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1953-06-24 第16回国会 衆議院 建設委員会大蔵委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十四日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員  建設委員会    委員長 久野 忠治君    理事 瀬戸山三男君 理事 田中 角榮君    理事 佐藤虎次郎君       逢澤  寛君    高田 弥市君       仲川房次郎君    松崎 朝治君       山田 彌一君    五十嵐吉藏君       村瀬 宣親君    三鍋 義三君       山田 長司君    中井徳次郎君       細野三千雄君  大蔵委員会    理事 苫米地英俊君 理事 坊  秀男君    理事 内藤 友明君 理事 佐藤觀次郎君    理事 井上 良二君 理事 島村 一郎君       有田 二郎君    宇都宮徳馬君       大平 正芳君    黒金 泰美君       藤枝 泉介君    宮原幸三郎君       本名  武君    木原津與志君       久保田鶴松君    春日 一幸君  出席政府委員         建設政務次官  南  好雄君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         大蔵事務官         (主計局次長) 石原 周夫君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君  委員外出席者         建設事務次官  稲浦 鹿藏君         建設委員会専門         員       西畑 正倫君         建設委員会専門         員       田中 義一君         大蔵委員会専門         員       椎木 文也君         大蔵委員会専門         員       黒田 久太君 本日の会議に付した事件  道路整備費財源等に関する臨時措置法案(田  中角榮君外二十九名提出衆法第七号)     —————————————
  2. 久野忠治

    久野委員長 ただいまより建設委員会大蔵委員会連合審査会を開会いたします。  私が議案の付託を受けました委員会委員長でありますので、前例によりまして、委員長の職務を行いますから御了承願います。  道路整備費財源等に関する臨時措置法案田中角榮君外二十九名提出衆法第七号)を議題とし、まず提出者より提案理由説明を聴取いたすこととします。田中角榮君。     —————————————
  3. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいま議題になりました道路整備費財源等に関する臨時措置法案につきまして、簡単に提案理由説明いたします。  わが国道路の現況を見まするに、国道都道府県道を合せましてその延長約十三万八千キロに達するのでありますが、このうち一応改良されたものはその約三〇%にすぎないのでありまして、残る七〇%、すなわち延長九万六千三百キロは未改良道路であります。しかもその中には約一万六千キロの自動車交通不能の区間を含んでおるのであります。また鋪装道状況簡易鋪装を含めて六千三百キロでありまして、改良済み延長の一五%にすぎない状態であります。しかるに最近目覚ましく発達しつつある自動車は遂に戦前最高の三倍以上に達し、七十五万台を数えております。しかもこれらの車輌は大型化し、重量化し、高速度化しておるのでありまして、現状道路ではとてもこれに耐えられぬありさまでありまして、道路整備は緊急を要する問題といわなければなりません。  他面道路整備進捗状況を見まするに、昭和二十一年度より昭和二十七年度までの公共事業費道路費によつて整備されたものはわずかに改良約三千キロ、鋪装道約七百キロにしかすぎないのでありまして、昭和二十八年度予算案においてようやく増額されまして百四十一億円となつたのでありますが、これによつても九百八十キロの改良と四百四十キロの鋪装新設が行われるにすぎない状態であります。かかる状態でありまして、道路整備されるには、なお、数十年を要することと考えられ、はなはだ寒心にたえないところであります。  このような道路状況及び自動車の激増にかんがみまして、一級国道及び二級国道並びに政令で定める都道府県道その他の道路について昭和二十九年度以降鋪装、その他の改築及び修繕に関する五箇年計画を確立するとともに、ここに道路を利用する者がそのほとんどを負担している揮発油税を、この道路整備計画実施に要する道路法及び道路修繕に関する法律に基く国の負担金または補助金財源に充てることにして、自動車交通安全保持とその能率の増進とに寄与いたしたいことがこの法律提案する理由であります。  なお、地方公共団体に対する負担金の割合または補助率については、道路法及び道路修繕に関する法律の施行に関する政令の規定にかかわらず、政令によつて特別の定めをなすことができることとし、高率の国の負担及び補助をなし得る道を開きたいと存じております。  なお、本法律案は当建設委員会多年にわたる各党一致の検討によるものでありまして、前国会衆議員建設委員会各党一致提案と相なり、衆議院会議におきましても、全会一致にて可決し、引続き参議院送付後は建設委員会付託大蔵予算委員会との連合審査会の議を経て、委員会において原案通り可決すべきものと決し、本会議の日程に上程と相なるも、時あたかも衆議院の解散にあい、不幸成立を見ざりしものであります。幸い各党各位の御支援により、今回再び本案提案となり、わが国道路整備画期的曙光を見出し得ることは、諸君とともに御同慶にたえないところであります。せつかく御審議の上、御賛成くださらんことをこいねがい、提案理由説明を終る次第であります。  なお最後に申し上げますが、提案者は、佐藤榮作君、松村謙三君、佐々木更三君、淺沼稻次郎石橋湛山君を含む三十名であります。
  4. 久野忠治

    久野委員長 本案につきまして、質疑の申出があります。通告順にこれを許します。内藤友明君。
  5. 内藤友明

    内藤委員 これは委員長お尋ねしても、おかわりになつている委員長でありますから、どうかと思うのでありますが、実は前回国会におきまして、この問題を建設委員会でお取上げになつて審議になられましたときに、私ども大蔵委員会は、やはり税のことについて責任を持つている立場のものでありますので、当時奥村委員長を通じまして建設委員会連合審査の申入れをしたのでありますけれども、これをゆえなくけられたという因縁が実はあるのであります。今度の委員長はまことに御賢明で、さつそく私どもの希望をおいれくださつたことについては敬意を表するのでありますが、どうも今までの建設委員会は、私どもにとつてはまことに遺憾な御処置のあつたことを、私どもいまだに忘れようとして忘れ得ないのであります。そのことをまず申し上げます。  そこで私道路局長お尋ねしたいのですが、なるほど揮発油税をこの道路修繕財源にするということは、一つ考え方だと思うのであります。しかし、今日揮発油税というのは百八十億ほどあるようになつておりますが、実はこれは業者からこの税の軽減要求が非常に根強いものが、正直を申しますとあるのであります。そして将来この百八十億というものはだんだん減つて行くのじやないかと思うのであります。そうしますと、今は百八十億と押えて道路計画を立てておられるのでありますが、この百八十億というものが恒久的なものでないのに、道路修理計画とにらみ合せて考えておられるところに、少し近眼視されるところがあるのではないかと思うのであります。そういうことについてどうお考えになつておられるのか、道路局長お尋ね申し上げたい。
  6. 富樫凱一

    富樫政府委員 この法案によりますと、道路五箇年計画というものを立てまして、その計画実施ガソリン税相当額、足らないところはその他の財源ということになつておるのであります。従いまして、かりに税率が減るというようなことになりましても、その他の財源でカバーするということになりますので、われわれといたしましては、この法案によつて道路整備五箇年計画実施し得ると考えておるのであります。
  7. 内藤友明

    内藤委員 今の御答弁で、財源は二通りあるので、一つ揮発油税、あとは一般国家財政収入からもらうのだ、これはわかりました。  そこで私主税局長お尋ねしたいのでありますが、これは正直に申しますと、一種の目的税と申さなければならぬと思うのであります。いろいろな業者がいろいろ自分が税金を納めるんだから、自分たちのこういう仕事の方に使つてもらいたい、こういう類似の単行法が出て参りましたときに、日本の税制は大きな変革を来すものと考えなければならぬのであります。こういう目的税らしい法律が出て来ることに対しての主税局の御見解を一応承つておきませんと、これから税の法律をたくさん私ども審議しなければならぬのでありますが、その心構えのために、これはぜひはつきりと承つておきたいと思うのであります。御賛成か反対か、これであります。
  8. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 目的税をつくるという考え方につきましては、大蔵当局といたしましては、終始適当でないという考え方を持つております。今御議論にもございましたように、ある特定の税を常に特定財源にするというような結びつきをして参りますと、負担の公平という見地から考えましても、また国の財政の運営から考えましても、適当でないということが考えられるわけであります。その意味からしまして、原則的に目的税がいいか悪いかという点につきましては、われわれはこれは常に困るという見解を持つております。ただ揮発油税という問題になりますと、各国の事例を見て参りましても、たとえばアメリカのようにこれを特に目的税に取上げているという事例は見られるわけでありまして、揮発油税をどういう根拠に基いて課税して行くかといつたようなことになつて参りますと、やはり自動車の持つ道路との結びつきということにおいて、他の税と多少性格を異にするものがあるということはいなめない事実だと思いますが、しかし、といつて……。     〔「うそを言うな」と呼び、その他発言する者多し〕
  9. 久野忠治

