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1953-07-29 第16回国会 衆議院 図書館運営委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十九日(水曜日)     午前十一時三十六分開議  出席委員    委員長 伊東 岩男君    理事 武知 勇記君 理事 松浦周太郎君       庄司 一郎君    神近 市子君       岡  良一君  委員外出席者         国立国会図書館         長       金森徳次郎君         国立国会図書館         (参事調査立法         考査局長)   角倉 志朗君     ————————————— 七月二十九日  委員吉田茂君及び中村高一君辞任につき、その  補欠として庄司一郎君及び岡良一君が議の指名  で委員に選任された     ————————————— 本日の会議に付した事件  国立国会図書館運営に関する件     —————————————
  2. 伊東岩男

    伊東委員長 これから会議を開きます。  本日は、調査立法考査局拡充の件についていろいろ御協議をいたしたいと思います。まず図書館長説明を求めます。金森図書館長
  3. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 図書館事務の中におきまして、調査立法考査局仕事は一番主眼点をなすものであります。この図書館ができました当時に憲法がかわつたということは、国会立法中心なつたということであり、従つて国会自身法律をつくるだけの資料自分の手で整えなければならないということが根本になりました。それを中心として国立国会図書館法ができたわけであります。しかし、でき上りましてまだ経験も歳月もともに不十分でありまするために、その当初は非常に微温的な態度しかとれませんでした。職員も辛うじて六十人ぐらいしか置くことができなかつたわけであります。ところが、三年ほど前に国会議員方々外国をごらんになり、そのときに一つの着想をお持ちになつたように私どもはよそから想像しておりまするが、日本国会図書館がやつておる調査活動は非常に鈍いのである、従つてこれに対して本格的な活動をさせるようにしなければならないというふうな御議論が高まりまして、それで三年前に、その当時の考え方では飛躍的に、約六十人の人を倍にするというような急激な定員の増加が行われたのであります。ところが実際は、さように人はふえましたけれども国会図書館仕事は、議会の各方面から御要求になる仕事分量に比べますとまつた人数不足でございますし、ことにはなはだしいのは、調査をいたしますところの材料不足しているということであります。材料の面から申しますと、日本実情外国実情も、それからできました法律がはたして日本国民層にしみ込んでどんな影響を持つておるかというようなことも、当然に国会図書館で生かされなければならないのでありますけれども、実際おはずかしいことでありますが、資料は当初は外国のものはほとんど手に入れることができませんで、わずかにアメリカの系統そのほかごく少部分のところから外国資料を手に入れておつたようなわけであります。それではもとよりほんとう仕事はできません。そのうちにだんだん国際関係が好転いたしまして、いろいろな資料外国から買える、また外国にもいろいろな資料ができて来るという時代になりまして、私どもは、金と努力さえあるならば、かなり程度まで世界の情勢政治経済社会に関する材料集めることができるような時期になつて来たわけでありますけれども予算その他の実際上の制限によりまして、思うものも買うことができない、外国の最近の事情を適切に知る資料を手にすることができない、むしろ日本では民間のいろいろな通信機関などの方が早い、また仕事の範囲も広くわかつておるというような情勢とも言えないことはございませんが、図書館の方は大づかみなことはできませんので、材料調査いたしますれば必ず正確に調査しなければいけませんので、そこに非常な苦心を要するのでありますが、今申しましたように、材料不足のために思うにまかせなかつたのであります。材料のほかに調査する職員をだんだん育成し、増加しなければなりませんけれども機運ははなはだおもむろに至ると申しますか、機運は来ておつても、まだ内部充実をするところの機会に恵まれていなかつたわけであります。  そこで、今の実情はどうかと申しますと、国会側からはかなり調査の御要求がありまして、それに対しましてあらゆる努力をして、お答えはしておりまするけれども、何といつても新しい資料航空便でとるというようなことも思うにまかせません。また外国の新聞、雑誌及び官庁出版物のようなものを、非常に系統的に入手するということもできないような状況でありまするし、それから、人間の数はふえましても、わずかに——と申しますか、実際の必要から申しますと、わずかに百二十何人、それには多少行政整理という原因もありまして、そのような調子のもとに仕事をしておりますので、私どもひそかにおそれておりまするけれども国会図書館を設置せられた目的に背くのではなかろうか。