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1953-07-28 第16回国会 衆議院 人事委員会文部委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十八日(火曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員  人事委員会    委員長 川島正次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 田中  好君    理事 永田 亮一君 理事 加賀田 進君    理事 受田 新吉君 理事 山口 好一君       本間 俊一君    池田 清志君       小山倉之助君    舘林三喜男君       櫻井 奎夫君    森 三樹二君       池田 禎治君  文部委員会    委員長 辻  寛一君    理事 原田  憲君 理事 田中 久雄君    理事 前田榮之助君 理事 中村 梅吉君       相川 勝六君    尾関 義一君       竹尾  弌君    安井 大吉君       今井  耕君    高津 正道君       野原  覺君    山崎 始男君  出席国務大臣         文 部 大 臣 大達 茂雄君  出席政府委員         法制局次長   林  修三君         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     瀧本 忠男君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     田中 義男君  委員外出席者         文部事務官         (大臣官房人事         課長)     平野 出見君         文部事務官         (大学学術局教         職員養成課長) 前田 充明君         専  門  員 安倍 三郎君         専  門  員 遠山信一郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案益谷秀次君外二十三名提出、衆法  四二号)     —————————————
  2. 川島正次郎

    川島委員長 これより人事委員会文部委員会連合審査会を開会いたします。  協議の決定に基きまして私が委員長職務を行います。  ただいまより一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について審査を行います。まず提案者趣旨説明を聴取いたします。赤城宗徳君。     —————————————
  3. 赤城宗徳

    赤城委員 教職員給与に関しましては、御承知通り現在給与法におきまして一般俸給表によつて給与決定されておるのでありますが、教育職員特殊性にかんがみまして、一般俸給表からこれを分離いたしまして、紋別俸給表によつて教職員給与決定したいということが提案趣旨の第一であります。そのようにいたしまして級別俸給表三つつくりました。これは大学高等学校あるいは中小学校等のそれぞれの職域に応じて、それに適当なる給与俸給を立てた方がよかろうということで三本にいたしたわけであります。  第一に、給与の額の決定でありますが、この提案しました俸給表のうち、四級から十一級までにはそれぞれ調整号俸が一号現在ついておりますので、一般俸給表本俸に一号だけの調整号俸を加えた額をもつて、それぞれの俸給表号俸の額といたしたのであります。これによりまして調整号俸として扱われておつたものが本俸に繰入れられることになりますので、中小学校高等学校大学を通じて名目上の優遇をはかるということが一つであります。  次に、中小学校及び高等学校大学を通じまして最高号俸を引延したのであります。中小学校におきましては、現在教諭最高号俸は三万一千九百円で、通し号俸で言いますれば六十号でありまするが、これを三万五千九百円、通し号俸で大十三号まで延ばしたのであります。校長につきましては現在三万一千九百円、通し号俸で大十号のところを三万八千八百円、通し号俸で六十五号のところまで、中小学校につきまして延ばしたわけであります。高等学校におきましては、現在教諭最高号俸が三万一千九百円、六十号でありまするところを、三万八千八百円、大十五号にまで延ばしたのであります。校長につきましては、三万一千九百円のところを四万三千三百円まで、六十八号まで延ばしたのであります。大学におきましては、教授の点におきまして四万六千三百円は、七十号で現在と同じでありますが、時に大学院を置く学校等におきましては、国際的にりつぱな教授もおるというような関係から、これを五万一千二百円、七十三号まで延ばしたのであります。  第三には、職域の差を認めるというような関係から、中小学校高等学校との間に最高号俸の点で差異をつくつたばかりではなく、提案しました級号のうち、四級——現在は七級になつておりますが、四級から八級、現在の十一級まで一号俸づつ上げてあるのであります。また大学におきましては、高等学校で四級から八級まで上げてあります上に、九級より十級まで一号をさらに上げて、各学校等の特色を織込んだ給与体系をつくつて提案申し上げた次第でございます。  なお附則におきましてこの切りかえに必要なるそれぞれの措置を講じて、現在受けておる給与よりも低くならざるように、不利な立場に立たないような措置を、切りかえにあたつてするように附則においてきめておる次第でございます。  以上提案理由を御説明申し上げましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに、御可決願いますれば幸いに存じます。
  4. 川島正次郎

    川島委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。野原覺君。
  5. 野原覺

    野原委員 私はただいまの御説明に対しての質問をいたします前に、委員長お願いがあるのですが、先般人事院から給与準則勧告されておるはずであります。従つてただいま提案せられた給与法案審議は、人事院勧告説明を承らなければ十分な審議ができない、このように考えますので、人事院給与準則について勧告いたしましたその内容を、重点的でよろしゆうございますから御説明お願いいたしまして、その上で私の質問を行うようにおとりはからいくださるようお願いいたします。
  6. 川島正次郎

