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金丸政府委員 それでは、お手元に配付いたしてございます
公職選挙法の
改正に関する
自治庁の
意見を御
説明申し上げたいと思います。
これは
選挙の
執行の
経験にかんがみまして、
府県や
市町村の
選挙管理委員会、それから
国警の
刑事部、法務省の
刑事局、それらの方ともいろいろ
協議をいたしまして、一応、
自治庁という形でまとめたものでございます。昨年の十月の総
選挙の
経験にかんがみまして、前
国会にほとんどこれと同じような
意見を本
委員会に提出いたしたことがございますが、
解散になりましたので、実現をいたしませんでした。この
意見書のまるじるしのついているものは、前
国会で取上げられた
事項でございます。そのほか
前回と同じ
意見が若干ございますが、まるじるしのない分が、大部分今回新しくつけ加えたものでございます。非常に
事務的なものでございますので、まるじるしのついております分は
説明を省略をさしていただきます。もし御
質問がございますならば、それによ
つてお答えを申し上げるということにいたしたいと思います。
第一の
選挙執行の
経験にかんがみまして、
事務手続の面で
改正をした方がよくないかと思います
事項を申し上げますと、第一は、四にございます
記号式の
投票方法を採用していただいたら、いかがであろうかということでございます。現在ほとんど外国では
記号式の
投票方法を採用いたしておりまして、
候補者の
氏名を自書するという
やり方はほとんどないと思うのであります。
自書主義にいたしますと、はたして
西郷隆盛、
楠正成と書いたのか書かないのか、その点の判断が非常に微妙に
なつて参ります。場合によりますと、
開票管理者が好意をも
つてそれを読むか読まないかというだけで、有効にもなり、また無効にもなるのでございます。ことに
市町村会の
議員の
選挙になりますと、一票あるいは十票というような差で当落が決します。従いまして、
投票の有効無効の争いから、
訴訟が
あとを断たないというようなことにも
なつておりまして、この点が一番私
どもとして
選挙事務の
執行の面からは
苦労をいたしておるのであります。できますならば、
実施可能の線からでも採用していただいたらどうか。知事、
市町村長あるいは
参議院の地方区、これは御
承知のように
候補者が少いので、一番
実施が簡単ではないかと思います。
参議院の
全国区は、御
承知のように二百数十名の
候補者がございます。
市会議員の
選挙でも、たとえば川崎のようなところになりますと、二百名近い
候補者が出たりいたしております。こういうものは
印刷の
方法等によ
つていろいろ問題がございますが、
衆議院、
府県会議員、こちらの方も比較的に
実施が可能ではないかと思います。なお、この点につきましてはいろいろ
事務的な検討をいたしておりますが、この点をできたら御
審議をいただきたいというのが、今回新たに加えました第一の点でございます。
次は、十の公務員と
なつたために
立候補を辞退いたしました場合は、死亡いたしました場合と同じように
供託金を没収しないことに
なつております。しかし、どうもほかとの均衡を
考えまして、やはり
供託金を没収するという
行き方の方がいいじやないかというふうに
考えますので、今回新たにこれを加えたのでございます。
次は、十二の
選挙が一部無効になりました場合、再
選挙をいたします。その際に、
公営をどういうふうに、どういう
程度に行うかというようないろいろな問題につきまして
規定がございませんので、ほとんど全体の
選挙が無効に
なつた、あるいは新しく
選挙をやります場合と同じような
手続を踏まなければならないような状況に
なつておりますので、その
規定を整備する必要があろうかと存じます。
次は、十八の
参議院の
全国区の
選挙におきます
選挙運動用の
ポスターの検印を、
中央選挙管理委員会と
府県と両方でやるように
なつておりますけれ
ども、実際の
経験から
考えまして、
府県の
選挙管理委員会一本にいたしました方が、間違いがなくていいのではないかというように
考えるのでございます。
次は、二十でございますが、
選挙運動のために使用されました
ポスターが、いつまでも長く残
つておりますので、できますならば、
選挙終了後、
候補者が撤去されるようにしていただきたいというのでございます。
二十一は、一旦
立候補いたしまして、途中で
立候補をやめて、また
立候補されるという、非常に珍しい例でございますけれ
ども、若干あるのであります。そういたしますと、たとえばはがきを、
衆議院の場合一万枚、
参議院の
全国は五万枚でございますが、これをもう一ぺん同じ分量だけ交付しなければならないのか、あるいは
全国通用のパスをもう一ぺん交付しなければならないのか、疑義がございます。取扱いとしましては、やはり前後を通じて一人分だけしか交付しないということで参
つておりますけれ
ども、
規定がはつきりいたしておりませんので、その点をできますならば立法的にはつきりしていただきたいというのでございます。
次は、二十五の
個人演説会の
告知用の
立札及び
ポスターの
公営の
制度を廃止して、
選挙運動用の
ポスターの枚数を増加する、こういうふうにしていただきました方が、やはり実際の
選挙の
実情に合うのではないか。
立札を
個人演説会の会場の前に出しておきますと、終日やはり番もしなければならないとかいうようなことで、
市町村の
選挙管理委員会の書記が、非常に過重な負担をしておるというのが
実情のように
考えるのでございます。御
承知のように、
佐野市におきまして、先般の
全国区の
選挙の一部無効の
訴訟が出ております。
平素選挙の
事務に専任で従事いたしております
職員というものはほとんどございません。よほど大きな市以外にはないのでありまして、
平素ほかの
事務をやりながら
選挙の
事務を兼任している。それが
選挙の際には多くの者が兼務の形でや
つております。いろいろと
公営が最近非常に増加して参りましたので、これらの
