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1953-07-02 第16回国会 衆議院 水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二日(木曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 中村庸一郎君    理事 山中日露史君 理事 小高 熹郎君       塚原 俊郎君    中村  清君       夏堀源三郎君    濱田 幸雄君       赤路 友藏君    淡谷 悠藏君       田中幾三郎君    辻  文雄君       松田 鐵藏君  出席政府委員         総理府事務官         (法制局第三部         長)      西村健次郎君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     山中 一朗君         農林政務次官  篠田 弘作君         水産庁長官   清井  正君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁不動産         部次長)    大石 孝章君         大蔵事務官         (主計官)   谷川  宏君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      立川 宗保君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         経理課長)   高橋 泰彦君         衆議院法制局参         事         (第三部第二課         長)      伊達  博君         専  門  員 杉浦 保吉君         専  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 六月二十九日  委員白浜仁吉君及び川俣清音辞任につき、そ  の補欠として楠美省吾君及び稲富稜人君が議長  の指名委員に選任された。 七月二日  委員楠美省吾辞任につき、その補欠として白  浜仁吉君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月二十九日  小川原沼開さくに関する請願淡谷悠藏君紹  介)(第一九六九号) 同月三十日  泊焼山湾漁港修築に関する請願淡谷悠藏君紹  介)(第二〇六八号) の審査を本委員会に付託された。 七月一日  水産業協同組合系統指導職員設置に対する国庫  助成に関する陳情書  (第五二七号)  中小漁業融資保証法に基く融資金利軽減措置  に関する陳情書  (第五二八号)  協同組合系統製氷冷凍施設に対する電力割当等  特別措置に関する陳情書  (第五二九号)  駐留軍演習による漁業補償手続簡素化に関す  る陳情書  (第五三〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為に  よる特別損失補償に関する法律案内閣提出  第四二号)  漁船損害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二〇号)     ―――――――――――――
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより会議を開きます。  ただいまより内閣提出漁船損害補法の一部を改正する法律案議題として審議を進めます。  まず政府より提案理由説明を求めます。篠田農林政務次官
  3. 篠田弘作

    篠田政府委員 ただいま議題となりました、漁船損害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  現行漁船損害補償法は、漁船事故によつて生じた損害補償して、その復旧を容易にし、漁業経営の安定に資することを目的としております。そして、二十トン未満の漁船に対しましては、一定の条件の下で義務加入制度が設けられておりまして、この義務加入の場合については保険料の一部を国庫が負担することになつておりますため、従来きわめて低調であつた小型漁船保険加入が、これによつて次第に活発になつて参りましたことは、まことに喜ぶべき傾向であります。しかしながら、漁業経営実情を見ますと、事故による損害復旧補償する普通損害保険制度だけでなく、さらに一歩を進めて、損害保険と代船建造資金積立とをかねた、いわゆる満期保険制度の実施が緊要と認められ、かつ、要望せられているのであります。よつて政府におきましては、ここに満期保険制度を新設するこことし、これがため漁船損害補償法所要規定を加え、かつこれと関連して現行規定の一部を改めるため本法律案提出した次第であります。  その内容といたしましては、第一に漁船保険組合が、従来の普通損害保険事業及び特殊保険事業のほかに、新たに満期保険事業を行うことができるようにするとともに、政府がこれを再保険することとしたこと、第二に、満期保険保険料は、満期支払のための積立金部分満期前の事故による損害填補のための損害保険料部分からなるものとし、右の積立金部分に該当する保険金額全額政府で再保険し、損害保険料部分に該当する保険金額は、普通損害保険の例により九割を再保険することとしたこと。第三に、当分の間満期保険加入を奨励するため、この保険加入者が代船を建造する場合には、所要資金の利子の一部に相当する奨励金を交付することができることとしたことをおもなる内容としこの制度の運営に関する所要規定を設けるほか、あわせて、これと関連して現行法の体裁を一部改めるとともに、必要と認められる一部条文の改正を行おうとしているのであります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたす次第であります。
  4. 田口長治郎

    田口委員長 本案に対する質疑次会より行います。     —————————————
  5. 田口長治郎

    田口委員長 次に日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律案議題として質疑を継続します。  委員長から申し上げますが、本日の政府側出席者は、水産庁清井長官立川漁政部長高橋経理課長内閣法制局西村第三部長調達庁山中不動産部長大石不動産部次長、衆議院法制局伊達第三部第二課長でございます。大蔵省政務次官が病気だそうでございます。それから主計局長も支障があるそうでございますから、大蔵省に関する質疑は土曜日に譲りたいと考えます。
  6. 山中日露史

    山中(日)委員 本法案の中で、総理大臣補償せざる決定に対する救済の点に対して、かねてからいろいろ議論をして参つたのでありますが、政府当局におかれましても、この点につきまして慎重に、それぞれ専門の方の御意見を徴して御研究になられたことに対しましては、非常に敬意を表するものであります。なお私といたしましても、この問題はきわめて重大な問題でありまして、万一被害者救済に欠けるようなことがあつてはならぬというような考え方から、食事までいろいろ政府当局質疑行つて参つたのであります。そこで大体私も過般来の研究の結果、内閣法制局衆議院法制局等の御見解と大体同一の結論に達したのでありますが、この機会に、この問題で後日法の解釈その他について疑義のないように、法制局の原らこの点についてのはつきりした見解を発表しておしていただきたい、かように存じまして、一、二の質問をいたしておきたいと思うのであります。まず法制局の方にお尋ねしたいことは、第一にこの法律案におきましては、増額の要求の場合については国を被告として訴訟を提起するという道が開かれておるのでありますが、総理大臣損失補償をしないという決定行つた場合においては、国を被告として訴訟を提起できるという点が記載されておらないのでございます。従つて損失補償しないという決定がなされた場合においては、被害者はどういう方法によつて救済の道があるか、まず第一にこの点を御説明を願いたいのであります。
  7. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 お答えいたします。ただいま被害者内閣総理大臣損失補償申請した場合において、損失がないという内閣総理大臣決定があつた場合に、被害者はどういう救済を受けられるかという御質問であつたように拝承いたしましたが、もし第二条の第三項にございますように、内閣総理大臣は、申請がありました場合には、補償すべき損失があるかないかという決定をすることになつております。これは一つ行政処分であります。そういたしまして、もし客観的に実際にこの法律規定に合致する損失があるにかかわらず、損失がないという決定をいたした場合におきましては、当然違法な処分として、行政事件訴訟特例法によつて内閣総理大臣を相手として裁判所に訴えることができる。もちろん異議申立てがありますので、訴願前置主義によりまして、その手続を前段階として踏まなければなりませんが、裁判所に持つて参りますと、当然裁判所においては審理される、こういうふうに考えております。
  8. 山中日露史

    山中(日)委員 行政事件訴訟特例法の第一条によりますと、この法律によつて訴訟が提起される場合は、違法なる行政処分ということが規定せられております。そこで疑問に思います点は、この法案におきまして、総理大臣損失補償しないというふうに決定した場合において、それが違法なる行政処分であると解釈するその根拠は一体どこにあるか。普通行政事件訴訟特例法によりますと、その行政庁処分法律あるいは命令に違反した場合、いわゆる法令に違反した場合を、違法なる行政処分と解釈いたしておるのでありますが、本法律案によりますと、総理大臣補償しないというふうに決定したことが、一体どういう法律命令に違反するのであるか、どうしてそれが法令違反になるというのか。法令違反になるというその根拠を明らかにしていただきたい。
  9. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 この法律案の第一条によりますと、アメリカ合衆国陸海空軍の第一条各号に掲げてありますような行為によりまして、従来適法にこれこれの事案を営んでいた者が、その事業経営損失をこうむつたときに、国が補償するというふうに規定されております。従いましてこの第一条の要件に合致する、すなわち駐留軍行為によるものであり、しかも事業経営上こうむつ損失がそこにあるという客観的な事実があるにかかわらず、それを損失なしという決定なした場合には、第一条の規定に違反する、すなわち違法の処分であるというふうに私どもは確信をいたしております。
  10. 山中日露史