私どもは、その責任地位にありながら、手をこまねいて現状を持続いたしますことは、自責の念にたえないのであります。当初の出立ちが、完全なる立法調査資料国会に供給するという立場であつたにかかわらず、現実がかような姿でありますから、何とかしてこれを適正なところまで発展させたいという希望を持つておるのであります。それが今のところは不足なる材料不足なる職員をもつて最大の能率を上げるつもりでやつておりますけれども、何といつてもこれは人及び材料分量にも強く影響せられるものでありまして、このままではいけない。そこで最も根本的な考え方をいたしまして、やや著しい拡張をする。今まで不足を感じておりました点を補充し、さらに国会側の御要求がだんだんふえて来るということに応ずるようにしたいと思うわけであります。  現在国会の側からして調査の御要求になりますものは、最近に至りまして急に増加いたしまして、月三百七十という数字も出ておるのであります。当初の様子に比べますと、何倍という数の増加であります。それに加えまして国際関係が非常に複雑になつて参りまして、腰だめで鉄砲を撃つというやり方では絶対できなくなつて参りました。あらゆる面において準備を進める。なおそのほかに、ひとりそういう調査ばかりではございませんで、国会機能を高めますために、たとえば法律をつくる、あるいはできておる法律を改正するというときに、今日のこの瞬間に日本法律がどうなつておるか、またこの瞬間に、法律以外の日本法令、政令がどんなふうになつておるかということを、あつという間にすぐ確認することができるかと申しますと、そういう設備はございません。一国の立法府が、自分の扱つておる法律適格性を認識するに足るだけの資料を持ち合せないということは、私どもとしてはほんとうにはずかしさにたえないわけであります。  現在、たとえば、日本現行法がどうなつておるかということを的確に知るのにはどうするかといえば、まあ私の方で法律等の変化の目録を持つております。だからして、ある時代の法文を根拠にして、それからどういうふうに改正されたか、増補せられたかということを、机の上で順序を追うて調べてみまして、ある時間をかけてから、法律がかようになつておる、こういう答えができるわけであります。もとより日本には、一つだけ、内閣の側におきまして、従来の伝統によつて現行法典がそのまま早くわかるということはやつておられるようでありますけれども、それとても立法府が自由に利用のできるものではありませんし、おのずからそのやり方におきましても、立法府の必要を満たすのには適しない方法であるのではなかろうか。そういたしますと、そういうものはいち早く立法府根本資料として保存をしなければならぬのでありますが、これとてもただではできません。大した金額ではありませんけれども、やはり系統的にしつかりした基礎のもとにカードを完備する、あるいはルーズ・リーフの台帳をこしらえるとかいうような方法にいたしまして、何年何月何日、いかなる法律の文章が生きておるかというときには、即座にわかるようにしなければならぬというふうにも考えております。  それから、法律の生み捨てと申しますか、法律というものはつくるばかりが目的ではありませんで、適切な法律日本にぴたつと動いているということまで追い求めなければならないのでありまして、国会法律の生み捨てをしているということは、国会立法に関する完全なる主権者であるという性質と矛盾するものと私ども思つております。だから、法律国民の問にどう流れ、はたして所期の目的を達しているか、あるいは不十分な点があるのではなかろうかということを、おつかけて行つて調べるような仕事も必要であろうと思います。今まであるものについては、必要に迫られて現実のことはしておりますけれども、実は系統的にはやつておりません。筋から言えば、重要法律国民の一般に大きな影響を生ずるようなものにつきましては、どうしてもその手段を一応とつておかなければ、立法府責任は完全でないということになります。  国立国会図書館が現在やつておりますところは実にまだ幼稚なものであり、はずかしいと言わなければなりません。その他いろいろこまかいことはありますけれども、とにかく、さような見地から、私ども、もしできるならば、近い時期において資料を完備し、そして今まで不足しておつた調査が楽楽とできるようにいたしまして、同時にこれについて完全に責任を持てるような職員を満たすという念願に燃えているのであります。ただ、これをいたすにつきましては、実際そう楽なこととは思いません。あらゆる面の御批判と御賛成を仰ぎまして、そして押すべきところを押し、話すべきところに話を進めなければならぬのであります。まず第一に、図書館運営委員会の方に私ども所見を申し上げまして、運営委員会の御支持と御声援に基きまして、進むべき各部面にも及んで行きたいと思うわけであります。かように実情を申し上げまして、そして何らかの形において御援助を仰ぎたいというのが今日の私ども念願であります。
  4. 伊東岩男

