○堤(ツ)
委員 これは何も国保の場合だけでなく、私は今日の政治の非常に大きな弊害だと思うのであります。
市町村では国が金をくれればやる、それから国では
市町村が何がしの金を持
つて出頭すればやらせてやろうとい
つたような態度で、
中央と
地方とが両方のふところぐあいをにらみ合口いまして、そうしてしなければならないという結論が出ているけれ
ども、国が出してくれればやる、また地元が何がしかの自腹を切ればやらしてやるという
ような態度で、にらみ合いのまませつかくやらなければならない福利
行政が非常になおざりにされているという例がたくさんあるのであります。あなたは七月一日までの情勢を見て再起したものに対しては
予算をやるということをおつしやいますけれ
ども、今田
赤字の
地方の
市町村の
財政から言うならば、国が何がしかの呼び水をくんで起してくれるならばそれについて行けるというのが実態であると思う。そういう親心を示さないで、立ち上
つて行つたらひ
とつや
つてやろうというのは、まことに冷淡きわまるやり方だと思う。しかも先ほどのあなたの四段階の発表を承
つておりましても、この二十九億六千万円の
医療給付一割五分の金をめぐ
つて猛烈な陳情運動が始まる、と私は烙印が押せると思う。今日私
どもが
中央におりまして、
予算の陳情運動くらい不快なことはない。またこれは大きな問題でありますから、政党政派を越えて
考えなければならない段階に来ておりますが、一
厚生省の中において官僚がはぶりをきかせて陳情がはげしいところ、何かの手を用いて来るところには金を多くやる、そうでないところは薄くやるという
ようなものが端的に二十九億六千万円の中に現われると思う。さもなくば文書の上で筋の通つたものをこしらえる
ように、合法化してこの金をぶんどることに成功し
ようという
ようなところも現われて来る。非常に弊害は大きいと思う。せつかく
とつたわれわれとしても憂慮にたえないのであります。私は今日国保の問題、
健康保険制度の問題をめぐ
つて厚生省だけを
とつちめたとしても、これは無理だということは重々
承知しております。あなた方が大蔵省に三拝九拝されて五、六年の後やつと二十九億六千万円の金を国会の圧力によ
つてどうにかものにされたということは大きな飛躍であ
つて、吉田
内閣のもとにおいては私
どもは期待しても望み薄だつたのでありますが、どうやらわれわれの圧力によ
つてこれを実現され得た。そこで
厚生大臣はしばしば堤代議士からおほめにあずかつたとおつしやるが、私は
厚生大臣個人をほめたのではなくて、吉田
内閣のもとにおいては、わが社会党が天下をとらない限り上々であつたから労苦を多とするということでほめたのであ
つて、山縣さんよくやつたと私が絶対的なほめ方をした
ようにどこへ行
つても広告されるので、
堤ツルヨは山縣
厚生大臣に選挙資金を出してもら
つておるのじやないかと左派からひやかされておる
ような始末ですが、じ
ようだんはともかくといたしまして、せつかくこうしてわれわれが
とつた
予算にいたしましても、われわれ国議員の
立場からいえば、今日国
会議員がどういう
考えを持
つておるかとおつしやれば、先ほどから左派の
委員がおつしや
つたように、私は前の国会で本
会議でも討論をしたが、
日雇い労働者の
健康保険をつくる、船員は船員
保険、官公吏は共済、職場にあるものは
健康保険、
市町村においては
国民健康保険と、まるでてんでんばらばらで、片方は厚く、片方は薄く、一体どこに民生安定を求めるか。これは国保一本にして、
予算のぶんどり、陳情をやらなくても二割の
国庫補助は国の義務としてくれるという建前に立
つて八千五百万の国民は
市町村において必ず
国民健康保険の恩典に浴して、生活の安定を保障してやらなければならぬという積極的な結論を超党派的に得なければならぬところに今来ているところでありますから、
厚生省に行
つて私たちがいろいろ申し上げますと、どうやら官庁の方々はそうやられると仕事のなくなる人がある、私はそう見受けたのであります。それからおのおのの城を守
つて断じて譲らない。結核
対策を見てお
つてもそうであります。これはあなたに
言つても無理かもしれませんけれ
ども、公衆衛生の
関係は山口局長の所管である、結核療養の
関係からいえば施設課の
関係とあらゆる面からわかれて、そして公共事業においては結核
予算と並行してぶんどりがされている。少くも合理化されない、科学化されない、そして理性化されておらない。これは
日本の政治の大きな欠陥でもありますけれ
ども、その最たるものは
保険行政であります。局長は、もうそういう結論が出ておりまして、国会の
意思もわかつ薫る
ようおりますから、即刻手をつけまして、横の
連絡をと
つて、もう国保一本の線に改めるへく、次期国会くらいには提案するという
ような腹ができておらなければうそなんです。私は先ほどから聞いてお
つても、あなたの
答弁はまことにけしからぬと思
つて質問に立つたわけです。陳情だとかぶんどり合いだとか、片方は厚く、片方は薄く、また再び立ち上れないものにも水をやらないで立ち上れ、まるで生れたての赤ん坊におかゆを食えという
ような式に行きなさる今日の
保険局のあり方というものは、
がんであるところの大蔵省をむろんたたかなければものにならないかもしれないけれ
ども、
厚生省としての
一つの信念なり行き方があるはずだ。大蔵省が今日横暴をきわめて、どうしてもわが
行政上の
がんとなるならば、大蔵省をつぶすにわれわれは決してやぶさかではない。火つけはいたしませんけれ
ども、合法的に大蔵省なんというものはつぶさないとどうにもならぬ
ようなことも今日あるのです。ですから、あなた方は大蔵省だとか国家
財政に縛られるごとなく、真に国民大衆を守るという信念があるのならば、なぜ国保一本に固めて行かないか。それから私が今申しました
ように、再起し
ようとする人たちにさえも、
予算を組むつもりでおりますという
ような、なまつちよろい答えで、二十九年度とか二十八年度に組めるものか、はたして再起するところの
市町村に対して幾らの金を予定してあるか、あなたは私にこれをつつ込まれたら困られると思う。二十八年度は七月一日に何ほどのものが再起する予定だから、何ほどの予定を組んである、二十九年度は、再起するもののためにどれだけの
予算を
考えておるという
ように数字的に発表ができるかといつたら、おそらくできないだろうと思う。でぎますか、できたらできたでまた……。