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1953-07-01 第16回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年五月二十九日  森三樹二君が委員長に、大村清一君、鍛冶良作  君、田嶋好文君、高瀬傳君、島上善五郎君、加  藤鐐造君及び松永東君が理事当選した。     ————————————— 昭和二十八年七月一日(水曜日)     午後一時四十五分開議  出席委員    委員長 森 三樹二君    理事 大村 清一君 理事 鍛冶 良作君    理事 高瀬  傳君 理事 島上善五郎君    理事 加藤 鐐造君       尾関 義一君    綱島 正興君       橋本 龍伍君    羽田武嗣郎君       原 健三郎君    松山 義雄君       山中 貞則君    並木 芳雄君       石村 英雄君    加藤 清二君       木村 武雄君    川上 貫一君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      金丸 三郎君     ————————————— 六月二十日  委員土倉宗明君辞任につき、その補欠として高  橋英吉君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  委員会運営方針に関する件  公職選挙法改正に関する件     —————————————
  2. 森三樹二

    森委員長 これより会議を開きます。  この際、去る六月二十四日開きました理事会の模様につきまして御報告をいたし、委員各位の御了承を願いたいと思います。  理事会におきましては、委員会運営方針について協議をいたしたのでありますが、まず公職選挙法改正案をいつごろまでに作成するかという目標につきましては、今国会会期も余すところ一箇月しかありませんので、この間に成案を作成することは困難と思われますので、次の国会改正案成案を得て提出するよう一応の目標を定めることといたしたのであります。  次に改正すべき範囲についてでありますが、これについて理事各位の間に種々御意見があつたのでありますが、今国会改正案を提出せず、来国会目標といたしますれば、時日の余裕がありますし、なお前国会で廃案となつた改正案もあることでありますので、根本的な問題をも調査研究することといたしたのであります。なお、当初には委員各位において自由に御意見交換していただきますとともに、逐次各方面から資料意見を徴して進めて行くことを申し合せた次第であります。  以上のような次第で、当面の委員会運営につきましては、毎週一回程度委員会を開会してフリートーキングを行い、それによつてある程度まとまつたものを各党に持ち帰つて御相談を願い、構想を練つていただき、各派の意見を提出していただくということに申し合せたのであります。なお、できれば閉会中に過般の総選挙実情を調査するため、各地に委員を派遣して、広く関係方面意見を聴取し、資料を収集して審議に資することをも考慮することといたしたのであります。  なお、本日は自治庁当局公職選挙法改正意見を聴取するとともに、委員各位において自由討議の形で御意見交換を願うことといたしました。  以上、理事各位と御協議をいたしました標様について、御報告申し上げる次第であります。これについて御意見がありましたならば、この際御発言を願いたいと存じます。
  3. 原健三郎

    ○原(健)委員 ちよつとお伺いいたしたいのでありますが、今ごろまで選挙法委員会を開かないて、あと、一箇月ぐらいになつてしまつてから委員会を開くというのは、どうしたことですか。いつ解散があるか、いつ選挙があるかわからないのに、どうしたわけですか。
  4. 森三樹二

    森委員長 これは皆さんも御承知のように、公職選挙法の問題は重大な問題でもありますし、本会議が従来ずつと続開されておりましたので、理事諸君ともときどき私的にお話をいたしまして、ただいま御報告を申し上げましたように、本国会には成案を得てやるということはちよつと困難ではないか、十分ひとつ根本的な問題も御討議つてやらなければならぬのではないか、そういうようなわけでありましたので、私といたしましては、本会議も開き、いろいろな法案も出ておりましたので、まああわてないで、根本的な問題をひとつじつくりやろう、こういうような考えで、そのほかに別段考えはなかつたのであります。御了承願います。それでは他に御発言もないようでありますから、御了承いただいたものと存じます。  ただいまより、公職選挙法改正につきまして、フリートーキングの形で御意見交換を願います。まず自治庁意見を聴取いたします。
  5. 島上善五郎

    島上委員 ちよつとその前に、今委員長報告した根本的な問題ということだけでは抽象的だから、理事会で相談されたとき、これは私はそういうふうに理解しているのですが、今までの選挙法改正は、その都度改正というきらいがある。前国会選挙法改正委員会が、大きな問題は簡単に結論が出ないから、そういうやつかいな問題はあとまわしにするという行き方をしましたが、今度は、今委員長報告したように、今国会でどうしても結論を出さなければならぬということになればこれはまた別ですが、そうでないとすれば、いわゆる根本的な問題、選挙区制の問題、投票方法の問題というような、今までとかく回避して安易なことばかりやろうとした、そういう行き方とは逆に、そういう大きな問題と取組んで行こうという意味と私は理解しておるので、それでよろしいかどうか。
  6. 森三樹二

    森委員長 ただいま島上善五郎君より御発言がございまして、私がただいま申し上げました審議の経過、あるいはまた予定等につきまして、なるべく根本的な重要問題について先に討議したらどうかというようなお含みの御発言がございましたが、いかがでございましようか。お諮りいたします。
  7. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 私も理事の一人ですから、理事会決定に反対するというわけではございませんが、ちよつと島上君の御意見も出ましたから、そのついでに今後のこの委員会心構えとして考えておきたいと思うことを申し上げたいと思います。  現在の選挙法については、今もお話があつたように、根本的に考えかつ改めなければならぬ点が相当あると思うわけです。従来選挙法改正は、各賞の意見が相当違いまして、まとめるのに時間的にみても相当の時間をかけて、お互い討議を重ねて、そうして最終案決定するというやり方をして来たわけですが、その相当思い切つた改正の必要がありということが、お互い各位の間で了解されますならば、私はやはり一応案をつくることは急いだ方がいいと思うわけであります。と申しますのは、いろいろ根本的な改正をやろうという心構え討議を重ねて進んでおりましても、さて選挙が近づいて参りますと、結局あまり思い切つた改正をやらないで、従来のやり方を踏襲して、当面必要な改正にとどめて置こうというふうな空気になつて来る。だから、先ほど申しましたように、根本的に重要な点は改正しようというお互い気持でありますならば、私は案をつくることはできるだけ急いで、今国会会期あとわずかでございますから、この国会成案を得て通過をはかることは不可能としましても、来国会の劈頭に成案を出して、できるだけ早く決定を見る、こういう心構えで進んだ方がよくはないかというふうに考えます。
  8. 森三樹二

    森委員長 ただいまの加藤君の御発言に対しまして、委員長といたしましても十分御趣旨は了解いたしました。先ほど申し上げましたように、先般の理事会の御意見もありましたので、そうした点は十分考え審議を進めて参りたいと思つております。
  9. 森三樹二

    森委員長 それでは、自由討議の形で、いろいろ皆さんの御意見を十分ひとつ御発言願いたいと思うのでございますが、つきましてはまず自治庁意見といたしまして、いろいろ出ておるようでありますし、過般また新聞等にも自治庁意見として一部公表されておるような点もございますので、これを参考にお聞きしたいと思うのでございますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 森三樹二

