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1953-06-29 第16回国会 衆議院 水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十九日(月曜日)     午前十一時二十一分開議  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 中村庸一郎君 理事 山中日露史君       塚原 俊郎君    濱田 幸雄君       白浜 仁吉君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    田中幾三郎君       辻  文雄君    松田 鐵藏君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農 林 技 官         (水産庁次長) 岡井 正男君  委員外出席者         議     員 宇都宮徳馬君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    松岡  亮君         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 中里 久夫君         専  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 六月二十七日  漁船損害補償法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一二〇号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十七日  オホーツク海暴風浪及びカムチヤツカ沖地震に  よる漁業災害復旧資金融通に関する特別措  置法改正陳情書(  第四三二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  水産金融に関する件     ―――――――――――――
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより会議を開きます。  水産金融に関する件について議事を進めます。本日の政府側出席者は農林省より渡部官房長松岡金融課長水産庁より岡井次長立川漁政部長中里協同組合課長が出席されております。これより質疑を許します。鈴木善幸君。
  3. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 私は渡部官房長に対しまして、二十八年度農林漁業特別融資貸付計画資金計画につきましてお尋ねをいたしたいと思うのであります。まず第一に、二十八年度予算案の中に二百三十億が農林漁業金融公庫に出資をするように計上いたされておるのでありますが、そのほかに十億内外の資金と合せまして、おおむね二百四十億円が予定されておるようでありますが、この二百川十億円の二十八年度融資対象事業であります土地改良林業その地の水産関係事業に対しまして、どのような融資計画をお立てになつておりまするか、またその融資計画をどのような根拠に基いてお立てになつておるか、その点をまずお伺いいたしたいと存じます。
  4. 渡部伍良

    渡部政府委員 二十八年度農林漁業金融公庫貸付計画でございますが、仰せのごとく財政資金二百二十億と償還金十億で二百四十億をもつて貸付計画立てております。その貸付の基準でありますが、まず公共事業関係は、公共事業土地改良あるいは林道、あるいは漁港等補助金額がございます。それとのつり合いを見ながら特別融資の額を決定したのであります。そのほかおもなものとしましては、伐採調整等は昨年来の計画を踏襲しております。問題になりますのは、協同利用施設関係であります。このたびはこれを過去一年の経験にかんがみまして、できるだけ大幅につけるというようなことをもくろんだのであります。総額が当初の計画では三百億近くも要求しておつたのが、二百四十億程度になりましたので、思うようについていないのであります。今後あらゆる機会農林漁業の経営の安定という点から、協同利用施設等についても、できるだけ意を用いて行きたい、こう考えております。
  5. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの御説明でありますが、何かこの貸付計画につきまして、案がありますれば、最も近い機会に当委員会に御提出を願いたいと存じます。  なおお尋ねいたしたいのでありますが、この二十八年度貸付計画は申すまでもなく、まだ予算案が国会において審議申でございますから、最終決定とは私ども考えていないのでありますが、これは今後予算案決定までの間に諸般の事情を考慮されて、不適当、不合理な、あるいは公平を欠くような面がございますれば、是正される御用意があるかどうか、その点を、まずお伺いしておきたいと思います。
  6. 渡部伍良

    渡部政府委員 御要求資料はできうるだけ早くお配りいたします。これはお話通り予算と一緒でありますので、最後的な案ということはできません。しかし一応二十八年度事業をスタートするために農林省して決定した案であります。もちろん今後におきまして各項目使用状況等に応じまして配分補正を加えることは、従来からもやつておりますが、当然起つて来ると思います。ただその時期でありますが、やはり今年は断定予算暫定予算で例外になつておりましたが、ほんとうにこの計画でいいかどうかということは、実施の面からはまだわかりません。また昨年の例を見ましても、大体年度の半分を経過しなければ、これに補正を加えるという新しい理由が発見できませんから、今年は先ほど申し上げました暫定予算の遅れた関係で、補正機会は相当遅れるのではないかと思います。  なお昨年度中に、二十八年度実施まべき事業としてのつなぎ資金を出しまして、そのつなぎ資金を本資金に乗りかえるという金額も、この暫定予算関係が相当ありました関係もありますので、ただいま申し上げましたように、これを直すにつきましては、もう少し間がある、こういうふうに御承知願いたいと思います。
  7. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 私のお尋ねいたしておりますのは、もとより融資の中途におきまして、情勢の変化等か生じました場合に、その間の過不足を調整するということは当然なさるべきでございますが、まず年度当初におきまして、この融資額の設定されましたそのよつて立つ根拠において、私どもが検討いたしまして、不適当である、また公平を欠くものであるということが明確に相なつた場合におきましては、年度初頭において、現在一応の案として考えておられるこの案を変更される御意思があるかどうかということをお尋ねいたしたいと思う。
  8. 渡部伍良

    渡部政府委員 この計画を組む際に、いろいろな条件をもとにしてやりました。そうして一応向後の収支計算、これは費目によつて金利が違いますから、そういうものの計算をいたしまして、収支に非常な支障ができるようなことのないようにという点も考慮しながらやつておりますから、もちろん賀付計画をつくつたときの条件にかわつた事態が発生しますれば、それは考慮して、できるだけ早い機会にそのかわつた条件に基く変更を考えることは当然であります。
  9. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 二十八年度貸付計画表は後日御提出になる模様でございますが、まずただいま審議を進めます資料といたしまして、土地改良林業、それから漁港を含む水産関係魚田開発水産共同利用施設、それに畜産蚕糸等主たる対象事業に対しての資金わく配分比率を御説明願いたいと思います。
  10. 渡部伍良