    伊東委員長 国会運営の上におきまして、図書館の活発なる活用の緊要性は申し上げるまでもありません。従いまして、二十八年度においては国会が積極的に増額修正までやつたことは、最近その例のないことであると存じますが、しかし、今後多々ますます図書館運営を活発にいたしますうちでも、なかんずくこの調査立法考査局拡充の必要な点については、ただいま館長から御説明があつた通りであります。これについていろいろ皆さん方の御意見もあると存じますので、この際ひとつ御発言をお願いする次第であります。
  5. 神近市子

    神近委員 この間の予算拡充計画がここに来ておりますね。ちよつとそれの御説明をいただいたらいいかと思います。
  6. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 拡充計画と申しまするのは、今現に私の方でいろいろ数字をつくつて研究をしておるのでありますけれども、今年の予算で申しますると、調査立法につきましての予算は、人件費を除きましては六百七十八万というふうになつておるのであります。これではどうしてもうまく行かないということは初に申し上げた通りであります。そこで、これからなすべきことを相当に精密に予想をいたしまして、その精密に予想したものに対して、できるだけ節約をして行く、しかもこのくらいの経費はいるというふうの数字事務的に内部でつくりました。そうして……。
  7. 神近市子

    神近委員 立法調査拡充計画——今日の議題立法調査局拡充計画でございましよう。きようは全般の予算ではございませんでしよう。
  8. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 今申し上げましたように、今日は調査立法考査局の次の年度予算のことを申し上げておるのでありまするが、その部分だけにつきまして、大体その部局の経費というものは、人件費と、それから仕事をする経費と、二組に大づかみにわかれるわけであります。そのうちの仕事をする方の経費が、今日書面をもつてこらんに入れておりますように、二十八年度予算は六百七十八万六千円、つまり現に議会で御議論になつておる経費がこれであります。しかし、これではとうていやつて行けませんので、そこで来年度にはこれを拡張いたしまして、行費の方、つまり事務に関します経費の方を四千二百万円にふやしたいということであります。これに伴いまして、人間経費、つまり人数をふやしますることに伴つて起ります人間経費も相当あります。あとはちよつと局長から説明いたさせますが、そういう趣旨でございます。
  9. 角倉志朗

    角倉国会図書館参事 お手元に配付してございます材料が数種類ございますが、その中で御質問の点は、人員につきましては、人員増加予算要求案と申しますこういう縦刷りのものがございます。それからもう一つ、「調査立法考査局業務整備充実必要性について」という材料があると思います。それからあと昭和二十八年度事業予算という紙が上になつておりまして、これに二十九年度予算要求につきましての一案が盛つてございます。それからほかに衆議院並びに参議院の議員の、調査立法考査局を御利用になつております方々のお名前を刷りましたものがお手元に行つております。  調査立法考査局業務整備充実必要性についてという材料をごらんいただきますと、現在この局がどういう業務をどういう形態においてやつておるか、この業務を遂行いたします上について、どこに隘路、困つた点があるかということが、人員につきましても、また事業費につきましても、明らかになると思うのでございます。要点は、ただいま館長から御説明ございましたように、現在人員総数百十九名おりますけれども、その中で五級職以下の主事補と申しまするか、調査補助員事務補助員を除き、また総務課調査資料統計課、この局の中に設置されております法律政治図書館関係職員を除きますと、わずかに五十七名でございまして、この五十七名が十課にわかれて、それぞれある程度専門的に資料を検討いたしております。御依頼の調査に回答する、あるいは御要求がなくとも、問題になりそうなテーマをつかまえまして、これをあらかじめ調査をしてお手元に配付するというような仕事をやつております。従つて、この五十七名をこの際増員をすることができましたならば、本来の調査業務のもう少し完全なサービスが可能ではないかと考えるのであります。この調査関係以外にも、これに付随いたします資料整理業務、あるいは今節表から御説明ございましたが、法令台帳を作成いたします業務、その他この説明書に書いでございますいろいろな業務が、この人員増加によつて可能になると考えます。  事業費の中では、この説明書の終りに書いてございますが、印刷費、それから資料購入費、また予測できません御依願で多額の経費を要します問題につきまして、これが調査を遂行いたしますためには、やはりある程度経費を盛る必要がございますので、こうしたものを、実はお手元に配りましたこの事業予算の中に組み込んでございます。御質問によりまして、あとからお答え申し上げることにいたします。
  10. 庄司一郎

