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1953-08-06 第16回国会 衆議院 決算委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月六日(木曜日)     午後一時五十八分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 天野 公義君 理事 松山 義雄君    理事 安井 大吉君 理事 町村 金五君    理事 柴田 義男君 理事 吉田 賢一君    理事 山本 勝市君       池田 清志君    藤田 義光君       細迫 兼光君    山田 長司君       杉村沖治郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 緒方 竹虎君  出席政府委員         通商産業事務官         (企業局長)  中野 哲夫君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君  委員外出席者         通商産業事務官         (企業局通商経         理課長)    影山 衛司君         会計検査院事務         総長      池田  直君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 八月六日  山本正一君辞任につき、その補欠として山本勝  市君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事山本正一君の補欠として山本勝市君が理事  に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十五年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十五  年度政府関係機関収入支出決算  朝鮮輸出物資に対する対米債権に関する件     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  この際理事補欠選任につきお諮りいたします。理事山本正一君が委員を辞任されました結果、理事補欠を選任いたしたいと存じますが、先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中彰治

    田中委員長 御異議なしと認め、よつて本日委員に再任いたされた山本勝市君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 田中彰治

    田中委員長 本日は対米債権に関する問題及び昭和二十五年度決算議題といたします。まず従来審議を継続いたしておりました対米債権の問題につきまして本日最終的審議を行い、一応これを終了させたいと思います。さよう御了承願いたいのであります。それでは質疑を願います。吉田君。
  5. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 前に副総理が見えましたときに、次の機会になるべく総理に御出席願うように申し上げておきましたが、きよう大体終了するという予定になつておりますので、その辺の御都合はどうなつたのでしようか。
  6. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 前からそういう御要求があつたのでありますが、実はきのう参議院スト規制法の本会議総理出席いたしまして、なおまだ少しからだが十分でありませんので、きよう出席できないから、もし副総理でよければかわつて出て答弁に当つてくれということずけであります。御了承を願います。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 御説明によりまして、それではやむを得ませんから、副総理にお尋ねします。大体二点にわたりまして、政府最後の、最高所見を確かめておかなければならぬと考えるのであります。  この問題になりました朝鮮向け貿易による対米債権、今四千七百余万ドルといわれておりますが、これは、しばしば政府からも答弁があり、また議事録を読んでみましても、大体こういう点においては政府当局意向が一致しておるようであります。すなわち、この債権は純粋の商業上の債権であつてガリオア勘定とはまつたく別なものである。こういう点は、かなり強く答弁があるようであります。ことに通産大臣——当時この各般の折衝に当りました通産省通産大臣答弁は、特にその点を強調されておる。そこで私どもは今の国民のこの問題に対する声を要約してみますと、せんじ詰めれば政府は、すみやかに何らかの外交措置を進めて、最善努力払つてこれを受取るよう解決をする。そして、できるならば今日のこの経済困難に当面しておりますわが国貿易資金に活用するという方に持つて行かねばなるまい、ぜひとも政府はそういう措置に邁進をせねばいけないというのが、大体答弁を煮詰めたところ国民の声でもあり、また、本委員会における空気も大体そういうふうに意向が一致しておるように考えるのであります。つきましては、さよう措置に進んで解決し、今のような方向に持つて行かれるよう努力をせられるのかどうか、こういうことについて、外務大臣の御意見もありましたけれども、これは総理にぜひ聞いておかねばならぬ問題でありますので、ひとつ政府最高の意思として、この点についての御答弁を願いたい。
  8. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 ただいま吉田委員からお話の対米債権の問題は、今のお話通りでございます。すなわち、これは純粋の商業債権でありまして、ガリオアとは性質上、まつたく別個のものと考えております。ただ、この債権を今日の日本経済状態を照し合せて、一日も早く解決したらばというお話でありますが、政府もその心持でおりますけれども性質は違いましても、やはりアメリカとの間にいろいろ債権債務が輻輳いたしておりますので、いつこの処理が終るかということは申しかねますけれども、ただいま御意見よう政府といたしましても、できるだけ早い機会にこの問題を解決いたしたい、さように考えております。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なお第二点といたしまして、ガリオアイロア物資についてでありますが、これは国民感情がおもになつておりますが、国民は全体といたしまして、このガリオア物資というものは占領中の荒廃したわが国の社会の状態にかんがみまして、アメリカがまつた道義に基いてわが国民のために贈与したものである、こういうような考え方が、偽らざる国民感情の帰一するところであると、われわれは確信いたしております。つきましては、政府は将来国民負担にならぬよう、に国民の迷惑にならぬように、現在及び将来の国民が何らかの義務を負担するということのないように、そういう線に沿いまして、これまた最善努力をして解決してもらわねばならぬ、こういうことが国民の声であろうと思うのであります。つきまして、これに対する最終的な政府の態度を明確にしていただきたい。
  10. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 ガリオアの性格につきしては、たびたび申し上げたところでありますので、重ねて申し上げませんが、これはただいまお話のありました国民感情もまことにもつともでありますし、私どももさように考えております。従いまして、この処理につきましては、あるいは西ドイツとかイタリーの例に見ましても、将来十分に話合いの余地があるものだと存じますので、その場合におきましては、政府はできるだけ国民負担にならないように、最善を尽してその処理に当りたいと考えております。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで方法一つといたしまして、新聞の伝うるところによりますと、吉田首相は、この八日ごろダレス国務長官と会見するという報道がありまするが、そういうことになりますならば、やはりこの種の問題は一回で片がつくということは困難であろうかと思いますが、しかし適切にチヤンスを逃がさないようにしまして、今盛り上つております、国民問題解決への熱情に沿うて、政府といたしましても、相手の方に当つていただく必要があろうと思います。かようなよい機会がありますので、ひとつそれは総理にお勧めになつてダレス国務長官と会う機会に適当なチヤンスを得まして、この問題に触れて話合つて、できるだけよい言質をとるというふうこ進めて行くことが、今後の外交折衝の上に非常にいいのではないだろうか、こういうことも考えます。端的に話合う機会が間近に迫つておりますので、この点について相当御用意があつてしかるべきだと思いますので、これについての御所見を伺いたいと思います。
  12. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 ダレス国務長官が韓国に参りました帰途予定通りであれば八日ごろ東京に立寄るように聞いております。自然総理または外務大臣と会見する機会もあると考えますが、ただいまお話ように、自然こういう問題に触れる場合には、むろんその機会を逸しないと思いますけれども、ただ朝鮮の問題は、かなり重大な問題としてダレス長官が参りましたその帰途でありますので、はたしてそういう機会があるかどうか、予断はできませんけれども、この機会に限らず、政府といたしましては、あらゆる無理のない機会をつかんで、日本アメリカとの間の問題を処理して参りたい、そういう考えを持つておるのでございます。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 副総理に対する質疑を終ります。
  14. 細迫兼光

