○降旗
委員 次にお伺いいたしたいと思いますことは、この
現行法の第三條によりますと、
養成施設において勉強したもの、それから実地の習練を経たもの、これらが
都道府県知事の所定の
試験を
合格しなければならぬ、こういうことにな
つております。そこで私から言わせると、これは極端な議論かもしれませんが、
都道府県知事の
試験に
合格したものはその
資格があるものであ
つてへ必ずしも
養成施設に学んだ者、あるいは実地の習練を経た者、それはただ前提であ
つて、いくらその二つの條件が確立しても、
都道府県知事の
試験に
合格しなければだめだ。こういうことになりますと、やはり
都道府県知事の
試験というものは、大きな重点だと思う。そこで先ほ
どもお話のありました通りに、
公衆衛生ということは確かに必要でありますけれ
ども、傷ができたり毛が焼かれたり、そういうことは一般の
お客さんがそれをセレクトするのであるから、その選定にまかせればよいという
ようなことは、これは投げやりな話であ
つて、われわれから言わせるならば、いやしくもこれだけの組織を持ち、これだけの
試験をやるならば、傷を負わせたり、毛を焼いたり、
お客さんに非常に迷惑を及ぼす
ようなことをやらせるのは、
試験の根本に反するものです。結論を申しますと、なるほどこういう
法律案を見ますと、
公衆衛生というのはまことに必要なものである。だからそれに対して非常に勉強しなければならぬ。その趣意はまさにその通りでありますけれ
ども、われわれが今まで経験して来たところの日常の状態から申しますと、技術というものがいかにとうといものであるかということは、私は証明を要することはないと思うのである。この点については政府
委員から明確な御
答弁がなくて、ただよく
事情を勘案して、これを善処したいというお話でありましたが、その技術の点というものは、技術の中に今の
公衆衛生の知識が含まれたものでなければならぬ。これはいまさらわれわれが散髪をしたり、頭の髪をゆうことが始まつたわけではない。何百年も何千年もや
つて来たことなんですから、その間に渾然一体をなして来たものである。こういう意味からいうと、今まで各店舗において二年なり三年なり苦労をしてや
つて来たものの中には、従
つてそれだけの知識なりが含まれて訓練されて来たものだ。私はこう思う。そこで今私の質問申し上げたい点は、この
理容師なり、
美容師なりの状態を見ますと、必ずしも富裕の子弟がこの業を選ぶのでなくて、その中にはかなりに貧困なる人々の子弟が、この業務に従事することによ
つて、生活の道を得て来ておる点が多いと思う。そういう点からいたしますと、私は今日
学校側の主張する
意見と業者側の固執せんとするところの
意見との間には、
理想論と現実論との大きな争い、ギヤツプがあると思う。そこで私の特に政府
委員にお願いしたいと掛うことは、政治というのは、一人を救うことによ
つて九百九十九人に希望を持たせることが必要であるわけであります。一人を殺すことによ
つて、九日九十九人に希望を失わせるということは、政治の根幹ではないと思う。でありますから、
学校を出たものでなければ
受験の
資格がないという
ようなことは、これは一人の希望を奪うことによ
つて九百九十九人を失望せしむることになると思うのでありまして、これは決して政治の目指す本道ではない。従
つて学校を卒業したものでなければ、学業を習得した者でなければ
試験を受ける
資格がないという点は、私は断固として排撃したい、こう思うのです。しからば
学校に行けない者、貧困の間で苦学し、勉強する者をして、この道に携わることを得しむるゆえんのものは、先ほど申しました
通信教育ということが私は非常に大きな問題だと思うのです。この
通信教育を受けるということは、現実にその
教育施設ですか、いわゆる
学校に籍を置いて
通信教育を受けるという
立場か、あるいは講習録のごときものを自分で他人のものを借りて来て読んで、
試験を受けて
合格してもよろしいというものであるか、その点をひとつお伺いしておきたいと思います。