    森委員長 それでは御異議なしと認めまして、そのようにとりはからいます。金丸政府委員
  11. 金丸三郎

    金丸政府委員 それでは、お手元に配付いたしてございます公職選挙法改正に関する自治庁意見を御説明申し上げたいと思います。  これは選挙執行経験にかんがみまして、府県市町村選挙管理委員会、それから国警刑事部、法務省の刑事局、それらの方ともいろいろ協議をいたしまして、一応、自治庁という形でまとめたものでございます。昨年の十月の総選挙経験にかんがみまして、前国会にほとんどこれと同じような意見を本委員会に提出いたしたことがございますが、解散になりましたので、実現をいたしませんでした。この意見書のまるじるしのついているものは、前国会で取上げられた事項でございます。そのほか前回と同じ意見が若干ございますが、まるじるしのない分が、大部分今回新しくつけ加えたものでございます。非常に事務的なものでございますので、まるじるしのついております分は説明を省略をさしていただきます。もし御質問がございますならば、それによつてお答えを申し上げるということにいたしたいと思います。  第一の選挙執行経験にかんがみまして、事務手続の面で改正をした方がよくないかと思います事項を申し上げますと、第一は、四にございます記号式投票方法を採用していただいたら、いかがであろうかということでございます。現在ほとんど外国では記号式投票方法を採用いたしておりまして、候補者氏名を自書するというやり方はほとんどないと思うのであります。自書主義にいたしますと、はたして西郷隆盛楠正成と書いたのか書かないのか、その点の判断が非常に微妙になつて参ります。場合によりますと、開票管理者が好意をもつてそれを読むか読まないかというだけで、有効にもなり、また無効にもなるのでございます。ことに市町村会議員選挙になりますと、一票あるいは十票というような差で当落が決します。従いまして、投票の有効無効の争いから、訴訟あとを断たないというようなことにもなつておりまして、この点が一番私どもとして選挙事務執行の面からは苦労をいたしておるのであります。できますならば、実施可能の線からでも採用していただいたらどうか。知事、市町村長あるいは参議院の地方区、これは御承知のように候補者が少いので、一番実施が簡単ではないかと思います。参議院全国区は、御承知のように二百数十名の候補者がございます。市会議員選挙でも、たとえば川崎のようなところになりますと、二百名近い候補者が出たりいたしております。こういうものは印刷方法等によつていろいろ問題がございますが、衆議院府県会議員、こちらの方も比較的に実施が可能ではないかと思います。なお、この点につきましてはいろいろ事務的な検討をいたしておりますが、この点をできたら御審議をいただきたいというのが、今回新たに加えました第一の点でございます。  次は、十の公務員となつたために立候補を辞退いたしました場合は、死亡いたしました場合と同じように供託金を没収しないことになつております。しかし、どうもほかとの均衡を考えまして、やはり供託金を没収するという行き方の方がいいじやないかというふうに考えますので、今回新たにこれを加えたのでございます。  次は、十二の選挙が一部無効になりました場合、再選挙をいたします。その際に、公営をどういうふうに、どういう程度に行うかというようないろいろな問題につきまして規定がございませんので、ほとんど全体の選挙が無効になつた、あるいは新しく選挙をやります場合と同じような手続を踏まなければならないような状況になつておりますので、その規定を整備する必要があろうかと存じます。  次は、十八の参議院全国区の選挙におきます選挙運動用ポスターの検印を、中央選挙管理委員会府県と両方でやるようになつておりますけれども、実際の経験から考えまして、府県選挙管理委員会一本にいたしました方が、間違いがなくていいのではないかというように考えるのでございます。  次は、二十でございますが、選挙運動のために使用されましたポスターが、いつまでも長く残つておりますので、できますならば、選挙終了後、候補者が撤去されるようにしていただきたいというのでございます。  二十一は、一旦立候補いたしまして、途中で立候補をやめて、また立候補されるという、非常に珍しい例でございますけれども、若干あるのであります。そういたしますと、たとえばはがきを、衆議院の場合一万枚、参議院全国は五万枚でございますが、これをもう一ぺん同じ分量だけ交付しなければならないのか、あるいは全国通用のパスをもう一ぺん交付しなければならないのか、疑義がございます。取扱いとしましては、やはり前後を通じて一人分だけしか交付しないということで参つておりますけれども規定がはつきりいたしておりませんので、その点をできますならば立法的にはつきりしていただきたいというのでございます。  次は、二十五の個人演説会告知用立札及びポスター公営制度を廃止して、選挙運動用ポスターの枚数を増加する、こういうふうにしていただきました方が、やはり実際の選挙実情に合うのではないか。立札個人演説会の会場の前に出しておきますと、終日やはり番もしなければならないとかいうようなことで、市町村選挙管理委員会の書記が、非常に過重な負担をしておるというのが実情のように考えるのでございます。御承知のように、佐野市におきまして、先般の全国区の選挙の一部無効の訴訟が出ております。平素選挙事務に専任で従事いたしております職員というものはほとんどございません。よほど大きな市以外にはないのでありまして、平素ほかの事務をやりながら選挙事務を兼任している。それが選挙の際には多くの者が兼務の形でやつております。いろいろと公営が最近非常に増加して参りましたので、これらの職員にほんとうに万全を期してやらせるというのには、非常な無理が伴つております。佐野事件を調べてみましても、ほとんど徹夜で候補者氏名掲示印刷の校正をやつておる。疲労しておりましたせいで、社会党とあるべきものを共産党と間違えて植字してありましたのを発見しないで、それを掲示してしまつたというような実情でございますので、その点は事務の者の苦労をお察しいただきたいと思うのであります。  次は、三十二でございますが、投票所の外に候補者氏名等を掲示いたします。これは市町村ごとにその順序をくじできめるのでございますが、参議院全国区につきましては、府県ごとにきめて、そして府県で一括して氏名掲示用紙印刷いたして市町村に掲示させるようにいたしますと、間違いが少いのではないか。かつ締切りの日が現在前二日ということになつておりますが、それをもう少し繰上げていただきますと、急ぎの際の印刷等に十分に余裕ができまして、間違いもなくなり得るというふうに考えるのであります。  次の三十三は、前回も提出した意見でございますが、現在自動車用の燃料とか、ポスター等価用紙とかいうようなもののあつせんの規定がございますけれども、事実上完全な自由販売なつておりまして、その必要もなかろうと思われますから、この規定を削除していただきたい。  三十四は、出納責任者収支に関する会計帳簿を備えるようになつておりますけれども、備えつけの時期について何ら規定がございませんので、ほとんど終つて報告書を提出される時期になつて備えつけられるとか、あるいは収支事項を記入する時期がはつきりいたしておりませんので、ほとんど記入があとまでしてないというので、やはりこの時期をできるだけ明確に法律で規定をしていただきたいというわけでございます。  三十五は、出納責任者以外の者が選挙運動に関する支出をいたします場合、出納責任者文書による承諾が必要になつております。ところが、この承諾の仕方が非常に包括的になされておる場合がございまして、たとえば全国に例をとりますと、君は東北地方を一週間運動にまわつて来てほしい、必要な費用として十万円に出すからということで金を渡すわけであります。ところが、それが明確になつておりませんと、あとで問題になりました場合、いわゆる運動買収としての嫌疑を受けるわけであります。汽車賃として幾ら宿泊費として幾ら、労務者の費用として幾らというふうに、個別的にその額が明細に出ておりますと、あとでそういう疑いもかけられないで済むのでありますけれども、ややともすれば包括的に承諾が与えられておりますために、かえつてあとなつて問題を起すというのが実情でございますので、文書による承諾をいたします場合には、どういう用途に使うかということを明確にして、かつそのような文書で与えられた承諾については、承諾簿というようなものをば備えておいていただくようにしました方が、実際上運動なさる方にも便宜ではないかというふうに考えるのであります。  次は、三十九でございますが、現在国と請負関係あるいは特別の利益を伴う契約当事者であります者は、国会議員選挙について寄付ができないことになつております。ところが、国鉄や専売公社電電公社等実質上国と同格でございますので、これと請負その他の特別な利益を伴う契約当事者であります人は、同じように選挙について寄付ができないということにいたした方が適当ではなかろうかと考えるのであります。  四十は、第十四章の二の衆議院議員の総選挙の場合におきます政党の活動に関する特例の規定でありますが、これは前回取上げられておりましたけれども参議院その他にも明確に適用されるように規定整備していただきたいというのであります。  四十一は、棄権防止公明選挙選挙管理手続等につきまして、第百四十八条の第三項の規定に該当しない新聞や雑誌でも、報道評論ができるようにしていただきたいというのでありますが、若干実情に沿わない点がございますので、これはぜひそういうふうにお願いいたしたいと思つております。  四十二は、出納責任者の職務を代行します者が、いろいろな収支の奉告に関する規定に違反しました場合に、はたして処罰を受けるのかどうか。罰則の規定は、出納責任者が同道した場合というふうになつておりまして、明確でございませんので、その点を明確にしていただきたい。かつ職政代行者違反行為出納責任者あるいは出納責任者であつた人の責めに帰すべき事由によります場合も、当該出納責任者がやはり処罰されるようにしなければ、いろいろな面において不公平が生じて参りますので、そういうふうに規定を整備していただきたいと思うのであります。  次は第二の、主として選挙運動関係でございますが、この内容は二だけがまるじるしになつておりまして、前国会で採用されましたけれども、一から三ないし七は前回とまつたく同様でございます。一は百九十八条の法定選挙運動費用を超過して支出されました場合、やはり免責規定を削除して厳重にしていただきたい。  三は、二百五十一条は、当選人総括主宰者、これは私ども意見によつて出納責任者まで入つておりますが、その免責規定の削除。  四は、出納責任者あるいは出納責任者であつた人がここに掲げられております罪を犯して刑に処せられた場合、当選人当選の影響があるようにするというのであります。  五、六は、二百五十二条の関係でございますが、軽微な犯罪を除きまして、選挙違反にかかりました場合、一定期間被選挙権だけを停止することにして、かつ附加制裁期間は全然その附加制裁を課さないということにしないで、単に期間を短縮し得るということだけにしたらどうか。かつ六にございますように、その期間選挙運動に従事することができないというふうにしていただきたい。  七は、時効を全部一年と二年に統一していただきたいという内容でございまして、二は前回とまつたく同様でございます。
  12. 森三樹二

