○近藤政府委員 それでは、文部省
関係の
水害対策につきまして御
説明申し上げます。お
手元に差上げてあります「
西日本水害対策資料」の一ページからでございます。
今次
西日本を襲いました
水害に対しまして、御
承知の
西日本水害総合
対策中央本部ができたわけでございます。私は監理局でございますが、中央本部の管理をいたしております。また、
現地には
対策本部が設けられましたので、
現地には同じく監理局の教育
施設部長が
飛行機で参りまして、目下
現地に滞在いたしまして、それぞれ
被害の
対策の準備に当
つております。ただいままで
現地から
報告がございましたが、いずれも中間
報告でございますので、今後の
報告の内容によりまして、われわれの
対策もそれぞれかわることがあろうかと思うのでございますが、ただいままでの
報告に基きまして、一応われわれが考えました事柄もつきまして御
説明申し上げたいと思います。
まず、公務上
災害を受けた教
職員に対してどういう
措置をとるか。これは国家公務員法によりまして補償の扱いをいたすわけでございます。これは公務上何名、どういう
職員が
災害を受けたかということにつきましては、まだ詳細な
報告がございませんので、そういう方々に対しまして、
報告がございますればすみやかに補償の
措置をとることを考えております。
次に、自己の危難を顧みず職務に尽瘁した学校
職員に対しましは、これは文部省令をもちまして、学校
職員表彰規程というものがございますので、これによ
つて表彰することがあり得る。これもまだ
現地から
報告がございませんので、大分遅れるのではないかと思いますが、そういう方がございますれば、これは学校
職員表彰規程によりまして表彰することがあり得るわけでございます。
それから次に、第二といたしまして、
災害救助法によりまして、児童生徒の学用品費の国庫負担金の基準引上げを決定した件でございます。従来小中学校の児童生徒一人当り二百七十五円、もつともこれは家屋流失あるいは全壊した場合でございますが、半壊とか床上浸水という場合には五分の一、五十五円以内を支給してお
つたのでございます。これは
災害救助法によ
つて支給してお
つたのでございますが、これが七月三日から、大蔵省と話合いがつきまして、小学校児童につきましては一人当り五百円以内、中学校生徒につきましては千百円に引上げられたのでございます。従いまして、この決定につきましては
現地にもすでに通報いたしましたので、それぞれこの
措置がとられることと考えております。
それから次には、無償給与教科書の問題でございますが、これは、御
承知のように、法律によりまして国語と算数の教科書を、一年生に限りまして、ただいま無償で給与いたしております。この教科書は、今回の
水害によ
つて失われた方々に対しまして、無償教科書の再給与をいたさなければならないのじやないかと考えております。予算額全体といたしまして約三億八千九百万円という額でございますが、なおこの
現地の
水害地域に対しまして再給与を必要とするものは、おそらく二百万ないし三百万円ではないかと推定
いたしますが、いずれ数字が確定次第、この金額を既定予算の中から再給与いたしたい、さように考えております。
それから、教材費でございますが、御
承知の義務教育費国庫半額負担法によりまして、教材費が各府県に配分されるわけでありますが、この教材費の配分を繰上げ交付するようにいたしたい。これも予算等につきまして自治庁
方面と交渉を開始いたしております。
次は、
罹災校に対する学習指導要領手引書などの給与でありますが、これが
水害によりまして失われました。これらの手引書等を再交付いたしたいと考えるのであります。
次に、教科書の展示会でございますが、御
承知のように教科書の選択は、ただいま教科書の展示会によりまして選択することにな
つております。たとえて申しますれば、山口県では全県下で十一箇所、福岡県では全県下で七十箇所、長崎県では全県下で五十八箇所というように、教科書展示会を開催いたす場所がきま
つております。そのうち今度の
水害にあ
つたために、この展示会を繰延べるという
措置がとられるわけであります。ただいま福岡県では一箇月繰延べるということに決定いたしております。また大分は全県下で四十九箇所ございますが、そのうちただいま四会場だけこれを繰延べるという
連絡が参
つております。これは教科書の展示会を繰延べまして、一応おちついたところで展示会をやるというような
措置を考えております。
次に、社会教育
関係といたしましては、御
承知の公民館あるいは図書館、博物館等の建物の
復旧であります。それから図書、
資料、
設備等の
復旧、これがおもなものでございます。ただいままでの情報によりますと、公民館につきましては、
被害公民館の数は、一番多いところは熊本県の三百八十五館、次は佐賀県の三百六十九館、その次は福岡県の二百七十五館等ございまして、
相当公民館は
被害を受けております。この公民館の
被害復旧につきましては、これはいずれ
復旧費国庫補助の問題が起るわけでございます。ただいまのところは、予算上は、公民館の
施設につきまして国が補助金を出しております。それは二分の一の建設費の補助であります。
災害公民館につきましても
