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1953-08-10 第16回国会 衆議院 水害地緊急対策特別委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月十日(月曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 村上  勇君    理事 生田 宏一君 理事 綱島 正興君    理事 滝井 義高君 理事 稲富 稜人君       江藤 夏雄君    大久保武雄君       熊谷 憲一君    田渕 光一君       武田信之助君    仲川房次郎君       坊  秀男君    松野 頼三君       山本 友一君    岡部 得三君       舘林三喜男君    本名  武君       吉田  安君    井手 以誠君       田中 稔男君    辻原 弘市君       芳賀  貢君    原   茂君       八木 一男君    伊瀬幸太郎君       池田 禎治君    木下  郁君       小平  忠君    辻  文雄君       松前 重義君    世耕 弘一君       中村 英男君  出席国務大臣         国 務 大 臣 緒方 竹虎君  出席政府委員         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室統轄         参事官)    久田 富治君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (理財局次長) 酒井 俊彦君  委員外出席者         衆議院法制局長 西沢哲四郎君     ————————————— 八月八日  委員今村忠助君及び林信雄辞任につき、その  補欠として徳安實藏君及び武田信之助君が議長  の指名委員に選任された。 同月十日  委員赤澤正道辞任につき、その補欠として田  中久雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  水害地対策に関する件     —————————————
  2. 村上勇

    村上委員長 これより会議を開きます。  水害地対策に関して議事を進めます。政府に対し質疑の通告がありますから、順次これを許します。松前重義君。
  3. 松前重義

    松前委員 副総理がおいでになりますので、簡単にお尋ねをいたします。今次水害緊急対策の大綱は、大体において今日までのところ議員立法として国会通過を見たのでありますが、その事には、従来の災害に対する補助金あるいはその他の救済措置につきしまして、相当に思い切つた態度をもつて臨むようになつておるのであります。全額国庫負担というような問題も、至るところに法案の内容に盛られておるのでありまして、政府といたされましては、これらの予算措置の前提としての財源の問題、この問題が重要な問題であろうと思うのであります。どのような財源にこの災害復旧費を求めんとしておられるのであるか、そうしてまたどのような形式をもつて国会に提出しようとしておられるのであるか、これらの問題につきまして、政府の御見解をお伺いしたいと思うのであります。
  4. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 今回の災害に対しまする特別措置に関しまして、先般来二十数法案でありますか、そういうものが両院を通過いたしまして、政府の計算では、財政負担の増加が百七十七億くらいになるものと見ておりますが、ただいまのところ、もつぱらその財源について研究中でございます。ここで申し上げるまでに至つておりませんが、今度の災害特殊性にかんがみまして、政府といたしましても、できるだけのことをしなければならぬし、また、その間に現在緊急的な措置もまだいろいろ残つておるようでありますから、そのつなぎ融資といたしましても、できるだけの緊急措置をやつて参りたい、かように考えておりますが、ただいま御質問の、どういう財源によろうとしておるかということは、大蔵大臣あるいは大蔵事務当局出席を求めていただけば、今政府研究しておる程度のことはお答えができはしないかと考えます。
  5. 松前重義

    松前委員 政府のその後の御努力については感謝いたしますが、いずれにいたしましても、この緊急措置は非常に急を要するものであり、ことに、九月ともなりますれば、いわゆる二百十日、二百二十日の台風期に入つて参りますので、この緊急措置が遅々として進まなかつたということによつて、再びまた災害を繰返すおそれがあるのであります。これらに対しまして、早急に具体的な復旧計画のもとに、来るベき災害の原因に対処して行かなければならない、このように考えるのでございます。こういう意味からいたしましても、罹災民の立場からいたしましても、早く政府根本方針を示されまして、そうして罹災民安心感を与える、これが今日の一番重要な問題であると思われます。聞くところによりますると、罹災地における状況は、当初の間は災害に対する闘いに勇躍いたしておつたようでありまするが、最近になつて、ようやく民心がおのれに返りまして、そうして異常な、好ましからざる現象が方々に起つており、治安の問題に関係をいたしておるような事柄が至るところに頻発しておるような状況であります。一日も早く政府対策を樹立されまして、そうしてこの罹災地安心感を与える必要があるということを痛切に感ずるのでございまするが、政府におかせられましては、これらの具体案国民に問うために、早急に臨時国会を開かれる必要があると思うのであります。この臨時国会を早急に開くことによりまして、先ほど来申し上げました国民信頼感を深め、治安の点におきましても、あるいはまたその他の、生活の安定に対して国民安心感を与える、こういう意味におきましても、非常に大きな影響を及ぼすものであると思うのでありまするが、政府臨時国会をいつごろお開きになるつもりであるか、その辺の御予定についてお伺いしたいと思うのであります。
  6. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 今回の災害にかんがみまして、治山治水あるいは洪水災害予防に関しまして、根本的、恒久的な対策研究いたさなければならぬと考えておりまして、実は、私も、本部長として、一応災害地を一巡だけでもして参りたいと思つておりましたが、国会の延長のために出発が遅れておるのであります。国会も本日で閉会になりまするので、数日中に出発いたしまして、各災害地を一巡いたして、その上で治山治水対策協議会というようなものを設けまして、これは関係閣僚と、それから技術方面権威者——あまり多くない数の方がよくないかと考えるのでありますが、それによりまして、緊急に対策を講じまして、そうして、もう、長い評定をしておるよりも、実行にかからなければならぬときでありますので、予算等につきましても検討いたしまして——この緊急措置だけを見ましても、災害対策予備費でどこまでまかなえるか、それ以上のものにつきましては財源を要しまするし、かりにこの災害の問題と離れましても、先般予算通過の際の米価の問題に関連いたしまして財源を要しまするので、臨時国会は何としても開かなければならぬという見通しを持つておりまするが、まだ、今申し上げたようなわけで、見通しはつきり持つておりませんので、いつ開くということは、まだ閣議ではつきりきめておりません。今の米の補正予算の点から考えましても、臨時国会を開くことは十月中くらいには避け得ないであろう、かように考えております。
  7. 松前重義

    松前委員 治山治水の根本的な対策を早急に樹立するということは、まことにけつこうな話でございまするが、ただ、この対策を樹立する場合におきまして、現在までわが国に制度として存在しておりますものは、国土総合開発審議会であります。この国土総合開発審議会なるものは、少くとも、資源の開発と、このような災害その他の目標を加味して、そうして総合的にこれを開発するという意図のもとにつくられ、現在存在しておるものでございます。閣僚その他でもつて特別な治山治水専門委員会のようなものをおつくりになるというようなお話でございましたが、従来ありまするこの国土総合開発審議会なるものを経済審議庁の一隅に置かないで、これそのものを大幅に改造されまして、これを活用されるということが一つの方法であると思うのでありまするが、これに対してどのような御意見をお持ちであるか、伺いたいと思います。  第二の点は、臨時国会を十月中にお開きになるというようなお答えでございましたけれども、これは、災害の現実に当面しておりまする者にとりましては、十月ではおそ過ぎる、実際の復興に間に合わないというようなきらいがあることは申すまでもありません。どうしても九月中に開いて、そうして予算決定いたしまして、早急に流してやらなければ、さらでだに台風の期も近づいておるときでありますので、再びまた災害を起すおそれが多分に存在しておるのでありまして、政府におきまして、もう少し早くお開きになつていただきたい。これはおそらく国民全体の希望であるかと思うのでありますが、その点に関しまして、もう一度御答弁お願い申し上げたいと思うのであります。  繰返しますが、まず第一は、災害対策治山治水の根本問題を考えますときには、国土総合開発審議会を、死んだものにしないで、これを大幅に改造なり強化いたしまして、これを利用されることが最も適当ではないか、これが一つであります。第二には、国民要望は、九月中くらいには予算決定してもらいたいということであり、もし十月などという先々のことを発表されたとなりますると、この要望は必ずほうはいとして現地より起るものであり、私どもまた早急に臨時国会の開催を要望するものでございますが、これに対して副総理の御意見を承りたい。
  8. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 お答えいたします。治山治水の恒久的な根本対策を立てますにあたりまして、国土総合開発とあわせて考えなければならぬことは、ただいまお話のありました通りでありまして、政府といたしましても、この対策の中に、国土総合開発の今までの経験を盛り込む意思でございます。その審議会経審から内閣の方に移すことがいいかどうかという点につきましては、さらに研究をいたします。  それから、臨時国会の時期でありますが、これは別に十月ときめておるわけではございません。ただ、いろいろな準備に、九月で問に合うかどうかという懸念を持つておりますが、その点もさらによく検討いたします。
  9. 松前重義

    松前委員 今まで、災害に関する特別立法の途上におきまして、各省事務当局は、非常な不平、不満、抵抗があつたのであります。非常に暑いときでありますけれども、どうかこれらの事務当局を叱咤激励されまして、もしも事務当局事務的な手続のために遅れるといたしますならば、暑いときでありましようが、罹災民の非常に困惑した現状にかんがみまして、早急に九月中にぜひとも臨時国会を開いていただいて、罹災地方民をして安堵の胸をなでおろさせるような決定を早くして、彼らに知らしめなければならない、このように私どもは思うのであります。この問題は、できるならばこの委員会で決議しようというようなことに相なつておりましたけれども、一応副総理の御出席を見て、お尋をして後にしたいというようなことに相なつておるのでありまして、臨時国会は九月中にお開きにならんことを要望いたしまして私の質問を終る次第であります。
  10. 井手以誠

    井手委員 ただいま松前委員から要望された臨時国会召集について、重ねて副総理の所信を承りたいと思うのであります。副総理は、臨時特例によつて百七十七億円が増加される見込みであるという根拠に立つて、御答弁なさつておるようであります。従つて、平年度予定された予備費百億円をもつてとりあえずまかなえるのじやないかという先入性があるようでございます。ところが本委員会におきまして、数日前から関係各省の係官を呼びまして、詳細な調査をいたしましたところ、その集計されましたものは、現行法によりますと五百三十九億、特例法によりますと八百四十億に上るのでありまして、その差額は三百億を越えるのであります。さらに排土事業を広範囲にやるといたしますれば、あるいはまた地すべり対策を広範囲に行うといたしますならば、さらに増大する見込みであります。従つて、ただいまも松前委員から指摘されましたように、台風の来る前に、ある程度のこれに耐え得る復旧工事を行うには、百億そこそこの金をもつてはとうていなし得ないのであります。本年度復旧事業費は、かりにそれが三割にいたしましても、三百億円以上に上る。そういう観点に立ちますならば、どうしても早急に臨時国会を開かなくては、あの緊急事態に対処することはできないのであります。九月中という要望がございましたが、九月中旬は、今から起算いたしまして、召集手続としては十分その余裕があるのでありますから、おそくとも私どもは九月中旬までには臨時国会を開いて、この臨時特例に対する予算の裏づけをいたさなければならぬと思うのであります。かかる見地から、あらためて副総理の御所見を承りたいと思います。
  11. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 災害あと緊急措置、また今後の災害に対する対策、根本的な治山治水等にこの際全力を傾けなければならぬことは、今お話がありました通り、十分承知いたしておりますが、臨時国会をいつ開くかということにつきましては、もう少し準備をした上でないと、はつきりしたことは申し上げかねますが、ただいまのところは、先ほど申し上げたようなところでございます。
  12. 井手以誠