    渡部政府委員 二百四十億のうち、土地改良関係で百十二億五千万円、林業関係で四十億、漁港関係で四億五千万円、塩業で十一億です。それから共同利用施設として五十九億、そのうちおもな費目を申し上げますと、共同施設のうち電気小水力発電施設の九億、魚田開発が九千万円、水産業共同利用施設が十六億六千万円、差引その残りは畜産とか蚕糸関係であります。そのほかに共同施設でないところで、別の項目としまして、主務大臣指定災害復旧事業に三億計上いたしてあります。それから復興融資承継分、これはその方の不足で承継するということになりますが、その金が九億五千万円、合計二百四十億、こういうふうになつております。
  11. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの御説明によつて見ますと、三百四十億円の総わくのうちで、水産関係合計いたしまして約二十三億円というように相なつておるようでありまして、全体の九%にすぎない。一割に満たないということがここに明確に相なつておるのであります。二十七年度は、総わくが二百七億九千九百万円でございまして、そのうち水産関係に対して二十四億一千一百万円、その全体のわくに対する比率が一一・五%というぐあいに、総わくが二十八年度よりも少いにかかわらず、合計において水産の方は二十四億、今年度予定より上まわつておる。しかるに今年度は二百四十億というぐあいに総体がふえておりますにかかわらず、その融資予定額が二十三億というぐあいに相なつておりまして、率が〇・〇九に低下いたしております。その主たる理由はどこにございますか、その点を御説明願いたいと思います。
  12. 渡部伍良

    渡部政府委員 水産関係資金といたしましては、大型遠洋漁船等開発銀行関係でも相当出ております。それから事業性質公共事業で、漁港年に相当出ております。そのほかの共同利用施設等考えてみますと、これは各項目とも非常な要請がありますので、先ほど申し上げましたように、総わくをふやさない限り全部は要求を満すことができないのであります。従いまして、各項目ともみんな満足しているという項目はないのであります。去年に比べて水産関係が特に減つておるという点でありますか、私ども承知しておる関係では、昨年補正予算で大分増したのであります。その理由は、漁業権証券資金化されるのに際しまして、そのうち相当大きい金額が税金に取上げられましたので、そういう特殊事情を考慮して、一般会計で五億円、償還金が三億円、八億補正予算で出ました。そのうちの大部分、八割近くを水産の方に特にまわした初計画に比べますと、今度の場合でも相当ふえておりすので、大体各項目バランスをとつたつもりであります。
  13. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの官房長の御説明は、いろいろな点でおざなりの御答弁にたつておるのであります。まず第一に理由としてあげられました、大型漁船等開発銀行から出ておるじやないかというお話でありますが、今年度初めて開発銀行の中にわく予定されたんではなくして、二十七年度においてもこれは一言上されております私ども承知いたしておりますところでは、昨年度大型遠洋かつおまぐろ漁船その他に対する融資額よりも、二十八年度はむしろしばられる方向にあるということでありまして、開発銀行資金わくとの関連において考えるといたしますならば、開発銀行の方で、減つた分だけむしろ増わくせにやいかぬということが逆に言われるではないか。従つて、あなたが開発銀行資金わく云々と言われましたのは、理由には全然ならない。しかも融資対象が、一方は協同組合戸棚漁民であつて開発銀行の場合日にむしろ大きな企業体であるということから、これは全然性質が違う資金わくである。これを引合いに出しても何ら弁明の根拠にならないということをまず指摘いたしたいと思うのであります。  次に公共事業補助金が計上されておるということをおつしやつておるのでありますが、公共事業予算関係補助金関係との関連において申し述べますならば、土地改良等におきましては五百億になんなんとする厖大な予算が計上されております。それに比較いたしまして、予算面においては漁港を除いては水産に対してほとんど見るべき補助がなされていない。予算補助の面との関連において資金計画をお立てになるということであれば、予算面において救済されない、冷遇されている水産面に対して、もつと手厚く配慮さるべきものではないかということが逆に指摘されるのではないか、こう思うのであります。  次に、二十七年度官房長引合いに出されましたから、私は二十八年度貸付決定状況をここに検討いたしましてお尋ねをいたしたいと思うのであります。まず農業林業水産畜産蚕糸等融資申込み申請額と、二十七年度中に貸付決定いたしました金額との対比、つまり充当率を見ますと、農業におきましては充当率は八一・七%に相なつております。それから林業に至りましては九二・九%という充当率になつておる。ところが漁港の面になりますと、充当率は五四・九%というきわめて低率であります。塩業至つては九九・一%という充当率を示しておる。それから水産共同利用施設は、これまたわずかに六〇・五%という低率であります。これらを総合して考えました場合に、各対象事業に対する平均充当率は七七・三%である。ところがこれに比較して水産関係充当率はわずかに六〇・三%でありまして、水産の方は平均充当率よりも一七%も低いということを官房長は御承知であるかどうか。ここに水産軽視の傾向か現われておるということを、官房長は御承知の上で二十八年度計画をお立てなつたかどうか、この点をお尋ねいたしたい。
  14. 渡部伍良

    渡部政府委員 充当率の見方でありますが、たとえば塩もか九九%になつておるのですが、政府統制度の相違によつて充当度が通うわけです。たとえば申請を出しましたときに、まず第一に申請書の書き方から直して行かなければならぬということかあります。これは共同施設等には非常に多いのであります。そういうものを一応受付件数に入れなければ別でありますが、一応受付件数の中に入れるのでありますから、そういたしますと、充当度は非常にアンバランスになるということが出て来るのであります。この点はただ単に形式的な充当度だけでお考えを願わない方がいいのではないかと思うのであります。私どもの方では、あらゆる方面を見まして、原局と十分打合せた上で、省議にかけましてバランスをとつてつておるのであります。ことに共同利用施設は各費目とも、たとえば水力発電等につきましても、二十億あるのに、九億しかつけない。またサイロ、堆肥舎につきましても、去年の三月までに八億の要求が出ておるのに、堆肥舎は四億ぐらいしかついていない。いろいろな問題があるのでありますが、要するに資金わくが十分でありませんので、非常に各項目に不満が出ておることはよく承知しております。その点は今後の努力にまちたい、こういうふうに思います。
  15. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 官房長の御説明は非常にその場限りの御答弁のように相なつておるのでありますが、この全体のわくが少いということも、もとより私ども、このわくが少いことは十分承知をいたし、今後において努力をいたしたいと思うのでありますが、少ければ少いだけ乏しきを公平にわかつ、すなわち各事業対象から見て公平にこれがわかたれるということが必要でありまして、現在の水産関係長期低利資金が非常に深刻な窮迫を告げておるということは、官房長も御承知のことだろうと思うのであります。特に私が指摘いたしたいのは、農業土地改良の面におきましても、林業の面におきましても、特に林業の面におきましては、官房長もすでに御承知通り林道建設資金でありますとか、あるいは伐調資金でありますとかは、林業団体以外の個人にまで出ておるのであります。ところが一方漁港でありますとか、あるいは水産共同利用施設というものは、個人には及んでいない。個人でも中堅級漁業者の間においては漁船の代船建造資金というようなものに対する需要が非常に多いのであります。ただそれが制度になつていないために、これか出て来ていない。そういうような潜在的な長期資金に対する需要度というものをさらに加算して参りますれば、これはここに出ておるような比率よりも、さらに高まつて来るということが言い得ると思うのであります。林道の方は個人まで入れて充当率がすでに九二%をオーバーしておる。ところが水産の場合には、そういう個人の潜在的な需要をのけて、純然たる零細漁民共同施設あるいは漁港というような最も緊要なものだけでもわずかに六〇・五しかないという低位に置かれているが、これは水産軽視の現われではないか。これは率直に官房長にこの際御認識願いたいと思うし、われわれの納得するような御答弁を願いたいと思うのであります。
  16. 渡部伍良

