運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-06-30 第16回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月三十日(火曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 内海 安吉君 理事 瀬戸山三男君    理事 安平 鹿一君 理事 山下 榮二君       逢澤  寛君   岡村利右衞門君       仲川房次郎君    松崎 朝治君       赤澤 正道君    村瀬 宣親君       志村 茂治君    三鍋 義三君       山田 長司君    中井徳次郎君       高木 松吉君    只野直三郎君  出席政府委員         建設政務次官  南  好雄君         建設事務官         (住宅局長)  師岡健四郎君  委員外出席者         建設事務官         (河川局次長) 伊藤 大三君         建設事務官         (住宅局住宅  鮎川 幸雄君         経済課長)         建 設 技 官         (河川局治水課         長)      山本 三郎君         専  門  員 西畑 正倫君     ――――――――――――― 六月二十六日  北海道防寒住宅建設等促進法案瀬戸山三男君  外三十八名提出衆法第一三号) 同 日  鳴瀬川改修工事施行に関する請願(佐々木更三  君紹介)(第一七七六号) 同月二十七日  北上川改修工事計画変更に関する請願只野直  三郎紹介)(第一八三四号)  大隅道路改修工事促進請願永田良吉君紹  介)(第一八四五号) 同月二十九日  国道四号線中浅虫、青岩橋間道路改係工事施行  の請願淡谷悠藏紹介)(第一九七四号)  亜炭採掘地帯における落盤災害復旧対策確立に  関する請願加藤鐐造君紹介)(第一九七五  号)  国道十七号線の一部変更に関する請願藤枝泉  介君紹介)(第一九七六号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十七日  十号国道改良事業実施に関する陳情書  (第四三六号)  工鉱業地帯整備促進法制定に関する陳情書  (第四七五号)  駐留軍労働者占領期間中の退職金現金化に関  する陳情書  (第四七六号)  国道並びに府県道管理権当該市町村に委任  することに関する陳情書  (第五〇八号)  住宅金融公庫融資額増額並びに借入手続簡素  化の陳情書(第五  〇九号)  公営住宅三箇年計画に基く住宅耐火構造とす  ること等に関する陳情書  (第五一〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  産業労働者住宅資金融通法案内閣提出第八九  号)  勤労者住宅建設促進法案山下榮二君外六十五  名提出衆法第八号)  北海道防寒住宅建設等促進法案瀬戸山三男君  外三十八名提出衆法第一三号)  九州地方における豪雨災害状況に関する説明聴  取     ―――――――――――――
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  まず九州地方における豪雨災害状況につきまして、政府より説明を聴取いたします。南政務次官
  3. 南好雄

    南政府委員 このたび北九州に発生いたしました梅雨前線は、六月二十五日の午前八時ごろから福岡、佐賀、大分、熊本の各県に、明治二十二年以来の、いわば六十年ぶりの大降雨をもたらしまして、二十八日に至つてもまだ降りやまないような状態でありまして、ほんとうに未曽有の惨禍を引起しておるのであります。  まず建設省所管河川につきましては、直轄河川といたしましては筑後川を初めといたしまして、遠賀川、菊池川等被害をこうむつておりまして、なお中小河川といたしましても矢部川、嘉瀬川、松浦川、大木川その他同地域中小河川はほとんど全部といつていいほど大部分が被害をこうむつておるというような状態であります。しかもこの被害も、筑後川におきましては、破壊箇所が四十数箇所にわたるという想像に絶しまする状態でありまして、その詳細につきましては、新聞その他の報道通り、まだ現地の通信が不通のために正確な資料が入手できないような状態でございまして、目下極力とれを努力しておるような状態であります。  これが原因につきましては、今回の降雨量が最高八百ミリと申しまする未曽有のものであつたこと、あるいは筑後川におきましては、久留米付近計画洪水量七メートル五八を一メートル二七も突破するような状態でございまして、主要河川改修が御承知通り国家財政の見地から全般的に十二分でなかつたことも、また一つの見のがせない原因でなかろうかと考えているような次第であります。道路住宅等被害につきましても、まだほんとうに正確な資料を入手しておりませんが、河川同様相当はなはだしい被害を受けておると考えておる次第であります。  応急対策といたしましては、建設省におきましては、災害発生後ただちにまず河川局長が二十七日の午前の飛行機現地に立ちました。午後におきましてだんだん詳細が判明するに至りまして、戸塚建設大臣みずから二十七日の午後三時の飛行機現地に参つておるような次第であります。そして地方建設局の幹部と一緒になりまして、現地において応急対策に遺憾なきよう期しておるような状態でございますが、まずとりあえず現地直轄河川につきまして、すなわち筑後川とか遠賀川とか菊池川というような川につきましては、本日の閣議を経まして、災害予備金から六億円を支出すべく手続中でございます。  なお府県災害につきましては、今日までに判明した金額は、府県報告によりますと約二百二十億といわれております。これは御承知通り融資でまかなうよりほかございませんので、ただちに財務当局緊急連絡をいたしました。そして政府におきましての災害対策本部現地すなわち福岡に設けまして、大野国務大臣おいでになり、大蔵省からも適当な係官が参りまして、とりあえず融資の形におきまして現地に必要な経費を支出できるような態勢を講じておるような次第であります。なおこまかいことにつきましては河川局次長がここに参つておりますので、もう少し詳細に次長から報告させたいと思つております。
  4. 久野忠治