    井手委員 今ただちに何日に開くという言明をいただくことは困難かと思いますので、その点は追究いたしませんが、少くともこれだけの厖大な復旧工事費がいる、またそれが非常に急がれるということを十分御考慮なさつて、早急に召集されるように御努力あらんことを特にお願い申し上げる次第であります。準備その他事務的なことについては、そう心配はいらない。ただ、あの災害に対する政府の熱意さえあれば、臨時国会召集できると考えるのでありまして特に副総理の善処をお願いいたす次第でございます。  次にお尋ねいたしたいのは、つなぎ資金のことでございます。地方から相当額融資要望されておりますことは、副総理もすでに御存じのことであろうと思うのであります。本委員会におきましては、さきに三十億のつなぎ融資決定したあとにおいて、さらにとりあえず五十億を融資すべしという決議をいたしたのでございますが、その後決定された金額はわずかに十億程度でございます。このつなぎ資金がはたして地方末端に浸透しておるかどうかということについては、はなはだ疑問といたすところでありまして、その点についてお尋ねを申し上げたいと存ずる次第でございます。私、先月二十五日に九州に参りまして、この辺の事情を調査いたしましたところ、災害直後に決定された二十億のつなぎ資金が、二十五日ごろまでには市町村に対して一文の配付も決定していない、こういう事実が判明いたしますとともに、その隘路は財務局の手続の煩瑣にあることが判明いたしたのでございます。従つて委員会におきまして、大蔵政務次官に対し、早急につなぎ融資配分されることを要望いたしましたところ、特別のくふう研究をするという言明があるとともに、七月二十八日中には九州の各県市町村配分が終る見込みであるというお話を承つたのであります。ところが、ごく最近の地方からの情報によりますと、いまなお七月初め決定したあの二十億のつなぎ融資が、市町村に現金が行きわたつていないという事実が判明いたしておるのであります、これでは、せつかくつなぎ融資も役に立たないのであります。重病人カンフル注射効果を現わし得ないのであります。こういう煩瑣な事務手続によつてつなぎ資金配分できないこの事実を、副総理は御承知であるか、また、御承知であるならば、これに対していかなる手を打たれたのであるか、この点をお尋ね申し上げたいと思うのであります。
  13. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 ただいまお話になつたよう事情を、私も中央におつてしばしば承つたのでございます。つなぎ融資をすでに三十億出したところ、なお現地においてはほとんど罹災者の方にわたつていない、八千方くらいしかわたつていない、——八千万という数字がかなり長い間耳に入りましたので、先般行政管理庁から人を出して詳細に調べてみました。きようここに書類を持つて参りませんが、もし御必要でありましたら、取寄せまするが、その行政管理庁から私のところに来ている報告では、その後非常に事務がはかどつて、一、二の除外例はありますが、そのほかは大体、足りる足りぬは別として、今までの分は行きわたつたという報告を受けておるのであります。それにしましても、初めの間に、むしろふしぎと思われるように、つなぎ融資罹災者の方にわたつていなかつた事実は、政府としても認めております。
  14. 井手以誠

    井手委員 今のお話によりますと、最初の二十億は大体配分終つたというお話のようでありますが、さらに、その後行われたつなぎ融資十億、その次の十億、そういつたものについては、まだ決定していないようであります。私は、済んだことを繰返して多くは申しません。この際特に、副総理は、融資決定したならば、ただちに最小限度の期間において市町村末端まで浸透できるような特別のくふうをお願いしたい。配分数字がきまつたならば、ただちに小切手でも渡すというような簡単な行き方で、特別の措置をひとつ御研究くださいますようにお願いを申し上げる次第でございます。  そこで、私は、お尋ねいたしますが、この前台風の被害の復旧工事相当大規模に行われ、特に農村工事においては、流れ込んだ土砂を排除して田植えしたものに対して、水を引くために井堰の工事をしなくちやならぬという状態から、農村においては相当復旧工事が進んでおるのであります。そういうことから考えますと、ここ一、二箇月間の復旧工事というものは相当多額に上ることが予想されるのであります。今まで決定しました二十八年度災害予備費百億円、その中の二十数億円はすでに使われておることと思うのでありますし、また、これだけ全部を使い切るというわけには参りませんし、いろいろ考えますると、あの予備費をもつてまかない得るものは大体五十億程度ではないかとも考えられるのであります。とうてい足りない予備費であります。そこで、臨時国会召集される間の緊急な事態に対処するために、今後相当額融資をなされる御用意があるかどうか。この点はきわめて重要だと考えまするので、特に慎重に御答弁をいただきたいと思うのであります。
  15. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 その点につきましては、先般大野現地本部長が帰つて参りました以後、非常に資金に窮しておる事情がわかりましたので、ただいま大蔵大臣との間に折衝いたしております。
  16. 井手以誠

    井手委員 中央本部長において地方の実情がわかつたことは非常に喜ばしいことであります。地方要望はきわめて切なるものがありまするし、また本委員会も強くこれを要望しておるのでありまするから、特につなぎ融資については万全の策を期せられるように、特に要望いたす次第でございます。  次にお尋ねいたしたいことは、このたびの大水害は、不幸にして、北九州に続き、中国あるいは南紀、長野、北海道に及んでおるのでございまするが、政府は、この特別立法による特別の措置を、どの地域に適用されようとお考えになつておるか。たとえば、つなぎ融資においても、大体その見当はつくのでございまするし、先般の公務員の給料繰上げ支給においても、その片鱗が現われたのでありまするけれども、この特別措置をどういう地域にどういうふうに適用されるお考えであるのか、この点をお尋ねいたしたいと思うであります。
  17. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 大体災害救助法の発動されました地方に漏れなく支給するつもりでありますが、なお、北海道方面のことにつきましては、私ここで十分お答えするだけの準備を持つておりませんので、事務当局の方からお答えいたさせます。
  18. 井手以誠

    井手委員 重ねてお伺いいたしますが、災害救助法を適用されたところを大体適用地域考えるというふうに解釈してさしつかえありませんか。
  19. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 大体そういうつもりであります。
  20. 井手以誠

    井手委員 次にお尋ねをいたします。今日までの災害復旧は、三、五、二の割合で三箇年で完成するならわしになつておるようでございますが、最近国家の財政事情から、かなりこれが遅れておるようでございます。従つて従来のようなやり方でやりますならば、あの緊急事態に対しまして工事が長引いて完成が遅れますれば、その効果が非常に減殺されるのであります。できるならば、この三箇年の予定も繰上げてやるのが必要ではないかとも考えられるのであります。これは建設、農林その他各省にまたがる問題でありますので、副総理は、今度の災害復旧については、どういう年次計画をもつて復旧なさる御予定であるか、その点をお尋ね申し上げたい。
  21. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 まだ、その点につきまして、はつきり確定はいたしておりませんが、しかし、治山治水対策協議会を開きました場合に、意見をまとめたいと思つております。
  22. 井手以誠

    井手委員 先刻来治山治水協議会ということを常に申されております。なるほど治山治水ということは最も重要なことでありまして、取上げることはわれわれも賛意を表するのでございますが、これは相当総合的に研究を要する重要なる問題であります。今度の北九州あるいはその後の水害緊急対策とは関連はありますけれども、一応切り離されて工事を行うのが正しいことだと思うのであります。すべてを治山治水協議会にまかせるという態度には、必ずしも私ども賛意を表しがたいのであります。協議会協議をまつてという態度でなくして政府自身がいかなるお考えであるかということについて、私はお尋ねをいたしておるのであります。その意味お答え願いたいと思います。
  23. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 また、政府は、三、五、二でございますが、それを変更するという最後の決定には行つておりません。
  24. 井手以誠

    井手委員 省によりましては、六、四でやりたい、早く完成しなくてはあとがこわいということで、本年四割あるいは五割をやりたいと言つており、また地方からは六割もやつてもらいたいという要望がございます。もちろん、工事の実際問題といたしまして、簡単に完了が本年度中にできるとは考えませんけれども、そういうことは、とれを繰上げてやる必要があるのであります。そこで、この年次計画においても十分その点を御留意くださるようにお願いをいたしまして、いろいろお尋ねしたいことはおりまするが、あとにも質問予定者がありますので、一心この辺で私の質問を終りたいと思います。
  25. 熊谷憲一

    熊谷委員 重複した点もありますから、簡単に御質問申し上げます。…第一点は、水害対策委員会で二十三の法律ができたわけでありますが、相当現行法に比較いたしまして費用はよけいかかることになりますし、また政府の現在の財政状態から見ましても、いろいろ心配な点がありまするが、この二十三の法律に対しまして、政府におかれまして極力これが予算化をはかつていただけるかどうか、その点を私どもは非常に心配をしておるのであります。法律はつくつたものの、これが予算化が非常に困難であり、非常に少額でありましては、何ともいたし方ないのでありまして、全体的に、この法律の取扱いについて政府がいかなる決意を持つておられるかという点を、第一に聞きたいと思います。
  26. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 財源の点につきまして、政府といたしまして非常に苦慮いたして、おるのでありまするが、今回の災害がほとんど前例のない特殊のものでありまするし、議員立法で議院を御通過なつ法律でもありますので、できるだけのことをしたいと考えております。
  27. 熊谷憲一

    熊谷委員 ただいままでの質疑応答を承つておりますと、議会の開会がまだはつきりはしてないけれども、十月中であるというように承つたのでありますが、二十三の法律を通覧してみますと、各法律にも、予算の範囲内にとか、あるいは予算の定むるところによりという言葉があるのであります。従いまして、国会予算審議が済まない以上は、せつかく法律はできましても、実際は動かないという状態になつておるのであります。私どもといたしましては、できるだけ早急に議会を開いていただきたいということを考えておるのであります。それまでの対策といたしまして、前質問者が申し上げたのでありますが、つなぎ資金を十分に考えていただきたいと思うのであります。農村にいたしましても、各方面において一日も早く復旧いたしたい。それには、どうしても金というものが問題になつて来るのであります。水害直後におきましては、せつかく政府が預託された金も動いていなかつたのであります。その後、日本銀行なり大蔵省の調査を見てみますと、大分動いて来たようにも考えるのでありますが、できるだけ、法律ができ、予算化ができるまでは、つなぎ資金を豊富にひとつ供給していただきまして、またそれが今までのように複雑なる手続によらずして、あらかじめ法律通り予算ができ上つた後のことを見通していただきまして、豊富にかつ迅速にこのつなぎ資金が下にまわるようにお願いを申し上げたいのでありますが、この点につきまして副総理の御所見を承りたいと存じます。
  28. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 御指摘のように、現在の災害対策予備費だけではまかないきれませんし、次の臨時国会の開かれるまでの間、緊急措置をとる上に資金を必要とすることはよくわかつておりますので、つなぎ資金をさらに出すために、今大蔵大臣せつかく折衝いたしております。できるだけのことをいたしたいと考えます。
  29. 熊谷憲一

    熊谷委員 災害復旧の事業は、御承知のように、今三年計画でやつて行くのでありますが、仕事によりましては、私は一年くらいでやつていただかねばならぬものもあるのじやないかと考えます。といいますのは、農家で、堤防が切れましたために非常に土砂が入つておる。農家としては、何とかして、来年からでもまきつけができるように復興したいと考えておるのでありまして、せいぜい努力しておるわけでありますが、そういうところにおきましては、三年計画といわずして、できるならば一年ででも計画していただきまして、すみやかにこの生産の増加ができるような御配慮も必要であろうかと考えます。そういう点につきましてお考えをいただきたいと思うのでありますが、副総理のお考えを承りたいと思います。
  30. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 この復興には財源の問題もあろうかと考えますが、いずれにいたしましても、相手は天災でありまして、今年手をつけたあとに、また明年、今年同様の災害がないとも限りませんので、事情の許す限り、計画にとらわれず、できるだけ早くやつて参りたい、こういうふうに考えます。
  31. 吉田安

    ○吉田(安)委員 水害対策に関しまして、各委員諸君からいろいろ主訴えをし、質疑を申し上げておりますが、今日になりますと、委員お尋ねし、お願いしたいと思いますことは、大体において大同小異であります。重ねてまたさようなことを申すかというお気持もあるかもしれませんが、念のために一、二お尋ねをいたしておきたいと思います。  議員が立法いたします。それを受けて、政府予算措置をなさる。そういう関係でありますから、議員の立場と政府の立場と、おのおの違いがあります。ことに、議員それぞれ被害地に密接な関係を持つておりますから、その被害地の実際の状況その他選挙区の関係を率直に申し上げております。それで、勢い、何とかして少しでも罹災民のために救済を急ぎたい、金額もできるだけひとつ都合ができるようにやつてやりたい、こういう気持になりまして、立法を急ぎますことは、けだしこれは当然であります。そこに私は、政府委員会との間に何がしかのギャップがありはしないかと考えます。その一点といたしまして、去る七月三十一日には、いよいよ大体の見通しがつきますと、政府は、特に小笠原大蔵大臣は各党をおまわりになつたということを聞きます。現に改進党の私の党にもその相談を持ち込まれまして、そうしたことで、今いろいろ議員立法をしつつあるが、さようなのがたくさん出ては、何しろ執行の方の責任者としては耐え得られない、それであるから、この点はひとつこうしてもらいたい。その点はこれで行きたいというようなことで、十数項目をあげた書類を持つて来て、考え直してくれという御相談を直接党は受けております。それを聞きました私どもとしましては、いまさらそういうことを言われても困るではないか、これはもう議員が三十有余日をかけて、日曜日もつぶしてここまでたどりついた案だから、いまさら党としても大蔵大臣の申し出に同調するようなことがあつては困るということで、やかましく言つて、時期すでにおそしということで、つつぱねたような事実もあるのであります。そういう点から考えますと、議員の焦慮する気持と政府御当局の気持との間に、やはり何がしかのギヤツプがありまして、隔靴掻痒の感を私どもは抱くのであります。それが結局、予算の裏づけをどうするか、早くひとつ臨時国会を開いてくれという、議員こもごも立つて御相談するところでありますが、いかがでございましようか。副総理に直接お尋ねをいたしまする点は、やはりこの非常災害に対しては、われわれと同一な気持になつて、それに善処するという政府自身のそのお気持がなくては、罹災民は救われないという感じがいたしますが、はなはだ揣摩臆測のようなことになるかもしれませんで、恐縮はいたしまするが、議員諸君のようなお気持で政府がこれを取上げていただくという真剣なお気持があるかどうか、はなはだ僭越でありまするが、副総理お尋ねをいたしておきたいと思うのであります。
  32. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 政府といたしましても、申し上げるまでもなく、むろん真風な気持でおるのでございます。ただ、今御指摘になりました大蔵大臣または大蔵当局の気持も、私、想像がつくのでございます。大蔵省は国民の血税をお預かりしておるところでございますので、大蔵省としてはできるだけ慎重に金を使いたいという気持がまずもつて浮んで来るであろうということは、想像がつくのでありますから、議員立法の方におきましても、災害対策について御心配になると同時に、国全体のことについても、むろんお考えになつての上でのことであると思うのであります。従いまして、すでにこの法案が両院を通過いたしました以上、国の事情が許す限り、できるだけのことをいたしたいと考えておるというのが、今の政府の立場でございます。
  33. 吉田安

