運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-07-29 第16回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十九日(水曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 吉武 惠市君    理事 塚原 俊郎君 理事 中野 四郎君    理事 小林  進君 理事 松田竹千代君       天野 公義君    倉石 忠雄君       三和 精一君    岡部 得三君       栗田 英男君    椎熊 三郎君       北山 愛郎君    山田 長司君       菊川 忠雄君    前田榮之助君  委員外出席者         証     人         (元東京都第五         復興区画整理事         務所長)    本間  定君         証     人         (東京建設局         長)      瀧尾 達也君         証     人         (建設省計画局         長)      澁江 操一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  区画整理事業関係事件     —————————————
  2. 吉武恵市

    吉武委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き区画整理事業関係事件について調査を進めます。ただちに証人より証言を求めることにいたします。ただいまお見えなつておられる方は本間定さんですね。
  3. 本間定

    本間証人 はい。
  4. 吉武恵市

    吉武委員長 あらかじめ文書をもつて承知通り、正式に証人として決定いたしましたから、さよう御了承願います。  それでは、ただいまから区画整理事業関係事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に、証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知なつておいていただきたいと思います。なお、証人公務員として知り得た事実が職務上の祕密に関することであるときは、その旨御申出を願いたいと存じます。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人本間定朗読〕    宣誓書  良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  5. 吉武恵市

    吉武委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  6. 吉武恵市

    吉武委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  それでは尋問に入ります。第一に、証人の略歴をお述べ願いたいと思います。
  7. 本間定

    本間証人 昭和二年東京市の道路局に入りまして以来、各出張所を遍歴しまして、二十六年間勤めまして、一般土木関係をやつておりましたが、ちようど昭和二十三年の十二月にこの区画整理事業出張所ができまして、そこの初代所長になりまして、以来四年間、去年の十月まで所長を勤めて参りました。十月三十一日に退職いたしました。
  8. 吉武恵市

    吉武委員長 退職されて、今日は何をやつておられますか。
  9. 本間定

    本間証人 ただいまは、やはり何も食うかてがないものでして、土木をやつた関係上、一般土木関係土建業の方を幾らか応援という形でやつております。
  10. 吉武恵市

    吉武委員長 それでは、次にお聞きいたしますが、江東地区は前に区画整理実施したことがあるのでありますが、再びこの地区区画整理の対象になつたのはどういうわけでありますか。お述べを願います。
  11. 本間定

    本間証人 それは、すでにもう昨日もお話に出ましたでしようが、東京都としまして、錦糸町が江東地区中心地であり、ひいては千葉県一帯を控えておる副都心ということで、震災で一ぺんやつたのだが、どうしてももう一ぺんやり直して、りつぱな歓楽地帯並びに消費地帯にしようじやないかということが、都市計画法で大体きまつたので、やることになつたのでございます。
  12. 吉武恵市

    吉武委員長 それから、その後その計画は何度かかわつておりますが、それはどういう事情でかわつて参りましたか。
  13. 本間定

    本間証人 計画変更という大きい計画変更はなかつたと思います。ただ、そこに、大きい都立の元の三中とか、あるいは都電車庫いうようなものの移転計画もあつたのでしようが、その後それは実施ができなかつたのですが、全体としては計画変更はなかつたと思います。
  14. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、元の都立三中と都電車庫以外は初めの計画で大体進んでいる、こう心得えていいわけですね。
  15. 本間定

    本間証人 さようでございます。
  16. 吉武恵市

    吉武委員長 それから、その計画は先ほどのお話だと、都の都市計画審議会決定したのですね。
  17. 本間定

    本間証人 さようだと思つております。
  18. 吉武恵市

    吉武委員長 その計画に基いてあなたが現地で実際の実施をやつていた、こういうことになるのですね。
  19. 本間定

    本間証人 はい。
  20. 吉武恵市

    吉武委員長 そこで、今回の区画整理目標というものがあるのでしようが、その目標のおもな点はどこだつたでしようか。また、その目標は現在実施中の区画整理で大体達成せられつつあるかどうか、その点を……。
  21. 本間定

    本間証人 歓楽街江東地区中心街というものをつくりますためには、やはり相当の娯楽設備映画館とか、そういうものがなくちやいかぬという方針が元からあつたので、その通りつておりました。なお、駅前広場も、こういう自費のますますふえておる現在、なお今後もふえる状態でありますので、それに対応する駅前広場設置ということになりますが、その後も、多少の変動はありましたが、設置計画通りつております。
  22. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、目標歓楽街をつくるということと、それから駅の前の広場をつくるという点が大体おもな点ですね。
  23. 本間定

    本間証人 そうです。それと、申し落しましたが、御承知通り都市計画によるということは、道路——交通には道路が一番大切でありまして、五十メーター道路を貫通しよう、千葉街道を五十メーターにしようということになつておりますし、それから、なお、防火道路ということで、百メーター道路もやつておりますけれども、趨勢のおもむくところ、そんなのは必要が認められないというので、三十六メーターなつておりますけれども、道路の拡張ということもあります。
  24. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、その場合の道路をどれくらいにするということ、あるいは駅前広場をどれくらいにするということは、都の方の都市計画審議会ですか、委員会ですか、その方できまるのですね。
  25. 本間定

    本間証人 さようでございます。
  26. 吉武恵市

    吉武委員長 そうして、それに基いて実際の換地やなんかは区画整理委員会できめるのですね。
  27. 本間定

    本間証人 さようでございます。
  28. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、その換地計画はどういう方針でおやりになつておつたのでしようか。
  29. 本間定

    本間証人 換地計画方針といいますと、やはり土地民間の一財産でありますので、地主、借地権者の重大なる権利でありますから、それを従来の価値に匹敵するような場所に選定しようという方針でやつております。なお、過小宅地と言つておりますが、あまりに小さい宅地は、それを御破算にして、あとで清算をして、一応は宅地を与えないというふうな方針でやつておりました。
  30. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、その地区地区についての大体の評価というものをまずやられるわけですね。
  31. 本間定

    本間証人 さようです。
  32. 吉武恵市

    吉武委員長 それから、江東地区区画整理に伴う換地計画で、江東楽天地またはその一部の委員のために非常に有利になつているという不平を言つている面があるのですが、その点はどうでしよう。
  33. 本間定

    本間証人 われわれ公務員といたしまして、重大なる権利を扱う意味におきまして、区画整理となりますと、御不便、御迷惑をかけている以上に、皆さんの重大なる権利を扱うものですから、十分公平無私立場においてやらなくちやいかぬというので、あとでどういうことがありましたかわかりませんが、われわれの立場としましては、先ほど申しましたけれども、換地としましては、従来こういうふうな場所にあつたものはこういうふうな価値のところにやるという、公平無私な立場で今まではやつて来たつもりでおります。
  34. 吉武恵市

    吉武委員長 そこで、この換地計画を立てられる場合に、換地計画役所の方で立てられて、そうしてそれを委員会にかけてきめるという行き方をとつておられたのですか、あるいは、委員会の方に話して、委員会から意見が出たやつをもとにして案を立てるというふうにされたか、あるいは、あなた方が出された案が委員会にかかつて非常に変更されて行くような事情でやられたか、その点、ひとつ、換地計画を立てられて決定するまでの事情を……。
  35. 本間定

    本間証人 やはり区画整理施行者都自身でありますから、あらゆる点におきまして、根本となるものは役所であります。役所において、これが適当じやないかという線はどこまでも出します。しかし、なぜ委員会があるかといいますと、代表ということで委員を選挙してあるので、民意を反映するには、よく事情知つて民間委員各位の御意見を聞いてくれということになつておりますので、やはり委員に諮りまして、これは少し無理ではないかというような意見が出ますと、それを勘案しましてやつておるわけで、役所でやつたものが非常に適切であると言えば、委員各位も何とも言わないで、そのままということになります。
  36. 吉武恵市

    吉武委員長 そこで、その計画を立てられる計画は、建設省の本局の方で立てられるのですか、あなたの方の出先の事務所で立てるのですか。
  37. 本間定

    本間証人 それは、事務所の方としましても、所長並びに課長もおりまして、現場調査の結果、立てまして、それを本庁相談の上、適正であるということにおいて原案というものがきまるわけであります。
  38. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、決裁書類は局長の決裁まで行くのですね。
  39. 本間定

    本間証人 決裁ということは、区画整理におきましては、委員会を通じまして、これでいいということになりまして、それで、それを民間に公表しまして、初めてそれがいいということになるわけでありまして、決裁とか何とかいうことはないわけであります。
  40. 吉武恵市

    吉武委員長 しかし、決定をするときには、役所の方で、これで決定するという決裁があるでしよう。委員会決定した上で、役所がそれに基いて換地なり何なりを実施するときの決裁というものがあるんじやないですか——。課長なんかの。
  41. 本間定

  42. 吉武恵市

    吉武委員長 それはどうなんです。それは所長限りでやつていたのですか。
  43. 本間定

    本間証人 所長限りということではありませんが、委員会決定したものが、本庁相談の上、これでよろしいということになるわけです。
  44. 吉武恵市

    吉武委員長 その書類決裁は。
  45. 本間定

    本間証人 決裁ということはやつておりません。
  46. 吉武恵市

    吉武委員長 やつていない……。それから、次に、江東地区区画整理が終戦後最初に取上げられたが、なかなか進捗が遅れておるのですが、その点はどういうことで遅れがちになつておつたのですか。
  47. 本間定

    本間証人 私も四年間実際に立ち会つてやりましたけれども、遅れていたというのは、東京自体全般が遅れていまして、錦糸地区だけが遅れたとは思つておりません。なお、私の感じますことは、初めの計画によります旧都立三中の問題、それと都電車庫の問題、そういう移転関係があつたので、その交渉なかなかうまくはかどらなかつたという点も、多少遅れたということには原因するんじやないかと思います。
  48. 吉武恵市

    吉武委員長 それから、次にお尋ねしますが、この区画整理をやられている間に、相当地元民の間で不平があつて、あなたのところへ、これはこういうふうにせねばならぬじやないかということは言つて行かなかつたですか。
  49. 本間定

    本間証人 ありました。
  50. 吉武恵市

    吉武委員長 それらについては、どういうふうに処置をされていましたか。
  51. 本間定

    本間証人 その陳情、請願に対しましては、本庁に伝達もしまして、相談しておりましたのですが、やはりわれわれの役所側のやることは正当であるということで、これ以上変更はできないということでやつておりました。
  52. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、今までやつた区画整理について、証人はどういうふうな感想を持つておられますか。いろんな事情があるでしようが、大体自分としては事務的に見て公正にやつたというふうにお考えですか、それとも、いろいろの事情があつて自分の思うようにならなかつたか、どつちですか。
  53. 本間定

    本間証人 思うようにならなかつた点は、旧都立三中も、私が所長になりましてからもずいぶん交渉をやつたのですが、それが思うように行かなかつた移転ができなかつたということがありますが、一般的には思うように行つたと確信しております。
  54. 吉武恵市

    吉武委員長 換地についで、個々の市民の方や、店や、その他の換地についてはどうですか。
  55. 本間定

    本間証人 換地といいますと、これはなかなかめんどうで、こういうふうな土地に五十年も住んでいたのを、こつちの方に動かしたという種類のものもあります。土地を動かされるということは、お互いに長く住んでみれば、なかなかいやな思いをするわけで、それを、土地の狭いところに道路を広げ、公園をつくり、駅前広場をつくるということになりますとどうしでも土地異動ということは免れないのですが、その異動、いわゆる換地にあたりまして、多少の不公平や不平の方もあるでしようが、それは、公というか、全江東地区がよくなるのだということにおいて犠牲を払つていただくということになるのじやないかと思います。この換地問題は、どこでもなかなかめんどうで、紛争のもととなるのでありますが、われわれとしましては、先ほど申しました通り、どこまでも民間りつぱな権利でありますから、それを従来よりも悪くというようなことにはしない、土地の今度よくなる情勢にあてはめて、よくなるようにという換地をしておるのでありまして、われわれは悪いような設計をしたと思つておりません。
  56. 吉武恵市

    吉武委員長 委員の方で御発言ございませんか。——天野公義君。
  57. 天野公義

    天野委員 証人まつ先にお伺いしたいことは、区画整理が途中で変更された点でございますが、最初区画整理計画というのは、あの江東楽天地分散させて、都電車庫及び都立高校をなくして、そうして一大歓楽衡をつくるという計画であつたものが、都立高校移転もできない、都電車庫移転もできないということになつて、住民の方に過重な減歩を強いられ、また非常な飛換地をやらなければならないというような事態なつたと思うのでございますが、根本的な最初出発点と、それから、後に二回ばかりございましたが、計画がかわつて、この実施計画に至つたときには、その最初目的は大半失われておつたのじやないか、このように考えるのでございますが、そういう点はいかがでございますか。
  58. 本間定

    本間証人 それにつきましては、当初の計画は、参画してないので、よくわかりませんが、江東地区錦糸町の一、二、三、四丁目をよくしようという建前で、都電あるいは都立高校移転考えてやつたのすが、敗戦後のわれわれの経済状態考えまして、都立高校移転できない、都電車庫市民皆さんに不便をかける、なお経済上うまくないということで、がんばられまして、移転ができなかつたので、計画変更とみなすことができるでしようが、変更がありましても、江東楽天地というものは、千葉あるいは江東センターであるということを考えるのでありますが、消費歓楽センターであるということには、都としてはかわりはない。それで決行されたと思います。なお、先ほどから言います自動車のふえましたことについて駐車場がいる、それには駅前を整理しなければいかぬ、それから都市計画道路千葉との連絡にはどうしても広げなければいかぬということで、道路も広げ、駅前広場も整理されることになつたのですが、なおその上に、保健衛生公園も必要だというので、この狭い地区でありますけれども、公園を若干設けることになつております。
  59. 天野公義

    天野委員 そうすると、一応電車の車庫なり都立高校を除いて、歓楽街をつくるという初期の基本的な計画変更されたけれども、やはり依然として江東楽天地分散させて、そうしてこの楽天地というか、歓楽街にしで行くという基本的な考え方はずつと後の計画にまで貫いて来ているわけでございますね。
  60. 本間定

    本間証人 そうであります。
  61. 天野公義

    天野委員 そういたしますと、この江東楽天地と、それからこの区画整理をやる者、もしくはこの都市計画をやる者との間に、何か契約でもあつたのでございますか。それとも、契約も何もなしに、ただ楽天地との単なる話合い計画に臨んだのでございますか。
  62. 本間定

    本間証人 さてその契約が何かということは、私はよく知りませんが、楽天地としてもやはり、私の考えでは、独禁法というのですか、自分のところばかり広い土地を占めていてもいかぬ、それで、分散してその土地々々を小さいながらもその付近を繁華街にしようという都の方の勧奨もあり、楽天地としてもそういうふうな考えがあつたので、分散したのだろうと思います。契約とか何とかということは、私、よくわかりません。
  63. 天野公義

    天野委員 大きな土地を持つていても独禁法になんかかかりつこないのですが、そうすると、江東楽天地分散させて映画館なり何なりをずつとつくつて行くという話合い、もしくは漠たる期待のもとに、この楽天地分散させる計画を立てたわけでございますね。
  64. 本間定

    本間証人 漠ということではない。やはり楽天地分散させる、それが土地のためであるという信念のもとにやつたのでありまして、私の考えでは、こういうふうにすればという計画は出たが、はたして楽天地が落ちるかどうかということはあと交渉でありまして、交渉したところが、いいだろうということになつて、分散ができたのだろうと思います。
  65. 天野公義

    天野委員 そうすると、分散したあと楽天地はこの分散先土地をどういろ方に使おうと、事務所では全然おかまいなし、こういうことだつたわけでございますね。
  66. 本間定

    本間証人 いや、そういうことはないだろうと思います。土地発展ということで、やはり映画館興行をやつているのだから、まさか何もほかには手を出さないだろう、それで、映画館を三万に建てるのだろうということでやつたのだろうと思います。
  67. 天野公義

    天野委員 建てるだろうというつもりでやつたところが、そこの十二の二のところは銀行に売つてしまつて銀行なつてしまつている。十二の三のところには飲屋街ができてしまつた。それから、十二の五の江東観音のところに家を建てるとか、いろいろな初期期待と相反しておる事態がここにできておるわけでございますが、こういう点はどういうふうにお考えになりますか。
  68. 本間定

    本間証人 それにつきまして、楽天地今村社長にもお会いしたのですが、あそこに帝国銀行でしたか、できましたが、そこに同期で非常に仲のよい社長がおりまして、どうしても譲つてくれというので譲つたのだという話なのでありまして、あとは絶対にそういうことはしないという私との確約は得ておるのであります。
  69. 天野公義

    天野委員 そういうような話じや、どうも初めの目的から逸脱していると言わなければならない一つのよい例であると考えられるわけであります。江東楽天地分散させて歓楽街にするという漠たる期待のもとにこの計画を立てた。ところが、実際やつてみると、その結果というのは、初めの目的から相反しておる結果になつておる。そうして、とどのつまり、分散させたあとの、たとえばこういう元の江東楽天地のとこるに映画館なり何なりができてしまつて、元の黙阿弥という形になつて、何のために分散させてやつたんだか、さつぱりわからないという結論がここ出ておるわけでございますが、その点どうお考えですか。その他の換地の点についての詳しくはまたあとからお尋ねすることにいたします。
  70. 本間定

    本間証人 今の楽天地分散したところになぜ建てないかというお話ですが、吉本興行だとかほかのものが来て建てたということになりますが、楽天地としましても、なかなか株の方の配当もいいようで、興行的にはうまくやつているように見受けますが、何せ、地元の方も相当おるようですけれども、この発展のためにいらざる投資をするということは、この不景気な情勢におきましてどうかと私らも考えるのであります。少しでも、一日も早く興行価値を生み出そうという点におきましては、楽天地は人後に落ちないので、あの通り池ノ端瓢箪池を埋めまして、あれだけの地所買つて東宝映画館を建てておりますが、江東楽天地をあなたの地所があるのになぜもう少しやらないかと言いましても、やはり自分の方の営業方針なり何なりがあるのでありまして、もう少しここがはつきりするという見込みがついたら、地元皆さんが大々的にやるのじやないかと私は思います。なお、吉本興行というようなものができましたが、やはり資産が違うわけでありまして、あそこなら何とか買つてくれるというわけで、地所が六つか七つにわかれておりまして、それを買収しましてやつたわけであります。楽天地として、考えないわけじやない。瓢箪池を埋めてやるくらいですから、ここがもう少し何とかつて行ける見込みがあるとなれば、やるのじやないかと私は期待しております。
  71. 天野公義

    天野委員 本間証人大分楽天地の肩を持つておられますけれども、結局、楽天地分散させて歓楽街をつくるということが、この区画整理の第一の目標つたはずです。ところが、その楽天地は株式会社、一営利会社であります。分散された土地をどう売ろうと、どう処分しようと、かつて次第であるわけであります。そういう漠たる期待のもとにこの計画を立てたというところに一つの大きな欠陥があつたのじやないか。住民に非常に不利な事態をここにしいたのじやないか。こういうふうに考えるわけです。
  72. 本間定

    本間証人 今、地元の方で賛成しないのにどうかというあれがありましたけれども、本日ここにお見えなつている北村さんにしても、あそこに持つて来れば私は株主になつてもいいから、分散させて、自分の前に持つて来て、商店街繁華にしようじやないかというお話も承つているので、やはり地元皆さんも相当関心があられたのじやないかと思つております。
  73. 天野公義

    天野委員 そうすると、地元人たち江東楽天地に一ぱい食わされたということが言えることになるね。  そこで、この道路のことでちよつとお伺いしますが、この江東橋の両側の通りは三十六メーターなつているが、ここだけ四十メーターなつて来ているというのはどういうわけですか。
  74. 本間定

    本間証人 この四十メーターの方は千葉街道です。千葉街道として一貫した都市計画道路でありますが、最初は五十メーター必要であるというので五十メーターの線をとりましたが、その後、いわゆるドツジ・ラインですか、ああいい国全体の経済状態からして、そんな広いのはいまさらやる必要はないというので、四十メーターになつたのであります。なお、右側の南北にあります道路は、初の防火道路とか何とかで百メーター計画なつておりましたが、まあ防火ということも必要ないというので、やはり三十六メーターにしようということになつたと思います。
  75. 天野公義

    天野委員 要するに、ことを広くやつて、それで交通の便利をはかろうということでおやりになつたと思いますけれども、そうすると、もう一つこの裏の道は、前はずつと通り抜けのいい道路つたのですが、区画整理をやつた結果、裏の道路が狭くなつて、ここに丁字型の行きどまりの道路ができた。こういうような一つの例は、区画整理としてはきわめてまずい。もう一ぺん区画整理をしなければならないような結果がここに出て来る。それから、もう一つは、ここの通りでございますが、これはまたあとで触れますけれども、山中の三の一と三の二の土地をここに持つて来て、従来の通りよりもつとはみ出してここに土地を獲得し、そうしてここにこう曲つた道路をこしらえるというような結果をしている。こういう点も、区画整理をやつた結果、非常に道がでこぼこになつたり、狭くなつたり、行さどまりになつたりして、何か納得できない道路なつておりますが、その点はどういうわけですか。
  76. 本間定

    本間証人 実際区画整理をやりますれば——たんぼの耕地整理というのは、あれだけ広い土地でありますから、あぜ道をつくるとか、運搬道路をつくるとか、水路をつくとかいうことは、土地の検分という点で納得できれば非常にたやすくできるのではないかと思いますが、こういう狭い土地、今まで便利に使つた土地を、なお将来よくするためにやるということは、現状としましては非常にやりにくい。ですけれども、将来りつぱな土地の利用価値が生み出されるようにという方針のもとにわれわれはやつているのであります。ああいうまん中に細い道ができたりしましたことも、五十メーターの路線でありました前の広い通りが四十メーターになつたので、そこは十メーターの開きができた。初めは表の電車通りから裏まで鉄道用地が一つのブロツクということになつておりましたが、十メーターせばまつたために、何とかして土地を利用しよう——この区画整理というものは土地の利用価値をふやすということが目的でありまして、それがためには、いかなる土地道路に面しなくてはいかぬという方針がありますので、せつかくできます区画整理に細長い土地をつくつていたのではなかなか利用価値がないというので、やむを得ず行きどまりましたし、また狭くもなりました。しかし、土地の利用という点から行きまして、ないよりあつた方がいいというので、細いのができたわけであります。
  77. 天野公義

    天野委員 そうすると、この道路に関してはきわめて不手ぎわであつたと円いうことだけはお認めになりますね。
  78. 本間定

    本間証人 それは、不手ぎわと認めるか認めないか、——われわれはそれよりほかになかつた。なかつたからやつたので、結局、われわれやつた者はいいじやないかと思つております。
  79. 天野公義

    天野委員 前より悪くなつていれば悪くなつたと判断せざるを得ないのですが、どうですか。前より細くなつたり、行きどまりになつたり、前はまつすぐだつたのに、曲つたりして、おかしくなつたということは、おかしくなつたと言えますね。
  80. 本間定

    本間証人 それは、土地のあり方、道路のかつこうですね。道路のかつこうを見ますと、そういうことになりますが、土地の利用状態ということを考えますと、そうなるべきじやなかつたがなつたのだということになりますと、よりよくなつたのだということになると思います。(笑声)
  81. 天野公義

    天野委員 どうも苦しい答弁のようです。次に、区画整理委員の選挙のことをお伺いしたいのですが、この区画整理委員の選挙は、白紙委任状を集めて、これを委員間に適当に分配して、そうして多数の当選をはかつたというように言われているわけです。投票を見ましても、最高点の方が三十二票、次が三十一票、三十票、二十九票、二十八票、二十八票、二十八票、そして補充員の北村さんが二十三票、当選者の票の割振りが非常にうまく行つている。そこに選挙の不正があつたのじやないかということが言われているわけでありますが、そういう点はいかがですか。
  82. 本間定

    本間証人 委員の選挙は二十一年にやじましたが、私はその当時は関係なかつたのですが、話を聞きますれば、あるいは選挙法によつて、区役所におまかせして、区役所でやつたということになつておりますが、その委任状を白紙委任状でかつて自分で書いたかどうかというふうなことも、うわさで聞いております。しかし、事実あつたかということは、私はわかりません。
  83. 天野公義

