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岡崎国務大臣 この演習は、軽井沢と一般に言われておるのでありまするが、実は主として妙義山麓で行われるものでありまして、山岳戦の訓練をいたすのであります。駐留軍が山岳戦の訓練学校を持
つておりまして、その生徒を選抜して一クラス約二百人くらいにいたしまして、これを三週間ばかり妙義山麓で訓練をするのでありますが、その第四週間目に約三日間、浅間山のふもとでも
つて最終的の訓練を行う、いわゆるこれはロツク・クライミングをやろうとするものであります。この演習期間は一年のうちで四月から十一月までといたしております。これにつきましてもいろいろ
アメリカ側とも話合いをいたしました結果、この地域を使用するにあたりましては、第一には実弾及び爆弾は使用しない。第二に事務用の車両以外のものは車両は一切使わないし、また車両等は道路以外の地域には入らない。第三には演習地域におきましては、公私の建物はもちろん、神社、仏閣、農地、耕地等にも立ち入らない。さらに農耕、木材の伐出作業、植林計画、採石作業、道路交通その他現地住民の地域内の立入りや、一般の
生活に対しては一切の支障を与えない。さらに現地の
日本側当局の承諾がなければ、木を伐採するということも一切いたさない、こういうことにな
つております。しかし、さらに地元からいろいろ要請がありまして、風紀の問題及び地元民の
生活の問題など提起されておりますので、米軍側と話しましたところが、第一に風紀の問題につきましては、この学校に入学する学生は米軍の各部隊から選抜する優秀な者であ
つて、また指導将校も山岳戦の専門家で特にすぐれたものでありまするから、生徒に対する規律等の遵守は確約できるものであ
つて、地元側の心配されるような種類の問題は発生しないと想像しておるけれ
ども、しいて
希望されるのであるならば、軽井沢とか沓掛とかいうような町には立入りを禁止してさしつかえない。もつとも外出は一週間のうちに土曜、日曜だけでありまして、他のウイークデーは外出を許さないのでありますが、土曜、日曜に外出を許す場合にも、汽車を利用しまして東京方面に行くようにいたすのでさしつかえない。また妙義山麓に約三週間おるわけでありますが、この方面につきましては、その訓練に必要な諸施設には
日本側の人間も雇われるわけでありますが、この雇用の場合には現地の
人々を優先的に採用するし、その他できるだけの便宜を供与するようにいたします、こういうことにな
つております。
最後に例の地震の
研究所の問題でありまするが、これは
アメリカの軍隊の訓練が、右のような次第で、実弾や爆弾は使いませんし、道路以外には車両は通行いたしませんから、特に妨害になるようなことはないと思われますけれ
ども、しかしわからないのでありますから、今おつしや
つたように米国側の係官と
研究所の代表者が懇談しましてただいま現地で実際のテストを行
つております。そのテストの結果は大学の当局から提出されるわけでありまするが、その結果によりまして、もし何らか必要な点があれば、日米両代表間においてこの問題をさらに再検討しようということにな
つております。この山岳戦訓練の候補地につきましては、一昨年以来
日本各地にわたりまして山岳戦の専門家がずつと実地調査をいたしまして、高度であるとか通路であるとか、あるいは水であるとか、その他積雪の模様であるとか、いろいろの条件を勘案しました結果、結局この妙義山麓、それから浅間山という点が一番適当である。こういうことにな
つておるのであります。もちろんまだき
まつたわけでありませんが、もしこれを使用するということになりましても、使用される地域は一部分の地域に限られることになると
考えております。