    細迫委員 副総理にお尋ねをいたします。私の記憶によれば、アメリカの要路の人がガリオア援助の代金と申しますか、これは日本に対する債権と心得る。そうしてその債権取立ては、あらゆるほかの債権——その意味するところ賠償なんです。賠償に優先するものだということを言明したことがある。それから想像いたしますと、あるいはこの問題が荏苒未解決に長びいておりますことは、この問題を早く解決すると、賠償を現実にただちに払わなければならねという問題が起つて来る。これをうやむやにしておいて、このガリオア援助債務を払わなければならぬから、賠償はそんなに早く多額には払えないというようかけ引き上から、わざと荏苒長引かしておるのではないかというようなことも想像できるのですが、これは機微に触れる問題でありますから、あるいは確言できないとおつしやられれば了承できないこともありませんが、そういう事情がありますなら、許される範囲でお示し願えれば、この問題に対するわれわれの心構えも違つて来るかと思うのであります。御所見を伺います。
  15. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 ガリオア賠償に優先するという意味のことは、こういう援助関係のものが賠償より元に支払わねばならぬという、すべてのものがそうであるという原則的のことでないかと存じまするが、今お話ようなその原則をとらえて、賠償問題の支払いとにらみ合せてガリオア折衝を遅らしておるということは、私の承知しておりまする限りにおきましてはないと思います。日本としては、万々一これがことごとく債務とされました場合には、非常に大きな問題になりまするが、アメリカの方ではあまり急いでいないのではないか、少くも日本の方からこれを遅らせようとしたことはないように思います。
  16. 田中彰治

    田中委員長 他に緒方総理に対してございませんか。杉村君ございませんか。
  17. 杉村沖治郎

    杉村委員 ありません。
  18. 田中彰治

    田中委員長 それではちよつと決算委員長として、最後緒方総理に一言申し上げます。  国民が泣いて納めた尊い血税の分配にあたつては、予算委員会であの大騒ぎが演ぜられております。しかるにあれだけ騒いで分配した血税が、一年間に何千億円に上る厖大なむだと不正に使われていることを軽視することはできません。予算委員会よりも決算委員会重要性を、副総理も認められたことと思います。国民ようやく決算委員会重要性を認識して参りました。総理決算委員会に出ると、これが例になつて、他の委員会に出なくてはならないと言われますが、これは大きな間違いと思います。決算委員会予算委員会と同じく、わが国全官庁に重要な関係を持つ委員会で、総理が、予算委員会で弁明してとつた予算が、各役所で使われた内容検討する当委員会出席されることが当然であり、他の委員会と当委員会を混同されることは、間違つておると思つております。どうかこの点を賢明なる副総理におかれては御研究を願い、善処をしていただきたいと思つております。私は本日副総理に御出席願つた議題米債権四千七百万ドルに対しても、またイロアガリオアに対しても、今日まで通産省が出した資料や弁明で満足したり、だまされたりしてはおりません。私がここに持つておる資料を出してほんとうに調べたなら、帳簿のつけ落ち品名の間違いその他めちやめちやです。しかし私は、この際これを突きつけません。まだ副総理に知つておいていただきたいことは、この決算委員会が重要視されて来ましたが、私から申しますと、こんなことではだめだと思つております。しかしこれ以上世間の驚くような活躍を、この決算委員会がいたしますには、ちよつと困難な状態に目下置かれております。  その一つは、私が健康が十分でなく、毎日医者通いをしておるために、資料を集めるのに困難を来しております。二、これ以上委員会が活躍する場合、会計検査院制度の改革と、人事交流をはからねばなりません。三、決算委員会及び決算委員会専門室人事交流をやらねばならない、また決算委員会の権限の一部を改正せねばなりません。こういうような理由で、この決算委員会がまだわれわれの思うように活躍しておらないのであります。現在の政情から見て、国のために急激に、眠つてつた決算委員会を、ここですぐに法律の改正をしないで、活躍させることはどうかという点を考えておりますので、私及び委員の力の三分の一程度しかこの委員会で使われておらぬことを、ここに重ねて申し上げておきます。しかしいずれは血税を納めた国民に対して、何とかはつきりしなければならないときは近くに来ると思います。賢明なる副総理におかれては、一日も早く政局の安定をはかられて、この事件のおもなものは保守政党が内閣をとつた時代に起つたことでありますから、保守政党の力で、堂々とこれを解決するようにしていただきたい、これが私の願いであります。  同時に、昭和二十五年度決算に対して、満足ではありませんが、一部特別な問題を残して、これで一応議決いたしたいと思いますから、どうぞひとつよろしくお願いいたします。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 副総理に対する質問でなしに、他の質疑をしたいと思いますが……。
  20. 杉村沖治郎

