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1953-07-24 第16回国会 衆議院 建設委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十四日(金曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 瀬戸山三男君 理事 山下 榮二君    理事 佐藤虎次郎君       逢澤  寛君   岡村利右衞門君       高田 弥市君    堀川 恭平君       松崎 朝治君    赤澤 正道君       五十嵐吉藏君    三鍋 義三君       細野三千雄君    高木 松吉君       只野直三郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 戸塚九一郎君  出席政府委員         建設事務官         (大臣官房長) 石破 二朗君         建設事務官         (計画局長)  澁江 操一君         建設事務官         (住宅局長)  師岡健四郎君         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   奧野 誠亮君         建設事務次官  稲浦 鹿藏君         住宅金融公庫総         裁       鈴木 啓次君         住宅金融公庫副         総裁      八嶋 三郎君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 七月二十三日  委員中井徳次郎君辞任につき、その補欠として  杉山元治郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 七月二十二日  戦傷病者に第二種公営住宅入居に関する請願(  鈴木義男紹介)(第五〇二九号)  二級国道山形鶴岡線改修工事施行等請願(牧  野寛索紹介)(第五〇四八号)  西村山郡の砂防工事費国庫補助増額に関する請  願(牧野寛索紹介)(第五〇四九号)  災害復旧工事費国庫補助に関する請願牧野寛  索君紹介)(第五〇五〇号)  小野田市の水害対策確立に関する請願田中龍  夫君紹介)(第五〇五一号)  愛知川ダム建設反対請願森幸太郎紹介)  (第五〇五二号)  碓氷川の直轄河川区域延長に関する請願(小峯  柳多君紹介)(第五二〇〇号)  鹿児島県の災害復旧工事促進に関する請願(永  田良吉君外二名紹介)(第五二〇一号)  都市災害対策事業費国庫負担に関する請願(田  中龍夫君紹介)(第五二〇二号)  公共土木施設災害復旧工事費国庫補助等に関す  る請願星島二郎紹介)(第五二〇四号)  金江津、滑河町間に橋梁架設請願葉梨新五  郎君紹介)(第五二〇五号)  同(竹尾弌君紹介)(第五二〇六号)  北海道防寒住宅建設促進法適用範囲拡大に関  する請願山下榮二紹介)(第五二〇七号)  大山出雲地方総合開発事業促進に関する請願(  星島二郎紹介)(第五二〇九号)  黒部川右岸浦山新、小擢戸村間に堤防築設の請  願(鍛冶良作紹介)(第五二一〇号) 同月二十三日  名古屋市の水源地擁護に関する請願加藤鐐五  郎君紹介)(第五二九七号)  糠平、上川間道路開設請願本名武紹介)  (第五三一一号)  早川県道改修工事施行に関する請願鈴木正文  君紹介)(第五三一二号)  北海道防寒住宅建設等促進法適用範囲拡大に  関する請願山崎岩男君外二名紹介)(第五三  一五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  災害復旧に関する件     —————————————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  災害復旧に関して調査を進めます。すなわち九州地方の大水害に引続き、南近畿地方においても相当被害があつたのでありますが、当委員会といたしましては、災害復旧に関し、特に建設省関係事項につきまして、恒久的、全国的な見地から調査を進めたいと思うのであります。つきましては、まず政府より南近畿地方におけるる水害状況につきまして、説明を求めることといたします。戸塚建設大臣
  3. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 また和歌山奈良に大水害がありまして、まことに遺憾なことが引続き生じておるのでありますが、私二十日、二十一日と和歌山県内を、二十二日に奈良県庁に参りまして、一応事情を聞きとつて参つたようなわけであります。  今回の和歌山奈良水害は、先般の北九州水害とは多少形がかわつております。という意味は、北九州の方は非常に広い地域でありますが、今回のは高野山中心にして降つた雨が影響した範囲なのであります。高野山地帯で、これは測量のやり方でありましようが、和歌山県で調べたところでは、四時間に三百数十ミリという雨が降つた。それからまた奈良県の方でいいますと、一日の雨量ではかつてありますが、一日の雨量が五百四十ミリ——せんだつて九州で、熊本県の小国の辺が一番多いというのですが、これが一日五百四ミリだつたと思います。それより多い雨なのであります。大体高野山中心としたところが多かつたのでありまして、それからはずれたところは、ずつと少くなつております。和歌山県の側にありましては紀ノ川の支流に貴志川というのがありますが、この貴志川流域とその南の有田川流域、その南の日高川流域が、甚大な損害を受けております。その日高川の河口にあります御坊という町は、人口一万五、六千の町でありますが、これが全町水につかつた。その全町も、一番軽いところで床上二尺くらいというような状態でありました。熊本の火山灰とやや似たもので、どろが全町に水の引いたあと七、八寸か、一尺ぐらいでしようか、ずつと、まだ私がいるときには、ぬかるみのままになつておりました。地勢が谷合いの川でありますから、ただいま申し上げたような雨の量が急激に来たために、その谷合いに一度に水が出た。それで川のふちにつくられてあつた部落が、あるところではほとんど全滅というふうに押し流されたのであります。ことに、御承知のように山林県でありまして、山にあつた木材が一度に押し流されて、その水と木材で押し流して行つたものですから、家屋も押し流す、橋もほとんど落ちております。その間に堤防が切れる、道路もほとんど不通になつているような状態でありました。そういうわけで自然、人に関する被害九州の場合とは比較にならぬほど多い。当初新聞ごらんのように、行方不明四千、五千と報ぜられましたが、これはただ推測が多かつたのではないかと思うのであります。その後、幸いに風がなく海が静かであつたものですから、海まで流れ出た人は多く救助せられておりまして、二十二日現在では、行方不明とみなされている者が千九百何がしということになつております。それにしても割合狭い地域で非常にたくさんのそうした被害があつたことは、まことに遺憾なことであつたと存じます。  それから、同じく高野山系で南の方に流れて十津川から熊野川というところでも、相当被害があつたようであります。十津川は、奈良県庁で聞いて参つたのでありますが、熊野川から、従来輸送機関としてプロペラ船というのでやつてつたのでありますが、これはまだ水流が強いから全然動きません。それから陸路、奈良県ないし和歌山県から通じている道路がこわれまして、十津川の三箇村には、行く道がまつたくなくなつておる、歩いてでも困難である。従つて物資背負つてというようなことは、とうていできないような状態になつております。急速に、歩いてでも行けるところを、早く道をつくるように指示して参つたわけでありますけれども、それがため十津川地内の食糧が非常に逼迫して危険を感じておる。阪本という部落まではやや物資が運び込まれておりますけれども、それから後にまだ運び込む手がないというので、非常に困難を感じております。これは今保安隊工作隊が入つて道をつくりつつ、物を運び込む操作をいたしております。  ただいま申し上げましたように、何といつても、特徴は、非常に狭い谷合いのところに一度に大きな水が出たことと、木材がたくさんに流れたということが、この被害を大きくしたおもなる原因考えられます。和歌山県の方も同じく谷合いに向つて道路がほとんどこわれておりまして、今ただちに物資を運び込む手がない。これも急速に道路を応急の改修をすることにいたしておりますが、物を運び込むことに非常に困難を感じております。御坊というところへも、フリゲートという船でその前面まで行つてボートで入つたのでありますが、これも荷物を運び込むというのには、非常に接岸の状況が悪いのでありまして、これの二里ばか参り北に由良とい港があります。その由良は大きな船か接岸できるというので、ここから御坊に参るこわれている道を、半日くらいででも直せというので、やておりました。これは私のいるうちに、大体通ずるようになつておるということであつた。これができれば、御坊までは物資を運ぶことが自由になつて来るという見込みであります。もちろん大きなトラックが行けるというところまでは行かないかもしれません。そういうわけで御坊の町は、私が二十日の午後参つたのでありますが、その時分までは、まだ死体が十か二十くらい発見せられておつたようであります。これを片づけるところまで、まだ手がまわつておらない、まだそれまでの、ほかの救助という方に努力しておつたというような話であります。従つてまた食糧などの配給についても不十分な点があるようでありまして、そういう点で非常に町村当局心配をいたしたり、県当局といたしましても非常に心配をいたしておるようであります。今申し上げるように逐次のその方は緩和されて来ておると思います。  こういう形で、さしむき和歌山県にはつなぎ融資二億、その後また——これは新聞で拝見しただけですが、一億五千万を追加したというようなことを承知しております。奈良県の方には七千万の融資をしたということを聞いております。いれず引続いて追加してやらなければならぬものだと考えておりますが、奈良県の十津川付近損害状況は、今申し上げるようなわけでほとんど調査もできておりません。従つてそういう方の調査を続けると同時に、融資の問題なども考えて行かなければならないというふうに考えております。  また今後の治水対策といたしましては、自然全国的にもちろん考えられなければなりませんが、ただいま申し上げましたようなわけで、おそらく木材の流れ出たぐあい、また流れて来た木材を見ましても、根こぎになつた材が多い。ちよつとこれは推測しても、切つてつたのが流れたばかりでなくて、山がくずれたか、すべつたというようなかつこうで、根こぎになつて流れ、流れる途中で皮もむけてしまい、根も洗われて、普通の木材と同じようばかつこうで流れて来ておる。これはよほど山が荒れておつたということが行えられる。あちらで聞きましても、戦時中以来、山が非常に濫伐されて、在来のみごとな山が坊主になつておるところが多いということを、だんだん地方の人も言つておりますので、そういう点について、今後の対策としてはよほど考えて行かなければならないし、また木材の取扱いというようなことについても、何か一くふうしなければならないというように、実は考え帰つて参つたようなわけであります。  一応文案で書いたものがありましたが、間に合いませんでしたので、大体以上御報告申し上げて、なおお尋ねをいただけばお答えを申し上げたいと思います。
  4. 久野忠治