    久野委員長 ただいまの政府説明につきまして質疑の申入れがあります。仲川房次郎君。
  5. 仲川房次郎

    仲川委員 今回の西日本災害は非常に大きなもので、遺憾に存ずるのであります。この洪水の問題についてでありますが、さきに建設省は前の大きな洪水標準としてあらゆる工事直轄して進めておいでになりましたが、今度はその標準よりもさらに上まわつたので非常に決壊が早かつたということを聞いております。こうした過去の体験を基調となさることは非常に案ぜられるので、そうしたことのないようにやつて行くことが必要であると考えます。これだけのことがあつたということは、たとえば堤防が七メートルでいいと思つてつたのが、水が八メートル、九メートル出たことが一つ原因であると思いますが、この点について、もしお考えがあつたらお答え願いたいと思います。
  6. 南好雄

    南政府委員 お答え申し上げます。今回のこの災害と申しますものは、正確な資料はございませんが、明治二十二年以来だそうでございます。やや正確な資料がそろつておりますのは大正十年の洪水であります。筑後川におきましては、大正十年の洪水のかなり正確な資料が残つておりますので、その資料基礎にいたしまして、筑後川工事を進めたわけであります。大正十二年以来いろいろの洪水対策災害対策を講じて参つたのでありますが、先ほども私御説明申し上げましたように、大正十年の洪水がもたらしましたいろいろの流水量の計算をいたしまして、たいてい大丈夫だろうという危険率考えまして、筑後川におきましては七メートル五八の堤防を築いてあつたのでありますが、今度の洪水は八百ミリというような大きな降雨量がございましたために、危険率を計算いたしまして、これなら大丈夫だと思つてつた堤防の七メートル五八をさらに一メートル三七も突破するというような状態から、こういうような災害が起きたような次第であります。過去の資料基礎にいたしまして、その資料から、あり得るいろいろのことを考えまして十分に対策を講じたつもりであつたのでありますが、今度の災害は、その危険率を突破してしまつたために、非常に災害が大きくなつたということも考えられております。
  7. 仲川房次郎

    仲川委員 七メートル五八というのを一メートル三七もオーバーしたということでありますが、それは水源地の山を伐採したというような治山方面の変化によつてそういうことになつたのか、あるいは雨が多かつたためにそうなつたかということについて御説明願いたい。
  8. 南好雄

    南政府委員 お答え申し上げます。元来大正十年時代の水源地山林状態と今日の山林状態とは、相当かわつていることと思います。しかし、水の出方と申しますものは、降り方の状態にもよりますし、いろいろの原因が重なり合つて、今度あたりは何でも毎秒二百立方メートルというような大きな雨量になつておるそうでありますが、そういうようなことになつたのであります。もちろん山の状態も、戦争中における無計画伐採によつて相当荒れておつたということも、相当大きな見のがせない原因一つではないかと思つております。
  9. 内海安吉

    内海委員 ただいま仲川君から御質問があつたのですが、とにかく明治二十二年以来の水害であるというので、国会だつて明治二十三年に初めてできたのです。河川法は二十六年です。そういうようなわけで、どうも前例がどうとか、どういう備えをしなかつたとかいうことを今ここで質問いたしましても、正確なる答弁を得ることは困難だと思いますが、先ほど政務次官説明によると、とりあえず大蔵省と折衝して六億の金を出しで何とかまかなうことにしておる、遺憾なきを期するというようなお話でありますが、単にその六億だけでなくて、さらに進んで、あるいは五百億といわれ、あるいは一千億といはれるこの被害に対して、建設省として、道路河川等に対しても、思いつきでなく、今日までの考えがありましたならば、政務次官でなくても、次長けつこうでございますから、今までこういう問題が起ることをあらかじめ予想されまして、こういう場合にはこうして行きたい、将来はこうやりたいというようなことを、この機会において一言御説明願えればけつこうだと思います。
  10. 伊藤大三

    伊藤説明員 河川の根本的な計画につきましては、時々刻々われわれといたしましても新しい資料を集め、その新しいデータに基いて、次の計画に次次と進んでおるわけであります。先ほどの六億という問題でございますが、これはとりあえず現在直轄でやつております河川決壊箇所応急の締切り並びに、応急手当ということで一応お願いしたわけでありまして、なお精査の進む限り、こういう緊急対策費をさらに追加をお願いしなければならないと存じておるのであります。これはとりあえず第一段階としてまず雨が上ればすぐこれだけの手当をするというわけでとりましたわけでございます。  次に根本的な改修の問題につきましては、筑後川につきましても、その後いろいろの資料を集めまして、従来の計画先ほど申しました五千立方の流量を流すという考え方から進めておつたのでありますけれども、お話にございましたような山の状態もあり、最近の雨量のいろいろのデータも調べまして、これをさらに七千ぐらいに上げて根本的な改修計画を立てようというわけで、これの一応の案ができ上つたのであります。  なおこれにつきましては、この改修方式をどう行くかという問題についても、現在の河川の流域のあの開けた状態等から考えまして、堤防を広げるというような行き方はなかなか困難でありますから、流量増加——これは最近のはやり言葉で言えば、ダム方式によりまして、上流においてためたい、こういうような計画を立てております。こういうような計画を次から次とあらゆる河川について立てて参りたい。すでに大きな川十本につきましては、その計画を立てておりまして、これが改修事業化について努力をいたしておるわけであります。  なお今後の問題につきましては、こういうような実例もございますから、至急あらゆる河川につきまして計画の再検討をいたしまして、治水事業継続化ということに力をいたし、思い切つて金を出していただいて、われわれの方をして安心をして工事を担当し、責任をもつてその工事が遂行できるようにやつて行きたいと存じておるわけであります。
  11. 内海安吉