  7. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院が先般勧告をいたしました給与準則のうちの教員俸給関係について簡単に御説明申し上げます。  給与準則職階制基礎といたしておりますので、現行給与法体系わく内でこれをいたそうとするものではありません。新しく職階制に基いて考え参ろうというわけでございます。たとえば中小学校あるいは高等学校にいたしましても、現在の給与体系で申しまするならば、職務内容は違わないのでありますけれども、なおかつ六級、七級、八級と昇格して参るというような事情がございます。これは行政職等につきましては、級というものがある程度職務の困難、複雑の程度と結びついておりまするが、しかし教育職の場合にはほとんどそういうことがないのであります。従いまして年限が参りますれば、昇格年数に達して昇格して参る。国家公務員でありますならば、級別定数というものの制限がございますから、その制限の範囲内で、すなわち上の職務にあきがありますれば昇格するというような状況によりまして順次昇格して参り、昇給して参るというような体系に相なつておるのでございます。給与準則におきましてはそういうことをやめまして、たとえば高等学校あるいは中小学校でございましても、教諭でありますれば、これは職務内容は同じでありますから、一つ等級の中でずつと昇給して参る。昇格というようなことはもうやめにするという考え方であります。従いましてわれわれの教員俸給表体系におきましては、大学それから高等学校中小学校以下、こういうふうに表の上では三表に表をわけております。その表をわけた理由はあとで申し上げるといたしまして、たとえば中小学校のところについて、どういう体系俸給表ができておるかということを申し上げますならば、一等級というのがこれは校長でございます。校長というものはこれは教育管理者といたしまして、普通の教員より別のまた職務内容が負荷されております。そういう関係がございまして、等級がわけてございます。教諭は二等級でございます。教諭というものは勤めまして校長になりません限りは、同一職務内容でございますので、同じ等級考えておるわけであります。それから助教諭というものが三等級でございます。こういうふうにこの俸給表の中におきましては、等級三つにわけております。そして一つ等級の中におきましては、それぞれ要求される最低資格要件、すなわちどういう学校を卒業いたしました場合に中小学校教員になれる、二等級になれるというような、その最低資格要件に応じまして、最低号俸を定めておる、こういう関係になつております。  一番問題になりますのは、教員の二等級というところでございますから、そこだけについて申し上げますならば、俸給の幅がずつと伸びております。先ほど申し上げるのを忘れたのでありますが、われわれの新しいこの教員俸給表というものは、給与準則に基いておるのでありますが、その俸給基礎になります通し号俸というものは、これを現行給与法と同様に採用いたしております。従いましてたとえば中学校教員でありますれば、最低号俸現行給与法通し号俸におきまする十六号、それから最高号俸が六十三号、こういう俸給の幅にいたしております。これは相当広い幅でございまして、教諭として就職されまして、そして長年月、おそらくは二十年ないしは三十年教諭としてお勤めになりましても、昇格をずつといたして参るという体系でございます。そういうふうにして六十三号まで定めてございます。御参考までに申し上げますならば、現行給与法におきましては、中学校教諭は十二級というところまで行き得るのでございます。十二級の最高号俸は六十号でございます。これは六十三号まで伸ばしてございますから、従いまして現行給与法より有利な取扱いをいたしておる。先ほど申し上げたことでございまするが、この昇格というようなことの級別定数というようなことはございませんから、従いましてわく外に出るというような心配もございませんし、その点もずいぶん現行給与法に比べれば合理化されておるのでありますが、さらに俸給表の幅を六十三号まで伸ばした、こういう方法によりまして、非常に幅の広い俸給表をつくつておる。これは実情に適するということのためでございます。高等学校におきましても同様の方法でやつておるのでありまするが、高等学校におきましては最低号俸十九号、これは要求れさます最低資格要件に応じておるものであります。また高等学校の場合におきましては、最高号俸を六十五号というところまで伸ばしております。これはいろいろ理由があるのでありますが、たとえば中学校教諭になりあるいは高等学校教諭になる人もあるのでありますが、そういう人々のおよそ勤めます年数という点も考慮してございます。それからまた現に教員免許法によりますと、高等学校一級普通教員免許状と、それから中学校以下の一級普通教員免許状と、その要求される資格要件が違うわけでございますから、そういう点も加味いたしまして、この最高号俸のところは二号の差をつけておるのであります。しかしこの六十三号といい、穴十四号といい、六十五号といい、こういうところはおそらくは勤めまして二十五年、三十年後に到達いたすところでございますから、現実の問題としてはあまり問題にならないところではなかろうかというふうに考えております。なお中学校の場合におきましては、多くの方は校長になり得る機会が、高等学校に比べまして非常に多いわけでございますが、かりに校長になれるといたしますれば、これは俸給の幅は六十五号まで伸ばしてございますから、大十五号まで行き得る道があるわけでございます。ただいま申し上げておりますのは、成規昇給としてそこまで行き得るということでございまして、われわれが定めておりまする給与体系におきましては、最高号俸に達しましてもなおその上にわく外昇給というものがございます。これはあるいは少し昇給期間は伸びまするが、絶体昇給ができないというものではございません。そういうわけでありまして、俸給表を組み立てておる。われわれは職階制に基いておりまするがゆえに、俸給について職給等級に当てはめます際に、職給給与の幅が違いますれば、これを同じ等級に入れるということができがたいのでございます。従いまして中学校小学校以下の場合と、高等学校の場合を同じ等級に入れるということができません。これをかりに一表にいたすということもできるのでありますが、ところがそういたしますれば、一等級、二等級、三等級というような言葉を使うことになる。かりに高等学校教諭を二等級といたしまして、中学校以下の教諭を三等級ということにいたしますれば、ちよつと見かけは高等学校の方がえらいのだというような感じを与えないとも限りません。ところがわれわれは、職務内容比較ということは現在的確になおできがたい事情にあるのでありまして、これはむしろ比較をいたさないように、別の俸給表にいたした方が無難である、その方がより好ましいということで、高等学校中小学校をわけていたしておる。大学のところが違うことは、これは申し上げるまでもありません。従いましてわれわれの給与準則体系におきましては、三表の教員関係俸給表をつくつておるわけでございます。  ところで先ほどちよつと申し上げるのを落したのでありまするが、われわれの給与準則体系におきましては、この通し号俸制度というものを、現行給与法におけると同じように基礎として使つて行こう。これは教員関係だけではございません。あらゆる職域について使おう。その際に現在のような事情のもとにおきましては、等級別昇給速度をかえるということもいろいろ考えてはみたのでありますけれども、なおかつ少し無理があるのではなかろうかというようなことから、現在給与法においてとられておりますと同様に、すなわち通し号俸の三十八号までは六箇月、六十号までは九箇月、その上は一年というような昇給期間、これはその通し号俸号俸がいずれの等級にありましようとも、そういう昇給期間をとつて行こう。若干生活給的なにおいがいたすのでありますが、現在の事情のもとにおきましては、そういうことをやるのが適当であろうというふうに考えております。従いましてこのことは教員俸給表につきましても行われるのであります。大学俸給表、それから高等学校中小学校それぞれ表は違いましても、昇給速度が違うということはないのであります。それからまた初任給は、これは修得いたしました学歴によりまして、いずれの学校参ろうとも同様にきめて参るという規則を堅持しております。こういうわけであります。  以上が人事院勧告教員俸給表の大要でございます。
  8. 野原覺

    野原委員 説明がきわめて簡単でございまするので、私はこの点はなはだ遺憾に思うのでございますけれども、しかしながら時間の関係もありますから、次の点について御質問を申し上げたいと思うのであります。大きくわけましてまず第一点は、公務員制度の上からながめまして、このような給与改正法律案がはたして妥当かどうかという点が一つであります。第二点は給与準則との関連上から御質問いたしたいと思います。特にこの点はただいま人事院から御説明のありました、先般人事院勧告いたしましたことと対比してお尋ねをしたいと思います。第三点は、改正法律案の中に紋別俸給表が出されておりまするので、この点についてお伺いをいたします。第四番目は、最後の附則、第五番目には概括的なもの、このようにわけて御質問をいたしますので、提案者は明確な御答弁をされるように、前もつてお願いをいたします。  まず第一点の公務員制度の上からながめまして、この一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案は非常な問題点を包含しておると私は思うのであります。その一つは、公務員制度の上に立つてこれを考えます場合に、この改正法律案のいわゆる教員俸給三本建、この体系では、公務員任用制度の上からながめて、不合理なものを来す結果になりはしないかと私は憂えるのでございまするが、この点いかがお考えでございますか、お伺いいたします。
  9. 赤城宗徳

    赤城委員 公務員制度のうちで、教職員は、一般俸給表を今当てはめられておるわけでありますが、御承知通り給与法の中でも、教育職員についてはすみやかに特別俸給表をつくるようにという規定があるわけであります。そういうことで四、五年懸案になつておる問題でありますので、公務員給与法の中でも、教職員を引出して特別俸給表をつくつて、それに当てはめるということはうたわれていることでありますので、その点は公務員制度の中でも根拠があるわけであります。  次に特別俸給表をつくつて、しかもそれを三本建にしたことが公務員制度の全体から見て妥当なりやいなや、こういうお尋ねのようでありますが、教育職員特別俸給表に出した以上、そしてまた学校教育法等におきましても、小学校においては御承知通り普通教育といいますか、中学校においては中等普通教育高等学校においては高等普通教育のほかに、専門教育を施すことを目的とする、こういうふうに教育職員法等においても目的がかわつておるのであります。そういう点から考えましても、教育職員俸給一般俸給表から分離して特別俸給表をつくるといたしますならば、その学校目的等に従いましてこれを三つにわけることが、これは公務員制度全体から見ましても、あるいは学校職員特殊性から見ましても妥当である、こういう見解からさようにわけた次第でございます。
  10. 野原覺