    山中(日)委員 最後に一点だけ。増額請求の場合におきましては、最終的には裁判所判断によつて被害者がその権利を主張し、その救済の道が開かれるのでありますが、この行政事件訴訟特例法によりますると、ただ裁判所はその総理大臣決定を取消すというだけでありまして、結局はまた総理大臣の手によつて補償するとかしないとかいうことが判断されるのであります。従つて増額請求の場合におきましては、国民は最終的には裁判所という別個な国の機関によつて救済の道が開かれておるが、補償せざる決定の場合においては、裁判所判断によつて損失失補償せいとか補償しなくていいとかいうことがなされないで、あくまでも行政庁である総理大臣判断によつてのみ救済されるという点に、何か増額請求の場合と補償せざる決定の場合との間に、国民権利を擁護する上において不公平な点があるのではないかと考えられるのでありますが、この点はどういうふうにお考えになつておりますか。
  11. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 今の山中委員お話は、行政訴訟全般を通ずる一つの根本的な問題をそこに含んでおりますが、私どもがこの問題についてとりました考え方といたしましては、損失の有無の決定をした場合における今の山中委員の御疑念は、かりに損失があるにかかわらず、損失がないという決定をいたしました場合、それを裁判所に持つて行きまして、結局裁判所が、その処分は違法だということで、その判決をもつてその決定をくつがえした場合においても、それはくつがえすだけで、また内閣総理大臣に持つてかえることになるのではないか。従つて増額の場合すぐ裁判所が一万円というのを五万円というように増額するのと、何か不均衡ではないかというお話の点だと思います。これはいろいろ立法論的な御議論もあると思います。この場合におきまして、内閣総理大臣損失があるかないかのどちらかの決定をしなければいけないわけであります。損失がないと決定した、その決定裁判所によつてくつがえされますと、結局残るところは内閣総理大臣のとるべき道は、損失ありという決定の道しかない。それから、もう一つこれを手続的にと申しますか、かりにそういうふうな裁判所で、損失がないという決定は違法なものとして取消された場合におきましては、その処分はなかつたことになりますから、結局この補償請求申請書内閣総理大臣のところへ提出されて、まだ損失なしという決定の以前の段階になる、そこで損失なしという決定はくつがえされて、残る道は損失ありという決定をせざるを得ない、もちろん損失なしという決定が違法だという裁判所判決につきましては、いろいろそこに理由が付されますので、当然内閣総理大臣はそこではつきりそれに拘束されるということになるだろうと思つております。
  12. 山中日露史

    山中(日)委員 法制部長の御説明で大体私としても納得いたしたのであります。この問題につきましては、最高裁判所方面意見も徴しましたが、ただいまの法制部長の御意見と大体同じでありまして、私も非常に安心をいたしたのであります。ともあれ御承知のように、今日日本国内におきましては、駐留軍行為によつて直接間接損害が至るところに起きております。従つて従来ともこういう問題が非常に多く出て来ると思いますので、この場合におきましては、国民権利を守るという上から、この直接間接被害に対しましては、政府当局におかれまして十分慎重にお考え願つて、いやしくもアメリカ駐留軍行為によつて日本国民の受けた損害の保護に欠けることのないように、十分なる態度をもつて臨まれんことを希望いたしまして、この点に関する私の質問を終ります。
  13. 田口長治郎

    田口委員長 ただいま大蔵省谷川主計官出席になりました。辻文雄君。
  14. 辻文雄

    ○辻(文)委員 ただいま総理大臣異議やその他補償について、いろいろお話があつたようでありますが、さようなことと関連いたしまして、大蔵省あるいは水産庁調速庁のお考えを承りたいと存じます。  長崎県のジヨージ区域でありますが、いわゆるアルフアベツト駐留軍演習地区の設定によるところの漁業者損害に対して、被害がきわめて大きいにもかかわらず、単に被害数字的立証が困難である、また不確実である、かような理由のもとに損害補償を行わないというようなことを聞いております。私ども考えまするのには、この区域ジヨージ区域が約千八百平カキー口フオツクス区域が約二千平方キロ、ハウ区域が約三千平方キロ、そのほか大村、佐世保がありますが、かようなところは別といたしまして、この区域は西海区水産研究所調査報告に基きますと、いずれも非常な好漁場であります。それはどういう意味かと申しますと、五島西方沿岸水対馬暖流とが接触して生ずるところの広大な中間水域に当つておるのであります。かような点で各種の魚がここに滞留して、それを漁獲するというようなきわめて重要な場所であることを、すでに長官はもう御存じだと私は存じております。特にこの海域はいわし産卵場にも当つておりますし、親いわし産卵のため滞留をすることも多くなつております。しかもそれだけじやなく、あじとかさばとかいうようなものがそうであるし、さらに底魚も滞留するというような重要な漁獲場になつておるのであります。かようなところがアメリカ軍ジヨージ射撃演習場になつておりますので、その演習をしないときに漁獲をすればよろしいじやないか、こういうようなことをいわれますけれども、もしそういう場合でも漁獲に出ておりますと、危険があつたときにはそれは自己の責任において行うということになりますので、やはりあぶないから出ないというのが常識であります。かような場合に損失を受けますものは当然漁民であつて申請をいたしておりますものは、ジヨージ区域だけでも三百七十件あるのであります。かようなことから推定いたしますと、揚繰網一組五十人として百三十二件ありますと六千六百人という数になる、一本づりが一組五人として百八十九件九百四十五人、そのほかが十人一組を四十九件として四百九十人、合せますと八千三十五人という漁民がそこに携つて直接に被害を受けておる、この家族を合せましたら、約四万人からの人たちがまことにその日のかてにも困るというような段階になつておるのが実情であります。かような場合に、先ほど申し上げましたように、不備のためとかさようなことの数字的な立証が困難だとか、こういうことで全然損害補償をしないというような考え方は、ただいままでの国民権利としても、生活保障の上からも、今後さような損害を受けたときには、十分の親心を持つてやるべきだというようなお話が出ておるこの際でありますが、私はまことに言い過ぎかもしれませんけれども、実際はけしからぬ、かように考えておりますので、どういうお考えか一応お聞きいたしてみたいと思いますので、水産庁長官清井氏はどうお考えになるか、山中さんはどうお考えになるか、それぞれ御所見を伺いたいと思います。
  15. 清井正

    清井政府委員 ただいま辻委員より、主として九州海面におきます、ところのアメリカ軍演習に必要な区域のためにこうむつ漁業上の損害についていかに考えておるかということでございましたが、私どもといたしましても、およそアメリカ軍演習等行為によりまして関係漁民損害をこうむりました場合は、こうむつ損害について正当な補償を受けなければならぬということは当然であると、私は考えております。ただ問題になりましたところは、御承知の通りこれは他の海面にもあるのでございますが、沖合いの相当い広海面で、ある一定の回遊しておりますところの魚類を採捕するというような関係がございまして、一般の漁業権のごとくに、一定地先海面漁業権で、一定の地域を制限するということとちよつとその間に事情を異にする場合があることは当然であります。従いましてその当該区域におきます漁業資源につきましては、いろいろ私の方でも調査をいたしておりますし、ただいまお述べになりましたような、私どもの方の研究所において、当該海面について相当の漁業資源があるという調査があるのであります。しかしながら、調査はさようでございましても、その海面に従来操業しておりました漁業者が、その制限によつてどの程度損害をこうむつてつたかという判定について、いろいろ困難問題がありましたので、その問題につきまして、私どもといたしましては、正当なる損害に対しましては何とか補償して下げなければならないとは思いながらも、いろいろな事情がありまして、その間の事情等につきまして、いろいろ技術的な苦心をいたしておりましたために、今まで問題に取上げていなかつたというのが実情であります。私どもといたしましても、この海面について損害があることははつきりいたしておるのですが、どの程度あるかということを技術的にはつきりさせませんと、損害金額を計算する場合に非常にむずかしい点がありますので、この点の事情を十分御了承願いたいと思います。私どもとしましても、損害ありとはつきり認定いたしておるのでありますが、どの程度のものがあると確認するかということについて、実はただいまいろいろ政府部内の関係者と相談をいたしておるわけであります。また最後決定に至つていないことははなはだ残念でありますけれども、私どもとしましては、やはり事実を直視して、その事業に対して損害補償するという方針で、あくまでこの問題は積極的に進めて参らなければならない、かように考える次第であります。
  16. 山中一朗

