○小林(進)
委員 証人にお伺いいたしますが、実は、私は、きよう午前中は元の第五
復興区画整理事務所長の
お話を承
つたのでありますが、今度は、今
東京都の
建設局長であられるあなたの御
意見を承
つたのであります。ただ、私は、きよう一日まことに驚愕これ驚いているばかりであります。いやしくも、都会における個人所有の大切な
土地、あるいは個人の地上権、借地権、借家権というものが、ま
つたく一部の人のみで残酷無残な形でこれが取上げられておる。文明開化の民主主義のこの世の中に、人間の最も重大なる財産がこれほどむぞうさに取上げられておるという事実を知
つて、実に私は驚いたのであります。しかも、個人の所有権なり
土地を取上げるそのときの責任者がだれか、局長みずから、さつき、家に帰
つて研究してみなければならぬと言われたので、失礼ながら私はここで大きな声でどな
つたのでありますが、こんなばかげた、暴力にひとしい行為が、この
東京都ばかりじやありません、全国の都市に行われているという事実を知
つて驚いた。
法律の不備を私は言うのじやなくて、あなた方の
考えのあまりにも独裁的な無責任さに驚いたのであります。実は、これは参考までに申し上げますが、
証人もひとつよくお聞取りを願いたい。同じような
土地の取上げ方、交換分合の仕方が農村にもあるのであります。ところが、都会から見ればあの
価値のないいなかにおいて、一体その
土地の交換がどんなふうに行われているか。御
承知のように、全耕作農民の選挙により、農地
委員あるいは農業
委員というものが選出をせられて、この農業
委員が血みどろに
なつて、
会議の上で交換分合の
計画をつく
つて、そしてそれを発表する。ところが、全農民が一尺一寸の
土地の利用
価値、評価の問題で争
つて、今わが日本の農地改革を阻害している一番根本の問題がこの交換分合にあると言われている。政府も、県も、郡も、町村も、その下における農業
委員も、この
土地について、農民のいわゆる私有権というもの、農民の意思というものを侵害できない。しかも、これは見渡す限り同じ平地だ。都会地のように、ここが一等地で、ここが二等地ということはない。どの
土地を見ても同じような
土地である。その
土地の交換分合でも、農民が納得の行くような形に取上げるまでには、数回、数十回、いわば農民の意思を尊重しながらこれをきめて行くというのが、農村における
土地分合の実際のありさまなんだ。しかるに、農村のその
土地の幾十倍、幾百倍となく
価値あるこの都会の
土地だ。しかも、耕地という一般の
土地じやない。その隣からみな
土地の
価値が違
つて行く。それほどバラエテイに富んだ、それほど
価値の違
つているその
土地を、ちつとも所有者の意思を尊重することもなければ、だれが一体責任を持
つてそれを交換分合するのか、その責任者も明らかにならぬような形——いわゆる
都市計画というた
つた一つの命題を掲げただけで、縦横無尽にこれをふんだく
つている。しかも、ふんだく
つているやからが、いわば
東京都における都知事、
建設局長、その下における
区画整理何とか事務所長、その下における
区画整理委員であるというような、まかふかしぎな一本の線が出た。民衆の意向もなければ、所有者の意向もない。か
つて放題に交換分合をや
つているという形だ。しかも、人の私有権をそんなに侵していて、だれが一体責任をとるのかと言
つたら、その責任がだれにあるかわからない、帰
つてから研究しましよう、こういう言い分だ。私はほんとうに驚いた。午前中に
事務所長も、正当に交換分合をや
つて、その地域が非常に
発展し、よくなれば、ここの
住民なんかどう
なつてもいいじやないかというような、そういう答弁の仕方をしでおるのでありますが、こういう
所長がいたのでは、実際
住民は
土地を取上げられでも泣き切れない思
つて、だんだん聞いて
行つたら、なるほど、その上にいらつしやる親方のあなたまでも大体そういうような
考え方でいらつしやる。この親方にしてこの子ありという感じを深くしたのであります。これに対するあなたの明快なるお
考え、もし私の言うことに何か反駁があるならば、反駁の御
意見をひとつ承
つておきたいと思います。