    渡部政府委員 なかなかむずかしい問題でありますが、一応金を貸すときには、ある程度その事業採算関係を見ます。そうしますと正直に申しまして水産関係は一番むずかしいのではないかと思います。これは事業性質上、定期的に水揚げがはつきり確保できるところは、もうどんどんできておるのでありますが、これからやるところは、非常に困難なところに金を貸さなければならぬ。そこで農林漁業に特別の金を貸すのだというのでありますが、その限界点に来ている関係があります。従いましてこれは原局でも非常に苦心されておると思いますが、貸付事業内容についての査定に苦心されて手間取りまして、今までのところ充当率が低いのである、こういうように考えます。これはやはり資金の性格と、さらに一方においては行政的に考えるということは、政府損失補償の限度につきまして、相当腹をつくらなければならぬという問題ではないかと思います。それが事業の当初でありますので、金貸しの当事者になるとそこに念を押すということから、充当率が少くなると思います。そういう点は、今後の行政の施策と相まつて、できるだけの努力をいたしたいと考えております。
  17. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 私はただいま官房長から非常に意外な御答弁を承つたのであります。今の官房長の御説明の底を流れておるお考えを端的に指摘いたしますならば。水産関係融資金融ースに乗らないじやないか、金融ベースに乗らないものには金が出ないのはあたりまえだ、こういうような思想の現われのように思うのであります。むしろこの農林漁業特別融資制度は、一般市中銀行あるいは農中にいたしましても、そういうような民間資金に依存しては、どうしても産業開発、振興ができない、こういうような面に対する政策金融であつて国家食糧増産の面、その他国の重要産業としての面、あるいは零細な大衆生産者生活安定向上のためにこういうような制度を設けて、国家資金を導入して、民間資金ではまかなわれない面をこれによつてバツ・クアツプして行こうという趣旨から設けられたものであつて官房長のおつしやるように、金融ースに乗らない、非常に不安であるということで充当率を満たしてやらないという、これが理由でありますならば、これは重大なる問題である、私はこう指摘せざるを得ないのであります。  もう一つ申し上げたいのは、すでに二十八年度におきましては、二十七年度製氷冷凍事業等共同施設に対しましては、二十七年度つなぎ資金その他で出ておりました分、それから二十七年度中にわくがなくて貸付決定することができなかつた分、そういうようなものがすでに暫定予算その他で処置をいたし、さらにこれを二十八年度わくにおいて処理して参ろうとしても、すでにその受理したものは十一億を突破しておる。十億の製氷冷凍工場わくに対して、一億以上を突破しておる。それで年度の初頭六月に、すでに代理金融委託金融機関でありますところの市中銀行や農中に対して、今後製氷冷凍工場等融資申請は、当分の間これを受理しないで断るようにというような指令が、国家からすでに出ておる。こういうような状況になつております。今官房長は、もうこれから出て来るものは、金融ベースには乗らないような性質のものが多いのではないかということを言つておりますが、二十八年度年度初頭において、すでにもうわくをオーバーしており、これ以上受理ができない。こういうような状態にあることを見ましても、官房長の御説明は当を得ない、こう私は思うのでありますが、この点についてどうお考えになりますか、お尋ねしたい。
  18. 渡部伍良

    渡部政府委員 鈴木委員お話ごもつともであります。私の説明も、普通の金融ースに乗らないものをこの行政的金融でできるだけ解決して行きたい、こういう御説明を申し上げたのであります。但しどうしても金を扱うのは、御承知のように政府で扱うのでなくて、金融機関等に委託しておりますので、金融機関責任というものを三割程度かけております。それと、これは御承知のように中金と一般銀行でありますが、一般銀行等ではその責任をのがれるために、貸付金の二割だけ天引して同業者に貸すというような例もあつたのであります。そういうことではぐあいが悪いのでありますが、いかにしましても政府が直接貸さないので、金融機関の従来の惰性で、やはり金融ベースにある程度合すような観念がありますので、そういうのはある程度時期をかけなければほんとう行脚的金融にはならないじやないか、行政的金融というのは言葉が悪いから、こうしたらよくなるじやないかということをつぶさに指導して行かなければいかぬのであります。もう少しおひまをいただきたいと思うのであります。私ども公庫をつくつたそもそもの趣旨が、一般金融ベースに乗らなかつたものを行政的な金融でまかなつて行こう、補助金金融のちようど中間をねらつておるのであります。そういうような運用に持つて行きたいと考えております。なおつなぎ融資から本融資に移したのでありますが、これは御承知のように、二十八年度暫定予算は三十九億しかついておりませんので、これでは処理ができないのであります。非常に不足するのであります。  それから第二点の、もうすでに受什を停止するようにということを言つておるようなお話でありますか、その点は具体的な事実を金融課長の方から説明があると思いますが、これは今までもときどきそういうことを貸付業種によつてはやつた例があるのであります。おそらく暫定予算でのみ切れないので、貸付決定をするまでにあまりに申請が累積し過ぎておるというので、一時停止しておるものと想像します。
  19. 松岡亮

