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1953-08-14 第16回国会 衆議院 決算委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月十四日(金曜日)     午後一時三十六分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 天野 公義君 理事 松山 義雄君    理事 柴田 義男君 理事 吉田 賢一君    理事 山本 勝市君       田中 角榮君    藤田 義光君       山田 長司君    熊本 虎三君       杉村沖治郎委員外出席者         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         会計検査院事務         官         (検査第四局         長)      大澤  實君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道理         事         (厚生局長)  田中健之助君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  高井 軍一君         参  考  人         (株式会社鉄道         会館社長)   加賀山之雄君         参  考  人         (日本国有鉄道         監理委員会委員         長)      佐藤喜一郎君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 八日七日  委員小坂善太郎君、高橋等君及び福永健司君辞  任につき、その補欠として山中貞則君、大上司  君及び松山義雄君が議長指名委員に選任さ  れた。 八月十日  委員池田清志君辞任につき、その補欠として舘  林三喜男君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 八月十日  昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十六年度政府関係機関決算報告書  株式会社鉄道会館に対する鉄道用地貸付等に関  する件  朝鮮向輸出に対する対米債権に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  株式会社鉄道会館に対する鉄道用地貸付等に関  する件     ―――――――――――――
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  本日は第十六国会開会中から調査を継続して来ました株式会社鉄道会館に関する問題について調査をいたします。  調査に入るに先立ちまして、まず参考人の招致につきお諮りいたします。すなわち本日の参考人として株式会社鉄道会館社長加賀山之雄君並びに日本国有鉄道監理委員会委員長佐藤喜一郎君を指名いたしたく存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中彰治

    田中委員長 御異議なしと認め、さように決しました。なお本日大蔵大臣及び愛知政務次官は都合により出席できませんので、舟山次官河野銀行局長出席されることになつておりますから御了承願います。  それではただいまから質疑を願います。
  4. 天野公義

    天野委員 議事進行について……。十一日から十三日の間決算委員として大阪、神戸の国政調査に行つたわけでございますが、その間におきまして私どもとして納得の行かないことがあつたのでございます。と申しますのは、国会国政調査というものは非常な権限を持ち、そして超党派的に行動をするということが従来の慣例でもございまするし、委員会権威を高めるゆえんでもあるとわれわれは了承しおつたのでございまするが、ちようど派遣期間中、十二日の夜に某委員のところで決算委員会報告会のような演説会を催されて、それに委員長以下数氏の方が御出席なつた。これは派遣中に私の方から委員長に申入れをいたしたところでございまして、委員長も御承知のところでございます。委員長は、当日五時以降自由行動にするのであるから、従つてその後において演説会をしようとも何をしようとも自由であるという見解を言われたわけでございますが、私ども見解といたしましては、委員派遣が解散したのちにおいて演説会をやられる、またそれに出席をするということには何ら異論はないわけでございますが、派遣中に演説会に出られるというようなことは、国会委員派遣という観点からいたした場合に非常に疑義があるとわれわれはいまだに考えておる次第でございます。従つてこういうような問題があり、また委員長が、委員派遣中であるといえども自由解散後は演説会をやられるとも、それに出席しようとも自由であるという御見解を示されたという問題点をこの際はつきりさせておくわけでございます。われわれといたしましては、委員派遣中は政治的な行動を厳重に慎みまして、超党派的に調査を進めて行くという態度を、委員会権威を保持する上において堅持して行かなければならないと考えておるわけでございます。問題点があり、しかも委員派遣中に私どもの方から委員長疑義があることを申し入れるということをこの際はつきりしておいて、後にまた問題になるときの一つの証拠として、この際はつきりさせておくために発言をいたしたわけでございます。  それからもう一点は、休会中の委員会でございます。従つてこれまた委員会権威を保つ上からいたしまして、定足数委員会の構成上重大な問題でございまするから、定足数の確保について委員長に御努力を願いたい。また定足数を重視していただきたいということをこの際申出をいたしておく次第でございます。
  5. 田中彰治