    森委員長 ただいま金丸政府委員より自治庁見解等の御説明がありましたが、これに対しまして委員諸君の御質疑あるいはまた御意見があれば承りたいと思います。
  13. 原健三郎

    ○原(健)委員 自治庁でこの前選挙直後に自治庁案として発表したものは、少くとも非常に重大な選挙法改正を見通した意見であります。たとえば選挙区を小さくして小選挙区にする、あれは一体大臣知つてつて発表したのであるか。だれの責任において自治庁発表したのであるか。その責任の所在を明らかにしていただきたい。  第二番目には、一体ああいう発表をしておきながら、その発表したものが今日少くとも——この公職選挙法改正委員会というものは各国会ごとにあるにかかわらず、それに発表する前に、ああいうように世間に発表をしたということ、ああいうことを発表しておるくせに、ここに持つて来ておる選挙法改正はそういうようなことが全然載つていない。これは当局としてどういうお考えか、お聞きしたい。もしきようできなかつたら、答弁できる人をこの  次に呼んでもらいたいと思いますが、どうですか。
  14. 金丸三郎

    金丸政府委員 私どもの方では実際にあの案は全然研究しておりません。あの新聞では副総理やら大臣の命に上つて研究しておるというふうに書いてございましたけれども、これはまつたく事実無根でございます。
  15. 並木芳雄

    並木委員 今の問題は研究していてもいいと思うのです。当然問題になることですから……。特に東京都のごときは、前から人口がふえているので定員をふやせという要望が出ております。また全国的に見ましても、あの案では五百五名だつたと思いますが、衆議院議員の数が全体でふえるならば、ほかの府県つて異存のないところもあろうかと思います。ですから研究していてもいいと思うのですが、実際はどうなつていますか。
  16. 金丸三郎

    金丸政府委員 御承知のように、一昨年選挙制度調査会におきまして、小選挙区制を中心にする答申がございました。それに基きまして、当時の全国選挙管理委員会事務局で、公職選挙法案というものを一応立案したことはございます。前回の本委員会におきままして、衆議院事務当局印刷して皆様にお配りしたことがございます。その際に、私どもの方でいろいろと選挙区制について研究したことはございます。しかし、選挙区制は一人区、二人区、三人区までつくるか、あるいは二人区、三人区だけにするか、あるいは議員の全数は四百六十六名でストツプしてふやさないという方針で行くのか、若干はふやすという気持でやるか、このいかんによりまして選挙区のつくり方はすつかり違つて参ります。その根本方針がきまりませんで、事務的にいくら研究しましてもむだでございますから、私どもの方では、以前選挙制度調査会答申がございました直後に研究したあとでは、事実上はやつておらぬのでございます。
  17. 並木芳雄

    並木委員 先ほど原委員からの質問の通り、新聞発表なつたことは事実なんです。そうするとあれはどこから出たのですか。
  18. 金丸三郎

    金丸政府委員 あれは清水徳太郎さんに新聞記者の人が会つて、それがあのように出ただけでございます。私どもの方では、別にそれを発表するとか公表するとかいうようなことは全然ございません。この点は、どうぞ誤解のないように、はつきり申し上げておきます。
  19. 並木芳雄

    並木委員 清水徳太郎さんというのは選挙制度調査委員なつておるのですか。
  20. 金丸三郎

    金丸政府委員 いいえ、なつておりません。
  21. 並木芳雄

    並木委員 清水徳太郎氏はどういう方か説明してください。われわれは知らない。
  22. 金丸三郎

    金丸政府委員 たしか山形県のお方で、前山形県から衆議院に出ておられた方かと思います。その方が選挙区制のことをいろいろ研究しておいでになりまして、その方に新聞社の人が会つて、その私案を聞いて発表したんだと思います。
  23. 並木芳雄

    並木委員 原委員質問しましたが、私の記憶でも、やはりあの案は明らかに、自治庁原案とかなんとか書いてあつたと思います。そうすると詐称ですよ。そういう人が無断でどこどこの案であるといつて発表したら、それは黙つている法はないじやありませんか。
  24. 金丸三郎

    金丸政府委員 それは、先ほど申し上げましたように、あの記事では、副総理やら大臣から命があつて、私どものところで立案をしておるというふうに書いてございます。しかしそういう事実はございません。
  25. 並木芳雄

    並木委員 それなら、それをひとつ天下に発表するなり、間違つた報道をした者は対する訴訟手続もあると思うのです。じつとしておればその通りだということになつてしまいますよ。原委員から質問が出た通りで、何かこの対策を考えていますか。
  26. 原健三郎

    ○原(健)委員 それは実は大問題で、私がそれを質問した第一の理由は、自治庁案発表したから、小くとも政府はこういう意向を持つて選挙法改正しようと思つておる。それで日本国民全体、将来は小選挙区にするのではないか、代議士の数はふえるのではないか、非常な根本的な改革をやろうと政府当局考えておるのでないかと、非常な波瀾を呼んでいる。国民全体としても反対論もあるし賛成論もある。それで、今言つたように全然関知せぬというならば——知らぬ存ぜぬということは、このごろ大分はやつておりますが、それでは困りますので、それはもう一度調査して——清水徳太郎とやらいう人間が、自治庁の案であると言つたかどうか知らない、自治庁としては知らないといつて、そのままほつておくつもりであるか。もう一ぺん次の委員会までに調査研究していただきたいと思います。
  27. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 あの案は自治庁にあるのでしよう、今全然関係がないとおつしやるけれども、大体あれに類似する案が自治にあることは確かだと思います。これは、ある人が、自治庁で、大体小選挙区制にする場合にはどういうふうにわけるかというようなわけ方まで見て来たという人があのです。だから私は、ああいう案があつてもさしつかえないと思うので、あつたらあるとはつきり言つていただきたいと思うのです。そこで、発表の径路というものにいろいろ間違いがあれば、それは今後改めていただかなければならないが、ああいう案が自治庁にあつて、全然ないとおつしやるとちよつとおかしい。それは自治庁で見て来たという人にもう一度聞いて確かめればわかることですから、その辺はつきりしていただきたいと思います。
  28. 金丸三郎

    金丸政府委員 先ほど申し上げましたように、選挙制度調査会におきまして、一昨年小選挙区制にするという衆議院議員選挙制度についての答申がありました際に、いろいろ研究いたしました。その後は、先ほど申し上げましたように、定数をふやすかふやさないか、二人区、三人区だけの中選挙区的な小選挙区制で行くのか、あるいは一人区、二人区だけにするか、一人区、二人区、三人区まで認めるのか、それによつてつくり方が非常に違いますので、実際問題としては、その後私ども事務当局では作業はいたしておりません。
  29. 松山義雄

    ○松山委員 ただいまの問題ですが、清水さんという人はどういう肩書の人か存じませんが、ああいうことを発表されますと、現在行つております裁判の量刑の上に非常に影響を来すのであります。これは、事実そういうふうな改正の意向だというような、ああいう新聞を信じまして、そして裁判の量刑の上に影響を来すということがありますから、はつきりと、自治庁の案でなければ、取消しをするなり意思表示をしていただきたいと思います。
  30. 並木芳雄

    並木委員 それについては、官房長官の了解を得て発表したということになつておるなら、この次の委員会には官房長官に出て来てもらつて、われわれも確めてもいいと思います。その点委員長としてもおとりはからいを願いたい。いずれにしても、これははつきりしておかないと、この前は牧野良三とかいう前聲のために、われわれはひつかきまわされたことがあるのです。まつたくこの公職選挙法改正特別委員会の気分とは全然かけ離れたことを、牧野良三なる人物がやつて、あれを自分の選挙運動に使つたという傾向もあるのです。非常に迷惑をこうむりますから、委員長ひとつおとりはからいを願います。
  31. 森三樹二