    野原委員 私がお尋ねしておりますのは、今日の学校教師資格というものは、あなたが御承知のように、新制大学を卒業するということになつておるのであります。小学校におきましても、高等学校におきましてもそうであります。ところが、小中の義務制にありましては十分な教師の補充ができないというので、二年制の大学制度を一部とつておるわけであります。そういう点から考えた場合に、六・三新学制が実施される以前までは、小学校教師師範学校を卒業することがその資格要件でございました。旧制中学校いわゆる今日の高等学校におきましては、大学を卒業すること、つまり高等師範学校を卒業するということが資格要件になつていたのであります。ところが新しい学制がしかれてからそのような差別がなくなつておるのでございます。よろしゆうございますね。しかるにもかかわりませず、このような差別的な三本建給与体系をつくるということは、こういつた教員養成制度の上から考えて、ある者は小学校を選択し、ある者は中学校を選択し、高等学校を選択する。同じ年限大学で勉強して、そういうように選択することになつておるのにもかかわらず、実は給与の面では差等がございまするので、ほとんど優秀な者という優秀な者は全部高等学校を選択するということになつた場合には、これは明らかに公務員としての任用制度考えなければならない。大いに不合理なものを来すのではないか、このことを私はお尋ねしておるのでありまするから、この点に対して御答弁お願いしたい。
  11. 赤城宗徳

    赤城委員 お話の通りであります。技術的になりますが、本俸給表三つにわけましても、同一学校を出て、高等学校に就職いたそうとも、中小学校に就職いたそうとも、その初任給につきましては、現在の人事院規則できめておりますように、差別は設けない、こういう方針をとつておるのであります。ただ今御指摘のように、途中で一号俸つておりますので、そういう関係から高等学校へ志望が殺到するのではないか、こういうお尋ねだと思います。その点は見方にもよりましようが、おのおのいろいろな事情によりまして必ずしもそうとばかりは行かない。またかりにそう行くといたしましても、これは需要給供という関係がありまして、高等学校の数も少いので、全部を収容するわけにも行かないのじやないか、こういう見方をしておる次第であります。
  12. 野原覺

    野原委員 その点が私と提案者の認織上のたいへんな相違でございます。そこでただいま御答弁を承りまして、昇給差別を設ける意思は決してないのだ、これが提案者のお考えであるとすれば、給与について三本建というものは、単刀直入に申し上げまして、不必要ではございませんか。ところがここに明らかに三本建が設けられ、しかも四級から九級までは、これは数字の読める人ならだれでもわかるように、差等がつけられてあるのでございます。この点についてのあなたの御説明はなお不十分であると思う。しかしながらこのことはおいおい次の質疑によつて私はその真意をただしたいと思いまするから、ただいまはこの点の見解についてのお尋ねは保留しておきましよう。  そこで第二点の質問でございますが、私ども見解によりますと、給与を定める場合にあたりましては、少くとも仕事種類同一職種に対しましては俸給表同一にならなければならない。もちろん俸給の高下はございます。しかし仕事種類が同じである職種の場合には、俸給表同一のものが適用されるべきであるという見解を私どもは持つておるのであります。これは人事院からも後ほど御答弁お願いいたしたいのでありますが、政府が今日までとつて参りました職階制の本質もそこにあつたのではないかと私は考えますが、この面に対する御見解を承りたいと思います。
  13. 赤城宗徳

    赤城委員 もちろん仕事種類が同じならば、俸給は同じだということになると思いますが、提案者の意図といたしましては、小、中学校高等学校大学等職域におきまして、仕事種類が違つておる。仕事種類といいますか、その條件には、複雑だとか、困難だとか、いろいろありましようけれども、そういう点から違つておる。こういう観点から見ておりますので、これを区別した、こういうことにした次第であります。
  14. 野原覺

    野原委員 たいへんな御答弁であります。これは大問題でございます。小学校中学校高等学校は同じ性質、同じ種類仕事である、こういう私の見方に対して、仕事種類が異なるということでございますが、この点はまことにこれはたいへんな御見解であります。そこで文部大臣にお伺いいたします。文部大臣小学校中学校高等学校と、これらの仕事性質は一体違うものであるかどうか、文部大臣の御見解はいかがでございますか。
  15. 赤城宗徳

    赤城委員 先ほど申し上げましたように、種類が違うというふうに厳格に申されるとどうも恐縮なんですが、目的等につきまして、中等学校以上に専門教育をしなければならぬというような負担といいますか、そういうものが高等学校においては負荷されておる、こういう見方でありまして、それをはつきり種類が違うというような厳格な意味において申し上げたのではないのでございます。
  16. 大達茂雄

    大達国務大臣 これは言葉の問題でもあろうかと思いますが、私は中、小学校高等学校との職としての種類が違うとは思つておりません。しかしながらその教職の仕事内容においては、やはり中等学校高等学校とは違いが——種類とは申しませんが、仕事内容が複雑であるとか、あるいはさらに高等の学問が必要である、あるいは勉強が必要であるという点で、違いがある、こう思つております。
  17. 野原覺

    野原委員 ただいまお二人の御答弁を承りまして、そういう意味の違いでございましたならば、これは仕事種類同一であるという私の見解と、相達するものでありません。そういう制度の違いならば、小学校の一年と六年も違うのです。小学校の三年と中学校の三年は違うのです。小学校中学校高等学校学校差を設けた学校差の本質的な違いにはなりません。私に言わせるならば、たとえば授業時間数を考えてみましよう。これは労働重という点に関係がございます。小学校中学校におきましては、文部省の統計は存じませんが、私どもの調査では、一週間二十四時間授業をやつております。高等学校は大体それが十八時間ということでございます。これは一体どういうことでございましようか。なおまた教育技術という点から考えましても、なるほど教科としての専門的な修養の面、教養の面においては、程度の高いものが要求されることは私も認めますが、教育技術という点におきましては、年齢の低いほどその技術の修練を要するのであります。現在ある教員がどうだということは別にして、少くとも私どもが文教方針を立てる場合には、小学校教師ほど教授、訓練、養護、その他学校管理、学級経営、この修練を十分要するところの研究を大学でさせなければならない。こういうところに新制大学四年制課程をとつた理由があろうと私は思うのです。なおまた、子供に教える場合に、その対象から考えてみましても、小、中学校においては知能の低い者もございます。ぼんやりもあります。精神薄弱児もあれば、片輪の者も相当あるのです。選択された子供ではありませんから、教授、訓練、養護をやる場合に、非常な困難を来すのであります。しかも一人の教師が、原則として全教科を持たなければならないということもあるのです。こういうことはお触れにならないで、単に教科の程度がどうだから、あたかも高等学校の先生の場合は非常な高い給与をやらなければならないかのような、そういう裏づけを持つた職種のような御答弁を、私は不満に思うのであります。  そこで次の御質問を申し上げますが、教員給与をきめる場合には、学歴ということをまず考えなければならない。これは提案者もそうなつておるのでございますが、大学を卒業した場合、専門学校を卒業した場合、あるいはその他の場合では、これは明らかに考えてやらなければならない。それと同時に、勤務年数ということも考えてやらなければならない。学歴、勤務年数が同じの場合には、東京大学を卒業して十五年の者は、高等学校に奉職すると、小学校に奉職するとを問わず、同じ待遇でなければ、ほんとうの意味の充実された日本の教育はあり得ないと思うのですが、この点に対してはいかがお考えでございますか。
  18. 赤城宗徳

