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中田証人 交易営団に納めたのは、びしつと合います。接収された数字は、これはその当時、はかりもしなければ、領収証も場合によ
つてはくれない。ピストルを持
つて来て、どこにあるのだと言
つて、持
つて行かれたのですから、どうすることもできない。それは恐ろしい目にあいましたが、とにかく、そういう
状況で接収されてしま
つたわけでありますから、それで、このことについては、私の方から、数量を
はつきりするために、持
つて行かれてから後に日本銀行の地下室で
鑑定を
許可してもらいたいということを申したのでございます。そうしたら、
鑑定は
許可するというGHQの回答があ
つたわけです。それで、私の方では、いつでも
鑑定ができる
ようにきちんとして送
つたわけです。こまかくわけて、中に一人々々の伝票が入
つておりまして、その伝票とその品物とが常に合う
ように、一袋々々に入
つておりますから、そういう
ようなものも非常に綿密に、いつでも
鑑定ができて、
鑑定ができれば私の方の
買上げ数量ときちつと合うだろうという確信を持
つてお
つたのです。ところが、いくらた
つても
鑑定の
許可は出て来ないのです。それで、私の方では、しびれを切らして、もう
鑑定さしてもら
つていいじやないかというので、
鑑定の申請を
大蔵省を通じてやりました。そうしたら、よろしい、
鑑定を
許可するということになりまして、そのかわりに、
鑑定人の氏名、住所、これは非常にやかましく、こういう資格のそろ
つた者を
鑑定人に出せといういろいろ内票ありました一のですが、それに合う
ような
鑑定人を私の方で選定して、こういう者を
鑑定人に何人やりますということまで出したのでございます。そして、いよいよ
鑑定を
許可するという
許可書が参りまして、それではいつからがよろしいかというので、GHQの方と、今度は実際の日本銀行の地下室の連合軍の
保管者のところへ折衝に参りました。ところが、それは不可能だ、こういうことをそこのチーフが申します。そんなばかなことはないだろうということで、一旦私の方に
許可したものですから、GHQでも非常に困
つたのです。私の方は、GHQに乗り込んで行きまして、
鑑定は不可能だということを言
つておるが、どうなんだ、
——そんなばかなことはないというので、GHQの方では、大佐だ
つたと思いますが、日本銀行へ一緒に
行つてくれて、そしてあそこのチーフといろいろ話合
つてくれたのです。すると、これは実際不可能だ、物理的に不可能だということで、
——英語で話合
つているので、そばで聞いてお
つて、よくわかりませんでしたが、長い時間折衝しておりました。とうとう、日本銀行の地下室へ入
つて見てくれということになりまして、私と、私の方の
理事長と、それから、なくなりました
交易営団の雑貨次長をや
つておりました細さんの三人と、それからGHQの方と一緒に入
つて、見ました。そうしましたら、私の方がほんとうに綿密にこまかくわけてや
つたものを、みんな一緒くたにして、日本銀行の紙幣を運ぶ箱の中に入れてあ
つたのです。そうして、
交易営団から持
つて行
つたときは、細さんが長い間
鑑定をして、細さんの監督のもとに魔法びんへ入れて封をしたものまで、あけて、魔法びんはそこらにほうり出してあり、全部一緒にしてあ
つて、どうすることもできなか
つた。こういうことで、数量が一致するかということの
お尋ねについては、私は一致しますと、こう申し上げますが、それでは、その数字の一致することをどういうことで言うかと言われれば、これは、御説明は、それ以上にはできないのであります。私の信念として、私の集めた数量は一致すると言う以外にございません。
鑑定ができなか
つたから……。
鑑定ができれば、りつぱに証拠をあげて御説明できたと思います。