    森委員長 この際、委員長としても一言申し上げたいと思いますが、各委員諸君よりの、自治庁案なるものが新聞に公表になりまして、世論を相当騒がしたというような感は、実は私も持つてつたのです。御承知のごとく、国会は国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関であるということは、憲法第四十一条に規定されておるのでありますが、それに先走つて自治庁がいろいろ御検討なさるのはいいのですが、さもさもそういうことが相当熟しておるのだというように世間に新聞で流布されるということは、これは委員諸君が御指摘なさつたように、いろいろ影響を起しております。私も、これは自分が委員であつたならば、ほんとうに御質問したいと思つてつたのです。ところが、先ほど来金丸政府委員の御答弁を聞いておりますと、自分の方ではそういうようなことを新聞発表したことはないのだ、清水徳太郎という者がそれをかつて発表したと言いますが、私もどうもその点は疑点があるのですが、なお十分政府委員においてこの点を調査なさつて、次回に委員諸君に御納得の行くような御答弁をお願いしたいと思います。
  32. 並木芳雄

    並木委員 それでは、ただいま自治庁の方で開陳された意見について質問をしておきたいと思います。最初の第一の四ですけれども、「記号式投票方法実施可能の選挙について採用すること。」これは私は大賛成の一人でございます。ずつと前からこのことを考えておつたのですが、現在自治庁として考えておられる具体的な方法はどういうものですか、もう少し詳しく説明をしてほしいと思います。
  33. 金丸三郎

    金丸政府委員 先ほどちよつとお断り申し上げましたように、まだ結論に至つておりませんですが、投票用場紙に印刷をいたします場合に、やはり順序が一番問題であろうかと思います。イギリス糸の国では、アルフアベツト順で印刷をしております。アメリカでは、いわゆるローテーシヨンと申しまして、かりに十人の候裁者があるといたしますと、Aが一番最初に印刷をされましたら、次には十番目の人が印刷をされる。立会い演説会の順序と同じように、ぐるぐるまわるというやり方をとつております。その方が一番公平かと思われますけれども、そういたしますと、印刷の点で、知事なら知事の選挙につきまして、その一番最初にそれぞれの候補者印刷してある投票用紙を、全市町村あるいは全投票所においてどういうふうに配付するかというような、いろいろな問題等がございます。また全国区の選挙につきましては、ただそういう順序で印刷をした方がいいか、あるいはアイウエオ順にいたしまして、アならア、イならイ、とうふうに、苗字によつて類別をした方が、選挙民にはわかりやすいのではないかというふうにも考えられますし、どの選挙について採用するかという問題と、採用いたします場合に、候補者氏名をどういう順序で印刷をするか、あるいは印刷いたしました場合に、一、二、三の番号をつけておきますと、自分は投票用紙には三のところに印刷がしてあるからということを、選挙運動の際に選挙民に周知し得るようにすれば、また一段と選挙民も投票しやすいじやないかというふうなことも考えられましたり、いろいろ技術的なこまかい点につきまして、まだ問題があるのでございます。大体そういう事情でございます。
  34. 並木芳雄

    並木委員 私は一案を持つております。それはまるを書くのです。幾つかまるを書いて、それを十六なら十六、十七なら十七に均等分した線を引いて、そしてそこへ名前を書いて行けば、まんまるいものですから、上とか下とか横とかいうことがないのです。それから実際に投票するときに、それに何かしるしをつけるときにも、端へつけたから、まん中どころへつけたから、あるいは大村さんだろう、あるいはこつちだから委員長の森さんだろうというようなこともわからないわけです。そういうことを考えたのですが、諸国の例にそういうのがございますか、また自治庁としてもそういう案を考えておられるかどうか伺いたい。
  35. 橋本龍伍

    ○橋本(龍)委員 議事進行で……。並木君の御質問の最中にはなはだ恐縮ですが、私はやむを得ない理由で退席をしなければなりませんので、先ほどお話のありました理事会の御報告について、私ちよつと心配な点が起つたので念を押しておきたいと思うのですが、実は先ほど加藤鐐造君から御意見のありましたように、今会期中には決定的な意見は全然出さないということを、まるきりきめてしまうのも、今日としては少し早過ぎると思います。実は私先ほどの委員長の御報告は、理事会で一応こういう話があつたということをここへ御報告を願つて、みなが一応理事会でそういう方針で進むということについて了承したというだけで、今国会中は決定的な意見を出さないという、その決議をきようしたのではないと私は了承しているのですが、もし決議だと、一事不再議で何もできないことになる。これから審議をした結果、前国会にこまかい点をきめたものもありますし、地方選挙等もありますので、そまつな点だけまとめようじやないかという意見でもあれば、それをまとめても悪くないと思いますので、先ほどの話は、特に委員会で決議をしたわけではないというふうに了承しておつたのでありますが、それでさしつかえないでしようか。
  36. 森三樹二

    森委員長 今橋本君の御意見がございましたが、一応理事会の御意見発表したわけでございまして、本委員会を拘束するというようなものではございませんので、従いまして、本委員会におきまして、その方針等につきましても御決定を願つてけつこうだと思います。     〔「からかさだ」と呼ぶ者あり〕
  37. 金丸三郎

    金丸政府委員 今ちよつとお言葉も出ましたが、並木委員のお考えは、いわゆるからかさ投票という投票方式だと思いますが、どうも私ども調べてみましたところでは、外国でもそういう投票用紙の形式を採用しておるところはないようでございます。いろいろ私どもの方でも検討いたしましたけれども候補者が非常にたくさんになります場合、印刷等関係でどうか。またその点も、私ども自身としての結論にまで至つておりませんが、一応私どもも検討したことはございます。
  38. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 今の記号式の問題ですけれども、政府委員に御参考までに承りたいのですが、外国の例に写真を入れてやるという例はないですか。写真が入つておれば、大体人の名前と写真がついておれば非常にわかりがいい。写真のところにまるをつけるとか、そういうような例はございませんか。
  39. 金丸三郎

    金丸政府委員 私どもの調べましたところではないようでございます。ただ、これは伝聞でございますけれども、韓国が第一回の総選挙をやりました際に、候補者の写真が投票所にずつと並べてありまして、それに一、二、三の番号が打つてつて選挙する人は一、二、三という字を投票用紙に記入して投票したそうであります。それからインドでは、政党ごとに候補者をきめまして、いわゆる文盲の人が多うございますから、たとえばかしの木とか、牛とか、象とか、投票箱に政党ごとに標識がついておりまして、投票する人はその箱に投票すれば、自由党の候補者投票した、社会党の候補者投票したということになるようになつておるようであります。インドネシアも、そういうような方法を採用するとか、この前見えた人が言つておりました。
  40. 並木芳雄

    並木委員 十の問題です。「公務員となつたために公職の候補者を辞したものとみなされる場合においても供託金を没収するものとすること。」これはどこからか異議の申立てでも出たのですか。公務員だけをこういうふうに扱うのはけしからぬというようなことがあつて自治庁がこういう改正案を出されたのですか、どうですか。
  41. 金丸三郎

    金丸政府委員 むしろそうじやございませんで、単に自分の都合で立候補を辞退いたしますと供託金が没収になります。それで市町村の嘱託か何かになりまして、そのために立候補を辞退したようにみなされるということになりますと、供託金を没収されないで済むわけです。どうもそれらしき節の実例がございましたことと、ほかとの均衡からいつて、やはり没収するようにした方が筋ではないかというふうに考えたのであります。
  42. 並木芳雄

    並木委員 ポスターの検印制なんですけれども、これは前から問題になつております。脱法行為が行われるのじやないかと思います。検印制というものは、もう少し何かいい方法はございませんか。たとえば、端つこを切つてしまつて、ここのところにポスターの検印がしてあつたのだというようなことで言いのがれる場合もあるのです。ですから、検印する場所を印刷してしまうとか、そこを切りとつたり何かしたやつは、そのポスターを全部はがしてしまうというような規則をつくらないと、先般の選挙でもこの問題が残つておると思う。現に印刷屋に頼んで選挙はがきをつくつてしまつたことがあります。これは選挙違反であげられておる。印刷屋に頼んで選挙というやつをポンと押しておる。かなり知能犯だと思うのですけれども選挙のはがきの場合にも同じことが起るのですけれども、その点について何か改善策を講じておられるかどうか。
  43. 金丸三郎

    金丸政府委員 検印は、お話のような実例がございましたので、私どもの方では、参議院全国区のポスターの検印をいたしますのに、今回打抜きの機械をこしらえまして、全部が全部それはできませんでしたけれども、打抜きでいたしました。そういたしますと、ポスターのまん中辺に出ます。そうすると、破いてどうするというようなことも、また偽造ということも非常に困難でございますから、できるだけ今後の検印は各府県におきましても打抜きでやるように、予算等の面で心配してやりたいというふうに考えております。郵便はがきの偽造ということになりますと、これは郵政省とも相談をいたしまして、何らか適当な方法を考えてもらう以外にはなかろうかと思います。
  44. 松山義雄