    杉村委員 ちよつと、私は副総理に、今の対米債権の問題かと思つたから、私はないと答えたのですが……。
  21. 田中彰治

    田中委員長 対米債権の問題だけです。あとは一部の問題を残して、これはこれで議決します。
  22. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうじやなくて、ちよつと副総理に所信を伺つておきたいことかあるのです。今委員長が申し上げましたことについて、私は副総理に伺いたい。私どもはぜひ吉田総理には伺いたいと思つてつたのです。政府がいやしくも予算編成する場合においては、決算を十分検討しなければ、正しいいい予算国民の意に沿うところ予算編成というものは困難ではあるまいかと思う。健全なる財政の確立を期そうとするならば、どうしてもその予見の実行の跡を顧みない限りはできないのであります。従来国会におきまししも、政府におきましても、予算に対しては非常に慎重に、また非常な熱意をもつてこれが検討され、扱われておりたことは、案の重要性から当然のごとでありますが、その慎重と熱意をもつてつくり上げたところ予算実行の跡をさらに顧みない。しかも総理大臣は、決算委員会に数度出席を求めましても、遂に一度も出て来ないというがごときことは、まつたあとはどうでもかまわないというようなやり方としか私どもには思われないのであります。むしろ総理が積極的に出で来て、自分たち編成した予算についてどのようにそれが使われておつたかということを、この決算委員会に出てよく聞いて、これを調べない限りは、次のりつぱな予算編成などはできようはずがないと思います。今度全国襲つたあの大きな凍霜害、大水害、これらに対してまして、凍霜害に対してはわずかに五億九千万円であります。あの大水害に対しましても、わずか二十億かそこらの金が出るか出ないかで大騒ぎをしておる。ところがこの昭和二十五年度一般会計並びに特別会計その他政府関係機関決算状態を見ますと、凍霜害の五億九千万円や水害の十五億や二十億、そんなものは問題じやない。われわれは本会議に出て熱をあげるのがばかばかしいくらいだ。この予算実行の跡を顧みますと情なくなるのであります。この状態総理大臣が見ない。幾たび決算委員会から要求されても出て来ない。これで何で日本財政がうまく行けるであろうかと思う。この予算実行をいま少し確実にやつたならば、あの大騒ぎをしなくても公務員の一箇月分の夏季手当くらいは何でもない。凍霜害あるいは大水害救済金等は問題じやありません。総理、副総理はごらんになつたか存じませんが、この公共事業費の中でも、利根川その他の各河川における改修工事においても、昭和二十五年度一般会計におきまして、四億余の不正が行われている。九州を初め全国の大水害であのように川が氾濫して堤防が切れるというようなことは、この河川工事に対してかくのごとき莫大なるところの不正が行われておるから、ああいう氾濫が起つて来るのであります。総理にしても、副総理にしても、あるいは所管大臣にしても、決算委員会をまつたく等閑視して出て来ない状態でありますから、いつまでたつても、明年また水が出ればすぐ堤防が切れるのであります。でありますから、われわれは、いま少しく予算に対する熱意と同様に、決算に対するところ熱意と慎重さを持つて望まれたいと思うのであります。このたびの国会はこれで終りますが、すぐまた臨時国会あるいは通常国会が開かれると思うのでありますが、これに対するところの副総理の御所見を伺いたい。
  23. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 決算年度が遅れますので、旧憲法の時代からとかく決算の調べというものが軽視されがちであつたことは、今御指摘通りであります。総理大臣が決して決算及び決算委員会を軽視しておるわけではないのでありまして、毎年決算ごとに非常にたくさんの案件が不当支出として会計検査院から指摘されるそのことにつきましては、総理は非常な関心を持つております。総理が始終綱紀の粛正、道義の高揚と言つておりますその一つの動機は、その辺にあると私は想像いたしております。この決算委員会に今回出席するようにという交渉があつて出席できなかつたのは、その都度何か下健康のことがあつたり、参議院に出ていて時間が衝突したためであります。私の承知している限りではそのためでありまして、決して決算委員会を軽視しているわけではないのであります。その点は御了承願いますと同時に、そういう御発言があつたということは、私からも総理に伝えておくつもりでございます。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 通産省当局に伺います。あなたの通産省は、会計検査院等とも協力しているでしようが、対米債権を結局四千七百五万ドルを司令部の方に確認させたということであります。そこで通産省から出ました資料のうちの現金受取分内容の問題であります。これについては世上相当の疑惑を持つておりまして、また私どもの入手しております資料によりますと、そのうち二百万ドルがむしろ記載漏れ受取分に入つておらぬはずである、こういうふうに思うのであります。ことにこれはこちらに入つたニユースによりますと、スキヤツプのナンバーもありますし、個々についての品名金額もないしは総計も載つております。ことに大きなものは自動車、トラツクのタイヤであるとか、あるいはトラツク部分品などが相当大きなな金額になつておるようであります。この点につきましては、あなたの方としては、いずれ折衝の中間におきまして司令部との間にも折衝し、あるいは大体司令部の方が払込みしますのは、御承知ように、ナシヨナル・シテイ・バンクであつたようですし、ナシヨナル・シテイ・バンクについてはいろいろ問合せがあつたのかとも思いますが、そういう点については相当明らかにならなければなかつたと思う。明らかになつた際にはきつとこの二百万ドルというものは、受取つておらぬという勘定になるべきではないかと思うのです。そうしますならば、この数字の四千七百五万ドルというものは、四千九百五万ドル余りになつて来る。これはたいへんな債権の増加ということになつて来るわけであります。いずれ詳しく御調査なつたと思うのだが、この点についてはどういうふうに御調査になつたのだろうか、なぜこの数字が出て来なかつたのか、そこらについて伺つておきたい。
  25. 中野哲夫

    中野政府委員 お答えいたします。対朝鮮貿易のオープン・アカウントの帳じりの決済の一つの行き方といたしまして、アメリカ経済協力局から現金で二百五十二万ドル、五百九十九万ドルを受入れまして、その結果前々御説明いたしておりまする四千七百五万ドルという数字が出ておるのでございます。ただいまいろいろお示しでございまするが、その資料はまだ通産省としても見ておりませんし、出所がどういう点かもちよつとはつきりいたさないのでございますが、この経済協力局からの現金払込みの受領につきましては、当時いろいろ折衝の結果、日本側においても司令部の申すところが正しいと考えまして、さよう結論に到達したような経緯に相なつておるのであります。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しからば経済協力局現金はどこへ払い込んでありますか。
  27. 中野哲夫