    田中委員長 委員長からただいまの天野君の議事進行発言についてお答えいたします。  定足数の件につきましては、委員長は問題を重大視しておりますので、でき得る限りあらゆる方法をもつて定足数に充つるような努力をすることをお答えいたしておきます。  次の演説会の問題でありますが、御承知のごとく、慣例として国会議員国会開会中であつても、その晩東京市内とかあるいは行ける範囲内のところに演説会があればその演説会出席しております。またこのたびの大阪の件につきましては、行く前に理事の方ともおはからいして、参つたならば朝の九時から五時まで、旅館は新大阪ホテルあとはお互いに旅のことであるから自由行動をとる。中には新大阪ホテルにさえとまることができなくて、せつかく行つたのだから教え子のところへ行つて座談会を開きたいという山本勝市先生のごとき申出もあり、その他の議員諸君におかれても、自分の親類または友だちのところへぜひとも行つていろいろな話をしたい、こういうような申込みがありましたので、五時からは、解散した後の行動は自由ということに話合いがついております。またこれはたとい話合いがなくとも代議士が調査に参りまして、そうして解散いたしますれば、何か悪い、国民が見て非難すべき問題に関与するようなことならば、委員長としていかに個人の自由といえども、一緒に参つた以上は忠告したりする場合があります。国民代表たる議員が、国民がこういう演説会を開いてくれ、来たらぜひとも来てさしつかえのない関係内容等について話をしてくれと言うならば、どの方が行かれてもさしつかえない。しかもあの演説会は社会党の演説会でなくて、明石町の有志が催した演説会でありますから、そういうところへ行つて国民はこういうな伏魔殿的問題を何も知らぬことですから、知らしてやるのが最もいいことである、私はこう考えております。今でもその意思においてはかわりありません。これでもし問題が起きるならば委員長としていかなる責任も負うということを考えております。以上委員長としてお答えいたしておきます。  質疑吉田君。     〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
  6. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私に質疑を許されております。それが済んでからやつてください。  国有鉄道法による監理委員会委員長佐藤さんに少しお尋ねをしたいのでありますが、順序といたしまして、いつから御就任になりましたか。それからあなたは社会的なおもなお仕事として、帝銀の頭取をしておられますかいなや、この点をまず伺つておきます。
  7. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 お答えいたします。国有鉄道が公社になりました当初に監理委員の一人として選ばれまして、そのときは委員の一人としてやつておりました。鈴木清秀君が任期が来て退任せられた後、私が互選の結果委員長になりました。約二年になるわけであります。  それから私は今帝国銀行社長をしておりますことは、お尋ね通りであります。
  8. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この監理委員会は、定時にお開きになつておるのですか、あるいはそうでないのか。またこの議事録なんか御作成になりましたのか、どうか。昨年中何回くらいお聞きになりましたかどうか、その辺についてお答え願いたいと思います。
  9. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 委員会は当初委員が初めて任命されたときにおきまして、どういうふうに運営するかということを相談いたしました結果、責任重大性その他を勘案いたしまして、一週間に一ぺん原則として開くということにいたしております。具体的に申し上げますと、木曜日の午前中約二時間開いております。ときに委員が三人以下になると定員数の問題がございますので、やむを得ざる場合において、あるいは議題のないようなときに開かないことがありますが、原則として一週間に一ぺん開いております。
  10. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今お尋ねしました最後の一点ですが、委員会お開きなつたときは、議事録を御作成になりますか、いなやの点、それはいかがですか。
  11. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 議事録はつくつておりません。ただそのときに出しました議題報告事項、その他を、委員会が済みましたあとで、何と何が出たかということを各委員が確認して、それが記録に残つておると承知いたしております。
  12. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 総裁は当然監理委員会出席して、多分委員の一人になつておると了解しておりますが、その都度総裁委員として出席しておるのでしようか、いかがですか。
  13. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 総裁特別委員でございますが、業務に支障があつておいでになれません以外は、原則として大体御出席になつております。
  14. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 総裁が、やむを得ないときは副総裁とか、総裁にかわる者が必ず出席しておると了解していいのですか。
  15. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 その通りであります。
  16. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 議事に入りますときは、議題があらかじめ提供せられて議事に入る、こういうふうに了解していいのでしようか。
  17. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 議題によりまして、前もつて配付をされるときもあります。また委員会に出ましてから、その資料説明を初めて受けて、それを審議することもあります。
  18. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 具体的に少しお尋ねいたしますが、株式会社鉄道会館に、八重洲口の本屋の建築をめぐつて、ヒルの建築経営ないしはその付近の構内における施設の利用をせしむること、概括して申しますれば、そういう目的を持つた協議といいまするか、話合いに入りまして、国鉄当局及び会館代表者の当委員会における説明は、昨年の六月ごろに総裁から加賀山之雄氏に個人的に委嘱の話合いがあり、受諾し、株式会社鉄道会館が成立し、九月二十六日に至つていろいろと経営上のそういう関係が成立した、こういうふうに説明がなされておるのであります。そこで先般の当委員会におきます監理委員会佐々木委員長代理の御説明によりますると、その鉄道会館問題については、前後二回協議いたしました、こういうことでありました。それはあなたの、委員長代理として当委員会においての御説明であるから、私ども信頼して聞いております。そこで具体的にその内容についてあなたから御説明を伺いたい、こう思うのでありまするが、いつどういうような内容のお話があつたのか、それを聞きたいのであります。
  19. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私ここに資料を持つておりませんので、何日であつたかということをちよつとお答えしかねるのでありますが、正式に二回開かれたことは、佐々木委員長代理が申された通りであります。なお委員会でその後雑談的には話が出て、私どももいろいろな経過は聞いております。そこで、これは国有鉄道の方といたしまして、八重洲口乗降客が非常に多くなりました関係から、あそこにりつぱな停車場をつくる必要がある、乗降客の出入に便利なそれ相当のものをつくりたいという話は聞いておつたのでありますが、この問題については、何分資金関係もありましたので、希望はそうであるが、いかにしてこれを実行するかという問題であつたのであります。そのうちに総裁でありましたか、副総裁でありましたか、私も記憶しておりませんが、いずれにいたしましても国有鉄道当局者の方から、これはつまり国有鉄道の直接乗降客の便利のためにつくるとともに、いかにも便利な土地であるがゆえに、その上にさらにビルをつくりたい。しかし国鉄資金運営上こういうものをつくるだけの余裕もないのであるから、これを別途の法人によつてやりたい。しからばどういうふうにするかというようなこまかいこと、つまり国鉄が必要とする分は自分で建てる。さらにその上は別会社資金によつてこれを建てる。なお上にビルが乗るために下によけい経費がかかるから、それは上の別会社にさらに経費の負担をかける。その他われわれが常識上適当と思われる点をそれぞれ説明を受けまして、荒筋として、国鉄としてはこの大停車場ビルはつくるのではないのであるが、いかにもああいう場所東京都としての観点から、あそこへ停車場ビルをつくりたいという計画、及びそれを別法人で、これこれこういうふうなやり方で行きたいということを聞きまして、趣旨において大体その点はそういうふうにやるならば、国鉄会計といいますか、資金計画にも支障がないでありましようし、かたがた中央停車場としての体裁もよくなるであるから、委員会としてそれに異議がないということを言つたわけであります。
  20. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その二回の協議の御説明が、総裁か副総裁かいずれのどつちかわからないとおつしやるのだが、きわめて重大な問題であります。あなたら委員会の方へ、国鉄といたしましては適当な文書を提出して、それで説明をし協議を運んでもらうというのが通常の順序であろうと思う。ことに監理委員会は、国鉄法第二章を全部使いまして、国鉄事業運営指導統制に関する権限責任を有するということを第十条に明記してある。従つて総裁がこの監理委員会に向つては、各般の根本的な重大問題については義務と責任を負つておりますし、あなた方の委員会は、国鉄に対しましては監督運営上の指揮等について重大な責任権限を持つている。そこでこの数十億円を要するところの厖大な事業計画いたしましたときは、それはだれが出て来て、どういうふうな文書説明したか。文書もなしに品で説明したということは、われわれは想像し得ません。総裁が出て来たか副総裁が出て来たか忘れたというようなことは、二回しか開いておらぬのに、これまたちよつと想像しがたいのであります。その点は文書をもつてあらかじめ議案を提出して、そしてあなたらに説明した、こういうふうにわれわれは想像するのですが、その点はいかがですか。文書の点と総裁、副総裁どちらかという点です。
  21. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 御想像の通りで、私の言葉を、あるいはそういうふうにおとりになつたら訂正しますが、もちろん資料は提出されております。その資料に基いてわれわれがその話を聞いたのであります。それから、私が総裁であつたか副総裁であつたかと言つたのも、これは調べればすぐわかることでありますが、おそらくこれは総裁がおつた席上で話を聞いたと私は思つております。
  22. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで、それは一体何日であつて、かつあなたの方がこれを認容した、よしと認めたということは、何らの文書もないのですか、形式もとらなんだのか、その点はいかがですか。
  23. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 さつきお答えしましたように、ここに何も持つて参りませんでしたので、何月何日の委員会でこれを認証したかは、国鉄の方へ資料を出させることはできると思いますから、それによつて承知願いたいと思います。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは国鉄に尋ねるのじやない。監理委員会に尋ねている。監理委員会国鉄じやないのでありまして、国鉄の上位にありまして、国鉄運営を指揮しもしくは監督する責任法律上与えられている。あなたは権限を持つている。そして委員会運営についても、第十六条によりましては、「出席者の過半数をもつて」云々という、かなり厳重な規定がある。十七条によりますと、「法令により公務に従事する者とみなす。」というみなし規定もあるのであります。国鉄資料を出させればというようなことは、人ごとのように考えますがどうです。
  25. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 これも言葉が正確でなかつたと申されれば訂正いたしますが、委員会室がございまして、そこに資料がございますので、委員会付事務当局がおりますから、それをして調べさせるという意味であります。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 事務当局か何か知りませんけれども、一体委員会運営責任委員長にあるのじやないですか。われわれは事務当局について何も事を明らかにしようとしているのではないのです。あなたは事務当局をして出さしめれば、調べしめればと言われるが、あなたに伺うのです。だからあなたがその責任を持つて御答弁してくださればいい。事務当局がどこに保管しようと、あるいは書いておろうと書いていなかろうと、そんなことは問題ではない。委員会責任者委員会委員長です。委員会運営法律上きめてあるのです。だから委員長として、それはお答えになつてしかるべきじやないかと思うのです。
  27. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私が委員会の書類のあるところに行つて調べてもいいのでありますが、これはただいま何月何日であつたかという御返事は、何も持つておりませんので遺憾でございますが、できませんが、御指定の時日までにいつでもはつきりとお答えいたします。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 年月日ということは、この場合さほど重要な質疑の要件ではありません。要するにきわめて重大な国鉄会館の問題について、委員会国鉄計画を認容したのでありまするから、その認容は交書によつて明確にされたのかどうかというのが主であります。
  29. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 先ほど申し上げましたように、委員会の都度議題に出ましたものが承認されたかどうかということは、各委員が認証というか、判を押しておりますので、文書になつておるわけであります。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しからばお尋ねしますが、この国鉄会館代表者加賀山之雄氏との間に、国鉄総裁随意契約によつて国鉄の資産を使用せしむる利用せしむる、事業に協同せしむるということの決定を見ておるのであります。どういう根拠によつてこの随意契約をあなたはお許しになつたのか、認容されたのか、その理由根拠を御説明願いたい。
  31. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 随意契約の点でありますが、商品の購入でありますとか、そういう問題と違いまして、一部は国有鉄道の固有の停車場目的に供し、それの運営を妨げない範囲でもつてせつかく場所であるがゆえに、さらに公衆の便益になる停車場をつくるという考えに立ちますと、これはこの内容上、私ども常識上これは競争入札に付して、適当にやれるかどうかということに疑問を持つておりましたので、当局者がそういうふうな形で、特別の別途の鉄道会館という会社をつくつてやらせるということに賛意を表したわけであります。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの御説明内容によつてもなお要点を尽されておらぬと思うのだが、あなたの方で当局者国鉄代表者のどういう説明を可として認可することになつたのか、承認することになつたのか、その理由を聞きたい。
  33. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 つまり今申し上げました通り事業性質上、これを入札に付することは不適当であろうとわれわれが考えた結果、認容したわけであります。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 事業性質入札が不適当であるというのはどういう点ですか。どの事業の点が入札に不適当であるか。
  35. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 われわれも、当時の総裁からの説明によりましたのみならず、われわれが常識的に考えてみまして、停車場をさらに上につくるこまかい条件を公示して、これを入札に付するということが不適当、つまり相手方からこうやつたらどうですかとか、ああやつたらどうですかといつて、向うからの言い出して来る条件がいろいろあります。つまり一定のものを買うとか、一定のものをつくるとかいうようなものでなしに、話に応ずる方からの提案の内容いかんによつては、こつちも話がかわるというような性質のものであります。つまりいかなる方法によつてこれをやつたら一番いいかというようなことが、必ずしも初めから一定してないという性質をさして私は言つておるわけであります。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながらたとい公告し、入札をした場合におきましても、公正な協議を経て条件を決定するということは、法律規定してあるのじやありませんか。しからば相手方すなわち鉄道会館から何の申出がありましようとも、国鉄側と公正な協議を経るという機会と方法と、従つてかくして条件を決定するという段階は法律規定してある。ところが相手方が何の申出があるかわからぬということをおつしやるが、そういうことはすべて予定して、法律入札を認めているのじやないですか。しからば何もそういうことが入札を不可とする理由にはならぬと思うがどうですか。
  37. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私も国有鉄道法を見ましたが、おそらく法律をつくりましたときにも、このような事件前提にしてあの法律ができておらぬのじやないかというふうにも考えるわけであります。普通の常識と申しますか、国有鉄道ができるときに考えられますことは、必要とあれば自己資金で全部自分停車場をつくるのが本筋でありますから、また所要の物品を買うのにも、普通の場合において、これが競争入札に付されるということも常識であります。ただこのような変則的な方法停車場をつくるというようなことが、おそらくあの法律を書かれたときに予定されたことではないというふうに私ども考えますので、一応これは意見の相違になるかと思いますが、私ども例外規定もありますので、これを不適当な部類に属するものと見たわけであります。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ここでひとつ監理委員長に申し上げておきますが、私のあなたに質疑せんとすることは、監理委員会といたしまして、この問題に対して、おそらくは最も公正に、いろいろと意見をお立てになつたかと思いまするので、既成事実を今日弁解するような態度はなかろうと思いますけれども、私ども事柄の真相を明らかにするためにという以外に他意はなく、あなたの方を糾弾するというような意味お尋ねしておるのじやないのでありますから、かような質疑の点につきましては、できるだけ公明正大な御答弁を願いたいのであります。  そこで日本国有鉄道法立法の際、かような鉄道会館のごとき問題を、全然想定することなくしてつくつたので、そこで新たなるケースであるからという前提がありましたが、そうであればあるほど私はこれを入札に付すべきか、随意契約に付すべきかについては、慎重に監理委員会で御調査になつてしかるべきだろうと思う。しかるに第一に、委員会の回数において、ただ二回であります。どんなに良識深い、豊富な経験の持主の委員会か存じませんけれども、二回の委員会でさつさときめてしまつておられることが一つ。その内容条件等につきましては、どうも私ども説明によつては、あなた方のお考えがどこにどういう判断をなさつたということもまだ釈然としないのであります。もう少し具体的に、一体どの条文のどの条項でこれを許すべしということのあなたの結論を得たのでしよう。それをひとつはつきりしてもらいたい。私ども四十九条以外にはないと見ておりますので、一体どの条文に該当する案件であるから、われわれはこういう理由によつて、かくしてこれを認めるのだということは、あなたとしてはここはきつと御明答あつてしかるべきものであろうと思いますので、過去のことは過去のこととしまして、ひとつ今日から御弁解なさろうというようなことでなしに、国民に対して明らかにしていただくという意味で、その根拠を明解に御答弁願いたい。
  39. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私ははなはだ怠慢で、ここに法文も何も持つて来ておりませんので……。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 法文はここにありますからお貸ししましよう。
  41. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 こういう法律的に何条に基いてどうということは、できるならば、私は文書で返事をさせていただければ非常にけつこうだと思います。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはこの問題解決の命になる重大な法律条文で、一つしかないわけであります。日本国有鉄道法第四十九条が「日本国有鉄道が売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、公告して一般競争入札方法に準じ申込をさせ、その最低又は最高の価格による申込者又は申込者との価格その他の条件についての公正な協議を経て定めた者とこれをしなければならない。但し、緊急な必要のある場合、一般競争入札方法に準じてすることが不利である場合又は政令の定める場合においては、この限りでない。」こういうふうに除外例を厳格に規定しておる。当然この条文以外には、あなたらがこれの可否を決定する法律上の根拠がないはずであります。何べんも繰返してごらんになり、その法律の趣旨は御検討になつたものとわれわれは常識考える。法律条文が手元にあつてもなくても、とつくにそらんじておられるべきものと私は思います。ただいまお手元に差上げましたから、どうぞ監理委員会代表者委員長として責任のある御答弁を願いたいと思います。
  43. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 この「但し」以下の一般競争入札方法に準じてすることが不利である場合に話当するというふうに私は考えるわけであります。
  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の考えでは、なお委員会の答弁といたしましては、はつきりいたしません。あなたは委員会代表者委員長としてさようにお考えになつたのである。委員会はさような趣旨においてこれを了承したのである、こういうふうに今の御答弁を理解してよいのでしようか。
  45. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 それでいいと思います。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しからば競争入札方法に準ずることが何ゆえに不利なんです。不利という意味は、国鉄に対して不利だと思います。加賀氏に委嘱するということが有利ですか。競争入札するということがなぜ不利なんですか。ことに有力な財界人も集めて先願しておる事実もこの委員会でもう答弁があつた。にもかかわらず加賀山氏に委嘱した。総裁説明によつても、加賀山氏個人に頼んだというのです。加賀山氏は会社をつくつたというのです。そこで会社へ引継いだ、こういう経緯の説明もある。どういう点が加賀山氏に頼まれなければ不利なんですか。
  47. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私は経営者である社長加賀山君であるという意味ではなくして、別途の建物の会社にこれをやらせるということが適当であろう、しかも別途の建物会社と申しましても、八重洲口停車場ビルをつくることを目的にした会社にやらせることが、一番停車場本来の使命と撞着しないように運営できるであろうという意味で、これが一番国有鉄道にとつて有利であるというふうに考えるわけであります。別に加賀山君が社長なつたから、それの方に利益を与えるとか、そういうような観点は全然この中に入つておりません。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 株式会社鉄道会館が成立しましたのは、九月目です。しかし、佐々木委員長代理の御答弁は六、七月ごろに二回監理委員会を開いて協議決定したということであります。そのときはまだ会社はできておらない。国鉄当局の御答弁を総合いたしますと、総裁から加賀山氏個人へ委嘱したということを言明しておられる。あなたは個人への委嘱を認めないで、別途の建物会社へ委嘱するのが適当だという御見解、しからばあなたの委員会見解国鉄見解と違うことになりますが、いかがですか。
  49. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私はそのできまする別個の建物会社経営の主体がたれになるかということをあまり条件にしておらなかつたのであります。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この別個の建物会社の主体がたれにあるかを条件にしておらないということになると、ますます奇怪である。国鉄責任者総裁、副総裁の答弁は、加賀山氏個人の手腕、国鉄の理解、サービス等に対する長い、深い経験といつたようなことを見込んで、この人に委嘱することが国鉄の利益であると考えたという。あなたはその人間個人を見ないで、新たなる建物会社を主として見たという。しからば国鉄委員会の意思を無視して個人に委嘱しておるということは、あなたがこの書類を点検なされば一見明瞭です。この書類は当委員会におきまして、全部速記録にとられております。この会社は九月一日になつて成立しておりますが、九月以前のあらゆる文書の交換は全部加賀山氏個人と総裁との間になされておる。従つてこの点から見ましても、加賀山氏個人に委嘱したということが明瞭であり、総裁、副総裁これを是認しておられる。しからば監理委員会が個人にあらずして、会社を主にして、この事業随意契約することを認めたというその意思を無視して、国鉄は個人の加賀山氏に委嘱したということになると思うのですが、いかがですか。
  51. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私は無視したというかどうか存じませんが、われわれの方はそういう別途の建物会社をしてつくらしめる、そのことを認めておるわけであります。従つてその会社もまた経営者がいるわけでありますから、それについては長崎総裁、その他国鉄関係者が最も自分たちの信用できるという経営者をこの中から選ぶ、その話はもちろんわれわれ聞きましたけれどもわれわれとしてはその新しい会社の人選までに介入いたして容啄する限りではないのでありまして、これが適当な経営者だと国鉄経営者が認めれば、それがそのままわれわれの意向を無視したとは考えておりません。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながら会社経営というものは、あなたも財界の有力な方で、深い経験者なんだけれども、あなたの帝国銀行にしてもそうです。代表者社長があなたであることが、どれだけ帝国銀行の信用の上に重要な要素をなしておるかわからない。従つて商事会社経営におきまして、経営代表者の人となり、信用、手腕にいつたものが、その会社の信用、経営の上に重要な要素、価値を持つておるということは申すまでもないと思う。あなたの手元には、一切の資料が来ておるはずである。一切といつてもこれだけしかないのですが、九月までは会社はできておらない。一切加賀山氏にまかせておるといつて加賀山氏が奔走して、七十人ほどの財界の有力者にいろいろ協力を求めたというのですから、多分あなたの名前も散見したと思うのですが、個人の信用とか個人の経験とか、識見とかいうようなものを基礎にして総裁がそれを買つたというのは、これは率直な答弁だと私は思う。あなたの方は個人にあらずして会社そのものを信じて、会社にこれを許すということを目標に承認したというのであるから、そこはよほど違うと思う。あなたらの決定は個人を主とせずに会社を主としたのであるから、代表者は何の太郎兵衛になろうと加賀山氏になろうとそんなことにはとんちやくしない。総裁は個人を主とする。これが食い違いにあらずして何であるか。しかもあなたの方の決定は上位にある。指導、監省する責任権限とを持つておる。その上位の決定を無視して、総裁が下位にありながら、あえて個人の加賀山氏に委嘱したということは、これは委員会の意向無視ということになるのじやないだろうか。国鉄加賀山氏との間の話合いというものは委員会の意向を無視したことになるのじやないだろうか、こう思うのですが、いかがですか。
  53. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 御質問の意味はこういうことじやないかと思うのでありますが、われわれはこれを別途の会社運営するという運営のやり方を含めて停車場をつくることについて承認を与えたのであります。従つてその意味に基いて、長崎総裁はだれか会社運営する人がなければいけないから、かれを加賀山氏に委嘱し、その間加賀山君と長崎君との間にいろいろな交渉があつた結果、加賀山君も財界のいろいろな人を呼び、その会社の設立方法、具体的援助の方法も聞き、研究した結果会社ができたのでありまして、われわれはたびたび申しますが、意向を無視されたとは考えておらないのであます。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その点は打切りましよう。  しからば具体的にあなたは会社を想定されて、その会社を委嘱する、それが加賀山氏になろうと、だれになろうと、総裁の人選でというような今の御説明でありましたが、それならばさらに具体性を持たぬところの会社にこれを随意契約でまかすということは、いよいよ第四十九条の原則の一般入札競争入札を無視する行為ではありませんか。具体性があつて、こういう株主で、こういう内容で、こういう資本で、こういう代表者で、こういう発起人でという場合にこそ、あなたの説明によれば、不利な場合ということになる一つ理由とは受取れますけれども、具体性のないものならばなおさら随意契約で不利なる場合に該当するというあなたの理由はわからぬことになる。一体どういうわけでそうしなければ国鉄が不利になるのですか。まだわかりもしない会社に委嘱するということが有利で、そうしないで広く全国から入札をせしめて、公表して、公正なる協議を経て条件を決定し、そしてこのビル経営等をまかすということにするのが何ゆえに国鉄のために不利になるか。その名前すらわからないような某会社をつくつて、それにまかすということが何ゆえ有利なのか。それはどういうわけですか。あなた独自の立場で御答弁してください。
  55. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 四十九条の問題は、先ほど申し上げました通りの私の見解でありますが、加賀山君と長崎君との間の予備工作というものは会社のできる前提でありますが、われわれとしてもそういうふうな会社、つまり国鉄から見まして十分信用できる、将来いろいろ停車場の用途その他についても変更が起つたような場合に、比較的国鉄自体の立場をよく理解してくれるであろうという会社を選んだのだろうと思います。従いまして先ほどからたびたび私申し上げるのでありますが、会社も別途会社による停車場運営というやり方をまず承認して、それから漸次具体的にだれが経営者になるかという話合いが進められて行つて、九月幾日でありますか、会社が設立された。それから国鉄が契約状態に入つたというようなことではないかと思います。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 質疑応答は横にそれぬようにしていただきたい。監理委員会随意契約を承認したという根拠がどこにあるかということが私の聞かんとする焦点になるのであります。だからその点を明確にしてもらいたい。加賀山君と長崎君との間に個人的な話合いができて会社になり、株主ができ、会社の内情が具体化する、そういつた経緯を聞いているのではない。委員会として一般入札を排して、公正な協議ができるという規定があるのに、それを排して加賀山君と長崎君と協議するという、そういう随意契約を何がゆえに承認したかというその根拠を――但書の不利な場合、そうしなければ国鉄が不利だという規定に該当するとあなたはおつしやるが、何ゆえに不利で随意契約をしなければならぬかということを重ねて聞いておるのですから、その点に対する明確なあなたの委員会における当時の信念をひとつ明らかにしてもらいたい。
  57. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 先ほども申し上げたと思いますが、停車場自体の用途というものを国鉄は非常に重要視しますので、その上にビルが乗るということについては、どうしても国鉄事業に理解のある人がそれを運営しないと、権利義務の関係が別々になつております関係上、国鉄あとでこうしたい、停車場の設備としてこういうふうに変更をしたいといつても、相手方が聞いてくれないかもしれない。こういうような点を考えて私は不利だということが当てはまるのではないかというふうに考えるわけです。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 およそ国の財産に例をとつてみましたならば、国有財産を処分したり、貸借するというような場合には、原則はやはり個々の入札であります。一般入札にしろ、あるいは指名入札にしろ、入札であります。入札でない場合に随意契約をすることは、きわめて例外で、たとえば会計法の二十九条とか、予算決算及び会計令の九十六条等によりましても、随意契約をする場合を全部列挙してあるのです。こういうことはあなたは知り抜いておられるはずなんです。ところがそういうふうに列挙してある事情から見ましても、昭和二十三年の末に国鉄法ができて、国家が全部出資をして成立いたしました国鉄であります。ただ国の財産を委譲しているだけであります。総裁の言をかりて言うならば、国の財産を管理しているというような意味なんです。ですから、その精神は生かされなければならない。従つて随意契約をする場合には相当厳格な各般の法令に該当するかどうかということの検討が必要である。あなたも御承知と思うが、予算決算及び会計令の九十六条の一から二十四までの各号を見ましても、随意契約を特に国有財産について許されている場合に、国鉄に理解があるとか、言いかえますと、行政庁に理解があるとか、その事業に理解があるからということで許されている例は一つもない。国鉄の財産の処分、売買、賃貸の場合等、それと同じ精神で行くことがほんとうです。もう一つ申し上げますと、国有鉄道が成立しまして以来、財政法の覊絆とか、会計法とか、あるいは予算、決算の覊絆を脱しまして、国鉄法一本の会計規定を内部で設けてやつておりますが、それを行う際にはやはり国家の財産を処分し、賃貸借するときと同じような精神で行くことが国鉄監督しているあなたの任務でなければならないと思う。国有財産法には、処分とか、貸借の随意契約の場合には、現に二十数項目が規定してある。今おつしやつたように、国鉄に理解があるとか、今後紛争が起きたときに無理をしないだろうというようなことは、国有財産の貸借の場合は、現に随意契約の要件になつておらぬ。これだけはあなたはないとおつしやるが、ますます理由がないことになりますが、いかがでしようか。いかに加賀山さんが理解を持つておられても、加賀山さんという人が会社代表者になるかならぬかわからぬ。またその方が百年も千年も生きなさるとは思えぬ。そんなことも考えなければいかぬが、そんなことは偶然のことです。ですからあなたの御説明は不利な場合ということの説明にはならぬが、どうでありますか。
  59. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 これはどうも意見の相違でしかたがないのじやないかと私は思いますが、われわれは随意契約を認めるというよりも、随意契約でもよろしいといつて承認いたしましたのは、先ほどからたびたび申し上げますように、いろいろな案考え、いろいろな状態を推定しながら、漸次事が運ばれて行くのじやないかと思います。また一番初め考えましたことも、でき上る会社のその後の情勢でありますとか、何分厖大な資金を要することでありますので、財界の支持その他によつてこれもそのまま遂行できるかどうかもわからぬのであります。従いまして、そういう意味で、これは競争入札に付することも不適当であるし、この法文によりますれば――これは結局ビルができないことになるかもしれない、こういうふうに考えまして、これが随意契約をするに適当なる場合であると私は考えたのであります。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この点はきわめて重大な発言でありまして、まことに、明確な根拠によらずして委員会は承認したというようなふうにわれわれは理解するほかはありません。それならばあとに問題を残しておきます。  そこであなたに伺いますが、あなたの方の銀行は、この株式会社鉄道会館との間にこの取扱いを成立せしめることについて、株式の申込みについて特別の利害関係を設定しておるのはどういうのでしようか。こういうことは慎むべきことではないだろうか、いかがです。
  61. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 今の御質問は、私の銀行がこの会館の株式を持つておることをさすのでありますか。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうではなしに、鉄道会館の成立の前もくろみ書なるものが発表せられまして、あなたの方の帝国銀行は株式の申込みの取扱いの予定銀行として、すでに承認済みということになつておるようであります。あなたはあなた個人、銀行は銀行、もちろん人格が違いまするので、この点はいかがかと思いまするけれども、私が尋ねてみたいと思うのは、やはり国家の財産に準ずるきわめて大きな財産が、鉄道会館で利用されようというときであります。その鉄道を監督するあなたは内閣によつて、両院の同意を得て任命された、最も重要な公務員に準ずる方でありまするので、そういう方が代表しておる銀行が、あらかじめ設立前からこの鉄道会館に介入して行くということはいかがかと思いますので、少くとも徳義的、道義的、社会的にどうお考えになるだろうかということを質問しようとしたのであります。
  63. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 新しくできまする鉄道会館の株式払込み場所になりましたことは、私は実は知つておりません。そのあとで知つたのでありますが、それはこういう事情によるのではないかと思います。銀行は銀行として特別に営業しておりますので、こういうように新しい会社ができますときには、ぜひ自分の方も払込み銀行にしてほしいということを、それぞれ業務の担当者が店でやつておりますので、またそれ自体が、たくさんの銀行が払込み場所になつておりまするので、私あとから聞きましたけれども、私が国有鉄道監理委員をしております公務員の立場から、徳義的にこれを遠慮すべきことであると考えておらなかつたわけであります。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますると、個人的にこの鉄道会館の株を監理委員が持つということ、そういうふうにして監督をすべき立場にある個人が株主になるということも、あなたは何ら論議されるべき筋合いではない、こういうふうにお考えになつておるのでしようか、一言伺つておきます。それを問うゆえんは、佐々木さんが株を相当多量に持つておられまするので……。
  65. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 今申し上げましたのは、払込み場所に私の銀行が指名されたということであります。株式のことにつきましては、御質問のように、これは私が委員会委員をしておりますので、遠慮すべきではなかろうかというふうに考えたのであります。但し当時の情勢で、今でもそうでありますが、資金的にこの会社を多数の金融機関が援助する形になつたのであります。私が監理委員をやつているがゆえに私の銀行がこれを辞退するということは、かえつて他の銀行の援助を促進しないからというような、かえつて障害になるようなことを言われましたので、それならば援助する意味で、私どもの銀行としまして株を持ちましようということになつたわけであります。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 問題は、進みまして、監理委員会は――国鉄鉄道会館の間を、従つて前の加賀山氏と総裁との間の各般の話合い、これによりまして具体的に本屋の建築からビル経営あるいは構内の施設の利用、あるいはこれに対する国鉄の受けるべき対価、賃料、相当なものがそれぞれ重要な要目になつております。もちろんその内容につきましては、これは国鉄から出した資料によりましてもあなたは御承知であろうと思うのだが、国鉄が賃料もきめずにすでに国鉄の重要財産であるものを株式会社鉄道会館に使用せしめておるという事実、すなわち八重洲口駅前に厖大な基礎工事をすでに開始している事実、構内におきましては数十の店舗を経営さしている事実、三億円も家賃を取上げている事実、こういうようなことに展開しておりますが、あなたらはただ最初に、こういう経営について随意契約を承認したという、そこまで今お述べになつたのだが、その内容について、こういうずさんな内容を何ゆえ監理委員会は御承認になつたのだろうか、この点についてはいかがですか。
  67. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 率直に申し上げまして、先ほども申し上げましたように、一週間に一回の委員会でございます。議案もいろいろ出て参りますので、この停車場問題のその後の経過については、多少要望といいますか、資料の提出を命じますことが遅れたり、あとでそういうような事実のあつたことを聞いて、しまつたというようなこともあるわけであります。何分にも一週間に一ぺんだけの委員会でございますので、そういう点で非常に詳しく、絶えず事件の経過を隅から隅まで知つてつたとは申し上げるわけに行かないのであります。
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞かんとするところは、隅から隅まで事件の詳細をお知りになつておらなんだかいなやをお尋ねするのではないのです。国鉄が受けるべきものは本屋の建築と、従つてまたそれに伴いましてビル経営、構内の使用によりまして相当大きな対価を得なければならぬという点であります。その対価を得るということについて――賃料、地代、使用料でありますが、こういうものを何らのとりきめもなしに定めてしまつたということについて、これは細目とは言わしません。また一週間に一ぺん寄るということは、頻繁にお寄になつている。こういうときにこの重大な問題が逸脱するということは想像ができません。あなたの銀行で重大な問題が――局長やらその他の取締役が――こういうような際ならば、あなたはおそらく免責で首にしてしまうでしよう、あなたの銀行に起つたできごとであつたならば。あなたは監理委員会代表者として国鉄監督している。その国鉄が他人に使用さした物件ですでに三億円も入金している。厖大な値打ちのあるところを利用せしめていながら一銭の金もとつておらぬ。とるべき金額も決定しておりぬ。決定しないものをあなたは承認している。こういうような、極端に言えばだらしないことになれているのです。一週間に一ぺん報告をうけた、まことにけつこうなことです、また申し上げれば失礼だけれども、あなたの立場がほんのロボツトであつたかもわからぬということも、こうなつて来ればわれわれは反面で想像を逞ましゆうするのです。しかしながら法律は厳としてあなたの権限責任規定している。だから、これは聞かざるを得ない重要な契約上の要素であります。これがきめられずにあなたらは承諾した、このとらないのを見送つたこと、これはどういうわけでありますか。
  69. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 お言葉を返すようでありますが、国鉄がいろいろを万般にわたつてやりますので、その一々の契約が委員会に報告されるわけにも参りませんし、これは概括的は私ども委員会の方で承認しましたので、その後建物もまだできておりませんので、ある段階に行きましたことに、われわれがその後どういうふうに運んでいるかということの説明を求めるつもりであつたのであります。その途中においてこういうことがありましたのは、私として事務管理の上で国鉄が疎漏であつたということを十分認めます。実は私責任は一切回避いたしませんが、個々の推移について絶えず調査しているというわけに行かなかつたことを御了承願いたいと思います。
  70. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの態度がたいへんほどけて来ましたので、私もだんだん核心に触れて、事の真相が明らかになるべきことを予想しまして愉快に感ずるのですが、ただ各般の凡百の事件をあなたの方で承認する、協議するというけれども、しかしこの問題は加賀山社長説明によりましても、またもくろみ書その他によりましても、それから文書によりましても、当委員会における国鉄説明によつても、非常に経済的に利用価値の高い場所が利用されるという問題でありまして、これはすでにその当初において予定されておらなくてはいけませんのに、凡百の事件と混同しまして、そのうちの一つだということは、われわれは認識があまりに足りないと思います。顕著な、特筆すべき重大な国鉄の資産の利用の問題として、価値があるものとして委員会は取上げなければならなぬわけでありますが、それに対する当初の考え方が不十分であつたのが、今日を来らしめておるのではないかと思う。但し事務上の重大な手落ちもあるようにお考えになつておることはせめてもです。しかしこうもお考えになりませんか。国鉄法四十九条をあまりに広く解して、もつと厳格に解することをしなかつたということ、そういう態度に欠けておつたということにむしろ重要な一つの基因があるのでないだろうか。もう一つはこの間まで国鉄総裁であつた加賀山氏と国鉄の現幹部との間があまりに密接であつたので、国鉄の幹部なる人々がやはり横すべりしてこういう事業経営することは、これはいいことか悪いことかしらぬが、昔からの当然のしきたりとしてすべて認容して来ておるというこの事実が、かように至らしめたのである。現に立花専務のごときも、三月まで国鉄の幹部、局長であつた。そうしてすぐにこの会社の専務になつておられる。こういうこともいろいろと疑惑を生んだ一つの原因であるのでありますが、そういうような二点についてはどうお考えになりましようか。つまり突き詰めていえば、国鉄法四十九条の解釈を、国の財産を管理するという意味合いを含んで厳格に解しておつたならばこういうことにならざりしものを、かなり放漫に、ルーズに解したのでこういう事件が起つたことが一つである。もう一つは、国鉄の幹部数名、こういう人が横すべりして国鉄の重要な財産を利用することが従来のしきたりとして認容されておるという、この一つの風習が事をここに至らしめたところの原因である。われわれはそういうように考えておるのですが、この二点はいかがでしよう。
  71. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 この四十九条をお前は少し広く解し過ぎておるのではないかという御意見でありますが、私は今でもあの問題は競争入札に付するのには適当なる仕事ではないと考えております。  次に経営者が旧国鉄幹部職員が横すべりしておるではないかというお話でありますが、これは国鉄の旧職員で会社の大部分が組成されておるということは事実でありますので、これは事実であるということは私は認めざるを得ないと思います。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その点をあなたが強弁なさるなら、重ねてもう一点聞いておきますが、競争入札の場合でも指名入札をし、公正協議をする機会がある。公正な協議をやることもなお不可、加賀山氏に委嘱することの方が国鉄に利益だ、こういうふうにお考えになるのですか。公正な協議をして条件を定めるということが明記してある。どんな公正な協議をやつても、それよりも加賀山氏にまかした方が有利だ、そういう公正協議がととのつて競争入札は不可だ、こういうふうに今でもお考えになつておられるということであれば、私どももまたそのつもりで今後あなた方と対処して行きますが、今はどうなんですか。
  73. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 先ほども申し上げましたように、別途の建物会社ということが私ども主眼でございまして、加賀山君であるがゆえにこうしたとかああしたとかいうような御推察があるようでありますが、そういうことはないのでありますから誤解のないようにお願いしたいと思います。そうして建物会社計画自体につきましても、私は金融界におります者の目からながめまして、所要資金の厖大さその他から、この計画はいいかもしれないが、これを遂行するには容易ならざる困難が伴う。つまり資金調達にはかなり困難が伴う。あちらからもこちらからも競願者がどしどし出て来るような、だれが見ても飛びつくような仕事とは、実は毛頭考えていなかつたようなわけであります。
  74. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 後段の御説明でありますが、加賀山氏の御説明によると、この会社ができ、土地が利用されて基礎工事ができるようになつて、あの辺の土地は十数万円のものが三倍に騰貴しておるという御説明もあるのであります。それから一流の会社、一流の商社、一流の信用のあるものでないと利用せしめないといつて、現に厳選しておられるけれども、利用者が多いのであります。なおまた大阪の大丸百貨店に、地下の一部、二階、三階、四階、五階などを、結局七億五千万円というものを敷金とか保証金とかいういろいろな名目によつてとることもきまつておる。こういうふうな各般の事情にかんがみまして、これが他から飛びついて来る場所でないとか、あるいは飛びついて来まいとかいうようなことは、金融界の重鎮のあなたとしてはあまり委員会をばかにしたような御答弁じやないかと思う。あそこの地価がそんなに暴騰し、申込者が殺到しても、なかなか厳選して許さない。それは使用せしめる側によつてものがきまるという状態であります。つまり需要者でなくして、供給者の方が強いのである。供給者の方が強いということは、どこから見ても明らかなんです。それを需要者がこんなに多いというようなことも無視したようなあなたのお考え方というのは、これはどうかと思う。     〔委員長退席、柴田委員長代理着席〕 だからそういう根拠によつて、これは競争入札が不可だというようなことは、いよいよもつてあなたの方の委員会の意向がどこにあつたのかわからぬ。ただわずかに今日委員長として当委員会で、まあそこそこに何とか答弁しておけばいい、こういうようにきよう即座にお考えになつておるところを申しておられるようなものじやないだろうか、こうも思われるのです。この点はもう申しますまい。後日に一応残しておきます。ただそういうことを考えるのでありますが、あなたはどうお考えになりますかということだけを簡単でいいからもう一度御答弁ください。
  75. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 はなはだ恐縮でありますが、今の御質問の最後のところはどういうことなんですか。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 最後の点は、要するに監理委員会といたしまして競争入札を排し、加賀山氏を中心としたものに随意契約をしたということの根拠をだんだんとお尋ねしておるわけであります。あなたの御説明によると、これはそんなに人が飛びついて来るものでもない、従つてこれは多くの人の競争入札にすることが不利で、しないことが有利だというような説をなしておられましたから、それはどうだろうかということを理由をあげて私が申し、それについてのあなたの感想を聞く、こういうことが最後の点です。
  77. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私金融面から見まして、なるほどあそこにビルができましたら、これを利用したいという人はずいぶんあるに違いないのでございますが、何分厖大なる資金を必要といたしますので、この会社資金調達の面については、私個人の考えでありますけれども、かなり努力をしないとできないというようなものであるということを申し上げた次第でございます。何もそういうものだから競争入札しなくていいという、この関連性はないのでありますから、それだけお断りしておきます。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながら、資金調達云々と申しましても、会社としまして、払込み資本というものは三億四千万円ということになつておるのであります。二十八億円を要するけれども、三億四千万円が自己の株主の醵出であります。それ以外は全部利用者、使用者から得ようとしておるのです。利用者の最大のものとして、大丸は七億五千万円出すことになつておる。こういうわけでございますから、それは何も個人がどうというのはではない。あの場所が人を誘つておるのです。でありますから、あなたが心配するほど、あそこの利用者がなくて困るという場所でも何でもありません。おそらくは申込者が殺到して、厳選に厳選をして、文句をずいぶんつけて、厳格な条件をつけてでないと貸さない。付近のビルの状況にかんがみても、こういうことになつておるに違いない。従つて、これは加賀山氏の説いたごとくに、地価は三倍しておる。一坪十万円としましても三十万円です。十二、三万円とおつしやつたから、約四十万円くらいするかもしれない。三十万円に暴騰するということは、利用価値が一般に認められておる証拠であります。そんなことは見やすい経済のりくつです。でありますのに、資金の調達なんというようなことを今さらおつしやるということも、それはあまりにも私は筋が通らないお説じやないかと思いますが、それはそれくらいにしておきましよう。  次はお尋ねいたします。監理委員会といたしまして、国鉄が関与いたしまして、一定の財産を提供して部外人に使用せしめるという、こういう一つの大きな事業でありますが、この運営ということについて、委員会は関与するのですか、しないのですか、また、して来たのですか、して来ないのですか。
  79. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 もう少しわかりやすく質問を砕いていただけませんか。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは申しますが、委員会のお仕事、責任権限関係から申しますると、私は国鉄があの重要な資産を部外人の加賀山之雄氏に、次いでこれを承継した株式会社鉄道会館に利用せしめて、多数の資本がここに集まつて、そして鉄道の構内、駅の構内も多数の部外人が利用して、これが一つ経営体をなして進みつつあります。監理委員会国鉄事業監督あるいはこれを指揮するという重大な責任上、これらの事業について、国鉄が提供して使用せしめ、建設を現に遂行しつつある、こういうものについて、監理委員会は積極的に関与して来たのか来ないのか、今後もして行くのか行かないのか、この点を聞いているのです。
  81. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 時間のないような関係で関与の仕方が足らないことは認めますが、これはしないという意味ではございませんので、機会あるごとにこれからもしたいと思つております。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは、契約したのが昨年の九月のできごとです。請書を出して使用することに決定して、双方の意思が合致しましたのが、昨年九月二十六日。すでに十箇月も経過しておるのだから、関与して来たか来ないか、関与するなら何に関与するのか、また今後どうするのかということは、監理委員会として、手があつてもなくても、何らかしなければならぬと思う。一週間に一ぺんもお寄りになるなら、暑いとき気の毒だけれども、そのくらいの骨折りをしてしかるべきだろうと思う。従来関与して来られたのだ来ろうか、来られなかつたのだろうか。依然としてあなたらは、つんぼさじきに置かれておるのかどうか、そういうことを聞きたいのです、まことに露骨な言葉で失礼ですけれども
  83. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 先ほど申し上げましたように、国鉄の仕事がだんだん段階を経て行くごとに、私どもはどういう経過になつたかということを聞きたいと思つていますし、また聞くはずなんでありますが、絶えずその推移をというなようことはいたしておりませんので……。
  84. 田中彰治