    ○吉田(安)委員 けだし御答弁通りな御心境であろうと存じます。また、そうあつてもらいませんと、たいへんなことだと考えます。  次に、臨時国会の点でありまするが、例年臨時国会補正予算関係で開かれますのも、大体十月の半ばから末にかけて行われておるように、私ども存じておるのであります。そういたしますと、今私が申し上げましたように、異常の際でありますから、議員諸君が異常の決意で法案を成立させましたならば、それの裏づけをする予算措置に対する臨時国会も、やはり異常の態度で、なるべく早く、昼夜兼行をもちましてでも、事務当局を御鞭撻くださいまして、十月の半ばごろになるだろうというお言葉でございまするが、それよりも早く臨時国会を開かれてこそ、初めて、異常立法に対する異常なる予算措置が行われるものであつて政府国会も二者一体となつて、異常災害に対する善処方の決意が現われるものだ、かように私は存じます。そういうことになりましたときに、罹災民はほんとうに心から政府を信頼し、——ややもすると、最近の国会の模様を見て、議会否認の声も起りはせぬかと思うような体たらくを繰返しております今日、今のように、政府国会も真剣に立ち上つたという気持が現われ、これが罹災各府県にわかりますると、政府に対する信頼、国家に対する信頼もどれだけ増して来るか、はかり知るべからざるものがあると存ずるのであります。くどいようでありますけれども臨時国会召集の点につきましては、これに対する御答弁は私は要求いたしませんが、どうぞ、副総理におかれましては、内外最も大事なときでありますので、この次の国会はなるべく至急に召集できますよう、くれぐれ場もお願いをいたしておきます。  次に、副総理は来る十六日かに九州にお入りになつて、各災害地を御視察くださるということを聞いております。残暑の折から、長い間の国会を善処されまして、その上さらに暑い九州入りをしてくださり、通行不便になつておるところをおまわりくださることに対し、心から感謝いたしますが、その御日程が、今副総理におわかりになつておるでありましようか。おわかりになつておりましたならば、お示しを願えれば幸いだと思います。
  34. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 今、日程をこしらえております。前の日程は、初めの予定にさらに奈良県を加えるなどいたしまして、きゆうくつになりましたので、前の日程よりは少し余裕を持つてやりたいと思つております。
  35. 吉田安

    ○吉田(安)委員 私の県のことを申し上げまして、副総理に対しても、他の委員各位に対しても、どうかとは考えますが、一等初めの副総理の御日程では、熊本県の災害地の一、二箇所は御視察くださることということを聞いておりました。従つて、地元熊本では、知事を初め皆の者が非常に喜び、お待ちしておりました。ところが、その後二回目にやや模様がかわりまして、熊本はただ素通りだということになつたようであります。それで、知事も非常に心配いたしまして、われわれ議員に長文の電報をよこしまして、九州第一の損害であると言われておる熊本を、せつかく総理九州視察をなさるのに、ただ汽車で御通過なさるというだけでは、地元の罹災民は非常に心もとなく思うであろう、自分もまた非常に心もとないから、せめて阿蘇の災害地の一、二箇所だけでもいいから、御視察くださるように頼んでくれと言つてつております。これは直接副総理にお会いして申し上げるべきことかとも思いましたが、機会がありませんでしたので、今日この機会に申し上げた次第であります。できますことならば、ぜひとも熊本に車をとどめていただきたいと思います。ことに、熊本は、七月十七日、十八日に、南部の方にまた三十億を越す大水害を招来いたしております。熊本のへたちの心持は、まつたくてんやわんやの気持でありますので、副総理の御日程の中にぜひ熊本をお入れくださいますようお願いいたしたいのでありますが、副総理の心持をお尋ねいたしておきます。
  36. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 私も、桜井知事から直接電報をもらいまして、今お話のような予定を組み入れて参りたいと考えております。
  37. 吉田安

    ○吉田(安)委員 それでは、どうぞ、さように日数も足らないことでありますけれども、ぜひ一箇所でも御視察くださるようにお願いいたしまして、これで打切ります。
  38. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は、今時風水害災害に対しまして、きわめて基本的な重要な問題について若干緒方総理に伺いたいと思います。  今次の風水害に対しましては、政府は全力をあげていろいろ御努力せられておるのでありますが、われわれ国会におきましても、最善の措置として、議員立法によりますところの各種法案が衆参両院の通過を見たというような段階にあるのでありますが、問題は、これらの復旧、あるいは今後災害をいかにして未然に防ぐかということにあろうかと思うのであります。私は、本日のこの委員会で、前者の質問に対しましての緒方総理の御答弁をいろいろ承つておるのでありますが、具体的な問題は、次の臨時国会において予算補正をなす際に現わしていただこうと思いますが、その召集の時期であるとかいつた問題については、目下準備中であつてはつきり答えができない、こうおつしやられたわけであります。その事情もよくわかります。しかし、今回の風水害に対しまして、政府は、とりあえず、いわゆる臨時融資、あるいはつなぎ融資等の方法によつて、緊急な措置は講じておりますが、具体的に災害復旧なり、あるいは災害を未然に防止するための予算について現在政府当局が考え、また準備をされておる範囲でけつこうでありますから、二十八年度災害復旧のための予算に対しまして、今次の災害によつてさらにどの程度補正される計画で現在進んでおるのか、その点をまずお伺い申したいと思います。
  39. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 大分不準備のことを申し上げますが、きようは大蔵当局が一緒だと思つて、大蔵当局からそういう方面のことはお答えさせるつもりで参りましたので、その方からお答え申し上げたいと思います。
  40. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいま副総理は、大蔵当局から説明させるということですが、私も大蔵大臣出席を要求いたしてありますから、その際に承ることにいたしたいと思います。  次に、今回の災害は非常に厖大なものでありまして、及ぼす影響は非常に甚大であることは、いまさら申し上げるまでもありません。ここで私が非常に懸念いたしますことは、わが国が地理的関係上、毎年々々定期台風の襲来を受けるという実態をよく考えてみますると、その定期台風の時期がまた目前にぶら下つておるのであります。この定期台風に対しまして、終戦後の数次にわたる大災害あるいは本年度災害、これらを考えまして、政府は、来るべき九月の二百十日のおそらく襲い来るであろう定期台風に対しまして、いかなる対策をお持ちになつているか。すなわち、今次の災害において何千人というとうとい生命を失い、あるいは農作物、あるいは公共施設その他も甚大なる被害を受けておるのでありますが、特にとうとい人命を失つた点につきましては、事前にこれらを察知する方法、あるいはもし察知し得なくても、これに対する対策の万全を期するならば、このとうとい人命を甚大に失うということも最小限に食いとめることができるのではなかろうかというように考えるのであります。特に、定期台風につきましては、大体事前にわかるのでして、中央気象台におきましても、今日のすぐれたる科学によつて事前に察知し得るというようなことを考えてみますると、私は、この来るべき定期台風あるいはそういつた災害に対しまして万全の策を講じておくことが、まことに重要な問題であろうと思うのでありますが、政府は、来るべき定期災害というようなものに対しまして、いかなる構想、準備がございますか、その基本的な線でけつこうでございますから、お伺いいたしたいと思うのであります。
  41. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 二号台風のときの経験等からかんがみまして、気象の観測が非常に重大でありますので、そういう点については十分研究を進めさせておりまするが、いわゆる天災の大体の時期はほぼきまつております。それから、今まで幾たびか経験を重ねておるのでありますが、これは、各地方におきまして、その起つた場合にできるだけの緊急措置をとり得る心構えをしておく以外に、方法がないのでございます。気象観測等につきましては、今後も十分に考えをいたして参りたいと思つております。
  42. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は、ただいまの御答弁で非常に納得し得ない点があるわけであります。と申しますのは、私があえてお尋ねいたしましたのは、私は過去の災害の甚大なる被害の実情にかんがみまして、当然万全の策はあろうかと考えております。事前の対策が完璧を期し得るならば、いかに人力をもつてして防ぎ得ない天災地変にいたしましても、やはりある程度は防ぐごとができる。これは決して過言ではないと思うのであります。よく戦時中に臨戦態勢とか非常態勢とかというものが講ぜられておつたが、平時におきましても、こういつた天災地変から来るところの災害の防備態勢をとるということが必要であろうと思う。ですから、政府当局にお願いいたしたいことは、台風あるいは水害に対してかくかくの態勢を整えろ、つまり堤防の決壊に対してはこういう態勢、あるいはダムの決壊に対してはこういう態勢を講じろ、衛生的にはこうしろというように、万般の施策があろうかと思うのであります。ところが、今までの災害に対しましてとられる政府の施策なり態度というものは、もうやられてしまつてから、あわてふためくのが実情であります。こういうことでは、ほんとうに最小限度にとどめることはできないのではなかろうかと思うのであります。特に、私は、今次の北九州あるいは西日本一帯を襲いました風水害、あるいは南紀地方水害に対しまして、決壊いたしておりまする堤防、あるいはその他の破損されておりますものが、何ら復旧されないままに、すぐ九月定期台風を受けたならば、また従来以上の大被害をこうむるのではなかろうかというふうに懸念するのであります。そういう点から、どうぞひとつ、この問題に対しましては、とうとい国の資源、あるいはとうとい人命でありますから、政府はほんとうに全力をあげて事前の対策の完璧を期せられるよう、切にお願いをいたしたいのであります。  次に、私は、この機会に緒方総理に若干、いわゆる北海道水害についてお伺いをいたしておきたいと思うのであります。北海道は、従来定期的な台風は毎年それまして、ここ近年は大きな風水害はなかつたのであります。ところが、七月に入りまして、一次、二次、三次にわたりまする水害は最近まれな大水害でありまして、農耕地に対しましては八万五千町歩という厖大なもの、その被害総額も、八月三日で北海道庁が中央と協力して調査しましたものが、六十五億に上るという厖大なものでありますが、さらに、今のところは、この被害総額が、決してそれを下まわるものではなくて、七十億になるか八十億になるか、きようの情報では八十億を突破するという話でありますが、この数字を出すには、あるいはこれに対する対策を講ずるためには、的確な数字を把握した上でなければならぬということから、まだ発表してないということでありますが、こうした大きな災害に対しまして、もちろん、私は、北九州なり南紀の水害以上とは申し上げませんが、これに匹敵するような大水害を受けている点に対しまして、政府現地の調査、あるいは応急の対策、あるいは応急の資金融資等、これらの問題に関しましてどういうような処置を講ぜられ、また措置を講ずるお考えであるか、この際承つておきたいと思います。
  43. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 事情をよく調査いたしまして、できるだけのことはいたします。
  44. 小平忠