    中野政府委員 お答えいたします。ただいま申し上げました二品のECAからの払込みのものにつきましては、当時外貨勘定スキヤツプが専管いたしておりましたので、スキヤツプコマーシヤル・アカウントへ振り込まれたのではないかと存ずるのであります。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながらスキヤツプ勘定勘定といたしまして、この種のものは銀行に払い込むということは、これは商業常識でありまして、スキヤツプが金を所持するということはあり得ないことであります。従つて私が今指摘いたしましたナシヨナル・シテイ・バンクであるということを御承知であれは、ひとつ率直におつしやつていただいて明らかにした方がいいと思います。あなたの方でおわかりでなければ課長からでもいいです。
  29. 中野哲夫

    中野政府委員 その点私の省の担当の影山説明員からお答えさせていたださます。
  30. 影山衛司

    影山説明員 ナシヨナル・シテイ・ハンクはおそらくスキヤツプのコマーンヤル・アカウントをスキヤツプ勘定として預けていた銀行だろうと思います。それでナシヨナル・シテイ・バンクに記帳してあるというのが正しいと思います。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますともうすでに講和条約発効後でもありますので、幾多の機会があるわけでありますが、ナシヨナル・シテイ・バンクの方への問合せとかあるいはその他の方法をなし得る機会はいくらでもあつたわけであります。しからば私の今提示いたしましたこの数字の問題につきましても、相当明らかにし得ると思うのですが、その辺の手続はできたのでしようか、できなかつたのでしようか。
  32. 中野哲夫

    中野政府委員 講和発効後、独立回復後に今のナシヨナル・シテイ・バンク、そのほかにも外国為替眼銀行コマーシヤル・アカウント司令部勘定の実務を担当しておつた銀行があつたわけでございまして、それらの銀行につきましてその精算を、彼我交渉いたしました当時にさかのぼつて外貨勘定をいろいろ追究、検討すべきではなかつたかという御意見は、御趣旨ごもつともに存ぜられるのでございますが、この数字につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、当時日本側の許される範囲で、司令部との間に交渉いたした結果おちつきました最後結論でありましたので、今御指摘ようなことを、その後とるに至らなかつたよう事情にあるのでございます。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながらあなたの方もたくさんな資料に基いて何十箱というものの資料調査もし、検討もし、そして司令部との間に折衝を重ねて来たのだから、この八百五十一万ドルの現金受領分というものにつきましても、どこでどういう経路をたどつてそれが受取りになつたかということは、素人でなし明らかにさるるべきだと思うのだが、そういうことについてただ一方的に司令部の命ずるままに数字をきめたというふうに思えるのですが、そこらについて相当疑問があつたならば検討もし、また問合せもし、できるだけの手段を尽されたと思うのだが、その辺についてはどうなんですか。     〔委員長退席柴田委員長代理着席
  34. 中野哲夫

