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瀧本政府委員 人事院が先般
勧告をいたしました
給与準則のうちの
教員俸給関係について簡単に御
説明申し上げます。
給与準則は
職階制を
基礎といたしておりますので、
現行給与法の
体系の
わく内でこれをいたそうとするものではありません。新しく
職階制に基いて
考えて
参ろうというわけでございます。たとえば
中小学校あるいは
高等学校にいたしましても、現在の
給与体系で申しまするならば、
職務の
内容は違わないのでありますけれ
ども、なおかつ六級、七級、八級と
昇格して参るというような
事情がございます。これは
行政職等につきましては、級というものがある
程度は
職務の困難、複雑の
程度と結びついておりまするが、しかし
教育職の場合にはほとんどそういうことがないのであります。従いまして
年限が参りますれば、
昇格の
年数に達して
昇格して参る。
国家公務員でありますならば、
級別定数というものの
制限がございますから、その
制限の範囲内で、すなわち上の
職務にあきがありますれば
昇格するというような状況によりまして順次
昇格して参り、
昇給して参るというような
体系に相な
つておるのでございます。
給与準則におきましてはそういうことをやめまして、たとえば
高等学校あるいは
中小学校でございましても、
教諭でありますれば、これは
職務内容は同じでありますから、
一つの
等級の中でずつと
昇給して参る。
昇格というようなことはもうやめにするという
考え方であります。従いましてわれわれの
教員俸給表の
体系におきましては、
大学それから
高等学校、
中小学校以下、こういうふうに表の上では三表に表をわけております。その表をわけた
理由はあとで申し上げるといたしまして、たとえば
中小学校のところについて、どういう
体系で
俸給表ができておるかということを申し上げますならば、
一等級というのがこれは
校長でございます。
校長というものはこれは
教育管理者といたしまして、普通の
教員より別のまた
職務内容が負荷されております。そういう
関係がございまして、
等級がわけてございます。
教諭は二
等級でございます。
教諭というものは勤めまして
校長になりません限りは、
同一職務内容でございますので、同じ
等級で
考えておるわけであります。それから助
教諭というものが三
等級でございます。こういうふうにこの
俸給表の中におきましては、
等級を
三つにわけております。そして
一つの
等級の中におきましては、それぞれ要求される
最低資格要件、すなわちどういう
学校を卒業いたしました場合に
中小学校の
教員になれる、二
等級になれるというような、その
最低資格要件に応じまして、
最低号俸を定めておる、こういう
関係にな
つております。
一番問題になりますのは、
教員の二
等級というところでございますから、そこだけについて申し上げますならば、
俸給の幅がずつと伸びております。先ほど申し上げるのを忘れたのでありますが、われわれの新しいこの
教員俸給表というものは、
給与準則に基いておるのでありますが、その
俸給の
基礎になります
通し号俸というものは、これを
現行給与法と同様に採用いたしております。従いましてたとえば
中学校の
教員でありますれば、
最低号俸が
現行給与法の
通し号俸におきまする十六号、それから
最高号俸が六十三号、こういう
俸給の幅にいたしております。これは相当広い幅でございまして、
教諭として就職されまして、そして長年月、おそらくは二十年ないしは三十年
教諭としてお勤めになりましても、
昇格をずつといたして参るという
体系でございます。そういうふうにして六十三号まで定めてございます。御参考までに申し上げますならば、
現行給与法におきましては、
中学校の
教諭は十二級というところまで行き得るのでございます。十二級の
最高号俸は六十号でございます。これは六十三号まで伸ばしてございますから、従いまして
現行給与法より有利な取扱いをいたしておる。先ほど申し上げたことでございまするが、この
昇格というようなことの
級別定数というようなことはございませんから、従いまして
わく外に出るというような心配もございませんし、その点もずいぶん
現行給与法に比べれば合理化されておるのでありますが、さらに
俸給表の幅を六十三号まで伸ばした、こういう
方法によりまして、非常に幅の広い
俸給表をつく
つておる。これは実情に適するということのためでございます。
