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1953-07-07 第16回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月七日(火曜日)     午後一時四十五分開議  出席委員    委員長 吉武 惠市君    理事 塚原 俊郎君 理事 渡邊 良夫君    理事 中野 四郎君 理事 久保田鶴松君    理事 小林  進君       天野 公義君    田渕 光一君       長谷川 峻君    三和 精一君       岡部 得三君    北山 愛郎君       山田 長司君    世耕 弘一君  委員外出席者         証     人         (中央物資活用         協会清算人)  中田 玉市君     ————————————— 本日の会議に付した事件  接収解除貴金属及びダイヤモンド関係事件     —————————————
  2. 吉武恵市

    吉武委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き接収解除貴金属及びダイヤモンド関係事件について調査を進めます。  ただちに証人より証言を求めることにいたします。ただいまお見えになつておられます方は中田玉市さんですね。
  3. 中田玉市

    中田証人 さようでございます。
  4. 吉武恵市

    吉武委員長 この際証人に申し上げますが、戦争時中多数国民諸君より供出されましたダイヤモンド、金、白金等は、平和条約の発効と同時に接収解除となりまして、現在日本銀行地下金庫に収納され、大蔵省によつて保管されておるのであります。このダイヤモンドの収納、保管経過、処理の方法等につきましては、世上大いに疑惑を持ち、関心を抱いている向きもありまするので、これらが真相を明らかにすることはきわめて意義のあることと考え、本委員会は本件の調査を進めて参つた次第でありまするので、証人におかれましては、率直なる証言をお願いいたしておきます。  それでは、ただいまより接収解除貴金属及びダイヤモンド関係事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に、証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士弁理士弁護人公証人、宗教または蒔肥の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人中田玉市朗読〕     宣 誓 書  良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  5. 吉武恵市

    吉武委員長 それでは、宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  6. 吉武恵市

    吉武委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  まず、証人略歴についてお述べを願いますが、特に中央物資活用協会に勤めることになつた経緯、中央物資活用協会における地位及び現在の身分についてお述べを願います。
  7. 中田玉市

    中田証人 お答えいたします。私の略歴というのは、どの辺から申し上げていいかわかりませんが、弁護士試験に合格しましたのが大正十五年であります。そうしてその当時までは震災復興局嘱託並びに事務員をしておりました。それから後、それをやめて、大蔵省貯蓄奨励局嘱託になりましたり、かたがた弁護士をしておりました。中央物資活用協会に入りましたのは、その前に、昭和十二、三年ごろから、御存じようにだんだんと政府手持金が減つて来て、外国から物を買うのに、国内の銀を集めて、——アメリカではあまり喜ばなかつたのでありまするが、それでも、とにかくアメリカから物を買うには、それを持つて行けば幾らか売つてくれるということで、まずこういう協会大蔵省外郭団体としてつくろうではないかという蔵が持ち上りまして、それがだんだんと実を結んで、物資活用協会というもりを一応つくることになりました。ところが、その後、銀のみでなく、いろいろのものを集めるべきだからというので、戦時物資活用協会、こういう名前のものができました。それがいよいよ発足しましたのは昭和十四年でございまして、そのときに、今戦犯になつている賀屋大蔵大臣、これに私は非常にお世話になつたものでございまして、よく存じておりますものですから、戦時物資活用協会が発足したけれども、どうも法律にあまり明るい者も少いようだから、お前人つて、そこで手伝えということがございまして、それで初めて、弁護士職務に従いながら、嘱託として戦時物資活用協会に入りました。これがその後中央物資に改組されたのでございますから、中央物資関係した動機というものはその辺から始まるわけであります。
  8. 吉武恵市

    吉武委員長 それで、今お尋ねしたのですが、その中央物資活用協会での地位はどういう地位であつたのですか。
  9. 中田玉市

    中田証人 ただいま申し上げましたように、初めは嘱託として入つたのでありますけれども、実際これは、お尋ね範囲ちよつと逸脱した、関連がないかもしれない、ちよつと違つているかもしれませんが、とにかく戦時物活用協会のことを申し上げないといけないのでありまするけれども、戦時物資活用協会にさつき申しましたように入りまして、それで、そのときに入りましたけれども、人数が非常に少くて、私はさつそくその銀の回収の直接の担当者に、嘱託でありながら持つて行かれた。こういうことで、嘱託でありながら実務に深い関係を持つようにはつたわけでございます。そうして、その後ずつと私がその回収——これは金、銀、白金ダイヤモンドというようなものについてでございますけれども、戦時物資活用協会時代には、まず銀ということが回収目的でありまして、そのころは、金は、法律従つて大蔵省が直接収集することになつておりましたので、お前のところに頼まぬでもよろしいという形になりました。ところが、実際はなかなか、そこへ指輪一本出して、造幣局で分析して、代金をもらうようなことで、初めは早かつたのですけれども、だんだん遅れて来て、半年かかり、一年かかり、長いのは一年半もかかり出したので、供出が非常に減つて来たので、実は銀を鑑定して買うのであるから、金の鑑定能力もむろんあるものですから、大蔵省でも、これで集まつたものは大蔵省へ納めるということで、持つて来たものは買つてもよろしいというようなことになりまして、金と銀を、その当時は戦時物資活用協会のときには主として買うことになりました。それで、その実務を担当し、そして中央物資活用協会に改組したのは、おそらく昭和十八年だと記憶しておりますが、そのときに、その前から少しずつ白金回収も始めたのです。だんだん白金が逼迫して……。それで、中央物資活用協会になりましたときには、むろん白金回収されたのですが、その後またダイヤモンド回収することになりました。それで、おのおのの時代において、私はその後地位嘱託でなくなつて、どうも嘱託でそういう重い責任——これは保管、あるいは直接担当者という重い責任を持たせるのは、どうも外部に対して困る、同じことであつても、そいつは困るのじやないかということでありましたので、私は、そこの職員あるいは役員になることについては弁護士会許可を大体得ねばならぬことでありますので、申請しましたところが、それは公益法人だからいいじやないかということでありましたので、そのまま、初めは名前は何でございましたかな、とにかく職員になつてしまつたのです。そうして後には参事とか何とか、どういう名前であつたか、はつきり覚えておりませんが、参事だと思いましたが、もらいまして、いろいろ名前が変化しまして、最後に理事になつて、そうして清算を今日までいたしておるという状況でございます。
  10. 吉武恵市

    吉武委員長 次に、中央物資活用協会についてお述べを願いたいのですが、今多少触れられたのですが、設立経過をひとつもう一度初めからおつしやつてください。
  11. 中田玉市

    中田証人 中央物資活用協会設立は、結局戦時物資活用協会を改組いたしまして、戦時物資活用協会権利義務を一切中央物資活用協会が継承するという状況設立されたものでございます。
  12. 吉武恵市

    吉武委員長 それを改組するには、何か改組しなければならぬ特別の理由があつたのですか。
  13. 中田玉市

    中田証人 これは、上の方の話合いでございましたから、私としては、はつきりわかりませんが、各省が中央物資活用協会仕事を依頼するために——戦時物資活用協会時代大蔵省と内務省の共管であつたのが、その後商工省、それから軍需省というようなところまで入つて来て、そこで名前をかえられたものだと私は考えておりますが、そのことについては、はつきり覚えておりません。
  14. 吉武恵市

    吉武委員長 それでは、次に、その業務の内容をもう一度はつきりおつしやつていただきたいと思います。
  15. 中田玉市

    中田証人 これは、私の記憶間違つておるかもしれませんが、戦時物資から中央物資というものの仕事をしている間は、非常に戦いの激烈な時代でございまして、先ほど申し上げました金、銀、白金ダイヤモンド——ダイヤモンドはずつとあとでございますが、金、銀、白金は前からやつておりました。そして、それに加えまして、銅、鉄の回収ということをいたしました。これは中央物資に改組してからと記憶しております。今調べれば、それはわかりますが、多分私の記憶では改組してからだと思いますが、まず銅、鉄の回収を全国的にいたしました。これは、御存じように、橋の棚を出したり、あるいは銅像を出したり、つり鐘を出したり、火ばちを出してもらつたり、これが中央物資の銅、鉄回収の大仕事でございました。これは全国的にやりました。それから、その次には代用品使用の宣伝——正当のものがないから、何でも代用でやろうというので、代品品使用を宣伝するという仕事もやりました。そして、物が非常に不足して来ましたので、修理を非常にして、長持ちをさせる。結局、どんな継ぎはぎでもいいから、持たせるということが非常に重要な問題になりまして、この資材がまた、放任しておけば各方面で取りつくらになつて、全然入らぬところと入るところとできるということになりますので、中央物資活用協会政府から、靴の修理なら皮あるいは皮の代用品、あるいは、いかけに要するものならハンダ、あるいはその他の資材、そういうものを一括して受けて、それを今度は各業者に正当公平に流す、そして修理品をまんべんなく行き渡らせるよう方法をとるというよう仕事もいたしておりました。また、こうもりの生地を配給するとか、こうもりの骨を配給するとか、そういうよう仕事中央物資では一時やつておりました。
  16. 吉武恵市

    吉武委員長 ダイヤを取扱うようになつたのは、中央物資活用協会になつてからですか。
  17. 中田玉市

    中田証人 さようでございます。それは中央物資活用協会になつてからです。
  18. 吉武恵市

    吉武委員長 それから、協会法律上どういう性質のものだつたのですか。
  19. 中田玉市

    中田証人 戦時物資活用協会時代は、民法上の財団法人公益法人でありました。その後、中央物資活用協会になりましてからは社団になりました。この社団になりました理由を、これはお尋ね外になるかもしれませんが、関連しているから申し上げますと、先ほど申し上げましたように、物の修理資材を配給するのに、山形県なら山形県、あるいは広島県なら広島県というところで、個人々々にわけるわけに行かないものですから、そこの業者組合に一括して配給して、そこでまたこまかく配給して行くというようなことをやらなくてはならないので、それには、みな一応会員になつてもらつて会員になつてもらつた方に配給するというようなことから、これを社団に変更したと考えております。
  20. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、その社団会員というのは、各府県の全組合会員になつていたのですね。
  21. 中田玉市

    中田証人 大体そういうことになつております。個人もあつたように思いますが、大体は組合です。そこは、政府の監督のもとに非常に厳重にやつておりました。
  22. 吉武恵市

    吉武委員長 それでは、次に、戦時中に中央物資活用協会で民間からダイヤモンドを買い上げたようですが、このことについてお述べを願いたいのです。どういう理由ダイヤ買上げ業務を担当するようになりましたか。
  23. 中田玉市

    中田証人 これは、非常に古いいきさつもいろいろございます。私の方がダイヤを集めようではないかという話になつて参りましたのは、金や白金は、中央物資活用協会、あるいは戦時物資活用協会時代から、相当強力に盛んに集めました。ところが、そういう場合に、私の方ではダイヤを買うことができないのです。政府外郭団体としてダイヤ買つてそれを処理することができない。出す方の人は、これは買つてくれねば困る、はずして返されたのでは、まことに迷惑する、紙に包んでどこかに入れて置くと、そのうちになくなつてしまう、もつたいないから、何とか買つてもらえないかという要望が、その当時は全国的に非常にあつた。ところが、私の方としては、政府へお伝えはするけれども、今買うわけに行かないということで、全部拒絶して、お気の毒ながら金と白金、あるいは銀だけをいただくということで仕事をして参りました。そのうちに、だんだんと工業用ダイヤ減つたということで、政府の方から、あれを工業用に使えないかどうかという話が工具屋にあつた。初めは、どうももつたいないということが一つと、それから、筋に従つてカツトしてありますので、はたして工業用に使えるかどうかということが非常に疑問になりましたが、いろいろ研究してみると、相当工業用にも使えるということがわかつて来まして、これは主として軍需省陸軍の方からの要求で、工業用に使えるものなら、陸軍の方では砲身を削るのや、いろいろなものの精密機械にも困つている、だからこれを集めようではないかという案が出まして、数回会合をして、そうしてだんだんと固まつて来て、交易営団というような組織ができ、私の方もそれに加わるということで、ダイヤを集めようではないかということになつたと記憶しております。
  24. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、今お話ように、ダイヤを買い上げるようになつたのは、交易営団ができて、それからやるようになつたのですか。
  25. 中田玉市

    中田証人 これは、私の今の記憶では、上の方のことでございますので、よくわかりませんが、交易営団ができてというよりも、ダイヤを買い上げねばならぬということになつたから、交易営団がそういう中心になつたのではないかと存じております。
  26. 吉武恵市

    吉武委員長 私の問いが間違つていたので、交易営団ができてからでなく、交易営団が取扱うようになると同時に中央物資活用協会もやるようになつたのですね。
  27. 中田玉市

    中田証人 そうであります。
  28. 吉武恵市

    吉武委員長 わかりました。そうすると、中央物資活用協会交易営団との間は、どういう関係でその買上げをやつていたのですか。
  29. 中田玉市

    中田証人 これは、政府通牒が、——その前には私の方も何回か参画して、通牒ができるまでもいろいろと参画したのであります。これをばらばらに集めたのでは困る、だから一応中心交易営団がまとめるということになつて通牒の形は、お前の方を交易営団代行機関とするがどうだという内示がございました。これは一つのセクシヨナリーといいますか、人間の悪いところだろうと思いますが、とんでもない、交易営団がいかに力が強かろうとも、このダイヤモンドを集めることの発案は、中央物資活用協会が発案したんじやないか、それを代行機関といえば、交易営団の下にある、そんなばかなことができるか、そういうことでは通牒をかえてもらうというので、これは内輪話でございますから、速記していただいていいか悪いか問題でございますが、そういう議論がございました。それで、軍需省の方でも、話はもつともだけれども、りくつは、そう言わぬで、まとまるところでまとめて、結局戦争目的を達すればいいのじやないかということも話がありまして、それでは、言葉はそれでもいいが、私の方はその集めることについて制肘を受けない、政府指示価格に従つて集めたものを交易営団に納めることについては確実にお守りいたしましようということで仕事が始まりましたので、特別に交易営団と契約もなかつたと私は存じております。あくまでも政府通牒によつて集めたものを交易営団に納める、交易営団の方では、それに対してマージンを私の方にはくれないのであります。宣伝費の一部を持つとか、鑑定誤差ですね、それについての一定のパーセンテージのものを見てやるというような程度のことで始めておりました。
  30. 吉武恵市

    吉武委員長 その中物で買い上げる資金はどうして調達したのですか。
  31. 中田玉市

    中田証人 これは、政府融資命令ですね、その当時の言葉は何でございましたか、主として興銀の中にある融資団というもの、そこから政府の口添えでお金を借りて、それで買い上げたのでございます。
  32. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、中物で買い上げたものを交易営団に納めるということは、話合いの上でできておつたわけですね。
  33. 中田玉市

