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山下(榮)
委員 それでは私から
勤労者住宅建設促進法案の
提案理由とこの
法案の
概要を申し上げて、
皆様方の御賛成をお願い申し上げたいと存ずる次男であります。
ただいま
政府の
説明もございましたように、
わが国の
住宅の
不足は三百十六万戸に及んでいるといわれておるのであります。わけてその中で
勤労者の
住宅が百十九万戸
不足いたしているといわれておるのであります。
勤労者の
住宅不足は即
わが国の
産業の上に至大な
影響を与えております。すなわち
産業の
発展と生産の
能率増進の上に非常な悪
影響を与えていることは、いまさら私が申し上げるまでもないのであります。終戦後における
わが国の
産業発展が、
わが国経済の自立の上にいかに大きな役割を果さねばならぬかは、いまさら私が申し上げるまでもないことでございまして、これらの点から
考えまして、今
わが国に行われておりますところのささやかな
住宅政策では、とうていこれらを満たし得ることができないと
考えまして、ここに
勤労者住宅建設促進法案を
提出いたしましたゆえんでございます。
法案の内容は、
勤労者住宅を
建設するために必要な
資金を
長期かつ
低利で貸し付けまして、
勤労者の
住宅を
建設いたしたい。そうして
勤労者のために健康で、しかも文化的な生活を確保することのできる目的をも
つて、この
貸付業務は
住宅金融公庫が行うことといたしたいと
考えておるのであります。この法律で
勤労者と申しておりますのは、一般の私企業に従事する
労働者並びに
地方公務員、公共企業体等の職員、一般職の国家公務員、裁判官及びその他の裁判所職員、国家公務員、国家職員並びに保安庁の職員をい
つておるのであります。
本
法案の趣旨にかんがみまして、除外することが適当と認められるものにつきましては、主務大臣がこれを指定しし除外することができるようにいたしたいと
考えている次第でございます。従
つてこの法律案が通過いたしますれば、主務大臣は
勤労者住宅建設三箇年
計画案を作成いたしまして、
閣議の決定を求めなければならぬとしておるのであります。
政府は
勤労者住宅三箇年
計画を遂行するため必要な
資金の確保について、特別の考慮を払わなければならぬということにいたしておるのであります。
勤労者住宅建設三箇年
計画案の作成その他の重要事項を調査、
審議せしめるために、
建設省に
勤労者住宅建設審議会を置き、その
委員の構成は
関係者の代表として
建設、大蔵及び労働省の事務次官及び
労働者代表六人、
事業者代表三人、学識経験者三人としておるのであります。
公庫が
勤労者住宅または土地について
資金を貸し付けることができるものは、左の通りにきま
つておるのであります。法人格を有する労働組合、法人格を有する国家公務員もしくは
地方公務員の団体または、主として
勤労者を組合員とする消費生活協同組合で、その組合員または構成員に賃貸するため、
勤労者住宅を
建設する者、国家公務員共済組合で、組合員のうち消防、警察、監獄の職員のように組合の結成を禁止されている者等に賃貸するため
勤労者住宅を
建設するもの、
勤労者を組合とする
住宅組合、社宅として
勤労者住宅を
建設する会社等の法人。
貸付を受けられる
勤労者住宅の広さは九坪から二十坪までといたしたのであります。
貸付金額は会社等の法人の場合は六割、その他の場合は全額、十割といたしておるのであります。利率は会社等の法人の場合は五分五厘、その他の場合も五分五厘以下で、公庫が定めるものといたしておるのであります。また
貸付金の
償還期間は
耐火構造三十五年、簡易
耐火構造二十五年、木造、木骨防火構造が二十年といたしたのであります。さらに会社等の法人に対する
貸付金額は年間の
貸付総額の三割を越えないようにしなければならぬということにいたしておるのであります。その他おおむね
住宅金融公庫法と同趣旨の規定を設けておるのであります。
またこの
法案により
住宅金融公庫が行う業務を公庫が行
つている従来の業務と区別するために
住宅金融公庫法の一部を改正いたしまして、委託業務の準則、業務方法書及び事業
計画または
資金計画は、この法律に基く
貸付金の業務に関するものと、
住宅資金融通法による
貸付金の業務に関するものとを別個に定めなければならぬといたしたのであります。
登録税法を改正して、この法律による
貸付金で
建設し、または取得した
勤労者住宅またはその用地の登録については、登録税を非課税といたしたいと存じておるのであります。
地方税法を改正して、この法律による
貸付金で
建設し、または取得した
勤労者住宅またはその用地については、五箇年間固定資産税を非課税としたいという規定をいたしておるのであります。
大体以上の
概要を持
つた法律案を
提出いたした次第であります。冒頭に申し上げましたように、この法律は
わが国の
産業発展、生産増強のために、
勤労者の上にきわめて大きな
影響を与え、さらには国家
経済の上にも大きな
影響を与えるものとわれわれは
考えておるのであります。どうか各位におかれましては、この
法案に賛成されまして、一日もすみやかにこの
法案が可決され、
勤労者のためにこれが
実施に相なることを切望いたしまして、簡単でございますけれども私の
説明を終る次第であります。