    中野政府委員 この四千七百五万ドルの結論をつけますについては、いろいろ日本側の許される範囲ドル勘定の方もうかがい知れる範囲努力いたしたのでありますが、各種の資料整理等につきましては主として日本側の、たとえば船積の書類とかレート変更の適用すべき日本側の輸出品とか、そういう日本側において主張し得る整理を主といたしたのでございまして、それと同様な精密な、正確なドル勘定の方面は、当時最善を尽しても、今日の吉田さんが御指摘になりましたような程度までには、立ち至つて探求はできなかつたというような点もあるいはあつたのではないか。これは私の想像でございますが、その辺の事情は石井政府委員から補足して御説明いたします。
  35. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 先ほど配付いたしました資料に入金関係のECAぺーメントの五百九十九万ドル、これは確認をとつております。と申しますのは、石炭はECAが現金で買うという建前でアメリカ予算が組まれたのだそうでございまして、それがいわば現金の超過額というもの等が、向うの未払いの残つた原因になつてつたわけでありまして、ECAの資金は入つております。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 このナシヨナル・シテイ・バンクの方では、あなたの方からいえば、たとい司令部のあつた時代におきましても、かなりに各般の数字の証明とか、そういうものの方法が許されたと思うのですが、そういうことは全然しなかつたのですか。
  37. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 アメリカのECAの資金の支払いをやつておりましたのは、ナシヨナル・シテイ・バンクが中心でございましたが、そのほかにもバンク・オブ・アメリカとかチエースとか、こういつた方面がやつておりましたので、それらをいろいろ調べました結果、やはり入金をいたしているノートが出て参りまして、これによつてわれわれは入金しているものと考えたわけでございます。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしましたらその幾つかの銀行についていずれも証明をとつて、そしてその証明の結果が八百五十一万ドル入金になつた。こういうふうな御説明だと了解していいのですか。
  39. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 支払い件数が非常に多いものでありますから、一船一船、あるいは一件々々でありますので、私ども司令部側で出しました何月入金、何月入金ということを点検いたしまして、チエツク、抜き検査をいたしまして、向こうの言う通りチエースに入つているとか、あるいはバンク・オブ・アメリカに入つているとかいうので、それで確認をいたしたわけであります。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私のお尋ねいたしますのは、八百五十一万ドルがあなたの方の資料によつて現金入金受領分と書いてあるのです。でありますからその結論として証明の確認をされたとおつしやるから、そのナシヨナル・シティ・バンクだけでない、ほかの銀行もあつたとおつしやるから、これらの銀行について、結局合計したものが八百五十一万ドルの入金ということの証明をおとりになつたのか、こういうことです。
  41. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 その通りでございます。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その証明は持つておりますか。
  43. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 これはナシヨナル・シテイ・バンクその他はすべて出納係がございますから、何月入金の通知が司令部に参つている、あるいは入金の記録があるわけでございます。その記録をわれわれが目で見て参つて、あるいはノートのあるものはそのノートとつき合わしたということでございまして、全体のナシヨナル・シテイ・バンクが何百何十万ドル也、右入金致し候也という式の確認はとつておりません。
  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは私どもの方も資料を持つているのですが、そのうちの二百万ドルについてはあなたの方の見違いであるのか。証明をとろうとしてもとれないと思うのですが、これは確かに政府として責任をもつて、合計八百五十一一万ドルの入金について証明と同じ価値のある方法で確認さした、こういうことが言えますか。
  45. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 私どもは当時先方が持つている資料、あるいは銀行の帳面を見る、このようなことによりまして司令部勘定の中に振り込まれている、こういうふうに了解いたして来たわけでございます。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その際は進んで文書によつて証明をとるということが、後日の証拠書類として交渉したりあるいは証拠を整頓する上において確実な手であると思うのであります。目で見てあなたがノートするというだけでは、これは確認の方法としては私は適当でないと思うのですが、なぜそれを文書によつて銀行の責任者に証明させることをしなかつたのでありましようか。
  47. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 つまり朝鮮オープン・アカウントの帳じりに五千万ドルなら五千万ドルの数字が出る、そのうち先方がこの通り何月何日入金してあるではないかと言つて、ECAの支払い通知をわれわれに見せ、それがナシヨナル・シテイ・バンクあるいはチエースなりに入つておるという通知が来ておるといたしますれば、われわれの方としてそれを争うということはないわけでございまして、それは了諾してさしつかえないものではないかというふうに考えておるわけであります。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながら、八百五十一万ドルを日本政府が受取つたということの承認であれば、当時の当該係官の方がただ向うの帳面を見ただけでは、後日それをまた他の所管省の方へも証明の形で伝達をする方法としては私は適当でないと思います。
  49. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 これは私どもか受取つたということでなく、スキヤツプコマーシヤル・アカウント現金で入つておるということを確認したわけでございまして、司令部現金帳簿、つまりオープン・アカウントではございません。現金の出し入れの方についているということを見て、了諾いたしたわけでございます。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 スキヤツプはたまたま自己の専管として記帳するだけであつて日本政府朝鮮へ向けて輸出した代金のことであります。従つてそれは元来民間貿易ならば日本の方の入金勘定に入らなければならぬ。第三者のスキヤツプがやつたのでも何でもない。使つたの朝鮮であるのであります。スキヤツプにおきましてこれを記帳するということは、当時の制度がそうであつたにすぎないのであつて、元来米受領したものは日本政府ということになるべきでありますから、従つて日本政府にはできるだけのものは保存すべきが筋合いでなければならぬ。日本が受取つたのじやないということは、スキヤツプの方でそれを記帳して向うの勘定に入れているということだけであつて、売つたの日本なんです。売つたの日本なんですから、売つた方におきましては、受領したということであるならば、それは受領勘定がどうなつておるかということをはつきり確認するには何らかの証明の形式が必要である、こうも思うのですか……。
  51. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 朝鮮との取引は、われわれ原則といたしましてオープン・アカウント取引、すなわち帳面で、通いで売つておるのだと考えておつたのでありますが、石炭につきましてECAが現金で買つた分がありまして、ある場合にはその都度、ある場合にはとりまとめまして、司令部現金勘定その他に入つてつたという記録その他が出て参りましたことによつて、やはりオープン・アカウントの整理でなくて、現金として司令部が受取つておるのだと了解いたしたわけであります。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この点につきまして、検査院も途中に調査されたことがあれば、できるだけの調査事情、そして今私が問題にしました二百万ドルの点につきまして、御所見を明らかにしてもらいたいと思います。
  53. 池田直

