繰返し、説明を繰返して、日本領有であることを認識せしむるだけの十分なる努力を、多少時日がかかりましても、やるべきものと考えております。もつとも、どうしても最後まで解決ができないとなれば、これは何らかの国際的な手段に訴えて解決しなきやならぬ場合も出て参りましようが、ただいまのところは、まだ問題が発生しましてからそう長くかかつたわけでもありません。こういう問題はとかく時日を要するのが今までの例でありますので、われわれもしんぼう強く、平和的手段によつてこの問題を解決するという決心で、今後とも努力するつもりでおります。
  8. 田口長治郎

    田口委員長 小高委員に申し上げますが、外務大臣は再び参議院外務委員会から出席を要求されておりますが、ほかに簡単でございますが、二人質問者がありますので、ひとつ簡潔に願います。
  9. 小高熹郎

    小高委員 重大問題ですから、簡略に扱われては困ります。ただいまの岡崎外相答弁によりますと、どうもこういう問題はひまがかかるとかいうことで、きわめて手ぬるい。そんな悠長なことは許されません。今やこの問題を中心として、国民の動揺はかなりはげしくなつて来ています。うつかりしたならば日本領土——あなたは無人島々々々とおつしやいまするけれども、日本領土なんでありまするから、これがこの調子でもつて徐々にこうやつたら、侵略者武器を持つておるからといつてこつちで手をあげてどうにもしようがない、こういう状態が徐々に壱岐に及ぶか対馬に及ぶかということはすでに論議になつており、あるいは九州までもかような手が延びやしないかというような取越し苦労が非常に大きくなつておる。これは常識では考えられない程度に、今一部のあの近海の人たちが心配しておるという、この事実を申し上げておるのであります。去る七月二十八日の水産委員会において、外務省条約局長及びアジア局長に対して、竹島問題に関する政府措置はまことに緩漫しごくである、どうしてこういう緩漫なことをしておるのだということを尋ねたのでありまするが、そのとき外務省首脳部であられるこれらの方々の考え方は、この問題は保安庁へわれわれの方から申しつけてあるので、保安庁で取扱つておるのだという意味答弁があつたのでありまするが、これは外務省の所轄と思つてつたの保安庁の方へ転換されたという気がいたしたのでありますが、これらに対する外務省保安庁話合いはどうであるか。またかような問題に対しては、国連なりユネスコ等もございまするし、あるいは国際司法裁判所とかこれらのいろいろの機関がありますので、これらに早急にわたりをつけて、解決するように努めなければならないと思うのでありまするが、こういう点について外務省も緩慢であると同時に、海上警備隊等を指揮しておりまする保安庁の本部が、何ら強硬手段をとつておらない。だんだん一寸二寸ずつ食われたらどうするんだ。われわれはその先を憂えていただいま申しておるのでございまするから、現在及び将来に関して外務省並びに保安庁——幸いにして両代表が御出席のようでございまするから、さらにお答え願いたいのであります。
  10. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは政府として一体になつてつておりますから、外務省のやるべき仕事も多々あります。保安庁がただいまやる仕事がありますかどうか、私はただいまのところは運輸省の所管事項じやないかと思つておりますが、これは政府としてやるべきことは、保安庁にしろ、運輸省にしろ、みな努力してやるわけであります。  なおただいまも繰返して申した通り、国際的な手段に訴えるということも考えますけれども、こういう問題は、元来自国の領土主張でありますから、あくまでも相手国に対して説得をし、これを平和的に解決すべく努力するのが当然でありまして、この十分なる努力をいたした後、どうしても解決ができないという場合に、国際的な手段に訴える、これが常道であります。まだまた十分やるべきことがあるのであります。つまり一ぺんや二へん行つてもなかなか相手が承服しない場合は、何べんでも行つて説明を加え、努力をすべきことでありまして、私はまだ国際機関に訴えるところまでは来ておらない、まだ韓国側が十分反省すべく再三繰返して努力をいたすべきだと考えておりまして、これを手ぬるいというようにお考えになるのは、私は間違いであろうと思います。これがどこでもやることでありまして、この方法が一番正しいことであろう、こう私は考えております。
  11. 小高熹郎