    天野委員 そうすると、この選挙に関連して、要するに、この場合は、焼けつ原のところから区画整理委員が選挙されて出て来て、多数の住民がもどつて来て、区画整理をやるというようなところまで行つたわけですが、任期もなければ、リコールの制度もない。それで、非常な権限を付与されている。こういうことは、法律上非常な欠陥だとわれわれは考えているのです。しかも、白紙委任状で投票がされて、それがよろしいとされた。この投票の方法においても疑義があるのですが、そういう点はどういうふうにお考えですか。
  84. 本間定

    本間証人 選挙のことはあまりわかりませんが、区画整理委員の選挙にあたりましてそういうふうなことがあつたといううわさは、私も聞いております。それは、戦災でやられて、住民も少いときにやつたので、相当いいかげんにやられたのじやないかと思いますが、地元皆さんも、こんなに重大なる選挙ならば、国会なり都会なりと同じように重要と思つて選挙していただけば、現在こんな非難がなかつたのじやないかと私は思います。なお、悪い人はリコールでもして改選すべきじやないかと思います。
  85. 天野公義

    天野委員 次に、区画整理事務所区画整理委員との関係でございますが、この事務所側と委員側の意見が一致しない場合は、どういう処置をとられましたか。
  86. 本間定

    本間証人 事務所委員会との意見の食い違いということは、やはり委員会でありまして、万人が役所の言うことを承知するというわけには行かぬと思います。おのおの個人の意見がありますし、あるいは地元意見もありますので、それを委員長がまとめまして、これはこうでないかというふうにして、委員会の方でまとめておりました。
  87. 天野公義

    天野委員 委員会の方でまとめて、それでできたものを事務所にこうしろと言つて事務所がそれに基いて換地計画を直して、やつた、こういうわけでございますね。
  88. 本間定

    本間証人 今のは、一般的な御質問だつたのでお答えしたのですが、二回目は換地というお話がありましたので、申し上げますが、換地につきましては、先ほども申しました通り、原案は役所でつくりまして、それを委員会に諮り、ここにだれがいて家族が何人いるというようなことを詳しく知つている地元委員各位に諮りまして、これは無理じやないか、それはこうした方がいいのじやないかということがありましたならば、それは非常にけつこうな話なんで、無理のないようにやつてつたので、換地ということになりますと、これは根本問題になりますから、そうなかなか委員長の言うようにというわけには行かないと思います。
  89. 天野公義

    天野委員 そうすると、委員側と事務所側と意見の一致を見ないときには、どういうことになりますか。
  90. 本間定

    本間証人 その点につきましては、非常に御疑念があると思いますが、幸い、水沢委員長は、区会にも席を持ちまして、非常に運営がうまいのでありまして、やはり委員全体が賛成しなければこれはうまくないということで、皆さん意見を賛成というところに持つてつていただいて、きめておつたわけです。
  91. 天野公義

    天野委員 そういたしますと、水沢委員長が非常に手腕家で、それで委員会をまとめられた、大体その意見従つて事務所側ではいろいろ換地計画をやつた、こういうふうに了承していいわけですね。
  92. 本間定

    本間証人 それは委員長個人の意見じやありませんよ。むろん、ちやんと申すべきことは申しておりますが、委員長個人がこうするから皆さんこういうように承知してくれという意味ではないのです。やはり委員立場々々において意見がわかれますが、そのうちの大多数がこれでいいじやないかという場合に、まとめてひつぱつて行くという意味であります。
  93. 天野公義

    天野委員 証人は水沢委員長に相当強引にやられたというような話も大分あるようでありますが、そういう点はどうでございますか。
  94. 本間定

    本間証人 先ほど申しました通り、区会の議長もやられた方でございますから、非常に運営方法がうまいと思いますが、強引に皆さん意見をひつぱつて行くということはなかつたと思います。
  95. 天野公義

    天野委員 運営がうまくて、それで適当にまとめられて、この換地案について相当発言力を持つたということは確かですね。
  96. 本間定

    本間証人 委員長個人ですか。
  97. 天野公義

    天野委員 委員長個人の場合も含めて………。
  98. 本間定

    本間証人 いや、委員会ですから、委員長個人の意見がどうのこうのということは絶対なかつたと思います。なかつたです。
  99. 天野公義

    天野委員 それから、先ほどの問題に入りますが、この換地の実際を見ると、非常に不明朗な点がたくさんあるわけです。証人はよく御承知のことと思いますが、たとえばあそこの四と五がありますね。それから三、これをここにまとめて来ておる。それから、これは江東楽天地ですね。それから、あそこの九のところのものは、飛換地して、電車通りの反対側のここに来て、十のものがここに来る。八のあそこの換地がこことここ、六と十一、それがここに来て、ここに楽天地の一部ができる。それから、山中さんの土地が……。
  100. 吉武恵市

    吉武委員長 ちよつと天野君に申し上げますが、「こことここ」では速記に載りませんから、番号を御指摘願いたいと思います。
  101. 天野公義

    天野委員 三の一と三の二の山中の土地は、三の一と三の二に来る。それで、九の一、九の四、十、八の一、十六、この一部が楽天地のものになつた。それから、その反対側の九の二と八の二というのが、これまた楽天地。だから、換地をしてここに楽天地の一部ができてしまつた、こういうことが言える。だから、逆に言えば、ここに楽天地土地を集めるために区画整理飛換地が行われたという一つの結果になる。それから、十二の六の江東楽天地が向うから飛んで来て、ここに楽天地の一部ができ上つた。こういうような点はいかがでございますか。公正な区画整理換地案でございますか。
  102. 本間定

    本間証人 個々につきましては、私としましては適正であるということを認めるのでありまして、十一、十六というような番号も、また名前も忘れておりますが、やはり根本方針としましては、従前の土地の位置、価値というようなものを勘案してやつておりますので、だれそれのために、あるいは楽天地を集めるためにというような方針はひとつもとつておりません。
  103. 天野公義

    天野委員 そうすると、ここに十七と十三という土地が並んであります。大して土地の差はない。
  104. 吉武恵市

    吉武委員長 天野君に申し上げますが、上の図、下の図というふうに区別して番号を御指摘になると明瞭になるかと思います。
  105. 天野公義

    天野委員 上の図の十七、十三という土地がございます。これが、換地の結果・十三は区画整理委員土地で、それが下の十三に参りますと、かど地の路面に面した非常にいい土地なつている。ところが、この十三の土地よりもよい土地であつたところの上の図の十七は、下に参りますと十七の一、十七の二、十七の三というぐあいに、もうめちやちやになつて、ばらばらに寸断されている。これは、そのほかにも悪い例はたくさんありますが、一つのいいものと悪いものとの例をここに引いたわけであります。こういう点はどうでございますか。
  106. 本間定

    本間証人 地元皆さんが来ておられるので、そういうことを言つちや非常に相済まぬですけれども、ここにどれがどうであつたかということは私も忘れておりますが、特にたれそれのためにどういうふうにしたということは、私としては一回もやつた覚えはありません。やはり地価とか土地権利者とか、そういう関係上、やむを得ずやつたのであります。その上に、三つにわけましたということも、やはり土地権利者の関係か何かで、図面には一つなつておりますけれども、内実は二つにも三つにもわかれているから、この方がいいんだと主張されたわけで、そういうふうになつたのだと思います。
  107. 天野公義

    天野委員 大分時間も過ぎておりますから、概括的に申しますと、結局江東楽天地土地分散させ、そうして楽天地の近くに換地によつて土地を集約して、楽天地の使用しいいような形をここにこしらえて来た。それがために、その間に区画整理委員が介在をして、自分土地を買つてそれに持つて行つたり、あつせんをしたりいたしまして、土地を集めた。その反面、区画整理委員関係のない者は、十七の山下又治の例のように、非常に不利な換地をしいられるということになつている。従つて、本来の目的というものが没却されて、この換地のために非常に金をもうけた者もたくさんあるし、また損をした者もたくさんここに出て来ている、こういうような関係に立つていると結論的には判断をせざるを得ないのでございますが、そういう点はどうですか。
  108. 本間定

    本間証人 先ほど来から申し上げているのでありますが、役所としましては、たれにどうだとか、これにどうだというふうな個人別に取扱つた覚えは一つもありませんで、どこまでも公平無私にやつたつもりであります。なお、先ほど来も申し上げておりますが、楽天地のためにこの区画整理をやつたのではないということです。それは、江東楽天地は大きな地位を占めておりますが、それは、錦糸町の駅の広場をつくり、それから都市計画道路をつくらなければならぬ、それに付随して、江東楽天地というものがあるので、それを何とか地元で利用していただけばということで分散になつたのでありまして、もともと都市計画の大方針によりますのは、この駅の広場と、それから都市計画道路をやる、それから今までない、付随した公園なり道路をなおよくしようということでありますから、それはお間違いのないようにお願いいたします。
  109. 天野公義

    天野委員 大阪方面では、区画整理について、概略わかつているだけで、四百万円も贈収賄事件が現在国警にあがつて、取調べを受けている最中であります。江東楽天地におきましても、われわれは、薬天地の所有地を有利に分散させるために楽天地から相当の運動資金が出ているというような風聞をちらりらりと今まで耳にして来たわけでありますが、証人はそういうことを耳にしたことはございませんか。またそういう事例は御承知ございませんか。
  110. 本間定

    本間証人 ないこともないのですが、うわさですから、わかりません。とにかく、江東楽天地が、自分が不運な立場になるのに、なぜ金まで出して分散させるのか、それが私にはわからぬ。金を出してまで何で自分土地分散させるのか。前々から言つておりますが、楽天地一つにまとまつていたんではしようがない、地元皆さんにも利用させるというので分散の形式をとつたのであります。それは楽天地としては非常に痛い話であります。それにもかかわらず、金まで出してそういうふうにしようなんで、そういうことは考えられないじやないかと思います。そこに何かあるかもしれませんが……。
  111. 天野公義

    天野委員 そういうことをおつしやれば、向うの上の図の一番うしろの方、下の図で言えば、この辺の土地よりも、区画整理をやつて錦糸町の一番いいところに土地を集める、それから、こういうところは銀行に売り飛ばす、こうした方がどれだけ楽天地がもうかるかわからないのです。土地の価格はこれでうんと上つて楽天地はうんともうかつている。結論的に申せばそういうことになる。そういう点はどうですか。
  112. 本間定

    本間証人 それは、私は楽天地社長じやないからわかりませんが、どういうふうなものが営業方針に非常にいいのかと言いますと、楽天地そのものは非常にいやがつてつた分散させるということはいやがつてつたことは間違いないと思います。わかれますと、非常にやりにくいじやないかと思います。
  113. 吉武恵市

    吉武委員長 菊川委員
  114. 菊川忠雄

    ○菊川委員 私、二、三お尋ねします。私のお尋ねしたい趣旨は、最初申し上げておきますが、一昨々日現地をこの委員会の諸君と一緒に調査しましたが、私の感想では、もう江東楽天地を中心とした区画整理は、たとえて言えば、食い散らしたごちそうのあとのおぜんを見せられたという感じでありまして、事実的には、従つてかりにここに不公正なことがあるといたしましても、これをあとから救済する措置もないわけで、たまには食い散らした魚の骨ぐらいは残つているところがありますけれども、ちよつとそういう感じがしているのであります。そこで、私は、これにはいろいろ現在までの区画整理に関する法の欠陥がある、従つて、行政の衝に当られる方々にも、そういう欠陥のためにいろいろ御苦心になつたに違いない、こういう点からお尋ねしたいと考えます。いろいろと失礼な点にわたるかもしれませんが、個人を追究しようという意思はございまいませんから、あらかじめ御了承願いたいと思います。  最初お伺いしたいのは、先ほど委員長から経歴のお尋ねをした中に、今までの経歴はわかりましたが、現在は建築関係相談をしておられるということでございますが、おさしつかえなければ、主としてどういう業者、あるいはどういう会社の関係の建築の相談をしておられるか、そのことをお尋ねいたします。
  115. 本間定

    本間証人 商売というほどでもありませんが、もと役所におつた者が応援に来ないかと言うので、一般土木建築も幾らかやります。下水とか一般土木をやつております。ちつぽけなものです。まだ小さい四、五十万の会社ですから、ろくな仕事がないのですが、側溝の設置だとか、葛飾あたりの小さい橋とか、そういうものをやつております。
  116. 菊川忠雄

    ○菊川委員 それでは、その会社の名前と、それから会社の責任者、会社におけるあなたの地位、それをお知らせ願いたい。なお、あわせて、今問題し区画整理地区における建築、土木、測量、そういう関係について、あなたの会社の御事業は現在関係があるのかないのか、このことをお尋ねしたい。
  117. 本間定

    本間証人 私も二十六年ばかり東京市並びに東京都に奉職した関係上、やはり知つている向きが相当おりますで、その方にお願いしまして入札とか工事の指名というようなものをいただいております。なお、私も五復におつ、たし、切島建設と申しますが、切島も五復におつた関係上、特に出入りしております。
  118. 菊川忠雄

    ○菊川委員 そこの社長さんは。
  119. 本間定

    本間証人 切島三郎。
  120. 菊川忠雄

    ○菊川委員 あなたの役は。
  121. 本間定

    本間証人 私は常務取締役です。
  122. 菊川忠雄

    ○菊川委員 重ねてお尋ねいたしますが、その切島建設は、現在の仕事量の中で、どれほどの割合が現在問題の地区の仕事になつておるか、その割合を、何かの目安でもお示し願いたいと思います。
  123. 本間定

    本間証人 なお、申し上げますと、切島三郎その者は、江東におりまして、田辺建設に去年の九月までおりましたが、おもしろくないことがあつて、そこを抜けまして、自分で去年の十月から始めております。その地区としては、会社自体の仕事量から言つて、何パーセントなるか、それほどのパーセンテージにはなつておりません。
  124. 菊川忠雄

    ○菊川委員 次に、お尋ねいたしますが、東京都の復興区画整理事務所長は、区画整理についてどの程度の権限をお持ちなのか……。
  125. 本間定

    本間証人 事務所長は、今で言いますれば、課が部になりましたが、本庁の部長待遇ということになつております。権限は、現場を扱つて担当しておる関係上、少しのものを買つたり、あるいは仕事をさせたりというような、約五十万円ですか、そこまでの権限はあります。あと少しでもふえますと、本庁の財務局に参ることになつております。それから、もう一つ、つけ加えておきますと、御存じでしようが、復興事務所のほかに、建設事務所というものが五つありまして、そちらの方は一般土木をやつております関係上、復興事務所の方よりも権限が大きくなつております。
  126. 菊川忠雄

    ○菊川委員 その点について重ねてお尋ねしたいのですが、先ほど天野委員のお尋ねの中に、決裁という言葉がありました。決裁という言葉はしばらくおいて、復興区画整理事務所長は、換地問題も含めて、区画整理について区画整理委員会相談した上で、その地区の問題については、事務所長限りで決定して執行していいのか、その点をお尋ねいたします。
  127. 本間定

    本間証人 委員会は諮問機関でありまして、その諮問が通れば、民間に公表する——その前に、本庁との連絡がありまして、これでいいということになれば、民間に公表する段取りになりますが、所長決裁するとかなんとかいうことではない。本庁とともにやるということになります。
  128. 菊川忠雄

    ○菊川委員 私がその点正確にお尋ねしたいのは、最初申し上げましたように、今の法規あるいは運営の問題として真剣に考えてもらいたいからです。そこで、決裁という言葉は私は妥当でないと思うのですが、とにかく、実際において、区画整理委員会に諮問して、一定の案がきまつた場合において、これをそのまま復興区画整理事務所長において執行をするという権限はお持ちかどうか、こういう点をただいま伺つておりますと、都の側と相談をして、連絡をしてという法的にあいまいな言葉でありますが、そういうあいまいなことではなくて、都には都の、あなたを拘束する何かの規定があるのではないかと思う。それがあるのか、ないのか。
  129. 本間定

    本間証人 私が申し上げたのは、実際問題としてそういうふうにやつていたわけでありまして、やはり決裁は都知事の決裁ということになります。皆さんの大切な土地換地決定するにあたりましては、やはり都知事の決裁を経て、その都知事の名前による換地の通達を皆さんに上げておるわけです。やはり最後の決裁は都知事ということになります。
  130. 菊川忠雄

    ○菊川委員 その点はわかりました。次にお尋ねしたいのは、この江東地区においては、今まで執行される間に、その地区住民の諸君との間に、いろいろと利害の点においては調和を見ていない点が、どこにでもあつたから、ここにもあつたと思います。そこで、執行途上において、何らかの衝突事件に類するようなものが今まであつたか、なかつたか。たとえば、住民大会を開いて反対の陳情をするとか、あるいは執行に対して何らか阻止のための大衆的な行動に出るとか、そういうことがあつたか、なかつたか、お尋ねいたします。私どもは、一昨日高円寺地区において、そういう所長の権限においてやつた事柄が、たまたま警官百三十人ほどと衝突して、あわや乱闘になろうとした場面を経験したことがありますから、参考のためにお尋ねしたい。
  131. 本間定

    本間証人 ただいま衝突とおつしやいましたけれども、私どもの方でも、そういう事態がありました。本所病院側が四丁目ですが、四丁目がすでに終りかけたときに、事務所ができたので、私は初代所長になりました。一、二、三丁目は、ごらんの通り非常にむずかしいところで、重要な場所でありますから、初めから反対期成同盟とかなんとかいうものがありましたが、遂に四丁目ができ上つた。四丁目は協力会ができておりました。一、二、三丁目をやる段にあたりまして、協力会なり、反対期成同盟というものができ上つて、われわれもはなから非常に困らされたわけです。御承知通り、マーケツトは軒並にあるというような状況にあるものですから、そういうことで、今の時代では非常にやかましい問題にぶつかるので、われわれとしても苦慮しておつたのです。その後、反対期成同盟が幾らか名前がかわつて来まして、また反対陳情というようなものも出て来ました。それにつきましては、これがこういうふうになるのは、どうしてもやむを得ないものである、それで、都市計画方針によつてしようがないのだから、これはがまんしてもらわなくちやという、本庁とも相談の上、そういう回答をお上げしたわけなのであります。高円寺の問題も私聞きましたけたども、役所で強制執行するとなると、必がトラブルが起きるのでありますが、非常にそれをこわがつていたのでは、われわれ役所としてはできないのじやないか、こう思つております。
  132. 菊川忠雄

    ○菊川委員 きのう実は証人の一人に伺いますと、区画整理委員会決定をされた事柄についても、直接の地主あるいは借地権者には一いろいろと周知徹底せしめるために報告もしたが、しかし、一般住民の方々については、反対の意見も濃厚であるというような場合においては、報告するのを忌避したことがあるというふうな委員の報告を聞いたのでありますが、事務所長としては、そういう反対の意見がある場合には、どういうふうな対処をしておられたか、その点、伺いたい。
  133. 本間定

    本間証人 それは、大きくなりますと、陳情書というので、行政監察にかかるような事態になる。小さく行きますと、個人的に、これはまずいじやないかと申し込まれるのもあります。そういう小さい問題につきましては、いろいろ土地の状況を説明しまして、どうしてもあなたがここでなくちやぐあいが悪いのだ、ほかの人もまた困つてしまうのだからということで納得していただいたのでありまして、なお、換地がきまりましても、全体に響かない場合は、お互いにこうしようじやないか、おれのところはこつちだから、あつちに持つてつて、ひとつお互いに交換しようじやないかというようなことは、坪数が何もほかに影響がないというようなものは、その通りにしておきました。対処といいますと、小さい問題でしよつちゆう地元の方が来られるので、それに対してはできるだけの親切な方法で納得していただいておつたわけなのであります。
  134. 中野四郎

    ○中野委員 関連して……。どうも本間さんの御答弁をさつきからはたで聞いておりますと、なかなか雄弁家なのか能弁家なのか、すらすらつと御答弁をなさるのですけれども、どうもその御答弁に少し記憶違いがありはせぬかと私思います。あなたは、おやめなにつて古い方ですから、必ずしもきようここでおつしやつたことが間違いがないと、神様でない限りはおつしやるわけには行かぬだろうと思うのだけれども、どうもさつきから答弁を聞いておると、あなたの決定的な言葉と食い違つた点がある。たとえば決裁権ですが、あなたは都知事に決裁権があるとおつしやつたが、これは局長の決裁権であるはずなのです。なるほど名前は都知事の名前をもつてしても、役所内の決裁権は局長にある。それから、換地等においても、数字等においても、相当食い違いがあると私は思う。もちろん、あなたは大分あざやかに答弁をしていらつしやるが、宣誓をなさつて良心に従つて真実を述べられたとして、後日ここへ局長が来られ、あるいは課長が来られて、そうして質問をした結果、あなたのおつしやることが大分根本的に食い違いがあると、これは即偽証というやつで、最初言われたように、罰金とかなんとかにちつとも余裕がなく、これは私と徳田球一がずいぶんきびしい法律をつくつて申訳ないのだが、三月以上十年以下の懲役というのもある。ですから、こういう点も考えあわせて、よく思い出して、そうしてこの機会に直しておかれたらどうか。それから、もしあなたで答弁のできない面があるならば、あなたのほかにだれか一番この点に詳しく説明のできる人があると思うが、そういう人にこの国会に来ていただいて、そうして一切の間違いのないようにして、住民役所との間におけるところの誤解を解く必要があると思うのです。私は、さつきから本間さんを見ておると昔から東京市公吏型という型があるのです。私も東京会議員をしておつたが、東京市にはなかなかおもしろい言葉が多数ある。秀才は官吏となり、鈍才は公吏となる。東京市に一年以上勤めれば、川の上から下に流れて、すべてのかどがとれて、人物ができて、鈍才転じて能吏となるという言葉がある。ややあなたはその類に類する方で、なかなかりつぱな御答弁ではありますが、その内容が食い違つているおそれがあると思います。あなたは、確かに東京都知事の決裁権であつて、それに間違いないとおつしやるかどうか。私は、これは役所のためにも相当問題だと思います。あなたの記憶違いから、一般の住民の利害関係のある人たちに大きな誤解を生じではならぬと思います。一江東地区の問題ではないのです。全国的な問題となつて、持にこの東京都にトラブルが多い。先ほども委員の方が聞いておられたが、区画整理委員に当選した人間が自分土地換地したり、あるいは聞くところはよると、杉並の方で土地ブローカーをやつている人が区画整理委員長なつて、かつて換地をばやるというようなこともある。そういうことになれば、所長と結託せぬでおつても、したと疑われてもしかたがない。そういう点も多多ありますから、区画整理実施という面について、本間さんは、先ほど御答弁になつたことはほんとうに自信を持つてつておられるかどうか、この点はもう一ぺん確かめておきたい。あなたが間違いないとおつしやるならばよいのです。あなたが間違いなければ、それもけつこうです。私は、間違いがあるような気がするのでありますが、どうですか。
  135. 本間定

    本間証人 間違いありません。
  136. 菊川忠雄

    ○菊川委員 今までの御答弁の中で、事務所長という都のお役人が、きめられた区画整理を断行するためには、反対運動を起してはいかぬと言うのは、なかなか大きな勇気であります。しかし、そういうことは責任感とすれば感心なことかもしれませんが、こういう区画整理には必ず利害関係が伴い、しかもいろいろな誤解が伴う。そういう場合に、そういうことを表面に出しておやりになるというその態度は、あなた御自身として適当と思いますが。非常に誤解を持たれておるが、その点、言葉が足りなければ、言い直していただきたい。
  137. 本間定

    本間証人 私は、生来そういう男でありまして、竹を割つたような性格でありますので、何も隠し立てもしないで、悪いことは悪い、いいことはいいというふうなつもりで今までやつて来ております。だから、委員長は御承知かもしれませんが、上の方には非常に憎まれておつたのであります。
  138. 菊川忠雄

    ○菊川委員 あなたはさつぱりしたお人柄だということはわかりますが、あの上の地図と下の地図を対照されれば、あなたがおやりになつた責任ある仕事の結果が下の地図である。あの現状を見た場合に、あれで非常に利得をした者がある、もうけた者があると思つておいでになるか、もうけた者はないとおつしやるか。もうけた人は区画整理委員の中にあるのかないのか、あるとすれば一体だれなんだ。それを御存じないのか、それとも知つてつても言えないのか。その三つの点を明瞭にお願いしたいと思います。
  139. 本間定

    本間証人 役所地元の方もいろいろお話に参られるので、うわさは聞いておりますが、そういう事実があつたかどうかということは、私、知りません。
  140. 菊川忠雄

    ○菊川委員 まことに驚き入つた認識不足だと思います。うわさを聞いておれば、そのうわさは、責任者として必ず調べなければならぬ。はなはだしい職務怠慢であります。しかも、うわさだけで知らないとは、私は言わせません。われわれがあの現場を見ても、少くとも数百万円、多きは数千万円の利得を得ておる人があるのであります。現に、昨日ここに来た証人は、その点については、もうけておるということを否定いたしておりません。ただ、もうけたのは、自分がもうけようと思つてつたのではないだというだけであります。そういうことをあなたが御存じないとここで言うのは、一体証人として良心のある証言であるのか、その点をお尋ねしたい。
  141. 本間定