    池田会計検査院説明員 ただいま御質問の件でございますが、会計検査院の検査の経過状況等につきましては、すでに今御説明申し上げたことでございますが、会計検査院といたしましても、この関係の書類、その他の関係が相当厖大なる量に上つております関係と、もともとこの関係司令部の方で占領行政当時におきましては一手に処理しておりました関係で、いろいろな関係資料が十二分でなかつたという関係で、主務省であります通産省でこの関係調査等につきまして非常な困難をきわめられまして、ともかく努力の結果、大体こうした数字が参つておる関係につきまして、会計検査院としましても、御説明申し上げました当時の検査の段階では、一応こうした数字は検査院も承知いたしておりますということで申し上げておつた次第でございます。     〔柴田委員長代理退席、委員長着席〕 その後司令部の方から相当残されておる当時の勘定関係資料が、日本政府の方に引継がれたということになりまして、そうした関係資料につきまして、会計検査院といたしましても全部の検査はもちろんできておりませんが、いろいろ抜き検査的に検査を通産省と一緒にやつてつておる次第でございますが、今問題の現金受取りの関係につきましても、会計検査院としまして完全なる資料を見ようということで、あるいは契約番号、あるいは船荷証券、今お話通り司令部の振込み関係事情、あるいはナシヨナル・シテイー・バンクのステートメントとか、そうした関係資料を、石炭関係等の各船の積込み関係資料につきまして、完璧なる調査をかなりやつてみたわけなんでございます。その結果今通産省で御説明ような実情、これもよく承知いたしております。このうち今吉田委員の御質問のよう関係のことにつきまして、通産省の御説明よう資料はございますが、全部完璧な資料につきましては、なお多少調査の必要がありはしないかという関係で、これからもこの前申し上げました通りに、克明に調査を進めて行きたい、こうした方針でおります。そういうふうな状況でございまして、完全なる証拠書類、今通産省の御説明よう資料は、私ども承知いたしおりますが、いろいろな角度からのがんじがらめの完全なる証拠ということになりますと、今お話の点につきましては、全部そろつていない関係資料はあると私ども思つております。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は今の検査院の、なお完璧を期するためには調査の要ありという趣旨の御説明はごもつともだと思うのであります。通産省は完璧なりというような考え方で出発しておられましたら、これは私はかえつてものを誤るのじやないかと思うのです。そこでなおちよつと確めたいと思いますが、前の委員会におきまして、司令部ドル勘定の書類が日銀の方へ引継がれておるかのような、どなたかの御答弁があつたと思います。その辺についてその書類は通産省は御調査なつたでしようかどうか、それをひとつ聞いておきたいと思います。
  55. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 司令部の保管しておりました会計帳簿は外国為替管理委員会に引継がれたのでございます。それが現在では大蔵省為替局がさらに引継ぎを受けておるということになつておりますが、実際の保管場所は、日本銀行為替局が保管しておるものと考えております。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の言葉が足りなかつたのですが、保管者というか、保管責任者は大蔵省、しかし保管場所の責任者は日本銀行、こういう意味に私も前に御説明を聞いたのです。その勘定の書類を通産省はお調べになりましたかどうか、これを聞いておるのです。
  57. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 当時あとう限り日本銀行が持つておりました資料につき合せをいたしております。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それからもう一つはナシヨナル・シテイーに払い込んだりあるいは支払つたりしますその勘定につきまして、その後調査方法は、これは商業慣習の範囲内において、またお互いに事情を話し合えば十分にあるはずであります。その後お調べになつたことはありませんか。
  59. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 私ども努力いたしましたのは朝鮮オープン・アカウントの帳じりの決済という点に努力を集中いたしたのでございまして、司令部勘定のうちの現金勘定、つまりあるいはナシヨナルシテイーに預金となつており、あるいはバンク・オブアメリカに預金になつておるこの現金勘定については、私どもはバンク・ステートメントに入つているのを確かめていますが、必要な箇所を調べたのでございまして、現金勘定全体がどういうふうなものだつたかということについては、これは実は主として外国為替管理委員会の職分でありまして、私どもの方としては手を触れておらなかつた事情でございます。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私どもの入手しましたこの資料によりますと、さきにも申し上げましたように、数十の費目にわたりましてナンバーも全部出ており、小さいセントまで計算は出ておるのであります。そしてかなり信頼すべき筋から入手しておりますので、その総計が二百万ドル、こういうことになつておるのであります。  そこで確かめますが、検査院も独立の立場からこれは検査して行かれるはずであります。そしてこれはいまだ完璧にあらずという判断を持つております。あなたの方においても何か必要な箇所を調べて、だんだん書類を整備し、だんだん折衝して行くと、実に四千七百五万余ドルになつたというわけでありますから、いろいろと手落ちがなかつたということは、これは即断を許さないとわれわれは考えたいのであります。またそういう謙虚な気持にならなければいかぬと思います。そこでこの二百万ドルが今後の調査によりまして確認されるという段階になりましたならば、適当に相手国とも折衝をするという重要な債券増額の資料でありますから、何も遠慮はいらぬのです、二百万ドルがころがつておるのですから遠慮はいりません。あなたは私らの発言を聞いたらもう完璧でありましたからと言つて逃げなさらぬで、たいへんにいいことを聞かしてもらつた、あらゆる方法を尽して万全を期して調査してみましよう、二百万ドルの新しい債権の発見であります、そういう態度を政府としてとらなければいかぬ。もう何もかも調べまして何もありませんとこいうような——あなたのところに借金取りに行くのではありません。私はあなたの方にまだこれだけの債券がありますぞということを提示しておるのですから、それは即刻調査してみましようと言うべきがほんとうなんです。ましてや検査院においては完璧でないとおつしやつているのですから——その態度こそほんとうです。その態度に呼応して立ち上つて行くくらいの積極性がなければいかぬと思う。そういう態度をとつてもらわなければならぬ。大蔵省に行つているから私の方は何も関係がないという態度はよくないと思います。
  61. 中野哲夫

    中野政府委員 私、先ほどちよつと御質問を誤解した部分でありまして言葉が足りなかつたかと思いますが、実は四千七百万ドルの対米債権、それから先般の委員会でも問題になつておりましたガリオアイロア資料等、これは非常に厖大なものでございまして、従来も整備には努力しておつたのでございますが、最近大蔵省と私の力とまた会計検査院と三者相談いたしまして、より一層整備、整理を——これま国会の問題と離れまして、政府としてやつてようじやないか、こういうことを話し合つているような状況でございます。  それでただいま御指摘の点はまことにごもつともでございます。先ほど申し上げましたのはわれわれの方の確認に大きな過失が、気のゆるみがあつたのではないかという御指摘だと思つて一生懸命やりましたと申し上げましたのですが、吉田さんもお持ちのよう資料もあり、またその他の資料も今日になつてさらに発見されるというようなことになりますれば、将来の交渉の際に合理的な主張であるならば先方もおそらく聞いてくれると思われますので、そういうあれがございましたら虚心坦懐にわれわれも真実なりやいなやということも検討し、それを裏づけるものも調査をいたしまして御質問の御趣旨に沿うよう努力をいたしたい、かように思います。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは今の問題につきましては、できる限り今後に対してさらに完璧を期して、資料も収集し、債権二百万ドルの確認をさすという方向へ努力せられんことを希望しておきまして、この点に対する質疑を打切ります。
  63. 田中彰治

    田中委員長 大分あるのだからこれをあなた方も安心しておつてはいけないのだ。ただ決算委員会がいいかげんの説明だけ聞いて、数字をたくさん出されて往生したと思つてはいけない。やるときはちやんとやる、あなた方を押えて息の根をとめるものを持つているし、あとでやりますから……。  以上で対米債権に関する問題は一応調査を終了いたします。     —————————————
  64. 田中彰治

