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1953-07-04 第16回国会 衆議院 水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月四日(土曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 中村庸一郎君    理事 山中日露史君 理事 小高 熹郎君       塚原 俊郎君    中村  清君       濱田 幸雄君    白浜 仁吉君       赤路 友藏君    淡谷 悠藏君       辻  文雄君    松田 鐵藏君  出席政府委員         総理府事務官         (内閣法制局第         三部長)    西村健次郎君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     山中 一朗君         大蔵政務次官  愛知 揆一君         農 林 技 官         (水産庁次長) 岡井 正男君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁不動部         次長)     大石 孝章君         総理府事務官         (調達庁不動産         部不動産補償課         長)      鈴木  昇君         大蔵事務官         (主計官)   谷川  宏君         農林事務官         (農地局管理部         入植課長)   和栗  博君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      立川 宗保君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         経理課長)   高橋 泰彦君         衆議院法制局参         事         (第三部長)  川口 頼好君         専  門  員 杉浦 保吉君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 七月二日  霞浦及び北浦に国立淡水水産研究機関設置の  請願塚原俊郎紹介)(第二二九四号)  さんま漁業取締規則の一部改正に関する請願(  塚原俊郎紹介)(第二二九五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長補欠選任  日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為に  よる特別損失補償に関する法律案内閣提出  第四二号)  漁業制度に関する件  公海漁業に関する件     —————————————
  2. 田口長治郎

    田口委員長 会議を開きます。  本日の政府側出席者は、調達庁山中不動産部長大石次長鈴木補償課長水産庁岡井次長立川漁政部長高橋経理課長農林省和栗入植課長内閣法制局西村第三部長衆議院法制局川口第三部長であります。  漁業制度に関する件について議事を進めます。この際松田委員より発言を求められております。これを許します。松田鐵藏君。
  3. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 昨年北海道機船底びきに対して、北海道庁より、次の機会に底びきの操業区域を相当拡大する案が、水産庁の指示に基いて参考意見として提出されたのであります。それに対して沿岸業者と底びき業者との間に意見の食い違いがあり、非常な政治問題化したのであります。ところが当委員会においてさようなことを一々論議することは、将来行政の面にくちばしを入れることであるという観点から、私どもは遠慮をいたして、水産庁当局とよく話合いをして一応の妥結点を見出したのであります。それは以東底びきと沿岸との操灘区域その他の問題は、水産庁において可及的にこれを決定する必要もあり、また以東底びきの整理問題もあるので、これらに対する根本策をきめなければならないという観点から、とりあえず一年間操業させてみようということによつて農林省指令二七、水第九四一〇の指令を出して、石狩湾の問題は一応の妥結を見たのであります。それは「中型機船底びき網漁業取締規則昭和九年農林省指令第二〇号)第二十一条の二の規定に基き、貴殿の許可にかかわる〇〇〇の操業区域及び操業期間を左記の通り制限する。昭和二十七年十一月十九日、農林大臣」として、内容はこ三かくなりますからこれを省きますが、かような指令を出して、一年間の暫定として、その漁場の調査、研究をする薙前とし、それがひいては基本的な以東底びきの問題を解決する一つの資料になるという観点から、これを行つたのであります。ところがその漁場というものは、沿岸と底びき業者との間の非常な摩擦のあるところであり、底びき業者自己禁止区域外である箇所に対して、この指令に基いてある一定の期間操業するのみで、あと沿岸に開放するという意味のものであり、これによつて操業した結果が、日本沿岸のあらゆる箇所において相剋摩擦があるものに対して、一つ違反事項もなく、まつた平穏裡にこの漁場の経営がなつたのであります。かくして本年になつたところが、早急に北海道全体の操業区域というものに対する拡大の方針を持つて調整に水産庁は乗り出し九のであります。ところがその間における基本的な考え方は、底びき業者沿岸から相当遠ざけるというこの基本議論に対しては、私どもも賛成でありまして、また沿岸業者と底びき業者とがその操業区域内においても協調した線において話合いができて、あらつる箇所においてこれが成立の気運になつたのであります。ひとり石狩湾の問題に対しては、水産庁は夜を徹して、今まで一週間以上も沿岸、底びき両業者北海道庁の四者が会合いたしまして努力されておるのであります。この点は実に私どもとしてわきから見ておりても感謝にたえないものであります。昨年この程度努力をされてあつたならば、昨年のうちに基本的な問題が全部決定するものではなかつたかと、いまさら思い浮べる点が多いのであります。そこで水産庁はあらゆる努力をしておるのでありますが、利害関係が非常に激烈なるために、双方ともに譲ることのでき得たいはめになつておるのであります。私はこの問題に対して、時間もないのであるから、この席からあまり詳しいことは遠慮いたさなければなりませんが、およそ漁業操業区域という問題は、今全国的に波紋を描いておるときであります。近くは先日当委員会、しかも衆議院を通過した以西底びきの中間漁区特例法によつて、完全なる解決を見ておるのであります。あの二箇年間にわたる紛争も、かくして解決されておるのであります。水産庁においても、水産庁みずから出したあの法律趣旨を十分御研究になり、紛争漁場に対しては好個の例として、これを適用して紛争解決する意思を持つてかかつておることだろうと存ずるのでありますが、いかにしてもこの問題は、いまだその曙光を認めるわけに参らぬ段階になつておると、けさほど私は承つたのであります。水産庁の苦労は察します。しかし昨年私ども指令によつて解決した問題は、私ども委員の中から、この問題の解決にあたつて相当努力をしたものであつて、この問題の解決に対して、もし誤つた方向によつてできることでもあるならば、私ども政治道徳の上からいつて見のがすことのでき得ない重大な問題であり、ただいたずらに大衆の呼び声によつてのみ政治というものが運営されるものでないと考えておるのでありまして、双方利害関係を調整して、初めて正しい政治というものが成り立つものであろうと考えておるものであります。当委員会にかくした議論をすることは私は好まないのであり、今まで遠慮しておつたものでありますが、一週間になつてもいまだ曙光を認めない、そうして業者側からの陳情を受けて、さきに委員長に陳情した、きようは私に陳情するという話であるがために、自己の昨年とつた政治的な道徳の上から、この問題を委員会に報告し審議していただき、しこうして適当なる案を水産庁と協議されんことを委兵長においてとりはからいを願いたいと存じておるのであります。以上をもちまして、私の緊急質問を終ります。
  4. 田口長治郎