    小高委員 岡崎外務大臣答弁は、私どもとかなり違つております。韓国側においては、竹島韓国領土であるという考え方のもとに行動をとつておるということは、外務省当局もすでに了承しておるにもかかわらず、これは話合いで何とかなるという考え方だ。向うは韓国領土だと思い込んで行動をとつておるから、こういう強腰に出ておるのだ。しかるに日本は、日本領土なりとしてこの主権を主張しておるのでありまして、さような一寸延ばしにゆつくりひまをとるのがよいとか、時間をとるのがよいなんということは言うていられぬ、安閑を許さぬ、かように私は考えているものであります。今後さらに、あそこへ要塞をつくろうといううわさがあるくらいでありますから、どんどんあの付近へ押し寄せるかもしれません。漁民がどんどん来て仕事をするかもしれぬ。そのとき再び発砲事件が起きた際に、ただいま伺いますと、これは政府全体でやるべきであるという御答弁でありますので、そうなくてはならないと私も思つておりますが、これに対して政府は、さらに先方で強硬手段をとつて上陸し、あるいは適当な設備でもしようとする場合に、海上警備隊なり保安隊なりは、これは水害等のために働くものであるか、国内の治安維持のために努力するものであるか、またこの種のものに対してもある程度の機能を発揮するものであるか、これは重大ポイントでありますので、この点明快なるお答えを願いたいのであります。
  12. 前田正男

    ○前田政府委員 ただいまの御質問でございますが、本日大臣は所用がありますので、私からかわつてお答えいたします。  現在竹島の問題につきましては、先ほど外務大臣からも御答弁のありました通り、政府といたしましては、平和的に解決いたすべく努力しているものであります。現在のところ保安庁には関係がまだ至つておりません。現在のところ運輸省の海上保安庁の巡視艇が出ましていろいろと調査いたしております。われわれ保安庁といたしましては、国内の平和と秩序を維持するのが任務であります。しかしながら、かくのごとく国際的な紛争になるものにつきましては、できるだけ国際的に、平和的に解決することを望んでおるのでありましてわれわれの任務の範囲で、現在のところはまだ平和的な解決を望むというのが一番妥当である、こう思つている次第であります。
  13. 田口長治郎

    田口委員長 外務大臣が急いでおられますから、外務大臣に対する質問を簡単にやつてください。今参議院外務委員会で、日米通商航海条約最後の日でありますから……。
  14. 小高熹郎

    小高委員 それではさらにお尋ねいたします。かりに歯舞諸島、これらがわが国領土であるということは厳然としておるのでありますが、これもいかんともいたし方がないというので、今まではその措置を講ぜられなかつたのでありますが、今日に至りますと、これらの点についても根本的に考えなくちやならない。さらに稚内とか北海道周辺に、外国人たちが夜陰に乗じてひそかに上陸した場合、あるいは団体的に行動をとつて来た場合、これらに対して、政府がやるということでありますから、政府はどういうような態度をとつて行かれるか、この点を明確にされたいのであります。
  15. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 歯舞、色丹等が日本領土であるということはこれは当然でありますが、ただいまの現状で、実ははなはだ言葉は妙でありますが、ちよつと手のつけようのない実情と私は考えております。しかしもし国際的な輿論ということであるならば、平和会議でもすでにこの点は主張されておりまして、各国もこの点は認めております。しかしそれ以上に何か名案があるならばひとつ小高君に伺いたいのであります。私どもは名案であれば、何も自分の考えだけがよいというわけではないのでありますから、名案のお示しがあればこれを努力するのに決してやぶさかでないのであります。なお北海道に上陸した場合にどうするか、そういう場合には国内の治安と秩序を維持するために保安隊が厳然と控えておりますから、何ら御心配はない、こう私は確信しております。
  16. 小高熹郎