    久野委員長 質疑に入ります。質疑の申入れがあります。よつてこれを許します。瀬戸山三男君。
  5. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 さきに北九州中心とする西日本のあの厖大な災害がありまして、そのときにも建設大臣はさつそく現地をつぶさにごらんになり、さらに不幸にして和歌山県を中心とする痛烈な災害、それにもただちに現地を見ていただきまして、まことにご苦労さんであつたと敬意を表する次第であります。直接担当の大臣として非常に心配されておることを、私どもも直感しておるのでありますが、この前の災害の御報告を聞いたときにも、私は災害対策は緊急にやらなければならないと同時に、根本的な日本災害と申しますか、国土建設について、重大なる考え方の変更をしなければならないのじやないかという意見を申し上げておきました。あの際、さらに近い将来に別な災害が起る悪い予感がすると申し上げておつたのでありますが、それがまさに不幸にして的中いたしたのであります。これをひとつ災いを転じて仕合せとなすというお考えをもつて、根本的な日本治水に対する政治の方向を転換されるように、希望をまず第一に申し上げておきます。  今度の災害について、どこがどうなつておりますか、ここがこうなつておりましようかということを、私は聞く必要はございません。非常に部分的ではありますが重大な災害を起しておるということを聞いております。そしてこれは解決はできないと思いますけれども、日本国土は非常に狭い、日本国民はほとんど地球のしわの中に住んでおるような状態であります。今度北九州のは、それとは多少違つておるようでありますが、全国の災害を今日までずつと見ておりましても、日本国民が狭い山の間に、少しずつ開拓をして昔から住んでおるわけでありますが、災害の起つた所を見てみますと、まさに川をあまりいじめ過ぎておる。川の中に出つぱつて田畑をつくつて、そして川つぷちに生活を営んでおるというような状態のところが、特に和歌山地方のように山間に部落をなしておる。そこにどつと雨が降つて、自然の川の中に住んでおつたというような状態のところが多いと思います。そういうところは、ほとんど全村全滅し、両方の山がくずれて、その間を縫つておる道路はすべて遮断され、しかも遮断された上に川まで遮断されて、各所に自然にダムができて、さらにその土砂によるダム関係から、将来、近くまた雨でも降ると、再び大災害を起しはせんかということで、その地方の住民は戦々きようきようたる状態だということも聞いております。しかし、そういうところに住むなということは、簡単に言えるのでありますけれども、人間の習性として、危険であつても、住めば何とかということで、なかなかそこを引越せということは、ちよつとむずかしいと思います。でありますから、それについては、そういう状態の中に住まなければならぬ。しかも、ことに雨量の多い——熊野山系は御承知のように、日本でも最も雨量の多いところでありますから、そういうところについては、特別な安住の地をつくるというために、治水計画その他の計画を立てられるように希望いたしておきます。でありますから、私は今度の災害について、特別に質問するということではありませんが、今衆議院も参議院も特別の委員会をつくつて、急速なる災害対策についての研究を熱心に進められて、それについては、特別な立法をしなければならないという準備が着々進められておるようであります。その点について大臣のお考えなり、またほかの各省の方が見えておるようでありますから、二、三聞いておきたいと思います。  今度の和歌山地方でも同じでありますが、北九州災害中心として、例の公共土木災害復旧について、府県が十五万、市町村が十万という補助単価がきめられておるのを、少くとも五万ずつ低下させたい、こういうことで、この前当委員会においてそういう発言があつて、その立法措置をしたいという準備が進められております。この前、大臣は、そういうことをするよりも、それは特別平衡交付金というようなことで、行政措置でまかなつた方がいいように思う、こういうお話であります。それについて政府部内で何か検討された、あるいはそういう方針を決定されておりますか、この際伺つておきたいと思います。
  6. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 ただいまのお話の、災害単価を引下げるということは、御心配の点はよくわかるのでありまして、私どもまつた違つた考えを持つているという意味ではございません。ことに、今度のように、一村内でも道路がずたずたに切られるというようなかつこうになつておりますところは、一箇所というような非常にこだわる考え方ではいけないということはよくわかります。私が先般も申し上げましたのは、むろん特別立法というお話もございますが、これは各省関係について、いろいろ救済の方途も講じられることであつて、そういう関係で、特別立法ならば、それもけつこうでございましようが、私が申し上げた趣旨は、実は災害復旧ということは、従来ややもすれば遅れがちであつたので、努めてその年度ないしはあくる年に、災害復旧はするという建前にしたいということは、これはしばしばこの委員会でも申し上げておつたと思います。そういう考え方から参りますと、今の災害の一箇所の単価を引下げるということになれば、災害復旧費が非常にかさんで参ります。災害復旧費がかさんで参るということは、全般的に復旧の実行を早くするということは困難ではないか、こういうように考えたのであります。しかし、そうかと言つて、県で十万、町村で五万程度のものは、かまわないではないかというのではありませんが、別の方法でこれを処理することができれば、いわゆる災害復旧費そのもの総額を大きくすることがないようになるのではないか。しかし、それには町村負担ということを考えなければならないから、町村で独自にやるといたしましても、率はともかくとして、それを補助する意味特別平衡交付金でまかなつてやるようにすれば、いわゆる災害復旧費そのものとは別に処理ができて、非常に都合がいい、効果は同じようにあがる、こういうふうに考えたのでありまして、大蔵省目下話合いをいたしておるわけであります。ただ平衡交付金の中には、特別平衡交付金という費目があるそうでありまして、その中から出すというふうな考え方を、大蔵省としては一応とつておる。しかしそれは、自治庁関係から行けば、すでに特別平衡交付金もそれぞれ当てができているものが多いだろうから、今度のような大きな額の特別平衡交付金を、従来の予算の中から出すということではむずかしいじやないか。そこでさらに特別の持別と申しましようか、そういうようなこの災害に対する平衡交付金というものを、別に考えてもらうような行き方が必要ではないか、私はこう思つております。それで今三省の間でそれぞれ話をいたしておるので、結論までには至つておりませんが、そういう点について皆さんにも御考慮願えたらたいへんいいのではないか。特別立法と関連して、この問題はそういうふうな形で処理ができるものじやなかろうかというふうに考えておる次第であります。
  7. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 大臣のお考えは了解いたしたのでありますが、ただ問題は、研究をいたしている、相談中でまだ結論は出ない、こういうことが、この災害対策について、特に野党の諸君から、政府遷延策を講じている——そういうことは全然ないでありましようが、そういう非難を受ける大きな原因になつている。そこで会期も切迫いたしておりますので、この特別の立法をいたしたいという大きな動きが今日起ております。私個人の見解といたしましては、建設省事務当局の話によりましても、今大臣お話にありましたことでもそうでありますが、問題は、特に重大な災害を受けて困つている町村は、かりに十万円の工事自己負担によつてはできかねる、それを救済しなければならない。こういうことで、最低限を少し引下げようという強い要望もあり、国会の中にも動きがあります。しかしながら、問題は、政府補助といいますか、特別平衡交付金といいますか、財政といいますか、金をよけい出さなくちやならないということであります。そこで、金をよけい出すにしても、そういう単価を引下げて——建設省事務当局の話では、そういうところをやることになれば、箇所数においては約五〇%ふえるであろう、金額においては五先程度であろうという説明であります。そうすると、仕事が複雑になつて、かえつて仕事が進捗しない。もし、災害復旧国庫の支出が増額されなければ、仕事の量が減つて来て、災害復旧の本旨に合わないという結論になるのであります。特別平衡交付金を出すにいたしましても、今も大臣の話がありましたが、それを特別によけい出さなければ、結局災害復旧はできない。その結論を早く出して、法を制定してこれを強行しなければならない。こういう事態になつておりますので、私個人としてはそういうことはあまり好まないが、政府が早くそういう財政措置を明確にされれば、特にそういうきゆうくつな立法措置を講じて、しかも、めんどくさい事務をしなければならないようなことは、せぬでも済むのではないかと思いますので、特にその点念を押す次第であります。先ほど申し上げましたように、大臣御存じの通り「特別平衡交付金は、四月一日以降に特別な財政事情が生じたときに、それに国が助成する、こういう制度でありますが、事務当局説明によりますと、さつきも申し上げたように、金額にして五%ぐらい——これは精算したわけじやありませんから、あらましの見当でありますが、かりに五百億といたしますれば、五%で二十五億の特別平衡交付金を交付すれば、特別な立法措置をしないで、行政的にそうめんどうなことをしないでこの問題は解決する。大臣がその方がいいんじやないかというお考えは、そういうことから来ておると思いますが、早く政府の方で結論を明確にせられなければ、立法措置を講じなければならない。この問題は、一日を争つておるのであります。そこで大臣に特にその点を、この際できることならば明確にしていただきたいと存ずる次第であります。
  8. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 私が申し上げましたのは、それによつて別に引延ばしておこうというような気持ではないのでありまして、町村にしても、県にしてもそうでありますが、今度のような大災害でありますと、必ずしも建設省関係ばかりでなくて、ほかの省の関係でも、特別の救助といいますか、救済をしなければならぬ面があるのではないか。そういうものが、それぞれ標準といいますか、それがきまるんじやないかと思うので、私の方だけをきめてしまつてもいかがかというので、延びておるわけであります。もつとも、延びるということは、工事そのものを延ばすということではないのであつて、それがために資金の融通をいたして必要なことはどんどんやつてもらう方がいい。ただ形式をどういうふうにするかということで延びておるというだけでありまして、実際には必要なことはどんどんやつてもらつていいのではないか、私はかように考えておるのであります。それで、ほかの省の関係を抜きにして、私の省の関係をきめてしまうということができれば、これは私としては一向さしつかえございません。ただ、きまらないということが、復旧そのものが延びておるということではないということだけは、御了承いただきたいと思います。
  9. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 地方自治庁の方が見えておるそうでありますから、今の問題について、大臣は特別の特別平衡交付金を何とかしなければならないということで、今御相談中である、こういうことでありますが、地方自治庁としては、この問題についてどんなお考えを持つておられるか。そういうことをやるというお考えであるかどうか、承りたいと思います。
  10. 奧野誠亮

