○大村
委員 自治庁から提出されました
意見の三十五につきまして一度発言したことがありますが、本日重ねてこの点につきまして
意見を述べ、質問もしてみたいと思います。現在
選挙違反が非常に大量に取扱われております。今回の
選挙におきましては
前回よりは幾らか少いそうでありますが、しかし
相当多数に上
つております。新聞等によりますと、そのうちには買収犯が
相当多数に包蔵されておるのであります。しかし、よく調べてみますれば、
文書による承諾がないために、
文書を欠いておりますがために、それに該当する事件はことごとく買収犯とみなされてしまうものが、きわめて多いと思うのであります。今政府
当局はおかれましてこれらの正確な調査ができておりますかどうかわかりませんが、もしできておりますれば、まことにこれは重大な問題でございますので、
文書による承諾がないために買収犯とみなされておる数が幾らあるかというような点も御報告願えますれば、仕合せだと思います。しかし、なければいたし方がございません。
そこで、現在の買収犯を、
文書による承諾がないからただちにこれを買収犯にしてしま
つたというような、まことにも
つてのほかの取扱いがありといたしますと、これを直すことにいろいろ努力の必要があろうと思います。自治庁から提出されておりますものも、
文書による承諾は用途を明確にしてやる、かつ承諾に関する
文書の様式を定める、こういうような方法によりまして、
文書によ
つて承諾を励行させようという御
趣旨だろうと思います。これは
一つの改良点であろうと思います。この点につきましても、また当
委員会におきまして、各位の御考慮によりまして、
文書の承諾が広く行われるように
法律の上にも
改正するということも、考慮点の
一つであろうかと思います。しかし、実際問題といたしまして、
文書による承諾を得ていないために買収犯に問われたという犯人の立場にな
つてみますと、あるいは労務に対する報酬に対しての取扱いについて
文書を欠いてお
つた、ないしはまた
運動貝が、弁当料、茶菓料等の支給を受けたに対して、
文書による承諾が欠けてお
つたという理由をも
つて罪に擬せられたにいたしましても、それは犯罪だとは
考えておりませんから、きわめて簡単に、どうでもか
つてにしてもらいたいというようなことになりがちだと思います。そうして、そこに略式命令か起ります。略式裁判が行われますと、これらの
文書による承諾がなくて、実際上の買収犯でない者が買収犯に擬せられ、
罰金刑に付せられましてもやむを得ない。裁判は略式でございますから、そこに適当な裁判でないということを争うわけに参りません。そこで、これを正式裁判に訴えるといたしましても、罪に擬せられた人にとりましては別段悪いことをしたとは
考えませんから、正式裁判に訴えることもめんどうくさいからほう
つておくというようなことで、買収犯罪が日本の
選挙においてはしかじかこれこれの多数がある、こういうことを報道される結果にな
つておると思うのであります。そこで私
考えますのに、もし
法律上可能でありますならば、
文書による承諾のない金銭の
支出をされました事件を、ただちに買収犯と認定することはいけないのだという注意
規定をこの
法律の上に書き現わすということも、このようないわばむ
ちやな判決を避ける
一つの方法ではなかろうか。これらの点につきまして、自治庁の方でお
考えがございますならば、この際承
つておきたいと思います。