    山中政府委員 調達庁に対する所見いかんという辻委員の御質問でございますが、ただいま水産庁長官が答弁申しましたような内容と、私の考えておることとは大体同一でございまして、いろいろなデータなり、事情が許す限り、各方面と折衝して、できるものは正当な補償をいたしたい、こういうように考えております。
  17. 辻文雄

    ○辻(文)委員 お話を聞いてほつたらかしているのではない、何とかしなければならぬというお心組みだけは私わかるのでありまして、ありがたいと思いますが、くどいようですけれども、他の箇所と少々違うのじやないかと私が思うのは、昭和二十五年以降漁獲が、ちようど演習地なつたときと同調して減つたということです。私どもが知り得ている知識においては、損害は十億から十一億ぐらいだ、こういうように考えておりますが、ジヨージ区域なんかについて他所と違うのは、親いわしにしても底魚にしても、産卵場のようなところですと、根底的にそれが将来に延長されて、魚族がいなくなる、減少するというような点まで行きやしないか、私どもこういうようなことを考えますので、他の箇所とはさような点が異なつておる、こういうふうに認識いたしております。長官あたりはこの間もここにはおいでいただいたから、見ておいでつたかどうかわかりませんが、もちろん以東底びきの問題についておいでになつたのだから別個でありますけれども、あるいはそういう場合にあわせて何かお聞きになつたかもしれませんが、ぜひこういう場合には、お忙しい中でお気の毒ですけれども、現地を十分ごらんくだすつて、なるほどとふに落ちるようにされて、そうして実情に即して、ぜひ漁民たちがせめて最低の生活を保障することができる範囲ででも、補償していただくというような御努力をいただくように、私はお願いしたいと思うのです。けさの新聞でもごらんだと思いますけれども、内灘問題のようにうんと騒いでおるところはちやんとする。おとなしく紳士的に、県を通じて申請をするようなところは、なるべく予算を出さぬようにとか、あるいは心配せぬということでは、将来思想的にもはなはだおもしろくない。むしろおとなしくしてじみちにやつてつても、実情がどうであるかというようなことを御当局はつぶさにお調べいただいて、あやまたない操作の上に立つての御援助、あるいはそれぞれの救助をなしていただくことを、ひとえにこの際お願い申し上げて、私の質問を終ることにいたします。
  18. 田口長治郎

    田口委員長 大蔵省谷川主計官も御出席になつておりますが、谷川主計官にもお考えを聞かれたらいかがですか。
  19. 辻文雄

    ○辻(文)委員 大蔵省の御見解もあわせてこの際お聞きしたいと思います。
  20. 谷川宏

    谷川説明員 漁場損失補償の問題につきましては、ほかの地区も同様でございますが、損害があるということが決行いたしました場合においては、政府といたしましては、昨年の七月四日の閣議了解補償基準に合致しているかいないかを調べまして、もしその基準によつて補償すべきものであるとした場合には、その通り補償いたす考えでございます。
  21. 辻文雄

    ○辻(文)委員 御趣旨はわかりましたが、むろんこれは法律ができております以上は、法律に従うのが当然でありまするが、先ほどからもいろいろお互いの見解なり、法律に対しての見解もいろいろあるので、不安な場合をお聞きしておりますが、立法の精神の本質がどこにあるかということは、私どもが今さらここで申し上げるまでもないと思います。しかもその法律を操作する場合のその人の心がけだと私は思う。ですからさような意味に合致するように、大蔵省の方でもひとつおとりはからい願いたいと思いますのは、たとえば清井長官にしても、山中さんにしても、やつてやりたい親心があつても、やはり金がなければやれませんので、根本的には大蔵省にお願いしなければならぬという段階になるだろうと思います。どうぞひとつよろしくお願い申し上げます。
  22. 淡谷悠藏

    淡谷委員 調達庁山中部長さんにお尋ねいたしますが、この間お取寄せ願いました書類は手元に届いております。これは内灘村の共有地に対する土地契約のように拝見いたしますが、そうでございましようか。
  23. 山中一朗

    山中政府委員 淡谷委員からの調達庁契約書内容について、共有地かという御質問のようでございましたが、われわれの方といたしましては、フアツク・ナンバー四六一九、契約番号がNRDS七九〇というのは、部長を代表とした民有地に対する契約になつておるようであります。
  24. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ただいまかなり大きな問題になつております内灘の契約は、この書類と国有地に対する補償契約書があると思いますが……。
  25. 山中一朗

    山中政府委員 国有地に対する契約書はわれわれはつくつておらないのです。
  26. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この間私内灘へ行つたときに、内灘村長が提示されましたそれに、はつきりと調達庁と村長との間に補償に関する書類があることを見届けて参りました。かなり大きな問題になつておりまするこの内灘関係の書類を、大体ごらんになつておると思いますが、いかがでございますか、その点をひとつ……。
  27. 山中一朗

    山中政府委員 当委員会の要求がこういう契約書の写しにあつたということは承りまして、私も一応調達局関係契約書については、こちらへお出しするときに内査したのでございますが、ただいま御指摘の点は農林省の方の土地の管理規則か何かによるところの契約書じやないでしようか、はなはだあいまいな答弁で相済みませんが……。
  28. 淡谷悠藏

    淡谷委員 もしもおわかりにならなければ、私の方ではつきりこの次に提示いたします。私、はなはだその点遺憾に思うのであります。もう少しこの問題に対しては政府は、本腰を入れて解決に努力されていただきたいと思います。  それに関連してこの内灘に対する見舞金の問題でございますが、この間長官からさまざまな御答弁をいただきましたが、あの基準を全国に適用する、公平な措置はとるが、しかしあのようなケースはないだろうといつたような、まことに満足の行きかねる答弁がございました。一体この漁業補償に関する金の数倍に当たるような大金を、見舞金としてお出しになつ調査庁といたしましては、どういう法的な基礎に立ち、また補償基準に立たれたのか、はつきりお伺いしておきたいのであります。何かそこにはつきりする基準があるか、それともまた、あるいはそこに政治的な含みで、涙金か納得料か、そういつたような性質でお出しになつたのか、その点はどうしても私ははつきりしておかなければ、今後困ると思いますので、重ねて質問申し上げます。
  29. 山中一朗

    山中政府委員 御答弁申し上げます。この問題につきましては、随時当委員会においても各観点から御質問がありまして、それぞれ政府の当事者から御説明申し上げておる次第でございます。ただいまの見舞金に対する、涙金かあるいは何か基準があるのか、こういう御質問でございまするが、この点も従来答弁申し上げました点でるる述べておると思うのでありますが、われわれといたしましてはあくまでも、いわゆる閣議の基準によりますところの例外の措置、こういう観点に立ちまして、内灘村が他の従来の接収の状況から見て、各観点に非常に特異な点があつたということから、ああいう措置をとつたのであり、またこれからも同一基準でやるのかという御質問につきましては、この前も長官が申し上げましたように、客観的に見まして同一の事例がありとすれば、われわれといたしましては事務的に同一の作業をいたさなければならないだろう、こういうようにお答えするよりほかに、現在のところは申し上げることはないのでございますが、どうでしようか。
  30. 淡谷悠藏

    淡谷委員 円周知の問題はいろいろな政府の御答弁によりまして、大体地元が納得して契約をし、それによつて補償の問題等がきめられる場合と、それから地元の納得を得ないで強制使用する場合と、はつきり二つになつておるようでございますが、一体外務省の見解は、この強制使用の方に重点を置いたような印象を、私前会の答弁で受けまして、はなはだ不本意に思つておるものでございますが、調達庁調査に行かれる場合に、一体望ましいと言われるところの、地元納得の上に立つた使用を目ざしておられるか。それともめんどうくさいから、切捨てごめんの強制使用をするといつたような態度を持つておられるか、この点、はつきり御答弁を願いたいと思います。
  31. 山中一朗