    中田証人 さようでございます。ばらばらに納めてはいかぬというので……。
  34. 吉武恵市

    吉武委員長 そのときの代金はどういう関係になつておりますか。
  35. 中田玉市

    中田証人 代金は、ああいう時代でございますから、いろいろ計画したこととは食い違いまして、非常に困つたのでありますが、初めは、そこへ持つて行つて、すぐに鑑定して、すぐに金をくれる、初め少し資金を借りれば、それが常に回転して行く、こう考えておつたのでございますけれども、どうして、どんどんと集まつて来る。ダイヤ鑑定というものはたいへん時間のかかるものであります。カラットをはかり——本物かどうかというようなことはなれた人はすぐわかりますが、カラットをはかつて一々代金の計算をすることは、なかなかうまく行きません。それでも、とにかく持つて来ますと、交易営団鑑定人に劣らないほどの鑑定人が私どもの方にはずつとたくさんおりましたから、私の方が地方で集めるときには、私の方とその地方鑑定能力のある者と契約いたして集めたのでございましたが、これには多少の不安もなきにしもあらずであつたと思いますが、とこかく持つて参りますと、中央物資ではそれを標準にして金をくれてやる。そうして、初めは、そのものをすつかり中央物資でもう一度鑑定して交易営団に持つて行くという考えでおりましたところが、だんだんふえて来るものだから、そんなことはむだだ、中央物資鑑定を抜いて交易営団で一緒にやつたらよいだろうということから、交易営団に持つて参りました。交易営団ではなかなか早く鑑定してくれない。持つて参りますと、まず内金をくれる、こういうよう状況で支払いを受けておりました。
  36. 吉武恵市

    吉武委員長 先ほどのお話によると、手数料をもらわないと言つておられたのですが、そうすると、交易営団べ売る価格というものは、普通国民から買い上げるときには買上実施要綱で一カラット平均千五百円ということで買い上げていたのですが、手数料をとらぬというと、それに何かプラスしたもので営団から金をもらつてつたのですか。
  37. 中田玉市

    中田証人 後にはいろいろ変化しまして、遅れて来るものですから、非常に利息がかさまつて来るというようなことで、遅れた部分について利息を附加してもらうとかなんとか、いろいろありましたけれども、マージンというものは私はなかつた記憶しております。
  38. 吉武恵市

    吉武委員長 しかし、営団に納めに持つて行くときに、何か一定価格標準というものがあつたはずじやないのですか。
  39. 中田玉市

    中田証人 買つた価格をそのままでした。先ほど申しましたように、向うは、そのほかに全国的に宣伝費の一部をもつてくれる、それから、鑑定誤差のために、その価格の一部をもらうことになつております。それで、鑑定誤差がなかつたならば、それだけは価格以外に私の方の手に入る金であつたと存じております。
  40. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、そのダイヤ買上げというのは、政府から買上げ事務を委託されてやつたということではないでしようか。
  41. 中田玉市

    中田証人 見方は、どうなります。か、存じませんが、とにかく、買上げ仕事は、私の方としてはダイヤに限らないのでございます。私の方は、一応民法上の社団法人ではありますけれども、金、銀、白金、いずれも買上げは国の事務の一部をやつた、私はそういうつもりでおります。それだから、あなたのお尋ねの御趣旨はどうか存じませんが、私の方の仕事は結局国の仕事になるのだ、集めたものは国に納めのるだという考えで私は仕事をしておりました。
  42. 吉武恵市

    吉武委員長 わかりました。次に、買上げ地域はどういうふうな地域を担当していたのですか。
  43. 中田玉市

    中田証人 ダイヤのみに関しては、六大都道府県交易営団が直轄する、その他を中央物資が担当する、大体こういうことになりました。それから、後には白金特別回収というのがありまして、白金が加わりましたが、初めは、白金については制限がございませんでした。はつきり制限があつたのダイヤでございます。
  44. 吉武恵市

    吉武委員長 今お話の中の手数料ですが、ダイヤモンド買上実施要綱というのがあのときに出ましたね。あれを見ると、代行店には買上げ手数料とあるのですが、実際はそういう方法をとらなかつたのですね。
  45. 中田玉市

    中田証人 これは私の方と別になつているはずでございます。今私の頭の中であの要綱を描いてみましたときに、代行機関といううちが、(イ)(ロ)になつておりまして、(イ)が中央物資に関してのことでございます。それから口がほんとうの営団が契約してきめた代行店に関するものだと思います。
  46. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、あなたの言う(ロ)の代行機関というのは、中物代行機関であると同時に、営団代行機関ということになるのですか。
  47. 中田玉市

    中田証人 これは、私の考えはそうではございません。(口)の代行機関と申しますのは、営団代行機関で、中物のではございません。
  48. 吉武恵市

    吉武委員長 次に、中央物資活用協会ダイヤ買上げをするについて、どういうふうな要領で買上げをしておりましたか。実際の買上げ方法……。
  49. 中田玉市

    中田証人 これは、私の方に四十人ぐらいの鑑定人がおりまして、これはダイヤのみではございません。金、銀、白金とも鑑定できる者であります。私の方におります鑑定人は、金、銀、白金とともにダイヤ鑑定能力を持つている者ばかり集めておりました。それで、初めは、私の方がそういう鑑定人を各地に派遣して昭和十四年からやつてつたことですから、その方法を踏襲して、ダイヤ買上げのときにもやりました。そのときには、ダイヤを買い上げると同時に、やはり白金も、金、銀も買つたわけです。ところが、わずかの期間で非常に急いで集めろということになりました。そうすると、六大都道府県をのけたにしても、私の方の鑑定人を全国にまわすわけに行かないのです。それで、鑑定人地方で選定してもらつて、そうして県でその地方鑑定人を私の方へ推薦して来る。そうしますと、私の方では、その鑑定人の能力ありやいなやを、私の方の鑑定長がそこへ出向くなり、あるいは来てもらつて、一応会つて相談してみて、これならばまかせても大丈夫だというような見込みがつけば、中央物資活用協会とその県の推薦してくれた鑑定人と契約を結びまして、初めて私の方の代行機関という名称をやりまして、中央物資活用協会名前で買わせる。内部契約はそういうことで、表面は中央物資活用協会から伝票も何もみんな送りまして、そういうよう間違いのないように、不正ができないように、あらゆる監督をして、そういう方法をとつてつておりました。
  50. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、今の地方鑑定人に契約を結んでやらせるというのは、買上げ事務を契約したのですね。
  51. 中田玉市

    中田証人 そうでございます。
  52. 吉武恵市

    吉武委員長 その金はあなたの方から送つてやるのですね。
  53. 中田玉市

    中田証人 私の方から一切送つてやるのです。
  54. 吉武恵市

    吉武委員長 そうして集めたものを、今度交易営団に納めるときには、どういうふうにして……。
  55. 中田玉市

    中田証人 まず私のところに持つて来るわけです。
  56. 吉武恵市

    吉武委員長 本部ですね。
  57. 中田玉市

    中田証人 中央物資活用協会の本部です。そこに持つて来て、そうして鑑定をして、間違いのないものを交易営団に納めるというわけであつたのですが、どんどん持つて来られて、そういうことがだんだんむずかしくなりまして、それで、二度鑑定するよりも、交易営団と一緒にやれば一度に鑑定ができるじやないかというようなことで、持つて来たものそのままで、一応八掛なら八掛で金を代行店へ払つてしまうのです。向うが言うて来たものを、大体間違いがないのでございますから、八掛なら八掛払つてしまつて、そのものをすぐに交易営団に届けておつた交易営団では、それを鑑定して金をくれるという順序で初めは参つてつたのです。それがだんだん多くなるに従つて遅れて来たということで、利息の問題まで起きたわけであります。
  58. 吉武恵市

    吉武委員長 地方から持つて来たものを、さしあたり八割支払つて——その地方鑑定人にはただ買上げ事務を委託したのであるから、その鑑定人が八割だけもらつたのでは、やれないじやありませんか。
  59. 中田玉市

    中田証人 それは、資金を私の方から各県の私の方の支部に渡してございます。そこで地方代行機関買上げに支障ないよう操作をするのです。
  60. 吉武恵市

    吉武委員長 次に、あなたのところのダイやの買上げ数量、価格、それから交易営団に納めた数量、価格、及び残りの数量、価格についてお述べを願います。
  61. 中田玉市

    中田証人 これは、こまかい数字を持つて来ておりますが、大略三万カラット集めました。そうして大略二万カラット交易営団に納めました。あとの一万カラツトを接収された。大ざつぱに申しますれば、そういうことでございます。
  62. 吉武恵市

    吉武委員長 その数字は、びしつと合いますか。
  63. 中田玉市

    中田証人 交易営団に納めたのは、びしつと合います。接収された数字は、これはその当時、はかりもしなければ、領収証も場合によつてはくれない。ピストルを持つて来て、どこにあるのだと言つて、持つて行かれたのですから、どうすることもできない。それは恐ろしい目にあいましたが、とにかく、そういう状況で接収されてしまつたわけでありますから、それで、このことについては、私の方から、数量をはつきりするために、持つて行かれてから後に日本銀行の地下室で鑑定許可してもらいたいということを申したのでございます。そうしたら、鑑定許可するというGHQの回答があつたわけです。それで、私の方では、いつでも鑑定ができるようにきちんとして送つたわけです。こまかくわけて、中に一人々々の伝票が入つておりまして、その伝票とその品物とが常に合うように、一袋々々に入つておりますから、そういうようなものも非常に綿密に、いつでも鑑定ができて、鑑定ができれば私の方の買上げ数量ときちつと合うだろうという確信を持つてつたのです。ところが、いくらたつて鑑定許可は出て来ないのです。それで、私の方では、しびれを切らして、もう鑑定さしてもらつていいじやないかというので、鑑定の申請を大蔵省を通じてやりました。そうしたら、よろしい、鑑定許可するということになりまして、そのかわりに、鑑定人の氏名、住所、これは非常にやかましく、こういう資格のそろつた者鑑定人に出せといういろいろ内票ありました一のですが、それに合うよう鑑定人を私の方で選定して、こういう者を鑑定人に何人やりますということまで出したのでございます。そして、いよいよ鑑定許可するという許可書が参りまして、それではいつからがよろしいかというので、GHQの方と、今度は実際の日本銀行の地下室の連合軍の保管者のところへ折衝に参りました。ところが、それは不可能だ、こういうことをそこのチーフが申します。そんなばかなことはないだろうということで、一旦私の方に許可したものですから、GHQでも非常に困つたのです。私の方は、GHQに乗り込んで行きまして、鑑定は不可能だということを言つておるが、どうなんだ、——そんなばかなことはないというので、GHQの方では、大佐だつたと思いますが、日本銀行へ一緒に行つてくれて、そしてあそこのチーフといろいろ話合つてくれたのです。すると、これは実際不可能だ、物理的に不可能だということで、——英語で話合つているので、そばで聞いておつて、よくわかりませんでしたが、長い時間折衝しておりました。とうとう、日本銀行の地下室へ入つて見てくれということになりまして、私と、私の方の理事長と、それから、なくなりました交易営団の雑貨次長をやつておりました細さんの三人と、それからGHQの方と一緒に入つて、見ました。そうしましたら、私の方がほんとうに綿密にこまかくわけてやつたものを、みんな一緒くたにして、日本銀行の紙幣を運ぶ箱の中に入れてあつたのです。そうして、交易営団から持つてつたときは、細さんが長い間鑑定をして、細さんの監督のもとに魔法びんへ入れて封をしたものまで、あけて、魔法びんはそこらにほうり出してあり、全部一緒にしてあつて、どうすることもできなかつた。こういうことで、数量が一致するかということのお尋ねについては、私は一致しますと、こう申し上げますが、それでは、その数字の一致することをどういうことで言うかと言われれば、これは、御説明は、それ以上にはできないのであります。私の信念として、私の集めた数量は一致すると言う以外にございません。鑑定ができなかつたから……。鑑定ができれば、りつぱに証拠をあげて御説明できたと思います。
  64. 吉武恵市

    吉武委員長 わかりました。次に、今大体接収されたときの話はわかりましたが、終戦当時中央物資活用協会に残つてつたダイヤモンドが連合軍に接収された事情を、今お話をいただいたもの以外に多少聞いたことでもありましたら伺いたい。
  65. 中田玉市

    中田証人 一万カラットちよつとでございます。それ以上と思いますが、接収されましたのは、二度に接収されております。最初米軍が入つて来ましたのは昭和二十年と思いますが、終戦直後です。十月ごろでありましたか、入つて来て、約一個小隊の者が、大久保の保善商業——当時あの学校を借りておつた。そこへさつと何の予告もなく入つて来て、金庫はどこにある、そうして金庫の前にずつと兵隊を入れて、それから金庫室へは一切立ち寄らせない。そういうことで、約一箇月以上もおりましたか、そうして、あちらの連絡が来ましたのか、いよいよその品物を持つて引揚げるということになりまして、それはこちらにも写しを出したと思いますが、これがダイヤモンドを持つて行かれた第一回のことであります。その接収後に、ダイヤモンド地方代行機関から遅れて届いたのがあります。それを、交易営団の方へ、これはうちで持つてつても困る、とつてもらいたいということを申しましたけれども、これは、そういう時期で、——そういう時期と申しますのは終戦後でございますが、お前の方のものをおれの方で引取つてもしようがない、お前の方はお前の方で独立なんだから、お前の方でしかるべく処置をしなければどうにもしようがないという回答をもらいまして、それでCPCの調査がありますまで、私の方に全部保管しておりました。これは、私の方というより、私が保管しておりました。そうして、CPCの調査が始まつたときに、いろいろな帳面と引合わして、間違いない、それでは、こつちに置くのも困るからというので、千代田銀行の保護預けに一時お願いして、これはGHQの口ききもありましてお願いして、そうしてそこへしばらく置いておいて、最後にはこれも日本銀行へ持つてつた、こういう状況でございます。
  66. 吉武恵市

    吉武委員長 次に、今中央物資活用協会清算に入つているのですが、その清算状況をお述べ願います。
  67. 中田玉市

    中田証人 清算状況は、現在、接収数量を報告しなければなりませんので、いろいろ調査をして、報告書を出しておるわけです。そして、それに疑問の点があれば、いろいろと私の方で説明するということに今までなつておる、そういう現況であります。
  68. 吉武恵市

    吉武委員長 大体調査は済んだのですか。
  69. 中田玉市

    中田証人 政府調査状況はよくわかりません。私の方からは、要求される資料はほとんど出しました。今、最後にまた何か書類を出さなければならぬので、事務の者がつくつておりますが、それは大したことではないと思つております。私の方から言えば、報告は済んだつもりでおります。
  70. 吉武恵市

    吉武委員長 それから、連合軍に一応接収されたダイヤは、平和条約の発効によつて、日本政府に返還されたのですが、返還されたダイヤの中に中央物資活用協会が取扱つたものがあるとしますと、その所有権の帰属はどこにあるとあなたはお考えになるのですか。
  71. 中田玉市

