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1953-07-10 第16回国会 衆議院 厚生委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十日(金曜日)     午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 青柳 一郎君 理事 中川源一郎君    理事 松永 佛骨君 理事 古屋 菊男君    理事 長谷川 保君 理事 堤 ツルヨ君    理事 中川 俊思君       越智  茂君    助川 良平君       田中  元君    降旗 徳弥君       安井 大吉君    山口六郎次君       中野 四郎君    山下 春江君       萩元たけ子君    柳田 秀一君       杉山元治郎君    亘  四郎君       有田 八郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 山縣 勝見君  出席政府委員         厚生事務官         (医務局次長) 高田 浩運君         厚生事務官         (社会局長)  安田  巖君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君         厚生事務官         (引揚援護庁次         長)      田辺 繁雄君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 七月九日  インターン制度廃止に関する請願加藤鐐五郎  君外五名紹介)(第三二〇五号)  同(中井徳次郎紹介)(第三二〇六号)  同和問題に関する請願櫻内義雄紹介)(第  三二〇七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  戦傷病者戦沒者遺族等援護法の一部を改正する  法律案内閣提出第一一八号)  未帰還者留守家族等援護法案内閣提出第一一  九号)  社会保険審査官及び社会保険審査会法案内閣  提出第一二七号)  日雇労働者健康保険法案内閣提出第六〇号)  医師等免許及び試験特例に関する法律案(  内閣提出第一四〇号)  財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸  付に関する法律案内閣提出第一四四号)  食品衛生法の一部を改正する法律案内閣提出  第一八号)(参議院送付)  厚生行政に関する件     —————————————
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  まず社会保険審査官及び社会保険審査会法案及び医師等免許及び試験特例に関する法律案の両案を議題とし、前会に引続き質疑を行います。柳田秀一君。
  3. 柳田秀一

    柳田委員 医師等免許及び試験特例に関する法律案ですが、大体この法律案の要旨はわかるのです。問題は、二回受けて二回だめならば、その人はもう受験の資格がないという点に一つ問題があろうかと思うのでありますが、二回というような基準をつくられた動機、あるいは今までの実績はどういうふうになつておるか、その辺のところをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  4. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 お手元に提出いたしてあります法案は、従来のいわゆる引揚げ医師と同じような取扱い方を踏襲いたしまして、期限を延ばしたということにとどまるわけであります。今お話試験を受ける回数制限したということは、従来とも制限をいたしておるのでございますが、これについて私どもの了解しております範囲におきましては、これは柳田先生専門家でございますから、十分御承知のことだと思いますが、医師というのは、やはり学校教育を基礎として養成して行くという建前をとつております関係上、いわゆる独学で勉強して、試験を受け、試験に合格すれば医師にするという建て方は、医師養成全般についてとつていないわけでございます。終戦前後にわたつて、大陸その他において非常に苦労されたこれらの方方につきましては、そういつた意味で、一般的な医師免許基準に該当いたさない方が非常に多いのでございます。しかしそういう特殊な立場におられた方で、特殊な場合でもございますので、その辺のところを考慮の上、この特例というものが設けられたわけでございます。そういう意味で、向うの方において得られた知識経験というものを、大体の標準に照らして、医師免許を与えるかどうかということを判定する。すなわち帰つて来られた方方について、その当時持つておられる知識経験というものが、はたして医師として適当であるかどうかということを判定する一つのやり方として、特例試験が行われることになつておるのでございますが、そういう意味においし、この試験というのは、回数を重ねし合格まで持つて行くという考え方よりも、今申し上げましたように、知識経験を一応テストして、開業を許すかどうかということを判定する契機でございますので、一回というのも非常に酷でございますので、二回ぐらいが適当ではないだろうか、そういう趣旨で二回になつているものと了解をいたしております。  それから今お話実績でございますが、現在まで引揚げ医師特例試験を行いましたのは、先日行いましたものまで含めまして十一回でございますが、先日のものにつきましては、まだ結果がわかつておりませんので、それを省きまして、それまでの間における実績を申し上げますと、現在まで受験いたしました実数は、医師は六百二十二人、歯科医師は二百二十八人、うち、この特例試験に合格いたしましたのが、医師は三百四十八人、歯科医師は百九十一人、失格いたしましたのが、医師は百十一人、歯科医師は四名、あと一回受験できます者が、医師は百六十三名、歯科医師は三十三名、そういうことになつております。なおこの失格いたしました者も、これも御承知のことと存じますが、別個の法律によりまして、医師のいわゆる予備試験を受ける資格は認められておるのでございまして、その方面から医師になる道がもちろん開かれておることは申すまでもありません。
  5. 柳田秀一

    柳田委員 二回受けて二回とも落ちたというのは、まだございませんか。
  6. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 ちよつと言葉が足りませんでしたが、今申し上げました失格者というのが、すなわち二回受けて二回落ちたという者でございまして、百十一名と四名でございます。
  7. 小島徹三

    小島委員長 他に両案についての御質疑はございませんか。——他に両案についての御質疑もないようでありますから、両案についての質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 小島徹三

    小島委員長 御異議もないようですから、両案の質疑は終了したものと認めます。  討論及び採決は後日に譲ります。     —————————————
  9. 小島徹三

    小島委員長 次に連合審査会開会の件についてお諮りいたします。現在当委員会において審査を続けております戦傷病者戦沒者遺族等援護法の一部を改正する法律案及び未帰還者留守家族等援護法案の両案について、海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員長より連合審査会開会申入れがありました。特別委員会の方は本日この申入れの決議をする予定だということであります。あらかじめこの申入れを受けることに決しておきたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  なお開会日時等に関しましては、双方の委員長で協議してきめることにいたしますから、御了承願います。  現在の予定は、明日午前十時より開会する予定であります。  暫時休憩いたします。     午前十時三十二分休憩      ————◇—————     午前十時四十四分開議
  11. 青柳一郎

    青柳委員長 代理休憩前に引続いて会議を再開いたします。ただいま質疑を終了した二法案を除いた本日の日程全部を一括して議題とし、前会に引続き質疑を続行いたします。中川源一郎君。
  12. 中川源一郎

    中川(源)委員 私は戦傷病者戦沒者遺族等援護に関する法律の一部につきまして、若干お尋ね申し上げたいと存じます。大臣がお見えになりませんが、必要な点はまた大臣にお伺いいたしたいと存じます。何分今回の戦争が非常にその範囲規模も大きかつたのと、長い間かかつた戦争でございましたので、非常に犠牲が多く、複雑多岐にわたつておるのでございます。戦争犠牲者問題解決にはなかなか困難な点が多いのでございますけれども、先年つくられましたこの援護法につきましては、私ども幾多修正を要する点を見出すのでございまして、とうていこれは満足なものではありません。それを一々私が列挙するまでもなく、本日までの委員会あるいは本会議において先輩各位からいろいろと御心配をいただき、御発言をいただき、修正すべき煮につきましてもいろいろ御尽力をいただいておるのでございますが、ぜひとも私は今回の修正を見なければならないと信じてやまない点が若干ございますので、それについてお伺い申し上げる次第でございます。  昨日も堤委員から御発言がありました生活保護法適用範囲運営についてでございますが、これについて私はもう少しはつきりしていただきたいと思うのでございます。私は年金を受取つておる者に対しまして全部差引するというようなことは、どうもこれは援護法精神にもとると思うのでございますが、この運営につきましては各府県においてまちまちになつている。私の調べている範囲においては画一的な援護法が行われていない。たとえば東京都の実例を見ますと、年金受取つた者に対しましては、一箇月分だけを差引いたしまして、あとはもう差引せないで生活保護法適用をいたしているという状態であります。およそ東京都はそういう状態になつております。他府県におきましてもそういうふうな例はたくさんございます。一箇月分だけ差引いたしまして、あとは差引しない、こういうことになつている向きが多うございます。もしそういうことにするならば、全部そういうふうに画一的にやつてもらつたらどうかと思うのです。その家庭々々においていろいろ事情が異なつている点がございますが、そうでなくて地方々々によつて運営する人によつて、差別があるわけでございます。ある地方はこれによつて一応打切つてしまおう、生活保護法適用打切つてしまおう、年金をもらつている者に対しては、もう自分で自活して行くようにということを勧めまして、打切つてしまおうという状態があるのでございます。たとえば京都市における左京区、他の区はそうでございませんが、左京区は全部打切らすというような方針をとつております。でありますから、年金を一たびもらつたものは、それでもうおしまい。非常に困難な状態で恨んでおります。困難な生活をしている者が、年金をもらつたからというので、それから後は生活保護法適用を受けられないというようなことでは、私はかえつて年金をもらつたがために恨むと思う。昨日大臣マイナスになるようなことはないとおつしやつたが、実際にもしも京都市の左京区をお調べくださいますならば、マイナスになつておるということが明らかにされておるわけでございます。こういうようなことのないように、一箇月分ならば一箇月分だけを差引きまして、あとは引続き生活保護法適用を受けせしむるということにしてもらわなければ、年金のために非常に損をしておるという状態、また年金をもらつただけを全部差引して、たとえば年金を一万円もらつたならば一万円の分だけを差引く、あとは引続きもらつておる者もあります。それならばこれもマイナスでございます。なぜならば、年金をもらうための手続約手円平均かかつております。戸籍抄本を取寄せましたり、いろいろな手続をいたしますのに費用がかかる。その郵税とかいろいろの費用を損しておるというような向きもあるわけであります。これも小さなマイナスであります。これは一体厚生省の方からそういうふうに完全に差引するように、あるいは打切るようにというような指令が、各都道府県に参つておるものであるかどうか。そういうようなことが参つていないということでございましたならば、一応大臣が昨日言われましたような精神が全国に行き渡りますように、年金をもらつたために非常にありがたかつたというような感じを起すことができるように、たとえば今日まで借金をしておつて、それが返せなかつたが、年金をもらうことによつて、ようやく借金を返すことができたということならば、これはありがたく感ずるわけでございます。しかしながらその借金を返すことができない。保護法適用打切るというようなことがありましたならば、これらの人は恨むのでございます。そういう事実が今日地方にあるわけであります。これは各市の方では、たとえばこの保護法適用にあたりましては、その都市が二割は負担しなければならない建前から、厳重なことを言うのかもしれません。そういうようなことのないように、ひとつ都道府県において足並のそろつた対策が講ぜられますようにしていただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。  なおついででございますが、昨日中国から引揚げた方がありますが、これらに対しまして生活保護法適用を全部受けさせることになつておるのかどうか。今日まで生活保護法適用をほとんど全部受けておるようでございます。しかしながらこれらの中には莫大な金を持つてつておる人がある。数百万円の金を持つてつておる人もある。そうして大体裕福な、今日まで引揚げ帰つた人と違いまして、すべて持ち物は持たすという状態でございます。日本金によつて換算いたしましても、数千万円の金を持つてつておる。四千八百名の人が金を持つてつておるのです。それでも生活保護法適用を全部受けさせるのであるということでありますならば、まことに保護法適用というものは怪しいものである。私はその方針はけつこうであると考えますけれども、そういう不公平なことが世の中にある。たとえば朝鮮人住所不定の者ががんばつて、そうして生活保護法適用を受けたいというようなことを盛んに申し出る者に対しましては、あまりにうるさいから保護法適用をせしむる。そうしてその受けておる者で酒を飲んだり、どうも不品行なことをしておるような者があつて、それらに対しましても、保護法適用打切るということをせずにある者があります。私も民生委員をいたしておりますから、実際においてわれわれがそういう者を調査いたしましても、調査がなかぐ困難な場合がある。そういう者に対して相かわらず保護法適用をいたしておるというものもあります。まじめな者に対しましては、打切るというようなことをやつておる向きが往々ございまして、うるさい者に対しましては、いつまでも保護法適用を受けさせるというような向き地方においてあるわけでございます。こういうことでありましたならば、大臣意思が私はあまねく地方に通じていないと思いますので、こういう事柄につきましては、十分に注意をしてもらう必要があると思いますけれども、まじめな遺族年寄りやあるいは子供らの生活困難をきわめておる者に対しまして、保護法適用打切つてしまうというようなことは、あまりにも無残なことであると考えまして、私は再びこの問題につきましてつけ加えさせていただきたいと思うのでございます。  それから父母年令制限を加えられました。この制限を撤廃されたいと思うのでございますが、そういう意思があるかどうかということでございます。人間は六十才以上生きられるということに限つたものではございません。すでに終戦後今日まで死没いたしました遺族は四十九万八千に達しております。これらの年寄り方々は、恩給を受けることのできない五十七、八才の方々でも、非常に老衰した人もありますし、なくなつた人がただいま申しましたように多数に上つておる。大体恩給を受ける人は、日清日露戦争当時を考えてみますと、十年たちますと、年寄り恩給を受ける人はなくなつてしまう。すでに戦後七年を経過して八年目でありますので、もう五年、十年いたしましたならば、完全にこの恩給を受ける人がなくなつてしまうという状態でございますが、六十才以下は年金も出さないということでございましたならば、これはあまりにも気の毒でございます。でありますから、当然これは、子供が戦死いたしましたような親は相当な年令に達しておるのでございますし、かんじんの働き手を失つておる親といたしましては、ほかの人が年金をもらつておるにもかかわりませず、自分がまだ六十才に達していないから年金ももらえないということでは、必ず不満の心持を起すのでございます。一日も早く年令制限を廃止すべきであると思うのでありますが、どういうふうなこれに対してお考えを持つておられるか、この三点をお尋ねしまして、またさらに引続きお尋ね申し上げます。
  13. 安田巖