    松岡説明員 官房長お話ちよつと補足いたしますが、年度初めに製氷冷凍施設融通受付を停止したということは、私ども承知いたしておりません。これは調査いたして見ます。なおすでに前年度から本年度へずれておるものが相当あるということでございますが、これにつきましては、今度の暫定予算におきましても、できるだけ製氷冷凍施設は繰上げてわくをとるようにいたしました。それでも全体のわくが何と申しましても小さいものでありますから、なかなか思うように行かなかつたのであります。
  20. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 官房長のお答えの中で、私の質問に焦点をずらしておられる点がございますので、この際さらに明確にいたしたいと思うのでありますが、私が申し上げておりますのは、この水産の方の充当率が低いという原因は、むしろ政府が設定したところのわくが小さいために充当率が低くなつておる。これは農林中金でありますとか、あるいは市中銀行の方が二割の融資を渋つておる。そのために上つて来ない、それで充当率が低い、こういうことではないのでありまして、その金融機関の方はどんどんパスして来ておりながら、あなた方がおきめになつわくが、水産の方が不当に一七%も低くきめられておりますために充当率が低い、こういう結果に相なつておるのでありますが、このことをあなたは卒直にお認めにならないかどうかということがまず第一点であります。  それから今官房長課長が御答弁になりましたが、すでに製氷冷凍事業のごときは十一億を突破しておる。あなた方は十億を予定しておるようでありますが、この六月においてもうすでに十一億を突破しておる。それは各金融機関金融ベースに乗せて審査をしてよろしいというて上げて来たもだけでも、年度初頭ですでに十一億をオーバーしている。それでストップを命じておる、これが現実であります国庫からそういうような通牒が出ておるのであります。このようにもう年度初頭において十億のわくがどうにもならないで、実質上二十八年度申請は受理できない。こういうようなぐあいに、非常にわくを小さいものに押しつけておるところに無理があるのじやないか。このことをお尋ねいたしておるのであります。
  21. 渡部伍良

    渡部政府委員 資金わくの問題でありますが、説明がだんだんと細部に入りますけれども、先ほどちよつと触れたのでありますが、結局行政庁のタッチの程度によつて、たとえば農業関係でも林業関係でも——一番ひどいのは塩業です。塩業専売局でどことどこと割当ててやつておるわけです。今度公庫ができますから、そういうことはなるべくなくしよう、こういう考えを持つておりますけれども府県である程度府県産業の立場からわくを設定して、相当しぼつて来ておるのがあるのであります。その程度の相違もあるのじやないかと想像しますが、なかなかむずかしい問題で、資金わくが無制限に引受けられるということでありますといいのでありますが、そのわくが足りないために、どうしてもしぼり方を考えなければいかぬ。その際に、あるいは漁業関係のしぼり方が足りないのか、あるいはしぼり過ぎているのか、こういう問題でありまして、この点はさらにわれわれの方の中でもよく検討を加えて行きたいと思います。私は一年これをやつたのでありますが、いろいろ聞いて会すと、やはりその地区の漁獲とか、それの処理の採算とか、そういうものは一応の基準にならない。結局つくつても、それがそこの漁民の負担になるということではなかなか問題がむずかしいので、そういう整理についてあまりにも金融機関の方でやかましく言い過ぎているかもしれません。あるいはそれがほんとうなのか、もう少し検討を加えて行きたいと思います。
  22. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 この二十八年度資金わくについて、官房長は検討を加えるということをお話になりましたが、そこで私具体的にお尋ねをいたしたいのであります。それは先ほど私が指摘いたしましたように、林業におきましては団体以外の個人にも融資いたしております。ところが漁業の場合におきましては、漁船建造資金その他個人の中堅漁業者にまで融資を拡大し、適応するということになり室すれば、その潜在的な、ここに現われて来ていない申込み希望というものが、さらに増大するであろうということを先ほど私は申し上げたわけであります。そこで水産全体として、この昨年度充当率七七%三を二百四十億にかけて算定いたしますと、どうしても二十三億にプラス十三億を増さなければならない。これが全体の平均充当率から算定したところの資金わくであります。私どもは、林業等のような個人にまでも厚くやつているというような面とも勘案されまして、十三億も平均より不当に切り下げられているところの、水産わくを増す御意思がないかどうか。しかもこの決定には塩見前長官は不満を表明して、何ら承諾を与えずにかわつておる。そのあとあなた方はほとんど欠席裁判で、水産庁を無視し、塩見長官の強い要求を無視して決定している。このような経過から見ても、この平均充当率である七七・三、この前後に引上げるために、十三億程度の増額をこの際ここでお約束できないかどうかということをお尋ねしたいと思う。
  23. 渡部伍良

    渡部政府委員 林業関係個人に貸しているではないかというお話でありますが、奥地林道の関発等のためにはそういう金を出しており捜す。それから水産関係の金を増すことができるかどうかというお話でございますが、ここでは増すという明言は私個人ではいたしかねますが、これはよく御趣旨を体して、随時このわくについては省内で協議をしておりますから、その際十分検討を加えて行きたいと存じております。
  24. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいま官房長は、水産事情も十分考慮されて、全般についてもう一ぺん省内で検討を加えようという御答弁ですが、私は官房長が良識を持つて善処されることを期待いたしまして、私の質問を終りたいと思うのでありますか、ただ、私が林業の方に個人に出していることを強く指摘いたしましたのは、決してこの制度が悪いということを申し上げているのではありません。むしろ水産の場合におきましても、漁船建造の資金等については、大企業でないところの中堅漁業に対しましては、個人といえどもやはり林業と同じようなぐあいに、代船建造資金等をこの特融資金から認めてもらいたい。これが業界の強い要望であります。われわれもまたこれが適当なる施策であると考えているのでありまして決して林業における個人に出していることを私は追究しているのでないのであつて、誤解を招くおそれがありますのでこの際申し上げておきたいのでありますが、私はただ林業においては救済され、漁業においては救済されないこのような潜在的なものまでも取上げて考えるならば、不当に少いのではないかということを申し上げておるのであります。  最後に、私は水産庁岡井次長に、水産庁はこの三十八年度一応わくづけされたところの水産資金わくに対して、これによつて水産の施策を実行できるかどうかということをお尋ねいたしたい。
  25. 岡井正男

