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田邊政府委員 恩給のうちの公務扶助料の対象になる
方々と、
戦傷病者戦没者遺族等援護法の対象になる
方々と、それから
留守家族等
援護法の対象になる
方々とはそれぞれ違
つております。一番問題になりますのは
お話の
通り公務であるか、公務でないかという点の問題が一番多いのじやないかと思
つております。
法律で公務と書いてあります以上、公務基因の死没以外の者に対しまして、つまり非公務を公務として扱
つてやれという議論はわれわれとしてそういう建前では承服しかねるわけでございます。非公務であ
つても、戦争中、在隊
期間中に死亡した方には何らかの処遇をしてあげるということは、われわれも了承いたしますが、その点につきましては現在の
法律には抜けておりますので、今後何とか十分善処いたしたいと申し上げておるのであります。公務の範囲をどの程度まで
考えるかという点につきましては、実は昨日内閣
委員会におきまして恩給
局長から、昔は陸海軍ど協定してつく
つた内規のようなものがあるということを言
つておりましたが、われわれは今日あのような内規にはとらわれておりません。そうでなければ半年の間に百七十何万どいうものを、昔のようにやかましく言
つてお
つては、一日に一件々々の割合で行くと、とうてい処理できないわけでございます。今度の戦争の特殊性を
考えまして、従来の基準に必ずしもこだわることなく、実情に即した取扱いをして行きたい、こういうような
考え方でや
つておるわけであります。十万人もたま
つておると思いますが、そのうち半分ぐらいが作業中でございます。ただ資料が全然ない者がございます。これはやはりこういう
法律に基く個々の裁定でございますから、できるだけ御
遺族の方としまして持
つております資料なり、あるいは
関係官署が持
つていらつしやる資料を集めまして、その資料の上に立
つて裁定をするということは当然だと思います。そこで探しましてもどうしても資料がない場合はどうするかという問題でありますが、資料を収集しておるものも相当あります。それから資料は出そろ
つたけれ
ども、はたしてこれを公務と
考えるか、
考えないかという問題で、いろいろの点から検討を加えなければならぬというものもあります。ほんとうから申しますと、大体において公務とは
考えられないケースが多いわけでございます。もし早く裁定をしろとおつしやるならば、これは却下するという部類に入るものが相当あるわけでございます。われわれの方としてはできるだけいろいろの点から
考えまして、御
遺族の
方々に有利になるようにということを
考えながらいろいろのケースを調べておるわけでございます。たとえば恩給月長から
お話があ
つたと思いますが、自殺の問題がございます。自殺は従来二
通りございまして、戦闘中に玉砕したような部隊におきまして自殺した場合は、これは当然公務と
考えられますが、いわゆる責任自殺と申しますか、終戦後相当責任自殺と称するものがあるわけであります。こうした
方々をどう取扱うかという問題は、従来に例のないむずかしい問題でございます。これを全部公務と
考えるわけには行かないし、また全部を公務でないと
考えるわけにも行かないのであります。やはり公務の個々のケースに当りながら、しかもある程度の基準を設けまして取扱わなければならぬ。しかしこれは将来
恩給法の、公務の扶助料をもらうべき人になるわけでありますから、恩給局とこの点は折衝を遂げる必要があります。恩給局は御
承知の
通り目下ああいう状況でございますので、われわれの方で詳細な検討を遂げまして、恩給局の御了解を得た上で実施したいというのがわれわれの
気持でございます。万一にも将来恩給局からそれは公務でないと言
つて来られた場合におきましては、とんでもないことになるわけであります。もしそうでない場合には、
援護法で公務と
考えたものは、当然
恩給法においても公務の裁定があ
つたものとみなす、こういうふうな
法律でもありますれば、非常に楽ではございますけれ
ども、それが別にな
つておりますと、向うとわれわれの方の
意見が食い違う場合もあり得る。そういうむずかしいケースにつきましては、最後には恩給局と訂合せをする必要があると思いますが、しかし十万なり二十万の者が残
つている。それを全部一件々々恩給局と打合せることはむずかしいので、その中の特殊のクースにつきまして打合せをいたしまして、
意見が整いますればそれについて処理をするという
考えであります。
それからもう
一つ内地の死亡でございます。内地の死亡にいたしましても、昔内地の死亡者であ
つて、
恩給法上公務でないとして扱われたものがあるわけでございます。それが今日われわれの方にも
援護法をや
つてもらいたいと言
つているわけであります。これはすでに裁定が一応あ
つたわけでございますので、それをわれわれの方で公務と扱うわけに行かない。そうするとそれと類似ケースを
援護法では公務と扱うというような1将来
恩給法の公務とわれわれの公務との不統一にならないようにするためには、内地の場合におきましても、内地におる者が全部いけないとは
考えておりません。今度の戦争の特殊性から
考えまして、内地の場合におきましても、ある程度公務というものは
考えて行かなければならぬと思
つております。内地の方は全部いけないというわけではないですが、
一つ一つのケースをとりながらぐずぐす行
つております。先般も内地死亡のものを相当裁定いたしました。その後できるだけ実情に即して
考えようということで苦心をしておるわけでございます。保留だとい
つてたなに上げておおけでござい喜んので、いろいろ合方面から研究をしながら処理しているわけでございます。