    安田政府委員 私途中から参りましたので、答弁見当違いでございましたならばお許し願いたいと思います。生活保護法適用が地域的に区々であるというようなお話でございます。これにつきましては、社会福祉事務所ができましてからは、昔の民生委員手伝つていただいたときに比べまして、非常にそういう基準がはつきりいたしまして、科学的な調査によりまして、保護適用をやつておりますので、私どもそういう点は非常によくなつたと思います。しかしやはり人間のやることでございますので、福祉事務所ごとの多少の差があると思いますけれども、そういう点につきましては今後十分気をつけて参りたいと思います。  それからもう一点は、中共引揚者に対しましては、全部生活保護適用しておるというようなお話かと思います。これは中共引揚者に対しまして、全部生活保護適用するというわけではございません。やはり私ども生活保護法の原則に従いまして、一定の基準にあてはめてみて、それに該当するならば生活保護法適用する、こういう取扱いをいたしております。但し引揚げられた直後でございますので、いろいろ生活条件等につきましてハンディキヤツプがあるような点をしんしやくいたしておるかと思いますが、原則的に申しますならば、その間に特別の差異はないものと心得ております。
  14. 田辺繁雄

    田辺政府委員 戦沒者遺族援護法遺族年金支給対象年齢を、今日六十才以上というふうに制限いたしておるが、その年齢制限を廃止する意思はないかというお尋ねでございますが、この点につきましては、先般青柳委員からの御質問に対してお答えしたのでございますが、援護法は御承知通り国家補償精神に基く法律でございます。しかし立場はあくまでも援護でございまして、援護という立場から年金を支給することになつております。従いまして、社会通念稼働力があると考えられまする方々には御遠慮を願いまして、真に援護を必要とする方々年金を差上げたいと考えております。御参考までに申し上げますが、先般の戦争は、非常に規模が大きかつたという関係上、比較的年齢が若い方がたくさん戦没されておるわけでございます。従つて、御両親の年齢もお若い方が相当多いのでございまして、六十才以上の父母の方と六十才未満の父母の方との割合は、半々までは行かないと思いますが、少くとも六〇%ないし四〇%くらいの割合まで及んでおるのでございます。今日厚生省立場といたしましては、若干恩給趣旨を異にいたしますので、年齢をある程度制限することが適当ではないかと考えております。
  15. 中川源一郎

    中川(源)委員 ただいまの御答弁は十分尽されていないと思うのでございます。生活保護法適用の問題でございますが、私のお尋ねいたしたのは、地方々々によつてまちまちになつておるということなんです。これは厚生省の御意向が、各都道府県に十分徹底していないのであるかどうかという点について私ども疑いを持つておるのです。先ほども申しましたように、東京都では一箇月分を差引き、あとは裕福なものは保護適用を受ける必要はないのですが、家庭いかんを問わず引続き出しておるという状態である。そういうふうに他の地方でもやつておるところもございますけれども、また打切つてしまつて一切出さないというところがある。そういうことではマイナスになる。きのう堤委員の仰せになつた通りでございまして、非常に恨むということになります。今日まで打切られた件数が一体どのくらいあるかということを、一応私ども調べてみたいように思うのでございます。その点ひとつその数字を出していただきたい。今後そういう方針でおやりになるつもりであるかどうかということを伺いたい。願わくはそういうことのないように一箇月分だけ差引きまして、あとは引続き保護法適用を受けられるようにしていただきたいと思うのでございます。  それから年齢制限を廃止せよという点につきまして、これは援護法であるから、まだ働ける者に対しましては出せないという考え方だというのでございますが、その働ける、働けないという点につきましては、生活保護法適用を受ける者が年齢制限がないと同じように、からだの弱い者は働けない、からだの強い者は、いくら年が行きましても働けるということによつて制限をすることは、公平のようであつて不公平であると私は思うのです。年齢制限はぜひとも廃止すべきである。私は元来援護という名前をつけられることを非常に不愉快に思つておる。国のために命をささげ、赤紙一枚で応召を受けて、そしてただ一筋に国を思うてなくなつた人に対しましては、当然国が敬意を払つて恩給なり何なりで国家が補償せなければならない。負けたいずれの国においても丁重な扱いをいたし、恩給なり年金を支給して待遇をよくしておるのでございます。日本だけが敗戦いたしましてから七年間何一つ遺族を慰めるということなしに来た。昨年援護法というものをつくられましたけれども援護とは助け守ることで、われわれ遺族は助けてもらいたいということを一回も陳情したことはありません。国のために働いてお国を助けるのがわれわれ遺族であります。そういう言葉を使うということは不愉快である。国が感謝の意を表して恩給を支給すべきである。あるいは国家がその家族に補償すべきである。だれにでもこれはやつておることで、現に公務に倒れた者は、たとえば消防夫自分の過失によつて焼け死んだ場合、千日分の弔慰金で一日三百円とすれば三十万円です。また警察官が賊に殺された、学校先生が教場で倒れたという場合、これらに対しては五十万円から百万円の金を送つて丁重な扱いをしておる。さつき申したように赤紙一枚でいやおうなしにひつぱられて、そうして国のために倒れた者に対して援護とは何事ですか。助けてやるとは何事ですか。助けてもらわなくてもよろしい。当然国家がこれを補償すべきである、こういう考えを私どもは持つておるのであります。これ以上今厚生省関係の方に申し上げるのではございません。また他日申し上げるときがあるかと思いますから、私は遠慮いたしておきます。  次に私の御質問申し上げたいことは、内地、外地を問わず、現役または応召によつて軍務に勤務しました者で、服務中に傷害を受けたり、あるいは疾病にかかつてなくなつたりした戦死者戦病者に対しまして、その死亡された場所のいかんを問わず、また病気種類いかんを問わず、支給すべきであると私は考えるのでございますが、たとえば二十四種類病気というものはほとんど伝染病ばかりである。伝染病以外のものにかかつた者は当てはまらないとかなんとかいつて書類がたくさん厚生省に積み上げられて、未解決のまま置かれておるわけでございますが、この病名についても医者の診断の誤りということもあります。またわざと他の病名をつけておるものもある。事実そういう場合があるのです。栄養失調でなくなつても、そういうことは病院の恥だというので、慢性気管支炎という名前をつけておる。慢性気管支炎ならば二十四種類に該当しないから年金弔慰金は出せない。戦地に参りまして長い間軍務に服して疲労が重なりなくなつたというような場合に対しても、何ら年金弔慰金も出さないというようなことでは、あまりにも不公平であるというふうに考えますが、この点について改めるお考えがあるかどうかをお伺いいたします。この二十四種類病名を申し上げたいのでありますが、マラリアとかあるいはコレラとか、パラチフス、ぺスト、こういうような流行病にかかつた者だけが当てはめられておる。きのう大臣から肺病についてお話がございましたが、肺結核でも、出征するときには甲種合格で完全なからだをもつてつた者戦争に出て、十年も十五年もでなくとも三年、五年勤めて、そうして帰つてからなくなつたのであるけれども、実際はこの戦争中において結核をわずらつてなくなつた、それらに対しましては一向該当しないというようなことは、これはあまりにも気の毒過ぎるのです。戦争のために結核というものになつたのである、これは当然当てはめるべきものであると思うのでございますが、この病気種類を撤廃する必要がある、私はかように存ずるのでございます。またなくなつた場所が国内であろうが朝鮮であろうが、満州であろうが、いやしくも軍務に服してそのために勤務中になくなつた人、あるいはまた戦争のために病気になつて自分の家に帰つてからなくなつた人、これらはすべて該当者として取扱うべきであると思うのでございますが、これを修正されるというような御意向があるかないかということ。  もう一つ、二柱以上戦死者を出したところ、これら、二柱以上に対しましては、二柱以上の分としての年金を支給すべきであると考えます。そういうふうに修正せられたいと思うのでございます。私の知つておるのには、六人の子供が全部戦麗しておる、模範的の青年を五人まで官立の大学を出して、そうして六人とも死亡させておる家庭があります。もうその両親は実に嘆き暮し、そうして生活が困難であるけれども保護法適用を受けないでがんばつておる人がありまするが、これらに対しまして一柱より出さないというようなことでは、あまりにも気の毒過ぎる、当然これは二柱以上は二柱以上としての手続をすべきである、こう思うのでございます。いかがでございますか、この点について伺いたい。  なおこの父母父母が再婚した場合にはこれは当てはまらない、結婚というものは、家庭の事情によつて、年が行つてから自分だけでは生活ができないからめんどうを見てもらうために、年寄りが結婚しなければならぬという、家庭の事情でやむを得ない場合が多いのでございます。それらに対して当てはめない、再婚を認めないというようなことを私どもはまことに遺憾に存ずるのでございまして、外国の例を見ましても、そういうことにこだわらずに年金を支給しておるのでございます。私はこのことについて詳しく申し上げたいのでございますけれども、すでに請願などがたくさん出ておりまするので、私はその内容の説明を要しないと思うのでございます、ただここに西村という人が代表者になつて詳細に民法上の問題から説きまして、そうして当然これは支給すべきであるという請願書がありまするので、これを大臣に一度読んでいただきまして、そうしてよく御検討願つて、ぜひともこれは実現をされたいと思うのでございます。この三点について私は御答弁をいただきたいと思うのでございます。
  16. 田辺繁雄