    庄司委員 本日の日程になつておる件について簡単に御意見を承り、かつ卑見の一端を述べてみたいと思います。  国会図書館拡充強化するその運営のよろしきといなとは、ほんとうにこの文化国家建設のために重要性を持つておる問題であると考えております。ただいまお正しになつておる調査立法考査局拡充強化に閲する御計画は、つかみ勘定でいえば、まことにけつこうな公正妥当な御計画であると考えます。本年度予算措置は終了しておりますので、政府において各省より昭和二十九年度予算関係資料を収集する第一回の時期は、長い間予算委員を勤めて参り、また私の常識として、来月の十五日と考えております。ただいま館長さんのお示しになつ人員増加要求、新しく八十六名でございますか、かような人員整備が、議員の依嘱によるとこるの立法並びに調査関係を満足させる上において必要欠くべからざる最小限度要求でありますならば、昭和二十八年度国会図書館関係の総予算は多分三億内外であつたと思いますが、そのうちどのくらいの予算増加が必要であるか、まだ本員にはわかりませんが、かりに五千万円なり一億円なり増額の必要がありましても、それはこの国会図書館活動を有意義ならしめるためには、決して多過ぎるものではありません。国会図書館の内容の充実あるいは人員整備立法考査のよりよき運営が、どんなに明るい文化国家建設のために貢献して行くかということを考える上において、ただいま議題になつておりまする御要求には無条件で賛成してよろしい。この八十何名の新しい職員を採用する場合においては、こいねがわくは人格の気高い、りつぱな人材を得ることができるように御善処を願いたい。とかく国会図書館開設当時におけるところの職員問題は、いろいろな意味において芳ばしからざる思想傾向があつたように、当時予算委員会国会図書館関係分科全等において私耳にしておつたのであります。そういう事実のなからんことを希望するのでありますが、願わくは、政治的に中立性を持つておる、俗に言えば、いわゆる穏健中正なる方々を御採用になられることを私は念願してやみません。  ただいま議題になつております考査局拡大強化、それに伴う八十六名の人員増加——八十六名がほんとうに必要かどうか知りませんが、必要な人材は百名でもとつてくださつて、そうして本国会を通過した学校図書館法によつて全国市町村学校簡易図書館ができることでありましようが、それらを全国八つくらいのブロックにわけて、館長あるいは司書その他関係者等をお集めになつて——これは国会図書館としての職務権限から見てどうかとは思いますけれども、いやしくも国会図書館たる以上は、市町村に今度新しくできる図書館くらいは、指導誘掖されるところの地位にあらねばならないと私は考えております。そういう意味において、人件費増加必要性が生じて来る。私はほんの新米の、ほやほやの委員でございまして、はなはだおこがましいのでございますが、十五、六年続けて予算委員をやつて参りまして、なかんずく国会図書館、文部、厚生、労働等分科会の主査をやつておりますので、全面的に予算総会の方より応援を申し上げたいと思いますから、必要な予算は御遠慮なく、昭和二十九年度に関しては今より御処置なさつて、来月の十五日に、各省関係あるいは国会図書館等もさようであろうと思いますが、第一回の予算概算概算政府においてお集めになるようでありますから、それに間に合うように、予算措置等を十分整備されて御要求あらんことを要望してやまないのでございます。どうか館長さんにおかれましては、せつかくこの国会を通過した学校図書館法、あれが健全なる発進をなしあとうよう、また国会図書館職員方々地方市町村学校図書館をよく御指導くださいまして——学校図書館においては、図書分類等もまだわきまえないような者が相当多いのでありますからして、そういう面において、あるいは破損した図書維持管川の上における梨木関係等についても、国会図書館の方には製本の技師がおられると思いますので、簡易なる製本等はこんなふうにして補整することができるのだというような、必要欠くべからざる御指導もあわせて御考慮を願つておきたいと思います。別にあらためて御回答も求めませんが、何か御所見があれば御自由に御回答賜わつてけつこうでございます。
  11. 角倉志朗