    山中政府委員 御答弁申し上げます。ただいまの淡谷委員の御指摘の点でございますが、先般外務省からの答弁も、必ずしも切捨てごめんという意味じやないんだろうと私は考えるのであります。この庁のあり方なりあるいは手続規定につきましては、先般私の方の大石次長からも、大体淡谷委員の御質問に対しまして御答弁申し上げたのでありますが、この接収に対する態度と申しますものは、われわれはわれわれなりに、またわれわれの地方支、分部局としての調達局がありますが、この調達局の関係職員を使いまして、われわれといたしましては民意によるところの自由契約によることを根本原則といたしまして、できるだけ皆さんの御了解を願つた上で契約をいたす、こういうような根本方針には、過去も現在も違いはないのであります。ただ行政協定に基きまして、日本政府駐留軍に対する施設提供の義務を負つている、こういう関係から、土地の一部の方には御迷惑でも、その自由契約ができない場合には、ある程度の収用法によるところの収用もやむを得ない場合がまま起るかと思うのでありますが、現在までは、相なるべくはそういう措置を避けて行きたい、こういうのがわれわれの仕事に対する態度でございます。
  32. 淡谷悠藏

    淡谷委員 本庁の御意思が必ずしも強制使用に賛成されていないということを聞きまして、まことに本懐に思うのでございますが、仙台の調達局長から、山田忠雄さんという方でございますが、こういうはがきが関係者に出されている事実を御承知でございましようか。これは山形県のある人に出されたはがきでございますが、「貴殿と借上契約申上げている土地六九一坪に対しては御承知の通り本年三月末日をもつて契約期間が完了致しますが、引続き駐留軍に使用されることになりますので四月一日以降契約を更新することになります、就きましてはこの手続上貴殿の御承諾を得る必要がありますので復信に署名捺印の上一月二十日迄必着するよう御返送願います、尚念のため申し添えますが万一御承諾を得ることが出来ない際は「土地収用法」の適用等、更に御迷惑を及ぼすことになりますから是非御承諾下さるよう御願い致します。昭和二十八年一月十五日」こういうふうな活版刷りのはがき一枚で、地方の同意を得るということが御趣旨に沿うかどうか、御見解を伺いたいと思います。
  33. 山中一朗

    山中政府委員 ただいま御指摘になりまして、御朗読になりましたその活版刷りは、確かに仙台局から出しておることは私も存じております。その問題につきまして、字句の上に他に但書があつて、強圧的な印象を受けるじやないか、そうすれば君のさつき言つた答弁と矛盾するじやないか、こういう御趣旨のようでありますが、われわれといたしましては、従来自由契約でやられておつたものが、なお施設が継続使用される、こういう場合に、できますれば一々参りまして十分意を尽してこちらから説明申し上げる、相手方の御同意も得るというのが本来の姿かもわからないのでありますが、大体契約更新ということになりますので、おそらく前通りに貸していただけるんじやないかというような気持から、画一的にそういうような措置をとつているのであろう、こういうように考えるのであります。
  34. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は先日の質問で、地方の係の方々が、ともすれば地方民に対して恫喝がましい行為のあるということを、再三申し上げましたが、このはがきがその一例でございまして、これは純朴な地方の漁民に与える印象は非常に強いのでございます。内灘のごときは、もう長官初め行つて懇篤にお話つて、しかも反対を受けておるのでございますが、こういうはがき一枚で同意を得たといつたようなことは慎んでもらいたい。  それから内灘の民有地の使用契約を見ますと、三月三十一日が期限になつております。これが四箇月使用といつた御答弁でございましたが、私の方では一月から三月三十一日までは三箇月と了承いたしますが、この一箇月のずれはどうして生じたのでありましようか、この点を御答弁願いたいと思います。
  35. 山中一朗

    山中政府委員 ただいまのお話の点は、われわれといたしましては、四箇月の契約を地元といたすことに、御了承願いましてやる方針のもとにあるのでありまするが、ちようど年度がかわりますので、一応仮契約として、三月三十一日というようにいたしまして、さらに四月分として別に借受け契約をやつて行く、こういうふうな形で進んだわけであります。
  36. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そういたしますと、その仮契約の方はできないままに使用された、そう了承してよろしゆうございますか。
  37. 山中一朗

    山中政府委員 ただいまの仮契約なしに使つたかという御質問に対しましては、一応土地のそれぞれの権利者の承諾を求めまして、仮契約はつくつた上で使用した、こういうようにお答えしたと存じます。
  38. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは希望いたしますが、次回の委員会までに、仮契約書の実態並びに、私の方でも手に入れますから、あなたの方でも内灘村長の持つております国有地に対する補償契約書ども、一応見せるだけの御誠意をお示し願いたいと思います。  それから演習地あるいは基地の使用に関しましては、政府が何と申されましようとも、私は強制使用の現実が非常に多いと思います。その場合に強制使用したときの補償手続などはどういたされましようか。たとえば端的に内灘にしぼつてもよろしいのでありますが、今強制使用しました民有地に対する補償の折衝等は、もう始まつて兼りましようか。あるいはまた岡崎・ラスク交換文書によりまして継続使用されております強制使用の土地等につきましては、補償のとりきめはどう行われておりましようか、御答弁願いたいと思います。
  39. 山中一朗

    山中政府委員 ただいまの御質問でございますが、内灘の継続使用の分につきましては、われわれも担当官が日米合同委員会の分科委員会に出まして、いろいろ交渉いたしおるのでありますが、現在までのところ調達庁といたしまして民有地は使用いたしておりませんものでございますから、現在事件がある程度まで外務省で治まつて、話合いがどういうふうに向くかということによつてわれわれの態度をきめて行きたいというので、現在のところ何も契約などいたしておりません。
  40. 淡谷悠藏

    淡谷委員 土地に対する契約はいたしていないという御答弁でございますが、現実に漁民が、あの強制使用に対して損害を受けて生活に困つているというのは事実でございます。こういう現実に漁民が強制使用によつて受けた損害に対して、水産庁長官はどういう補償の点をお考えになつておりますか、御答弁を願いたいと思います。
  41. 清井正

    清井政府委員 補償の問題につきましては、ただいま特別調達、庁の方からいろいろ御答弁申し上げているのでございますが、私どもといたしましては、関係者漁民であるという立場において、単に内灘の問題のみならず、諸般の問題につきまして非常に関心を持つているわけであります。御質問の内灘の問題につきましても、私どもといたしましては、調達庁の方と十分緊密な連絡をいたしまして、当該地域海面におきまして漁業者の受けた損失につきましては、その受けた損失について適正な補償が与えられるようにということを、常々緊密な連絡を保つて来ているわけであります。従いまして具体的な事情に応じまして、私ども今後さらに調達庁と折衝を緊密にして参りたい、かように考えております。
  42. 淡谷悠藏

    淡谷委員 調達庁といたしまして、強制使用が濫発されて、損害が現実に起りつつある場合でも、強制使用の手段でやつたものに対しては補償が非常に困難になるということが考えられますが、この点ざつくばらんに特調の方のお考えを伺いたいのであります。この間の国際協力局第三課長の御答弁によりますと、何もかにも地元の同意がいるんじやない。閣議決定すればそれできまるんだといつたような、つつぱなした御答弁でございましたが、このような協力局の見方で、あなた方が補償する場合にお困りにならないかどうか。今ここに出されております補償法がたとい成立をいたしましても、外務省の根本にだんびらを抜くような強制使用のおどかしがある限り、あなた方の事務的処理が円滑に行かないだろうと考えますが、行く自信がありますかどうか、この席上ではつきり御答弁を願いたいと思います。
  43. 山中一朗

    山中政府委員 本件の点につきましては、われわれも実際の運営上の問題につきまして、合同委員会と閣議の関係、あるいは調達庁法律並びに閣議決定事項の執行の問題につきまして、はつきり申し上げますと、若干ギヤツプがあるのではないかという気がいたしまして、昨年も執務時間後に外務省の關次長あるいは調達庁におりましてその事務に相当練達している数名の人間と懇談をいたしたようなこともございます。従いましてわれわれとしては、事務運営上のギヤツプをできるだけなくして、スムーズに事務の進行のでき得るように、運営方法を改善して行きたいと考えているわけであります。従いましてただいまの安川国際協力局第三課長の、地元の同意がなくても、何でも必要なものは必要だから、すぐやるんだというような御印象をお受けになつているようでありますが、この点につきましても、私たちの考え方といたしましては、先ほども申し上げましたように、やむを得ない。一部の方々の不同意があつてもやむを得ない場合には、われわれとしてやむなくやらなければならないが、その場合にも最後まで同意を得るために努力するという考えで行つていることは、再三申し上げていることであります。あの場合説明したことを私から補足することはおかしいのでありますが、われわれの見方からいたしますれば、合同委員会の予備作業の協議と、政府が内政的に行為をとるところの一つの時期との間隔の説明をやつたのじやないか、  こういうように考えておるのでございますが、調達庁がいろいろなものについて、あらゆる面で強制収用した場合に、これについて完全なる補償がついて行けるかどうかという御質問に対しましては、われわれは、万々一そういうものはすべて強制収用によつてやらなければならないという事態に陥るとは考えないのでありますが、それらの点につきましてどういうようにやるか、さらに十分政府部内で意見を統一いたしまして御期待に沿うように努力いたしたいと考えております。
  44. 田口長治郎