    田辺政府委員 お答えいたします。ただいま中川委員から御質問の三点は、先般青柳委員からも同様の御質問がございました。これにお答えした通りでございますが、結論だけ申し上げますと、現在援護庁では、病気名前及び種類だけによつて公務か非公務かを算定しているということはございません。この点については先般の戦争の特殊性にかんがみまして、公務の範囲をできるだけ広いめの気持で取扱いたい、こういう気持でおります。ただ何分にも恩給法との関係があり、軍人恩給に転移する将来の関係もありますので、一定のけじめは必要だと考えております。しかし御承知通り、公務に該当しないものに対して何ら処置しないということは妥当を欠くではないかという御意見につきましてはごもつともと存じますので、この点につきましては将来十分考究いたしまして、善処したいと考えております。  父母の再婚した場合の失格する規定と、二柱以上ある場合の恩給禁止の点につきましては、この前お答えした通りでございますが、父母の再婚の場合につきましては恩給法との関係がございますので、それと合せて十分考慮する必要があるのではないかと考えますから、恩給法の審議と合せて十分御審議せられんことをお願いいたします。
  17. 柳田秀一

    柳田委員 この援護法並びに留守家族法律、これは先般来非常に幾多の不満がわれわれにありまして一前委員会では青柳委員から、本日は中川委員から御質問がありまして、さらに堤委員から御質問がありまして、大体同様の点を繰返しておるのでございますが、これは各党派とも非常に問題が多いし、またこの政府原案では納得できぬ点も多分にあります。従つてきようは大臣も御列席になつておる、大臣に対して厚生行政全般に対する質疑もほかの方にたくさんあろうと思いますので、援護法、留守家族法等に関してはいずれ日をあらためて各党各派でよく検討する機会を持つようにして、一応大臣に対するところの総括質問のおありの方から先に議事を進めていただいたらよいのではないか、かように考えます。
  18. 中川源一郎

    中川(源)委員 私のただいまの質問に対する答弁をまだ完全に聞いてないのです。なお先輩の各位は十分に検討していただいておるのでございますけれども、私は何分一年生でございますので、まだ私の質問は初めてでございます。しばらくごしんぼうをいただきまして、質問をさせていただきたいと思います。
  19. 青柳一郎

    青柳委員長代理 私から申し上げます。ちようど大臣も他の公用もおありのようでございますから、大臣に対する質問をきようはやつていただきたいと思います。なお重複する点につきましては、でき得るだけ御遠慮を願いたい、どうしてもやらなければならぬことでございましたら、簡単に質問を願いたい、こう存じます。
  20. 中川源一郎

    中川(源)委員 先ほどの二柱以上の分をまだ答弁していただいておらぬのでございます。一緒にしていただいたらけつこうかと存じます。  次にお尋ね申し上げたいのは、妻の再婚の場合です。よく未亡人がだまされて再婚する場合がある、また正式結婚をいたしましても、どうも話と実際とが違つておるというので、籍は入れたものの、ただちに解消して帰つておる者があるのです。そういうものに対しては該当しない、また子供に対しましても、その子供を引連れまして子供のめんどうを見てくれるというので籍を入れたものの、実際は話が違つておるというので、籍をもどしておる。一度籍を入れたものは一切該当しないという取扱いを受けましたならば、これは非常に恨むのでございます。これらに対しましては、再婚を解消いたし、養子縁組を解消した場合には、これは当然年金弔慰金の恩典を受けることのできる該当者となしたいと思うのでございますが、いかがでございますか。  それから昨日も少しお話があつたのですが、戦争のために非常にまじめに勤めて処刑された方があります。現在私の調べておるのに、非常に模範的な人でありまして、人のために非常に尽した人が、一身に自分が罪を受けまして、そして死刑になつた人があります。その人はことに三高を一番で出て、そして東大を二番で出たというような優秀な人でございますが、すべて部下の罪は自分にあるというので、何ら自分に覚えのないことを全部認めて死刑になつたのでありますが、こういう人は他にもあると思います。その遺家族は三人の子供を三人とも戦争に出して、その一人だけが処刑されたという家庭でありますが、当然これらの処刑された人たちに対しましても、私は弔慰金年金を支給すべきであると思うのでありますが、いかがでございますか伺いたい。  それから昨年援護法ができたのでございますが、それまでの間何一つ政府なり地方遺族に対してお世話をしなかつた。その空白は一体どういうふうになさるつもりでありますか。そのまま捨てておくつもりでありますか。他の国は、同じ敗戦をいたしましたドイツにいたしましても、イタリアにおきましても、オーストリアにおいても、すべて空白というものがないのです。日本だけが七年間の空白がありますが、これに対しましては打捨ててしまうお考えであるか、あるいはまた何か今後考えてみようというお考えであるかということをお尋ねしたいのです。
  21. 田辺繁雄

    田辺政府委員 再婚した妻及び他人の養子になつ子供は、恩給法上公務扶助料の受給権、受給資格を失うということになつておりますが、今度軍人恩給の復活に伴いまして、遺族年金は、軍人に関する限り原則としてすべて恩給法に転移するから、御質問の点は大体において恩給法の問題であると考えるのであります。  戦犯の刑死者に対する取扱いの問題でございますが、これは先般大臣からたびたびお答えがありました通り、政府といたしましては、そういう方々の御遺族立場を十分考慮いたしまして、十分慎重に考究したいと考えております。  七年間の空白期間に対する措置というお話でございますが、これもやはり恩給の問題であろうと思います。昭和二十一年ポツダム勅令によつて恩給がストップされましたが、今度初めて七年間の空白を経て復活するわけであります。その間のギヤツプをどうするかということは、これまた恩給法の問題と関連して考慮すべき問題であろうと考えております。  それから、先ほど申し落しましたが、二人以上戦沒者があつた場合に、年金を禁止している問題でありますが、当初この法律案が立案されました際に、援護という立場であるから、二人以上あつた場合にはこれは支給しないことを御説明申し上げたのですが、にれは先般来申し上げました通り、十分御審議をいただきたいと思います。
  22. 青柳一郎

    青柳委員長代理 中川源一郎君、大臣に対する質問をお願いいたします。
  23. 中川源一郎

    中川(源)委員 弔慰金について御質問いたしたいと思いますが、大臣のお答えが願えれば幸いだと思います。弔慰金は御承知の昭和十六年十二月以後に当てはめられておりますが、それでは弔慰金をもらえないという人がたくさん出て来ておるのです。十三年の七月七日以後の戦沒者の遺族に対しましても支給されたい。そうでなければ十二年から十六年までの間に、もらつておる人ともらわれないという人とがあつて非常にまちまちになつておりますので、これはひとつお調べを願う必要がある。お調べを願つて支給されたいと思うのでございますが、いかがでございますか。  それから弔慰金の支給の範囲を、実際におまつりをしておる人まで支給すべきである。たとえば兄弟までしか弔慰金範囲は広げられていないのですが、おば、おじとかいうもので、子供のときから、戦争に出る前から世話をして、そしてなくなりましてもおまつりを丁重にしておる人がありますが、これらに対しまして私は範囲を広げまして、おまつりをしている人までに広げる必要があると思うのでございますが、いかがでございますか。  それから年金弔慰金を受取る者の中に、未亡人と年寄との考え方がいろいろ違つておりまして、未亡人はすでに内縁関係に入つていて、家には一切もどつて来ない。また将来も一切もどらないという未亡人が、優先的な立場からすべて弔慰金年金も受取つてしまつて子供をあてがわれて苦んでいる両親に対しましては、一切弔慰金がもらえないというような場合に、そこに争いが起るわけです。正式に裁判するというようなこともなしに、ただ苦んで暮している年寄もおります。これらに対する調停でありますが、その調停が厚生省に出されます場合には、おそらく厚生省は半分わけにせよとか、いろいろなことを調停なさるようでございますが、実際の問題について一番よく知つているのは、何と申しましてもその土地の遺族会長でございます。各村あるいは各区の遺族会長は、実情をよく知つております。これらの方々によつて調停をしてもらつて、そしてその調停に基いて判断をされることが一番正確である。いつまでも書類を厚生省にためて置くことでなしに、そういうふうに解決して行つた方が都合がいいじやないかと思うのでございますが、いかがでございますか。  それから弔慰金の国債は、せめて八十億くらい出してもらわないと、もう少しのところでたいへん因つている。中には高利貨の手に渡つてしまつているものもすでにあるわけでございます。いろいろな便法もあろうか差じますけれども、もう少し、八十億ぐらいの程度まで出、してもらいますならば、大体うまく行くのじやなかろうかと思うのでございますが、この点はいかがでございますか。
  24. 田辺繁雄

    田辺政府委員 支那事変以降の死没者に対しても弔慰金を五万円にしたらどうかということですが、支那事変当時の死没者に対しましては、当時特別賜金として、陸海軍から相当多額の賜金が交付されておつたのであります。それはほとんど大部分支給を受けておると思います。太平洋戦争における死没者に対しても同様の制度があつたのでありますが、数も多く終戦当時の混乱等があつて、大部分渡つておらないのであります、その点を考慮して、どこで切るかということは、今日資料も散逸してないということも考慮して、太平洋戦争以降の死没者に交付するということになつたのであります。役所の方に、だれに渡つておるかという明確の資料があれば、非常に取扱いやすいのでありますが、この点今日まつたく資料がない関係上、かような結果になつておるのもやむを得ないじやないかと思います。  それから未亡人が再婚した場合、これは援護法遺族とは取扱わないわけでございますので、弔慰金が支給される場合の順位は、父母が先位順位になることは当然であります。内縁関係であつても、事実上婚姻関係も含まれているわけでございますので、内縁関係にありと判断いたしました場合には、妻でなしに父母に優先して支給することになつておりますもちろんその場合に、内縁関係の判断はいろいろ非常にむずかしい問題を伴うと思うので、地元の市町村の有力者あるいは遺族会長その他の方々の意見を十分伺いまして、その点慎重に考えたいと思います。なお遺族年金遺族弔慰金をめぐつていろいろ紛争があることは予想されますが、これは市町村長、民生委員方々、あるいは地元の有力者、遺族会長などの御意見を十分伺い、その方々のお力によつて調停ができるようにすることはまことにけつこうだと考えております。  もう一つは国債のわくでございますが、これは昨年二十億出しまして、これをほとんど全部消化しております。今年は三十億のわけでございますが、予算がまだ決定いたしませんので出しておりませんが、予算決定次第さつそく手配いたしまして、換金措置を早くするようにいたしたいと思います。八十億という希望でございましたが、これは今後の問題として考えたいと思います。
  25. 中川源一郎