    田口委員長 ただいま松田委員からの緊急質問に対しましては、当委員会としては小委員会で一応研究する、こういうことにいたし三して、おさしつかえありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田口長治郎

    田口委員長 御異議ないようでありますから、さようとりはからいます。  小高委員から緊急質問要求されております。これを許すに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田口長治郎

    田口委員長 御異議がないようでございますから、小高君の緊急質問を許します。小高熹郎君
  7. 小高熹郎

    小高委員 事態が急でございますので、あえて緊急質問をいたさんとするものであります。私は数項目にわたつて日本公海漁の発展と主権確保に関する緊急質問に対して想を整えておるのでありますが、きようは時間の都合上、ことに外務大臣及び外務当局が出ておりませんので、水産庁に向つてこれを質問するのにどうかと思いますが、ただ一点急を要する問題、竹島問題のみお尋ねいたしたいと思いまして、あと外務大臣出席の際にいたそうと思つております。     〔委員長退席鈴木委員長代理着席〕 昨日の朝日新聞によりますると、韓国竹島艦艇派遣という題目で、釜山二日発ロイターとして、韓国外務部スポークスマンが二日語つたところによれば、韓国政府竹島海軍艦艇を派遣することに決定した。韓国側の主張ではこれは最近日本側が同島で韓国漁船及び漁民を捕えたので、これを保護するためと述べている、かように出ておるのであります。去る十八日の衆議院の本会議において、改進党の須磨君が本問題にちよつと触れたのでありますが、その際岡崎外務大臣は、竹島はわが国の領土には問題ないのでただいま注意しておりますと、きわめて簡単にこれを取扱つておるのであつて、私は非常な不満を持つてつたのでございます。そもそも竹島問題とは、去る五月二十八日に島根県の竹島において、韓国漁船十隻と漁民三十名が上陸し、貝類及び海藻類を漁獲しておる事実を同県の水産試験船島根丸が確認して、これがただちに水産庁に報告せられて以来、すでに一箇月余になるのでありますが、これに対して政府はどういう措置を講ぜられたか、この点特に水産庁態度を伺いたいのであります。御承知のごとく、この竹島は明治三十八年二月わが日本領土として初めて島根県の地籍に編入せられたのでありますが、終戦後は駐留軍爆撃演習地として使用され、先般解除せられて日本政府に返還されたものでありまして、同計における韓国民行動は明らかに領土侵犯であり、不法入国であると私は断ぜざるを得ないのであります。しかるにもかかわらず、政府はこれに対して何ゆえ領海侵犯あるいは不法入国のかどをもつて海上警備隊なりもしくは保安隊なりをして、拿捕抑留の手段をとらしめなかつたのであるか、まことに不樽にたえないのであります。現在日本漁船が、朝鮮周辺公海上においてさえ操業中を韓国官憲のために不法にも拿捕、抑留され、しかもいまだ帰還せざる漁船は十三隻に及んである、こういう際にたまたま昨日の朝日新聞を見たのでありますが、水産庁島根県のこの報告に対してどういうような行動をとり、外務省と折衝して、この新聞にあるように韓国の漁夫あるいは漁船を抑留した事実があるか、それについて韓国側がこういう態度をとるとするならば、水産庁当局はいかなるお考えを持つておられるか、この点をお尋ねいたしたいのであります。
  8. 岡井正男

    岡井政府委員 ただいま御質問がありました点でございますが、竹島日本領土であるという点は、過日他の省から御回答申し上げた通りでございまして、水産庁は特に竹島の現在の段階における利用価値からいたしましても、漁業に重点を置かれるべき筋合いのものでございますがゆえに、私ども各省に比べて最も重大に心得ております。しかるがゆえに、外務当局へも、竹島の今後の措置については、できる限り厳重かつ適正なる措置をとつてもらうという線で、私の方から連絡いたしております。ただいま私からその具体的な措置について、どういうふろにとつているということを申し上げるのはどうかと思われますので、ただいま御質問の方からもお話がございましたように、他日外務当局から率直に御答弁をお求めいただく方かより適当でないかと思われますが、御心配のような点はまつたく同感でございますがゆえに、現存抽象的にお答えするならば、さような措置を現にとつております。従つて具体的な点は外務当局からお聞取りいただく方がけつこうかと思います。
  9. 小高熹郎

    小高委員 外務当局からでなければ答弁ができないということは、よくわかるのでありますが、私は水産庁当局が、いかなる熱意をもつて本問題に、担当責任者という姿において乗り出しておるか、その態度をお伺いしたかつたのでありますが、時間の都合もありますので、これ以上追究いたしません。いずれ本会議なりあるいは当委員会の席上におき概して、外務大臣出席の際に、詳細に質問いたしたいと思います。     —————————————
  10. 鈴木善幸

    鈴木委員長代理 ただいまより日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。淡谷悠藏君。
  11. 淡谷悠藏

    淡谷委員 先般お願いいたしました外務大臣出席が、本日ないようでございますから、質問は簡単にとめますが、和栗入植課長にひとつお尋ね申します。  内灘の例の試射場に強制使用されております土地は、開拓財産として豊国土地株式会社から買い上げられたものが、とられておるそうでございますが、開拓財産として取上げましたこれらの土地入植計画などはできておつたのでございましようか、お伺いいたします。
  12. 和栗博

