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1953-10-16 第16回国会 衆議院 決算委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月十六日(金曜日)     午後一時二十四分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 天野 公義君 理事 松山 義雄君    理事 安井 大吉君 理事 藤田 義光君    理事 山田 長司君 理事 吉田 賢一君    理事 山本 正一君       有田 二郎君    大上  司君       岡田 五郎君    小川 平二君       牧野 寛索君    舘林三喜男君       町村 金五君    加藤 清二君       齋木 重一君    熊本 虎三君       杉村沖治郎君    細野三千雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  委員外出席者         運輸政務次官  西村 英一君         会計検査院事務         官         (検査第四局         長)      大沢  実君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  高井 軍一君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  津田 弘孝君         日本国有鉄道理         事         (施設局長)  江藤  智君         証     人         (日本国有鉄道         総裁)     長崎惣之助君         参  考  人         (株式会社鉄道         会館社長)   加賀山之雄君         参  考  人         (株式会社鉄道         会館専務取締         役)      立花 次郎君         専  門  員 大久保忠文君     ————————————— 九月二十八日  委員和精一辞任につき、その補欠として小  坂善太郎君が議長指名委員に選任された。 十月二日  委員山田長司辞任につき、その補欠として井  谷正吉君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員小坂善太郎君、齋藤憲三君、井谷正吉君、  柴田義男君、森三樹二君、大矢省三君及び山口  好一君辞任につき、その補欠として小川平二君、  舘林三喜男君、山田長司君、加藤清二君、齋木  重一君、細野三千雄君及び河野一郎君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員河野一郎辞任につき、その補欠として山  本正一君が議長指名委員に選任された。 同日  理事柴田義男君及び山本勝市君の補欠として山  田長司君及び山本正一君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  証人出頭要求の件  参考人招致に関する件  株式会社鉄道会館に対する鉄道用地貸付等に関  する件     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  前会に引続いて株式会社鉄道会館に関する問題を議題として調査を行います。  この際理事補欠選任についてお諮りいたします。理事柴田義男君が本日委員辞任されました。また、山本勝市君の辞任による欠員理事補欠選任をともに行いたいと存じますが、先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中彰治

    田中委員長 御異議なきものと認め、よつて、本日委員に再任されました山田長司君及び山本正一君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 田中彰治

    田中委員長 次に、本日の証人及び参考人について申し上げます。  かねて長崎国鉄総裁の当委員会出席の件について配慮いたしておりましたところ、去る十月九日付の書面で、日時を指定し、証人としての出頭要求議長までお願いいたし、本日ここに長崎証人出頭を得た次第であります。また参考人としては、国鉄監理委員会委員長佐藤喜一郎君を指名いたす予定でありましたが、所用のため出頭できない旨事前申出がありましたので、やむを得ないものといたしまして、別に株式会社鉄道会館社長加賀山之雄君及び同専務取締役立花次郎君の二名を参考人指名いたしたく存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田中彰治

    田中委員長 御異議なしと認めさよう決定いたしました。  なお石井運輸大臣鉄道監督局国有鉄道部長細田吉藏君、国鉄当局からは天坊総裁以下各関係局長出席されております。  この際あらかじめ本日の委員会運営順序を申し上げておきたいと思います。まず長崎証人に関する証言を中心として、参考人または運輸大臣その他の関係者意見を求め、順次議事を進めて参りたいと存じます。証人尋問に関しましては、慣例によりまして最初委員長より概括的発言をして証言を求のましたあとに、続いて委員各位発言を許したいと存じますので御了承願います。  なお尋問事項はなるべく重複を避け、簡潔にいたされ、議事の進行を円滑にいたしますようつとめて御留意のほどをお願いいたします。以上の通り議事進行するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田中彰治

    田中委員長 異議なしと認め、さようとりはからうことといたします。  これより株式会社鉄道会館に関する別道用地貸付等に関する件について証人から証言を求めることにいたします。  出頭されました証人日本国有鉄道総裁長崎惣之助君に相違ありませんか。
  7. 長崎惣之助

    長崎証人 相違ありません。
  8. 田中彰治

    田中委員長 証人にはあらかじめ文書でもつて通知いたしておきました通り、株式会社鉄道会館に関する件について証言を求めたいと存じますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。証人は以上のことを承知しておいていただきたいのであります。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。起立を願います。     〔証人長崎惣之助君朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  9. 田中彰治

    田中委員長 それでは宣誓書署名捺印を願います。     〔証人宣誓書署名捺印
  10. 田中彰治

    田中委員長 それではこれより証人証言を求めますが、順序として委員長からまず総括的に尋問を行い、次いで各委員から証言を求めることになつておりますから、御了承を願います。なお証人発言応答する場合には、その都度委員長の許可を求めること、及び発言証言を求められた範囲に限ることになつておりますから、御了承を願います。  それでは証人委員長からお尋ねいたします。一に、まず証人鉄道会館建設計画発案者であつたのかどうか。そうでないとしたらだれが発案者であつて、何どき証人に進言し、どのような形式で同意を与え、かつ具体的に進めるようになりましたか。計画の実施について責任者人選等について特定人、すなわち加賀山立花両君を選任するについての推薦者証人であるか、または他より推薦したとすれば、だれが証人推薦したか。これらの諸点について詳細に述べていただきたいと思います。
  11. 長崎惣之助

    長崎証人 鉄道会館というよりも、むしろ八重洲の駅というものをつくるかつくらぬかという問題はずいぶん前からあつたようでございますが、なかなか国の財政が不如意でございますから、できるだけ建物等については金を使わずに輸送力増強あるいは安全度確保ということに努力して参りたいと存じたのであります。しかしながら八重洲の仮駅は焼けてしまいまして、爾後あそこら辺の整地がだんだん進んで参りましたので、どうしてもあすこを放擲しておくわけに行かぬ。なおかつ東京駅の乗降客が非常にふえて参りました。何とかしてあそこを整備したいということを考えておつたのであります。たまたま国鉄が八十周年を迎えるに際しまして、何とかくふうをしてあそこに駅を復興したい。がといつて多額の金をかけることは行かず、また一方帝都の玄関口でもありますから、そうぶざまなものをつくるわけに行かぬということで、いろいろと苦慮しておつたのであります。たまたま何かの方法でやりたいと考えておりましたところが、これを経営委員会皆さんの——ただいまの経営委員会、前の監理委員会皆さん意見を聞いたり、あるいは八重洲整地につきましては朝野の政界、財界あるいは東京都あるいは商工会議所というような方々の御意見等もお尋ねいたしました結果、ただいまの株式会社鉄道会館のようなものが適当ではないかというふうな結論にだんだんなつて参りまして、これが実現を見たように私は記憶いたしております。
  12. 田中彰治

    田中委員長 立花加賀山両君をだれが推薦したのですか。
  13. 長崎惣之助

    長崎証人 だれということはございませんで、まあ鉄道との関係もいろいろ考えなければなりませんからということであつたのだろうと私は思います。会社目当にしておりましたので、その内容がどういうふうになつて行くかということについては、今私はつきりだれの推薦であつたか、だれがどうしたかというところまでは記憶いたしておりません。
  14. 田中彰治

    田中委員長 第二に証人にお尋ねいたしますが、証人はかつて委員会におきまして日本国有鉄道法の規定、運輸大臣命令を遵守して国鉄運営を行うにほかならない云々と述べておられるが、本委員会に現われた調査の結果からこれを判断いたしますに、前記法律並びに命令に違反したとまで言えないといたしましても。会計経理運営はきわめて拙劣であると言わざるを得ません。なかんずく鉄道会館の場合において見ますと、固定資産が低廉な対価で使用され、収入確保という点において十分な責任が払われておりません、また同会館駅利用の割合に比較して国鉄が莫大な負担をする計画を立て、むだな経費の支出が認められておるのであります。これではまつた予算濫費というほかはないのであります。従つて証人が真に善良なる管理者の注意をもつて国鉄運営にあたつているものとは考えられないのであります。そこで証人が将来国鉄運営にあたつて、一、収入確保にどのような改革方針を持つておられますか。二、予算濫費に対してどのような粛正方策考えていますか。三、一般大衆鉄道利用すなわち利便関係及び鉄道運賃等に対して、どのような計画を持つておられますか。以上三点について、実施できる確固たる考えを具体的に言つていただきたいのであります。
  15. 長崎惣之助

    長崎証人 私病中にありましても、当委員会のだんだんの御審議経過については重大な関心を持つて拝聴いたしておつたわけでありまして、日本国有鉄道というものを一日も早くいい鉄道にしようという皆さんの御好意のあるお心持からいろいろ御批判なり御所見なりをお述べになつておられることにつきましては、深く反省もし、また再検討すべきものは再検討しなくてはならぬ。改むべきものはできるだけ早い機会にこれを改めて行くという決意を新たにしている次第であります。  ただいま委員長が御質問になりました収入確保という問題につきまして当委員会で論議されました、たとえば日本交通公社収入金というようなものにつきましては、これは一日も早く本来の姿にして行かなければならぬ。これにつきましては、だんだんとそういうふうに改まつてつておりまして、おそらくは今年度中には元の姿に返つて行くのじやないか、返すということを決意いたしております。そのほか未収回収というようなことにつきましてはできるだけ現金払い方向に向けて行かなければならぬ。しかしながらやはり経済上の情勢その他もございますので、そう急激に行くかどうかということは、これまた一方考えなければならぬと思つております。たとえば貨物後納運賃というようなものがございますが、これらはやはり荷主が運送屋から借りる。そこで運送屋はまた後納にしてもらわなければならぬというようなことを申しますので、これを一挙にして現金払いにするということは私は非常に困難であろうと思いますが、何かの方法でだんだんとそういう方向に持つて行きたいということはしよつちゆう考えておる次第であります。さらに土地の貸付あるいは払下げというようなことにつきましては、別個に委員会のようなものでもつくりまして、その御意見もよく拝聴しまして、これを妥当な、適正なものに持つて行きたい、かように考えております。実はこれははなはだ申訳のないことでございますが、御承知のように、本業の方の輸送力増強あるいは安全度確保という最も国鉄としてやらなければならないことさえも今日まだまだたくさんございます。そのためについ気がついておりながらも、そういうことがおろそかになつておつたという点については、まことに遺憾に存じます。これも当委員会の御処置あるいは御意見等に顧みまして、十分に反省して、直すべきものは直して行くというつもりであります。  一般大衆旅客サービスということは、これはもう国鉄として当然なさなければならぬことであります。特に三等のお客さんあるいは貨物というものにつきまして取扱いの迅速、敏速をはかるということは、一日もゆるがせにできないことであります。この三等の大衆旅客につきましては、ただいま考えておりますことは、東京あるいは大阪付近、その他中小都市におきます通勤のお客さんの輸送であります。これは車両の増備その他によりまして、一日も早くりつぱなものにして行きたい。特に急行列車においては立つておられるお客さんがあるということはまずなくして行きたいというふうに考えております。  地方ローカル線に対しましては、デイーゼル自動車というものを考えておりまして、これも着々増備して参りまして、数年にして、できるならばこの老朽の車というものを一掃して参りたい、かように考えております。また一番大事である従業員の訓練によりまして親切かつ丁寧なお取扱いをするということは根本的に重大な問題であります。これまたその方向に向つて努力して参りたいと存じております。鉄道運賃につきましては良サービス、低運賃ということは、これはやはり国鉄として当然考えなければならぬことであります。しかしながら御承知のように、運賃の点になりますと、たとえば今年度からは地方税固定資産税がかかる、あるいはきわめて最近に仲裁裁定が下りまして賃金の値上げが指令されて来たというようなこと、いろいろ諸般の事情を勘案せねばなりませんので、できるだけ私は運賃に手をつけたくありません。支出合理化、あるいは支出の緊縮という面でできるだけ埋めて行きたい、かように考えておりますが、たとえば今年の風水害にいたしましても、およそ百億に余るような大きな災害を受けております。そういう金をどこから捻出するかということも非常に大きな問題でございまして、これはまた別にいろいろとお知恵を拝借する場合があるかと思いますが、今のところ運賃についてこれ以上に下げるということはよほどむずかしいことである。むしろ逆にどうして運賃値上げを防止するかという点に実は頭を悩ましておる次第でございます。
  16. 田中彰治

    田中委員長 それでは最後にお聞きいたしますが、証人国鉄鉄道会館問題について第十六国会以来調査審議されて来た今までの経過を顧みてどうお考えになりますか。かつまた国鉄運営について反省の余地があつたかないか。あつたとすればどういう点でどう改革すべきであると考えておられるか、明確に述べていただきたいと思います。
  17. 長崎惣之助

    長崎証人 ただいまも申し上げましたように、ひとり鉄道会館ばかりでなしに、全般的に拝聴いたしました皆さん方の御審議になられた御趣旨、御意見というものについては、十分な検討を加え、研究を加えて、そうしてできるだけ御趣旨に沿うように今後進んで参りたい。私はかように考えております。その間にはやはりわれわれの反省を要するものが幾多あるということをここにはつきり申し上げます。
  18. 田中彰治

    田中委員長 それでは委員長証人に対する調べはこれで終りますから、委員発言を許します。杉村沖治郎君。
  19. 杉村沖治郎

    杉村委員 証人に伺います前に、証人発言は非常に責任のあることでありますから簡明に願いたいと思つております。  証人株式会社鉄道会館問題について最初加賀山契約する以前に事業計画について何人と協議相談をなされましたか。簡単でよろしゆうございます。
  20. 長崎惣之助

    長崎証人 鉄道会館と申しますか、東京駅の駅舎建設につきまして部内理事諸君にまず最初相談をいたしました。
  21. 杉村沖治郎

    杉村委員 私が伺うのは駅舎ということよりも、あなたが加賀山之雄にあてたこの書面計画が書いてありますが、あの計画を立てて、これを部外者である加賀山氏と契約をするに至つたのですが、その契約以前において、あなたの立てたこの事業計画について、何人かと協議あるいは御相談をなされましたかと申し上げておるのです。
  22. 長崎惣之助

    長崎証人 そういたしますと、こういうようなことにつきましては当時の管理委員会に御協議なさるべきが当然ではないかと思いますが、部外者加賀山之雄との間にそういう契約をなさる前に、あなたがあのような事業計画をなさつて部外者契約しようとするのでありましたなれば、これを管理委員会に諮らなければならぬのではありませんか。あるいは運輸大臣に諮らなければならぬのではありませんか。その点はいかがでございますか。
  23. 長崎惣之助

    長崎証人 ああいう計画東京駅というものを完成して行くということにつきましては、これは管理委員会に当然相談をいたしてございます。
  24. 杉村沖治郎

    杉村委員 その点はお間違いはありませんですか。ただ私は後日間違いがてたこの書面計画が書いてありますが、あの計画を立てて、これを部外者である加賀山氏と契約をするに至つたのですが、その契約以前において、あなたの立てたこの事業計画について、何人かと協議あるいは御相談をなされましたかと申し上げておるのです。
  25. 長崎惣之助

    長崎証人 そういう基本契約根本条項のことかと存じますが、これは部外とは相談いたしておりません。部内でいろいろと練つてつたわけであります。
  26. 杉村沖治郎

    杉村委員 そういたしますと、こういうようなことにつきましては当時の監理委員会に御協議なさるべきが当然ではないかと思いますが、部外者にそういうことを発表して、部外者加賀山之雄との間にそういう契約をなさる前に、あなたがあのような事業計画をなさつて部外者契約しようとするのでありましたなれば、これを監理委員会に諮らなければならぬのではありませんか。あるいは運輸大臣に諮らなければならぬのではありませんか。その点はいかがでございますか。
  27. 長崎惣之助

    長崎証人 ああいう計画東京駅というものを完成して行くということにつきましては、これは監理委員会に当然相談をいたしてございます。
  28. 杉村沖治郎

    杉村委員 その点はお間違いはありませんですか。ただ私は後日間違いがあるといけませんから念を押しますが、佐藤委員長は本件については事前にあなたから何らの相談協議も受けておらないということを当委員会において供述されておりますが、はたして間違いなく監理委員会に御相談をなさいましたですか。
  29. 長崎惣之助

    長崎証人 私の記憶はさように存じております。
  30. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうすると運輸大臣に対してはいかがでありますか。
  31. 長崎惣之助

    長崎証人 これは書面では御相談申し上げてなかつたと存じますが、当時の運輸大臣にも、こういうことをしたいと思つておるがというお話をして、御賛同を得たように記憶いたします。
  32. 杉村沖治郎

    杉村委員 次に加賀山之雄とあなたの間に契約をする以前に、この事業計画に参画したいと言つて申し入れた人が、あるいは会社がありますか、ありませんか。ありとしたなれば、その人その会社はだれであり、どういう会社であるか聞かしていただきたい。
  33. 長崎惣之助

    長崎証人 当時たしか一つ何か申込みがあつたように私記憶いたしております。だれが発起人総代でありましたか、今ちよつと記憶いたしておりません。
  34. 杉村沖治郎

    杉村委員 個人としてはございませんでしたか。
  35. 長崎惣之助

    長崎証人 個人と申しますか、とにかく発起人がたくさんおられて、だれが発起人総代であつたか私今忘れてしまいましたが、一つだけあつたように記憶しております。
  36. 杉村沖治郎

    杉村委員 その人は、申出があつたについて不適当ということになつたのでありますか。今日は記憶がないと言うんですが、その申出に対してはあまり関心をお持ちにならなかつたので今日お忘れになつておるのでありますか、全然問題にしなかつたのでありますか。その点いかがでございますか。
  37. 長崎惣之助

    長崎証人 問題にしなかつたことはないので、いろいろ研究してもらつた結果、どうもこれではなかなか遂行し得ないじやないかというような考えになりまして却下したと記憶します。
  38. 杉村沖治郎

