○田中(稔)
委員 どうも、今の御
答弁は、われわれ
国民代表、
国会に対する
考え方がきわめて不十分であり、
国会を軽視するものだと思うのであります。
この財政上の問題と関連しまして、今度は副
総理にお伺いしたいと思います。
災害の
根本対策にかかわる問題でありますが、戦争及び戦後のいろいろの
事情で、日本の国土が非常に荒廃しておる。それが今度の
災害の根本原因でもあ
つたのでありますが、まず、われわれは、この荒廃した国土の復旧をやらなければいけない、さらに続いて積極的に国土の
開発をやらなければいけない、こう
考えておるのであります。
政府においても、もちろんこれは異存がないと思いますが、しかし、これは口ではたやすく言えますが、なかなか実行は容易じやない。これには非常に大きな政治力を必要とする。結局、日本の政治の方向をどう定めるかということに基くと私は
考えるのであります。ところで、
政府は今日、保安庁の経費その他いわゆる防衛費と称するものに二千億の
予算を計上しておる。それでも足りないから、アメリカからMSAの援助を受けて、さらに日本の防衛力を増強しようとされておる。MSAの援助を受けましても、受ければ受けるだけ、また日本の
政府の防衛費も
従つて増大することは、イギリスその他外国の例に見ても明らかであります。こういうふうになりますと、日本の貧弱な財政において、防衛費
——私
ども、率直にこれを再軍備費だと申しおりますが、その占める比重がだんだん大きくな
つて行く、こうなりますと、国土の復旧や国土の
開発に要する費用に、必ずや圧迫を与えることになるのであります。これは二者択一であります、そこで、国土の
開発が大事か、国土の防衛が大事か、この問題を
考えました場合には、私
どもは、今日は国土の
開発が大事だ、全国の渓谷に多目的ダムがたくさん建設される、河川の根本的な改修が行われる、道路網が全国的に整備される、こういうふうになりますと、日本の産業も発展し、
国民生活も安定する。こうなりましたならば、やはり日本人が、この日本こそわれわれの守るに直する祖国であるという愛国心を抱くようになりますので、これがやはり国土防衛の上においても非常に重要な要因になるのであります。だから、国土
開発こそ実は最上の国土防衛であると言えるのでありますが、どうも、
政府のや
つておられるところは、そうじやない。聞くところによりますと、二十三年以来今日まで、
災害復旧費で国庫が支出しなければならぬ金額で、まだ交付されていないものが一千億を越えると言われます。今年の
災害復旧費も、先ほど
井手委員の計算によりますと、まず国庫の負担分は九百億を下らぬ、こういう
状態であります、ところが、今の大蔵省の
政府委員の説明では、財政上々々々と言われて、もう初めからこれは絶対にそういう方面には金の出ないような口調で言われておりますが、年々出しております二千億の防衛費を全部削減してこれにまわしますならば、過
年度の
災害復旧費の国庫負担分の未払分は一挙にしてなくなり、今年の
災害復旧費の国庫負担分は十分まかなえる。だから、私は、こういう大きな国の政治の動向については副
総理に
お尋ねするのが筋だと思いますから、ほかの大臣でなく、特に副
総理にお伺いするのでありますが、御
承知のごとく、アメリカにおきましては、TVAの
開発をやり、あるいはその他方々にいろいろな国土
開発をや
つております。ソ連、中国におきましては、自然改造計画をや
つております。ことにお隣りの中国のごときは、昔から水を治める者は国を治めるということを申しておりますので、揚子江の治水計画や淮河の治水計画に非常新
政府は努力いたしまして、実績の見るべきものがあるのであります。こういう際に、日本が、はたしてあるかないかわからぬところのいわゆる侵略、その侵略というのは、おそらくはソ連あるいは中共を仮想敵国としての侵略だと思うのでありますが、そういうものに備えて二千億の金を出しておる。さらにまた、MSAの援助まで受け、それでも足りぬから防衛費をだんだん増加して行くということになりますならば、毎年々々必ず来るにきま
つておる
災害に対する備えができないのであります。
災害の復旧ができない。だんだんそれが堆積して行く。そうなりますと、もう国土の復興どころでなく、国土の荒廃がさらに広が
つて、後にはもう収拾がつかなくなる。今日日本において平和を愛する政治家があるならば、はたしてあるかどうかわからぬ侵略を
——私
どもは絶対にソ連及び中共からの侵略はないと確信するものでありますけれ
ども、ただアメリカのしり馬に乗
つて、アメリカのために日本の国土を犠牲として、アメリカの安全を守るというために、こういう厖大な再軍備費、防衛費を計上するということが、はたして日本のためになるかどうか。日本の安全を守るゆえんであるかどうか。この点につきまして、ひとつ副
総理のお
考えを伺いたいと思うのであります。