高等学校におきましても同様の
方法でや
つておるのでありまするが、
高等学校におきましては
最低号俸十九号、これは要求れさます
最低資格要件に応じておるものであります。また
高等学校の場合におきましては、
最高号俸を六十五号というところまで伸ばしております。これはいろいろ
理由があるのでありますが、たとえば
中学校の
教諭になりあるいは
高等学校の
教諭になる人もあるのでありますが、そういう人々のおよそ勤めます
年数という点も考慮してございます。それからまた現に
教員免許法によりますと、
高等学校一級普通教員免許状と、それから
中学校以下の
一級普通教員免許状と、その要求される
資格要件が違うわけでございますから、そういう点も加味いたしまして、この
最高号俸のところは二号の差をつけておるのであります。しかしこの六十三号といい、穴十四号といい、六十五号といい、こういうところはおそらくは勤めまして二十五年、三十年後に到達いたすところでございますから、現実の問題としてはあまり問題にならないところではなかろうかというふうに
考えております。なお
中学校の場合におきましては、多くの方は
校長になり得る機会が、
高等学校に比べまして非常に多いわけでございますが、かりに
校長になれるといたしますれば、これは
俸給の幅は六十五号まで伸ばしてございますから、大十五号まで行き得る道があるわけでございます。ただいま申し上げておりますのは、
成規の
昇給としてそこまで行き得るということでございまして、われわれが定めておりまする
給与体系におきましては、
最高号俸に達しましてもなおその上に
わく外昇給というものがございます。これはあるいは少し
昇給の
期間は伸びまするが、
絶体昇給ができないというものではございません。そういうわけでありまして、
俸給表を組み立てておる。われわれは
職階制に基いておりまするがゆえに、
俸給について
職給を
等級に当てはめます際に、
職給の
給与の幅が違いますれば、これを同じ
等級に入れるということができがたいのでございます。従いまして
中学校、
小学校以下の場合と、
高等学校の場合を同じ
等級に入れるということができません。これをかりに一表にいたすということもできるのでありますが、ところがそういたしますれば、
一等級、二
等級、三
等級というような
言葉を使うことになる。かりに
高等学校の
教諭を二
等級といたしまして、
中学校以下の
教諭を三
等級ということにいたしますれば、
ちよつと見かけは
高等学校の方がえらいのだというような感じを与えないとも限りません。ところがわれわれは、
職務内容の
比較ということは現在的確になおできがたい
事情にあるのでありまして、これはむしろ
比較をいたさないように、別の
俸給表にいたした方が無難である、その方がより好ましいということで、
高等学校と
中小学校をわけていたしておる。
大学のところが違うことは、これは申し上げるまでもありません。従いましてわれわれの
給与準則の
体系におきましては、三表の
教員関係の
俸給表をつく
つておるわけでございます。
ところで先ほど
ちよつと申し上げるのを落したのでありまするが、われわれの
給与準則の
体系におきましては、この
通し号俸制度というものを、
現行給与法におけると同じように
基礎として使
つて行こう。これは
教員関係だけではございません。あらゆる
職域について使おう。その際に現在のような
事情のもとにおきましては、
等級別に
昇給速度をかえるということもいろいろ
考えてはみたのでありますけれ
ども、なおかつ少し無理があるのではなかろうかというようなことから、現在
給与法においてとられておりますと同様に、すなわち
通し号俸の三十八号までは六箇月、六十号までは九箇月、その上は一年というような
昇給期間、これはその
通し号俸の
号俸がいずれの
等級にありましようとも、そういう
昇給期間をと
つて行こう。若干生活給的なにおいがいたすのでありますが、現在の
事情のもとにおきましては、そういうことをやるのが適当であろうというふうに
考えております。従いましてこのことは
教員俸給表につきましても行われるのであります。
大学俸給表、それから
高等学校、
中小学校それぞれ表は違いましても、
昇給速度が違うということはないのであります。それからまた
初任給は、これは修得いたしました学歴によりまして、いずれの
学校に
参ろうとも同様にきめて参るという
規則を堅持しております。こういうわけであります。
以上が
人事院勧告の
教員俸給表の大要でございます。