    久野委員長 御静粛に願います。
  10. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 ただ揮発油税の全部の性格が常に道路に結びついているものであるというのも、われわれとしては少し行き過ぎた考え方ではないかというように考えておるのであります。従いまして、今度のこの法案が、はたして目的税という性格はつきり出しておるかどうかという点については、私法案を拝見したところだけでは、まだそこまで行つていないのじやないかというふうに思います。もし目的税という性格はつきりしておりますと、たとえば特別会計をつくりますとか、あるいはその税率を云々する場合におきましても、たとえば道路関係主管官庁というものが相当前面に出て、結局税率云々ということに関与をすべきものと思つております。この法案を拝見したところでは、そういう点については触れておりません。従いまして、結局揮発油税税率をどういうふうに上げ下げするかという問題につきましては、一応大蔵当局が従来と同じように責任を持ち、立案する。これはしかし内閣がきめまして、国会で御決定願うわけでありますが、一応の内部行政所管的関係を申し上げることをお許し願いますならば、この法案の限りにおきましては、揮発油税をもつと上げてもいいとか、むしろ引下ぐべきであるという観点になりますと、依然主税局に一応の考え方があつていいのではないかというように思つております。ただ正直に言いまして、こういうふうな法案ができますと、何となしにひもがついたような感じがありますから、道路局といいますか、建設省の方にお断りなしにこちらが案をつくつていいのかどうかという感じがないではありませんが、一応法律建前といたしましては、行政庁内部関係としては、主税局にその立案の権限はそのままあつて、それに対しては何ら関係ない問題だ。ただ問題は、むしろそうした財源道路というものに特定に結びつけることがいいか悪いかという問題になると思います。この点におきましてはいろいろな考え方があり得ると思いますが、私申し上げるのは、少し私の領分を越えるようでございますから、これは主計局の方から意見を出していただいた方がいいのではないか、われわれの考え方としては……。
  11. 井上良二

    井上委員 議事進行について。これは今説明を聞いておると、提案者提案の上においてえらいミスがあります。これは重大問題です。法案第三條には「税収入額に相当する金額を、」とこうなつておる。ところがあなたの今の提案理由書には、「揮発油税を、この道路整備計画実施に要する道路法及び道路修繕に関する法律に基く国の負担金または補助金財源に充てることにして」と、こうなつております。この提案理由では揮発油税をこれに便りということが明確に示されておる。法律の方ではそうなつておらないが、とつちがほんとうか、これは提案理由字句訂正を願います。
  12. 田中角榮

    田中(角)委員 お答えいたします。法律條文通りが正しいのでありまして、私が今申し上げました中で、「相当額」というのが脱けておるので、御承知を願います。速記録の方も訂正を願います。
  13. 井上良二

    井上委員 脱けておると言うが、この理由書を、はつきりこう直すと一応読み直してください。それから審議に入らないとえらいことになりますから……。
  14. 田中角榮

    田中(角)委員 簡単なことでありますから、お手元にあるのをどうぞお直しをお願いいたします。
  15. 内藤友明

    内藤委員 今石原さんがお見えになりましたから、一つお聞きしたいのでありますが、この法律通りますと、今国会にお出しになつておられます予算をお直しにならないのですかどうですか。
  16. 石原周夫

    石原(周)政府委員 私ただいまこの法案を拝見したばかりでございますが、拝見いたしましたところでは、二十九年度以降と書いてございますので、二十九年度からの問題だというように承知をいたします。従いまして、二十八年度予算の修正という問題は生じないと思います。
  17. 久野忠治

  18. 坊秀男

    坊委員 大体同僚内藤委員の質問によりまして、私のお尋ねしたいことは尽きておるのでありますが、一、二点御質問申したいと思います。  この道路整備するということは、これは国の経済を発展振興さす上にとりましては最も大事なことでございますから、道路整備ということにつきましては、だれよりも私は熱意を持つておるということを前提といたします。そこで私は、先ほどからの質疑応答によつて大体判明したのでございますが、揮発油税というものは、将来におきまして年度々々によつて非常に変動を生じて来るものである。ところが本法案によりますと、五箇年計画整備をして行くという趣旨に相なつておりますが、五箇年計画と申しますと、各年度割というものが当然あらねばならぬごとでございます。その年度割道路整備支出に対しましては、一般支出と、それからひもつきと申しますか、揮発油税ひもつきと両立しておるわけであります。そういうような場合に、将来予算を組んで行くときに、二つ財源があるために、年々の変動する揮発油税によつて、一方の一般支出計画が非常に立ちにくいようなことになるんじやないかと思いますが、主計局はどう考えておられますか。
  19. 石原周夫

    石原政府委員 二つの面からお答えできると思うのでありますが、一つは今お尋ねになりましたような歳入関係変動いたしますので、相当する額を経常費として財源に充てなければならないということは、一つ見方から申しますれば、これは最小限度の需要を申しておるわけでございますので、それを越ゆる額を計上いたしますことは禁じておりません。これは提案者から御説明があつたと思うのでありますが、消極的な申し方から申しますれば、これは歳入変動にかかわらず、ある下の制限をきめたのである。従つてたとい歳入減つても、それ以上計上することはさしつかえないという形式論があるわけでありまして、その点から申しますれば、歳入変動がありましても、歳出の額が必ずしも動かないでいいだろうということが、一つ見方であろうと思うのであります。しかしながら、お尋ねに相なりますような意味におきまして、両者の金額を実質的ににらみ合せようということが本法案趣旨だと考えられますから、従いまして、この金額変動があるということにつきましては、やはり歳出予算計上の上におきまして、いろいろな拘束が出て参ることは当然であります。  それから先ほど内藤委員お尋ねに対しまして、二十九年度という数字でございますから、従つて本年度予算関係がないということを申し上げたのでありますが、それはその通りであります。ただこの法案のままで計算をいたしますと——これはあるいはどなたかから御説明がありましたら、重複をいたしまして恐縮でありますが、私どものところで計算をいたしてみますると、現在提案いたしております二十八年度予算歳入予算におきますガソリン税計上、それと、この法案によりまして解釈上出て参ります金額の開きが四十九億あります。約五十億でございます。従いまして二十九年度以降におきましては、この法律案のもとにおいて四十九億円の金を、本年度道路費に比べまして増加をしなければならないということが生れるわけであります。坊委員お尋ねは、むしろ長期の問題でありますが、財務当局としてとりあえず心配をいたしております点は、まだ二十九年度予算は全然見当がついていないわけであります、それに先だちましてこの程度の、現在の計上額から見ますれば三割ぐらいだと思いますが、そういうような金がこの法律の結果として生ずるんだという点に重大な関心を持ち、その点を心配いたしておるわけであります。
  20. 坊秀男

    坊委員 いずれにいたしましても、ひもつきと申しますか、目的税と申しますか、これでもつて特定支出に充てるということは、予算計上あるいは租税の建前から申しまして、先ほどからの主税局長及び主計局次長の御答弁によつても、必ずしもこれは財政上の正常な行き方でないということがはつきりしておるのでございます。しかし私は目的税というものを頭から否定するものではございません。必然性があるならば、目的税もあながち非難すべきものではないのでございますが、財政上いろいろ不便だとか支障だとかがありますときに、何ゆえ揮発油税を選んで道路整備一つ財源にしたかという、そこの必然性の問題でございます。私はその点につきまして、道路局長から御説明を願いたいと思います。
  21. 田中角榮

    田中(角)委員 私から答弁いたします。これは、この問題を論議せられる根本になると思いますので、率直に私の意見を申し上げたいと思うのであります。  道路整備ということが必要であることは、何人も認めておるわけであります。反対ではないけれども財源が許さない現状において、こういうもので拘束することは、予算編成権及び審議権を拘束するんじやないかというお気持でありますが、私はそれに対してこういう考えを持つております。この法律案を出さなくて、なるべく道路費として、現在のわれわれが考えておるような道路整備にマッチするような額が計上せらるべきだということを考えておるのでりますが、なかなかいろいろな状況で現在まで計上せられないために、諸外国がやつておるような例を引いて、しかも目的税ではない、一つの目標として五箇年間財源にそれ以上の額を計上しなければならぬという法律案提案したわけであります。私はこの程度法律案が出ることによつて、現在の予算編成支障はないということを考えております。もしあるとするならば、それは予算編成の技術上の拙劣さをみずから暴露するものであると考えております。なぜならば、世界中においてインドを除く国で日本のように低額の道路費計上しておる国はありません。これは皆さん御承知通りであります。のみならず、現在財政負担が非常に多いということを言つておりますが、戦前における日本は、軍隊に対する厖大なる支出を要求せられておつた当時であつてさえも、年間予算の三%ないし四%は道路費として当然計上しておつたわけであります。そういう厖大支出のない現在におきまして、九千六百億の予算が組まれるとしたならば、三%ないし四%として最も低率な状況考えてみましても三百億以上の道路費が当然計上せらるべきであります。にもかかわらず、昭和二十七年度においてはわずか八十六億余万円、二十八年度におきまして百四十一億というような状況考えてみまして、現在新しい法律によつて一、二級国道が指定せられたことは御承知通りであります。近く重要都道府県道が十二、三万キロ指定せられるわけでありますが、いわゆる敗戦日本再建の動脈ともいうべき道路整備しないで、日本経済再建ができるなどということは考えられない。その意味におきまして——いつの予算書を見てもわかる通り道路費というものがあまりにも少な過ぎる、でき得るならばこのような法律を出さなくとも三百億以上計上せらるべきだ。重要幹線道路十三、四万キロを少くとも車が通れるような状況にするためには、どのくらいかかるかと申しますと、大ざつぱに申し上げても六千億ないし七千五百億かかるわけであります。一年間に五百億以上かけなければ、三、四十年は全国に重量制限をしております十四万三千キロにわたる幹線道路の木橋が永久橋にかけかえられない、しかも一年間に十五万台約九百億以上の新車の購入が行われておる現状を見ましたときに、これが消耗率やいろいろなことを考えるときには、当然これは国家支出としては大幅に拡げなければならないし、また世界のどこの国の予算編成状況を見ても、これ以上の額を出しておるのでありますから、私はこの法律提案されることにより、また公布せられることによつて予算編成権審議権を侵害するものではないということを率直に考えておるわけであります。
  22. 坊秀男