    奧野説明員 今度のような大災害に伴いまして、地方団体では、災害復旧費相当の額を要するのみならず、予定しておりました税収入にも、多額の減収を生じて参るわけであります。従つて、両面とも何らかの措置をいたしませんと、当該団体財政は行き詰まつてしまうということは考えております。先ほどから議論になつておりますような地方財政平衡交付金のうちの特別の特別平衡交付金制度、こういう制度の運用によりましても、ある程度解決は可能なのでありますが、総額が百億円内外のものであります。毎年度当該年度災害によりまして税の減収を受けるなり、あるいは単独災害にさしあたり必要な経費なりに充てたのでありますが、大体二割見当であります。ところが、西日本災害だけでも——まだ正確な数字はつかめないわけでありますけれども、税の減収だけでも五、六十億円に達するというような話を聞いておるわけであります。そうなりますと、特別平衡交付金制度でこれを解決するには、あまりに所要額が大き過ぎるのではないか。そういう意味で、ただいま建設大臣がおつしやいましたような、災害団体に対しまする財政補給金の制度というようなものが新たに考えられなければならないのではないか、こういうようなことを事務的に考えておるわけでありまして、そういう問題について、寄り寄り政府部内で話合いをいたして参つておるわけであります。
  11. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 平衡交付金のうち特別平衡交付金は、大体百億近くのものが年々消化されておると思うのであります。それでも足りないということで、地方団体は騒いでおる。今度の場合、例年と違つたこういう重大な問題でありますので、特にそういう百億のうちでまかなうというような、なまやさしいものではないと思います。きようは奥野さんでありますから、あなたに強く申し上げてもしかたがない。大臣が見えたら、はつきりしたところを聞かせてもらいたいと思つてつたのでありますが、そういう気持で将来進めていただきたいということを、この際申し上げておきます。  それから、今の立法問題とも関係しておるのでありますが、今までお尋ねしたのは、最低額の引下げということでありますけれども、さらにこの特別災害については、いわゆる公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法を改正いたして、特にこの際、全額を国庫負担にいたしたいという話合いが進められておるようであります。これについての大臣の御見解を、この際明らかにしていただきたいと思います。
  12. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 単価の問題と別に、全体の公共土木事業災害復旧費でありますが、私も、実はまだ計算の方法などよくわかりませんが、大体は地元の町村が非常に大きな被害を受け、また負担能力も減じておるというような状態でありますると、従来の取扱いにおいても、ほとんど全額に近い補助が行くようになつておるように承知いたしております。以前の例によりましても、たとえば数年前の山口県の災害のときなど、町村によつてはほとんど九割七分とか八分とかいうまで補助が割当られたというようにも承知いたしておりますので、今の制度でも、ほとんどその目的を達することができるのじやないか、かように考えております。それ以上に全額ということになつて、ことに法の改正ということになると多少負担能力のあるところも、みな今度の災害はことごとくそれに均霑しようというような実情になりはしないか。これでは、いよいよその額がふえて行くのみであつて、全体の災害復旧という立場からいたして、一層困難になりはしないかという心配をいたしておるのであります。と申しますのも、全額という御趣旨は、その地方状態で御心配になる点はごもつともでありますが、その御心配の点は、ほぼ目的を達することができる、現在の制度においても考えられるというふうに承知いたしております。
  13. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 今の御見解は、私ども個人としては、同じような見解を持つておりますが、そういう立法措置を講じようということで、特に大きな重大な災害を受けられた方々は、非常に真剣であります。そういう動きがありますので、大臣もそれに対しては、失礼でありますけれども、真剣な態度で臨まれんことをお願いいたしておきます。  もう一つは、やはり同じ例でありますけれども、菊池川流域についても、あの辺は赤土であると思いますが、泥土が一、二尺家の中に入つておる。この泥土の問題を何とかしなければならないという問題になりますが、前に大臣からもお話がありましたように、熊本地方の泥土の排除についても、全額国庫負担をもつてやるべしというような意見が強力に推進されております。この泥土の排除問題について、前にお話いたしましたが、現在建設省当局としてはどういうお考えを持つておられるか。その方法なりあるいはそれに対する国の財政の援助と申しますか、これについての現在における大臣の見解を明らかにしてもらいたいと思います。
  14. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 熊本の泥土のことについては、先般申し上げたと思いますが、先ほど申し上げました災害単価の問題と同じように扱つて、場合によつてはこれが全額になりましても、救済することがいいじやないか、こう思つております。また今回見て参りますと、先ほど申し上げました日高川の下流の御坊町のごときも、土の質は多少違うかもしれないが、その形においてはまつた熊本と同じ、むしろ分量は少いかもしれませんけれども、これも排除の作業などにずいぶん困難なものじやないかと考えますので、これも同じように取扱つて行くべきものだ、かように考えております。
  15. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 場合によつては全額負担になつても、というようなお話でありますが、どういう法律の根拠によつて、そういうことになるのでありますか。
  16. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 法律の根拠のことは、私よくわかりませんか、御坊町のごときでありますと、おそらく負担関係等を考えて行きましても、ほとんど全額に近いものに今の制度でもなるのじやないかと思つております。ただ、これをいわゆる災害復旧として扱うかどうか、その扱い方によつては、先ほどちよつと申し上げました山口県の場合などの貧弱なところでは、九割九分八厘というような例もあるわけであります。御坊町のごときも、おそらくそういうふうなかつこうになるのではないか、こういうように考えます。熊本についても、同じことが考えられるのではないかと思うのでありますが、なおそれは、はつきり今の災害についての計算をしてみなければなりますまい。先ほど特別立法というお話がありましたが、特別立法の形でこれをそういうふうに処理してもよろしいし、また予算の措置というか、行政措置としてそういうふうな扱いをすることもできるのじやないかと私思います。
  17. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 今の大臣の発言、きわめて重大な発言だと思います。これは、場合によつては全額もできる——そうしてもらえれば、何もこの立法がどうのこうのと一生懸命特別委員会で騒ぐ必要もないと思うのです。事務当局でもけつこうでありますから、どういう方法で全額——御坊町もあるいはそうなるかもしれないという話でありますが、そうなれば、何も立法措置云々ということで騒ぐ必要はない。その方法を教えてもらえば、特別委員会などで、毎日朝から六時まで騒いでいるそうでありますが、騒がぬように、その方法を示されんことをお願いいたします。
  18. 米田正文

