○滝井
委員 お手元に六つの法律案が配付されておりますが、まず第一に、
昭和二十八年六月及び七月の大
水害の
被害地域にある事業所に雇用されている労働者に対する失業
保険法の適用の特例に関する法律案、これについて御
説明を申し上げます。この法律案を簡単に要約しますと、こういうことにな
つております。失業
保険の適用されておる事業所に雇用されておる労務者が、労使双方の責めによらざる今回の
災害により休業するときには、失業
保険法を適用するということなのであります。しかも、その適用の期間は三箇月間にな
つているわけでございます。その適用の仕方については、失業
保険法と同じであります。従
つて、一週間の待機期間が必要となるわけでございます。ところが、この法律は失業
保険に対する特例でありまするので、この特例の思想を普及徹底せしめるためには、少くとも二週間ぐらいが必要だというのが、事務当局の見解でございます。従
つて、労務者に実際に金が渡るのは、この法律ができてから二十一日の後でなければ渡らないという状態でございます。従
つて、この法律は緊急に通さなければなりません。なぜならば、現在労使双方の責めによらざるところの休業をしている事業場の労務者というものは、これは非常に貧困に悩んでおるからであります。大体この法案の骨子というものは、非常にごちやごちやと書いておりまするけれ
ども、要約すればそういうことにな
つておるのでございます。
その次の
昭和二十八年六月及び七月の大
水害の
被害地域に行われる
国民健康
保険事業に対する
資金の貸付及び
補助に関する
特別措置法案でございます。この法案は、要約すれば、どういうことをねら
つておるかと申しますと、
国民健康
保険を実施しておるところの市町村が
災害にかかる、そうしますと、当然その地区の住民というものは、家を流されあるいは田を流されておりまするので、
国民保険料あるいは
国民保険税というものによ
つて国民保険は運営をされておりますが、その
保険料あるいは
保険税が払えないのでございます。そうしますと、その
国民保険の運営というものはできないので、その地区の住民が病気にな
つても医者にかかれないという事態が起
つて参るのでございます。従
つて、そういう
災害を受けた市町村で
国民保険を実施しておる市町村に対しましては、まず第一に、
災害救助法が適用されておるということ、しかも
昭和二十八年六月一日から六箇月間に減免をしたところの
保険料あるいは
保険税が、二十八年五月の末日現在において
調査決定していたその年度の
保険料の額の百分の十に相当する額以上であり、かつ二十万円以上であるときにおいては、その減免をした
保険料あるいは
保険税の八割を国が貸し付けるというのでございます。と同時に、その市町村というものは、
財政的にきわめて苦しい状態にあるので、
残りの二割というものについては、国が
補助金を出してやろうという法案でございます。従
つてその
災害を受けたところの
国民保険を実施しておる市町村の住民は、一応半額だけを医者に払えば、
保険料を払うことなしに、あるいは
保険税を払うことなしに、病気のときにすぐ医者にかかれるという、こういう姿ができるのがこの法案の要旨であります。
その次の
昭和二十八年六月及び七月の大
水害の
被害地域における公衆衛生の保持に関する
特別措置法案でございます。
この法案の要旨は、これは非常にくだくだとむずかしく書いておるので、実はその二条の一項、二項を読んでも、どうも立案した私自身さえもわからぬような実にむずかしいことにな
つております。しかし、そこに書いておる要点は、こういうことで。ございます。県が法例によ
つて実施するものについては、今まで国がその二分の一を
負担してお
つたものを三分の二とする。市町村が法例によ
つて実施するものについては、今までは国、県、市谷三分の一を
負担してお
つたものを、国が三分の二にし、県が三分の一にして、市町村は何ら
負担しなくてもいい。伝染病が起
つた場合には、市町村はすぐに行
つて、その爆発的な伝染の起らない事前に防止するために、こういう
措置をと
つております。その次には、伝染病の病院とか、あるいは隔離病舎というものの
国庫負担が今まで三分の一であ
つたので、その
国庫の
補助というものを二分の一に引上げようということでございます。
その次に、簡易水道の
復旧及び布設に関することが第三条に書いてあるのでございます。これは主として白川の流域を中心に起
つておるのでございますが、簡易水道をそういう水源が枯渇しておるところでつくる場合には、二分の一を国が
補助してやろうということでございます。
その次の汚物の処理に関する
補助においては、たとえば屎尿の処理あるいは公共便所が破損してだめにな
つておる、そういうものにつきましては、三分の二をその所在の
地方団体に国が
補助しようという点が、この公衆衛生に関する
特別措置法案の内容でございます。
次は、学校給食の法令でございますが、
昭和二十八年六月及び七月の大
水害により
被害を受けた学校給食用の小麦粉等の損失補償に関する
特別措置法案でございます。今度の
水害によ
つて、小麦の粉あるいは乾燥脱脂ミルクというような、こういう学校給食に必要なものが、
水害によ
つて埋没をしたりあるいは流失した場合においては、その流失した量だけを国が
負担をして、そうして県にそれを交付して、県からそれぞれの学校に与えようという趣旨の法律でございます。
その次は、
昭和二十八年六月及び七月の大
水害の
被害地域における
災害救助に関する
特別措置法案でございます。この法律は、すでに本国会で、
災害救助法の改正案が衆参両院を通過いたしておるのでございます。ただその通過した法律が、この
災害地における救助に対する国の金の出し方が非常に少いのでございます。従
つて、それをこの際、
地方財政が非常に貧困にな
つておるので、標準税収入の千分の一を越える額については、今までの法律と同様な方式をも
つてや
つて行こうというわけなのであります。今までこれは百分の一であ
つたが、改正案では千分の二にな
つております。さらにそれを修正して、千分の一というぐあいに読みかえて行こうというのがこの法律の趣旨でございます。
次には、
昭和二十八年六月及び七月の大
水害による
被害地域における失業
対策事業に関する
特別措置法案でございます。今度の
水害によ
つて、農民あるいは中小商工業者、あるいはそのほかの鉱山、工場におけるところの多くの労務者が職を失い、失業者となるであろうということが推定をせられます。従
つて、その緊急失業
対策事業を一々中央に承諾を求めて実施をしておるというのでは、非常に手間取りますので、知事に緊急失業
対策事業を実施するところの権限を付与しようとするのが、この失業
対策事業に関する
特別措置法案の内容でございます。今までそれらの
災害地におけるところの緊急失業
対策事業の事務費、あるいは資材費、労力費というようなものは、労力費においては国がその三分の二を
負担し、資材費においては三分の一を
負担し、事務費においては三分の二を
負担することにな
つてお
つたのでございます。それを労力費においては五分の四、資材費においては二分の一、事務費においては五分の四に引上げる。
災害地においては当然物価その他が騰貴いたしておりますので、できる限り賃金収入をふやして勤労者の生活安定をはかろうというのがこの法律のねらいでございます。
以上が私の
関係をいたしておりました六つの法案の概要の御
説明でございます。