○
三浦法制局参事 お
手元に差上げてございます
公職選挙法の一部を
改正する
法律案というのが二部あると思いますが、そのうちのタイプで打
つてあります二枚
つづりのものを先にごらん願いたい。
実は先ほど
委員長からお話のございました
ように、一部無効による再
選挙に
関係いたしまして、
公職選挙法の従来の
規定を多少
改正した方がいいのではないかという
意見は前々からございまして、私
どももさように考えてお
つたのでございますが、差追
つた問題もありますので、この
機会にその
改正ができるならば、していただいたらどうかという
ような
自治庁からの
希望意見もございまするので、便宜私の方で案をつく
つてみたわけでございます。従来この
選挙法の
改正に関しましては、
議員立法という形でいたして来ておりまして、
政府提案ということにしておりませんので、その
取扱いに応じまして、ただいま
委員長の試案ということで御
審議を願うということに
なつたと推察する次第でございます。
まず、
内容について申し上げますと、先に二枚
つづりの
改正案の中の「第二百五条に
後段として次の
ように加える。」というところをごらん願いたいと思います。二百九条も同様なことでございますから、関連して申し上げたいと思います。二百五条の
規定はこういう
ようにな
つております。「
選挙の
効力に関し
異議の
申立、
訴願の
提起又は
訴訟の
提起があ
つた場合において、
選挙の
規定に違反することがあるときは
選挙の結果に
異動を及ぼす虞がある場合に限り、
当該選挙管理委員会又は
裁判所は、その
選挙の全部又は一部の無効を決定し、裁決し又は
判決しなければならない。」という
規定であります。これは
選挙訴訟に関する全部または一部の
裁判決定、裁決、
判決に関する
根本規定でございまするが、これに
後段としてお
手元にあげてあります
ような案を加えたいというわけであります。その案は「この場合において、
選挙の一部の無効に係るものについては、
当選に
異動を生ずる虞のない者を
区分することができるときは、その者に
限り当選を失わない旨を併せて決定し、裁決し、又は
判決しなければならない。」というわけであります。
選挙訴訟が
提起されまして、その
判決がございますと、それによりまして、
選挙の全部やりかえ、または一部やりかえということになりまするが、そういたしますると、その
選挙によ
つて当選いたしました人は、一応全部
当選を失うという
関係になるわけであります。そういう結果になります場合におきまして、たとえば
全国区の
参議院の
選挙等におきまして、この
事態を考えます場合におきまして、あまりに高点の方で、そういう
影響が実質的にもないと認められる
ような方たちに対してまで、この
規定を
適用して
当選を失わせるという必要はないのではないかという
ような
意見も出て来るわけでございます。そういう
趣旨に沿いまして、
裁判所におきまして、たとい
選挙の全部または一部無効が確定いたしましても、その結果、
当選人の
当選に
異動を生ずるおそれのない人と
異動を生ずるおそれのある人と
区分することができる場合におきましては、それを判別いたしまして、
当選に
異動の生ずるおそれのない人は、そのまま
当選を失わせないことにして、それ以外の人だけの
当選無効を確定する、こういうことににしたらばどうかというのがこの案でございます。
この際に問題になりますのは、
当選した人だけについてのこういう
規定以外に、
落選した人であ
つて、再び
選挙があ
つても、もはや見込みがない人につきましては、やはりさらに
選挙を行う必要はないのじやないかという
ような
意見も多いかと存じまするが、ここに掲げました案は、か
つて府県制、市制、
町村制の
規定が大正十四年ごろできましたときにおきまして、これと同様の
規定を置かれておりましたので、その
趣旨に沿いましてこの
規定を置いてみたならばというわけで、設けたわけでございます。
ただ、私から申し上げておきたいと思いまするのは、この
後段の
規定につきまして、多少いろいろな
疑義がある。たとえば、
最高裁判所の
事務当局からも
意見がございますし、私も多少の
意見もありまするので、それらの点につきまして、この
規定を置きますることについて、はつきりさしておかなければならないかと考えております。
それから次に、「第二百九条に
後段として次の
ように加える。」というわけでございまして、二百九条は、「
当選の
効力に関する
異議の
申立、
訴願の
提起又は
訴訟の
提起があ
つた場合においても、その
選挙が第二百五条の場合に該当するときは、
当該選挙管理委員会又は
裁判所は、その
選挙の全部又は一部の無効を決定し、裁決し又は
判決しなければならない。」という
規定がございまして、
当選訴訟が起りましたときに関連して、
選挙の全部または一部無効の
判決をする
規定でございます。この場合におきましても同様の
事態が考えられますので、その
後段といたしまして、ただいまの二百五条の
後段にこういう
規定を設けるとするならば、ここにも同様の
規定を置いたがいいじやないかというわけでございまして、その
規定の
内容は「この場合において、
選挙の一部の無効に係るものについては、第二百五条
後段の
規定を準用する。」こういう
規定を設けるわけであります。
それから次に、二百七十一条の二の
規定でありまするが、「
選挙の一部無効に因る再