    赤城委員 提案者といたしましても、教育の尊重というようなところに差別を設けておるわけでもありませんし、また教育において御質問のように下に行くほど重大であるということも、一応は考えられるのでありますが、現状におきましては、高等学校の方が、上に行くほど実は骨が折れる。時間にいたしましても、今御指摘のように、中学校あるいは小学校等においては時間もよけいかかるかもしれませんが、教育そのものに時間はかからぬでも、高等学校なら高等学校専門教育をして行くということになりますれば、相当の年輩、相当学力が向上しておる生徒を相手にしておりますので、これに対して研修とか個人的な研究も十二分にしなければならない。こういうことでロードがかかつておるといいますか、そういうような関係もあるのじやないか、こういうふうな見方をしておるのであります。なお学歴等におきましては、御指摘のように学歴に差をつけるべきではない。この俸給は四級から一号俸つておりますが、これは切りかえのときの上り方でありまして、その後学歴によつて差はついて来ない。むしろこの一号上げたのは、御承知のように初任給というものが、新制大学を出ますると、六級三号の八千百五十円、これは教育免許法などの関係もありまして、新制大学を出ましても中等学校におきましては一級免許状をもらえるが、高等学校においては二級免許状しかもらえない。三年たつてさらに十五単位の修得をして初めて一級免許状をとる、こういうようなことで苦心をしておるという関係もありますので、切りかえの際にそういうことも勘案して、四級から一号上げる、これができ上りました後におきましては勤務年数等において差をつけて行くというような形には持つて行きたくない、こういうふうに考えております。
  19. 野原覺

    野原委員 私の質問同一学歴、同一勤務年数教員給与というものは同一俸給でなければならない。同一学歴、同一勤務年数であるならば待遇は同一であるということが原則だ、こういう私の質問なんです。これに対して赤城さんは、違つてもよいという御見解ですか。はかのことはよろしいですから、そこのところをはつきり伺いたい。
  20. 赤城宗徳

    赤城委員 提案はそれぞれ三つ学校職域差を設けておりますので、そういう関係から言いますれば、御指摘少原則を幾分離れるということは、職域差を認める結果これはいたしかたがない。こういうふうに考えております。
  21. 野原覺

    野原委員 だんだん御見解を承りながら、このような法案がどういう考え方の上に立つて組まれて来たかが、私には大よそつかめつつあるのでありますが、なおはつきりこれをつかみたいと思いますので、重ねてお尋ねをいたします。  その前に私赤城さんに申し上げたいのですが、東京の愛宕中学校校長、全国中学校長会長をしておる野口明という人のあることはあなたも御存じでありましよう。この方は今日中央教育審議会の委員をされております。戦争前におきましては高等学校の最も有能な教師でございましたが、敗戦後六・三新学制が設けられまして、どうしてもこの六・三の三をより充実したものを打立てなかつたならば、りつぱな日本国民をつくることができないという、教育者としての良心から、みずから新制中学校に飛び込んで、そうして全国中学校校長会長として今日健闘されております。この野口明さんの場合を考えてみましても、いかがでございますか。私はこれは一例として申し上げますが、高等学校中学校と、こういう差別的な給与体系を設けて、今日日本の優秀な教師を、たまたま義務制におるからといつて差別をつけられた場合、これがはたして日本の教育をまじめに考えた法案であるかどうかということを詰問をされて、あなた方は何という御答弁をなさいますか。この点に関する御見解を承りたいと思います。
  22. 赤城宗徳

    赤城委員 先ほどから申し上げておりますように、中小学校だから卑しいとか低いとか、あるいは高等学校だから尊重するとか、こういうことではありませんので、現状におきまして高等学校給与中小学校給与の均衡がとれておらぬということもありますし、これは附加的な問題でありますが、職域の差をわれわれ認めますので、その職域おのおのに適当した給与こそやはり公平である。こういうふうに考えているために、高等学校給与を一号上げたから中小学校教育をおそまつにするとか尊重しないとか、そういう非良心的な考え方で法案を提出しているわけではないのであります。
  23. 野原覺

    野原委員 義務制学校を同等に考えるというならば——これは押し返し問答になりますが、こういうような差別的な三本建て、しかも小中の場合は低い程度に押えるということは、あつてはいけないことではないですか。この点に対するあなたの御答弁はなつていないと思う。いかがでありますか。
  24. 赤城宗徳

    赤城委員 これは根本的な改正案ではありません。現行法における一般俸給表から特別俸給表を切り出したのでありますから、ここで中小学校までどうこうということになりますれば、一般公務員との均衡を破つてしまいます。しかもこの給与体系からして、十五級の範囲内できめなければならぬという事情でありますから、現在でき得る最大限度において改正をしよう、こういうことでありますから、御指摘のように中小学校を下に置くというわけではない。中小学校におきましても最高号俸はそれぞれ延ばしている、そして待遇の改善をはかろうではないか、こういうことなのであります。
  25. 野原覺

    野原委員 私の質問に対して文部大臣としてはどういう御見解でありますか、文部大臣としての御見解を承りたい。
  26. 大達茂雄

    大達国務大臣 職域によつて俸給に差を設ける方がいいかということについては、提案者から御説明を申し上げましたが、私から重ねて申し上げる必要もないと思います。ただこれは考え方でありまして、その職域について俸給の上に差を設けましてもそれが小中学校を軽んずるということにはならぬと思つております。
  27. 野原覺

    野原委員 職域によつて差を設けても小中学校を軽んずることにはならないということの理由は述べられておりません。その理由を伺いたい。
  28. 大達茂雄

    大達国務大臣 これは御意見はありましう。しかし先ほど申し上げましたように、小中学校高等学校の場合に、いわゆる職種が違つているということでないまでも、その教育といいますか、教職員仕事内容が違つておる。ことに高等学校においては、小中学校と違つて、どうしても高い程度の学問なりあるいは研究というものが、教職員の側において要求せられておる。今日の教員俸給は、大体学歴を中心にして考えられておるのであります。そうして高等学校においては、小中学校と比べて比較的高い研究、学問が必要であるということは常識でもありますし、また先ほどもお話が出ましたが、高等学校の一級免許状と中小学校の一級免許状とには、学歴の上の資格上の差別が設けられておるのであります。でありますから、従来のごとくやるということも一つ考え方でありましよう。しかしまたこういう点から見て、高等学校については、職域の上から多少の差等を設けて行くということも一つ考え方でありまして、それが絶対にいけないのだとか、絶対にそうしなければならぬのだとか、そういうものではない、実情に応じてきめればよろしい、そういう考えであります。
  29. 野原覺

    野原委員 私は決して高等学校教員給与を低く押えよということを言つておるのではないのです。小中学校高等学校とわけて、三本建によつて差別するものの考考え方についてお尋ねをしておる。従つて高等学校教師は、一般的にいつて、学歴程度が高いから、給与の高いことは当然でございます。しかしながらこのことは、給与を私どもが定める場合に、勤続年数と学歴を條件として定めるのですから、その限りにおいて、この條件によつてただいま私の申し上げたことの解決は可能なのです。  そこで私は大臣にもう一度お尋ねいたしまするが、同じ條件下にある校長教員中学校におるわけです。あなたは御存じでございますか。東京大学、京都大学というような、旧制大学を卒業した者が、何人小学校におり、何人中学校におるか、大臣は御調査になられたことがございますか、承りたい。
  30. 田中義男