    内海委員 昨日首相官邸において、国土総合開発審議会の第一回の会合を開いたのでありますが、ちようど今問題になつておる北九州と同様のことを予想しまして、すでに昨年の国土総合開発審議会において、本土においてはまず北上川を取上げ、昭和二十八年度より実行することになつたのであります。ところがここに提案せられたるところの案を見ますと、第一に最上川である、第二には利根川である、そうして第三には天竜川といつたような、関東地方中心とした計画はできておるようであるけれども、九州方面の問題については——輿論としてはどうかわかりませんけれども、正当なる機関、少くとも水系を基本としてやるところの国土総合開発、すなわち河川基本としてやるところの計画としては、一向取上げておらぬようでありますが、この点に対する建設省考えはどうでありますか。
  12. 伊藤大三

    伊藤説明員 ただいまの九州の問題でございますが、先ほど申し述べましたように、筑後川に対しますいわゆる荒筋の河川計画につきましては、河川局としましては、二十三年の——これは公式の機関ではございませんが、治水調査会に諮りまして案を立てておるのであります。ただ地方の特定の地域計画につきましは、国土総合開発法建前からいたしまして、地方の盛り上つた力でこれをつくり上げるという形式をとつておりましたために、なかなか進行いたさなかつたのでございますが、幸い最近国土総合開発法の改正もございましたので、一段とこの熱が地方にも上り、また今回を機会としてこの熱もさらに高まるものと思います。中央におきましてもこの際この筑後を中心としました根本的な河川改修計画につきまして指導をし、地方においても計画を立てて推進したい、こう存じておる次第でございます。
  13. 仲川房次郎

    仲川委員 九州地方災害地直轄河川をやつております場所は、ちようど最近その工事の竣工を見た箇所、なお現在施行箇所のある工事が、建設省建設計画より一メートル三〇の水がオーバーしたとのことで、被害が甚大であつたことはまことに遺憾です。私は今後の災害復旧工事に対しましては、十二分にそういうようなことをよく検討して、再び繰返さないよう、完全なる計画のもとにやつてもらいたい。橋梁なんかはみな五十倍以上の安全率を見ておりますが、河川工事取扱いにつきましは、建設省計画が非常にルーズではなかつたか。現在やつておる工事がさような計画になつておるということを考えますと、非常に不安を感じますので、ぜひとも今後、財政的関係もありましようが、こうした工事をやるときには百年の大計を立て、再びこういうことにならないように御注意願いたい。
  14. 久野忠治

  15. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 一つだけお尋ねしておきますが、先ほど河川局次長から、ダム方式によつて云々というお話がありました。この筑後川上流ダムを築造して、この流水を調節するという計画があるやに聞いておりますが、ところがそれが福岡県と大分県との県の関係で、その計画が非常に行き悩んでおるということを聞いておるのです。そういうふうに国全体のこういう重大問題を起すものについて、県の境がどうである、こうであるということは、きわめて遺憾に思うのですが、実情はどういうふうになつておりますか。
  16. 伊藤大三

    伊藤説明員 筑後川洪水調節予定地としておりますところは、今お話のありましたように福岡県になくて大分県にございます。場所は大体久世畑というところだと思います。この場所の大体水没地は実は五百戸以上もございますような実情でございまして、現在の耕地の関係並びに家屋の移転ということはなかなか困難を伴います。特に一府県内においてすら、その問題が解決が至難でありますところへもちまして、両県にまたがつておるということが、実際上この問題の解決をさらにむずかしくいたしておるわけでございます。しかしながら今回の水害現状から見まして、これを両県の争いにまかせておくということはとうていできないことでございまして、われわれといたしましても、従来からその問題については、両県にそれぞれできるだけ勧めておるわけでございましたが、今回を契機といたしまして強く両県に働きかけ、特に大分県に対しては福岡県として十分なるお願いをせられまして、それについていろいろの補償の問題やなにかにつきましては、福岡県が十分協力するという建前から進んで、ぜひこれを実現いたしたい、こう存じておる次第でございます。
  17. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 今度の災いを転じて福となすというような考え方熱意を持つておられるというのでありますが、私はその熱意を実現さしていただきたい、こういう考えを持つております。もちろんダムをつくる場合には、いついかなる場所においても、今のような問題が起つております。しかし日本内の河川が各県を通過することは当然でありまして、県の地域が違うというようなことで、かような重大な災害を起すようなことは、国として許されないことだと思います。全然話は違いますけれども、たとえば軍事基地と申しますか、これが今各地で問題になつております。内灘の問題でもそうであります。ああいう場合には、ほとんど強権をもつてでもそれを実施に移している。五百戸の家が埋没することは、その土地に住んでいる人にはもちろん重大問題でありますけれども、しかし国全体からいえば、その五百戸の埋没地域の問題のために、十何万戸という災害を受けている。先ほども御報告がありましたように、一千億になんなんとするような重大な問題を起しておる。軍事基地とこれと関連させて申すのはおかしいのでありますけれども、そういうときには政府はあくまでも強行するが、こういう日本経済財政、民生の安定に重大な結果を起すものについては、一向役所はただ県の態度がどうであるというようなことを言うのであります。それもある程度理由はありますけれども、こういうことこそ政治の力でその地方の住民を納得させて、将来の災害を防ぐために努力をされんことをお願いしておきます。
  18. 久野忠治