    中田証人 これは私の考えで、まだ他の理事者のお考えはよくわかりませんが、私の率直の考えから申しますと、法律上、りくつを言えば、独立の法人であつて資金は自分の方で調達して買つたものであるから、中央物資活用協会のものである、こういうことを法律上からは申し上げられます。私の考えは、そう考えております。ただ、先ほど委員長お尋ねがあつたように、実際問題としては、供出する方も、中央物資のために売つてくれる方はないのであります。お国のために売つてくれたのであります。また集める中央物資活用協会も、これを集めてどうしようという考えは毛頭ございません。これが間違いなく政府に納まるように、戦力の増強になるように、これを集めて保管し、保護するように、非常に私は苦心して参りました。そういうことから考えまして、法律上どうかと言われれば、先ほど申しましたよう中央物資のものである。これはまた、中央物資活用協会は借金しております。中央物資のものでないということになれば、その借金はどうするかということになつて参りますから、実質上から言えば、その借金を払つてもらわなければなりません。また清算費用も見てもらわなければなりませんけれども、それ以外のものは、中央物資が私すべきものではないと考えております。また公益法人の性質上、この財産の処分については、監督官庁の指示を仰がなければならぬことになつておりますから、まあその点は、結果においては考えはむろん一致すると思いますが、どうも、法律上と実質上の問題と、気分的に考えてみて、これは中央物資活用協会のものである。ただ、これを中央物資がほかのものに使つてよろしいという考えは、どうも私の考えとしては出て来ないのです。
  72. 吉武恵市

    吉武委員長 委員長よりお尋ねすることは一応終了いたしました。委員諸君で御発言のある方は、この際発言を許可いたします。
  73. 塚原俊郎

    ○塚原委員 証人に二、三点お尋ねしたいのですが、中央物資活用協会は、ダイヤあるいは金、銀、白金等、いろいろのものを扱つておられましたが、あなたがやつておられたときは何に一番の重点を置いてやつておられましたか。
  74. 中田玉市

    中田証人 何に重点を置いたかというお尋ねでありますが、私どもとしては同じよう考えておりました。
  75. 塚原俊郎

    ○塚原委員 特にダイヤについて、どういうようにお考えになつておられましたか。その点をお聞きしたいのです。
  76. 中田玉市

    中田証人 ダイヤについても、命令があつた以上、他の金、銀、白金と同じよう考えを持つて努力いたしました。
  77. 塚原俊郎

    ○塚原委員 先ほど、委員長の質問に対して、接収されたときの状況を、大分語気を強めてお話になつてつたようですが、接収を受けたときの相手の責任者を御存じでございますか。つまり、接収に来られた相手の機関はどこですか。連合軍のどこの部ですか。
  78. 中田玉市

    中田証人 領収証にある通りだと思います。
  79. 塚原俊郎

    ○塚原委員 それはどこですか。
  80. 中田玉市

    中田証人 GHQから来たのではなく、これは何か、そういうときに探して歩く機関があつたように私は聞いておりますが、名前はよく存じません。
  81. 塚原俊郎

    ○塚原委員 公式のものですか。
  82. 中田玉市

    中田証人 公式のものらしうございます。どうもわれわれこれをただす道はございませんでした。
  83. 塚原俊郎

    ○塚原委員 そのとき来た人の名前は、たれか、覚えておりませんか。
  84. 中田玉市

    中田証人 それは、こちらに出してある領収証にございます。
  85. 塚原俊郎

    ○塚原委員 その時期は、大体終戦後の何月ころですか。
  86. 中田玉市

    中田証人 一番最切のときは、二十年十一月ころだつた記憶しております。
  87. 塚原俊郎

    ○塚原委員 それから、接収されたあと、先ほど地方代行機関から続々届けたものがあつたと申しておられましたが、その数量はどのくらいになつておりますか。
  88. 中田玉市

    中田証人 ダイヤでございますか。
  89. 塚原俊郎

    ○塚原委員 そうです。
  90. 中田玉市

    中田証人 続々というほどのものではございません。わずかのものです。
  91. 塚原俊郎

    ○塚原委員 どのくらいです。
  92. 中田玉市

    中田証人 ちよつと資料を見させていただきます。
  93. 吉武恵市

    吉武委員長 それから、証人に申し上げますが、先ほど数量について記録があるようお話でありましたから、それはひとつ、写しでけつこうですから、こちらに一部お届け願います。
  94. 塚原俊郎

    ○塚原委員 わかりませんか。
  95. 中田玉市

    中田証人 これは、よくわかつております。どれだけどこから届いたか、はつきりわかつております。
  96. 塚原俊郎

    ○塚原委員 大体の見当でよろしゆうございます。こまかい数字はあとでお届け願つてけつこうですから。
  97. 中田玉市

    中田証人 一番最初に持つて行かれたのが二十年十一月五日でございます。そのときが八千四百二十三カラットというように書いてございますが、数字はちよつと違うように思います。それから、その次が九百五十二カラット、これがあとから来たものだと思います。これは、間違つておるかも存じませんから、あとから書面で差出します。大体地方から来たものはそれだけであります。
  98. 塚原俊郎

    ○塚原委員 届け出たものはまだいいのですけれども、届け出ないでそのままになつておるというようなものがまだあるでしようか、どうでしようか。清算人としてどうお考えになりますか。
  99. 中田玉市

    中田証人 届け出ないというのは、どういう意味ですか。
  100. 塚原俊郎

    ○塚原委員 地方代行機関が持つてつて、終戦のどさくさまぎれで、中央へ届け出ないで、そのままにほうつておくというようなものがあるとお考えですか。
  101. 中田玉市

    中田証人 私は、ないと思います。これは、はずかしいことながら、銀などではあつたのでございます。ダイヤではないと思つております。私の確信ではないと思います。
  102. 中野四郎

    ○中野委員 中田さんに伺うのですが、先ず最初に、あなたは弁護士さんですから、先ほど宣誓をなさつての御証言ということは十二分に御承知のはずでありまするが、ただいままで委員長の質問に対して答えられましたことは、まつた間違いないということがはつきり言われるかどうかを、まず前提として伺つておきたいと思います。
  103. 中田玉市

    中田証人 これは、私の方では、間違いがあるかないかということはわかりません。私の良心に従つて申し上げた、このことだけ、はつきり申し上げておきます。
  104. 中野四郎

    ○中野委員 どうも、あなたの答弁を聞いておりますと、主観が非常にまざつてつて、私の方の聞かんとする点にややそれる傾向が、先ほどから二、三うかがえたので、今申し上げたのですが、あなたが良心に従つて申されたならば、もちろんこれは責任を負われるものでありますから、逐次これからお伺いして行きたいと思うのです。重複する点が一、二ありまするが、これは、私の方の調査資料に基いて重複するものですから、ごしんぼう願いたいと思うのであります。  先ほどあなたは、一番最初に、このダイヤ買上げについては、むしろあなたの方が指導的な立場をとつてつた、そうして、一般国民が、金や白金を売るについて、ダイヤ買つてくれと言うたが、これは今は買えない、従つて、このダイヤを買い上げるについては、あなたの方で指導的立場をとつたというよう言葉に私は聞けたのであります。そこで、伺いたいのですが、あなたは、少くともダイヤモンド買上げに対して、政府はいかなる見解に立つて、どういう目的のために、どういう処置をきめて行つたかということは、すでに御承知のはずであります。少くとも、ダイヤ買上実施要綱というものがあるのですから、要綱の全部を熟読しておられることはもちろんであろうと思いますが、どうでしようか。
  105. 中田玉市

    中田証人 熟読している必要のある部分は熟読しております。必要のない部分は、読み違いか、あるいは読まない部分があるかもしれませんが、一応要綱通りやつたことについては、私は確信を持つております。
  106. 中野四郎

    ○中野委員 むろんそうなくてはならぬと思います。ここに買上実施要綱がありまするが、買上げ機関としては、一は交易営団本部及び支所です。そうして、代行機関としていわゆる中央物資活用協会というものをば指名しておるのです。あなたの方は、先ほど代行機関でないとおつしやつていらつしやる。交易営団中央物資活用協会というものは対等の資格だということを言つておられるが、この買上実施要綱を読まれれば、どこに一体対等の資格があるか。交易営団に命ぜられたものの、さらにその代行機関として、この中央物資活用協会というようなものが指定されているのですが、この見解はどうでしようか。
  107. 中田玉市

    中田証人 これは、先ほども申し上げた通り、実際私の方で金銀等の買上げをするのに、ダイヤを返されることは皆さんが困つた。それで、何回か政府に、方法がないかということを持ち出して話した。そして、だんだんと進んで、買上げになることになりました。この代行機関ということについて、やかましく学者の鑑定なりその他のものをお求めになれば、どういう解釈をいたすか存じませんが、また当院におかれてどういう解釈をしておられるか、私の方では存じませんが、少くとも私の考えておりましたことは、普通の代行店というものとは全然違う。結局これは、私の方で集めたものを最終的に交易営団へ持つて行くへきものである、こういう意味の代行機関であると私も解釈いたし、大体そういう解釈のもとに動いておりました。
  108. 中野四郎

    ○中野委員 あなたの解釈がどうあろうと、当時の軍需省の機械局長あるいは軍需官、当時要綱をつくつたそれぞれの証人が、この議会のこの席上において、代行機関として中央物資活用協会を利用するのだということを明らかにしておるのです。主観がどうあろうと、それはあなた一人で考えておられるものであつて、国が要綱を定めて、その要綱に従つて買い入れるとあるなれば、私はそう考えていないと言うても、法律上明らかに、代行機関というものは交易営団代行機関であるということは、論をまたないところであろうと私は思うので、この点について伺つておるのです。あなたの考え方がどうあろうとも、要綱の上にはつきりうたつておるものをば——これは解釈づけるのではないのです。これは当時のいわゆる関係官が全部言うておるのです。速記録をお読みになればわかるのです。そこに食い違いが生じておるのは、どういうわけでしようか。
  109. 中田玉市

    中田証人 私の方では、当時の状況がそうでありますし、今の考え方もそうでございますから、私が宣誓したことによつて、これをまがつて今解釈してあなたにお答えしておるのでないことを申し上げておきます。解釈は御自由、私の方ではそれ以上わかりません。
  110. 中野四郎

    ○中野委員 そういう乱暴な言葉はないのです。あなたの解釈を聞いておるのではないのです。要綱というものが定めてあるでしよう。あなたも法律家ではありませんか。法律に従つて行為をなすのがあたりまえであつて、自分の解釈はこうだからという、そんなばかなことはないではありませんか。たとえば、法廷に立たれて、おれの解釈はこうだ、しかしながら定められた行為に従つて中央物資活用協会というものは行動したものである、それがどうも少しおかしいじやありませんか。少しどうも納得が行かない。興奮なさらぬでもよい。あの要綱というものをお読みになれば、要綱の過程においてはつきり代行機関としてあるのだが、あなたはこれは代行機関でないと言うのだが、どういうわけですかと聞いておるのです。
  111. 中田玉市

    中田証人 お答えいたします。言葉が乱暴だとお叱りを受けましたが、私は乱暴でもないと思つたのですけれども、乱暴ということなら取消します。私は、代行機関ということの説明について、これは代行機関とあそこに書いてあるから、こういうことになるのだと、これが確定的なものとして私にお答えを求められておりますが、私は、当長に対してこのことを尋問したところが、その後書類をもつて、削除した箇所は、その内容が品目別に明確になつておらず、かつ備考に記載されていたので除外した旨を回答して来たのです。右の事項は明確に記載してあり、かつ当時大蔵委員会において問題となつていた重要事項と思われるが、はたして石田局長の回答の通り、あなたの方で出した書類は不明確なものであつたかどうか、この一点をまず伺つておきたい。
  112. 中田玉市

    中田証人 これについては、不明確ということがどういう意味でありますか、わかりませんが、数量がはつきりしていないのは事実でございます。一箱で幾つ、約幾ら、これだけのものがこうということは書いてございますが、そんなにはつきり、何キロあるとか何グラムあるとか、そういうことは書いてございません。そういう点から言えば不明確であります。
  113. 中野四郎

    ○中野委員 あなたの方からお出しになつた書類はここにありますが、いずれもみんな、そういう意味から言えば不明確なんです。これは一つも数量は書いてありませんね。これにはことごとく、何個とか、いろいろなふうに書いてありますね。してみれば、それだけが不明確というのはどういうわけでしよう。これは、あなたの方からお出しになつた書類だから、わかるでしようが、どういうわけでそれだけが不明確なんですか。伺つておきたいと思うのです。
  114. 中田玉市

    中田証人 ことごとくが何個とかいうはずはございません。收量をはつきり何トン、何キロと書いたのもございます。大部分書いてございます。ある一定の牧について、何箱、一包、そういうものもございます。そういうのは幾らもございません。わずかの技量だと私は思います。
  115. 中野四郎

    ○中野委員 わずかでないのですがね。覚えていらつしやいませんか。あなたの方に書類があるでしよう
  116. 中田玉市

    中田証人 書類、あります。
  117. 中野四郎

    ○中野委員 書類を読んでください。私の方にも書いたのがありますけれども、読んでください。——念のため申し上げるが、一箱十キロと書いてあるやつが十六箱あるのですが、わずかのものじやないのですがなあ。これは銀や鉛じやないのだから、金や白金ダイヤモンドなんだから……。
  118. 中田玉市

    中田証人 今とにかく数量のはつきりしたのがないのですが、仰せの通りなんでございます。そこへ出ておる通りなんですが、全体の数量から言うと、私の方ではそう多額のものと思つておりません。
  119. 中野四郎

    ○中野委員 これは、あなたが自分の感覚から言えば、わずかのものか知らぬが、国民がみんな出した、大事な、愛国心の凝結したものですから、たとい一匁といえども、おろそかにすることができぬものなんですが、どういうわけで進駐軍の方へ大蔵省は出して、国会の方へ出すときにこれを抹殺したのか。あなたは全然御存じないとは言えぬはずでありますが、これについて大蔵省からどういう話を聞かれたか、こういう点について伺つておきたい。
  120. 中田玉市

    中田証人 その抹殺されて出されたことについては、何も私は存じません。
  121. 中野四郎

    ○中野委員 その後にもありませんか。
  122. 中田玉市

    中田証人 抹殺して出したという内輪話はありましたけれども、それはあとから聞いたところで、出されたときのことは全然私は存じません。一匁たりともおろそかにすべきではないが、お前おろそかにしたではないかということを言われるけれども、これこそ私の心血を注いだもので、一匁だつて、一切れだつて不明確にして、よそへ飛んではいかぬということを努力したことだけは、これは私は、私のほんとうの心からの信念でそうやつて動きました。
  123. 中野四郎

    ○中野委員 今あなたは、あとから話があつたとおつしやつたが、どういうような話でしよう。あなたの方の出した大事なリストです。そのリストの中から、とにかく相当数量のものが抹殺されておる。抹殺して出したからな、というだけじやないはずですね。何かなくちやならない。あなたの方の一番証拠物件になつている自分の出した書類ですよ。その書類の一番大きな部分が抹殺されておる。これがもし国会の議を経ていよいよ新しい立法が何かで処理する場合には、あなたの方の権利は主張することができない大事な問題なんです。ちよつと私はあなたの気持と合わないものがある。どういうわけで一体こういうものを抹殺して出したのかということをば、あとでお聞きになつたのか、具体的に何かなくちやならぬはずですが、これについて御承知の範囲を教えていただきたいと思うのです。
  124. 中田玉市