    岡井政府委員 御指摘のようにこれでは不十分と考えておりますので、先ほど官房長からもお答えがありましたように、内部的にさらに水産について理解のあるように御検討願うつもりでおります。
  26. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 まずこの農林特融の性質でありますが、当時ドツジ・ラインによつて日本の経済というものがまことにきゆうくつなことになつて、農民、漁民の当時の経済を救済するのには、どうしてもドツジ・ラインを打破しなければならないという廣川農林大臣の強い意向によつてこの法律ができ、農民、漁民に対するあたかも慈雨のごとき性格を持つた金融政策であります。しこうしてその政策か実現されて、昨年よりも本年と年々増大された。しこうしてまず第一に、現内閣は町のために百三十一億のこの前の予算が内定をされておるのに、一億を減じなければならないかというところに、与党諸君の政治力が足らなかつたということを指摘したい。  さて次に、ただいま鈴木委員から、水産わくというものが寡少過ぎるじやないかという御議論かあり、これは数字においてはつきりと現われておるものであります。しかして官房長の先ほどの御答弁からみると、昨年は水産に対しての、事後に起きた大きな需要によつて補正予算によつて組まれたわくの中から、相当大幅のわく水産に与えたという御答弁であります。さて今年における三百三十億のこのわくが、全体において足らないということは、農林省全体が予算決定する今年の一月において、三百億以上を獲得しなければ、とうてい所期の目的が達せられないという強い要望によつて努力をされたものであり腐す。その目的を達しなかつたならば、今の鈴木委員の議論された議論に対しても、これは満足することができないものになる。二百三十億、四十億の中から、パーセンテージからいつて十三億というものが足らないという議論も、ないものを与えなければならないということは、わわわれはいずこも同じ議論があることだろうと思うのであります。これに対して、どのような方法によつてこれを獲得するかという手段を構じなければならない。結局消極的な意見よりも、積極的にこの予算わくを拡げるということが、第一の先決問題であらねばならぬ。しかしまだ七月の暫定予算を組み、また八月の暫定予算も組まなければならないような現在の政治の行き方では、それも不可能であろうと思うのであります。この特融によつて利益を得たものは農民、漁民であり、そのほかに大きな利益を得たものは農林中金であります、この点は官房長においてよくおわかりのことと思う。今日本の金融業界において、きようも不渡り、明日も不渡りという、経済界のまつたく混乱しておるときにおいて、自己資金を二百三十億も三百億も持つておるというものは、ひとり農林中金あるのみ。この自己資金を持つておるという農林中金は、どこからその自己資金が入つたかということに対して、監督官である官房長は、よく御調査されなければならない問題だと思うのであります。私は端的に申し上げるならば、農林特融によつて資金ベースに乗らなければならないという、また二割を金融業者が責任を負担をしなければならないという一つの法律の趣旨からいつて、それを運用いたしまして、また善用したのかもしれぬが、ほとんど零細な農業協同組合から旧債を整理しておる。この現実の姿は、官房長においてもよくおわかりのことと思う。またただいま鈴木委員から言われた、もはや本年ののわくがなくなつておるというような、あとは貸出しできぬというような一片の書類によつて、なお業者に対して弾圧を加えて、そしてはなはだしいものは、三十回、四十回と中金に来ておる。しかも中金の本店はまことに紳士的に指導するが、地方の中金の支所というものは、無尽会社や銀行の支店長の金融業者の今日の横暴はその姿、それをまねなければ、金融業者の面子にかかわるがごとき思想をもつて、彼らは官吏の一番悪いところと、銀行、金融業者の一番悪いところを、そのままやらなければならないという思想が今日現われておるので、どこの中金の支所においても、本店の重役たちの考え方とはまつたく異なつた方向をとつておることは、幾多の事例をもつて私は立証できる。今ここにも資料は持つておる。しかし国会において一一そんなことを論議して、いらないことを言う必要もないが、よくこの点を官房長はお考えになつて、そうして監督をされると同時に、中金の自己資金に対して、明年度予算をとる必要もあることでありましよう、実に農林特融はもう農民、漁民の救済になるものであり、経済の確立になるものであるという御議論から、自己資金を大幅に出させて、先ほどの鈴木委員の満足するようにおとりはからいを願いたいと思うのでありますが、この点に対する御意見はどうか。  もう一つ、林業における個人に対する融資という問題、この問題は、まことに私は当を得たものと思う。こうした当を得た、日本のはげ山にならんとする山に対しての、林道をつけるとか、植樹をするとかいう問題、これを大幅にやることが、すなわちこの特融を出す最もりつぱな手段だと考えておる。しかして鈴木委員の言われるごとく、代船建造、または船をつくるということに対して、今水産庁においては漁船損害補償法をつくり、満期の保険法をそれに入れんとして、漁船の建造及び水産施策に対する最も時宜に適した法律を出さんとしておる。さてその資金はいずこから出て来るか五里霧中である。その五里霧中なるところに議論をして行くというと、これは融資保証法によつて資金をまかなうのだという課長の意見である、さて融資保証法七のものが、そんならば個人々々に貸し得るようになつておるかというならば、それは全然個人々々には出せない。設備資金に対してはできない。大蔵省の銀行局長の水産庁長官に対する通牒からいつても、個人に対しては一年間の銀行の手形によつて、大蔵省が九割までその手形を再割引するという通牒になつておるが、わずかにこれは一年間の問題である。漁船を建造する場合において、一年間で手形を割引して、そうしてそれを払うなどという漁業は、今や日本の国ではありません。しからば満期保険のあの法律を出さんとする場合においても、五年間になつておる。開発銀行制度であつても五年である。こういうものに対しては、特融によつて出し得ない場合においては、中金の自己資金を出すように努力されること、また特融によつても十五年年賦ということになつておるが、この特融は、十五年でなくてもいい。八年であろうと五年であろうと、満期保険法によるこういうような制度金融の仕方をも官房長はお考えになつて行つたならば、ただいまの鈴木委員の御議論に対しても満足を与え得ることだと私は思うのであります。この点に対する官居長の御意見を承つておきたいと存じます。
  27. 渡部伍良