    田中(義)政府委員 私からお答え申し上げます。お話の旧制大学を出ました者が、公立高等学校におきましては、約二万人と考えております。それに対しまして、小中学校におきましては、八千人、これが私どものおよその見込みであります。
  31. 野原覺

    野原委員 小学校におきましては、正確に言うならば、一千二十四人おります。中学校におきましては、六千三百十人おる。この者を一体どうするか。この者を全部高等学校にでも採用切りかえいたしまして、そうして現在高等学校におるところの、専門学校を卒業した程度の者を、中学校にまたお返しになるのかどうか。そこのところを私は大臣にお尋ねしたいと思う。
  32. 大達茂雄

    大達国務大臣 かりにこの議員提出の法律案が成立いたしました場合に、政府としてさようなことをするように特別の措置をとる、もしくはそうすることを一般に指導勧告する気持はありません。
  33. 野原覺

    野原委員 このことは次の給与準則との関連もございますから、後ほどお尋ねいたします。  そこで私は人事院質問をいたしますが、私の考えるところでは、職階制というのは、任用上の点から言うならば、能力主義を実現するために役立つものであり、給与の上から申しますならば、同等労働、同等賃金を保障するために役立つものでなければならないと考えますが、人事院はどのような見解を持つておりますか。
  34. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院給与の問題につきましては、公務員法で規定してありますところに従いまして、いろいろと施策を進めておる次第であります。公務員法によりますと、職務と責任に応じて給与はなされるとありますが、これが原則であろうと思います。ただしかし俸給表を作成いたしますにつきましては、生計費等も十分考慮しなければならないというようなことが書いてあります。これはおそらくは、その職務と責任に基いてやると同時に、その生活面からの考慮も十分しなければならぬものである、こういうふうに言つておるものであろうと思うのであります。それから職級を区切りますときには、同一の幅の俸給を適用することが適当であるようなものをまとめまして職級とする、こういうことになつておる次第であります。
  35. 野原覺

    野原委員 重ねて人事院お尋ねいたしますが、ただいま赤城さんほかの提案せられておるこの改正法律案というものは、人事院のそういつたものの考え方から言うならば、逆な行き方をとつた法律案であると私は思う。人事院は独立の機関でございます。決してあなた方は拘泥されないで、良心的な御見解をこの場でひとつおつしやつていただきたい。私は、逆な行き方をとつた法律案であると思うのですが、いかがでございますか。
  36. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 この法律案提案されまして、その後われわれといたしましても、いろいろ研究はいたしております。しかしながらまだ案につきまして、どういう精神でそういうものができておるのか、十分承知していないところもあるのでありまして、この批判ということになりますと、もう少し慎重に研究した上でないとできにくいというように考える次第であります。
  37. 野原覺

    野原委員 まあ御無理もない御答弁かと思いますから、これ以上私は人事院は追究しないでおきましよう。  そこで重ねて提案者お尋ねいたしますが、先ほど御説明がありました通り人事院はすでに給与準則勧告をいたしております。しかもこの給与準則は、給与に関する恒久的なものである。ところが、あなたが御提案になりましたこの総与改正法案は、給与の別表を見てもわかるように暫定的なものである。恒久的な、人事院が敗戦以来実に六年近い日子を費してやつとまとめたこの給与準則というものをたな上げにして、何をもつて暫定的な、こういうにわかづくりのものを一体出されたのか、私はその真意を把握するのに苦しむのであります。いかがでございますか。
  38. 赤城宗徳

    赤城委員 この給与法をつくる際に、御承知通り特別表が出ております。税務職員におきましても、警察職員につきましても、特別俸給表が出ておりまして、これらはいずれも暫定的なものである、こういうことになつております。というのは、ただいま野原さん御指摘のように、追つて給与準則が出るからというような含みであろうと思います。それで第二段に御指摘のように、今給与準則勧告が出ているじやないか、出ているのにもかかわらずこういう法案を出すのはどうか、こういうことでありますが、これは実は給与準則が出る前から用意しておつたのであります。というのは、先ほど申し上げましたように、給与法の中でも、教育職員につきましては特別の俸給表をつくるべきだ、こういうことがもう四、五年来の懸案になつておりますので、そういう関係から、教育職員特別俸給表をつくることを急いでおつたのであります。それで提案の時期が、たまたま給与準則勧告があつた翌日かになつたわけでありますが、給与準則が出たからというわけではないのであります。それからまた御承知通り、今の給与準則はベース・アツプを含めておりますので、これにつきまして政府から法律案として提案される時期というものが私どもとしてはまだ見通しがつかない、こういう関係から見まして、教育職特別俸給表をつくるということは、もう四、五年来、研究を要するというような歴史的過程もありますので、そういう関係からこれを提出した次第でございます。
  39. 野原覺

    野原委員 私の質問に対する答弁として私は不満です。御承知のように教員給与に関する責任機関は人事院です。現実に人事院給与準則を出しておる。あなたは与党であり、あなたにそれだけの熱意があるならば、これを政府に要求して、そして人事院勧告の実現に努力されることが至当であるにもかかわらず、人事院勧告とはまつたく違つたといつてもよい、私に言わせるならば、何らこの勧告の精神が考えられていないところの法律案をここに出して来たということが納得できない。そこでお尋ねしますが、法律案を提出するにあたつて、あなた方は人事院見解を聞かれたかどうか。
  40. 赤城宗徳

    赤城委員 人事院給与準則等がやはり教員俸給三本建にしておるというようなこと、それから号俸を伸ばしておるというようなことにおきまして人事院とそうまつたく逆なような考え方とは思つておりません。それからさきにありましたように、俸給は労働量に対する報酬だ、こういうような考え方でありますけれども考え方はごもつともでありまして、そのために職域案をわれわれは認めますので、差額ができて来ておる、こういうことであります。  それからまた人事院の意見を徴したかどうかということでありますが、先ほど野原さんから御指摘のように、人事院は独立機関でありまして、政府の下についておるものではありません。われわれとしては、これをどうせいとかこうせいとかどういつたというようなことを聞くことは遠慮いたしまして、ただ調査を進める資料として、個人的にはいろいろ意見も聞いたことがありますが、これは意見というよりも資料であります。そのように御承知願いたいと思います。
  41. 野原覺

    野原委員 人事院見解を聞くということは、人事院見解に拘束されるということではないことはもとより当然です。いやしくも今日給与の準則が出されておるのです。しかも御承知のように人事院は、専門家が集まつて、長い間これに対して科学的な検討を加えて来ておるのです。そうしてしろうとが、はつきり言いますが、私もしろうとです、国会議員といえども給与に関しては専門家ではない。専門的な独立機関の人事院見解を一応徴するということは、いやしくも議員立法を良心的にしようとするときに当然とるべき措置でございます。何らそうことはない。そこでもう一度お尋ねしますが、事前にこういう法律案を出すということを人事院と連絡をとられてやられたのであるかどうかお伺いします。
  42. 赤城宗徳

    赤城委員 先ほどお答えしましたように、人事院を拘束するような結果になつては私どもとしてはいけないと考えておりましたので、正式に人事院と打合せしたり、あるいはこういう内容法律を出すというようなことはしていませんが、繰返して申し上げますように、個人的に人事院の資料とか意見とかいうことにつきましては、十分な調査研究をした次第でございます。
  43. 野原覺

