○松田(鐵)
委員 まずこの農林特融の
性質でありますが、当時ドツジ・ラインによ
つて日本の経済というものがまことにきゆうくつなことにな
つて、農民、漁民の当時の経済を救済するのには、どうしてもドツジ・ラインを打破しなければならないという廣川農林大臣の強い意向によ
つてこの法律ができ、農民、漁民に対するあたかも慈雨のごとき性格を持つた
金融政策であります。しこうしてその政策か実現されて、昨年よりも本年と年々増大された。しこうしてまず第一に、現内閣は町のために百三十一億のこの前の
予算が内定をされておるのに、一億を減じなければならないかというところに、与党諸君の政治力が足らなかつたということを指摘したい。
さて次に、ただいま
鈴木委員から、
水産の
わくというものが寡少過ぎるじやないかという御議論かあり、これは数字においてはつきりと現われておるものであります。しかして
官房長の先ほどの御
答弁からみると、昨年は
水産に対しての、事後に起きた大きな
需要によ
つて、
補正予算によ
つて組まれた
わくの中から、相当大幅の
わくを
水産に与えたという御
答弁であります。さて今年における三百三十億のこの
わくが、全体において足らないということは、農林省全体が
予算を
決定する今年の一月において、三百億以上を獲得しなければ、とうてい所期の目的が達せられないという強い要望によ
つて努力をされたものであり腐す。その目的を達しなかつたならば、今の
鈴木委員の議論された議論に対しても、これは満足することができないものになる。二百三十億、四十億の中から、パーセンテージからい
つて十三億というものが足らないという議論も、ないものを与えなければならないということは、わわわれはいずこも同じ議論があることだろうと思うのであります。これに対して、どのような方法によ
つてこれを獲得するかという手段を構じなければならない。結局消極的な意見よりも、積極的にこの
予算わくを拡げるということが、第一の先決問題であらねばならぬ。しかしまだ七月の
暫定予算を組み、また八月の
暫定予算も組まなければならないような現在の政治の行き方では、それも不可能であろうと思うのであります。この特融によ
つて利益を得たものは農民、漁民であり、そのほかに大きな利益を得たものは農林中金であります、この点は
官房長においてよくおわかりのことと思う。今日本の
金融業界において、きようも不渡り、明日も不渡りという、経済界のまつたく混乱しておるときにおいて、自己
資金を二百三十億も三百億も持
つておるというものは、ひとり農林中金あるのみ。この自己
資金を持
つておるという農林中金は、どこからその自己
資金が入つたかということに対して、監督官である
官房長は、よく御調査されなければならない問題だと思うのであります。私は端的に申し上げるならば、農林特融によ
つて資金ベースに乗らなければならないという、また二割を
金融業者が
責任を負担をしなければならないという一つの法律の
趣旨からい
つて、それを運用いたしまして、また善用したのかもしれぬが、ほとんど零細な
農業協同組合から旧債を整理しておる。この現実の姿は、
官房長においてもよくおわかりのことと思う。またただいま
鈴木委員から言われた、もはや本年のの
わくがなくな
つておるというような、あとは貸出しできぬというような一片の書類によ
つて、なお業者に対して弾圧を加えて、そしてはなはだしいものは、三十回、四十回と中金に来ておる。しかも中金の本店はまことに紳士的に指導するが、地方の中金の支所というものは、無尽会社や銀行の支店長の
金融業者の今日の横暴はその姿、それをまねなければ、
金融業者の面子にかかわるがごとき思想をも
つて、彼らは官吏の一番悪いところと、銀行、
金融業者の一番悪いところを、そのままやらなければならないという思想が今日現われておるので、どこの中金の支所においても、本店の重役たちの
考え方とはまつたく異
なつた方向をと
つておることは、幾多の事例をも
つて私は立証できる。今ここにも
資料は持
つておる。しかし国会において一一そんなことを論議して、いらないことを言う必要もないが、よくこの点を
官房長はお
考えにな
つて、そうして監督をされると同時に、中金の自己
資金に対して、明
年度の
予算をとる必要もあることでありましよう、実に農林特融はもう農民、漁民の救済になるものであり、経済の確立になるものであるという御議論から、自己
資金を大幅に出させて、先ほどの
鈴木委員の満足するようにおとりはからいを願いたいと思うのでありますが、この点に対する御意見はどうか。
もう一つ、
林業における
個人に対する
融資という問題、この問題は、まことに私は当を得たものと思う。こうした当を得た、日本のはげ山にならんとする山に対しての、
林道をつけるとか、植樹をするとかいう問題、これを大幅にやることが、すなわちこの特融を出す最もりつぱな手段だと
考えておる。しかして
鈴木委員の言われるごとく、代船建造、または船をつくるということに対して、今
水産庁においては
漁船損害補償法をつくり、満期の保険法をそれに入れんとして、
漁船の建造及び
水産施策に対する最も時宜に適した法律を出さんとしておる。さてその
資金はいずこから出て来るか五里霧中である。その五里霧中なるところに議論をして行くというと、これは
融資保証法によ
つて資金をまかなうのだという
課長の意見である、さて
融資保証法七のものが、そんならば
個人々々に貸し得るようにな
つておるかというならば、それは全然
個人々々には出せない。設備
資金に対してはできない。大蔵省の銀行局長の
水産庁長官に対する通牒からい
つても、
個人に対しては一年間の銀行の手形によ
つて、大蔵省が九割までその手形を再割引するという通牒にな
つておるが、わずかにこれは一年間の問題である。
漁船を建造する場合において、一年間で手形を割引して、そうしてそれを払うなどという漁業は、今や日本の国ではありません。しからば満期保険のあの法律を出さんとする場合においても、五年間にな
つておる。
開発銀行の
制度であ
つても五年である。こういうものに対しては、特融によ
つて出し得ない場合においては、中金の自己
資金を出すように
努力されること、また特融によ
つても十五年年賦ということにな
つておるが、この特融は、十五年でなくてもいい。八年であろうと五年であろうと、満期保険法によるこういうような
制度の
金融の仕方をも
官房長はお
考えにな
つて行つたならば、ただいまの
鈴木委員の御議論に対しても満足を与え得ることだと私は思うのであります。この点に対する官居長の御意見を承
つておきたいと存じます。