    久野委員長 質疑継続一いたします。安平鹿一君。
  19. 安平鹿一

    安平委員 先ほど次官の説明によりますと、現在建設関係で支出を予定されておるのは六億円である、しかもその必要経費は必要に応じてどんどん出して行きたい、こういうふうに言われておりましたけれども、これはさしあたつて九州地方だけですか。私が愛媛県だから言うわけでないのですが、九州以外の愛媛広島等でも、前の麦の場合じやなくて、あとの今度の九州と同時の水害が非常に大きいという報告を受けているのですけれども、その方へはその六億円のうちからどのくらいまわす予定になつておりますか。九州だけで六億円なのか。
  20. 南好雄

    南政府委員 お答え申し上げます。先ほど私御説明申し上げました六億円と申しますのは、九州地区におきまする直轄河川経費でございまして、中国、四国におきましても漸次直轄河川その他について、相当の損害が発生いたしました由に聞いておりますので、次善の策といたしましてこれらのものを一貫して大きな計画を立てなければならないのじやないかと考えております。しかし何と申しましても、今度の災害は御承知のように北九州筑後川遠賀川、というような直轄河川が主として氾濫したように、きのうあたり状態では判明して参つておりました関係から、とりあえずともかくこれらの川の応急措置を六億円でやろうというようなふうに閣議へ申請したようなわけでございます。
  21. 安平鹿一

    安平委員 ここに付録になつておる表で見ても、愛媛県は相当多いのです。これは決して自分のところだけ言うわけじやないが、九州方面だけに目を奪われて、他を顧みないというような弊の起らないように公平にやつてもらいたい。とかく政治力が物を言つて先ほどこちらで質問したように、へんな取扱いがあるというようなことのないように気をつけてもらいたい。
  22. 久野忠治

    久野委員長 他に御質疑はございませんか。——質疑なきものと認めます。     —————————————
  23. 久野忠治

    久野委員長 次に、産業労働者住宅資金融通法案及び勤労者住宅建設促進法案を一括して議題となし、順次提案理由説明を聴取いたします。南政務次官
  24. 南好雄

    南政府委員 産業労働者住宅資金融通法案につきまして、その提案の趣旨及び法案概要を御説明申し上げます。  申すまでもなく現在の住宅難はきわめて深刻でありまして、これが解決わが国の当面する内政上の大きな問題となつているのであります。特にこの住宅難わが国再建の原動力となつている勤労者において最もはなはだしく、これらの人々の生活安定はもちろん、勤労能率に対しても重大な影響を与えている次第であります。政府におきましては、このような住宅事情に対処し、従来から各般の施策を講じ、その最も重要なものとして低家賃公営住宅及び住宅金融公庫融資住宅建設努力して参つたのでありますが、この際、さらに住宅政策を積極的に進めて、勤労者の福祉を増進し、産業発展に寄与するため、産業労働者住宅建設促進をはかる必要があるものと考える次第であります。すなわち、国と事業者の協力によつて産業に従事する労働者に対し低家賃住宅を供給するために、労働者のための住宅建設しようとする事業者等に対し、住宅金融公庫を通じ長期低利資金融通することを目的とする本法案提案いたすこととした次第であります。  本法案により資金融通を受ける者は、その使用する産業労働者に対して住宅建設しようとする事業者及びこれらの事業者にかわつて労働者のために住宅建設しようとする会社その他の法人でありまして、資金貸付の限度は建設費の五割、貸付利率は年六分五厘、償還期間耐火構造住宅及び簡易耐火構造住宅については二十五年以内、木造住宅については十五年以内といたしております。  この法案に基き、昭和二十八年度におきましては、住宅六千五百戸分二十億円の貸付予定いたしております。特に、住宅の質の向上をはかる意味におきまして、融資あたりましては耐火構造アパート建設に重点を置きたいと考えております。  以上本法案提案理由法案の骨子につきましてその概要を申し上げました。なお、この法案施行に伴い住宅金融公庫法の一部を改正する必要をも生じましたので、これにつきましても改正いたしたいと存じております。何とぞ慎重御審議の上すやみかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  25. 久野忠治