    野原委員 時間も制約されておりますから、別表第六の教育職員級別俸給表を中心としてお尋ねをいたします。まず第一にお伺いいたしたいことは、私の知つておる限りでは、研究医療職の俸給表に関しましては一本になつておると思います。上は大病院の院長さんから、医学界において貢献をしておる老先生から、下は見習看護婦、あるいは歯医者の技工にいたるまで、一本の俸給表でやつておりますのに、どういうわけで教育職だけ特に三本にしなければならない必要があるのでございましようか。その根拠をお伺いいたしたいと思います。
  44. 赤城宗徳

    赤城委員 教育職につきまして特別俸給表をつくりましたのは、繰返して申し上げるように、給与法において教育職特別俸給表をつくるように懸案になつておりましたのでつくつたのであります。  なお医療等の問題については、今度の給与準則によつても別に方法を立ててあるようでありますので、給与準則が成立することになれば、それをまつてさしつかえないのじやないかという考え方からでございます。
  45. 野原覺

    野原委員 そういたしますと、こういつた三本にした俸給表をつくる場合に、人事院勧告をいたしております給与準則の、あの八つの俸給表がありますが、あの俸給表をどの程度取入れて、どういう総合的な判断をされて、こういう三つの表にしたのか承りたい。
  46. 赤城宗徳

    赤城委員 大体各学校とも頭打ちの状況がありますので、私どものところへもいろいろ話をされる人もありましたが、結局号俸を伸ばそうということについて、人事院給与準則とほとんど一致しておつたわけであります。大学の点について私ども考えたのは、九経の七号俸から三号だけ伸ばしましたのは、これは大学教授の中に相当国際的なりつぱな方もありますし、割合に不遇な人もあるということで、大学院を置く学校について教授号俸を伸ばしたわけであります。あるいは大学の総長等におきましても、もつと号俸を伸ばして行きたいと考えたのでありますが、現在の十五級、通し号俸から行きますと六十五号が最高俸でありますので、これは最高俸にとどめた、こういうことにいたした次第であります。
  47. 野原覺

    野原委員 どうも焦点がはずれておるのです。しかしそのことはおいおい明らかにして行きたいと思います。大学特別俸給表を見てみますと、一般職俸給表と比べて、まず九級と十一級においては三号俸伸ばされておる。どういうものか十二級は二号俸縮めておるのですが、これは何か魂胆があつてこの表をつくられたように私どもは受取らざるを得ない、これは一体どういうわけですか。
  48. 赤城宗徳

    赤城委員 これは大体級別定数表があるわけであります。それに当てはめて、頭打ちのしないように、ちようどそれだけに入れて行つたのが、これになつておるわけであります。
  49. 野原覺

    野原委員 間違いはないですか。
  50. 赤城宗徳

    赤城委員 そうです。
  51. 野原覺

    野原委員 そういたしますと、高等学校の場合はどうなんですか。高等学校も、ただいまと同じ理由でありますか。
  52. 赤城宗徳

    赤城委員 同じであります。
  53. 野原覺

    野原委員 小、中学校も……。
  54. 赤城宗徳

    赤城委員 さようでございます。
  55. 野原覺

    野原委員 では次にお尋ねいたしますが、一級から三級までは、どの表を見ましても全計演じ金額でございますが、四級から九級までは、同じ号俸でも、義務制の小、中学校高等学校大学と、金額が異なつております。そして十級を見てみますと、小、中学校高等学校が同じになつて大学だけが違つておるのです。この点は、先ほど来から私が質問しないにもかかわらず、ちよつとお触れになつたのですが、三本建給与の最も大事な点でありますので、重ねて、どういうわけでこういうことにしたのか、お尋ねいたします。
  56. 赤城宗徳

    赤城委員 先ほどちよつと触れましたが、高等学校で見ますと、改正案の三級二号八千百五十円が、現在の六級三号の初任級です。初任級で三年間、高等学校でいいますれば、二級免許証をもらつて三年間たつて、十五単位をとるということになりますれば、一級上るわけであります。一級上げたいということから考えますと、四級から上げて行くということが一つ方法であります。と同時に、今の基準表によりますと、この表によります四級から九級までの間が、ちようど中、小学校及び高等学校においても、校長になり得る級の間になつております。こういう関係で、小、中学校及び高等学校校長になり得るリストというものを考えてみますと、小学校においては、校長になり得る率も非常にいい。中学校においては、もう少し悪いけれども、まあいい。しかし高等学校になりますと、校長になり得る率が非常に少い。こういうことになつておりますので、教諭が大体校長にはなり得ないのだから、教諭の点で一号ずつの差をつけた方がいいのだろうということで、こういう差をつけました。というのは、私どもやはり職域という差を認めておりますので、こういうような処置をとつたのであります。それからまた大学におきましては、教授の点をよくしなければいかぬということで、大学におきましては、さらに十級を一号上げたのであります。十一級を上げなかつたのは、先ほどの答弁で私は表を間違えて読みましたが、大学院の方は第一表丁の十一級の七号から九号まででありまして、先ほど答弁のときに間違えました。それから総長の最高俸が六万九千円で、八十二号が最高俸であつたのを、ちよつと読み違えて申し上げましたから、訂正しておきます。今のような事情で、高等学校においては四級から九級まで一号上つております。大学におきましては、四級から十級まで上つております。こういうことであります。
  57. 野原覺

    野原委員 まことに複雑怪奇です。この表は、何と御答弁されましようとも、私はその辺がどうもまだ納得ができない。そこでお尋ねしますが、ただいまの御答弁によりますと、小学校中学校校長になる率が高いけれども高等学校は低いので、こういう配慮を加えたということでありますが、一体小学校中学校、特に中学校の場合は、相当な者が校長になれない比率は、どのくらいになりましようか。十一分の一程度校長で、十一分の十ぐらいが校長になれない。校長になれない者に差等をつける。校長の場合は号俸調整というもので考えられておるからというお考えのように思いますが、校長になれない者は、ほつたらかしにしてかまわないという御見解ですか。承りたい。
  58. 赤城宗徳

    赤城委員 校長になれない者をほつたらかしておくという見解ではございません。校長になる率が、高等学校では少いから、せめて教諭の方を一号上げよう。しかしこれがこの俸給表をつくつた原則ではありません。われわれ職域の差を認めておりますので、職域の差を認めた以上、号俸だけを延ばして行くということであつては、ほんとうに職域の差を認めたということになりませんので、給与の点におきましても、一号程度は違いを設けるべきだということが原則で、その原則に当てはめて、どこから上げて行ごうかという一つの参考として、校長になる率が少いということを申し上げたのでありまして、それだからこれを上げたのだということではないのでありますから、御了承願いたいと思います。
  59. 野原覺

    野原委員 実はこの表が出ましてから——特にこの表をつくるにあたつての根本的なものの考え方が、何回も言われておるように、職域の差を認めた考え方の上に立つておる。  このことが、今日ただいま全国六十万の義務制学校教師に非常な動揺を来しておるという事実を、あなたは御存じですか。このことを一体どう把握しておるのか、承りたい。
  60. 赤城宗徳

    赤城委員 動揺を来しておるかどうか、詳しくは知りませんが、動揺を来しておるだろうというような推察はできるのであります。しかし私どものものの考え方といたしましては、中、小学校におきましても、その待遇を悪くするというわけではない。むしろ号俸を延ばして行つて待遇をよくして行こうということであり、高等学校においては、またそれよりも少し延ばして行く、あるいは号俸をかえて行く、あるいは大学におきましては、また非常に号俸を延ばしておるというようなことで、おのおの学校においての十二分な教育の機能を発揮してもらいたいという念願からでありますから、かりに、全国六十万の小、中学校教職員の方方が動揺しておるといたしましても、この法案の内容がだんだんわかつて来るといたしますならば、了解をしてもらえるのじやないかというふうに、私ども考えております。
  61. 野原覺