    中川(源)委員 ただいまの御答弁中調停の問題でございますが、どうも調停のいろいろな調査につきましては、民生委員によく御調査になりますが、民生委員よりも遺族会長が非常によく事情を知つておりますので、私も民生委員をしておりますが、民生委員答弁遺族会長の答弁に食い違いがある場合があるのです。その場合に多く民生委員の意見を尊重されるのです。これはたいへん迷惑でございましてあやまちのない調べはおそらく遺族会長の方が正確でありますので、その点を十分お考えになりまして、今後遺族会長の言い分を用いるようにされたいと思うのでございます。  それから遺児の育英資金についてでございますが、育英資金は昨年は六千八百万円ですか、今度は一億二千万円組まれておるのじやないかと思うのでございます。これは一般の日本育英会の資金は三十四億、昨年は二十八億でございましたが、これらの方法に何ら思典というものがないというわけでございます。もう少し遺児の育英というものに対して力を入れてもらうことができないものであるか、何分働き手を失いました者の子供といたしまして、学校にやりたくてもやれない、途中で挫折してしまう、定時制の教育を受けたりあるいは通信教育を受けている者が約三分の一の多数に上つていますが、それすらも行けないという状態の者が多うございます。もう少し育英資金制度を拡大されまして、せめて教育なりとも少し助けになる方法を講じ、月に高等学校で昨年までは五百円、日本育英会も五百円、今年から七百円になるのでございますが、その金ではとうてい教育ができないのです。遺児の育英を奨励されるということでございましたならば、もう少し教育のできるように、せめて大学程度の二千円というようなものを出して、そうしてその数をもつとふやす、むずかしいことを言わずに遺児は優先的に教育をするというような方針をとつてもらえないかどうかということを伺うわけでございます。  そうして遺児の就職、遺族の就職というものに対して、今日までどれだけの御高配をいただいたか、一向目立つたことをやつてもらつていない。全国の職業指導所に対してどういう通知を出されたか存じませんが、地方においては子供はよく勉強できてしつかりした子供である、採用したいが何分母親一人しかない、片親の子供は会社の規定によつて、あるいは銀行の規定によつて、役所の規定によつて採用しないことになつていますから、遺憾ながらお父さんが戦死しておられるために、片親だけしかないから採用しかねる、今日は人が余つているときでありますから、好きなことを言つて採用しておるのであります。そういうような状態でございまして、ドイツの方におきましては法律を設けて、傷痍者または遺児に対して三%以上を採用しない場合には、罰金幾らに処すとかいうような規定がありますが、そういう罰則でも設けなければ片親だけでは採用できない、いくらよく勉強ができても、まじめな子供でも採用ができないというようなことでは、これはあまりにも無残ではないかと思うのでございます。いかがでございますか、もう少し就職のあつせんを各都道府県において十分に講ずるような手配をしてもらえないかどうかということをお伺いしたい。  最後に慰霊行事でございます。今後慰霊行事をおやりになるお考えがあるかないか、国において慰霊行事をする、あるいはまた地方において慰霊行事をする、七年の間捨てておかれたのでございますから、実際国を恨んでおる者が相当あります。何一つつてくれないじやないか、ようやく弔慰金年金を支給されるということなりましたが、年寄りに年に五千円ぐらいな金をもらつてどうか、恩給になりましても四千八百円、それぐらいな金を一箇月にもらうならばよろしい。ドイツは御承知通り昨年までは三千八百億の予算を組んでおる。ドイツの総予算額の三分の一を費しておる。本年は四千五百億の予算を組んで、そうして丁重に扱つておる。月々平均二万円以上の支給を昨年までして、中産階級以上の生活を保障して来た。ドイツは丁重な扱いをしておる。ドイツがますます栄えて行くといわれておるのでございますが、日本のように国のために命を捧げて尽した者をいつまでも顧みない、わずかお灯明料にも足りないようなことをして、そうして澄ましてお茶を濁しておくというようなことで、日本が文化国家をつくりあるいは道義国家をつくることができるかどうかということを考えますときに、ある人は、日本は年々続く災厄を受けておる、これは英霊が恨んでおるのであると言う人さえあるのです。今度の九州の水害にしてもそういうふうに言う人がある。私どもは国のために尽した者に対しては、国が丁重な弔いをする、慰霊祭を行うということは必要なことであると思うのでございますが、これに対して大臣はどういうふうにお考えになつておるか。たとえば靖国神社参拝にしましても、これまでは無料で、汽車賃あるいはその他宿泊料も国家が支弁して参拝をさせたのでございますが、終戦後は一切それがなされないという状態でございます。この点、慰霊祭を行われることができるであろうかどうかお伺いしたいのでございます。
  26. 田辺繁雄

    田辺政府委員 遺児の育英と就職の問題は、実は文部省、労働省の所管になつておりますが、われわれといたしましても関係機関と連絡協議いたしまして、御趣旨のような方向に進みたいと考えております。  慰霊祭の問題でございますが、遺族の御心境は、やはり靖国神社に御参拝になるということが非常に念願でおありになろうと考えます。今度運輸省とも十分連絡をとりまして、靖国神社に合祀された方々遺族が参拝される場合に五割引の運転をするように目下努力中でございます。近目中に手配ができることと考えます。
  27. 青柳一郎

    青柳委員長代理 次に中川俊思君
  28. 中川俊思

    中川(俊)委員 遺家族援護補償の問題につきましてはすでに同僚諸君から々具体的に御質問になつておるのでございまして、私どももまつたくそれについては異議がないのです。今回厚生省がお出しになりました改正法案については私どもとしては承服することのできない幾多の点がございます。従つてこの問題についてはできれば各党で共同して修正したいと思いますから、この点についてはひとつ大臣におきましも特に協力をしてほしいということを私は一言お願いをしておくのであります。  他の同僚諸君がお触れにならなかつた一、二の点について御質問いたしたいと思うのであります。第一は、年金収入が生活保護法上の所得とみなされておる、この点は質問されておりますが、これは御承知通り年金収入が生活保護法上に相殺されるということになります、五箇月間というものは年金収入を停止されてしまうのです。この点については、厚生省におきまして十分その事情を御察知願いたい。先般も大臣がおつしやつたように特に九州の災害地については考えるということで、私ども大臣の御卓見に対してまことに敬服するものでありますが、さらに厚生省から取扱い上について考えよという通牒が出ておるはずであります。それはいかなる通牒をお出しになつておるのか、今ここでおわかりにならなければ、あとで資料を出していただきたい。この通牒が末端に徹底していないために、ある地方では一箇月ぐらいの相殺だけで、その次の月からは年金を出しておる地区がある。その次の年から出しておるところかある。そうかと思えば、ある県においては五箇月ぐらいずつと相殺しておるというふうで、非常にまちまちになつております。これは徹底していないためかと思いますが、どういう通牒をお出しになつておるか、おわかりなら御指示願いたい。
  29. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 ただいまの生活保護法適用に対しましての通牒は、昨日るるお答えを申し上げました通りのことであります。なおどういうふうな通牒をどういう文面で出しておるかということにつきましては、ただいま私の手元にございませんので、後ほど局長から申し上げることにいたします。ただ、ただいまのお説のような、地区によつてその適用が二、三になつておるとか、公平を失しておるとか、あるいはそれが保護趣旨から見て適当でないということに対しましては、昨日申し上げました通り今後はその趣旨の徹底をはかり、また公平をはかり、生活保護法に明記しております公平性の徹底をぜひとも期したいと考えております。
  30. 中川俊思

    中川(俊)委員 この問題は、できるだけ全国同様にお取扱いしていただくように、末端まで通牒を徹底させていただきたいという希望をいたしておきます。  第二は、弔慰国債の買上げ償還の問題であります。これは原則として生活保護者に限つておると思うのでありますが、先ほど田辺さんの御答弁を伺つておりますと、昨年度においても大体これは消化しておるというお話ですが、私は消化していないのじやないかと思う。たとえば、私は広島県でありますが、広島県の例を御参考までに申し上げますと、昨年度広島県に割当てられましたのは三千二百万円です。このうち今年三月までに消化しておりますのはわずか一千万円、二千二百万円まだ残つておる。そういう状態でありまするから、実際は全部の消化が終つていないのじやないかと思うのです。しかしこれは私の調査でありまするから、あるいは間違つておるかもしれません。従つて田辺さんにお願いしておきたいことは、二十七年度において、各府県でどういうふうに消化されておるかの資料を提出願いたい。  それからこれば大臣にお願いするのでありますが、ただいま申し上げました弔慰国債買上げの問題は、生活保護者に限つておる。これはもう大臣としては昨日御答弁があつたと思うのでありますが、九州のような水害地に対しては、特に考えるという御答弁があつたと私は記憶しておるのであります。これを一歩推し進めていただいて、もし事実余つておるといたしますれば、生活保護者でなくとも、非常に困つておる者が遺家族の中には多いのですから——これは私どもにしばしば手紙で苦情を訴えられ、せつかく買上げをしてもらおうと思つてつても、もう金がないんだと言つてけ飛ばされてしまう。これでは規定が設けられても何にもならない。これは何とかしてもらいたいという希望がずいぶんあるんです。従つてこれを全般に行き渡らすと言つたらたいへんなことだと思うのですが、福祉事務所か、あるいは民生委員の間で協議してへなるほどこの人は気の毒だという人に対しては、もし金が余つておるといたしますならば、それをその方に振当ててもらう。つまり余らす必要はないのでありますから……。この点に対して大臣はどういうふうにお考えになつていらつしやるのでしようか。九州水害地などと同じように、特別のとりはからいを願えるかどうか一応承りたい。
  31. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 昭和二十七年度の買上げでございますが、これは仰せのように買上げ償還が、昨年度は比較的おそくわくをとり、そして府県において手続いたしましたので、三月には相当ふえておると思うのであります。しかし手元に的確な数字を持つておりませんので、これは後ほどまた数字等を差上げます。なおまたただいま仰せのように、たとえば二十億が消化しないで余つておる際に、お話のように生活困窮者のみにそれを割当てるという方針のもとに、余つた金を使わないというようなことはいたさぬつもりであります。しかし私は、これは相当生活困窮者の方で事実上消化されるものと思つております。しかし今のお話のように、もしも消化しないということがありまするならば、次の段階で困つておる人に早く償還するという形が当然であると考えます。なおまたそれらの適用にあたりまして、御承知のように今回民生委員法律の改正によつて活躍してもらえることになりまするし、社会福祉事務所が第一線機関として実情に即してこれをやりますることも当然であろうと思います。しかしやはりどこまでも生活保護の対象になつておる一番困窮者に対して、まずもつてそういう資金が渡りますようにいたし、なお余つておる際には、決してさような通り一ぺんのわく、通り一ぺんの通達にこだわることはいたさぬつもりであります。
  32. 中川俊思

    中川(俊)委員 この問題につきましては、私どももお出しを願う資料によつてさらに検討いたしたいと考えておりますから、今大臣お話のように、余つておるといたしまするならばどうか範囲を拡張していただき、活用していただくようにお願いする次第であります。  なおこの際、特に私は大臣にお願い申し上げておくのでありますが、遺家族援護補償の問題につきましては、私どもから後刻いろいろな修正案が出ると思うのでありまするが、これについては、財源がないということをまず第一に口実になさるだろうと思うのです。しかし私は決して財源はないと思わない。これはいずれ他の委員会で取上げられる問題でありまするし、すでに取上げられておる問題でもありまするから、特に山縣大臣の御協力をお願いしたいことをつけ加えておくのでありまするが、それは戦時中戦争に勝つためだというで、国民から取上げられましたダイヤモンドが、現在日本銀行の地下室に十六万一千カラットある。これは私ども一昨年、第十三国会のときでしたか、行政監察委員会日本銀行の地下室を実地に調査いたしました。大蔵省の管財局長にも来ていただきまして調査をいたしました結果、確かに十六万一千カラットといらダイヤモンドがあるのであります。このダイヤモンドは各国民から取上げたものでございまして、これを今返してくれという人はきわめて少い。戦争犠牲者になられた人に活用してもらえれば、それでけつこうだということを述べておられる人が非常に多いのであります。従つて家族に対する援護補償の財源にこれを充てられることが最も有効であり、適切であると私ども考えるのでありまして、これは他の委員会において現在取上げられておる問題でありますし、これを遺家族援護補償の方に向けたいという国会の意向が一致をし、さらにそういう機運に向いました場合には、特に山縣厚生大臣の御協力をお願いいたしたいと思うのであります。  それから、一般の問題でありまするが、厚生省に人口問題審議会というのがあるようであります。これはわずか七十二万八千円ばかり予算を計上しておられるようでありまするが、人口問題審議会というのは一体どういうことをおやりになつておるのか。概略でよろしゆうございますから、お伺いいたしたいと思います。
  33. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 人口問題審議会は、八十余万円の予算を昭和一千八年度の予算案に計上いたして御審議を願つておるものであります。この問題につきましては、予算委員会その他でたびたび御質問がございまして、わが国の人口問題は重要であるから、あるいはこれは単に厚生省所管の一審議会にあらずして、内閣に付置した審議会にしてみたらどうであろうかというような意見を前国会にも出したのであります。それ以来いろいろ話があります。たしか昨日もさような御質問が予算委員会でございまして、お答えを申し上げたのでありますが、現在人口問題研究所が厚生省所管の中にあります。そこでもやつておりますが、この人口問題審議会というものは、今やつておるというよりもこれからつくるものであります。これからつくらんとする構想は、大体日本の人口問題というのは、従来厚生省におきましてはいわゆる優生保護、受胎調節という面から主としてこの面を見ております。しかし人口問題は単にさような消極的な面だけでは解決しない問題であつて日本の産業構造の問題とか、日本の資源の問題とか、あるいはさらにもつと深く掘り下げますれば、日本の国民の生活水準の問題もある。ことにそのうちの一つの大きな問題は、いわゆる従来の受胎調節の問題であります。そういうふうな問題を総合的に取上げて、そうして基本的にこの人口問題を検討いたしまして、その検討した基本的の線に沿つて、あるいは各省が、たとえば受胎調節の問題でありますれば厚生省がそれを推進する、あるいは農村の二、三男問題でありますれば農林省その他が推進するというふうにとりあえず持つて行こう。もちろんその構想を大にいたしまして大きな審議会をつくり、大きな予算をもつてあるいは内閣に付置することはけつこうでありますけれども、今度はこれでやつてみよう。それでいけなければ今後適当な機構、適当な官制のもとにやつて行くがよいが、とりあえず現在は現在の官制上、厚生省の所管になつておることでもありますから、あるいは厚生省の中に従来人口問題を研究しております研究所等もございますので、一応それで発足してみようということもございまして、——もちろん遠大な理想、遠大な構想をもつていたしますればこれでは足りませんけれども、一応そういうことでやつて行こう。幸いもしも予算が通過いたしますれば、四十名でございましたか、委員を委嘱し、そうしてやつて行きたいと思つております。もちろんこの審議会だけでは、とうてい人口問題の解決は事足りるというわけではありません。ただ一歩を推し進めて、人口問題に対して国として検討を進めて行きたいということであります。
  34. 中川俊思