    杉村委員 この伍堂という人は何かあなたから見ては不適当ということになつたんでありますか。どういう関係でこの伍堂を除いたんでありますか。簡単でけつこうです。
  39. 長崎惣之助

    長崎証人 伍堂さんがお入りになつておつたかと思いますが、別段伍堂さんが云々ということではなくて、会社の全体あるいは資本の構成などについてのお話、それら等を勘案いたしまして、たしかこれではどうもむずかしいんじやないかという判定になつたように思つております。
  40. 杉村沖治郎

    杉村委員 資本が少かつたということであります。ただ資本といつてもわかりませんが、資本が少くて貧弱であるということでやはり適当でないとお考えになつたのでありますか。
  41. 長崎惣之助

    長崎証人 御承知のように、ああいう仕事は資本だけ、あるいは資本力だけというものではありませんので、やはり国鉄との協力の関係あるいは信用の関係いろいろございます。またその中に入つておられるメンバーの顔ぶれ等の、いろいろな見地から判定されたと私は思つております。
  42. 杉村沖治郎

    杉村委員 伍堂氏やそうした人があつたということでありますが、それを除いて加賀山之雄氏と契約をなさつた由はどういう理由でございますか。
  43. 長崎惣之助

    長崎証人 ただいま申し上げましたように、やはりああいう共同建物のような形のものでございまするし、やはり工事そのものもいろいろと国鉄旅客サービスあるいは列車の運転というようなことにも関連があるのでございまするので、いろいろな観点から見て両者を引比べまして、どうもただいまの会館の方がいいんじやないかという結論に達したのであります。
  44. 杉村沖治郎

    杉村委員 加賀山之雄を証人適任者ということにして契約をなさつたということは、この前出られたときも申されたのですが、あなたは加賀山之雄の後任者として、加賀山之雄が過去の国有鉄道総裁として、財政上のことについて昭和二十五年の五月までに日本交通公社切符売代金が四億円滞つてつた、なお続いても完全に払われておらない、そういうように国有鉄道財政についてはきわめてルーズであつた人である。さらに横浜の事件等責任を負うてやめた人であるのだが、こういう人であつてもなおあなたが適任者であるという点はどういう点からごらんになつてそういうふうにお考えになるのでありますか。
  45. 長崎惣之助

    長崎証人 なるほど交通公社の滞りというものはございますが、これは前前も何べんも御説明申し上げたのじやないかと私思いますが、あれは進駐軍の処置によりまして従来いただいておつた手数料を全部取上げられてしまつた、その結果いろいろと事業その他を拡張しなくちやならぬというような関係で、滞りができたのじやないかと思うのであります。それから納期も延長するとか、いろいろなことでああいうふうな結果になつたと思います。これは過去のことでありますから、私から申し上げるのはどうかと思いますが、一種の意見みたいなもので、先ほど委員長からお話のように、きようはあまりかたくならずに話せということでありますから申し上げますが、また桜木町の事故にいたしましても、実にあれは遺憾な事故でございました。しかしこれまた私の見るところでは、——これも私意見になります、証言ということではないと思いますが、やはり勤務の状況、仕事のやり方というようなものが労働基準法でありますとか、いろいろな観点からかわつてつた結果、昼間にああいう作業をしなくちやならぬ、従来私どもがごやつかいになつておりましたころはああいう作業は全部昼間で、電車がとまつてからやつたものなんであります。それをそういうふうにしなくちやならなかつたというようなところからも一つの原因があるのじやないか、それらの事柄だけで加賀山君の識見、手腕、力量というものを評価することは少し酷じやないかと思います。
  46. 杉村沖治郎

    杉村委員 証人はこの株式会社鉄血会館の設立について、加賀山之雄とどういう御協議をなさいましたか。
  47. 長崎惣之助

    長崎証人 会社そのものに私は別段口を出しておりません。
  48. 杉村沖治郎

    杉村委員 あなたは共済組合の二十万株の所有者として会社設立に関与したのじやありませんか。あなたは会社設立に関係がないとおつしやるが、この株式会社鉄道会館の最も大株主はあなたじやありませんか。そのあなたが会社設立に関係がないというのはどういうのでありましよう。
  49. 長崎惣之助

    長崎証人 そこがなかなかむずかしいのですが、私は日本国有鉄道総裁という地位では関与いたしておりませんが、仰せの通り共済組合の代表者としては1私は代表者でございますから、それに参画した形でございますけれども、そういう投資をする場合には、別に審議会がございまして、資金運用の審議会で練られてきまつたものだと思つております。
  50. 杉村沖治郎

    杉村委員 それは、あなたはどういうふうにおつしやるか知りませんが、あなたは二十万株の株主として株主名簿にあるように、ちやんと日本国有鉄道総裁長崎惣之助と書いてあなたの方からお出しくだすつた書類に基いて私は伺つておるのでありますから、今あなたのおつしやられるようなことはふに落ちませんが、本日はあなたは証人でいらつしやいますから、そういうことの論争はやめましよう。  さてそこで私は伺いますが、あなたは国有鉄道総裁として、この株式会社鉄道会館とこの事業について契約をなさつたのでありますが、あなたは今申しましたように、国有鉄道総裁であつて、その相手方は営利会社株式会社鉄道会館である。その鉄道会館の大株主はすなわちあなたであるが、国有鉄道総裁がそういう契約をなさるということは、あなたの地位として適当でありましようか、ありませんでしようか。
  51. 長崎惣之助

    長崎証人 これは法律の問題であるようでございますが、私は国家公務員共済組合法第三条の規定によりますと、総裁であるということ即共済組合代表者であるということに相なる次第であります。従いまして、この共済組合の代表者としてはでき得るだけ妥当な資金の運用をやはりやらなければならぬという立場に置かれるわけでございまして、そういう意味合いにおきましては、やはり有価証券に投資することは、私はあり得るのではないかと思つております。なお法律問題でございますので、私よりも場合によりましたら係の方から申し上げた方がよろしかろうと思いますが、いかがでありましようか。
  52. 杉村沖治郎

    杉村委員 あなたに問うておるのですから、ほかの人の説明を要しないのであります。あなたは国有鉄道総裁といたしますれば、国有鉄道の善良なる管理者として最高の地位にあられるのですから、国有鉄道のためにはどんなにも利益をはからなければならないのでありましよう。反面、今度は株式会社鉄道会館という方の関係に立ちますれば、その大株主であるところの代表者あなたは、その大株主のためにきわめて善良なるところの管理者の注意をもつてその株主の利益をはからなければならないということは、私が御説明申し上げるまでもないと思うのですか、そうすると、国有鉄道総裁株式会社鉄道会館の大株主の総裁長崎惣之助というものの地位は、そういうような契約を結ぶということはきわめて妥当ではないのではあるまいかと私は考える。国有鉄道監理委員会委員の選択につきましても、私があなたに説明するまでもなく、どういう人は監理委員会委員になれないというようなことは、ちやんと明文をもつて示されておるのでありますが、それらの点についていま一度あなたの御所見を伺いたい。
  53. 長崎惣之助

    長崎証人 先ほども申し上げましたように、私は日本国有鉄道総裁であると同時に、先ほど申しました国家公務員共済組合法の第三条の規定によりまして、同時に国鉄の共済組合の代表者になるわけであります。そうして同法第六条の運営審議会の議を経て、その組合の資産を管理する必要上、株式その他の有価証券に投資するということは、別にさしつかえがないのではないか。鉄道会館の株式を取得した株主、そういう行為それ自体は、株式会社鉄道会館と、その株主というものは別個の人格でありまして、株主として何ら日本国有鉄道と取引関係に立つものではないのでありますから、さしつかえないというふうに私は考えております。
  54. 杉村沖治郎

    杉村委員 次に、あなたはこの株式会社鉄道会館とこういう契約をして、ただいま行われておるところの事業をやることが国有鉄道のためにいかなる必要があつたのでありますか。あなたは混雑がどうであるとかというようなことを先ほど委員長の質問に対して答えられましたが、私どもはむしろかえつて東京駅がよけい混雑する、ああいうような売店やはなはだしきに至つては映画館までも計画をされておる。そうして十二階のビルを建てるというようなことは、どう考えてみても私どもは必要がないように思われる。日本の全国の駅舎等をまわつて歩きますれば、実にぼろぼろな駅舎が多い。地方に参りませんでも現に四谷駅を見ましても、あのプラットホームに屋根がないではありませんか。夏炎天下に乗客は立つておる。雨が降れば雨にさらされて立つておらなければならない駅が東京においてもあるじやありませんか。どういう必要性があつてああいうことをやられたか。輸送力増強ということを言われるが、あそこにデパートをつくる、あるいは事務所をつくるということが輸送力増強になるというのでありますか。私はその必要性を簡単でけつこうですからはつきりと御説明を願いたい。
  55. 長崎惣之助

    長崎証人 まつたく仰せの通りの考え方もできるのであります。ただしかしあそこに前々から申し上げますように、駅設備といたしましては、ただ一階で事足りるのであります。一階と申しても天井が高うございますから、普通ならば二階でございます。そのくらいのことで事が足りるのでございますが、しかしできるだけ国鉄の持つております財産というものを有利に使うということもまた考えなければなりませんから、駅の上に二階にとどめずにもう少し何とかしたい。しかしながら国鉄には金がない。またそういう金があつたら、仰せのようにやはりほかの駅舎あるいはほかの線路なり車両なりというものを増強するのが当然でございましよう。従つてあれは上の方は自分でやらないが、しかしただでほうつておくのはもつたいない、もう少し利用すべきだという考えから、ほかの会社にあれをやらせるということにいたしたわけでございます。
  56. 杉村沖治郎

    杉村委員 承れば立体的に土地を利用したいというお考えのようでありますが、私どもに今まであなたの方からお出しになられたところの資料によりますなれば、ただとるべきものは地代であつて、何も立体的に上の方に行つて十二階つくつても、その収益というものはわれわれがいただいた資料では見られない。地代においてすらもきわめて低廉であります。これらにつきましては他の委員からお聞きになるでしようから、私はもうこれ以上は伺いません。  次いで伺いますのは、この工事をなすについての総工費は最初計画なさつたときにどれくらいあなたの方では計算いたしておつたのでありますか、もちろん資料ではいただいておりますが、あらためてあなたに伺いたい。
  57. 長崎惣之助

    長崎証人 はつきりこまかいところまでは存じませんが、たしか全部で二十六億くらいじやなかつたかと思います。そのうち国鉄の分が二億数千万円、こういうふうに私は記憶いたしております。
  58. 田中彰治

    田中委員長 証人に言つておきますが、わからぬところはわからぬ、忘れたところは忘れたでいいのです。
  59. 杉村沖治郎

    杉村委員 そこでそういう莫大なる経費を要するところの事業で、あなた方の契約当事者の相手方の資本はどれくらいでありましたか。
  60. 長崎惣之助

    長崎証人 今ちよつと記憶いたしておりません。
  61. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは私が申し上げますが、一億一千万の会社ではなかつたのでありますか、いかがでありますか。
  62. 長崎惣之助

    長崎証人 明確に記憶しておりませんから、何とも申し上げることができません。
  63. 杉村沖治郎

    杉村委員 それではその次に、増資されたことがあるようですが、それは幾らに増資をされましたか。
  64. 長崎惣之助

    長崎証人 どうも申訳ございませんが、何でも増資のわくを広げたということだけは知つております。
  65. 杉村沖治郎

    杉村委員 あまり変なことを言つて追究はいたしませんが、あなたはきわめて無責任じやありませんか。国鉄のこの事業は、あなたの方がこの会社から請負つておるのでありましよう。それの二十六億というところの総工費は、その支払い責任者は国有鉄道でありましよう。そうしたならば、相手方からあなたの方はどれだけかの金を受取らなければならないことになつておる。その相手方の資本を、当初の契約当時が幾らであつたかということを今お忘れになつたということでは、国有鉄道総裁としてきわめて微細なる点まで留意しなければならない——日本の国有鉄道というものは、汽車の発着を見れば時計がいらないというくらいまでに正確に行われておつたこの日本国有鉄道総裁が、今日においては二十六億のこの莫大なる工費を要するところの契約をしておきながら、相手方の資産が幾らであつたか知らない。しかも自分は二十万株の代表者でありながら、それを今でも知らないということは、ほんとうに知らないというのかあるいは私をなめてかかつてそういうことを言われておるのか、はなはだ私は不可解だと思うのですが、ほんとうにあなたは今この株式会社鉄道会館資本が幾らであるか記憶がないのでありますか。
  66. 長崎惣之助

    長崎証人 あまり明確に記憶していないことを申し上げては、かえつていかぬと思いましたが、大体三億だと思つております。なおなめるとかなめないとかいうことは決してございません。誠心誠意お答えいたします。
  67. 杉村沖治郎

    杉村委員 それはそういうことを言いたくなるのです。あなたはこれだけの重大問題で本日ここにいやしくも国有鉄道総裁として出て来られ、そうして証言をなさるのに、相手方の会社資本を忘れて来るということはおそらくないんじやないかと思われるから申し上げるのであります。  さらに伺いますが、三億円の資本しかない会社から、あなたが総工費二十六億、加賀山之雄氏の言うところによれば、三十一億だと本委員会で申されておるのでありますが、そのような莫大なる工費を要するところの工事を何ゆえにあなたが請負うのでありますか。しかも国有鉄道が使用する部分というのはきわめてわずかでありましよう。十二階のビルデイングにいたしましても、一階と二階だけ国有鉄道の所有になるものでありましよう。このような契約を何ゆえにそのような三億ばかりの資本しかない会社から、あなたが請負わなければならない必要があつたのでありますか。
  68. 長崎惣之助

    長崎証人 私の申し上げようが悪かつたのかもしれませんが、全体では二十何億という工費だと記憶しておりますが、私どもの請負いまするものは、請願の委託工事によつて施工いたしますものは陸運に関係のある部分だけでありまして、たとえば内部装飾でありますとか、場合によるとセメントのコンクリート通しというものは、請願工事としては請負わないのであります。ただ鉄骨の組立てというようなものは、非常に危険を伴いまするので、旅客公衆に向つての防衛と申しますか、防護と申しますか、その他運転上危険あるいは自分の駅舎の上にできる重量物でありますから、そういうものについては厳重なる監督と施工を要しますので、それはやる。しかし、それは部分部分で実行して参りまして、契約をする際には、予納金をとりますから、その限度でいたしますから、全部を包括して請負つておるわけではございません。
  69. 杉村沖治郎

    杉村委員 全部を包括して請負つておるというわけではないかもしれませんが、少くともその工事は次々の契約であつても、要するにあなたの方が工事の請負人となつておるということを、今まで国鉄からここへ来られた方方のわれわれに対する答えとして供述されておるのですが、いかがなんですか。
  70. 長崎惣之助

    長崎証人 全部を包括的に請負うつもりであるということは、私は申していないと思います。こちらは運輸あるいは旅客サービスといつたようなものに重大な関連を持つ部分だけやる。それからなお駅舎との関係、そういうものをやるということでありまして、全部と言つたことはないと私は思います。
  71. 杉村沖治郎

    杉村委員 全部を包括的ではないということは聞いております。それはたとえばあそこの地下を掘る工事であるとか、あるいは鉄骨を建てる工事であるとかいうように別々に契約をしておる。その都度契約をしておるということは聞いておりますが、その契約の当事者は国鉄と業者であるというように聞いておるのですが、その点は間違いでありますか。
  72. 長崎惣之助

    長崎証人 そういうことでございますけれども、結局危険がありはしないか、金がとれないことがありはしないかという御心配であろうかと思います。それについては契約をする前に予納金の全額をとります。その契約の予納金の限度において工事を進めるのであります。
  73. 杉村沖治郎

    杉村委員 どうも私が伺つておることとお答えになつておることとが違うのですが、私は予納金のことを申しておるのではございません。もちろん一つ一つ契約ではあるけれども、結局しまいにはその総括的のそのものをつくり上げるということが契約なんであろうと思う。そういうふうに考えておるのですが、その点をあなたと議論してもしかたありませんから、それはその程度でやめます。  さてそこで、しからば部分的に伺うのですが、あそこに鉄骨を組立てるところの契約当事者はたれでありますか。
  74. 長崎惣之助

    長崎証人 どういうことでございますか。鉄骨組立ての請願工事は出ておるはずであります。それをこちらが部分部分でまた組立てて行く。その実際の施工者は工事業者です。
  75. 杉村沖治郎

    杉村委員 あるいは私の聞き方が悪かつたのかもしれません。それではこういうようにあらためて伺います。あなたと加賀山之雄との間の契約書を見ますと、要するに国鉄の所有部分と株式会社鉄道会館の所有部分とがわかれております。ところが工事はあなたの方が請負つておる。そこであなたの方の請負つておるところの工事によつてでき上るものが、今度は後に株式会社鉄道会館のものとなるという契約なつておりますが、さてそこでいつ所有権が株式会社鉄道会館に移るのでありますか——わかりにくければ、さらに具体的にいまひとつ申し上げましよう。あなたが今言つたいわゆる鉄骨を組立てる工事は、請願工事としてあなたが請負つておる。そうすると鉄骨を組立ててできたそのものの所有権は、いつ株式会社鉄道会館に移るのでありますか。
  76. 長崎惣之助

    長崎証人 工事ができ上りますれば、言いかえると、はつきりしておるのは二階以上でありますが、仕事はこちらがやりますが、鉄骨等は全部向うが金を払うのですから、むろん向うの所有であろうと私は思います。
  77. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうしますと、それは工事中から向うの所有に移つておるのでありますか。そういうふうにでき上らなくても、そこへ持つてつて建てれば、すぐに一本でも株式会社鉄道会館の所有になつておるのですか。
  78. 長崎惣之助