    ○小平(忠)委員 次の質問者もおりますから、あと重要な点一、二点で終りたいと思いますが、関係閣僚が見えておりますれば、私はさらに重要な点を掘り下げてお伺いしたい。特に、ただいまの副総理の御答弁は、きのうのきようならばよろしいでございましようが、すでに災害が発生しましてから十日もたつております。しかるに、十分事情を調査した上でということは、私は、少くとも政府の御答弁としては理解に苦しむのであります。どうか御誠意のある御答弁をいただきたい。  特に、私は、この機会に一言申し上げたいことは、北海道水害について今度は特異な問題が起きております。と申しますのは、石狩川の流域の氾濫、これは、あの一時的に来た七月三十一日の第三次の分でありますが、あの豪雨というものがもちろん一つの大きな原因でありますけれども、もう一つの大きな原因は、雨龍ダム——この雨龍ダムは、人造湖としてはおそらく日本一でありますが、この大きな雨龍ダムが決壊する、あぶないということから、あの一番の満水時期に、三千五百から四千六百個の厖大な水を放水いたしたのであります。ですから、普通でさえ石狩川が氾濫しようというところへ、この雨龍ダムの放水をやつたのでありますから、たまりません。従いまして、このダムの放水によつて、石狩川の水がさらに倍加するというところから、今まで決壊したことがない堤防が決壊し、今まで水についたところのない地帯がつくという大惨事でありまして、ことに、農作物だけでなく、公共事業の被害は甚大であります。これに対しましては、これは天然災害ではなくて人工災害だということも言われておりますが、これはもちろん緒方総理の耳に入つておろうかと思うのでありますが、これに対しまして、この放水は規定通りやられたのか、あるいはそうでないのか、そういつた事情について、もし政府当局が調査をされておるのでありますれば、この機会にお聞かせいただきたいと思います。
  45. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 建設省の方に報告があつたかもしれませんが、災害対策本部の方にはまだその情報は入つておりません。
  46. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それでは、いずれ災害対策本部の方にそういつた詳しい事情報告して参ろうと思いますから、その際は、これは将来のためにもきわめて重要な問題でありますから、ぜひひとつ、実情調査の上で、自今そのようなことのないように——毎秒四千六百個という水の放水、これは実に厖大なものなんです。ですから、これに対しまして、今、その直接地元の関係町村長や道会議員各位が大挙して、この受けた被害に対しましてどうしてくれるかということで上京して来ておるのでありますが、これに対しましても、今後再びそういうことがないように、完璧の処置をされたいと思うのであります。  以上、私は、きわめて重要な案件について申し上げましたが、次の質問者もありますので、大蔵大臣並びに農林大臣、建設大臣への質問に対しましては留保いたしまして、これをもつて私の質問を終ります。
  47. 田渕光一

    ○田渕委員 私は、他の方の質問もありましようから、率直に伺いまするが、ただいま小平君から、災害を経過してから十日というようなお話がありましたが、それは北海道でありまして、すでに当委員会が成立いたしましたのは、六月三十日であります。もはや今日で四十日になるのでありまするが、最も災害地に影響をしておりまするものは、大蔵当局の従来の頭の切りかえであります。これは、大蔵大臣が来ましたら後刻やりまするが、吉田内閣の副総理として、大蔵当局に頭の切りかえということを強く要望願いたいのであります。同僚吉田安委員からもお話がありました通り議員立法政府予算、これは対立するものであります。すでに昨年の五月ごろでありましたが、当時の野田建設大臣が、いくら議員が立法しても、予算的裏づけというものは大蔵省が押えておるのだ、だから議員があまりそうめちやちやに立法するということは考えものだというようなことを言いまして、わが党の、代議士会で私は徹底的にこの官僚思想をたたいた。だんだん調べてみれば、野田建設大臣もこれは大蔵畑だ、こういうわけで、大蔵省というのは、どうも、副総理も御存じでありましようが、金を押えておるという優越感を持つておるのであります。そこで、政府委員会との対立、もう一つつて参りますと、各省事務当局と大蔵当局との対立、今度は各省と各県との対立、結局各県の地元からわれわれのところにやつて来る。そして、結局委員会と大蔵と、こういう書くまわりをしておるのであります。御承知通り、六月三十日に当委員会が成立いたしまして、はや四十日、今日をもつて会期が終れば、われわれ特別委員会としては、災害地の視察並びにこれら災害地の見舞報告等をいたさなければなりませんが、ただ困つておりますのは、つなぎ資金の相かわらず判取り主義、責任のがれのこの大蔵当局のやり方というものが割切れないのであります。どうか、ひとつ、副総理におかれては、閣議を通じて、大蔵大臣ではありません、大蔵省の官僚どもの頭の切りかえをやつて、従来の、じつとしてまわりくどい手続をしておれば、これらが局長になり、どんどんと成功して行くというような官僚根性をたたき直していただく、こういう線をやつていただくことを私はお願いするのであります。(拍手)十七日には陛下が大野現地対策本部長を葉山の御用邸にお呼びになりまして、非常に御軫念憂慮されておるということが、十八日の記録にあるのであります。私は、不幸にいたしまして、この和歌山県の災害その他のために二十九日まで留守にいたしておりまして、二十九日から参画いたしましたが、六月三十日から二十七日までの委員会の記録をつぶさに数回調べてみましたが、いまだ割切れないものが多々ある。結局、これをためして行くと、大蔵省の官僚の責任のがれ、これらに基因しておるところが多いのであります。私は、この点をひとつ強く副総理要望しておきますが、わが党の政策、わが政府決定したものに従わぬ官僚は片つぱしからやつつけてしまうというようなぐあいに、閣議でお願いしたいのであります。(拍手)七月末日に、吉田君の質問でありましたか、つまり、行政管理庁をして調査せしめるというのですが、かつて戦時中に、生産力が増強しているかしていないかというわけで、行政査察使というものを置いて、当時国務大臣をしてやらしておるのでありますが、今回は、現地中央対策本部長として、大野国務大臣並びに副総理の両閣僚が、つまりわが党の、この吉田政府の最も強いお方が二人入つておられるのであるから、四十日もするうちには、もう少しうまく行かなければならぬ。つまり、わが政府の、要するに吉田政府の政策というものが、政府の力というものが、もう少し現地に徹底し、全うされなければならぬのに、二十日たつても、三十日たつても、村役場や地元には三百万円ぐらいしか渡つて行かぬ。結局事務手続が煩瑣なんであります。同時に、大蔵省のやつが優越感を持つている。何でもわれわれの判がなければいかぬのだというので、たとえば、建設省は現地に建設省の係官を派遣し、ブルドーザーならブルドーザーで仕事を始めておる、農林省は食糧庁をつれて食糧の手配をしておる、厚生省は厚生省で薬品その他の手配をやつている、赤十字は赤十字で現地へ行つておるが、行かないのは金である。つなぎ資金が行かないのが、結局そこに来ておるのでありますから、結局私は強くそれを要望します。同時に、この大水害つなぎ資金というものに対しては、行政管理庁のような、まあ言うては失礼だが、大した力のきかぬ、圧力のきかぬものよりも、国務大臣をして査察使のようなものをつくつて、そうして一時も早く次の台風までにやる御意思があるかどうか、こういうような点をひとつ伺いたいのであります。
  48. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 今大蔵当局に対していろいろ御批判がありましたが、これは、また考えようによれば、大蔵省のへがあまりイエス・マンになつてしまつて、何でもかんでもへのきげんばかりとるようになられても困るのではないかと思いまするし、大蔵省の大臣初め、この災害対策の仕事に当つておる人の心境はよく想像がつくのです。今までのところ、いろいろ御批判もありまするけれども、大体つなぎ融資につきましても、現地の模様等をにらみ合せまして、そう非常な不都合はできていないのじやないかと考えるのであります。最近、大野本部長が帰つて来まして、現地事情を聞きましたので、先ほど申し上げたことを繰返すようなことになりまするけれどもつなぎ融資がさらに必要であるということにつきまして、今大蔵省と折衝いたしております。私が視察に出るまでには、むろん解決がつくだろうと考えております。  それから、今お話の査察でございますが、これは戦争中の行政査察使というものとは違いまして、つなぎ融資等が実際に災害を受けた人に届いておるかどうかという、比較的簡単なことでありますので、そういう程度のことであれば、今の行政管理庁で十分ではないか、さように考えております。
  49. 田渕光一

    ○田渕委員 もう一点だけ。副総理現地に御視察においでになりますから、御視察と同時に、査察のような意味で、大野現地対策本部長とも御協議の上で、たとえば福岡財務局、近畿地区におきましては大阪財務局の局長等から、どういうぐあいになつておるかということはもちろんお調べでありましようけれども中央では大蔵省に活を入れていただき、地方では財務局にうんと活を入れて、従来の判取り主義、形式主義、官僚主義というものを徹底的にたたいていただくことを要望しておきます。それで参りませんと、現地の村長、町長というものは、今日、日共の工作班の活動によりましてもう地方の自治的な事務が浮き上つておるのであります。こういうような点に対しまして、一応保安隊の道路の復旧隊は引揚げておりますが、工作隊というような意味において、側面から金をやると同時に、この保安隊の演習というようなもので、実際においては昔のいわゆる工兵隊でありましようが、こういうようなぐあいに工作班をひとつ重点的に災害地にまわして、人的資源の応援をしてやらぬと、つなぎ資金が参りましても、各地元民は罹災者でありますから、まとまつた団体行動あるいは機械的作業などというのは非常に遅れておるのであります。建設省の直轄河川でない限りは、各河川とも、いまだに俵に土を入れて運ぶというような幼稚なことをやつております。私は、この際、将来のあるかないかわからぬ災害のことも、もちろん同僚議員の尋ねたことと同意見でありますけれども、それよりも、とにかくこの際いるのは金と人と物であります。こういう点をひとつ率直に副総理に申し上げ、保安隊の工作班というものを相当お出しいただき、ことに物的方面の現地に対する援助をもう少し積極的にやつていただけるかどうか。この二点は御答弁がなくてもけつこうでありますが、現地に対して日共工作班が画策して、天災よりも今度は人災だと地方の新聞には出ておるのでありますが、かえつて地方の復興を妨げるような、つまり地方自治の根本を破壊するようなぐあいにやつておりますので、これらに対する国警その他の取締りもありましようが、一応地方民に安心感を与えるために、保安隊の工作班の機械力をもつて速急にこの復旧の実があがりますように、特にわれわれの強い要望をもつて、保安庁長官にもひとつ御相談願いたいのであります。  それから、われわれはこうやつて一生懸命やりまして、会期は本日で終り、私どもはまたただちに現地に出かけますが、結局一生懸命やつております政府委員会との努力の結果が、今申しましたような点で、親の心子知らずで、地方にわれわれが帰れば必ず攻撃を受ける。おそらく、この委員会に列した皆さんは、臨時国会はいつ、あるいは財源的なものはこうというような見通しもつかんで参りませんので、われわれとしても尋ねられると困るのであります。おそらく罹災民を納得させるところが十分でないと思いますので、各委員から要望いたしました臨時国会召集ということも、早急に閣議でおまとめになるようにお願いしておきます。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 同僚委員から大方の質問がなされましたので、重複を避けまして、数点簡潔にお伺いしてみたいと存じます。  その前に、先ほどの臨時国会召集の時期でございますが、副総理のおつしやるのには、十月中には開く予定だ、かように伺いましたが、各委員からも強く九月開会の要望がございました。私もまつたくこれと同感で、いやしくも今次水害などに対する緊急処置をしようとするときには、国会におきまして、当委員会が持たれたと同じく、緊急対策という精神を生かして行きますならば、ノーマルな国会運営の考え方ではなくて事務当局準備云々というよりは、まず予想し得る最も短かい期間に、たとえば九月に開くというピリオツドを先に打ちまして、しかる後にこれに合せての準備事務当局にさせる決意があつてこそ、緊急対策の精神がやはり臨時国会にも生きるものと私ども考えるわけでありますので、どこまでも終始一貫今次の大災害に対する救済という緊急対策を論ずるわれわれ国議員としての立場からも、臨時国会に対するお考えをさらに改めていただきまして、九月といいましても、できるならば八月でもけつこうでありますから、早急にこれらに対する予算措置を講じ、緊急な精神を生かした、時期の早い臨時国会召集を、重ねて冒頭に要望しておきます。  そこで、お伺いしたい第一点は、まずこの法案の制定後、救済され得る各地域が政令によつて指定されるわけでありますが、このときの心構えをお伺いいたしておきたいのであります。端的に申しますと、地域的に、あるいは水害の起きた時期的に、何か区別をつけてこの政令を施行されるかどうか、この点をまず最初にお伺いしておきたいのであります。
  51. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 ちよつと御質問の趣旨がよくわからぬのですが、災害の時期によつて差別をつけるというのですか。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 地域的に、時期的に、何か政令の指定に差別をつけるかどうか。
  53. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 差別をつけることは考えておりません。
  54. 原茂