    田口委員長 淡谷君あと質疑の通告があるのですが……。
  45. 淡谷悠藏

    淡谷委員 もう一回だけでまとめますから……。ただいまの山中部長さんのざつくばらんな御答弁、まことに心よく思うのでございますが、これは御答弁が心よいだけで、現実はあまり心よくございません。これはどこまでも特調の方の御答弁のように、地元の折衝がきまりまして、そうして補償の条件もきまり、補償金の支払いの時期もきまつて、はつきり事務的手続が終了した後に、土地その他の引渡しがされることをあくまでも主張いたします。しかるに私の印象だけでなく、先日の速記にも現われております通り、安川課長の言明によりますと、関係各庁で地元の方の状況を調査いたしますその前に——その前にといつておるのでありますが、米軍から要請がありましたときには、はたしてこれが米軍に絶対に必要なものかどうかということを米軍と協議いたしまして、その上で必要だということが認められた場合には、ただちに先ほど申し上げた国内関係官庁と協議いたしまして、その上で提供ということに閣議決定をいたしますと、それを合同委員会を通じて先方に通知をすると同時に、国内的には閣議で決定して提供ということにきまるわけでありますが、私はそれできまるとは思いません。外務省がこのような見解に立つ以上、決して演習基地の問題が解決できないと思います。特にこの間引用されました占領後における岡崎・ラスク交換公文によりますと、向うは効力発生のあと九十日以内に成立しないものの使用の継続を許されれば幸いでありますという希望条件であります。これに対しまして、はいさようでありますといつたような一方的な態度に出るならば、国内の利益を全然無視した外交方針であると思うのでありまして、この点は外務省に対してさらに一段と政治的な質問を試みたいと思います。その点はただいまの御言明通り、日本の外務省でありますから、特調の気に入らぬ点は勇敢に、卑屈にならぬように、政府部内で一般農漁民を中心とした政策の統一に御努力くださいますようにお願いいたしまして、私の特調に対する質問は打切りますが、外務省に対してはあらためて根本的な質問を試みます。
  46. 田口長治郎

    田口委員長 鈴木善幸君。
  47. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 私は本法律案の総括的なお尋ねをいたしたいと存じます。  まず第一点は、この法律案はどういう性格のものであるか、その補償根拠がどこにあるかということでございますが、行政協定の第十八条に基いてこの補償がなされました場合に、両国政府の合意する条件で、日米間で分担するような性質のものでございますかどうか、まずこの点をお伺いいたしたいと思います。
  48. 谷川宏

    谷川説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。駐留軍行為に基きまする損害に対する補償を日本と合衆国で負担することにつきましては、今御質問にありました通りの、行政協定の十八条によるわけでございますが、十八条の文言につきまして、日本と合衆国との間でまだ最終的な結論に達していない点もございます。はつきりしておりますことは、不法行為による損害補償、これにつきましては合衆国がその七五%、日本が二五%負担する。しからば適法行為による損害に対する補償をどうするか、この点につきましては、私どもといたしましては、これも不法行為による損害同様の割合で負担すべきものだと考えておりますが、この点につきましては目下先方と交渉中でございまして、またはつきりしておりません。しかし私どもの主張は今申したように、合衆国七五%、日本二五%をもつて負担の割合とするというふうにすべきであると考えております。
  49. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 ただいまの谷川さんの御答弁がございましたが、これは前に河野主計局長が、漁船の操業制限に関する法律案審議いたしました場合に、同様の御答弁をされておりますので、これは日本政府の一貫した方針である、こういうぐあいに承知いたすのでありますが、そういたしますと、この法律案はまだアメリカ側と話合いがつかないままにこれが提案されておるというように承知してよろしいですか。
  50. 谷川宏

    谷川説明員 その法律案につきましてアメリカ側と折衝する必要はないものと思いますが、その法律が成立した場合に、その法律によつてアメリカ側が負担を受けるというような関係の永のにつきましては、もちろん向うとその点につきまして相談するのが適当だ、またそうすべきだと考えますが、この問題につきましては、一応国内的な補償の問題としましては、その根拠法としてどうしてもこの法律が必要証あるということであれば、法律そのものは成立いたしまして、その後の損害額の負担の割合につきまして、その後の問題としまして折衝すればそれでよろしいのではないか、かように考えております。
  51. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 その点について、具体的に財源の問題につきましてお尋ねをいたしたいのでありますが、この法律が施行されました場合における予算措置、予算の財源は、どういう予算に基いてなされるものでございますか、その点をお伺いいたしたいのであります。すなわち施設提供等諸費五十三億円にもつぱらよるのであるか、また平和回復善後処理費あるいはこれに二十七年度からの繰越しがあるようでございますが、そういうような財源によつてこの法律が運用されるものであるかどうか、その財源措置についてお尋ねをいたしたい。
  52. 谷川宏

    谷川説明員 お答えいたします。御承知と思いますが、行政協定の十八条によりまする補償は、アメリカ合衆国が負担する部分につきましても、一応日本政府の予算で補償をいたしまして、しかる後その七五%の償還を受けるという建前になつておりますので、そういう前提に立ちまして、補償金額がきまりますと、その金額全体が予算措置を必要とするわけでございます。そこでただいまの御質問でございますが、予算の科目としましては防衛支出金であり、従いまして平和回復善後処理費は寄らないということになつております。
  53. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 私がこの点を重ねてお尋ねいたしておりますのは、単なる間接被害政府によつて補償され、救済されればいいという観点のみでなく、日本国としてこのような補償をいたしました場合には、先ほども谷川さんからお話がございましたように、アメリカ駐留軍の側においても当然負担すべきものであるという立場を、私ども支持いたしておるのでありまして、その点が明確になつていないままにこの法律が制定されるということについては、私ども非常に遺憾に存ずるものでありますが、その点はその程度にいたします。  次に、今日まで漁船の操業制限等に関する法律の場合におきましてもさようでありますが、補償金の交付が非常に遅れております。これはほとんど各地の災害においてこのことが問題になつておるのでありますが、この補償金の交付が遅れております理由はどういう点にございますか、この点をお尋ねいたしたい。
  54. 山中一朗