    ○米田政府委員 今の計算をどうしておるか、あるいは法律によつてつておるのか、予算措置措置するのかという問題についての建設省考え方を申し上げます。これは具体的に申し上げますと、熊本市のあの大量の排除については土地災害でやる。それでそれを予算措置として、大体災害国庫負担法の補助率を準用して行こう。そうして、今のところ泥土二百四十万立米で、単価五百円という仮定のもとに立つて計算してみると、大体補助率が八六%になるというのであります。今大臣からお話しましたのも、大体高率の補助になるという趣旨で申し上げたのであります。小倉、門司の泥土については、御承知のように国道その他に泥土、土砂が非常に出たのでありますが、これは災害国庫負担法によつてとれるものは災害国庫負担法でとる。災害国庫負担法のわく外になるものについては、土地災害の今までの例によつて、費用の二分の一を補助して行く、こういうことになるので、これも今現地に検査に出かけましたので、その検査が済みまして、どれが幾らということがはつきりいたして来ると、この補助が幾らになるという計算が結論的に出て来ると思います。今度の御坊あるいはその他についての土砂も、相当多いようであります。御坊についても、平均二十センチ程度の土砂が市街全面に堆積しているという報告も来ております。これらから見ても、これは相当の土量になるようであります。これも今から内部で相談いたす問題ですが、大体は熊本の例にならつて計算をいたすように進めたいと思います。
  19. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 今災害復旧費国庫負担法を準用してというお話でありましたが、土地災害は二分の一だと考えておりますが、それがほとんど全額に近いということになるのか、それをはつきりしてもらわなければ——これは全額国庫負担特別立法を講ずるという方針を決定されておるようであります。これは特別委員会において、そういうことが明らかにならないから、こういうふうになつて来ると思うのですが、準用するとか、二分の一が全額になるとかいうことが、ちよつとはつきりしないものですから、もう少しわかるように御説明願いたい。
  20. 米田正文

    ○米田政府委員 今では、全額という計算は出て参りません。ですから、全額にはなりませんが、全額に近い高率補助をするという趣旨のお話を申し上げたのであります。
  21. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 土地災害二分の一国庫負担、その他——公共土木関係のものは、スライド制で行けば、場合によつては全額に近いものがあると思います。被害全体にそういうことがいわれるかどうかという点でありますが、どんなものですか。被害全体について、被害のすべてのものについて、排除についてスライド制でやるように、全額に近くなるという根拠を知らしてもらいたい。
  22. 米田正文

    ○米田政府委員 まだ今申し上げましてように門司、小倉及び今度の御坊等については、数量が上つて来ておらぬので、計算がまだできないのでありますが、これはもう少し時間をお貸し願いたいと思います。そうすると、補助率が総計で幾らになるということが出て来ます。
  23. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 市街地はいいでしようけれもど、土地災害とかいうようなことでなくて、小さな町村で、そういうところもあると思うのであります。私現地を見ておりませんから、わからないのでありますが、そういう点は、どういうふうな方法でやられるのですか。都市計画法を適用しておらぬというようなところは、どういうような方法でやられるのですか。
  24. 米田正文

    ○米田政府委員 それらの事情がよくわかりませんからですか、大体今お話もありましたように、都市計画法を実施しておるような都市については、こういう考え方で進みたいと思つておりますが、農村等の問題については、まだ実情がよくわかりませんので、今後の研究問題になると思いますが、大体こういう趣旨で進めて参りたい。
  25. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 結論を聞いておきますが、それでは何かわからないようだから、この際特別立法をして、全額国庫負担として排土をいたしたい、こういう動きと申しますか、意見に対しては、どういうお考えを当局としては持つておられるのですか。
  26. 米田正文

    ○米田政府委員 その全額国庫負担ということになりますと、その内容をいろいろと規制をしなければならぬと思います。今の御質問にもありましたように、一体どの程度のものから全額国庫にするかという限度が問題になつて来ると思います。百立米が二百立米でもそれが入るかというような、極端なことはできないと思いますので、やはり限度があつて処置をすることになると思います。今の立法をお考えになるのは、一体どの程度のことをお考えになつておるのかもよく伺つて、私どもも研究したいと思います。
  27. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 建設当局は特別委員会に出て、そういう話を聞かれたり、あるいは説明せられたことはないのですか。
  28. 米田正文

    ○米田政府委員 私は今まで特別委員会に出ましたが、全面的に泥土について全額国庫補助をするというようなお話を、まだ承つておりません。
  29. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 お話が出ましたので申し上げますが、私が参つた時分に——正確に覚えておりませんが、熊本のどろの話が出たときに、こういうのは特別のはからいをいたさなければならぬものだと考えておるというような意味のことは申したのであります。
  30. 赤澤正道