    本間証人 ただいま職務怠慢とか何とか言われましたが、それは、委員として徳義上そういうことはやつてはいかぬということはわかりますが、はたしてそれが実際問題として売買しているのかどうかということは、私はそんなに一々監督しておるわけではなし、また立ち入りたくはないのであります。立ち入つて公務員立場に支障を来しますから、それを私は全然知りません。職務怠慢ではなく、私は職務上そういうことは知りたくなし、立ち入りたくもないと思つております。
  142. 菊川忠雄

    ○菊川委員 大体おわかりになつておることを言い抜けるという考えは明瞭でありますので、これ以上追究はいたしません。こういうことは、この委員会証人としてはなはだ非良心的な態度であり、あなた御自身の御人格にかかわるということだけを申し上げたいと思います。  そこで、私は、最後にお尋ねしたいのでありますが、今までの御経験によつて、現在の区画整理委員会か、その選挙においても不明朗である、そしてまたその法制においても、現に区画整理委員の人自身が先頭を切つて換地に介在して土地の売買をやる、そういうことに何らの制限もない、あるいは罰則もない、さらに運用についてもはなはだ不明朗である、さらに任期の決定がない、こういうような区画整理委員の現状というものは、これは妥当なものとお考えになりますか、それとも、これは当然急速に改正すべきものと、あなたの今までの経験からしてお考えになりますか、この点を御答弁願いたい。
  143. 本間定

    本間証人 制度としましては、何も改選あるいはリコールの制度はありませんが、地元の代表でありますから、地元に信任がない者は当然これは改選あるいはリコールさるべきではないかと思つております。
  144. 菊川忠雄

    ○菊川委員 今の質問の的がおわかりになつておらないようでありますが、私は、あなたが長い聞こういう重大なる仕事をおやりになつた、その経験を尊重するから、参考にお伺いするのであります。こういうような今までの経験によつて、あるいは運用からごらんになつて、こういう区画整理委員会というものは、重要なものであるだけに、今のようなものでは困るから、もつと法制的にも内部を改革すべきだということを、一体お感じになつておるかどうかということであります。
  145. 本間定

    本間証人 去年の十月までやりましたが、そういう感じは起りませんでした。
  146. 吉武恵市

    吉武委員長 北山委員
  147. 北山愛郎

    ○北山委員 私は、ちよつと別なことをお伺いしますが、この四区の区画整理都市計画事業として行われるときの目的ですね。その中には、楽天地分散して歓楽街をつくるということが、都の方針として入つてつたかどうかです。先ほどあなたがおつしやつたように、区画整理事業目的は、この地区広場をつくる、あるいは緑地をつくる、あるいは道路を広げる、あるいは土地の利用を高めるというような一般的なことを言われましたが、それが本来の都市計画目的であろうと思うのです。しかし、この場合には、それ以外に、楽天地分散して歓楽街をつくるということが、都の区画整理方針として入つてつたかどうか、その点をお伺いいたします。
  148. 本間定

    本間証人 私も、先ほど申し上げましたように、途中から区画整理事業をやることになつたのでありますが、その方針は、やはり、江東地区歓楽街あるいは消費地区にしたいというためには、どうしても楽天地に助力を頼まなければだめだということの方針にはきまつてつたと思います。
  149. 北山愛郎

    ○北山委員 いや、きまつてつたと思いますというよりも、あなたはその方針を引継がれて、それに従つておやりになつたと思うのですが、事実都の目的の中には、そういう事項が入つてつたかどうか。これは、あとで都の建設局なり、そういう担当者にお伺いすればわかるのですが、あなたはそれを承知しでおつたかどうかということです。
  150. 本間定

    本間証人 承知しておりました。
  151. 北山愛郎

    ○北山委員 それは、都市計画目的、こういう区画整理目的に、そういう歓楽街をつくるというようなことを一体入れてよいものかどうか、あなたは専門家としてどうお考えになりますか。私は、この都市計画事業、しかも戦災復興都市計画事業というものは、やはり一定の限界があるのではないかと思う。なるほど、道路を広げて、いろいろな防火とか——あるいは交通の便をはかるとか、駅前広場を広くするとか、あるいは緑地をつくるというような、いろいろ環境をよくするということ、それから個々の宅地の利用価値を高めるということはわかるのですが、それ以外に、歓楽街をつくるというようなことは、一体都市計画区画整理目的の中に入れて適当なものであるかどうか。しかも、この地域は、病院が二つもあり、学校もある。それは当初の計画では移転させる計画であつた。しかし、あと変更なつて、それを存置するということになつたとしますならば、その付近に、歓楽街をつくるということが、教育あるいはその病院に対する環境上適当な都市計画区画整理であるか。専門家のあなたにお伺いするのでありますが、それが適当であるか、そういうものを区画整理目的の中に入れてもよいものであるか……。
  152. 本間定

    本間証人 ただいま専門家と言われましたけれども、私はたつた四年しかやらないで、専門の方は道路関係でありまして、一般土木を長らくやつておりました。区画整理事業所長なつたからやつたというようなことであります。歓楽街をつくるのが都市計画のうちかということでありますけれども、歓楽街にするとかしないとかいう問題よりも、あそこにああいう江東楽天地がすでに現在現存しているのだ、それを利用して何とかよい町をつくろうというので、それが取入れられたのだと思います。
  153. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると、先ほどからその図面によつて説明があつたことですが、飛換地をした、それは楽天地分散させるということが一つ目的なつ飛換地をした、そういうことはお認めになりますね。
  154. 本間定

    本間証人 楽天地を、歓楽街にするために分散したということですね。それはそうです。
  155. 北山愛郎

    ○北山委員 そういうことが一体正当であるかどうか都市計画をそういうことに使つてよいかどうか、しかも、それが都の本来の区画整理方針であつたかどうか、その点がわからなくて、四年間か何年間かその仕事の責任者としてやつてつたのはおかしいと思う。非常に根本的な題問なんです。しかもそういうことがたまつて来るから、そこに利益を得る人と損をする人とが出て来る。ところが、普通の都市計画の原則に従つて道路なり広場なり宅地のおのおのの利用価値を高めるという立場に立つてさえおれば、こういう問題は起さないので、そこに土地の振興策をはかろうとか、歓楽街をつくろうとかいうような目的をつつ込んで附加して来るから、今のいろいろなスキヤンダルみたいなことが起つて来るわけなんです。だから、これは非常にかんじんな点なんです。今後われわれが区画整理というものを見る場合に、大体正しい区画整理のあり方をどうしたらいいかということを判断する上に、非常に重要なことでありますから、そこでお伺いするわけです。この際は、一体歓楽街をつくるというようなことを区画整理目的の中に入れたことがいいか悪いか、それをお伺いするのです。
  156. 本間定

    本間証人 いいか悪いかというと、私個人としましては、非常にけつこうな話だと思います。それは、都市計画というふうな実施面にあたりましては、あらゆる角度から見てやらなくてはいかぬと思いますが、すでに、私が所長なつたときは、こういう方針がきまつてつて、その通り踏襲してやつたわけでありまして、私のいいか悪いかの考えでなく、建設局方針と、それから東京都の方針としてこれは進んだわけでありまして、私の意見云々という問題じやないと思います。
  157. 北山愛郎

    ○北山委員 そこをお伺いしたがつたのですが、要するに、歓楽街をつくるというのは、地元だけの意見ではなくて、都の方針の中にそれが入つてつたというのですか。都の方では、単に一般的な区画整理目的を達成するために、それを目標にしてやつた、しかし、地元では、それにくつつけて歓楽街をつくるべく、その目標のもとに換地計画を立てた、こういうのであるか。初めから都の大きな上の方の方針歓楽街をつくつてやろうという方針であつたか、ただ地元だけの考えであつたか、これは非常に重要だと思うので、伺いたい。
  158. 本間定

    本間証人 その地元というのは、事務所のことですか。
  159. 北山愛郎

    ○北山委員 事務所並びにその土地のたとえば区画整理委員会なり……。
  160. 本間定

    本間証人 それは初めからの方針でございます。
  161. 北山愛郎

    ○北山委員 初めからというのは、都の方針ということですか。
  162. 本間定

    本間証人 そうです。
  163. 北山愛郎

    ○北山委員 もう一点だけお伺いしますが、この区画整理をやる場合に、借家人の利益に対してはどういうふうに考慮されましたか。借地権者あるいは土地所有者、そういう人のことはいろいろ考えられたかもしれませんが、しかし、借家人の利益については、どういうふうに考えられましたか。
  164. 本間定

    本間証人 とにかく、借地権の上にのつかつているのが借家であります。それを借りているのが借家人でありますが、その利益というのは、とにかく家ののつかつている土地が……。     〔「権利擁護という意味だ。それを何と考えたかということだ。」と呼ぶ者あり〕
  165. 北山愛郎

    ○北山委員 それを、どういうふうな処置をしたかということです。
  166. 本間定

    本間証人 そうめんどうな問題は……(「大いにめんどうだ」と呼ぶ者あり)めんどうなことは起らなかつたのですが、たまたま、御承知通り、地主とたな子ですか、それの問題がありまして、それはうまく——うまくと言うほどではないが、裁判ざたにはなつたが、私の方としてはうまく行つて移転ができたという問題でありまして、やはり土地価値が上つて来れば、そこに住んでいる借家人も利益を得ると思います。
  167. 吉武恵市

    吉武委員長 小林委員
  168. 小林進

    ○小林(進)委員 今の問題、私も問おうと思つていたのですが、一体区画整理をあなた方がおやりになるときに、その土地の利益のためにやるのだからということを非常におつしやるが、その利益ということをおつしやるときに、個人の利益ということを非常に軽視されていると私は思うのであります。いかに土地の利益と言つたところで、人の住んでいない政府の土地、あるいは東京都の土地をあなた方が扱うなら、それはけつこうですが、今おつしやるように、借地人もおり、借家人もおり、地主もおる人の土地を動かすのであります。その動かされる個人個人にとつては、まつたく身を切られるようにつらいので、一人として関心を持たない者はないのであります。その個人々々の考えと、全般的にその地域をひとつうまくやつてやろうという考えと、二つを一体いかに調整されたか。これは私は重大な問題だと思うが、その個人の権利というものをいかに尊重されたか、その考え方をまず私はお伺いしたい。
  169. 本間定

    本間証人 今の御質問は一般的な問題だと思いますが、区画整理といいますと、その区画整理をやりますれば、今までなかつたところに道路がつき、袋小路であつたところが道路に面するというように、この区画整理をやることによつて全体がよくなれば、自然とその土地も上つて来るのでありまして、個人々々の利益ばかりではなく、全体がよくなつて、個人の土地が悪くなるということは、ちよつと考えられないと思います。そのために区画整理というものをやると私は考えておるのであります。
  170. 小林進

    ○小林(進)委員 それは、私は重大な考え方だと思う。先ほど中野さんは、鈍才転じて能吏となるとかなんとかおつしやつたけれども、あなたは能吏ではございません。あなたのその考え方は、いわば戦争中の日本のいわゆる独裁者たる軍部の感覚と同じです。国家がよくなれば、国民はどうなつてもよろしい、国家が強くなれば、おのずから国民も幸福になるのだから、鉄砲のたまの中に飛び込みなさい、一銭五厘のはがきででも飛んでいらつしやいということと同じで、個人々々の権利をまつたく無視しているあなたの考え方だ。その土地全般がよくなれば、その中に住んでいる住民はみた幸になるのだから、個人々々の権利はどうでもよろしいというあなたの考え方になつて来ると思うが、これは大きな間違いだ。そういう考えでいらつしやいますから、この区画整理をするために、ああやつて一丁目のような辺鄙な土地にいるんだが、四丁目のような繁華街に飛ばされても、あなた方としてはちつとも矛盾を感じない。地価にすれば一坪十万円もするようなところにいる人が、今度一万円ぐらいのところに飛ばされても、あなたの理論からはちつとも矛盾を感じないことになつて来るじやありませんか。そういう、土地全般がよくなれば、個人もおのずからよくなるのだからというあなたの考え方でも、その中によくなる人と悪くなる人が現にありましよう。一体その矛盾をあなたはお考えになりませんか。
  171. 本間定

    本間証人 今国家の問題をお出しになりまして、いろいろお話でありますが、それは大きな問題ですけれども、この区画整理の問題におきましては、その地区道路をよくするとか、あるいに児童の遊び場に困つておれば、児童公園をつくるとか、いわゆる住民が安心して住居し、営業もできるということになりますれば、精神的にも、土地の価格においても、非常に利益になると思います。ただ御指摘になるように、一個人がこうじやないか、ああじやないかという、それをもつて全体を律されては困ると思います。それは、たまたま、どうしてもそういうふうにうまく行かないで、非常に迷惑のかかる人も出て来ますが、それはまたあとで清算もするのですから、それは、だれもかれも百パーセント満足というわけには参らぬと思います。
  172. 小林進

    ○小林(進)委員 それはどうも重大問題だと私は思う。その区画整理地区全体がよくなれば、その中に住んでいる人が全部よくなるのだからというあなたの意見で、たとえば、そうすると、駅の前の一等地におられた人が、辺鄙なところに飛ばされるのも、ちつともかわいそうじやない、こうあなたはおつしやるわけですか。
  173. 本間定

    本間証人 一般的に表面から見れば、そういうことになりますが、やはりその土地の初めの基本価格ですか、そういうものを勘案して、そこが適当であるというのでやつたので、何も困らせるということではなく、適当であるということでそういうふうになつたわけでありまして、表面から見ると、こんなところにいたのがこんなところに行つたということになると思いますが、私の方では適当と思つてつたわけなんです。
  174. 小林進

    ○小林(進)委員 それじや、あなたは現在、区画整理換地によつて非常に有利な土地へ飛び得た個人もあれば、あるいはこの区画整理によつて非常に不利な土地に飛ばされた人もあるが、そういうようなことは、全般の地区がよくなるのだからあたりまえだ、ちつとも同情する余地もなければ、ちつとも気の毒がる必要もない、このようにお考えなつておるのですか。
  175. 本間定

    本間証人 そうは考えません。やはり私の方は公平な適当なる換地と思つておりますから、だれが有利になつたか、だれに迷惑がかかつたかということは、私はお考えておりません。ただ、皆さんのお考えが、今になつて自由になつたということです。そのときには、ちようどその土地がここに動かすには適当な土地であつたということで、われわれやつたのでありまして、特にだれが有利だとか何とかということは、私は考えておりません。
  176. 小林進

    ○小林(進)委員 実に私は言語道断だと思うのだ。私は、決してあなたを軽視する必要はないが、所有権というものは絶対的なものですよ。何ものにも侵されない、その人の大事な、命の次に大事な財産を動かすのに、動かす一人一人の利益や平不公平をちつとも考えなかつたということは言語道断だ。国家の最大の権利をもつてするといえども、一人々々の財産というものはわれわれ自由に動かせない。物一つつてとれない。まして、土地とか家屋というようなものは、その人人にとつては、まつたく命の次に重要な財産なんだ。いやしくも区画整理というようなことをやつて、人の財産に手をつけようというときには、十分考えでやらなければいかぬ。それを、全体の土地がよくなればよろしいのだから、個人の利益がどうなろうともかまわない、そんなことを考えるのは暴言もはなはだしい。吉田ワンマンの暴言というけれども、総理大臣もそんな暴言はせぬぞ。暴言というもはなはだしい。そういう不謹慎なことは、うちへ帰つて考えて、慎みたまえ。そういう不謹慎な考えでやるから、こういうような飛地の換地をやられて、住民諸君が泣いておるにもかかわらず、君は気の毒だというような考えが出て来ない。鉛筆一本だつて、人のものを動かすときには、われわれは考えなければならない。ましてや、その人の大事な財産に対して、そういうような考え方をしてはよくありません。よくひとつ反省してもらいたい。文句があるなら、ひとつ聞いてみましよう。
  177. 本間定

    本間証人 ただいまえらいお小言のようですが、何も利益になるかならないかというようなことを考え役所というものはやるのじやありませんで、これが適当であるか、妥当であるか妥当でないかということだけ考えてやつておりますので、結局妥当であるということなら、元とかわりない正当な位置に行くのであつて一つも損得ということはなかつた。われわれは正当なやり方でやつておるということだけ申し上げておきます。
  178. 小林進

    ○小林(進)委員 君は何ぼ言つたつてわからない。正当、不正当ということはどこから編み出すのですか。個人の権利は一体どうなんですか。個人の権利を自由に、玉を動かすように動かして、それ以外に正当、不正当があるのですか。民主政治というものは何だ。個人の権利を最大限に尊重するというのが民主政治だ。個人の権利を尊重する以外に一体どこに正当、不正当があるのですか。そういうようなわけのわからぬのが区画整理事務所長などというものをやつているから、五年たつても、七年たつたところで、住民は安心して仕事ができない。国会においてわれわれの手を煩わしおる。一体ぼくらだつて忙しいのに、こういうむだな時間を費して、君とこういうむだな問答をしなければならぬという、これだけ国家に迷惑をかけている。君も反省したまえ。  その次を言うのであるけれども、次にお伺いしたいのは、区画整理委員会というのは諮問機関であるというのであるが、一体だれの諮問機関であるか、それをひとつお伺いしたい。所長の諮問機関であるか、あるいは建設局長の諮問機関であるか、東京都知事の諮問機関であるか、それをひとつお伺いしたい。
  179. 本間定

    本間証人 局の諮問機関であります。
  180. 吉武恵市

    吉武委員長 本間証人、もう少しお考えなつて……。
  181. 本間定

    本間証人 都知事の諮問機関であります。
  182. 小林進

    ○小林(進)委員 そういたしますと、ここは第四地区区画整理地区であるが、一体東京都に各地区々々々に委員会を設けられるのでありまするが、これは全部都知事の諮問機関ですか。よく考えて、いま一回答弁してもらいたい。
  183. 本間定

    本間証人 区画整理事業としての都知事の諮問機関と考えております。
  184. 小林進

    ○小林(進)委員 これはとても質問にならない。非常に残念ではあるが、こうなつては時間がいたずらに経過するばかりです。この問題はほかの証人に聞くことにいたしましよう。  次にお伺いしたいのは、区画整理計画というものが一旦決定をした。その決定権が、さつきあなたは、都知事にあると言つたが、中野君は局長にあると言われた。都知事にあるのか、局長にあるのか。一旦きまつた区画整理計画というものは二度と変更することができないものか、できるものか。
  185. 本間定

    本間証人 計画といいますと、広汎なことですが、最初計画というものは、都ばかりではなく、建設省も入つております。その方の決定によりまして、大元は閣議決定ということになつておりますが、それによつて方針はきまつたわけであります。その内部の小さいことは都できめます。それから、なお小さい道路のこまかい計画というものは、事務所並びに区画整理事業部で……。
  186. 菊川忠雄

    ○菊川委員 時間もありませんし、証人もお疲れで、恐縮ですが、今の小林委員の質問の中でちよつと重要と思われる点がありますので、もう一度確かめたい。それは、復興区画整理事務所長というような仕事は、先般来いろいろとわれわれが検討いたしおりますように、非常に重要な影響を持つ仕事であります。ところが、その事務所長であつた証人が、区画整理委員会の運営の重大な点、つまり決裁の点については、考えなければ明答ができないとか、あるいは、今の小林委員の質問に対しても、それが一体どこの諮問機関であるのか、どこが責任を持つのであるかというようなことについて、所長を四年間おやりになつたが、どうも明瞭な認識を持つていないということ、これは、私は行政監察上における重大な問題だと思う。もし、そういうふうに、あなた以外の現在の他の所長さんもその程度でおやりになつておるとすれば、これは重大な問題だと思う。しかし、あなたの場合は特例だとすれば、しかたありません。そういうのんきな所長もあるということです。  そこで、もう一ぺんお尋ねいたしますが、御承知のように、特別都市計画法法律第一九号、昭和二十一年九月十一日の制定でありますが、この第十条によれば、土地区画整理委員会というものの意見を聞いて土地区画整理を執行する場合の権限がきめられております。ところが、第十一条には、「土地区劃整理委員会は、土地区劃整理施行地区毎にこれを置き、行政庁がこれを監督する。」ということになつております。そこで、一体この行政庁がこれを監督するという、この行政庁の監督の所在、この点は、この法の中だけでは不明瞭であります。そこで、所長であつた証人にお伺いするのは、証人はこの区画整理委員会をどこの諮問機関として運用されたのか、——これは明瞭にされなければならぬ問題である。監督権はなるほど行政庁にあるのです。しかし、これはどういう機関に対して責任を持つ機関としてお考えなつておるか、この点を伺いたい。  ついでに、いま一点お伺いしますが、要点だけでけつこうです。先ほど、区画整理委員会の運営については、長い経験からして、現状でよろしいというきわめて明快な御答弁でありましたが、はたしてそれが、何らか関係方面からのあなたに対する規制があるのか、これはあなた自身の冷静な御判断の答弁でないような気が私はするのであります。この点を重ねて、もし間違いならば御訂正願いたい。たとえば、これだけの重大な諮問の仕事をする委員会であります。その委員会が、任期がなく、しかも一方にはリコールの制度がない。こういうものが一体委員会として他にあるかどうか。こういう委員会を認めて、そうして区画整理について重大な諮問をされ、場合によつて区画整理案を立てる、換地その他についてはその意見を聞いてやるということを今までおやりになつて、それについてあなたが当局としての計画を遂行される上に、何らか牽制を受けたに違いないのでありますが、そういうことがなかつたとすれば、私はふしぎであります。そこで、なぜ任期を決定しなかつたか、なぜリコール制度をきめていなかつたのか、その根拠をお示し願いたい。
  187. 本間定

    本間証人 先ほどのお尋ねの諮問の問題ですが、委員会の諮問は都知事の諮問ということになつておると考えております。それで、実際問題は所長が運営しておる、いわゆる都知事の代理ということで運営しております。  それから、先ほど、委員会のリコール制あるいは改選がないのに、それの方がよいと私は言つた覚えはないので、ただその当時の事情は、住民も少くて、疎開者もあつて、どうでもよいというのでそうなつたのであつて、今はみな帰つて来て、十分住民がおられるのありますから、改選、あるいは悪い人があればリコールすべきではないかと思つております。任期も改選もないように書いてありますのは、なぜ設けなかつたかというと、復興区画整理という戦災跡の整理を短期間にやつてしまうことができると思うので、そういうものがなかつたのではないかと思つております。たまたま、国の財政状態で、なかなか予算がとれないので、延びているわけですが、初めは短期間にやるために期間を設けなかつたのではないかと思つております。
  188. 菊川忠雄

    ○菊川委員 そうすると、先ほどは私の聞き違いかもしれません。今の御意見だと、やはり改正する必要あり、それからなお、リコールする必要もあるということでございますね。一体今の区画整理委員会の現状をそのままにして、リコールする方法というのは、何を意味するのですか。
  189. 本間定

    本間証人 リコールの方法ですか。
  190. 菊川忠雄

    ○菊川委員 法的にどういう根拠があつてリコールをやるのですか。
  191. 本間定

    本間証人 法的根拠があればの話です。あればやつてもよいのじやないかと思う。いわゆる刑事問題とか何かにひつかかつた人は当然やつてよいのじやないかと思います。
  192. 菊川忠雄

    ○菊川委員 それはまことに残念であります。刑事問題があれば当人が辞職するのでありまして、それ以外に改選の方法がないというのは、それはりコールではない。これは大事なことでありますが、それをあなたにお聞きするのは無理かと思いますので、終ります。
  193. 小林進

    ○小林(進)委員 私は、あなたがおやりになつた権限だけを承つておきたいと思うのです。あなたは、大きなところは内閣できめる、小さなところは都できめる、そのまた小さなところは所長の権限であなたがきめるとおつしやつたが、あなたがおきめになつた区画整理は、それが一旦決定したら、変更することができるかできないか、これをお聞きしたい。
  194. 本間定

    本間証人 私の所長という立場において決定したものでも、それ以上のところで決定されたものでも、正当でないということがわかれば変更されるものではないかと思います。
  195. 小林進

    ○小林(進)委員 あなたは、先ほどから、正当、不正当とおつしやいますが、一体あなたの基準になさる区画整理の正当、不正当は、どこでおきめになるのでございますか、それをお聞かせ願いたい。
  196. 本間定