    角倉国会図書館参事 ただいまの神近委員からの御質問にお答え申し上げます。この一案としてお配りしてあります予算案の額でございますが、事業費の方は総計四十二百六十七万四千円になつております。これは総額でございます、それから人件費の方は八十六名、これはごく低い者を一含めての人員でございますが、この八十六名を計算いたしますと大約一、千万円になります。現在おります日十九名の人件費総額大約四千五百万円でございます。これは、今度予定いたしておりますのはいわば最後の線でございまして、課夫以上はとりませんで、課長補佐以下の実際調査あるいはその他の事務に当ります者を予定したいというわけでございます。従つて百十九名が四千五百万円であり、今度は八十六名で約二千万円という計算でございます。
  12. 神近市子

    神近委員 今私、館長さんの御説明で、議員の頭であるべき調査立法考査局がそんな貧弱な予算運営されていたということに実はびつくりしたのでございます。私民間におりますときに、国会質疑応答なんて何とあほらしいものだろうとずいぶん悪口を言つていたものですけれども、今伺いますと、この調査要求が年々非常に大きくなつているということは、これはほかの部面の忙しさと比べて、議員の頭脳が成長して行く過程を語るものとして非常にけつこうだと思うのでございます。それで国会図書館運営予算というものは、今庄司さんのお話にもございました通り、ほかに比べてそんなにたくさん要求することではございませんし、こういう必要欠くべからざる、そして議員特権のうちで最も大きな特権である国会図書館をうまく運営して行くという上で、今庄司さんがおつしやつてくださいました必要な額はどんどん要求してとつて、そしてその機能をうまく果して行くことがかんじんだという御意見には、全面的に私賛成でございます。それで何らかの形で事務当局の方の御要望を生かすようなことに考えたらどうかと思うのでございますが、今ここで伺いまして、大体これは最低の御要求ということでございましたのですが、これをもう少し、まあこれだけとれたらたいへんうまく行くなという額は、大体そちら様には案があるのでございますか。ちよつとそれを伺います。
  13. 角倉志朗

    角倉国会図書館参事 ただいまの御質問にお答えいたします。仰せになりましたように、この予算は相当地味に、ごく詰めて案をつくつたのでございまして、お説のように実はもう少し十分に予算かとれましたならば、より機能を発揮し得るという点が二点ございます。一つは、調査に必要な資料購入費でございます。もう一つは、調査いたしました結果を各議員のお手元に配付するための印刷費でございます。この二つの費目が、今御質問がございましたから申し上げますけれども、さらに増額されますことを望んでおるのでございます。
  14. 武知勇記

    武知委員 先刻金森館長説明を承りまして、また庄司神近委員の御発言を承りまして、三人の御説明あるいは御意見を勘案しまして、これに対して当委員会としても何らかの意思表示をいたしたいと思いますので、これについて委員長はお諮り願いたいと思います。
  15. 伊東岩男

    伊東委員長 ただいま武知君から、本委員会において何らかの意思表示をしたらどうかという御意見があつたのでありまするが、いかがいたしましようか、お諮りいたします。
  16. 神近市子