    中田証人 あとから聞きましたというても、正式に私は聞いたわけではございません。ただこれは下の方の人の話でございます。自分の方で必要ないと思つて抹殺して出したら、怒られたというような意味のことを、下の方の方から聞いたのです。私が折衝する方は、えらい方じやないのですから、それからちよつと聞きましたが、これは正式なことじやございませんから、聞かないと言うてもよろしゆうございましようが、とにかくそういう程度です。私は知らぬということを申し上げておきます。
  125. 中野四郎

    ○中野委員 次に、もう一つ伺いたいのは、あなたは確か、昭和二十四年以来大蔵省から嘱託として年に十二万円ずつの金をもらつておられるはずです。補助費を受けておるのでありますが、これはむろん事実でしようが、これはどういう意味であなたに十二万円という補助費をくれるのでしようか。これについて伺いたい。
  126. 中田玉市

    中田証人 これは、また、うつかりすると怒られるかもしれませんけれども、これは、中央物資活用協会にはその当時金が幾らもなかつたのでございます。もう一つも入らない。そうかといつて、これを保管すべき責任者は置かなければならないということで、大蔵省の方へ、何とかなりませんでしようかという話を持つて行きましたところが、それではまあ一応考えよう——私の方ばかりではありません。もう一つ、金銀運営会というのがございます。両方から願いを出したわけです。どつちも収入がない。金もなし、考えようというわけで、その当時嘱託にしてやろうという話があつたわけです。ところが、マッカーサー命令で、官庁に嘱託を置いてはいけないということだつたそうでして、私は知りませんか、どうもお前を嘱託にするわけに行かぬ、そうかといつて、お前のところも困るだろう、大蔵省も主務官庁、監督官庁として、あれをほうり出すわけに行かないので、金をくれてやるから、清算事務はお前の方で責任を持てというような話がございまして、その名目はいろいろな名目がございました。あるいは調査費でございますとか…。それで、私の方は、命令された調査の内容を出さなければなりませんが、まだよう出さずにおります。そういうわけで十二万円もらいました。
  127. 中野四郎

    ○中野委員 これは調査費ですから、むろんあなたは国民の税金をたとい十万円でも十二万円でもおとりになれば、あなたのほうでは調査報告というものを出さなければならぬわけです。これを一枚もお出しになつていらつしやらないのはどういうわけです。ただ出しておらぬじや済みません。十二万円を大蔵省の役人がどういうわけで中央物資活用協会中田玉市にやらなければならぬか。中央物資活用協会だけにやらなければならぬか。そして調査費であるからには、今申し上げたように、調査報告というものが当然なくちやならぬ。その報告の出ていないわけはどういうわけなんですか。ただ国費をばもらいつぱなしでいいというりくりはないし、あなたくらい、職業的にも弁護士をしていらつしやる方であれば、万ぬかりのないわけでありますが、私らから考えると、どうもここがおかしい。中央物資活用協会の帳面がかつてに抹殺されたり、あるいはあなた方の金、銀、白金ダイヤモンドなどがかつてに右左に移動させられたり、その数量等において大きな食い違いがのつたり、大蔵省の役人に関係がありと称し、向うは全然知らぬと称し、そのあげくには、どうもあなたの方にコネクシヨンがある。そのコネクシヨンについて、何ら調査報告書を出さぬで、役所はほうつておく。役所も怠慢でしようが、あなたとしても怠慢じやないでしようか。どういう意味でこれを出さぬか、これを伺いたい。
  128. 中田玉市

    中田証人 仰せの通り、私の怠慢でございます。これは、なぜ怠慢したかということは、これはまた怒られるかも知れませんけれども、そんなものは出したつて何にも役に立たないのです。私がそんな過去のものを書いて出したつて——これは速記をとつてもらつていいか悪いか知りませんが、私の考えです。私の怠慢ということは、それだけは速記をとつてもらつていいのですが、実際何の役にも立たないし、時間をつぶすようなものでありますから、出さなかつた。これは私の怠慢でございます。それだけ申し上げておきます。
  129. 中野四郎

    ○中野委員 あなたも怠慢ですし、大蔵省も怠慢で、怠慢だけじや済まぬ問題なんです。これは、進駐軍の方には大蔵省石田理財局長がこういうことを言うているのです。右は中央物資活用協会職員一名の給与に見合う資金の支給をしたんだというようなことを司令部の方へは報告しているのです。これはうそなんです。そればかりじやなく、国会の方にも、また別な感覚に立つてうそを言うておる。ですから、これは国会の予算の審議を無視したものであり、こういうような実例はすこぶる多いのです。これは、大蔵省責任としてはもちろんでありますが、証人つて責任が大いにある。これは、あなたの方であなた一人がもらつておるのですか、あるいはこの十二万円をあなたの方の職員の給与か何かにまわしているのですか、どうなんでしよう。もし給与であるとしたら、所得税の源泉徴収なんかどういうようにしておりましようか。
  130. 中田玉市

    中田証人 これは、一日中央物資活用協会へ入りまして、それからそこで出しますから、源泉徴収は払つております。
  131. 中野四郎

    ○中野委員 ありますか。
  132. 中田玉市

    中田証人 ええ。
  133. 中野四郎

    ○中野委員 必ずありますね。
  134. 中田玉市

    中田証人 あります。
  135. 中野四郎

    ○中野委員 その源泉徴収表をひとつ委員会にお出し願うように、委員長の方へお願いしておきます。  それから、もう一つ伺いますが、さつき抹殺したことを大蔵省の方から話があつたということで、下の方から聞いたというお話です。もちろん大蔵大臣や大蔵次官があなたに話すわけはないでしようが、これはだれからお聞きになつたか、それから、その当時の話の内容、それから、何月何日ごろにお聞きになつたか、これを伺つておきたい。
  136. 中田玉市

    中田証人 まあ、これは、私知らぬことにしておいていただきましようか。
  137. 中野四郎

    ○中野委員 そうは行かぬですよ。
  138. 中田玉市

    中田証人 いけませんか。これは、私の方で下の役人から聞いたのですから、ざつくばらんの話をしたわけですが、これはまた怒られてもかわいそうでございますからね。命令通りいたします。
  139. 中野四郎

    ○中野委員 中田さん、再々申し上げるようですが、国会は国家の最高権威です。ここでお互いに心配することは、何もあなた方のふためにしようとか、あるいは別の人の利益にしようとか考えているのではないのです。正しい政治を行つて、そうしてお互いに祖国再建に力をいたそうという念願によつて、このダイヤの問題に着手したのです。従つて、すべてのものに、自分だけの考え方で、そうしていわゆる自分だけの行いをしてはいけないことは論をまたないところであります。いわんや、あなたは国会に証人としておいでを願つて法律できめられた宣誓をなさつて、そうして私の方が聞いておるのです。権威ある発言でなければならないのです。質問もしかり、またこれに対する答弁も権威がなくてはならないのです。だから、この点一番最初に申し上げたのです。弁護士をしていらつしやるのだから、おそらくこの宣誓に対しては間違いないでしようねと念を押したら、あなたは良心に少しも間違つていないと言うから、伺つているのです。この大蔵省から話があつたということは一番大事なことなんです。大蔵省がかつてに公文書を抹殺できるかどうかということは今後の問題です。従つて、私は、だれからお聞きになつたかということは、この人が今後は中心になるのです。場合によれば法廷に出るかもしれない。場合によればこの人は、自分が関係した人なら相当な罪を受けるかもしれない。だから、私は、だれからお聞きになつたか、つまらぬ人間であろうと、いいかげんにしておいていただきたいというようなばかなことではない。お互いに国政に協力していただくところのりつぱなジェントルマンですから、少くとも私の質問には親切に答弁あつていいと思うのです。だれから話があつたか、話の内容がどういうふうであつたか、いつ何日にお聞きになつたかということについては、あらかじめ証言を願わなければならぬと困る点がありますから、もう一ぺん伺いますから、この点について御証言を願いたいと思うのであります。
  140. 中田玉市

    中田証人 これを聞いたということについて、いろいろ聞き方があります。うわさ話に聞くこともありますし、また笑い話で聞くこともありますが、その人たちの私に言うたことは、何も意味はございません。ただ、それを削つて出したら国会から怒られたということをその方々が言われたにすぎないのです。その先のことは何もございません。それを、名前を申し上げれば、あそこの係の鈴木というのがおります。今理財局の総務課の鈴木、これの話を、ちよつといたときに聞いただけでございます。
  141. 中野四郎

    ○中野委員 小野事務官からお聞きになつたんじやないですか。
  142. 中田玉市

    中田証人 小野事務官ではないと思います。
  143. 中野四郎

    ○中野委員 間違いなく鈴木君ですね。
  144. 中田玉市

    中田証人 鈴木さんだと思います。
  145. 中野四郎

    ○中野委員 それは困るのですがね。これは、将来みんな証人に出てもらわなければならぬのですがね。だろう、思われる、では困る。私の調べにおいては小野事務官ならんと思つておるのですが、あなたは鈴木さんだとおつしやれば、それは間違いありませんでしようね。まだ最近のことで、十年も二十年も前のことではないんですから。
  146. 中田玉市

    中田証人 どうも、私は鈴木さんと思いますがね。
  147. 中野四郎

    ○中野委員 けつこうです。それでは、もう少し先へ進みまして、もう二点伺つて行きます。それで、ほかの方の質問があつた後に、時間があれば、また伺うようにします。  昭和二十七年の九月大蔵省中央物資から提出した報告書の中に——書類があつたらお出し願つてけつこうですが、一つは、二十二年二月十二日、三菱眼行から接収せられた装飾用ダイヤ一千二十四カラット五六は接収の折に覚書で確認せられたとしているが、この覚書では一千二十四カラット五六とは現われていない。かつこのダイヤはどこで買い上げたものか、伺いたい。あなたは一切の責任を持つてつておいでになると先ほどおつしやいましたから、これは明確にわからなければならない問題でありますから、御答弁を願いたい。
  148. 中田玉市

    中田証人 これは、先ほど申し上げました、あとから地方から参りましたものと、それから一部焼けたものがございます。田町の事務所で焼けたもの、これを冒せたものでございます。
  149. 中野四郎

    ○中野委員 どこでお買上げなつたものですか
  150. 中田玉市

    中田証人 これは、今ここに資料があるはずですが、ちよつと探し切れませんが、埼玉と、どこでしたか、これは帰つて調べれば御報告できると存じます。
  151. 中野四郎

    ○中野委員 できますか。
  152. 中田玉市

    中田証人 できると存じます。
  153. 中野四郎

    ○中野委員 さらにお伺いしますが、右覚書の中に、取得の径路として、日本政府が一九四七年五月九日当該人よ時の状況からして、あの代行機関と書いてあることは、一体今私の申し上げた範囲のものだと考ております。その考え間違いであるかどうかということは、これは私の良心に照しては間違いでないと私は考えており、また間違いを申し上げていないと思います。
  154. 中野四郎

    ○中野委員 それじや、そういうあなたの主観に基いてなすつたということで——すべての業務を運営していらつしやると了解いたします。さらに、そこで伺つて行きたいのですが、具体的の点が五、六点ありますから、これについて明確なお答えを願いたい。中央物資活用協会地方で買い上げたダイヤの問題ですが、今塚原さんがおつしやつたから、ついでに関連して伺うのですが、先ほど、委員長の質問に対するあなたのお答えを聞いておりますると、中央物資活用協会は、そのさらに代行店というのですか、あるいは支部というのですか、こういうふうな鑑定人、買入人等をば、県の推薦に基いて、さらにこれを認定するにあたつては、この人物なら大丈夫だというので、これを御指名になつたと言つていらつしやる。そこが間違いないならば、今の塚原さんの質問ですが、たとえて言えば、買上げ期間後に——つまり買上げ期間を一箇月延長になりましたね。その間において、さらに持ち込んだ人が相当あるのです。そういうものがあなたが全責任を持つておられるなら、その人たちが代金なんかをもらつていない場合においては、中央物資活用協会の本部で責任を負うものでしようか、どうでしようか。
  155. 中田玉市

    中田証人 これは、私もそういうことがなかつた考えておりますから、よく今おつしやることについて、はつきりしたお答えがちよつとできかねますが、私の直感から申しますと、それは私の方の責任である、こう考えております。これは一応申し上げておきます。これは代行機関ですね。代行機関は私の方の名前買つております。私の方の名前で買つたものは、私の方へ品物が届こうが届くまいが、一応私の方の責任である。そういうことは今までございませんでしたが、あつたとすれば、そういう過程になると存じます。
  156. 中野四郎

    ○中野委員 たんさんの物的証拠があつて言うておるのですから、あなたの方で、ないとかあるとかおつしやつても、やはりダイヤをば代行店へ持つて行きましても、これは実質上において代金を払わないで、物だけは中央物資活用協会へ送つたけれども、何ら処理の通知がないというような事態があるのです。こういうものは、中央物資活用協会において、たとい送つたにしても送らないにしても、買い上げたという証明書があれば、あなたの方で責任を負いますか。
  157. 中田玉市

    中田証人 私の方では大体そういう考えを持つております。
  158. 中野四郎

    ○中野委員 責任を負うという……。
  159. 中田玉市

    中田証人 はあ。ただこれは、あとからつくられた証拠なんかではだめであります。その当時のもの……。
  160. 中野四郎

    ○中野委員 そういう、いやしくも国会であなたに質問するからには、あとからつくつたにせものなんかをこんなところへ持つて来て、ばかげたことを聞く人がありますか、世の中に。もう少し権威のある発言をなさい。当時の状況によつて警察署も認め、当時の皮部長も認めたものがあるからこそ言うのだ。偽造して何がゆえにあなたに聞くのです。そんなばかなことがあり得るわけがないじやないですか。私はただ、質問しておるのは、あなたの方で責任をお負いになるのかどうか聞いておるのです。負われるのならそれでいいのです。負えないとおつしやるならばそれまでいいのです。あとから偽造して持つて来るなんてばかげたことをおつしやるものじやないのです。しかし、これはここで伺つてもしようがありませんから、大事な問題に入つて行きまするが、中央物資が樺太の方から何か買上げなんかしておつたことがありましようか。樺太等において中央物資ダイヤ等を買われたことがありましようか。
  161. 中田玉市

    中田証人 ございます。
  162. 中野四郎

    ○中野委員 この中央物資が樺太から買い上げた分は、輸送の途中で行方不明になつておるはずでありまするが、このてんまつについて詳細述べていただきたい。
  163. 中田玉市

    中田証人 私の考えでは、樺太の品物は全部こちらへ——全部ではありません。金、銀は送れなかつたダイヤはこつちへ着いた。こういうことであります。
  164. 中野四郎

    ○中野委員 それは、何かリストか何かありましようか。そういう書類か何か、あなたの方のお手元にありましようか。
  165. 中田玉市

    中田証人 今持つていませんが、あると思います。多分あると思います。
  166. 中野四郎

    ○中野委員 委員長にお願いしておきまするが、これは正式に委員会としてこのリストをば証人からとつていただきたいと思うのです。
  167. 吉武恵市

    吉武委員長 承知しました。
  168. 中野四郎

    ○中野委員 そのリスが参りましてから、さらにもう一ぺん証人に来ていただいて聞かなければならぬ点がありまするから、これはお願いしておきます。  それから、先ほどのお話ですが、中田さんは、買い上げた品物は中央物資活用協会において責任をもつて保管しておつたとおつしやいましたが、それをどこに保管をしておいでになりましたのでしようか。第一回に接収されたときと、第二回に接収されたときの場所ですな。その状況等について、もう一回伺いたい。
  169. 中田玉市