    坊委員 ただいま提案者たる田中先生から、るるその理由について申し述べられたのでございますが、私はこれに対して十分納得の行かない点があるのでございます。この道路整備ということは、なるほど大事なことであつて道路整備に対して今日まで非常に予算支出が足りなかつたということは、われわれもこれを認めるところでございます。それならば、提案者田中先生初め堂々たるメンバーであります。この堂々たるメンバーでもつて、何ゆえに真正面から道路に対する予算増額を要求しなかつたか。何ゆえにそれを避けて、道路整備についての目的税をつくつたかということについてお伺いをしたい。
  23. 田中角榮

    田中(角)委員 前回参議院審議の過程においても、そのような意見が出たのでありますが、もちろん予算編成権は、憲法の命ずるところによつて政府にあるわけであります。私たちはかつて国会におきましては二百四十数名の与党を持つておりましたので、当時はただいま坊君が言われたような議論が成り立つたわけでありますが、にもかかわらず、なかなか思うような処置は行えなかつたわけであります。私はあえてごまかいことは申し上げませんが、現在の状況におきましては、議院内閣制とはいいながら、自由党は御承知通りわずか二百名の弱小与党しか持つておらないわけであります。そういう意味におきまして、行政府の予算編成権というものに対しまして、国家的に考えて、われわれ自体が道路整備のためにはかくあるべしということをするためには、憲法における最高権威機関である国会の議決において、二十九年度から道路費予算はかくあるべしということをきめることは一向さしつかえないし、またそれ以外に手はないのではないかと考えておるわけであります。
  24. 坊秀男

    坊委員 ただいまの御答弁によりますと、私も自由党なんでございますが、予算を通さない、通す自信がないというようなときには、常にこの手でもつてつて行くというようなことに相なりますと、これは税体系をこわしてしまうことになると思います。
  25. 田中角榮

    田中(角)委員 この法律案を出しましたのは、道路費の大幅なる増額を目途としてだけ出したのではありません。ここに大きな誤解があると思いますから申し上げますが、ガソリン税そのものに問題があります。ガソリン税軽減及び全廃に対しての運動があることも私は承知しております。前の委員会におきましては、大蔵省に対して相当強い委員諸君の発言があつたようでありますが、当分の間大蔵省は現行揮発油税法を廃止する意思はないようであります。しかし現行揮発油税法というものはどういうものであるかというと、庫出しの前にすでに略奪徴税式な税金をかけておる、奢侈税にも匹敵するような高率なものであります。二十四年に改正されましたが、非常に高い税が課せられております。経済の血液ともいうべき輸送機関としては、これが軽減を要求するのはあたりまえであろうと思います。しかし全国のガソリン利用者の九〇%を占めるところの道路利用者会議は、皆様のお手元にある陳情文にもあるように、ガソリン税は確かに高い、略奪徴税式であるから、全廃もしくは軽減を要求する。しかし現在の日本道路網を見るときには、このような状況で行つたならば、三百年もかかるじやないか。その間における輸送機関の消粍ということを考えたならば、現在ガソリン税を納めるごとにはかえられないような国損があるのだ。だから現在ガソリン税法をかえる意思がない、また廃止する意思がないような場合には、われわれも五箇年か十箇年、日本の大きな目的であるところの道路整備されるならば、減税運動もやめよう、全廃運動もやめよう、そのかわりにガソリン税というものは、道路整備のための目的税にしてくれという決議を行つておるわけであります。その結論だけを申し上げますと、運輸交通費の過重負担に悩むわれらは、当然のこととしてガソリン税の全面撤廃をはつきりと要請します。そしてあらためてここに道路目的税としてガソリン税を納めたいと存じます。道路改良によつて日本経済を真の軌道に乗せる手はほかにないと信ずるからであります。これが全国的な運動になつておるわけであります。なおこの道路利用者以外のガソリンを使う方に、ゴム工業等もあるのでありますが、これらの代表者の意見を徴しましたときも、国家目的に沿う道路整備がなされるならば、われわれはあえて反対をしないという熱烈なる意見がありましたので、この法案提案したのでありまして、道路費の大幅なる増額だけによつてこの法案提出されたものでないことを御銘記願いたいと思います。
  26. 久野忠治

    久野委員長 春日一幸君。
  27. 春日一幸

    ○春日委員 私はこの提案理由説明の中に道路が非常に荒廃しておる、それから予算が少い、これでは数十年を要してもなお修復ができないから、従つて目的税を創設してその財源措置を講ずる、これが提案理由になつておるようであります。そうすると、今日国内におきましては、急速に整備拡充をしなければならない問題が山積をしております。たとえば社会保障の問題にいたしましても、ただいま田中さんは、道路費に対する予算計上が、わが国はインドに次ぐ非常に低額だと言われておりますが、一般的に社会保障費につきましても、イギリスの三七%に比較してわが国は一四%、こういうふうなことで、これまた非常に低率にあります。しかして今日全国には四十万の失業者があり、母子家庭はそのままに放任されておる。勤労者住宅、庶民住宅も、財源難のため、これまた全然放置等閑に付されておる。こういうふうな問題も、道路整備拡充と同じように急速にこれを拡充して行かなければならぬのであるが、そういうような必要を満たして行くことのために、今回道路のためのこういう目的税が創設されるならば、社会保障のために、あるいは住宅解消のために、あるいま失業者に職場を与えることのために、産業施策として逐次目的税が創設されて、その財源措置が講じられて行くというようなことが考えられるのであつて、すなわち国民は法の前に平等であるという立場から、こういう前例が開かれるならば、やがて次々とそういうような要請が行われて来ても、私はそれを一視同仁に措置をして行かなければならぬと思う。従つて、今後こういうようなぐあいに、法律によつて財源措置が逐次拘束されて行くというようなことは、非常に重大な問題であると思うのであります。ガソリン税目的税としてここに新しく前例を開かれるのでありますが、今後社会保障あるいは住宅問題その他いろいろな問題について、こういう要求が起つて来たときには、当局としてこの前例を踏襲する御意思があるかどうか、まずこの一点を伺いたいと思います。
  28. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 目的税を創設することについての件につきましては、先ほど内藤委員からの御質問に対しましてお答えした通りでございまして、われわれとしましては、目的税については、それは適当でないという意見を持つております。従いまして、今後そういうふうな問題が起きましたときにおきましても、われわれとしてはそれに対して賛成はできないと考えております。
  29. 石原周夫

    石原政府委員 ただいま春日委員がお話になりましたように、また先ほど申し上げましたように、財政に対しまする各方面の要望が非常に強いものでありますから、とりあえず二十九年度の問題としても、先ほどのような一つの圧力が加わる。従いまして予算編成の事務当局の考え方からいたしますれば、こういうような予算の編成に弾力がそれだけ減少するというような行き方は、なかなかむずかしいということは、前国会以来向井大蔵大臣あるいはわれわれとしても申しおることであります。
  30. 春日一幸

    ○春日委員 私は大体徴税制度の大家とも称すべきものでありますが、そもそも普通税を便宜な、思いつきで目的税に転換すべき性質のものじやないと思う。少くとも目的税というものは、その必要が生じた場合においては、新しく税科目を設けて、その財源の新規調達をはかるのが目的税の使命、性格であろうと思うのであります。こういうように、すでに予定されておるところの一般財源としての普通税収入が、逐次目的税として分割されて行くということになつて来ますと、これは税体系が根本的に乱れて来る。次々とそういうような主張と陳情とが行われて来るならば、まつた一般税制度というものは、根本的に私は混乱して来ると思う。それだけに、私どもはこの機会にこれを慎重に取扱つて行かなければならぬと思うのであります。  そこで、私はさらにお伺いをしたいことは、この法律が通ると、大体道路改修費が本年度が来年度において基準的に踏襲されるとして、五十億程度ふえるにとどまると思うのであります。本年度が百四十一億であるのだが、これでは足りない。ところがガソリン税というものがこれに振りかえられて来るとすると、これが百八十億あるいは百九十億。そうすると本年度財源にわずか五十億か六十億ふえるだけであります。そうだといたしますならば、わずか五十億か六十億の道路改修費を増額することのために、税制体系に対して根本的な疑義をはさましめるような、こういう大きな法律いじりをなすべきではないと私は考えるのでありますが、それに対して提案者はいかようにお考えになつておりますか。
  31. 田中角榮

    田中(角)委員 お答えいたします。春日君が先ほど言われました通り目的税はある目的のために徴収するのが目的税であります。その意味においては、本法律案目的税ではありません。ありませんが、率直に個人的な感覚で申し上げると、ある一定の税収入額を拘束するのではないかというような懸念はありますが、私はそれさえも拘束しないという考えを持つております。これはガソリン税収入額と同相当額以上の金額一般財政資金の中からもらわなければならない。いわゆる第二條の五箇年計画を受けておる財政措置の一端として、ガソリン税収入額と同相当額をもらわなければならないと規定しただけであつて、私は目的税的な、いわゆる理論的に言つた目的税では全然ないということを考えております。(「ノーノー」)しかももう一つの問題が、いわゆる道路整備五箇年計画をつくるために……。     〔発言する者あり〕
  32. 久野忠治