    神近委員 私はひとつ動議を提出いたしたいのでございます。国会におきましての立法考査業務拡充必要性ということは、皆様一致してここで認めているところでございますから、国立国会図書館調査立法考査局の来年度工算を大幅に増額することが必要である認められる旨の決議をここでいたしましたらどうでございましようか。   [「賛成」と呼ぶ者あり〕
  17. 武知勇記

    武知委員 神近さん、案文についてはひとつ委員長に適当に一任なすつたらどうでしようか。
  18. 神近市子

    神近委員 ええ、それも続いてお願いします。
  19. 伊東岩男

    伊東委員長 ただいま動議が提出されましたが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」よ呼ぶ者あり〕
  20. 岡良一

    岡委員 私は全面的に賛成をいたしたいと存じます。先ほども金森館長がことにうかつな話でありますが、二十八年度事業予算を見て実は驚いておるのです。国会立法の府としての最高機関であるべぎものが、この程度予算をもつて、これまでよくもしのいで来たと思つて、われわれも自分の不敏を恥じておるわけで、個人の心境から申し上げますならば、各議員が一箇月にかなりの金々立法調査費という名目でとつておきながら、党の政務調査費へまわしておるというようなことでは、むしろ大福にこれを返上すべきものではないか上思われる心境にありますので、何らかの、しかも強力な意思表示をされることを望みまして、また、この図書館運営委員会に参加しておる者としても、その実現について党内でできるだけの努力をすることを、私たちはお誓いをいたしたいと軸うのです。  なお、この機会に、意見として申し上げておきたいのでありまするが、三年前に、私は所用がありましてヨーロツパの六箇国を遍歴したことがありました。そのときに、ローマ、ベルン、ボン、パリ、ロンドン等で国会を訪れたのでありますが、特にローマでは、イタリアの国会事務局の方から、自分たちの方では世界各国の国会事務局にあてて、その年々の国会において議決された法律案の送付を要求しておる、その反対給付として自分たちの国会で議決されたものを送つておる、こういうふうに集めてありますと言つて、相当大きな倉庫のような所にずらりと国別に立法例が保存されておるのです。日本の方へもお願いをしておるのだが、実はまだ入手しておらないので、あなたお帰りになつたら、ぜひひとつそういうふうに話をしてみてくれないかということでありました。これは国会図書館へは申してなかつたのですが、帰つてからすぐにここの事務局にその話をしておいたこともあるのです。おそらく今度予算が大幅に伸びまして、皆さんの御活動に便利に、また自由になり得るような予算措置が講ぜられることと思いますが、その場合におきましても、やはり各国の立法例などは、われわれ議員としても非常に重要な参考になつておるわけでありますから、この立法考査のための資料につきましても、国会図書館として、ひとつ独自な立場で、各国の国会図書館なりあるいは事務局というところへ代表が出かけられて、そういう面でいろいろはつきりしたお約束をして来るということも、一つのりつぱな方法じやないかと考えておりますので、御参考までに申し上げておきたいと思います。
  21. 庄司一郎

    庄司委員 ただいま議題になつております問題、特に神近委員の御発言のありましたる国会図書館に関する予算の確保につき出しては、国会図書館法の基本的な精神とその使命の達成に完璧を期する上において、特に来年度予算は来月からその編成期に入るのでありますから、国会図書館の要請される算措置に関しては、各党とも超党派的にこの問題の円満なる解決ができるように、特に大蔵省の理解ある程度をもつて、乏しい国家財政の中からも、この図書館拡充強化経費は必ず捻出してもらうというように、本委員会意思表示をなされんことを、委員長よりも各委員におはからいの上、適当なる案文をつくられまして、御善処あられんことを要望してやまないのであります。
  22. 伊東岩男

    伊東委員長 神辻君の動議に対しましては全員熱烈なる御賛成がございました。案文その他については委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 伊東岩男