    本間証人 私の言うことはどういう立脚点があるかということですが、区画整理というのは、一番問題になるのは換地です。その換地を、われわれが従来の土地を勘案して、今後の土地が、これでよい、適当だ、妥当だという線で行われれば、私は正当じやないかと思います。
  197. 小林進

    ○小林(進)委員 その適当ということは何できめるのですか。
  198. 本間定

    本間証人 それは、土地の状況によつて、相当の価格がわかつております。
  199. 小林進

    ○小林(進)委員 その価格は何できめるのですか。
  200. 本間定

    本間証人 将来こういうふうになるという計画の線があります。それによつて大体の価格が出て来ます。
  201. 小林進

    ○小林(進)委員 その正当、不正当なんか、実にあいまいなものだ。江東地区で言えば、江東楽天地分散させて、この地区一帯を歓楽街にして非常な殷賑地にするというのが一つ目的である。その目的の方向へ持つて行くのが、あなたのおつしやる正じやないかと思う。その一つ目的に向わない方向に行くのが不正だと私は思う。江東地区は、その目的を立てて区画整理をおやりになつた。ところが、現実はちつともその目的通り行かない。むしろ反対の方向に結果は流れている。こういうことに対して、あなたはちつとも反省もされていなければ、悪いことをやつたともお考えにならないで、あくまでも自分のやつた区画整理は正しいと考えている。私は、実に無反省、無能力、無知識きわまれりと考えておるのであります。ここであなたを責めてもしようがないのでありますが、私どもに言わせれば、正、不正ということは、そこに住んでいる住民個人々々の権利を最大限度に尊重いたしまして、個人々々みんなが、公平な区画整理の中で、一人でも犠牲者を含まないように、都市計画なり区画整理をして行くのが、新しい民主政治としては一番誠意ある正しいやり方だと私は思う。ところが、先ほどから聞いていると、あなたのお答えの中には、そういう配慮というものが一つもない。住民権利、個人々々の私有権をあくまでも尊重して、個人々々が泣かないように、最小限度の犠牲でもつて区画整理をはかつて行こうという考慮が一つもない。実に私は残念きわまると思つておるのであります。まあ、こんな議論をしたつてしようがないので、最後に私はお聞きするのですが、それは、所長のあなたの権限の問題である。所長が一旦きめたら、そのきめたことに対しては、次は執行権が出て来ましようが、その執行権に対して、住民が服従しなかつた、——いやだ、私の土地だから立ちのきを命ぜられても私は立ちのかないと言つたときに、これに対して、所長立場として、いかなる権限で処置されて来たか、それを承りたい。
  202. 本間定

    本間証人 結局の問題は、換地がきまつて、その換地がいやだから動かないということになりますね。
  203. 小林進

    ○小林(進)委員 そうです。
  204. 本間定

    本間証人 そうすると、家屋の移転を聞かないということになりますが、御承知でもありましようが、都内では、強制執行というようなことを都が代理でやつております。
  205. 小林進

    ○小林(進)委員 所長が、立ちのきをしない個人の家へ行つて、お前は立ちのきに応じないと強制執行をかけるぞというようなことで、所長の権限だというように、相当強い言葉をもつて住民に臨まれたということが、——もちろんあなたはそういうことはやられないだろうが、広い日本中にはこういう例があると思うが、これは所長の権限であるかどうか。今のお話では、どうも所長の権限のように考えられるのでありますが、いま一度お答えを願いたい。
  206. 本間定

    本間証人 それは所長の権限ではありません。都知事が執行することになつております。私は代理であります。とにかく所長というものは現場における都の代人でありますから、何でも表面立つてやるのは知事ということになつております。
  207. 小林進

    ○小林(進)委員 それでは、私の質問は、これまでにしておきます。
  208. 吉武恵市

    吉武委員長 他に御発言がなければ、本間証人に対する尋問はこれにて終了いたします。  証人にはどうも御苦労でした。  午後は二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時十四分休憩     —————————————     午後二時二十八分開議
  209. 吉武恵市

    吉武委員長 休憩前に引続き会議を開きます。区画整理関係事件について調査を進めます。  ただちに証人より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えなつておられる方は瀧尾達也さんですね。
  210. 瀧尾達也

    瀧尾証人 そうです。
  211. 吉武恵市

    吉武委員長 あらかじめ文書をもつて承知通り、正式に証人として決定をいたしましたから、さよう御了承いただきます。  それでは、ただいまより区画整理事業関係について証言を求めるとになりますが、証言を求める前に、証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産姿、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知なつておいていただきたいと思います。なお、証人公務員として知り得た事実が職務上の祕密に関するものであるときは、その旨をお申出願いたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人瀧尾達也君朗読〕     宣誓書  良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  212. 吉武恵市

    吉武委員長 それでは、宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  213. 吉武恵市

    吉武委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  それでは、お尋ねをいたしますが、第一に、証人の略歴をお述べ願いたいと思います。
  214. 瀧尾達也

    瀧尾証人 私は、大学を出ましてから、東京市に入りまして、それから、これが東京都にかわりまして、東京都にずつと勤務いたしまして、河川課長、労働課長等を経まして、一昨二十六年の九月に現職建設局長になりました。
  215. 吉武恵市

    吉武委員長 次にお尋ねをいたしますが、東京都内における区画整理事業のごく概略をお述べ願いたいのです。どういうふうにしておやりになつたか……。
  216. 瀧尾達也

    瀧尾証人 現在行つております区画整理は二十四年にきまりました。五百万坪の戦災による焼失区域の区画整理実施に当つておりまして、これの完成予定は一応二十九年となつております。なるだけ二十九年あるいは三十年に完了したいという心構えでおりますが、何分にも厖大な予算を要することでありますので、できるだけ早期完成を念願としておる次第であります。
  217. 吉武恵市

    吉武委員長 今の五百万坪というのですが、その焼失区域全部を区画整理地域としてやつて行くのですか、そのうちのある箇所々々を区画整理としてやつて行かれるのですか。
  218. 瀧尾達也

    瀧尾証人 標準は全体で焼失区域が六千万坪だと心得ておりますが、そのうちの一千万坪を計画とはしておりますが、現在国においても認められてやつておりますのは、そのうちのまた五百万坪ということでございます。
  219. 吉武恵市

    吉武委員長 それから、それに基いて区画整理委員会が設けられてやつているのですが、そういう箇所は何箇所ぐらいあるのですか。御記憶がなければ、大ざつぱでけつこうです。
  220. 瀧尾達也

    瀧尾証人 ちよつと数は覚えていないのです。
  221. 吉武恵市

    吉武委員長 あとでけつこうです。  それでは、次にお尋ねいたしますが、江東地区は今区画整理をやつておるのですが、これは、前に一ぺん区画整理をやつて、戦後またもう一ぺんこれを取上げられているが、それはどういう理由でやつているのでしようか。
  222. 瀧尾達也

    瀧尾証人 戦前に震災で一応やつておりますが、これは、あの方面をいわゆる副都心というような観点までは伸びておらなかつたわけでありまして、今度の区画整理では、あれを東の方の副都心として取上げて参るということ、それから、前の震災のときの区画整理の場合には、たとえば現在問題になつております広場なんというものもなかつたわけでございまして、そういうものもぜひ必要であるということから、広場なんかも取入れて、副都心の性格を持たして行きたいということから、一応前に区画整理したところでありますが、今回も焼失区域として取上げることになつたはわけであります。
  223. 吉武恵市

    吉武委員長 そこで、前と違つて、今度は副都心部にしたいという計画でやられたということですが、その江東地区を副都心部にするという点において、今までの証人の話を聞くと、あそこを歓楽街にしようという計画一つつた、——それだけでもなかつたようですが、それがやはり一つ目標であつたように聞いておりましたが、そうでしたか。
  224. 瀧尾達也

    瀧尾証人 実は、この計画を立てます時分は、私、局長またはその他の職員として区画整理にタッチしておりませんでしたから、そういうふうに聞いておるという意味で申し上げることになりますが、あれを歓楽街に——地形上というか、地柄といいますか、適当な地であるということから、そういうものを目的に入れて計画されたというふうに聞いております。
  225. 吉武恵市

    吉武委員長 それから、そういう計画を立てられるのは、都の都市計画委員会にかけてきめるのですか、それとも国の方で——国の方まで行かぬでしようが、地元できめるのですか。どうなんでしよう、その大体きめるところの……。
  226. 瀧尾達也

    瀧尾証人 あの中には、都市計画街路とか、都市計画決定広場とか、そういうものがございます。これは、区画整理をやります場合には、その範囲が入りますれば、なるたけそれにあわせた計画で進めて行くことになりますので、あの区画整理地区全体を東京地方都市計画審議会にかけるとかなんとか、そういう問題ではございませんで、区画整理地域の設計につきましては、施行者である知事が、建設大臣の認可を得て行う事業でございます。
  227. 吉武恵市

    吉武委員長 その知事が建設大臣の認可を受けてやるのですが、その計画の認可を受ける場合には、知事がかつてにやるのじやなくて、委員会に諮問してやるのでしよう。ですから、それが東京都の委員会にかかるのじやないのですか。
  228. 瀧尾達也

    瀧尾証人 区画整理委員会関係しておりますことは、換地に関する……。
  229. 吉武恵市

    吉武委員長 ちよつと待つてくでさい。区画整理委員会でなくて、今の道幅を幾らにするとか、広場をどこにつくるとかという、江東地区一つ都市計画案ですね。これは、知事が建設大臣の認可を受けてきめると今おつしやつたが、その際に、東京都の都市計画委員会というか、審議会というか、知りませんが、そういうものにかけてきめるのでしよう。
  230. 瀧尾達也

    瀧尾証人 今のは、私、区画整理の設計と思いました。御質問の意味が、都市計画路線あるいは広場決定という範囲でございますと、都側から案を建設大臣に具申いたしまして、建設大臣が京京地方都市計画審議会に諮問されるという関係でございまして、知事が諮問するのじやございません。
  231. 吉武恵市

    吉武委員長 それでは、大臣が諮問して、決定は大臣が決定するのですね。
  232. 瀧尾達也

    瀧尾証人 さようでございます。
  233. 吉武恵市

    吉武委員長 そうして、知事にそれが下つて来る。
  234. 瀧尾達也

    瀧尾証人 そうでございます。
  235. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、それに基いて地元区画整理が行われるわけですね。
  236. 瀧尾達也

    瀧尾証人 地元区画整理は、要するに、区画整理地域の土地の、四メートルの道路ができますとか、八メートルの道路ができるとか、そういうこまかいものまで全部を都市計画として決定はしておりません。都市計画として決定をしますのは、広場とか、幹線街路、補助線街路、要するにその中の重要な都市計画決定を必要とする広場、街路、そういうものに限つているわけでございまして、区画整理によつてできます一本々々の道路までも都市計画審議会決定はしておりません。
  237. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、そのこまかい道路や何かは、どこで決定し、どういう審議機関にかかるのですか。
  238. 瀧尾達也

    瀧尾証人 その点をさつき間違えて申し上げたのですが、それは行政庁としての都が設計をいたしまして、建設大臣に申請して、認可を得て、それによつて知事が施行して行く。その区画整理区域内の道路とか広場というものを、またあらためて全般にわたつて建設大臣の認可を知事がとるわけであります。
  239. 吉武恵市

    吉武委員長 そうしますと、都市計画広場とか、大きい道路というような基本の計画は、都知事から建設大臣に申請されて、建設大臣がこの東京都の都市計画委員会へかけてきめますね。そうすると、その基本に基く細部の計画は、あらためてまた知事が全体として建設大臣に出して、認可を得てやる、こういうことですね。
  240. 瀧尾達也

    瀧尾証人 そうです。
  241. 吉武恵市

    吉武委員長 その際に、委員会にかけるということはしないのですね。
  242. 瀧尾達也

    瀧尾証人 何の委員会ですか。
  243. 吉武恵市

    吉武委員長 民主的に都民を代表している区画整理委員会にかからぬのですか。
  244. 瀧尾達也

    瀧尾証人 かかりません。
  245. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、地元区画整理委員会できめることはどういうことですか。
  246. 瀧尾達也

    瀧尾証人 それは、換地に関すること、それから土地の補償金に関すること、それから過小宅地等に関すること、そういうものを区画整理委員会できめるわけです。
  247. 吉武恵市

    吉武委員長 その際に、区画整理委員会換地をやられるのですが、そのどことどこをどういう標準で換地をするという基本の方針がありますか。それは委員会にまかせ切りですか。
  248. 瀧尾達也

    瀧尾証人 基本の方針と申しますと、要するに、その区画整理地域に広場がどれだけいる、あるいは道路がどれだけいるということから、換地減歩がおのずから出て参るわけでありまして、その減歩によつて、たとえば甲の人の土地がどれだけ減るというようなことになつて参るわけでありまして、これは、委員会がきめると申しますか、公共用地がきまると、必然に減歩も大体きまつて参るわけです。
  249. 吉武恵市

    吉武委員長 公共の用地がきまれば減歩がきまりますが、それだけ土地が減る。そのときに、元のままでは納まらぬから、補償をするし、また転地が必要になつて来ますね。そのときに、元の土地を評価をするなり、あるいは今度かわるところの評価をし、そうしてその評価と評価を合せて土地の広さをきめるなり、何か標準があるのじやないですか。これは、具体的な区画整理によつて、一律には行かぬでしようが、何か基本の方針があるように思うのだが、それはないのですか。具体的にそのところところできめるのですか。
  250. 瀧尾達也

    瀧尾証人 これは、私、はつきり記憶しておらないのですが、その場所場所によつてみな評価は違い、一律にきめ得ないというふうに存じております。
  251. 吉武恵市

    吉武委員長 もちろん、それはきまりませんが、まず最初にその評価を出して、どういう方針でやるという何か基本の方針があるのではないかという気がするのだけれども……。
  252. 瀧尾達也

    瀧尾証人 基本の方針はあると思います。
  253. 吉武恵市

    吉武委員長 あるでしよう。だから、それ具体的にはいろいろまぜ合せて運用するのでしようが、その方針をお示し願いたい。
  254. 瀧尾達也

    瀧尾証人 これは、あると思うのであつて、実際は事務当局によく聞いてみませんと、私、はつきりいたしません。あるのでしたらお示しできるだろうと思いますけれども、この点、つまびらかにいたしません。
  255. 吉武恵市

    吉武委員長 わかりました。  次にお聞きしますが、江東地区区画整理に伴つて換地が行われつつあるのですが、住民の間に不平なり不満の声があるわけです。本委員会が取上げたのも、そういう声があつて、方々にそういうことがあるものだから、ひとつ江東地区だけとつて審査してみようということなんです。この江東地区についても、東京都の方に相当陳情なり不平が出ただろうと思うのですが、それはどういうふうに御処置になつたのでしよう。
  256. 瀧尾達也

    瀧尾証人 たとえば、換地については、説明をしで、了承を得て進んでおるというふうに聞き及んでおります。
  257. 吉武恵市

    吉武委員長 それは、大体そういうことでやられるだろうが、直接に都長官のところとか建設局長のところに、地元から、こういうことがある、ああいうことがある、これは困るということが相当あつたのではないかと思うのですが、こちらに来た証人は、どうも取上げられなくて、しかたがないから行政監察の方へ持つて来たんだとか言つておりましたが……。
  258. 瀧尾達也

    瀧尾証人 これは、私自身そうよく記憶してないくらいですから、私自身直接通告を受けたと考えておりません。
  259. 吉武恵市

    吉武委員長 大分話が違つておるが、そこで、これは方々にあることだと思うのですが、とにかく換地という問題は利害関係が非常に深い問題です。いいところへ行く者は黙つておるだろうが、そうでなければ不平の出ることは当然なんですが、その際に、地元でつくつておる区画整理委員というもののやり方が、よほど気をつけないと、いろいろな種をまくことになる。現在聞いてみると、区画整理委員には任期がない、そして選挙等についても代理人でやつていたりするというようなことを聞くのですが、あなたは、この区画整理をやつて行く上において、現在のような制度でいいか、やはりあれはこう直した方がいいというお考えをお持ちでありますか。
  260. 瀧尾達也

    瀧尾証人 これは、法律でリコールということがございませんし、また任期が切つてございません。今われわれの立場考えますと、やはり区画整理というものは長く続くのでありますから、一定の任期と申しますか、そういうもののある方がいいのではないかというふうに考えております。
  261. 吉武恵市

    吉武委員長 委員で御発言になる方はございませんか。——天野委員
  262. 天野公義

    天野委員 今委員長がしさいに証人に御質問になつた区画整理委員の選挙の問題でございますが、これは、区画整理を行う上においての一番大きな欠陥をなすのではないかと考えるわけでございます。     〔委員長退席、塚原委員長代理着席〕 すなわち、その選挙の方法も、白紙委任状を集めて歩いて、そうしてこれを仲間同士で分配することもできるわけでございますし、また、さらには、任期もなければ、リコールの制度もない。そうしてまた、区画整理委員土地の売買をやつたとしても、それを禁止する規定もないというような状態でありまして、これは法律上、制度上の一大欠陥であると考えられるのでございますが、証人はこの点どうお考えになりますか。
  263. 瀧尾達也

    瀧尾証人 これは、法律として考えて行かなくてはいけない点も、現在の委員の方が悪いというような意味ではございませんが、法律としては、一般にそういう委員その他には任期があるのですから、これだけ任期がないというのはおかしいというような程度です。
  264. 天野公義

    天野委員 区画整理の事業を行う施行者としては、一体どういう手続を踏んでおやりになるのか、それから、区画整理事務所と都の建設局職務権限の分野はどういうふうになつておるか、それをひとつお話してください。
  265. 瀧尾達也

    瀧尾証人 区画整理を行います順序は、先ほど申しましたように、設計をつくりまして、建設大臣の認可を得まして、それをもととして換地の原案をつくります。それを区画整理委員会に諮問いたしまして、その結果によつて知事が認可して執行するということになつております。
  266. 天野公義

    天野委員 そうすると、設計は大体都でおやりになるということに了承していいわけでございますね。
  267. 瀧尾達也

    瀧尾証人 設計という意味は、先ほど申し上げましたように、換地まで含んでおるわけでございません。つまり、どういうような道路をつけて、どこにどういいう広場をつくる、そういうような意味であります。
  268. 天野公義

    天野委員 江東地区区画整理計画は、最初の出発は、都立高校都電車庫をなくして、江東楽天地分散させ、そうしてここをいわゆる歓楽街にしようという構想のもとに立てられたのであるけれども、その後再三計画がかわつて都立高校もそのまま、電車の車庫もそのままということになつたわけでございまして、そこにおいて、今度は住民側の方に非常な減歩をしいられるというような事態にもなり、極端に言えば、江東楽天地のために区画整理をしたのじやないかというような疑いさえも持たざるを得ないような結果になつておるのでございますが、こういう点について、どういうふうにお考えでございますか。
  269. 瀧尾達也

    瀧尾証人 初めはそういうふうに聞き及んでおります車庫移転し、学校も移転するというような意味で、理想的な江東歓楽街もあわせて計画したいというふうに考えておつたようでございまするが、いろいろな事情から、これを縮小したということは言えると思います。理想が小さくなつたという意味に私どもは解釈しておりまして、たとえば、電車車庫なんかも、普通の減歩以上に減歩をしてもらつており、副都心としてむき出しにならぬように、そのまわりに換地もして行くというようなことをやつでおりますが、副都心として考える場合には、もちろん広場もいるわけでありまして、広場実施なつておりますし、今おつしやいましたように、江東楽天地のためにやつたというようには考えておらぬのであります。
  270. 天野公義

    天野委員 一番最初は、江東楽天地分散させて、ここに歓楽街をつくるという方針で進んでおられたわけでございますが、この江東楽天地と都側との間に何かお約束でもあつたのでございますか。江東楽天地分散させて歓楽街をつくるという方針一つ中に入つていたわけでございますが、その場合、土地分散させる、させたあとについて、楽天地としてはこういうふうなことをしてもらいたいというような都との交渉なり約束なりがあつたのでございましようか。そういう点をお伺いしたい。
  271. 瀧尾達也

    瀧尾証人 これは、その当時私局長でありませんので、はつきり申し上げ得ないのですが、私の仄聞しておるところでは、たとえば書類とか、そういうものにしてくれろということは申し出ておらないわけであります。
  272. 塚原俊郎

    ○塚原委員長代理 そのときの局長はどなたですか。
  273. 瀧尾達也

    瀧尾証人 その当時は、多分石川榮耀さんだと思います。
  274. 天野公義

    天野委員 そうしますと、要するに、この江東楽天地分散させるということについては、漠たる期待は持つていたけれども、その結果について何らの約束もなく、また楽天地がどんなことをしでも、結果的には何とも言えないという立場に都はあるわけでございますか。
  275. 瀧尾達也

    瀧尾証人 そこまでは制肘はできないと思います。
  276. 天野公義

    天野委員 そういう点がこの江東地区区画整理を非常に不明朗にさせておる一つの原因になつておるわけでございます。この上の地図と下の地図を比べてごらんになつていただけば一番よくわかるわけでございますが、結果的に見ますと、江東楽天地が十二のところが下の地図に行つて十二の二、十二の三、十二の四、十二の五、十二の六、こういうふうに分散をさした。そうして今度は、江東楽天地が、ある者を介在させて、土地を買つたり、いろいろして、ちようど下の図の九の一、十、八の一、九の四、十一、六と、あの一部を江東楽天地が占めるようなかつこうをつくる。またその反対側の九の二、八の二、十二の四というところも、あそこは楽天地が占める。それから十二の六の表のところを、飛換地をあそこに持つて来て、下の図の四、五、九の三というものを集めて、あそこに一部をつくる。こういうような結果になつておるので、結局江東楽天地分散させて、それになお飛換地を集めて、そうして一部をつくつて来た、こういうような結果が現われておるわけでございますが、こういう点について証人はどういうふうにお考えでございましようか。     〔塚原委員長代理退席、委員長着席〕
  277. 瀧尾達也

    瀧尾証人 まだその後の売買によつで変化した状況をつまびらかにしておりませんので、今ただちにどうという意見は申し上げかねます。
  278. 天野公義

    天野委員 今申し上げたように、こういう江東楽天地のブロツクが、江東地区で一番いいところに集まつて来ておる。この集まつて来ておるのは、江東楽天地が直接買つて換地を持つて来たものか、さもなければ、区画整理委員が介在をして、そしてそこに集めて来ておる、こういう結果になつて来ている。そして、集めて来たものを見ますと、必ずいい換地なつてここに集まつて来ておる。ところが、何ら区画整理委員関係のない者などは、非常に不利な換地を行わせられておる。従つて、この全体の換地の状況を見るときに、江東楽天地と一部の区画整理委員とが相結託をして有利な地位を占め、そうでない者は非常な損をするという関係がここにはつきり出ておるわけでございますが、そういう点について証人はどういうお考えを持つておられますか。
  279. 瀧尾達也

    瀧尾証人 この点につきましては、どういうわけで、だれが所者である、換地がどこえ行つたかということは、これは一々原簿によつて詳細に調べてみませんと、概括的には申し上げられない問題なのでありまして、前の所有者がある場所換地なつたものを売つたという場合もありましようと思うのでありまして、前の所有者の換地と、今度の所有者の換地が不当に換地されていたかどうかということは、ともに原簿によつてよく調べてみないと、ここで抽象的に申し上げられないと思うのです。
  280. 吉武恵市

    吉武委員長 証人に、私、一つ聞き落したことがあるので、お聞きしますが、換地については地元区画整理委員会にかかりすね。
  281. 瀧尾達也

    瀧尾証人 はい。
  282. 吉武恵市

    吉武委員長 かかるときの案はだれがつくるのですか。あの地元事務所長がつくるのか、あるいは事務所長がつくつて建設局に持つて来て、そしてあなたの方で会議をして目を通してきめ、そしてそれを委員会にかけられるのか、それから、委員会に諮問した結果を見てどこで最終的にきまるか、この点をちよつと……。
  283. 瀧尾達也