    久野委員長 御静粛に願います。
  33. 田中角榮

    田中(角)委員 五箇年間に限り、税収入額と同相当額以上のものをもらわなければならない。しかもこの目的税というのは、春日さんに言うのは釈迦に説法だと思うのでありますが、(「その通り」)いわゆる憲法にも財政関係法規中にも、全然目的税というものには触れておりません。私は財政の運用上、目的税の可否の論ぜられることは多いのでありますが、いわゆる憲法または法律上には全然規定してないのでありまして、これはお互いが十分研究し、そのようなことが予算をつくる意味においていいのではないかという場合には、これは当然考えていい。また先進国では道路整備のためには、全部これよりもつとひどい目的税をしておるのであります。目的税としておらない国が、道路が大体においてまずいのであります。今まで目的税考えない日本が、十五万キロの幹線を持ちながらほとんど改修されておらない、世界で最も道路の悪い状況にありますので、私はこういう種の法律をつくつたのであります。  もう一つは、先ほど坊議員にも申し上げました通りガソリン税を納めている業者団体が、このままで行つたならば廃止運動をやるであろう。奢侈税と同じような高い税率なものでありますから、禁止税的なこのガソリン税は廃止すべきだといつて、廃止軽減状況に立ち至りつつある。こういうものを生かしておくのですから、その意味において普通の目的税というようなものは全然別個な目的と立場から、この法律案提案されたということをひとつ御了解願えれば幸甚だと考えます。
  34. 春日一幸

    ○春日委員 私は提案者と根本的にその考え方が違つておるのであります。提案者は、道路さえよくなれば、ほかのことはほかつておいてもいい、こういうふうな考え方で、こういう前例のない法律を出したのではないかと思うのでありますが、私どもは少くともここに百八十億の厖大財源がありとすれば、いかに多くの未解決の諸問題を解決ができるかということに思いをいたして判断いたしますときに、少くとも未亡人の母子家庭が、さびしい状態、貧しい状態、みじめな状態に置かれている。なお全国の四十万近い自由労働者が、雨の日は働くことができないで、月の収入五千円以下の生活の中で耐えている、こういうような問題を逐時解決して行かなければならぬ。特に住宅問題なんかも、ずいぶん陳情がしばしば行われているけれども、きわめて零細な予算しか組まれておりません。従つて住宅難の問題や社会保障の問題や、あるいはこの道路の問題や、こういうことを並行的に同時的に解決して行かなければならぬ。従つて、少くとも一般財源一つ法律をもつて拘束して行くということは、現在わが日本が置かれているこの社会状態、この現状に即して判断いたしますとき、これは当を得たものでないと思います。そこで私どもは、こういう立法上大きな問題を投げるような立法の措置をしないで、わずか六十億の予算増額を必要とすることであるならば、それはあなた方の政治力と、しかもその必要度を勘案して、他の方面から増額を要求さるべきであつて、こういうような法律によつて予算の編成権や、あるいはそういう全般的な問題に対して大きな拘束力を与えて行くべきでない、私はこういうように考えますが、これに対して渡辺さんの御意見を伺いたい。
  35. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 私は基本的には今春日さんのおつしやつた意見に賛成でございますが、どうも今の予算編成の問題と結びついているようですから、これは主計局から答弁した方がいいと思います。
  36. 石原周夫

    石原政府委員 大体先ほど申し上げたことで尽きるわけでありますが、突き詰めて申しますならば、予算の弾力性というのは今お話のようなことでありまして、たとえば、この道路に非常に関係の近い公共事業という点について申しましても、道路以外に非常に強い御要望があるわけでありますが、そこら辺をあわせて考えなければならないということについては、大体春日委員の仰せの通りであります。
  37. 田中角榮

    田中(角)委員 これは前回参議院においても相当問題になつたことでありますので、もう一言だけ申しておきますと、この道路整備の資金にガソリン税収入を入れるという、こういうものが出たら全部目的税になるじやないか。しかも参議院におきましては社会見の左派の方から、こういう法律案が出る場合、わが党は勤労者住宅建設のために、厚生年金の金を全部入れるというような御提案もありましたが、私たち自由党といたしましては、この法律の必要性を認めまして、自由党においては、この種以外の、これから幾らでも出そうなところのものは慎重に寒議をしよう、こういう前提のもとにこの法律案に賛成をいたしておるわけであります。これからどんどんと野党の皆様から、多数でありますからお出しになれば別でありますが。それ以外の税体系をくずすような目的税が出るとは考えません。  もう一つ、社会保障の問題、住宅の問題が出たが、これは御説ごもつともであります。しかし私は自分意見を端的に申し上げますと、予算編成状況を見ておりましても、現在審議中の二十八年度予算案を見ても、特定の人たちに与えるところの国家予算のうち、特に住宅などに対しては相当増額されております。これは住宅に対しては、ある時期においては特定の人に対して、こういう一般の資金を出すことは憲法違反の疑いがあるんじやないかというような議論をされた時期もあつたのでありますが、いわゆる社会的な状況から考えて、住宅施設に対する投資は大幅に増額され、二百億を上まわつておるわけであります。にもかかわらず、とにかく敗戦日本経済の再建のためには、まつたく動脈であるところの道路が、八千万国民が全部利用するということが前提になつておるだけに、比較的に軽視されておるというのは、私が先ほど申し上げた通り戦前においてさえも四%近い額が計上せられておりましたのに、大幅に増額されたと言いながら、二十八年度において百四十一億であります。あまりにも低過ぎるわけであります。だから私は、三百億でも、五百億でも計上してもらえるならば、このような法律案提案する必要は亳末もなかつたということを申し上げておきたいのであります。
  38. 久野忠治

    久野委員長 井上良二君。
  39. 井上良二

    井上委員 目的税をつくるということについての政治的な意見は、一応今まで述べられました。問題は、具体的に伺いたいのですが、提案者は、本法制定に基いて現在予算に組まれております、たとえば本年度百四十一億組まれておりますが、この上にさらに揮発油税に相当する額をプラスするつもりであるのか、それとも揮発油税相当の道路整備費さえ予算に組まれるならば、それで五箇年間に完全に補修、改修ができるということになるか、ここが問題です。それをどうお考えになつておりますか。
  40. 田中角榮

    田中(角)委員 お答えいたします。先ほども申し上げました通り重要都道府県道を含めまして十四万キロを一応日本経済再建のためによろしいという程度までやるには七千五百億程度の費用の計上を要求しておるわけでありますから、現任の五箇年計画をやつても、この計画が完成するものではありません。この法律案によりまして、少くともガソリン税収入額と同相当額以上を五箇年計画の費用に盛らなければならない。ここに幅を持たせたのでありまして、私はこの種の法律案提案する場合には、少くとも戦前において計上しておつた通り、総予算額の四%程度のものは計上しなければならない、その一部の財源としてガソリン税収入額を充てなければならないと書きたかつたのでありますが、そこまで行きますと、審議権及び編成権を拘束するといわれるおそれが多分にありますので、大蔵省当局及び政府当局の良識にまつて、このような法律提案しなければならなかつたということは、もう私が申さなくても、政府当局はよくわかつておるのであるし、歴代内閣は、吉田内閣を問わず、道路整備というものは常に施政方針の中にうたつておるわけであります。にもかかわらず、このような状態でありましたから、私は少くとも五箇年計画を推進して行くためにガソリン税収入にプラス財政の許す範囲内においてできるだけ多額の道路予算が盛らるべきだと考えておるわけであります。
  41. 井上良二

    井上委員 あなたのおつしやる、二十九年以後の五箇年計画を確立すそということは、その五箇年計画実施するための道路改修、鋪装の費用は何ぼ見積つておられるのですか。それの年度割は何ぼになつておるか、それに対するガソリン税の割合はどのくらいになるか、それを具体的に示してもらいたい。
  42. 田中角榮

    田中(角)委員 新しい数字ができておりませんので、前の数字で申し上げますと、大体二千七、八百億ないし三千億の予算額を計上いたしておりまして、五箇年間にガソリン税収入額でもつて税収入額相当額でまかなえる財源というものは、千三百億ないし千五百億と押えているわけであります。
  43. 井上良二

    井上委員 五箇年間にどれくらいの経費がいるか、またそれに対してガソリン税に相当する税額というのは、五箇年間で大体千億足らずになります。千億なかなかむずかしいんじやないかと思うのです、そうしますと、五箇年計画で一応の道路整備できるとうことであるから、ガソリン税に相当する税額をひとつ道路整備にまわしてもらいたい、こういう話じやないかと思うのですが、そうじやないのですか。
  44. 田中角榮

    田中(角)委員 日本における重要な道路を全部改修して列国並にするには、一説には三兆億、四兆億ともいわれておりますし、全部道路利用者がやつておりますのは、二兆億でありますから、この程度の五箇年間でもつて幹線が鋪装されることはありません。先ほども繰返し申し上げておりますように、その一部分の幹線を完全に行うだけでも七千五百億の巨費を要するのであります。その一部の五箇年間の総経費を計上しても三千億というのでありますから、ガソリン私収入相当額でもつて見積られるものは、事務当局の案によりますと、千二百八十億程度しか見れないのでありますから、ごくその一部分ということになるわけであります。
  45. 井上良二