復旧費の補助を考えなければならぬと考えておるのであります。図書館の
被害は、一番多いところは福岡県の八館でございます。その他若干ございます。これも公民館と同様に、その
被害復旧につきましては、国の補助の問題が起ろうかと思
つております。
以上は社会教育
関係でございますが、さらに私の所管の監理局
関係といたしまして、公立小中学校の
被害復旧の問題が、これは一番大きな問題でございます。その次に国立大学の
被害の
復旧等がおもなる問題でございます。公立学校の
被害の
復旧状況につきましては、お
手元に
資料がございますが、ただいままでの
報告では、国立学校につきましては
九州大学、長崎大学、大分大学、山口大学で、
合計一億五千八百十五万円、その他の大学からなお入電中でございますが、ただいまの
報告によりますとそういうことにな
つております。公立学校につきましては山口県、愛媛県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、福岡県とございまして、その
合計が十九億四百九十万円、これが最も
被害が甚大のようでございます。それから私立学校でございますが、これはただいままでは山口、大分の二県しか数字がわか
つておりませんが、山口が七百万円、大分が八百万円、約千五百万円ということにな
つております。なお大分、福岡、佐賀、熊本の方からもそれぞれ
報告が参ろうかと思
つております。以上ただいまのところを
合計しますと二十億七千八百五万円ということにな
つております。これはただいままでの
被害額でございますので、もちろんこの
程度にとどまるものではないと考えられます。
そこで、この
被害に対しまして国はどういう処置をとるかと申しますと、御
承知のように公立学校につきましては、
災害復旧費の国庫負担という予算
措置がただいままでとられておりまして、国がその
復旧費の二分の一を補助する、残りの二分の一は起債をも
つてこれを確保するという原則に基きまして、たとえば過去の例で申しますと、昭和二十七年度の
災害につきましては約二十億の
復旧費が計上されまして、これはもちろん二分の一の国庫補助でございます。従いまして、過去の例にならいまして、おそらく公立学校の
災害復旧費につきましては、全地域の査定が済みますと、その補助額が決定いたしますので、それぞれ大蔵省に要求するような手順になろうかと考えております。それから国立学校につきましては、これも
現地の査定を了しまして、大蔵省に対してその全額の
復旧費の予算を要求するという手順になるのであります。私立学校につきましては、これは御
承知の特殊法人私学振興会というのがございまして、私立学林の建設費あるいは経営費の赤字に対しまして貸付するという制度がございます。予算は、二十六年度は三億九千万円の政府出資であります。二十八年度は十億の政府出資でございます。この政府出資金によりまして、全国の幼稚園から大学までに至る私立学校に対して、校舎の
施設の拡充に対して補助する、貸付をするという制度でございまして、おそらくこの特殊法人の私学振興会が、私立学校の
災害の
復旧費に対しまして貸付をするという
措置がとられることと考えております。建物につきましてはさような
対策を考えるつもりであります。
それから、あとここにございますのは学校給食用のミルクであります。御
承知のように、ただいま学校給食はパン、ミルク、副食ということで成り立
つておりますが、このハンに使います原麦の費用の二分の一を国が補助いたしております。二十八年度の予算で申しますと十六億五千万円、その対象児童は全国で約四百二十二万ということで、原麦に対して二分の一補助いたしております。それからミルクに対しましては、これは脱脂ミルクでございますが、これは外国から輸入いたしまして、その輸入代金等につきましては、すべてこれは父兄の負担、但しそのミルクを配給するまで、その輸入代金の調達は結局父兄から集まるのでありますが、それに期間がかかりますので、一時金融
機関から借りまして商社に支払いを済ませる、しかる後に父兄から金を集めるという手順になりますので、その金融
機関から借りる借入金の利子に対しまして、政府は補助するということで、本年度の予算で約五千万円が計上されておるのでございます。このミルクが
相当水害の
被害地の倉庫にたくわえられておるわけでありますが、これが
被害をこうむ
つておるのであります。従いまして、これをどうするかという問題でありますが、
現地からの
報告によりますと、米軍からミルクの無償放出を懇請するというような話合いを進めておるようでございます。本日
現地で
被害地の教育委員会の教育長会議が開かれておるそうでございますので、おそらくそこらあたりでこういう決定がなされるのではないかというように考えられます。なお詳細につきましては、
報告が参り次第皆様に詳しくお話し申し上げたいと考えております。
文部省
関係といたしましては、大体以上のようなところでございます。ただいままでのところはいずれも中間
報告でございますので、それに対して確定的な、最終的な
措置はまだ決定いたしておりませんが、従来の
災害対策の
方法に準じまして、その
措置に遺憾なきを期したい、かように考えております。