    長崎証人 私はそうだと解しております。
  79. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうだと解釈しておる——まことに心細い話です。あなたが契約の当事者ですから、われわれにはわからないからあなたに伺つておるのです。あなたはその所有権がいつ株式会社鉄道会館に移るか移らないかということは、あなたが契約当事者ではないですか。思つておるというようなお答えでは契約当事者として私はどうかと思うが、いかがですか。
  80. 長崎惣之助

    長崎証人 それ以上工事の進行のぐあいその他について、私あまり詳しくないのでありまして、はつきりいたしておりません。
  81. 杉村沖治郎

    杉村委員 どうもこれは聞いてもわかりますまい。ずさんなことでありましようから。  それでは次に移りまして、あなたは国有鉄道総裁といたしまして、国有鉄道の固定財産管理規程というものをおつくりになつて、これを一般職員に達しておられますね。これをあなたは一般職員には全部遵法方を要望しておるのでありますが、このたびのあなたと株式会社鉄道会館との間に行われた契約並びにこれに基く株式会社鉄道会館が取来つておる行為は、この国有鉄道固定財産管理規程に違反する点がたくさんあるのでありますが、これはあなたが総裁としてこの管理規程をつくつたんであるから、これに違反しようがどうしようが、おれがきめればそれでよろしいというようなお考えで——この株式会社鉄道会館との契約が管理規程に違反しており、あるいは株式会社鉄道会館が違反した行為をなし来つておるのでありまするが、これはどんな関係からあのような固定財産管理規程に反したことが行われておるのでありましようか。その点を伺いたい。
  82. 長崎惣之助

    長崎証人 今回の鉄道会館の建設というようなことは、きわめて異例なことで、前例のほとんどないものでございまするので、ほんとうを申しますれば、やはり私は——おそらく杉村委員は規程を改正して、あるいは単行の特別な規程を出してやるべきではないか、こういう御意見ではないかと推察申し上げるわけでございます。それは私その通りだと思います。今後におきましては、そういう事態をも十分に予測いたしまして、それを直して行きたい、かように考えております。そして事態に実際合うようなもの、時代の進運に合うようなもの、そういうものでなければならぬと思つております。その点などは私皆さんの御所見を伺いましてこれはぜひかえなくちやならぬ、かように考えております。
  83. 杉村沖治郎

    杉村委員 証人の供述がきわめて良心的のように患われるから追究はしません。要するに、いかにあなたが国有鉄槌の総裁であつても、自分がきめた規程には自分も拘束されるのであるということは、私が御説明申し上げるまでもないと思う。であるからもしもあなたが定められたところの法規に反することをやるのであつたならば、少くともあなたの監督官庁である運輸大臣あるいは管理委員会にこれを申達してこれを改正してやらなければならぬであろうと思う。この点は今お述べになられたので、多分そういうことであろうと思うから、もうそれ以上は申し上げません。  まだいろいろありますけれども、他の委員諸君がたいへんお待ちのようでありますから、ほかの人に対する質問はありますが、一応ここで私の質問を終ります。
  84. 田中彰治

    田中委員長 藤田君。
  85. 藤田義光

    ○藤田委員 委員長にお許しを願いたいのですが、本日は久方ぶりに運輸大臣出席されておりますので、証人尋問に関連しまして運輸大臣にもお尋ねしいたいと思いますが、いかがでしようか。
  86. 田中彰治

    田中委員長 証人には証人でやつていただきたいと思います。
  87. 藤田義光

    ○藤田委員 それでは証人に伺いますが、先ほど来委員長杉村委員の質問に対する総裁の御答弁を拝聴しておりますと、どうもすつきりしないのでございますが、天下の耳目を衝動しました鉄道会館、ほんとうに総裁が発起されたのかどうか、これは非常に重大な点であります。われわれの推測によりますと、どうも現職にないような人が実際のプランを立てまして、総裁はあとで押しつけられたようなかつこうではないか。これが従来の国鉄の弱点だと思うのです。運輸委員会におきましては運輸大臣の権限を強化するという決議をいたしておりますが、私たちは反対です。むしろこの際総裁の権限を強化いたしまして、こういうことがないように、すつきりした国鉄一体の体制を確立すべきであります。そうすることがコーポレーシヨン・システムの本領でなくてはならぬと解釈しております。そうい観点からしまして、ひとつこの際先ほど委員長が言われましたように、ざつくばらんに実際はこの計画最初に立案したときは、自分は知らぬ。その後において計画のあることを知つたというようなことを率直に言つていただけると、非常に当委員会審議に有力な証言になると思いますが、いかがでしよう。
  88. 長崎惣之助

    長崎証人 むろんこの東京駅本屋の計画というようなものは、御承知のように、一応の計画は、決して一日、二日でできるものではございませんから、ずいぶん長い間やつて、いろいろ計画を立てて、それをまた消してみたり、直してみたり、線路をやろうとするのが、今度は車両の方にまわつてみたり、時勢の変化もありましていろいろかわるのであります。実は私先ほども申しましたように、この際建物にあまり金を使うべきではない。でき得る限り線路あるいは車両の改善に力を尽すべきである。かように考えていた次第であります。従いまして八重洲口にああいうものをつくるということも実はあまり考えておらなかつたのでありますが、先ほど来申し上げましたように、いかにもどうもみすぼらしいと申しますか、不便でいかぬので、まあやむを得ない。ことにあの周辺には大分ビルができまして、乗降の客が、目に見えてふえて参るのであります。その際に線路もやるというので、二本線路もふやしたのでありますが、ホームもふやして、そうして駅舎も便利なものにしようというようなことを考えたのであります。でありますから、この計画がだれの時代からかといつたら、おそらくもう十年も前から、計画はいろいろとあつたと思います。けれども実行しようとしてやつたのは、私でございます。
  89. 藤田義光

    ○藤田委員 駅舎、つまり停車場の本質は、これは私はしろうとでありますが、乗客の乗降の便宜をはかることが大事であります。従いまして乗降客のよどまぬような施設をしまして、大衆にサービスをするということが駅舎の本質であろうかと想像いたします。かかる観点からしまして、杉村委員等が申しましたごとく、映画館その他人を輻湊させるような施設はこの際絶対排撃すべきであると考えておりますが、鉄道会館の使用に関しまして何か総裁としての御意見があれば、この際お伺いしておきたいと思います。  それから実際の実行計画の立案者は総裁ではない、ほかにあつたのではないかというようなことを最初に申し上げましたが、これに対しまして総裁は実行計画は自分がやつたという御答弁でありますが、現に鉄道会館の重役がその妻を名店街の一角にがんばらせておる。こういう不届きな現実をわれわれは見ておりますが、おそらく総裁ご存じないと思います。主人が鉄道会館の重役で奥さんがあの一角で商売を始めておる。こういうことをやる人が実際のこの問題の元兇ではないかと思うのでありまして、こういう点に関しまして何か情報をお持ちでありましたらお示し願いたい。
  90. 長崎惣之助

    長崎証人 鉄道会館をどういうふうに使うかということにつきましては、われわれとしても重大なる関心を持つております。できるだけ品位の高いものにしなくてはならぬ、かように考えております。あそこをアミユーズメント・センターのようなもの、あるいはネオンがきらきらしているというようなものでなくて、もつとすつきりした品のいいものにしなくてはいかぬ、こう考えております。ですから今後の使用方法については、ただいまの藤田委員の御意見等も十分に参酌しまして、慎重なやり方をして行くように指導して参りたいと存じております。
  91. 藤田義光

    ○藤田委員 会館の重役の問題について御答弁なかつたのでございますが、これはいずれまたあらためてお尋ねしたいと思います。  国鉄では民間の資本導入、国鉄会計の窮状を打開するための一つの名案としまして民衆駅を計画されました。現に東京におきましては、池袋駅が民衆駅になつております。ところが私の聞知する範囲内におきましては、このせつかくの新構想の民衆駅が資本を投入した民間人にほとんど全権を握られてしまつておる。国鉄の駅長が卑屈な思いで、狭い部屋に押し込められておりまして、資本を投資した人が現在傍若無人に使つておる。しかもこれは民間人でありまするが、長年ある私鉄を経営しておりまして、いわゆるボスとして有名な人であるというふうに私たちは拝聴いたしております。この民衆駅の運営は、鉄道会館に関連しまして大きな問題でありますが、民間の資本導入という新しい戦後の着想を今後ますます広げて行かれる方針であるかどうか。あるいは民衆駅というものをこの際再検討するおつもりかどうか。この機会にお伺いしておきたいと思います。
  92. 長崎惣之助

    長崎証人 民衆駅は戦後試みられた新しい一つの着想でございます。従いまして、一口に民衆駅と申しましてもいろいろな姿のものがあるのでありまして、ただいま御指摘のような極端なものがあるかどうか私知りませんが、いろいろと利害錯綜しておるようでございます。なお当委員会等においてもいろいろの御意見なり御所見なりがあつたようでございまして、また運輸省の方からのお話もございましたので、さつそく民衆駅の運営についての委員会、あるいは土地の評価等についての委員会というものをつくりまして、その道の専門家、学識経験者というような方にお集まりいただいて、どうしたら一番よいかというふうなことを研究し、そして再検討を加えて参りたい、かように存じております。
  93. 藤田義光

    ○藤田委員 民衆駅の運営委員会計画されていることは私もまつたく同感でありますが、次にお伺いしたいのは、国有鉄道法に監理委員会制度がございます。監理委員長の佐藤喜一郎氏も再三当委員会出席されまして、いろいろ発言がございましたが、また国鉄内には十二名の理事がおられまして、理事会もございます。私は国鉄総裁が自分の意図するがごとく、その人の妙味を発揮いたしまして輸送力増強、復興の促進という大問題を具体化するためには、ある程度、言葉は適当でございませんが、ワン・マンでなくてはならない。従いまして、監理委員会制度あるいは理事会という一種の会議体が、はたして国鉄の今後の機構上適当であるかどうかということに疑問を抱いております。この点に関しまして何か総裁としてお考えがあれば、この際お伺いしておきたいと思います。国会としましては、もちろん法律問題としてこういう問題は今後研究したいと思いますが、お考えがあれば御答弁願
  94. 長崎惣之助

    長崎証人 国鉄のような尨大な組織、しかもこれが一つの企業として動いている非常に現実的なものである。抽象的でなくてまことに具体的なものであるというふうな面で一般の官庁と非常に違つておるということはむろんでございます。従いまして、世の中の時勢につれて動く姿で、すみやかなる順応性あるいは弾力性、柔軟性というものを発揮しなくちやならない。一方には非常に高い経営能率をあげなくちやならないというふうな際には、今藤田委員からお話がございましたように、われわれの仕事がきわめてやりやすいようにできていることが最も望ましいことでございます。しかしながら、翻つて考えてみますると、国有鉄道というものは、国民大衆の生活あるいは利害、文化、あらゆる面に非常に大きな影響を持つております。いわゆる公共性と申しますか、その公共性の見地をも十分に堅持しなくちやならないと考えるのであります。従いまして、あまりにまた、何と申しますか、自由に過ぎてもいかず、という面がございます。やはりお目付役と申しますか、われわれのような観点からでなしに、鉄道屋でない別な観点から鉄道運営というものを眺め、批判してくださるところの、国会はもとよりでございますが、そのほかに、常時われわれのそばにあつていろいろと見ていただくものがやはりいるではないか。それが私は今の経営委員会の姿でないか。むろん運輸大臣がおられまして十分な御監督をなさつておられますが、しかし運輸大臣の御所管は非常に広いのであります。でありますから、これはまた別に——海陸とかあるいは陸海空、あるいは運輸、あるいは輸送調節というふうな面からまた別にごらんくださるというふうなことで、おのおのやはり任務々々がございますので、ただわれわれが自由であればよいのだというわけには行かないものである、やはり平たい言葉で申しますと、おつかないものがしよつちゆうそばにおつて監督する、あるいはサゼツシヨンをしてくれるということが私はぜひ必要ではないが、かように考えております。
  95. 藤田義光

    ○藤田委員 なるほど運輸大臣もおられまして、運輸省設置法四条その他に運輸大臣国鉄に対する監督規定はございます。非常に卑近な例で恐縮ですが、たとえば日航の人事等に関しまして、いずれ次の国会でわれわれは真相をきわめたいと思つておりますが、現在の運輸大臣は少し事務が多過ぎまして。しかもそれに数十倍する機構を持てる国鉄を完璧な監督をすることは絶対に不可能であります。現に専売公社におきましては、大蔵省から監理官が、午前中大蔵省におりまして、午後専売公社に出ております。スタッフもわずか十人前後でございますが、少くとも現在の口銭、運輸省以上に円滑にやつております。監督するという大それた態度でなくして、大蔵省の専売公社に対する行き方、つまり連絡調整を緊密にする、こういう機関でけつこうではないか。国有鉄道は監督局あるいは部というような厖大な機構がある割に能率が上つていないというのが現状ではないかというふうに考えておりますが、この点に関する総裁の御答弁、運輸大臣もおられますから、いろいろまずい点もあろうかと思いますが、率直なお答えを願いたい。  それからいま一つ機構の問題に関しまして伺いたいのは、新たに支配人制度ができております。われわれが大阪その他の現地を調査いたしまして感じましたことは、現在全国にありまする二十七の鉄道監督局の局長というものが、現金出納その他に関する全権をにぎつていない、いわゆる責任が分化されておる。従つていろいろの問題を起しやすいんじやないか。この点はむしろ支配人制度をこの際廃止して、監理局長一本建てにしまして権限を強化して行く方が、国鉄総裁が直接全国を把握するのに有利ではないか、かように考えておる一員でありますが、この点に関しまして御意見を伺つておきたい。
  96. 長崎惣之助

    長崎証人 機構は、御承知のように、従来古い時代は鉄道局、その下に管理部というものがありまして、大体大きくはわけてある。その下にさらにもう一段監督機構があつたというのでございますが、それは進駐軍の方々の勧奨その他によりまして、上の管理部をやめて、そして新たに鉄道管理局をつくつた。さらにそれに併立して資材事務所あるいは経理事務所あるいは営業事務所というようなものが仕事別にわけられてできたというような姿が、一昨年かまでのやり方でございましたが、どうも今藤田先生が仰せのように、まことに不便な点が相当ございますので、資材事務所だけは残してありますが、経理部とかあるいは営業部とかいうようなものは一応鉄道管理局の中に包含させたのであります。しかしこれはいろいろこまかい点になりますが、全部監理局長の中に入れるということもできないのであります。たとえば工場のようなものは鷹取にございますが、あの工場はひとり大阪だけではございませんで、岡山の車まで修繕するというような関係で、やはりそうなりますと総支配人と申しますか、そういうところで各局のやり方を調整しなければならぬのであります。ことに人事等につきましても、小さな局でありますと駅長の種がなくなつてしまう。どこからかもらつて来なければならないという場合にも、やはり総支配人のところで調節をとるというようなこともございます。さらに最近において一番顕著な功績をあげたのは、例の関門トンネルに水が入つた際、あそこにある工事事務官あるいは管理部、あらゆる工場、そういうものを動具して指揮する場合には、総支配人の調節と申しますか、そういうものが非常に有効になつて来るのであります。
  97. 藤田義光

    ○藤田委員 昔から国鉄の家族主義ということが言われております。私は非常にけつこうなことと考えております。特に鉄道の現業に何十年もおつた人は、世事万般に関しましてやや視野が狭くなつております。従いまして下級職員にして長年国鉄に一身を捧げた人の晩年を国鉄の外郭団体等がめんどうを見るというこの家族制度は、私は国家全体もかくあるべきである。社会的な保障をすべきであると考えている一人であります。ところがこれは看板だけでございまして、実際上国鉄のいわゆる外郭団体の人員構成を見ますと、なるほど国鉄の幹部であつた人は大体において退職後非常に優遇されております。しかるに田舎の駅長で晩年を終つたような人に対しましては、ほとんど就職の機会も非常に門戸が鎖されている。こういう悲惨な事態を特に田舎では再三見るのでありますが、私は真に国鉄が家族主義をその一つの特徴として今後堅持する総裁に決意があるならば、こういう点を何とか是正ずべきである。特に社会事業を表看板にいたしております弘済会のごときはこの際全面的に反省をすべきではないかと考えておりますが、外郭団体に対するこの家族主義との関係をお伺いしておきたいと思います。
  98. 長崎惣之助

    長崎証人 比較的下級の職員で、二十年あるいは三十年勤めまして退職しなければならぬという場合には、ただいま藤田委員から御指摘がありましたように、どうも鉄道専門屋になつてしまつて、世間のことは一向わからぬ、転職をするにもなかなかむずかしい、いうような事実のございますことは、はつきり認めております。従いましてでき得る限りそういう人に新しい職を与えるとかあるいは授産をするとかいろいろやつておりますが、なかなか数が多いものでございますから、全部に手がまわりかねているというのが実際でございます。なおいわゆる外郭団体でございますが、そういうものの仕事の仕方あるいは態度、そういうことについて十分なる反省と自粛をして行かなくちやならぬ。これはその通りでございまして、私も痛切にそれを感じております。ことに世間によくいわれます鉄道の親元に寄りかかるというような精神は払拭して、自立自営で行く、元手は若干の世話をするかもしらぬが、しかしそれが活動し出してからは、でき得る限り自分の力でもつて発展をはかつて行くというような方向に行かなければならない。またそう指導すべきものだと思います。
  99. 藤田義光