    ○松山委員 並木委員の言われたように、検印だとか、あるいは打抜きのしるしのないようなものは無効実際よくあるのです。検印をしてないやつを、そこだけ破つたポスターを張つてあるやつもあるのですから、実際検印のないものは無効にするというような規定を置いた方がいいのじやないかと思います。それから、自治庁の方で公務員の立候補制限ということについてはどうお考えになりますか。この前の国会等でも問題になつておりましたが……。
  45. 金丸三郎

    金丸政府委員 その実情等もいろいろと話を聞いておるのでございますが、まだ結論を得るに至つておりません。
  46. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 ポスター選挙終了後に当該候補者が撤去するということが二十にありますが、それは公営でやつて行くべきじやないかと思うのですが……。
  47. 金丸三郎

    金丸政府委員 これは実は大都市におきましては、たいへんな費用を要するのでございます。御承知のように大都市には集中いたしておりますので、数十万円あるいは百万円以上の費用を要するのじやないかというような実情でもございますので、地方の委員会の要望もございまして、これを入れたのでございます。
  48. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 個人にまかせた場合には、撤去することはあり得ないと思いますね。
  49. 並木芳雄

    並木委員 それは今おつしやる通り、個人にまかせたら、とりません。とらなかつたときには、今度は罰則が出て来たり何かすると、たいへんなことになります。またそれに要する費用というものは、選挙費用の中に入つて来ることにもなります。私は、金がかかつても、やはりこれは当局で撤去する建前の方がいいと思います。問題は予算だけでしよう、いかがですか。
  50. 金丸三郎

    金丸政府委員 実際にはその予算をとりますのがなかなかむずかしいと思うのです。人によりまして、一応頼んで了解を得てポスターを張らしてもらうのだから、済んだら、やはり自分がお礼を言つてはがして歩くという方もございます。
  51. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 選挙後にお礼を言う行為は、法が禁止しておるだろうと思いますが……。
  52. 金丸三郎

    金丸政府委員 それは当選についてお礼を言うのではなくて、落選しようが、当選しようが、ポスターを張らしてもらつたことについてお礼を誓うことは、何ら法には関係しないと思います。また費用選挙運動費用には入らないと思います。
  53. 松山義雄

    ○松山委員 ポスターをはがすことは、やはり各人にまかせたらいかがですか。確かに御迷惑だと思います。私たちもできるだけはがすようにしておるのですが、これは選挙だけに限らず、ほかの——先日も議事堂の裏の電柱等にも盛んに張つてありましたが、選挙ポスターのみに限らないと思いますけれども、特に選挙ポスターは集中しますが、ほかの広告のポスターあるいはその他のいろいろな闘争のポスターというようなものも、張つてそのままはがさずにいる。やはりこれは国でおやりになるとかなんとかしたらいかがでしよう。
  54. 森三樹二

    森委員長 このポスターの問題についてはなお御検討を願うことといたしまして、現在のポスターのところは、ナンバーで行きますと二十になつておりますが、一応この際先ほど説明された点だけ御意見、御質疑を終了したいと思うのですが、順を追つて行きたいと思います。  では、次の二十一につきまして、御質疑あるいは御意見がありますか。
  55. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 まだその前に十八の選挙運動ポスターの検印の点ですが、今のポスターの数は非常に少いので、従つて検印ということが非常にうるさくはなるのですが、もつと数をふやして周知せしめるというような、もつと言論戦を徹底させることが選挙公明運動を徹底させるゆえんじやないかと思う。つまり制限してしまうために、結局今度は買収とかいろいろの方法を生み出して来るわけですから、私は、この自治庁の案に文書戦についてもつと拡大して行くという考え方がないのは遺憾で、ここにポスターがございますが、ポスターの数なんかももつとふやすという頭を持つてもらうということが必要じやないか。従つて、ごまかした検印をつくつたり、いろいろな問題が起つて来るので、そこのところをひとつ御注意いたしたいと思うのです。それからなお、ここにはありませんが、やはり選挙公報、これはここで御説明以外のことですから、後ほどの機会で述べたいと思いますが、そういうポスターの問題についてもつと拡大する、枚数をよけい刷るという考え方の御意見ちよつと承つておきたいと思います。
  56. 森三樹二

    森委員長 ちよつとこの際申し上げますが、二十五に、「個人演説会告知用立札及びポスター公営制度を廃止して選挙運動用ポスターの枚数を増加すること。」ここにも関連がありますので、それらも関連してひとつ御検討を願いたいと思います。
  57. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 この自治庁の案を見ますと、公営の縮小ということがあちこちに現われておりますが、われわれは、公営はできるだけ徹底した、理想的に言うならば完全なる公営ということでなければならぬと思うのですが、こういう公営を縮小するような考え方は、ひとつこの際やめていただきたいと思うのです。
  58. 金丸三郎

    金丸政府委員 私どもも必ずしも公営を拡充するということに反対じやございません。ただ、公営にいたしますなら、やはりできるだけ効果的な方法ということと、それから、公営にいたしますと、どうしてもやはり間違いがないように公平を第一にいたしますから、事務的になつたりする。これはどういたしましてもそうなつて参ります。やはり選挙はいろいろ各候補者ごとにやり方考え方がお違いになりましようから、二十五にあります個人演説会告知用立札、それからポスター印刷して差上げることになつておりますけれども、こういうものはそれぞれ各候補者が創意くふうをおこらしになつたりおつくりになる、そうして自分で有効適切にお張りになる方が選挙運動の実際に即するのではないか、選挙運動の自由という面と公営というものは必ずしも両立いたしません。公営にいたしますと画一になつて、選挙運動の自由を殺す傾向がございますから、この二十五にありますようなものについては、私はやはり選挙運動の自由という立場から、各候補者がおやりになるようにした方がよろしいのではないかというふうに考えるわけでございます。
  59. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 そういう考え方もけつこうですが、たとえば今の二十五の問題ですが、公営による個人演説会告知のポスター等の例を見ますと、非常に形式に流れて、選挙用のポスター、宣伝用のポスターであるという考えからいつて、くふうというものが足りないように思うのです。これは宣伝効果があるということを少し考えていただけば、私は画一のポスターでけつこうだと思う。選挙はあくまでも公平にやる建前のものですから、ポスターは画一ということは別にさしつかえない。またそのために、あまりにも公平ということを深く考えて間違いが起るとおつしやいましたが、それはどうも私は受取りがたい話で、たまたま先ほどの話の間違いということは、これは少し常識はずれな問題だと思うのです。ポスターに間違いが起るということは、これはいかにも不注意千万のことであつて、あれくらいのことは十分注意すれば起らないのでありますから、そういうことのために公営制度を縮小するというような考え方が間違つているのではないかというふうに思うのです。
  60. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 今加藤委員からもお話がありましたが、実際それは公営ポスターでもさしつかえないけれども、今のポスターはあまりに役人的過ぎて、やはり選挙運動というものを自由闊達にするような、デザインなんかもつとはでにしてもいいし、もつと自由に、それこそ役所で一般から募集してポスターのデザインをつくつてもいいだろうと思うのですが、そういう点で、できるだけ公営主義を徹底するということが選挙界の粛正の問題になるし、一面においては、議員の歳費だとかいろいろな問題も、こういうところにもできるだけ金のかからぬ選挙をして来るということが必要だと思うのです。これが政界の粛正にもなつて行くのだと思うのですから、やはり公営ということができるだけ徹底するということは、私も望ましいと思います。
  61. 松山義雄

    ○松山委員 個人演説会ポスターですが、これは放任して公平という場合もありますし、また制限して公平という場合もありますし、やはりわれわれは公営を徹底せしめて行くということが実際いいのじやないかと思うのです。自由にして公平というのも、不自由でも公平というのも同じではないか、こう思うのですが、放任して公平とか、制限して公平というのはやはり同じだから、これはあくまで公営を徹底せしめた方がよかろうというふうに考えます。
  62. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 これは昭和十七年の選挙でありましたが、あのころはポスターが自由で、非常にりつぱな紙を使うんですね。そうして色なんかもいろいろな色を使つて、一枚が今の値段でいえば二百円も三百円もかかるようなポスターを使い得るのです。それで写真も天然色式なやり方です。そういうことになると、自由のおかげで非常に金がかかる選挙なつて来て、これは非常にまずいと思うのです。単純なものですから、やはりできるだけ公営にして、しかもそこにいかにも官僚的でなくやつてもらうというふうにして公平を期してもらう、そうして費用をかけないようにして行くということが必要だと思います。
  63. 森三樹二