    ○原(茂)委員 第二点としてお伺いしておきたいのは、この議員立法による二十三法案がここにできまして、水害地に対する緊急対策が一応その曙光を見出したわけでありますが、かつてのこういう種類の災害などの起きたとき、すなわち、関東大震災その他いろいろ想起するものがございます。ある意味では、国家的に、政府が中心になりまして、全国民的な救援運動というようなものを喚起いたしまして、その成果が救済にあたつて非常に効果のあつたことを記憶いたしておるわけでありますが、今回の水害に対する政府態度を見ておりますと、全国民に訴えて、全国民の力を良心的に動員しようという考え方、あるいはその実行の点においては、過去の大きな災害と比較しましてまだまだ非常にもの足りないものがたくさんに感ぜられるわけでありますが、今日のこのままの状態で今後も進めて行かれようとするのか、あるいは単に自治体のみにまかせずに、あるいは国会におけるかような審議だけにまかせずに、政府がもつと中心になりまして、一閣僚、二、三の閣僚現地視察だけでこの運動を推進するのではなくて国民的な規模においてこの災害に対する注意を喚起いたしまして、かつて災害において国民的な同情あるいは良心的な援助というものが相当効果を現わしたように、その程度効果を今次水害に対してもあらしめるよう卒先して推進する用意が今後あるのかどうか、この点を第二点としてお伺いしておきたい。
  55. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 具体的にまだお答えできませんが、今度の災害の経験にかんがみまして、そういう民間の運動のようなものも必要ではないかというように考えております。  それから、もう一つ、先ほど申し上げました地域的差別をつけないということは、ちよつと誤解を生ずるといけませんから、はつきりいたしておきますが、それは政令できめましてそのきめた土地によつて差別をつけないということでありまして、どこにあの措置を適用するかということは、政令によつて研究してきめまして、そのきめた後の扱いに差別をつけないということであります。
  56. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは、第一点の質問に逆もどりさせていただきますが、政令による指定をなされる段階において、地域的に、時期的に差別がつけられるかどうか、こういう質問を申し上げたところが、その点はまだわからない、政令できまつた後においては差別はつけないという御答弁でございました。これはもう当然であります。われわれの心配いたしておりますのは、全県的な被害を受けた、あるいは非常に局部的ではあるが深刻な被害を受けた県がある、こういつたような今日の現状とおきましてややもすると、事務当局などが、その災害を受けた地域的な範囲の広さ、あるいは九州、山口等のあのしよつぱなの一番衝動を受ける時期に災害の起きた地区に重点を置いて、これを政令により指定する危険を側々と実は感じております。私は、実は長野県でございますが、長野県における例なども、おそらくお手元にたくさんの陳情その他が参つておると思いますので、ここで重複は避けますけれども地域は狭くとも、あるいは広くとも、そういうことに関係なく、当時の大水害における災害をこうむつた県、あるいは局部的な郡に対しては、あまねくこの政令による指定をしようという精神、お考え政府にございませんとどうしても、私が前段申し上げましたような考え方で、事務当局の政令指定ということが行われる危険が感じられるわけでありますが、この点は、ぜひとも副総理から、はつきりと、われわれの心配している懸念のないような精神でこの政令の運用に当るという、確たる御答弁をもう一度ちようだいいたしたい、かように考えるわけであります。
  57. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 その点につきましては、国会の意思を十分に伺いまして、その上で検討いたします。
  58. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一度申しますが、これは質問でないわけでありますが、ただいまの御答弁の、国会の意思とおつしやいましたのは、当委員会の意思と私は解釈させていただきます。  なお、次にお伺いいたしたいのは、今罹災地における深刻な状況がわれわれの論議する対象になつておりますが、実は、重要な、人口密度の多い場所その他が罹災を受けましたために、その周辺に、それらの人々、地域を中心に生活している商工業者あるいはその他の業を営む者等のいる地域がたくさんにありますが、ここに非常に深刻な購買力の低下、その他の影響を今日与えております。おそらく水害とは全然関係のないような地域におきまして、この水害による商業不振その他の生活苦というものが、徐々に顕著に今日出始めておるわけであります。これらに対する対策というものは、この委員会においても特段に考慮されておりませんが、政府におかれては、全国民的な見地から、これらの地域の商業不振あるいは生活苦などの起きております問題を何らかの方法で救助しよう、考えようというお考えが当然おありになると存じますので、概括的でけつこうでありますが、これら、水害を受けた地域の周辺にあるために、直接でなくて今間接的に非常な被害をこうむつておるこの地域に対するあらゆる意味対策をどう今後おとりになるか、今どうお考えになつているかをお伺いいたしておきたいと思うわけであります。
  59. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 今お話のような間接の被害者に対しましても、たとえば政府指定預金等で融資の道が開いてあるはずでございます。私どもの聞いておるところでは、それで大体しのぎがついておるように聞いております。
  60. 原茂

    ○原(茂)委員 まだまだ副総理の調査あるいはお聞きになつている範囲は非常に疎漏でございまして、そんな事態ではないのであります。被害を受けた周辺にある都市あるいは町村がその影響を受けておることは、まつたく表現できないほど深刻なものがございまして、一箇月、二箇月とたてばたつほどに、これらの地域のへ々の生活苦というものはまつたく目に余るものが出て来るということは、すでに私どもには現地においてはつきりつかまれておりますので、この点に対する厳重な調査と御視察をあわせて行つていただきましてぜひともこれらの水害を直接受けていないところの間接的影響に対する対策を、政治の見地から当然立案されまして、早期にこれに対するお手当をお願い申し上げたいと考えます。  そこで、次にお伺いし、お願いしたいのは、関連いたしまして、たとえば、本国会では御存じのごとく中小企業金融公庫法案が成立しまして、予算措置も講ぜられたわけでありますが、前例に徴しましても、かかる金融措置を講じて、それで当初の立法精神が完全に生きて、この金融措置が行われているかといいますと、前例はけだしその通りになつていないわけであります。今回の中小企業金融公庫法案の運用にあたつても同じでありましておそらく、現に予想し得ることは、地方銀行がかつて取引先に対して長期の金融をいたしている、これの焦げつきを肩がわりさせることに、この資金の何割かの厖大な額を利用することが前例でもありますし、この中小企業金融公庫法案による予算費用というものも、おそらくその方面に過大に流れて行くだろうということは想像にかたくないと思います。いやしくも、かかる問題を、今までの通りに目をつぶり、あるいは耳をかさずにほうつておきますと、今度の水害地周辺における間接的な被害地域に対する金融その他の援助をしようという、その最も大きな柱である中小企業金融公庫法のごときこの法律の運用も、またあるいは旧套に流れて行くおそれがございますので、副総理におかれましては、各関係省を厳重に督励いたしまして、さようなことのないように、どこまでもあの法律のでき上つた精神を生かして、完全に法案の精神が運用されるような監督と督励とをお願いしたいと思いますが、この点に対する確約をひとつお願いしておきたいと思います。
  61. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 十分に注意をいたしたいと考えております。
  62. 原茂

    ○原(茂)委員 私は、同僚委員から質問されたことで大体尽きますので、最後に一点だけお伺いしたいのは、先ほど副総理の視察をされる御予定を伺いましたところが、九州、山口、その他に七県を加えたという御答弁があつたと思います。今次水害は、先ほどから申しますように、地域的な大小の差はありましても、まことに深刻な、いずれ劣らぬ被害が各県に頻発いたしているわけでありますから、いやしくも七つの県、八つの県だけを政府を代表して緒方総理が視察されるがごときことがありますと、あたかも日本の半分の政府であつて、日本全体の政府ではないというような印象を水害地の住民に与える危険が十分にありますし、公平な政治の立場から行きましても、予定関係もあるとは存じますが、やはり見るならば、今次災害救助法が発動されておりますような県は、全水害地にわたつて必ず御視察あらんことを、心から私はお願いしたと思いますが、この点、最後に一点御約束願えるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  63. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 十六日以降の予定は、西日本の方に予定いたしておりますが、その他の地方につきましては、その後に研究いたします。
  64. 本名武

    ○本名委員 私は、副総理にしごく簡単に二、三点お伺いしたいと思います。  この毎年繰返される水害に対しまして、国会におきましても、常にこの根本的な対策といたしまして、いろいろ論議がかわされております。私どもに言わせればまことに遅々ながらも、政府は常にここに思いをいたして諸般の施策を立てられたことに対しては、一応了解いたすものでございますが、今日の災害を見ましても、まことにわれわれは、容易になし得る国の施策を怠り欠陥、欠如があるために、大きな災害を見ておるという事実を指摘せざるを得ないのであります。いろいろここで例を申し上げてお聞きしたいのでございますが、時間もございませんので、一例を申し上げますと、まず、水害対策の基本的な考え方としては、治山治水の問題が取上げられております。その治山治水の問題のうち、まず第一に山に木を植えるということ、この国土を緑化するということ、森林を保育造成するということが強く取上げられておるのであります。しかしながら、今日国の森林を形成する半数以上は、民間が持つているいわゆる民有林でございます。この民有林に対する国の施策というものは、一方では、森林法その他によつて、山林所有者に伐採その他の制限を加えて法律による一つの義務を要請いたしております。それに反して、国家のこれに対する助成は、まことに寥々たるものでございます。このようにして、はたして森林の過半数を占めるところの民有林の育成ができるかどうかということが、非常に問題になるのであります。その一例を申し上げますれば、今日和歌山県の災害にいたしましても、その損害が約八百億円と言われております。数字はつきり記憶いたしませんが、もし、しかりとするなれば、民有林育成の観点に立つて、これを税制の面から考えますと、和歌山県下で、山林所得として税によつて吸い上げられるところの金額は、わずか二、三億であります。山林所得者は、この二、三億のうち、わずかの税金を軽減していただくことによつて、どんどん植林をし、あるいは育成して行く意欲に燃えております。しかるに、今日の国家の施策は、税の面において民有林の再生産に圧迫を加えております。わずか二、三億のうちの一、二割の税の低減をなさずして、その数十倍、数百倍の災害を繰返して、ここに何百億という国帑を支出しなければならぬというこの愚は、一日も早く改めなければならぬと考えるのであります。今日の森林を培養育成すること自体が、治山治水の最も大切な一つの基であるという考え方に立つて、今後政府はこの民間山林所有者の森林の培養育成に対して、もつと積極的な対策をとられる必要があろうと思いますが、その点について副総理のお考えを伺つておきたい。
  65. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 私、しろうとで、よくわからぬ点もありますが、ただいまの御意見を伺いまして、きわめて適切な御意見と思いますので、善処いたします。
  66. 本名武

    ○本名委員 なお森林の育成についていろいろな希望もございますが、今日はそれをお伺いすることを省きまして、次に、先ほども小平委員から御指摘がありましたが、北海道の今回の水害について、政府は早急に調査をして対処するというお話でございます。実は副総理もお聞き及びと存じますが、北海道水害は七月七日の降雨に始まりまして、その後三回にわたつて大雨量を伴う水害が発生いたしたのであります。先ほど来の御答弁を伺つておりますと、もちろん、西日本その他の水害が非常に大きなために、関心を一応そちらにお注ぎになつたことはやむを得ないと存じますが、北海道といえども、今日大十五億円の損害を見ております現状からして、ここに一箇月を経ました今日、これから御調査なさるということはまことに手ぬるいことのように考えられます。そこで私は、北海道災害に対しては、今日からでもやむを得ませんが、一日も早く政府は緊急の処置をとつて、特につなぎ資金のごときは一日も早く交付せられまして、北海道水害対策に対する手を打つていただきたい。申し上げるまでもなく、北海道は他の府県と異なりまして、基本的に、気候的にも非常にかわつたところでございます。これから一箇月もいたしますと、もう霜が来、そのうちには凍害あるいは寒気がはげしくなつて、叫び来年の四月まで対策がとり得ないような気候を目の前に控えております。もしこれが今日のごとく悠長な扱いをなさるとすれば、来年度北海道における食糧増産に支障を来すばかりでなく、北海道民の政府に対する非常な思わしくない感情もこの辺から起きはしないかという心配があります。従いまして、御調査はしかるべくその手を通じておやりになると存じますが、まず、つなぎ融資その他の対策に対して、北海道の第一次、第二次、第三次の三回にわたる災害を一括して、今回のこの対策の上に乗せられて御処置なさる御意思があるかどうかを承つてみたいと思います。
  67. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 先ほど申し上げました通り、いろいろな情報が建設省の方に参つておるのではないかと思いますが、災害本部の方に相談がありました場合には、できるだけのことをいたします。
  68. 本名武