    伊東委員長 御異議がなければさように決します。
  24. 庄司一郎

    庄司委員 はなはた時間も時間でございますが、お許しをいただいてほんの三分か五分の短かいお伺いを申し上げ、かる卑見の一端を申し上げて、まとめていただけるようにお願い申し上げたいのであります。  それは、十五箇年の長い間国会図書館にお世話になつて参りました本員といたしまして気のついたことでございますが、国会図書館の中には、明治二十三年以降、具体的に申し上げると尾崎行雄大先輩を初め国会議員の各位が、自由民権とかあるいはルソーの民約説とか、その時代から翻訳あるいは創作、編纂なされたところの著書が相当多いと思うのであります。年々国会事務局よりわれわれに交付されるところの議員名鑑という、写真並びに経歴の載つておるものを見ましても、著作のある国会議員は相当多いのでございます。たとえば最近においては辻寛二君の随筆物なんかは、これはベスト・セラーとまでは行きませんけれども、相当洛陽の紙価を高めておられます。古いところでは吉植庄亮君の歌集、これも十幾つかの歌集を単行本として発行されております。あるいはただいま社会党におきましては片山さんで、るとか杉山さんであるとかあるいは水谷長三郎君であるとか、その他多くの方方のきわめて有意義なる社会主義文献等の翻訳あるいは独創的の警告がたくさんあられるのであります。国会を去られ、あるいは物故せられた方でありましても、たとえば小山鼎浦先生、ただいまの小山倉之助君の兄さんであります。この方が書かれた木がまとめられた鼎浦全集のごときは、その内容はわが国最初の社会学——ゾンバルトあるいはヘルバルトの社会学を翻訳されたものが鼎浦全集の中にあります。これは明治三十六年かの翻訳でございますが、わが国に最ねにこの社会単なるもののまとまつた体系をなしておるものを翻訳して単行本として出版された方は、当時の衆議院議員であつた小川鼎浦先生、そのころ毎日新聞の編集長をなさつておられました。弟さんの倉之助先生もマーシャル経済を日本に紹介された先駆者であります。あるいは北吟吉氏の哲学概説、あるいはまた委日長あなたの青年教育論であるとか、神近委員の婦人解放問題に関する幾多の著書であるとか、その他多くのわれわれ国会議員としての先輩並びに同僚諸君のうちには、内容のゆたかなまた権威のある著作及び翻訳書というものが相当ございます。私の概算においてはおそらく、五、六千冊になつているだろうと思うのであります。中には何版も版を重ねまして、その時代々々においてベスト・セラーとなつた著書もある。こういう文献が散逸してしまうということはまことに残念なことであると考えております。国会図書飢の中の一部屋あるいは一つのブツク・ケースの中に、日本の古い明治三十三年以降の国会議員の御古労なされたるところの文献図書あるいは翻訳等を、たとえば国会議員文庫とかなんとかというような名前のもとに収架していただいて、これを後世に残して行く。またただいま議題となつておりますとこるの調査立法考査局拡大強化についても、明治二十年代の自由民権の時代において、われわれの先覚者が苦心をして書かれたものの中にはどういうものがあるかということを、ひとり外国の糟粕をなめるばかりではない、われわれの先輩のつくられたところの文献によつて、参考資料を得られる場合もあり得ると私どもは考えておるのであります。  そこでどうか、昔の言葉でいえば貴衆両院、現在の参議院の方々も加えられまして、国会議員の翻訳、著作、創作等々、それは政治、経済、文学、芸術、あらゆる方面にわたつて、それらの本を持つておられるところの諸君よりは無料で快く御寄贈を受けることも一つ方法でありましよう、あるいは神田あたりの古本屋をあさつて集めることも一つ方法でありましようが、たとえば外国国会議員日本に来られ、国会を見学され、国会図書館をごらんになつた場合において、日本国会議員が過去五十年間においてものしたるところの文献はかようにあるということが、一つのケースあるいは一つ部屋にありますならば、わが国の国会議員の持つ権威を高めるゆえんにもなろうと思うのであります。また国会図書館調査立法考査局等においても、長い間には御参考の一端になり得ることであると思うのであります。これには多少の予算措置が伴うことと思いまするが、さしあたり昭和二十九年度予算等において、五百万ないし一千万円の予算増額要求すること等によつて、これは向うご箇年とか十箇年とか長い計画でお集めを願いたい。そうしてそれよりよく、古びたる本はこれを補整し、これを処理しておきまして、長いわが国の将来の文化に、明治以降の国会録員の苦労難難して書いたところの文献が残つていることができ得るように、さような御処置を当委員会においてお諮りの上、何とかこの私の念願をものになるように御配慮をお願い申し上げたい。なおこれらに対して館長金森先生の御意見はいかがでございますか、参考のために承つておきたいと思う次第でございます。
  25. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 ただいまお話になりました国会及び国会の前身であつたものの議員各位のおつくりになつた、あるいは御翻訳になつたところの書物を一つの一部屋にまとめて、国立会図書館に保存しよう、こういうお考えは実は今までかすかに心には上せましたけれども予算その他の関係がありまして、まだ手がそこまで及んでいなかつた問題であります。書物の大部分は上野の図書館の中に含んでおりますために、おそらく相当のものは、無理にでも努力して発見しようとすればある上思いますが、今御説明のように、わかりやすいところに一まとめにしておくということは、実は今までやつていなかつたことが不十分でありまして、今後どうしてもやりたいと思つております。今の御趣旨に基き面して、まだ十分そういう方々の書物の目録の研究もできておりませんが、そちらの方から着手をいたしまして、予算その他の措置を講じて、できるだけ早く御趣旨に沿いたいものと考えております。
  26. 岡良一