    赤澤委員 私、特別委員会の方の建設面の小委員長を、実は昨日から申しつかつた次第であります。と申しますのは、特別委員会の方の議事のまとまりが非常に悪い。これは、いろいろ原因もあるのでございますけれども、まあとにかく君至急にまとめてくれということで、実は汗をかいて日夜やつておるわけでございます。ただいま瀬戸山委員から、特別委員会の方では朝から晩まで騒いでおるがというような、はなはだ不穏当な発言があつたのでありますが、何も朝から晩まで騒いでおるのではなくて、およそ空気が、常任委員会の方と特別委員会の方と違う。特別委員会の方は、差迫つた先般起つたばかりの災害に関して、ことに災害地出身の人が多いものですから、非常に真剣な態度で討議をやつておりますために、議論が百出いたします。その立場々々で主張を持つておりますために、若干常軌を逸する面もあるということは、私は残念に思いました。きわめて常識的な線で事を運ぶということに、実は努力をいたして参つておるのでございます。いずれにいたしましても、予算関係があり、引続いて参議院のいろいろな審議がありますために、いろいろ御多忙ではありましようが、われわれの方で大臣の出席あるいは政府委員の出席を要求いたしましても、なかなか思うにまかせない、そういうことから、次第に委員会の方も殺気立つて参つたり、非常に空気が妙なぐあいになつて参つております。しかしながら、特別委員会の方で議員立法まで持つて行くというふうな段階に、実は参つておるのでございますけれども、私の考えといたしましては、やはり建設面に関しては、常任委員会と連繋を密にしてやるべきものであるということで進行して、双方相通じて事を進めつつある次第でございます。  私、きようは特別委員会の方の今までの審議の経過なり、空気なり、問題点のおもなものを、御質問の形で進めながら、当委員会の皆様にも御承知願うという意味で実は発言を求めておりましたところ、瀬戸山委員の方で、大体重要な点は御質問になりましたので、皆様にも大体のところはおわかりになつていただいたと思うのでございますが、もうせつぱ詰まつたことになつておりまして、今日まで荏苒日を延ばしておる政府の態度というものは、実に不都合きわまることで、ある党派では、もうすでに決議文までつくつて、自分たちの党の意見を天下に公表し、政府の緩慢な態度を世間に訴えて批判を求めるというふうな段階にまで至つておりますけれども、とにかくこの問題は、超党派的に解決しなければいかぬというので、どうにかお互いにがまんして今日まで来て、ただいま結論が出かかつておるところでございます。政府におかれましても、常任委員会できわめて常識的に穏当に事を進められますのはけつこうでございますが、片一方に差迫つた委員もあるということを、よく御承知になりましてお進めいただきませんと、将来非常に禍根を残すことになるのではないかということを憂えるものでございます。  ただいま瀬戸山委員から御質問になつたのでございますが、公共土木災害国庫負担法の負担率の問題でございすが、これは現在のとてもみじめな地方財政では、こういつた問題の処置は全然考えられない、とにかく全部政府でやつてもらいたいということが一律の声であります。もちろん現地県当局も、市町村もそうであります。さらにその要望を反映いたしまして、委員会において非常に強烈な発言がありました。しかしながら、そういう全額国庫負担というような行き方は、すでに二十五年に実現済みのようでありますが、こういうようなことでなくして、現行のスライド・システムによるということでなかつたら、いろいろな弊害が出て来るので、これも具体的に政府のいろいろなお考えも承り、またこの常任委員会の空気としても、まずこういうところにおちついておるようでございます。そのために、これを特別委員会の方に反映いたすように努力いたしたのでございますが、現在のところは、一応とにかく現行のスライド制で行こうということでございます。しかしながら、ここで問題になつておりますのは、たとえば筑後川とか白川とか遠賀川とか、佐賀の嘉瀬川とかいうような特殊な河川の扱いはどうするか。これは残念ながら河川法が多年この委員会で取上げられておつて結論をまだ見ていないということも関係があるのでございますが、こういつたような河川を処理する場合の根拠が、現行法では非常に薄弱じやないか、このことがすでに特別委員会の論議のがんになつてしまつております。今のスライド・システムで行くということのほかに、河川を指定し、その流域を指定して、その指定したものに限つてひとつ全額国庫負担という線を出してもらいたいという意見と、さらに、この指定は特別委員会でやらせろという空気が非常に強いわけでございます。大体そこまでこの問題については進んでおりますので、これの法案化すらすでに考えられております。この河川法の問題でありますが、今度の新しい論点といたしましては、やはり水系主義と申しますか、河川の上流から下流までを一本にして管理をるすというふうに改まるようでございます。こういう問題についても、やはり国土保全の意味から、農林省も通産省も頭を出しておるというようなごちやごちやした形では、おそらくほんとうの責任は建設省としては負えないのじやないか。そういうようなことでぐずぐずしておるということが、今日の災害原因の一つになつておるとも考えられるのであります。今申したこういう特別河川については、ただいまやつていらつしやるように、一部国の直轄にするとかいうことでなく、直轄河川ということと、府県でこれを改修し、あるいは復旧いたします場合の全額国庫負担ということとは、やはり関係があるわけでございますが、これについて、今日将来を通じてどういう見解を持つていらつしやるか、この点を大臣からお答え願いたいと思います。
  31. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 現在直轄河川について、上流と下流とで区別があるということについては前々からお話もございますし、また私も先般こういう点については考え直して行かなければならないものであると思つているということを申しあげたつもりでありますが、ただいまただちにということは困難じやないか、将来については、ぜひ河川法の改正と相まつて、この直轄河川の扱い方について水系一本で行く行き方がよいと考えておるのであります。ただ河川法の問題がだんだん延び延びになつておりますのは、まことに遺憾でありますが、せんだつても申しあげたかと思いますが、国土保全の関係から、もう少し大きく機構の検討ということまで行かなければならないと思いますし、それと河川法の扱いとをあわせて考えて行くことが最も合理的じやないか、こういうふうに実は考えておつたのであります。今も、その考えについてはかわりはございません。繰返して申しあげますように、今この際にということは、ちよつと私としては申しあげかねる次第であります。
  32. 赤澤正道

    赤澤委員 将来の行き方について、そういうお考え建設大臣がお持ちのことは、私承知いたしておるわけでございます。しかしながら、そういうお考えであるならば、今日の予算措置として、とりあえず上流、下流を通じて、国の直営でもつてこれを改修し、あるいは復旧するというお考えになつていただけるものでしようか、いかがでしよう。
  33. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 具体的に、たとえば筑後川だとかいうような問題については、いろいろ調査もいたしております。復旧と同時に、改修の面についても調査を加えておりますので、その結果について、あらためて従来の取扱いと変更するところが出て来ると思います。これは考えられると思います。先ほど申しましたことは、全河川についてということは、今のところ考えられないのではないか、こういうふうに申したわけであります。
  34. 赤澤正道

    赤澤委員 特定河川についてのお話でございますが、これは特別委員会で非常に焦眉の急の論点の一つと考えられております。いずれこの委員会の方でさらに質問があると思いますので、重要な、しかもきわめてわずかな特定河川についての御考慮については、はつきりさせていただきたいと思います。
  35. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 この点については、調査の済み次第明確にいたしたいと思います。
  36. 赤澤正道

    赤澤委員 次に、やはりこれに関連をいたしますが、今日市町村財政——県も同じわけでありますが、非常に窮乏をいたしております。この原因の一つとして、過年度災害復旧をやりました場合、政府の方でも予算が伴わないものですから、火急を要するものはどんどん地方の公共団体で実施しております。二十三年の災害すら、少くとも政府の御計算の面では、行われていないものがかなり残つておる。市町村でもつて行いました工事に対する資金の利子の負担でも、相当巨額なものになつて参つておるのでございます。これは決して市町村の責任ではないのでございまして、国の財政措置そのものが遅れておるからこういう事態を起しておる。この利子補給の面について政府の方でどのようにお考えでしようか、ひとつお伺いします。
  37. 米田正文

    ○米田政府委員 お話のように、過年災がまだ大分残つておりまして、二十七年度末で一千億に達する過年災が残つておるのは事実であります。各府県及び市町村において仕越し工事と称しまして、政府から補助金の出るのを待ち切れずに、自治体で実施しておるものがございます。しかし、これは国の財政関係から補助金が出せないのでございまして、それを市町村あるいは県が単独で工事しておるというものについての利息については、まだわれわれの方で考えておりません。また現行の制度では、そういうふうに利子を補給するという方法もございません。
  38. 赤澤正道

    赤澤委員 これは地方では非常に大問題になつております。従いまして、こういう問題があまり取扱われていなかつたかとも存じますけれども、大臣におかせられては、この問題を御検討いただきまして、何らかの結論を、しかも市町村財政面を幾らかでもゆるやかにできるような方途をぜひ講じていただきたいと思います。  その次に、負担法の適用の範囲について、先ほどから問題になつております少額の工事範囲の拡張というか、金額を低下させるという問題でございます。これにつきまして、もちろん特別平衡交付金にたよるということが一番穏当であり、安全であるということは、私どもも承知はしております。しかしながら、特別委員会で非常に心配をいたしておりますことは、はたして予算措置がこれに伴うかどうかということでございます。これについて、建設省の御意見として伺う範囲では、要するに、この問題については、適用範囲をうんと拡張いたします場合には、件数も非常にふえる。これは額が小さくて、点々と至るところにありますから、当然そういうことになると思います。およその推定では、件数が五割ふえる。こういうことは、実に査定の面でも、まず現在の陣容をもつてしては不可能に近い。その反面これに要する経費の面では、大体五%見当のものだろう。だから、経費の面に比較して件数がこういうことになりますので、やはりこういうものを個々に金額を切り縮めてということはまずいということでございます。そういたしますと、これは正確な数字ではありませんけれども、建設関係の今回の災害に対する損失は、大体五百億ということが一応常識的に言われております。五百億のうちに、おそらくこれを含めてのことでありましようから、そういたしますと五%という計算をいたしますならば、大体二十五億という数字がここに出て参ります。二十五億全般の必要はありますまいけれども、一体特別交付金的な意味で、またただいま申し上げました負担法の適用範囲意味におきまして、大体平衡交付金としておやりになる場合の手当がどの程度可能であるか、これに対して大臣はどこまで御努力なさつているかが一応御所見を伺います。
  39. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 言葉を一応特別の平衡交付金と申しますか、あるいは補給金と申しますか、新しいものになるような関係から、これはいち早く、この方法がよかろうではないかというので大蔵大臣にも一応私申し出ました。大蔵大臣も、その方法はおもしろいと思われるというような御意見であつた。それで、大蔵省と話合いをいたしておるわけでございます。やり方それ自体については、大蔵省事務当局も、大体異議はないようであります。ただ、現在ある特別交付金の中からまかないたいというのと、別に追加しなければ無理だというところに意見がわかれている、かように考えております。その率は、私具体的にまだ申し上げておりませんが、内容において単価を拡張したと同じような扱いをすれば、結局災害復旧としては目的を達せられるのではないかと私は考えます。なぜそれだけを早くきめなかつたかという御意見が多かろう思いますが、先ほど申しましたように、そういう扱いをすべきものが——たとえば、熊本の問題についても、同じような扱いが私最もいいと思つております。規定の上で、都市災害であれば五割というのを、そういう今のような意味のことで、もつと率をよくするという考え方ができるのではないかと私は思つてつたのでありますが、他の省の方の関係で、やはり同じような問題もあるのではないか。そういうのにどの程度救済をするかということがきまらないで、建設省関係だけきめてしまうということはいかがかと思つてつたから、延びていたのであります。先ほど申しましたように、必要な工事は地元でどんどんやつてもらうことは必要である。それがために資金の融通もしてやる、こういうふうに私は考えておつたのであります。もし私の方だけを早くきめた方がいいということになれば、さしあたり大蔵省と折衝を続けて行くということですが、しかし特別平衡交付金という問題になつて来ますと、大蔵省では幾ら追加するかという考えに立てば、それは建設者の関係だけではなく、ほかの方にもあるから、それをまとめてからきめたいと、おそらく言うのではないかと考えております。
  40. 赤澤正道