    中田証人 これは私が保管しました。そして場所は、第一回の接収までは新大久保の、先ほど申し上げました学校、安田保善ですね。あの学校の地下室の金庫に入つておりました。それで、私が保管しておりました。
  170. 中野四郎

    ○中野委員 他の場所に保管されたことはありませんか。
  171. 中田玉市

    中田証人 これは、青木さんの宅へ、この衆議院の青木さんの宅へ、一度わずかばかりのものを持つてつたことがございます。これは、私は行かなかつた考えております。
  172. 中野四郎

    ○中野委員 それはどこに保管しておつたのでしようか。その品物、青木さんのところに持つて行かれたというのは……。
  173. 中田玉市

    中田証人 これは、地方から送つて来たものを、空襲がはげしいので、日本銀行に入れたのです。日本銀行に品物を、金、銀なんかと一緒に頼んだことがあります。そこから行つたものだと考えております。これはわずかのものでございます。
  174. 中野四郎

    ○中野委員 その当時、日本銀行には、どなたがどういう経路でお借りになりまして、そうしてどのくらいの品物があつたでしよう。たといわずかにしましても、どのくらいの品物があつたか、そしてだれが一体その保管責任に当つたかを伺いたい。
  175. 中田玉市

    中田証人 これは、申し上げればさつそくどやされるところでございますが、これは、実際日本銀行のどなたが保管されたか、わかりませんが、あそこへ、営業局の一室を借りて、私の方では持ち込んでおつたです。だから、保管者がどなたかと聞かれても、私は存じませんです。
  176. 中野四郎

    ○中野委員 品物はどれだけ……。
  177. 中田玉市

    中田証人 品物の量もはつきりわかりません。それは、あとから推量でわかります。
  178. 中野四郎

    ○中野委員 ちよつとそこを……。中田さん、先ほど大分しつかりして言つていらつしやつたのですか、ここははつきりしないですがね。御承知のように、大蔵委員会接収解除に伴う貴金属等の数量等を報告する法律が出ましたときに、青木正君が、自分から進んで、委員会に、読売新聞に出たことが不当であるというので、私の方ではお断りを申し下げたのですが、当時自由党が非常に多かつたものだから、委員長許可を得られて証言をさらました。そのときには、明らかに、金、白金ダイヤモンド等が入つた箱が十六箱、それから金の延棒一本十貫のものが二十五本、洗足池の自分の家から馬車二台を雇つて日本銀行の地下室へ行つて、自分が積んで、共和村の自宅に持つてつたんだということをつぶさに述べられた。これは速記録があるのです。ところで、私が伺いたいのはここですが、その後あなたが青木君と突然に打合わされて、そうして青木君が、その次の次の委員会に、さらに、自分はこのことについてたいへんな誤解があつた間違いがあつた、こういうので、彼が釈明をされた。国会における証言というものは、どなたが考えても、正しくなくてはならないことは論をまちません。いわんや国会議員でいらつしやる方は、国会の発言においては当然責任をお負いになるはずであるが、この一番最初の青木さんが証言されたことと根本的に違う。そこで私は、青木さんに、いかなる根拠に基いてこのようなことをば君はくつがえされるかと申し上げたところが、中田玉市君が私のところに電話をかけて来て、そうして詳細を知つてつて、その中に入つてつたものはお前の言うことと違うという意見を述べたということを言つておられる。これは、速記録がありますから、ただいまここでごらんに入れてもよろしい。今あなたのお話を聞いていると、なかなかはきはきおつしやるのに、この大事な問題については、はつきりしない。まだほかに二、三伺わなければならない大事な問題がありますが、これはその一つになつている。日本銀行の地下室にだれが預けたか、——日本銀行の地下室にはだれもそうむやみに出入りできぬはずだから、これに対する責任者がなくてはならぬ。そこへ持つてつた内容があなたにはどうしておわかりにならなかつたか。その内容は、何がどれだけあつて、何がどれだけあるかということは、あなたは御存じでなければならないはずだ。それがその後どういう動向をたどつているかということを逐次私は申し上げ、伺うつもりですが、これについて御存じ範囲だけお教えを願いたいと思うのです。
  179. 中田玉市

    中田証人 お答えいたします。これは、私の方はうそ偽りはございません。日本銀行へ参りました径路は、今申し上げたように、空襲がどんどんはげしくなつて地方からはどんどん送つて来る。それで、重要なものは田町に倉庫がありますが、そこへ置けない。それで、その都度重要なものだけ運んだことがございますが、日本銀行に行つて尋ねたら、そんなものを預かつたならば自分の方には帳面があるはずだということをいつか言われたということを仄聞いたしました。ところが、そんな正式なものではなかつた。日本銀行へ持つてつたのはまあそこに置きなさいというように、大蔵省の口ききであそこに入れさせてもらつた、その程度でありまして、責任者がどなたかということは、私はここでは存じません。
  180. 中野四郎

    ○中野委員 大蔵省の口ききなら、大蔵省のだれが口をきいたのでしようか。こういうものは、雨がさや何かと違うのです。国民が必勝態勢確立のために、いかなることがあろうとも戦争に勝ち抜こうという国民の愛国の熱情の結晶です。それを、たまたま政府のいわゆる威令に従つてあなた方が買い集めていたのです。いわば、国民にとつては非常に大事なものです。生命に次ぐところの財産です。それがあなたのところに来たのです。石ころやガラスではない。金、白金というようなものは相当高価なものなのだから、そう簡単に、大蔵省の口ききでそこらの隅にちよつと置かしてもらうというようなわけにはいかないはずだ。これだけの品物を日本銀行の方に預けておくには、あなたは大蔵省のだれかと交渉されて、いつどういうことがあつた場合でも、こうだという裏づけがなければならないはずです。ただ、どれだけあつたかわからない、そういうことでは、ちよつと受取りにくいのです。日本銀行の地下室に持つて行くには、それ相当の根拠がなければならない。だれと折衝なされて、どれだけの品物を預けたか、保管されたか、これを伺いたい。
  181. 中田玉市

    中田証人 率直に申し上げます。私は全然わかつておりません。(「それはおかしい」と呼ぶ者あり)それはおかしいと言われるが、その当時の状況を今御判断くださればわかります。私の方は、どこであろうと、私のお願いするのは、間違いのない範囲においてすることです。それは鑑定すれば必ずわかることです。だから、なくならぬところ、正確なところというよりも、安全なところに預けようということに一心であつた。だから、日本銀行へこれを持つて行つて、だれに頼んだのかわからぬ、そんなことを言うようで、どうして正確か、こうおしかりがあるかもしれません。日本銀行は、今おつしやるように、だれでも入れるところではないのです。そういうところへ預けておけば、どなたが預かつてくださつても、保管者がどなたであるかというようにお名前を伺わぬでも、間違いない……。
  182. 中野四郎

    ○中野委員 私は、保管者を聞いているのではありません。どなたの口ききでお預けになつたかというのです。
  183. 中田玉市

    中田証人 それは、ここへ証人に出られたかと思いますが、桜井さんというのがそのときの係なんです。今専売局におられるはずです。私と桜井さんが、これを保管するにおいてどれくらい苦心したか。ほかの者は、空襲になればみな逃げて行くが、私は逃げられないのです。田町の倉庫へ品物が毎日毎日どんどん送られて来る……。
  184. 中野四郎

    ○中野委員 ダイヤなんかが……。
  185. 中田玉市

    中田証人 ダイヤも入つているが、大部分は銀でございます…。
  186. 中野四郎

    ○中野委員 銀を日本銀行の地下室へお預けになりましたか。
  187. 中田玉市

    中田証人 いや、そうではございません、あなたはまだ私の言うことを聞いておりません。田町の倉庫へ送つたものは大部分銀です。毎日々々どんどん送つて来る。そして、その中にダイヤがあるというようなものを送つて来れば、——これは、たいてい小さい箱のもので、中には銀とか白金と一緒に送つて来るものがある。そういうものは一々より出して、それから一々田町の倉庫の金庫に入れておいた。そして、それをそこに置くのはあぶないから、日本銀行へ持つてつたものだと私は考えております。私のその当時の記憶は、あまりに混乱しておりましたから、はつきりしておりません。だけれども、とにかく正確に保管する、間違いなく保管をするということについて努力したことに間違いありません。
  188. 中野四郎

    ○中野委員 日本銀行の地下室に、地方から送つて参りました金白金ダイヤモンドを預けておいたわけですか。
  189. 中田玉市

    中田証人 金、白金、それからダイヤモンドようなものが幾らか——大部分は白金と金でございますが、その中にダイヤモンドが多少まじつてつたことがあとからわかつた。私は、そういうものは全然入つていないという考えを持つておりましたところが、あとから、どうもそうでなかつたということがわかつて来ました。それで今あなたに怒られましたが、とにかく、そういうばかなことがあるかと言われますけれども、それは、今考えれば確かにそういうわけなんです。
  190. 中野四郎

    ○中野委員 問題は大事なところなんです。つまり、当時の金は一体どういう形になつて集まつたものでしようか。日本銀行の地下室に入れてあつたのは、どういう形で、どういうところから来たものでしようか、そしてどのくらいあつたでしようか。
  191. 中田玉市

    中田証人 これは、どのくらいあつたかということについては、おそらくこちらへ資料として出してあるはずでございます。
  192. 中野四郎

    ○中野委員 出ておりません。
  193. 中田玉市

    中田証人 青木さんのところへ行つたものは、日本銀行と、それからあの保善からと、両方から行つたのでありますが、そのうちの一部が日本銀行から打つたものでございます。それですから、その数量は資料によりまして大体推定はつくと思います。それがこちらへ出て、おりませんければ、それは事務の者によく命じまして、数量をおよそ……。
  194. 中野四郎

    ○中野委員 金はどういう形のものですか。
  195. 中田玉市

    中田証人 預かつたものはみな、鎖とか、時計のケースとか、そういうものでございます。
  196. 中野四郎

    ○中野委員 これは大分食い違いがあります。たとえば、青木君の言うておりますのは、十貫目の延棒を二十五本こも包みにして——これは明らかに言うているのですよ。そして白金ダイヤモンドの入つている箱を十六箱と言つている。ところが、その後、ダイヤモンドだけは入つておらぬからと中田さんが言うから、それは私の間違いであつたろうと思うから取消さしてくれということを言うているのです。この点について私はわからない。  それから第一番に伺つておかなければならぬのは、あなたは、桜井さんを通じて日本銀行にお預けになつたとおつしやいます。日本銀行で保管したとおつしやる。ところが、桜井君は、国会の証言においてこう言つているのです。「中央物資活用協会が、各人から供出されたものについては、一々こまかい計算をしてやつてつた記憶しておりますから、もしそれが現存しておりますればわかりますが、こまかい点については、中央物資活用協会の方でどういうふうにそれが保管されておるかという問題に私は帰結すると思います。大蔵省におきましては、そういうこまかいものの保管その他につきましては存じておりませんでございます。」さらに桜井君は、日本銀行の地下室にこの品物を預けるにあたつて、私は一切関係をしておらぬということをば議会で証言しておる。その後に青木君は、久保という外資局長が関係したとおつしいました。そこで、久保さんにもここに来てもらいましたところが、久保君は、私は大蔵省の外資局長であつて、さようなものに一切タッチする権限はありませんから、さような覚えは全然ありませんということを国会で言うておるのです。あなたのおつしやることと、青木君のおつしやることと、それから桜井、久保の両証人のおつしやることに、根本的な食い違いがあるのです。いずれが偽証になるか、問題にならざるを得ないのでありますが、あなたは桜井君を通じて保管なすつたとおつしやるが、これは間違いありませんか。
  197. 中田玉市

    中田証人 これを常識的に御判断くだされば、およそ見当がつきますが、日本銀行は、中央物資がそこへものを預けたいから預かつてもらいたいと言つても、絶対受付はしません。これは大蔵省のお口ききがあつたから預かつてもらつた、私はそう考えております。
  198. 中野四郎

    ○中野委員 かりに大蔵省の口ききがあつたといたしますと、大蔵省が、今度のこの接収をされる前に、青木君の自宅へ、金や白金ダイヤがあつたと称するものを持つてつたと、青木君本人は言うておるのですが、何がゆえに青木君のうちに持つてつたか。それから持つて行く場合に領収証をやつたと言つておりますが、領収証をもらつた事実がありますか。中央物資活用協会が日本銀行の中からそれだけの品物を持つて行つてよろしいという証明書を大蔵省が与えた、そして領収証を与えたと言うておるが、その事実があるのですか。
  199. 中田玉市

    中田証人 これは青木君の全然考え違いだと存じます。大蔵省はそういうことについて、正式の証明書や許可を与えておりません。私、はつきり申し上げます。大蔵省はそういうことに許可を与えません。裏ではいろいろやつてくれます。今の日本銀行の問題でも、こういう状況だから、これを保管するのにどうしたらいいですかと桜井さんに相談ずると、それじやひとつおれが話してやろう、——あの人は、ここで言つたことが間違つておるというよう証言になるかどうか存じませんけれども、あの人はほんとうにあのときは真剣にやつてくれた。だから、日本銀行の方へ品をきいてくだすつたのは、私は桜井さんに間違いないと考えております。とにかく、それだから持つて行けるようなつたんだと私は考えておる。桜井さんは、そういうことは言わぬとおつしやつても、私はそう信じております。そうでなければ、一中央物資が日本銀行へ出入りすることは絶対できない。あそこはそんなところじやない。
  200. 中野四郎

    ○中野委員 けつこうです。逐次伺うだけ伺つておきます。青木さんの自宅へこれだけの高価な物資を運ぶことになつたのは、あなたの命令ですか、あるいは松原さんの命令ですか。どういうような系統によつて運んだものでしよう
  201. 中田玉市

    中田証人 これは、命令とか何とかいうことではございません。爆撃があまりにもはげしくなつて、もうどこへも置けない。何とかこれを確実に保管する方法はないだろうかということで、青木さんもちよう理事で、あのときには部長という名前つたので、私の上だつたのですけれども、ぼくも責任があるから、うちへ持つて行つて保管ようじやないかということで、そうみんなと会議して持つて行くことになつたと私は記憶しております。命令関係はございません。
  202. 中野四郎

    ○中野委員 これも食い違いが大分ありますが、それはよろしい。それから、大蔵省から中央物資活用協会に、品物がこういうところにあるから、これをとりに行けというので、ハーゲマン中尉とジープでとりに行つたのですが、その品物はあなたの方でお受取りになつたのですね。お受取りになつて、どこへ置いておきましたか。
  203. 中田玉市

    中田証人 それは受取りました。受取りましたというよりも、そのときは占領下だから、接収されたのです。日本銀行から持つてつたのは実際そうですが、そこヘジープでとりに行つたときは、一個中隊の兵隊がおつた。それを保善の地下室へ持つて行つて、自分たちが保管しておつたのです。
  204. 中野四郎