    渡部政府委員 第一の点でありますが、中金の自己資金をもう少し活用せよというお話であります。私もそういうふうに考えて、いろいろ考えております。しかしそれはまだ具体的な案になつておりませんので、今後の研究におまかせ願いたいと思います。なお先ほどわくをどうしてふやすかというお話でありますが、今後研究することにいたしますが、昨年度は二百億のわくを、わずかでありますが、七億だけわくをふやしたのであります。そうしてそれはどうせいろいろなものが出て来るのだが、その中でつなぎを出しまして、七億の分だけはつなぎを出してことしに繰越したのであります。一年限りの金融でありませんので、今後そういうふうにするかどうか、とにかくできるだけ延ばさなければいかぬ分は、行政的にいろいろな手段を講じて行く方法があるのじやないかと思います。  第二の漁業信用基金協会の保証のある手形の取扱いでありますが、お説の通り一年になつております。この点については私も勉強不十分でありますので、的確なお答えをすることができないと思いますが、満期保険の制度ができれば、その保険の受取り金額を対象にした資金が何かできるのじやないか、こうこうふうにも考えますし、これもさらに研究をさせていただきたいと思います。
  28. 赤路友藏

    赤路委員 官房長お尋ねしたいと思いますが、先ほど来鈴木委員の質に対して御答弁された言葉の中に、この特融資金計画は、あらゆる面からのバランスをとつて計画されておるのだという御答弁があつたようでございます。この答弁から考えてみますと、官房長は、と申しますよりも農林本省すべてが、水産業に対する認識が非常に不足しておるのじやないか。この不認識の上に立つてかような計画立てられておるから、鈴木委員がおつしやつたような難点が出て来るのだというふうに私は解釈する。日本漁業の発展、向上のための今日の段階における基本線は、中小漁業家の育成擁護に基づく資本制漁業の強化であるとともに、零細漁家群の相対的な衰弱を防止して、これらの安定漁家を創出するというところにこそ、私は今日の漁業政策の中心点がなければならない、かように考えております。このことは政府が常に一枚看板として言つておりますころの、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へという基本政策にも合致することでありますので、この面を推進することのために、当面最も考えられたければならないことは融資措置である。これがまずその第一段階であると私は考える。当時復金融資の水産関係に出されました融資総額は、大体四十七億円と私は聞いておる。ところが農林漁業特融が始まりまして今日までの水産関係に対する融資総額は、大体、三十七億程度と私は聞いておるのでありますが、この面から考えましても、当時と今日とでは貨幣価値が相当大きく違つておる。そうなつて参りますと、今日の段階では、当時より水産関係に対する融資額が非常に低減して売るのだということが言えると思う。もちろん御答弁の中にもございましたように、金融機関に委託してやつておるので、金融機関責任ということもあり、また業者自体が金融機関の信用を失つておるというようなこともありましよう。もちろんそういう面からではありますが、一般金融機関からの融資が非常にきゆうくつになつておる現在の状況を、このまま放置いたしますならば、日本の漁業の発展も進歩もそのまま阻止されるだけでなしに、私はむしろ崩壊過程に入ると考える。であればこそ特に国がこの面に対して勢力を集中して融資をし、これを育成強化して行くということでなければならないと思う。従つて私の言いたいことは、農林省は水産というものを、農林省の何かこぶ的な存在以外に何ら考えていないのではないか。かようなことでは、日本の漁業の発展はとうてい期せられない。私が重ねて申し上げたいことは、総体的なわくはもちろん拡大されなければならないでしよう。しかしながら、二十八年度のこの計画の中における充当率が、鈴木委員が言つたように非常に違つている。これだけはぜひとも直していただきたい。先ほど鈴木委員に対して御答弁があつて、これはこの場所ではつきり申し上げることができないということでございますから、これ以上は私の方でも答弁は求めません。しかしながら、十分現在の漁業の実態を把握するとともに、二十八年度においては、むずかしいことであり、無理なことでもあるのですが、少くとも他の農業林業と比較して、十分やつて行ける程度にぜひ御考慮おき願いたいと思います。御答弁は求めません。  そこで水産庁次長お尋ねいたしますが、金融が非常に不円滑になつておることは、金融機関からの信用を失墜しておるというような点も認めなければならない。しかし現況のままではいけないことは当然であつて従つて業者自体ももちろん反省しなければならないが、行政官庁としてこの受入れ態勢を整備せしめる措置をとつたかどうか。もし今までそうした措置をとつていないといたしますならば、今後それらの点に対してどういうふうにお考えになつておるか、この点を第一点としてお尋ね申し上げたいのであります。  なお先ほど松田委員から中小漁業の融資保証法の問題を持ち出されましたが、これは画期的なものとして業界から非常に喜びをもつて迎えられ、また期待されておる法律であります。ところがこの法案が通りますときに当委員におきましては附帯決議をつけておる。これは御承知通り地方公共団体が協会の会員として出資に充当する部分は起債を認めようということ、その融資に対しては利子補給の方途を講ずべきであるという、最も中小漁業融資保証法が生きて行くことのために重要な二つの面が附帯決議としてつけられておるのであります。ところがこれが全然措置されていないが、これに対していかなる措置をおとりになつたか。この点は非常に重大なる面でございますので、御所見を承りたいと思います。
  29. 岡井正男

