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杉村委員 そうすると、要するに
昭和二十八年度のこの予算は
国会に出ておるのですが、少くとも
国会に予算の
承認を求めに出すのですから、あなたの方で予算を組むときには、全国の
国鉄のおのおの地区にその必要性を今あなたが言つたように問い合せるか、あるいは向うから申達して来るか、それに基いて私は予算の編成をされたものだと思うのです。してみれば
国鉄の線路の増設費が幾らというように、あなた方は大ざつばに、ただつかみどりにこれを編成したものだとは私は思つておりません。もしもつかみどりに編成したということになれば、それはたいへんなことであります。少くともこの予算を編成するのには、今言つたように、線路につきましても駅舎につきましても、おのおのその必要性を申達して来る、あるいはあなた方が調査して、それに基いてこの予算が編成されたものと思う。しからばそのうちから、この
国鉄のいわゆる
株式会社鉄道会館をつくる費用というものは、その必要性のある予算からはねて、あなた方がこれを使つておるとしかわれわれには見られない。それであるからわれわれから言うなれば、ほんとうにかような重大問題、実に大きな問題としてこのたびの十六
国会における
決算委員会においても最も大きな問題として取上げられておる。これほど重要な事件であるのであるから、これをあなた方がそれほど正当である、あやまちでない、非常に重要である
日本の首都の玄関である、かようなことを声たかだかと言われるほど重要であ
つたのであるなれば、何ゆえに
国会にそういうものを項あるいは目のうちに入れて計上しなかつたか。この点において私は非常に誤りがあると思う。それも、もしもこのあとの方に予備費というのがあるが、予備費から出したというのであればあるいは
考え方があるけれども、いやしくも線路の増設費あるいは駅舎の改築費――見てこらんなさい、どこへ行つても駅はほろほろに
なつているところがたくさんある。便所などはひどいのがある。線路などは、よく改良されてないでしよう。昨日かきようの
新聞でありましたか、貨車が十三両か脱線しておるのです。このごろの脱線というものは実に多いじやありませんか。これは路線が悪く
なつておる
関係か、あるいは車輪が悪く
なつておるか、そういうようにいずれにしても車輪か路線か何かの機械、機構が悪いために、あのように頻々と脱線が行われておる。それをも顧みずして、これの方の費用から天引きをしてこういうような営利
会社と手を組んで、実際において必要もないところの十二階建の
株式会社鉄道会館をつくろう。現に
営業局長は一階で事足りると言つている。何のために貧乏国である
日本が、虚勢を張る必要がありましようか。でありますから、あなた方がこの改良費の中から出したとすれば、
地方のどこそこから必要を言つて来ておるのをあなた方は認めないで、そのうちから
とつておることになるのです。あなた方は路線の増設ということについて予算を
とつておるが、そのどことどこに必要があつてその路線を増設する費用を
国会に要請したか、あるいは駅舎はどことどこの駅舎を改良する必要があつたか、あるいは防災
設備というようなものについても――われわれは単に
株式会社鉄道会館だけを追究しておるのではありません。
株式会社鉄道会館は営利
会社であつて、われわれは直接何ら
関係はありません。われわれ
決算委員がこの問題を取上げておるというのは、
国鉄の決算を追究いたしておる。かるがゆえに、あるいは交通公社の問題あるいは
日本通運の問題も起つて来るのでありまして、あなた方は単に、われわれ
決算委員会が
国鉄の問題を追究しておるのは、
株式会社鉄道会館の問題だけだというお
考えではあるまいけれども、われわれはそういう
意味じやないのであります。なおこの問題を解決するためにこの予算について、しかもこの予算に計上されておらない他の項のものに流用しておるのですが、本来他の行政官庁であれば――
国有鉄道においては、この項を流用することは
規定上できることに
なつておるのですね。それはわれわれも知つておる。
国有鉄道は予算総則第十四条において、この項は総裁が流用できるように
なつておるから、その流用したことをわれわれは決してとやかく言うのではありません。しかしながら少くとも路線の増設費あるいは駅舎の改良費ということと、あまりにもかけ離れたところの仕事に流用しておる。しかしもうしてしまつておるものはしかたがないから、だから私はこの予算にいろいろな費用をみな書いてあるから、このうちからあなた方が
とつておるならば、これを今すぐお答えをなさいと言うたところでこれは至難のことであろうと思いますから、どうか次回の
委員会までにこの予算に計上された必要な箇所をひ
とつ書いて出していただきたい。