    山中政府委員 鈴木委員の御質問に対してお答えをいたします。ただいま補償支払いの時期が非常にずれて、被害者の力が非常に迷惑をこうむつておるが、その原因がどういう点にあるのかという御質問のようでございます。補償金を支払います調達庁といたしま価して、実は支払いの遅延ということはまことに申訳ない点でありまして、われわれ職員もこの点について、時期的に、また正確に万遺憾なきを期したいと日夜念願しておる次第でございます。自分のことを言つてはなはだおかしいのですが、私も参りまして約一月調達庁の事務をとつておるのでありますが、諸般の事情をいろいろ新しい視角から検討し——過去のいいところもわれわれ認めるのでありますが、どういう点からこういう問題が起きるのかということを個人的に検討いたします際に、事情はいろいろあると思うのでありますが、根本はわれわれの事務がのろい。あるいは人員が少いのだとか、経費がないから思うように調査ができないというような、月並のこともあるのでありますが、ともかくもわれわれの仕事のスピード化について、さらに一層努力しなければならないということも痛感しておる次第であります。そのほかに、こういう個々別々のケース・バイ・ケースで行くような事務になりまして、しかもそれは大体実績によつて被害が起きた後に補償するが、その補償する場合には、さらにそれから後に実績の調査にとりかかる。その間にどうしても相当な時間がかかる。それからまた、ただいま申し上げましたようなダース・バイ・ケースの事件が非常に多いので、プリンシプルに当てはまるものは大体各省の協議を経なくてもいいのでありますが、往々にしてそのプリンシプルから若干でもはずれるものがありますと、いろいろ関係各省を持ちまわつて協議をしなければならないという点において、時間的に相当なおそさが出て来る、こういうことも考えております。また予算科目の運営上から行きましても、われわれといたしましては、大体原則に当てはまつたものは、主計局の方から一応移しかえをしていただくのでありますが、所管が大蔵省にございまして、ただいまも御出席になつておる谷川主計官あたりも、おそらくほかの各省も持つておるのでありまするが、調達庁関係だけで三分の二くらいの努力を払つておられるように漏れ承つておるのでありますが、われわれの方のその方のケースにつきまして、それぞれの問題を予算折衝して、極端に申しましたら、三百六十五日がそれぞれ予算獲得の時期だという関係になつているところに、若干ずれが出て来る。あれやこれやいろいろの関係があり、いま一つ、政治的でないと申しては極言かもしれませんが、そういう点に突き当つた方面におきまして遅れるということも言えるのじやないか。これは私のほんとうの個人的な意見でありまするが、こういうように考えておるわけであります。これらの点において、われわれの内部で整理できることはできるだけすみやかに整理して、事務の適正迅速な運営をいたしたいと存じておるのであります。さらにケース・バイ・ケースのこういう問題の取扱いをどういうようにスピード化するかということにつきましては、関係各省の皆様にも極力協力していただき、また御援助いただきまして、すみやかにこの事務運営ができるように念願しておる次第であります。大体私の方の関係を申し上げました。
  55. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 ただいまの不動産部長の御説明の中に、予算運用の面でその都度大蔵省に折衝されて、その都度移しかえをしてこれの支出がなされておるという実情の御説明がございまして、非常に意外に存ずるものでありますが、これは予算として国会において審議を経て確定しておるのでございまするから、これは責任官庁であります。調達庁にその予算全体を移して、そうして予算の運用を迅速にするというような措置でも、政府部内においてどうしてとられないのであるか。この点大蔵省谷川主計官から、もし大蔵省としてそれがなし得ない御事情にありますかどうかを、伺いたいと思います。
  56. 谷川宏

    谷川説明員 御質問の点でありまするが、御承知と思いますが、使用上の建前からいたしまして、防衛支出金は大部分調達庁が使用するというということになつておりますが、そのほかに、たとえば水道の施設の補助金と申しますか、補償につきましては、厚生省そのほかの官庁で扱う部面もあるわけでございます。そういうような関係からいたしまして、予算は、現在御審議中の二十八年度におきましても、また前年度予算におきましても、大蔵省の主計局の所管に組みまして、予算の総則において必要の都度移しかえをして使うという条項がございますが、この条項につきましても、二十七年度予算は国会の審議を経て決定されたものでございますし、二十七年度におきましても、現在審議中の予算案はそうなつておりますが、それではなぜそうするかという点をもう少し御説明申し上げますると、これは政府部内のことでございますので、調達庁の不動産部長も先ほどおつしやいましたが、私どもといたしましては、それでは調達庁に移しかえしてある金額が全部すつかりなくなつておるかということにつきましては、まだ相当の金額があるし、またこれはあるのがやむを得ない事情がございまして、すぐ消化し得ないというふうに考えるわけであります。と申しまするのは、補償の問題は、御承知の通り検査院の関係もございまして、資料が何分にも少い。初めからほかの予算のように、具体的な積算あるいは資料が整つておるのではなく、急にぽこつと事件が出て参りまして、それから調査し、数字を集め、過去の資料を集めて、どのくらいの金額にするかという決定をするのでございますので、調達庁の方も大いに努力をしておられると思いますが、現在のところは、それじや主計局の方に要求をしておる金額がどのくらいあるかという点は、この席上で言うのは適当ではないと思いますが、具体的にその使途がはつきりしておるものは、一応は調達庁にお伝えが済んでおるというふうに私は考えておるような状況でございます。
  57. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 この予算の運用の点が、補償金支払い遅延の大きな原因でもあるように私どもには考えられるのでありまして、現在行われておりますところのこの制度をいかに改善することが、困窮しております被害者を急速に救済して行くための助けになるかという観点からいたしまして、もう少しこの予算の運用面、この制度を改善することについて、当委員会といたしましては、予算委員会の方とも連絡をとりまして、適当な措置を講ぜられるように委員長に御要望いたしたい、こう思うのであります。  次に、この法律案補償が、経営損失をこうむつた場合とのみ規定されておるのでありますが、被害が生じました場合——施設の除去でありますとか、あるいはまた損壊でありますとか、そういうような場合にむしろそれを復旧した方が、毎年々々補償を重ねて行くというよりも、国の負担も軽減し、また慢性的な被害から関係者をすみやかに救済するに有効であるという事例が多々あるわけであります。しかるにこの法律案が、経営損失をこうむつた場合とのみ規定されておりますために、そういう復旧費を支出する等の場合に疑義を生じて来るのではないか、こう思うのでありますが、ただいま申し上げましたような事情にあります場合に、この法律案のままで適当に運用されるかどうか、この点についてお尋ねをいたしたい。
  58. 山中一朗

    山中政府委員 ただいまの御質問に対しまして、提案者の側として一応私の法律案の解釈を申し上げたいと思います。御指摘のように、「その他の事業を営んでいた者がその事業経営損失をこうむつたときは、国がその損失補償する。」こういうようになつておるのでありまして、われわれ立案いたしました者の気持から行きますと、事業経営——経営ということがはたしてバランス・シートの面だけのものであるか、あるいは運営的な面も含むのか、こういうことに一応の御疑念があるだろうと存ずるのでありますが、経営ということを非常に狭く解するか、広く解するかによつて相当相違が出て来ると思います。ただわれわれは、この事業が適正に営まれて、その運営上実際計算できる損害があつた場合には、この損害を国が補償する、こういうようにとりたいと考えておるわけであります。  それからただいまの予防的な措置をとつた方が国としても経済上得じやないかという御指摘のようでありますが、なるほどわれわれといたしましては、損失をこうむる前にそれを予見しまして、予防的措置を講じて、国の失費をなるべく少くする、あるいは経営者の損害を事前に食いとめられるとすれば、経営上も非常にいいわけでありまして、御趣旨の点がわれわれとしても疑問になるのでありますが、ただわれわれは実際上の損失補償するんだ、こういう法の根本精神に立つております関係上、損失をこうむつたときにのみこの損害補償できるんだ、こうとらざるを得ないのではないかと考えるわけであります。
  59. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 重ねて不動産部長にお尋ねいたしますが、その予防的措置のほかに、砲撃等によりまして岩礁が破壊されましたり、そういうことによつて実害が発生し、あるいは繁殖場の破壊というような事態が起りました場合に、それを築いてその他によつて復旧することによつて関係漁民救済される。年々ただそれをほつたらかしておいて、損失補償だけをやつて行くという場合よりも、国家の立場からいつても、また関係漁民の立場からいつても、その方が有利であるというような場合があると思うのでありますが、そういうような場合は、この法案のみで、その築いそ等の復旧費と申しますか、そういうものの支出ができるかどうか、その点をお尋ねいたしたい。
  60. 山中一朗

    山中政府委員 お答えいたします。ただいま鈴木委員の御質問でございますが、われわれも実はこの点運営上につきましては、相当むずかしい問題が出て来るのじやないかと考えておるのであります。と申しますのは、前の御質問と同様に、そういう場合に年々損害補償して行くような措置が、国としても被害者としてもはたして得なのかどうか、両方に損なようなことなら、原状回復的な措置を早く講じておいた方がいいのではないかと思われる点が、ケースによつては十分起つて来ると思うのであります。われわれもできますれば、そういうことが客観的に多数の正当な意見であれば、それに進みたいと存ずるのでありますが、現在その運営をはたしてこの法でやつて行けるかどうかということについては、若干疑問を持つております。関係各省とも相談の結果、この法の運営上さしつかえないということになれば、おそらくそれで進められるかと思うのであります。
  61. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 ただいままでの御答弁によりましても、私がお尋ねをいたしましたところのこの法律案の「経営損失をこうむつたとき」という、この経営上という言葉を運営上に改めた方が、よりこの法律の運用を適当ならしむるかどうかという点についても、もう少し掘り下げた研究をする必要があるのじやないか。また最後に指摘いたしましたところの、原状復旧的なもの、あるいは予防的なものに対して、国家的な立場から、また関係漁民救済の立場から支出がなされることが適当である場合も多々あるわけでありまして、そういう場合に対処できるような法制上の研究もしておく必要がありはせぬか、こういう点も私考えるものであります。つきましては、本委員会といたしましては、先ほど取上げましたところの予算運用上の制度の改善の問題、さらにただいまの法律案の条文のさらにつつ込んだ検討、こういうものがなされることが必要であると思うのでありまして、その点委員長におかれましては、適当に御処置いただきたいと思うのであります。
  62. 小高熹郎