    岡井政府委員 お尋ねの第一点の受入れ態勢をどういうふうに推し進めて行くかという点でございますが、漁業協同組合を主体とする分につきましては、従来終戦後ややもすれば等閑に付せられがちであつた漁業組合団体の経理監査、これを十分にいたしまして、一応全漁業者から見ましても大体に満足の行くような整備をさせたい。それについては弱小組合については統合もこちらの方が相当強力に推し進めたいというような点は現に推進中でございますが、なおその他もろもろの施策もこれに取り入れて行かなければならないというような気持で、目下主務課で研究いたしております。  なお開発銀行等の資金をやはりやり繰りいたしまして漁業関係融資しておるようなものに対する受入れ、要は遠洋まぐろ、かつおのようなもの、こういうようなものにつきましても、業者がかつて復金等に借財のあるようなものにつきましても、償還方法を一応整備させまして、満足の行くような結論を得たものから優先的に推して行く、いわゆる従来傷のあつたようなものはその傷をどういうふうにして直すのだという見通しをつけたものを、われわれの方でも開発銀行へ連絡するというようなことをいたしております。その他の点についてはまた次の機会にでもお話を申し上げたいと思います。  第二点の地方公共団体の起債は、やはり信用基金制度に相当これをかみ合わせて行くのでなければいかぬのじやないかというような点はごもつともでございます。われわれとしても関係の地財委の方へは再三連絡もするし、きつく要望いたしまして、現在のところは北海道、青森、愛媛、高知、長崎、こういうところは、それぞれまずこちらが中に入りまして、満足の行くように、起債関係は済んだのでありますが、その他済まないところもございます。これはざつくばらんに言いますと、地財委の方で申しますのは、いくら水産庁の方で推されても、実は各府県に対するわくづけ、一つの目安を置いたやはり起債についてのわくづけがあるそうでありまして、これにこぶづきで、これだけを但書のように一番末の末に持つて来られたのでは困る。やはり各府県においても、この種のものについては相当重要なるものとしての態勢をととのえた書類を出してもらちなければ困るというような、逆註文がございますので、われわれといたしましても、機会があるたびに各府県の知事、副知事、主務部長に対しまして、今度の新しくスタートせんとするこの制度について、地方のより以上の協力をやはり求めております。なお遺憾の点があるのはわれわれもはなはだ残余に思つておりますが、よく注意して、今御指摘があるような点はなお一段と努力いたしたいと考えております。
  30. 赤路友藏

    赤路委員 ただいま次長から御答弁を承つたのでありますが、官房長は先ほど、この面はあまり研究をしておらぬのでとくと研究をしたいということでございましたので、十分御研究願いたいと思います。起債と利子補給の面につきましては、今後水産庁と力を合せて御協力をお願いいたしたいと思います。なお次長は私がお尋ねいたしました、業者に対する受入れ態勢の問題について、るるお話があつたのでありますが、次の機会にということをおつしやつておられました。まことに次長はしばしばそういうことをおつしやつて、次の機会に一向お話がないのであります。今度はひとつ間違いなしに次の機会お話くださるようにお願いいたしておきます。  なおもう一点お尋ね申し上げたい点は、土曜のこの委員会で通過いたしました漁業特例の件でありますが、この漁業特例によるところの増トン、建造資金についてはどういうふうにお考えになつておるか。これは非常に重要な問題であると思います。当然これは開発銀行によつて特別に融資をいただかなければ、この法律案が通つたといたしましてもこれはむだになると思います。この点開発銀行と交渉をされたことがあるかどうか。もしないとするならば、今後これに対してどういう手を打たれようとするか、その点をお聞きしたい。
  31. 岡井正男

    岡井政府委員 ただいま御指摘の点は、海洋課におきまして、多分通過させていただくであろうことを予想いたしまして、特に開発銀行あるいは農中等に事前に、こういうものについては政府の施策として打出すのであるから、できる限りの考慮を払つてもらうということで、二度、三度足を運んでおりましたが、その後ああいうことになりまして延び延びになつておりましたので、今度これがいよいよ通過という見通しも立ちましたので、引続いて今度は具体的にこれを推し進めて行くという気持でおります。これはわれわれとしても、従来業者に対する言質も相当ありますので、背水の陣をしいてやるつもりでおります。
  32. 赤路友藏

    赤路委員 重ねて御要望を申し上げておきます。二十八年度におきまするところの開発銀行関係融資対象事業の業種の第四項目に、南支那海を漁場とする大型底びき網漁船の建造というのがあるわけなのです。すでにこれは計画化されておるのですが、この面には以西底びきの今度の転換の分は載せられていないのでありますから、従つて少くともこのわくの中へ入るものなら入る。入れられないならば別途に特例による項目として、これを融資対象に組み込むことを御努力願いたいと思います。これで私の質問は終ります。
  33. 田口長治郎

    田口委員長 委員長から渡部官房長に申入れをしておきます。昭和二十八年度農林漁業資金設定わくの問題につきましては、各委員からの御意見がいろいろありましたが、きわめて重大と考えますから、水産庁とよく御協議の上、なるべく早く当委員会が納得できるような案を御提出願いたいと思います。  この際お諮りいたします。宇都宮徳馬君より委員外発言を求められております。これを許可するに異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 田口長治郎

    田口委員長 異議なしと認めます。よつて同君の発言を許可いたします。宇都宮徳馬君。
  35. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 特に発言を許されましたことについて、委員長ほか皆さんに感謝いたします。私がこれから申しますことは、前国会の水産委員会においてお取上げを願つた、例の大森ののりの不作対策の問題であります。皆さんに来ていただきましてあの不作の実況をよく見ていただいたのでございますが、その後実を申しますと十分な対策が進行しておりません。種付資金といたしまして約三千七百五十万円、これが東京都の信用保証協会の保証を得まして、ようやく出るような運びになつているような次第であります。しかしながら御承知通り、特に東京湾北海区のものは深刻でありまして、一応多少できたところもございますけれども、専業ののり業者で一割に満たないような収穫をもつて、苦境に苦しんでおる者が大部分であります。それゆえにもしも何らかの対策を立てませんと、食える食えないよりも、この次のしび立てなどの資金が全然枯渇しており属して、東京湾北海区の有名な浅草のりの生産地ののり業というものは、壊滅に瀕するというような状態でございます。前委員会におきましてここにおられる水産庁次長は、これに対して何らかの救助の策を考える、こういうふうにおつしやつたのでございますけれども水産庁としてはなお十分な施策をせられておらぬようでございます。これについて質問いたします。また今後とも当水産委員会、特に水産委員会におきまして、この問題を検討していただきたい、これもついでにお願いをいたします。
  36. 岡井正男