    和栗説明員 お答えいたします。内灘砂丘地豊国土地の所有でございましたが、これを開拓地にいたしますために、国の方で自作農創設特別措置法に基きまして買収いたしまして、現在開拓財産になつておるわけでございます。
  13. 淡谷悠藏

    淡谷委員 重ねてお尋ね申しますが、その日時等を詳細に承りたい。それから、これはこの前の農地局長お話では、より重要な目的によつて要求されたものとして試射場に提供したという御答弁でございましたが、あの試射場というものは、あの開拓計画をやめにするほど重要性があつたかどうか。入植課長のお考えを聞きたいと思います。
  14. 和栗博

    和栗説明員 まことに申訳ありませんが、その時日は私ただいま記憶いたしておりませんので、後ほどお知らせ申し上げます。  それから、前に開拓財産でございましたが、それを試射場とすることについて、私の方の農地局長からお答えをいたしたそうでございますが、これは国としての必要の場合はやむを得ないという考えで、開拓財産の一部を試射場に使うというふうな考えであります。
  15. 淡谷悠藏

    淡谷委員 もう少し丁重に御答弁願いたいのでございますが、私の伺いましたのは、少くとも民有地であつたものを、国有として買い上げるということには、はつきりした開拓計画があつたろうと思うのです。はつきりした開拓計画があつて、大事な食糧増産の面に貢献するということでとられた施策が、試射場にするというようなことで外務省からあなた方の方に協議の申入れがあつて、あなた方も十分意見を吐いてこれをとりきめられたのかどうか、そういう点などについて、入植課長としての意見を、もう少し詳しくお述べ願いたいと思います。
  16. 和栗博

    和栗説明員 もちろん私どもとしまして、開拓地として買収いたしました土地は、開拓いたしまして食糧増産の一助にいたしたいという考えで当初はおつたわけでございます。ところがその後米軍試射場必要性という話が出て参りまして、その問題について外務省ともよく相談をいたしました結果、まあ国家的な立場におきまして、これはやむを得ぬだろうということで、これを試射場に使つてもらうということに相なつておるわけでございます。
  17. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そのときの外務省お話の中に、あれはアメリカの方の要求ではなくて、実は小松製作所保安隊に納める砲弾を、アメリカに頼んで試射をしてもらう目的で使うというような話があつたかどうかお伺いいたします。
  18. 和栗博

    和栗説明員 さような話は私は聞いておりません。
  19. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますと、あれはあくまでもアメリカ側要求として外務省が受けたものであると了解してかまわないと思いますが、その点の御意見を伺います。それから外務省からそういう申入れがあつた場合に、農林省として、また入植課長として、絶対必要のある開拓地であるならば、その旨をはつきり言つて外務省をしてアメリカの方に断るような場合があるかないか、それともまた日米合同委員会なり、あるいは外務省意見がきまつたときは、あなた方はそれには絶対服従をしなければならない義務を持つかどうか、その点を御答弁願いたいのであります。
  20. 和栗博

    和栗説明員 最初の方の御質問をもう一度お願いしたいと思います。
  21. 淡谷悠藏

    淡谷委員 外務省からその話があつたとき、アメリカの方で絶対必要だからというような理由申入れがあつたのか。それに対して入植課長としては、事情がかわつてアメリカではないのだ。——私の質問趣旨が少しかわつて来たかもしれませんが、アメリカ要求ではなくて、国内的な必要から要求された場合に、入植課長としてのお考えがかわつて来るかどうかということです。さつきお話では、アメリカ要求したのだといつて外務省から言つて来た。それに対して小松製作所から要求して来たのだということは全然わかつていなかつた。そういう新しい事実があるということがわかつたとき、開拓必要性とにらみ合せて、一体どうされるか、これが第一の問題であります。
  22. 和栗博

    和栗説明員 なかなかむずかしい御質問で、多少的がはずれた答弁をいたしますかしれませんが、アメリカの方から試射場に対する要求があつたことは間違いありません。  それから第二問の開拓財産でございますが、試射場なり軍用地提供方外務省の方から要求がありました場合は、私ども考え方といたしましては、根本的にはできるだけ開拓地なり農地は、演習場なり試射場にしてもらいたくないという考えを持つております。しかし、状況によりますれば、非常に必要な試射場なり演習場が、どうしてもここでなければならないというような事情があつて、しかもその場合に今度は私ども開拓をやつております方の側から見ました場合に、もう開拓者は相当入つてつて、耕地もたくさんできておる、今さらここを追つ払われてはとても困るというような場合には、極力反対をいたしますが、開拓財産として一応は取得はしておりますが、まだこれから開拓に着手するのだというような場合とか、いろいろその開拓地のそれぞれの具体的な事情がございますので、その辺をよくにらみ合せまして、農林省といたしましては、どうしてもやむを得ないという場合には、譲歩いたして参るという考えでやつてつております。
  23. 淡谷悠藏

    淡谷委員 入植課長の御答弁ですが、アメリカ要求であつたということを確信されてのお話のようですが、さつきも私が言いましたように、たびたび伊関国際協力局長は、あれはアメリカではなくて、小松製作所保安隊用砲弾を納める必要上から、アメリカに頼んで使つてもらつておるのだという明言があるのであります。もしもそれがほんとうであるといたします一と、入植課長の信じておることと違うのです。これはだまされたのでしようか。それともアメリカ要求国内要求とでは開拓重要性の比重が違うかどうか、その点を確めたい。外務省がだますというようなことはございますまいけれども、あるいは間違つた言い方で、何か開拓地を取上げるために、アメリカさんをかさに着て言つておられたかどうか、伊関局長はたびたびそういうことを明言しておりますので、これに対する入植課長のお考えを伺いたい。
  24. 和栗博