    野原委員 それは残念ながらもつてのほかであります。内容がわかつて来たら、もつともつと動揺する。そこお尋ねしますが、この別表を見てみますと、どの表にも備考が付せられてございまして、「本表は、暫定的のものであつて、」としてあるのでございますか、これが暫定的なものであるならば、せつかく給与準則人事院から出ておりますから——ああいうりつぱな、科学的に検討されたもの、これには不満があつても、大衆は納得できる。人事院を一応信頼するのです。長い間非常な苦心をされて、統計的な上に立つて、諸外国の文献もあさり、それから労働賃金というものを実際的に研究しておるものですから、大衆は不満なるものがあつても、ある程度納得する。ところがそういうものはほつたらかしにしておいて、なぜ「暫定的のもの」と断つて、わざわざ暫定的なものをここに出さなければならぬのか。一体この「暫定的」とはどういう内容を持つているのですか、お尋ねします。
  62. 赤城宗徳

    赤城委員 御承知通り給与法一般俸給表から特別俸給表を分離しておりますのは、税務職員とか警察職員とかその他あります。この特別俸給表には、それぞれ本表は暫定的なものである、こういうふうに書いてあるのであります。その例にならつてこれも暫定的なものというふうに書いたのでありますが、その意味は、やはり人事院給与準則が出ますれば、今の一般給与法の建前と連つて、職階法を十二分に組み入れたものでありまして、こういう十五級というような級の建て方と違つて来るわけであります。こういうわけでありますからして、給与準則が出てかわつて来ますれば、この表というものは、当てはめ方、構成が違つて来るわけであります。こういうことでありますので、これは暫定的だ、こういうふうに書いておいたわけであります。
  63. 野原覺

    野原委員 暫定的というのは、やはり二つの内容があるのじやございませんか。内容の上から考えて、これは完璧なものでないので暫定というものを付したということ、従つて実施期間の上においても、せつかく人事院が準則の勧告をしておるのであるから、こういうようなものは暫定的に置きたい、こういう御趣旨でこういう言葉が附加せられておると思うのですが、間違いございませんか。
  64. 赤城宗徳

    赤城委員 御承知通り、議員立法でありまするから完璧とは考えておりません。そういう意味におきましては御指摘のようかと思いますが、主としては、この構成といいますか、この俸給表の立て方が違つておるということに重点を置いて「暫定的」という言葉を使つたことと、この給与法の慣例といいますか、ほかの特別俸給表におきましてもそういうことになつておりますので、それとのつり合いからもこういう字句を入れたのであります。
  65. 野原覺

    野原委員 そこで暫定的ということにされておりますので、全国の教員に動揺を与えるようなにわかづくりの暫定的なものはお出しにならないで、せつかく人事院が恒久的なものを勧告しておるのでございますから、そちらの方に行く、これが最も妥当なお考え方でなければならぬと思うのですが、いかがでございますか。
  66. 赤城宗徳

    赤城委員 人事院の方のは、まだ十二分に研究しておりませんし、質問もしておりません。人事院考え方とはつきり違つているところはどこかというところまで研究はしておりませんが、われわれは、国権の最高機関として議院としての考え方はこういうふうであるというようなことから出しておりますので、これが人事院給与準則と違つているということであれば、これができますならば、やはり議院の考え方が人事院の方に反映するのではないか、そういうことも考えておりますので、人事院給与準則を待つてそれまでというよりは、先ほど申し上げたように、教育職員俸給につきましては、特別の俸給表を当てはめようということが今までの懸案でありますので、これを御審議つている次第であります。
  67. 野原覺

    野原委員 給与準則をつくる場合に、人事院勧告すらも研究されないとは一体何事でしよう。拘束される必要はございませんが、人事院勧告しておるのに、あなた方の方は、これについてその検討もしていないということは重大なことだと思いますが、いかがですか。
  68. 赤城宗徳

    赤城委員 検討をしておらないわけではありません。十二分に検討をしたが、先刻給与局長も、人事院の方でこの法案を十二分に研究しておらないから、ほんとうの差異がどこにあるかということがなかなかわからないと言つておりますように、われわれも研究は十分にしておりますが、人事院の細則とか規則とかいうものがどういうふうに現われて来るかということまではまだ検討しておりませんので、そういう意味で、そういう検討はしていない、こういうことを申し上げた次第でございます。
  69. 野原覺

    野原委員 このことは速記録をお調べになれば、私が質問したことが間違いであるかどうかがわかります。そこで元にもどりまして、四級から九級まで操作をされている切りかえ措置について質問をいたします。これは明らかに一種の昇給昇格ではないかと思いますが、いかがですか。
  70. 赤城宗徳

    赤城委員 給与法の規定による昇給昇格ではありませんけれども、切りかえにあたつて一般俸給表から特別俸給表に移す、こういう一つ理由がありますれば、特別俸給表は、たいてい労働の強さとかいうことからいろいろな事情がありましようが、特別俸給表に移るので、切りかえの際には、結果においてはこれは昇給というようなことに相なると思います。
  71. 野原覺

    野原委員 附則を読んでみますと、「直近上位の額とする。」とありますが、こういうような措置は、明らかに事実上の昇給昇格であると私は思う。給与法第八條の昇給昇格の規定に、このようなやり万の昇給昇格は抵触すると思いますが、いかがですか。
  72. 赤城宗徳

    赤城委員 一つの例を申し上げますと、昭和二十五年の給与法の中にあるのでありますが、昭和二十五年法律第二百九十九号附則七項に、「第四項の規定により職務の級における俸給の幅の最低額に達しない俸給月額を受ける職員については、一般職職員給与に関する法律第八條第四項の規定にかかわらず、附則別表第一の新俸給月額欄に掲げる俸給月額を用いて、昇給させることができる。」とありまして、こういうような経過規定も前にあるのであります。一般俸給表から特別俸給表に移す場合には、号によつてないような場合もありますし、こういう関係から切りかえの結果昇給するというようなことはあり得るので、これが給与法の第八條四項に抵触するとは私ども考えておらないのであります。
  73. 野原覺

    野原委員 この点に対して人事院見解お尋ねします。すなわち私の質問しておることは、このような切りかえ措置に基く昇給昇格といえどもこれは事実上の昇格昇給ではないか、そうなりますと、給与法第八條に抵触するものではないか、こういう質問でありますが、人事院見解を承りたい。
  74. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 これは法律技術問題であろうかと思います。従いまして今法律技術的なことを申し上げるわけでございますが、給与法八條におきましては、一般的な昇給のやり方等について決定をいたしておるわけでありますが、新しくかりに法律改正しようとして、そうしてかりにその法律が通るといたします。その場合に、その附則に八條の例外的なことが書かれてあつたとするならば、その法律が通ればその点は有効であろう。従いまして八條にかかわらず、こういう措置がこの法律のこの附則に基いて行われても、それは何も技術的には違法ではありません。
  75. 野原覺