    小高委員 何ら心配はないというのでありまするが、現在心配があつてこの竹島問題が起きておるのであります。ここいらの点をもう少し明確にしておきませんと、軍隊でもないもの、兵器、弾薬等の準備も貧弱である、この姿によつてはとうてい国の防衛はできない。ここまで来ておるのでありまして、この竹島問題もこれが解決しませんうちは、相当今後国民のこれを中心としての動揺は免れないと思うのであります。こういう点をはつきりしてもらいたいために、私は今日ここで二時間でも三時間でも、これが解決しないうちは——安心して住んでいられないなんという政治は、おそらく世界各国にないわけであります。枕を高くして寝られるという、これが政治の真髄でなければならないということを考えまするとき、これはさらに追究したいのでありまするが、時間があるから、時間があるからといつてせかれてはなはだ不満であります。これはこのまま私は引さがりません。保留にいたしておきまして、次の機会においてもつと掘下げて——私はこれに対していろいろ構想も持つております上、小高君にいい意見があれば伺いましようという、そのいい意見かどうかは別問題として、いささか腹案も持つておりまするので、岡崎外務大臣にこれらの点も公開したいと思つております。時間も制州されておりますので、遺憾ながらこの程度にとどめますが、実はこれをもつて終りません。継続いたしますが、本日は保留という形で一応終つておきます。
  17. 赤路友藏

    赤路委員 ただいま小高委員質問の中に第三海洋丸事件がありましたか、外務大臣答弁の中で、領海侵犯という意味でつかまえられたということを言つておられます。先日倭島局長かここへ出られまして、答弁を願つたのですが、その答弁の中では、五月十…日付で領海侵犯の点はドロップされ、おる、こういうふうに言つておるのであります。従つて領海侵犯ということは、フイリピン政府において間違つおつたの、だということがはつきりしておる。すでに今日二箇月以上、三箇月にもなつておるのに、当面の責任者である外務大臣が、そのような間違つて答弁をするということはもつてのほかだと思う。この点について外務大臣はどうお考えになつておるか、それをひとつお聞きしたい。
  18. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私は、初めからお断りしておるように、本日は竹島の問題たということで通告を受けましたかり、その用意をしておりまして、ほかの資料を準備して来ておらなかつたのであります。そのために、あるいは回合が違つておるかもしれません。これは後刻調べて、間違つてつたら訂正をいたします。
  19. 中村英男

    中村(英)委員 ちよつと簡単に竹島の問題をお伺いしたいのです。それは小高委員と大臣との間に述べられましたような点でありますが、これは日本海の漁業にとりまして、御承知のように竹島を含めた李承晩ライン、そういうことで、竹島事件が起る前から拿捕もあり、いろいろ問題を起して来たのでありますが、今日まではつきりとして解決がとられていないのに非常に不柄を感じております。ことにこの問題では、単に漁民がその漁場を非常に制約州されたということだけではなくして、今外相が説明されましたように、無人島である、人間が住んでいない島であるというふうな一つの物の考え方で日本領土が侵されたときに、日本政府のとつた態度は、国民の目に非常に弱く映じて来ておるのではないかと思います。そこで私が外相にお伺いしたいのは、この前実は本会議でこの問題を少し御質問申し上げるつもりで、外務省にこの問題に対する日韓両国の同に交換されました文書の提出方をお槻いしたいのですが、国際間の微妙な問題であるからというので拒絶いたされましたので、竹島問題に対して日韓両国間にその所有権をめぐつてどういう交渉がかわされて来たかということを、口頭かあるいは文書をもつて御報告願えるかどうかお聞きしたい。
  20. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 そういうお話でありますれば、いずれ先方とも協議をいたしまして、先方意見が合いますれば、御報告をいたしたいと思います。
  21. 田口長治郎