    田中(彰)委員 私は質問をいたします前に、加賀山参考人に、この委員会権威のために、私が委員長をやつて来ました係上、一点お聞きしたいのですが、この間の週刊読売に田中が何か鉄道に利権か何か頼みに行つて断われたことがある。こういうことがある。あの記事を見て行くと、それだからこれをやつたというように、非常に党で問題にされておるのです。私は代議士生活五年いたしましても、まだ不浄な酒を飲んだこともなければ、あなたとお会いしたこともない。鉄道に田中個人のことその他で、無理なお願いをしたこともないつもりですが、その点について加賀山参考人から忌憚のない――ここに皆さんおるのですから、正直な点をお聞きしておきたい。
  85. 加賀山之雄

    加賀山参考人 はつきり申します。週刑読売の記者が私の宅に見えて会見をして話をしたことは事実であります。しかしあの中の記事は、私が言つた通りのことが全部書いてあるわけではないのでありまして、特に今お話のありました田中委員長に関する記事は、私は実はこの委員会の席であなたにお目にかかつたのが最初でありまして、それ以外、国鉄にいた当時あるいはそれ以前、何らお会いしたこともなければ、何らの恩怨がないのであつて、私は会わない人に対してそういうことを言うわけがない。はつきりとそういうことを田中さんについて話したこと、言つた覚えがないということを申し上げます。
  86. 田中彰治

    田中(彰)委員 それでは加賀山参考人の方はそれでいいといたしまして、次は佐藤参考人にお聞きしたいのですが、あなたは帝国銀行という、日本で一流の銀行の頭取であらせられ、しかも銀行業務については、なかなか体験が深い、またそういうあなたの人格、そういう業務、経済に明るいというので、あなたを監理委員長にし、また国会でこれを承認して、あなたに信頼しておるわけです。そこであなたの先ほどの答弁を聞きますと、これは鉄道にいろいろな建物を建てさせるのだから、加賀山さんを信頼したのではなくして、会社を信頼したのだとおつしやつた。ところがその会社は当時まだはつきりできておらなかつた。しかもあの鉄道会館の地下二階、地上十二階の建物のうち、鉄道がほんとうに使うのが三%、それから鉄道と株式会社鉄道会館の共同で使うのが一四%、あとの八三%は株式会社鉄道会館が使うように、ちやんと図面ができて、はつきりしておる。こういう重要な仕事をしなければならない。しかもこの使うということは、何と言われても、民法上において、あそこに建物を建てて、そこに住まつてしまつて、しかも又貸しですから、そういうことになれば地上権というものがつくのです。国鉄の財産であつても、たとい何とりくつを言つても、どんなものが入つていると言つても、会社に地上権がついて行く。この地上権があるから、坪五十万も払つたり、七億五千万も払つたりするようなことをするのです。国鉄の財産に指定されているものに権利がつくような、こういう重要なことを、あなたは設立していない会社を信頼して許したのだとおつしやるが、私は少くともこれは信用を基礎とする銀行の頭取の言ではなかろうと思うのです。これについてどういうお考えを持つていらつしやるのですか。
  87. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 先ほど申し上げましたことが誤解を招いていやしないかと思いますが、私どもはあの八重洲口に、国鉄自体の経理関係から申しますと、一階だけの、ほんとうに所要のものをつくるだけにとどまらざるを得ないのであります。ところが一方においてあれだけの利用価値のあるところであるから、あそこへ大きなビルをつくつて、さらに停車場としての便益も加わるようにしたらどうだろうか、やれるかやれないかという問題になりますと、これは国鉄会計が許しませんので、それでは別途法人が別途資金を調達してやるという方法によつてその目的を達しようじやないか、それがこの際やむを得ないだろうという意味で、委員会が承認したのでございます。そういう意味で、会社ができないうちにその会社を信用したと申すよりも、別途法人によつて資金を調達してそういうようなビルをつくる方法を承認したということでございます。どうぞ誤解のないようにお願いいたします。
  88. 田中彰治

    田中(彰)委員 私はそれがいなかの農村か何かのおとつさんが言うのだつたら、あなたの言う通り私も聞き取れるのです。いやしくも大衆の金を預かる銀行の頭取さんが、鉄道の中のあれだけ大きな、しかも坪四十万も五十万もするところに、ああいう大きな建物を建てて、そのうち鉄道がほんとうに使うのが三%、鉄道とほかで共同で使うのが一四%、とにかく八三%からのものを全部権利を移して、それを使う会社をただ別途な会社にした方がいいと思つて承認した、こういう言は、ここにずいぶんいろいろな方が聞いておられるが、私は通らぬと思う。それよりも私は、むしろあなたは加賀山さんを適当と認めて、加賀山さんを信頼したというなら、これは議論の相違と言えるかもしれませんが、あなたの議論を聞いていると、そういうぐあいに私は聞き取れない。どうなんですか。加賀山さんを信頼なさつたのですか。それでは、あなたが金山がいいということを確かに思つておられる。そこで私が有名な金山を掘るから、金を貸してくれるかと言つた場合、あなたは、社長も見なければ、会社の設立も見なければ、何もしない会社に対して、帝国銀行が金を貸そうといつたら、これに承認を与えますか。少くとも国有地ですよ。国民が、われわれの祖先が長い間血税を納めて、苦心さんたんしてあの国鉄というものをつくり上げた。その国鉄の財産がこういうぐあいに宙ぶらりんになつているから、国民にかわつてわれわれはここで究明している。あなたが銀行の頭取として、経済界の要人として、そういうことを言つて通るりくつとお思いになるのですか、どうなんです。
  89. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 先ほども申し上げましたように、ものには順序がございまして、停車場をいかにしてつくるか、それは別途法人による資金調達以外にないじやないか、ではそういうことがよかろう、こういう段取りから、そうするとその別途会社というものはどういう人が適当なのか。先ほどもお話がありましたように、競争入札という考えもあるわけでありますから、どういう人に指名した方がいいのか、あるいは随意契約がいいのかというようなことがだんだんと運んで参るわけであります。でありますから、委員会が一番初め別途の建物会社による停車物、ビル計画というものを承認いたしましても、もしわれわれが見てこれは不適当な人だということになりますれば、あるいは事実上その会社の設立がうまく行かなかつたならば、契約は承認、不承認にかかわらずできないわけでありますので、そう初めから全部きめてしまつて承認したわけではございません。
  90. 田中彰治

    田中(彰)委員 あなたはなかなかうまくお逃げになりますが、それではお聞きいたします。一体この株式会社鉄道会館というのは汽車を走らす会社なんですか、部屋貸しの会社なんですか。デパートなどに経験を持つた人を必要とするのですか、どういう人を必要とするのですか。
  91. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 この建物会社の実はもくろみ書なども私はよく読んでおりませんので、どういう計画を持つて、大部分がデパートになるのだ、あるいは貸しビルになるだろうというようなことは間接的には聞きましたけれども、私自身として鉄道会館運営その他については直接あまりよく存じておりません。ただ私自身が職責上見ていることは、国鉄の仕事が非常に錯綜いたしますので、資金的にそれの資金の調達ができまして、満足にそのビルの受渡しができるまでのところを見ているわけであります。
  92. 田中彰治

    田中(彰)委員 あの大事な、国民の長らく苦労して血税を納めてつくつたあの国鉄の地所に、そういう大きなものをつくるのに、その会社がどんなものであるか、部屋貸しの会社であるのか、デパートになるのか、どういう形になるかわからないで、ただ別個の会社であればいいのだ、こういう観点を持たれた。これはだれが聞いてもりくつにならないと私は思います。私は加賀山さんはりつぱな方だと思います。しかしこれはやはりデパートの体験者の方が適任だと思う。しかもデパートの適任者の伍堂卓雄その他から相当の申込みがあつたが、あなたの委員会にもおかけにならないで加賀山さんに与えた。加賀山さんがやられたからいいといたしましよう。あなたは吉田委員の質問に答えて、これは巨大な資金がいるものだ、だから努力がいると言われた。加賀山参考人がおられるけれども、私はここで申し上げてもさしつかえないと思つて申し上げますが、それじや加賀山さんがこの会社をつくつて、すぐにそれだけの資金を集めたりする力があつたかどうか。この会社のでき上りをごらんください。あなたが銀行家として一番きらわれる一夜づくりの会社なつた。この会社は少くとも創立委員があなた方の銀行の窓口から株を募集してやらなければならないのに、話があまりうま過ぎるのと、契約に根拠がないから払い込まない。そこでしかたがないから長崎さんが一億一千万円の資本金のこの会社に、共済組合の金を一億払い込んだ。そうして登記してできた会社です。そのときあとの株はまだ人が持つておらなかつた。もし私がそういう会社をつくつてあなたのところに持つてつたら、あなたは一ぺんに取引も中絶されれば、これに対して鼻であしらわれるでしよう。これは一夜づくりの会社ですよ。共済組合がこの会社をつくつたのですよ。一億一千万円の会社に一億円払つて、それによつて登記ができたのだから、これは共済組合がつくつた会社です。大蔵大臣が認可しなければ有価証券一〇%は持つていけない、あるいはいろいろな制限を加えられた、しかも政府の補助を受けたりいろいろしておる国鉄の四十四万人の共済組合の金がこここにすこつと払込まれてつくつた会社だ。それから今度はこの株を皆さんが増資されたり、外に持つて行かれたりする。あなたの言われるように、加賀山さんがりつぱに資本を集める力のある、適任の方なら、そんなにしなくても、ただでもつて、地上権もつくあれだけのいい場所なんだから、どんどん株を募集されてだれが見てもりつぱな正常な会社ができなければならない。あなたは銀行の頭取としてこの会社の設立に何とも思つておられませんか。おられないとすればたいへんなことだ。私はそれをお聞きしたい。
  93. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 国鉄の方として契約をしましてビルができたときに資金的の必要な債権は取立て得る、家賃も満足に払えるということがわれわれとして関与し得る限度でなかろうか思いますが、鉄道会館の成立ちその他のことについては当局の課長もおられますので、そちらの方の御承見を聞いていただきたいと存じます。
  94. 田中彰治

    田中(彰)委員 あなたは国有鉄道監理委員長としての監督権を持ち、指導権を持つておられる、しかも銀行家なんです。ここにおる人の中にもあなたのところの預金者、取引者があるかもしれない。その銀行の頭取として、そういう会社を正常にできた会社と思われるかということを聞いておるのです。
  95. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私は正常にできた会社であると思つております。
  96. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうすると、これはあなたの方のお取引とかいろいろな関係について今後あれしなければならない。一億一千万円の会社の総株を一団体がぽんと払い込んで、株の正常なる募集をしないで、会社が登記してしまつて、残つた千万円をあとで持たせるようなやり方をした会社が正常なんですか。少くとも一族会社でもそんなことはやりませんよ。これは世の中のブローカーがつくつたりなんかする首なし会社、登記上の会社です。それへ一億円払い込んだ。それは払い込んでならない共済組合が払い込んでおる。これはその当時これだけの会社が九〇%の株を持つということならば、おそらく大蔵大臣は承認しなかつたと思う。おそらく公文書では承認してないと思う。私はこの会社はどうでもいい、今はでき上つておるのだから。ただ私は、あなたが銀行の頭取としてああいう会社の払込みをさせたことはよくないと考える。吉田委員が言われたように、やはりわれわれも四十九条というものは軽率に考えておつた。しかし加賀山さんも言われたから、間違いないように今後監督して行くというようなあなたの御答弁がなければ、われわれはあなたが監督した会社の信用状態までついて行くような結果になるのですが、それでいいですか。だれが聞いておつてもこの会社は正常会社と思いません。私は一族会社を持つていますが、いくら一族会社でも私が全株の九〇%払い込むことは、会社の基盤上、信用上うまくない。あなたはそういう会社と取引なさいますか。相当仕事をしている会社で、一夜で払い込んで登記した会社があるが、あなたはそれを認めて取引をなさいますか。それを私お聞きします。
  97. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 今の田中さんのお話は、いわゆる発起設立みたいなものをさすのじやないかと思いますが、数人の者が寄つて一夜で払い込んで一応会社をつくり、それからあとでその株を出すというようなやり方もありますので、この鉄道会館の設立の過程というものは、そう一夜づくりでけしからぬものであるというふうには私は考えません。
  98. 田中彰治