    和栗説明員 今のお話は、私といたしましては初耳でございまして、外務省伊関局長がそういうことを言われたというふうには、ちよつと私には信ぜられないのであります。当初のいきさつからいたしまして、そういうことはなかつたわけでございますが、伊関局長言葉の発表の仕方と申しますか、何かそこらへんに間違いがあつたのではないかと考えるのであります。
  25. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これ以上追究はいたしませんけれども、もう一言私はお聞きいたしたい。日時の問題にたいへん関連いたしますが、御承知通り豊国土地開拓地として適当ではないという理由から返還弄訟を起しております。今伺いますと、重要な開拓地外務省から要求があつても断るように努力すると言われますが、初めからこの開拓地はあまり重要性はなかつたが、一応買つておけといつた気持で買つておかれたのかどうか、その点の日時の方がわからなければ、買い上げてから試射場になるまでどれくらい間があつたのか、その点をお聞きしたい。
  26. 和栗博

    和栗説明員 どうも日時の点につきましては、ただいまはつきりいたしませんので、これは後刻調査いたしまして御回答申し上げます。
  27. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この開拓地を買い上げるときの法的根拠は、はつきりしておつたのですか。
  28. 和栗博

    和栗説明員 法的根拠は、その当時ございました自作農創設特別措置法に基きまして、民有地の買上げをいたしたわけであります。
  29. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その土地試射場に提供する場合に、どういう法的措置をとられたか、もう一ぺんお伺いいたします。
  30. 和栗博

    和栗説明員 御承知通り自作農創設特別措置法で買収いたしました土地開拓財産ということになりまして、農林大臣管理するところになるわけでございます。この開拓財産を一時試射場その他の他目的に使いますときは、農林大臣管理権に基きまして、一時使用をさせることができますので、そういうふうに処理をいたしております。
  31. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ただいまのお話、もう一ぺん確めたいのですが、一時管理という形になつておるのですか。
  32. 和栗博

    和栗説明員 農林大臣管理権に基きまして、一時他目的使用させることができるわけでございます。
  33. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この間外務省協力局の第三課長から、こうした演習地使用は、閣議決定に基いてきまるというような話がございました。閣議決定に至るまでに入植その他の関係で、十分あなた方の意思が取入れられておると思いますが、閣議決定がありますと、絶対命令のようにあとはあなた方の意見は、全然通らないようになるのかどうか。閣議決定後におきましても、事情がかわつて参りますと、閣議決定の変更があり得るかどうかということであります。
  34. 和栗博

    和栗説明員 ちよつと御質問の点がよく聞きとれなかつたのですが、この問題につきましは、私ども外務省とよく懇談をいたして参つたのでございます。その結果閣議決定ということになつております。なお答弁に足らないところがございますれば、重ねてお尋ね願いたいと思います。
  35. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私のお伺いしましたのは、閣議決定の場合、その前に十分あなた方の方と打合せがなくて、事情がかわつて来ましたら、閣議決定後といえどもこれが変更できるかどうかの問題です。たとえば重要な問題といたしまして伊関局長言つた言葉ほんとうかうそか別にいたしまして、アメリカが使うというこの原因が、国内の必要のために使つたのだという非常に大きな原因の変化が予想されます。そういう場合には一時行つた閣議決定が変更されるようなことがあるかないか、この一点でございます。
  36. 和栗博

    和栗説明員 的がはずれるかもしれませんが、現在は米軍要求に基きましてあれを使用することに閣議決定がなつております。従いましてもしその前提がかかりました場合は、当然また違つた観点から見た方針が決定されまして、あるいは違う閣議決定がされるかどうかという問題になると思います。
  37. 淡谷悠藏

    淡谷委員 たいへんよくわかりました。そこであの開拓地を買い上げた場合には、実際入植希望者があつたのですか。それともまたあれは将来開拓地としてりつぱになるという見通しがあつたかどうか、これはあの砂丘地帯をごらんになつたと思いますが、ほんとうにあれは開拓適地であつたかどうか、これは私も見て来ておりますが、その点のはつきりしたお考えを承りたい。あの程度開拓地帯はずいぶんたくさんありますので、将来たくさんお取上げになるかどうか、この点なども入植課長のはつきりした御答弁を願いたい。重要な点は、あの買収をしたとぎに、実際の入植希望者があつたかどうか、これに基いた開拓計画が立つていたのかどうか。
  38. 和栗博

    和栗説明員 私は買収するときにはちよつとおりませんでしたけれども関係者からその後いろいろ話を伺つております。それによりますれば、大体入植希望というのではなしに、内灘村の人から、現在内灘村には戸数が千戸くらいあるのだけれども、耕地が二百町歩くらいしかない。ほとんど漁業をやつておるけれども、出先の海面ではほとんど魚がとれない。だから大部分は北海道なり山口の方へ出かせぎ漁業をやつているのだというような話がございました。出かせぎ漁業といいましても、その出かせぎの地元との関係がありまして、非常にやりにくくなつて来た。だから地元としては何とかしてこの近所で、いわゆる農地をふやして行きたい。今まで出かぜぎ漁業なり非常に貧弱な出先の漁業をやつてつたが、それではだんだん飯が食えなくなつて来たから、何とかして漁業から農業の方へ生活を切りかえたいという、村としての非常に強い希望がございまして、そういう関係からしばしば農林省の方へも、砂丘地帯開拓、なおできれば河北潟干拓ということにも著手してもらえるかどうかというような陳情がございました。従いまして農林省といたしましては、その砂丘地帯を調査いたしまして、この砂丘地帯ならば、そのままではなかなかいい畑にはならないけれども、これに対して客土を行い、またあるいは畑地灌漑のようなことを行うならば、これは何とか相当な開拓地にできるという考えで買収をいたしたものであるというふうに考えております。
  39. 淡谷悠藏