    ○中野委員 そのとき、あなたは立会いなさつたろうと思いますが、その内容はよくわかつておりますか。
  205. 中田玉市

    中田証人 立会いましたが、箱はあけません。持つて来て、そのまま地下室に兵隊が入れてしまつたのです。それだから、それだけのものがもどつた数は見ました。お前待つておれと言われたので、私は電気のつかぬところで十一時ごろまで待つておりましたが、埼玉から持ち帰つたのは、夜持つて来て、自分たちが全部地下の倉庫へ入れて保管しました。だから、こちらが手をつけることは一切相ならなかつたのです。
  206. 中野四郎

    ○中野委員 そうしますと、その品物は、大立会いになつたなら、最初日本銀行から持つてつた青木君の言うておられまするような十六箱と、それから金の延棒十貫ずつの二十五本には間違いありませんね。
  207. 中田玉市

    中田証人 一体日本銀行の延棒十貫目というのはどこから出たのですか。
  208. 中野四郎

    ○中野委員 本人が言つております。速記録に載つております。
  209. 中田玉市

    中田証人 延棒一本十貫目というようなものはありません。これは私がはつきり申し上げます。十貫目の延棒二十五本、そんなものはございません。あの当時石福金属興業に頼みまして、金に鉛を入れて、金であるかないかわからぬような色に吹いてもらつたのです。あれは一本どのくらいの目方がございましたか、五、六十本ございました。延棒というのはそれのことでございましよう。そんな大きな延棒はございません。
  210. 中野四郎

    ○中野委員 そうすると、これもちよつと念のために伺つておきますが、ゴールデン・バーというものは、そう大きいものはたいへんですから、あなたのおつしやるように、あるいはないかもしれない。それで、私はふしぎに感ずるのですが、本人はこう言つておるのです。「日本銀行で待つておりまして、そうして地階から——地下おそらくどこらか、私どもは下まで入つたわけではありませんが、地下室の方から持つて参りまして、木の箱がたしか十六と私記憶しております。」それから、これは後には言い直しておりますが、中にダイヤ白金等が入つておるというようお話で、箱の上に繩で梱包してありまして、封印がしてあつたのであります。それから金塊の方は、渋紙と申しますか、厚い紙に包まれて封印してあつたものが、たしかこれも二十五箇と記憶しております。これを預かりまして、そうしてその日に即刻夜通し私の私宅に帰つたのであります。」こういうふうに言うておられるのですが、これについて、あなたは、その二十五箇というのは何でしようか。それから十六箱という内容は何でしようか。御存じ範囲を……。
  211. 中田玉市

    中田証人 私の記憶範囲——大分さつきからつつかれて頭が混乱しておりますが、申し上げます。その大部分は白金と金だつたと存じます。十六箱の内容は、それにわずかなダイヤがまじつてつた、こう考えております。そうして、延棒というのは五十くらいありましたろうと私は思います。これは数は調べればわかります。それは鉛が半分入つておるのです。見ては金か何かわからないようなもにしてある。鉛をぶち込んで吹いたのです。これを保護する意味において、あぶなくてしようがないから、何とか方法はないだろうかというので、金の中に鉛をぶち込んで吹いた、これくらいの棒でしたね。私の記憶では、そういうものが五、六十本あつたと思いす。
  212. 中野四郎

    ○中野委員 そうすると、金ではない、鉛だというのですね。
  213. 中田玉市

    中田証人 いや、金でございます。半分金です。それを金の延棒だと言われたのだと思います。
  214. 中野四郎

    ○中野委員 そこで、さらに関連して伺つておきたいのですが、中央物資活用協会は、たしか田町の専売公社の倉庫を借用して事務所にしておいでになつたと思うのですが、これは昭和二十年ごろに戦災にあつたと言つておられるのですが、そのときに買い上げたダイヤモンドはどこに保管してあつたか、あるいは、その当時の帳簿はどうしてあつたか、これを伺いたいと思うのです。
  215. 中田玉市

    中田証人 ダイヤモンドは、ほとんどあそこには置いておりませんでした。わずかばかり、鑑定人鑑定する分だけ置いておりました。大部分を交易営団へ納めた残りでございまして、その当時は、あそこへ現品が来れば、すぐ交易営団に納めております。幾らもございませんが、あつたものは地下の金庫室に入れてございました。そして帳面は、これは一々の帳面はつつておりませんでした。これは、伝票を整理して、それをずつとたなに——たいへんなものでございまして、私の方は、そういうスタツフはございません。わずかな人数で、私がまつ先に立つて、来たやつを倉庫に積み込み、わけるというよう仕事を私がしなくちやならぬ。こういうよう状況でございまして、それはほんとうに人数が少くて、一々の帳面をつけるようなひまはありませんでした。そのかわり、伝票を引出せばすぐにわかるようになつておりました。これはたいへんな量でございました。みんな焼けましたが、帳簿はそういうことでございます。
  216. 中野四郎

    ○中野委員 そこで、また食い違いが生じて来るのですがね、伝票はみな焼けてしまつたのですか。
  217. 中田玉市

    中田証人 伝票は焼けました。
  218. 中野四郎

    ○中野委員 そうすると、あとに証拠になるものは何かありますか。
  219. 中田玉市

    中田証人 買上げのトータルはわかります。
  220. 中野四郎

    ○中野委員 一つ一つのこまかい伝票はないのですか。
  221. 中田玉市

    中田証人 一つ一つの伝票はございません。
  222. 中野四郎

    ○中野委員 先ほど委員長が質問をしましたときに、ダイヤ買上げ数量とか価格交易営団に納めた数量、価格、あるいは残りの数量、価格、接収された内容等について聞きましたね。そのときに、あなたは、この鑑定を連合軍に対して要求されて、日本銀行の地下室に、許可が下つて行かれた、その鑑定の裏づけとなるものは、実際上におけるこまかい一つ一つの伝票をもつてこれを示すと言つておられたが、そういう伝票はあるのですか。そういうものはどこにあるのですか。それだけの伝票というのはどういうわけなんですか。
  223. 中田玉市

    中田証人 未鑑定のものは全部入つております。あそこへ行つたうちで、未鑑定のものについては、伝票は一々一袋々々に入つております。それは焼けないのです、それはございました。それを全部向うでなくしてしまつたから、今は伝票は一つもございません。
  224. 中野四郎

    ○中野委員 ちよつと変ですね。つまり、買い上げますね、買い上げましたら、四枚の伝票を切るのです。一枚は袋の中へ入れる。一枚は買上げ場所で持つ、あとの二枚は、交易営団中央物資活用協会が一枚ずつ持つということになる。そうすると、一枚は袋に入つておるわけでありますから、あなたの方でその一枚々々の鑑定書をもつてこれを示すと先ほどおつしやつたけれども、示す何はないじやありませんか。どこにあるのでしよう。つまり、日本銀行の地下室へ行つて、連合軍がこつちに鑑定させると言つても、あなたの方で持つて行く大事なあれがない。何をもつてそういうふうに鑑定なさるのかというような疑問がちよつと湧いて来たから伺うのですが。
  225. 中田玉市

    中田証人 それは、一部鑑定済みのものは、こちらのたなに積んであつたものは焼けましたが、まだこれから鑑定する分は残つておりました。それですから、箱をあければ、その中に入つておるのです。どういうことが御疑問なんですか。
  226. 中野四郎

    ○中野委員 それはあなたの主観であつて、進駐軍が実際上に——そこへ行つて見ればわかる通り、箱から出してくしやしやにしてしまつたから、伝票も入つてないわけです。先ほど委員長の質問に対するあなたのお答えを聞いておつたのでは、こちらから物的証拠を持つて行つて鑑定したいというのですが、物的証拠があるわけはない。田町の事務所の焼けたときに、書類は全部焼けたと言つておる。焼けたのに、何の物的証拠を持つて行くのか、ふしぎだと思つたので、伺つたのです。
  227. 中田玉市

    中田証人 物的証拠を持つて行くという時分に、持つて行かぬでも、日本銀行に行つたら、一つ一つ箱に束にして……。
  228. 中野四郎

    ○中野委員 そういう説明をなさればいいのですが、私はそういうふうに聞かなかつたのです。
  229. 中田玉市

    中田証人 私はそういう説明はしません。
  230. 中野四郎

    ○中野委員 私はそう聞いたから、一枚一枚の伝票を持つて行つて、それと照し合せるとおつしやつたから、はなはだふしぎだと考えた。田町の事務所は焼けたはずです。伝票は全部焼けたのに、伝票を持つて行かれるというのはふしぎだと思つたのです。さらに伺いたいのですが、田町の事務所で焼けた中には、ダイヤあるいは金、白金はどのくらいあつたか、焼けた金、白金はどうなすつたか、あるいは焼けなかつたか、この三点について伺いたい。
  231. 中田玉市

    中田証人 白金はほとんど焼けません。少しばかり焼けました。ダイヤが少し焼けました。わずかばかりでございますが、地下の金庫にあつたものが、直撃を食いまして焼けました。そうして、焼けたダイヤは、夜なべまでして、全部集めて大久保の事務所へ持つて行きまして保管した、あとから納めたものに入つております。そうして、白金や金、銀、そういうものは、一応全部大久保の事務所へ引揚げまして、それから一緒に接収された、こういうことであります。
  232. 中野四郎

    ○中野委員 ダイヤは焼けませんか。
  233. 中田玉市

    中田証人 少し焼けました。
  234. 中野四郎

    ○中野委員 数量はわかりませんか。
  235. 中田玉市

    中田証人 それは、私の方へ帰ればわかります。
  236. 中野四郎

    ○中野委員 ほかの方の質問もあると思いますから、先へ進みます。昭和二十年の十月ごろ、大蔵省は、司令部から中央物資の貴金属の保有高の資料を提出するように命ぜられたのです。これに対して、中央物資から政府に資料を提出なさいましたね。大蔵省は、当時大蔵委員会から私が要求したのですが、その同一書類の中から一部を削除して、進駐軍の方に出したものと、私の方に出したのとは違うのです。進駐軍の方には、明らかに他の物件が載つておるにもかかわらず、国会の方へ提出した書類の中には、ある一定の物件が載つていないのです。つまり、一部を削除して報告して来たので、前国会で、この委員会において石田理財局り取得して、一号より四十二号まで、と括弧してあるのは、どういう意味でしようか。あなたの方のお出しになつた書類ですから、これについて御説明を願いたい。
  237. 中田玉市

    中田証人 どういう書類でございますか。
  238. 中野四郎

    ○中野委員 覚書の中に……。
  239. 中田玉市

    中田証人 何の覚書でございましようか。
  240. 中野四郎

    ○中野委員 連合軍から来た覚書の中に、あなたが取得した径路として、今申し上げた数量のものを日本政府が一九四七年五月九日当該人より取得して、一号より四十二号まで、という符号が打つてあるのは、どういう意味ですか、こちらで聞いているのです。あなたの方の符号が打つてあるのです。
  241. 中田玉市

    中田証人 何という書類ですか。
  242. 中野四郎

    ○中野委員 後ほどこれをお示ししましよう。  次に、関連質問して行きましよう。その方がいいでしよう。それでは、あなた、書類は全部お持ちですか。そこに自分の方で大蔵省へ出したものとか、進駐軍に出したものを持つていらつしやいますか。
  243. 中田玉市

    中田証人 全部は持つておりませんが、一部は持つております。
  244. 中野四郎

    ○中野委員 一部では困りますな。こちらで言わなかつたのは悪いですが、進駐軍に出したものと、大蔵省に出した書類は持つて来てもらわないと、あなたが聞かれて、何カラットの数量だか覚えていないでわからないと、お困りになると思うのです。
  245. 中田玉市

    中田証人 それは、私の方で調べればわかります。
  246. 中野四郎

    ○中野委員 一号から四十二号までとあるのは、どういう意味かということです。書類をこちらで差上げますから、書類で答弁してください。  それから、昭和二十年十一月五日、西大久保の中央物資事務所から接収せられました装飾用ダイヤがあるのですが……。
  247. 中田玉市

    中田証人 ございます。
  248. 中野四郎

    ○中野委員 それはどのくらいの数量になつておりますか。
  249. 中田玉市

    中田証人 直接持つて行かれたのは約八千から九千カラットじやないかと思います。
  250. 中野四郎

    ○中野委員 ここにあるあなたの方からの帳簿には九千九百六十二八一と書いてあるのです。このダイヤモンド及び白金十三箱は、これを検証したウィリアム・カフランという中尉が証明したのみで、その数量は不明である。なお、このダイヤはどこから買つて来たかわからない。あなたの方には数量は書いてあるが、向うの領収証には何も数量が書いてない。そうなると、接収されたものはあなたの自己認定に基いたものであつて、進駐軍の方で接収したものははつきりと証拠がないのです。ただ十三箱としてあるだけなのです。そうしますと、これは進駐軍の方で幾つ入つてつたかわからない。ここのところが不明瞭なのですが、これはどういう意味なのですか。そうして、これはどこでお買上げなつた品物なのですか。というのは、私があなたにこうして聞いておるのは、あなたのところで買い上げた書類をこちらへとつて来ておるわけです。ところが、買い上げたものの証明がないのです。あなたに聞いておりますのは、これと照し合わせればすぐ出て来る。あなたの方へ書類を求めたのですけれども、ないとおつしやるから、私の方では、全国の買上げ機関を動員して調べた数字を現在持つておるのです。だから、どこでお買上げなつたかということを聞いておる。そうすると、ちようど数が合つて来る。そうしないと、あなたが九千九百カラットつたと言つておるけれども、占領軍ではそんなものの数量の証明を出していないのですから、その数字が合致しないと、あなたの出したリストというものが正しいということを証明する過程に参りませんので、これはどういう意味でこのカフランという中尉からの証明がなかつたのか、それから、このダイヤは数字が不明になつておりますが、どういう意味か、なお、このダイヤはどこからお買上げなつたものか、この点について伺つておきたい。
  251. 中田玉市

    中田証人 これを持つて行かれたときに牧童がはつきりしていない、はつきりさせることは私の方の希望するところであつたのですが、どうすることもできないのです。それで、私の方には責任がありますから、先ほど申し上げたように、あちらへ行つて、持つて行つて鑑定さしてもらうことをそのときた懇願して、あとから鑑定を申請したような次第であります。それの鑑定ができさえすれば、今申し上げた数量は必ず合致するものだと、私の方は信じております。今ここへ出ている数字は、買い上げた金額から推定して出した数字と、そうして実際はかつた数字と、両方ございます。これは、その当時非常に厳密な検査をCPCから受けましたときに、十分検討された結果でございます。これが今申し上げたこの数字で、オーケーということになつたのであります。これは、何日かあそこへ引張られてやつた数字でありまして、間違いない数字だと思います。
  252. 中野四郎

    ○中野委員 それは、あなたの方は受領証だと言つておられるが、受領証なのですか。
  253. 中田玉市

    中田証人 受領証であります。
  254. 中野四郎

    ○中野委員 ところが、これが受領証とは原文になつておりません。あなたの方には受領証としてありますが、原文には受領証としてない。ただ検証したことを証明するとあるだけなのですが、どうなのです。
  255. 中田玉市