    田中委員長 次に昭和二十五年度決算に関しましては、御承知のごとく前国会以来文字通りの慎重審議をいたして参りましたが、ようやく各省各庁並びに政府関係機関について質疑を終了いたした次第であります。従つて本日は討論採決をいたすわけであります。  それでは昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二十五年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十五年度政府関係機関収入支出決算議題として討論に入るのでありますが、委員長のもとまで決算議決に関する動議が提出されましたので、便宜上印刷物として各委員に御配付いたしてあります。従つてその趣旨説明を求めることにいたします。柴田義男君。
  65. 柴田義男

    柴田委員 ただいま議題に付せられました昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二十五年度特別会計歳入歳出決算及び同年度政府関係機関収入支出決算(未確認となつていた既住年度分を含む)につき、委員長に提出した決議内容案のごとく議決されんことを動議として提出いたします。  そこで議決の内容を項目順に申し上げますと、すなわちいずれも不当と認むるもの 一 裁判所所管   職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの一件 二 総理府所管  警察予備隊関係において   経理のびん乱しているもの等六件   物品の購入に当り処置当を得ないもの四件   架空の庫移補償費を支払つたもの一件   職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの二件  地方財政委員会関係において   地方財政平衡交付金の交付が均衡を欠いたと認められるもの一件  特別調達庁関係(終戦処理費)において   過払金の回収に当り処置当を得ないもの二件   接収不動産借料の経理がびん乱しているもの一件   工事費過払金等の徴収処置当を得ないもの六件   解除物件等物品の売渡及び管理並びに石炭等物品の購入処置当を得ないもの等二十八件   味入ドラムかん等の海上輸送代金支払に当り処置当を得ないもの等十二件   職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの四件   計六十七件 三 法務府所管   登録税の賦課当を得ないもの一件   刑務所収入の徴収処置当を得ないもの等九件   会計経理をみだつたもの等二件   職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの二十六件   計三十八件 四 大蔵省所管   架空の名義により支払つたもの等十件   国有財産の管理及び処分に関し処置当を得ないもの等五十二件   造幣庁、印刷庁両特別会計において財務諸表の表示が適確でないもの二件   印刷庁において黄銅板の製造に当り処置当を得ないもの一件   物納財産売渡代金の徴収処置当を得ないもの七件   租税の徴収過不足を是正させたもの等二百八十七件   職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの五十八件   計四百十七件 五 文部省所管   病院収入の取扱当を得ないもの三件   予算をこえて薬品類を購入したもの等六件   計八件 六 厚生省所管   架空の名義により支出したもの二件   病院収入の取扱当を得ないもの等二十八件   職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの八件   計三十八件 七 農林省所管   架空の名義により支払つたもの等十一件   工事の施行に当り処置当を得ないもの等十八件   工事用物件の購入処置当を得ないもの三件   食糧庁関係において食糧の売買、管理、運送等に関し処置当を得ないもの等二十六件   林野庁関係において工事費の精算、パルプ用材の売渡に当り処置当を得ないもの等八件   職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの四件   計七十件 八 通商産業省   所管補助金の交付に当り処置当を得ないもの一件   不急の物品を購入したもの一件   輸入故衣料の売渡に当り処置当を得ないもの等四件   職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの三件   計九件 九 運輸省所管   経費の年度区分をみだつたもの一件   燈台、港湾及び災害復旧等の工事施行に当り処置当を得ないもの等二十五件   職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの二件   計二十八件 十 郵政省所管   簡易生命保険募集手当の返納が遅延しているもの等三件   架空の名義により支出したもの等二件   郵袋、被服、式価額等の調達及び   管理当を得ないもの等十八件   郵便専用自動車請負料の見積が当を得ないもの六件   貯金利子の元加組入を受けていないもの一件   財務諸表の表示が適確ではないもの等五件   職員の不正行為に因る欠損を補てんしたもの二十一件   保険金額の制限を超過して契約し保険金を支払つたもの一件   職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの四件   計六十一件 十一 電気通信省所管   架空の名義により支払いこれをみだりに使用したもの等十三件   工事の計画、設計、施行等に関し当を得ないもの十二件   物品の購入、検収、売渡に当り処置当を得ないもの六件   物品運送費が高価なもの等六件   財務諸表の表示が適確でないもの五件   職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの十件   計五十二件 十二 労働省所管   架空の名義により支出したもの二件   失業対策事業費補助に関し処置当を得ないもの等三十六件   職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの九件   計四十七件 十三 建設省所管   直轄工事に関し架空の経理をなし著しくびん乱しているもの等四十件   警察予備隊の営繕、河川、道路、砂防等の工事に関し処置当を得ないもの等十三件   災害復旧工事に関し処置当を得ないもの百二件   職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの二件   計百五十七件 十四 経済安定本部所管   架空の名義により支出したもの三件   職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの一件   計四件 十五 日本専売公社   代金の支払に当り事実に合致しない経理をしたもの二件   不急の物品を購入し及び検収措置も当を得ないもの等三件   倉庫の利用よろしきを得ないもの等七件   製造たばこ売渡代金の経理当を得ないもの一件   財務諸表の表示が適当でないもの三件   輸入塩の購入価格算定に当り輸入諸掛の見積当を得ないもの等五件   職員の不正行為に因り公社に損害を与えたもの六件   計二十七件 十六 日本国有鉄道   後納運賃等の徴収が遅れているもの等四件   会計経理をみだつたもの一件   工事の計画、施行当を得ないもの等五件   物件の売渡、購入、管理等に関し処置当を得ないもの等十三件   収納金の預託が著しく遅延しているもの一件   財務諸表の表示が適確でないもの十件   鉱害復旧費を要求していなかつたもの一件   職員の不正行為に因り日本国有鉄道に損害を与えたもの一件   計三十六件   右のほか、日本通運株式会社に対し後納運賃の延滞償金の一部を免除し   た件   日本交通公社に対し代売による収入金につき特に納期を延ばした件 十七 公団  価格調整公団   職員の不正行為に因り公団に損害を与えたもの一件  食糧品配給公団   商品売渡代金の回収処置及び資金の管理等当を得ないもの九件   職員の不正行為に因り公団に損害を与えたもの十九件  肥料配給公団   資金の管理当を得ないもの一件   職員の不正行為に因り公団に損害を与えたもの五件  食料配給公団   職員の不正行為に因り公団に損害を与えたもの二件  油糧砂糖配給公団   商品代金の回収、資金の管理等当を得ないもの三件   職員のために商品をほしいままに売渡されたもの一件   職員の不正行為に因り公団に損害を与えたもの二件  産業復興公団   物資の管理当を得ないもの一件  配炭公団   売渡契約の解除により差損を生じたもの一件   職員の不正行為に因り公団に損害を与えたもの二件  鉱工品貿易公団   商品の売渡に当り処置当を得ないもの一件   計四十八件 十八 復興金融金庫   復興、金融金庫の債権保全処置当を得ないもの六件 十九 連合国軍人等住宅公社   工事の施行に当り処置当を得ないもの等三件   職員の不正行為に因り公社に損害   計四件 二十 商工組合中央金庫   資金の管理当を得ないもの一件 二十一 郵政省共済組合   職員の不正行為に因り共済組合に損害を与えたもの一件  右不当事項のうち、東京都千代田区霞ヶ関三丁目所在国有地(元東京都公園用地)の管理当を得ない件(一四二)は、東京都が、右国有地の管理者たる建設省の同意のもとに、ニューエンパイヤモーター株式会社に対し、昭和二十四年二月以降同二十八年一月末まで四箇年間を限り、寄付金五百万円を提供せしめ、公薗の目的と相いれない同会社の営業用地として使用を許可したところ、会社において、鉄骨造モルタル塗りの建物その他の堅牢な施設をしたのに対し、大蔵、建設両省は、東京都とともに、何らの措置を講じなかつたものである。しかして、使用期限経過後においても、会社は許可条件を無視して返還に応ぜず、不当使用を継続し、そのため該地の移管を受けた大蔵省は、会社に対し、期限を定め施設を撤去し、原状に回復した上返還せしめる趣旨の省議決定したものであるが、本件は国有財産の管理または処分上きわめて重視すべき事件と認められるので、決算委員会においても原状に回復の上、再び公園として公共の用に供し得るよう具体策を立てすみやかにこれが実現を期すべきである旨決議し、大蔵、建設両大臣に通知したものである。  以上、不当と認めるもの一般特別両会計及び政府関係機関を通じ総計千百二十二件であつてうち職員の不正行為によるもの百九十余件、二億七百余万円また架空経理によつて、経費を目的外に使用したり、別途に資金を保有する等事実に沿わない経理をしたもの七十余件、五億円に上る等きわめて悪質の事件が前年度に比して、かえつて増加している。  右は会計検査院の検査報告に掲記されたもののみであるが、会計検査院の実地検査箇所が全検査箇所の約二四%にすぎず、検査は必ずしも徹底していない点等より見て、不当事項はさらに多数に上るものと推定する。  終戦後すでに数年を経過し、世情ようやく安定を得た二十五年度において、国民血税をおもな財源とする国及び政府関係機関の会計上、なおかくのごとく不当経理の多いことは、まことに遺憾にたえないところである。  本院は連年不正不当の原因を指摘、究明して、政府に対し改善の措置を要望したにかかわらず、いまだその成績の見るべきものがないのは、政府措置きわめて緩漫かつ不徹底なるによるといわざるを得ない。  政府予算執行の適正化について、熱意をもつて対処し、上下を通じて責任観念を高揚し、もつて国民の付託にこたえるべきである。  以上でございます。
  66. 田中彰治