    田中(彰)委員 数人ではありませんよ。創立は七人でありますが、九〇%を鉄道の共済組合が払い込んでいる。一億一千万円のうち一億払い込んでいるのですよ。私が全株の九〇%をぽんと払い込んでその株全部を私が獲得した場合、銀行がうまく行きますか。あなたは銀行家だから、そういうことをしてはいけない、これはやはりこういうところへ持たせる、ああいうところへ持たせるというふうに、正常にやらなければならない。会社に対するあなたの観念ですよ。会社がいいとか、悪いとか、そういうことを言つているのではない。そういう観念を持つておられる人が帝国銀行の頭取だつたらこれはたいへんですよ。会社の設立に対する観念をお開きしているのです。
  99. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 御質問の意味がよくわかりませんが、鉄道会館というものができたについては、この株は共済組合というものが独占すべきものでない、もつと広く世間に公開してつくるべきものであるということ、これは御意見であろうと思います。また会館当局者がどうお考えになつているか、私はよく知りませんけれども、将来建物もできてしまつたあとで、これが公開された方がいいとお考えになれば公開されるのじやないかと思いますが、私自身、ただいまの問題については、こうした方がいいとかああした方がよかろうという意見を申し上げることは差控えたいと存じております。
  100. 田中彰治

    田中(彰)委員 あなたは悪いことを認めておられるのだから何ですが、少くとも一億一千万の会社にそういうものができるということ、あの土地にあれだけの建物を建ててもいい、しかも工事は鉄道がやつてくれる、まるでたなからぼたもちが落ちるような話だ。普通なら坪数を調べ、権利金を納めて、あらゆる手続をしなければならない。それをしないでできるのだから、どんどん株の申込みがなければならぬものを、一億一千万円のうち一億円を鉄道共済組合が金を払い込んで、登記して、会社を一応つくり上げて、株式会社代表者取締役社長加賀山さんとこの契約が成つたということは、あなたはどうお考えになるか知りませんが、おそらくあなたに良心があつて、金融の現実を知つておいでになるなら、これは町のブローカーとひとしいものである。そのくらいの考え方しかないということでは、あなたは頭取として重大な問題である。私は今後こういう会社を持つて行きますから取引してみてください。  次に、あなたのそういうざつぱなお考えから株式会社鉄道会館がこういう大きな問題を起してしまつた。そうして国民の財産である国鉄にまだ金も納まつておらなければ何も納まつておらぬ。一方においては大丸から権利金は五千万円、しかも七億とる約束で一億とつておる。その他から坪一万円にして家賃を三年分とつた。しかも鉄道に納める金はほんとうに微々たるものだ。しかもあなたが監理委員長をやつておる国鉄があの請負いをしておる。危険はみな国鉄が負わなければならぬ、損は国鉄が背負わなければならない。できたものは向うに渡す、金はとらない。そしてできたものからは坪一万円で三年分の家賃をとつたり、権利金をとつたり、こういうことが行われて国民が騒ぎ、われわれが休会中でも休まないでこういうことをやつておる。しかも爪の上に火をともすような大衆の金を集めて使つておられる。こういうことについて、日本のほんとうの良心ある実業家として、日本で優秀な一と言つていい帝国銀行の頭取として、監理委員長として、そんなことは当然なことだという観念を持つておるか。それともこれはまつたくあやまちであつて国民に迷惑をかけて済まない、何とか善処しなければならぬというお考えなんですか。私は委員長としてこの事件を取扱つて行かなければならない。そのお考えを忌憚なく言つてください。
  101. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 鉄道会館の株式の問題は先ほど申し上げた通りでありますが、あの構造物の中に幾多の専門店などができまして、鉄道会館がこれを国鉄から譲り受け、しかもそれをまた貸しして、その間にさやがあるといつたような問題については、私この問題が起りましてからやや詳細に知つたようなわけでありますが、遺憾の点も少くないと思います。これについてわれわれの監督権の及ぶ範囲において適当にこれを是正するのがほんとうではないか。いけないところがあればこれを直させるようにはしたいと思つております。
  102. 田中彰治

    田中(彰)委員 人間にはあやまちのあることだし、そういうところも是正されて、そうして国民が心配して騒ぎ出す前に、あなたの方でどんどん委員会お開きになつて、ある程度の責任の明確的なものをちやんとお出しになつたらこの問題はこういうふうにならなかつた。少くともあなたは将来日本の金融界を背負つて立たれる人だ。日本銀行の総裁にもなられる人だ。そういう人がずるいとは思わない。ロボツトで使われてしまつたということはわかつておりますが、しかしこういう問題が起きたときに、監理委員会などどんどん開かれて善処されて、こちらが調べて行く上にあなれの方も乗つて来られるようにしなければならぬ。私はこのやり方は悪いとは言つておりません。しかも大阪行つて聞いても、使つておる人からはほとんど坪一万円も八千円もとつておりますが、鉄道に入るのは千円か八百円。しかも、こちらはそんなことはないと思いますが、大阪では鉄道の暖房は使う、冷房は使う、水道から電気、電話までみな使つて何をしておるかわからぬ。しかもそれを直接貸しておるのかというと、三段くらいに貸して、その間に入つておる人間がみなそれで食べておる。あなたも御承知通り、大道商人を整理しなければならぬというので、検挙しなくてもいい暴力団を検挙してみたり、あらゆることをしてつぶしてしまつた。しかしこれはもつと法律的、組織的なもので憎むべきものである。これが大きな鉄道一家になつて、そうして役人があらゆる法律を研究して、あらゆる組織をもつて合法的にやつておるから知らないのです。私はこんな問題はどうでもよい。加賀山さんもそんなに不適当な人だと言いたくない。しかしあなた方の観念が違つておる。私ら委員会としては、われわれの先輩、われわれの祖先が、長年血税を納めて、横浜から東京まで小さい機関車が通るようになつた、それからこつち鉄道網を敷いて、そうしてりつぱな国鉄をつくつた。それがたまたま占領政策の一環として公社ができた。できると外郭団体を百幾つもつくつてしまつた。そうして国有鉄道がやつて行けないで、いまだに十六億の赤字を出して、しかも汽車はがたがた、レールもがたがたであつて、やつて行けないということになつた。民間に払下げする。民間でりつぱな会社ができたといたしましても、裏口も入口も権利をとつてしまつてつたら、だれがそれを買いますか。これは考えようによつては、官僚と一部政治家と一部の実業家が組んで一われわれの祖先とわれわれの先輩が泣いてつくつた鉄道の横領であると見てもよいと思う。これはとられてもよい、どうせ日本の国家がとつたやつだから、とられてもよいとしても、鉄道網がそういうことによつてそういう組織につくられたら、国会がどんな機能を発揮してももうどうすることもできません。この鉄道は、日本全国民の手足です。私らはそういう観点からやつておるから、それがそうじやないという了解が行けば、私はこの事件なんか、人が何といつたつて、どうしようと、ある程度収める観念を持つておる。それがはつきりしないと収められません。またこんな問題ばかりではなく、鉄道調査局とか何とかいうものがいろいろあつたり、このくらい案乱したものはない。これは加賀山さんが鉄道会館をやられたから、加賀山さん一人を言うのではないが、その前から、終戦後ずつと紊乱しておる。もし私が監理委員長なつたら、とても収まりません。もし私をお宅の頭取にしてごらんなさい。預金者がすぐ減るかもしれない。帝国銀行は三流銀行になるかもしれません。あなただから持つて行くのだ。人間は大事です。会社は死んだものです、組織です。それを運営してよくするも悪くするも人間じやありませんか。あなたそのくらいのことは御存じでしよう。そのあなたが、信頼されて、両議院から承認されて、内閣の任命を受けて、この大きな何百兆という財産、一年に何兆というところの収入のある、わが国で一番収入があるといつてもよいその鉄道の運営監督に当つておられるあなたが、先ほどからの吉田委員の質問に対するあなたの答弁では、国民としてまつたく泣けて来る。あなたはそれで平気であの委員会でうまくやつて来たとお考えなら、私は重大なことだと思う。われわれは何を犠牲にしてもこれをやらなければならない。これについてあなたの忌憚のないところを伺いたい。あやまちがあつてもよいのです。人間にあやまちはあるべきものなんです。人間に失敗はあるべきものなんです。それだから人間です。なければ神様です。あなた方の答弁が悪い。初め長崎総裁が来たときに、新聞に、鉄道は汽車をとめることができる、政府に何ができるか、政府の干渉を受ける必要はないということがあつてから、この問題が大きくなつて、調べれば調べるほど、ちようど癩病病みが手術をするとうみが出る、切れば切るほどうみが出るように、この問題が大きくなつた。まだ資料はたくさんあるけれども、あなたの観念を聞いておるのです。あと委員諸君がどうやられようといいが、私は委員会運営して行く上に、その観念を聞いておきたい。あなたの観念を忌憚なく言つてください。
  103. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 先ほども申し上げましたように、財産管理の面で、荒筋を許可したあと、その運び方についてはなはだ手落ちがあちこちにあるようでありまして、委員会としても、財産管理の面ではそういうことのないように、今後一層監督を厳重にする必要があるのではないかということを痛感して、お答えにかえたいと思います。
  104. 柴田義男

    ○柴田委員長代理 藤田君。
  105. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいままで長時間、両先輩から大体問題の要点の質問がありましたので、私は両委員の質問に関連して伺いたいと思います。範囲が横に大分広まるかもしれませんが、これだけ国民の注視を浴びておる事件でありますから、いずれ決算委員会において明快な結論を出す必要があると思いますし、われわれの立場を決定するに際しまして、監理委員長発言が非常に重大な影響がありますので、きわめて率直に数点お伺いしますから、簡明なる御答弁をお願いいたします。  まず第一点は、吉田委員田中委員長の御質問に対する答弁でも、どうも曖昧模糊としていることがあります。それは国有鉄道法第十条の監理委員会権限の問題であります。     〔柴田委員長代理退席、委員長着席〕 国有鉄道の業務運営に関する指導統制をやられるのが監理委員会権限でありますが、この指導統制という意味委員長はどう考えられておりますか、この点に関してまず委員長の御意見を率直にお伺いしておきます。
  106. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 われわれ、委員に任命されて集まりました当初からこの文句については議論をしたのであります。結局におきまして、具体的にこういうことであるというふうには申し上げられないのでありますが、われわれとしてはこの文字の示す精神を体して最善を尽したい、こういう話合いをしたわけであります。
  107. 藤田義光

    ○藤田委員 指導統制ということは、委員会という制度そのものが、大体において占領中のアメリカ製でありまして、国情に沿わぬ点が多々ありますが、大体執行権があると解釈してよろしゆうございますか。
  108. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 指導監督だけでありまして、執行はしないのであります。
  109. 藤田義光

    ○藤田委員 指導監督した範囲内においてはすべて監理委員会責任があるというふうに解釈してよろしゆうございますか。お伺いしておきます。
  110. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 すべて責任があると考えてさしつかえないと思います。
  111. 藤田義光

    ○藤田委員 監理委員会権限は大体執行権はないというふうな御答弁でありますから、その前提のもとにいろいろお聞きしたいのでありますが、国有鉄道に関連したいろいろないわゆる外郭団体があります。この外郭団体に対しては、従来監理委員会としてどういう指導統制をやつて来られましたか、お伺いしておきます。
  112. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 定期的に、外郭団体の重要なものにつきまして、業務の経過、そのときの状態、経理的の貸借、つまり貸借対照表その他の業務状況の報告こういうものを聴取しておるわけであります。
  113. 藤田義光

    ○藤田委員  コーポレーシヨンシステムになつてからすでに四年以上経過いたしておりまして、国会としては、この国有鉄道に対して本質的な再検討をする時期がすでに到来しておるというふうに考えております。今回の国会におきましては、国有鉄道総裁権限を強化するという重大な改正が行われておるのでありまして、この改正の趣旨を今後敷衍して参りますと、運輸省の存在理由がなくなつて来ると思うのであります。従いまして昔の鉄道省の復活ということが考えられるのでありますが、この点に関して委員長はどういうお考えでありますか。また監理委員会制度が執行権がなければ――私は佐藤さんは吉田総理のアドヴアイザーだということをしばしば新聞で拝見しております。監理委員会、行政委員会の廃止は吉田総理大臣のかねての念願とあるように了解しておりますが、先ほどの吉田委員に対する御答弁からしますと、監理委員会制度存続の必要はないのじやないかと考えております。単なる議決機関であり、諮問機関であるならば、国会の信任を得て任命されてはおりますが、この際監理委員会の廃止ということも考えてよろしいのじやないかと考えておりますか、どういうお気持でありますか。
  114. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 監理委員会の存続についてはすでに国会でも御議論になつたということは前から伺つておりますが、われわれとしては、従来の国有鉄道が政府の一機関から独立しまして独立採算制で公社になりましたその当時から、多少われわれ考えの違います実業界から入りました人が委員会を組織しまして、違つた目で意見を述べる、つまり平たく言えば、普通の会社における社内重役のような役目をもちまして指導、統制するということは、きわめて有意義なものと今でも考えております。
  115. 藤田義光

    ○藤田委員 銀行法によれば、常務役員の専業主義をはつきりと規定しております。大体一般銀行の役員は、原則として専業であるべきであります。これは法律の大精神でありますが、先ほど田中委員長の御質問に対しましても一いろいろ誤解があるように、この際帝国銀行という日本の一流銀行の頭取は専業主義に復帰すべきではないかということを私たちは考えるのであります。専業主義に背反せるポストによつて、こういう問題が非常に不明朗になるのじやないかというふうに考えておりますが、銀行法十三条の役員の専業主義に対しましては、佐藤さんはどういうお考えでございますか。国有鉄道法では、先ほど吉田委員が言いましたように、公務員たるの性格をはつきりうたつております。そうしますと、銀行法の趣旨を没却したことになるのじやないかと考えますが、この点お伺いしておきます。
  116. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私は国家に対するサービスのつもりでこの委員会委員に就任を受諾いたしたのであります。
  117. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますと、国家に対するサービスならば、銀行法の規定は無視してもよろしいというふうに解釈してよろしうございますか。
  118. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 銀行法の規定にも違反しないつもりで私はおるのであります。
  119. 藤田義光

    ○藤田委員 佐藤さんの能力は非凡でありまして、聖徳大子みたような能力を持つておられるから、銀行法の事業主義を無視しても一向さしつかえないというふうに考えておられるようでありまして、私はこの際銀行法の規定に対する大蔵省の見解が非常に重大であると思いますが、幸い銀行局長が見えておりますので、今の佐藤さんの答弁に対してどういうふうに考えられるかお伺いしておきたいと思います。
  120. 河野通一

    河野説明員 お示しの銀行法第十三号の規定は、銀行の常務役員が銀行の仕事にさしつかえのあるようなポストについてはいけない、また仕事の性質が営利的なものにつくとか、あるいはその仕事の性質から、銀行本来の仕事に非常にさしつかえを起すといつたようなことがあつてはいけないという規定であります。従いまして、今御指摘のような事例の場合におきましては、その両者にも見当らないと私ども考えておりますので、本件の場合におきまして、佐藤頭取が監理委員を兼ねられることにつきましては、銀行法の精神に違反しない、かように考えております。
  121. 藤田義光

    ○藤田委員 本来し業務に支障を来さないというふうな局長の御答弁でありますが、鉄道会館に対する国会の結論いかんによつては重大な支障を来すわけでありますが、もし国会の結論が本来の業務に支障ありという認定をした場合は、局長はどういう処断をされる予定でありますか、お伺いしておきたいと思います。
  122. 河野通一

    河野説明員 現在までのところでは、私は先ほどお答え申し上げましたように考えておりますが、今後の状態で銀行の本来の業務に非常に支障を来すような事態力走りました場合には、銀行法第十三条の規定の精神に従つて善処いたさなきやならないかと考えておりますが、ただいまのところは、将来にわたりましても、帝国銀行運営に非常に支障を起すというようなことには万ならぬのではないかと私は予想いたしております。将来のことは今ここで確言は申し上げられないのであります。
  123. 藤田義光

    ○藤田委員 これは見解の相違になるかもしれませんが、委員長の質問にもありました通り帝国銀行株式会社鉄道会館と取引をしておるということによつて、相当の誤解を招いております。私は国民の信用ということを第一生命といたしまする銀行法の規定からしまして、ただいまの局長の御答弁は納得できないのでありまして、この点はいずれ機会を改めてじつくりお尋ねしたいと思います。  次にお伺いしたいのは、監理委員長も御存じと思いまするが、昭和十六年の三月に、帝都高速度交通営団法という法律が実施されまして、東京都及びその付近の交通網の整備拡充をはかるため、地下高速度交通事業を営む公法上の法人ができております。この営団に対しましては、いかなる権限を持つておられますか、またどういう指導をされておりますかお伺いしておきます。
  124. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 何の指導もやつておりません。
  125. 藤田義光

    ○藤田委員 そうすると、帝都高速度交通営団に対しましては、監理委員会としては何の指導もやつておられぬということは、何らの権限もないというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  126. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 その通りでございます。
  127. 藤田義光

    ○藤田委員 この営団法という古色蒼然たる法律が、敗戦後八年を経過しました今日も依然として存続しておること自体に、私たちは大きな疑惑を抱いているものでありますが、何らの権限がない、主務大臣たる運輸大臣がすべて監督されておるというふうに解釈いたしまして、この問題はこの程度にいたしておきます。  次に運輸省の庁舎の一部に運輸調査局という法人が看板を出しておるということを御存じでありますか。
  128. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 存じておりません。
  129. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますと、運輸調査局に対して国有鉄道は何ら関係がないというふうに了解しておいてよろしゆございますか。
  130. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 そういう結論になるかならないか、私ちよつと調査局があるということを知つておりませんので知らないと申し上げただけで、関係があるかないかは調べないとわからないのじやないかと思います。
  131. 藤田義光

    ○藤田委員 この運輸調査局の最高幹部は現在洋行中であります。しかもその費用は運輸調査局から出ておるやに拝承しております。この調査局の陣容は百三十名前後といわれております。しかも民間の法人でありながら官庁の名称をとなえておりまして、運輸調査局という看板をかけております。私はこれは非常に奇怪な団体であるというふうに考えておりますが、委員長は名前を聞いたことも、その内容に関しましても全然知識がないというふうに解釈いたしておいてよろしゆうございますか。これはいずれ後日ほかの委員諸君からも詳細質問があると思いますが運輸調査局に関しましては、現地の看板の写真がここにありますが、運輸調査局という大きな看板を出しておりますので、重ねてお伺いいたしておきます。
  132. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私ちよつとこれに関して知識を持つておりませんことを重ねて申し上げておきます。
  133. 藤田義光

    ○藤田委員 あと委員もたくさん質問がありますから簡単にお伺いします。先ほど田中委員長の質問に対しまして、もしいろいろな誤解があれば是正するというふうな御答弁がありましたが、どういうふうに是正される予定でありますか、なるべく具体的にお伺いしておきます。
  134. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 具体的には申し上げられないのでありますが、是正するという意味は、契約内容が不適当、あるいは不公平、妥当を欠くというようなことになりましたものを、契約内容を訂正させるというようなことが、私のさしあたり頭の中にあることであります。
  135. 藤田義光

    ○藤田委員 最後にお伺いしますが、具体的内容は申し上げられないというふうな御答弁は、具体策はできておるが、ここで言えないという意味でございますかどうですかをお伺いしておきたいと思います。
  136. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 具体策があるが言えないという意味じやございませんので、なお事情の調査をよくいたしました上で具体策をつくりたいという考えであります。
  137. 田中彰治

    田中委員長 柴田義男君。
  138. 柴田義男

    ○柴田委員 最初に工事関係の保証の関係を副総裁お尋ねいたしたいと思います。大体私どもが収集いたしました資料によりますと、工事の保証が、たいてい竣工の保証書が入つておるようでございまするが、これですでに期間の経過しているようなものも二、三見受けられますが、期間の経過いたしました場合には、当然現金が鉄道会館から入つておりましようかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  139. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 経理局長に答えさせることをお許し願いたいと思います。
  140. 高井軍一