  22. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 東支那海における中共日本漁船拿捕事件についてお伺いいたします。これにつきましてはすでに小高委員から、これに対する政府のとつた処置について今お尋ねになり、ただいま岡崎外務大臣から御答弁があつたのであります。それによりますと、北京において公館を持つておるところの日本親善関係にある国を通じて交渉をする、あるいは香港における同様な機関を通じて交渉をやつてはおるけれども、効果はあがつていない、こういうお答弁であつたように伺つたのであります。われわれは日本政府を信頼いたしまして、政府保護のもとに、正常なる地域において、正常なる生産に従事をして行きたいと存じておるのであります。政府のこの事件に対して交渉効果があがらないために、本年に入つてからすでに十三隻の漁船が拿捕されておるのであります。そういたしますると、このままにして放置しておきますならば、東支那海において日本漁船漁業をするという意欲もなくなるし、また政府に対する信頼感が非常に薄れて来ておるのでありまして、今日におきましては、漁民はすでに日本政府を信頼しないで、中共に拝む頼むで懇願をいたして、こういうことをしないようにしなければならぬという国民感情もわいて来ておるのであります。これは私ども日本国民感情の上に重大なる問題であると存ずるのであります。すでにそういう気運が国民の間にわいて来ております。岡崎外務大臣は、こういうことを通じてこういう感情が国民のうちにわいて来ておるということを、いかに考えておるかということが第一点。もう一つは、先日の政務次官の御回答によりますと、パトロール船を動かして保護しておるというようなことを申されたのでありますが、単に拿捕されたものを交渉するということはあとの問題であつて、むしろわれわれはこういう事態の起らないような空気なり環境をつくり出さなければならぬと存ずるのであります。それでありますから、岡崎外務大臣にはこの点に関していかなる保護政策を考えておられるか。この二点をお伺いいたします。
  23. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 中共側が、いろいろの意味政府をたな上げして、人民管理方式のようなものを日本に押しつけようという——これは故意か偶然か知りませんけれども、様子は見えるのでありまして、たとえば中共からの引揚げの場合でも、政府は頼むに足らずという印象を国民に与え、そして引揚げの三団体によつてこれはできるのだという印象を与えようとしておるように思われるのであります。漁業の問題でもそういうことがあるかもしれません。当然あり得べきことであると考えるのであります。これは非常に対処しにくいことでありまして、むずかしいのでありますが、国民の方でもその点は十分良識をもつて判断される必要があると思います。しかし政府としましても、これをほうつておくわけではないのでありまして、でき得る限りの努力はいたします。また未然に防ぐ方法も講じたいと考えておりますが、これは私の方の外務省の主管事項というわけには参りません。外務省が船を持つているわけでもないのでありますから、ほかの主管庁に十分連絡いたしまして、未然に防ぐような努力もとつてみたいと思つております。なお今までの抑留された人や船につきましては、これはあらゆる手段を通じて、返してもらうようにいたすよりしかたがないのであります。これも先ほど申したと同じことでありますが、われわれが努力している以外に、こういう方法があるというようないい方法がありますれば、喜んでお聞きして促進に努力したいと考えております。
  24. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 すでに三年以上にわたつて拿捕行為が継続されておるのは御承知の通りでありますが、こういうように継続して同じことが繰返されておるということは、そこには何らかの原因があろうかと存ずるのであります。私はこの拿捕のいきさつを見まして、講和条約が締結されてから特に拿捕の行為が多くなつたということは、これは日本に対する報復の感情から来ているのかもしれません。あるいはまた日本が正式に中共交渉する間柄になつていないので、そういう間隙を縫つて日本漁船に損害を加えているのかもしれないと存ずるのであります。こういう国際関係もしくは国際感情によつて日本漁船中共によつて不法に損害をこうむるということに対しましては、国家はこれらの漁船に対して、損害保険の制度もございますけれども、これに従事しておりますところ漁民に対しては、別に損害を補償するという制度がないように考えられるのであります。こういう意味合いにおたところの漁民に対する損害、漁民の家族その他事業の損害に対する補償というものを、今政府考えておられるかどうか、また将来これを何らかの方法によつて補償する御意思があるかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  25. 田口長治郎

    田口委員長 田中さん、今の問題は大蔵省関係ですね。そこで皆さん方にお諮りいたしますが、本日は外務大臣竹島問題ということで御出席を願つた次第でございますが、たくさんまだ質問が残つておるようでございますから、質問の要旨を一応委員長のところでまとめまして、日を改めて、ある程度徹底するまで質疑を繰返したらどうかと思いますが、いかがですか。
  26. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 それではただいまの質問は留保して、またあらためて申し上げることにいたします。
  27. 田口長治郎

