○堤(ツ)
委員 私が御
質問いたしました問題でございますが、なるほどあなたの今の報告を聞いて、各都道
府県において年金下付によるところの生活保護打切りないしは中止の声が高か
つた原因がわか
つたように思います。それからあなたのその内翰につきましても、お願いしておきたいことは、その写しをいただきたいのでございますが、御存知の
通り厚生省で御解釈にな
つてお出しに
なつたものはやはり上官の命令でございますから、
府県庁なり市町村へ行きますと、もう上官にしかられる危険がありますから、下へ行くほどわくを狭めて
考える。これは税金の徴収などの場合も同じことでございまして、大蔵大臣などの御
答弁と末端税務官吏の行うこととが、ま
つたく相反するような処置がとられておるというようなこととも符合すると存ずるのであります。今簡単にお読みになりましたので、あんまり早くて、しかとその文句を一々かみ砕くことはできませんでしたけれ
ども、なるほど末端官吏がそれをごらんになりました場合、こういう内翰が来たのであるから、生活保護適用者については、一応この条項に従
つて一々可否について検討して、できるだけしぼらなければならぬという印象をも
つて、
地方の福祉
事務所あたりがますますおやりになることはむりからぬことであります。あなたがここで
お答えにな
つておるお心持が
地方ではうんと強化されて実施されておるということになりますから、私はやはり私が予想してお
つたくらいの数が中止あるいは廃止されておるということが納得行きました。でありますから、このまま行かれますならば、これはやはり年金が、今度は
援護法が改正になり、
恩給権を持つ人は
恩給法の適用者とな
つてややかわ
つて行くわけでございますけれ
ども、しかしこの
生活保護法の適用者の方々が、非常に今度かわ
つたといたしましても、またその額においてさ少でございまして、
生活保護法の方がありがたか
つたというようなことが出て来ると思うのでありますが、ひとつここで局長にお願いをして、御確約を得たいのは、この二十七年十月六日に出されたところの内翰は、都道
府県によ
つては非常に厳密な解釈をして、苛酷な処置をする結果とな
つておるようなところがあるから、少し再検討しろというような御内示なり再内翰がや
つていただけないものか、そうでないと非常に目に余るような実例が多ございまして、あなたの今御報告になりました二十七年の七、八、九は少くても、あとの十、十一、十二、二十八年の一、二、三を通じて二万六千余りの世帯の中には非常にお気の毒な方々が多ございますから、ひとつその内翰に対して涙あるところの御処置を願えないものであるか、できたらここでいたしますということを言
つていただいて、
未亡人母子世帯や
遺児を救
つてや
つていただきたい。さもなくばここで私たちは
生活保護法というものの
基準額について、またこれが運営について、また
生活保護法の根本理念について、現在の国民の実態に照し合せてひとつ
考え直さなければならない階段に来ておる、かように
考えるのでございまして、何とかやわらかい手心をもう一度ここで示していただくような親心は御確約願えないものでしようか。あなたがおつしやいました二万六千何十という母子世帯は非常に気の毒な世帯でございまして、局長の内翰を福祉
事務所がつつしみかしこんで拝しておりますと、まことに血も涙もない政治が末端において行われて行く。もし私が申し上げることがうそだと思われますならば、局長は国会が済みましたら私と同道されまして、最もひどいといわれておる滋賀県の一々のケースについて、ひとつ御見聞願いたいと思うのであります。私はこの間大臣からこれについては、堤さんの国
会議員としての認識不足であるということを言われましたけれ
ども、認識不足どころか、二万六千数件のこの事実を、大臣が知らずして私を御非難あそばしたのでありますから、大臣とはまたときを違えて対決させていただきます。局長としては何とかここで親心を示せないものでありましようか。こういう処置をこうむるものができる。たとえばお母さんが結核で寝込んでおる。
生活保護法の適用を受けてお
つた。
子供が三人お
つて、頭が十三である。そしてその三人の
子供は上の
子供が辛うじて御飯ぐらいはたけるけれ
ども、やはり三人を母が育てなければならないというので、兄弟相助け合
つて暮しておる。
遺族年金
援護法ができた、お前のところには年金が来るからというので生活保護の援助を打切られて、お母さんは肺病で医療給付さえももらえない
実情がある。そういたしますと、暗いところでお母さんは血を吐きかけておる。三人の
子供は御飯もなくてその日の生活に困
つておる。
援護法の年金はお役所仕事であるから、待てど暮せどお金が来ないというので、見るに見かねて近所の人も一緒に泣いてお
つたという実例がある。これは何も私が点数かせぎにスタンド・プレイに
発言しておる問題じやないのですから、局長は真剣に
考えていただきたい。少くとも
戦争未亡人、
遺児、老人は生き物でありますから、一刻もこれを捨てておくことはできないという精神で私は申し上げておるのであります。この二万六千何件というものは、まことに苛酷な結果として現われた数字であ
つて、私たちが見聞した以上のものがあると私は推察する。この報告を聞いてますますけしからぬと思うのでありますが、ここで何とかひとつ再検討をしていただきたいと思います。