    瀧尾証人 換地予定地の最終の決裁は局長決裁なつております。
  284. 吉武恵市

    吉武委員長 換地決裁だけれども、事実上は局長限りで決裁をするというわけですね。
  285. 瀧尾達也

    瀧尾証人 そうでございます。
  286. 吉武恵市

    吉武委員長 そして案はどこでつくるのですか。
  287. 瀧尾達也

    瀧尾証人 実際に案をつくりますところは復興事務所で、本部の区画整理の監督下につくるわけです。
  288. 天野公義

    天野委員 この表は、いろいろと帳簿その他を調べて、それで厳密な調査の結果作成したものでございましよう。結果を見ると、今申し上げたような結果になつておる。従つて証人としては、この借地権者または土地の所有者の利益というものを一体どうしておはかりになつておるか。たとえば、地価十万円のところの土地のものが十五万円の土地のところへ行けばいいですけれども、五万円の土地に下げられたということは、これはまた非常な損失をこうむることでございます。土地という問題は個人の生活にとつてはきわめて重大な問題でございますから、こういうような人々の利益の保護については一体東京都としてはいかなる御配慮をされておられるか、またされたか、そういう点はどうでございましよう。
  289. 瀧尾達也

    瀧尾証人 十分に協議いたしまして、また区画整理委員会意見も参酌いたしまして決定したものでありますから、妥当と存じております。
  290. 天野公義

    天野委員 証人は妥当と言われますけれども、結果的に見れば非常に不公平がはなはだしい。こういう例は江東地区ばかりではない。池袋にも問題が起つており、また高円寺地区にも問題が起つており、大阪におきましては、現在表に現われただけでも四百万円の贈収賄事件が国警にあげられている。全国的な問題としてこれはきわめて重大なる問題でございます。この大体の設計は都でなされ、また都の直轄の事務所換地の実際計画をされ、そこで区画整理委員発言がそこに加味されるというわでけございますから、この一般の土地所有者、借地権者の利益の擁護という点は、どうしでも都の当局においてこれは守つて行かなければならないと考えるのでございます。ところが、結果はこういうようなことになつている。各地でも問題を起している。こういう点について、証人は一体どういうふうにお考えになるか、もう一度お聞かせ願いたい。
  291. 瀧尾達也

    瀧尾証人 不当であるものについては是正すべきであると思いますが、そのこまかい点は、一つ一つのケースについて、なぜそうなつたかということを、帳簿によつて、事務当局に、完全に研究した結果を聞いてみないと、一概には申し上げられません。
  292. 天野公義

    天野委員 証人は事務当局と言われますが、事務当局に対して、こういう問題はきわめて重大な問題でございますから、間違いのないように、不公平のないように、証人としては十分御監督の必要があると思うのでありますが、こういうような不公平なことを起すことになる基本的な問題として、私は法律上の欠陥が相当あるじやないかと思うのです。従つて証人は、この区画整理事業をやるにあたつて法律的な根拠、根基法規というものは一体どこにあるか、ひとつお述べ願いたいと思います。
  293. 瀧尾達也

    瀧尾証人 こまかい、いわゆる法理論でありますと、専門外でありますから、お答えしかねると思います。私ども承知しているところでは、今度の都市計画、戦災都市計画のために、特計特計と申します特別都市計画法に基きまして、それによつて施行していると思つております。
  294. 天野公義

    天野委員 大体都市計画法と特別都市計画法に基いているということは当然でございまするが、この両方におきまして区画整理を実際にやる、こまかい部面の法律は耕地整理法に基くというように法律に書いてある。非常に地価の高い、三間寄れば価値が違う、表と裏とは全然価値が違うというような東京土地と、たんぼや畑の土地と同じに取扱われ、同じ法律によつて扱われるということは、きわめて不穏当ではないかと思うのでありますが、さらに、耕地整理法というのは、土地改良法に改正されて、現在なくなつているのでございます。従つて、耕地整理法に細則を委任されたところで、耕地整理法はないという状況なのでございますが、そういう点について証人はどうお考えでございましようか。
  295. 瀧尾達也

    瀧尾証人 特別都市計画法にない部面だけを耕地整理法によつているのでありまして、詳しくは私存じませんので、申し上げませんが、大部分の点は特計法によつて施行されたものだと考えております。
  296. 天野公義

    天野委員 根本的な問題といたしまして、その地方住民に非常に利害関係のある、きわめて技術的にもむずかしい、こういう区画整理という問題を処理するためには、単行法規としての区画整理法というものがどうしても必要であると私は私えるわけでございますが、証人は単行法を必要とお考えになりますか、どうでございますか。現行法でよろしゆうございましようか。
  297. 瀧尾達也

    瀧尾証人 こはれ、たいへんむずかしい御質問でありまして、何とお答身していいですか、要するに、一つでもつてそつくり何でもかんでも含めるという法律ができますれば、それはなおいいじやないかと思います。
  298. 天野公義

    天野委員 そういたしますと、単行法がやはりよいというわけでございますね。
  299. 瀧尾達也

    瀧尾証人 法律のことでございまして、他の関係法規との関連がありますから、区画整理は一切がそれでやれるのかどうか、専門家でないもので、あまりわかりませんが、ほかの法律に何も関連なしに、一つ法律だけで行き得るという法律ができればけつこうだと思います。他の法律を一々ひつくり返さないで、その法律だけ見て何でもできる、そういう法律ができれば、これほどけつこうなことはないと思います。
  300. 天野公義

    天野委員 この区画整理は非常に長い年月を要して、いまだにその解決を見ておらないのでございますが、一体この区画整理に関してどれくらい予算を使つておられますか。
  301. 瀧尾達也

    瀧尾証人 これは、ちよつと持つて参りませんでしたので、あとで調べて、差上げます。
  302. 天野公義

    天野委員 それでは、この区画整理が始まつたときから今日まで、人件費その他をまぜて幾ら予算が使用されたか、それと、補償金は一体どれくらい支出しておるか、こういう点を資料として御提出願いたいと思います。
  303. 吉武恵市

    吉武委員長 中野四郎君。
  304. 中野四郎

    ○中野委員 局長に質問するのですから、勘どころだけ二、三点伺つて、こまかい点は、もしあなたで都合が悪ければ、あなたの下においでになつて、実際にやつておられた方にお答え願つてもよいと思います。  瀧尾さんとなまず問答を繰返していても始まらぬと思いますが、今天野君の質問に答えて、不当であると認めたときには是正すべきだというあなたの御意見があつた。してみると、今までに不当であると認めて是正した例が相当数あるかどうか、まずこれを伺いたい。
  305. 瀧尾達也

    瀧尾証人 たとえば、換地であるとか、区画街路が不当であるというふうにわかつた場合には、かえた例はございます。ただ、全体に施行中のものでありますから、その全体に及ぼすようなもので不当なものはまだございませんので、そういうものはありませんが、局部的には、陳情、請願があつて、なるほど無理でないというので、かえた例はあると記憶しております。
  306. 中野四郎

    ○中野委員 そうすると、今後も不当であると指摘された場合においては、これを是正するにやぶさかでないという意思表示ができますかどうですか。
  307. 瀧尾達也

    瀧尾証人 これは非常にむずかしい問題でありまして、不当であるというふうに一方的に陳情を受けましても、こちらで考えて、なるほどそれが不当であるというふうにうなずける場合に限るわけでございます。
  308. 中野四郎

    ○中野委員 むろん不当であると一方的に陳情して、それを取上げてくれと言うのではないのです。諸般の事情を勘案して、これがまつたく不当であるということが指摘された場合においては、これを是正する意思ありやいなやを伺つておるのです。
  309. 瀧尾達也

    瀧尾証人 是正せざるを得ないと思います。
  310. 中野四郎

    ○中野委員 まずそれを伺つておけば、質問の要旨に乗つて来ると考える。そこで、先ほどからいろいろと、区画整理委員の選挙が妥当でないということと、区画整理委員会の運営に正しからざる面が多分にある、あるいは換地の不公正と委員の悪徳行為という点を、図面を示し、事実を指摘して質問をしておられたようでありますが、私は、江東地区のことについてよく存じませんから、それを一々論議いたしませんが、総括して伺います。東京都の都市計画区画整理委員が、区画整理という職権を利用して、みずから換地になるべき土地をば買収しておいて、委員という立場にあるのを利用して、換地を求め、相当の利益を得るという場合が相当ある。昨日もここに御出席願つた区画整理委員の何がしという方は、自分はそういう意思はないけれども、人の土地を買い入れた、従つてそれに対する換地をもらつたけれども、たまたま運がよくて、これが思いがけない相当よい土地にまわされて、大きな収益をあげた事実を認めておるのです。こういうことは、われわれ第三者が見た一般常識としては、少くとも区画整理委員として選任された上は、法的にも、あるいは道徳的にも政治的にも責任があつて、さような土地を買い入れるとか、あるは有利なる換地を求めるというような行動をなすべきでないと考えるのですが、この点は先ほど局長もいろいろ答弁されております。そこで、私は、あらためてあなたに伺いたいのだが、区画整理委員土地の売買、あるいは自分土地換地等をすることが非常に頻繁に行われておることは、正しいことであるかどうか、局長はどうお考えになるか、御答弁を伺いたい。
  311. 瀧尾達也

    瀧尾証人 区画整理委員であられましても、自分の持つておられる土地区画整理にかかれば、当然換地計画の中に入るわけです。ですから、換地計画に加えられるのはやむを得ないと思います。それで、自分換地だけを非常によくしたいという希望を持たれても、それに妥当性がない場合には、原案の面から見て御承知申し上げ得ないことになつて、是正されて参ると思つております。
  312. 中野四郎

    ○中野委員 もう少し具体的にお話した方がよいと思うのだが、たとえば、あなたとぼくとがお互いに区画整理委員とする。そうして、区画整理委員には、ある一定の土地区画整理に入ることがわかつておりますね。ところが、一般の人にはわかりません。そこで、ぼくならぼくが、その整理に入るべき土地の所有者のところに行つて、君の土地を売らないかと言つて非常に安く買い上げる。しばらくたつて、いよいよ区画整理に入ると、今度は換地がもらえる。その換地に対しては、自分区画整理委員ですから、有利な方向へ持つて行く。裏長屋でもいい方へ持つて行くということは、神様でない限り、ないとは考えられない。あるとも考えられる。いやしくも区画整理にタッチする委員が、換地問題に関係して土地の売買をしたり、あるいは換地目標にそういうふうな区画整理に入るべき土地を買い入れるというような行為があつたとするならば、これは好もしいと思うか、あるいは好もしくないと思うか、正しいと思うか正しくないと思うか、この見解を伺つているのです。
  313. 瀧尾達也

    瀧尾証人 どうも、えらいむずかしいことで……。
  314. 中野四郎

    ○中野委員 いや、これが一番大事なところでね。
  315. 瀧尾達也

    瀧尾証人 それは、非常に奨励する——やつていいとは思いません。
  316. 中野四郎

    ○中野委員 そんなこと奨励してはたいへんだ。
  317. 瀧尾達也

    瀧尾証人 これは、そういうことを絶対にやつてはいけないと言つても、きめ手もありませんし、また陰でそういうふうなことが行われているということは、残念ながら執行者にはわかつておらぬという点から、要するに、前に区画整理当時に権利者としてあげられたその人のつもりで——権利の譲渡がない限りはその人のつもりで、こつちは換地計画もしておるわけでありまして、特に今度買つてしまつた人のために有利ということは考えられないと思うのであります。こちらに出しておる所有者の土地考えて、その換地を考慮して行つておるわけでありますから、委員土地として換地していると思えない。また、それが明らかに変な換地の場合には、こちらは十分その理由の成り立たないことを申し上げて是正しておる、こういうふうに承知しております。
  318. 中野四郎

    ○中野委員 だから、あなたが認めてやらしておると私は言うのではない。執行者が知らずしてそういうような不公正なことが行われて、直接利害を持つ住民が納得せざるような不公正な事実があつたとするならば、これを是正する用意があるはずでありますから、私は、執行者は矢らんでいらつしやるが、この委員会なりあるいはそれぞれの事実に基いて裏づけされるものがあつた場合においては、あなたの方はこれを正しいと見るか正しくないと見るか、こういう点を聞いておるのです。あなたが知つてつてやらせるというのではないのですよ。知らぬでおつてやられるかもしれないから、その事実が現われて来ると言うのです。というのは、この区画整理委員というのは、何も制約がない。先ほどから仰せの通り、選挙においてはまことに制限なし、その期限においては、いかなる委員といえども無期限でおるというようなことはない。そうして、これらの者に対する制約は何もない。そうして、扱うところの事業は非常に大きな利害を伴うというような、及ぼす影響の大きいことを考えますと、東京都がそれを承知でおるということになると、東京都の役人もぐるだということになる。東京都の役人が不公正な取扱いをするという結果になるから私は伺うのです。こういう不公正な好もしくないことを行つておる者があつたとするならば、これに対していかなる見解をとるかという結論を求めるために、あなたに伺つておるのですが、これは例を申し上げましよう。たとえば、杉並の高円寺なんかそうでしよう。高円寺の区画整理委員長さんは土地のブローカーというじやないですか。営業と区画整理とちやんぽんでやられては、都民はたまつたものじやない。そうでしよう。そういう者をして土地の整理委員長に、互選の結果でしようが、選挙せしめることはいかがでしようか。それに対して東京都が牽制することもできぬ、遠慮を願うこともできぬという状態にあるかどうか。もし遠慮せぬとするならば、こういうやつが、おれはブローカーだ、商売でやつたんだということもあり得る。しかし、その先入観は、あくまでも区画整理委員という一つの特権を利用したということが十分に言い得る。そういう場合に、こうむる一般都民の利害というものは非常に大きいことになるので、私は聞きたいのですが、どうでしよう、執行者は知らぬということがかりにあつたとしたら、そういう場合に局長としてはどういうふうな考えでもつて臨まれるでしようか。
  319. 瀧尾達也

    瀧尾証人 土地の売買をわれわれ執行者側が法律的にどうするということもできないわけでありまして、そういう事実がありましても、それを都市計画執行上の不正として是正するというわけには行かないのではなかろうか、そういうふうに考えます。
  320. 中野四郎

    ○中野委員 そんなに直訳しなくてもいいのですよ。私の聞いておるのは、少くともあなたが一番最初に、不当であると認めたときにはこれを是正するにやぶさかではないと言つた、いわゆる不当というものの限界の問題なんです。今制約のない区画整理委員が、区画整理換地にタッチした場合におけるところの不当の限界というものはどこにあるかということになる。それを一般社会から律してみて、これは正しからざること、当らざることという結論を見出すところに、私は不当の定義があろうと思う。だから、そういう見地から伺うのであつて、少くとも、われわれが考えれば、土地区画整理委員のその職におつて換地あるいはそれらに関係のでき得るところの特権を持ち知識を持ち、これを自己に有利に利用しようとする、そういう者がこの職責につくことが私はよくないと思うけれども、今日の段階においではこれを制約する方法がありません。従つて、やむを得ないから、執行においてこれについて十二分に考慮をしなければならぬと考える。その考慮の範囲を伺つておるのだが、あなたは、今言うように、そういう土地売買者が委員長をやつておろうが何をやつておろうが、それは商売だから、買えばしかたがない、あるいは選挙で選ばれて来たのだから、区画整理委員の中にそういうようなことをやつた委員があつたつて、何も法律に反しなければしかたがないとおつしやるのですが、こういう東京の都政というものに対して、相当な疑惑を私は持たざるを得ない。東京都政だけがさような怠慢を特に許さるべき理由はあり得ないと思う。いやしくも東京都の建設局長として、今八百万からある東京都民のいわゆる利害得失についで日夜働かれるあなた方が、一方の人間の利益は見のがすけれども、一方の人間の損失はそのまま放任しておくというような不公正は断じて許さるべきものではないと私は思う。だから伺うのです。今日問題になつておる一番の焦点はそこだろうと思う。区画整理委員が、自分委員であるという特権を利用して不公正な換地をなし、不公平な、妥当でない区画整理を行う、そうして非常な暴利をむさぼるというところに、今日行政監察の対象としてこれが提案されたものと私は信じておるのです。だから、それに対するわくがないのだから、せめて東京都の方で監督するくらいの考えが何かあなたの方でありそうなものではないですか。どうなんですか。区画整理委員は何をやつたつてかまわぬというふうに結論づけていいものですか。
  321. 瀧尾達也

    瀧尾証人 区画整理委員は何をやつてもいいという、そういう結論を是認するわけでは毛頭ございません。しかし、結局法律によつてその範疇においてやつていることを、都は都だけの立場で制肘するという方法はないのではないか、——私が先ほど不正は是正するにやぶさかでないと申し上げましたのは、AならAの換地先が当然にB行くべきものがDに行つておるというような場合、こういうものの是正ということにはやぶさかでないということを申し上げたので、そういう土地売買を委員の人はやつてはならぬというきめ手がわれわれの方にないということは、どうもやむを得ないと思う。今の法律のもとでやつておるのですけれども、残念ながらどうも……。その点、ぜひひとつごかんべん願いたいと思います。
  322. 吉武恵市

    吉武委員長 瀧尾証人委員長からお尋ねしたいのですが、今の中野君の質問で大体おわかりだと思うのですけれども、つまり、そういうおそれは多分にある。それを、ただ委員はかつてにやつてよろしい、それから、あなた方都の方も、何メートルの道路とどれだけの広場ができれば、その間の換地はどうなろうと、おれの方はかまわないというのでは、これは、利害関係を受ける国民の側から見れば、たいへんなことだ。そこで、今中野君の言われたような弊害というものはあり得る。あり得るということは御存じだろうと私は思う。瀧尾証人も知らぬということはないと私は思う。それならば、それに対して、現在どういうふうな注意なり監督をするという努力が払われなければならぬ。同時に、今の御意見のように、現在の制度では禁止していないから、どうにもしようがないという点もあるかもしれないが、それならば、将来制度としてこういうふうにしたならば、その弊害は除かれるのじやないかというような御意見があると思うのです。どうでしようか。
  323. 瀧尾達也

    瀧尾証人 それは、今中野さんに申し上げましたのは、現在のもとでは、これは道徳的に申し上げることはできます。それで、そういう風聞を聞いた場合には、そういうものに注意はしておるのでありますが、それ以上出られない。しかし結局、先ほど任期ということも出ましたが、任期の問題あるいはリコールというような問題なんかが、そういう点の場合の是正ということには大いに役立つのじやないかというふうには考えられます。
  324. 吉武恵市

    吉武委員長 だから、今の法律に欠陥があるならば、あなたがやられた経験にかんがみて、どうも現状では自分もまずいと思う、やはりこれはこういうふうにする方が民主的であり、公正であるという御意見があるのじやないかと思います。それを中野君が聞かれておるので、あなた自身を責められておるわけではない。私は、監督の責任があるとは思うが、それをただすのが主体ではない。この委員会としては、現在までの欠陥を是正するということも一つであるが、同時に、将来弊害をなくしたい、何とかして公正にやるな法はないかというのが本委員会の使命なんです。そこで、あなたの責任者としての御意見を聞いておるので、率直にお答えを願いたい。
  325. 瀧尾達也

    瀧尾証人 その意味では、今申し上げたように、是正の方法はないことはないので、法律的の処置をとれば、是正し得る余裕があるのじやないかというふうに考えられます。
  326. 中野四郎

    ○中野委員 そこで、不当であるかどうかということの限界点なんですが、これは、個々の問題を一々指摘したのでは、たいへんな数ですから、総括してこれを伺うのですが、結局この換地の不公平と委員の悪徳行為が明らかになつたならば、これは局長として、執行者としての責任上、こういうものに対しては、当らざるものである、正しからざるものであるという結論のついた場合には、これを是正する気持は明らかにあるということを再確認願えますか。
  327. 瀧尾達也

    瀧尾証人 それは、さつき申し上げましたように、その換地委員の方が買われて、そして出て行つた、それをどうこうということはできない。当然に行くべき換地が間違つてAに行つた、そういうような、どうしてもりくつがつかない換地をやつておるような場合には、これは是正すべきものであるというふうに考えておるという意味でございます。
  328. 中野四郎

    ○中野委員 それは、不当じやないので、間違いなんですよ。間違いを是正するのはあたりまえなんで、これは陳謝これ努めて改めるのはあたりまえなんです。私の言うのは、そうでなはい。換地をするにあたつて、その職権を利用して、悪意に自分の利益を得んとするような事実が裏づけされた場合にあたつて、一体法律で制約する何もないということで放任しておくのかどうか。先ほど局長のお話を聞くと、しかたがないとおつしやる。私は、東京会議員に当選してまつ先に感じたことは、東京市は伏魔殿である、メタンがスの発生地である、すなわち、東京市吏員というものは、そう言つては悪いですが、もう人間が十二分にまるくなつていて、どこからぶつかつてつてもかどがない、そういうところに大いに特徴を持つておる。いわんや、局長になるような人は相当の者で、きようは瀧尾さんにはつきり聞いておかなければならぬことは、こういう問題は、たとい法律にないにしても何にしても、これは国の施行状態と違つて、いやしくも東京都の自治体なんですから、率先して、そういう不正の行われておる場合には、法律上には制約をされぬまでも、お互いにこれを自粛自戒するのがあたりまえだと思う。たとえば、先ほど言うたように、区画整理委員が、自分の職権を利用して、換地にあえて利益を求めるために、そういう行動をしたり、土地の売買に自分の職権を濫用して、あるいはそのグループの中で適当な処置をとつたという裏づけがあつた場合には、監督者として局長がこれに対して、やめろとか、それはいけないから是正しろというふうにやつたらどうですか。それもできぬとすれば、いわゆるメタン、ガスの渦中にある人と見ていいのですか、どうなんですか。私は一ぺんそれを聞いておきたい。
  329. 瀧尾達也

    瀧尾証人 どうも、むずかしい問題で、弱つちやつたですが……。
  330. 中野四郎

    ○中野委員 悪いことがあつたら、直されたらどうなんですか。
  331. 瀧尾達也

    瀧尾証人 それが悪いという法的根拠といいまますか……。
  332. 中野四郎

    ○中野委員 法的でなくて、事実が示したらどうですか。法律上は違法行為でなくても、事実において悪いことはたくさんある。法律なんてものは完璧でない。それは法律の不備から来た区画整理の欠陥だから、これは監督者たるあなたが少し心を用いれば、東京都民にどのくらい助かるか知れない。あなたの英断をまつこと久しですよ。
  333. 瀧尾達也

    瀧尾証人 よく聞いておきます。
  334. 吉武恵市

    吉武委員長 菊川君。
  335. 菊川忠雄

    ○菊川委員 私、二、三点お尋ねします。都の都市計画並びにそれに含まれる区画整理の都における責任者は建設局でございますね。この点をあなたに伺います。
  336. 瀧尾達也

    瀧尾証人 都市計画の何でございますか。
  337. 菊川忠雄

    ○菊川委員 都市計画画並びにその都市計画地区における区画整理区画整理委員会がきめて、都に申請した、それを都が認めたというふうなものを含めての都市計画実施の施行責任者は建設局長でございますね。
  338. 瀧尾達也

    瀧尾証人 それは、たとえば換地予定地、それの決定なんかは局長決裁でございます。しかし、根本の設計の認可というようなことになりますと、局長決裁でございませんで、知事の決裁で国の認可を得なければならない。ですから、その内容につきまして権限に幅があるということでございます。
  339. 菊川忠雄

    ○菊川委員 それでは、お尋ねします。一つ都市計画に基いて代理執行をされるという場合の、代理執行の責任者は、都に率いてはだれでありますか。
  340. 瀧尾達也

    瀧尾証人 これは知事の決裁でしたか、私の決裁でしたか、今ちよつとはつきりしておらないので、調べてお答え申し上げます。
  341. 菊川忠雄

    ○菊川委員 これは重大な問題です。区画整理について、いよいよ立ちのきを命ぜられるというふうな場合に、一番みな心配するのは代執行であります。この代執行に対しては、抵抗すれば公務執行妨害、暴力を多少でも用いれば暴力行為でひつぱられます。しかも、自分の財産並びに生活に直接脅威を受ける大きな問題であります。ですから、いつどこそこの場所に対して代執行を行わなければならないということは、建設事務所長から都に何らかの手続をして許可を求めなければならぬ。それをやる人が局長であるか、都知事であるか。最近そういう事件が起つておる場合に、それが都知事が判をついたのであるか、局長が判をついたのであるか、そういう点が明確にならないと、都民は心配する。そういうことをやらないで、事務所長だけでやれるものでありますか。
  342. 瀧尾達也

    瀧尾証人 事務所長だけではやれません。今私の考えておるところでは、局長に決裁権があると思うのですが、はつきりしませんので、調べて申し上げたい、こう思つております。多分局長の決裁事項だと思つておりますが、ちよつと記憶がはつきりしておりませんから、よく調べてから申し上げます。     〔発言する者あり〕
  343. 菊川忠雄