    井上委員 次に伺いますが、大蔵当局では、もしこういうことで法案が成立をいたしまして、明年度予算で現在の道路整備費に必要な予算の上に、さらに揮発油税に相当する整備費をプラスして計上をするつもりですか。それとも今あなたが御説明になりましたように、約五十億くらいプラスするようなことになりますか、その点どうですか。
  46. 石原周夫

    石原政府委員 二十九年度予算は、まだ編成の段階にもかかつておりませんので、何とも申し上げられないのでありますが、先ほど申し上げましたことは、この法律案は相当はつきりした表現を持つておりまして、解釈のゆとりが非常に少いのであります。先ほど申し上げましたような本年度ガソリン税相当額が引続き来年度同額入る予定——年度ガソリン税収入がどうなるかということは今日推定できませんので、かりに本年度同額のガソリン税額を計上することになりますれば、四十九億四千四百万円、約五十億の金がそこではじかれて参ります。しかもこの法律の書き方は、先ほど申しましたような言いまわしでありますので、それだけ増額計上することが、編成上の拘束と申しますか、義務と申しますか、そういうことに相なるということを申し上げておきます。
  47. 井上良二

    井上委員  それで大体わかりました。大蔵当局としては、現在予算に百四、五十億道路整備費として組まれているわけですが、この法案がかりに成立をしても、ガソリン税相当額以上はとても道路整備費にはまわらぬじやないかという一つ考え方があるようにうかがわれるのです。そうなつて来ると、この法案はまつたく意義がなくなつて来るのですね。私の考え方から提案者提案の気持をそんたくしますと、百四十一億にプラスして、道路整備が非常に緊急を要するから、ガソリン税に相当するものだけは新しく予算化せよ、こういうことでないとこの法案は生きて来ないのです。そこに大蔵当局予算編成の技術的な、また国の経済全体の上から考える場合と建設委員会考えました考え方との上に、多少食い違いがあるのです。おそらく提案者は、現在の予算の上にさらに来年はこれだけよけい予算に組まさなければ、五箇年間に急速にこの整備はできないという気持じやないかと思いますが、そうじやないのですか。
  48. 田中角榮

    田中(角)委員 法律立案の当初はその通りであります。一年間に五百億以上も必要だと考えておつたわけでありますから、現在の百四十一億程度ガソリン税収入相当額を当然プラスをしていただいても三百億でありますから、戦前日本予算の中の道路費よりもまだ少い、こういう考えであつたのでありますが、そうすると予算編成権及び審議権を拘束するという相当大きな大蔵当局及び参議院大蔵予算委員等の御意見もありましたので、そういう意見を十分入れまして折れたわけであります。そうして最も少いところのガソリン税収入額同相当額以上のものを盛り込まなければならないという、いわゆる拘束しない、そうして大蔵省に大幅の裁量権を持たしたわけであります。しかも二十六年度予算においては八十六億余万円でありましたものが、大蔵当局財政余裕があつたのでありましようし、しかも非常に無理をされたのではあろうと思いますが、ガソリン税収入も漸増いたしておりますし、道路整備の急を痛感されて、約倍額の百四十一億にしてあるわけでありますから、来年度倍額にして二百八十億も計上していただくということになるならば、この法律違反は起さないでも済むということでありますので、いわゆる最低を考えますと、予算編成にあたつてガソリン税収入額と同相当額を下まわる額を計上してはならないという拘束力を持つております。それ以上であるならばこれは大蔵省の良識にまつ以外にはない、こういうふうに譲つたわけでありますから御了承願います。
  49. 井上良二

    井上委員 これは非常に大事なところだから、私はしつこく質問しておくのですが、問題はあなた方の建設委員会としての負わされております道路整備について、非常な熱意の上からこの法案が出て来たというその努力に対しましては、われわれも大いに敬意を表するのでありますが、あなたがおつしやるように、これはあまり強くやると、予算審議権なり編成権というか、行政権までタツチするということになるからというお話ですが、それと同時にあなたの方はこの法案提出することによつてわが国税制の根本的な体系をくずすことになつておるということにお気づきにならなければいかぬのです。そこをあなた方は全然考えずにやられたのでは、たいへんです。同時にまた、今のあなたのような御説明でありますならば、あえてこの法案成立を必要と認めません。といいますのは、あなたは本年の政府の財政経済演説をお聞きになつたでありましようが、あの財政経済演説の中には、政府は国際収支の上でも相当積極的な手を打つて、ぜいたく品はできるだけとめて、国民にできるだけ質素倹約を要求している。そうなつて来ますと、自動車の輸入に対しましても、これは相当大きな批判が起つて来るのであります。われわれもまたこの自動車の輸入関税に対しては、もつと大幅な税をかけようと考えておる。そうなりますと、現実にガソリンの使用というものは、そう多くふえるという見通しが立てられないのです。そうなつて参りますと、ガソリン税がかりに現在よりも下まわつた場合は、せつかく道路整備に対して一般予算をふやして来ておるよりも下まわるということになつたときにどうなりましよう。そうなりますと、せつかくのこの法案の成立の意義が失われてしまうのです。それよりも、私が申しますように、一応予算にプラスして、ガソリン税をこつちによこせというなら、この法案は生きるのです。ところがそれをやろうとする場合は、大蔵省はなかなかうんと言わぬ。予算の編成についての大きな疑義が生ずる。こうなつてこの法案はまつたく魂の入らぬ法案になつてしまうのだが、そんな無理をしないでも、もう少し他の方法で予算の獲得をするようにされた方がいいではないかと私は思うのですが……。
  50. 田中角榮

    田中(角)委員 第一の問題であるところの税制の体系をくずすのではないかという意見に対しては、私は反対意見を持つております。税制はくずさないということは、先ほどから申し上げている通りであります。  第二の問題でありますが、いわゆるガソリン税収入がこれから減るということは、見解の相違であります。私は減らないということを考えておるわけであります。減らないというよりも、もうすでに半年前に廃案になりました二十八年度予算案計上した大蔵省のガソリン税収入予想額が百六十億でありました。それがわずに半年、選挙を一回やつて来た現在百八十億に値上りをしております。しかも業者の推定によりますと、本年度は二百十万リットルということになりますから、二百十億を上まわると思つております。私はこの程度の問題と世界の交通状況考えた場合に、もうすでに鉄道にたよつておる時期ではないと思う。道路整備の急が叫ばれておりますのは、年間十五万台ずつもふえているのであります。戦前の三倍半であります。そういう状況から考えまして、一部の会社の輸入を制限するような場合があつても、ガソリン税税率を現在のままですえ置く場合には、自然にふえて行くというよりも、相当大幅にふえて行くだろうということが、私としては前提に考えております。  もう一つは、意地の悪い考え方でありますが、この法律ができなければ、大蔵省は財政余裕金があれば幾らでも道路計上しようと思うのに、この法律があるから、もしも税収入が減つた場合には、減つた額だけ計上すればいいではないか、こういう場合はどうするかというのでありますが、これは先ほどから申し上げておりますように、大蔵省当局の良識にまつだけであります。少くとも四%以上のものを計上しなければならぬのにもかかわらず、コンマ何パーセントというような計上をしておること自体がおかしいと私は思う。そういうふうな基本的な考えに立つているわけでありまして、私たちがこの法案提案の当初に考えたことを申し上げた通り、プラス公共事業費でなければならないということを言つたのでありますが、そうすれば予算編成権を拘束するおそれがあるから、ひとまずこの程度法律案を出しておいて、大蔵省に大きな幅を持たせておいて、税制も乱さず、編成権も拘束せず、そうしてその実をあげよう、最後には政府の良識にまとうというのでありますが、今井上さんが言われた通り、これプラス公共事業費に直した方がいいのではないかというような考えが、もし大蔵委員諸君に御賛同を願えるならば、そのように修正することは一向さしつかえない、こう考えております。
  51. 井上良二

    井上委員 もう一点、あなたの議論は、ガソリン税というものが絶対不動の上に立つて議論です。今あなたもお話のように、単なる自動車を持つている業者の陳情によつてガソリン税によつて道路整備をしてもらつたら私は税金を下げましよう、こういうお話らしいのです。ところがガソリン税の値下げをしようという運動が非常に強い。これは単に自動車所有者の運動だけにとどまらず、この自動車を利用する乗客なり、あるいは荷主なりというものが、貨物運賃の高いところから、これが値下げを要求しておる面が現実にあり得るのです。だから、そういうあしきにひとしい税金はできるだけやめなければならぬ。またわが国産業全体の経済の上からも、ガソリン税を非常に高くしておいて、重油その他を安くするというわけには参りませんから、当然その均衡上安くせなければならないことになるのです。そういう不確実な財源に頼るということよりも、あなたの方で道路整備がほんとうに今急を要するというなら、もつと確実な財源を他に求むべきではないか。それは、たとえば日米安全保障條約に基く防衛分担金というのがある。このいわゆる防衛分担金というものは相当大きな金であり、アメリカ軍がいかに日本の国土を荒しておるかということはよく御存じの通り。この分担金から二百億やそこらもらうようにして道路整備にやるようにすれば、国の負担もその面で非常に軽くなる。これは現実に軍用道路の面からいろいろやろうとしているに違いないのです。そういう点からも、そういうところにもつと安易に財源をとれるところが幾らもあるのに、その方は一向目をつけずに、大衆の足にかかる税金に目をつけて、これを幾年も持つて行こうというような考え方は、やめた方がいいじやないか。 同時に、この際私は特に伺いたいが、国道その他軍用幹線を直そうというのですが、今一番困つておりますのは都市の道路でないかと思います。いわゆる都市道路が非常に狭く、非常に悪い。これは各当該市町村にその経営がほとんど委託されている関係がありまして、当該市町村の財源が非常に少い関係から、これの整備が十分できないというところに大きな原因があろうと思います。この都市の道路網の整備及び改修という問題に対して一体どうお考えになつておるか、これらの点についても伺いたい。  それから、私はもつと確実な財源——われわれ何も道路整備それ自身に反対しているのでなしに、あなた方がそういうことに非常に熱意を入れられることにはわれわれも大いに共鳴し、協力しなければならないが、これが非常に不確定であり、かつこれが成立しても、あなた方はそれに熱意を入れられるだけの財源の裏づけができないじやないかというところにわれわれは非常な疑問があり、そういうことをやつて、せつかくの税制体系をこわすということは——あなたはこわさないと言うが、これは現実にこわれるのですよ。そういう見地から、他にもつと確実な財源を、もう一ぺん大蔵委員会とでも相談をして、検討してやることがいいじやないかとわれわれは思います。
  52. 田中角榮

