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中野委員 佐野さんにあまりいろいろ言うては悪いのですが、率直に申し上げて、もう少し具体的に――私らはただ興味半分でこの
ダイヤの問題をば追究するのじやないことは、御
承知の通りなんです。
終戦当時に、非常に国家国民の
品物が一部悪質な
軍人によ
つて散逸をされて、そして正直者がばかを見るというような形に
なつてお
つたことは、もうすでに御
承知の通りです。特にあなたは社会福祉協議会の方にいらつしや
つて、先日来国会にも再再
おいでに
なつて非常に御努力の方であるから、私は、私らの
気持を十二分に察してくださると考えておるのです。決して、このことは、私は、
宮内省に憂いを残そうとかなんとかいうつもりで、つつついておるのではないのです。少くとも私らの追究しておる面においては十二分に御了承願えると思うのですけれ
ども、いろいろな面に婆及するというので、これは
宮内省におられる方のみならず、だれでもそう考えるのですけれ
ども、ついあまりよけいなことはしやべらぬ方がよいという感じが多いのです。ところが、大金さんの話も、あなたの話も、あるいは森という人にも
おいでを願
つて、――きようは残念ながら筧さんは病ですから
おいでを願えませんが、いずれこちらから伺うか、書類をも
つて伺うかということになりましようと思いますけれ
ども、大分根本的な食い違いがあるのです。たとえて言えば、
目方なんですが、これは、森さんの言うことと、大金さんの言うことと、あなたの言うことが、まるで違うのです。
ちようどいいところに
いすがあるものですから、それを持
つて目方を鑑定したのですけれ
ども、あなたはそれを持
つて、とんでもない、こんなにないとおつしやる。ところが、持
つて行
つた人は、これつばかしじやありません、問題じやないと言う。これはどれくらいありますか、二貫くらいある、そうすれば十貫くらいあると、持
つて行
つた人が言う
つている。大分食い違いがあるのです。それから、大金さんの話も、速記録を
ごらんになればわかりますが、大分違うのです。あなたがたは初めからしまいまで
立ち会つたのではないのですから、とがめはいたしません。しかし、私の伺
つたところでは、その
ダイヤモンドの中に相当大粒のものがあ
つたはずであります。それが、あなたの
お話では、まるで小さいこなごなという話ですが、日本でも相当珍しい
ダイヤモンドが中に入
つてお
つたはずなんです。それが御
記憶がないというのは、私はおかしいと思うんです。この一点なんです。つまり、袋の中に入
つておりましたことはよくわかります。
封筒の中に入れたこともよくわかるのです。あなたの今の
お話は、接収された当時の
状況と、そのままぴ
つたり
行つておるのです。ただ、残念ながら、その
内容において少々違う。
ダイヤモンドには相当大きいものがあ
つたはずです。大金さんの見た目でも、議員記章くらいの大きさ、すなわち十八カラツトになんなんとするような
ダイヤモンドを見たと言う。しかも黄な色のものを見たということを、現実に出した本人が
言つておられるのに、あなたは今、見られた
ダイヤの
状況は、
工業用の
ダイヤだ
つたろうとか、あるいはこなごなの
ダイヤで大したものはなか
つたろうというふうに簡単に片づけられますけれ
ども、ことほどさように簡単なものではないのであります。それから、
白金の問題などでも、私の
調査の資料とは食い違いがありまするが、私がここで一点ふしぎに思えてしかたがないのは、
献上でないということになりますならば、どう言
つたつて、この
品物をば預かり品と仮定をいたします。預かるといたしましても、筧さん一存では預かれるわけはないのです。あるいはその上にいる人とか、
次官まで行くには、相当段階を経て行かなければならぬはずです。ところが、
大金次官や森さんの
証言を聞きますと、すでに
宮内省の
総務課と緊密な連絡の上で持
つて行
つたというのですから、
総務課の方には
はつきりした確証がなければならぬ。たびたび申し上げるようですけれ
ども、私は近ごろ
宮内省の
内容を調べてみて驚いていることなんですが、皇室のいわゆる民主化されようとする努力を、ややもすると、
宮内省の職員が、封建的な性格そのままに、これをさえぎる傾向が多いのです。たとえば大金さんだ
つてそうなんです。宮内大臣には何らの進達もせず、
自分一存をも
つてそのような多数のものを一年間もほ
つたらかして忘れてお
つたということは、陛下の側近にはべる人としては決して正しい行動ではないと考えられる。一体、宮城というのは、あなた方の長屋じやないんですからね。いやしくも国家の象徴であるとこつの天皇のお住居なんです。側近にはべる人は、そのような
気持の上に立
つて行動をされなければならぬのですかり、
一つのものをお預かりするのに、それをただ単に持
つて来たから置いておこうか、倉の中の
金庫にでも入れておこうかというような簡単なものではなかろうと思うのです。あなたが
首席属官でいらつしやれば、筧さんは、大体お父さん以来の人ですから、そう独断でやる人ではありませんから、何か御相談があ
つただろうと思います。
陸軍の方では、すでに十分な連絡があ
つたものと考えて、上官の命令で持
つて行つたので、私は何も知らぬ、こう言うのです。ですから、そこに何かあなたの察しられる、ぴんと来るものがなければならぬと思うのです。そういう当時の感想で
けつこうです。それは、もつとも八年も前の当時のことですから、正確に
記憶を呼びもどすということは議かもしれませんが、われわれの苦心も察しられて、当時の
状況において、
陸軍省から
宮内省にどういうような連絡があ
つたのか、あるいは筧さんがそういうふうな事前に話があ
つたように見えたかどうか、――ただ突然に持
つて来たのじやなかろうと思うのですが、こういう点について、ひ
とつ御説明を願いたいと思います。