    赤澤委員 ただいまおつしやる平衡交付金でなくてという意味は、財政補給金制度のことでございますか、それとも意味が違いますか。
  41. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 私、実はそういういろいろな補給金とか平衡交付金とかいうことを、はつきりしないものですから、あるいは違つていたらお取消し願います。私が申し上げましたのは、要するに特別平衡交付金であつて、それを災害復旧補助という形でなく、直接町村負担した分と同じ率のものをそれだけ交付すれば、結果として同じになることだ、こういうふうに考えておつたのであります。私に言わせれば、特別平衡交付金に違いない。ただ、それが現在すでに予算の上にあるものと、それ以上追加しなければ無理だろう——私は自治庁の肩を持つという意味ではなく、こういう特別のものだから、追加しなければ無理だろうという考えを持つておるのであります。ここはさいふを持つておる大蔵省か……。
  42. 赤澤正道

    赤澤委員 その点が非常に重大なことでございます。なるほどさいふを持つておる役所の方が違うわけですが、しかし、せつかく大臣の方で御努力になつておることでございますし、あるいは大蔵省の方も承知いただけるのじやないかと思うのですが、これについては非常に関心を持つておりますので、また別に特別委員会の方で、ひとつつ込んでお伺いいたしたいと思います。  さらに、いつでもこういう問題が起りますと、査定ということが問題になる。いつでも、査定が間に合わぬとか遅れるとか、なかなかそれだけの分量のものが一挙に査定できない。常に査定査定ということがつきまとう。先般これに対して、大野国務大臣現地で約束されて、閣議で大分たしなめられたとか、意見が衝突したとか、新聞にも現われておつたのでありますが、とにかく現地の方で現に困つておるのだから、とりあえず、そういつた金額で幾ら以上ということをきめないで、そういつたものを町村ごとにひつくるめたものでもつて考えて行こうということでございます。これについて、いろいろな御意見があつたのでございますが、一つの将来の方向、便法ともいえるでありましようが、査定々々といつても、事実この間の話では、現在の分量でさえ、すでに大半は机上査定に終つてつて、現在の建設省の機構としては、とうていこれをこまかくみんな査定してやれるべきものではない。これはまことにごもつともなことでございまして、また大蔵省の方では、怪しげな事業に対して金は出せぬ、厳密に査定をして来い、というようなお立場もあるでありましようが、私は、政治というものは、そういうものではないと思う。大野さんの行き方も、思い切つた考え方でありまして、私ども非常に感激もしておるわけでございますけれども、やはり査定ということにからんで、将来に向つての便法でございますが、大体府県からもくろみ書とか要望書というものを出して、建設省でもつて具体的に説明しなければ、おそらく河川局長さんも建設局長も、どの局長さんも納得されぬだろうと思います。ただ、そのやり方であります。設計までして、完全にこれでどうだというところまでさせなくても、一応のところを、市町村のものを県でもつて一応査定するわけでございます。それを本省に持ち込んだ場合には、多年の経験によつて、よかろう、この程度のものはまずやれということで実施をさせる。設計は、むろん建設省にもりつぱな技師の方々がたくさんいらつしやいまして、建設省で御設計になつたのが、あるいは一番いいのかもわかりません、また十分御検討をいただくのはけつこうでございますけれども、今日府県にもなかなかりつぱな技術者もおられます。だから一応これにまかせる。もちろん、まかせただけではいけないから、続いてすみやかに全国に係員を派遣なさつて、はたしてそれが防災に適用される事業であるかどうかということを、適時適切に御判断になつて現地でこれをどんどん処分して行かれる。もし疑義があつた場合には、これを本省に持ち帰つて、あの工事はこうなるべきだ、あれではいかぬというふうに、どんどん時宜に即しておきめになるということが、ものを取急いで運ぶ一つの方法であると思います。これについて、御見解を伺いたいと思います。
  43. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 今お話の通りであります。今回の災害地に参りましても、町村の事業でも県のものでも、必要なものはどんどん先にやつてくれ。いわゆる査定ということについては、厳重にはするけれども、あとからでもいいという意味でやつております。大体、お話の御趣旨とほとんど同じことになるのではないかと思いますが、しかし、査定は厳重にするということにして、あとからでも直すべきものは直すというやり方をしませんと、御承知のような、県によつてふつり合いのことができるということが推測されるのであります。今後これは一層厳重にして、しかし人員の関係もありますから、お話のように、前もつてすつかり済まなければいかぬというやぼなことは言わないで行きたい、こういうつもりでおります。
  44. 赤澤正道

    赤澤委員 将来の問題ですが、次官か米田さんに将来の方向について伺いたいと思います。
  45. 稲浦鹿藏

    稲浦説明員 今大臣が言われたと、同じ気分でやつております。たとえば、けさの問題ですが、長野県で災害が起りまして、そして道路が非常に寸断されておつて、孤立している村が点点とある。それで食糧を運ばなければならぬが、災害復旧の査定を待つてつては間に合わないというような、緊急なものがありました。それは早くやつてやれ、そのかわり現場の写真だけとつてもらえば、あとは県の技術者の設計によつて進めてもらう。その他のある程度猶予のできるものは、さつそく査定官を出すから——ところが、現在九州和歌山の方に行つておりますので、今ただちに出すことはできませんから、来月の大体十日ごろには必ず査定官を出す。それまで県で急いで、できるだけある程度の査定のできるような設計はしておいてもらいたいというような約束をいたしまして、大臣の言われるように、あまり小むずかしいことを言つて皆様に御迷惑はかけませんから、その点御安心願いたいと思います。
  46. 赤澤正道

    赤澤委員 大臣の口から、直接、ただいまそういう処置をどんどんおとりになつておるということを聞いて、たいへん喜ぶ次第であります。このことにつきましては、なお特別委員会の方に、私からも伝えさせていただきます。  その次の問題でございますが、熊本が一番論点の中心になつております。泥土の排除対策について、とにかく全額国庫負担でやつてもらわなければ、このどろだけは困るというのが、対策委員会の意見でございます。ことにこの問題については、現地の議員の人が多いものですから、実に卓をたたいて憤激して、ぜひこれに同調せいということでおやりになつております。しかしながら、やはり不合理なことを進めても、まずいことでもありますが、地元の議員の方々の熱意を、私たちは非常に身近に感じまして、何とか特別委員会としては、熊本地方、また門司、小倉、八幡地方の人たちのこういつた気持に報いなければならぬというような気持も半ばあるわけでございます。この全額負担とするということを特別立法措置でやることに、ぐんぐん進んで参つておるわけでございますが、大体都市災害について、こういつたことは、おそらく今までも予想されなかつたと思います。都市災害についての立法の方で救済ができるといたしますならば、別に今回の泥害について、さらに特別の立法をする必要もないのかもしれないのでございますが、これについての御見解をひとつお伺いいたします。
  47. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 熊本の例をとつていえば、私は全部やつてやるということでいいと思います。しかし、それがため特別立法をして、その範囲もわからなくて、どろの場合にはみな全額負担というような法律になつてしまつても困る、率直に申し上げて、そういう気持であります。熊本の場合のごときは、場合によつたら直轄でやつてもいいじやないか、経費の点からいつても、その方が一層よく行きはしないかと、いろいろ研究させおるのであります。すでに先般も菊池技監がずつと向うにおりまして、いろいろ打合せをして来たはずであります。私それを聞いておるひまもないのですけれども、私の率直の気持は、たとえば今度の御坊とか熊本の実情を見れば、それはこちらでやつてつてもいい、あるいは地方でやつて、国で全額見てもよろしい。それだけは言えますけれども、それに準じて、どこでもどろのものは全額ということになつてしまつても困る。こういうことは今の熊本のような場合、あるいは御坊のような場合の現状を見ますと、そういうような気持になりますけれども、今度は法律だぞというので責められるようなことになつても、どうかと思われる節がないわけでもない。その点は必ずしも特別立法をなさらなくとも、これこれの場所は今度は全額でやることとしたいというようなことを、特別委員会で決議されるということでもいいじやないかと私は思いますが、それ以上はどうも……。
  48. 米田正文