    ○藤田委員 証人国鉄の最高幹部を前にやられておりまして、いわゆる大幹部出身でありながら、浪人中国鉄を利用されなかつた一員であると私たちは了解いたしております。従いまして長崎総裁の時代に名実ともに備わる家族主義を打立てる絶好の機会である。自分は浪人中は全然たよらなかつた、下級職員と同様にこういう点は非常にフエアにやつて来たというあの気持を持たれまして、ひとつぜひともこの際名実備わる家族主義を確立していただきたい。  次にお伺いしたいのは、外郭団体ないしは一般民間会社にして、これは私は会社の名前その他はこまかくなりますのでこの席上では申し上げませんが、不当に優遇されているところもあるやにわれわれは了解いたしております。従つて関係会社、団体等に関しまして、国鉄が特に不当に優遇しているものに対しましては、この際一応根本的に検討する必要があるのじやないか、かように考えております。不当に優遇している関係会社等があるというふうに総裁もお考えであろうかとは思いますが、この際お聞きしておきまして、根本的刷新を加えていただきたいと思いますが、この点に対する御所見を伺つておきます。
  100. 長崎惣之助

    長崎証人 多数のものでございますから、あるいは仰せのようなものもないとも限りません。十分に検討を加えまして、さようなことはないように、またかりにありとすれば自粛自戒して、おのずからとどまるべきところにとどまるというようなことにして行かなければならぬ。これは先ほど来、外郭団体について申し上げましたことと同じでございます。ぜひそういう方向に持つて参りたいと考えております。
  101. 田中彰治

    田中委員長 藤田委員にちよつとあれしますが、外郭団体の問題はちよつとこの証人からそれるように思いますから、どうかひとつ……。
  102. 藤田義光

    ○藤田委員 ほかにもたくさん質問がありますから、私は最後に二点だけをまとめてお尋ねいたしまして質問を終りたいと思います。  まず第一点に、コーポレーシヨンという制度ができまして、すでに相当の歳月がたつております。この機会に、この制度の美点もたくさんわれわれは発見しておりますが、また日本の国情に沿わざるアメリカ直訳の公社という関係も多少ございまして欠陥もあるという点からいたしまして、私はこの際国会の機関にあらざる何か調査委員会等のごときものをつくりまして、総裁真剣に各般の問題を調査せしめると同時に、徹底的な再建方策を立てていただきたいと思いますが、こういう点に対するお気持をお聞きしておきます。  それから第二点は、鉄道会館問題に関連いたしまして、総裁の心境はどうであるかまだはつきりしませんが、とにかく全国の輿論が湧き立つております。従いましてこの輿論が湧き立つこと自体に対する道義的責任というものは、これは払拭できない事態であります。従いましてこの際私は、これは国会として容喙すべき範囲内ではございませんが、人事の刷新等に対しましても、総裁は一応ここで格別のくふうをしてしかるべきじやないか。かように考えておる一人でありますが、国会の決算委員会の長時日にわたる審議を、おそらく速記録でお読みになつておると思いますので、この際人事の刷新等に関しまして、何かお気持があれば率直にお伺いして、私の質問を終りたいと思います。
  103. 長崎惣之助

    長崎証人 パブリック。コーポレーシヨンというものは、どんなものかということ自体が、いまだにあまりはつきりしておりません。しかしせつかくできて動いておるものでございますから、これをまた根本的にひつくり返すというようなことは、これまた新しく建設することで、たいへんな仕事になります。結局私は、日本国有鉄道のすみやかな再建、復興、そうして国民各位の信頼にこたえたいという考えでおりますが、それはいずれいつかの機会にまた申し上げるといたしまして、この機構だけをいじつてもいけないのでありますから、何とか悪いところを改めて行こう。仰せのようにアメリカ流で、どうも日本にはそぐわないような面は、やつぱり日本にそぐうように、日本の人がよくわかるようにして行かねばならないと思うのであります。  次に人事、綱紀の刷新ということは、これはきわめて重要な問題でございますから、これについても正すべきところは正し、また速記録等もとくと拝見いたしまして、善処いたしたいと存じます。その点はひとつおまかせを願いたいと存じます。
  104. 田中彰治

    田中委員長 吉田賢一君。
  105. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 長崎総裁には何も問題はありませんが、但し事の真相を明らかにいたしまして、最善の国鉄のあり方へいろいろと努力されたい、こういう気持を持つておりますので、従つて各般にわたります質問については、少しお聞き苦しい箇所もありますけれども、ひとつ率直にお述べ願いたいと存ずるのでございます。  私は第一に契約関係について、なお二、三点伺わねばならぬのであります。第一には、当初の委員会におきまして、あなたの方の局長から、この契約国鉄法第三条には違反しておりません、こういう趣旨の御答弁が実はあつたのであります。そこで私どもは、一応この鉄道会館の建設、経営、附帯事業のあらゆる有名店の経営というような、そういうものをめぐりまして、いろいろと疑問を持つておりますので、はたして第三条の、いわゆる附帯事業にでも該当するのであろうかどうか、こういろいろ考えてみたのですが、結局今回の鉄道会館の建設事業、そういうものをしたりさせたりする国鉄の仕事は、国鉄法第三条に違反するのではないか、非常に広く解釈すれば別ですけれども、違反するのじやないか、こういう疑問を持つておりますが、御所見はいかがですか。
  106. 長崎惣之助

    長崎証人 ただいまの御質問は、おそらく第三条の、一般の委託による工事の施行ということだろうと思います。
  107. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 第一項の五号じやないかと思います。     〔委員長退席、藤田委員長代理着席〕
  108. 長崎惣之助

    長崎証人 鉄道会館建設の、請願工事のことでございましようか。
  109. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 質疑の趣旨がおわかりにならなかつたようですから、もう一度繰返しますが、最初加賀山氏に鉄道会館事業を委嘱なさつて、発展して株式会社鉄道会館が成立して、そこで国鉄との間に各般の契約が結ばれ、かくして今の鉄道会館事業なるものが、ビルの建設、経営、附帯事業と、こういうことまで発展して来ているのが現状でありますから、そういうような仕事をしたりさせたりすることは、三条に違反しませんか。こういうことです。
  110. 長崎惣之助

    長崎証人 鉄道会館の業務内容そのものについては、いろいろ先ほども申し上げましたように、八重洲口の駅の本質あるいは内容等からいたしまして、いろいろわれわれの方と協議もし、またわれわれの方と折衝もしてきまるわけでありますが、国有鉄道自体があのビルに土地を貸した、あるいは空間を貸したということは、私は第三条でいいと思います。
  111. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 なお三条について私ども疑問を持つておりますのは、請願工事をやるということ自体が、第二項の陸運に関する各般の工事の施行、こういうような関連において、これも違反になるのではないか、こう見るのですがいかがでしよう。
  112. 長崎惣之助

    長崎証人 われわれは、先ほど杉村委員にもお答えしましたが、鉄道会館の工事のうちある部分につきましては、旅客、公衆があそこを通行している際に工事が行われるのでありまして、それの危険の防止というような意味、また自分の停車場の上に大きなものが載るのでありますから、これの構造については十分な関心を持たなければならぬ。そしてこれを監督し、また設計等もよく見てやらなければいかぬということと同時に、駅舎そのものと並行して進む工事がございます。そういう意味合いにおきまして、どうしてもこれはやはり請願委託ということでやらせなければ、円満に工事ができない、かように見ております。
  113. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 このビルの使用部分の分析を見ますと、鉄道のお使いなさるものは一万六千何坪の中の、若干三%ほどに該当するのではないかと見ております。そういうような場合に、この経営の経済的運営の実情、それから使用の割合等々から見まして、やはり大丸百貨店だとか、映画館だとか、銀行とか、各般のそういう鉄道とおよそ縁の遠いものがほとんど絶対部分で、ごくわずかな部分が鉄道の本屋の使用、こういうことになつておりますので、やはりこれは三条の付随事業の概念に入るのは、少し逸脱しておるのでないか。付随事業でないのならば——三条の一項には一号から五号までに付随事業かございます。これ以外にはないのであります。でありますから、本来の鉄道事業じやないのでありますから、やはりこれは逸脱じやないかと見るのであります。言いかえますと、ごくわずかな本来の鉄道駅舎なら駅舎をつくつて、大部分が駅舎にまつた関係のない、鉄道事業に関係のないものが付随事業と称してつくられるということ自体は、これは付随事業の趣旨を誤つたものである、三条の趣旨にまつたく該当しないのじやないか、こう思うのですが、その点重ねて伺いましよう。
  114. 長崎惣之助

    長崎証人 重ねて申し上げますが、鉄道会館の建物自体の中でやられる仕事は、日本国有鉄道の事業ではなくて、鉄道会館の事業であることは申すまでもないことでございます。鉄道としましては、自分の土地並びにその土地の上の空間を使わせることになるわけであります。
  115. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今の質問の趣旨と、あなたの答弁と多少食い違つておりますが、あなたの方で計画をなさつたのは、当初の計画要綱によりますと、大きな八階のビルであります。地下二階であります。そのビルの計画をなさつたのであります。そして一階を本屋こ使用し、他はいろいろな附帯事業、こういうことが最初計画要綱に載つておるのであります。それに基きまして、鉄道会館はいろいろな計画を立てておるのが経理の概要でありますから、それから見ますと、なるほど現実に使うのは鉄道会館でありますけれども、全体として私どもは九九%は鉄道会館が、一%は鉄道が用いる、こういうことになるのであれば、付随事業というのにはおよそ該当しないのじやないか、こういうふうに伺うのですが、いかがでしようか。
  116. 長崎惣之助

    長崎証人 なるほどあそこの部分だけをつかまえるとそういうことになるかも存じませんが、やはり高架の下を貸すとか、そういうものと同じものでありまして、日本の国有鉄道の持つている固定資産の地下、地上並びに空間を貸す、こういう考え方でございます。
  117. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それではその点はなお明らかでありませんが、他の政府委員その他について伺うことにします。  次に、この契約は、あなたは最初に一部申されましたが、結局鉄道会館との契約鉄道会館発起人加賀山君との契約は、要するに非常に重要な契約の内容であるところの土地の使用、今おつしやいましたところの国鉄の用地を使わすということ、その非常に重要な要素である土地の使用料が定められず、土地の使用料はとらず、かくして前年の九月二十五日にした契約が、本年の八月になつてわずかに算定されてとつたという経緯になつております。そこでこの契約は、成立の当初そういうふうに使用料を定めず、納入せず、収納せず、担保をとらずといつたような契約を結んだことは確かに大きな手落ちではなかつたか。なるほどそれは構内営業規則からいろいろ計算するのはむずかしいということは、当初あなたがこの委員会で御説明になつたのであります、またほかのあなたの方の諸君も類似のような御説明をなさつた。しかし説明はどうあろうとも、重大な国鉄の資産を部外人に使用せしめるのに、部外人が使用し得る権利を獲得しているのに、いまだこの使用料もきまらず、担保もとらずに使わすという状態は、法規があつたとかなかつたとか、計算がむずかしいとかいうことはともかくといたしまして、これは契約といたしましては少くとも手落ちではなかつたか、あるいはなお不当な契約ではなかつたか、こう思いますが、あなたは今どうお考えになりますか。
  118. 長崎惣之助

    長崎証人 それらの点につきまして、概算でも早くとつておくというような処置に出るべきがほんとうであつたと思います。これはもう率直に認めざるを得ません。しかしながらなかなか計算が概算といいましてもむずかしかつたようであります。けれども今回瀞思い切つて、なるべく概算でもとるということにして——料金をとることの原則は明らかでございましたが、現在の計算等に手間どりましてついああいうふうな手遅れになつたということははなはだ遺憾でございます。
  119. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ところがその点につきまして、やはり考えの根本についてただしておかなければならぬのであります。といいますのは、概算でもとればよかつたと今からおつしやることは、これはしごくもつともであります。およそ国家が国家の資産を他人に利用せしむるという場合であるならば、概算もとらないような場合には担保を提供させます。担保提供能力のないような者とは契約いたしません。これは皆さん方一般に御承知の通りであります。やはり担保を当然とるべきです。工事について担保をおとりになるのだから、やはり担保能力がなければいかぬはずであります。ことに検査院に対する回答書によれば、融資の能力、あるいは計画の実施能力等々あるので、この相手方を選定したという回答書になつておるのです。しからば当初においてなぜ担保をとるようなことをしなかつたか。慢然と契約している。慢然と使わしている。それでこの委員会におきましてぐんぐん追究せられました結果、各般の契約も一部改訂になつた、こういうような経緯になつておりますので、やはりその考え方といたしまして、当然担保をとるべきものである、とらなかつたということは、やはりひとつの手落ちではなかつたかと考えるのですが、その点はいかがですか。
  120. 長崎惣之助

    長崎証人 先ほども申し上げましたように、ああいう建物の建設ということについては非常にふなれな点もございます。従いまして、ごらんになりました結果手落ちがあつたということは私率直に認めます。爾後そういうことのないようにあらゆる知識を動員し、経験者の話も聞きまして、法規、その他各般の手続、考え方、いろいろなものを今後整理して参りたい、かように考えております。
  121. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで一点は、やはり担保の提供もせしめず、使用料の決定もしないで契約を結んで数箇月間経過しておられましたので、ここに厳密に申し上げまするならば、やはりとるべきものをとるときに適正な額をとらたかつたという意味におきましては、国鉄はやはり有形無形の経済的な損害があつたというふうに考えることの方が妥当な考え方じやないのでしようか。さりとて私は何も損害をやかましく言うんじやありませんけれども、ともかくそういうような経緯をたどつたことは、大小とも国鉄といたしましては御損になつたということになるのじやないか、こう思いますが、いかがでしようか。
  122. 長崎惣之助

    長崎証人 私はお言葉を返すようですが、必ずしも損になつたとは存じませんけれども、しかし仰せのように、不備な点があつたということについては今後是正しなければならぬ点が多々あるということは先ほど来申し上げておる通りであります。いわば吉田委員承知のように、今までは高架の下でありますとか、線路の横の農地でありますとかいうようなものを貸しておる、そのような事務の扱い方であつたわけであります。あのような考え方でやつたのは今回が初めてでございまして、その闘いろいろなふなれその他の点で手落ちがあつたことはまことに遺憾でございます。今後は十分気をつけまして、そういうことの絶対に起らないようにいたしたいと考えております。
  123. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから先般の当委員会におきまして、他のあなたの方の幹部の方から、この鉄道会館との契約は公法上の契約である、こういうような御趣旨が述べられたのであります。しかしわれわれもさらに再思三考いたしてみましても、これはやはり私法上の契約であるとしか判断いたしかねるのであります。その後契約の字句がたくさん出て参りましたり、あるいはまた検査院に対する回答書の字句等から判断いたしましても、やはり私法上の契約というふうなお考え方が相当基本的にあるというふうにも看取するのであります。そこではたして私法上の契約であるといたしますると、ここに高架下にあらずして連絡上屋鉄骨の工事、あそこの使用は鉄道会館に使用せしめておるということには、やはり借地法に関する民法上の、国鉄は過大な長期にわたる義務が発生するのであります。ところがこの点につきまして、施設局長あるいは天坊総裁及び加賀山社長などは、いつでも国鉄命令通りにとりはずしたり何なりするのですというふうにおつしやつておりますけれども、今日の事態は、第三者の商店がそれぞれ数十万金を投じまして店舗を経営いたしておる現状であるのであります。いたしますると、利害関係が非常に錯雑した状態に進展して来ておりますので、将来これらの私法上の関係ということになつて参りますると、訴訟でも起すのでなければとりのけができない。八号、九号の今後の路線を必要とするときには、これらの間に紛糾が生ずるおそれがあるということを私ども今日から予見するのであります。そこではたして私法上のそういう効力が生ずるということであるならば、現在使つております店舗の主人等は、その権利を主張しましてなかなか動かぬ、動かそうとするならば裁判所に訴えて行かなければならぬという、あなたの方に大きな一種の負担が生じておるわけであります。その点について、さらにそういうおそれがないようにするというような御用意を今日からしなくちやならぬと思うのですが、いかがでしよう。
  124. 長崎惣之助

    長崎証人 法律上の非常にむずかしい問題でございまして、私からお答えするのはどうかと思いますが、私はその点についてやはり吉田委員と同じような心配を持つものでございますので、いろいろとその向きの専門家に尋ねました結果は、それは心配はない、商社の問題は商社と鉄道会館関係であり、直接商社と日本国有鉄道との関係ではないから大丈夫だ、こういうふうに私は承つております。
  125. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ところがこれは一つの例を示してあなたに考慮を煩わすのですが、当委員会におきまして、前国会以来、虎ノ門のニユー・エンパイヤーという自動車会社の問題が取上げられたのであります。あそこは、国の土地を東京都へ貸しておりましたのを、私人に使用せしめまして紛糾したのであります。結局その私人の自動車会社は民法上の権利を主張いたしまして、のかないということになつて紛糾を重ねて参つたのであります。こういうわけでありまするので、やはり国鉄が有名店の設定を承認して、有名店のこれこれという人間を入れることすら、それは干渉とまで行きませんでも、了承をせられておるのでありますから、そう簡単に転借り人と鉄道会館との関係だと言つて、涼しい顔をして、義務を負つていないというふうにお考えになるのは速断であります。でありますから、こまかい法律論をあなたとするのではありませんけれども、これはきわめて重大な問題として考えねばならぬのであります。第一回の委員会からこの問題は私ども出しておるのであります。ところが楽観説で終始しておられるのであります。そうして語るに落ちて、結局私法上の契約であるというのがだんだん露呈して来たのであります。こういうわけでありますので、その点については特に留意をしてもらわねばならぬと思います。これはその程度申し上げておくにとどめます。  それから次に私は財務関係の問題を伺いたい。第一は業務上の現金の取扱い問題であります。これは国鉄法四十二条によりまして、取扱いは国庫に預託するということが原則になつております。そしてもしこれが安全を害せられるような場合には、施行令の定むるところによりまして、郵便局その他市中銀行に預けることができるとなつております。ところが現実には、東京管内の環状線の部分におきまして東京駅、神田駅以下全部が——これは二十八年十月十四日決算委員会専門員室調査の結果であります。またあなたの方の監理局に十分照会した結果であります。現実にこれを預金しておるのは東京駅以下全部の駅につきまして、ことごとく市中銀行であります。日本銀行及びその代理店はないのであります。こういう現状なんです。ところでそれならば一箇月の収入はどれほどあるかと申しますれば、これもこまかくなつて恐縮ですけれども、たとえば交通公社だけでも三億円を越えておるのであります。こういうことを見ますると、莫大な金額になると思いますが、これがかなりかつてに解釈されている。天坊総裁お話によると、いやそれはとりに来てくれるから便宜上預けております。こういうことなんです。とりに来てくれるからそれで預けるというようなことは、四十二条の趣旨に違反すると私は思う。この点についてどういうふうにお考えなつておりましようか。大阪で調べた結果も、大和銀行の日銀代理店というのが構内に一つあり、それだけが利用されている。それ以外は十一行全部市中銀行なんです。大阪管内全部市中銀行なんです。そこで大阪だけでも年間百八十億円あります。そういたしますると、これは厖大な数百億円の金が四十二条をくぐつて市中銀行に預けられる。市中銀行に預けるということは、よほど注意しなければ、たいへんな会計の紊乱になるわけであります。これは申し上げるまでもありません。これについてどうお考えなつているでしようか。
  126. 長崎惣之助