    中川(俊)委員 日本におきまする人口問題は、私はたいへんな問題だと思います。御案内の通りいかに受胎調節をやりましても、優生保護法を施行いたしましても、年間百万から百二、三十万ずつふえて行く。もう十四、五年もすれば、日本の人口は一億になつてしまう。現在ですら食糧が足りない、何が足りない、かにが足りないというふうに足りない尽しのときに、これが一億になつた場合に一体どうするのかということを考えますと、私ども慄然たらざるを得ないのであります。そこで私は、特に大臣としてそういうお考えがあるかどうかお聞きしたいと思うのであります。それは、わずか七十万や八十万ぐらいな金で人口問題審議会なんということが、実はもうおかしいんじやないかと思うのでありますが、予算はうんと計上されまして、そうしてできれば人口の配分ぐらい——各土地の実情、食糧の問題、いろいろな施設の問題等はむろん勘案しなければなりませんが、配分計画ぐらいな問題までも取組んでもらわなければ、人口問題としてのいろいろな政策はできないんじやないかと思います。ドイツは御案内の通り、今東ドイツから西ドイツにどんどん逃げ込んでおります。私どもが一昨年参りましたときには、西ドイツは人口が三千五百万、東ドイツは二千五百万おつたのでありまするが、西ドイツ当局の話を聞きますと、年間五百万ぐらいずつ東ドイツから逃げ込んで来る。その逃げ込んで来るやつを、西ドイツにおきましては人口配分をする役所がございまして、そこでこの土地にこれだけを向ける、この土地にこれだけを向けるというふうに、ちやんと配分をしておる。従つてその土地においては食糧が足りない、住宅が足りないというようなことはない。そういうような配分計画までやつておりまするが、この人口問題は日本にとつて大きな問題でありまするから、大臣はこの問題についてそういう抱負なり、あるいは将来そういう計画をお持ちになつておるかどうか。ただおざなり的に、人口問題審議会というので受胎調節であるとか、優生保護であるとかいうことでお茶を濁しておつたのでは、人口問題の解決はできないと私は考えておりまするが、真剣にこの問題ととつ組んで、将来のそういう大計をお立てになる御意思があるのかどうかというこを、一応伺つておきたいと思います。
  35. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 仰せの通り、この人口問題はきわめて重大であります。従つて政府もこれに対しては、今後相当強力にこの問題の解決に当らなくちやいかぬと思うのであります。これはおそらくあらゆる行政に先駆した問題とも言えるものだと思うのであります。今ドイツの例を引いて仰せになりましたが、この人口問題審議会は先ほども申した通り、構想をいたずらに遠大にしてその実を伴わないかもしれませんが、単に受胎調節という問題ばかりではなくして、日本の産業構造、資源、あるいはその他の問題を勘案してどういうふうに人口の配置をすべきか、あるいは場合によつては積極的に人口の配置をする、あるいは消極的に人口の調節をはかるというような問題を取上げたいと思つておるのであります。従つて積極的の問題、人口の配置は、移民も対外的には一つの大きな問題であろうと思います。また対内的には資源あるいは産業構造とにらみ合せて、あるいは労働等のいろいろな関係もにらみ合せて、国内的の配置をするということも一つの構想でありましよう。従来も多少そういうことは考えられておるけれども、総合的に一つの線を出してそうしてそれに乗つて、その示すところに従つて強力な政策を政府はとらんとするのであります。なおそれに触れておりまするが、従来はたとえば人口問題に対して受胎調節ということ、しかもその受胎調節は政府の考え方といたしましては、優生保護の見地から受胎調節をいたしておる、あるいは母体の保護という見地からいたしておる。人口問題の解決という線に沿つて受胎調節という線は政府はまだ出しておりませんが、私はもう現在の段階においては、あるいはこれは閣議決定等を待たなければいかぬかもしれぬが、人口問題の解決には、単に母体の保護あるいは優生保護という見地から一歩を進めて行くべき段階に来ているものではないかと私は思つておる。従つてたとえば家族計画という点についても、さらにに検討を進めるべきじやないか。さようないろいろな点から、今仰せの人口の配置なんかの点も積極的あるいは消極的、あるいは対外的あるいは対内的、いろいろな点から検討いたしたいと思つておる次第であります。
  36. 中川俊思

    中川(俊)委員 ただいま伺つたのでありますが、どうかこの点については、日本における将来の大問題でありますから、慎重にお考えを願いたいと思うのであります。移民とかなんとかおつしやいますけれども、御案内の通り相手のあることでありますから、そういうことだけをたよりにしてこの問題を進めましても、なかなか解決しないと思う。従つてこの問題は国内で処理しなければならぬ、こういう見地に立つて人口の配分問題等も御考慮願いたいと思うのであります。  最後に私は、大臣がちようどおいでになつておりまするから、医療報酬の点についてお聞きをしたいのであります。健康保険、社会保険の医療報酬の問題でありまするが、医療報酬の非常に安いことはもう各方面に認められておる。すなわち昭和九年、十年、十一年ごろは平均一点単価十五銭であつたが、今日では十一円五十銭、約七十倍である。しかし一方を考えますと、医薬材料等は五百七十倍に高騰をいたしておる。従つて各社会保険について、これがうまく運営できないということは、医師が協力しないという点がかなり私は強調されていい問題じやないかと思うのです。これはこの間もちよつと大臣のおいでにならないときに私は触れたのでありますが、昨年この医療報酬の単価引上げの問題について、全国の医師会から猛烈な運動が行われたことがございます。この場合厚生当局ではどういうふうにお考えになつてつたか存じませんが、一部の地方の連中の運動といいますか、交換条件を与えられたことによつて、この医療報酬を上げることが阻止された事実があります。それはいかなることであるかと申しますと、医療報酬は御案内の通り大体三〇%前後に課税することになつているのであります。ところが政府のある大官がその土地に行つて——その土地は全国でも最もこの医療報酬を高くしてもらいたい、値上げをしてもらいたいという強硬な主張をしている土地でございますが、その土地に政府の大官が行つて、そうしてどうかこの単価引上げの問題はあんまり騒がぬでくれ、そのかわり課税の点についてはこの県だけは特に考えてやる、こういうことを某大官が言つている事実がある。そこで土地の医師会長は、そんなことをあなたが言つても、国税局ではあなたの言う通りにこの県だけを特に課税を引下げるというようなことをしはしないから、もしあなたがそう言うのなら、ここに国税局長を呼んで来て、われわれの前で国税局長にこの県だけは特に引下げるということを言明させてくれれば承知しよう、こう言つたところが、よろしいというので、国税局長をその医師会の連中のいるところに連れて参りまして、そうして国税局長から、そのことを特にそれでは引下げまず、こういうことを言明さした事実がございます。これによつてその県だけは昨年の課税が安くなつているのでありますが、そういうような一つの県のために全国の医師会がこの社会保険に協力をしない、その結果社会保険の運営がよく行つていないということも一つの大きな原因だと私は考えるのでありますがこの問題は大臣は御承知でしようか。この点について一応お伺いいたしたいと思います。
  37. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 ただいまどの県か知りませんが、昨年の単価の決定にあたつてお話がございましたが、私の承知いたしているところでは、なおまた昭和二十七年度の診療報酬の課税に対する決定にあたりましては、一県だけに対して特別の措置をとつたことは報告も受けておりませんし、さようなことを今政府はいたしておりません。これは全国の診療報酬の単価の改訂は一様にいろいろな観点から決定是正すべきものとして、課税標準といいますか、二割五分ないし三割というあの一つのアジヤストメントを加えて、そうして解決をいたしたのでございまして、ただ一県とか一地方に対して特別の措置を講じたとは私は承知いたしておりません。
  38. 中川俊思

    中川(俊)委員 大臣承知通り、大体社会保険の医療報酬は二〇%から三〇%の範囲内で課税することになつているのです。従来は大体三〇%まで課税されておつたのです。ところがこの県だけは昨年三〇%課税されていない。従つて最も医療報酬の単価引上げを強硬に主張しておりましたこの県からそういうことが出ましたために、昨年は医療報酬の引上げはなかつたはずであります。そういう結果医師会がこの社会保険に協力しないという事例が生じて、社会保険がうまく運営をされていない。これはいずれ私どもは他の委員会においてこの問題を取上げる準備をいたしておりますが、この点につきましてそういう問題があるかどうか。もしあれば厚生当局といたしましても、そういうばかばかしいことによつて社会保険の運営が阻止されているということになりますれば重大な問題でありますから、御協力願いたいと思います。  以上で私の質問を終ります。
  39. 柳田秀一