    田口委員長 きようは日米通商航海条約の審議の最後の日だそうです。それで参議院から外務大臣にどうしても出席してくれということでございますから……。
  28. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ただいまの委員長の御発言でございますが、外務大臣たいへんお忙しいようで、日米通商航海条約の問題も大事でございましようが、竹島の問題、その他拿捕船舶の問題も非常に重要な、また緊急を要する問題でございます。それでこの次にまた継続するのはけつこうでございますが、大臣は一旦この委員会をお下りになると、忙しい忙しいで容易に出て来られないのではないかと思う。大臣が継続して出席できるのであるならば、別に私は異議ありませんが、その点確めて議事をお進め願います。  もう一点は、これ以上いい案があれば取上げるにやふさかでないということを言われますが、そうしますとでおとりになつ手段外務大臣の精一ばいの対策であるかどうか、これによつて新しいわれわれの質問の態度がきよるのでありますから、その二点をはつきりお答え願いたい。
  29. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私どもの時間の都合は、私だけできめるわけにいきません。本日は参議院の本会議出席を要求されておりますし、委員会は先ほどからずつと待つて——委員長は十分か十五分でよろしいというお話でありましたので、向うを断つて来たような次第であります。そこで向うで非常に待つておるわけであります。  それから竹島問題につきましては、もちろん外務省としてなり政府としてなり、まだやれることがあるんだけれども、これくらいにしておこうというような措置はとつていないのであります。考えられる最善の措置をとつておるのは当然でありますが、人間のことだから、自分はいいと思つても、もつといい措置があるかもしれない、従つてそういうことがあれば喜んでお伺いする、こういう意味であります。
  30. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そういたしますと、最初の私の質問に対して、この次トーあるいはあしたでもあさつてでも、せつかく会期が延長されたのでありますから、この延長された会期の中で、もう一ぺん大臣に出ていただけるかどうか、もし出ていただけないのであれは、いましばらく時間をおかしになつて継続審議を進めた方がいいのではないかと思いますが、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  31. 田口長治郎

    田口委員長 日を改めてそういうここにしようと思います。——ほかの委員長と相談をいたしまして、さようにこりはからいたいと思いますから御了承願います。——公海漁業に関する件についての議事はこの程度にとどめます。     —————————————
  32. 田口長治郎

    田口委員長 次に水産資源保護増殖に関する件について議事を進めます。  この際鈴木委員より発言を求められております。これを許します。鈴木書中君。
  33. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 林野庁の猟政調査課長にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、狩猟法によりますと、農林大臣が狩猟鳥獣の種類を指定なさることに相なつておるのであります。この狩猟鳥獣の種類を指定なさる基準はどういうぐあいになつておりますか、その点をお伺いいたします。
  34. 葛精一

    ○葛説明員 大体基準といたしましては、農林水産業上の有害な種類、特に狩猟鳥として価値の非常にあるもの、それを標準にして狩猟鳥と定めております。
  35. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 そうすると、狩猟鳥獣の指定をいたします場合には、水産資源に非常に有害であるという面についても、十分な考慮が払われておるというお話でございますが、現在水産資源に被害ありとして狩猟鳥獣に指定をされておる種類は、どんなものがございますか。
  36. 葛精一

    ○葛説明員 水産関係につきましてはかも類1かも類のうちにおかがもと海がもと二色ございまして、海がもの方は大体水面下にくぐつて魚介あるいは魚類、水草等を食う場合がありますので、そういう意味でかも類でも特に海がもの方が水産関係があるので指定されております。
  37. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 このかも類の被害についてただいまお話がございましたが、かも類、あるいはあいさの類、はじろの類、そういうようなものが水産資源に相当大きな被害を与えておるというぐあいに私どもも承知いたしておるのであります。主として河川、湖沼あるいは人為的に、積極的に養殖等をいたしております養殖場等における被害の程度、これはおそらく計数的にはなかなか困難だろうと思います。もしおわかりになりましたらその点をお伺いしたい。
  38. 葛精一