    ○高井説明員 お答えいたします。この工事の予納金は、原則といたしまして、私どもは在来現金で収受いたしますのを建前にいたしておつたのでございます。しかしその後の経済事情から申しますと、この高額のものを一度に現金でやることはいろいろとそれだけの必要もございませんので、それで現金とか、あるいは国債とか、あるいは銀行の支払い保証とかいうものをすることになつております。それで、今の御質問はこういうのじやないかと思うのでございますが、支払いをいたしますのは――これはもともと国鉄に委託しましたからといつて関係なしに、損害を与えずに工事をやるというのが、建前でございますので、支払いは、現金としてこの工事の銀行保証をやつておりましても、別に現金の予納をさせまして、その限度で支払いをいたしておるのでございます。
  141. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと柴田君に申し上げますが、佐藤参考人は早く帰らなければならぬものですから……。
  142. 柴田義男

    ○柴田委員 これを一つだけ伺わないとそちらに入れぬと思いますから……。  それではもう少し具体的に伺いますが、建築の工事に対する保証といたしまして、たとえば第一銀行が一億の保証をしておつた、あるいは三和銀行が七千六百万円の保証をしておる、こういう保証書が数通人つておるようでございますが、これに対しまして、すでに期日の経過しておるものも三通ばかりございます。こういう場合にどういう処理をおやりになるのかということを伺つておるのであります。
  143. 高井軍一

    ○高井説明員 私の調査いたしましたことがはつきりいたしませんかと思いますが、今の御質問はもう銀行保証の期限が切れておるということでございますか。
  144. 柴田義男

    ○柴田委員 そうです。
  145. 高井軍一

    ○高井説明員 私の調査によりましては、現在銀行保証をいたしておりますのは、二億四千五百四十八万六千円というものをいたしてあります。この工事の予定総額が現金と銀行保証とその他の担保というもので満たされておればいいというような考えでおりますが、今具体的にそのものが切れておる結果としまして、契約総額が不足いたしておるかどうか、その調査をいたしてみませんと御説明いたしかねるのでございます。
  146. 柴田義男

    ○柴田委員 それでは一つだけわれわれの資料を申し上げまするが、七千六百万円、五月二十九日から八月三十一日までを保証した。これは東京八重洲口の本屋新築その他に関しての建築保証、これが八月三十一日まででありまするから、当然まだ期間がございます。その次に、四千七百四十八万六千円、七月二日から七月三十一日までを第一銀行が保証している。こういたしますと、七月三十一日で、保証期日がすでに経過しておるのであります。こういう場合に、経過する以前に、あるいは当日までに、この四千七百四十八万六千円という金が、国鉄の経理に入つたかどうかこういうことであります。
  147. 高井軍一

    ○高井説明員 これは支払いの各契約契約によつてつておりますので、そういうような期日が経過いたしました場合におきましては、はつきりこの保証の延伸なり――延伸というか、さらに保証をとりますとか、現金をとりますとか、担保をとつておりますから、私ははつきり調査をいたしておりませんが、おそらく当該の保証の問題につきましては、もう工事が竣功いたしまして、現金として1現金と申します。か、支払い済みになつておるものじやないか、さように考えております。
  148. 柴田義男

    ○柴田委員 これは一つの例を今ここにとつたのでありますが、こういう場合には経理局長は、とつたのであろうということで、とつたのであるということのお答えはできないものでございますか。
  149. 高井軍一

    ○高井説明員 こういうようなものが、現金じやなくて保証でいいかどうかということにつきましては、これは経理局長が承認をいたしております。しかし仕事は毎日々々の仕事でございますので、それは所管の工事事務所と東京の鉄道局でございますが、そこで帳簿を持つておりまして調査をいたしておりますので、経理局長としましては直接毎日見ているのではないのでございます。
  150. 柴田義男

    ○柴田委員 それでは佐藤委員長お尋ねいたしまするが、こういうように国鉄の経理全般がわれわれから見まして非常に疑惑を持たれるのであります。たとえば本委員会で議論されました日通の問題にいたしましても、交通公社の問題にいたしましても、こういう点が経理の面におきましても非常に不明朗である。こういうことに対しまして、監理委員会委員長といたしまして、何らか常に監督の方途を講ぜられているのかどうか、この点を一点伺いたいと思います。
  151. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 時々方針なりやり方なりを承認されてやつておることが、現場の実施面でその通り履行されていない。たとえば取立でるべきものがそのまま延引されておるとかいうことがままあるように私どもは感じますので、経理局長その他等を督励いたしまして、こういうことがないようにいろいろな施策を今後も進めて行きたいと考えております。
  152. 柴田義男

    ○柴田委員 それでは中心を国鉄会館に移して参りたいと思いますが、私どもは今日まで調査をいたしましたり、あるいは責任者の御答弁を承つておりますると、いつでも既成事実がここに厳然としてあるのでありまするから、その既成事実の上に立つて、これは国鉄総裁がこういう答弁をされた、あるいはまた会館社長がこういう答弁をされた、こういう答弁をあとからあとからとその答弁を正当化しようというようなお考えの上に立つてのみの御答弁のように承れる。これに対しましても、私どもは非常に遺憾に思つておるのであります。既成事実に対しましては、いけない点はいけない、なんとか是正しなければならぬ点は是正する、こういうお考え方で、率直な御答弁をわれわれは欲しておるのであります。しかも監理委員会委員長に対しましてわれわれは非常な信頼を置けば置くほどそういう御答弁を期待するものでありますから、どうかそういう御答弁を願いたい。  この会社は、鉄道の従業員の多数の人々が参加せられておる共済組合が中心となつてつくり上げた会社のように現在見受けられるのであります。しかも四十数万の国鉄従業員は、将来国鉄会館がりつぱなものが完成することによつて、現在の従業員もあるいは過去の従業員もこれによつて非常に恩典がこうむられるであろう、こういう意図がわれわれにもうかがわれるのであります。ただやつた行いあるいは経緯というものに対しまして疑いを持つて、実は伺つておるのでありますが、現在中央にりつぱな停車場が建設されることはだれしも望むところでありますし、われわれ国民の一人といたしまして非常に賛意を表するものであります。だが現在でき上りつつあるその過程というものに対しまして、非常に疑惑を持つておる。あるいは各地のこういう状況を見ましても、そういう疑惑が盛んに生み出されておる。これは世論がわれわれの意見に対しましても非常に支持をされておりますこの一事を見ましても、国鉄の今までの幹部の方々の考え方、あるいはまた過去に国鉄におられた方で、過去の従業員のための施設であると思つて考えましたところの国鉄共済組合でございましても、あるいはまた弘済会にいたしましても、その中を経営されておる幹部諸君の常識というものは、一般の世人の常識と、非常に隔たりがあるようにわれわれは考えておるのであります。であればこそ委員会委員長が最も冷静な見地から、この鉄道会館の問題をどう処理なさろうと御意図なさつておるのであるか、今後に対する方針を承りたいと思います。
  153. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 当委員会におきましても、またこれを反映しまして世間においても、いろいろの疑惑を持つてこの問題をながめておられるようでありますので、こういう疑惑のないように、公正な結果になりますように、われわれとしても最善の努力をいたしたい、こう考えております。
  154. 田中彰治

    田中委員長 山田長司君。
  155. 山田長司

    ○山田(長)委員 ただいま監理委員会委員長である佐藤さんから、方針といいますか、あまり明確でない、疑惑に対してこういうものをなくしたいというようなお考えで、非常に喜ばしい今のお答えでありますが、いろいろお伺いする前に、あなたは今度の株式会村鉄道会館の株をあなた自身でお持ちになつておるかどうか、まず最初にそれを伺いたいと思います。
  156. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私個人としては持つておりませんが、私の代表しております銀行としては、先ほども申し上げましたように、この会社が何となく資金的に――なかなか大きな資金を調達するのに困難であろうというようなことから、これを援助する意味で、他の銀行とともに株主になつたのであります。
  157. 山田長司

    ○山田(長)委員 あなたと一緒に日本国有鉄道を監理する立場に置かれる委員の方で、佐々木委員という方がおられますが、この方が株をお持ちになつていることをあなたは御存じですか。
  158. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 自分は株主になつたということを同君から聞いております。
  159. 山田長司

    ○山田(長)委員 疑惑を持たないように努力をするということであなたは先ほど答弁をされておりますが、何かしら第三者的に、国鉄の仕事に携わる重要な輸送という大きな目的があるにもかかわらず、そういう監督の衝に当る人が、もうかりそうだからというので、あるいは金に詰まつていそうだからというふうな意味から、こういう株をお持ちになられるということが、何かわれわれは不謹慎のような気がしてしかたがないのですが、監督の立場に置かれる人がそういうことをされても、あなたは不謹慎とはお考えにならないですか。
  160. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 先ほどもその点についてお答えしたつもりでありますが、株を持ちます前に、この点を私として一応研究もいたしましたし、銀行の幹部としてもこれは重役会に諮つておるわけであります。ただ、これはいわゆる援助の意味でやつておることでありますので株主になつたわけでありますが、もしそのこと自体で世間の疑惑を招くというのならば、私はこの株を手放すことに何ら異議はないわけであります。
  161. 山田長司

    ○山田(長)委員 聞くところによりますと、実はまだ私最近聞いたのでありますが、高円寺の駅などにもこういう計画があることを聞き、新宿駅にもこういう企画のあることを聞き、次々に非常に便利のよい土地にタイアツプをしたこういう形式の会館が建てられるということについて、あなたは将来もこれらについての監督は今と同じような立場で処理されるおつもりですか。
  162. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 もちろん今後につきましては、こういう事態を起しておりますので、一層やり方の方法経営のやり方について、このような疑惑を招かぬような措置を講ぜねばならぬと考えております。今御指摘になりましたような高円寺その他については、私まだ何も聞いておりませんので、具体的にはお答えいたしかねますけれども、そのことを認可いたします前には、当然特別の考慮を払わねばならぬだろうと考えております。
  163. 山田長司

    ○山田(長)委員 国鉄の本業の使命は、いまさら私が申し上げるまでもなく、輸送のことに主力を尽すべきだと思うのでありますが、最近のように非常に乗りものが混雑して、朝の通勤どきなど、勤労階級にとつては、生きた思いがないような電車に乗つて通勤をされておるのでありますが、こういう事情を考えたときに、何かしら遅々として輸送の問題が遂行されておらない。こういうことを痛切に感じておるわけであります。先ほどおつしやられた言葉は、国家のためにサービスをするつもりで委員長の職を引受けておるというようなことをおつしやいましたが、実際一つの仕事でも容易でない事態のときに、他に仕事をお持ちになられて、この輸送の問題に主力を尽すということはなかなか容易でない。そういう容易でないことがありまするがゆえに、十億からの日本交通公社の切符売上代金が滞つてつて、それを強く催促もせずにおられるように思うのですが、それらの問題は、一体どういうふうにあなたは今まで監督の立場で御処理をする方針で努力をされておりますか、ちよつと伺いたいと思います。
  164. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 輸送の問題につきましては、これが国鉄事業としての最大の使命でありますので、委員会ごとにほとんど話題に上らないことはないのであります。ただ弁解をするわけではございませんが、東京などにおきましても、国鉄の輸送力の増強というものに関係なしに、盛んに新しいビルができますので、そういう点でも、ずいぶんわれわれとして困つた面があるのであります。特にビルの名前を申すのはいかがと思いますが、たとえば一箇所にかなり大きなビルが建ちますと、そこに朝夕数千、場合によつては万を越える人間が集まつて参りまして、ちようど工場を誘致するが、電力の供給に対しては何らの考慮を払わずに盛んに工場ができると同じような状態であります。そうかといつて、輸送増強の責任を回避しておるわけではございませんので、全力をあげてはやつておりますが、そういつた事情もあることをひとつ御了承願いたいと思うのであります。
  165. 山田長司

    ○山田(長)委員 あなたは鉄道弘済会については、どういう権限監督の衝に当つておられますか。
  166. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 一定の時期に、弘済会の財産状態その他の事業報告を聴取いたし、これによつて監督をしておるつもりであります。
  167. 田中彰治

    田中委員長 杉村君。
  168. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 委員長お尋ねいたしますが、あなたはこの株式会社鉄道会館というよりは、むしろ総裁長崎惣之助氏と加賀山之雄氏との間に八十周年記念事業としてこの国鉄東京駅前の事業の問題の話合いが起つてこういうふうに発展して来たのですか、これに対する何か御協議か、御相談を事前においてお受けになつたことがございましたですか。
  169. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 御質問のような意味ではございません。
  170. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 今の答えがちよつと私にわからなかつたのですが、全然なかつたのですか、どういうふうな話があつたですが、あつたらその内容を話してください。
  171. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 加賀山君と長崎君とがいろいろ事業の遂行について御相談を始められたことについて、私は、事前の相談を受けておらぬという意味であります。
  172. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 事後の相談を受けたことはありますか。
  173. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 鉄道会館運営加賀山君を社長にし、澁澤敬三さんを会長にしてやりたいと思うがということは私は伺いました。
  174. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 それ以上この内容については聞いておりませんですか。     〔委員長退席、山本(勝)委員長代理着席〕
  175. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 内容と申しますのは、先ほど申し上げましたように、停車場をつくることにつきましてこういうふうにして行く、一階は国鉄が全部持つ、それから二階以上は、会館の所有になる、こういつたようなことは伺いました。これは資料が提出されておりますので、この会社がどういうふうに運営されるかということは私承知しておるわけであります。
  176. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 その資金関係などはどういうふうに聞きましたか。
  177. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 資金関係資料が出ておりまして、資本金をさしあたりどういうふうにして行くか、さらにこれに入ります借家人からどのくらいの資金が調達されるか、なお足りないところは銀行借入に仰ぐとか、いろいろな計画がございまして、資金的に一応それがつじつまが合つておるわけであります。ただ先ほど申し上げましたように、それに対しましては、私自身が、なかなか困難であろうという観測を持ちまして、われわれが株式を若干持つたということもそういう意味から持つたわけであります。
  178. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そういたしますと、この工事資金の総額がどのくらいということを聞いたか。それからその資金関係は、今何ほどということを言われなかつたのですが、その最初に事後に話を受けたときに、どの程度に資金関係の話を具体的に聞いたか、ひとつ答えていただきたい。
  179. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私も間違うといけませんからその資金計画資料によりたいのでありまして、また私も資料に基いて、その計画を聞いたのであります。かつ立て方につきましても、途中で多少の変更があつたように私今記憶いたしております。また物価相場その他がいろいろ変化をいたしますので、当初計画いたしましたより、だんだん所要資金がよけいになつて来たような感じもいたしております。
  180. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 あなたはたいへん御警戒なさるという意味でもないでしようが、いろいろ資料等によつてというようなことをおつしやられておりますが、それでは私の方から今まで委員会に反映された事実について伺いたいのですが、この工事資金の総額が三十億である、まず三十億前後というようなことがこの委員会には反映しておるのでございますが、その点はあなたの伺つておるところではおよそどの程度でありますか。
  181. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私は二十五、六億というふうに聞いておりますが、さつき申し上げましたように、それがあとで三十億になつても、計画の変更その他によつて、私としては別にそれが意外なことであるとも思わないわけであります。
  182. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 それでは二十五、六億でもけつこうです。それではこの会社の資本金は、最初一億円という話であつて、その次に四億四千万ということになつて、払込金が三億五千万円なのですが、この三十億の工事資金を要する建築工事を、利潤を目的とする会社から国鉄が請負つて、その工事をしなければならぬということは、私はきわめて不合理だと思うのですが、その点はいかがでございますか。
  183. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私もその点は国鉄当局に質問をしたのでありますが、何分一部は国鉄自体の工事、一部は鉄道会館の工事でありますので、ここに普通の単独の建物を建てる、施設を建てるのと少し事情が違うのであります。従つて国鉄がこれを一括して請負う、但しこの場合における事業計画も局長から説明があつたと思いますが、保証金を積むなり銀行の保証を得まして、そこに国鉄資金上の危険がないようにして、これが施行されておるというふうに私は聞いております。
  184. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 あなたは国鉄の所有になる建物も入つておるから、国鉄がやるのもさしつかえないというようなお考えかもしれませんけれども、でき上れば全国一といわれるところの大きなビルデイングの大部分は、株式会社鉄道会館の所有になるのではありませんか。国鉄のものになるというようなものはきわめて少いのであります。でありまするから、むしろそういうようなことは、実際にやる会社にやらしたらばいいではありませんか。国鉄が何も保証書などを入れてやらせなくてもいいではありませんか。  なおあなたにもう一つ伺うのでありますが、あなたは今保証を入れたというが、いわゆる日本国有鉄道法に基くところのいろいろな規則がある。総裁のつくつた規則もあるが、そういうような場合においては、あなたのおつしやるように、二十五億の建築事業費がいるのであつたならば、二十五億前後の保証を銀行にさせるか、そうでなかつたならば二十五億の予納をさすべきではありませんか、これはどういうことになるのです。いかに加賀山氏がどうであろうが、澁澤氏がどうであろうが、総額が四億四千万円で、資金を全部入れても――先だつて加賀山さんの言うのには、今度十三億にしたという話であるが、かりに十三億にしたところが、工事資金があなたの言うように二十五億であつたならば、十三億の金を全部入れてもあとどうするのです。それはきわめて不合理なことではありませんか。それだからそれも国鉄にやらした方が都合がいいというのであつたならば、何ゆえにその二十五億を先に保証しないのか、あるいは二十五億を先に予納しないのか、日本の金融機関が、澁澤であるから、あるいは加賀山であるからといつて、どれくらい加賀山さんや澁澤さんが財産を持つておるか知らないけれども、そういうようなかつてな保証をするはずもないので、それだからちよちよび四千万円とか五千万円とか一億というような保証をしておるのでありましよう。すでに国鉄では二十数回請求して、わずかに二億数千万円しか入つておらない。それでもやはり国鉄がそういうような請負いをする方が適切であると、あなたは今なおお考えになつておられますか。
  185. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 工事の具体的なことになりますので、私自身は申せないのでありますが、国鉄の自己の施設を施工しますその上にビルが乗るのでありますから、特殊の工事をしなければならぬ。つまり強化してよけい金がかかるということだろうと思います。それにまで請負いをしてやつて保証金をとつて行く、極端に言えば他日万一のことがあつて鉄道会館資金の調達が最終のところで完全は行かないといつた場合に、国鉄自分で使う部分以外の部分が、半建造された状態のままでしばらく延びてしまうというようなことが起りましても、これは国鉄自体としては別に損害がないので、国鉄当局として部分的にこれを逐次保証をとりながら請負つてやるということは、さしつかえないことだろうと思つております。
  186. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 私はあなたのおつしやることがきわめて無責任ではないかと思うのです。国鉄が使うところだけできれば、あとはできなくても国鉄に損はないとおつしやるが、この事業は日本第一の玄関である東京駅を国際的にりつぱな駅にしようという計画のもとに行われたということであります。しからば二十五億の金全部を最初から銀行が保証するなり、あるいは二十五億の予納をしておくのであつたならば、途中で挫折することはないでありましようが、いかに加賀山氏が財界に、あるいは澁澤氏が財界に言つても、澁澤氏個人、加賀山氏個人と、株式会社鉄道会館というものは、おのずから人格が違うでありましよう。そうした場合に、その会社がその資金を入れることができなかつたならば、あなたのおつしやるように、東京駅の前に建てかけて、国鉄だけが使つてあとは骨だけが立つておるというみつともないことであつても、国鉄が損をしないからいいということでお済みになると思いますか。
  187. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 それは万一そういうことになつてもということを申し上げただけなのであります。そこで今おつしやられるように、初めから所要の全額を保証させるということが本筋であるかもしれませんが、おそらくそれは現下の経営上その他から見て、不可能であつたのではないかと私は思います。それは私はよく知りませんが……。
  188. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 どうもきわめて国会に対して不忠実なことではないかと思う。いやしくも国鉄を統一して監督して行くという地位にあるあなたは――国鉄自分でやるのであつて、債務を負担する場合においては、国会の承認を得けなればならぬことになつておるが、日本の玄関であるところの東京駅は、八十周年記念事業として国鉄自分でやることが適当である。それを一営利会社がわずかの一億九千万か三億の金を入れただけにもかかわらず、三十億の工事を自分で請負つておるが、その工事資金責任国鉄にあるのでありまして、国鉄が債務を負担をしておるが、債務を負担するには国会の承認を得なければならぬ。しかも万一にもと言うけれども、万一にもそういうことがあつてはならない。二十五億というものを先に予納させておつたら、そういうことは起つて来ないはずです。ことに国有鉄道会計規程にも書いてあるではございませんか。あなたは、国有鉄道会計規程や、国有鉄道固定財産管理規程等を、ごらんになつたことがありませんか。あの中にはあらかじめすべて予納させなければならぬということになつておる。何ゆえに加賀山氏を社長とするところの会社だけに、そういうようなわれわれから考えればきわめて危険千万な――われわれが考えますと、これはやらずぶつたくりという手なんだ。加賀山、澁澤なんというものが先頭になつて、金を出さないで東京駅の工事をやらせて、そうしてあとあがるところの利益を得ようとするのではあるまいかと私は疑つておる。世間ではない、私はわれわれ決算委員会の一員として疑つておる。なぜならば、そうでありましよう、三億五千万しか金を払つておりませんで、すでに東京駅の下の売店からはもう三億も金をとつておる。さらに大阪の大丸からは一億とつておる。七億という金をさらにそのほかにとることを約束しておる。そうして二億五千万円ずつの家賃をとることをきめておるでしよう。それで今幾ら国鉄に金が入つておりますか。そういうようにしてほかの方々から予約をして金をとつて、これを国鉄にろくに入れもしないで、順々に金を出さずに工事をやつて行く。それでもでき上ればいいが、私どもから見ると、でき上ればいいか悪いかではなくて、われわれはこの裏面に非常にいかがわしいことがあるのではあるまいかと――はなはだお気の毒な次第でありますが、私はこのごろそういうふうな疑惑が目に映るようになつて来たのです。だからその点につきまして、委員長はまだこれでもよろしいと思うか、これをあなたが是正させる――われわれは、この工事をむしろ現在の株式会社鉄道会館なんぞというものにやらせてはいけない、これをやめさせて、国鉄がこれを直接やつてみたところが、さらに心配がない、やれるのだ。だからそういうことをやる御意思があるかないか。いかがでしよう、その点を伺いたい。
  189. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 先ほど工事請負をするに従つて予納金はとると聞いておりますから、国鉄が工事上の責任を、二十五億もうとつてしまつて、そうして予納金が入らなかつたらどうするかという御心配は、ないのではないかと存じます。ただこの鉄道会館について、今御指摘になりましたように、世間の疑惑が非常に多いということは、われわれも重々承知しておりますので、この趣旨としては大きなりつぱなものが停車場としてきでるのでありますから、この目的を達成しますために、疑惑を取除くために、われわれとしても最善の力を尽してできることは是正して行きたい、こういうように考えております。
  190. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 ただいま、少しずつ保証をして行つて、その都度保証して行つておるから心配はないというが、それは同根の拠に基いてですか。澁澤氏や加賀山氏に対してそういう約束でもしておるのですか。澁澤個人に対して約束をし、あるいは加賀山個人に対して、どの銀行がそういう心配ないということを――あなたが心配ないというのは、何を根拠に心配ないとおつしやられるか。
  191. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私の経理当局から聞いておりますことは、鉄道会館にかわつて国鉄が工事の請負をしてやりますときには、部分的に工事が進行するようであります。従つてたとえばここに一億の工事を請負いますと、必要な予納金が一億であれば、その一億をとつた上で請負に入る、こういうやり方をさせる。
  192. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 それはあなたの当局から聞いておる話と、われわれが知つておるのとは、たいへん違うので、これは総体的に大体工事を請負わせておるのではありませんか。そんな一億や一億ずつ部分的に工事を請負わせておるのではなくて、すでにあそこの十二階のビルという総合的な工事を請負わしておると私は聞いておるのですが、あなたはその点はどういうふうにお聞きになつておりますか。
  193. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 今申し上げました通り、部分的に予納金ないしは銀行補償その他の担保が入つた限度において、請負は国有鉄道が外部に対して責任をとりつつあるというふうに私は聞いております。
  194. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そうすると、あなたが今言うように、部分的に入つただけずつやるとすると、入らなくなつたらどうなるか。私は入らなくなつたらどうするかということをさつきも聞いておる。あなたは心配ないというが、入らなくなつたらどうするのですか。会社が金を入れなくなつたらどうするのですか。
  195. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 ちよつとさつき乱暴のような言葉でありましたが、国有鉄道の使います施設が完了して、その上に乗るビルが半分のままで進行しないという場合はあり得る――これは少し乱暴な仮定にすぎないのですが、それでも直接国有鉄道に損害はないのであるということなんです。
  196. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 それは乱暴であるとか、あり得るとかいうのじやなくて、かりに加賀山さんが言うように、十三億全部払い込まれても二十五億――あなたのいう額でも二十五億ではありませんか。そうするとそこにどうしても十二億不足じやありませんか。それも今わずかに三億五千万しか払い込んでいないのですよ。それであなたが心配がないというのはどういうわけですか。むしろ心配があるのがあたりまえじやありませんか。
  197. 加賀山之雄