    中田証人 受領証であるなしにかかわらず、それ以外はもらえません。私の方では、それを受領証だと考えております。少くとも、持つて行かれた数ということ以外はどうすることもできませんでした。その当時もらうことはできません。またカラットをはかつてつて行つてもらうことは、とうてい不可能でございます。その間にカラットをはからしてくれということをどれくらい頼んだかわかりませんが、絶対にやらせません。大久保のあそこに一箇月もおりましたから、その間にあなたの方の保管にかかるのだから、目の前ではからせてくれ、これは絶対だめなんです。それが、はからしてくれれば、そんな問題は起らぬのです。ちやんと数字が合うのです。そういう状況であつたのです。
  256. 中野四郎

    ○中野委員 接収されるときは、向うから接収に来た兵隊があなたの方にリストを出せと言つたでしよう。リストをお渡しになつたんでしようが、リストがなければ証明することはできません。つまり、交易営団でもそうですが、中央物資活用協会においてもしかりでありますが、結局、向うのアメリカ本国から日本の外務省を通じて答弁がありましたのを見ると、ことごとくリストを出しておらない。焼けてしまつたとか、なくなつてしまつたとか。ところが、ふしぎなことに、近ごろになつて大蔵省の方にリストがどんどん出て来る。まことに私どもはふしぎに思うのですが、その当時リストをしつかりお示しになつて、物品と照合すると言えば、それに対して受領証があるはずですから、つまり何カラットという証明書をちやんとくれるのです。そういう例はたくさんあります。進駐軍からよこしたコッピーの中にはたくさんあります。ですから、あなたの方でリストをお示しになつたんでしようか。それがなかつたから、結局受領証がもらえぬ、検証したという結果になつたんでしよう
  257. 中田玉市

    中田証人 その当時の状況としては、持つて行かれた大部分は、まだ私の方で未鑑定のものなんです。だから、リストはその中に入つているわけです。持つて行かれた箱の中に入つているのです。それ以上何ともしようがありません。これは、今委員がおつしやいましたが、三菱銀行から持つてつたものなんかは、はつきり、私の方で何カラツトあつたということは二回もはかつて間違いないものなんです。それでさえも、二包というような、ぼやつとした領収証しかくれなかつた。これなんかは、ずつと後のことなんです。いつでも、出してくれれば出し得るにかかわらず、どうしても出してくれない。私の方では、これだけのカラツトがありますということを言つても、証明してもくれない。これは、よそではもらつたかもしれませんが、私の方では、そういうことで、もらえなかつた。いわんや、前の二十年の十一月に持つて行かれたときには、未鑑定のもので、リストは箱の中に入つてつた
  258. 中野四郎

    ○中野委員 もう一つつておきたいのは、たしかダイヤをお買上げになるときにいろいろな宝石がありましたね。エメラルドとか、あるいはオパールとか、猫眼石とか、いろいろなものがあつたわけです。血兵品として扱われたはずなんですが、これは、あなたの方では、どのくらいあつて、どういうふうな処理をなさいましたか。
  259. 中田玉市

    中田証人 これは、私の方で一品も集めておりません。ほかの宝石は……。
  260. 中野四郎

    ○中野委員 そうすると、近ごろ関東財務局からあなたの方に、宝石を返してやるから来いというような通知はありませんでしたでしようね。
  261. 中田玉市

    中田証人 ございませんと思います。私は存じません。
  262. 中野四郎

    ○中野委員 そこで、あなたの方でお買上げになるときに、一体ダイヤを裸で持つて来るはずはないのですが、あなたの方だけ特殊の事情にあるはずはない。交易営団において買い上げるときには、大体ダイヤというものは、指輪とか、ブローチ、あるいは帯どめとかいうように、いろいろな付属物があつたはずです。その中にいわゆる宝石が相当あつたはずです。この宝石に対しては、当時一般では買い上げることは難儀でありますから、大体これをば無料でもらうとか、あるいは国家に献納してもらうとか、——あるいは買い上げた人があるかもしれませんが、中央物資活用協会だけが買い上げる特別の処置をとるはずはないのですから、この宝石はあつたと思いますが、これに対する処置はどういうようにしておられましたでしようか。
  263. 中田玉市

    中田証人 責任者の私としては、そういうものは一品もございません。買い上げたこともございません。いただいたこともございません。
  264. 中野四郎

    ○中野委員 どうも、ちよつと納得が行きませんが、もう一点伺つておきたいのですが、少し事がこまかいようですが、お買上げになるときに、結局はかりがある一定の限度しかありませんから、出目というものが出ますね。つまり、あれは百分の一ですから、けたが二けたしか出ませんから、一カラット二二と出ても、あとのこまかい数字が出ません。それが集積されると相当の出目が出て来るわけです。コンマ〇〇〇というのが集積されると、これが相当な数となつて出目となるのですが、この出目に対する取扱いはどうしたのでしようか。
  265. 中田玉市

    中田証人 私の方は出目はございません。ちようど今おつしやるようなことでありますが、交易営団に持つて行つてしまいますから、これが何カラットあるということが合えば、それで済みます。なければ追究されますが、出目がかりにあつたらどうか、——私はないと思いますけれども、あつたといたしましても、私の方としては計算のうちに入れておりません。また出目があつたことはございません。
  266. 中野四郎

    ○中野委員 ほかの委員の方から質問があるかもしれませんから、私はちつと控えます。
  267. 田渕光一

    ○田渕委員 さつき中野委員からお聞きになつたのですが、あとで間違いのないように、伺つておきたいのです。小野事務官あるいは鈴木事務官という点がはつきりしなかつたのですが、証人は鈴木事務官だと言つておりますが、この鈴木事務官に証人は長い御面識がございましようか。たとえば、幾つくらいの人で、たしか間違いないということを、後日食い違いのないように、伺つておきたい。
  268. 中田玉市

    中田証人 これは、先ほど中野委員にお答えしたように、私は、それはそうだと思います。こういうことで、私は、そうだとは申しません。そうだと思つた、こういうことです。それで、鈴木さんは前から知つております。早くからあそこにおられましたので、よく知つております。多分そうだつたと思うのですけれども、どうもはつきりしない。また私にとつては、今中野委員から言われるように、それを削られたらたいへんなことになるからお前ぼやぼやするなと怒られましたが、私の方では削られるとは思つておりません。こんな計算のごときものは、大蔵省がそれをかりに落しても、私の方がそれがために落ちるとは思いませんから、重要なこととも何とも考えておりませんから、ごく軽い意味に聞いておりました。それが間違いかどうかしれませんが、私はそういう気持でおりました。それはどなたが言われたか、とにかく私の会う方は、鈴木さんか、小松さんか、小野さんか、もう一人その下に大久保さん、この四人しか知りません、——ほとんど私のお話する人は。そのうちの一人で、多分鈴木さんからその話は伺つたよう記憶しております。これは私の記憶違いかもしれませんが、私の記憶では、どうも小野さんから聞いたように思わぬのです。
  269. 田渕光一

    ○田渕委員 大体御記憶を鈴木さんと伺つておきましよう。そこで、買上げ当時に、中物と申しますか、あなたの方が地方代行機関あるいは買上げ機関を通じて買つておりますが、その当時の地方別の買上げ人といいますか、買上げ機関のリストがございましようか。
  270. 中田玉市

    中田証人 それは私どもの方にございます。
  271. 田渕光一

    ○田渕委員 相当日もたつておりますが、たとえば、近畿地区においては、京都ならだれ、大阪ならだれというようなこともおわかりでございましようか。
  272. 中田玉市

    中田証人 それは、京都、大阪にはございません。交易営団が直接やつております。七大都府県につきましては、そこに私どものダイヤ代行機関はございません。その他、ダイヤ鑑定能力のないところは引受けないのです。また私の方が頼みません。そういうところもございます。金、銀は買う、しかしダイヤは、私の方は、損したらいやだからというので、引受けないところもございます。引受けてくれたところのリストは、私どもの方にございます。
  273. 田渕光一

    ○田渕委員 七大都道府県には交易の出張所といいますか、代行店がある、そして、たとえば、兵庫ではだれ、大阪ではだれが買いに行つたとか、京都ではだれが買上げに行つたとかいうことがおわかりでございましようか。リストはございましようか。
  274. 中田玉市

    中田証人 御質問の趣旨がよくのみ込めませんが……。
  275. 田渕光一

    ○田渕委員 こういうわけです。たとえば、兵庫なら兵庫で、あるいは和歌山県の場合には、和歌山県のだれが買い集めてそこへ持つてつたかという、当時の扱い者がわかりましようか。
  276. 中田玉市

    中田証人 それは、私の方の代行機関があるところは、その代行機関がそこで責任を持つておりますから、代行機関名前しかわかりません。その先はわかりません。
  277. 田渕光一

    ○田渕委員 その代行機関の先の代行機関はだれに扱わせたかというその当時の資料は残つておりませんか。
  278. 中田玉市

    中田証人 私の方にはございません。代行機関名前一本で、私の方の伝票で買上げさせたものでありますから……。
  279. 田渕光一

    ○田渕委員 先ほど委員長の御質問中にもお答えがあつたのでありますが、大体当時の鑑定人が四十人くらいというようなぐあいにおつしやつておりましたが、これは純粋の鑑定人でありますか、それともダイヤを取扱つてつたところの、たとえば貴金属の商人のような人たちが鑑定人になつたのでありましようか、いかがでありますか。
  280. 中田玉市

    中田証人 大体貴金属商人でございます。私の方が初めからやらせたのは四十人くらいで、ダイヤ鑑定能力がある者、あるいはそれに近い能力を持つてつた者もおつたと私は思います。
  281. 田渕光一

    ○田渕委員 その四十人くらいの鑑定人には、鑑定料というようなものをお払いになつたのでございましようか。大体それの氏名のリストがございましよう
  282. 中田玉市

    中田証人 それは鑑定料を払つておりません。雇上げですから、私の方の使用人です。その今申し上げたのは本部の鑑定人でありますが、だんだんと減りまして、後には二十人くらいになりましたけれども、一時はそういう大勢がおつたこともございます。
  283. 田渕光一

    ○田渕委員 鑑定料を払わずに、使用人だとおつしやつていますが、そうすれば、給与その他、あるいは無償で使つておられるかもわかりませんが、たとえば、使用人として扱うならば、使用人としてのリストがございましようから、その氏名がおわかりですか。なかつたら、あとで資料を出していただきたいと思います。だれが当時鑑定人として携わつたかということです。
  284. 中田玉市

    中田証人 それは、調べれば、当時の職員名簿が残つておりますから……。嘱託の部分もありますし、職員の部分もありますが、それはお出しできると思います。
  285. 田渕光一

    ○田渕委員 嘱託でも使用人でもよろしいから、当時鑑定に携わつた、いわゆる鑑定人と称する者の氏名の資料を当委員会に至急に御提出願うように、委員長から特に依頼していただきたいと思います。
  286. 吉武恵市

    吉武委員長 中田証人に申し上げますが、ただいま田渕委員からお話のごとく、鑑定人として使われました人の氏名を至急御提出願います。なお、府県別であなたの方の取扱われた数量を書面で御提出願いたいと思います。
  287. 中野四郎

    ○中野委員 実例をあげて一点伺つておきますが、そこヘメモしてください。群馬県の邑楽郡永楽村大字赤岩百九十五番地原田貞雄という人の件について、関連して伺います。この人は、昭和二十年の四月に、供出期間が遅れて、永楽村の役場を通じて地方事務所にダイヤ白金を持参したのであります。ところが、それから一箇月後、永楽村役場に間合せに行つたところが、供出期間を過ぎておるというので、直接あなたのところの支部である前橋市曲輪町の鈴木賢三という人の宅に、昭和二十年五月十六日の三時半ごろに持つて行つて、あなたの方の証明書をもらつたのです。ところが、同君は、これは一応いただいておきますが、ただちにあなたの方の本部に送つて、その代金を払いますと称して、それつきりになつてつたわけなんです。ところが、そのとき、ここに証明書がありまするが、白金ダイヤ、こういうものに対する証明書をよこしました。そうしてこの鈴木賢三という人は、その後原田貞雄という人に対して、わずかに二百円を内金として払つて、あとは本部から金が来たら小切手で払うと言うてよこしたのでありますが、みずから問い合せたところが、本部にはこれを送つたけれども、本部の方から何とも言つて来ないから、結局これはだめだというふうに言うて来ておるのですが、この事件についしては、朝日新聞等において大きく取扱われておりますから、あなたは御記憶がありますかどうか。御記憶がなければ、これをどういうふうに考えられるか、伺つておきたいのであります。
  288. 中田玉市

    中田証人 これは記憶がございます。潮目新聞はどう取扱つたかは存じません。これは、その当時、今おつしやいました代行機関何と申しましたかね、鈴木でございます。これからいろいろ言うて来たことがございます。それで、私の方では、いつどうして、どういう方法で送つたか、送つたことがはつきりしなければ、私の方では処理のしようがない、いつどういう方法で送つたか、そのことを、書留で送つたなら書留でもよし、何でもいい、とにかく証明を送つてくれれば、私の方で上司に伺つて処理するということを回答しておきましたところが、それについて私の方は何の回答も得られなかつたのです。鈴木の方ではそれは何と向うへ回答したか存じませんが、鈴木の方から金をよこせという申出があつたことはあります。ありますけれども、私の方へ品物を送つたという、少くとも送つたという方法を知らしてくれ、その当時のどさくさのときであるから、あるいは小さいものだからまぎれ込んだかもしれないが、少くとも送つたという証明だけは出してくれなければ、私の方で金は払えない、こう申したことがございます。そうして、それについて何にも送つてくれない。それで、金は払えなかつた。そういうことが一件ございました。鈴木の件だから、おそらくこれだろうと思います。よく名前は覚えておりません。原田さんかどうか存じません。そういうことがずつと後にございました。それで、その金をよこせということを鈴木から言うて来たのは、よほど日がたつてからです。
  289. 中野四郎