    ○小高委員 ただいまの鈴木委員の発言中に、重複する点が多少ございますので、それはこの際省略いたしまするが、この法律によつて東京湾の防潜網及び海底聴音機の施設に対する補償は、やがて実現されることと思つておるのでありますが、ただここで一点お伺いいたしたいことは、九十九里の漁場がわが国の四大漁場の一として非常に大きな存在であるということは、特別調達庁としても御承知のことであると思います。しかるにこの漁民補償を受ける際には、山をかけない、正確な基礎数字を正直に出さなくちやいかぬというので、非常に千葉県当局もこの意をくみまして、細密なる資料を提出いたしておるのでございます。しかるところ、ごく最近伝え聞くところによりますると、ただいま大蔵省谷川主計官お話によりますと、防衛支出金の大部分は特別調達庁がこれを使うのだということでございまするが、その特別調達庁でこの程度の数字が妥当なりとして、大蔵省の主計局と交渉したその結果、双方の意見が対立してものわかれになつているようなうわさが九十九里に響きまして、この二、三日えらい動揺をしておるのでございます。このままにしておくと、なかなか容易ならぬ事態に相なりはせぬかと思つて、私はそれを憂慮いたしておるのでございまするが、そういう対立しておるような事実があるかどうか、大部分の防衛支出金を特別調達庁が扱うというならば、この調査は数箇月を要して、きわめて入念にでき上つておることと思うのでありまするが、それらの対立の事情があるやいなや、その点をまず最初に、特別調達庁の不動産部長にお尋ねいたしたいのであります。
  63. 山中一朗

    山中政府委員 お答えいたします。谷川主計官もここにお見えになつておりますし、うそもはつたりも申し上げられないのでありまするが、ただいま主計官お話なつた、防衛支出金の大部分を調達庁が使うというのは、補償金額調達庁がほとんど使うという意味だろうと私は了承しております。  それから、ただいま、操業制限に伴うところの漁業補償の問題について、主計局と意見が対立しておるのじやないかという御質問でありまするが、支払いが遅れまして、いろいろ地元に御迷惑をかけていることは、調達庁として重々相済まぬのでありまするが、意見の対立と申しますよりも、われわれが要求した資料の中に、あるいはあやまちがあるのかもわかりません、また主計局がお握りになつておるところの計数の中にしつかりしたものがあるのかもわからない、あるいはまた他の方から出した資料に基かれてその方が客観的に妥当じやないかというので、御検討になつておるのかもわからないのであります。ともかくも早急にこれを片づけなければならないというので、主計官の方とわれわれの方と、日夜これが折衝に努めておるわけであります。
  64. 小高熹郎

    ○小高委員 次に大蔵省谷川主計官にお尋ねいたします。一日千秋の思い、こういう言葉がございまするが、まさに九十九里漁民においては、この言葉がぴつたりと当てはまる思いで、非常に焦がれておるのでございます。そういう際に、たまたまそういう話を聞きましたので、いかがと思つてお尋ねいたしたのでございまするが、その後における大蔵省主計局のお考えは、漁民が苦心して出しました数字、これは特別調達庁においても、山のかかつていない、正しい、まじめに出した数字だということをお認めになつておるのでございますが、これに対してどう取扱つて、いつごろこの結果を生んで、一日千秋の思いを解決なさるか、この点をお尋ねいたしたのであります。
  65. 谷川宏

    谷川説明員 ただいまの御質問にお答えする前に、誤解があつたのではないかと思いますので、先の鈴木委員の御質問に対するお答えともなると思いますので、一応説明させていただきたいと思いますが、防衛支出金の予算の計上の仕方がふぐあいではなかろうかという点につきましては、私どもはそうは思わないのでございまして、現在の制度が一番よろしい、かように考えるわけであります。と申しますのは、二十八年度の防衛支出金は、総額六百二十億でございますが、そのうち五百五十八億は、行政協定に基きまして駐留米軍に交付する義務がある経費でございます。これはどこが交付するかと申しますと、これは大蔵大臣から交付することに、米軍との話合いはなつておりまするので、五百五十八億は大蔵省に計上するのが当然だと思います。しからば、残りの六十二億につきましてはどうするかという問題でありまするが、この点は、同じ防衛支出金で、これは行政協定の二十五条の規定によつて負担するものでございまして、五百五十八億の残りの六十二億も、同様な規定の条項によつて負担する関係になつております。でありますから、それを切り離して別に計上するのは、かえつておかしい。またさらに国際的な観点からながめてみますと、日本国が駐留米軍の駐留に対して負担している金額の現状を把握するという観点に立ちますると、一箇所にまとめておいた方が、今後の防衛支出金を漸減して行くという方針を実行に移す場合に、非常に有利なことだと思います。それを各省ばらばらに組みますと、予算のみならず、実行におきまして、幾らくらいの負担がかかつているかということを的確につかむことが非常に困難になろうかと存じます。さらに先ほど申しましたように、六十二億の系統の方の補償の経費は、大部分は調達庁で使いまするが、その他各省所管で使うものが今後出て来るわけであります。現に水道の補償につきましては、厚生省にすでに移しかえ済みのものがございます。  さらに申し上げますならば、その六十二億の系統の方は、昨年度の繰越しが九十一億二千二百万円ございますので、それと合せて今年度百五十三億でございまするが、そのうち調達庁の方で資料がすつかり整備いたしまして、大体確定しておる、払えるという見込みのものにつきましては、即刻移しかえの手続がとれるわけであります。ものによりますれば、主計局は調達庁と連絡をとりまして、もし資料が的確であり、私ども意見もそれと同感であり、またその補償金額が非常に合理的な要求であつて、また査定もそれと同額で査定するという建前にきまりますれば、移替手続は一日でもできるのでございまして、その計上の箇所が違うからといつて遅れるということはない、かように存じます。それからさらにその処理の方法を早くするために、調達庁からも御要求がございまして、概算払いの制度を実施する。これは法律、政令の関係があるわけでございまするが、その方向で現在進んでおりますので、近く概算払い実施の運びになろうかと思います。  次にただいまの御質問にお答えいたしますが、漁場補償の問題につきましては、ただいまの小高委員のお言葉では、非常に資料もはつきりしておるということでございましたが、これは見解の相違とでも申したら適当かと思いまするが、私どもの手元に集まつておりまする数字につきましては、この席上で詳しい数字を申し上げるのは適当ではないと思いまするが、今調達庁との間に見解の相違があることは事実でございます。そこで私どもといたしましては、昨年の七月四日の閣議了解補償要綱というのがございまして、すべてそれに基準が示されておりまして、漁場補償の場合につきましては、経営者と労務者とわかれておりまするが、いずれにいたしましても、その制限を受ける前の三年以上の平年漁獲高を押えまして、それと当該年度の漁獲高を比較いたしまして、水揚高の減少を出すという建前に相なつておりますので、その平年度の漁獲高の数字につきましては相当慎重に検討し、事実ありのままの数字をその基礎にしなければならないと考えまして、その点につきまして相当慎重に検討したわけでございます。それで相当日数がかかりましたが、現在におきましては、私どもの手元にありまする資料は、農林省の水産庁が従来出されました農林統計及びそれの付属の資料しかございませんので、それによりまして全国的な二十七年四月二十九日以降——八日前のものは全部すつかり済んでおりますので、講和発効日以降今年の三月末までの全国の漁場補償金額は、大体このくらいだという程度のことで調達庁の方にお話申しておるのでございます。それで調達庁の方では、それに上つて目下各県の割振りをその実績に基きましてやつておられるのではないか、かように存じております。要するに主計局としましては、全国の補償全額の総額、これを算定しまして、各地区のものにつきましては、一応現実に各出先を持つておられる調達庁の方で計算していただくという建前に一応たつておる次第であります。
  66. 小高熹郎