    加賀山参考人 ただいまの問題は私がお答えした方が適当じやないかと思います。
  198. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 答えができなければできないでけつこうですから、委員長にお聞きしたい。
  199. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私は鉄道会館のそうこまかいことまで知つてませんし、ちようど加賀山君がおられますから、加賀山君のお答えを聞いた上で、御質疑があつたらさらに申し上げたいと思います。
  200. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 それはあなた、加賀山君は営利会社社長じやありませんか。営利会社社長にあたの答弁すべきことを答弁してもらうなどということは、あなたはここを何とお考えになりますか。ここは国会ですよ。私がここに問うておりますけれども、杉村一人が聞いているのじやありません。八千万の国民代表して私は聞いているのですよ。それをあなたは監理委員長たるの職にあるにもかかわらず、営利会社社長がやつていることについて、われわれはいささか疑惑の念を持つて見ているのに、私の答えを加賀山氏にしてもらうというがごときことは、私たちを何と考えているか。お考えを伺いたい。
  201. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 今の御質問は、国鉄に損害の及ぶ危険がないかという御質問であろうと思うのであります。それで再三申し上げましたように、国鉄自身の工事は自分で遂行する――大体元にもどりまして、建物全体を東京の主要停車場ビルにふさわしいものとして、自分の力でつくるのが本筋なんであります。この点は前から研究したこともあるのでありますが、何分運輸力増強のために直接必要とする資金が非常に多い。ことに問題は東京停車場であつて国鉄の仕事というものは全国に広がつておりますから、厖大な資金東京に使うというわけには行かぬのであります。それで、先ほども再三申し上げましたように、他の別途法人によつて資金を調達してこれをやろうということになつたのであります。十三億というのは、私の聞いているところでは、これは援権資本でありますから、おそらくそこまで資本金は集め得るだろうと思います。しかしなおかつそこに不足資金が出るわけでありますが、これは入ります人の権利金でありますとか、あるいは場合によつて金融機関のみならず、どこから資金が出て来るか知りませんが、たれかこれを貸す人が出ないとも限らないのでありまして、その事態の進行を見ながらこのビルが完成に近づくというような段階になつているだろうと思います。
  202. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 あなたは国鉄の力ではどうとか言いますけれども、それはなるほど今は国有鉄道ということになつて国有鉄道は独立の会計でやることになつております。しかしこの国鉄が、実際において日本の玄関であるところのこの東京駅がそれだけのことが必要であるとするなれば、何ゆえに国会にこれをはからないか、運輸大臣に何ゆえはからないか。しかもあなたは監理委員長であつて国鉄監督して行くだけの職責があるのです。しかるにもかかわらず、あなたはただ話を聞いただけだ、こう言うのだが、総裁長崎氏の言うことには、この仕事を始めるときには、衆参両院議員の著名なる人、衆参両院議長であるとか、その他前田米藏氏、あるいはこの間まで大臣をしておつた人、あるいは現に大臣をしている人、そういうような人にまでも相談をしたのだ、こう言う、そしてそれは非常にいいことであつたと言う。それにもかかわらずあなたが事前に相談を受けていないということは、これはどういうわけなんですか。いやしくも、たれよりも彼よりもあなたに対して長崎総裁がまず第一番に御相談申し上げて、あなたの御意見なりを聞かなければならない、さらに運輸大臣の指揮監督を受けなければならない。それにもかかわらず、一方から言えば財界、政界の大物に相談をしたと言う。それであなたが監督の地位にあつて、その相談も受けないというのだつたら、そんなロボツト的みたいなような地位だつたらやめちやつたらどうです。サービスというが、そんなサーピースなんかしてもらわなくてもいいのだ。あなたは、おれがほんとうに活動するには幾らでもこれには費用がかかる、それだけの手当をしてもらつたならばおれはやりますと言う。それだけの必要があつたら、その必要なものを請求して、そんな遊び半分のサービスというようないいかげんなおちやらかしを言わずに、真剣に日本の国鉄国民国鉄をりつぱにするという信念を持つて当るべきじやありませんか。さつきからあなたの話を聞いていると、きわめて不謹慎きわまる言葉ではないかと思う。サービスとかなんとか言うが、そんなものじやないでしよう。あなたがこの鉄道監理委員長となるにつきましては、その適否について一応国会の承認を得て、内閣総理大臣があなたに委嘱しているじやありませんか。それほどの重責をあなたは何とお考えになつているか。ほかの財界や政界の人には相談したのにもかかわらず、あなたには相談をされない。あなたがそんな心構えだから、長崎惣之助から相談を受けない。そんなロボツトみたいなものだつたら、あしたからでも辞表を出したらどうですか。あなたの信念はいかがですか。
  203. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 今のおしかりでありますが、私は長崎君が私より先にどなたに御相談なさつたか存じません。しかし相談を受ける適当な時期に私は相談を受けたと感じております。     〔「関連」と呼ぶ者あり〕
  204. 山本勝市

    山本(勝)委員長代理 ちよつと杉村君に御相談しますが、熊本君に発言してもらつて、その次にまた……。
  205. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 あと一点だけで終りです。
  206. 山本勝市

    山本(勝)委員長代理 決して杉村君に許さぬというのじやありません。こちらで発言を求めているから、熊本君がやつて、それからあなたがまたやるというように、関連で両方で次々とやつたらどうかというのです。別にこれでやめてくれというのではありません。宅
  207. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そこで私はさらに佐藤委員長に最後に聞いておくのですが、あなたは、私が考えるにこうだと思う。そうであるかないかは別ですが、要するに、最初つくつたときの会社は一億でした。次は四億四千万で、現在は三億三千万しか入つていない。それで十三億全部払つたならば、あとは何とかするだろうというのですが、あなた方は現在の監理委員長たる地位を利用し、あるいは前国鉄総裁という地位を利用するもの、あるいは前国有鉄道の幹部が集まつて、あそこの東京駅のあのいい場所自分たちの金もうけのために、国民の知らない間にああいうことをやつてのけようとしたとしか思われない。あなたの言う通りに、二十五億としても、十二億不足するじやありませんか。その十二億はほかからとつてやると言う。そうすると、十三億の金で、十二億というものをほかから求めて、それでさらに二十五億の収益をはかつて行こうということになるが、思うに、これではまじめに働いておるものはないでしよう。きのう大丸に聞いたんだが、あなたのところは七億という金だが、なぜそんなに入れるのかと言つたところが、とにかく何といつて場所場所ですから、七億入れると言う。それほど重要な場所なんだ。それほどの重要な場所を、前国鉄総裁という名を用い、あるいは監理委員長たるあなたは相談を受けないと言うけれども、どうです、ほんとうのところは、もう長崎、加賀山、あなたあたりはほんとうにじつくり利益勘定までして、相談しているんじやないですか。それだけ伺つておきましよう。
  208. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 そういうことは絶対にございませんので、はつきり申し上げておきます。
  209. 山本勝市

    山本(勝)委員長代理 熊本虎三君。
  210. 熊本虎三

    ○熊本委員 ずいぶん長い間同僚委員からいろいろ質問いたしましたので、ダブるところは避けたいと思いますが、どうしても委員長のお答えに了解できざるものがある。それは何であるかといいますと、最初の方は、個人を信用したのでもない、要するに会社を信用して、これが一番適切であると考えて、国鉄法の四十九条における一般公入札をもやめて、これでやつたんだ、それでいまだにその信念はわからないと答弁されている。ところがだんだんと問い詰められて参りまして、特にただいまの杉村君の質問に対しましては、自信がなくて、かりにあるいはあるかもしれないが、そういう場合には、国鉄自分が使うところが一階だけだから損はないのだ、こうなつて参りますと、最初国鉄監理委員長として、いやしくも国鉄法原則を、曲げて、信用して、信頼してまかせられた随意契約による会社の実態というものは、まことになつておらないということが明白になる。それは先ほどから内容は言つておりますから、多くは言いませんけれども、とにかく一般民間から集めた金は一億程度なんだ。それで三十億の仕事をしようという。なるほど三億五千万集まつておりますけれども、しかしながらそれは共済会という正当なる法人であつて、そうして大臣の許可を受けなければならない金から融通しておる。あとの一億五千万円はとにかく国鉄関係者から無理に集めたものであつて、金が足りなくてまたぞろ共済会から立てかえて五千万円払つておる。まことに無から有を生むために画策されたものであるといつても間違いはない。そうして先ほどの質問中にもありましたように、銀行支払い保証の手形をもつてやりくり算段で今日までやつて来ておる。どういうわけでそういうような怪しげなる会社随意契約でやらなければならなかつたか。その当時あなた方が相談を受けられて、そうして加賀山さん、あるいは澁澤さんというような、まつたく財界においても、あるいは国鉄においても手腕家である、だからこれならばやれるだろうと最初御信用になつたのはやむを得ないといたしまして、今日ただいまの現状から見て、それでもけつこうであるというお答えは、監理委員長としてはできないはずだと思うのですが、その点は一体どうなんです。
  211. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 今の御質問のように、もしこの会社の現状が漸次悪化して資金調達も困難になり、いけないということになりましても、なおかついいと私は決して申し上げておるのじやないので、もしそういうふうになりました場合には、また最善の手を打つてこれを考え直さなければならぬことはもちろんでございます。ただ先ほども御返事申し上げましたように、請負工事の危険のことをおつしやられましたから、国鉄自身としては損失をこうむることはなかろうということを申し上げたのでありまして、また別にこの停車場ビルをつくります方法を、別途の法人によつてやろうということを初めに認めたということとは、直接関係がございませんので、何かそれでお前の考えは非常に無責任であるというふうにおつしやいますが、訂正しておきます。
  212. 熊本虎三

    ○熊本委員 もつと悪くなればと言われますけれども、まず第一に過誤を犯したことは――その後の今日までの過程において、こういう者を信用して随意契約を承認したということは、すでにもう過誤を犯しておる。そうして将来に対してもかつなおまだ不安があつて、不幸にして悪くなつた場合を考えるというほど、確信を持つてわれわれに安心させることはできない。将来を見通しても、ますます怪しげなる現状である。そういうことでありますれば、当然国鉄法原則に基いて、あるいはまた八千五百万の国民が非常な関心を寄せて、怪しげなる目をもつて見ておるこの状態において、正常な国鉄の繁栄を期待し、全国民に安心を与えるということのためには、意を決してこれに対する英断を振うべきだと考える。時はまさに今なりと考えておるのでありますが、これについてただいま即答はできぬかと思いますけれども、かようなわれわれの考え方に対して十分なる御考慮を払つて、そうしてその決意を場合によつてはやるという御信念がありますかどうかを承りたい。なを念のために言つておきますが、やりくり算段、やりくり算段で来ております。とにかく前家賃が三億円集まつておる。大丸から七億円までは出すと言つておる。いつに幾ら、いつに幾らという金を出そうとしておる。やりくり算段でやつて行けるかもしれません。しかしそういう怪しげなやりくり算段で、まつたくざつくばらんに言うならば、人のふんどしですもうをとつて、できたあげくには毎年々々何億のただもうけをしようというような、かようなる会社に対して、あくまでもこれを擁立するというようなことでは、国鉄四十万の労働者諸君が汗水たらして働いておる、しかも国鉄経営が楽でないから、思うようなそれに報酬を与えられない。こういうような実情の中から、これに対するところの明確にして、しかも明朗なる国鉄というものの存在を国民に知らすことはできないと思う。でありますからその点を、私はあらためて御決意のほどを聞いておきたい、かように存じます。
  213. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 この決算委員会における各委員の御発言は、十分御趣旨がよくわかりましたから、われわれとしてもまた他の委員にもよくこの状況を話しまして、善処したいと考えております。
  214. 熊本虎三

    ○熊本委員 まことにただいまの御決意、私も感謝申し上げて、そして有名な、しかも真摯なる委員長のお言葉でありますから、その点につきまして一応信頼を申し上げて、勇気を持つてこれに対する対処を御期待申し上げておきます。  なお続いてお忙しいところ恐縮ですが、きようだだちにお答えができなくてもよろしゆうございます。非常な国鉄の乱脈について調査をするほどに、私どもは失望と憤激を感じております。それはこの前運輸委員会でも申し上げましたが、私はだれにも劣らない、現状の国鉄に対する最大の同情者であり、この国鉄発展のためにあらん限りの国家の力をさいてまでこれをなすべきである。それは国鉄だけの問題ではなくて、日本再建のための動脈であるという考え方からやつて来ておつたのでありますが、最近調査をすればするほどに、おびただしき罪悪というものが起きて来ておる。これを監理委員長としてどの程度にお気づきになつておるかを、この機会にお尋ねいたしておきます。現在国鉄を中心としていろいろの法人ができおりますが、この法人がどのくらいあるかを御検討になつたことがありますか。
  215. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 非常に数が多いことは知つておりますが、数が幾つあるかということはちよつと即答いたしかねます。
  216. 熊本虎三

    ○熊本委員 私はしいて材料を求めておきましたところが、十六国会の最終の日に資料を出しました。その資料を見ますと、直接法人の名をもつて国鉄に依存して利益をせしめておる関係者が十九あります。なお民衆駅という名前によつて行われております数々の民間資本を投入し――これは民間資本を投入し、国鉄の足りざる財政について協力せしめるというりつぱな名前でありますが、一たびそういうことをやつたならば、これは自分のものと同様になつて国鉄に不利を与えた場合にこれを清算するということは、私は不可能だと考えております。かようなものの数々を合せますならば百になるでありましよう。ことごとくが国鉄に依存して、そうして特別の国鉄関係者がここらへ巣食つておるわけであります。こういうようなものの内容につきましては、まだこれからわれわれは調査を進めつあるわけでありますが、委員長といたしましては徹底的にメスを振つていただきたい。その中の一つに、先ほど藤田君から質問がございました、ところがあまり御存じがないようでありますので、これも参考までに申し上げておきたいと思う。この法人は運輸調査局と称して、財団法人の名称を省いて運輸省内に看板を掲げておる、こういうことでありますから、当然運輸省の一局課としては間違いでございましよう。これも故意にやつておることだと思うのでありますが、そこに二百三十六名かの従業員を擁してやつておられるということでございます。そうしてこれが内容を見まするならば、部屋代も払つておらない。そして二百余坪を独占しておる、こういうような状態でありまして、おまけに千二百万円からする機械等も無償貸付を受けておる。あるいは一台百六十万というようないろいろの機械をも全部国鉄が貸し与えておる。そうして一箇年間にここに委託される国鉄からの費用が五千四百六十一万ということに相なつております。しかもその理事長は国鉄の費用をもつて外遊するという話であります。日本の交通の全般を背負つておる国鉄が、別個の組織の財団法人に一体何を調査せしめるのか、運輸省や国鉄には直接調査あるいは検討するところの機関がないのかどうか、われわれはまだ調査を進めて参りますが、これはやつぱり国鉄依存の利権屋なんだと私は考えている。交通公社に至りましては話のほかであつて、東鉄管内だけで十億円とか言つておりましたが、大阪行つてみれば、大阪の方では切符は帳簿整理であつて、払つたか払わないかわからないで、求めに応じて幾らでも無制限に交通公社には切符を出しております。整理は中央でやるから心配するなという形で無制限にやつておる。こういうようなことで、国鉄はこれらの関連者によつてたかつて食いつぶされておる。そうして国鉄が赤字であるからというので、むやみやたらに運賃の値上げをされたのでは、われわれは国民に申訳がない。こういうような関係でありますから、きようだだちにその内容等についてお尋ねしても無理かと思いますが、ぜひとも至急にこれらの内容を御検討になつて、そうして鉄道会館と相並行して、勇気を奮つていただきたい。先ほど杉村君がおやめになつたらどうですか、こういうことを率直に言つておりますが、私はやめてもらつては困ると思う。この際ちようど絶好のチャンスだと考えますから、ひとりあなただけにたよることなく、国会国会として、国会範囲においてなし得ることは、あらん限りの協力を申し上げたいと考える。あなたの手によつてこれを改善してもらいたいと考えておる。どうかそういうところに御決意を賜わりまして、早急にこれら百般の問題について御調査と対策をお立てになるようにお願いをいたしたいと思うのでありますが、これも御意思のほどを承つておきたい。
  217. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 だんだんとお話の御趣旨よくわかりましたので、他の委員ともよく相談いたしまして万全の処置をいたしたい、こう考えております。
  218. 山本勝市