    田中(角)委員 非常に御親切な御意見を拝聴いたしまして、感激いたしておるわけであります。私も自動車ガソリン税収入というものが不確定なものであるということは、一応考えられるわけでありますが、現在の大蔵省当局との折衝の状況から考えますと、大蔵省当局は、現行揮発油税法を廃止する意見も、改正する意思も、減税をする意思もないようであります。私はそういう意味から考えまして、国会でもつて廃止せられれば、それは何をか言わんやでありますが、現在の状況においては、まずこの種の法律案をつくることは、道路整備のためには第一段の措置としては必要だ。というのは、大正八年制定以来の道路法を、ようやく皆様のお力によつて改正しまして、一、二級国道の指定も終り、重要都道府県道の指定も今しつつあるのであります。これが整備のために、憲法違反の疑いもあるのではないかというような状況さえあつたのでありますが、皆様の非常立法というような道路愛護の精神の結実でありましよう、有料道路法が制定されて、着々その実をあげておるのであります。その第二の道路整備実施手段としてこれを考えたわけでありまして、第三に、皆様からお知恵が拝借できるならば、道路整備のために特段の立法措置を講じたい、こういうことを考えておるわけであります。しかもこの法律提案しましたおもな目的は、先ほどから繰返して申し上げております通り、禁止税的な、いわゆる奢侈税に匹敵するような高率課税を課しておりますところのこのガソリン税に対して、利用者から相当の批判がありますので、何とかしなければならない。しかし、その利用者は、道路整備されるならば、甘んじて五箇年や十箇年、高い税金も納めましようというこの熱意を考えますと、このような措置をとつてやることは、議員としては当然の職務ではないか、まさに一石三鳥ではないか、こういう考え方からこの法律案を立案したわけであります。特に防衛分担金等から二百億、三百億の支出を要求すればいいというお話でありますが、これは私としても異論のないところでありますが、いかにせん二十人、三十人ではどうにもならないのでありまして、これは衆参両院の各党のお力を得まして、何とかさような措置を講じていただけば幸甚と考えるのであります。
  53. 井上良二

    井上委員 この際大蔵主計局に伺いますが、かつて競馬法の一部改定の法律が出まして、競馬の馬券の売上げ利益の中から政府に納めた中で、その三分の一を畜産奨励のために使わねばならぬという規定がしてある。これに相当する額を使わねばならぬということがはつきりしておつて、あいまいなものじやない。しかるに主計局は、それに相当する金額というのを一度も畜産奨励のために予算化をされていない。だから問題は、こういう法案が成立いたしまして実施されたときに、はたしてこれに相当する金額予算的に措置されるやいなや。その法律法律である、予算編成は編成だということではいけない。だから、国会でかつて直したらいいというなら御随意でありますが、法律建前に対して、一体あなた方はどういう考え方を持つているか。法律に規定してあることを実施しないということになれば、あなた方は一体何の仕事をしているのですか。あなた方は法律に基く行政をやるのであつて法律に規定してあることが実施されないということになりましたならば、ここでこういう法案審議して成立させても、これに相当する金額道路整備費計上されないということになつたら何の役にも立ちません。これはすでに前例があるのですから、この際私は確かめておきたいと思う。
  54. 石原周夫

    石原政府委員 ただいま井上委員お尋ねの、競馬の益金の一般会計繰入額と、それから畜産振興に要する経費の関係であります。これは井上委員のお話でございますが、今手元に正確な数字を持つておりませんので、後ほど資料で申し上げますが、最近は畜産振興関係の金が相当ふえておりまして、競馬の益金というのは、最近におきましては多少上りぎみでありますが、一時御承知のように相当下りました。二十八年度は、おつしやいますように、法律上そういう拘束がございますので、私どもとしましては、三分の一の額は幾らである、畜産振興の額は幾らであるという計算はもちろんいたしております。明確に記憶はございませんが、三分の一の額よりも一億かそこら上まわつた金額であると思つております。
  55. 久野忠治

  56. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 提案者田中君 の意向は、おそらく現在の道路について現状のままを見たならば、いかに道路が悪いかという点にあろうと思うが、それはわれわれも同じ意見であります。そこで井上さんからいろいろ意見がございましたが、われわれ大蔵委員といたしましては、前回国会においても、これは問題になりましたが、りくつから言うと、これはやはり税の体系がくずれるという意味で重大な問題でありますけれども、問題は、大蔵省が道路について非常に理解がないということで、これは天下周知の事実なんです。そういう点で今までいろいろ陳情したりしました。私は愛知県でありますが、現に尾張の方を見ましても、のこぎりのような道であります。東京の役人は、東京におつて自動車にお乗りになつているから、そういう苦労は知らないかもしれませんが、非常に悪い。そこで問題は、いろいろ突き詰めますと、結局この法律が出ても、先ほど井上委員が言いましたように、現在の状況では五、六十億の予算の問題になるのでありますが、一体今まで建設省から大蔵省へどのくらいの道路の費用を要求されておつたか。その点について、要求と向うからもらう予算との間にどのぐらいの開きがあるかということを事務次官からお聞きしたい。
  57. 稲浦鹿藏

    稲浦説明員 二十八年度の要求額は四百八十億でございます。それに対して百四十一億の査定でございます。もちろんこの百四十一億も、二十七年度と比べればふえております。
  58. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 今この法律が出て来ることについては、われわれとしてもやはり同じような立場でありますので、こういう法律が出て来るというところには、出て来るだけの理由があると思うのであります。そういう点で、現在これは至急審議をしてくれというので、こういう合同委員会ができたわけでありますが、主計局では一体こういうものについて、どのくらいの熱意があるか。これはほんとうは大蔵大臣か主計局長に聞きたいのでありますが、きようは予算委員会がある関係上出て来られません。なぜ道路のことについて、もう少し熱意がないか。ほかの問題についても、先ほどから春日君が言われましたように、未亡人の問題とか、住宅の問題とかいろいろありますけれども、国民の生活に密接な関係がある道路が、戦争中十年も捨ててあつた関係上皆が困つておることは、こういう法案が出て来るだけに、われわれは考えなければならぬ問題でありますが、その点についての大蔵省の編成方針について御意見を承りたい。
  59. 石原周夫

    石原政府委員 私から今道路予算に関する編成方針を申し上げることが適当かどうか存じません、編成方針というようなものを必ずしも申し上げることにはならないかと思いますが、事務当局として持つております感じから申しますと、先ほど来お話のございますように、公共事業というもののうちにおきましてのかつて道路のウエートと今日のウエートとは、いささか違つてつているかと思います。それは御承知のように災害の費用は、戦前に比べまして著しく増加をしておる。最近は、ことに本年度予算でごらんになりますように、総合開発のダムを中心にいたしまして、河川の計上額が非常にふえておる。それから治山ということが非常にむずかしい問題でございまして、治山砂防という系統が非常にふえておる。先ほどもお話のありましたような、かつてはほとんど予算の中に問題にならない金額でありました住宅が、非常に大きな金額をもつて出ている。従つて公共事業費全体は、今正確に記憶しておりませんが、九、十年のベースにおきまして、実質において相当ふえております。道路費につきましては、御承知のように救農土木事業というものが昭和六、七年の恐慌時におきまして相当ふえておりますので、この救農土木事業が行われました時期を基準に見ますと、先ほどから提案者田中委員がお話のように、あるいは割合が下るかもしれません。しかし救農土木事業というものができます前の金額をつかまえて物価指数を見ますと、私今ここに数字を持つておりませんので、記憶で申し上げるのでありますが、道路費のふえ方は、二十八年度の数字におきましては、むしろ戦前の数字を上まわつておるかと思います。それは戦前財政の中の切り盛りの点がございますが、今日いろいろ重要な財政需要がございますから、どういうふうに見て行くかという点につきまして、必ずしも一様に申し上げにくいのでありますが、今申し上げたような点から見まして、私どもは戦後におきまして、戦前と違う面におきまする大きな要請にこたえながら、しかも二十八年度計上いたしました。これは先ほど来お話のように、昨年に比べまして大体七、八割の増加になつております。この程度金額でもつていたしますれば、戦前の実質額に比べまして、決して下まわつていないのじやないかと思います。今後どうするかということは、全体の財源の問題あるいはその中における振合いの問題がありますので、一ぺんに申し上げにくいのでありますが、今盛つております全体の公共事業あるいは公共事業の中におきまするところの内訳の見方から申しますと、二十八年度相当飛躍的な増加をいたしました関係上、バランスというものは相当のところに行つておりはせぬかという感じを持つております。
  60. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 いろいろお話を聞きますと、無理な問題がそこにありますが、われわれ大蔵委員としては、税金の問題について目的税にされるということは、税の体系をくずすという立場から、どうしても考えなければならぬ問題でありますが、世の中はりくつばかりで行きません、現段階がこういうような悲惨な道路状況になつておりますので、われわれはそういう点では、やはりそこにいろいろ考えがあるわけでありますが、先ほど田中委員から言われましたように、道路整備費が相当かかるというときに——たちは建設委員でないから、詳しいことは知りませんが、弾丸道路ができるということがいろいろ新聞に出ております。われわれといたしましては、道路整備さえ十分に行かないのに、どういう考えか知らぬけれども、弾丸道路をつくるというようなそういう考え方は、一体どういうところに原因があるかということについて、こういう機会に道路局長あるいは事務次官からその構想あるいはその考え方について御意見を承りたいと思います。
  61. 富樫凱一