    田中委員長 以上で柴田委員からの説明を終りました。
  67. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつと言申し上げたい点がありますが発言を許していただきたいと思います。  私はもちろん今の動議に全面的に賛成であります。ただ相当長い間、この審査に当りましたので、一応ごく簡単に私の感じだけを申し上げておきたいと思うのであります。  すなわち一つは、各省庁にわたりまして、高官の責任が追求せられておらぬということが、これが何年たちましても、根本的にこの種の不当事実を防止し得ない一つの重要な原因であると考えますので、ここに出席せられました省庁の長官などが、これらの防止根絶につきまして、種々ここで言明をして行かれるのでありますけれども、いまだかつて具体的な案を、この委員会に示した省は一つもなし。それから私ども推計しますると、こまかい具体的な数字はこの際は出し得ませんけれども、おそらくは一般会計の三%以上、あるいは五%くらいは確実にむだを省いて捻出し得る金ができるのではないかと思いますること、従つて、三、五百億円は簡単に捻出し得るのではないかと思われますこと、それから会計検査院の機能、構成につきまして、これを一層拡大充実しまして、その根本趣旨とするところを徹底さすということが、国策として立てられなければならぬ、こういうようなことを感ずるのであります。なおさらに内容的に、一般の不当事項については、公共事業費につきまして、特に注意をしなければならぬと思いますこと、国有財産の管理につきまして、また会計が、予算年度末に非常に濫費されておりますようなこと、こういうことを特に私は注目をしながら、調査に参加して参つたのであります。  私は以上の感想を持つておりますが、ただいまの動議には全面的に賛成するものであります。
  68. 田中彰治

    田中委員長 それでは吉田委員意見に従うように、決算委員会も今後そういう線に沿うて行きたいと考えております。  本案については討論を省略しただちに採決いたします。柴田義男君提出の動議通り決するに賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  69. 田中彰治

    田中委員長 起立総員。よつて本件は柴田君の動議の通り決しました。  また決算のうち、批難事項以外の事項については異議がないと決定するに賛成の諸君は起立を願います。     〔総員起立〕
  70. 田中彰治

    田中委員長 起立総員。よつて本件は以上の通り決定いたしました。  なお衆議院規則第八十六条による議長あてに提出の報告書の作成については、委員長に御一任願いたく存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 田中彰治

    田中委員長 御異議なしと認めさようとりはからいます。  では本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十八分散会