    ○米田政府委員 先ほど大臣お話になりましたように、熊本の泥土は、今度は特別な扱いで、国庫負担法及び都市災害を基準にして、それをスライドして法律補助をしようという、ほんとうに特別な措置として政府考えておるのでありまして、従来よほどのことでないと、流れて来た黄土あるいは流出土の排除についての国の補助というものはしないのが原則でございます。それで今度の熊本でわれわれの方でやつておる措置が非常になまぬるいようにお考えのようでありますが、これは非常に特別な措置として、こちらとしては考えておる次第であります。なお、今考えておりますのは、門司、小倉、八幡、あの地方の分を特別のものとしてこれも考えようという考え方をしておりますのと、最近は今の御坊、箕島等のもの——これは特別に入るかどうか、現地状態がはつきりしませんから、何とも申し上げられないのでありますけれども、これもとるとすればごく特別なものでありまして、一般には従来はとれないというのを原則にいたしておりますので、その点御承知おき願いたいと思います。
  49. 赤澤正道

    赤澤委員 ただいま大臣から、まことに血も涙もあるおとりはからいを考えていただいておるということを聞いて、非常に喜ばしく思う次第でございます。これも、実は大臣も、いつまでも大臣の職にいらつしやるでありましようけれども、また人がかわられたりなんかしたら、元からむし返さなくてはならないというようなことになるかもしれません。やはりそういつた点も夫は気がかりの方もあるようでございますし、極端に言えば、ほつておいても十年もたてば、ほこりで飛びもいたしましようし、水で流れもする、自然自然に、ねずみがものを引くように、やつかいだから町の人が出て片づけもするし、消えてなくなるかもしれません。しかしこういうことに放置するということは、許されないことでもあると思いますし、極力直轄でも何でもけつこうでございますから、やつていただかなければならぬのでございますが、ただ、さつき瀬戸山委員からもお話がありました、これの事業主体が、はたして直営か、県あるいは市がやるかということであります。一昨日までの御説明では、実は金の方は県へ渡るのだけれども、事業の方はどんどん機械力を用いて建設省の直営でやるんだ、なに、このくらいのものは、一箇月ぐらいで処理してみせるといつた非常な意気込みで、はなはだ痛快な話を聞いたのでございます。八月一ぱいと聞きました。しかしそういうことはともかくといたしまして、実はこれは大蔵省の方にあまり聞いていただきたくない話でございますが、この泥土を片づけるにつきましては、自分たちの商売もしなければならぬし、やむにやまれぬ立場から、あのどろどろの重いものを、みんな汗をかいて捨てるべく覚悟して努力をいたしておるようでございます。この無形の力というものは、莫大なものであると思う。こういうものを、かりに熊本市民が、そういつた自分たちの立場でなくて、とにかく国でやつてもらう、県でやつてもらうという考え方でほつたらかしておきましたならば、これは今の計算では二百四十万立米だとか五十万立米だとかいわれておりますが、それだけのものがそのまま残る。しかし施工してごらんになるならば、それほどの金額あるいは労働ではないんじやないかとも、私たち常識的に判断いたす次第であります。それでやはり県当局あるいは市当局といたしましては、早急に片づかないで、相当長い間かかるということなら、その間に自宅に堆積したものは道路まで持ち出さんならぬ、これもちよつと屋敷が広かつたらたいへんでございます。自宅なんかはけつこうでございますが、公共施設あるいは学校の教室の中にたまつたものはどうするか、あるいは公民館の中にたまつたものはどうするか、こういつた非常にやつかいな問題も実はあるわけでございます。そういうものについて、実は知事あるいは市長でも、とにかく自分たちの方でやつて、そこは適時実際困つておる県民、市民が潤うようにというようなお考えもあるやに、聞き及んでおるのであります。ところが、よし道路まで出しておけ、道路にある分は直営で運んでやるということは、あまりしやくし定規ではないか、実は今日ちよつと伺つたのでございますが、建設省直轄でおやりになつておるということと昨日まで承知いたしておりましたら、そうではなくして、やはり主体は県あるいは市でやつて建設省の方で協力をなさつている、機械も貸していらつしやるということであるようでございます。この問題につきましても、今度は直轄でないとなれば、最初の方は県に金をやるのだけれども、建設省で直轄でやつて最終的に計算すれば、数字はぴしやつと出て来る。これはやり方によつては一銭一厘も狂いはないでありましようし、地元においては、あつという間にどろも片づく、まことにけつこうなことでしようが、やはり県の方で、市の方で、これを県営、市営としてやりたいという意向が強いようでございます。そうすると、ここに何ほどの補助が得られるかという問題になつて参るわけでございますが、大体将来、実際のところどんなふうにお片づけになるつもりでございますか。これはどなたでも御関係の方でけつこうでございます。
  50. 米田正文

    ○米田政府委員 先ほどお話のありましたように、建設省が直轄でもという意気込みでございました。しかし現地に菊池技監が参りまして、いろいろ現地相談の結果、県が中心になつて作業する、建設省は協力をするという形で、機械及び人員を出動させるという方式になりました。これはやはり先ほどのお話のような条件でやりたいという希望は相当強うございます。現地では、そういう結果になつたのであります。現地からの連絡によりますと、実はこちらでいろいろ考えおる、先ほどからお話申し上げましたような相当高率な補助を、泥土作業についてしようという声は、まだよく現地に了解をされておらぬようであります。こちらからは、何回か連絡はしておりますけれども、今までにない取扱いでありますために都市災害という名前を聞いただけで、現地ではあれはもうどうせ補助を得られぬものだというような先入主が非常に強くあるものですから、そういう点で十分了解がつかないようです。そこでやはり時日がたつにつれて十分了解をすれば、私どもの方で考えておる八六%というような相当高率になるということがわかれば、納得すると思いますけれども、それが電話や手紙等の往復、なかなか了解が行つておらぬということが、今日いろいろ問題になつておる原因ではないかと思います。
  51. 赤澤正道

    赤澤委員 この問題について、建設省ではおそらくこの道路上あるいは公共の広場に推積しておるものをお考えになつておると思います。市民といたしましては、自分の居宅あるいは屋敷内にあるどろを、自分の力でもつて道路まで運んでおけば、片づけてもらえるということになると思うのでございます。しかし、ここに公共施設的なものがかなり多い。こういつたふうな泥土を排除するためには、かりに道路まで持ち出すといたしましても相当費用がかかる。これについては、かりにこれの補助をいたされるとすると、おそらく計算は全市における泥土ということでなくして、ただいま申しました道路だとか、あるいは大きい広場というようなところにあるもので御計算になると思いますが、そういつた方面のお手当はどんなふうにお考えになつておりますか。
  52. 米田正文

    ○米田政府委員 今われわれの方で考えております内容は、先ほどからお話のありましたように、公共施設上にあるものを対象にしておるので、宅地の中のものを道路に出すというのは、計算に入れておりません。個人所有地の中から出て来たどろを、道路までは自力で出す、それから先の片づけば、われわれの補助の対象にしたいという計算でございます。またそういう方針であります。
  53. 赤澤正道

    赤澤委員 そうすると、学校だとか公民館だとか、こういつた面のは、高率補助をやつていただけるわけですか。たとえば、学校の教室の床下は、床をはぐつてどろを出して——めくつたら床板がだめになりますから、そういつた面を整備するところまで、また校庭の分も含めて高率補助を見ていただけるのですか。
  54. 米田正文