  26. 山下榮二

    山下(榮)委員 それでは私から勤労者住宅建設促進法案提案理由とこの法案概要を申し上げて、皆様方の御賛成をお願い申し上げたいと存ずる次男であります。  ただいま政府説明もございましたように、わが国住宅不足は三百十六万戸に及んでいるといわれておるのであります。わけてその中で勤労者住宅が百十九万戸不足いたしているといわれておるのであります。勤労者住宅不足は即わが国産業の上に至大な影響を与えております。すなわち産業発展と生産の能率増進の上に非常な悪影響を与えていることは、いまさら私が申し上げるまでもないのであります。終戦後におけるわが国産業発展が、わが国経済の自立の上にいかに大きな役割を果さねばならぬかは、いまさら私が申し上げるまでもないことでございまして、これらの点から考えまして、今わが国に行われておりますところのささやかな住宅政策では、とうていこれらを満たし得ることができないと考えまして、ここに勤労者住宅建設促進法案提出いたしましたゆえんでございます。  法案の内容は、勤労者住宅建設するために必要な資金長期かつ低利で貸し付けまして、勤労者住宅建設いたしたい。そうして勤労者のために健康で、しかも文化的な生活を確保することのできる目的をもつて、この貸付業務は住宅金融公庫が行うことといたしたいと考えておるのであります。この法律で勤労者と申しておりますのは、一般の私企業に従事する労働者並びに地方公務員、公共企業体等の職員、一般職の国家公務員、裁判官及びその他の裁判所職員、国家公務員、国家職員並びに保安庁の職員をいつておるのであります。  本法案の趣旨にかんがみまして、除外することが適当と認められるものにつきましては、主務大臣がこれを指定しし除外することができるようにいたしたいと考えている次第でございます。従つてこの法律案が通過いたしますれば、主務大臣は勤労者住宅建設三箇年計画案を作成いたしまして、閣議の決定を求めなければならぬとしておるのであります。政府勤労者住宅三箇年計画を遂行するため必要な資金の確保について、特別の考慮を払わなければならぬということにいたしておるのであります。勤労者住宅建設三箇年計画案の作成その他の重要事項を調査、審議せしめるために、建設省勤労者住宅建設審議会を置き、その委員の構成は関係者の代表として建設、大蔵及び労働省の事務次官及び労働者代表六人、事業者代表三人、学識経験者三人としておるのであります。  公庫が勤労者住宅または土地について資金を貸し付けることができるものは、左の通りにきまつておるのであります。法人格を有する労働組合、法人格を有する国家公務員もしくは地方公務員の団体または、主として勤労者を組合員とする消費生活協同組合で、その組合員または構成員に賃貸するため、勤労者住宅建設する者、国家公務員共済組合で、組合員のうち消防、警察、監獄の職員のように組合の結成を禁止されている者等に賃貸するため勤労者住宅建設するもの、勤労者を組合とする住宅組合、社宅として勤労者住宅建設する会社等の法人。貸付を受けられる勤労者住宅の広さは九坪から二十坪までといたしたのであります。  貸付金額は会社等の法人の場合は六割、その他の場合は全額、十割といたしておるのであります。利率は会社等の法人の場合は五分五厘、その他の場合も五分五厘以下で、公庫が定めるものといたしておるのであります。また貸付金の償還期間耐火構造三十五年、簡易耐火構造二十五年、木造、木骨防火構造が二十年といたしたのであります。さらに会社等の法人に対する貸付金額は年間の貸付総額の三割を越えないようにしなければならぬということにいたしておるのであります。その他おおむね住宅金融公庫法と同趣旨の規定を設けておるのであります。  またこの法案により住宅金融公庫が行う業務を公庫が行つている従来の業務と区別するために住宅金融公庫法の一部を改正いたしまして、委託業務の準則、業務方法書及び事業計画または資金計画は、この法律に基く貸付金の業務に関するものと、住宅資金融通法による貸付金の業務に関するものとを別個に定めなければならぬといたしたのであります。  登録税法を改正して、この法律による貸付金で建設し、または取得した勤労者住宅またはその用地の登録については、登録税を非課税といたしたいと存じておるのであります。  地方税法を改正して、この法律による貸付金で建設し、または取得した勤労者住宅またはその用地については、五箇年間固定資産税を非課税としたいという規定をいたしておるのであります。  大体以上の概要を持つた法律案を提出いたした次第であります。冒頭に申し上げましたように、この法律はわが国産業発展、生産増強のために、勤労者の上にきわめて大きな影響を与え、さらには国家経済の上にも大きな影響を与えるものとわれわれは考えておるのであります。どうか各位におかれましては、この法案に賛成されまして、一日もすみやかにこの法案が可決され、勤労者のためにこれが実施に相なることを切望いたしまして、簡単でございますけれども私の説明を終る次第であります。
  27. 久野忠治

    久野委員長 これにて提案理由説明は終りました。  なお志村茂治君外七十名提出産業労働者住宅公社法案は、印刷の都合上本委員会への付託が遅れておりますので、その付託を待つて法案を一括して質疑に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 久野忠治