    淡谷委員 農林大臣出席を求めておりますので、課長に対する質問は打切つておきます。  特別調達庁の山中部長にお伺いしたいのですが、内灘村に対する五千五百万円の見舞金は、内灘村の困窮の状態で、特別な例として払われた見舞金というふうにたびたび伺いましたが、おそらくこの困窮の状態はまだわかつていないと私は思います。しかもその見舞金は詳しい損害の査定なしに払われておるようでございますが、今度は具体的に一箇月以上の間強制使用で、村の人の大きな反対を受けながら現に使用されております。この使用されておりますあの土地を、この間ちよつとお伺いしたのでありますが、具体的に困窮した内灘村の村民の困窮を打開するような方針、あるいはまた補償方針かとられたかどうか、現在とられておるかどうか、強制使用に伴う補償の問題としてお伺いしたいのであります。
  40. 山中一朗

    山中政府委員 お答えいたします。ただいま淡谷委員からの御質問でございますが、この前の五万円一戸当りの見舞金が、内灘村の困窮によるところの一つ補償と申しますか、見舞金と申しますか、そういうような形でやられた、こういう前提でお話いただいておるのでございますが、われわれといたしましては、必ずしもあの村が非常に困窮しておつたから、それに対する生活保障の見舞だという気持ではおらないのでございます。第二段の四箇月の使用期間の後の現在の継続使用に対してどういう措置をとつておるか、この御質問でございますが、私の方といたしましては、現在見舞金的なもの、あるいはその他の補償にかわるような措置につきましては、現段階においては何もいたしておりません。
  41. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そういたしますと、外務省が強制使用する場合は、補償の問題などであなた方とお打合せがあつたのかどうか、これが一点。それから特別調達庁の長官の御答弁だと、はつきり内灘村の生活困窮のために支払われた見舞金であるということを、参議院でもあるいはこつちの委員会でも明言しておりますが、違つた御見解のようですが、しからばあれはどういう基準で、だれの責任で払われたか、私はもう一ぺん質問してみたくなるのです。長官のお考え通りならば質問いたしませんが、何か部長さん違うようですから、その点はつきりと御答弁を願います。
  42. 山中一朗

    山中政府委員 ただいま私が申しましたことと、長官が申し上げましたことが若干食い違いがあるようだというお話でございますが、私の説明に少し足らぬことがあつたかもわかりませんが、私の申し上げたのは、おそらく長官も多分そういう意図だろうと思うのですが純粋の生活困窮者に対する見舞金としてやつたのではない、こういうような意味において私は申し上げたのでございます。しからばその基準は何かと言われますが、私の方といたしましては、その見舞金的な性質のものをああいう特殊異例の場合に出すことが妥当であろうという見解のもとに出したわけでございます。     〔鈴木委員長代理退席、委員長着席〕 それを出した責任者はだれかということになりますと、もちろん調達庁において出したのでございますから、調達庁の責任と存じております。  その次の継続使用に対する補償について、外務省と何か具体的な話があつたかどうか、この御質問でございますが、御承知でもありましようが、もちろん駐留軍の施設提供の仕事はわれわれの方でやつておるわけでございます。しかし現在のあの段階というものは、われわれといたしましては、なお日米合同委員会で作業中だろう、こういうふうに心得ております。むろん閣議決定がありましたから、どうしても並行的に自分らの所掌におきましては、われわれが仕事を進めなければならぬ部面もあると思います。しかしそういう問題について、いろいろ具体的にああやろう、こうやろうというふうな外務省との話合いは、私の聞いておるところでは、日米合同委員会の分科作業におきまして、四月か三月の末か何かに、われわれの方からも係官が出まして話はあつたように聞いております。私その当時在任いたしておりませんでしたから十分わかりませんが、大体聞いておるのでございます。それ以外におきましては、先般国際協力局長あるいは平川農地局長でありますか、現地の方にいろいろ御相談に行かれた、あの段階は、私は日米合同委員会の作業としての段階でおやりになつておるのだろう、こういうふうに心得ております。
  43. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ただいまの御答弁でございますが、去る六月二十五日の本委員会における足鹿委員に対する答弁の中で、長官の返事は、速記録によりますと、こうなつております。「これは見舞金でございます。内灘村のあの地帯におきまして、政府といたしましてああいう射撃場を提供しなければならぬという事態があつたわけであります。ところが御承知のように、内灘村という所は非常な貧寒村でありまして、全体がささやかな漁業によつてつておるというような土地柄でありまして、全体的に村に対して非常な不安を与え、同時に多くの人が生業を奪われてしまうというような事態である、こういろような建前から、これは村を救済する意味において見舞金を出さなければいかぬ、こういうふうに考えて出した見舞金であります。こう確言しておりますが、ただいま山中部長さんがお話になりました特異なる例というのは、これだけのものと理解してよろしゆろございましようね。
  44. 山中一朗

    山中政府委員 さようでございます。
  45. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますと、この間の長官の言明によりまして、同一事例が各地にあつた場合は、公平の原則から、このような例は公平にやるという言明がございましたが、特異な例がこれによつてきまつたとすれば、このような例があつた場合には、やはり見舞金としてこの基準が適用されるのですか。
  46. 山中一朗

    山中政府委員 ただいま淡谷委員から御引例にたりましたが、長官の申されましたように、そういう具体的な例が同一のような状態にあつた場合は、やはりさような措置をとることが妥当だと私も考えております。
  47. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私なお質問したいことがございますが、外務大臣出席をしばしば求めておりますけれども、出ておりませんので、質問を保留いたしまして、きようはこれで質問を打切りますが、問題は、どうしても外務省にはつきりした根本方針を聞かなければ解決がつかぬ問題であると思いますので、この法案の成立を私は非常に希望しております関係上、一日も早く外務大臣出席されるように、特に委員長においておとりはからい願います。
  48. 赤路友藏