    森委員長 それでは、大体ポスターに関しての御質疑、御意見は、この程度でよろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 森三樹二

    森委員長 よろしいようですから、その次に移りたいと思います。  三十二の問題につきまして御意見を拝聴させていただきます。  御意見もないようですから、三十三に移ります。——これも御意見ございませんか。
  65. 並木芳雄

    並木委員 ただちよつと心配になるのは、そのときによつて燃料の需要供給、紙の需要供給ということはやはりあり得ると思う。ことに燃料のごときはまだ国内産じやございませんし、最悪の場合にこれだけは確保できるという意味で、政府の方で保証しておかないと不公平になるおそれがありますが、いかがでしよう。
  66. 金丸三郎

    金丸政府委員 実際問題といたしまして、昭和二十一年、二年の選挙の際には、通産省、運輸省と相談をして、この規定があります前からごあつせんいたしておりました。だから、あるからあつせんする、ないからあつせんしないということにはならぬと思いますが、あるいはしいてこの規定を削除する必要もないのかもわかりません。ただ、私どもとしては、規定がございますと、事実上やつていないのに、しなければならぬように書いてあるものでございますから、非常に気になりますので、こういう意見を持ち出したわけでございます。以前から規定がなくてもあつせんはいたしておりました。実際問題としてポスター用紙が入手できないということはないようでございます。燃料は今もう自由販売幾らでも手に入りますし、先般の選挙では選挙公報用の新聞巻取紙で非常に苦労はいたしましたが、一般の紙は最近大分楽なようでございますから、こういう意見を出したわけでございます。私どもしいて削除の点を固執する考えではございません。
  67. 並木芳雄

    並木委員 まあ心配はないと思います。ですから、その心配を起しそうになつたら、不公平が起らないように処置してもらいたい。それにはある程度計算して、燃料と必要な用紙は無料で支給するというような建前を考えてもらえないかどうか。つまり自動車燃料の場合は、それに対するこれだけの分量までは政府としてクーポンを出す、そのクーポンをもよりのところへ持つて行けば、それだけ必ず引きかえができる、量を保証するとともに代すの方も政府で負担する、こういう建前をとれば、公営が一歩強化されるわけなんです。そういうことも考えていただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
  68. 金丸三郎

    金丸政府委員 用紙の方は以前は一部そういうふうになつておりましたが、現在は、衆議院の場合はポスター用紙印刷して差上げるようになつております。昨年の改正前には用紙を差上げるということになつておりました。燃料は現在は相当自由に出まわつておりますし、また選挙区によつて、島のありますようなところでは、船を使えば燃料がたくさんになりますし、統一してどの程度が適当ということもなかなかできかねるのではないか意いますが、委員会でよく御論議をいただきまして、それに応じて私どもの方でも勉強して参りたいと思います。
  69. 加藤清二

    加藤(清)委員 用紙のあつせんを削除するということは、もう全然自由にさせてしまうというお考えですか。
  70. 金丸三郎

    金丸政府委員 そうでございます。
  71. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうすると、去年まであつたような公営ポスター、一緒に刷つてもらつたあのポスター、あれももうなくなつちまう、こういうこうですか。
  72. 金丸三郎

    金丸政府委員 私どもは、選挙運動の自由という点から申しまして、その方がよくないかというふうに考えたわけでございます。
  73. 加藤清二

    加藤(清)委員 それじやちよつと申し上げたい。御承知の通り新聞用紙でも教科書用紙でも、およそ公共企業に対する用紙は税金が安くなつていると思うておりますが、それは違つていますか。たしか安くなつているはずです。そこで新聞も教科書も安く配給される。こういうことになつているわけなんですが、これを、公営の精神からいつて、もう印刷しないということがよければ別ですけれども、せめて価格を安くするくらいの世話はしたつて何もさしつかえないじやないかと思うのですが、これはいかがですか。——研究がなければ、今後研究していただいてお答えを願えればけつこうでございます。ここに言うところの燃料も同じケースに当てはまると存じますが、燃料と申しますのはおそらくガソリンのことじやないかと思います。これも今日はべらぼうな税金がかけられておるはずであります。これはほんとうに国家公共のためになる人をつくる選挙です。従つて学校教育と相似たものがあると思うのですが、こういうものに高い税金をかけて選挙費用を余分に使わせるような考え方は当を得たものではない。従つて、そのあつせんをしないということは別としても、せめてサービス券などを出して、その券を持つてつたら税金を省いて売るとかなんとかいうことを考えていただきたいものだと思います。
  74. 金丸三郎

    金丸政府委員 御質問の趣旨はよくわかりましたが、たとえば無料はがきにいたしましても、あれは定価通りの五円で私どもの方からは郵政省へ支払つておるのでございます。そういう点もございまして、選挙運動だからということで価格を下げる、実費でいいじやないかという考えもあり得ると思いますけれども、国全体の収入というような見地もございましようし、なお大蔵省なりそういう方面とも連絡をいたしまして、よく研究をいたすことにいたします。
  75. 加藤清二

    加藤(清)委員 それはごもつともなことでございまして、選挙だから何も税金を省いてやれというわけではございませんけれども、事実今日行われておる新聞用紙及び教科書用紙の点から見ますと、新聞などでも国家公共企業のためになるがゆえに税金が省かれて、おまけに白損二割というものが見込まれておるはずである。それが余つて雑誌をつくるとかなんとかいうことが行われ、白損事件が行われておる状況ですから、何もこれをやられたか品といつて、別に欲の深い話でもなければ、さしつかえないと思う。これが先般のように半年のうちに二回も選挙が行われ、年柄年中選挙が行われるということでしたら、それに対する税金も大きくなるでしようけれども、何せ規定は四年に一回、三年に一回という選挙であれば、そう大して税収入の上に影響があるとは考えられない。夢は、精神は加藤大先輩も言われましたように、なるべく公平に近づけるように、なるべく安く仕上げさせるということが、やがては選挙にからむところの不正事件を少くするゆえんになるのじやないか、こう考えるから申し上げるわけでございます。
  76. 並木芳雄

    並木委員 今用紙のあつせんでちよつと疑問が出たのです。あつせんすべき用紙というものは、今ちよつとわれわれもど忘れたわけですけれどもポスター以外になかつたわけですね。ありましたか。
  77. 金丸三郎

    金丸政府委員 今は全然ありません。
  78. 並木芳雄

    並木委員 だから、あつせんを廃止するというおかしいことになる。ポスターは配給ですから、あつせんするのじやなくて、皆さんの方で用紙を探し棄てわれわれの方へ配給するのですから、用紙のあつせんということはむだなことになりませんか。
  79. 金丸三郎

    金丸政府委員 第百七十七条は衆議院だけでございませんで、参議院府県知事、都道府県の教育委員選挙についてまで、ガソリンその他の自動車用燃料とポスター用紙のあつせんの規定がありわけでございます。その点で、「あつせんするものとする」とありますので、あつせんの措置をとらなければならない一応義務があるわけですが、ただ現実の問題としこは自然にたやすく入手されておりますから、私どもの方としては若干何か気になる規定になりますので、そう申し上げておるわけです。
  80. 森三樹二

    森委員長 それでは、大体選挙用紙の問題につきまして、この程度にいたしまして、三十四の問題に入ります。
  81. 原健三郎

    ○原(健)委員 三十四、三十五は同じものですから一緒にやります。三十四は「備付の時期及び収支事項記入の時期、」三十五は、用途を明確にする、これは実際はこういうふうにした方がいいという説と、今までの方がいいという説、前からも大分議論がわかれておつたのです。それは、取締る方から言うと、この両方とも、三十四に書いてある百八十五条の時期を書いた方がいいかもしれない、また百八十七条の用途を明確にした方がいいかもしれないが、選挙をやる者から言うと、こういう備えつけの時期をきめて、その間にやらぬ場合においては、一日遅れてもこれを罰する、百八十七条においては、文書による承諾を得なくて汽車に乗るのに使うとかして、そうして使途が間違つている場合はこれは違反である。それではあまり煩雑に過ぎると思う。現行法の方がいいと思うが、どうですか。
  82. 金丸三郎