    山本(勝)委員長代理 柴田義男君。
  219. 柴田義男

    ○柴田委員 監理委員長に伺いたいと思います。先ほど田中委員長からも申し上げておつたのでございますが、地下二階、地上十二階で十四階の建物のうちで、国鉄が使用なさるところが三%、それから両方で使用されるものは一四%、これを平均いたしましたら七、八パーセントであります。七、八パーセントの建物を使用なさるために、今度の鉄道会館の予算の内容を見ますと、国鉄から六億の金が出るように計画されておりますが、この六億に対しまして比率上から見まして非常な不当な金額になるようにわれわれは見受けられますが、この点に関しましてどのようにお考えでありますか、承つておきたいと思います。
  220. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私はこの点はもちろん資料について説明を聞いたときに質問をしたのであります。何分建物の構造上の経費の問題でありますので、経営者の事務当局の算定をそれ以上に私として疑問をさしはさむ余地もございませんので、それをそのまま承認してあるわけであります。
  221. 柴田義男

    ○柴田委員 総工費が二十七億五千万か七万かとわれわれは記憶しておりますが、その中の六億が国鉄の負担である、こういうようなことは建物の今の使用状況から考えまして倍以上にも当るような気がいたしますが、こういう計算をいかなる基礎の上に立つて六億が妥当だ、こうお考えになつたのでございましようか、その計算の基礎を承りたいと思います。
  222. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 私計算の基礎を持つておりませんで、はなはだ申訳ありませんが、普通建物は、地下何階から地上一階くらいで経費のかなり大きな部分を占めるようであります。私も小さな支店の店舗をつくりますときに、ときどきそういう問題に逢着いたしました。地下だけで非常に高過ぎるじやないかということをよく言つたことがあります。そういう面から見て、その数字が、当局者が言うのであれば、ほぼそれくらいになるのじやないかというふうに感ずるわけでありまして、常識的に私はそれを承認しておるわけであります。
  223. 柴田義男

    ○柴田委員 これもまた意見の相違だということであればやむを得ないのでありますが、ただ全体の建築費が二十七億五千万か七千万だ、そのうちから三%だけ国鉄が利用する、そのほか会館と両方で利用する分が一四%である、こういう比率からいつて常識をさしはさんで考慮いたしましても、六億というものはあまりに多過ぎる、これはわれわれはそう考えるのです。そういう承認を与えたとおつしやいますけれども、これらに関しましても、国鉄当局が十分お考えをまたかえなければならぬ時期が来ておるのじやないか。しかも資本金が三億四千万でございましようとも、五十億の計画も立つでありましようが、その問題に対しましては、私は何も申しませんが、大きな資本的な計画というものは、いろいろな麺類によつて、あるいは前家賃あるいは権利金あるいはその他の名称によつて計画を立てておるようでありますが、こういう見通しが画然と立ちました場合には、何を好んで会舘というような株式会社をつくつて、それにのみやらせなければならないかという根拠もまた非常に薄弱になつて来るのであります。国鉄停車場を建設するというのが主目的でございましたならば、その停車場のりつぱにできることは、先ほども申しましたように、われわれも大いに賛成なんです。けれども予算の面でそれが行き詰まるといたしますならば、今の会館であれば計画が立つ、国鉄であれば計画が立たないということがどうしてもわれわれには納得ができないのでありますが、これらに関しましてなぜ国有鉄道であればそういう計画はできないのであるか、株式会社という第三者的な会社ができ上ることによつてのみこれが可能であるか、その点をもう一度伺いたいと思います。
  224. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 この問題は先ほどお答えしたように思うのでありますが、もちろん国鉄としても時期の問題で、やがてはそういうものができるような余裕を持ち得る時期が来るかもしれないというわけであります。ただ一応そういう計画が出まして、それによつて割合に早い機会にこういうものができるならば、それもいいのじやないかという考えであります。
  225. 柴田義男

    ○柴田委員 もう一つ、今度は国鉄の副総裁なり経理局長でもけつこうでありますが、共済組合が一番最初に一億一千万円の資本で一億を出資されました場合に、大蔵省から認可をとつてつたのかどうか、これを一点。もう一つは、当時の共済組合はどれだけの資金量があつたのか、これを承りたいと思います。
  226. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 初めの共済組合が出資をすることについて大蔵省の認可を得たかどうかの点は、大蔵省の認可を得ております。当時共済組合の資産といたしましては、大体百億くらい金を持つてつたのであります。運輸資金として使える分はもちろんその中の全部ではございません。本来の仕事に充てておりますから……。そういう事情であります。
  227. 柴田義男

    ○柴田委員 われわれが聞いておりますのは、共済組合は現実に持つている預金の何パーセントということを規定されていると思いますが、そういう規定がないのでございましようか、ということです。
  228. 田中健之助

    田中説明員 お答えします。共済組合の資産運用につきましては、大蔵省の主計局から出ております会計組織規程というものがありまして、その規程によつて共済組合の資産運用の大体の基準がきめられているわけであります。持つております資産を、あるいは銀行預金、あるいは信託、あるいは不動産、あるいは組合員に対する貸付、あるいは有価証券、こういうふうにいろいろのものに分散するようになつているわけであります。株式につきましても認められているわけでありまして、大蔵大臣のきめます基準の範囲内で株式等の有価証券を持つてよろしいということになつておりまして、その基準の範囲内で鉄道会館の株式も大蔵省の了解のもとに持つようになつた、こういう経緯でございます。
  229. 柴田義男

    ○柴田委員 私今伺つているのは、預金が当時どのくらいあつて、そして何パーセントまで有価証券を持つことを許されているのか、その比率を伺つているのであります。
  230. 田中健之助

    田中説明員 去年の七月末ごろの状況、ちようど鉄道会館の株を持つころでございますが、預金はそのころ約七億です。
  231. 柴田義男

    ○柴田委員 有価証券はその預金の何パーセントまで持てるのですか。
  232. 田中健之助

    田中説明員 預金の何パーセントというのではありません。共済組合の先ほどの百億近い資産のうちの、パーセンテージは有価証券と不動産投資を合算しまして、全資産の二五%を持てる。その基準の範囲内で持つたわけでございます。
  233. 柴田義男

    ○柴田委員 大蔵省から御了解を得たということでありまするが、文書をお出しでございましたか。そしてその文書をお出しになつたといたしましたならば、何月何日付で大蔵省へ出ているか伺います。
  234. 田中健之助

    田中説明員 文書ではやつておりませんで、口頭で協議いたしまして、口頭で了解を得ております。
  235. 柴田義男

    ○柴田委員 だからますます疑惑を持たれるわけです。私ども大蔵省当局に聞いたのです。その書類を調査してみた。ない。そしてあなた方から伺えば了解を得たという。大蔵省の何のだれそれの了解を得たのでございますか。
  236. 田中健之助

    田中説明員 大蔵省の主計局の担当でございます。従いまして給与課でございます。
  237. 柴田義男

    ○柴田委員 その名前をはつきりと伺つておきたいと思います。
  238. 田中健之助

    田中説明員 名前は今私はあれでございますが、給与課長のところに連絡したわけです。
  239. 柴田義男

    ○柴田委員 委員会としまして、正式に大蔵省のその課長に、そういう了解を与えたかどうかということを御調査願いたいと思います。
  240. 山本勝市

    山本(勝)委員長代理 承知いたしました。
  241. 柴田義男

    ○柴田委員 それから当時共済組合が一番最初に一億の出資をしました場合に、どこの銀行の小切手で出資金をお払込みになつたか承りたいと思います。
  242. 田中健之助

    田中説明員 厚生局の方で計画は立てますけれども、実際の金の出入れと申しますか、その方は経理局の方でやつておりますので、銀行の名前その他は存じません。
  243. 山本勝市

    山本(勝)委員長代理 ちよつと田中説明員に聞きますが、あなたの方から大蔵省の方へ認可を得に行つたのはどなたですか。職名と名前を聞かしてください。
  244. 田中健之助

    田中説明員 猪岡厚生課長です。
  245. 柴田義男

    ○柴田委員 経理局長に承りますが、共済組合の現金の収支に対しましても、一切は経理局長がおやりになるのでありましようか。おやりになるといたしますならば、共済組合の一億の出資金をどこの銀行の小切手でお払いになつたのか、現金で一億どつこいしよとお持ちになつたのか、その点を承りたいと思います。
  246. 高井軍一

    ○高井説明員 経理局長は共済組合の会計の方を担当いたしております。ただいまのどこの小切手を出したか、今ちよつと記憶いたしておりませんので、いずれ調査いたしましてお答えをいたしたいと思います。
  247. 柴田義男

    ○柴田委員 共済組合というのは私ども性格も承つておりまするし、これも法人であることはわかつておりまするが、そういう経理をやはり国鉄経理局長がどういう計画でおやりになるのでしようか。また共済組合の経理等をおやりになるといたしまするならば、それらに対する人件費はどこから出ているのでしようか、承りたいと思います。
  248. 高井軍一

    ○高井説明員 国鉄経理局長としてと申しますか、共済組合の会計をやりますのは、国鉄経理局長の職にある者が会計官としてやつておるということでございます。それから共済組合の人件費でございますが、これは国家公務員共済組合法の第七条に、「組合の運営に必要な範囲内において、大蔵大臣の承認を受けて、その各省各庁に所属する職員をして組合の事務に従事させ、又はその管理に係る施設を無償で組合の利用に供することができる。」と規定いたしておりますので、国有鉄道の方で経費を負担いたしております。
  249. 柴田義男

    ○柴田委員 今幸い大蔵省の係の方がお見えになつたようでありますが、鉄道会館が創立当時一億一千万の資本金で、その中から最初に一億を共済組合が出資されている。この有価証券を持つための了解を大蔵省当局から受けた、こういう御答弁をただいま承つております。しかもその衝に当つた課長さんはあなただと聞いておつたのですが、そういう了解をいかなる権限であなたがおやりになつたのか、それからどういう考え方で、一億一千万の会社創立に対して、九十何パーセントかの一億という莫大な出資金を共済組合が持つて、間違いがないと判断されたか。判断されたといたしますならば、そのお考え根拠を承りたいと思います。
  250. 岸本晋

    ○岸本説明員 御質問の第一点の国鉄の共済組合の資金の運用に関する権しでございますが、これは国家公務員共済組合法によりまして、大蔵大臣が財政その他業務全般の監督権を持つております。特に会計の点に関しましては会計組織規程を大蔵省で定めております。これに基いて統制いたしておるわけでございます。ただいまお話のございました鉄道会館の株式の一億円を取得した件について、大蔵省が承認したかどうかという問題でございますが、これについては昨年の八月確かにそういう御報告を受けたことはございます。ただ御報告は受けたのでございますが、個々のどんな銘柄の株式を取得したかという問題については、実は現在の会計組織規程では大蔵大臣の個別承認事項にはなつていないのでございます。共済組合の資金は、元来運用につきましては大蔵大臣としても個々的なこまかい点まではタッチいたしておりません。もとよりこれは組合の掛金を基礎として将来の給付に備えて積み立てている金でございますから、でたらめな運用をされては困るわけでございます。それで資金の運用の一定の基準というものは毎年度指示いたしております。たとえば昨年でございますと、有価証券及び不動産に対しては資産の大体二五%以下、組合員に対する貸付は五〇%、それから預貯金、信託というような流動資産関係が二五%以上、こういう大体の基準を示してございます。この範囲内で各省庁の共済組合で資金を御運用になる分については、具体的にどういう銘柄の有価証券を取得するというようなことは一応干渉いたさない。それは各組合の中の運営審議会で、組合の代表者及び官側の代表者というもので御協議になるべき筋合のものである、かようにいたしておるわけであります。従いまして昨年度御報告を受けたことは事実でございますが、これに対してそれによろしいというようなことを申し上げる権限は、当局としてはなかつたわけでございます。何も承認というような明確な文書はございません。
  251. 柴田義男

    ○柴田委員 そういたしますと、先ほどの共済組合の田中参考人のお答えと相当食い違いが出て来ておる。たとえば御了解を得たということは承認を得たとわれわれは聞きとつたのでありますが、ただいまの大蔵省の係の御答弁でありますと、そういう権限が大蔵省にはない、ただ資金あるいは総財産の二五%までは有価証券、不動産を持つてもよろしい、あるいは五〇%までは組合員の貸付に利用していいのだ、その残りの二五%程度は、これを預金に持つていなければならぬ、こういう比率のわくだけがきめられておる。こういうふうに伺つたのでありますが、私の伺い方は間違いでございましようか。そういう御説明であつたのか、もう一度承りたいと思います。
  252. 岸本晋

    ○岸本説明員 ただいま御指摘になつ通りでありまして、その二五%の範囲内で収まつております運用でございましたら、大蔵省としては一般的に承認を与えておる、こういう意味でございます。
  253. 柴田義男

    ○柴田委員 ただ概念はそういうことであつて、その国鉄会館の有価証券を持つというような場合に対しましては、ただ事後報告があつただけで、実際その以前に国鉄会館がこういう計画のものでこういう有価証券に投資するのだ、こういう御相談はなかつたのですか。
  254. 岸本晋

    ○岸本説明員 そういうふうに投資をしたいがどうかという意向は聞かれたことはありません。そういうことをするという御報告は受けております。
  255. 柴田義男

    ○柴田委員 そうしますと、先ほど田中さんの方の説明とは食い違いがございまするが、ただ単に支出をなしたあとに大蔵省に御報告をなしたのでしようか。
  256. 田中健之助

    田中説明員 岸本課長の御説明と私の方の説明は決して食い違つていないと思います。と申しますのは、岸本さんがおつしやいましたように、大蔵大臣の定めておる基準内で私どもは株式を取得したわけでありまして、その株式を取得するにつきましては、先ほど岸本課長の御説明にありましたように、国鉄の共済組合の運営審議会、これは労働組合側も、管理者側と同数の委員を出しておりますが、この運営審議会で正式に協議いたしまして、労組側の承認といいますか、同意といいますか、正式に持とうという意思決定をいたしております。それでさらに大蔵口頭で御連絡に行つておるわけでありまして、岸本さんがおつしやいましたように話をしておるわけでございます。決して両者の言い分は食い違つていない、かように思います。
  257. 山本勝市

    山本(勝)委員長代理 ちよつと岸本さんに聞きますが、報告するわくがきまつてつて、報告することは制度の上では義務じやないのですか。
  258. 岸本晋

    ○岸本説明員 それは義務的なものではありません。
  259. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の質問は関連質問でちよつととぎれましたので、随意契約の点についてもう一点お尋ねしなければならぬのです。それは会計検査院法の二十六条によりますと、「会計検査院は、検査上の必要により検査を受けるものに帳簿、書類若しくは報告の提出を求め、又は関係者に質問し若しくは出頭を求めることができる。」ということになつております。またさきの当委員会におきまして、この鉄道会館についての国鉄加賀山氏並びに株式会社鉄道会館とのいろゆる随意契約なるものについては、この三月に国鉄の検査の際にいろいろと御調査の上概貌がわかつたようであります。そこで検査院といたしまして、状況は大体調査せられておりますけれども、検査院法の規定もあつて何らかの報告をせしめるとか、質疑をするとか、書類を提出せしめるとか、そういう措置に出られるべきではないかと思いますが、そういうことについて何かなかつたでしようか。検査院側から御説明を伺いたい。
  260. 大澤實

    ○大澤会計検査院説明員 ただいまの御質問の点でありますが、この前の前でしたか、この委員会でも一応お話申し上げたと思いますが、随意契約の当否の問題、これはいろいろの点から検討されなければならぬと思いますので、ほかの工事費の負担の問題とかその他の問題をあわせまして、国鉄の方に対して文書をもつて照会しております。その要旨は、なぜ随意契約で土地の貸付をしたのか、その法的根拠や事情の詳細をひとつ知らせてもらいたい。そのほかの問題は一応本件と関連がありませんからはずしまして、その他の問題につきまして照会を発しております。こちらの処置といたしましては、今まで口頭ではいろいろ伺つておりますが、一応やはり成規の文書ですべての事情を報告していただいて、それがはたして正当であるか、やむを得ないものであつたか、あるいは不当なものであるか、この結論を出しまして、そして主管局長といたしましては、検査官会議に付議して会計検査院としての最終決定をしたい。ただいまは国鉄からの文書による回答をお待ちしておる、こういう状態であります。
  261. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いつごろ文書を発送しましたか。
  262. 大澤實

    ○大澤会計検査院説明員 発送しました時期は七月でしたか、今ちよつと記憶しておりません。
  263. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 天坊副総裁に伺います。ただいま会計検査院第四局長が文書をもつて随意契約にした事情を七月に照会したそうですが、これに対しまして回答したかいなや、この点いかがですか。
  264. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 ただいま回答文を起草中でございます。数日後に提出することになつております。
  265. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 監理委員長に伺いますが、ただいまお聞きになりました会計検査院の質問書、それから天坊副総裁会計検査院に回答文を起草中、数日後に提出するという御答弁ですが、あなたの方はどういう相談を受けましたか。
  266. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 まだ委員会にその書類は提出されておりません。
  267. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの委員会は、週間ごとにやつておられるのでありますから、夏休みでお休みかもしれぬけれども、書類を提出したかどうかわからぬが、あらかじめこの委員会で問題になつてもんでおり、調査進行中の問題であるから、事前に監理委員会に相談があつてしかるべき案件とわれわれは考える。文書が提出されたかどうかを聞くのではなしに、委員会に対して何らかの相談、協議あるいは報告的なものがあつたかどうかをお聞きいたします。
  268. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 これから相談があるのじやないかと思いますが、今のところまだ書類が提出されておりません。実は昨日でありましたが、委員の都合上委員会は開会されておらないのであります。
  269. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 天坊副総裁に伺いますが、かかる重大な問題について、ことにあなたの方は副総裁が病気で臥床中と承つております。あなたは総裁代理であります。総裁以下の国鉄の業務執行については、監理委員会は重大な権限責任がある。会計検査院は口頭をもつて質問をしたけれども回答がないので、文書をもつて質問したいという御報告である。かような重大なことを、事前にあらかじめ監理委員会へ報告するとか、監理委員会の指示を受けるとか、そういうことをなさつてしかるべきと思うのだが、何らそういう措置に出ないのは一体どういう理由ですか。
  270. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 ただいま起草中と申し上げましたものをまとめて、御報告申し上げるつもりでおつたわけであります。それから別にこの委員会等で問題になりました諸点等については、御報告申し上げております。
  271. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 起草中、数日後に会計検査院に提出するということは、それは回答文であります。回答の前にかかる重大な質疑を受けながら、それをあらかじめ委員会の方に報告をする、委員会協議に上す、委員会意見も承るということが、事を慎重適切に処理する道でないかと思うのであります。私が今申しましたように、総裁臥床中であります。あなたはその代理人にすぎない。こういつた重大な案件について、起草してしまつて、起草して済んでから報告するということは、順序手続の上において私は慎重でないと思う。こういうことは、監理委員会の方へあらかじめ御報告して、御協議になり意見を求めて、しかる上回答文を起草する、そういうことの方がものの順序じやないかと思いますが、いかがですか。
  272. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 実はこの問題が問題になりましてから、今お話がございましたように、私ほとんどこちらの方に出張しておりまして、監理委員会がこの前二回ほど開かれたのでありますが、私は留守でございました。その席でおそらくこの委員会での問題と、それからそれに関連して会計検査院からもそういうお話が来ておるというお話は、出ておるはずだと思います。
  273. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはやはり忠実に御答弁願いたいのであります。国鉄はあなたらの恣意によつて国鉄の意思表示を会計検査院にすべきではありません。やはり国鉄所有財産の管理方法につきまして重大な疑義を持つており、国会疑義があれば、検査院も疑義があればこそ質疑をしているのであります。これに対する回答であります。あなた個人の所有物の処理の問題ではないのであります。従つてこれは相当慎重に取上げて御協議になり、意思決定に運ぶということが国鉄の財産を管理するあなた方の当然の職責でもあり責任であります。であればこそ監理委員会というものが設置されている。私横手から聞いていると、少し監理委員会を軽視し過ぎていると思う。監理委員会法律上の責任と地位はあなた方よりも上位にあるのです。でありますから監理委員会にあらかじめ、こういうものが会計検査院から来たということを報告すべきである。監理委員会にあなたが出席しなくても、あなたの代理を差向けて説明させ、国会における委員会の経過等も報告させて、疑義のあるところについて監理委員会意見を求め、指示を受けるというようなことが、私は当然なされねばならぬと思う。こういう辺が、国はせつかく国鉄法というものをつくつて法律を遵守すべきことを指示しているにかかわらず、どうもあなたらのやり方は、少し悪意が強いのじやないかというように感ぜられる。なぜ一体監理委員会というものをそういうふうに無視するのでしよう。それとも、無視しているのじやないということであれば、これはもり三百代言のりくつになつてしまいますが、事実が証明している。検査院は口頭で言つたけれども回答がないので、文書をもつて回答を求めているのであります。こういうことは、あなたが国会へ来て忙しくて出られなければ、代理はいくらでもある。あるいは総裁も出られるかもわからない。何らかの処置をとつて監理委員会にこれが意見を求めるということが、当然事前になされねばならぬと思うのであります。監理委員会にいたしましても、またあらかじめ報告があるだろうというのでは、私どもほんとうに国会の立場からいたしまして、あなたらの地位を尊敬しながら質問をいたしましても、まことにみずからの地位を軽んじていなさるというふうに、どうも考えざるを得ないのであります。こういうことにつきまして、天助さん、佐藤さんいま一応御答弁を願つておきたい。
  274. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 もちろんただいま私どもとして一番重要な問題でございますから、監理委員会を無視してかつてに答弁を出そうというようなことは、毛頭考えておりません。監理委員会に対しましても、書いたものとして一案をこしらえて、十分御審議を願つた上で回答したいと思つております。
  275. 佐藤喜一郎