    赤路委員 農林省入植課長さんにお尋ねいたしますが、法的手続の問題です。今お話を聞きますと、これは入植開墾でなしに、増反開墾のようであります。内灘村民の生活困窮打開のために増反計画を立てる、その意味においてこれは買収されたのだと了解いたしますが、農地として開墾するという理由によつて買収されたことは間違いない。従つてそれが他の目的使用されているのでありますが、それの法的根拠はどこにあるか。農地として買収されたものを他に使用するという法的根拠は、自作農創設特別措置法の第何条に示されているかということが第一点であります。  それからもう一つは、これは買収したのですから、当然これは農林省の所管になり、農林大臣所管の所有地としてこれが開拓計画によつてそれぞれの村民に売り渡されるのでありますが、それが開墾されないで他に転用されているということになりますと、これは当然大蔵省へ一応所管がえすべき性質のものであると思うが、大蔵省へ所管がえされているかどうか。そうした手続が踏まれているかどうか、この点をお聞きしたい。  それからもう一つは、旧所有者の方から返還訴訟がなされているようでありますが、これは当然のことと私は思うのであります。買収の目的が、農地を造成するという開墾目的によつてこれが買収され、また旧所有者も農地にたるということを前提にしてこれは承諾なされているものであり、当時訴訟があつたかどうかは存じませんが、おそらく開墾するということによつてのみ旧所有者は承諾したのだと思います。それが違つた形において使用されているのでありますから、返還訴訟が起されることはあたりまえだと私は思うのであります。いわば欺瞞した形において買収したということになろうかと思うのですが、これら三点について御見解をお伺いいたしたいと思います。
  49. 和栗博

    和栗説明員 お答えいたします。第一点の、開拓財産を一時試射場使用させるという点につきましては、自作農創設特別措置法はその後農地調整法と合併改正されまして、現在は現行農地法一本になつておりますが、農地法の観点から見ました場合は、七十八条に、買い上げた農地につきましては、農林大臣管理に属するということになつております。従いまして、農林大臣管理権に基きまして、一時使用のような場合には、これは当然管理権に基きまして使用させることができるわけでございますので、そういうふうに私ども考えております。その場合の一時使用の点につきましての所要手続は、これは所管がえの問題という点と、第三の旧所有者への問題という点につきましてあわせて御回答申し上げたいと思うのでございますが、現在旧所有者から返還訴訟が起きているというお話でございますが、現在旧所有者からの返還訴訟ではないのでございまして、当初買収したときのあの砂丘地は、あれは開拓適地ではない、ああいうものは不適地だから、国が前の自作農創設特別措置法に基きまして買収したことそれ自体が違法じやないかという訴訟が起きているわけでございます。それは第一審におきまして国の方が勝訴になりまして、現在第二審の方に所有者の方から控訴してあるという段階になつているわけであります。これはそういうような状況になつておりまして、今度問題は、その買収それ自体が違法であるかどうかということが今の訴訟の問題でございしまて、さつきの所管外云々という問題になつて参りますと、これは大体一時的な問題でございますので、調進庁でございましたか、私どもの方の下の機関でこの手続は処理をいたしてございますが、問題になつて参りますのは、さらにそれが引続いて永久に試射場になるというような場合、米軍だけの問題でございますれば、これはそう長くおるというふうには考えられませんので、暫定的な問題になるわけでございますが、これが引続いて試射場になるかならないかということはわかりませんが、今度は暫定的な問題でなくして、文字通り永久的にこれが試射場になつてしまつて開拓地として将来使われるということはとうてい考えられないというような事態が発生をいたして参りました場合には、開拓財産としていつまでも農林大臣管理しておるということは無意味になつて参りますので、そういう場合には、大体農地法の根拠で申しますれば、八十条なら八十条の規定に基いて処理をして行くというような関係になつて参ります。
  50. 赤路友藏

    赤路委員 ただいまの御説明で大体わかつたのでありますが、一時使用の場合は、農林大臣所管であるから一時使用せしめることができる、こういうことなのであります。永久にこれが返されないものであるということになると、八十条に基いて何とか処置をしなければならぬということになるのですが、すでにこの問題は、御承知通り閣議で決定いたし冷して、強制接収、永久使用というようなことが打出されておるようですが、そうするとこれに対しては農林省の方へは何らの申入れもないということになるのかどうか、これが一点です。  いま一点は、旧所有者からの訴訟が、返還訴訟でなしに、買収に対する異議訴訟である。従つてこれは当時県の農地委員会に対しておそらく異議の申立てがなされて、却下もしくは棄却になつたものが、不服であつて訴訟したのだろうと思いますが、第一審は一応国の勝訴になつております。まだ第二審にかかつておるといたしますと、最終的な裁判の判決というものがないのでありますが、最終的裁判の判決がなされていない土地使用する場合は、どういう形においてこれをなされるか。現に使用しておるのであります。しかもこれは最終的な判決がない限りにおいては、必ずしもこれが国のものであるという決定はできないのじやないか。もしも最終的な判決でもつて農地に適しない、原告側の方の言分が成り立つておるという判決を下太れたときは、非常に困る事態になるのではないかと考えます。これらに対しては、どういうふうにお考えになつておるか。この二点をお聞きしておきます。
  51. 和栗博

    和栗説明員 第一点の、外務省の方からの永久使用という言葉は、これは文字通りの永久使用ではございませんで、いわゆる米軍が駐留している間という意味でございます。米軍が駐留する期間というものはただいま不定でございますので、農林省といたしましては、開拓財産として取得したものはなるべく開拓財産として保留しておきたいという考えもございますので、駐留軍に提供しておるといろ場合には、これは外務省で言う文字通りの永久使用とは考えておりませんので、従つて七十八条的な考え方で処理をいたしております。  第二点の、第二審に今かかつているではないかというお話でございますが、これは一応買収いたしまして今日液で参つておりますので、万々そういうことはないと思いますが、もし第二審におきまして第一審の判決がくつがえるというようなことがございました場合は、そのときの事態に応じて処置をとる考えでございます。
  52. 赤路友藏