    ○菊川委員 それでは、ひとつお尋ねします。これはお調べの後でもよろしゆうございますが、一昨日、御承知のように新聞にも載つておりましたように、朝早くから高円寺地区東京都の区画整理第三地区においては、代理執行を行われた。ところが、その現場は三箇所でありますけれども、一箇所は〇・一坪という場所であります。〇・一坪というのは、要するに、そこのかきねの石を二つ、三つ動かす、そうしでかきねを動かすというだけの仕事なんです。あとの二箇所は約三、四十坪と思われますが、あき地に鉄柵をめぐらして、東京都の管理するところだから立入りを禁止するという札を立てるだけの仕事なんです。その際に、周辺に植木があつたので、それを植えかえたという程度の仕事であります。実質はそういう程度の作業でありますが、しかも、そこに動員された警官は、四個中隊——小隊か何か知りませんが、百三十人、そして都の職員は同じく百十数人、人夫もやはり五、六十名、そういう大勢の者が、朝の出勤時、ちよつとラツシユの時間にさしかかる際において、トラツクその他に乗つて出て来たので、相当にぎやかだつたという話であります。そこで、住民の諸君が驚いて数百名詰めかけられましたが、もちろん警官がピケラインを張つて、入れない。ここでもし一つ違えば何らかの暴動という事態なつたかもしれません。そういうふうなことだが、つまり実質はきわめて簡単なことであるが、やり方がいかにも大げさであります。そういうふうなことを都が現に二、三日前にやりまして、新聞にも大きく載つております。新聞以上にその地域の住民諸君は、ふしぎがつております。これだけ大きな警察の費用とこれだけの都の職員の経費をかけて、なぜこれだけのことをやらなければならぬか、数名の警官で心配ならば、なぜやる前にその地域の者とよく話し合つてからやるようにしないか、なぜそれをその時を選んでぜひともやらなければならぬ事情があつたか、こういう点については非常な心配をいたしております。そこでたまたま自分の住居の近くでございましたから、電話がかかつて来まして、参りました。それは各党派の問題でございませんので、それぞれの党派に関係しておる多数の住民諸君もおつたわけであります。そこで、私、とりあえず、立ち会つたものでありますから、間に入つて、その場をまるく治めたわけであります。幸いに住民の諸君に御自重いただいたので、何ら問題が起きなかつたことを私は感謝しておりますけれども、そういうふうなことであるので都会議員を通じて都の方へ、どういう事情であつたか調べさせましたところが、都の建設局には、きようはほんのへいを動かす程度だから心配はいらないということで言つておる、だからそう大したことじやあるまい、こういうようなことが電話で参つたのであります。そういたしますと、都の方には、ほんのへいを動かす程度の仕事、ところが、その現場は、これだけ大勢の警官と都の職員と人夫を動員しなければならない仕事、こういうふうな大きな開きになつておるのでありますが、こういうことは一体どこでこれを決裁したことによつてつているのか。実を申しますと、方々で起つておる問題というものは、そのことの不公正にも根本原因がありますけれども、むしろそれを執行する場合のやり方にまた非常なこういう大きな矛盾を生んでおるから、問題が悪化し、激化されておるのでありまして、ここに重要な問題があると思いますので、そのことをお尋ねするのであります。そういう場合に、局長のところにはどういう形でそういう話が来で、どういうふうに取扱われるものなのか。何もこのこと自体について申し上げるのではございません。こういう事態が方々にあるんだが、こういう際に、一体建設局はどういうふうなことで現場の問題を決裁になり、あるいは許可されるのか、このことを伺います。
  344. 瀧尾達也

    瀧尾証人 代理執行をやります場合には、いつ、どういう方法ということ、要するに現場の復興区画整理事務所で実施をいたしますので、その根本方針は局長として了承しておるわけでございますが、その詳細な計画までは私の方で現場にまかしております。この間の高円寺の問題の詳細な報告をまだ受けておりませんので、いずれ受けまして、今後の処置につきましても、なるたけ了承を得て、どうしても当然そうあるべきものが、ただ地元の人の反対でできないというようなやむを得ない場合は、これは行政代理執行もやむを得ないと思うのでありますが、なるだけ、そういうことなしに、納得していただいて工事を進めて参るようにいたしたいと思つております。
  345. 菊川忠雄

    ○菊川委員 先ほど中野委員の質問に対しても、あいるは矛盾した換地などがあれば、それを是正するにやぶさかではないという、非常に御理解のある御答弁がございましたし、また今後は、そういう問題についても、現場の事務所長とか責任者について事情を調べて、そうして反対者との間にもよく打合せをさせ、納得できるようにして進行させたいということでございますので、これは私非常に喜ばしく存じております。  そこで、次にお尋ねいたしますが、今中野委員も例にあげられましたように、現在の東京関係の各地における区画整理委員というものの実情を見ますると、実は大部分がもう土地売買業者であります。それは、区画整理委員なつてからそういうふうに正式に商売がえをした人もありますし、あるいはまた、従来その土地の地主であつた者が、たまたま区画整理によつて、そういうところに関心を持ち、興味を持つて土地売買業に転業したというふうな人もありまして、必ずしも当初から土地売買業者ではなかつたが、区画整理なつてから転業して、その方が本職になつておるというのが相当あるという実情であります。でありますから、たとえば高円寺のごときは、委員長が甲州屋地所部というところの社長でありまして、その区画におけるところのりつぱな土地売買業の元締めでありまして、ここでやつておることは、結局換地に便乗して、土地売買を先々でやつて行く、あるいは有力な地主の土地にわざわざ計画路線を引込んで、そうして今その路線がまだ進行しないが、その両側にちやんと家の建売りをやつておる、こういうことが現状であります。こういうことは、おそらく御承知ないはずはないと思います。そのことはしばらくおきまして、現在そういうことになつておる状態において、そういう委員会の構成については法的に打つ手がないといたしましても、そういう委員会が大体きめる事柄だからして、土地区画整理委員会を監督する権限、これは当然都知事にあるわけでありまするが、そういう監督の権限からいたしまして、当然そういう運営については何らかの監督権限が発動されなければならぬと思うのでありますが、それも監督権限としては何もできないという御見解か、その点を承りたい。
  346. 瀧尾達也

    瀧尾証人 今お述べになりました監督権限というのは、区画整理実施に伴いまして、たとえば、これは原案はこつちが示して、それに委員意見を聞くわけでございますから、単に委員の都合でこの道路を入れるというものは、りくつに合わなければ、こつちで承知しておらないはずであります。この間のあれは幹線の問題もありましたが、何と申しますか、区画整理を技術的に見て、その路線が当然必要でない、あるいは非常に間違つておるというような場合には、当然そういうものは、いくら委員の方が言われましても、採用しておらないで、これは場合によつては原案執行でも行き得る体制になつておりますから、その面でも監督は十分できる。こういうように考えております。
  347. 中野四郎

    ○中野委員 それは、監督権はあるだろう、条章にもある。局長とさつきから話しておると、どうもこんにやくになる。そんなことはしろうとに話したらいいのだ。要は、お互いに、ここにおる委員長吉武さんにしても、君にしても、ぼくにしても、みな東京市で飯を食つて、相当たたき上げて来た人間ばかりで、初めて東京都の内容を聞く人なら、なるほどそれはごもつともと聞くのであろうけれども、そんなんじやない。少くとも、区画整理するときに、一定のところを一箇所や十個所黙つて置いておくくらなことは、あらためて原案を持つてつて云々というのではなくて、ちやんと原案の中に発表し得ざるところの箇所が幾つもあげてある。そんなことくらいお互いやつておるのは知らぬわけじやないのだから、もう少し具体的にこちら側も直剣に聞いておるのだから、局長さん、おざなりの逃げ口上を使わずに、その骨子のねらいどころはどこにあるかといえば、結局区画整理委員が職権を濫用し、利用して、不当な暴利を得る、この制度が悪いということは、あなたも認めておるし、万人がひとしく認めておる。ところが、残念ながら、今日施行されておる法律のもとにおいては、これを制約し、制限することはできないから、法律を改正する以外には道はない。これは今後のことだ。しかし、現実の問題として、行われつつあるところの区画整理の段階において、そういうふうな正しからざるところの処置のあつた場合において、その事実が明らかになつたならば、これを不当な処置として是正したらどうか、こういうことが主眼なんだから、あなたとやつておればいつまでもこんにやく問答で切りがないけれども、しろうと談義のようなことはやめて、率直に、そういう場合がもしあるとすれば、事実あつたならば、どこから見ても適正でない、正しくないと考えた場合においては、これを是正する用意がある、こうあなたが一言はつきり言つてくれれば、われわれはそれをもつて納得するのですけれども、あなたがそれをしも相かわらず、東京市会——近ごろ都会に出世したのだけれども、都会の答弁のようにのらりふらりとやつておれば、東京都は依然として伏魔殿であり、メタン・ガス発生地と同じような状態東京市以来ずつと続いて来ておつて、そうして依然としてそういうような悪い行政がとられておるということを言わざるを得ない。先ほども申し上げたが、これは関連してちよつと質問したのですけれども、今のあれは、ぼくは監督権があるように思うのだが、これは菊川さんにおまかせしましよう。
  348. 吉武恵市

    吉武委員長 瀧尾さん、今の点おわかりだと思うのですが、率直にひとつ感じを述べたらどうですか。
  349. 瀧尾達也

    瀧尾証人 何べんも同じことを繰返すようになりますが、Aの換地が当然Bに行くべきだ……。
  350. 中野四郎

    ○中野委員 そんなことは、間違いです。
  351. 瀧尾達也

    瀧尾証人 いや、それが委員の方の強要によつて、AのものがBに行くべきところがDになつておる、こういうような意味でよく訴えられることがある。これは、よく調べてみますと、そうでなしに、それはそういうふうに勘違いされて、つまり訴えて来られた方が勘違いされておる場合もある。ところが、間違いだと先ほどおつしやいましたが、そういうような意味でこちらにミスがある場合、これは私、妥当でないという意味に申し上げておるのですが、そういう場合に当然あれすべきものであつて、ただ、先ほど中野さんのおつしやいました中に、それを予知して買いとつておるのはけしからぬ、これを何とか是正しよう、それまでを不正という——これは不正でないと申し上げるのじやございませんが、そういうこともこつちが監督権で是正したらどうだというふうにもとれるのですが、それは、こちらとしてできないということを申し上げておるのでして、それは、土地の売買を、売るなということを、どなたにお話があるかもしれませんし、言うわけにも行きませんし、買つてはいけないということもわれわれとして言えない。決してのらりくらり申し上げておるつもりではないのです。どうもそれは、委員の方のいわゆる良識にまつより現在のところ手がない。実際正直のところを申し上げておるので、決してかけひき申し上げておるつもりではありません。
  352. 中野四郎

    ○中野委員 それは一箇所か二箇所ならそういう場面も想像できるのです。ところが、事実によつて示されれば、相当数量これによつて買い上げたり、あるいは人から頼まれてそれを売買してやつたり、検地を適当な方法で便宜を供してやるという事実があるのです。だから、今の段階で行くと、私らがあなたの説明を聞き、委員の今までの質問の過程を聞いていると、こういうことになりますね。つまり、少しずるいやつ勝ちで、結局区画整理委員か何かの選挙があつたら、この際名乗つて出て、少しやそつとの犠牲は払つても、衆議院の選挙より大いに金をたくさん使つて区画整理委員なつて、東京都の役人と大いに連絡を緊密にとつて法律に触れない程度で幾らもうけてもいいということになる。昔から、東京会議員を二回やれば、いわゆる二期やれば相当な身代が残ると言われたくらいだが、区画整理委員は一期やれば相当の身代が残る。そのくらいのことに対して、いわゆる監督官庁であるあなたの方、いわゆる監督の執行者であるあなたの方が、これに対し、こういうあまりに不当な、正しくない、どう考えても常識を逸しておるというような事実のあつた場合においては、これを是正したらどうですか。それすらも是正することができぬというのでしようか。そこがぼくらにはどうも納得が行かないのです。
  353. 瀧尾達也

    瀧尾証人 よく研究させていただきたいと思います。今できるとは申し上げかねます。
  354. 菊川忠雄

    ○菊川委員 私の先ほどの質問のことを具体的に申し上げますれば、御承知のように、特別都市計画法の第十一条によれば、「土地区画整理委員会は、土地区画整理施行地区毎にこれを置き、行政庁がこれを監督する。」とあるわけです。そうしますと、問題は、行政庁がこれを監督するという場合に、今まで建設局長という責任の地位におられておやりになつておる実情をお伺いしたいのであります。私は別に局長のおやりになつたことを検討して批判しようというのじやありません。つまり、現行にこういう法律があるんだが、しかもなお、現状においては、区画整理の結果は、この江東地区の問題のように、大きな不満足な結果を生んでおります。そこで、これは、先ほど来の御説明によれば、法の不備であつて、きめ手がないということでありますから、そういう法の不備な点を、われわれも国会議員の立場において大いに検討して、改正を要するものはその手続をとらなければならぬと考えております。ところが、こういう現行法があつて、これは当然行政庁の責任者として監督に当つておられなければならぬことでありますから、これを監督するというなら、この監督という内容を証人はどういう具体的なものとして今までお考えになり、おやりになつておるのか、これについて伺います。
  355. 瀧尾達也

    瀧尾証人 どうも、残念ながら、よくわかりません。
  356. 菊川忠雄

    ○菊川委員 これは、あなたが建設局長という都市計画の責任の衝に当つておられる限りは、当然なすべき大きな責任ある仕事です。それは、区画整理委員を行政庁が監督する、こうあるのですから、当然監督しなければならぬ。そうすると、怠慢だととられてもしかたがないのです。この怠慢の結果がこういう事件を引起しておるということになつておるのだが、これは重大な別の問題になつて来るのですが、監督をするということについて、今までお考えならなかつたのでしようか。その点いかがです。私、別に証人を追究しようという意思はございません。最初からこういう問題について衝に当つておられる方としては、法の不備のためにいろいろ苦心をせられた。そういうことを救済しようと考えて検討しただけでありますから、御答弁がない点は御答弁がなくてもけつこうです。  そこで、具体的にお伺いいたしますが、これからの御方針として、それでは伺います。このように監督の責任がある。そうしますると、たとえば、ただ区画整理委員換地という事柄についてきめた結果を是正するということのみに監督を限定されるのか、それが第一点なんです。あるいは、そうでなくして、区画整理という重大な仕事をしている委員会の性質から申しまして、この区画整理委員会の選挙において不公正な点があり、不明朗な点があるという場合において、この区画整理委員会の選挙そのものについても監督する、さらに、その区画整理委員会が正当に成立して諮問機関としての資格を十分持つておるかどうかということについても検討して監督をする、さらに、区画整理委員がやつておる事柄について、一般利害関係の深い住民から疑惑を招くがごとき行為をする、——たとえば、土地売買の会社の社長をやる、こういうふうなことがその後行われておる場合には、これについても監督する、こういうことも含めて、今後ただちに監督をされる方針であるか、いずれであるかを御答弁願いたいと思います。これは今後の方針ですから、当然その職責にある以上は御答弁願えることと思いますので、お尋ねいたします。
  357. 瀧尾達也

    瀧尾証人 最後の点につきましては、そこまでの監督が現在のわれわれでなし得るかどうかという点が疑問であろうと思います。その前の三点、すなわち不正に行われておるかどうかということの監督ですとか、それから、その諮問したことに対する決定と申しますか、意見が妥当かどうかとか、そういうことの監督はもちろんやつて参らなくちやならないのですが、最後の、そういう業までをやつていけないというような意味までの監督が、われわれに許されておる範囲でできるかどうかという点は、よく調べてみないと、私にはわかりません。
  358. 吉武恵市

    吉武委員長 菊川忠雄君に申し上げますが、他の委員発言の通告がありますから、簡潔に願います。
  359. 菊川忠雄

    ○菊川委員 それでは、もう一点だけ。そうしますと、最後の、たとえばその委員換地の中に介在して土地売買をやるということについての直接の監督はできるかどうかは、調査するということでございますが、しかしながら、実際において、諮問に応ずるという換地の問題については、特に諮問に応ずるという権限が非常に強い。でありますから、当局が出した原案というものも、しばしば原案をつくる前に参考的にそういう人々の発言によつて左右されるという場合が事実あるわけであります。でありますから、そういう関係から、わが田に水を引くというふうなかつこうに原案そのものもつくられがちであります。いわんや、それがまたでき上つたときには、多分にそういう形によつて変更もされ得るのであります。でありますから、そういう行為をやる組織をそのまま認めて、これには手がつかぬということであつてみれば、その現われた結果である換地については、監督を厳重にする、こういたしましても、これは、もとを断たないで末葉をためるということになりまして、実は監督をやるという御決意ならば、こういう人柄、こういう行為をやる者につきまして、まず監督がなされなければならない。従つて、そういう点においてなお考える余地があるとおつしやる以上は、何を遠慮してそういうことをお考えになるのか。察するのに、現在までの区画整理委員の構成というものが、こういう関係で左右される、そうして現在東京都のやつておられる現場における区画整理の実行というものが、あまりにも深くこういう者と取組みができてしまつて従つて、局長であるところの、責任者である証人は、そういう事実を深く考えるがゆえに、そう言われるのではなかろうか。さもなくば、なぜ、この際一刀両断、あやまちは正すにしかずと明言をされて、勇敢にやらないか。実際問題として、今までこういう仕事をおやりになつておつて、とにかくこういうことがあつて、実際は困つているのだから、こういうことができないように法律をつくつてもらいたいということが、当然責任者としてあつてしかるべきことだと思うのですが、そういうことを聞くわけには行きませんか。
  360. 瀧尾達也

    瀧尾証人 そういうことの起り得るような点を是正するべく、また今後そういうものが起らないように法律の改正されることはけつこうだということは、さいぜん申し上げたわけでございます。それで、今お話の、わが田に水を引くように原案をかえて行かれるというふうにおつしやいましたが、その点は、そういうふうにならないように、原案はどういう根拠でその換地がそこに行かなくちやならぬかということの研究をお互いにして、そうしてそれに対して意見があつて、それが妥当なる理由のものならば、そういうふうに換地をとりかえるべきであるから、原案を直すという場合も出て来る。ただ、原案の方がどうしても正しいのだという場合には、これは原案執行ということもやり得るのでございますから、そういうふうにして処理をして参つておるというふうに心得ておるわけでございます。
  361. 吉武恵市

    吉武委員長 小林進君。
  362. 小林進

    ○小林(進)委員 証人にお伺いいたしますが、実は、私は、きよう午前中は元の第五復興区画整理事務所長お話を承つたのでありますが、今度は、今東京都の建設局長であられるあなたの御意見を承つたのであります。ただ、私は、きよう一日まことに驚愕これ驚いているばかりであります。いやしくも、都会における個人所有の大切な土地、あるいは個人の地上権、借地権、借家権というものが、まつたく一部の人のみで残酷無残な形でこれが取上げられておる。文明開化の民主主義のこの世の中に、人間の最も重大なる財産がこれほどむぞうさに取上げられておるという事実を知つて、実に私は驚いたのであります。しかも、個人の所有権なり土地を取上げるそのときの責任者がだれか、局長みずから、さつき、家に帰つて研究してみなければならぬと言われたので、失礼ながら私はここで大きな声でどなつたのでありますが、こんなばかげた、暴力にひとしい行為が、この東京都ばかりじやありません、全国の都市に行われているという事実を知つて驚いた。法律の不備を私は言うのじやなくて、あなた方の考えのあまりにも独裁的な無責任さに驚いたのであります。実は、これは参考までに申し上げますが、証人もひとつよくお聞取りを願いたい。同じような土地の取上げ方、交換分合の仕方が農村にもあるのであります。ところが、都会から見ればあの価値のないいなかにおいて、一体その土地の交換がどんなふうに行われているか。御承知のように、全耕作農民の選挙により、農地委員あるいは農業委員というものが選出をせられて、この農業委員が血みどろになつて、会議の上で交換分合の計画をつくつて、そしてそれを発表する。ところが、全農民が一尺一寸の土地の利用価値、評価の問題で争つて、今わが日本の農地改革を阻害している一番根本の問題がこの交換分合にあると言われている。政府も、県も、郡も、町村も、その下における農業委員も、この土地について、農民のいわゆる私有権というもの、農民の意思というものを侵害できない。しかも、これは見渡す限り同じ平地だ。都会地のように、ここが一等地で、ここが二等地ということはない。どの土地を見ても同じような土地である。その土地の交換分合でも、農民が納得の行くような形に取上げるまでには、数回、数十回、いわば農民の意思を尊重しながらこれをきめて行くというのが、農村における土地分合の実際のありさまなんだ。しかるに、農村のその土地の幾十倍、幾百倍となく価値あるこの都会の土地だ。しかも、耕地という一般の土地じやない。その隣からみな土地価値が違つて行く。それほどバラエテイに富んだ、それほど価値の違つているその土地を、ちつとも所有者の意思を尊重することもなければ、だれが一体責任を持つてそれを交換分合するのか、その責任者も明らかにならぬような形——いわゆる都市計画というたつた一つの命題を掲げただけで、縦横無尽にこれをふんだくつている。しかも、ふんだくつているやからが、いわば東京都における都知事、建設局長、その下における区画整理何とか事務所長、その下における区画整理委員であるというような、まかふかしぎな一本の線が出た。民衆の意向もなければ、所有者の意向もない。かつて放題に交換分合をやつているという形だ。しかも、人の私有権をそんなに侵していて、だれが一体責任をとるのかと言つたら、その責任がだれにあるかわからない、帰つてから研究しましよう、こういう言い分だ。私はほんとうに驚いた。午前中に事務所長も、正当に交換分合をやつて、その地域が非常に発展し、よくなれば、ここの住民なんかどうなつてもいいじやないかというような、そういう答弁の仕方をしでおるのでありますが、こういう所長がいたのでは、実際住民土地を取上げられでも泣き切れない思つて、だんだん聞いて行つたら、なるほど、その上にいらつしやる親方のあなたまでも大体そういうような考え方でいらつしやる。この親方にしてこの子ありという感じを深くしたのであります。これに対するあなたの明快なるお考え、もし私の言うことに何か反駁があるならば、反駁の御意見をひとつ承つておきたいと思います。
  363. 瀧尾達也

    瀧尾証人 別に反駁の意見を申し上げる気はございませんが、ただ、先ほど私がはつきりして申し上げたいと申し上げましたことは、多分それは、たしか局長の決裁事項——要するに、知事のやられることは全部その下にある局長が責任を持つてつて行くはずでありますが、その決裁権がどこにあるかという点を、多分建設局長だと思つていましたけれども、こういうところで御答弁申し上げるのですから、あやふやで申し上げてはいけないと思つて、はつきりしたところはあとで申し上げたい、こういうふうに申し上げましたわけで、それは、ちつともわからないという意味で申し上げたのではないのでありまして、その点ひとつ御了承願いたいと思います。
  364. 小林進

    ○小林(進)委員 ともかく、この区画整理をおやりになるときに、一体局長は各個人々々の土地権利というものをどれだけ尊重して調整をとるべくお考えなつておるか、このあなたのお考え方をお聞きしたい。
  365. 瀧尾達也

    瀧尾証人 これは、結局、換地決定を見ました後に、一般の方によく御説明申し上げて、納得していただいて行きその間にでもなおその換地の方法に不合理あるいはミスがあつたというような点が出て来た場合に、これは当然直して行くものだ、また原案ができますまでにも、いろいろおのおのそういう換地の専門の事務当局がこまかく調べてやつておることでありますが、人のやることですから、エラーがないということでもございませんし、理由のありました場合には、それは直して行くということももちろん考えて行かなければならないので、そういうふうに処置しております。決してかつてにそれを一方的にきめてしまうというつもりでは毛頭ございません。
  366. 小林進

    ○小林(進)委員 これは、局長がみずから換地の衝に当られるわけではないのでありますから、局長は結局下情に通じていないという責任をとつていただかなければならぬのでありますけれども、実情は決して局長の言われる通りではないのであります。いわば局長の下部における事務所長でありますが、この事務所長が、区画整理委員の少数の者と、原案に対する少数の意見を尊重しながらやる、この場合が一番危険なのであります。そのときに、区画整理委員事務所長と通じまして、そうして自分の利益になる土地をみんなそこに挿入して個人の利益をはかろうとする形が非常に現われておる。これは東京都だけに出ておることではないのです。私は、ほかの中都市の状況もよく知つておりますから、申し上げるのです。そういうようなことをやつて、その決定に至るまで、その区画整理関係する住民には全然発表しない。原則として、原案が固まつて、もうだれから故障が来ても動かないのだぞということで、最後案として決定したものを発表するまでは、住民の介入を許さない。秘密に秘密にとやつておる。しかし、これは秘密にやつていません、各住民の意思を聞いて原案を作成しているという確かな証拠がありましたならば、聞いておきたい。
  367. 瀧尾達也