    金丸政府委員 三十五の点から申しますと、御承知のように、選挙運動員に純然たる選挙運動費用として渡した金でも、使途が明確でないために、いわゆる運動買収としまして検挙されたり取調べを受けたりして、問題を起しておる例が非常に多いのでございます。だからこの点はやはり個々に、旅費なら旅費として幾ら宿泊費として幾ら、労務者を雇う費用として幾らというふうに明確にして、文書による承諾を与えるということにしましたならば、むしろ私は候補者選挙運動をなさる上からいつても便宜ではないか。事実いわゆる運動買収が一番問題になつておりまして、運動なさる方も、これは実費だとおつしやいますし、調べる方は、いやそれは買収の金じやないかというようになつておりまして、非常にこの点が問題になつておるのであります。  それから三十四は「会計帳簿の備付の時期」となつておりますけれども、時期がはつきりいたしておりませんために、やはりいろいろ問題を起しておりますので、できれば時期を明確にするようにしてほしいという要望があるわけでございます。
  83. 松山義雄

    ○松山委員 三十四ですが、この時期の問題は、実際選挙は戦争でございまして、すぐ県庁所在地の町に住んでいる人は非常に便利なんです。そういうようなことで何回も行ける。事務所へ立ち寄つて、不備な点があれば、すぐ県庁へ行つて、また事務所に帰つて来て、また行ける。ところが十里も二十里も離れておりますと、なかなかそう参らぬのでありまして、また初めはとてもごたごたしておりまして、出納責任者というものはなかなか容易にきまらないというような場合もありますし、非常にこれはめんどうなんです。実際これくらい頭を痛めるものはないくらいに時期というものはめんどうです。従つて、非常に煩雑になり、気持の上で非常な負担になる。実際自分でやつてみて、私たちは痛感いたしておる。バスに乗つて県庁に行つて、また地元に帰つて、また出かける。もうそのときは間に合わないというようなこともたびたびあるのでありまして、この時期という点につきましては、こういうようなものは私はそう必要ないのじやないかというように考えます。選挙というものは戦争でございますので、ただ手続を煩雑にするにすぎないのじやないかという感じがするのであります。  なおまた三十五もしかりでありまして、なかなかそういうふうに事務に堪能な人がないのであります。だれを出納責任者にしようが、しろうとばかり、大体しろうとを相手にするのでございますから。いなかに行けばなおそうでございます。都市はよろしゆうございますが、いなかへ参りますと、特にそういうような感じがするのでありまして、私たちは、できるならば、選挙管理委員会その他で、出納責任者になるような人を三日なり四月なり講習していただきたいくらいに思うのであります。ほんとうにこれはこういう煩雑な手続を設けると一層やりにくい、非常に困るというのが実情でございます。
  84. 大村清一

    大村委員 ただいま三十五につきましてのだんだんの御意見がありましたが、選挙の実際におきまして、選挙運動の実費を支給したにもかかわらず、その証明が十分でないというので、選挙違反がだんだん有罪になつているのが非常に多いのでございます。そこで、選挙運動費を支給したということは、文書による承諾がなければならぬ、その文書の整つていないものは、全部これは運動買収であるということになつてしまつているのであります。この点は選挙界におきまして非常にゆゆしき大事だと思うのであります。私は、できますものでありますれば、たとい文書が不十分でつりましても、諸般の事情から見て行つて選挙運動の実費を出したのであつて、買収する意思もない、また買収される意思もない、実費の支給を受けたということの証明のできるものは、これは無罪にしろという法文をつくつていいのではないかというくらいに思うのであります。このように考えますので、この文書の形式等におきましては、なお大いに研究の余地はございましようが、なるべく簡潔に簡単に、これは選挙運動の実費を支給したのであつて、買収したものではないというような、きわめて簡易な文書証明ができるというようなことをくふういたしますれば、選挙界が非常に明朗になるのでにないかと思うのであります。この点につきましては、ひとつ皆様の御研究を特にお願いしたい、このように考えます。
  85. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 三十五については皆さん意見が違うのです。最近の選挙違反、ことに大がかりな非常に範囲の広い選挙違反の例を見ると、みなこれなんです。この点は非常に煩瑣なようで不便はありますが、しかし、やはり承諾と、それから特に承諾を受けた者が精算書を出す、これを備えておくということは、どうしても私は必要じやないかと思うのです。それをできるだけ簡便な方法にするということはけつこうですが、一応出納責任者文書による承諾をして、支出を受けた者がどれだけ使つたかという精算書を出す、これを備えておくということは、どうしても買収を防止する上において必要じやないかと思うのです。最近は精算書というものが必要でないことになつておりますが、昔はこの点で相当厳密だつたのです。昔のように厳密にやらなくてもいいと思うのですが、大体選挙運動をした人は、実費に限つておるのですから、とにかく実費の清算書というものを必ず出す、こういうふうにしておく必要があるのではないかと思います。
  86. 並木芳雄

    並木委員 それはそれでいいだろう。
  87. 原健三郎

    ○原(健)委員 ぼくらの意見は大体同じなんで、文書による承諾を法律に書いてあるが、実際は文書の様式がはつきりしていないので、検察当局にひつかかる。こんなものは文書でないとかなんとか言つて、非常にひつかかるので、文書の様式をきめることは賛成なんです。それを持つておると、間違いないものと、いかがわしいものと、はつきり区別がつくからいい。ただ用途までもくどく書くとめんどうになるから、金額だけでいいと思う。
  88. 大村清一

    大村委員 ただいまの問題につきまして、なおひとつ皆様の御研究、御意見を伺いたいと思います。と申しますのは、選挙運動の実費を支出する場合には、文書による承諾がいるということに法の明文がなつておるのであります。これらの裏を申しますと、文書による承諾を得ていない場合には、全部選挙違反だということに司直の当局は解釈をしておるのではないかと思うのであります。しかし選挙犯罪が、法文の書き方によつて有罪になり無罪になるというようなことは、よほど考えなければならぬ問題だ。事実、選挙運動の実費を支給した方も、実費をもらつた方も、選挙違反をやる犯意が全然ないのに、そういう場合、単に文書承諾がない——法律には文書による承諾を得なければならぬという法定義務がありますから、承諾を得ていないものは全部選挙違反なりということで有罪の判決をされておることは、裁判の上に大いに研究を要する問題ではないかと私は思うのであります。選挙犯罪が成立するかどうかという成立要件に、文書による承諾を受けなければならぬという明文があるがために、言いかえてみますれば、法文の上に文書をつくらなければならぬということを書いたがために、有罪を不必要にたくさんつくつておるのではないかというような疑問を日ごろ持つておるのであります。この点につきまして、何か立法上適切な方法があるのではないかというように思えてならないのであります。
  89. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 その点私は大村さんの意見に一応賛成ですが、必ずしも文書による承諾というものは必要ではないと思うのです。ただ、精算書をはつきりしておけばいいと思う。たとえば精算がはつきりしておつても、文書による承諾がないために、違反だといつて摘発された例があるのです。しかし、文書による支出の承諾というものは必ずしも必要ではなくて、ただ実費かどうかということを明確にするための精算というものが絶対に必要だと思う。そこに重点を置けば、私は、文書による承諾というものは必ずしも厳密にしなくてもいい、こういうように考えます。
  90. 並木芳雄

    並木委員 それは私は何か便法はあると思うのです。つまり文書による承諾書を出してある場合には、それ自体ではつきりする。それから文書による承諾がない場合には、別途に説明をしなければいけないというふうにしておけば、大村さんの疑問の点はなくなると思うのです。つまり青色申告のように思えばいい。青色申告でやつておる場合にははつきりしておるのだ。だから文書による承諾がなければ、そのこと自体が法律違反であるという建前は、やはり行き過ぎではないかと私は思います。
  91. 大村清一

    大村委員 もう一ぺん私の考えを明確にするために申し上げてみますと——文書による承諾を得なければならぬということが法律に書いてありますから、文書による承諾を得なかつた場合には、その違反行為を軽く処罰する。罰金をかけるというようなことにあつてもいい。しかしそれだからといつて文書による承諾がなかつた川ために、それがすべて有罪になるというのでは困るのであります。そこに疑問があるとすれば、文書による承諾を受けなかつた場合には、百円でも二百円でも罰金をかけるくらいのことならばいいのでありますが、文書による承諾を得なかつたために、すべてこれが買収犯に問われるのは、法律の解釈が間違つておるのではないか、かように思うのであります。
  92. 松山義雄