    久野委員長 御異議なきものと認めます。それではさよう決定いたします。     —————————————
  29. 久野忠治

    久野委員長 次に北海道防寒住宅建設等促進法案を議題とし、提案者より提案理由説明を聴取いたします。瀬戸山三男君。
  30. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ただいま上程になりました北海道防寒住宅建設等促進法案につきまして、その提案の趣旨及び法案概要を御説明申し上げます。  昭和二十五年北海道開発法が制定せられ、北海道の総合的な開発の国家的な重要性が認められたのでありますが、その基本的要件として、居住条件の改善がまづ第一に取上げられねばならぬ問題であります。  御承知のように、北海道においては寒冷がはなはだしく、他の地方とはまつたく異なつた自然的条件にあります。しかるに従来の木造住宅はまことに粗末なものが多く、このため一冬の採暖のために要する燃料は、石炭で三トン以上まきの場合には、実に住宅一月分に相当する木材を使用するという状況であります。従いまして火災の発生件数も多く、また寒冷な気象による凍上、積雪のために起るすが漏り等、特殊な現象により、木造家屋の耐久年数は内地に比して、著しく低くなつております。  これらを改善するためには、北海道における住宅は、どうしても不燃防寒構造とする必要があります。たまたま北海道においては火山灰地が多く、比較的低廉なブロック造建築をつくるのに恵まれた条件にあります。この方法によれば、木造と大差ない価格で不燃防寒住宅をつくることが可能であり、燃料費等を考え合せれば、かえつて経済になるとさえいわれております。  本法におきましては、北海道の気象条件に適する不燃防寒住宅の構造設備を研究し、これを一般に普及することに対し国家的な助成をすること、住宅金融公庫より融資される住宅は不燃防寒構造のものに限り、そのかわり償還期間の若干の延長を認めること、並びに公営住宅その他国または公共団体の資金により建設される住宅は努めて不燃防寒的なものとせねばならぬ旨を規定しております。  これにより北海道に不燃防寒住宅が普及いたしますれば、北海道の開発に寄与することが大であるばかりでなく、今まで燃料としてむだに使用せられていた、貴重なる木材を節的するためにも大いに役立つこととなります。しかして、これらはいずれも戦後日本の重要課題の解決に寄与するところ大なるものがあると考えられるのであります。  何とぞ各位におかせられましては、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第でございます。
  31. 久野忠治