    岡井政府委員 東京湾ののりの非常な災害に対する対策について、水産庁としてどんな手を打つたかというお話でございます。われわれといたしましてもいろいろ内部で検討を重ねたのでございますが、遺憾ながらある一定の地区のこの種の災害に対する助成というような方法もとりがたいので、結局は金融関係にしわ寄せする一手ではあるまいか、かように考えまして、機中の方ともよく連絡したのでありますが、農中といたしましても、東京都の方からただいま御指摘になつた三千七百万円をお出しになるというふうなことでございましたので、さしあたり当面の対策としてはそれでいいのではないか。爾余の運転資金というようなものでお困りではあるまいかというような点で、なお残された問題といたしまして、東京都ともよく連絡いたしまして、金融の面できる限りわれわれも、東京都とともに関係金融機関と折衝を重ねたい、かように思つております。
  37. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 ただいま水声庁次長のお話でございますが、三千七百五十万円というのは千葉の方に種付に行く資金でありまして、しび立てとかそういう施設資金、これが全然今のところ見込みがないのであります。先ほどからいろいろお話かございました農業方面の霜害につきましては、至急対策を立てられて五億円程度の金が出たのであります。しかもその桑の霜害は急速に回復しておるという状態であるにもかかわらず、この水産ののりなんかは農業に類似しておつて、非常に業者の再生産上の困難も深刻であります。従つて再生産をする設備資金だけは、ぜひとも何らかの方法で金融的措置について、水産庁の異常なる御努力をお願いしておきます。
  38. 岡井正男

    岡井政府委員 ただいまお答え申し上げましたのは、当面の問題としての対策でございますが、恒久対策といたしまして、万一将来、東京湾ののりが一般のような事態を引起す場合の救済策として、きめ手はございませんので、われわれとしては、農業災害があると同じようなケースに当つてはまるようなもの、要するにのりであるとか、かきであるとかというように、客観的に見ましてもこれの査定その他に、あまり無理なく見られるというようなものをひとつ取上げて、せめてこれからでも漁業災害保険というような制度、こういうものをやりたい。こういう気持で現在漁船保険録あるいは漁船保険中央会、こういうものに、なるべく早い時期に資料を集めて研究せよ、こういうことに進めておりますので、多少時間はかかりますが、われわれとしては無点を持つて進めたいと考えております。
  39. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 緊急対策といたしまして、しび立て資金が非常に不足しておるというようなわけで、東京ののり事業が壊滅に瀕しておるわけでありますから、金額等の計算もございますけれども、このしび立て資金の不足につきましては、水産庁当局におきましては、特に今後御配慮、御努力を願いたいと存じます。それについて水産庁の御意見を伺いたいと思います。
  40. 岡井正男

    岡井政府委員 今ここで必ずこのくらいの金額なら手配ができましようというような形のお答えはいたしかねますが、せいぜいやれるところまで、最善を尽してやつてみると申し上げるよりしようがないかと思います。
  41. 田口長治郎

    田口委員長 宇都宮徳馬君に申し上げます。のりの営業資金につきましては、非常に重大問題でありますから、当委員会といたしましても、金融委員会においてこれを研究することに小委員長と相談をしておりますから、御了承願います。  川村善八郎君から発言を求められております。これを許します。川村善八郎君。
  42. 川村善八郎

    ○川村委員 私はこの際、水産貿易に関しまして動議を提出いたしましたいと思います。  すなわち水産貿易は非常に不振でありますので、これを救済しない限りは、日本の魚価を維持することもできませんし、さらに漁業の安定もできませんので、今期国会中にぜひとも本水産委員会におきまして、水産物輸出振興促進法を立法いたしまして、先ほど申し上げました魚価維持、漁業経営の安定、さらに外貨獲得に資したい、かように考える次第であります。御承知通り、日本の漁業は戦争によつて大きく災いをされまして、戦前の四分の一以下に減退いたしたのでございまするが、終戦後今日まで漁民のたゆまざる努力と、官民一致の協力によりまして、どうやら戦前に近い水準まで上昇したのであります。しかしながら今後残されておる問題は、今日も問題になつたように資源の保持の問題等各般のなすべきことがございますが、この問題と併行いたしまして、水産貿易の振興をはかり、水産物価格の安定と漁業経営の安定をはかることが最も急務であると考えておるのであります。聞くところによりますと、一部の水産業者は、自己本位の水産物貿易振興法案を国会議員の一部に取上げさせ、そうして今着々その歩を進めておるということでありますけれども、かようなことでなく、戦前戦後を通じて貿易されております水産物で、特に日本の漁業としてどうしても貿易の振興をはからなければならぬもの上、あるいは相手国が望んでおる水産物を対象といたしまして、輸出振興決を制定したいというのが私の考えであります。かような意味におきまして、ぜひ今度の国会で水産物の輸出振興促進法を制定したいと考えますので、どうか委員長から各位にお諮りを願いまして、御賛成を得たいと思います。もちろん法案の内容とか、あるいは法案の名前につきましては、あえて私が申し上げた水産物の輸出振興促進法というような名前でなくても、とにかく水産物の輸出振興をはかつて、魚価の維持と漁業の経営安定、さらに外貨獲得をするという目的を達成すればいいわけでありますから、どうか委員の各位におかれても御納得くださいまして、御賛成あらんことを特にこの際お願いするものであります。
  43. 田口長治郎

    田口委員長 お諮りいたします。ただいま川村善八郎君より、今国会中に水産物輸出振興法を制定いたしたいという動議を提出されておるのでございます。この動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 田口長治郎

    田口委員長 異議なしと認め、本水産委員会におきまして、今国会中に水産物輸出振興法を制定するごとに決定いたします。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつて御通知申し上げます。     午後零時五十六分散会