職員にほんとうに万全を期してやらせるというのには、非常な無理が伴
つております。
佐野の
事件を調べてみましても、ほとんど徹夜で
候補者の
氏名掲示の
印刷の校正をや
つておる。疲労しておりましたせいで、社会党とあるべきものを共産党と間違えて植字してありましたのを発見しないで、それを掲示してしま
つたというような
実情でございますので、その点は
事務の者の
苦労をお察しいただきたいと思うのであります。
次は、三十二でございますが、
投票所の外に
候補者の
氏名等を掲示いたします。これは
市町村ごとにその順序をくじできめるのでございますが、
参議院の
全国区につきましては、
府県ごとにきめて、そして
府県で一括して
氏名掲示の
用紙を
印刷いたして
市町村に掲示させるようにいたしますと、間違いが少いのではないか。かつ締切りの日が現在前二日ということに
なつておりますが、それをもう少し繰上げていただきますと、急ぎの際の
印刷等に十分に
余裕ができまして、間違いもなくなり得るというふうに
考えるのであります。
次の三十三は、
前回も提出した
意見でございますが、現在
自動車用の燃料とか、
ポスター等価の
用紙とかいうようなもののあつせんの
規定がございますけれ
ども、事実上完全な
自由販売に
なつておりまして、その必要もなかろうと思われますから、この
規定を削除していただきたい。
三十四は、
出納責任者が
収支に関する
会計帳簿を備えるように
なつておりますけれ
ども、備えつけの時期について何ら
規定がございませんので、ほとんど
終つて、
報告書を提出される時期に
なつて備えつけられるとか、あるいは
収支の
事項を記入する時期がはつきりいたしておりませんので、ほとんど記入が
あとまでしてないというので、やはりこの時期をできるだけ明確に法律で
規定をしていただきたいというわけでございます。
三十五は、
出納責任者以外の者が
選挙運動に関する支出をいたします場合、
出納責任者の
文書による
承諾が必要に
なつております。ところが、この
承諾の仕方が非常に包括的になされておる場合がございまして、たとえば
全国に例をとりますと、君は
東北地方を一週間
運動にまわ
つて来てほしい、必要な
費用として十万円に出すからということで金を渡すわけであります。ところが、それが明確に
なつておりませんと、
あとで問題になりました場合、いわゆる
運動買収としての嫌疑を受けるわけであります。
汽車賃として
幾ら、
宿泊費として
幾ら、労務者の
費用として
幾らというふうに、個別的にその額が明細に出ておりますと、
あとでそういう疑いもかけられないで済むのでありますけれ
ども、ややともすれば包括的に
承諾が与えられておりますために、かえ
つてあとに
なつて問題を起すというのが
実情でございますので、
文書による
承諾をいたします場合には、どういう用途に使うかということを明確にして、かつそのような
文書で与えられた
承諾については、
承諾簿というようなものをば備えておいていただくようにしました方が、実際上
運動なさる方にも便宜ではないかというふうに
考えるのであります。
次は、三十九でございますが、現在国と
請負関係あるいは特別の
利益を伴う
契約の
当事者であります者は、
国会議員の
選挙について
寄付ができないことに
なつております。ところが、国鉄や
専売公社、
電電公社等も
実質上国と同格でございますので、これと
請負その他の特別な
利益を伴う
契約の
当事者であります人は、同じように
選挙について
寄付ができないということにいたした方が適当ではなかろうかと
考えるのであります。
四十は、第十四章の二の
衆議院議員の総
選挙の場合におきます政党の活動に関する特例の
規定でありますが、これは
前回取上げられておりましたけれ
ども、
参議院その他にも明確に適用されるように
規定整備していただきたいというのであります。
四十一は、
棄権防止、
公明選挙、
選挙管理の
手続等につきまして、第百四十八条の第三項の
規定に該当しない
新聞や雑誌でも、
報道評論ができるようにしていただきたいというのでありますが、若干
実情に沿わない点がございますので、これはぜひそういうふうにお願いいたしたいと思
つております。
四十二は、
出納責任者の職務を代行します者が、いろいろな
収支の奉告に関する
規定に違反しました場合に、はたして処罰を受けるのかどうか。罰則の
規定は、
出納責任者が同道した場合というふうに
なつておりまして、明確でございませんので、その点を明確にしていただきたい。かつ
職政代行者の
違反行為が
出納責任者あるいは
出納責任者であ
つた人の責めに帰すべき事由によります場合も、
当該出納責任者がやはり処罰されるようにしなければ、いろいろな面において不公平が生じて参りますので、そういうふうに
規定を整備していただきたいと思うのであります。
次は第二の、主として
選挙運動の
関係でございますが、この
内容は二だけがまるじるしに
なつておりまして、前
国会で採用されましたけれ
ども、一から三ないし七は
前回とま
つたく同様でございます。一は百九十八条の
法定選挙運動費用を超過して支出されました場合、やはり
免責規定を削除して厳重にしていただきたい。
三は、二百五十一条は、
当選人、
総括主宰者、これは私
どもの
意見によ
つて出納責任者まで入
つておりますが、その
免責規定の削除。
四は、
出納責任者あるいは
出納責任者であ
つた人がここに掲げられております罪を犯して刑に処せられた場合、
当選人の
当選の影響があるようにするというのであります。
五、六は、二百五十二条の
関係でございますが、軽微な犯罪を除きまして、
選挙違反にかかりました場合、
一定期間被選挙権だけを停止することにして、かつ
附加制裁の
期間は全然その
附加制裁を課さないということにしないで、単に
期間を短縮し得るということだけにしたらどうか。かつ六にございますように、その
期間は
選挙運動に従事することができないというふうにしていただきたい。
七は、時効を全部一年と二年に統一していただきたいという
内容でございまして、二は
前回とま
つたく同様でございます。