選挙については、この
法律に特別の
規定があるものを除く外、
当該再
選挙の行われる区域、
選挙運動の
期間等に応じて
政令で特別の定をすることができる。」という
規定を設けるわけでございまして、現在二百七十二条に、
公職選挙法の一番最後の方の
条文でありまするが、「この
法律の実施のための手続その他その
施行に関し必要な
規定は、
命令で定める。」という
規定がございまして、場合によ
つては、この
命令によりまして、
選挙の一部無効に関しまする
規定等を
政令で
規定することも不可能ではないと考えられまするけれども、しかし、さらに別個に新しい
法律的な
根拠の
規定を置きまして、一部無効に関しまする再
選挙の特例といたしまして、いろいろな事項につきまして
法律の
例外規定を設け得る道を聞こうというわけでございます。
御承知の
通り、
公職選挙法におきましては、たとえば
選挙公報の発行、あるいは
選挙費用等につきましては、
選挙の一部
無効等の場合におきましては、特別の
例外を設ける旨の
規定が
法律の中にあるのでございます。それ以外におきましても、
数個所規定があるわけでございますが、それらに
規定してあります点は別問題といたしまして、たとえば、
選挙の
公営の場合におきまして、はがきを五万枚
公営で交付するという場合におきまして、一部無効の場合においては、それまでの必要がない場合等もありまするので、そういう場合には枚数を減らして交付するという
ようなこと等も考えるわけでございます。そういうこと。さらに、
選挙の
期間あるいはその他自動車、
演説会等に関しましても、この
根拠規定に基きまして、
選挙の一部無効の場合におきましては、箇所も限定されまするし、
選挙運動の
期間等も場合によ
つては短かくするという
ようなこと等の
関係上、多少本法に
規定しておりますものよりも制限して考えていいのじやないか、こういうわけでこの
規定を設ける次第であります。
それから、前にさかのぼりまして、百十条の第二項中
云々という
規定がございまして、その二項に「
参議院(
全国選出)
議員」
云々とございますが、これは、百十条の二項に、
参議院議員の
選挙につきまして、
欠員が生じました場合におきましては、
一定数以上に
なつた場合に
限つて再
選挙をやるという
規定があります。たとえば、
参議院の
全国区につきましては、
議員定数の四分の一の
欠員が生じた場合には、再
選挙をやるという
規定がありまするが、先ほど二百五条あるいは二百九条で設けました
ように、ある特定の人につきまして
当選を失わないという
規定を設けることにいたしますると、いわゆる人的無効という観念を取入れることにいたしますると、この四分の一以上ということでなくしても再
選挙を行わなければならないことになる場合が起りますので、その
例外規定を置く
意味におきまして、この百十条の二項を
改正する
ようにするわけでございます。
それから、
目次中の
改正は、同条二百七十一条の二を設けまする
関係の
目次の整理であります。
それから、
附則の一、二項について申し上げますが、
附則の一項は、「この
法律は、
昭和二十八年八月一日から
施行する。」。これは
熊谷の
選挙が八月二十日に予定されておりまするので、従来の
規定によりまして、市の
選挙でありますから、十五日前に
告示すると八月五日ということになりますので、できれば八月一日から
施行したいという
意味で、八月一日の
施行日を予定しておるのでございます。その
但書は、「
改正後の
公職選挙法第二百五条
後段及び第二百九条
後段の
規定は、
従前の
公職選挙法の
規定による
選挙の
効力に関する
争訟でこの
法律の
施行の日において現に
選挙管理委員会に係属している
異議の
申立若しくは
訴願又は
裁判所に係属している
訴訟についても
適用する。」というのでありまして、この
改正後でなくても、
施行日にもうすでに
争訟の起
つておるものにも遡及し
ようというわけでございます。
それから第二項の
規定は、「
選挙の一部無効に因る再
選挙でこの
法律施行の際その
選挙の期日を
告示してあるものに関しては、なお
従前の例による。但し、
改正後の
公職選挙法第二百五条
後段及び第二百九条
後段の
規定の
適用を妨げない。」というわけでございまして、
施行の際
告示をしてある
選挙につきましては、どちらによるかということははつきりいたしませんので、ここで
従前の例によるということにしまして、二百五条の
後段と二百九条の
後段の
規定は
適用してもかまわないという措置をとるわけでございます。
それから、これが先ほどの人的無効の
規定を入れました案でございまするが、この点ついていろいろの
疑義があるといたしますならば、その点を省きまして、簡単にただ、
選挙の一部無効につきまして、
政令で、特別の
取扱いを設けることができるという
根拠規定だけを置く
改正にとどめることにしたらばどうかということが考えられるわけでありまして、その案がお
手元に配付してございまする一枚
刷りの案でございます。これは、
目次中の
改正は先ほど申し上げましたのと同様であります。その次の第二百七十一条の二の
改正規定は、これは
内容は前と同様でありまするが、その
規定を置きまして、
附則といたしましては一、二項の
規定を置けば、さきに申し上げました
但書等の
規定はいらないもの北考えます。
以上で御
説明を終ります。