    瀧尾証人 私の承知しておりまする範囲では、原案が決定するまでに一般の方にお示しはしてないと思います。これは、きまつた後には絶対に動かさないというものではないのでありまして、理論的に当然直さなくちやならない面がありますれば、直せるものでありますので、原案を決定いたします前に、一々の方に申し上げると、こうでない、ああでないといつて、利害が錯綜しますから、それをあれいたしましたら、結局原案の決定がなかなかできないわけであります。ですから、区画整理委員と事務当局の方で、いろいろな面から考慮して、妥当な原案をこしらえた上で、それを実施して、どうしても納得できないもの、またわれわれの方としても、前の決定が妥当でないと思われる面があれば、これは直して行く、こういう方法をとつておるわけであります。
  368. 菊川忠雄

    ○菊川委員 それは、たとえば、せんだつて起りました高円寺の問題につきましても、私は、直接現場に立ち会つて所長から聞いたのですが、今まで、現にそういう区画整理の案をきめていながら、一般住民には知らさなかつた、しかも、気の早い人間が、何の考えがあつたか、印刷屋と組んで、区画整理ができた後の地図をつくつて本屋から売り出して、それを買つて、いまさらみんながびつくりしたというのが、あそこの実情なんです。そこで、なぜこういうことを今まで所長さんは、聞きに行つてもわれわれに言わなかつたか、こう言つた場合に、それは固まるまでは言うべきことでないから言わなかつた、言うとうるさいから言わなかつたんだという言明を数回やつておる。私もそれを聞いた。問題はそれなんです。局長さんはそういう実情を御存じない。そこに大きな不満があるわけなんです。従つて、そういうことを聞きに行つても、区画整理委員は逃げまわつて話をしない。だから、今まであそこで私、九割を占める大部分の住民諸君三千人が反対署名をやつておることは御承知通りであります。しかも、そういう諸君には、区画整理委員であるところの人々は逃げて会わない。説明しない。しかも、選挙においては今訴訟になつておりますが。明らかに無効の選挙をやつておるとわれわれは見でおるのです。しかも、地主あるいは借地人などの権利者をもう一ぺん固めてみましても、その白紙委任状を出したか出さないか、不分明なものがありまして、それを確かめれば、おそらく過半数以上は、当時の権利者でも現在の区画整理委員を出すことには賛成していなかつたという証拠があがります。そういうふうな少数な者が仕組んだ区画整理委員で、そのでつち上げたことは発表しない。しかも、都の建設事務所長自身が、発表しないことは当然であると、みんな住民代表諸君に明言しておる。そうして代理執行にはどんどんかけて行く。局長さんのお話はまことに神のごとき善良なお話でありますが、しかし、現地に参りますと、それは鬼面恐るべき状態なつておるところに、こういう問題の困難さがある。だから、住民の諸君に聞いても、区画整理を正しくやつてくれることについては、意見を持つているから、取入れていろいろ考えてくれるならば、反対をしないで協力をしたいんだが、やり方がいかにも不公正であり、現状に合わないと言つている。この地図で見てもわかるように、大きな国費を使つてつてみたつて、何らかわりばえがしないじやないか。残るものは何であるかというと、少数の土地ブローカーと地主の利益だけである。ここに大きな反対の理由がある。こういう実情を御承知なのか。御承知の上で今の小林委員の質問に答弁しておられるのかどうか、この点であります。
  369. 瀧尾達也

    瀧尾証人 第三の所長が申し上げたというのは、よく調べます。私の想像では、換地決定しない前には、これは個々の方には申し上げられない、非公開で決定までは持つて行くんだ、こういう意味で申し上げておるのでありまして、換地予定地の決定いたしましたあとは、どなたがおいでになつても、むしろこういうふうに決定したから、これに御協力を願いますということで、当然お話をしておると私は解しておりますが、それはよく私も調べてみます。ですが、決定までの間は言われないという意味じやないかと想像いたします。
  370. 小林進

    ○小林(進)委員 今菊川委員の御質問の通りです。局長は、下部末端の人の私有権、地上権、借地権、借家権を基因とする重大問題に対しまして、非常に下部の監督を怠つておいでになる。事実は今菊川委員が具体的な例をもつてお示しした通りであります。私は、局長に参考までに申し上げますが、新潟県の長岡市の都市計画問題で、これと同じような問題が起つておる。最後は建設本省まで持ち込んで行つたが、当時の新潟県の長岡所長とこの区画整理委員とが結託して、今も言うように、住民に示さない、そしてかつてなことをして、大きな刑事上の問題を起して、私自身がそれに直接関係した実例を持つているのであります。そういう例がむしろ通例で、あなたの言われるように、案を示して、異議があれば、いつでもそれを訂正してやるというような例はまことに少い。ほとんどないと言つてよろしい。それで、善良な都市住民は泣いておるのであります。ただ、ここで私が特に局長にお聞きしたいのは、農地の問題に関連してであります。まず、町村の農地委員というものが土地の交換分合をやつた。非常に納得ずくめでやるのでありますが、しかし、それが承諾できないときに、承諾できない農民には、いわゆる苦情異議の申立て機関がちやんと設けてあるのであつて自分はこの交換分合には承知できないというときに、今度は県の農地委員現在は農業委員でありますが、それを県へ申し込むと、県の農業委員がそれを取上げて、交換分合を大いに調査する。そして県の農業委員の裁定が町村農業委員の裁定と同じとき、なお個人の意思が認められないときは、今度は国へ持つて来て、国の中央の農業委員に異議の申立てをする。そして自分土地に対する所得権を守るという道が開かれておる。ところが、ただいま町における土地の、いわゆる飛地交換は、一旦これが決定せられた場合、何かたまたま聞くと、区画整理のことは地方事務所長でありますが、ここできまつたんだから、もうお前たちは不服を言つたつてだめだ、ただちに強制収用して土地を取上げるんだから、覚悟せよというような暴言を吐いている所長——いわゆるあなたの部下も現実に東京都内にいるのでありますが、一度決定せられたならば、一体住民にはこれを救済する道がないのかどうか、いま一回私はこの点をお伺いいたしたい。
  371. 瀧尾達也

    瀧尾証人 その決定が間違つてなされたような場合は、当然変更いたします。事実変更した例もございます。ただ、見解が間違つていると申しますか、よくあることなんですが、たとえば、道路なんかの路線が、こつちの方がいいんだ、こつちの方が悪いんだというような論争になるんですね。ところが、それは、一般的に見て、Aであるという理由よりもBであるという理由の方が濃い場合に、これをAにしたいということは無理で、どうしてもAよりもBの方の理由が多い場合には、不服でもこれを承知してもらわなければならぬ、これと同じようなことが換地についても起り得る、こういうふうに考えます。私たちが考えてもおかしな換地があつた場合に、是正するのが当然だというので、是正した例もございます。
  372. 小林進

    ○小林(進)委員 ただ、私は、朝もそのことをお伺いしたとき、間違つていればそれを取消すと言われた。あなたもそう言うけれども、正しいとか正しくないとかいう判断の基準が私にはわからない。何を基準にして正しいとか正しくないとか言うのか。人の土地をかつてにあつちへやつたりこつちへやつたりして、一体何が正しい。私はそこがわからない。農地の問題は、土地所有者が、地上権者が、小作人が、いわゆる農業委員という国を代表するやつが、その土地を取上げて、この土地とあの土地とを交換してやると言つたときに、おれはこの土地をとられるのがいやだ、あの土地を交換されるのはごめんこうむると言つて反対をしたときに、その反対を取上げて、お前の言うことがもつともだか、もうともでないか取調べてやるという救済の機関が県庁にあり、国にある。ところが、区画整理には、最終決定と称して、知事が裁定するのか、局長が決定するのか知らぬけれども、決定してしまつた場合には、その住民自分権利を交換されたり取上げられたりするところの、それを救済する道が一体あるのかないのかということをお聞きしているのであります。もつと具体的に言えば、今高円寺の問題が出ましたから言いましよう。高円寺の住民諸君の九割といわれた権利所有者が、みな、最初所長なり一部のボス連中——ボス連中とあえて言いましよう。その区画整理の連中がつくり上げた区画整理には反対だと言つている。都市計画ならよろしいけれども、これは区画整理であります。そういうような区画整理委員が立案して、ボスと結託してできたこの案には、われわれの所有権、われわれの地上権をそんなにむだに取上げられてはいやだから、反対いたしますといつて、生活の問題で陳情に行つたときあなたのところに行つたか、どこに行つたか知らぬけれども、行つたとき、これは一旦決定したことだから変更はまかりならぬといつて、すげもなく却下したというのでありますが、こういうようなことは、戦時中にもなかつた独裁的な政治じやないかと思う。これは、法律の不備、完備の問題ではないのであります。これをやつておるあなた方の思想の恐ろしさの問題だ。頭の恐ろしさの問題だ。これを一体どうお考えなつているかということをお聞きしてみたい。
  373. 瀧尾達也

    瀧尾証人 この区画整理事業は公営事業でありまして、任期団体のやる仕事と違うわけであります。それで、これは設計といいますが、事実決定を大臣がしてやつた場合に、これは地元になるだけ納得がいただける方向に持つて行かなければなりませんけれども、この区画整理をやるときまつているものを住民が反対したからやめるというわけには行かない、こういうことは、はつきり申し上げました。ただ、局部的にこの換地はああいうふうにやるのはけしからぬじやないかというような、不当なものは直すのにやぶさかでない、しかし区画整理をやめてしまうということは、法律できめた方法に基いて公営事業として取上げられているものだから、住民の方が反対なさつたからといつて、これをやめるわけに行かない、こういうことを申し上げたのでありまして、間違つているところとか、非常に妥当を欠いているところを直さないという問題とは違います。
  374. 小林進

    ○小林(進)委員 次の証人もいますから、私はこれで打切りたいと思いますが、同じ日本人と生れなが、都市と農村において、土地という自分たちの所有、自分たちの権利に対して、これほど差のある取扱いを受けている現在のあり方に対して、われわれは、これは大いにひとつ考慮しなくてはならぬ重大問題だと思うのであります。  そこで、最後に局長にお願いをしておきたいことは、法律の不備を是正するのはわれわれの役割でありますから、これはわれわれはすぐに取上げて、住民に対するそうした救済機関、農村における農地の交換分合と同じような救済機関を設けて、自分たちの権利がむざむざ踏みにじられることを防止する手を早急に打たなければならぬと思つておりますが、そこに至る間、あなたもひとつ十分考えていただきたい。もう区画整理ができ上つたのだからよろしいといつて、人の所有権の問題もわからぬような、きようの午前中に来ましたああいう恐るべき所長、それにからまるボス、区画整理委員、これに対して、農村における、こういう区画整理をやる委員と同じ農業委員というものは、二年間の任期、しかも二年間を待たないで、ちよつと悪かつたならば、すぐリコールで吹つ飛ばされてしまう。そうして農民は、この農業委員の選挙には血みどろでやつている。こつちは選び出しただけだ。しかもその選び方というものはインチキきわまる選び方である。そんなことで選び出した委員が、このまま行けば、数年、数十年、無期限にその職にとどまつて、非常なる暴威をたくましゆうする形になる。そういうことを黙認しているということは、実に天下の大怪事であります。もし局長に一片の良心があるならば——なければしようがないが、さつきも中野君の言うように、どうも東京都の人事は、秀才は官吏になつて、鈍才が公吏となる、その鈍才公吏も、東京都へ入つて一年ほどたつと能吏となつて、実に円滑なるところの不得要領の答弁をするようになるということを経験者の中野四郎君が言つております。こういう中野君の言葉をもつてすれば、あなたはすでに能吏の域を脱して、もう名人達人の域に達していると言わなければなりませんが、願わくば、その芸は芸としても、どうかひとつこういう気の毒な住民諸君をあなたの可能な範囲に——局長という地位でありますから、可能な範囲において救済するように、大いに御努力あらんことをお願いして、私の質問を終ることにいたします。
  375. 吉武恵市

    吉武委員長 瀧尾証人委員長からも申し上げますが、昨日来本委員会で本問題を取上げておりますのも、都市計画事業の必要はもちろん認め、従つて区画整理もやらざるを得ぬでありましようが、その陰には幾多の犠牲を払わなければならぬ方があるわけであります。これがもし公正に行われれば、もちろん納得されるでありましようが、それが一部の委員の人々や、あるいは担当官等によつて不正不当に行われるということであつてはならない。そこで、この問題をモデル・ケースとして取上げたわけであります。大体本日の各委員発言によつて御了承のところと思うので、今後とも一層注意をされると同時に、将来にわたつて、もし制度に欠陥があれば是正して行くという努力を払われることが必要であろうと思いますが、その点、ひとつ十分にお含みのほどをお願いたしておきます。  ほかに御発言がございませんければ、瀧尾証人に対する尋問はこれで終了いたしました。  証人には御苦労さまでした。     —————————————
  376. 吉武恵市

    吉武委員長 引続いて、建設省計画局長澁江操一君より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えなつておられる方は澁江操一さんですね。
  377. 澁江操一

    ○澁江証人 そうでございます。
  378. 吉武恵市

    吉武委員長 あらかじめ文書をもつて承知通り、正式に証人として決定いたしましたから、さよう御了承願います。  それでは、ただいまより区画整理事業関係事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に、証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。宣誓または証言を拝むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項の関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことができないことはなつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御了知になつておいていただきたいと思います。なお、証人公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するものであるときは、その旨をお申出願います。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人澁江操一君朗読〕    宣誓書   良心に従つて、直実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  379. 吉武恵市

    吉武委員長 それでは、宣誓書署名捺印を願います。     〔証人宣誓書署名捺印
  380. 吉武恵市

    吉武委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  さつそく証人にお聞きしますが、証人の略歴を簡単にお述べ願います。
  381. 澁江操一

    ○澁江証人 私は、昭和二十三年に——その前の経歴もございますが、二十三年に、当時戦災復興院に参りまして、計画課長をいたしまして、その後戦災復興院が建設院に吸収されました。それに伴いまして、官房長。次いで監察官、監理局長、昨年八月に現在の計画部長に就任したのであります。
  382. 吉武恵市

    吉武委員長 次にお聞きいたしますが、区画整理事業というものはどういう方法でやられるか、建設直としての一応の方針をお聞きしたい。
  383. 澁江操一

    ○澁江証人 区画整理事業につきましては、一応都市計画法なり、あるいは特別都市計画法に基きまして行われるわけでありまして、一般の区画整理事業と申しますのは、従来から都市計画法に基いていたしております。それから、特に今回の戦災地区につきましては、特別都市計画法に基いて区画整理を行うことにいたしております。この根本的な事業の方針と申しますか、建前は、もつぱら公共用地あるいは施行地区土地利用増進、あるいは宅地の利用増進ということを目的といたしまして、その地区内における土地所有者あるいは借地権者、そういう方々のいわゆる土地の共同減歩と申しますか、負担において事業費の一部を生み出しつつ、公共用地その他宅地利用増進に必要な施設を生み出す、それによつて事業の目的を達成しようとする、こういう考え方であります。
  384. 吉武恵市

    吉武委員長 そこで、実は本日証人として御出席願つたのは、昨日来当委員会は、江東地区区画整理について地元住民の中に相当不平不満があつて、提訴されたのを取上げたのですが、これは、江東地区のみならず、他のいろいろなところにもあり得ることなので、だんだん聞いてみると、区画整理委員がその換地について、あらかじめ土地を買つて、それを有利に換地をして、そして利益を得る、中に知らぬ者は不利な換地を受けるというようなことがある、これはあり得るかもしれぬと思えるわけです。そこで、従つてそれだけに、施行の責任当局としては、この区画整理なり換地については十分の配慮をする必要があると思うのですが、これらについて建設省としてはどうお考えなつておりますか。現在の制度でいいとお考えなつておるか、あるいは、実は従来も自分たちは耳にしておるが、どうするのがいいと思つておるというような点をお聞かせ願いたい。
  385. 澁江操一

    ○澁江証人 区画整理事業の全般的な方針を先ほど申し上げたわけでございますが、その方針従つて、現在戦災土地復興事業の関係におきます区画整理事業は、地元の民意といいますか、土地所有者の意向を十分しんしやくしつつ行われるという前提に立ちまして、いわゆる区画整理委員を選挙し、その意見をしんしやくしつつ換地処分その他を行うという建前になつておるのでございますが、今御指摘になりましたように、そういう法の精神、趣旨ではありながら、実際問題として、そういう理想的な運営の形になかなか行かない、いわゆるその特権が利用されて、特殊人のたちの利益といいますか、そういう形になつてこれが行われるということは、もとより法律としてはそういう考え方を予想しませんし、またそういうことであつてはならぬというふうに考えて、いろいろ手配をいたしておりますが、しかし全然そういう法の目的に反したような運用がないのだということは、私としても申し上げるわけには行かない。事実そういう場合を私どもも耳にいたします。そこで、私どもとして考えておる結論的なことを申し上げてみますと、当時区画整理委員というものについて任期制を考えておりませんでした。ということは、できるだけ区画整理事業のごときは早くこれを仕上げてしまうという考え方で出発をいたしたわけでございますが、実際問題として、それがそうは行かなかつた。この点は、今後の問題としましては、どうしても委員の任期制というものを考えて行かなければいけないというふうにまず考えております。選挙方法その他についても当時いわゆる戦災直後であつた関係上、土地所有者の権利行使が正常の方法においては行われにくいだろうという配慮のもとに、いろいろの制度を考えおつんわけでございますが、そういう事情がその後経過いたしますに従つて、漸次正常な形にもどつて来たという関係り考慮しなければなりませんし、そういうことを考慮しつつ、いわゆる区画整理委員の選任方法、あるいは任期の問題、そういつたようなことについても、これは新しく制度の立て直しをすべきだというふうな考えを現在持つております。
  386. 吉武恵市

    吉武委員長 先ほども前参考人に委員からお尋ねがあつたのですが、現在農地については御承知のように非常に民主的な委員会ができ、しかも町村の農地委員会できめたことが間違えば、県の農地委員会にかかる、さらにまた中央に行くというふうに、非常に慎重に所有者の権利というものを重んじておる。ところが、今の都会地の区画整理については、ただ一片の区画整理委員会にまかされる。しかもその委員会は任期がない。そして話を聞いてみると、その中には土地の売買をするような専門家も入つて、いろいろな利益を実けておるような声も聞くわけです。今澁江さんのお話では、気がついておられるけれども、気がついておるということでなしに、非常に私は遅れているのじやないかと思うのです。  しかも、区画整理法律といつても、耕地値理法が準用されているのじやないかと思える。ところが、耕地整理法はすでに改変されているというような状況でありますので、これは早急に取上げて、慎重にやらなければならぬと思うのですが、江東地区についても、地元民からわれわれの行政監察委員会にしばしば請願もあつたわけで、どうして、衆議院の方まで来る前に、都の方なり、あるいは建設省の方に行つて話とないかと言つてみたら、言つても取上げられない、こういうことを言つておるのでありますが、この江東地区ばかりでなしに、あり得ることと思うのです。今までこういう問題で陳情を受けたりして考えられたことはないのですか、どうでしようか。
  387. 澁江操一

    ○澁江証人 各区画整理地区にいろいろな紛争その他がありまして、それに関して事情を訴えられる場合において、私どもの考えております根本的な態度としましては、まず紛争の事実を究明しなければなりませんが、それに対しまして、法律上は一応第一次監督官庁として監督的立場にあります都道府県の監督措置を究明することが一つの問題点であります。さらに、それに対して、これが建設省で立てております第二次官庁としての最終的な指導方針というものに従つて行動されておるかどうかということを私どもとしては究明して行かなければならない、そういう立場で今まで処理をいたしておるつもりでございます。従つて、そういう関係において、ことに重要視すると申しますか、考えて行かなければならないのは、いわゆる施行官庁なりあるいはその関係にあります、ただいま御指摘のありましたところの区画整理委員といつたようなそれぞれの関係者の非違と申しますか、不正ということは、これは事業の施行方法、いわゆる区画整理の設計がいいとか悪いとかいう問題を離れまして、特に配慮をして行かなければならないという考え方でおります。しかし、とにかくその場合においても、第一次の監督官庁をさしおいてとかく私たちの方が監督をするのもいけないので、むしろ第一次の監督官庁の措置を第二次監督官庁として究明して行くという立場に立つて問題を処理して行くという考え方でおります。
  388. 吉武恵市

    吉武委員長 それは、もちろん第一次監督官庁が府県であるから、当然府県がやるべきですが、この問題については、建設省の方へも不平不満を訴えて出た事実はないのですか。
  389. 澁江操一

    ○澁江証人 これは、私の聞いておりますところでは、この前の解散になりました国会の際にも、地元の方からの請願と申しますか、それが出ておつたというふうに聞いております。従つて、その請願処理の関係におきましても、事実その他を東京都当局にもただしますし、またそれに基くいろいろの調査も行われたやに聞いております。その結果につきましても、私どもも一応聴取をいたしたわけでございます。
  390. 吉武恵市

    吉武委員長 大体御注意になつたということですが、昨日から聞いてみると、現在の制度自体においてもなお監督の余地があるが、改善すべき点もあると思うのです。だから、この点は、もうすでにお気づきになつておるならば、ひとつ至急取上げて、真剣にお考えになる必要があると思うのですが、いかがですか。
  391. 澁江操一

    ○澁江証人 その点は、私どももぜひそうせねばならぬというふうに考えております。制度の問題につきましては、施行当事者である行政官庁の側からもそういう要望が出ております。それからまた、区画整理委員等の代表者の集まりの場合にも、そういう要望が切実に出ております。そういうことからいたしまして、今制度的に土地整理法案というものを一応用意いたして、再三再四練つております。ただ、それ自体土地権利者に対して相当影響のある法律でございますから、取扱いを慎重の上にも慎重にいたしたいということで、検討をいたしつつあるような次第でございます。
  392. 吉武恵市

    吉武委員長 委員発言の方はありませんか——。菊川忠雄君。
  393. 菊川忠雄

    ○菊川委員 時間も大分おそくなつておりますから、簡単にお尋ねいたします。  先ほどから、東京都の建設局の方に証言として来ていただいておるわけでありますが、問題は、今お話の行政庁の監督のことです。今日まで、こういうふうな問題は、江東における問題のほかに、杉並における高円寺の問題、あるいは先般の新宿、池袋の問題など、東京都全体に起つております。全国ではもつと大きな問題がございます。たとえば、最近では、鳥取のあの火災のあとの市の行政区画整理に対して地元民が反対した、そして裁判の結果は勝ちまして、何十億かの損害賠償を要求したが、今度は県の方で控訴しておるというような問題が起つておる。そういうような問題は、結局区画整理の施行についての行政庁の監督の問題は何か手落ちがあつたのか、それとも法制に不備があつてやれなかつたのか、どちらかである。法制上の不備の点はありますが、しかし、逆に考えれば、区画整理都市計画などというものを、簡単な短期間の問題と予想されて、区画整理委員会を構成されて、しかもそれを諮問機関に扱つておるが、諮問機関でも相当重要なことはやるのだから、一々法規でこれをこまかく取締ることはできないから、最後のところは行政庁の監督権というものによつて十分処理できるという何らかの確信か見通しがあつて、あるいはそういうことされたかもしれませんが、そう考えますならば、あるいは監督権という面において何らかの怠慢あるいは手抜かりがあつたのではないかという気もするのであります。現に東京都においては目に見えで反対の問題があつたにもかかわらず、今委員長からお話もございましたように、監督権というものが届かないという状態つたわけです。そういう点において、監督権の内容というものをどの程度にお考えなつておるかひとつ伺いたいと思います。
  394. 澁江操一