    富樫政府委員 東京・神戸間の高速道路は現在調査中でございます、本年度と明年度で調査が完了する予定になつております。この東京・神戸間の高速道路は、現在の東海道が非常な飽和状態に達しておりますので、近い将来に必要になるであろうということを予想して調査しておるわけでありますが、これをどういうふうに実施するかについては、まだ詰論を得ておりません。しかし公共事業費であるとか、またこの法案が通つたといたしましても、この法案による金でやることにはならないので、他に財源を求めることになろうかと思います。
  62. 久野忠治

    久野委員長 黒金泰美君。
  63. 黒金泰美

    ○黒金委員 簡単に二点だけお尋ね申し上げます。この法案がかりに通りました際に、大蔵御当局は、税務行政上この税を目的税としてごらんになりますかどうか。それから、こういうことは非常に無理かもしれませんが、財政学会と申しますか、そういう方面の学者の方が、これを目的税としてごらんになつておるかどうか、その御見解を一応承りたいと思います。
  64. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 お答えいたします。先ほど田中先生提案の御説明を伺いましても、一応これは目的税にあらずというお話でございまして、従いまして、先ほど内藤委員の御質問に対しましても、揮発油税を将来どういうふうに持つて行くか。たとえば税率を上げるとか下げるとか、あるいはやめるとかということにつきましては、この法案関係なしに一応検討してよろしい、そういうふうな趣旨法案提案されておるのだということのお話でございますから、厳格な意味においての目的税ということには考えなくていいんじやないかと思つております。ただしかし、それはそれとして、やはり片方にこういう法案が出ますと、どうしても実質の問題としましては、道路費というものと揮発油税というものを、そう無関係考えるわけにも行かぬ。片方では税負担というものを一面に考えると同時に、片方では道路費というものを考える、その両方をにらみ合せた上で結論を出さなければならぬ、こういう意味におきまして、全然この法案がなかつた場合とは違つた角度の問題をやはり一応考慮の材料に入れて来なければならぬじやないだろうか。そういう意味から考えますと、ある程度目的税という性格のものでなくても、目的税的な色彩がそこに一応入つて来るということは、これは言い得るのじやないかと思います。先ほどもいろいろ御意見がございましたように、この法案によりまして税体系がこわれないと田中先生もおつしやつておるのですから、われわれとしては、揮発油税というものを将来どう持つて行くかということにつきましては、やはり租税全体の立場からこれを考えて行く、こういう立場をとつて行くべきじやないかと思つております。
  65. 黒金泰美

    ○黒金委員 今の点、どうもあまりはつきりいたさないのですが、揮発油税として例外があるのは、今後、こういう法律が成立しておりますために、その税の改廃、税率の減免その他につきまして、非常に拘束を受けるということになりますれば、これは問題になりますけれども、私は、ここに書いてありますことは、少くとも形式的に見れば、必ずしも揮発油税揮発油税法だけで考えて行くべきじやないか、さように考えられるのでありますけれども、その点の拘束はどの程度まで受けるものであるかどうか、これに対する政府の御見解を承りたい。
  66. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 私も今の黒金委員の御説のように、揮発油税のあり方の問題については、税制全般の問題としまして、それだけとして考えて行つていい問題じやないかと思つております。従いまして、道路費の問題が一応やはり頭の中に入つて来るじやないかということを申したのは、いささか蛇足かもしれませんが、しかし実際問題としては、多少そういうことがやはり入つて来るのじやないかということを憂えているわけであります。従いまして、こういうふうな拘束が強くなりますと、やはり税制として問題が大きくなつて来るのじやないか。ただ先ほど来の御説明によりますと、揮発油税をやめるか残すか、あるいは税率にしましても、上げるか上げないか、これはこの法律と離れて検討して行くといつたようなつもりで御提案ができているというのですから、その意味からしますと、目的税であるとかないとかいう議論は別として、残る問題は、ただそれが予算の編成にどういう影響を持つかという点になつて来るのじやないか、かように考えております。
  67. 黒金泰美

    ○黒金委員 今の点で、伺つて参りますと、税の関係で、これは物品税なりいろいろなものとの関連で考えてみると、かりに非常に極端なことを申しますれば、来年揮発油税がなくなつてしまう、こういうことも考えられる。そういたしますと、今度は逆に言えば、この法律案ははなはだ基礎のあいまいなもので、こんな法律案をつくつて意味ないじやないかということすら言える。なおこの問題は、物品税ということにあまりこだわり過ぎておるというような見解を、私は持つのです。むしろ、実はほかの法律案にいたしましても、最近の予算は非常にきゆうくつである、予算に顔を出すためには非常に困難が多いというので、これはあるいは同僚の方々の中から御意見もございましようし、また予算を獲得して仕事をしようという各省の御要望もありましようけれども、まず前年にいろいろな補助法案が出まして、その補助法律案の中には、ある一定限度のものを国から補助しなければならないというような規定のあるものが相当に多い。かつてはその全体を縛りますために、予算の範囲内でという言葉をよく入れておつたのでありますが、現在は入れてないものもかなりあるように思います。こういう問題と一連の問題として、むしろ目的税という観念よりは、このようにある一定の限度でもつて予算計上を余儀なくされる、こういうような法律が幾つもできて行くということはいいかどうかという点から、この問題は考えるべきじやないか。しかるに、ほかの法律案につきましては、あまり御異議がなくて通つておる。税というものを基準にとりましたために、いかにもこの法律だけいじめられるというのは、これは実は私ども大蔵委員でございますし、いささか考え方が違つておるかもしれません。正直に申しますと、同僚の皆さまに伺つた方がいいかとも思いますが、そうも参らないと思いますので、実は主計局に伺いまして、この法律案だけが、ほかのいろいろな補助額なんか規定しております法律案と違つて特に不適当であるという理由があるかどうか、この点についてひとつ伺つておきます。
  68. 石原周夫

    石原政府委員 黒金委員のお話のように、最近いろいろな特定地域の振興に関する法律もございます。あるいは社会福祉、生活保障というような意味におきまする面からの特殊な立法がございまして、それらの法規の中におきまして、比較的弾力の少い補助あるいは助成という趣旨の規定があることは事実であります。ただ、私今それらの全部を詳細に覚えているわけではございませんが、それらの規定の中におきまして、ここにあります言いまわしで申しますれば、相当な金額というものを支出しなければならない、財源として充てなければならないという趣旨の規定は、私の承知しておりますところでは比較的少い。しかもそれが相当大きな金額に上るものにつきましては——あるいは御指摘を受けて、そういうものがあつたら、またあとであるいは申し上げるかもしれませんが、今卒然として考えるところにおきましては、この程度の大きさの金額のものであつて、しかも財源に充てなければならないと言い切つているという例は、比較的少いのじやないか。それともう一つは、御指摘のように、これは税金の関係とつながつておりますので、目的税というような議論がすぐ生ずる。そういう意味でこれまた特異なカテゴリーであるということがありまして、特にこの法律案が論議の対象になる理由だと思います。主計当局の意見と申しまするか、考え方から申しますれば、先ほど来申し上げておりますような予算編成権の弾力性という点からいたしまして、そういうような拘束が多ければ多いだけきゆうくつになるということは、申し上げておく必要があるのではないかと思います。
  69. 春日一幸