    長崎証人 吉田委員大分詳しくお調べのようでございますから、あまり長いこと申し上げるのは恐縮でございますけれども、本来、私どもの若いときには、金びつというものがありまして、金びつの中に現金を入れて汽車で運んだものであります。そして日本銀行まで持つて行くという実に原始的なことをやつてつたのでありますが、戦争中あるいは戦後非常に物騒になりましたので、そういうことはまことに当らない、どうしても危険を防ぐためには現金をあまり持ち出さないということでなければならぬということが一つ。もう一つは、金が非常に大きくなつて、お礼の計算、容器その他もなかなかうまく行かないということで、便利な銀行をまず利用して、現金の安全をはかるのが一番大事じやないかということが私は起りじやなかつたかと思います。今日になりましてそれがいいか悪いか、それから全部日本銀行にやるのがいいかといいますと、これはちよつとこまかいことになりますが、実は日本銀行になりますと、日にちが多少よけいかかりまして、預託金の口座に入るのが遅れるのだそうであります。従いまして、どれくらいの資金が今度使える状態にあるかということが明確にはつかめないというふうな不利があるそうでございます。これも手続上の問題でございますから、あまり詳しいことは私は存じませんけれども、そういうようなことがあります。一方において、ただいま申し上げましたように、市中銀行ですと、向うがとりに来て、危険を向うで負担して持つて行くというようなことであつたものですから、そういうふうになつた、こういうことでございます。また数百億と仰せになりますけれども、大体三日半くらいで還流するのであります。ですから三日半分くらいの収入をおそらく押せ押せで行くというかつこうになるのでございましようが、そう数百億とか数千億とかいうような金にはなつていないと私は思います。
  127. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 根本の方針といたしまして、国鉄法施行令の十七条にこれはよつておるのであります。国鉄法施行令によりますと、この際大蔵大臣と協議しなくちやならぬことになつております。あなたの方は、総裁もやはり国鉄収入ということが唯一最大の仕事なんです。サービスもありますけれども、収入を無視して国鉄経営なんて成り立ちはしない。だから営業上の現金というものは最大のものなんです。この最大貴重なものについて、大蔵大臣と十分に協議をしたという事実があるのでしようか、あるいはその点については、あなたは十分詳しくお知りにならぬのでしようか、それはいかがです。
  128. 長崎惣之助

    長崎証人 非常に詳しいことは私存じませんけれども、何かこの協議につきましても、日本国有鉄道法が施行前に協議をしたものがあるのだそうであります。それがずつとそのままになつて継続して来ているということでありまして、この法律によつて協議というものはないように私聞いております。しかしまあそういう事実が認められておるわけでありますから、やかましいことをおつしやると、そういうことではないかということが一つ。さらに吉田委員に申し上げておきたいのですが、今同前議会で日本国有鉄道法がかわりまして……。     〔藤田委員長代理退席、委員長着席〕
  129. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは存じておりますから、その点よろしゆうございます。本年の八月一日から国鉄法の四十二条が改正になりましたことは存じております。そこで私どもは八月以前の問題を扱つております。もつとも八月以後になりましても、まだ施行令は官報にきのうかおととい載つたばかりであります。そこで国鉄法の施行が二十四年の六月からでありますから、その前に大蔵大臣との協議ですか、仮協議とかいうものがあつたまま今日まで来ておるということは、これはやはり施行令十七条第二項に大蔵大臣と協議することを明記してあるのであります。ここは非常に重大な一つのかぎなんです。このかぎをかけずと、そのままルーズに前からの習慣を押し通して来ておるということは、これはたいへんな会計財務の一種の紊乱じやないか。紊乱という言葉が少し強ければ、実に扱い方が当を得ておらぬ。やはりこれは当然に正規に大蔵大臣と協定、協議をなさつて——運輸大臣の承認を受けた後、大蔵大臣と協議をすることになつておるのですから、それをしもしないで国鉄法施行以前の仮協定といつたようなものを今日まで行つて来るということは、およそ財務会計事務について国鉄の幹部は一体何とお考えなつておるのだろうか。そんなお考えだから会計が紊乱してしまうのである。財務局長か何かおありであろうと思うのだが、一体なぜそういうものを厳格に解釈しないのか。会計法規というものを厳格に解釈せずして、一体会計の秩序というものが成り立つのだろうかと私は思うのです。これはあえて猛省を促したい。今御説の通り、私も調べておるので、正規の大蔵大臣との協議はありません。ないのです。ないままに来ておるのです。ないからといつてこのまま来ておるということは、それはなるほど何百億円にならぬとおつしやいますけれども、ところてんのようになつて来ておるのです。一週間で切り、あるいは最高一週間ごとになつておりますから、切つてつて行く、切つてつて行くというので、同じものが来ておるのです。水の流れと同じです。一定の高さというものがずつとあつて、市中銀行にみんなあるわけです。だから市中銀行は、何百億円か何ぼか知りませんけれども、そこにいろいろと不明朗な問題が起る危険があるわけなんです。こういう根本の根はかぎをきちんとしめておかれるべきが当然であつたと思います。重ねてこの点を伺わなければなりませんから、御所見聞いておきます。
  130. 長崎惣之助

    長崎証人 私もそういうこまかい点まで見ておらぬことはきわめて遺憾でございます。だんだん当務者に聞いてみますと、協議があつた、その協議の内容を何か変更しようということでいろいろと折衝しておりました模様でございます。従いまして書面上のいろいろなやりとりはございませんが、運輸省におかれましても、そういう問題があるということをよく御承知であつた。大蔵省においては前からの協議がございますから、それをずるずるとやつて来たといういきさつであつたように思います。しかし仰せの通り会計規程というようなものは最も厳格に解釈すべき筋合いのものでございますから、これはできるだけすみやかに、今度は政令も出たことでございますから、従つて正規の交渉を遂げ、協議すべきものは協議してはつきりさして行きたいと思います。
  131. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたの方の提出の資料によりますと、本年八月三十一日現在、この鉄道会館の建設工事の分担金の改訂の結果、一億四千三百万円があなたの方は負担減になつて、従つて鉄道会館からもらわなくちやならぬことになつておるはずであります。これは収納されたか、あるいはいつ収納することになつたか、その点御承知ですか。御承知であればお答え願いたい。御承知でなければよろしいです。この点は非常に大事な問題でありますから……。
  132. 長崎惣之助

    長崎証人 まだ少し残つておりますが、これは計算のつき次第ということになつておりまして、大体十九日ごろまでに全部受取るはずでございます。
  133. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 計算は銭まで出ているんですよ。一億四千三百十一万七千八百十八円五十九銭、そこまで出ている。八月三十一日からもう十月のきようは十六日でございます。でありまするから二箇月もたつている。それを計算ができたもできないもないんです。銭まで小さなものが出ているんですから、どうしてこういうものはきちんととらぬのですか。
  134. 長崎惣之助

    長崎証人 何かめんどうな計算があつたらしいので、実は私もそういうことを聞いたのでございますが、いよいよ十九日には全部完了になるということでございます。
  135. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 次に私は法規問題について伺いたい。これは杉村委員からお尋ねになりましたので、重復しないように聞きたい点が一点あります。それは各般の法規について、ことに固定資産管理令、それから構内営業規則、それから会計協議規程、会計何とか等等、つまり国鉄法に付随してつくられましたところの規程とか達とかいうものに、この委員会の答弁によりますと、たとえば前納すべしと書いてあるけれども、前納しておらないと、それもしやあくとお述べになる。それから期限は三年以上越えてはならぬのに、三年超過したということも、何か笑つて御答弁になるんですよ。それからその他計算の仕方についても構内営業規則第四十四条一項二号の適用だと、営業局長ですか、がんばりなさる。よく調べてみると、そうではない。そうではなくして、それはやはり固定財産管理規程の適用にすぎない。固定財産管理規程は構内営業規則とは違います。管理規程なら管理規程とおつしやればいいけれども、やはり構内営業規則とつぱりなさる。というようにあげて来ると、自分でつくつた法規を自分でつくつた達を、法律の準用としてできた会計規程をどれもこれも破つてつて、それで大して反省もなさらぬような態度見がえるのであります。実に乱暴なことでありまして、ちようど気ままな夫婦がかつてに約束をして、いろいろとりきめたものを取消すくらいなお考えがあるのだろうが、これはたいへんな間違いであります。大体において法令ないしは規定に片つぱしから違反したことが随所に見えるのであります。  これが改訂にもなりました一つの動機と思いますが、こういうようなことはやはり国鉄の法規問題として、今の会計法規の違反の問題とともに、厳に考うべき問題と思うが、所見いかがですか。
  136. 長崎惣之助

    長崎証人 先ほどどなたかの御質問に答えたわけでありますが、固定資産等の利用それに関する法規、達というようなものがきわめて完全でない、ばらばらになつておるというお話は、私はよくわかるのであります。この問題は、実は何もかもざつくばらんに申し上げますと、先ほども申しましたように、本来の仕事の輸送あるいは安全というような方面に追われまして、つい十分なる注意をしていない。それが一番大きな問題でございますから、当委員会の御所見その他にかんがみまして、さらに機構も改め、綱紀も粛正し、さらに法規も十分に整備して、間違いのないように私はして行こう、かように考えております。実に御指摘の通りでありまして、非常に不備な点が多いということを私は率直に認めます。
  137. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 称して外郭団体、この鉄道会館もあるいは外郭団体の一つに数えられるのかもわかりません、称して外郭団体の幹部に国鉄の幹部がやめてすぐ行かれるということは、これは一つの問題のもとであります。こう言いますると、幹部の方が退職なさつて、それから仕事にありつきなさる道をふさぐようなふうにおとりになるかもしれませんけれども、やはり大きな権力の地位におありになつたのでありますから、ただちに外郭団体の首脳部に行くということは、やはり外郭団体をつくつて行く危険があるのであります。これは一般の公務員全体につきまして行政改革上重大な一つの問題だと思います。従つて承知の通りに、公務員法におきましてそれは禁止しております。あるいは検事なら検事がやめて弁護士をしようといたしますと、弁護士会で拒否をするというようなこともありまして、やはりこれは綱紀問題が発生する重大な問題であります。ところが鉄道会館の実情を見てみますると、やはり加賀山氏以下四名の方はこの間まで国鉄の幹部でありました。ことに伊藤滋という方はそれは、名ざして失礼でありますが、専務になつておられますが、この方は昨年の八月に日本停車場会社の副社長をおやめになつております。御承知かと思いますが、日停会社というのは、あの日停ビルが問題になりまして、会計検査院にいろいろな点の不当を指摘せられまして、そうして問題を起しまして、それが直接原因であつたか、なかつたかは存じませんけれども、そこまで申し上げたくありませんけれども、ともかく不祥な会社の重役であつた人がお入りになつて重役におなりになる。また他の実例によつて見ましても、他の外郭団体、あるいは交通公社にしましても弘済会にいたしましても、その他等々およそ国鉄から資料として出しました外郭団体——ずらりと一見してみますと、幹部はほとんど国鉄の重要な幹部にあられた人、あるいはまた単にこれは外郭団体とは申しません、ちよつと方角が違いますけれども、問題が類似しておりますから一括してお尋ねしたいのであります。私どもは年間一億円以上国鉄から工事を請負つておるところの建設会社を全国にわたつて名前と、重役と、それからその幹部が国鉄の幹部であつた人を全部列挙して資料として提出を要求しました。これがここに参りました。これを読んでみますと、鉄道建設工業株式会社、札鉄工業株式会社、新鉄工業、東鉄工業、名鉄工業、大鉄工業、九鉄工業、四鉄工業、およそ鉄道管理局の管内の名前を冠したような、その建設会社の社長以下幹部はことごとく国鉄の幹部であつた人、そういうようなことで、これは不公正に請負ができたという資料は私は今ございません。けれども、工事の請負につきまして巷間とかくのうわさがあるのであります。そういう際に国鉄の幹部がこれらの幹部を占めて行つて、そうして鉄道管理局の名にぴつたり合うような工業会社がずらつと全国に網が張られております。これはやはり相当大きな私は綱紀問題としてお考えにならねばいかぬと思います。こういうところにもし疑惑がほんとうに事実としてありましたならば、これはたいへんです。国鉄たとい二千億の年間収入がありましても、いろいろと不祥事件が起る危険がこんなところから出て来るわけであります。でありますので、今申しました鉄道会館の問題、交通公社以下幾つかあなたの方でお出しになりました資料は、外郭団体の幹部はことごとく国鉄の幹部、このような重要な年間一億円以上の請負をする会社の幹部が、国鉄の幹部であつた人、これでは国民がちよつと納得いたしかねます。あたかも国鉄の資産、国鉄の事業、国鉄支出というものが、まるで大家族主義の名によりまして、何かしら一部の幹部の人々らの利益の用に——甘い汁を吸いとるようなふうに国民はとるおそれがあります。非常に大きな暗影を投げ与えております。こまかく調査しませんけれども、何とかこれはなさられなければいかぬ。これはやはり明確にひとつ御所見を伺つておかなければいかぬと思うのであります
  138. 長崎惣之助

    長崎証人 外郭団体、あるいはそういう建築会社等をめぐりまして、とかくのうわさがあるというふうなことをよく聞く場合がございます。従いまして、われわれといたしましてはでき得る限り公正を期し——でき得る限りじやない、絶対に公正を期して参りたい。その方法、手段いろいろ研究をいたしております。仰せの通りでございまして、そういうありの穴の一角から国有鉄道の信頼がくずれて行くということがもし万一ありといたしますれば、これは重大な問題であります。これは御忠告、御所見十分に気をつけまして、何らかの方法で、そういうことの絶対にないように私は努力したい、かように考えております。
  139. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は綱紀問題は他にもありますけれども、時間の関係上その程度にいたします。この問題といいますと、鉄道会館を中心にいたしまして本委員会並びに運輸委員会におきまして発展いたしました、概して鉄道会館問題と称していいと思います。鉄道会館問題をめぐりまして国鉄の問題であります。これはやはりあなたもとくと御了承の通りに、世上きわめて大きな波紋を描いておるのであります。そこで私はこの責任問題、これはやはり国会でそこは論議する必要がございます。責任の問題についてどうしても伺わねばならぬのであります。あなたに伺うことが適当かどうかはちよつといかがかと思いますけれども、やはりあなたもその委員の一人であられた監理委員会のなされたあとは、本委員会議事録に徴してみましても、またあなたの答弁あるいは天坊総裁、監理委員の佐蔵さん、佐々木さんの本委員会における御答弁を総合してみましても、昨年六、七月ごろに前後二回ほどしかほんとうは相談を受けなかつたと実は答弁になつた。その程度はどの程度か存じませんけれども、そこでやはり国鉄法の法律趣旨精神から解しまして、私は指導監督についての責任は、あなたも特別監理委員でありますから、指導監督につきましては相当御責任があると思います。まずその方からやはり監理委員の立場において、監理委員会一つの曠職といいますかのそしりは免れぬと思います。あなたの御所見はどうでございましようか。
  140. 長崎惣之助

    長崎証人 どういう点でありますか、とにかく……。
  141. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 おわかりにならなかつたら、単刀直入にあなたの方に進みます。それから行きましよう。それでは私は監理委員会責任を問おうとしたのでありますが、これはあなたに問うのは少し筋が違うかもわからぬと思いながらも問うたのであります。単刀直入あなたの国鉄の幹部としての御責任を伺つてみたいと思います。そこでこれはどうか率直にあなたの御心境の披瀝を望みたいのでありますが、容易ならざる問題が投げ与えられましたので、よつて来るところを探究してみますると、原因はやはり他の条件もありますけれども、国鉄内部の原因というものが大半であつた、私はこう考えるのであります。そこでちよつと先に述べました契約の問題の経過にかんがみましても、あるいは財務会計の経理の問題にかんがみましても、綱紀問題、諸般の問題にかんがみましても、あるいは国鉄が損害を受けたり等々しておる問題にかんがみましても、これは相当御責任のあることではないかと思うのですが、あなたとして責任問題ということについての心境をひとつこの際お述べ願いたいと思いますが、いかがでございましようか。
  142. 長崎惣之助