    柳田委員 時間もたいへん遅れましたし、他に御質問の方もあろうかと思いますので、私は厚生行政のうちで特に、局長なり課長の意見というよりは、主として大臣のお考えに属するような点だけを簡略に御質問したいと思います。  第一の点は、国民健康保険の問題でありますが、国民健康保険が昨国会におきまして一割五分の給付負担を認め、さらに今国会におきましては一割五分の予算案を見ておりますが、どうにかこれも野党各派さらにただいま折衝中の改進党自由党との協調等によりまして、われわれ多年要望いたしました二割の医療給付の線も実現できるかに見受けられるのであります。この点は何としても山縣厚生大臣の在任中の大きな功績だということはいなめません。特に日本の社会保障制度の根幹をなしております国民医療、しかもその国民医療の根幹をなしております五千五百万人からの、他に社会保障制度のないこの国民健康保険に医療給付の道を開かれたことは、日本の社会保障制度史上から見ても大きな一つのエポツクをつくられたもので、これが山縣大臣の在任中にできましたことは、他の委員も申している通りにまつたく御同慶にたえないのであります。しかしながらここでお尋ねをしておきたいのは、この国民健康保険に医療給付をなされた根本的の考え方が、現在国民健康保険を設置するその事業体、その事業主、保険者が運営難に陥つているがための救済策としてなされたものか。それとも社会保障制度を確立するという一つの崇高なる理念のもとになされたか、この点をはつきり承りたいのであります。
  40. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 この問題は二、三回お答えをいたして参つておりまして、理論的に申しあるいは理想的に申しますと、かりに赤字がなくても給付に対する国庫負担をいたして、それによつていわゆる社会保障の確立充実をするということは言えます。しかしやはり政治は現実でありますし、いろいろなことはすべて現実を一応見なくてはいかぬのでありまして、今仰せの通り現在における日本の社会保障の推進の根幹をなす国民健康保険が保険財政の赤字で悩んでおりますので、たとえば二割といい三割と申しましても、これをしからばあの社会保障制度審議会がどの目安で二割という目安を置いたかということに対しては、理論的には一応意味は立つておりまするが、やはり現実の国民健康保険の運営ということを考えなければならぬのであります。一応政府は国家財政の見地もありますから、現在の国民健康保険の運営が危機に瀕しているのに対しては、大体御供述のような過年度からの繰越しの赤字があり、なおまたこのままでほつておきますれば昭和二十八年度におきましても相当の赤字が出ますので、なお先般来国保の運営に関しましては、たとえばこの運営の方法あるいは国民健康保険の範囲いかん、そういう問題もいろいろ検討すべきことがあり、なおまた給付に対する国庫負担は今回初めてやるのでありますから、この財政の面または運営の面両々相まつて、今後の日本の国民健康保険の完成を期したいという趣旨から一割五分を皆様の協賛を経て前国会に出し、また今国会にも出しているのであります。従つてどもは一割五分がいいのであつて二割がいかぬということは一切言つておりませんし、とにかくいろいろなことを勘案して、まずもつて現在における最善、次善の策として予算の編成をいたして参つているのであります。従つてここで理論的にあるいは理想論としていろいろ申し上げることもできますけれども、政府といたしましては、まずもつて国民健康保険をその財政が確立されて運用ができるようにして参りましてもつて日本の社会保障制度の推進に当りたいということを考えております。でありますからここで画然と割切つてどうこうということを今政府の立場としては申し上げかねるのであります。
  41. 柳田秀一

    柳田委員 私も質問はごく簡単にいたしますから、大臣もごく簡潔にお願いいたします。  大体近代国家におきましては、個人の疾病と貧困の原因は社会にある。社会の連帯責任である。これを克服するために、国家の責任においてなすというのが社会保障制度の根本理念であり、日本の憲法二十五条のあの調子の高い文章もそれから出ておると思うのでありますから、大臣に今私がさように質問したから、さらにつけ加えて、それならば健康保険にもほかの保険にも給付をせよと迫るのではありませんので、せつかく大臣の時代にこういうようなりつぱな業績を残していただいたのですから、私は大臣の口から聞きたかつた。というのは、やはりそういりような大きな社会保障制度の理念に立つて国民健康保険の給付も医痛給付もしたのであるが、とにもかくにも、やはり政治は現実であるから、一応今国民健康保険が最も苦しんでおるので、その点から先につけた、こうおつしやつていただけたら、私はそれで満足するのであります。その点を実は聞きたかつたのでありまして、おそらく大臣の御心中もそこにあろうと思いますけれども、やはり政府の立場におられますと、またうつかりあげ足をとられて、そういうことを言つたからまた健康保険に出せと言われるかもしれないと思つていらつしやるのかもしれませんけれども、そういうやぼなことは言いませんかち、少くとも大臣は、そういう業績を残されたのでありますから、大臣の品からこういう崇高な理念に立つて給付をしたということを聞きたかつたのであります。
  42. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 決して私の功績にいたすつもりも何もございません。これは柳田先生よく御承知通りでありまして、今回の予算は流案になりました予算を踏襲いたしておるからでございましようが、前の流案になりました予算編成の際の最後の二、三回の閣議、及び閣議終了後におきますあの予算書を印刷いたしますときの事情をごらんになりますれば、私の真意はよく御了解の通り、私はこれは、あまりはつきり申すとあとでしかられるかもしれませんが、当時二十九億、この額を私は閣議ではつきり申したことはありませんから、閣議のことは、これは閣外秘密でありますので、誤解のないように申し上げますと、二十九億の金をもらうということではなくして、給付に対する国庫負担一割五分の二十九億ということをはつきり申しておる。予算書にも当初、給付に対する国庫負担一割五分に基いて、ただ二十九億を出すの一だという予算になつておりましたから、予算の印刷の印刷がえまでさして、給付に対する国庫負担割五分の二十九億ということにいたしたのでありますから、この点御了承願いたいと思います。
  43. 柳田秀一

    柳田委員 どうもすつきり満足できませんが、私はなるたけ誘導尋問して大臣の真意をお伺いしようと思つて質問したのですが、それで大体わかりました。  これは希望だけでありますから、御答弁はいりません。この給付費の補助についてでありますが、現在、給付をなさる手段として段階を設けられてやつておられます。これはいわゆるフラットにやれ、さように申すのではありませんが、この事務はお役人にまかせますと、とかくに必要以上に段階を設けまして、必要以上に事務を煩雑にするのがお役人です。現に今国会の請願のうちの八割を占めます地域給にいたしましても、余談になりますが、あれほどこまかくわける必要のなかつたものが、やはりこれは役人の何といいますか、自然に出て来るのでしようね。あれが災いしまして、政府はにつちもさつちも行かないようになつております。この轍を踏まないように、あまりこまかい方法によつて給付をなさらずに、もう少し大まかに、やはり給付費の二割ならあつさり二割出す。しかしそれでは保険に対して成績をあげておる、あるいは熱意を示しておる、あるいはそれほど努力しないというようなところを一様にするわけに参りませんから、その点を勘案されることはけつこうでありますが、現在とつておられますような、あまりにもこまかい、ああいうセクシヨン、セクシヨンにわけてのお役所仕事はどうかあなだの方から多少ブレーキをかけていただきたい。そうしませんと、今の地域給のようにまたにつちもさつちも行かないような、これはほつておけば官僚は自然にそういうことをするのであります。この点は、私は大臣に御要望申し上げます。御答弁はいりません。  次は社会保険でございます。統合の問題が前委員会において何回も出ました。私は同じ質問を繰返すのではありませんけれども大臣は、この統合の問題は将来の問題として研究したい、こういう御答弁であります。これは私は単なる一片のお言葉と解釈しておるのでありまして、やはりこういう社会保険の統合ということはしかく簡単にできないと思います。それぞれよつて来るところの原因があつてでき、またその原因別によつてこういう給付があるのですから、そう簡単にはできない。相当の摩擦を克服する勇気がなければできない。従つてこういう保険統合をやるからには、腰を入れて、今から試案くらいはつくつておいて、各方面に多少の摩擦を起しても、その摩擦をまるめて行つて目的を達したいと思う。そこで木村さんは勇敢に、私の案であるか、試みの案であるか、つくられましたが、これは非常に大きな問題である。そこで少くとも社会保険統合に対して私の案でもけつこうです、試案でもけつこうですが、そういうようなものをお出しになるお考えがありますかどうか。ただ考えておくということでは、身分の保障もない大臣でありますから、どういうことになるかわかりませんので、今のうちに山縣私案というものをお出しになるお考えはありますか。承つておかぬと、ただ答弁の上で、考えておきます、考えておきますでは納得行かぬ。率直にお願いします。
  44. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 率直に御答弁申し上げますが、今後検討して参りたいと思います。
  45. 柳田秀一

    柳田委員 それでは重ねてお尋ねいたしますが、そういう統合の案は、現在出ております社会保障制度審議会の答申案に一応根幹が出ていると思う。こどに社会保障審議会は内閣総理府の諮問機関であるから、当然尊重されなければならぬ。同じ諮問機関であるところの恩給特例の答申案にはすぐ飛びついた政府ですから、やはり社会保障制度審議会のりつぱな答申案を尊重していただきたい。その答申案に対していかがお考えになつておりまするか。もしも将来社会保険の統合をするならば、今社会保障制度審議会から出ているような線に持つて行きたいというお考えでございますか
  46. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 実は社会制度審議会の答申は、実に各般にわたりまた非常に広い分野にわたつて答申がなされておることは、先生も御承知通りであります。現在社会保障制度審議会が取上げておりまする問題は非常に間口も広く、奥行きも深いのであります。ところが恩給制度の復活は間口も一つで、奥行きもきまつております。それと違つて社会保障制度審議会の答申というものは日本の今後の社会生活あるいは国そのものの行き方について関係の深いものですから、そう簡単に、恩給法と同じような程度で政府が取上げることができないことは当然であります。社会保険の統合は、審議会の勧告にも取上げておりまして、またわれわれもそう思います。たとえば同じ被保険者であつて、そうして保険がクラッシュいたしております。たとえば現在問題になつております厚生年金もそうでありますが、これのごときもきのう予算委員会で、国民年金制度をどうするか、これをすぐ実施する意思があつてしかるべきではないかという質問もあつたのでありますが、これは勧告の中にも国民年金制度をただちにとるということは勧告いたしておりません。理論としてはいろいろ考えられますけれども、たとえば厚生年金の問題にしても、終戦後においては、各事業会社あるいは工場等においては、一応当時のいわゆる生活給といわゆる従来の意味の俸給との観念がいろいろかわつて参りまして、生活給という意味から、たとえば退職金のごときは分割して、その月の俸給に入れて支払つて来た。しかしその後また俸給制度ができたが、いろいろな物価の関係等においてもとの退職金制度を別に置くことになつた。そうしますと経営者の言い分から見ますと、退職金制度というものと厚生年金制度というものとはクラッシュいたしておる。これを統合しなければならぬというような問題がある。従つてこの問題は、日本の現実の経済あるいは社会というものと関連をもつて検討しなければいかぬ問題である。いわんや労災保険あるいは失業保険あるいは国民健康保険、健康保険、これらは先生が最初に簡単に行かないと仰せられましたが、そういうふうにいろいろ発生条件が違うのであります。従いまして、この統合に対しましては、審議会の指向せられております方向に従つて検討いたしまするけれども、仰せのように今すぐに試案を出すとか、あるいは勧告の中に盛つておりますものをどうするか、ということに対しては、たとえば退職金制度と厚生年金制度との関係は、日本の経済の現実というものが今後どうなつて行くかということとにらみ合せて解決すべき問題である。従つて今後は十分検討いたして、できるだけ被保険者の負担もなくし、ことに労働者諸君の負担を軽くして、しかも社会保険の適切、にして有効な効果をあげるようにしなければいかぬということは痛感いたしております。でありまするから検討はいたしまするが、今具体的にどういう線で、社会保険の統合を考えているかということに対しましては、なおしばらく検討の時期をおかし願いたいと思います。
  47. 柳田秀一