    ○中野委員 その場合の責任はどうなんでしよう。つまり、送つた鈴木さんの方で、——あなたの方では確かにそれは知つておるとおつしやれば、今のお間合せのときに、鈴木君のところには、どういう方法で送つたかという台帳がなければならぬわけですね、つまり買上げ台帳、そうして本部に対する送致簿がなければならぬはずです。それに従つてあなたの方へ送つたという根拠があれば、入つたか入らぬか知らないが、一応それに対して送られたという立証ができるわけですから、そこでどういう処置をとるかということになりましようが、こういう場合に——これは一つの例をあげたのです。まだ五、六件同じような例がありまするけれども、ここに一人の名前をあげて申し上げた方がよいと思いますから、あげたのですが、特にこの場合の責任はだれが負うのか。つまり鈴木という人は、自分の台帳には載つておらないようです。だから、あなたの方に回答ができないのです。しかし、この本人に対するところの回答の中には、明らかに送つたと言つておるのです。前記照会については、東京中央物資活用協会に対して供出済み、その後中央より何らの回答もなく現在に至る、というのです。そこで、この台帳を調べてみると、台帳には送つたと立証すべき何ものもないわけです。ところが、この鈴木という人は、確かにダイヤ入り白金指輪一つ、それからほかに金の小粒一つ白金の小粒一りというような証明書を出しておるのです。これはだれがどういう責任を負うのでしよう。出した人は、せつかく国のためにと思つて出したが、行方不明になつてしまい、代金はもらえず、特にこの鈴木という人は、その二日円が代金であつたと称しておる。こころが、それは代金の一部であつたがもしれないけれども、当時の買上げ価格要綱の規定から見れば、これだけの品物が二百円で譲渡されるはずがありません。ですから、あなたは先ほど、支部における支部長の任命、買上げ代行人の任命については、地方官庁から推薦した者をさらにあなたの方で認めて、これなら大丈夫だということで、あなたの方でお引受けになつて任命なさつたとおつしやつておる。こういう人がこういう間違いを起した場合には、責任はだれが負うか、こういう人に対してどういう処置をするかということを、一例をあげで聞いておきたい。これが、あなたのところには、件数をあげて申し上げてもいいのですが、私の手元にあるのが六件、これを入れると七件ある。過程は違いますが、大体似たり寄つたりのものであります。この最終の責任、どういうふうにするか場ということについて伺つておきたい。
  290. 中田玉市

    中田証人 これは、私一存のお答えはできません。これは理事会にかけて答えなければならぬと思います。ただ、私の方でその当時折衝したのは、品物が来ない、それじや、お前の方がいくら金をよこせと言うても、代行の方へ金をやれないじやないか、送つたということが証明つくならば、ぼくの方で品物が届くものとして決裁をとろうじやないかということまで申したのです。私は、言うて来られれば何とかこれを解決しますということも言つた記憶は残つております。それから何の回答もなく、ただそれだけです。だから、これについての最終の責任——そういう者を選定した責任があるから、その責任のもとにその損害賠償の負担をするかどうかということについては、私一存ではお答えできません。
  291. 中野四郎

    ○中野委員 そうしますと、場合によれば、この原田という人が鈴木という買上者を告訴することができますね。帳簿にあるべきものが帳簿にない。にもかかわらず君は本部に送つたと称する。本部の方では送つた証拠があれば示せと言う。示す何ものもない。してみれば、この人は途中で横領したかもしれない。全国には多数こういうような実例があり得るかもしれない。従つて、この場合における最終のいわゆる責任者が理事——あなたの方の理事会はまだあるのですか。
  292. 中田玉市

    中田証人 それは理事がおりますから……。
  293. 中野四郎

    ○中野委員 そうすると、それにかけなければならぬとおつしやれば、そうでしようが、この場合には鈴木対原田という人のいわゆる法律上の関係になるのか、どうでしよう
  294. 中田玉市

    中田証人 私は一応そう考えております。私の考えとしては、その当時解決してやろうと思つたのですが、どうしても何の証明もないから、私の方ではどうすることもできなかつたのです。
  295. 中野四郎

    ○中野委員 これでいいです。
  296. 吉武恵市

    吉武委員長 他に御発言はありませんか。
  297. 田渕光一

    ○田渕委員 さつき伺い漏らしたのですが、この青木君のところから出した日本目方にして四十三貫何がしの金銀が、鈴木事務官からあとから内輪話で聞いたんだが、削除して出したので国会でしかられたという話ですが、その話は一体どういう動機から出たのでございましようか。大蔵省かどこかで会つた機会にお聞きになつたのか。それは実は、中田から削除して出したために国会でしかられたと言うておつたのですが、この点、どういう話の動機から出ましたか。これをひとつ伺つておきたいのであります。
  298. 中田玉市

    中田証人 これは、私も明確なことはそんなに……。私、先ほど申し上げたように、中野先生から言わせれば、権利がなくなるかわからぬ非常に重要なことかもしれぬが、私はそれほどに考えてなかつたのです。当時は始終だれかに呼ばれて、おこられたとか、なんとかしたとか、あそこでは冗談話がしよつちゆう出ておつたのです。そのときは借金の何もありますし、いろいろ呼び出されて、この打合せに来い、それからまた報告書を出さなければならぬということについてのいろいろ打合せもあつた。そういうように、ちよちよい伺つてつたときの話で、きつちり、いつころで、どういう話の動機でそういうことが出たか、はつきりしないのでございます。
  299. 田渕光一

    ○田渕委員 私たちとしてみれば、中野委員と同様非常に重大な関心を持つのであります。少くとも四十数貫のこういうものを削除して出したということをあとで聞いたら、それは内輪話であつたというだけでなく、——もつとも、いろいろの話もありましようから、そうでありましようが、証人の御心境としては、何でそんなことをしたのだろうというような御心境が当時起らなかつたですか。鈴木事務官からそういうことを聞いて、何で削除して国会に出したのか、そんなよけいなことをするから国会からしかられたのだということを言われたことがあるとすれば、それが一つ。それから、今日になつてなぜこんな重大なものを削減して出したのだろうかと、何か納得できないような御心境にならなかつたでしようか。
  300. 中田玉市

    中田証人 そのことを聞いたときは、何で削除したのだろうということは私もちよつと考えたのです。いらぬことではないか、どうせあとからわかることなんですから、最高権威の国会で調べられる場合に、そんなものを削除したつて何の効果もないではないか、どういう方法でも調べられるのだから、何でそういうものを削除したのかと、一応考えたのですが、大蔵省のやることですから、それがいいとも悪いとも、私は考えもしません。
  301. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで、これは先ほど証人から、あとで内輪話で出て来たというお話でありましたが、この鈴木なら鈴木という事務官が何であなたにそういうことを報告したか、これなんです。あなたの心境はわかりませんけれども、少くとも国会へ提出するのに、その人は大蔵省の下つ端の方だとあなたはおつしやるのだが、私は会つていないからわかりませんが、少くとも重大な、四十数貫のものをそれから削除して出すということについては、青木君をかばうためにやつたというようなぐあいにわれわれは思うのですが、そうでないでしようか。
  302. 中田玉市

    中田証人 お答えをいたしますが、どうもよくわかりません。私は、その当時聞いたときは、必要ないことだと考え記憶があるのですが、そのことが青木さんをかばうためにやられたかどうかということは、私、今でもどうもわからないのです。何のためにそうされたのか、そんなことを追究して聞きもしません。またその人たちに聞いても、上の人のやることだから、下つ端ではわかりますまいし、また聞こうとも思わなかつた
  303. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで、今中物が、法律的には、つまり借金して買つたのだから、おれの方のものだ、但し、国民が国家に出したのであるから、実質的には国家のものだと思うと言う、そのものが行方不明になつた。この削除をしたという話を聞いたときに、今国会で問題になつているときに、取扱者のあなたの方にその責任が来るということをお気づきになりませんでしたか。それはえらいことをやつてくれた、そんなことをしたらおれのところに責任が来るというような話は、内輪話のときに出なかつたのでしようか。
  304. 中田玉市

    中田証人 私の頭の鈍さか知りませんけれども、私はそれほど考えていませんでした。かりに国会へ削つて出しても、それが最終の証拠になるとは思わない。私は、あとの資料で、実際あつたものだから、いろいろと説明して御認定願える、私の考えたことはその程度でございました。
  305. 世耕弘一

    世耕委員 ちよつと二点ばかりお尋ねしておきたいと思います。ダイヤモンド鑑定した鑑定人がみな成金になつておる。大体平均数千万円ぐらいの金を持つているということを聞いているのですが、そういうことをあなたはお聞きになつたことはありませんか。また、鑑定人は従来通り貧乏している人が多いか、少しはもうけている人があるか、あつたらお聞きしたい、
  306. 中田玉市

    中田証人 それは初耳でございます。私は全然聞いたことはございません。また鑑定人で金持になつた者を私は存じません。従来地金屋でございますから、相当な金は持つておりましたけれども、私のところに入つてえらい金持になつて得をしたということは存じません。そういう者がいるとも思いません。
  307. 世耕弘一

    世耕委員 みな憂国の至情から、あるいは進んで供出し、あるいはまた脅迫されてダイヤを供出したにもかかわらず、依然として市中に大きなダイヤが販売されている。あのダイヤはどういうところから流れ出して来たとあなたはお考えになりますか。それとも、そういうようダイヤを見たことはございませんか。
  308. 中田玉市

    中田証人 私どもは、ダイヤと縁が遠いので、さつぱり見たことはございませんけれども、それは、幾らたいこをたたいても、出さない人は出さないのですから、そういう出さなかつた人が今売つておられるんじやないかと思いますが、よくわかりません。私の方に集まつたものが流れているとは、私の方では思つておりません。
  309. 世耕弘一

    世耕委員 当時の実情から、日本人の国民感情から見まして、ああいうまとまつたダイヤがまだ市中にあるとはわれわれは想像できぬ。それがあるというのは、どこか隠した場所がなくちやならぬということが推定できる。それから、もう一つは、宮中から出されたような大きなダイヤ、それから、私の知つている者からでも、代金を求めないで出したダイヤも相当数に上つている。これは領収証もむろんもらつていない。そういうものもやはりあなたの方で保管しておつたはずであるが、そういうものは当時どういうふうにリストをおつくりになつたか。それとも、まだ未調査でそのままほつておいたか。それと、もう一つは、領収証をもらうに至らないうちに終戦になつ——鑑定してもらうために時間がかかつて、遂に領収証も代金ももらえなかつたというものも相当数に上ると私どもは想像するのですが、そういう点はどういうふうにお考えなつたか。  なお、質問を簡略にする意味において、もう一点伺つておきますが、最近のできごとでありますが、某銀行家をある人がおどかした。それはダイヤ関係がある。しかもおどかしに行つた連中は、約一億円吹つかけている。しかもそれは、世耕さんもこの内容は知つているはずだと言うておどかしたところ、一億は少し多過ぎるから、負けぬかというような話の取引があつたということを、ごく最近に聞いた。今中野委員が熱心に質疑応答を繰返しているのを聞いたのですが、私はどうも釈然としないものがあるように思う。あなたは清算人の一人として、公正な立場にお立ちになつておられるのだろうと思いますが、そういう点、どういうふうに感じられますか。あえて証言を求めるわけではありませんが、御感想を承れればけつこうだと思います。
  310. 中田玉市

    中田証人 感想を尋ねられたのでございますが、市中にダイヤがそう多くのものが流れているのがどうもふしぎだというお話ですが、結局、国民はなかなかしぶといので、正直者がばかを見るという結果に終つたようなことになつているのではないかと私は思うのです。ダイヤを持つているような人は、なかなか手の届かぬとろで、——隣組の有志が行つて、どうか出してくださいと言うてみたところで、あるいは県庁がビラをまわして、隣組を通じて勧誘してみたところで、承知しないような方が持つておられたものではないかと考えております。集めたものがどこかに隠されておつて、それが今市中に流れているとは、——私があまりばか正直に考えているから、そういうことを考えるのかもしれませんが、どうもそういうことはないんじやないかと思います。私の方の関係では、ないと確信しております。
  311. 世耕弘一

    世耕委員 マレー大佐事件のときに、裁判があつて、その裁判の資料に、供出ダイヤ保管等のリストが出たのですが、それはあなたの方からお出しになりましたか。
  312. 中田玉市

    中田証人 私の方からリストを出したよう記憶はございません。
  313. 世耕弘一

    世耕委員 非常に詳細なものが出た。しかもそれは、われわれが想像つかぬ人の名前まで司令部にはわかつてつて、一々その本人を呼び出して、これはお前のダイヤであるかどうか、いつ出したに違いないかといつて、人物と品物と照し合わすほど、詳細な記録があるのですが……。
  314. 中田玉市

    中田証人 私の方では、そのときにそういうものを求められたことはございません。ただ、私の方の鑑定長をやつてつた人間が呼ばれて、マレーのところに持つてつたダイヤと一緒にまぜ返して、このうちにお前の買つたダイヤがあるか、こう言われて、そのうちから自分が鑑定したものをピック・アップしたので、結局マレーが日本銀行から持つてつたのだということに認定をされたというようなうわさ話は聞きましたけれども、私の方からそれについて何ものも出したよう記憶はありません。
  315. 世耕弘一

    世耕委員 私が報告を受けたのは、その裁判に証人として呼ばれた婦人が、偶然自分の出したダイヤをその場で見せられて、びつくりした。しかも、私がそれを持つていたということがどうしてわかつたのだろう、こういうようなことが言われておるのであります。それは、りつぱなリストを司令部側が持つていたから、そういうことが突然言われた、こういうことに結論づけられたわけでありますが、私が経験するところによると、どうも営団等の関係者は、真実を言わない従来のくせがあるように思います。これは露骨なお話ですが、実際を申しますと、清算人に渡らない以前の会社の人は、私のところにダイヤなんというものは一切ございません、こういうものばかりでございますと言いながら、続々出て来ておる。ですから、あなたの今おつしやる言葉の裏を見ると、どうも、よほど苦しく言いわましておられるように、これはひがみかもわからぬが、そういうようにとられるのです。まあ私のお尋ねしたいのはこの程度ですが……。
  316. 中田玉市

    中田証人 言させていただきますが、今世耕委員は、お前は非常に苦しい言いまわしをしておるのじやないかと言われるが、私はちつとも苦しい言いまわしはしておりません。まつたく私の記憶のある通りを真実申し上げた以外に何もございません。
  317. 中野四郎

    ○中野委員 中田証人には、私はきようあらましを伺つただけで、反駁をいたしませんでした。なぜ反駁をしないかということは、中央物資活用協会に関する限りの調査資料はこちらにあるのであります。一応本日証言を求めて、そうして私の方の物的証拠と合わして、そして新たに理事会の議を経てあなたに来ていただいて、そこで今日の証言と私らの証拠書類とを突き合せて、初めて質問をしたいと私は念願しておつたから、きようは端的にあなたの一応の証言を伺つただけなんです。何ら反駁はしなかつた。けれども、あなたは大体はお察しでありましようけれども、きようお尋ねした中に三点、あなたの方にはどうしても割切れないものがあるはずであります。あなたのお出しになつたリストというものは、当時われわれが求めておつても、どうしてもないというので、その前提のもとに、リストはないということになつてつた。ところが、近ごろリストというものがいろいろな形において出て来ておるのです。私の方の集めた書類と突き合せて、いずれお話をする機会があると思いますので、きようは長い時間でしたから、私はあえて質問を続けばいたしませんけれども、あなたの方も、きよう委員長から要求されました書類は急速にこの委員会に出していただきたい。その書類に基きまして、もう一ぺん御足労願つてお尋ねをしなければならぬ点があるということを、あらかじめ御了承願つておきたいと思います。
  318. 吉武恵市

    吉武委員長 他に御発言ございませんか。——他に御発言がなければ、中田証人に対する尋問はこれにて終了いたします。  証人には長時間御苦労さまでした。  なお、明八日、日本銀行地下金庫を視察に参りたいと存じますので、午前十一時に委員長室にお集まりを願います。バスの用意をいたしておきます。視察終了後委員会を開きます。  本日はこれにて散会をいたします。     午後四時四十五分散会