    ○本名委員 御意思のほどはわかりましたが、どうぞ、速急に御調査なさるべく、御対策お願い申し上げます。  それから、ついでに、先ほどやはり小平委員がちよつと触れられたようでありますが、あの広汎な北海道におきましては、実は調査が非常な困難をきわめるだろうと想像されます。と申しますのは、申し上げるまでもなく、北海道の一村で内地の一県に相当するがごとき大きな村がたくさんございます。従いまして、その村のどこかに災害があつたとすれば、その調査には非常に困難を来します。と同時に、北海道台風が襲いますのは、ふしぎなことには、常に南の方から北へ上つて参りますと同時に、東の方で起きた台風も、北西を迂回いたしまして、南からさらに北へ本土に沿うて上るというようなことで、北海道台風襲来は常に遅れがちでございます。その上に持つて来て、災害が非常に広範囲にわたつておるという関係から、御調査の上に非常に不便を感ぜられると思いますが、北海道は今回の三次にわたる水害で、被害を受けのい支庁管轄はほとんど一つもなしと言つていいくらな広範囲な被害を受けております。従いまして、この法律の適用範囲は、どうしても北海道一円を該当地域に指定するのが妥当であろうと思います。いずれ政令によるところの地域の指定がなされると思いますが、北海道の特異性からして、副総理地域指定に対するお考えを承つておきたいと思います。
  69. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 立案者にお伺いしますが、この法律の中に含まつておるのですか。
  70. 本名武

    ○本名委員 この法律の中には含まつておりません。地域は政令によつて指定されることになつておりますが、一応、今申し上げたような理由から、北海道一円がその扱いを受けることが非常に都合がよいのではないかと考えられます。
  71. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 よく法案研究いたしまして、善処いたします。
  72. 本名武

    ○本名委員 それでは、一応私はこれで終ります。
  73. 松前重義

    松前委員 先ほど来の質疑応答の中に、同僚議員から、臨時国会のすみやかなる開会につきましての要求に政府はすみやかにこたえていただきたい、このような熾烈なる要望があつたのでございますが、先ほど来の臨時国会の開会を中心といたしまして、次のような意味委員会としての決議をいたしてはいかがかと存じまして、ここに動議を提出いたす次第であります。私案ですが、読み上げてみます。   国会は、今次水害救済及び復旧の重大性にかんがみ、ここに特別立法を成立せしめた。政府は、これが復旧に対する国民の待望にこたえるべく、可及的すみやかに臨時国会を開会し、民心の安定をはからんことを要望する。こういうものでありますが、委員の皆様方の御賛成を得ますならば、委員会の決議といたしたいと思う次第でありまして、ここにお諮りいたす次第であります。
  74. 井手以誠

    井手委員 きわめて適切な提案でございます。ただ、可及的すみやかに国会召集してもらいたいということでは、いささか物足りない点もあります。この点については、先刻来各派間に折衝を重ねてたものでございます。非常にけつこうな提案でございますので、この機会に懇談会に移つてもらつて研究されますように、とりはからいを願いたいと思います。
  75. 村上勇

    村上委員長 それでは、お諮りいたします。ただいまの決議の案文につきましては、字句の整理等は後ほど懇談会の結果にまつことといたしまして、ただいまの松前君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 村上勇

    村上委員長 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  次は、芳賀貢君。——芳賀君に申し上げます。非常に副総理は急いでおりますから、五分間ぐらいでお願いします。
  77. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は、災害対策本部長であり副総理である緒方さんに、その機会に二、三お伺いをしたいわけであり  第一点は、先ほど、同僚の原委員か。らの質疑に対して、今次の西日本を中心とする、六月、七月の二箇月の期間内における大水害に対しては、時期的、地域的な差別をもつてこれを処理する考えは毛頭ないということを表明されたので、私はその点を冒頭に確認しておきたいと思うのであります。  次に、副総理の先ほどからの御答弁を聞いておると、どうも北海道水害に対する御認識が、本部長の立場においても1北海道は御承知のように非常に遠隔の地であるから、そういう情報等も時間的に多分遅れておる点はわかるわけでありますが、この大水害に対する確認が少しずれておるようにも私は考えておるわけであります。ただ、私が申し上げたい点は、北海道一つの特異性、——承知のように、北海道は積雪寒冷地帯でありまして、今度の大水害によりましても、七月中に三次にわたつて水害が起きておるわけであります。最終の水害は、御承知のように七月三十一日から生じたのが一番大きな被害の内容を持つておるわけでありますが、そのうちでほとんど大部分、七割程度が農業関係災害であります。そういたしますと、北海道の農業というものは、一年に一度しか作物の収穫ができないのでありまして、被害地においては、ほとんど収穫皆無というような場合においては、一年間の努力に対する報酬というものはまつたくこれを放擲したような形になるのであります。それらの特殊な実情の中において、当然これに対する緊急灯策、救済等は、おのずからこのような特殊条件の上に立つて立案されてしかるべきであると私は考えているわけでありますが、特に北海道のああいう特殊な地域、あるいは国際情勢、いろいろな情勢の中においても特殊な意義を持つた北海道に起つた数十年来ないような水害に対して、もう少し緊急にこの内容を確認されて、今次の大水害の中において同時的に処理をするというようなお考えをお伺いしたい。
  78. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 北海道特殊性については、私も幾分承知をいたしております。今度の災害についての調査情報が、まだ私のところに十分なものが届いていないことは事実であります。それは、この法を動かされる上におきまして、議員の方でいろいろお考えがあろうと思いますので、その趣旨をよく承りまして、適切な方法を講じて参りたいと考えております。  それから、先ほどの御質問の、特別措置法の適用が時間的、地域的に差別かないということを確認するかというお話でありましたが、これは、私、先ほど原委員に対しての最初のお答えのときに、少し言葉が足りなかつたので、あとでそれを補足いたしましたが、その補足いたしました私の答えを尿委員が御確認くださつて、その答えの通り御解釈をしてもらえば間違いない。すなわち、この地域は、立案者の趣旨を伺つた上で政令によつてきめますが、そのきまつた地域に対しましての取扱い原則と申しますか、方針の上において差別はない、そういう意味のことを申し上げたつもりでおります。
  79. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点は、なお明確にしておきたいのであります。ただいま副総理の御答弁もありましたが、この法律によつて政府に委任された権限が非常に多いわけです。結局政令によつてその地域を定めるということになつているわけでありますが、この全国にもたる大水害に対する的確な財政的措置というものは、一面においては非常に困難を伴うと考えられるわけでありますが、その財政的、予算的な理由だけで、一部の地域が、当然この中に入らなければならぬのにもかかわらず、そういうような一つの配慮によつて削除されるようなことがおつてはならぬと、われわれは非常に憂えるものであります。特に、政令においてこれを定める場合においても、今副総理が言及されましたけれども、当然当委員会の意図を十分にくまれて、この地域の指定等もやられることであると思いますけれども、その点についてもさらに御表明を願いたいのであります。
  80. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 提案者の御趣旨を十分に伺つた上で、政府で政令を出すつもりであります。
  81. 村上勇