    ○米田政府委員 公共施設と申しましても、実はそれぞれ財産の所管がございまして、県及び市の直接の公共施設だと、今の対象の中に入る。学校等については、まだ問題がございましたが、今大臣からも御注意がございましたので、もう一度よく打合せて研究いたしたいと思います。
  55. 赤澤正道

    赤澤委員 実は私ども最初に申しました通りに、特別委員会の方では、まだこまかいところまでせつぱ詰まつております。一応こういつたことは、政府の方で親心で考えていただけばけつこうなのでございます。ただこういつた面も、間もなく特別委員会の方で取上げますから、ひとつお考えおきをお願いいたします。時間がないので、委員長からも御注意を受けたわけですが、住宅の問題は後ほどに譲るといたしましても、残つておる二、三の問題について御意見をただします。  地すべりについてでございますが、これはただいま大蔵当局とも御折衝中であつて、白川、筑後川、嘉瀬川、あるいは地すべり等、特殊のものに、あるいはひどいものについて調査費か何か御要求になつて、至急調査をお進めになるように準備中であるということを実は承つておる。まことにけつこうなことでございますが、やはり地すべりには、何か法規の根拠があることが私は一応必要であろうと思う。ただこのことについて、根拠がないがゆえに、てんやわんやの状態ではないかと思う。今建設省からいただいた書類にすら、私らにはちよつと解せぬところがある。地すべりは、先般も私質問いたしましたけれども、やはりこれは国土の保全という面から、まず取上げられなければならぬ問題じやないか。ところが、この表現によりますと、「農林省の地に工事が同一地域に対して三分の二の補助がなされる見込みであるので、最悪の場合でも建設省に於ても補助率を三分の二にするのが適当であると考える。」建設大臣は非常に穏やかな性格をお持ちでして、万般考えていただいておるのでございますけれども、こういう問題について、農林省が先走つて建設省が付随して行くというのはおかしいのじやないか。私それについて、単にあげ足をとるということじや決してございませんけれども、ものの考え方、またそれから出て来る迫力の問題であると私は思います。特別委員会の方では、とにかく砂防工事並に三分の二の補助というところを、まずきめてもらいたいという意見が非常に強いのでございます。ただ、これを全額云々ということがまた盛んに出ておるのですが、全額でもつて一体何をやるかということになると、みんな案が立たない。ああいう地すべりをどう扱うかということは、将来の研究対象として取上げられて、しかも的確な方法を見つけて、しかる後にいろいろな予算措置等も講ぜられるべき性質のものであると思うのであります。河川についても、同じこういつた問題については、国土保全という今日の建設省の立場というものをもつと強力に押していただかなければ、何事もできぬ。この地すべりも、農林省にまかせておいて、地すべりをとめるつもりかどうかしらぬけれども、そういつたことはできぬと私は思います。やはりこういつた問題については、建設省の方でぜひ結論を出していただく、新しい立法措置が必要なら、そういつたものを緊急につくる準備をしてもらいたい。そうせぬと、また議員立法なんかが急激に出て参りますので、これについても省として、将来の問題でありますが、はつきりした見通しをつけていたただきいと思います。  いろいろまだ申し上げて、特別委員会の空気を反映いたしたい点もございますし、また委員会の方にもぜひ御出席願わなければならぬと思いますけれども、ただそういう方向に動いて参つております。ことにただいまの熊本の問題にいたしましても、特に地域を指定して、ここにまたちよつと出て来るんですが、全額国庫負担などということで、熊本出身の人の実に涙ぐましい御主張があるわけでございます。地域を指定する一応の案に到着しておるといいますのは、熊本市であるとか、あるいは門司市であるとかいうことで、公共団体そのものを表現いたしますと、憲法九十五条の住民投票に関係を持つて来ますから、今日のところは、まず地方を指定して、これに特例をつくろうじやないかといつたような空気もぐんぐん進んでおりますので、ひとつ御承知おきを願いたいと思います。大体そういつた空気がございますから、一応今日までの経過を申し述べて御参考に供する次第でございます。  これで私の質問は終ります。
  56. 米田正文

    ○米田政府委員 第二の、地すべり対策に関する法的措置についてという中で、あとの方に農林省云々と書いてある点、私どもの方の書いた意味ちよつと違いますので、お話申し上げる次第であります。  実は、現在全国各地で地すべり工事の要望があり、すでに実施をしておる箇所も十五箇所にわたつております。農林省でやつておるというのは、農林省が農地関係で地すべり工事を各地でやつておるという場合の、農地地すべりを三分の二で補助しておるという趣旨でありまして、北松地帯なり、あるいは阿蘇なり、あるいは今度の門司、小倉なりについて、農林省は三分の二で建設省が二分の一でという意味ではございませんから、その点でわれわれ遅れておるという意味ではございません。のみならず、門司、小倉、北松地帯及び阿蘇の地すべりの調査費は、大蔵省と話合いがつきましたので、調査を始めますし……。
  57. 赤澤正道

    赤澤委員 一千万円ですね。
  58. 米田正文

    ○米田政府委員 約一千万円のうち、これは河川と砂防でございます。地すべりを含んででございますが、これはもう少し足らないので、なお折衝を続けております。大体今話合いが進んでおるのは、その程度のことだと思うのでありますが、すぐ調査にかかることにいたします。
  59. 堀川恭平

    ○堀川委員 私は災害に関連して、時間がもう相当進んでおるので、大臣に一言だけお聞きしておきたいことがあるのであります。ほかではないのでありまして、御承知のように今回の古今未曽有の大災害によつて大臣あるいは建設省におきましては、相当御心労になつておるので、これが予算的措置についても、御苦心であろうと存ずるのでありますが、戦争中に災害をこうむつた、いわゆる戦災都市町村というものは、百何十とあつたのであります。これが戦災を受けて、そうして戦後におきまして、相当これに対して復旧工事の運動をいたしたのでありますが、御承知のように占領下でありましたために、戦災という文字に拘泥されて、司令部がこれに対する復旧費を認めなかつた、こういう問題がありまして、相当長引いたのでありますが、昭和二十四年に多少暗黙のうちにこれを認めることになりまして、昭和二十五年度から戦災復旧工事、いわゆる戦災事業費として五箇年計画が立つたのであります。そのとき、ちようどここにおられる八嶋さんも局長であつたのでありますが、二百一億というものを予定されたのであります。その後、二十六年には朝鮮のあの事変が勃発いたしまして、相当物価が高くなつた。そこで二百六十九億に変更されたのでございます。しかしながら、二十五年の支出額は三十四億、これが二分の一の国庫補助であります。二十六年は四十二億、二十七年は五十二億、二十八年も五十二億、いよいよ二十九年度が最終の年になつておるのであります、ちようど今がその最終の年になつておる二十九年度の予算を編成されるときだと思うのであります。そこで私は、この災害に関連すると思いますので、はつきりと大臣にお聞きしたい二とば、残る予算は八十九億になつておる。これは五箇年計画で行きますならば、来年度は最終年度であるのであります。大臣は必ず五箇年計画事業を完遂するために、二十九年度に予算を獲得される自信がありますか。また、してもらわなければならぬのでありますが、その点をひとつお聞きしたい、かように考えておるのであります。
  60. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 私といたしましては、計画の通り推進いたしたい、かよりに考えております。
  61. 堀川恭平

    ○堀川委員 大臣はさようにお考えになつておられましようが、万一これが獲得できなんだ場合には——承知のように、今度の災害によつて、事業費も相当高くなると思うのであります。八十九億でも、高くなつてなかなかできないと思いますが、その点はまたそりときといたしましても、もしもとればかつた場合には、大臣は何かにほかお考えがあるでしようか。
  62. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 もしもとれなかつた場合ということになりますと、今から予想いたしたくないのであります。——やつぱり予想いたしたくないという程度がいいようでございます。
  63. 堀川恭平

    ○堀川委員 それでは、またそのときに譲ることにいたします。どうもありがとうございました。
  64. 久野忠治

    久野委員長 ただいま論議せられました西日本災害対策の問題、さらに特例法規設定の問題等については、まことに重要でありますし、なお住宅等に関する問題も残つておるようでありますから、明日委員会を開くことといたしまして、本日はこの程度にて散会をいたします。     午後零時四十三分散会