    長崎証人 いろいろ会館の問題をめぐりまして大きな波紋を投げたということについてはまことに遺憾に存じます。しかしながら先ほど来るる申し上げましたように、この問題にいたしましても、あるいはまた御指摘の幾多の問題にいたしましても、そこにやはりいろいろ起るべき要因が複雑でありまして、それらの要因をとり片づけて行かなくちやならない。そうしてりつぱな鉄道にするということが、また当委員会皆さんのほんとうの御意思であると思いますので、私はでき得る限り早い時期にせつかくの皆さんの御意見を帯しまして、そうしてりつぱな国鉄に育て上げるということが私の行くべき道じやないか、かように考えております。
  143. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ところが日本人のわれわれが了解するものの考え方というものは、たとえばあなたがこういう立場にあられてこういうふうな事態が起つたことについては、まことに国家国民みな遺憾に思つておるのであります。あるいはまた迷惑に思つております、というような事態が起つたときにはやはり責任を痛感するということは、日本人のものの考え方といたしましては、少くとも道義上私は当然だろうと思う。なるほどあなたの、今後勇在邁進さらに勇を鼓して国鉄の改革、刷新をはかつて、われわれの期待する国鉄の完成へ努力なさるというその御熱意はもつともと思います。もつともと思いますけれども、やはりそこにひとつ何かけじめをつけるということが、責任という問題のわれわれの扱い方、考え方でないかと思うのであります。でありまするので、何もあなたをその意味で追究する意味じやありません。自発的にあなたがこういう問題について相当御責任をお感じになつておろうと思いまするので、大いにやられるということの御熱意はそれは了としますけれども、過去のできごとについてはとれはやはり一応の責任をお考えにならぬとしめしがつかぬ。現にあなたの方の四十数万の部下が、何かあつたときには始天書をとらせると思う。やめてくれとおつしやるだろうと思う。あるいはまた懲戒、解雇という手段に出なさるだろうと思う。というような各般のことがありまするので、やはりそこに何らかけじめをつけるという意味において、最高のあなたとしては政治道徳的に相当の御心境の発展があつてしかるべきものと私は考えるのであります。その点についていかがでございましようか。積極的に何か御意向が示されまするならば非常にわれわれはけりこうと思いますが、いかがでございましようか。
  144. 長崎惣之助

    長崎証人 ただいまの吉田さんの御意見、そういうものの考え方も私は一つ考え方だと存じます。つつしんで拝聴いたします。とくと考慮をいたしますが、ただいまの私の考え方としては、やはりこのりつぱなものにして行く、勇を鼓して行くという私の勇気は非常に小さなものでありますけれども、やはりりつぱな鉄道にして行くということが、私の行くべき道じやないかということを考えている次第であります。
  145. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この鉄道会館問題も、これも何とかきまりをつけなくちやならない問題だろうと思います。契約を部分的に改訂することによつて済ませるべきものであろうか。当委員会あるいは運輸委員会におきまして国民の常識ないしは良識の判断による各般の意見が提示せられたものとして、あるいはまた国鉄自身、鉄道会館自身がみずから反省せられて幾多の今後のあり方についての資料が提示されたものと考えるのであります。そういうような一つ結論といたしまして鉄道会館問題をどうするかということについて、これはほんとうに勇気を振つて根本的に考えなおすべき問題であるのではないか。さきにいつそやの委員会におきまして加賀山社長は、鉄道に協力するという以外何もありません、だからどういう提案にも応じますという意味の御趣意のお言葉があつたのであります。でありまするので、真に鉄道会館なるものが私利私欲を離れて一部集団の株主だけじやなしに、国民のための国鉄と言つたような大きな立場からもう一ぺんあり方について再検討して、国鉄鉄道会館との関係について、また鉄道会館のあり方について、鉄道会館の性格について、その利用のしかたについて、その都民との関係を考慮する面において等々各般にわたりまして、鉄道会館というものをもう一ぺん考え直す必要があるじやないか。それはあるいはさきに藤田君がおつしやつたような、ああいう組織の性格上の問題もありますが、いろいろな角度から鉄道会館をもう一ぺん爼上に上して裸になつて出ておられると思いますから、あなたはそれほどの勇気をお持ちになつておられるならば、抜本的にもう一ぺん再検討いたしまして、鉄道会館を爼上に上して、これをどうすべきか、こういうことを考えられてしかるべきものであろうと私は思うのであります。しいて私自身の素朴な一つ意見を申し上げますれば、もつとやはり公共性がほしいと思う。こういうような一つの営利団体とあえて言いたい、株式会社ですから。営利を目的にしない株式会社はありませんから。一営利団体に東京、いな日本、あるいは国鉄の最高の利用価値のある場所を利用させておるのでありますが、だんだんと質疑の奏つたことくに、純輸送面から見ると、輸送にプラスしない、輸送のじやまになる。大阪の阪急の百貨店は——阪急は終点の百貨店で、あれは小林さんの独創でしよう。ここ数年前、あの前は混雑雑沓しますので交通をとめる問題も起りました。赤旗白旗を立てまして通そうといたしまして、署名陳情の問題があつた。御存じかもしれませんが、百貨店ができましてにぎやかになつて繁昌しますと、そういう問題が起るのであります。そんなものは、大体あなたは今後のことをむろん予見されたと思いますが、こういう面から見ましても、鉄道会館というものは幸いに国鉄の方に身をまかすというくらいの、ほんとうに矜持を持つておられるならば、鉄道会館というもののこの営利団体にこの場所を独占さすという考え方から脱却いたしまして、公益本意の組織と経営にかえるというような考え方で進むということも、確かに一つ考え方に違いないと思う。でありますから、それほどあなたが勇気を振つて今後やろうとするならば、この問題に手をつけたらいかがであろうと思うのであります。そういうことに何か御所見があつたらこの際聞いておきたいと思います。
  146. 長崎惣之助

    長崎証人 ただいまのお説いろいろ拝聴いたしましたが、先ほど来しばしば私申しておりまするように、御所見の線に沿うて再検討し、改むべきものは改め、矯正すべきものは矯正して参りたい、こういうことは私たびたび申し上げる通りであります。
  147. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最後にもう一点伺います。あなたの方で改むべきことは改め、調整すべきものは調整するというそのお考え方はけつこうでありますが、ここはおざなりでなしにちやんと聞きたいが、まあそれ以上少し利害関係があまりデリケートのものがあつておつしやりにくければいいといたしまして、これと関連いたしまして同時にやはり国鉄の会計を整頓する意味におきまして、私はこの際外郭団体との債権債務の整理を即時はつきりしなければならぬと信じております。それをすることなくしてやられるならば、この委員会が続きます限りは、交通公社の問題にしましても、日通の問題にしても、弘済会の問題にしましても、二十人の委員がみんなそれぞれ追究をやめません。でありまするので、幸いにも非常にいい機会が来たのでありまするから、債権債務をすみやかに整理すること。あなたから言わせれば、何億円、何十億円がじつと寝ているのではないという物の見方をなさるかもしれませんけれども、ここに現われました委員会の資料によりましても、相当大きな金が寝ておりまするので、この辺の整備をなさることと、そうして外郭団体に対する粛正——あえて私は粛正という言葉を使いたい。その辺についてしつかりとした方針を持つていてもらわなければならぬと思います。だれがなさろうとも、これは最も急を要する一つの問題であろうと考えるのであります。これに対する御所見を伺つて私は質疑を終ります。
  148. 長崎惣之助

    長崎証人 債権、債務の整理ということにつきましては、先ほど委員長からもお尋ねがございましたが、これはできるだけ早い時期にまず計画を立てて、そうしていついつごろまでにはこういうようなことになるというふうに持つて行きたいと私は思つております。そのほか、外郭団体と申しますか、すべて部内におきましても、綱紀の粛正あるいは自粛自戒というようなことはきわめて大事なことでございますから、そういう方向に持つて行くように一日も早くやつて行きたい、私はかように考えております。
  149. 田中彰治

    田中委員長 委員にお諮りいたしますが、証人も病気上りで大分疲れておりますから、十分だけ休憩して再開したいと思いますが……。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 田中彰治

    田中委員長 それでは十分間休憩いたします。     午後三時五十二分休憩      ————◇—————     午後四時七分開議
  151. 田中彰治

    田中委員長 休憩前に引続き証人尋問を継続いたします。  委員にお諮りいたします。大分時間も経過して参りまして、これからまだ四人質問の方がございますから、一人二十分ずつに制限していただくようにお願いいたします。——安井委員は留保されるそうですから、熊本委員発言を許します。熊本君。
  152. 熊本虎三

    ○熊本委員 委員長のお言葉で二十分ということでございましたが、いささか迷惑をいたします。できるだけ整理して簡潔にやりますから、委員長の方でもその点は御高配を願つておきたいと思います。  なお、先ほど来同僚委員からいろいろ御質疑がございまして、できるだけ重複しないようにと思いますけれども、先ほどの答弁では不明なところがなおたくさんございますから、重複することをお許し願いたいと存じます。  特に最初にお尋ねしておきたいことは、直接鉄道会館ではございませんが、杉村君の質問にお答えになつ交通公社の問題であります。交通公社の問題についての答弁は、進駐軍の意思によつて手数料を廃止した期間がある、そのためにその後の公社の支払いが遅延して来ているというふうなことでございました。なるほどさような理由もあつたろうかと存じますが、本年三月の概算は十七億を突破する未払いのあることを一体総裁は御承知であるかどうか。  それからその次には、進駐軍が来て、これに手数料を与えることを中止せよと命じた理由は一体どこにあるかと私は常々考えておるのでありますが、交通公社のようなものを別個の団体として現金同様のものを無制限に渡して売らしめるという制度がなくてはならないと考えておらない。駐留軍がこれに対する割当等を中止せよと命じたのは、大よそ私の考えておる概念と同じ建前において、むだな支出だということに基因したのではないかと思う。その点は何ら説明がないのでありますが、一体その当時駐留軍が何がために交通公社の手数料をやめろと言つたか、その理由をこの際お聞かせ願つておきたいと思います。
  153. 長崎惣之助

    長崎証人 私当時追放中でありまして、あまりその間の事情を詳しいことは存じませんが、私の聞きましたところでは、ああいうツーリストの案内、世話をする仕事はやめてはいかぬ、しかしその手数料は客からもらつたらいいじやないか、国鉄が出すべきではない、あるいは私鉄からも出すべきではたい、お客さん自体からとつたらいいじやないかということだつたように私は聞いております。ところが事実問題としてはそういうことはなかなか困難でございますので、結局手数料をとれないと同じような結果になつたように私は承つております。
  154. 熊本虎三

    ○熊本委員 サービス機関はあつてしかるべきだと思います。しかしながらなのことがあるために、不当なる利潤追求の会社を擁して、しかも十数億円にわたる不払いをするがごとき公社をあえて委嘱する必要はない。そのためにこそ問題が起きて来ておるのでありますから、先ほど吉田君も言われたように、ここで結論をとろうとはいたしませんが、国鉄としては十分その点を勘案して、公社に委嘱するがごとき態度を排して、別の角度から直接国鉄が扱うよう御配慮を願いたい、かように考えます。  その次にお尋ねしたいことは、杉村君の質問に対して総裁は、国鉄総裁として営利会社たる鉄道会館との契約国鉄を代表してやる、ところが共済会の代表としてこの営利会社に出資をして何ら法律的にも抵触しない、良心的にも恥じない、こういう御説明でありましたが、われわれが常識論で考えた場合に、同じ一個の人間が一方の利害を代表したり、また他方の利害を代表したりして、いやしくも国家国民の膏血によつて運営さるべき国鉄の利害を代表するということは、これははなはだ常識上不穏当であると私どもは考えます。その際の総裁考え方は、先ほどの御説明と同じように、両者を兼務するものであるから人格的に違うのであるということで、さして御心配にならなかつたかと存しますけれども、事今日に及ぶ大きな問題となつて参りますれば、その点十分に整理さるべきであると考えておりますが、いまなお今日も平気でおいでになるか、何ら一考をも煩わす必要なしとお考えであるかどうか。
  155. 長崎惣之助

    長崎証人 先ほども申しましたように、今日までの法律上のいろいろな見地から申しますと、何らさしつかえないというふうに私どもは了解しているのであります。しかしながら御注意の点もございますから、さらに再検討を加えてみようと思います。
  156. 熊本虎三

    ○熊本委員 さらにお尋ねいたしますが、この際株式会社鉄道会館を御選択になつたということについては、いろいろ社会的信用及びこれからの重要関連性のある国鉄関係において信頼の置ける人並びに資本関係等を勘案して、こう言われたのでありますが、そういうことになりますと、先願者である五島氏を中心とする会社は、個人的信頼においてもあるいは資産上の信頼の度合いにおいても、あるいは社会的信頼の度合いにおいても、一考をもする必要がない。そうして国鉄計画を指示して、もつてその相手方の熱意をただそうとする必要すらもなかつた。しかし今度の鉄道会館はまことに信頼に足るすべての三条件が備わつているという観点に立つて、かようなとりきめをされたかどうか、その点をもう一度伺つておきたいと思います。
  157. 長崎惣之助

    長崎証人 これは非常にむずかしい問題でございまして、どちらが信頼するに足るかというようなことは、人の信用問題にも関連するのでございまして、そう軽々にいろいろなところに相談するというようなことはできないと思います。むろん内密にいろいろと調査もいたしましたし、またその中には過去においてわれわれの方といろいろな交渉のあつた人もおります。当時において資本をどこから持つて来るか、あるいはこれは信憑性が非常に薄いのでありますが、第三国の資本が来るんじやないかというような話もございました。また一方において資本家、財閥というふうなものにまかせることはいいか悪いか、いろいろな点から考えまして、主としてそういう面を内密にいろいろ調査をいたしまして、結局これじやどうもむずかしいんじやないかという決定になつたものだから、実は許可しなかつた、こういう申請を認めたという結果でございます。
  158. 熊本虎三

    ○熊本委員 組織構成の中にいろいろかんばしからざるものがあつたということについては、どういう人であるかは別として、そういう国籍等の関係は資料を私は持つております。しかしながらそれらの不備については、相談の結果にもよることで、いかんともなるかならざるかは、相談をしてみなければわからない問題であります。そうして検査院が指摘するがごとくに、たとえば契約法律上の問題、四十九条とか三十三条とかいろいろ議論をされましたが、これらの法律上の問題は、おのおの解釈はあろうと思う。しかしながら少くも為政者として特に国家機関の責任を持つ者としては、社会に発表してうなずけるがごとき細心の注意を払うべきであつたことは事実である。ひとり検査院のみならずして、われわれもその点に疑義を持つておるのであります。これらの先願があつたにもかかわらず、国鉄がこれを計画し、その契約等についての協議はただ一つ鉄道会館のみに限つてこれを行つておる。そうして一方についてはこれを却下の形において何らこれについて意見を問おうともしておらない。このことは考えようによつては、穏やかならざる動機と過程があつたのではないかと疑われてもしかたがないのであります。私はあとでなおこのことについてただす資料を持つておりますが、こういう観点に立つて私ども多くの疑義を持つのでありますが、そのあなた方が信頼をされました鉄道会館の一体信頼の度合い、あるいはその資本の度合いはどういう実情であるか。発起人として加賀山氏初め個人として出資したる者二十八名であります。その総金額がわずかに二百七十八万円、それでもつて三十億に近い事業をやろうという。その内容を見れば、先ほどから問題になつております手続上の問題をはたして完全に済ましたか済まさざるかにも疑問があるところの共済組合を代表して、あなたが専制のごとくにして一億円を出しておる。さらにその資本の大半を担うところの鉄道従業員にこれを背負わしていることによつて、ささやかながら会社的存在の価値を生んでおるにすぎない。そのために国鉄から契約に基く予納金の納入についても、遅れに遅れて実行は伴つておらない。さらにこれを保証するために方々の金融機関に頭を下げて、そして支払い保証手形をもつてやりくり算段をしておる。その支払い手形も期限が来ても払うことができない。そうしてさらに期限を繰延べてもらつて、やつと法理上の手続を終らしておるにすぎない。このことは、社会的信用について、はたしてあなたがそれほど御信じになるような、経済的にも社会的にも信用があるというのか。ささいな問題ではありますけれども、そのことのために国鉄は、やはり金利その他について多くの損失をしているはずである。結局は、国鉄という国家的大事業が背景におつて、これが支柱となつてささえることによつてのみ、今日存在価値のある鉄道会館である。かような貧弱にして、噂にねらうところは国鉄を利用して将来の暴利を追うにすぎないのである。この鉄道会館がどういうわけで、先願があるにもかかわらずこれらのものを排除しししまつて、単にこれとのみ契約をとりかわさなければならなかつたか。その理由をまことにわれわれは了解に苦しむのである。ことに天坊総裁が答弁して明確になつておりますが、二十八年度予算のうち田端・日暮里間の改修費の中から、六千五百十五万円というものを、やりくり算段がつかなくて、こちらの方に流用しておるのである。さらに、不当なりとわれわれは言いたいのであるが、また貸し家賃をとつて、これを三箇年前払いをせしめておる。大丸からは七億五千万円という融資を受けて、何とかかんとかものにさえずればあとはもうかるんだという、ただそれのみを頼りにしてものを連行しておるところの今日の鉄道会館が、どういう理由によつてそれほどの信頼が費けたのかということは、はなはだわれわれは疑問とするところでありますが、国鉄総裁はそれでもなおかつ最善なる相手方であつたとお考えであるかどうか、御答弁を願つておきたい。
  159. 長崎惣之助