    ○小高委員 ただいまの大蔵省谷川主計官お話によりますと、慎重を崩しておるからおそくなつておるのだというお話で、慎重という言葉は非常に慎重を要することでありますから、これは一応納得いたします。しかしながらあまり慎重の度合いが過ぎまして刻一刻遅れて行くことは、非常に漁民にとつて迷惑でありますので、的確な資料につきましては、意見の相違、見解の相違もございましようが、しかし今までの事情から推察して私は全国各地から出ておりまする資料とにらみ合せまして、無理な資料ではない、かように信じております。さような意味において、どうか好意的に一日も早く漁民の希望が達しますよう、特にこの際その意見を主張いたしまして、時間の都合もありますので、質問を打切つておきます。
  67. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 私はただいまの主計官の言われる議論に対しては、まつたく矛盾を感ずるものであります。まず第一番に、防衛資金の性格というものが一つのわくである。ところがそれには基準がある。その基準に適応して行かなければならない。調達庁基準に適応したようにすべてのものが水産庁と協議の上においてこれを定めたものである。そして調達庁意見というものは、あらゆる角度からこれを調整して出した基準だと私は信ずる。それを大蔵省において、また疑心暗鬼で見るというところに欠陥があると思うのであります。あなたはないという御議論であるが、一体内灘の問題はどうであるか。内灘の問題は、今日あれを使用するがために起きた問題であつて、これだけの資料が出ておつて、一箇月において二万四千九百六十八円四十六銭というものを出しておる。ただ単に今までの議論、あなたの御意見から行くならば、この基準はどこから出て来たか。九十九里浜の例年の漁場活動、それを計算した調達庁意見というものは私は適正なものと考えております。まずあなたはよくお考えください。内灘の問題は政治的な問題である。これと調達庁意見とは相当食い違いがあるはずだ。あなたのただいまの議論は取消しを願いたい。さもなかつたならば、この問題は大きな問題として、私は内灘の問題を取上げるべきだと思う。九十九里浜のまじめな漁民は、ただいま小高議員が申されるように、艦砲射撃による不漁によつて三年間非常な無理をしております。国の防衛のためにやむにやまれぬとして、涙をのんでわずかの国の補償を今願つておる。しかし一方においては、赤旗を立てて政治的に運動したのが内灘の問題じやないか。かくして大蔵省の査定が政治的に多少ゆがめられていないかということを、私はここにはつきり申し上げておく。あなた方の査定はゆがめられておる。こうしたへんぱなことをやるということになると、日本国中全部が赤旗を立てて、そうして政治的な問題になつて来るのであります。それを憂えるがゆえに小高君は、九十九里浜の漁民に対しても、そうしてわが日本の国の防衛ということからいつてもいけないという観点から、議論をされてなだめておるのであります。委員会にほんとうの話をしないのであります。これをあなたの事務的な感覚から、やれ基準がどうだのこうだのという議論でやつて行くのだつたら、私は立ち上りましよう。全然議論は別個であります。それよりも調達庁はあらゆる資料を集めて努力しておる、その努力をして基準というものを出してやつて行つたものであるならば、大蔵省はこれに対して認めてやらなければならない。ややもすれば大蔵省は、すべてが自分の権限のごとく考えておる。大蔵官僚の横暴がとなえられるのはこれが原因なんだ。あなたの議論を撤回しないのだつたら、私は内灘の問題をひつさげて論議を進めなければなりません。誤つた議論はおやめください。取消しを要求いたします。
  68. 田口長治郎

    田口委員長 松田鐵藏君に了解を求めたいと思います。谷川主計官の言の取消しということはきわめて重大でございますから、よく御研究の上、次の委員会におきまして、弁明あるいは取消しをされるようにお諮りしたいと思いますが、御了承願います。
  69. 谷川宏

    谷川説明員 言い方が悪かつた点はあやまりますが、内容につきましては、ただいまの御質問の、内灘につきまして政治的であつたかという点につきましては、私としては、一月から四月まで払いました漁業に対する補償金額は、決して政治的にきめたわけではなしに、調達庁からの数字に基きまして、事務的に査定した金額であることをはつり申し上げておきます。ただ内灘と九十九里とどうして違うかということですが、十分松田先生御存じの通りと思いますが、七月四日の閣議了解の条項によりますと、今も申しましたように、制限を受けました前の三年以上の平年の漁獲高を一応基準にする。内灘の場合におきましては、本年度初めそういうふうに操業が制限されました関係上、初めて調達庁から平年度の漁獲高の数字が参りましたので、一応それをとることにいたしたわけであります。しかるところ千葉県その他の問題につきましては、従来から制限を受けておりました関係上、昨年度は水産庁におきまして調査をし、補償金額——見舞金でございましたが、算定いたしましたときに、私どもの方に提出相なりました平年度の漁獲高の数字があるわけであります。内灘につきましては、それが初めてである関係上、調達庁の方の数字をとりましたが、その他の場合におきましては、従来の数字が一応ございますので、その点と比較検討をして、慎重にことを進めたということを申し上げた次第でございまして、内灘につきまして、調達庁の要求を水増ししたというふうなことはないわけであります。
  70. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 ますますおかしいと思います。防潜網であろうと、または九十九里の補償問題であろうと、まだこの法律は通過しておりません。ただいま審議中であります。それなのに内灘はどういうわけでこういう契約をされて、そして金を出されましたか。私はそういうことを論議したくないのであります。内灘の問題は解決されておるでしよう。九十九里浜も防潜網も解決はされていないでしよう。そんならばそこに同じ漁民としてもへんぱがあるじやありませんか。小高君のただいまの御議論も、どうか早く解決してやつてくださいというのです。よけい命をよこせといつて強引にがんばつておるのではない。赤旗を立てて行つて威嚇しておるのではない。よく日本の防衛事情を知つておるから、適正な価格で急速にやつてくれという議論なんです。あなたはただいま基準云々と言われたが、まだこの法律案が通過していない今日、どの基準をもつて内灘の問題の解決点を見出したのであるか。これはへんぱではありませんか。これは政治的に解決されておるのです。しかし、それはわれわれとしては論議しなくない。それが保守党の弱さです。これをよく考えたならば、この問題に対してああした議論をされることは、私は非常に遺憾だと思う。しかし、私は一切はわかつておりますから、もうけつこうです。
  71. 谷川宏

    谷川説明員 ただいまのお話まことにごもつともだと思いまするが、ただ先ほど来申しておりますように、内灘につきましては、一月から四月までの補償であつて、少しも政治的な要素は入つていないということを再びお答えいたします。ただ、ただいまの松田先生のお話の中で、あるいは思い違いをされておられるのではなかろうかと思いますことは、今度の特別損失補償法案はまだ通うておりませんが、内灘につきましては、この前の国会あるいはその前かとも思いますが、漁船の操業制限に関する法律が通うております。さらにまたこの法律がなくても、従来から継続して、見舞金を出して来た経緯もございますので、そういつたようなことで予算措置は講じ得るというふうに考えまして、内灘につきましては、そういう措置をしたわけでございます。
  72. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 いよいよもつて議論をしようということであつたならば、幾らでも議論いたしますが、それならば九十九里だつて何もこの法律案は必要はないじやないですか。いろいろな前からできておる法律を準用したり、簡単なことは見舞金で片づけてやればそれでいい。何も特にこの法律案をつくる必要はない。あなたのような議論をされると、ますます議論議論が咲く。われわれの言つておるのは、早くこの法律案を通して、調達庁もあなたの方もこの基準によつてつて行き、しかして政治的にすべてのことを考えて行かなければならないということなのです。あまりとんがらがつて言うと、これから何時間かかるかもわからないのでこの程度でやめますが、よほど御注意をしてお話を願いたい。
  73. 田口長治郎

    田口委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつて御通知申し上げます。     午後零時五十分散会