    柳田委員 ただいま中川委員から保険の単価の問題が出ましたが、この単価の問題で、今ネックになつておるのは、薬剤費が非常に高い、薬剤費も特に局方でなしにいわゆる新薬と称するものが非常に高い。この原因は、私は日本の特別の現象だと思うのですが、いわゆる雑誌、新聞等に新薬の広告が多過ぎる。おそらく世界の各国まわりましても、病人が自分で注射できないような注射液の広告が新聞、雑誌あるいはウィクリーというものに出ておるところはほとんどないので、おそらくこれは専門の医学雑誌だけに出ておるのです。従つてわが国の保険単価が非常に高い、医痛費もそれに従つて非常に高い。その何割か、非常に多くのものを、広告費を飲んでおる、広告費の薬を注射しておる、こういう現状になつておる。これはアメリカに行きましても、あのライフにも薬の広告は出ておりません。この点は製薬会社は、それぞれ広告費が実際の営業費の何割にもなつておりませんということを言つておりますけれども、現実に新聞に出ております広告を見ますならば、映画の広告か、百貨店の広告か、薬の広告か、本の広告か、これくらいに限られております。このくらいたくさん広告費が出ておることは、結局はね返つて来て、薬価に響く、それがまた社会保険の単価に響いておるのでありますが、こういう点に対して何らか規制する方法はないものか、これは非常にむずかしい問題で、ちよつと無理な質問かもしれませんが、大臣はこの点どうお考えになりますか、伺つておきたいと思います。
  48. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 その点私もまつたく同感に考えております。現に外国に行つても、日本ほどそう薬の広告は出ておりません。昔よく外地に、ことに満州、当時の支那あるいは台湾等に行きましても、どんな奥地に行つて日本の売薬の広告が出ておりました。また現に日本の新聞雑誌等においても仰せの通りでありまして、それが自然に薬価の高騰に影響し、保険単価に影響いたして、そこにむだがあるということは、私もまつたく同感に考えておりますが、これを法制上どうするかということについては、私はただいま確たる知識を持つておりませんが、しかしなるべくはこういうふうなむだを省いて、できるだけ安くいい薬を国民に与えるように、いたさなければならぬということについては、まつたく同感であります。この点は何か検討し得る点がございましたら十分検討してみたいと思つております。
  49. 柳田秀一

    柳田委員 これは事実実際にやろうとすれば非常にむずかしいことはよくわかりますが、これは今後の国民医療として非常に大きな問題でありますから、どうか大臣にも御在任中にとくと御研究をお願いしたいと思います。  次に、社会保険の事務の簡素化でありますが、これが非常に要望されておるのであります。さらに社会保険の官僚統制に対して非常に反発があります。こういう点に対して、大臣のお耳には直接入らぬかもしれませんが、何らか将来において社会保険の事務を簡素化し、さらにもう少し官僚統制を少くして、先ほど中川委員がおつしやつたように、国民をして心から協力せしめる態勢について何か手をお打ちになるお考えはありませんか。
  50. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 この問題は私もかねて国民健康保険の給付費に対する国庫負担をいたしまする際に、ありていに申しますれば、当時なかなか問題がございまして、給付費に対する国庫負担は閣議においても、難航に難航を続けたのであります。その際に私はこれは国家財政の困難な際において給付費の国庫負担は、——これは先ほどの御答弁を裏からお答えすることに相なりまするが、給付費に対する国庫負担ということと赤字に対する助成とは相当本質的に違うのであります。この点柳田先生は相当御納得が行くと思いますが、そういうことでありますから、国庫負担として国家財政の見地から見れば、わずか二十九億でも、これは相当な大きな問題であります。従つて今後単に国家が財政補助をするということだけではいかぬので、いわゆる社会保険の運営に当つては冗費を節約して、そうしてできるだけ、先ほど申しましたように被保険者、従つて一般国民の負担を軽くして、給付の内容をよくしたい、そのためには、国民健康保険だけではありませんが、国民健康保険等について、今後その運営に当つては、十分に合理化をはかりたい、こういうことを申したのであります。先生のただいまのお尋ねはそれとちよつと違うでありましようが、そういうこととうらはらの問題でありまして、事務を簡素化することは私はぜひしたいと思つております。但し昨年も広島県においてたしか問題になつたのじやないかと思いますが、保険医の監査の問題について、これは当時参議院の委員会においても私はよく申して、今後ああいうふうな域を越えたいわゆるほんとうの意味の監査にあらざる干渉的な監査をしないことを、よく徹底いたさせておりまするが、事務の簡素化並びに監査等に対しましては、今後十分留意をいたすつもりでおります。
  51. 柳田秀一

    柳田委員 最近各地に、アメリカですかカナダですか知りませんが、キリスト教、これは新教も旧教もあろうと思いますが、キリスト教が、慈善と称しておりまするが、実際に一般診療の病院が各地にできる気運に向つております。このことは一概にこれを排斥するものではありませんが、これは大臣にちよつとお聞きとりおきを願いたい。大体において信者の寄付によるということになつております。しかしながらこれは一般診療に入りまして、また社会保険の医療を担当するのでありましようが、現在公的医療機関のどこを見ましても、黒字経営のところはほとんどありません。みなそれぞれ赤字補填をしておるのです。こういうふうなキリスト教のものは、うしろに大きなフアンドの援助がありまして、事実それによつて運営されるのです。こういうものは、たとえば地方大都市ならば、これは百貨店の存在価値もありましようが、中小都市に百貨店ができては中小企業が軒並に困るようなものでありまして、小さな一般の公的機関、開業医には相当の圧迫になつて来る、こういう点が一つ。それからもう一つは、大体において植民地政策というものは、宗教とそれから次に医療というふうにきまつておるのでありますが、こういうにおいが多分にある。日本においては大体医療機関は都市に少し偏重し過ぎておると思うくらいに多い。そういうところに、都市にまたさらに偏在して、こういうような外国資本の、しかも宗教を排斥するのではありませんが系統の違つた病院が群生することは、私は好ましくないと思つておるのでありますが、これに対て大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
  52. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 この問題は地方でよく話を聞くのですが、ものは違いますけれども厚生年金病院ができるとか、あるいはまたある都市において一応私的の医療機関が整備しておる際に、公的医療機関がそのすぐ横にできるというような問題とも関連をいたしたような意味での御質問と思いますが、日本の従来のいわゆる私的の医療機関があるにかかわらず、そういうふうな慈善とか何とかいう名目において外国の医師等が開業しておる、あるいは病院等を開設いたしておるということについてのお尋ねでございますか。ちよつと要点がわかりませんので……。
  53. 柳田秀一

    柳田委員 大体私の質問の要旨は、これが日本において取も必要とするところの結核とか、あるいは精神病、癩とか、そういう特殊のものにやられるならば、店はわかつておるが、結局においては一つの植民地政策のにおいが多分にあるようなこういうものが、日本に来ることが好ましいか、それとも好ましくないか、こういうことを伺いたいのであります。
  54. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 たとえば教育、医療というような問題については、やはり国民大衆の、いわゆる社会全体の福祉にいいかどうかということでもつて、判断すべきものでございまして、個々にどうこうということは、私は言えないのではないかと思います。現に教育事業にいたしましても、医療の事業にいたしましても、日本の国民大衆から見まして、非常に歓迎すべきものも多多あるのでありますから、抽象的にそれがいいとか悪いとかいうことは言えないのではないか。もしも国民大衆のために低廉なる医療ができ、またその医療の内容そのものがよろしければ、必ずしも悪くはないと思います。但しその配置とかいろいろな点につきましては、問題がございましよう。しかし抽象的にどうこうということは申しかねるのであつて、具体的に決定すべき問題ではないか、かように考えております。
  55. 柳田秀一

    柳田委員 病院に半数ぐらいは外国人医師が診療しておるように聞いておるところもあるのですが、現在の日本医師法によりまして、そういう外国人で、外国における医師免状を持つておる者が、日本において医療に従事することに対しては、どういうようになつておりますか。
  56. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 これは医師法に規定がございまして、外国の大学を卒業して、外国で免許をとつた者が、大体日本の大学を卒業して、一年間インターンした者と同じ資格があれば、国家試験を受ける資格を持つている。これは英国とか米国とか、いろいろ医術の発達した水準の高い国と、そうでない国がありますから、日本の大学を卒業して、一年間インターンを受けた者と同等の資格を持つていると認定されれば、これは厚生大臣が認定するわけでありますが、その際には、一応予備試験を受けさす。そして一年間実施の修業をして、それから国家試験を受けますから、別に支障はないと思います。
  57. 柳田秀一

    柳田委員 それはその通りですが、従来日本とメキシコ等におきましては、日本医師免状はそのままメキシコの医師免状に適用し、メキシコの医師免状はそのまま日本医師免状に適用するように私は理解しておつたのですが、たとえばアメリカで日本人が開業しようとして、国家試験を受ける場合には、英語というよりも、アメリカ語以外には受けられない。だから、実際には日本人がアメリカで開業することがむずかしい。日本の場合には、英語で受けようが、日本語で受けようが、ドイツ語で受けようが、御随意でありますから、アメ勇人は、どんどん日本にやつて来て医療ができる。ところが日本人は、ロスアンゼルスで医師をやろうと思つても、アメリカ語によつて口頭試問や学科を受けなければならないから、なかなかたいへんです。こういう点から考えて、日本は少くとも独立国として、日本医師国家試験というものは、日本語で口頭並びに筆記試験をするというふうにお改めになる御意思があるかどうか。
  58. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 その点は技術的な問題でありますから、後ほど政府委員から御答弁させます。但しこの問題は、たとえばほかの大学の入学試験でも、英語だけでやつたこともあります。私が大学に入つたときには、英語だけの試験でございます。現在も、相当英語の試験を重要視しているところもあります。詳細なことは、あとで局長から申し上げます。
  59. 柳田秀一

    柳田委員 入学試験国家試験とは別ですから、その点はまたあとでお聞きします。  次にインターンの問題でありますが、現在医師になりますには、六・三・三、それから二・四、さらに一年のインターンを受けて、また半年ほどたたなければ、医師免許状が来ないのであります。これに対しては相当廃止の声が強いのです。私は前国会においても、参考人を呼んだときに聞いたのですが、いろいろそこから考えてみますと、インターンの問題はこういうふうに考えたらどうかと思います。要するに医学教育をするところの文部省側においては、その医学教育の中において、医師に必要なところの最低の知識並びに技能を与えるのが税文部省の責任であります。そして文部省が責任をもつて医師たるに適当な者だけに卒業証書を与える。厚生省は別であつて、実際に国家試験をやられるのでありますから、厚生省の方で国家試験をやられる以上は、文部省に責任を持たしたならば——私はあえてインターンそのものを否定するのではありませんが、そういうものをわざわざ六・三・三・二、四の外に置いて、厚生省の方でやられなくても、文部省側に一任する。出て来た者を厚生省国家試験でふるいにかけるのであるから——昔はそれぞれの学校において卒業証書を与えた者に、即座に医師免状を与えたのでありますが、そうでなしに、国家試験がある以上は、文部省にまかして、インターンという実質を六・三・三・二・四の課程の中にほうり込んでしまつたならば、これでいいのではないかと私は考えておりますが、これに対して厚生大臣はどうお考えになりますか。
  60. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 私、実は予算委員会に呼ばれておりますから、詳細な点は申し上げることを略しまして、政府委員から答弁いたすことをお許し願いたいと思います。ただインターン制については、これまた衆参両院の委員会、あるいは予算委員会でも、たびたび質問がありまして、答弁いたしておりますが、インターン制度そのものは、やはり必要だという見解をただいま持つております。今の仰せは、インターン制度そのものは必要だが、それを学校の課程の中に入れたらどうかという御質問でございます。それも一つの方法ではありましようけれども、一応現在では、学校の課程外にインターン制度を置いております。しかし今いろいろ問題になつておる点がありますから、それをいかにして解決して善処するかということを考慮いたしております。具体的なことは、後ほど政府委員からお答え申し上げます。
  61. 柳田秀一