    ○葛説明員 その被害の程度につきましては、そのかもをとりまして、目黒の鳥獣調査室で胃袋の内容を全部調べております。今の御質問の被害につきましても、大体何かもが何を食するかということにつきましても、今まで調べましたデーターを持つております。その全体の額については、まだそこまで調べがついておりませんが、大体一羽の鳥がどういう種類のものを食したというような見当はついております。
  39. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 私の手元に諏訪湖におけるところのかも類の被害調査が届いておるのでありますが、諏訪湖においては猟政調査課長も御承知の通りに、十月の中ごろから翌春の四月の中旬ごろまでここに群集をいたしまして、その数は三千羽以上を越えておるというぐあいにいわれておるのであります。主としてふなとかわかさぎとかはや、むろというような諏訪湖における漁民の非常に増殖に力を注いでおりますところの有用水族が、このかも類の増殖の原因に相なつておるというのであります。その一羽のかもの一日のこれら魚類を食べております量というものは、推定のほかはないのでありまりが、うを飼養するに一日二百六十匁の魚が必要であるということがいわれておるのでありますが、そういう面かつして、かりに二百匁としてこの諏訪湖に群遊しております期間が百五十日こいたしますならば一日に六百貫、百五十日に実に九万貫という厖大な量がこれらかも類の食糧として被害をこうむつておる、この九万貫の量は諏訪湖」おける関係漁民の年間の漁獲量をすでに越えておるというような甚大な被害をこむつておるのであります。このような漁業に対しまして、あるいは魚掛の繁殖保護に非常な甚大の被害を与えますところの鳥類、これを政府においては、あるいは保護区を設定しり、あるいは禁猟区を設定したり、さらに禁猟の期間を設けたり、あるいは州法を限定したり、そういうような制限または禁止のいろいろな措置を講じておるのでありますが、私どもは水産貝源の保護、食糧の増産というような観点からいたしまして、このような有盲なる鳥類を、何ゆえに保護しあるいは猟獲を制限、禁止するというようなことをなさつておるか。こういう資源の保護と、狩猟鳥猷ハンターの対象とおりましものの保存と申します、それとの調整について、いかような対策をお持ちになつておりますか、その点をお伺いしたい。
  40. 葛精一

    ○葛説明員 今の御質問にお答えいたします。先ほど申し上げましたように、大体かもの類は、日本ではかるがもを除きまして、あとは秋季に渡つて来る種類であります。ことに諏訪湖の場合では、今のお話の害のあるあいさにはうみあいさ、かわあいさと二色ございまして、これは今お話のように魚類をとります。ただあの近在は銃猟禁止区域になつております。銃猟禁止区域は知事が指定することになつておりまして、農林大臣が指定するのじやありません。あそこはたしかもとどく観光地であり、それから漁業組合の方から県に申請されて、銃猟禁止にされた場所と存じております。ところがその後、昭和二十四年と存じておりますが、だいぶあいさの類が来て、水産に害があつた。そういう意味で、土曜、日曜は自由にとれるようにしてくれというお話で、県がそういうふうにとりはからつていると思います。これは県知事がやつております。従いまして、もし被害が続出いたしますような場合には、県知事の方にお話をいただきましたら、県知事が解除して、一般の狩猟者が自由に撃てるようにとりはからつていただいたらいいように感じます。それから今のお話でございますが、特殊なきじ、やまどりは猟期内でもさらに制限しておりますが、かも類等につきましてそういう被虫問題の起るような心配のあるものは、猟期一ぱいにしております。なお猟期外につきましても、狩猟法の第十二条によりまして、有害な場合には、特別に農林大臣の許可を得て、駆除ができるようになつておりますので、それで対処して参りたいと思います。
  41. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 狩猟法の施行規則第三条に「狩猟鳥獣は、左の各号の一に該当する猟法を用いて捕獲してはならない。」こういうことになつておりまして、はご、あるいはつりばり、あるいはもちなわというようなものを使用してはいけないと規定されておるのであります。諏訪湖の漁業者はこの非常に被害が大きいかも類をとるために、ただいまお話がありましたように、知事の許可を得まして、銃猟の禁止を解除してもらつたのでありますけれども、銃猟だけでは十分に駆除することができない。これはどうしても施行規則で禁止しておりますはことか、つりばり、あるいはもちなわというようなものを使用いたしまして、この有害なるところのかも類の駆除をはかりたいということを、熱心に希望しておるのでありますが、この点関係漁民の希望するように、そうして年間九万貫以上に上る被害を防除できますように、これらの捕獲の方法を認めてやるお考えはありませんか。
  42. 葛精一