    村上委員長 田中稔君。田中君に申し上げますが、できるだけ短かくお願いいたします。
  82. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 副総理にお伺いします。立法措置も大事でありますが、予算措置がなお大事であるということは、すべての委員から発言がありました。そこで、政令によつてわれわれの方で立法いたしました特別措置法の適用の範囲、つまり地域が確定する。さらに、被害額の査定が当局によつて最終的に行われました上において、大体国庫負担額がどれくらいになるかということははつきりするのであります。それだけのものはどうしても予算に計上していただかなければならないのでありますが、先ほどから副総理お話を承つておりますと、できるだけ御趣旨に沿いたいというようなお言葉でありますが、私は、そういうなまぬるいことではちよつと困るのでありまして、ぜひひとつその必要額は予算に計上するという政府のお考えを承つておきたいと思います。
  83. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 予算に関することは、大蔵省の政府委員からお答えいたします。
  84. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 今回の災害の総合立法におきまして、どの程度の額になるかということでありますが、これは、土木工事その他につきましては、検査の結果をまたないとわからないわけで浸りますが、財政の許す限りにおいて、最大限度の努力をしなければならぬものと考えております。
  85. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 財政の許す限りとおつしやるが、話が逆じやないかと思う。われわれ国民の代表として、ここに特別措置法をつくつた。その法律に基いて国庫負担の額がきまる。それは、政令によつて地域の指定を行われ、被害額についても当局の査定が確定すれば、国庫負担額は自動的に決定するのでありますから、それだけのものはどうしても政府としては予算に計上する義務があると思いますが、大蔵省当局はどうお考えになりますか。
  86. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 これは、義務とかなんとかいう問題でなしに、政府といたしまして、これはもう、財政が絶対に許されないということになれば、これは何ともいたし方ないのでありますが、財政としては、ただいま申し上げましたように、この災害を復旧する、あるいは人心の安定をはかるために最大の努力をすべきであるということに尽きるのではないかと私は思います。
  87. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 どうも、今の御答弁は、われわれ国民代表、国会に対する考え方がきわめて不十分であり、国会を軽視するものだと思うのであります。  この財政上の問題と関連しまして、今度は副総理にお伺いしたいと思います。災害根本対策にかかわる問題でありますが、戦争及び戦後のいろいろの事情で、日本の国土が非常に荒廃しておる。それが今度の災害の根本原因でもあつたのでありますが、まず、われわれは、この荒廃した国土の復旧をやらなければいけない、さらに続いて積極的に国土の開発をやらなければいけない、こう考えておるのであります。政府においても、もちろんこれは異存がないと思いますが、しかし、これは口ではたやすく言えますが、なかなか実行は容易じやない。これには非常に大きな政治力を必要とする。結局、日本の政治の方向をどう定めるかということに基くと私は考えるのであります。ところで、政府は今日、保安庁の経費その他いわゆる防衛費と称するものに二千億の予算を計上しておる。それでも足りないから、アメリカからMSAの援助を受けて、さらに日本の防衛力を増強しようとされておる。MSAの援助を受けましても、受ければ受けるだけ、また日本の政府の防衛費も従つて増大することは、イギリスその他外国の例に見ても明らかであります。こういうふうになりますと、日本の貧弱な財政において、防衛費——ども、率直にこれを再軍備費だと申しおりますが、その占める比重がだんだん大きくなつて行く、こうなりますと、国土の復旧や国土の開発に要する費用に、必ずや圧迫を与えることになるのであります。これは二者択一であります、そこで、国土の開発が大事か、国土の防衛が大事か、この問題を考えました場合には、私どもは、今日は国土の開発が大事だ、全国の渓谷に多目的ダムがたくさん建設される、河川の根本的な改修が行われる、道路網が全国的に整備される、こういうふうになりますと、日本の産業も発展し、国民生活も安定する。こうなりましたならば、やはり日本人が、この日本こそわれわれの守るに直する祖国であるという愛国心を抱くようになりますので、これがやはり国土防衛の上においても非常に重要な要因になるのであります。だから、国土開発こそ実は最上の国土防衛であると言えるのでありますが、どうも、政府のやつておられるところは、そうじやない。聞くところによりますと、二十三年以来今日まで、災害復旧費で国庫が支出しなければならぬ金額で、まだ交付されていないものが一千億を越えると言われます。今年の災害復旧費も、先ほど井手委員の計算によりますと、まず国庫の負担分は九百億を下らぬ、こういう状態であります、ところが、今の大蔵省の政府委員の説明では、財政上々々々と言われて、もう初めからこれは絶対にそういう方面には金の出ないような口調で言われておりますが、年々出しております二千億の防衛費を全部削減してこれにまわしますならば、過年度災害復旧費の国庫負担分の未払分は一挙にしてなくなり、今年の災害復旧費の国庫負担分は十分まかなえる。だから、私は、こういう大きな国の政治の動向については副総理お尋ねするのが筋だと思いますから、ほかの大臣でなく、特に副総理にお伺いするのでありますが、御承知のごとく、アメリカにおきましては、TVAの開発をやり、あるいはその他方々にいろいろな国土開発をやつております。ソ連、中国におきましては、自然改造計画をやつております。ことにお隣りの中国のごときは、昔から水を治める者は国を治めるということを申しておりますので、揚子江の治水計画や淮河の治水計画に非常新政府は努力いたしまして、実績の見るべきものがあるのであります。こういう際に、日本が、はたしてあるかないかわからぬところのいわゆる侵略、その侵略というのは、おそらくはソ連あるいは中共を仮想敵国としての侵略だと思うのでありますが、そういうものに備えて二千億の金を出しておる。さらにまた、MSAの援助まで受け、それでも足りぬから防衛費をだんだん増加して行くということになりますならば、毎年々々必ず来るにきまつておる災害に対する備えができないのであります。災害の復旧ができない。だんだんそれが堆積して行く。そうなりますと、もう国土の復興どころでなく、国土の荒廃がさらに広がつて、後にはもう収拾がつかなくなる。今日日本において平和を愛する政治家があるならば、はたしてあるかどうかわからぬ侵略を——どもは絶対にソ連及び中共からの侵略はないと確信するものでありますけれども、ただアメリカのしり馬に乗つて、アメリカのために日本の国土を犠牲として、アメリカの安全を守るというために、こういう厖大な再軍備費、防衛費を計上するということが、はたして日本のためになるかどうか。日本の安全を守るゆえんであるかどうか。この点につきまして、ひとつ副総理のお考えを伺いたいと思うのであります。
  88. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 防衛力保持というようなことをやめて、治山治水その他国土の安全に尽したらいいではないかというお考えは、一つの構想であるとは思いますけれども、しかしながら、今日防衛力を全廃するということは、私は世界の現実に照してできないことだと考えます。今の憲法ができたときには、日本はすべての戦力を放棄して、国の安全を他国の信義に依頼するというような一つの構想を持つてつたのでありますけれども、世界の現実は違う、中共が侵略しないとか、ソ連がどうとかいう見方もありますけれども、第二次大戦が終つたときに、今日のようなソ連とアメリカの対立がきびすを接して来るとは、あの終戦の衝に当つた世界の大政治家は、おそらくだれも考えなかつたことであろうと思われますし、従いまして、今日侵略の脅威がないからといつて、すぐ防衛力はいらないと言うことはできない。今お話の、二者択一ということがもしその間にできるのでありますならば、政府としては割合楽なんでありますが、国の治安または防衛の責任を持つております政府としては、簡単に二者択一と参らないのであります。もちろん、今回の災害に対しまして、今後の日本の国土の保全という問題は、日本の国力の許す限り、できるだけの措置をしたいと政府でも考えております。しかしながら、かりに治山治水にいたしましても、水源地から河口に至るまでの一体性を認めて、直轄河川だけでも治山治水を全うするということは、国全体としてなかなか容易なことではないのであります。そこに今後の政治の上においても非常な苦心がなければならぬと考えるのであります。今お話のような構想は、一つの構想だとは思いますけれども、他面国の安全、治安の責任を持つております政府としては、容易に同意いたしかねると思います。
  89. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 二者択一の問題でありますが、現実の問題として、災害復旧費にどうしてもこれだけ計上しなければならぬ、一方また、副総理のお考えによれば、防衛費にもこれだけを計上しなければならぬということになりまして、財政上のやり繰りをつける上に、どうしても、どちらかになたを振わなければならぬという場合、たとえば、ことしの災害復旧費に八百億が国庫負担としてどうしても必要な場合に、それは犠牲にしてでも再軍備費、防衛費を計上しなければならぬとお考えでありますか。それとも、防衛費を幾らか犠牲にしてでも、災害復旧費は優先的に予算に計上しなければならぬとお考えでありますか。それをひとつお伺いいたします。
  90. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 政府としましては、経済事情の許すわく外までも防衛費につぎ込もうという考えはないのでありまして、国会などにおいても、防衛力漸増について、あるいは再軍備というようなものについて、かなり強い積極的な議論がありますけれども、その点におきましては、政府はできるだけ、防衛力の漸増と国力とをにらみ合せて、大きな国費を少いように少いようにとして参つておるのでありまして、今日の防衛に関する費用は、私は、国際情勢から見ましても、国内の輿論の動きから考えてみましても、やむを得ざる最低程度のものであろうと考えております。こう申しましても、決して今回の災害の跡始末あるいは将来の治山治水対策を怠るものではないのでありまして、その点につきましては、むしろ多少バランスがとれなくても、その方に相当国費を投じなければならぬのではないか。いかなる予算をつくるかということにつきまして、政府は今苦慮いたしておるところでございます。
  91. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 これもやはり今度の問題に関係があるのですが、吉田首相が、農林省の所管事項として、二十九年度予算編成にあたり、全国的に干拓事業を天規模にやれということを指示されておるようでありますが、これは私はけつこうだと思いますけれども、干拓地というものは、どうしても低いところでありますから、こういう災害がありますと、長い間冠水いたしまして、海面からの潮害と一緒になりますと、たいへんな被害を生ずることは御承知通りであります。しかもまた、干拓地は、農業川水ということが非常に重要な問題でありますが、今度のような災害では、用水路が全部破壊されて、せつかく干拓しても、しかたがないことになる。これは治山治水の問題と関連があるのでありますが、この干拓計画について、吉田総理は農林省に指示しておられますけれども、首相はこれをほんとうにまじめにお考えになつておるのかどうか。これをやろうとすれば、たいへんな予算を必要とするのでありますが、この点をお伺いしたいと思います。
  92. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 もちろん、まじめに考えておりますが、一時にその計画を進めることは、むろんできないのであります。ただ、国土が非常に狭くなり、そこへ人口の増加が非常に著しいというこの事実だけは、何ともしかたがないのでありまして、その意味の根本的対策一つとして、そういうことを考えておることは事実であります。
  93. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 最後にお尋ねいたしますが、この間本委員会におきまして、災害防止に関する気象業務施設の整備促進に関する件というのを決議いたしたのであります。この間、私は、外務委員会中央気象台長の話を聞きましたときに、気象台長の話では、気象業務関係予算が非常に少い、要求しても、非常に削減を受けて一事ガできない、こういうことを申しておりました。そうして、何でも行政協定によりまして日本政府に義務づけられております駐留軍に対する気象業務上の協力にさえ事欠いておるということを申しておりました。私は、こういう点に吉田内閣の科学技術に対する非常な軽視が感じられるのであります。この機会に、私は、こういう気象業務を遂行するための経費を十分予算に計上していただきたい。これは本委員会の決議でもありますから、これをひとつ要望しておきたいと思うのであります。  ついでに、もう一つ関連してお伺いしますが、気象観測をいたします場合に、日本においては、どうしてもアジア大陸、特に中国大陸の気象情報が入りませんと、正確な気象の観測はできません。この間の第二台風のときに、何でもあすは晴れるという天気予報が出ましたので、農民は全部畑に出て麦を刈つて圃場にずつと並べた。それが悪くて、全部流されたのでありまして、もし天気予報がきようは雨だということになりますならば、農民は麦を刈らないでそのままにしておきますので、全部流失するというような被害はなかつたのでありますが、天気予報が晴天であるということを告げたばかりに、そういうことになつたのであります。こういうことにつきまして、私、気象台長にいつか質問したことがありましたが、そのときにおいても、やはり日本において今日気象観測の盲点は中国大陸にある、こういうことを申しております。ところが、今日吉田内閣のとつております外交政策のもとにおいては、中国との一般的な友好の回復はもちろんできない。中国との貿易さえアメリカに牽制されて躊躇逡巡しておるという状態です。そうしますと、こういう気象観測その他各般の文化上の交流といいますか、協力も、事実上これは不可能であります。そういうことから考えまして、朝鮮の休戦もいよいよ実現され、中国との貿易の必要は自由党もすでに痛感されて、過日衆議院におきまする満場一致の決議となつて、日中貿易促進のことが決議された。こういう際に、中国との国交回復というようなことに努力されて、そして、ひいては日本の気象観測を完璧にするというようなことをお考えなつたことがあるかどうか。依然として中国とは仲よくしないでもよろしいのだ、蒋介石の台湾とさえ仲よくしておけば事足りるのだというお考えであるかどうか。その点をひとつお伺いいたします。
  94. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 中共のおります中国本土に対する見方は、いろいろあると考えます。今回の中共貿易促進の決議には自由党も入つておりまするので、その点につきましては、これができれば望ましいことであると考えておることは、はつきりいたしておりますが、その中共貿易がどういうものであるかという点につきましては、最近イギリス側から出ております報告によりましても、むしろ悲観的であります。それと関連いたしまして、今の気象観測のことですが、これは、明年の気象観測に備え、今ただちに中共と交際の道を開くということはできないにしても、その点のつきましては、先ほども申し上げましたが、今の不完全な条件のもとにおいてできるだけ完全な気象観測をするために努力をいたしたいと考えております。
  95. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 まだしやべりたいことがありますが、これで質問をやめます。
  96. 村上勇

    村上委員長 坊秀男君。簡単に願います。
  97. 坊秀男

    ○坊委員 時間もたいへん切迫しておりますし、副総理はお忙しというお話でありまするので、私は、ただ一点だけ副総理にお伺いいたします。  今やこの災害の復旧のために二十数法律案が全部成立しようとしておりますることは、私、被害者の一人といたしましても、各委員の方々に感謝申し上げる次第でございまするが、しかしながら、この二十数法案が今後実施されるにあたりまして多くの問題が行政に残されております。先ほど同僚委員からるる申し述べられたごとく、地域指定の問題や、あるいは予算の裏づけの問題等がたくさん残つておるのでございまするが、この二十数法案が、その実施にあたつていかに有効に実施されるかどうかということが、今度の災害復旧が成功するかしないかということに相なるのでございます。被害者の一人といたしましては、遺憾なく実行していただきたいのでございますが、さらに、もう一つ考えなければならないことは、今度の災害は空前の災害であつたが、決して絶後の災害ではない。九州災害があつて、もはやこういう災害は起らぬであろうと思つておつたら、和歌山に起り、長野に起り、北海道に起るというようなことから考えてみましても、日本の国土のあらゆる区域がこの危険にさらされておるということを私は深く考えなければならない。そこで、今度の災害を契機といたしまして、わが国といたしましては、この災害を未然に防ぐということにも全力を注がなければならないと私は思うのでございます。そこで、国にはいろいろ重要なる政策がありますが、すべての政策を無視して災害だけの政策を立てろ、あるいは財政政策を無視して災害対策を完成しろ、こういうことを申すものではございませんが、しかしながら、この災害の復旧並びに災害の予防ということは、まことに重大なる政策でなければならない。そこで、今日政府におきましても、災害対策本部というものが設けられまして、最も有力なる閣僚がその本部長として大いに働いておられるのでありますが、私は、さらに百尺竿頭一歩を進めて、日本のような災害国には、その起つた災害を復旧するために、また将来起るだろう災害を予防するために、国土保全というか、災害対策と申しますか、この根本的な機関が必要じやないか、かように考えるのでございますが、今日の災害対策本部をさらに整備強化するとともに、恒常的な機関といたしまして、今できました二十二法案を遺憾なく実行すること、及び将来の災害を未然に根本的に防ぐように出発せられるというような点につきまして、副総理はどういう御所見をお持ちになつておりますか。
  98. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 お答えいたします。一つのいいお考えと思いますが、これを恒久的な施設、省というようなことにするかどうかということについては、さらに研究を要参すると思うのであります。関東大震火災のあとに、初めに復興審議会というような非常に大がかりなものができまして、そのあとに復興院というものができたのでありますが、この大きな災害あとに、あらゆる知能、権威を集めてその対策考えるということについては非常に有効適切でありましたけれども、これが独立した省なら省になるということには、その省自体にすべての手足を持つていないと、多少の協力があつても、初め勢い込んでおつたときほど行えないというような欠陥もあつたように記憶いたしております。日本の天災による災害がほとんど毎年年中行事的に起るというようなことも争われない事実のようでありますが、それに対処いたしますために一つの新たなる省を設けるということにつきましては、さらに研究を要すると考えます。
  99. 坊秀男