    ○春日委員 ただいまの提案者提案理由説明によりますと、もしこの法律が認められるならば、ガソリン税の撤廃運動というものは向う五箇年間しない、こういう申入れもあるというようなことが、この法案を裏づけるとろの一つの條件になつておるようでありますが、これは申し上げるまでもなく間接税であります。従いまして、ガソリン税負担する者は道路利用者会議、あるいは輸送業者というものでなくして、これは明確に大衆であります。すなわちこのガソリン税の税金そのものは、運賃の原価採算の中に含まれて、大衆に転嫁されておる。あるいはタクシーなら、運賃の中に加わつて大衆負担になつております。従つて日本の産業経済の原動力であるという輸送賃を下げるという大衆的な要望あるいは国家的必要性、こういう立場から、道路利用者会議やあるいはそういう輸送業者の意図に関係せず、大衆的運動は当然起きて来るべきものであつて、そういう輸送業者だけの、こういう運動はしないから、従つてこの税金は向う五箇年間確保されるという独断をそこに提示することは、越権だと思います。いずれにいたしましても、これは明らかに大衆課税であるのだ、しかも大衆が負担するという立場において、こういう大衆課税は何とかしてやめてもらいたい、こういう要望はほうはいとして起きておる。従つて間接税改廃の方向へ向つての運動が現実に起きておる。このときに「これを道路改修の唯一の財源の根幹にして行こうという、この立法の構想というものは、適当なものでないと思います。しかのみならず、ただいま渡辺主税局長の御答弁にありましたように、これは明確に目的税性格を持つものだ、こういうぐあいにも述べられておるし、そうでないという提案者の御意見もあるようであります。従つて、その点もまだ明確に結論を得ておりません。こういう税体系の根本を乱して来るおそれのあるような、重大な前例を打開くような法律案、しかもその財源が、今の御説明によりますと、わずか五、六十億円の財源増を想定するという、そういう必要のためにこういう大立法を行うという必要は私はないと思う。願わくは、私は提案者がこの提案を撤回されることを強く要望いたします。
  70. 田中角榮

    田中(角)委員 私は結論的に申し上げますが、道路をよくしております先進国を見ますと、日本を含む幾つかの国々が、ガソリン税目的税化をやつておらないというだけでありまして、大体先進国はみなやつております。アメリカがガソリン税目的税にしたということによつてアメリカの道路はよくなり、自動車交通が発達し、そのために大衆負担軽減し、経済は大いに充実したというのでありますから、私はその意味において必要である、こういう前提を持つております。これはあなたとは逆でありますが、悲しいかなそういう前提を持つておりますから、提案の運びをいたしたわけであります。  もう一つ、大衆課税と言われますが、確かにガソリン税は大衆課税のようであります。だからこれを軽減するとか撤廃するとかいう考えがあるならば別でありますけれども、今の大蔵当局では、高い高いと言われておる略奪徴税式かまた禁止税的なこの法律案を廃止する意図も、減税する意図もないのです。これをやつた財政収入減つてかなわない、こういう大前提がありますので、それならば各国の例になりつてこれを道路整備の費用に盛らなければならない。  もう一つは、あなたが今言われたように、五十億程度のものでもつて税体系を乱すおそれのあるようなこの法律案を出さないで、何とか別に道はないかという問題でありますが、私たちは今まで考えまして、各党の議員諸君がお互いに道路整備の費用の計上に相当な努力をしたわけでありますが、なかなか事志と違うて、常に財政余裕がありませんということで片づけられておつたのであります。現在の状況においては、かかる手段をとることもまたやむを得ないのではないか、こういうことを考えております。これ以上に道路費を増さなければならぬということは、議員が憲法の規定通り予算増額を含むところの修正権を持つておるわけでありますから、われわれ議員の力で予算を修正して、道路費を五百億程度増額する以外に道がないのでございますが、私たちはそういうことを行おうとしてもなかなかできがたいのでありますから、まさに最善案ではありませんが、次善案としての本法律案提案したわけであります。
  71. 佐藤虎次郎

    ○佐藤(虎)委員 大蔵当局に逐條質問をするのではなく、建設委員会の質問の材料としてひとつお尋ねしておきたいのですが、物品税というものが次々と廃止されております。この額は、私ども自由党におりました当時からかんがみて、国家財源に大きな必要があると思つておりますが、それは駄弁であつて、不必要だから物品税はやめたのであろう、こう解釈しております。そこでこの揮発油税は何パーセント税金がかかつておるか。原価に対して何パーセントの課税をかけてあるか、それをまず第一に伺つておきます。逐條質問はいたしません。追討ちはいたしませんから、パーセンテージだけ答えてください。高率かどうか。
  72. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 現在の税込み小売価格二万二千円、それから税金が一万一千円で、現在の税込み小売価格に対して五割です。  なおついでにちよつと附言させていただきたいと思いますが、先ほど田中委員からのお話で、大蔵当局揮発油税について税率を下げる意思なしということをるる御説明になりましたが、今回の提案におきましては、われわれ下げる意図は持つておりません。しかし、将来の問題としまして下げる意図がないということは、われわれとしては別に考えておりません。情勢によりまして、下げるべき時期が来たらやはり下げるべきだ、かように考えております。
  73. 佐藤虎次郎

    ○佐藤(虎)委員 そこで大蔵省当局に伺つておくのですが、二十八年度揮発油税の見込みについてであります。二十七年、昨年の七月には自動車が五十三万台、十二月には六十三万台、これは十二月二十日に私が運輸省へ行つて調べたのですが、この五月には七十五万台、十二月から五箇月間で十二万台ふえております。そこで二十八年度の見込み税収というものを五十三万台に置いたのか、あるいは六十三万台に置いて予算編成をされたのか、その辺を一応伺つておきたいと思います。
  74. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 自動車の台数のぐあいと揮発油の消費のぐあいとは、われわれの方でも非常に関心を持ちましてずいぶん検討してみたのですが、必ずしも自動車の台数がこれだけふえているからもつと揮発油の消費はふえなければならぬじやないかというふうに考えまして、実は検討してみましたが、どうも自動車の台数増加に伴うほど揮発油はふえていないようであります。おそらくこれは私の想像でありますが、重油でありますとか、あるいは揮発油税の課税されていない軽油でありますとか、そういつたものによつて動いている自動車が最近相当ふえて来ておるのではないか、こういうふうに実は考えているわけであります。しかして今御質問の何によつて今度の税収を見積つておるかということにつきましては、自動車の台数というものによりませんで、最近における揮発油の庫出しの状況でございます。昨年の四、五月ころまでにはあまり多くありませんでしたが、それから先がずつとふえております。最近における揮発油の庫出しの状況からこれを年間に換算いたしまして計数を出しております。前回提案におきましては百五十八億計上して来ましたが、その当時は昨年の暮れまでの数字でもつて計算をいたしております。その後揮発油の庫出しは相当順調に伸びておりますので、最近の数字によりまして今回提案のように百八十六億の見積りをいたしたのであります。
  75. 佐藤虎次郎

    ○佐藤(虎)委員 あとは委員会で申し上げます。
  76. 内藤友明

    内藤委員 連合審査会を開いていただきましてまことにありがとうございました。実は田中さん外皆さんの御提案のこの法律案は、税制の根本に触れる問題でありますので、従来からも大蔵委員会におきましては非常な関心を持つてつたのであります。それで昨日皆様から御意見がありまして、建設委員会連合審査を申し入れましたところ、委員長快く御承諾いただきまして、われわれの意見を述べる機会を与えてくださいましたことを心からお礼を申し上げる次第であります。そこでお聞きの通り、私ども大蔵委員、これは自由党の方もおられますし、各党それぞれみな意見を述べたのでありますが、大体その意見でどこに問題点があるかということをおわかりいただいたと思うのであります。実は午後開かれます大蔵委員会におきまして、この問題につきまして大蔵委員会としての態度をきめたいということを先ほど理事の諸君と話合いましたので、午後の委員会におきまして相談いたしたいと思うのであります。どういう意見になりますか、その意見建設委員会に申出をするつもりでありますので、その意見を願わくば御尊重願いたいのであります。ただそういうことで大蔵委員が何を言つて来たつてそんなことはだめだ、こういう御態度でありますと、実は揮発油税法というものはありますけれども、これを名称をかえたり、税率をかえたりしても、揮発油税法そのものを根元からゆすぶつたら何にもならないのでありますから、そういうことはすべきことではないと思うのであります。でありますから、今日の建設委員会で御決定なさるということですが願わくばもう少し延ばしまして、大蔵委員会の心配しておることをおくみとり願いたい、これは委員長にお願い申し上げる次第であります。もしできますならば大蔵大臣と建設大臣と御相談になりまして、そこに田中さん外皆様御熱心な方が入られて、六十億ほど道路整備のために来年からでも金を増さぬか、よし増そう、こういう話ができましたら、この法律をひとつ快く撤回いただきますと、これは税制の大きな問題になることでもなし、実質道路がよくなることでもあるし、まことによいことじやないかと思うのであります。政治力のまことにゆたかな田中さん、それだけくらいの御努力せられてさしつかえないじやないかと思うのであります。ことに、先ほどお名前を列挙せられましたが、各党の幹部級は、私ども偉いとは思いませんけれども、政治力のある方々のようであります。そういう方々が御背後におられるのでありますから、大蔵大臣と建設大臣との間に話ができないことはないと思うのでありますが、そういうことをひとつ委員長から橋渡ししていただきまして、表面にこういう問題が出ないように、穏やかにひとつやつていただきたい。日本の今日の現状は、こんなことでかれこれ議論しておる時期じやないと私は思うのであります。建設委員の皆様の政治力に私ども信頼いたしまして、どうかこの点よろしくお願いいたしたいと思うのであります。先ほど申しましたように、大蔵委員会におきましては、午後この問題につきましては態度をきめて委員長まで申し入れたいと思つておりますので、どうかそれを許していただきたいと思うのであります。
  77. 久野忠治

    久野委員長 ただいまの大蔵委員会を代表しての内藤委員のお説まことにごもつともでございまして、でき得る限り御意見を尊重いたしまして審議を進めさしていただきたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十二分散会