    ○葛説明員 今もちなわ、つりばり等についての御意見がございましたが、御承知のようにもちなわ、つりばり等でありますと、有害なかも類ばかりではありませんで、ほかのかも類その他も一緒にとられるかつこうになります。銃をもつて駆除いたします際には、目的物をよくねらつて撃つことになりますので、二十六年の統計でも諏訪湖で駆除されましたのは、あいさが八十六羽駆除されたかつこうになつておりまして、ほかのかもよりか非常に多く目的物だけを駆除できるようになつておりますので、そういう意味でなるべくもちなわは使いませんで、ほんとうに被害のある目的物を駆除できるようにしたいというので、大体銃器で駆除するようになつております。
  43. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 ただいまのお話でございますが、つりばりにいたしましても、あるいはもちなわにいたびましても、これがかかつてただちに死ぬというのじやないと思うのでありまして、そういうような有害なかも類だけをその際とらえてこれを駆除するということにいたしまして、有事でないものはこれを放してやる等の措置考えられるのではないかと思うのでありますが、その点は技術的に解決ができないかどうか、その点を御説明願いたいと思います。
  44. 葛精一

    ○葛説明員 御説明申し上げます。実は平たく申し上げますと、それ以外の、たとえばおしどりのような保護鳥がもちなわにかかりましても、実情はかかつたものをみんなとつてしまうという現状でありまして、狩猟あるいは駆除に従事する方が、ほんとうに狩猟道徳を守つて、鳥の保護という面に力を入れていただきましたならば、何もそんな心配はなく行けると思います。
  45. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 これは漁業者が自分らの生業を真剣に考えての防除行為でございまして、それに便乗して、おしどりとかその他の有害でないものまでとろうという考え方ではないのであります。これは組合のようなものに責任を持たせまして、真に漁業者が困つておりますこれらの害鳥を駆除することに、農林当局はもう少し漁業者の切実な要求をよく御理解なさつて、駆除方法についてこれを法的にも許して、水産資源保護培養に御協力を願いたい。この希望を申し述べまして私の質疑を終りたいと思います。
  46. 田口長治郎

    田口委員長 いま少しく考えていただいたらどうですか。
  47. 葛精一

    ○葛説明員 今のお話もございますので、これは県で指定しました銃猟禁止でございますから、県当局ともなおよく打合せまして遺憾のないようにとりはからいたいと存じます。
  48. 田口長治郎