    赤路委員 第一点は、米国軍が駐留している期間は永久であるとは考えないというお答えであつたようでありますが、そうすると、米国駐留軍はいつ帰るということを言つておるかということが問題になると思うのです。米国駐留軍は帰るということは言つていないのであつて、もちろん期間も決定していないと私は了解しているのですが、これはどうも農林省考え方がおかしいのではないかと私は思います。  それから第二の方も、万々裁判が負けることはないという自信をお持ちになつておるようであります。在来こういうようなケースはあまりないと思いますが、裁判の判決が下されない間に、他に使用することができるというような法的な根拠があるかどうか、これをお示し願いたい。
  53. 和栗博

    和栗説明員 第一の、米駐留軍がいつまで駐留するかという問題でございますが、これは私ども合同委員会で向うと常に折衝をいたしておりますうちにおきまして、向う側の言葉の端々に出て来るところから判定いたしますと、少くともそんなに長い期間ではないということは推察されます。この点につきましての詳細は、農林省よりむしろ外務省の方にお問合せを願いたいと思います。  第二審にかかつているから、その買収した土地が使えるかどうかという法的根拠というお話でございますが、これは私も法律の方につきましては法制局の方ほど詳しくございませんので、よく調査いたしまして御答弁申し上げます。
  54. 田口長治郎

  55. 小高熹郎

    小高委員 ただいま上程されていますこの法律案は、非常に含みのある、幅を持つたものと私は了承しているのでありますが、それだけにこまかい点をちよつとお尋ねいたしたいのであります。その他の項目をきめますには、これはおそらく政令で定めることと思うのでありますが、そのうち、先般私の質問に対して、特別調達庁から答弁がございました海上運輸業者に関する件でございますが、この海上運輸業者には、御承知通り何千トン、何万トンの船も、防潜網があるために時間待ちをするところの被害がございます。同時にまた、五トン未満の小運搬船も、大いなる被害があるのであります。ちようど漁業補償の場合に、八十人、九十人乗つておりまするまき網等においても補償金が行くと同じように、大きい船へも補償金が行くのでありますが、同時に一本づりのきわめて零細漁民にもこの補償金が行くようになつておるのであります。しかるところ運輸関係におきまして、海上運搬船業者がこの防潜網があるために夜間航行ができない、あるいはまた夜明けまで待たなければいかぬ、そのために積んだ魚が腐つてしまう、あるいはまた思わざる時間のために損失があるというような五トン未満の船に対して、運輸省が法の定めるところに従つて、おれの方は五トン以上を取扱つておるのであつて、五トン未満は都道府県知事の管轄であるからわれわれはその点に対しては関知しないというような問題が起きたといたしましたならば、五トン以上はわかるのでありますが、五トン未満の扱いを粗略にされてははなはだ困るのではないか。大小の差こそあれ同一被害者でありますので、この五トン未満の被害者に対してこの法がどういうように適用されるか。その点をお尋ねいたしたいのであります。特に特別調達庁の不動産部長にお答えを願いたい。
  56. 山中一朗

    山中政府委員 お答えいたします。ただいまの小高委員の御質問でございまするが、防潜網の設置によつて船舶の運航能率が阻害された場合、その損失についてはどうするか、これについてこの事業を政令の中に入れるか入れぬかということにつきましては、現在各省で協議中でございます。ただいま御指摘の五トン以上は動力船として運輸省が所管している、これについては運輸省は非常に熱心になつておるが、五トン未満のものについては、都道府県知事の管理に属しているから、おれの方は知らぬということではへんぱになるのじやないかというお話でございますが、そもそもわれわれといたしましては、こういう船舶関係の損失は、正当に記録できるものはこれを補償すべきだ、こういう観点に立つて現在作業をいたしておりまするが、その中を分析しますと、お話のように一万トン、二万トンの船も、二、三トンの船における損害も同一の基準に立つて処置すべきだ、こう考えるのでありますが、これをどういうふうに取扱うかということについての最終的な結納は、各省の協議会で数回やつておりますが、まだついておりません。それだけお答えいたします。
  57. 小高熹郎

    小高委員 各省の協議会において協議中であつて、まだ結論が出ないということでございまするが、往々にしてこの種の五トン未満の零細な運搬業者が除外されるおそれがありはしないかということで、非常に心配しておりますので、それらのことのないように、これはいずれ基礎資料を提出することと思いますので、この各紙漁民の点について考えると同様に、この五トン未満の運搬船業者に対しても、これを取落さないように急拠措置を講ぜられたいということを強く要望いたしておきます。  それから幸いに愛知大蔵省政務次官がお見えになつたようでございますから、この法律が施行されるにあたりまして補償額の問題について伺いたいのであります。巷間伝えるところによりますと、われわれが期待しておるものより少し少いというように聞いておるのでありますが、大蔵省当局においては、どの程度補償金をこの法律の通過とともに出されるお考えを持つておられるか、その数字を伺いたいのであります。
  58. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 この補償の額の予算額につきましては、ただいま関係各省庁と協議をいたしておりまして、大体大蔵省としての腹案はお示しをいたしております。その額は四億数千万円といろ程度考えております。この積算の根拠につきましては、もちろん事務的に積み上げたものではございますが、相当それに対しまして、いろいろの観点から、財政当局として考え得るだけの好意を持つて考えておるような次第でございます。
  59. 小高熹郎

    小高委員 私どもがただいままで聞いておりました数字は、少くても六億ないし七億ということを聞いておつたのであります。それがただい左愛知政務次官のお話によりますと、四億数千万円です。この差を一体どうするかということになるのでありますが、この数字の考え方でありまするが、特別調達庁の考えておる考え方と大蔵省当局考え方の差が、こういうような数字を生んでおるのじやないかと思うのであります。これはあくまで完全補償ということでありまして、普通の補助金や何かのように、一定額がきまつて、それを上手に割振るのとは違つて、あくまでも実害は補償しなければならないということで、天井がきめられておらないということから考えまして、私はただいまお答えになつた数字に対しては納得ができないのであります。このような食い違いについて、もう少し詳しくお答え願いたい。
  60. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 小高委員のおつしやることはごもつともだと思います。この性質が補助金等と違うということは申すまでもないことでございますが、私も実はこまかい積算の方法については、あまり詳しく存じないのであります。大体これは調達庁や水産庁の方とも御相談いたしておるところでありまして、この程度ならば何とか行くのじやなかろうかというふうに私も聞いておるのであります。なお詳細につきましては、他の方からお答えいたさせます。
  61. 谷川宏

