○堤(ツ)
委員 私が実例を見ておりますのに、せめて
無償永久貸与でもいいからと言
つて泣きついて来られても、
社会福祉事業や教育事業における
無償貸与をしてもらえない事実が非常に多いんです。この
無償貸与というのは非常にありがたい言葉で、お借りになる方からいえば
無償払下げと一緒なんです。中山政務次官もお出ましにな
つておりますが、あなたの大阪の話を例にと
つて申し上げますと、大阪の元偕行社の一部にただいま追手門学院というのがあります。あの学校などは
接収されて
解散団体にな
つてしま
つた、それで取上げられてしま
つたのですが、一応
政府も
解散団体の対象にしないという宣言をしたのです。ところがその宣言が
間違つてお
つたということにな
つて、二年ほどた
つてから取消しが来た。そういたしますと、保護者はエプロンをしてPTAであずきをこしらえてお茶をくみながら、焼野原で電線
一つないところから立ち上
つて来た、今日まで借金しながら、PTAの寄付で子供たちが骨折りながらや
つて来た。ところがこれを三千万円、四千万円で買えと国から言われた。そうして三月にあげず証書が行
つて、買わなければどつかへ宿がえをしなければならぬ、宿がえなどできない、借金を背負
つておるというようなわけで、非常に困
つておる。これは
一つの例でございますが、外人の
社会福祉事業の
施設を
考えますときに、今の
安田社会局長のように、先のことは
考えられませんというようなその場当りのことではなしに、やはり
接収にな
つて解散団体の指示を受けたところのものに対しては、一応これくらいの限界で行くという
一つの筋を通しておいて、順次はずさして行くというのならわかりますけれども、同じ
解散団体であ
つて、これはこうするけれどもあれはこう持
つて行くというようなことになると、これは始末がつかなくなるのじやないかと思うのであります。
従つてどうかひ
とつ大臣と御相談にな
つて、これを契機に
政府内の思想を統一されまして、筋の通
つた御答弁をいただきましたならば、一刻も早く私たちは
遺族に払い下げることには決して
異議を申し立てるものではございません。そうして私は
委員長にお願いをいたしておきますが、ここに今
政府からもら
つた資料がございますが、私たちこの
資料を見ましても、なるほどきれいなあつさりした図面ですからわかりますけれども、駐留軍が使
つておるこの中の実態というものはどの程度のものかということが何もわからないわけです。それから宿舎とはどういうものか、食堂とはどういうものか、文化
劇場及び集会室とはどんなものかということは、やはりこれを審議するわれわれ
委員の目に見せてもらわないと、木賃宿程度のものか、大臣の宿舎程度のものかわからないわけです。そうすると私たちがたとえば将来靖国神社に遺児を無料参拝さしてあげる、め
つたに東京へ来られない
戦争未亡人の、子供を育てた人が、国のおかげで靖国神社に参らせてもら
つた、のりとをもら
つたというそのありがたいときに、この宿舎の恩典に浴して、おいしいものの一ぱいも呼ばれたということならわかりますけれども、そんな
遺族なんかかま
つていられないからとい
つて、高級ホテルのようにしてこれらを対象にしないということになると、これはわれわれの志とま
つたく反することになります。ですからこれが木賃宿程度のものか、アメリカさんの将校の宿舎というと
相当高級なものじやないかと思いますが、いたずらにこれを論じてみてもぴんと来ないわけです。
従つてこの
委員会におきましては、正式にこれを視察するための動議を私は
提出いたしますから、
委員長においておとりはからい願います。