    久野委員長 これにて提案理由説明は終りました、質疑に入ります。順次これを許します。村瀬宣親君。
  32. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 この法案はむしろおそきに失したくらいでありまして、最も機宜に適したものと思うのでありますが、この法案運用の場合に疑義を残さないために二、三質問をいたしておきたいのであります。  ただいまの提案理由の御説明にありましたが、この方法によりますと、木造と大差ない価格で不燃防寒住宅をつくることができるという御説明でありましたが、大体数字の上でどのようになるでございましようか、それからまず伺つておきたいと思います。
  33. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 今のお尋ねでありますが、一つの例をとつて説明申し上げますと、北海道の建築費は、御承知のように金融公庫におきましても建築単価が高く認められておりまして、木造住宅で三万三千円、簡易耐火構造住宅で四万五千円程度ということになつておりますが、御承知のように木造が八割の融資になつており、簡易耐火構造住宅が八割五分となつておりますから、木造の場合は十五坪の家を建てるといたしまして頭金が九万九千円、簡易耐火構造になりますと十万一千二百五十円となつておりますから、北海道にとつては非常に効果のある適切な簡易耐火構造住宅を建てるにいたしましても、それほど建築費に大きな負担はかからないという実情になつております。  それからこれの償還年限を多少延長いたしておりますので、十五坪の例で申し上げますと、木造住宅は当初におきまして月額三千六百五十五円の償還になつておりますが、簡易耐火構造住宅、この法律では防寒住宅といたしておりますが、これは当初の月額償還金が四千二百三十三円で、五百七十八円の負担増に相なつております。しかし、これは先ほど提案理由でも申し上げましたように、北海道においては一冬三トンの石炭が必要とされておるそうでありますが、簡易耐火構造、いわゆる防寒住宅の場合には、採暖の費用、まあ石炭費と申しますか、その二分の一、小さく見積りましても三分の一の節約ができる。その燃料費の節約を概算いたしてみますと、一冬一トン節約したといたしましても、月平均六百六十七円の採暖費、石炭費の節約ができる。これを差引計算をいたしますれば、こまかい計算でありますけれども、実質的には八十九円の生活費の軽減ができる、こういう状態に相なつております。
  34. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 きわめて合理的な正しい数字を拝承いたしまして、非常に安心をいたしました。  そこでなお承つておきたいと思いますのは、今まで北海道には住宅金融公庫によつてどのくらい建築ができたでありましようか。そして今の説明によりますと、十五坪のものならば八十九円ずつ毎月負担が軽くなるというのでありますから、この法律ができまして、木造に対しては一切融資をしないという禁止規定が励行されましても、何ら一般の家を建てる人には無理が行かないはずであります。しかし北海道も広いのでありますから、こういう火山灰等の非常に手に入りにくい土地とか、あるいは木材が局所的に非常に余つておるというような関係で、この法案実施されましたときに特に不便を感ずるというところがあるかどうか。またそういう場所がもしあるといたしますならば、そういう地方で今まで住宅金融公庫融資で建てておつた家屋はどのくらいのものであるか、おわかりになりますれば、これを御説明願いたいと思います。
  35. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 まず第一に、金融公庫からどのくらいの融資住宅を北海道に建設しているか、こういうお尋ねでありましたが、ここに出ております資料昭和二十七年八月末までの統計でありますが、これによると昭和二十五年度は融資の申込みが四千百四十九件でありまして、貸付の承認されましたのが千五百十七件であります。それから昭和二十六年度もやはり申込みが三千三百八十二件、それに対して融資を承認されたのが五百六十四件であります。昭和二十七年度は融資の申込件数が七千百三十八件、それに対して融資の承認を受けましたのが千三百七十四件ということになつております。  それからこの法案の中には、金融公庫からは、いわゆる防寒建築以外外の木造建築には貸出しをしないという規定があるが、北海道も広いのだから、あるいはそういう材料に乏しいところもあるであろう、また木材があり余つているから、それでやりたいという者もありはせぬかという御懸念であります。もちろん北海道は広いところでありますから、そういうこともあり得るだろうと想像されますが、道庁の研究によりますれば、北海道にはいわゆるブロック建築資材が相当各地に散在しておるそうであります。北海道庁は御承知のように耐寒建築の研究所を設けまして、今日まで相当の研究をして、その建築の普及に努めております。道庁といたしましてはそこまで熱意がありますので、もちろん住民にできるだけ不便をかけないように努力すると思いますが、それでも先ほど御懸念になつたことは起り得る可能性があると思います。そこで一応そういう状態もありますので、この法律の附則にもあります通り、住宅金融公庫の制限規定につきましては、附則の第二項に「この法律の施行の日から起算して一年を限り、政令で指定する地域内において建設をする住宅については適用しない、」という緩和の規定を置いておる次第であります。
  36. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 もう一つお尋ねしておきたいと思いますのは第三条でありますが、「国は、防寒住宅建設もしくは防寒改修又はこれらに関する試験研究若しくは普及事業を行う者に対し、財政上、金融上又は技術上の援助を与えるように努めなければならない」となつておりまして、一つの道徳規定のようなものになつておるのであります。その内容は第四条、第五条にあるのかもしれませんが「援助を与えるように努めなければならない」というようなことがやはり必要なんでありましようか。四条、五条が内容ならば、三条を特に置かれた理由を承りたいと思います。
  37. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 第三条は一種の精神規定のようではないか。まさにその通りであります。できれば、こういう公営住宅についての補助率を、もう少し他の振合いよりも引上げてやつたらどうかというようなことに相なると思いますけれども、今の日本財政、それから国内の事情からは、特に北海道だけについて公営住宅の補助率を引上げるということはきわめて困難であろうという考えもあります。さらに地方公共団体に対して特別な助成をいたす、いわゆる特別な権利を与えあるいは特別な義務を与えるということになりますれば——北海道の行政団体についてそういう問題が起るとしますれば、例の憲法の住民投票の問題の規定もありますので、さようなことをいたさない方がよかろうという立案者の考え方であります。そこで、第三条はあつてもなくてもよろしいような規定ではないか、こう仰せられるのはごもつともでありますが、このような特別の地域について今日まで相当の立法がされておりますが、いはゆる立法例と申しますか、いずれもこういう一つの精神的な規定を設けておるのであります。それと同時に、これは精神規定のようでありますけれども、先ほど住宅に関する法案が三件も上程されるよううな事情でありまして、日本の今日の政治の大きな課題は住宅政策であります。そこで北海道についてこの特別の住宅政策の法律を立案いたしまして、かような規定を設けておくことは、住宅政策に対する熱意を持つて国は必ずやるであろうという考えのもとに規定いたしておるわけであります。
  38. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私もその精神は非常に大賛成なのでありまして、先年当建設委員会から北海道の調査に参りましたときにも、名前は忘れましたが、個人でいろいろ防寒住宅を熱心に研究しておる人があつて建設委員一同と写真を写したりなどして、その労をねぎらい、将来の研究発展を激励して帰つたようなことも思い出すのでありますから、このこと自体は非常によいことと思うのでありますが、ただ条文としてあつてもなくても別にこの法案全体に対する影響はないというような感じもいたすのであります。そこで問題は、第四条の、地方財政法第十六条の規定に基く補助金を交付するというところが中身であります。大体においてどのぐらいのものを予想なさつておりますか。多々ますます弁ずるのではありますが、これは第五条による計画書、経費見積書等によるわけでありましようが、やり方によれば実に厖大な国家事業になるのであります。これに充当し得る予算といいますか、大体の見当はおつきなのでありますか。あるいはどんなにたくさんでも、それが国のために必要であるならば、あるいはまた世界的大発見、大発明にも資し得るならば、何ほどでも出そうというお心構えがあるのでありましようか、お伺いしたいと思います。
  39. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 第四条の、いわゆる試験研究等に対する国家の助成の問題でありますが、もちろんこれは多々ますます弁ずるということになればけつこうでありますけれども、国全体の財政がさように相なつておりません。特に北海道庁では、先ほども申し上げましたように、この試験研究所を設けて試験研究をやつて普及をはかつている状態であります。それについて、御承知のようにただいま審議中の昭和二十八年度の予算におきまして、北海道住宅改善研究費補助金として九十四万六千円、それから北海道立ブロック建築指導所整備費補助金といたしまして二百万円を計上いたしておる状態であります。これによつてこのブロツク建築指導所の整備をはかるとともに、その研究費についても助成をする、こういう程度のものであります。もちろん、その成果があがりまして建築指導所の設備をもう少し拡充するという場合、あるいは研究費の額がよけいいる、こういう場合は、それに相応する予算をできるだけ国から助成していただきたい、こういう考えであります。
  40. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 最後に、今の御答弁でちよつと伺つておきたいと思いますのは、二十八年度予算に、お話の通りの二項目にわたつて約三百万円ほどが計上されてありますが、これはこういう法律が通らなくても、予算が通過すれば支出し得るものと思うのでありますが、この予算の金額とこの法律と何か特殊な関係があるのでありますか、それを伺いたい。
  41. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 もちろん試験研究だけの問題でありますれば、法律はなくとも行政上の措置でできないことはないのであります。ただ北海道の特殊事情によりまして、かような防寒住宅をできるだけ多く建てて北海道の住民の生活に資する。それと同時に、冒頭に提案理由で申し上げましたように、北海道開発の一助にする、こういう大きなねらいでありまして、特に金融公庫法の一部を改正する規定もあります一ので、やはりこれは第四条だけの問題でなく、一連のものとして規定いたしておる次第であります。
  42. 久野忠治