    ○谷川説明員 ただいま政務次官の御答弁になりました通りでありますが、その点はこの前の委員会におきましても、実際の損失額が確定いたしまして、その確定した損失額に基きまして、閣議決定補償の基準に従いまして実際の補償額を決定することになつておるわけでございまして、もしその点に問題がありといたしますならば、実際の損失が幾らかという点にあると存じます。しこうしてその損失の数字につきましては、前会もるる御説明申し上げました通り制限を受けます以前の三年間の平年度の平均漁獲高を元にいたしまして、その年の実際の漁獲高を一方において考え、その差額が損失額である、かように考えることになつておるわけございます。問題は平年度の漁獲高の数字とその年の漁獲高の数字、これかどの程度になるかということだと思います。これらの点につきましては、関係各省の間で、もし今出した数字に間違いがあれば、さらに検討をするということが必要であるかもしれませんが、現在のところでは、一応私どものところで考えました数字でよろしいのではないか、かように考えるわけであります。
  62. 小高熹郎

    小高委員 ただいまの御答弁で愛知政務次官からの趣旨はよくわかりましたが、これはいずれ数字をよく伺い価して、疑義がありますならば、またあらためてひとつ御相談したいと思つております。  それからただいま谷川主計官からの答弁中に、被害以前——防潜網を張られるとか、あるいは九十九里にしますれば、実弾射撃を始めるその前三箇年間の実績を参考に補償するということでありますが、九十九里の場合におきましては、話がちよつとそつちへまわりますが、これはいろいろ終戦後の、油はなし、乗組員はなし、漁業関係からみますと、いわしの回遊状況が悪かつた最悪のコンデイシヨン下におけるところの基礎資料で、今日それを参考にされますと、引算で計算して行きますと何もなくなつてしまうのです。ところが鹿島灘はどうなんだ、相模灘はどうなんだ、海は一帯に続いておるのでありまして、鹿島灘まではよかつた、相模灘まではよかつたが、たまたま房総半島沖、九十九里に来たときに、これがマイナス計算でもつて、引算でもつてゼロになるとか、あるいは漁民は三億も四億も来るだろうというのが、数千万円程度でとまつたということになると、現実の問題が机上の計算と相そわざるものがございまして、もしそういうことになりますと、昨日も漁民が大挙して参るなんという声もあつたのでありますが、そんなことをするなといつて押えたのであります。その漁業代表者が言うには、もしそういうような不公平な、現在に沿わない補償金が出るならば、補償金は返上して、そして演習地をすみやかに撤去してもらおう、これより手がないのだ、こういう声さえ起つておりまして、私どもはいかにこれを鎮撫するかについて、非常に苦しんでおるのであります。そういう事情等で、過去の基礎がはたして正しきやいなやという点について、私どもは大なる疑点を持つておるとともに、この疑点は当然修正さるべきものと思いますので、それらをお含みの上で補償金を出してもらいたいことを、この機会に要望いたしておきます。
  63. 田口長治郎

    田口委員長 鈴木善幸君。
  64. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 愛知政務次官にお尋ねしたいと思います。私はただ一点、さきに公布されておりますところの操業制限に関する法律並びに今回審議中の本法律案が実施されました場合の、補償関係の予算の通用の問題につきまして、お尋ねいたしたいと思います。政務次官も御承知通り駐留軍の被害によりますところの補償が、いろいろな事情によりまして、非常に時期が遅れて参つておりまして、そのことがいろいろと派生的なむずかしい問題を惹起しておるように承知いたしておるわけであります。私どもは、この法律に基くところの補償がすみやかに実施せられますれば、いろいろ困難な諸問題も比較的円滑に処理できるのではないかと考えまするので、この関係予算の運用の問題につきまして、政府の、特に大蔵省の御配慮を願いたいと思うのであります。それは関係予算の所管を大蔵省がおやりになることにつきましては、異存がないわけでありますが、その運用の面におきまして、調達庁が現在総合的、全般的にこの補償関係を所管いたし、各省と折衝してその衝に当つておりまするので、でき得れば、四半期ごとにわくを調達庁の方に与えまして、そうして補償が迅速に行われますように運んだらどころか、こういう考えを持つておるのでありますが、政務次官はいかような御所見を持つておられますか、お尋ねしたい。
  65. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 ただいまのお尋ねは、私はごもつともだと思います。これは調達庁と大蔵省との間の仕事のやり方といたしまして、もし調達庁の方が、そういうことの方が迅速であるということでございますれば、四半期たり、あるいは二箇月分なりというようなものの予算の移しかえを、大蔵省としては、やつて一向さしつかえないことだと考えております。     —————————————
  66. 田口長治郎

    田口委員長 この際小委員及び小委員長補欠選任についてお諮りいたします。先般志賀艇次郎君及び白浜仁吉君がそれぞれ委員を辞任されまして、その後両君が再び委員に選任されました。その結果、両君が従来担当しておりました小委員及び小委員長が欠員となつておりますので、この際その補欠選任を行いたいと存じますが、これは選挙の手続を省略し、委員長において、従前通り志賀健次郎君を水産金融に関する小委員漁業制度及び水産資源の保護増殖に関する小委員に、また白浜仁吉君を公海漁業及び水産貿易に関する小委員漁業制度及び水産資源の保護増殖に関する小委員及び同小委員長にそれぞれ指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 田口長治郎

    田口委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたします。  本日はこの程度にとどめ散会いたします。次会は公報をもつて御通知いたします。     午後零時三十七分散会