    柳田委員 次にもう一つ、国民が非常に喜んでいる問題を取上げますが、これは簡易水道の問題です。この簡易水道の問題は、予算額も本年やつと四億になつて、わずかなものでありますが、これの実施を受けた農村におきましては、ほんとうによろこんでおります。私の知つております農家におきましては、重いおけをかついで、一年に主婦が水を台所に運ぶ距離を通算いたしますと、東京から下関まで行くくらいの距離になります。そういうわけで非常に喜んでおる。ことに農村におきましては、いかに環境衛生の改善、台所の改善を叫んでも、根幹は水であります。これを政府が取上げられたことは、私は非常に敬意を表するのであります。ことに将来農村における国民医療の問題に対しても、水の解決が大きな問題である。そういう予算というものは、はね返つてまた国民医療の方の額が減つて来ることは必然であります。さらにまた、これが農村の人間の労働力をカバーして、食糧増産になることもわかつております。こういうふうに、ひとり厚生行政だけでなしに、農林行政にも密接な関係があります。ただ現在国庫補助が四分の一でありますので、実際にほしいが、その補助率があまりにも少いところに難点があります。しかしながら、水道事業というものは、そこから水道の料金が上つて、収入が上るから、補助はいらないのではないかということを、おそらく大蔵省の役人は言うだろうと思いますけれども、それは役人のお考えであつて、こういうふうに農村の環境改善、さらに食糧増産、国民医療に大きな影響がある、こういう善政であるところの簡易水道の問題に対しては、少くとも補助は二分の一ぐらいの国庫負担をして、これを普及せしめるにしくはないと考えております。ことにどの農村におきましても、水はほしい。しかしながらお百姓さんというものは、今までただで飲んで来た水が、月額六百円も四百円も出したのでは、少々つらい思いをしても昔の方がよい、少くとも二百円ぐらいで飲みたいと考えておると思う。そういう見地から考えたならば、やはりこれは国庫負担の率を多くして普及せしめたらいいと思います。これは私はあえて御答弁はいらぬのでありますが、特に山縣さんの御在任中にもう少し農林省なり大蔵省と折衝されて、この簡易水道をずつと全国に普及させるような方法をぜひとつていただきたい。これはほんとうに農村が喜んでおりますので少くとも負担率を二分の一くらいにまで持つてつていただきたい、かように思います。
  62. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 これはまつたく御同感であります。簡易水道は善政中の善政であつて、ことに農山漁村のいわゆる公衆衛生の面、あるいは日常の生活の面から一番大事であり、しかも割合金がかからぬものでありますから、ぜひ予算的措置をいたしたいということで、御承知通り今年予算を四億とつております。四億といえば、十六億の事業規模でありますと、わずか約二割でありまして、われわれとしては一応千三百万を対象にして計画を立てており、お説の通り、これは私も今後とも努力いたしたいと思つております。この点については、実はこの間も御報告いたしたように記憶しておるからごめんこうむりますが、今回の水害に対して簡易水道が大きな光明を与えておる。今度の佐賀県の一番の災害地である嘉瀬村に私は船で参りましたが、悲嘆のどん底にあつた嘉瀬村が、佐賀県の今年五月に開通した簡易水道第一号ができておつたために、全村が疲労困憊に達してどん底にあつたにもかかわらず立ち直つたということもあります。これは帰つて閣議でもすぐ報告をいたし、はなはだ何でありますが、先般の奏上の際にも、私は陛下に奏上いたしたのであります。この簡易水道の問題は、今後とも私どもも十分努力をいたしたいと考えております。
  63. 柳田秀一

    柳田委員 最近の政治がどうも陳情政治になりまして、組織のあるところ、あるいは声を高らかにしたところに対しては取上げるという状態であります。しかし農村の声なき声というもの、しかも農村においてこういうような善政があることすら知らないところがあるのですから、そういうところには、どうぞ政府から積極的に指導されるような立場で大きく取上げていただきたいということを重ねて要望しておきます。  次に母子福祉貸付法でありますが、これは本年七億八千四百万円でしたか、七百万円でしたか、これの増額が府県の財源になつておりますが、自治庁の方で起債の増額を認めないのです。こういう例は御存じであるかどうか知りませんが、起債の方でしぼりまして、せつかくの厚生省の親心の十五億の金すら、これは欲する人にとつてははなはだ少きものでありますが、その少きものすら自治庁の方の心なき起債のわくに縛られて、厚生省の親心が下部に達しておらぬということになつておりますが、これに対してはどのようになつておりますか。
  64. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 母子福祉の問題は、御承知通り暫定予算でも四、五、六、七について特に二億数千万円をとりまして、遺漏なきを期して参つておるのであります。各府県に対しても、これがせつかくの法律もでき、またこの要望は非常に大きいのでありますから、母子福祉の法律に基き、貸付の推進をはかつてつておる。これは昨日数字をもつてこの委員会に御報告を申し上げましたからあえて申し上げませんが、現にたしか十六府県でありましたか、割当をし、ついであと同様の割当を着着準備をいたしております。ただいま仰せの平衡交付金との関係で、府県がその貸付をしぼるということは、私も現地に視察に参つた際に耳にいたしておりますが、私はその際いつも知事に申しておることは、これまた善政の一つであるので、府県はこれをしぼらないように、平衡交付金との関係を云々して地方自治団体が現にしぶつておる例もありますが、そういうことに関係なく、とにかく従来はこういう法律にまたずして無利子で貸し付けた府県も多いのでありますから、十分ひとつがんばつてくれと申しておりますし、なおまた平衡交付金の関係においてもしも支障が、ありますならば、これは自治庁長官に十分申入れをいたしたいと考えております。
  65. 柳田秀一

    柳田委員 次に生活保護法について簡単にお尋ねいたしますが、この生活保護法にいたしましても、社会保障にいたしましても、その目的は救貧にあらずして防貧にあることは疑いの余地がない。ところが予算を見ましても、生活保護の大半は医療扶助になつて、約二百五十三億ぐらいとつておる。これはいわば救貧なんです。ところが防貧としての社会福祉施設整備の費用はわずかに一億で、前者に比べて一%あるかないかです。本来ならばこういうような実際の救貧の費用は漸次少くして行き、防貧の費用としての社会福祉施設の面にもう少し金をつぎ込んで、そうして救貧の方の費用をそこで浮かすという施策が当然国家としてとられなければならないと思います。片一方は二百五十三億、片一方は一億しか出ておらない。これを比較するのは性質が違いますから当りませんが、社会福祉の面において二億とはあまりに少な過ぎると思います。これはもう少し大きく取上げる必要があるのじやないかと私は思いますが、大臣のお考えはどうでしようか。
  66. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 この点も趣旨としてはまつたく同感であります。しかし私は、防貧に対して一億という見方はとつていないのでありまして、いわゆるボーダー・ラインに対する更生をはかるということは、単にそういうふうなごく局部的な一億の予算——もちろん私はそれで十分とは考えておりません。そういうふうな救貧の方にのみ片寄ることなく防貧の方に進みたい、これはまつたく同感であります。その前提に立つて申しておることでありますが、ただ二億だけということじやなくて、たとえば母子福祉法も防貧の一つであり、その他いろいろな広い範囲で申しますならば、今回の援護法も従来からの援護法も防貧の一つであり、なおまた児童福祉法によつてつておりますことも一つの防貧の施策である。そういうことを今後総合的に考えて、そうして仰せのような趣旨で進みますことはまつたく同感であります。きようも実は社会福祉審議会がございまして、この委員会の前に私出席いたしまして、今後の社会福祉の面における支出の問題は、終戦後の日本においては過渡的に出て来たいわゆる救貧の面に対して重点的に予算を向けたけれども、今後はいわゆるボーダー・ラインを中心とした防貧の点に相当問題があるので、その方面を重点的に取上げていただきたいということを私はその審議会でお願い申した次第であります。
  67. 柳田秀一

    柳田委員 それから先ほど問題になりました戦傷病者遺家族援護法でありますが、この援護法精神援護でありますか、国家補償でありますか。どちらか一つを答えてください。
  68. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 これは援護であります。
  69. 柳田秀一

    柳田委員 その点がわれわれとはなはだ考え方が違う。今回もまた共同修正案が出て来るようでありますが、第一条に、「この法律は、軍人軍属の公務上の負傷若しくは疾病又は死亡に関し、国家補償精神に基き、軍人軍属であつた者又はこれらの者の遺族援護することを目的とする。」と書いてあります。ところがこれでは文章の意味も非常に通りにくいのであつて日本の憲法の戦力云々の問題と同じことになつて参りますが、この「国家補償精神に基き、」ということは、あとから国会が修正して入れたのであつて、政府の原案は援護である。だから第一条だけに「国家補償精神に基き、」というのが出て来て、あとは全部援護精神で行つておるので、こういうちぐはぐの法律が出ておるのだろうと思います。ただいまはつきりこれは援護であるということを承りましたので、それはそれでまたこちらも対策を立てますが、国家補償精神に基いてこれをやつておるということになつて来ると、今のお言葉では少しおかしいと思います。国会で審議されたことを大臣は全然無視せられたということにもこれはなつて来るのであります。それではもう一度重ねてお伺いいたしますが、これはやはり援護法でありますか。
  70. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 これは他に二、三これと同じような問題があつたのでありますが、そう割切つて言える問題じやありません。たとえばこの援護法のごときも、恩給法が停止された間の暫定的の一つの応急措置としていたしたものであつて、初めから法律的に割切つた問題ではありませんから、法律論といたしましてはいろいろ言いましよう。たとえば国家補償云々という文字のあることも承知しております。しかしやはり先ほど簡単にイエスかノーかというお話でございましたから私は援護と申し上げたのであります。
  71. 柳田秀一

    柳田委員 大臣にはなかなか委員会に御出席がないので、せつかく御出席願つたときには日本厚生行政をどういうふうに持つて行くかという大きな見地から実はもう少し詳しくお尋ねもし、こちらの意見申したかつたのでありますが、時間の関係上はなはだ簡単にいたしました。なおどうも最近われわれの審議があまりに細部にわたり過ぎて、政治というものが小さくなり過ぎる。やはり国家の立法府におります者としては、こういう国家厚生行政という見地から大きくとり上げて、それぞれ立場は別でありましようとも、真摯なる検討を委員大臣とは重ねて、少くとも局長や課長のするような答弁を願うようなことなく、もう少しこの問題には真剣に取組みたいと思つております。またそうすることによつて厚生行政は伸びるのであつて、この点は大臣もお考えを願いまして、国家厚生行政全般についてお互いに虚心坦懐われわれとデイスカツシヨンする機会を大臣もつくつていただきたいと思います。同時に大臣としては厚生大臣になられて非常に刻苦勉励されて、おそらく短時日の間に厚生行政をマスターされたとわれわれ理解しております。本来のリベラリズム、ヒューマニズムを持つておられて厚生行政に非常な熱意を持つておられることはよくわかるのでありますが、これはたいへん皮肉な言い方かもしれませんが、国保の医療給付をかちとられたのは一つの大きな山であつてあとはもう何ぼやつて国家財政との見地もあつて、何もかもさつとやれるものでなしというようなひと安心というような気分が多少おありになりはしないか。そこでこれは国家行政のためにさらにもう一つ大きな山を乗り越えられて、少くとも大臣の在任中にまだまだ大きな仕事を残していただきたいと思いますが、多少その点やや最近はマンネリズムに陥られているのではなかろうかと思うのであります。私はかように思うのであります。これはひとつ大臣においてさらにもう一度就任当時の御熱意と御抱負を格段と新たにされますようへ国家厚生行政のために特にお願いいたしまして私の質問を終ります。
  72. 青柳一郎

    青柳委員長代理 本日はこれにて散会いたします。次会は明日午前十時より開会予定でありますが、予算分科会があればとりやめますから、その点御了承を願います。     午後零時五十四分散会