  43. 岡村利右衞門

    ○岡村委員 この法案は非常にけつこうな法案でありますが、これは必ずしも北海道だけに限らなくて、あるいは内地におきましても非常に寒いところもあるのでありますが、そういうところには適用しないのでありますか。どういうわけで内地の方はそういうことができないのでございますか。
  44. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 今のお尋ねはごもつともであります。日本全国寒いところは寒くないような家を建てる。それと同時に、いわゆる防火建築をしなければならない。不燃建築については、ずつと以前の衆議院において、御承知のように、不燃建築をすべきであるという決議案まで可決されておる状態であります。また風の吹くところには、暴風に耐え得る建築をしなければならない。そういうことはもちろんあり得るのでありまして、北海道だけでなく、特に寒いところはほかにもあるんじやないか、こういう御議論もごもつともであります。ところが北海道は、先ほども申し上げましたように、北海道開発法によつて特に開発をしなければならぬ日本の領土のうちで御承知のように未開発地帯の一番広いところでありまして、しかも住宅が、いわゆる内地から移住した人が大勢おりまして、その原住地の習慣に従つてそれぞれ思い思いの、いわゆる特殊の気候に適しない家を建てて、その結果非常に不便を感じておる。こういう特別な地帯であると同時に、寒冷の度においても、たとえば東北地方の青森、秋田、ああいうところと比較いたしますれば、これは気象台の統計によりましても、詳しい数字はここにありますけれども、一々申し上げませんが非常に違つております。同時に、先ほど申し上げましたように、建築費その他においても、他の東北地方の建築と北海道の建築とは建築単価が違い、いわゆる建築費が違う。こういういろいろな事情がありまして、まず北海道においてやつて、もし他の地方でもこういうことが非常に適切であるということになれば、あえて北海道だけに限定する考えはないのでありますが、先ほども申し上げましたように、未開発の所へできるだけ住民を定住させなければならない、そうして北海道の開発を推進しなければならない、こういう考えで、まず北海道に特別な法律をつくつて実施いたしたい、こういう考えでございます。
  45. 岡村利右衞門

    ○岡村委員 試験的に北海道でおやりになるというのならばけつこうでありますが、できるならば内地の方におきましてもこれを適用するようにしていただきたい。御存じのごとく寒冷地特別措置法というような法律もございまして、大体その区域は限定することができますので、そういう区域におきましてもこの法を適用されるようにしていただければ非常にけつこうだと思います。
  46. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 例の東北に関する法律も、寒い所が中国地方の山の中にもあるというようなことでだんだん広くなつておりますが、これはもちろんそういうこともあり得ると思います。あり得ると思いますが、先ほど申し上げましたように、北海道のような特殊な未開発地を日本の領土が狭くなつた今日、一応の水準まで開発いたしたいという大きなねらいから、北海道総合開発法もできておりますので、それを側面からといいますか、これをやるにはどうしても住民の定着というか、安住の地を与えることが北海道開発の大きな基礎である。こういう意味で北海道については特別な気象状況に合つた住宅を普及する、こういう大きなねらいでありますので、先ほど申し上げましたように、この際北海道に限つてこの法律を適用して行きたい、こういうことでありますから、どうかひとつ御了解をお願いいたしたいと思います。
  47. 久野忠治

    久野委員長 他に御質疑はございませんか。——質疑なきものと認めます。それでは本法案に関する質疑は全部終了いたしました。  次会は明一日午前十時より行うことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後〇時四分散会