    ○松山委員 金丸さんにちよつとお尋ねしますが、用途を明確にするという点で、この中の実質というものは大体具体的にどこまで含まれておりますか。
  93. 金丸三郎

    金丸政府委員 実際の選挙実情から申しますと、急いで君はあつちの方をまわつて来いということで、五万なら五万、十万なら十万持たしておやりになる。その際に、自動車を雇つたり、汽車賃を払つたりして、そのために交通費として三万円、宿泊費として二万円、そういうふうに費目をはつきりさせて、承諾を与えるというようなやり方をしていただきたい。ただ、一週間行つて選挙運動をやつて来い、五万円やつておくからというようなことで、今運動買収犯として問題を起しておりますから、その程度でも費目を押えておいて明確になつておれば、運動買収というような嫌疑もかけられないで済む、こういうふうに考えるわけであります。
  94. 松山義雄

    ○松山委員 宿泊の場合は、夕方からとまつて翌朝まででしようが、あれは食事はついてもいいのですか。
  95. 金丸三郎

    金丸政府委員 それはかまいません。
  96. 森三樹二

    森委員長 委員長が自分の意見発表するのはおかしいかもしれませんが、今大村さんのおつしやつたように、この文書による承諾がなかつたために、ほんとうにきれいな汽車賃をもらつておきながら、処罰されておる人が相当あるわけです。横浜へ行つて来てくれとか、その辺に行つて来てくれといつて、わずかの金を渡したのが、文書承諾がないからといつて処罰されたような例があります。この文書による承諾というのは、一体どんな紙か知らないから、これはほんとうは選挙管理委員会で確実に印刷して、金をやつたりもらつたりするときには、お互いにこれに判を押してもらわなければいかぬということにしてやれば、よほど救済されると思う。実際に金のやりとりをする場合に、文・書による承諾という形式をとつていない。私は、いつもそれをつくつて、これは選挙が済んでも二箇月も三箇月も保存しておいてくれ、警察の呼出しを受けたら、いつでもこの文書による承諾を持つておるのだといつて出すのだ、と言つて指導しておりますが、一般の人はほとんど使つておらないようです。そのために、きれいな金をもらつておきながら処罰されておるという、非常に気の毒な方々が多いわけでありますから、何らかこれにつきまして皆さん考えを願いたいと思います。  それでは次に進行いたしまして、三十九につきまして御討議をお願いいたします。     〔「大体それでいいじやないか」と呼ぶ者あり〕
  97. 森三樹二

    森委員長 三十九につきましては大体御異議なきものと認めまして、四十をひとつ御討議を願います。皆さん法文をお持ちでないと十分御審議がきでないと思いますので、四十はまた後日に御審議を願うことにいたしまして、四十一につきまして御討議を願います。
  98. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 四十一の「第百四十八条第三項に規定する新聞紙、雑誌以外の新聞紙、雑誌」というのは、実際的にはどういうものですか。
  99. 金丸三郎

    金丸政府委員 第百四十八条の第三項に、新聞は毎月三回以上、雑誌は毎月一回以上、号を追つて定期に有償頒布するということと、第三種郵便物の認可を受けているということ、それから選挙の期日の公示または告示の日前六箇月以来、そのような条件に該当して引続いて発行している、こういう条件が備わつた新聞、雑誌でなければ、選挙に関する報道、評論は一切できないという建前になつております。従いまして、毎月一回発行している新聞とか、あるいは選挙の三、四箇月前に初めて発刊した新聞とかというようなものも、選挙運動にわたらない棄権防止とか、公明選挙運動の状況とか、選挙がいつ行われるというふうな選挙管理等に関するような事項、主として報道を考えておるわけでございますが、そういうものは、そのような新聞、雑誌でもさしつかえないというふうにしていただきたいという趣旨でございます。
  100. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 ただいまの第三種郵便なり、あるいは月三回以上とか、そういう小さい新聞でも、最近は特定候補者がずいぶん利用して、買収して、相手方のあることないことを書かせて、選挙妨害運動をしきりにやるわけです。そういう意味で、私は新聞でも地方の小さいいわゆるエロー・ペーパーというものには、選挙の報道についてよほど考えなければならないのじやないかというふうに思つているのです。もちろん棄権防止とか、公明選挙運動とか、選挙管理手続に関して、月一回の新聞であろうが、今まで除外されたものが書くことは一向さしつかえありませんが、それよりも、一般に月に三回とかウイークリーで出ているものでも、ずいぶんひどい選挙妨害記事を書いているのがあつて、そのためにみんなずいぶん被害を受けている。しかもそういうところには、金さえやればどんなおてんたらのうまいことでも書く、やらなかつたら徹底的にそれをやつつけるというように、選挙と小さい新聞というものは重大な関係があると思うのです。だから、むしろ小さい新聞には一切選挙に関してのことは書かせぬくらいにしたい。棄権防止や公明選挙運動については書かせてもいいけれども、いろいろ候補者について、これは当選確実だとかあるいはあぶないとか、その前の日あたりに書かれて、それを日刊紙の中に折り込んで、多いのになると一万も二万も三万も選挙区中に配る、それで敵をやつつけるという方法が行われる。そういうことがあるので、小さい新聞の問題についてはずいぶん考える余地があると思う。こういうことのために選挙界が腐敗をいたし、あるいはまたそのために公明な選挙が行われないという例が非常に多いのです。それ具体的に、われわれの地方で発行されたものもたくさん持つております。これを見ると、なるほど文書制限はすつかりしてある。ただ無料のはがきを出すだけが文書だ。しかるにかかわらず、新聞を利用して、二日おき、一週間おきにじやんじやん事実上は自分の宣伝をするということが行われているのです。これは十分に検討を要することだという問題を提供しておくわけです。
  101. 大村清一

    大村委員 この四十一の問題につきましては、今羽田君からもお話がございましたが、ここに書いてあるような新聞紙はいわば小さい新聞であります。その小さい新聞には一切選挙の報道をさせないというのが今までの建前であります。ところが今度は、この改正のように、棄権防止公明選挙選挙管理手続等に関する一部の報道、評論はできるということになりますと、全部一部の関係でこの制限を少し越えて書いてもいいということになつて来て、取締りが非常に困難になりますから、むしろこれは一切やらせないという意味の制限の方がいいのじやないかというので、これは前回も問題になりましたが、前回はこれをドロツプして規定しなかつたように記憶しております。
  102. 高瀬傳

    高瀬委員 私もただいまの大村委員の説に賛成です。これでは選挙が非常に複雑怪奇になつてやりにくい。
  103. 山中貞則

    ○山中(貞)委員 議事進行について。私の提案はもつと先にすべきだと思い、時機を失したつもりで黙つてつたのでありますが、委員の数が少くなつたのであらためて提案いたします。と申しますのは、現在の審議のあり方は、ここに出されました自治庁提出の意見書に基いて、各項目ごとの審議がされておりますので、非常に限られた立場において限られた範囲の論議が繰返されておるように思うのであります。前からの委員の方もおられるのでありましようけれども、本国会において新しく構成されました選挙法改正に関する特別委員会改正せんとする基本的な方向を、関係当局と私ども委員会自体がはつきりと打出した後において、その方向に沿つて取捨選択して、バツクボーンを通した後に審議を開始しなければならないと考えるものであります。従つて、そのような立場から考えますと、先般出されておりまして実質上新たに出されました改正の趣旨等について、個々の論議がまちまちの方向に行つておることでもわかる通りに、一貫しておらないきらいがあると思うのであります。従つて公営選挙を徹底させて金のかからない方向に持つて行くことを基本にしたならば、その基本に沿つて取捨選択することが当然でありましようし、また今まで繰返えされました金銭上の取扱いの問題についての論議の基本には、法定選挙というものの現在のあり方についての基本的な問題が横たわつておりますために、そのささたる末梢の論議が食い違つておる点があるのではないかということも考えられます。また、今回のこの改正内容には、言論戦に対する考え方が一つも盛られておらないようであります。たとえば、二日前に届出をしなければ演説会ができないとか、あるいは催し物等の臨時の会に出て発表ができないとか、言論戦こそ買収も饗応もできない最も基本的な正しいものだと私ども考えるので、それらのことを一括して考えますならば、本日は説明を聴取して、現在までの審議も基礎にいたしまして、各自持ち帰つて、あらためて基本線を打出すことにいま一度、逆もどりのつもりではありませんけれども、御研究を願いまして、当局といたしましてはどのような基本的な方向をもつて改正せんとするかを明らかにしていただきたい、こう考えております。
  104. 森三樹二

    森委員長 ただいま山中君の御発言もありましたが、委員長といたしましても、相当時間も長くなりましたので、皆さんにお諮りしたいと思つておりました。ここで暫時休憩いたしまして、審議につきまして御相談をしたいと思います。  ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  105. 森三樹二

    森委員長 速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十九分散会