    ○澁江証人 区画整理の行政庁の関係は、御承知のように、戦災都市関係区画整理事業におきましては、行政庁が一応執行者の立場なつております。従いまして、区画整理委員はその諮問機関としての活動をやつておるわけであります。それに対しまして、行政庁としてまず都道府県が監督権を持つておるという規定になつております。この監督権は、実際において監督するという規定は厳然としてあるわけでございますが、その点については、私率直に申し上げて、行政庁の監督権が十分に働いてない部面もあるようにも思うのであります。しかし、諮問機関でありますので、最終責任は行政庁が持つておるわけでありますから、諮問の結果に必ずしも拘束されないで行うということも可能でありますけれども、実際問題としては、地元土地所有者側から、代表として選ばれた方の意見というものは、行政庁の事業執行の上で事実上拘束的な立場で処理して行かなければならないという結果も、ある程度察せられると思うのであります。従つて、この問題は、その人選と申しますか、その選挙においても、区画整理委員というものができるだけ公正な立場で運営されるような一つ方針と申しすか、そういう基準を与えつつやつて行くということを考えて行かなければならぬと思いますし、それからまた、かりに、先ほど申し上げましたように任期制というような問題が考えられれば、その間に委員の更新等をはかつて、できるだけ適正な運営の形で区画整理委員の活動が保証されるという形に持つて行くということも必要ではないか、そういう点、委員の任期と申しますか、あるいは不適格な委員の解任を求めるとか、そういうような措置が現在は制度上許されておりませんけれども、そういうことも将来の問題としては私は若干考える必要があるのではないかというふうに考えております。現在の運営の上で監督権が十分完全なる形で行われているかという点については、若干私どもも反省すべき余地があるように思つております。
  395. 菊川忠雄

    ○菊川委員 私がお尋ねしたいのは、現在江東の実情を調べましたが、区画整理委員会等が、ほとんど、監督権どころか、行政官庁をまるのみにして、もうけるものはもうけてしまつて、ごちそうは食い放しで、あとはおぜんだけだというような形です。そこで、今後進行しつつあるいろいろな問題について、明らかに誤りだと思われるものかある場合において、監督権の範囲においてこれを変更し、あるいは救済措置を講ずるということも一つの急務ではないか、かように考えたので質問したのでありますが、たとえば、区画整理委員の選挙において、その点に不正かあつたとかいう問題があつた場合、あるいはその区画整理委員が、実は今不適格というお話がありましたが、不適格ということについての法的な根拠はないのでありますが、明らかに土地ブローカーをやつておるような者は、区画整理委員に不適格だということであれば、そういう委員は好ましくないからして、それはやめさすとかいうようなことも含めて、監督権というものを発動させて、今進行中の問題についてこれを阻止するというようなことは、今の行政庁としてやれることであるか、やれないことであるかこのことをお伺いしているのです。
  396. 澁江操一

    ○澁江証人 これは、結局法律の裏づけによつて処理して参らなければならないことは当然でございます。そういう関係から申しまして、まず最初のお尋ねの換地処分その他における不正と申しますか、不当な換地処分というものがかりに法律に反して行われたというような形の場合でございますれば、これは、先ほど御指摘になりましたように、もうすでに鳥取その他についてもそういう例が出ております。一つの訴願ないしは行政訴訟というような形で、権利の侵害を受けたとされる方々のそれに対する公正な判断を求める訴訟手段というものもあり得るわけで、そういう形において権利の侵害を補償してもらう、そういうことも一つの方法であります。それすら、委員の不適格性について現在法律が明示しておりますことは、すでに御承知のように、一つの刑罰法規に触れておつた者、破産者、禁治産者、あるいは無能力者であるとかいうような規定を設けております。その間に、今御指摘になりましたように、土地ブローカーであるとか、そういうようなことを明示いたしておりません。これは、今後の問題として、むしろ制度上解決して行くべき問題のように私は考えております。現在さしあたつてそれを行政的な措置でもつて監督し得るという手段はないように思つております。
  397. 吉武恵市

    吉武委員長 北山委員
  398. 北山愛郎

    ○北山委員 この江東地区のケースを一つの例として取上げたのですが一体、建設省としては、こういうような区画整理を認可する場合において、その目的として歓楽街をつくるというようなことを内容に含んだ区画整理というものを認可されるものでしようか。普通の区画整理目的である宅地の高度利用とか、あるいは交通をよくするとか、あるいは緑地をつくるとか、そういう環境の整理をするという普通の消極的な都市計画目的以上に、進んでその地区歓楽街にしで振興をはかるというようなものを内容にくつつけた、そういうものを区画整理として認可されるような場合があるかどうか、それをお伺いしておきます。
  399. 澁江操一

    ○澁江証人 この点は、具体的問題につきましては多少紆余曲折があつたように私は聞いております。全般的な方針といたしましては、これは住宅地区画整理と盛り場の区画整理といつたように、いろいろ態様がございまして、それぞれの場合において町の施行地区全体の将来性といいますか、町の発展を期するような観点において区画整理考えて行くということは考えられております。まあ、駅前広場計画の場合と、住宅地区画整理の場合と、その点はおのずから考え方を違えて設計の認可もし、取上げている、こういう実情でございます。
  400. 北山愛郎

    ○北山委員 ですから、このケース、この江東地区の場合、そういうような歓楽街をつくるというような積極的な目的が、結局において、このように一方においては非常に利益を受けている者がある、一方においてはその反面に非常に損をしておるというようなことができる大きな原因になつているのではないか。しかも、当初計画されたように、これを歓楽街にする条件として、学校等を移転させて、換地を容易にするはずだつたのです。それができなくなつたときに、歓楽街にすることがなかなかむずかしくなつたのだから、そのこともまた変更しなければならなかつた。それを、学校の方の移転はやめておいて、歓楽街をつくることだけはそのまま強行してしまつたために、結局無理な土地換地をしで、非常に犠牲を払わなければならぬ反面に、一部の人が利益を得たかに見えるような結果が出て来た。そのようなことが、この江東地区の場合の根本原因ではないかというように、大ざつぱに見えるのですが、いかがでしようか。要するに、このことは、将来の区画整理に関する新しい立法などを考える場合に非常に参考になる問題だと思うのです。普通の場合であれば、土地換地というようなことは、ほんの例外的に、はつきりとした公益上の目的なり、あるいはやむを得ない場合にのみ行われるだろうと思うのですが、このように楽天地分散させるというようなことを理由として土地換地がどんどん行われるということになれば、結局その間に介在して一部の者が利益を占める機会をそこに与えることになる。ですから、そのことを計画の初めによく注意なさらぬと、こういう事態がたくさん至るところに出て来る結果を生むわけです。従つて、結局監督というのは、個々の区画整理委員を監督するのではなくて、上の建設局長なり、そういうような立場にある人は、計画の初めにおいて、そのことを見通して、計画変更があるならば、そういうことが起らないように、ほんとうはしなければならないはずです。要するに、学校が移転できなかつたならば、その結果として減歩率が一部の者には高くなるということであるから、歓楽街をつくることはむずかしいということで、やめなければならぬ。それを、無理々々やつたものだから、結局その一部の人の分散だけができ上つて、全体の進行の部面は遅れてしまつたということになつたのじやないかと思うのです。その点について、いかがですか。
  401. 澁江操一

    ○澁江証人 盛り場と申しますか、楽天地というものをこの地区に対して分散する計画を企図しつつ区画整理事業実施が一応確定されたけれども、その後の事情変更のために、その通り行われなかつたということは、ある程度認めざるを得ないと私どもも考えて来ております。ただ、それには、その中間としまして、戦災復興事業が、これはむしろ国の方針から割出された関係もございますが、いわゆる経済九原則その他の関係から、全体として縮小して行かなければならないといういろいろな事情変更のために、当初の目的を達し得ない事情に追い込まれた、こういう関係も御了承願いたいと思いますが、そういうことが当初の計画通り行かなかつた、これは、計画の場合においても施行の場合においてもあつた考えております。しかし、それだからといつて、全然その効果が出て来なかつたかという点になると、これはやはり、一部はその計画の実現をした部面もあると私ども考えているのでございます。ただ、問題は、そういう関係の中におきまして、不正な取扱いがあつてはいかぬということがむしろ問題の重点ではないかと考えておるのであります。そういう点において、最初の施行地区あるいは区画整理事業決定することに対する許可方針をかえるということは、実は考えてはおらなかつたのでございます。
  402. 吉武恵市

    吉武委員長 山田委員
  403. 山田長司

    ○山田(長)委員 江東楽天地のごとき事件は、全国各地にたくさん起つておる問題だと思うのでありますが、最近起つている問題で、宇都宮市の大通りの拡張の問題があります。それは、大体三千二百軒の家を片づけるということで、国家予算は限られたほどしかない。どんなに少く見積つても十億の経費を要するだろうと宇都宮の人たちは見ているわけです。それを、終戦前の経費で、都市計画法に基いて区画整理をやろうというのです。実は、私、けさほど、不当な権利侵害の問題について告訴したのをいつまでも取上げないのかという問題で、宇都宮の検事正に会つたのです。一年近くの間、告訴した問題を取上げずにおる。この強制執行は、大体三千二百軒の家をあとへ引かせたり片づけたりするわけですが、そういう大きな都市計画をやるのに、五軒の家を片づけて、しかも区画整理委員へは何ら連絡をされずに、抜打ちに、おまわりを五十人も連れて来て、病人はどこへ連れて行つたかわからない。救急車に乗せて連れて行つてしまう。あとで病人の家族は捜査願いを警察へ出したというような事件であります。それから、この強制執行の実情を見て、やがて自分のうちも来るだろうという恐怖観念から、気違いになつた人が二名も出ている。こういう恐るべき強制執行を宇都宮市の大通りにおいては強引になされているわけです。これらについて、建設省計画局長であるあなたは、おそらく御存じだろうと思うのですが、宇都宮の執行を今もどんどん続けているわけですが、これから先もこの姿で強行するかどうか、最初にこの点を伺います。
  404. 澁江操一

    ○澁江証人 宇都宮市の区画整理事業につきましては、これは山田委員から先般も直接お話がございました。私、先ほどから申し上げましたように、その間に事業担当者あるいはそれに関与いたします区画整理委員なり市の事業執行者あるいはその監督に当るべき者に不正があるということは、何としても許しがたい問題でありますから、その点を中心といたしまして、いろいろいただいた資料によりまして現在調査をいたしておるのでございます。事業執行に対する措置といたしましては、市当局なりあるいは市会なりの議決というものがありまして、それに基いて執行いたしておる限りは、監督官庁としては、いわゆる不正その他の事実のために、これを云々監督することは考えておりません。それを抜きにして、事業執行に努めるか努めぬかということは、市理事者あるいは市会の責任において解決されるべきものという立場に立つて処理いたしたいと思います。
  405. 山田長司

    ○山田(長)委員 江東楽天地の場合においてもそういうことが必ずあると思うのですが、粒々辛苦中小企業者が努力をして店鋪を構えて、今の経済事情のもとにおいて辛うじて仕事を営んでおられる事態はたくさんあると思うのです。そういう場合に、この強制執行によつて人生を方向転換しなければならないような事態に置かれている商人がおそらくたくさんあると思うのです。これは、区画整理によつて権利を侵害されるわけですが、江東楽天地の場合はどういうふうに処置されたか知りませんが、宇都宮においては、それがどんなふうに建築されてあろうと、どんな大きな建物であろうと、小さな建物であろうと、一軒平均四万五千円という割当金を出されて処理されようとしております。この金額を余分にもらいたい未亡人は、それがために区画整理委員と私情を通じている事態が発見されている。さらに、自分のところを有利にしてもらおうというので、区画整理委員に金品を持つてつた者もある。過日新聞紙をあなたの手元に差上げてあるわけですが、そういう事態があるにもかかわらず、しかもさらに、補償をされる金額というものが、そういう目くされ金で、親代々の土地を離れなければならないという、こういう事態をなお強行しようというつもりですか。どういうつもりでおやりになるか、それを重ねて伺いたいと思います。
  406. 澁江操一

    ○澁江証人 先ほど申し上げましたように、いただきました資料に基いて真相の究明に、私どもできるだけのことはいたしておるつもりでございます。それから、補償金その他の御質問でございますが、補償金の積算の基礎、そういうものが、国家予算その他の関係で、かなり当事者の方に対して補償金として十分な措置でないということは、実は私どもも痛感いたしておりまして、事業予算として、この点に関する限りは、現在の都会地の土地の値上りなり、家屋の値上りなり、そういつたことから考えますれば、ぜひ単価の改正をいたしまして、できるだけの補償的措置をするように配慮したいということで、今努力をいたしておるわけでございます。根本の方針は、先ほど申し上げたように、その区画整理が行われる地区全体の利益、土地の利用増進のために、できるだけ平等公正な負担においてその事業が行われ、それに対して、戦災のためにそういう結果を来したいう関係においては、できるだけ国としても援助の手を差延べるだけの予算の措置を考えて行く、こういう建前で行きたい、かように考えております。そういう前提に立ちまして、補償費その他の至らざる点につきましては、できるだけの配慮をして行きたい、かように考えておるわけでございます。ただ、その間に、一部の者が補償費をよけいにもらう、一部の者が不当に補償費で損をした形になつて行くというようなことは、これは私は許さるべきことではないというふうに考えております。
  407. 山田長司

    ○山田(長)委員 宇都宮市の話を次々に申し上げることになりますが、宇都宮市の現在のメイン・ストリートをさらに都市計画に基くような広さにすることによつて、おそらくあすこの町の商店街は死ぬのではないかということで、南側の三千二百軒の人たちは言わずもがな、最近では北側の人たちまでことごとくこれに同調して、強硬に反対意思を表明して来ていると思うのです。そういう事態にあるにかかわらず、なぜこれを強行するかいとうことと、もう一つは、終戦直後に、この大通りをメイン・ストリートとして伸ばすために、一応境町通りと塙田町の二箇所を広げて、これによつて奥州街道と日光街道とは一応自動車道路にしよう、こういう意図で、その道路は両方の道路とも七割程度完成しておるわけです。あと三割完成させれば両方の道路は生きるのです。ところが、その道路は、七割程度完成させておいて、ほうつてしまつておいて、それで目拔きの通りだけを区画整理をやろうというところに、非常な無理があると思うのです。何のために境町通りというのと塙田町の大きな道路区画整理というものを途中で中止しておくのか。おそらく建設省としてもその理由はわかつておると思う。一応この点を伺つておきたい。
  408. 澁江操一

    ○澁江証人 ただいま御指摘になりました、中央大通りの南北線と考えられている二つの宇都宮市の道路の工事の進捗状況と申しますか、施行状況でございますが、これは、先般御指摘のあつた点もございますし、さつそく私の方でも事実の調査をいたしております。むしろあの二つの路線の事業執行は、中央大通り地元の反対と申しますか、そういう関係がありまして、その方に充当せらるべき事業費が、実際問題として充当できない、事業執行にかかれないという関係もございまして、むしろ当初の計画では後年後まわしであつたものを繰上げて事業執行にかかつてつたのでございます。本年度も、予算が成立いたしますれば、残つている部分についてはさつそくとりかかるという建前にいたしております。作為的に、中央大通りの問題処理を強行せんがために、あの事業執行を停滞させるという考えは、監督官庁としては絶対に持つておりません。
  409. 山田長司

    ○山田(長)委員 私は、自分の選挙区でも何でもないのですが、あの事態を見ましたときに、このまま建設省が強行するという事態になれば、おそらくあの三千二百軒の人たちはことごとく、市当局なり建設当局なりに対して、強行すればそれに報いるにやはり暴力をもつて報いなければならぬという事態発展するおそれがあると思うのであります。しかも、本建築の建物を建てるのに、南側には何軒か本建築の建物があるわけですが、それは一応市が許可を与えている。こういう事実があるわけです。しかも、終戦直後発表しておいて、建物が全部できてから強行しなければならない理由がどこにあるのですか。一応これを伺いたい。
  410. 澁江操一

    ○澁江証人 今の関係につきましては、具体的事実をもう一ぺん調べさせていただきましてお答えさせていただきたいと思います。
  411. 山田長司

    ○山田(長)委員 重ねて伺いますが、おそらく楽天地の場合にもこういうことがあると思うのですけれども、こういう強制的な区画整理によつて、食えなくなつてしまつておる人がたくさんあるのではないかと思うのです。これらについて、政府としての処置はどんなふうにお考えなつておるか、一応参考までに伺いたいと思います。
  412. 澁江操一

    ○澁江証人 問題は、営業補償その他に関運して来ると思いますが、区画整理事業が行われましても、その後に従来の生活基盤をそのまま補償されて行くような配慮をできるだけとりたいというふうに考えております。そういう具体的な手段として現在考えられておりますことは、たとえて申しますれば、鳥取に行われております列もその一つでありますが、防火建築帯としての、いわゆる土地の高度利用ということになりますか、狭い区画にできるだけ、高層建物をと申しわけではありませんが、従来の平屋建の商店街でありますれば、これを三階建に直して行くというような配慮を払いまして、それに対する防火建築帯助成費等もつけ加え、あるいは住宅金融公庫の融資措置等も加え、さらには地元の日掛けと申しますか、そういう自己資金も用意していただき、そういうことによつて、できるだけ円満な区画整理事業が行われ、そしてそういう当該土地に営業をやつておられる方の補償措置が十分立てられるような、いろいろな手段を講じて参りたいというふうな考えでおります。さしあたり私がここでお答えできる具体的な措置として申し上げられるのは、今申し上げたような次第であります。
  413. 山田長司

    ○山田(長)委員 あなたのお考えなつておることは、実際に商人の立場なつてお考えにならないからそういう安々としたことが申されると思いますが、実際に、楽天地の場合ばかりでなしに、おそらくはかのこういう整理にあつておる多くの人たちが、想像以上の困難を来しておると思うのです。銀行では手形を割らないし、さらにまた住宅金融公庫へはみなお百度を踏んでおるけれども、その目安が全然ない。こういう事態から、中小商工業者は実際想像以上に泣き叫んでおる事態だと思うのです。一体、そういう事情のときに、今あなたが申されるように、本建築の建物を建てて、うまいぐあいにみながそこへ住めればいいというふうにお考えなつているかもしれませんけれども、銀行で金を融資して、本建築の建物で共同で商業を営むというようなことは、そう安々とできない事態だと思うのです。宇都宮の場合で申しますと、実はこの三十、三十一日に手形が割れないので、建設省にも陳情に行きたいけれども、陳情にも来られない事態なつておる。こういう事態のときに、工事は中止しない、あるいはそのまま強行するというようなことでこれから先やれば、銀行からは全然融資ができなくなつて、商人としては死活寸前に来ておる。こういうときに、生やさしい考えで、予算は中途までしかないことがはつきりしておるのに、当局としてはできるだけやるのだ、予算が来なくなつたら中止するのだ、そういう無責任な答えの中に強制執行を次次させるわけには行かないと思うのです。今度の宇都宮の三千二百軒片づける問題については、終戦直後区画整理を発表したことで、これは建物が建たないときの発表です。それが建物が建つた今日においてもなおかつそれを強行しようとするところに無理があるのですが、そういう点で、建設省としては、予算の面においてもつと十分に考えてこの整理をやろうとしておるのかどうか、もう一ぺん伺いたいと思う。
  414. 澁江操一

    ○澁江証人 だんだんのお話もございまして、ことに先般直接山田委員からお話もあつたのでございますから、私どもといたしましては、地元の実情にこたえまして、先ほど申し上げましたように十分怠りのないような用意をさしていただきたい、かように考えております。従つて、今お話がございましたような手形問題とか、そういつたようなことが、区画整理事業一つの強行手段のためにそういう事情が発生いたしたとしますれば、これは私どもとして十分考えなければならぬ。不測の事態をよけい引起してやるというようなことでなく、できるだけ、事情が許せば、そこに緩急よろしきを得てやるというような態度も必要だと思うのでして、そういう点につきましても、実情をなおよく調べさしていただきたい、そうして私は、おつしやるような配慮をしたい、かように考えます。
  415. 山田長司

    ○山田(長)委員 もう一言、実は、この問題につきましては、栃木県の一区の場合ですが、地元の政治家はただ一人として、この実情というものを取上げて市当局にも県当局にも陳情一つしておらない。こういう事態は、私としてはまつたく見かねた事態なんですが、これについて、ある政治家はこういうことを言つております。これは何が何でも強行するのであるから、泣いてもわめいてもだめなんだ、——いいですか、この点よくお聞きになつてもらいたいと思う。泣いてもわめいてもだめなんだ……。それで、これはもう建設当局まで実は渡りがついているんだ、知事ももちろんこれは承知しているし、市長はもちろん何が何でも強行するという意思なんだ、とにかく泣いてもわめいてもだめなんだから、換地をどこかへ求めて、そこへのいてもらわなければしようがないのだ……。まつたく無責任な、私たちが想像できないことを、区画整理委員も、宇都宮市のこれに携わる人たちも言つているわけなんですが、一体、建設省としては、そんなに深入りして、これをあくまで強行するんだという態度で、そういう話をしているものかどうか、一応重ねて伺いたいと思うのです。
  416. 澁江操一

    ○澁江証人 先ほども私申し上げましたように、この問題の事業執行者なり何なりの不正事実というものは、これは見のがすわけには行かないということを私申し上げました。そのためにそれをほおかむりして、事業執行を監督官庁として認めて行くということは、これは許さるべきことではないというふうに考えております。その関係を抜きにして、事業執行の今後の遂行いかんということは、これは私は、当面の市の理事者の責任と判断において行われて行つてさしつかえないものと考えております。但し、それには公正な手段と方法において行われて行くということを前提にして申し上げておるわけであります。
  417. 吉武恵市

    吉武委員長 天野公義君。簡単に願います。大分時間が経過いたしましたから……。
  418. 天野公義

    天野委員 大分おそいですから、かいつまんでお尋ねしたいと思います。その第一点はこの江東地区の問題でございますが、この江東橋一丁目から四丁目までは四十メートルになつていて、これをはずれてしまうと三十六メートルになる。ここだけ広くして、ほのか地区は三十六メートルでずつと行つている。この理由はどういうわけでございましようか。
  419. 澁江操一

    ○澁江証人 実は、ただいま御指摘になりました千葉街道の幅員の問題でございます。御指摘になりましたように、都内に接近した側が三十六メートル、今度の区画整理をいたします部分が四十メートルということになつておるわけでございます。その点は、実は当初の計画あと変更した事情もございますが、御指摘の通り、これは国なら国の規格においては四十メートル一本で通すということが、普通の区画整理案については当てはまる原則なのであります。たまたま、先ほど申し上げました通りに、ドツジ・ラインの経済九原則の関係がございまして、一部施行地区を縮小いたしました関係もございまして、そういう関係の際に、都内側は三十六メートル、——これは、一応焼残りの地区もございます。堅牢建物もあるというような関係で、一応現状のまま工業を施行しようという対策を立てたのであります。それから、現在の江東地区の四十メートルの問題は、従前の幅員は二十五メートルでございます。これを拡張する観点において都内側の分は、焼残り、堅牢物の関係もありましたので、そういう現状を認めましたが、二十五メートルの幅員をそのままに置くのは、ここの交通上その他から見てどうかということで、四十メートルの幅員にいたしたわけでございます。
  420. 天野公義

    天野委員 この江東地区の一丁目から四丁目だけが四十メートルになり、またその先でもつと狭くなるというのでは、非常に形式上にも不備があると考えられます。その点よくお調べの上御検討願いたいと思います。  それから、もう一点は、いろいろこの委員会証人を喚問してやりました結果、現在の法規上の不備というものは、先ほど委員長からお示しのあつたように多々あるわけでございます。また、建設省でもこの区画整理についての法律を研究しておられるというようなお話でございますが、一体区画整理についての単行法を、近い将来国会にお出しになるかどうか。時期は一体次の国会に予定されておるのかどうか。これは住民の利益に非常に影響する問題でございまして、一時をも争うような問題でございます。建設省の方で単行法をお出しにならないならば、われわれの方の議員側で、ひとつ議員立法でもして行かなければならないではないか、このように考えておるのであります。この単行法の立法についてのお考え方、及びできた場合の大体予測できる提出時期というものがありましたら、これをお伺いしたいと思います。
  421. 澁江操一

    ○澁江証人 土地整理法案という一応名称をつけて現在研究をいたしております。先ほど申し上げましたように、一案を用意いたしておりますが、何と申しましても、先ほど来御指摘のありましたように、それぞれ土地権利関係に非常に影響のある問題でございますから、慎重の上にも慎重な態度が必要だというように考えて、研究を続けておるわけでございまして、実は本国会に提出したいと考えておりましたが、しかし、先ほど申しました準備の都合等もございまして、見送らざるを得ない結果になつております。今いつということは、はつきり申し上げるわけに参りませんけれども、できるだけ早く出したい、できれば次の国会等にでも準備が整いましたならば出したいというくらいに実は急いで考えております。
  422. 吉武恵市

    吉武委員長 他に御発言はございませんか。——御発言がなければ、澁江証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。  証人には御苦労さんでございました。  次会は明三十日午後一時より理事会を、午後二時より委員会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十一分散