    野原委員 この点は人事院見解は承りましたが、私はさらに法制局の見解を、日をあらためてお尋ねしたいと思つております。第八條の規定違反という問題は相当重大に考えておりますので、この点は後日に譲りたいと思います。  そこで次の質問を申し上げますが、文部大臣お尋ねをいたしたいと思います。とにかくこういう三本建俸給をとる、そういうような文教政策というものは、いろいろな点から考慮いたしまして、今日の新学制の充実発展、特に六・三制の充実発展という上からまことに遺憾な措置であると考えるのでございますが、大臣は新学制の充実発展の上から、このような三本建給与は望ましいことであるとお考えですか、お伺いいたします。
  76. 大達茂雄

    大達国務大臣 政府におきましては人事院勧告に基いて、教職員給与に関する準則を検討いたしまして、いずれ国会に提出するつもりでおつたのであります。しかるところ議員提出によつてこの法律案が議員側から提案を見たのであります。そのためこれは私から責任をもつて賛成、反対ということを申し上げることはできないのであります。形式的に申しましても、これは総理府の所管であります。そうしてこれは実は関係各省寄つて討議をしておるわけであります。大蔵省も関係して有りますし、自治庁も関係しております。でありますから政府としてこう患うということを、私から申し上げることは控えたいと思います。ただ文部省の考えといたしましては、いろいろこれは議論があろうかと思いますけれども、しかしただいまお話になりましたように、この法律案では六・三義務制教育の育成の上に困る、こういう点は考えておりません。
  77. 野原覺

    野原委員 私は文部委員でありますから、文部大臣文部委員会の劈頭においてお示しになられました文教政策の一般方針を、文部大臣は思い起していただきたいと思う。あなたは最初に義務教育の刷新、充実ということを、あなたの努力目標の第一に掲げていらつしやるはずであります。このような三本建給与体系、しかも、ただいま御答弁を聞いておりますると、はつきり申し上げます、支離滅裂です。理論も根拠も適確なものがない。恒久的な人事院給与準則があるにもかかわらず、暫定的なにわかづくりのものを出して来た。なぜ出して来たかというその理由がはなはだ不明確である。とにかくこれがよきにせよあしきにせよ、こういう暫定的なものを出して、しかも教育界を混乱、動揺させるという給与体系のこの改正案が、あなたが唱えておる義務教育の刷新、充実という点から考えて望ましいのか、遺憾なのか、これを大臣として率直に御表明願いたいと思います。
  78. 大達茂雄

    大達国務大臣 私が申し上げたのは、この法律案が成立をしても、それが義務教育刷新の上に非常に妨げになるとは考えていないということを申し上げたのであります。
  79. 野原覺

    野原委員 政党内閣の文部大臣としての現実をまざまざと見せつけられた思いがいたしまして、私はまことに遺憾にたえません。どういう理由であなたはこれが義務教育の刷新、充実に影響ないと断言されるのか承りたい。
  80. 大達茂雄

    大達国務大臣 野原君のおつしやる点は、この法律案が成立した場合に、非常に中小学校教職員に動揺を与える、また現に動揺をしている。そこからしてこれが義務教育の刷新充実という点から見て遺憾である、こういうふうにおつしやつているのであろうと思います。私はなぜこの法律策が義務教育の刷新、充実の上に非常に遺憾な点を残すかという点を了解できない。
  81. 野原覺

    野原委員 これはもう一度委員長から御注意を受けなければならないと、思いますが、遺憾だという点の上に立つて今日ただいままで質問をして来ておりますが、大臣はそうでなく答えて来たのだろうと思うのです。もう一ぺん遺憾な点を申し上げましようか。これは大臣がわからないと仰せられますから申し上げますが、先ほど来野口校長の例を引いて申し上げましたが、給与というものは、同一学歴、同一勤務年数の上に立つて考えらるべきではないか。同一学歴ということを考えられるならば、しかも学歴を勤務年数に換算する場合の比率を相当大幅に考えてやるならば、今日の高等学校教職員の要求も満たされるし、なおまた同じ大学四年を卒業して義務制に配置されている教員が、たまたま高等学校に行つていないという理由で、不当な低い地位に置かれることもないし、同時にまた新制大学を卒業する場合に、学芸大学に入学する場合に、小学校中学校という義務制教師になることを、優秀な教師といえども希望する、こういう差別的な給与体系をつくると、大学に入学する者がやはり同じ勤務年数をやつて月給の高い方に行くのは当然です。これでは困るではないか。今日ただいま学校に奉職している教師が不満を感ずるばかりでなしに、今後の義務教育の刷新、充実という点から見て、教員制度というものは御承知のように新制大学四年卒業ということが小中学校の定則になつております。今日そういう点から見て、まことに遺憾であるという見解を持つているが、いかがですか、望ましいですか。
  82. 大達茂雄

    大達国務大臣 なるほどおつしやる通り大学を出た、いわゆる教職員を希望する人が待遇のいい関係で、高等学校に行く、またそれを希望するということが実際上はあろうかと思います。しかしこの法律案が現在の小中学校教職員の待遇を低下させるということは一つもないのであります。もちろん小中学校については資格要件の定められるところによつて、一定の資格を持つた人が入つて来るのであります。従つて私はこれによつて義務教育が後退するということはないと思うのでありまして、今日私どもは義務教育教職員の素質の向上には、最も力を入れて努力をしているのであります。なるほど今日の学校教職員の素質というものは、率直に言つて必ずしも満足すべき状態ではないと思うのであります。御承知通り戦争中は一時わが国の教育が事実上中絶をしておつたのであります。また優秀な多数の青年が戦場において死んでいるのであります。ちようど学校の先生になる若い年齢層の人が十分な準備なしに出発した新学制のもとにおいて、非常に優秀な教職員をそろえるということは事実上非常に困難でありまして、現状においても満足すべき状態ではない、これは私は率直に認めざるを得ない。従つて教職員の素質の向上については現在においてもそうでありますが、今後においても最も力を入れてやつて行きたい、こう思うのであります。ただ先ほどもちよつとお話がありましたが、高等学校においてはこれを受ける生徒の年齢が違うのであります。知能の程度が違うのであります。そうして一般の教養という以外に専門的なことを教えなければならない。どうしても同じ学校を出た人でも、何と申しますか割合によくできる人、あるいは教職員に就職してからも実際授業の必要上特別な研究をしなければならない、こういう関係がありまして、それができなければやはり高等学校教育の上にも遺憾な点ができて来る。制度の期待する効果を上げにくい、こういうことが考えられますので、これはしかし意見の違いであるかもしれませんが、かりに高等学校職員についてそういう観点から待遇が区別されて、いい待遇を与えられる、これは高等学校教育成果を上げることになるのでありまして、それがただちに小中学校の刷新充実を阻害する、こういうふうには私は思わないのでありまして、全般的に有資格者の教職員の数におきましても、素質におきましても、これを向上充実させて行きたい、かように考えるのであります。
  83. 川島正次郎

    川島委員長 連合審査会はこの程度で休憩をいたしまして、午後一時から文部委員会人事委員会両方とも開いておりますから、それぞれ終了後にさらに続行をいたします。  なお連合審査会の今後の運営につきましてはそれぞれ理事会を開いて協議をして、また打合せをいたすことにいたしますから、さよう御了承を願います。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後大時十七分開議
  84. 川島正次郎

    川島委員長 休憩前に引続き人事委員会文部委員会連合審査会を再開いたします。  休憩中に御協議いたしました結果、本連合審査会はこれにて散会いたします。     午後六時十八分散会