    長崎証人 なるほど先ほど休憩中にちよつと資料を見たのでありますが、先願者にはたくさん偉い方々の名前が載つております。しかし私か五身さん並びに八田さんであつたと思いますが、とにかくああいう偉い方にお目にかかつた際には、いや実は頼まれたので、しようがないというような意味のお言葉でありまして、あるいは私の記憶遅いかもしれませんが、はなはだ熱心でなかつたように記憶いたします。そこで、どうもあなた方がほんとうにやつてくれるのでなければたいへんですがというまあ茶話的な意味で、別にそれが審査とかあるいは精査とかいうものではなかつたのでありますが、そういう情勢で、やはり中心はむしろほかの方々にあつたのではないかと見られたのであります。爾来精細に調査の結果やはりその通りでありまして、これではどうもこつちの方にまかせておいたのではどういうことになるかわからないというのでこういう結果になつた次第であります。いかにも熊本委員のおつしやるようにも見えますけれども、決してそういう一方的な考えでいたしたのではなく、また先ほど監理委員会相談したかというお話でしたが、監理委員会にも相談をいたしております。当時の運輸大臣にも相談をいたし、なおさらにこれも申し述べたと思いますが、政界、財界その他東京都の方々あるいは日本商工会議所の方方、いろいろな方々にこういう構想ではどうであろうかというふうなことで企画をお話し御意見を徴したのであります。その結果それがよかろうというふうな御意見が多数であつたので、それではそういうふうにしようということでお話は進んで行つたのでございまして、むろん万全を期したとは申されないのでございますが、決してわれわれだけの独善とかあるいは何んと申しますか、なれ合いということでやつた仕事ではないのであります。
  160. 熊本虎三

    ○熊本委員 総裁個人的人格その他については、私どもも決して他意を持つておるものでもなければ、個人に対する不信の立場においてものを言おうとしてはおりません。従つて私どもの追究が急であればあるほど、その問題に関する責任はあなたの方で負つていただきたいのである。われわれがこういうことを繰返し繰返し申し上げますことは、いかにして日本の再建の重要な基盤である国鉄をして、国民の信頼と協力のもとに発展せしめるかという根本的理念にすぎないのである。従つてできたことであるから何とかりくつをこねてそうしてこれを糊塗して押し通せばいいとうあなた方のものの考え方は、われわれの考え方といささか方向を異にするのではないかと考えますから、その点は前もつて了承の上御答弁を願つておきたいと存じます。  従つて具体的に申し上げますならば、私は一々小さな問題を、御病気中でもあつた総裁に、この点はどうなつておるかということを今ただそうとはいたしませんが、あなたのお留守中にわれわれがただしたところを総括して申し上げておるのでありますから、その点も了としてもらいたい。先ほどから言いますように、あるいはわれわれから見れば不当流用とも目すべき予算の流用をもつてこれに充て、あるいは予納金等についても当然納むべきものを納め得ないで迷惑をかけるという現状、そうして資本についても、やはりこれらの対象となるべき加賀山氏の人格と力とをもつてしてもこれだけの大事業が及ばざるという現状、こういうようなそれぞれの問題を今日勘案して、そこから出発する国民輿論の対象となつておるということをお忘れになつてはならない。従つてこれらの問題につきましては、検査院の指摘する契約の過程においても、私は検査院の答申を妥当とする。あなた方のやられたことについては手落ちがあつたと私は解釈する。そういうこと等についてはすなおに率直にまず肯定すべきは肯定し、改むべきは改めるという物の観点に立つてここで質疑が行われないならば、先ほど吉田君が言いましたように、これは無制限にしかも広汎に及ぶでありましよう。私は十九の関係団体の一切の資料を要求して手元に持つております。民衆駅の十四についてもことごとく資料をとつております。従つてこれらをことごとく洗つて行こうとするならば無制限にあります。だから私どもといたしましては、何とか問題の対象であるこの鉄道会館について、なるほどそうであつたかということを、少くとも国民の了承するところへもつてつて、そうして他はいろいろな観点に立つて、いかによろしからざる行為といえども、長年の伝統をただちに切りかえるわけに行くまいが、これは責任をもつてこれに近ずくがごとき方向をとつて行きたいものだと念願しておるのです。さらに国鉄の経営の内容から言えば、求めてやまざる新線の建設及び電化の要求、こういうものは山ほどあるのであつて、おそらく財政からいうならば、来るべき明年度の予算には運賃値上げもしてもらいたいであろう。しかしながらこういうような状態の中において、一体あなた方が適切とお考えになる運賃値上げにしても、国民が了承して行くか、これに反対ののろしを上げるかは想像がつくはずである。繰返して申し上げておりますが、でありますからそれやこれやを勘案してのわれわれの質疑であるということを十分にお含みの上で、答弁をお願いいたしておきたいと存じます。  次にお尋ねいたしたいことは、建設目的でありますが、これもあなたのお留守中にも何回か同じようなたとを繰返して質問をして答弁を幾多求めております。なお本日も、先ほどの同僚の質問に対して、いろいろ意のあるところを総裁もお答えになつておるが、これは言うまでもない。その意図は、あくまでも日本の中央であり首都の関門であるところの東京駅については、美においても観においても、また交通の緩和についても、これらの大衆を対象としたる公的福祉の立場からこれが勘案されたものであろうということを、私ども信じて疑わない。そのためにこそ国鉄は、あなたのお留守中にただしたのでありますが、坪当り十万円として、これに対するところの利率を年額六分七厘程度になつておるというところからこれを七分と算定して地代をも算出したということを答弁しております。そうであつてしかるべきだと思う。しからばそれほど国鉄が求めて公衆大衆のために企画するところの鉄道会館は、一体何をしておるのか、その対象は何をやつておるのか。あなたも御承知の通り、たとえば高架線下の問題にいたしましても、国鉄に払われるものは坪当り三百三十三円である。しかるに鉄道会館は、これを又貸しして六千百九十円というまことに二十倍に近き暴利をむさぼつて転貸ししておるのである。こういうような不当な利益を目途として転貸しをされるところ、はたしてその売店が、民衆のための、鉄道運営のための協力ができるとお思いですか。それでよろしいとあなたはお考えであるかどうか。先ほども言いますように、そのほかに、私の資料によつて調べますならば、その坪数はわずか七百二十八坪でありますが、それによるところの一箇月間の鉄道会館の中間利益は、三百五十四万円になるのである。その他本屋等の坪数を合せて三千二百二十八坪この又貸しの利益が一箇月に三千三百八十九万円という厖大な利益をせしめておる。この利益は一体だれが出すのか。とりもなおさず国民大衆がやはり搾取されるのである。こういうような営利を対象として、てんで国家公共を無視するところの相手方に対して、国鉄のみが一切合財信頼と協力とを惜しまずやつてつたといたしましても、その成果は逆であります。特に先ほども言いますように、大丸からは七億五千万円のうち、もうおよそ三億ぐらいは入つておるだろうと契約からいつて考えるのであります。そうしてこれが完成したあかつきには、約七千とちよつとの坪数でありますが、その契約は二億五千万円、会館の総坪数は一万八千三百坪、そうして国鉄が専用するものはわずかに四百三十六坪である。共同使用するものを合せてもわずかに一千数十坪にすぎない。従つて会館は、たとえば冷房、暖房の装置等直接価格に評価することのできないそういう施設を差引きましても、かつなお大丸に貸しておるがごとき約七千坪のものが余裕として残つておる。そうなりますならば、完成の後においては、おそらくわれわれの概算五億というものの収入があるだろう。その収入は一体だれがとるのか、その収入はだれが得せしめるのか、こういうことを考えて参りますときに、私は日本の関門ともいうべきあの八洲品の重要地点をして国家、国民を無視するところの営利本位の会社がここに出現するということは、まことに残念しごくだと考えておる。こういうような事実の問題がここに現われて、そうしてこれが輿論の対象となつておる。最初契約の当時相手方を信頼する度合い、これは人おのおのできるだけ尊重しなければならない。相手方の立場と人格を尊重し合うということは、人間社会においては必要であります。従つてその契約の当初において私どもはあまり。追究しようとは考えないが事ここに至つてなおかつ経過が今日に至つたからあとへは返らないというりくつはないはずである。従つてこういうような真相について私の言うようなことは間違いであると否定になつて、そうしてこれと将来契約を継続して鉄道会館になさしめることが鉄道の目的とする最上のものであるとともに、これより以上国民に与えるところの福祉の道はないというお考えであるかどうか。この点を念のためお尋ねいたしておきたいと存じます。
  161. 長崎惣之助

    長崎証人 鉄道会館の経営ぶり等についてお話がございました。われわれもとより鉄道会館は、不当な利益、いわゆる暴利に近いような利益というようなものをあげさせるつもりはございませんし、またその点は十分に自粛をして行かなければならぬものだと考えております。さらに国鉄の再建回復ということについて。すみやかにいろいろな施策をせよというようなお話、これもごもつともでございまして、繰返して先ほど来何べんも申し上げましたが、電化も進めなければならぬ、またディーゼル化も進めなければならぬ、東京大阪付近の通勤輸送、あるいは大、中、小都市の付近の通勤輸送、さらに進んでは北海道、東北方面との連絡の路線の強化、各般にわたつて国鉄が今後やらねばならぬ仕事がたくさんございます。それについての資金の手当、いろいろの問題がございまして、今後とも皆様方の御協力、御援助を得なくちやならない問題が多々ございます。これらとともにまた一面会館の問題、あるいは国鉄が持つておりまする資産のさらに有効なる運用ということについて、できるだけ努力する。交通公社等の滞納未納の回収ということについても、私は今後計画的にすみやかな時期に回収ができるよう案を立ててそうしてそれを強力に実行して参りたいと思つております。あるいはまたさらには従業員の訓練という面におきまして、でさ得る限り力を尽し、そうして昔のあつた姿、いなそれよりもつと進んだりつばな従業員をたくさん擁し、皆様の御満足を得たい、かように考えておる次第でございまして、その間何も他意はないのであります。先ほど来吉田委員その他の方々の御質問に対してもお答え申し上げましたが、まつたく正直に申しまして、そういう本業の方がもう手一ぱいでございまして、財産の貸付の規定とかいうような点についていろいろ手落ちがございましたことは、私は卒直にこれを認めます。これらもこの機会におきまして、皆様のせつかくの御所信のあと押しがございますから、これを契機に整備して参りたいと存じております。
  162. 田中彰治

    田中委員長 熊本君、大分時間がたちましたからもうあと五分だけにしてください。
  163. 熊本虎三

    ○熊本委員 かんじんな点でございますから、私は長崎総裁に卒直に正直にお答えを願いたい。それはどういうことかというと、なるほど書面上から見ますると、この計画について昨年の六月三十日でありますか、いろいろと加賀山氏と折衝をされた。それが会館の代表たる加賀山とは七月の三十日、そうして会社創立が九月の一日、長崎総裁から正式契約認可の書面が行つたのが九月の二十五日、なるほど書類上は正式に整つておる。しかし正直なところこれは形式にすぎないのであつて、本質的にはあなたの知らざるうちにものは計画され、すでにもう準備はなつておつたのではございませんか、その点をもう一つつておきたいと思います。
  164. 長崎惣之助

    長崎証人 今度の鉄道会館計画と申しますものは、これはもう別に私は隠し立ても何もいたしません。これはまつたく私どもの方の発議であります。先ほども申しましたが、実は私は、線路、車両等、あるいは信号保安という面には大いに力を尽すべきだと思つておりましたけれども、建物をつくるということは二の次じやないか、こういうふうに考えておつて、比較的に、予算の上におきましても、多分全体の予算の一%内外じやないかと思います。これは地方の都市計画にともなつてどうしてもやらなければならぬ停車場ができますので、そういうふうなものだけにとどめまして、ごく限られたものだけしかやつておらないのであります。従いまして、東京八重洲口もまあがまんができるならがまんがしたいものだなと考えておつたのでございますが、何しろあそこの整備、また通勤のお客さんの激増、あるいは遠距離のお客さんの増加というふうなところから、もうとてもがまんができなくなつて来ているという実際上の問題、それから考えまして、最小の費用で何とかできないものかなということを考えまして、ときあたかも八十周年記念というようなこともございましたので、それではやろうかといつて私の方が考えたのであります。むろん線路を敷いたり、あるいはどんなかつこうにしようかなというようなことは、これは今の計画じやないのでしようけれども、いろいろなものの案は私は三つや四つはあつたろうと思います。これはもう鉄道計画としましては、熊本委員も御承知の通りいろいろな案がございます。今日でも東北本線の電化の案、あるいは常磐線の電化の案、あるいは東海道線でも神戸まで行く案、あるいはそれより先まで行く案、いろいろな案ができ上つておりますから、そういうものはあつたかもしれません。しかしほんとうにやろうと考えたのは私自身の決意でございます。
  165. 熊本虎三

    ○熊本委員 ただいまの総裁の答弁には半分は真理があり、半分は真理でないと私は解釈します。最初あなたが言われたところの何とかして建物というような段ではない。そうして他のあるいは線路の敷設、電化の問題等々、ここに力をいたすべきだというところまでは真理であります。そうしてそうお考えなつたことも事実であろうと思いますが、それから先は私がやつたということがちよつとわれわれには納得か行きません。あなたの留守中に私は立花専務に質問をいたしましたが、立花専務は答えていわく、私は外遊の問題を言つた、ところがそれは十年も前だ、こう言われた。十年も前であろうと二十年も前であろうと、いやしくも国費をもつて海外視察をせしめようということは、——国鉄の将来に嘱望される人物であることは言うまでもない。この立花君が二十五年の三月に退城をしております。退職理由は二十五平間の国鉄に献身的努力をして来たか、今度の鉄道会館の建設また重大であるということから懇望されてやめましたと答弁しておる。そうしますと、それはすでに二十五年の三月ごろからこの問題を計画されて、あなたの知らないうちにどんどんとうしろの方は網が張られておつたという事実である。従つてこういうことになつて参りまするならば、これは知らぬは亭主ばかりなりで、あなたがどんなに真剣にものを考えたつもりでありましても、あなたの足元からすでにこういうことは計画され、約束され、あなたのお考えがどうあろうと、そういうことはおかまいなしにまつしぐらにただ一本に鉄道会館との契約へと拍車をかけているにすぎない。こういうことの事実があるにもかかわらず、なおかつあなたが、これはやむにやまれざる自分の考え方に基くものであつて、そうして自分の考え方と同じように何ら不正もなければインチキもない、間違いもないのだというように考えられることは、これはいささか甘いのではないかと思う。ひとつこの点は十分御検討を願わなければ、いわゆる長崎総裁個人の問題としてもこれは大なる影響があろうかと思いますから、この点お調べの上、次期の委員会等において御答弁を願いたい。  時間がないそうでありますから最後に入ります。以上、各同僚委員からも述べられましたように、また吉田委員からは責任の問題についてただされましたが、しかしそれに答える総裁の答弁はまことに壮であります。私も賛成であります。みずからの責任中、世論の前にさらされるがごとき不始末を起して、悪かつた、何とかもうやめさしてもらいたいといいうような、さような責任のないことは私は反対であります。従つてあなたの言われるところの、身命を賭してかような数々の問題の処理に当るという、その壮たる決意に私は賛意を表する。しかし言つておきますが、事ここまでに来たこれらの問題を、単に考えます、やりますと言うだけでは話がなりません。あなたは一体、たとえばその対象の中心であるところの鉄道会館のこれからの処理については、いつごろまでにどういう考え方をもつてわれわれに諮ろうとされるか。われわれにはわれわれの案があります。  案がありまして、何もあなたのお考えとは別個に委員会の方で決議をし、国会がきめればそれでいいかもしれませんけれども、しかし先ほどのあなたのお言葉に私はほれているのです。賛成なんです。従つてそれが単なる詭弁となつて、単にかすに時をもつてすればよろしいというがごとき卑劣漢ではあなたはなかろうと思う。それならば具体的に何日間の余裕を与えてもらいたい、そうすればこの疑惑の対象である鉄道会館についてはかくのごとき処理をする。そうして国民に対してかような迷惑をかけたのであるから、鉄道の名誉のために、これをやつてのけますという、あなたの具体案がなくてはならない。今日ただいまというわけには参りますまいが、あなたが決意をして、そうして国民に、これならば納得してくれるだろう、そうしてこの一つの事例を、国民信頼の対象としてその他数々ありますところの、国鉄についておりますダニともいうべきような、かような諸団体の処理にこれから前進するんだとあなたがおつしやれば、それは八千五百万が信頼するであろう。そのことについて今日は大体目安の点でもよろしいからどのくらいの期間を与えてくれい、そうすればそれに対して国会も委員会も、国民もまたこれによつて信頼を回復してくれるだろうという案をおつくりになつてわれわれに提示されるのか、その点を伺つておきたいと存じます。
  166. 長崎惣之助

    長崎証人 私は決して詭弁でごまかす、時を稼ぐというような考え方を持つておるものではござしません。ただしかしこの際にどういう時期まで、いつまでということはこれは少し無理じやないかと思います。いずれにしましてもでき得る限り近い時期に私は一つの案なりあるいは決意なりというものを皆さんにお諮りして、さらに皆さんのお力添えを願つて進んで行かなくちやならぬ問題もございましようし、いろいろな問題もございましようから、もう少しかすに時日をもつて、私におまかせ願いたいと思います。お願いいたします。
  167. 熊本虎三

    ○熊本委員 これは質問ではございません。当事者としてはそういうような慎重なものの考え方をもつて御答弁されるということは一応わかります。しかしながらあなたが御病気のためにこの審議が停滞した期間だけでも約一箇月を越しております。われわれはだてやすいきようでこの閉会中にこういう問題を、しかも個人々々の立場から行きますならば憎まれ品をききながらこういう問題を審議しておるわけではありません。ほんとうにかようなものは寸時も早きをもつて可とするのであります。従つて今日ただいま時日を表明されざることは、本人としては一応自重の態度であろうかと思いますが、私はぜひともあなたの決断によつて、本委員会において、われわれみずからがこの方法について決をとる前に、それを決定しなければならないという以前に何らかの案を提示していただいて、でき得るならばそれを中心としてものの終末へ向つて行きたい、私の要望であります。ぜひとも御勘案おきのほどをお願いいたしまして、時間がございませんから、私はこれで質問を終ります。
  168. 田中彰治