    ○坊委員 私は、なお質問がありますが、これでもつて打切ります。
  100. 辻原弘市

    ○辻原委員 時間がありませんので、大蔵省に三点の問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  第一は、ただいま資料の配付されているつなぎ資金の問題であります。先ほど、また先日私が、当委員会におきまして、大野国務相に質問いたしました臨時国会の問題について、大体政府考えとしては、十月の中旬を目途として開くという大よその腹が判明いたしたのでありますが、この点は、われわれは、水害のその後の復旧状態にかんがみ、少くとも九月中旬に開けという意思とは非常に懸隔があるのであります。そのようなことはさておき、一応かようなことになりますと、問題は臨時国会において予算通過しないまでは、おそらく地方においてもその資金の裏づけができないために、非常に工事その他が遅延をいたしまして、復旧に重大な支障を来すということは、これはだれしも考えるところであります。少くとも、かような事態に立ち至りました場合に、その点の隘路を打開するためには、何としてもここに相当額つなぎ資金準備しなければならぬと思うが、現在までにすでに配分をいたしましたつなぎ資金以外に、臨時国会において予算が確定するまで、地方の公共事業その他災害復旧万般にわたつて対策に支障のないそうしたつなぎ資金を、はたして大蔵省は考慮をしておるのか、また、考慮しておるとするならば、なおどの程度の額をこれに充当されようとしている考えであるのか、この点を明確に承つておきたいと思います。と申しますのは、在来、一応数字の上においては、相当つなぎ資金が出たやに報道され、またそれが地方末端に届いておるということをしばしば当局から聞くのでありますけれども、実情は、先ほど当委員会において述べられました通り、これが事務当面の手に渡つて、それが地方末端に届くまでにおいては、相当いろいろな経路を通じ、またその取扱いが煩雑であるというために、実際の効果を現わしておらない。こういう資金の過小であるということと、それから、届くまでの期間が長いという、この二つの険路が実際の災害対策においては非常に不便を感じておる点でありますので、この点についてまず伺つておきたいと思います。
  101. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 ただいまのつなぎ資金お尋ねでありますが、現在までに資金運用部資金と簡保資金を合せまして約五十五億の金を用意いたしております。これはすでに配分することに決定いたしております。今後どの程度出るかという問題でございますが、つなぎ資金は、御承知のように災害復旧事業に対する補助金その他等を見返りといたしまして融資いたしておるわけであります。従いまして、今後そういう災害復旧関係補助金等がさらにきまりましたならば、すみやかにつなぎ資金を出して行きたいと思います。その額は、今どのくらいになるか、これは私どものところでちよつとまだ見当がついておりません。必要な金であれば、なるべく早く出したいと思います。また、われわれは、こういう金の性質にかんがみて、できるだけ早く市町村の地元に渡りますように、何べんか通知をいたしておりますが、なお御指摘のような面もあるかと思いますので、できるだけ円滑に、すみやかに金が渡りますように、今後も十分最善の努力をいたしたいと思います。
  102. 辻原弘市

    ○辻原委員 私の伺いましたのは、補助金の額がきまつた後において出してくれという話ではないのでありまして、いわゆる補助の裏づけができない期間、とりあえずのつなぎとして在来出されておるのでありますが、先ほど申しましたように、国会において予算が確定するまでにはなお相当の日子を要するという現況にかんがみ、在来出しておつたようつなぎ資金をさらにつないで、それにどの程度投額する意思がありやいなやという点をお伺いいたしたのでありますから、従つて、その点に対しての大蔵省の方針をひとつ承りたい。なお、大蔵省としては、出すならばどの程度の余裕を持つておるのか、この点も承つておきたいと思います。
  103. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 先ほど私のお答えが多少それておつたという点でございますが、もちろん、大体この見当は大丈夫だろうということがきまりましたならば、補助額が正確に決定いたしませんでも、在来補助を出しております。従いまして、必要があれば、そしてまたこれをあとで裏づけされるという見通しがつきますならば、私どもの方といたしましては、資金を出すことにやぶさかではないのであります。  ただ、全体としての資金の余裕が幾らあるかということになりますと、これは、一般の起債、それからその他の資金繰り等から申しまして制約がございますが、今度の災害に対する程度つなぎ資金等は、何とかひねり出せるだろうと考えております。
  104. 辻原弘市

    ○辻原委員 額の点については、はつきりしたことは言えないが、他の起債の面よりも優先してこの点については出したい、こういうふうに私は受取りましたので、そういうふうに了解いたします。  なお、同じような資金繰りの問題でありますが、地方においては、ともかく資金繰りに困つておる。一つは、つなぎ資金に期待をいたしまして、何とかしよう。いま一つは、少くとも工事その他において、査定の終つた分については、これが補助金の交付を概算払いあるいは前払い等の措置をもつて行うことができるならば、これによつて地方資金繰りが相当促進されるのではないか、かように考えておるのでありますが、そういう前払いあるいは概算払い等の方法を考慮されておるかどうか、その点について伺つておきます。
  105. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 そういう方法についても十分考えておる次第でございます。
  106. 辻原弘市

    ○辻原委員 考えているというお話でありますが、すでに査定の終つておる分があると思いますが、そういう点について実行せられておるのであるか、あるいは大体そういう方針で近々のうちに実行されるという意思をお持ちになつておられるのか、または、ただいまの考えているというのは、いわゆる一般的、政治的答弁で、今後ひとつ研究してみよう、こういう御答弁であるのか、その辺のところをもう少しはつきり伺つておきたい。
  107. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 現行の会計法の規定によりましても、概算払いができるのでございます。現在暫定予算を七月までやつておりまして、三十億の災害対策予備費があつたのでございますが、これを使い切りまして、本予算成立に伴いまして、本予算におきましては百億あるわけでありまして、なお七十億ばかり残つておるわけでありますが、この経費の使用につきましても、御趣旨のような点をよく考えて実行いたしたいと思つておる次第であります。
  108. 辻原弘市

    ○辻原委員 その点をすみやかに実行していただきたいことを要望いたします。  第二点といたしまして、こういう問題が今回の災害において随所に見られるのであります。それは、あるいは引揚者等において、更生資金、生業資金等を借り入れ、それによつて中小企業を営んでおる、あるいは住宅金融公庫等から金を借り入れて、それによつて家を建てておる、こういうふうな特別な社会保障事業からいわゆる融資を受けておる人々が、今回の災害において、その企業または自分自身がその災害にあつたために、借り入れた金を返済することが不可能な状態に立ち至つた、こういう点については、今後の復興資金融資については、特別立法を考慮いたして、すでに確定しておる段階に立ち至つておりますが、在来のこの措置を受けた分についての考慮は、住宅金融公庫法等において、若干のそういう延納措置等を認められる方法があるやに聞いておりますが、これまた非常に重要な問題でありますので、この際大蔵省としてはそういう問題をどう取扱われておるのか、この点を伺つてみたいと思います。
  109. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 引揚者等の生業資金については、主として国民金融公庫から出ておると思います。国民金融公庫におきましては、今回の災害を受けられて、そして施設が破壊されて、返済能力がなくなつたというような場合には、一応返済期限を六箇月延長するという措置を講じております。なお、普通であれば、国民金融公庫からの貸付は一割二分の利息でありますが、今回の災害に伴う貸出し資金については、六分五厘という利率で出すことにいたしております。なお、住宅金融公庫等につきましても、同じような行政的な方法で措置できると思います。
  110. 辻原弘市

    ○辻原委員 ただいまの点については、六箇月の延納と、それから利子の引下げ、これを考慮されておるということでありまするが、でき得べくんば、六箇月の延納では、もう一回そういう事態が起りますので、さらに個々の問題について再延長できるような方法を、大蔵省も、金融公庫等と相談あつて、しかるべき措置を講じてもらいたいということを要望いたしておきます。  それから、第三の点として、先般当委員会において成立を見た公立教育施設の災害復旧の問題につきましては、校舎、校地、それから設備、これに対して災害復旧の適用ができることに相なつておりますが、校舎もしくは設備の中に、校舎と同時に附設されている教員住宅を包括すると私たちは考えるのでありまするが、大蔵省はどのような見解を持つてこれに対する予算措置を考慮されておるのか、これを承つておきたい。
  111. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 立案の御趣旨をよく承りまして、法律上でき得るものかどうか検討いたしたいと思います。
  112. 辻原弘市

    ○辻原委員 法律解釈は別問題といたしまして、少くとも、私たち当委員会においてこの公立教育施設の災害復旧考えました場合に、かりに法的解釈がどうありましようとも、実情は、同時に災害を受け、しかもこれは校舎と同じ状態において復旧せしめなければならないものだという見解をもつて審議なさつたわけでありますが、かりに法的見解においてこれが不可能な場合であつても、当然予算措置その他において考慮しなければならぬ問題だと私は考えておりますが、その点、大蔵省はこの取扱いについて予算措置を考慮されるお考えがあるかどうか、承つておきたいと思います。
  113. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 教員の住宅が個人持ちであるか、あるいは借家であるか、公営住宅であるか、これはいろいろその場合々々によつて違うと思うのであります。個人住宅の建設に国の税金で補助するということはいかがかと思うのですが、現在公営住宅の災害に対する法律がございまして、その面の運用でできる面が相当あるのではないかと私は考えております。
  114. 辻原弘市

    ○辻原委員 私の話が悪かつたので、その点訂正いたしておきますが、私は個人持ちの住宅のことを申しておるのではございません。地方公共団体の所有にかかる、いわゆる俗に言う学校施設に附設された教員住宅という意味でありまして、これは当然校舎あるいは設備と同じように取扱うのが至当だと考えております。ここで詳しく申し上げておる時間がありませんが、この点については、さような見解にわれわれは立つておるということを御承知つて、しかるべき予算措置を講ずるよう御配慮願いたいということを要望いたしておきます。
  115. 村上勇

    村上委員長 この際暫時休憩いたします。     午後一時二十七分休憩     —————————————     午後六時三十七分開議
  116. 村上勇

    村上委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  この際、先刻来御懇談申し上げておりました決議の案文をとりまとめましたので、これらについてお諮りいたします。  まず、案文を朗読いたします。     決議    水害地対策に関する諸法律適用地域の指定等に関する件   政府は、既に調査完了せる地域については、直ちに政令を以て指定し、水害地対策に関する諸法律を適用することとし、調査未了の地域についても調査完了次第逐次政令をもつて指定し、法を適用すること。   その間、調査未了の地域及び法の適用を受くるも予算関係上実施に至らないものについては、公平なるつなぎ融資を行うこと。   当委員会は今般、福岡、佐賀、熊本、大分、長崎、山口、和歌山、奈良、鹿児島、愛媛、兵庫、鳥取、島根、三重、福井、長野、大阪、岐阜、北海道、千葉、京都を調査対象地域とし、直ちに、その実情調査に当り、九月五日までに委員会を開会し、各班の実地調査の結果をとりまとめ、政令をもつて指定すべき地域に関し、政府をして地域指定を追加して行わしめるようこれを明示すること。   国会は今次水害救済及び復旧の重大性にかんがみ、ここに特別立法を成立せしめたが、政府は、これが復旧に対する国民の待望に答えるべく遅くとも九月下旬までに臨時国会を開会し、予算措置を講じ民心の安定を図らんことを要望する。  ただいま朗読いたしました案文に御異議はありませんか。
  117. 原茂

    ○原(茂)委員 今の決議案の冒頭に、調査完了せる地域というような言葉がありますが、これは政府が解釈するのに、もし調査完了せる地域というのを、県に直してみたり、ときにとつては郡、町村に直したりすることが、自由に政府によつてできるものと考えるわけであります。従つて、実際の状態から言いますと、各県のうちには、奥地の被害のために、いまだに調査が完了していない——部分的には郡なり町村単位において完了して報告もできているけれども、全体的にはまだ完了していないというのを見たときに、政府は県全体としてまだ調査ボ完了していないからというので、これを調査完了せる地域にとらないかもしれない。そういう場合には、たとえば北海道、長野県、その他の県もありますが、これは調査がいまだに完了していないことは御承知通りでありますから、調査を完了した地域というのを県に直して考えられたときには、当分の間まだこの指定し実施してもらう地域に入らないことになりますから、この調査終了せる地域というところに括孤して、この調査終了せる地域とは、現に一つの県において調査の完了せる部分をも含む、こういうような但書か何かを入れていただかないと、非常にあいまいになつて来るおそれがある。この点の御審議を願いたいと思います。
  118. 村上勇

    村上委員長 お諮りいたします。ただいまの原潜の修正意見について、何か御意見ありませんか。
  119. 坊秀男

    ○坊委員 ただいまの決議の案文でございますが、この案文の中の、すみやかに法律を適用すべき地域という意味の問題でございます。これを初めから県あるいは都道府県というふうに解釈いたしますと、ただいまの御発言のようなことに相なると思う。ところが、その地域を、県の中の特別重大なる被害を受けた村、町、あるいはその他というふうに部分的に解釈して行きまするならば、今のようなことは起らないように私は思うのであります。
  120. 村上勇

    村上委員長 私の意見も、ただいま坊君の御意見通りでありまして、ある県で全体の調査が終らないといたしましても、その中で非常な災害があつたというようなところについては、調査が終り次第に、県とか郡とかいうことを単位に考えないで、ただいま申し上げた二十一の都道府県は、その府県内における災害についてはみなこれは適用できるものと、かように思いますので、さしつかえないのじやないかと思います。
  121. 原茂

    ○原(茂)委員 今の委員長の御発言の通り、当委員会の意思がかように統一されておることがここに確認されたわけでありますから、この記録があることで満足いたします。
  122. 村上勇

    村上委員長 それでは、ただいま朗読したしました案文に御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 村上勇

    村上委員長 御異議なしと認めます。よつてそのように決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時三十四分散会