    佐藤参考人 そういう質問書が出ておることは、私存じませんが、おそらくそういう重大な問題であれば、必ずや原案とともに、それが回答される前に、われわれのところに相談が来るものと思つております。
  276. 藤田義光

    ○藤田委員 議事進行。本日の委員会は、定足数を一名超過しただけで、非常に出席が悪うございます。ただいま審議中の案件は重大でありまして、次会はいつになるか、散会後の理事会でやるのでありますからはつきりいたしませんが、委員長からこの際委員出席を、やがて吉田委員の質問も終えますので、特に督励していただいて速記録に残しておいていただきませんと、委員会の有効、無効論等も将来発生する可能性がありますので、この際私は議事進行に関連して委員長にお願いしておきます。
  277. 山本勝市

    山本(勝)委員長代理 藤田委員のお言葉ごもつともと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  278. 山本勝市

    山本(勝)委員長代理 それではさようとりはからいます。
  279. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで私は、ただいまの問題につきまして運輸省の意見を聞いておきたいと思います。それで残余の質疑はきよう保留して打切りたいと思います。運輸省は植田監督局長がおられますが、ただいまの検査院から出ております質問書は、非常に重要なことであるので、随意契約によつたことが法規に違反しておるのかどうかということは、問題の根本に影響することであるのでありますが、あなたの方に対しては、何らか上からの諮問というのですか、もしくはあなたの方が中心というのか、あなたの方の関連の範囲、あなたの方のこれについての回答について手続上の所見、こういうものについて伺いたいのですが、何かの御相談が上からあつて、いろいろと協議もしたのでしようか、その辺はいかがですか。
  280. 植田純一

    ○植田説明員 お答え申し上げますが、どうも御質問の御趣旨をあるいは間違つておるかもしれませんが……。
  281. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それなら明確にしておきます。私のお尋ねしたい点は、運輸監督局長だから、運輸省の意見を決定するときに、どこを中心にそういうことのまず素案ができるのであろうか、手続上につきましてあなたに上の方から諮問して来たのか、あなたが意見を上に上申したのか、そういうことについてどういうことがあつたか伺いたいのです。随意契約が適当であるかいなかについてあなたの意見を聞いておるのではないのです。それは国鉄代表者から聞いておりますから……。但し運輸省としては監督する立場にありまするので、運輸省の立場から何かここに関連性があるのじやないかと思うのです。
  282. 植田純一

    ○植田説明員 この契約につきまして、契約の締結は総裁限りでできることでございます。ただ国有鉄道法にございますところの、法律で定められておりますことに沿うておるかどうかということが問題になつておるわけでございまして、この点につきましては、ただいま会計検査院から国鉄に照会があつたということでございますが、国鉄の意思決定につきましては、形式上といいますか、運輸省とは直接関係ございません。国鉄の意思決定は、国鉄として意思決定ができると思います。ただ運輸省としましては、問題が問題でございますので、別途に国鉄意見も聞き、また国会の御審議等も聞きまして、いろいろ別個の立場から検討いたすつもりでおります。
  283. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういう御答弁だとちよつと伺つておかねばならぬ。運輸省が監督しておる――あなたに答弁を求めるのはこれは無理かもしれぬ、運輸大臣の答弁を求めるのが一番いいのですが、さりとて総裁が契約できるのだから、総裁は何をやつてもかまわぬというような意味の、弁護的な答弁を進んでするという今日は筋合いではないのです。すでに運輸大臣との問答もあるのでありますから、ことにわれわれから見るならば、しからば総裁が当性をまつたく欠いておつたことでほんとうに恣意をもつて、客観的に妥も、運輸省は知らぬ顔をして黙つて見ておらなければならぬかという問題すら生ずるのであります。客観的にまつたく妥当性を欠いておつたかどうかが問題なのです。万事問題中なんです。それを総裁の意思によつて随意契約でかつてにできるといつたようにとり得るようなあなたの発言は、この際少し出過ぎです。少し不穏当だと私は思う。でありますから、そんな点について、あなたは触れなさる必要はない。私があなたに聞きたい点は、監督の運輸省の立場として、国鉄が重大な意思決定をしようとするときですから、何なかの御相談があつたやいなやについて伺おうとしているのであります。
  284. 植田純一

    ○植田説明員 国鉄から運輸省に特別に相談があつたかどうか、こういう御趣旨でございましようか。
  285. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは相談という言葉に必ずしも限定する必要はありません。しかしながら事非常に重大なことを国鉄は目下意思決定をせんとしつつあるわけであります。あなたの方は監督の立場であります。監督の立場であるので、しよつちゆう何かそれぞれの連絡があるべきだと私は想像しておるのです。でありますから手続上何らかの御相談があつたのだろうかと思いますので、その辺について聞いておきたい。最終的にあなたに意見を求めることが質疑目的ではないのです。これは参考にいたしまして、後日お尋ねする資料にしたいと思いますので、それでお尋ねしたのです。
  286. 植田純一

    ○植田説明員 運輸省側としても国鉄考え方を聞きまして、運輸省としての意見も十分今検討いたしております。国鉄としまして最終的な意見を決定される。ただいま天坊さんから話がありました数日中に回答したいという最終的な意見につきましては、相談を受けておりません
  287. 山本勝市

    山本(勝)委員長 代理ちよつと、ただいま大澤説明員から、先ほどの吉田委員の質問に関して発言を求められておりますが、発言を許します。大澤實君。
  288. 大澤實

    ○大澤会計検査院説明員 先ほどの吉田委員の御質問の中に、会計検査院が口頭で質問したが、説明がなかつたというお話がありましたが、私がもしもそう申し上げたとしましたら誤りでありまして、口頭で質問したのでははつきりしないから文書でやつたという意味でありますから、ひとつ御了承願いたい。
  289. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その点はそういう趣旨に御訂正願つてけつこうです。私の聞き違いだろうと思います。
  290. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 天坊副総裁に伺つておきたいのです。これは総裁に聞きたいのだけれども、病気だそうだからしかたがないが、工事資金の保証をして来たところの銀行はどことどこで、今までに幾ら保証をして来たか。先ほどからあなたも聞いておつたように、株式会社鉄道会館は四億四千万円、そのうちわずか三億五千万しか払つてないのだが。工事費は二十七億といいあるいは二十七億五千万といい、また佐藤委員長の言うのは二十五億です。われわれもその数が幾らであるかはつきりしないのですが、まず佐藤委員長が聞いたという二十五億にしても、資本と工事資金とのたいへんな開きがあるのだが、これに対して今までの保証をして来た銀行の名前と、将来これに対してどういうふうな保証がされているのか、それを簡単に説明してもらいたい。いろいろのことを言いまわしせぬで、どこの銀行幾ら、どこの銀行幾らというふうに簡単に言つていただきたい。
  291. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 はつきりどこの銀行が幾らという数字は私存じません。第一銀行、三和銀行等でございます。もし各銀行利に保証の額を言えとおつしやいますれば、経理局長に答弁いたさせます。
  292. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 われわれがあなた方に聞いたことはたいていそらで覚えています。あなた方は自分のことで三億五千万くらい、四億五千万くらいの資本金の会社から三十億もかかる工事を頼まれて建築請負業をやつてつて、二十二回も請求してわずか二億九千万くらいしか金が入つておらないにかかわらず、それに対してどこの銀行がどれだけ保証したか知らないということは、あなた方はこれに対してきわめていいかげんだと言つて責めてもいいと思うが一しかしいろいろ用があつて忙しくてわからなければしようがないから、それでは資料としてちやんと書いて出してもらいたい。それから、これから先のことはどうなつていますね。
  293. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 ただいまの数字を申し上げますと第一銀行一億六千八百五十四万二千円、三和銀行七千六百万円、合計二億四千四百五十四万三千円、これだけが今までの保証の数字であります。
  294. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 今申された数字が今までの全部の保証額ですか。
  295. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 そうです。
  296. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そうするときわめてわずかなものですか、それはもちろん保証で、将来はどうなるのですか。あなたの方で、向うが金を払わなければどうなるのですか。
  297. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 先ほどもお話がございましたように、工事を分割してやつておりますから、その都度やはり保証をこうした銀行から得まして誤りのないようにして行きます。
  298. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 工事を分割しておるというが、十二階のビルを建てるこには総括的な請負をさしているのじやないのですか。
  299. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 やはり工事は順々にでき上つて行くものですから、工事をわけて契約をいたしております。そういう意味で資本金を分割してあるのです。
  300. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 でき上つて行くのはもちろん順番でありまして、土台をつくつてからだんだん柱を建てて、屋根をつくるでしようが、その請負契約は総合的な十二階のビル、こういうふうな、いわゆる設計に基いてこれで幾らと、大体においてそういう契約はあるのじやないですか。毎日々々できただけずつが契約になつて行くのですか、どういうのですか。
  301. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 大体全体として工事を鉄道に委託させるという建前でありますが、工事の施行方法としては分割して区切つてつているわけであります。
  302. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 それはどういうふうに分割してやつて行くのですか。きようはきよう、あすはあすでまた分割して契約するのですか。だから工事を、こういうふうに毎日々々その都度契約して行くのですか。どうもわれわれはそんなことは納得できないが、もくろみ書というのは、あなた方が自分の家を建建てるのにもそうでしよう、玄関ができれば、玄関のできた分だけ金を払うかもしれないが、少くとも請負工事の契約というものは、総合的なもくろみ書に基いてやつているのじやないですか。金の支払い等は、あるいは玄関ができたらこれで幾ら金を払うとか、あるいは壁を塗つたら幾ら払うとかいうことは個人の住宅においてもあることなんだ。だから国鉄がこの工事で十二階のビルを建てるについても、一階ができたら幾ら金を払うというような、金の支払い方法についてはそういうことがあるのかもしれないけれども、あれだけのビルをやるのに、そんなに――その都度都度と言うけれども、あなたの言うのは金の出来高支払いの方法のことを言つているので、工事の請負関係というものは全体的に、総合的に行つておるのじやないか、その点を伺いたいが、もしもそれがそうでないとすれば、どういうふうに毎月契約しておるのですか。
  303. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 工事の詳細は施設局長にお答えいたさせますが、結局請負の契約も区切つてつておるわけです。
  304. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そうすると、総体的のその総工費というものはわかつておらないのですか。
  305. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 概算としては、見当はつけております。
  306. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 どうもあなたの説明は、私ばかりではないでしよう、ほかの委員もあるいは傍聴者も、あなたのようなそんな説明でだれも納得する人はおそらくないと思う。どうかそれを明細に書いて出していただきたい。委員長、そういうふうに願いたい。
  307. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 それではあとから提出いたします。
  308. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 次回の委員会は来週の金曜日にございます。それまでに……。
  309. 山田長司

    ○山田(長)委員 資料としてお願いいたしたいのですが、それは鉄道弘済会の規則と、それから共済組合の規則、定款ですね。それからもう一つ、鉄道弘済会が東京鉄道局管内で現在使用している坪数、高架線の下とかあるいは国鉄の土地とか、こういうものをどのくらい使つているか、これを一応明細にお願いいたします。
  310. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 承知いたしました。
  311. 柴田義男

    ○柴田委員 それから先ほどお伺いいたしましたが、経理局長さんでけつこうなんですが、原則としては工事をやる場合に現金もしくは有価証券、こうなつておりまするのを最近になつて経理局長名で、しかも七月何日かでこういう特例を設けたということを聞いておるのですが、どういう必要が生じて七月になつてからそういう特例を設けられたのか、特例を設けられたといたしまするならば、経理局長のお考え一つでこういう特例がきようつくられ、なしたこれを廃止される、こういうようなことがあり得るがどうか。
  312. 高井軍一

    ○高井説明員 特例と申しまするか、このたび予納金の規定を改正いたしましたのは、この問題はずつと前から、相当巨額の現金をあらかじめとつてしまうということは、確実には違いないけれども、保証なりその他確実なる担保で、要は工事が完遂できて国鉄に損害をかけなければいいのだから、方法考えてくれというのが、各地方局からもずつと問題になつてつたのです。それでたまたま私が経理局長になりましてから、どういうような方法にすれば確実であるか、また現金自身も実際何億というものをやるということは、非常に委託するものにつきましても負担が重いでございましようし、そういう点からかねて案を練つてつたのでございます。それでこのたび、七月二日でございましたか、総裁達として出したのでございますが、これはもちろん経理局長の一存で朝令暮改できまるようなものではございません。これは各局へ通達をいたしております。こういうような原則、扱い方を規定するのでございますから、その点、今申しましたように、もちろん総裁達になつております。こういうような達の考え方につきましては、慎重を期しておる次第でございます。
  313. 柴田義男

    ○柴田委員 今非常に国鉄の問題で世論を喚起しているさ中に、しかも七月六日かの日付でこういう達を局長名で出しておる、こういうことは非常に疑惑を重ねる原因になりはすまいかとわれわれは考えるのです。たとえば国鉄の実際の復旧工事におきましても、批難事項に指摘されております問題が、二十五年度にも二十六年度にも相当数ございます。こうしたことは、すべてが請負業者の非常な不正からこういう問題を惹起しておる。今日われわれはそれと反対に、今度は多額の現金あるいは有価証券を持つことは非常に困難だということで、しかも本年の七月になつてから、銀行の支払い保証の保証書でこれを許した、こうしたことに対しましてはどうしても納得ができないのですが、これらに関しまして副総裁から、この現金あるいは公債をかえまして、そういう支払い保証の保証書で保証金を徴収している、こういう現実は、いかなる考え方からその方針をかえたのかということを承りたいと思います。
  314. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 工事のみならず物の納入等に対しても問題があるのでありますが、この保証の問題は、御承知通り一昨年ごろから私どももいろいろと検討する必要を考えておりました。工事につきましても、建設省で御承知の工事保証会社でございましたか、何かああした措置もとられておるわけであります。それと並行して、鉄道におきましても、鉄道で請負わせた工事自体について、やはりそういう問題もございまして一緒に考えて参る。それからこの決算委員会の初めにも御説明申し上げたかと思いますが、後納金等の保証の問題についても一案を練つておるわけであります。成案を得たものにつきましては、片方でお金がいろいろ詰まつている事情等から、保証金を積まれる方々の便宜も考え、同時に国鉄自身も損害をこうむらないという線をきめて、成案を得たものから実施しておる次第であります。
  315. 柴田義男

    ○柴田委員 この問題は、私どもがこのたび大阪鉄道管理局を調査いたしました場合にも発見しておる問題なのです。たとえばマル通の後納運賃に対する保証も、やはり銀行の保証書です。そうして五億数千万の保証が入つてつたが、保証の期日にその保証金が現金収納を完了しておるかという問題になりますと、それらの計算の基礎が明らかでない。保証されておりますならば、期日が到達いたしますれば、本人が払えぬ場合には、当然その保証の趣意から行きましても、銀行が責任を持つて支払わなければならぬものである。これに対しまして、私どもはそれ以上の権限はございませんから、会計検査院と連絡いたしましてそれらの調査を要求しようと思つておるのですが、そういうさ中に、またぞろこういうことを繰返して、しかも重ねてこの鉄道会館の建設にあたつて、これをされたように見受けられるのです。鉄道会館の保証金は、現金の収納は再三の請求にもかかわらず二億九千万前後しか入つておらぬ。そうして鉄道会館が非常に現金の操作が困難になつて来た。だから今の御説明のような二億何千万というようなものは、銀行保証によつてつておる。それで先ほどお伺いしたのは、しからばその銀行保証の期日が到達した場合には、現金にそれがかわつておるのかどうかということを伺つてつたのですが、現金にかわつてつたかどうかということの確実な御答弁はなかつた。こういうようなことを繰返してわれわれが考えまする場合に、どうしても鉄道の当局者がやつておることは、ときどきわれわれの常識でもつて判断いたしましては判断のつかないような――改善といいましようか、改悪といいましようか、どうも判断がつかない、こう思うのですが、これらに対しまして副総裁はどういうお考えか承りたいと思います。
  316. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 ただいまお話の中で、後払い等の場合と工事の場合と二つやや趣を異にすると思うのでございます。貨物の後払い等に関しましては、私は今の保証では十分ではないかと考えております。現実にそのときそれに受取つた貨物運賃の額が、その後払いの保証額にいつ一ぱいになるかというところをもつとにらむ措置を考えなければ十分でないのでありまして、その点は今研究中であります。それから工事の方は、鉄道の方の損害だけの問題からいいますとはつきりいたしますので、ただいま決済されているかどうかとおつしやいましたが、私ははつきり決済されていると思つております。それ以上に進行して、結局預納金保証がなければ工事が動かない、工事の場合はそういうことが言えると思います。たまたまその問題につきまして、先ほど申し上げましたように、結論を得たためにそれを出したわけでございまして、別に他意あるわけではございません。
  317. 柴田義男

    ○柴田委員 しからば、二つの例だけを先ほどから申し上げておつたのですが、二千百五万七千円というものを同銀行が七月二日に振り出した。保証書が七月三十一日の期日でございました。この二千百五万七千円は現金収納があるのかどうか。もう一つは、七月二日に振り出して、七月三十一日の同銀行の保証四千七百四十八万六千円の金額は、はたして収納されてくるかどうか。この二点を次会でけつこうでございますから、経理局から資料として御提出願いたいと思います。
  318. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 私も資料提出を願いたいのですが、請負業者との契約条項、契約書があつたら契約書の写し、金銭の支払い方法、請負契約の内容等を、一切次回の委員会に出していただきたい。
  319. 山本勝市

    山本(勝)委員長代理 この際天坊副総裁から発言を求めますが、長崎総裁がこの委員会出席できない事情について御説明を願いたいと思います。
  320. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 この前この委員会が始まります前に、疲れと急性な下痢で、水害対策委員会の途中から帰りまして寝ておつたのでございますが、当時の診断は急性胃腸炎でございました。それからずつと微熱がございまして、最近まで微熱がとれない状態でございました。下痢の方は大分よくなつてつたのでございますが、今度は坐骨神経痛を併発いたしまして、疼痛を起しております、ここに診断書がございますが、急性胃腸炎にて療養中、経過次第に良好なりしも、八月十一日以来坐骨神経痛を併発し、疼痛のため起床不可能となり療養中、今後なお一週間臥床静養を要する。」こういうような診断書を出しております。私けさも会つてつたのございますが、大分元気になられまして、御自分としては来週にでもなれば勤められるのじやないかということを言つておられましたが、お医者さんの診断はこういうことでございました。ちよつと申し上げます。
  321. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 天坊副総裁から会計検査院に、さつきの随意契約に関する回答文を数日のうちに出すということだつたのですが、数日というと、大体常識上一週間以内というように感じますが、ただちにその文書会計検査院の方から提出してもらうことにいたしましよう。次の委員会に間に会うようにお願いいたします。
  322. 山本勝市

    山本(勝)委員長代理 本日はこの程度といたしまして、なお理事会で相談の上、次の質疑を継続、調査いたしたいと思います。  これにて散会いたします。     午後五時四十五分散会