    田中委員長 天野公義君。
  169. 天野公義

    ○天野委員 時間が大分遅くなりましたので要点だけお伺いをいたします。まず第一にお伺いしたい点は、長崎総裁国鉄の出した文書に対する会計検査院の回答文をお読みになりましたか。御存じでいらつしやいますか。
  170. 長崎惣之助

    長崎証人 拝見しております。  なおこの機会に、先ほど熊本委員からおしかりを受けました次第でございますが、私不幸にして長い間病気になつておりまして、さぞかし皆さんに非常な御迷惑をおかけしたことと存じます。実は冒頭にそのことを申し上げようと存じましたが、きようはちよつと証人という勝手が違つたので申しそびれておりましたが、この機会に深く謝意を表しておく次第でおります。
  171. 天野公義

    ○天野委員 そうすると会計検査院のこの意見によりますと、国鉄側の意見というものは鉄道会館に関する問題においてはほとんど認められておらない。わずかにその中で「首題の契約にあたり、日本国有鉄道法第四十九条但書の規定に基く日本国有鉄道法施行令第三十三条第六号の規定により随意契約によつたことは違法とは認められない。」という一項でわずかに救われておるようなところであります。こういう点は総裁としてきわめて遺憾な点だと思いますが、こういう点について総裁はどういうようにお考えでございますか。
  172. 長崎惣之助

    長崎証人 文書の内容はどういうことになつておりましたか、詳しいことは読めばわかるわけでございますが、多分今天野委員がお読みになつた通りだと思います。こういう問題はなかなか判断がむずかしいことだと思いますので、いろいろ会計検査院に御迷惑をかけて御研究願つたことだと存じます。幸いにして違法とは認められないということに相なつたのでございまして、これは当初から違法というようなことを考えてもおらないのでございます。むしろ当然と言いたいくらいに自分では思つておるのであります。しかしながらその余の部面につきましては検査院においても中間的にいろいろ御研究になつておられるようでありますが、この回答と申しますか、それをとくと研究しましてお互いにお力を借りて過誤なきを期して参りたい、かように考えております。
  173. 天野公義

    ○天野委員 今当然というようなお言葉がありましたけれども、そういう考えがこういうような問題を起す一番の原因になるのです。この会計検査院の回答をごらんになれば、問題というか、国鉄側で主張した点は全部削られておるのであつて、わずかにこの一項だけで救済されておる。「違法とは認められない。」でまあま見のがさざるを得ないであろうということになつておる。そういうような国鉄側では当然かもしれないけれども、厳正公平な会計検査院側においては、三項目にわたつて出された回答に対して、二項目が否決をされておる。そうしてまたその中の一項目だけでどうやら首をつないだというような形になつておるので、われわれとしてもまことに遺憾にたえない。こういう点を改められない限り、国鉄の財産管理もしくは今後民衆駅に対するいろいろな諸問題が起る場合に、適正な管理運営ができないのではないかと考えております。先ほども質問があつたと思いますが、今回の問題について一つの問題の焦点になつたものは、国鉄の財産管理について非常に不備な点が多々あつたということが一つの大きな原因をなしておると思います。ついては国鉄として今後この国鉄の財産管理について万全を期して、国民全般が納得の行くような方途を立てて庁かなければならないと考えておるわけでありますが、証人はこの国鉄財産管理について、具体的に今後どういう方針で進んで行くかお答えを願いたいと思います。
  174. 長崎惣之助

    長崎証人 先ほど来申し上げましたように財産管理——財産管理といつても全部が財産管理のようなものでございますが、ただ普通われわれの観念でいう財産管理、そういうものについては現在の変化を生じた時勢に合わない部面が非常に多くなつて来た結果ではないかということは、十分に察知されるのであります。のみならず当委員会等においての御所見あるいは御意見というようなものを拝聴いたしましても、そこに改善の余地があり、不備な点があるということは、はつきりして来たように思います。さしあたりは何といつてもわれわれにも近代の土地とか、あるいは建物とかいうものの貸借関係あるいは利用関係というものについての知識が十分にない点もございますし、やはり専門の方々あるいは学識経験のある方の委員会というものをこちらで設けまして、そういうところでこの問題の研究処理に当つて行きたい、そういうことがまず最初考えられる問題ではないか。これは運輸省の方からの御指示もございましたので、さつそく発足するように今準備をいたしております。
  175. 天野公義

    ○天野委員 もう一つは民衆駅のことでございますが、民衆駅に対して今後どういう方針をとつて行かれるか、これが一つと、もう一つは民衆駅は会社として別途に発足をする、そして発足したその後においては、国鉄としてはおそらく会社の内部のことにはタッチできないというようなことになりますから、資本の移動が行われて国鉄として好ましくないような人間が横すべりで入つて来るということも考えられるし、また経営者が少し頭がかわつて、そして国鉄では思わしくないような営業をするというような場合も出て来るかもしれない、そういうことが起きた場合の国鉄の民衆駅の人事管理に関する方針また措置をどういうふうにするか、この二つをお聞きしたい。
  176. 長崎惣之助

    長崎証人 天野先生の御質問まことに適切かつ具体的でございまして、実はわれわれもそういうことを心配しておるのであります。先ほども委員会と申しましたが、委員会を二つくらいつくりまして、民衆駅並びに固定資産の管理運営というものの方法をどうしたらいいか、今御心配になられたような点はどうしたら一体除去できるかというようなことも研究したいと思います。それから一方では固定資産の評価、地代をどのくらいの程度にすべきかというようなことについてもなかなかむずかしい問題が多々あります。地方等においてはそう大したことはございませんけれども、特に東京、大阪というような大都市におきましては、いろいろ複雑な法律問題、経済問題も起ると思います。そういうことについて研究をして行く。また専門の方々にいろいろ教えてもらわなければ、われわれ鉄道屋だけの力ではとうていむずかしい、法律問題もむずかしいから、法律関係の方々もやはり参加していただかなければならぬ、こういうふうな考え方をいたしております。
  177. 天野公義

    ○天野委員 この問題は非常に今後重要な問題を含んで来ると思いますので、法律上でもぜひ整備をしていただきたいと思います。  それからもう一つ先ほど吉田委員も言われましたが、この鉄道会館がこのように大きくクローズ・アップされたのは、鉄道一家という考え方、これが一つの大きな原因をなしておる。いろいろ資料を取寄せてみましても、鉄道会館だけでなくて、国鉄が直接関係をしておるいわゆる関係団体、外郭団体、それからまた国鉄関係の仕事をしておる工事の会社にいたしましても、北海道は札鉄並びに北海道出身の人が会社をつくつてつておる、あるいは新潟では新潟の鉄道にいた人々がほとんど出て、会社に入つて、そして新潟の工事の請負をやつておる。またここにあります資料によれば、日本電設会社ではやはり鉄道関係の人々が全部入つてつて、そして昭和二十七年から八年度にかけて総額三十二億数千万円の仕事をやつておるというようなことを見ますと、まことにわれわれはあいた口がふさがらないという感じを非常に強くするわけです。ましてこういうふうな工事関係に先輩がどんどんと会社をつくてやつておるということになりますと、なかなかその監督にしろ、むずかしい場面が出て来るのではないかと考えます。ひつくるめまして鉄道一家というような観念が鉄道会館の問題を契機として国民から非常な糾弾を受けた、たたかれたというのがほんとうの姿だろうと思います。従つて国鉄としてはぜひともこの鉄道一家という観念を払拭して、国民全般が納得できるような鉄道本来の姿に返さなければならないと考えております。そういうような面について総裁は今後どういう考えをもつて鉄道一家という悪名をなくするように努力するか、できるならばある程度具体的に所信をお伺いしたいと思います。
  178. 長崎惣之助

    長崎証人 鉄道の仕事は御承知のように実に厖大でございまして、それに関係する会社もいろいろたくさんございます。それらの会社にわれわれの先輩同僚が入り込んでおる、その姿がまことにいわゆる鉄道一家というような感じを与えるということは私きわめて遺憾でもあり、残念であります。これは一日も早く解消いたさなければなりませんが、まずこれを解消するためにはそれらの実際に経営する方々の自粛自戒ということがやはり大きな要素であろうと思います。われわれにしましても、でき得る限りの注意を払い、制度等の上からも不公正あるいは不当なことがないように改善して行くということに努力せねばならぬ。いやしくもそういう疑惑の目をもつて見られるようなことのないようにするということがまずさしあたりしなければならないことではないかと考えております。
  179. 天野公義

    ○天野委員 もう一点、鉄道会館の前の広場建設の問題について、あすこの八重洲口の前の住民の人たちは広場をつくられて、そうして区画整理を受けるのではないかというので、非常に不安に陥つておるわけです。これは前の委員会でもよくお聞きいたしまして、大体の筋はわかつておるのでありますが、ひとつ国鉄としてはぜひ首都建設委員会なり、また東京都とよく連絡をとられて、国鉄として最小限度の線にとどめて住民に不当の損害を与えないように、また国家に不当な損害を与えないようにぜひ措置をする必要があると考えます。総裁は詳しく知らないかもしれませんが、そういう点今後十分注意してやつていただきたいと思います。知つていらつしやる点があつたら御答弁願います。
  180. 長崎惣之助

    長崎証人 私、都市計画の方のお話はあまり詳しく存じておりませんが、お話の御趣旨はよくわかりますから、でき得る限り研究検討努力はいたすつもりでおります。
  181. 天野公義

    ○天野委員 今の問題は非常にこまかい前からのつながりもある問題でありますし、現在問題になりつつある問題であります。従つてよく関係の係の方からお聞き願いまして、ぜひ善処されるようにお願い申し上げます。
  182. 田中彰治

  183. 山田長司

    山田(長)委員 先刻同僚の吉田委員から種々質問があつた問題ですが、重複を避けまして伺いたいと思いますことは、八重洲口の本屋建設に伴う費用負担の分担及び営業についての契約の沿革であります。財産の区分について、第六条の中に「高架下については、会社専用部分の軽間仕切、暖房照明を会社の財産とし、他は国鉄の財産とする。」、あるいはまた第七条にもこれと同じような「鉄骨建物については、仮施設とし、工事竣工後は会社の専用部分は会社の財産とし、その他は国鉄の財産とする。」、あるいはまた第八条に「ひさし及び上家は、すべて国鉄の財産とする。」、こんなふうなことが第九条にもやはりうたわれておるわけでありますが、まあ先ほどからの同僚委員お話にもあります通り、いろいろ国鉄というものが一家一族のものであるかのごとき印象を与えているときでありますから、これらに対する負担についてもうまく適当にやつているのだと思いますけれども、とにかくこの負担の分担についての方法というものは相当困難な点が生じて来ると思うのです。これらについて総裁はうまくこれを処理して行けるという御自信を持つておられると思うのですが、一体これらについて両者がうまくずつと行けるという御自信がおありになるものかどうか、まず最初にこれをひとつ伺いたいと思います。
  184. 長崎惣之助

    長崎証人 財産区分等の問題は、お説の通り非常にむずかしいのですが、相当ございます。ございますが、その点は私はむずかしいというだけのことであつて、プリンシプルさえ立てば、原則さえ立てばおのずから適当なところできまるのじやないか。まつたく妥協に終るような場合もあると思います。思いますが、しかし大きな面ではそう大した困難なしに行けるのじやないか、かように考えております。
  185. 山田長司

    山田(長)委員 何かこの会館の中におけるいろいろの今までの構内規則とは全然かわつた営業がなされることによつて、それがために新たにこの規則を設けたような印象を受けるのですが、この会館の中で営業するために今までの規則などは何でもかまわないのだというような印象を受けるのですが、その点についてこの営業規則というものはこれから先も必要とあればちよいちよいかえてやつて行くものかどうか、こういうことをちよつと参考に伺つておきたいと思います。
  186. 長崎惣之助

    長崎証人 この問題も先ほど来申し上げておりますように、東京あるいは大阪附近のような所等につきましては、従来とよほどかわつた状況になつて来ておるのです。ことに鉄道会館のごときは非常に特殊な異例のものでございまして、従来の営業規則あるいは固定財産管理規程というものではちよつと縛り切れないところがある、規定に不備なところがあるということを私は率直に認めておるわけでございます。でありますから、これらの点について、先ほど天野委員にも申し上げましたように、委員会でもつくりまして早急にこれを整備して行く、そして現状に合うように適切なものにしたい、かように考えておるわけでございます。
  187. 山田長司

    山田(長)委員 過日私たちが三の宮のガード下を視察に行つた際、その見て来たところからこの規定についていろいろ疑問を持つたわけでございますが、「国鉄の事業上の必要によつて会社の使用する施設を変更移転、撤去する場合、会社国鉄の指示に従い、会社の負担をもつて施行し、」云々ということがうたわれておるわけでありますが、こういう場合にやはり三の宮あたりの次々と又貸しをされておる状態から総合してみまして、なかなか困難な事態が将来発生すると思うのですが、これらについて総裁はてきぱきと処理ができるものとお考えになりますか。参考のためお伺いいたします。
  188. 長崎惣之助

    長崎証人 そういう問題はいろいろございましようと思います。そういう場合にどうするかというようなことにつきましてもやはり委員会等に諮問をいたしまして、どんな方法で行くか、どんな処置をすべきか、どんな契約最初からしておくべきかという問題を整理して行きたい、こう思つております。お説のように現在のやり方ではそういうところに非常に無理があるのじやないか、何か実際にそぐわないものがあるのじやないかというふうな気がいたします。ほんとうにどうしてもそういう事業上必要な場合に非常な支障を来すということであると、高架下というものはもう自分自身で使わない限り人には貸せぬという結論になるかもしれません。これはまた一つ大きな研究問題であろうと思います。
  189. 山田長司

    山田(長)委員 名店街の商店についての先ほど吉田委員からの質問で、何かの場合にはいつでもこれを処理することができるということが言われておりますが、そんな都合のよい契約が——たとえば公正証書を入れておくとか、そういう法律上の手続が十分なされて契約がなされておるのかどうか。これを参考にちよつとお伺いいたしたい。
  190. 長崎惣之助

    長崎証人 ただいまのところではまあさしつかえないのじやないかという考えでおりますが、先ほど吉田委員からも御注意がありましたように、そうはいかぬぞ、それは非常にむずかしい問題だぞ、というお説もありますので、これはまたとくとさらに研究しなければいかぬと思います。現地では法律上はともかくも何とかなる、こういうふうに考えておりますが、御注意もございますからして、これも再検討して固めておかなくちやならぬと思つております。
  191. 山田長司

    山田(長)委員 先ほどからたびたび国鉄の仕事を請負つておるしかも一流どころの会社のほとんど全部が、国鉄の元職員であつた人たちで仕事をやられておるということからいろいろ疑惑が生れておると思うのですが、特に私がひとつ伺いたいことは、過日行われた参議院選挙のときに、某国鉄出身の議員がこれらの会社から全部金を集めた血かに、民間会社からも一応ずらつと金を集めて今度の選挙をおやりになつておる。その上熱海の某料理屋で会合をやつて国鉄の課長級の人たちが一挙に二十人近く検挙されておる。しかもそれが十万ないし五万という金を宴会の席上でもらつてつた。こういうことがあつたようでありますが、これらについてやはり私たちは何かこういう事業等に個人的な関係があるように感ずるわけでありますが、これらについての責任ある立場におけるあなたのお考え及びこれらを監督する衝にあつた局長などのお考えというものはどんなふうにあなたは処理されたか。参考のため伺つておきたいと思います。
  192. 長崎惣之助

    長崎証人 国鉄自体が私はそう組織的にそういうことをやつたということは絶対にあり得ないと思います。かつまた私は御承知のように、当時アメリカにおりましてあまりよくその辺のことを承知しておりませんが、そんなことは絶対に組織的にはやつていないと思います。また現在いろいろ審理を受けておりますものにつきましては、いずれ審理の結果がわかり次第適当なる処理をしなければならぬものは処理をいたしますし、これはその事態に応じて善処して行くつもりでございます。
  193. 山田長司

    山田(長)委員 私はこれで終ります。
  194. 杉村沖治郎

    杉村委員 議事進行についてでありますが、私は先ほど証人に尋ねたのですが、全部を尽しておりません。まだあとの各委員からお尋ねくださるので、大体自分の考えておることは聞いていただけるかと思つてつたのですか、まだきわめて重要なことが残つておるのです。もう今日は時間も遅くなりましたしするので、必ずしも証人として長崎総裁から聞かなくても、この次の委員会参考人として必ずこちらへ出ていただけるならそれでけつこうだと思うのですが、そうでないとすると私はまだ証人に聞きたいことがあるので、本日はもう時刻もおそいとすれば、証人たる地位の継続を願いたいと思うのですが、その点はいかがなものでありましようか。
  195. 田中彰治

    田中委員長 杉村委員に申し上げます。まだ理事会もあることでありますし、長崎総裁から参考人として聞くことがあれば、必要によつて委員長から呼びまして聞くことにいたします。
  196. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは総裁参考人として出ていただけるならば、私の残つております質問はいたさないでもけつこうであります。  さらに次回の委員会鉄道会館専務取締役立花次郎君を証人として御喚問の手続をとつていただきたい。
  197. 田中彰治

    田中委員長 ただいま杉村委員から提出されました、立花次郎君を証人として出頭方要求に関する動議を採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  198. 田中彰治

    田中委員長 起立総員。よつて右動議は決定いたしました。手続は委員長に御一任願いたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 田中彰治

    田中委員長 本日はこの程度にして、次会の日時等については、散会後理事会においてお諮りいたし、決定いたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十四分散会