    田口委員長 水産資源保護増殖に関する件についての議事はこの程度にとどめます。
  49. 田口長治郎

    田口委員長 ただいまより加工水産物輸出振興に関する法律案を議題として質疑を許します。川村善八郎君。
  50. 川村善八郎

    ○川村委員 先般加工水産物輸出振興に関する法律案について、加藤勘十君その他から大体の御説明があり、並びに質問をしてその要旨は承つたのでありますけれども、私、趣旨といたしますれば、やはり日本水産資源を高度のものに加工して、これを輸出するということについては、私らは賛成するものでございます。たとえて申しますれば、まぐろのカン詰ばかりでなく、いわゆる魚油にいたしましても肝油に匹敵するような油にし、しかもこれをビタミン油に精製いたしまして輸出をして外貨獲得をするにと同時に、日本漁業者の生活の安定になるような、いわゆる経済面に寄与するというようなことは、これはわれわれとして十分考えなければなりませんし、またとつて行くべき方法だと私は考えるのであります。ただ今度の問題になつておりまする加工水産物輸出振興に関する法律案という、題としてまことに大きな法案を出しておりますが、内容はただ単にまぐろ、かつおのカン詰に限つておるというだけに、そこに少しく問題があるだろうと私は考えております。従いましてこれと利害相反するところのかつお、まぐろの冷凍業者から反対があるといつたようなことも非常に強い響きになつておりますので、われわれはいささかこれらの関連において相当の調査が必要だと考えておるのでございます。趣旨にはまことに敬意を払うものがありますけれども、その内容のあまり狭隘なのに少し疑問がありますから、われわれといたしましてはこれを十分調査をしなければならぬと思います。これは否決すべき問題でなくて、調査の結果善処べきでふるという私は考えを持つておりますので、この際委員長は各委員に諮られまして、この法案をぜひとも次の国会で、何らかの形においてその目的を達成するというようにしたいと思いますので、今国会においてはこれの結論を出さずに、次の国会において結論を出すという建前から、今後もこの法案に対しては継続審議にされんことを私要呈する次第であります。委員長におかれましては各委員に諮つて、そうして提案者の意思も十分そんたくして、慎重に取扱われんことをこの際お願いする次第であります。
  51. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 私は、この法律案が提出されて、当切はただいま川村委員が話されたより以上に反対の意思を持つてつたのであります。しかしせつかく提案された法律案というものに対しては、各委員は真剣にこれを審議しなければならない責任を持つておるのであります。ゆえに私は私だけとして、この問題に対して審議をすべくあらゆる資料を集めて研究をしてみたのであります。先日私がプリントを出したのも、あのアメリカから来ている両代表に会つたのも、あのプリントに書いてある通りであります。かくして調査を進めて行くときにおいて、私は結論を得たのであります。その結論は、実に重大な問題である。国民全体は日本の貿易の一番大きい額は絹糸であるという感覚を持つておる。また農民諸君もそれがために、日本の養蚕というものに対して重大な関心を特つてそれに邁進しておる。ところが結果から見て貿易の一番大きい問題は水産、まぐろ、かつおの問題であることが、おそまきながら発見されたのであります。また総理大臣の施政演説にも、当委員会における農林大臣の演説の中にも、沿岸から沖合いに、しかして遠洋にという言葉を使つておる。遠洋漁業というたらばそれはとりもなおさずまぐろ、かつお漁業である。次は北洋の漁業である。この重大な漁業について政府の無理大臣、農林大臣がああした演説を去れておる。しかしてこの法律案が出て来た。それに対して当委員会は真剣『はたして今までこれを審議しておつみか。この前私は光栄ある提案の署名の拒否をした。そうして現に本年の予算の中からあの一千トンの船が大蔵省の査定で削られようとしておる問題に軒しては、血道をあげて当委員会はその審議に際して努力をされた。水産行政のために、水産のために、今日の大蔵省はどういう考え方を持つておるか。あの問題はあれだけ強硬な審議を毎日毎日続けたにかかわらず、この重大な、絹を凌駕せんとするまぐろ、かつおの問題に対しては、いまだに一向に審議していないじやないか。言を左右にして引延ばし戦術をとつておる。かようなことに対しは私はまつたく不満に思うのであります。私は自分の調査の結果——これは誤つておるかも存じ一せん。皆さん方の衆知を集めた調査が一番いいことであろう。しかし私の調査から行くならば、現在まぐろ冷凍業者とカン詰業者と、この間の利害得失、わずかの問題によつてせり合つておる。ところがあの法律案の内容を見、またアメリカの両団体の意見を聞くときにおいて、むしろこれは冷凍業者を保護するような法律になりはしないか、私はかく考えたのであります。そう思われたのであります。しかし両方の業者が今日のようにわずかの利害によつて角突き合いをしていたときには、アメリカから来ておる水産の代表、加工の代表、これらがどういう結果を持つて帰るかということであります。そのときにおいては、日本水産貿易に対して非常な将来憂慮すべき問題がここに横たわるものであります。かかる重大なる問題を、今真剣に一つも審議していないということは——一つもというと語弊があるけれども、真剣に審議していない。かようなことであつたならば、われわれの職責は一体どうするか、日本の経済はどうなるか。そういう大きな覧点からこの問題の審議をしなければならないと信じておるので、先日ここで議論をしたのに対ても、まだその資料さえ出て来ていたい。かようなことで絹に次ぐ大きな貿易がこんな状態で進んだならば、まことに前途を憂えなければならない。水産委員会のあり方というものは批判されることが起きて来るのではないか。ゆんに岡崎外相が来ても、のらりくらりとまつたく当を得ない、三等委員会などと批判される原因もここにあるのではないか。もつと高度な日本の財政というものから見て、やつて行かなければならないと思うのであります。幸いにしてただいま配付されたプリントを見ると、明日委員長は代表団と会見するというその通知でありまして、おそまきながらここまで努力されたことに対して敬意を表するものであります。どうか真剣にこうした大きな問題に対して、あらゆる努力を傾倒せられんことを希望するものであります。
  52. 田口長治郎

    田口委員長 先ほど川村委員から動議を提出されております。本件につきましては、後刻理事会を開きまして、本件及びその他の今後の水産委員会の運営の問題について御相談いたしたいと思いますが、川村先生いかででございますか。
  53. 川村善八郎

    ○川村委員 けつこうです。
  54. 田口長治郎

    田口委員長 それではさようにとりはからいたいと存じます。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつて御通知申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十五分散会A