    岡委員 時間がありませんから、簡単にこの機会に館長のお気持の率直な上ころを氷りたのですが、総じて、外国国会議事堂を訪れますると、私ども特に印象を強く受けますのは、たとえばローマでも、ベルリンでも、あるいはロンドンでもそうでありますが、ほとんどミユージアムなんです。だから階段の踊り場とか控室には、当代のあるいは年代の有名な彫刻家や両家の絵や彫刻が並べられまして、まつたくミュージアムに入つたような感じがいたします。そういうことで国会議事堂の空気が非常に高い洗練された文化的な雰囲気をただよわしておるわけ、であります。そういうところから日本国会に入りますと、実にうたた荒涼たる思いがいたします。私ども党としても常にそういう問題について心ある者が寄つて話しておるのですが、これは議院運営委員会の庶務小委員会でもだめだし、福祉小委員会でもだめだ。結局国会図書館の傍系的な仕事かもしれないが、多くの書籍を備えて議員にあらゆる面において文化的なレベルのために奉仕をしておられる国会図書館あたりが、こういう点について国会そのものの文化的な雰囲気、ひいてはまた国会議員そのものの文化的水準を高める意味において、書物だけではなく、あるいは日本の古い民族的な芸術でもいいし、あるいはまた新しく封切りされた映画でもいい、そういうようなものに努めて議員が接触するような機会を提供するということは、やはり国会図書館仕事ではないだろうかという話をしておるわけですが、そういう点について館長は、どう思われますか。
  27. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 実は外国図書館なんかを見ますときに、その沿革が古いのと蓄積が多いのとによりまして、実際うらやましい、実用向きという程度を越えまして、その中に一国の誇るべき空気が含まれておる、こういう感じを、実はアメリカだけの経験でございまするけれども、数箇所の経験において感じたわけであります。ただいまのところでは、図書館は建物も自分のものを持つておりませんので、今ほんとうに揺籃の中におる赤ん坊のような立場でありますが、遠からずわれわれの希望いたしますように本建築ができて、図書館の建物が完備いたしましたならば、そのときにある程度まではそういう考えをもつて、荒涼たる図書館ではなくて、相当の国会図書館らしいあたたかみを持つものにしたいという希望を持つております。但し、美術館その他の特別なものとの関係もございまして、ものを保存するという意味において強く行くのではなくて、国会図書館及び議院関係の諸般の施設を美しくして、ほどよきものにする、こういう限度しおいて、ある程度の考慮はいたさなければならぬものかと考えております。
  28. 伊東岩男

    伊東委員長 ただいま庄司君及び岡君から非常に熱心なる、しかも新しい御意見が出たのであります。二十九年度予算に実現するように、いろいろ資料等の関係もありましようが、図書館長においてしかるべく御処置あらんことを希望いたします。  神近さんの動議に対しては委員長において適当に処置することにいたましす。  次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十二分散会