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柴田委員 ただいま
議題に付せられました
昭和二十五
年度一般会計歳入歳出決算、
昭和二十五
年度特別会計歳入歳出決算及び同
年度政府関係機関収入支出決算(未確認とな
つていた既住
年度分を含む)につき、
委員長に提出した決議
内容案のごとく議決されんことを動議として提出いたします。
そこで議決の
内容を項目順に申し上げますと、すなわちいずれも不当と認むるもの
一 裁判所所管
職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの一件
二
総理府所管
警察予備隊
関係において
経理のびん乱しているもの等六件
物品の購入に当り処置当を得ないもの四件
架空の庫移補償費を支払
つたもの一件
職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの二件
地方
財政委員会関係において
地方
財政平衡交付金の交付が均衡を欠いたと認められるもの一件
特別調達庁
関係(終戦
処理費)において
過払金の回収に当り処置当を得ないもの二件
接収不動産借料の経理がびん乱しているもの一件
工事費過払金等の徴収処置当を得ないもの六件
解除物件等物品の売渡及び管理並びに石炭等物品の購入処置当を得ないもの等二十八件
味入ドラムかん等の海上輸送代金支払に当り処置当を得ないもの等十二件
職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの四件
計六十七件
三 法務府所管
登録税の賦課当を得ないもの一件
刑務所収入の徴収処置当を得ないもの等九件
会計経理をみだ
つたもの等二件
職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの二十六件
計三十八件
四 大蔵省所管
架空の名義により支払
つたもの等十件
国有財産の管理及び処分に関し処置当を得ないもの等五十二件
造幣庁、印刷庁両
特別会計において財務諸表の表示が適確でないもの二件
印刷庁において黄銅板の製造に当り処置当を得ないもの一件
物納財産売渡代金の徴収処置当を得ないもの七件
租税の徴収過不足を是正させたもの等二百八十七件
職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの五十八件
計四百十七件
五 文部省所管
病院収入の取扱当を得ないもの三件
予算をこえて薬品類を購入したもの等六件
計八件
六 厚生省所管
架空の名義により支出したもの二件
病院収入の取扱当を得ないもの等二十八件
職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの八件
計三十八件
七 農林省所管
架空の名義により支払
つたもの等十一件
工事の施行に当り処置当を得ないもの等十八件
工事用物件の購入処置当を得ないもの三件
食糧庁
関係において食糧の売買、管理、運送等に関し処置当を得ないもの等二十六件
林野庁
関係において工事費の精算、パルプ用材の売渡に当り処置当を得ないもの等八件
職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの四件
計七十件
八 通商産業省
所管補助金の交付に当り処置当を得ないもの一件
不急の物品を購入したもの一件
輸入故衣料の売渡に当り処置当を得ないもの等四件
職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの三件
計九件
九 運輸省所管
経費の
年度区分をみだ
つたもの一件
燈台、港湾及び災害復旧等の工事施行に当り処置当を得ないもの等二十五件
職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの二件
計二十八件
十 郵政省所管
簡易生命保険募集手当の返納が遅延しているもの等三件
架空の名義により支出したもの等二件
郵袋、被服、式価額等の調達及び
管理当を得ないもの等十八件
郵便専用自動車請負料の見積が当を得ないもの六件
貯金利子の元加組入を受けていないもの一件
財務諸表の表示が適確ではないもの等五件
職員の不正行為に因る欠損を補てんしたもの二十一件
保険
金額の制限を超過して契約し保険金を支払
つたもの一件
職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの四件
計六十一件
十一 電気通信省所管
架空の名義により支払いこれをみだりに使用したもの等十三件
工事の計画、設計、施行等に関し当を得ないもの十二件
物品の購入、検収、売渡に当り処置当を得ないもの六件
物品運送費が高価なもの等六件
財務諸表の表示が適確でないもの五件
職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの十件
計五十二件
十二 労働省所管
架空の名義により支出したもの二件
失業対策事業費補助に関し処置当を得ないもの等三十六件
職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの九件
計四十七件
十三 建設省所管
直轄工事に関し架空の経理をなし著しくびん乱しているもの等四十件
警察予備隊の営繕、
河川、道路、砂防等の工事に関し処置当を得ないもの等十三件
災害復旧工事に関し処置当を得ないもの百二件
職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの二件
計百五十七件
十四 経済安定本部所管
架空の名義により支出したもの三件
職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの一件
計四件
十五
日本専売公社
代金の支払に当り事実に合致しない経理をしたもの二件
不急の物品を購入し及び検収
措置も当を得ないもの等三件
倉庫の利用よろしきを得ないもの等七件
製造たばこ売渡代金の経理当を得ないもの一件
財務諸表の表示が適当でないもの三件
輸入塩の購入価格算定に当り輸入諸掛の見積当を得ないもの等五件
職員の不正行為に因り公社に損害を与えたもの六件
計二十七件
十六
日本国有鉄道
後納運賃等の徴収が遅れているもの等四件
会計経理をみだ
つたもの一件
工事の計画、施行当を得ないもの等五件
物件の売渡、購入、管理等に関し処置当を得ないもの等十三件
収納金の預託が著しく遅延しているもの一件
財務諸表の表示が適確でないもの十件
鉱害復旧費を要求していなか
つたもの一件
職員の不正行為に因り
日本国有鉄道に損害を与えたもの一件
計三十六件
右のほか、
日本通運株式会社に対し後納運賃の延滞償金の一部を免除し
た件
日本交通公社に対し代売による収入金につき特に納期を延ばした件
十七 公団
価格調整公団
職員の不正行為に因り公団に損害を与えたもの一件
食糧品配給公団
商品売渡代金の回収処置及び資金の管理等当を得ないもの九件
職員の不正行為に因り公団に損害を与えたもの十九件
肥料配給公団
資金の管理当を得ないもの一件
職員の不正行為に因り公団に損害を与えたもの五件
食料配給公団
職員の不正行為に因り公団に損害を与えたもの二件
油糧砂糖配給公団
商品代金の回収、資金の管理等当を得ないもの三件
職員のために商品をほしいままに売渡されたもの一件
職員の不正行為に因り公団に損害を与えたもの二件
産業復興公団
物資の管理当を得ないもの一件
配炭公団
売渡契約の解除により差損を生じたもの一件
職員の不正行為に因り公団に損害を与えたもの二件
鉱工品貿易公団
商品の売渡に当り処置当を得ないもの一件
計四十八件
十八 復興金融金庫
復興、金融金庫の
債権保全処置当を得ないもの六件
十九 連合国軍人等住宅公社
工事の施行に当り処置当を得ないもの等三件
職員の不正行為に因り公社に損害
計四件
二十 商工組合中央金庫
資金の管理当を得ないもの一件
二十一 郵政省共済組合
職員の不正行為に因り共済組合に損害を与えたもの一件
右不当事項のうち、東京都千代田区霞ヶ関三丁目所在国有地(元東京都公園用地)の管理当を得ない件(一四二)は、東京都が、右国有地の管理者たる建設省の同意のもとに、ニューエンパイヤモーター株式会社に対し、
昭和二十四年二月以降同二十八年一月末まで四箇年間を限り、寄付金五百万円を提供せしめ、公薗の目的と相いれない同会社の営業用地として使用を許可した
ところ、会社において、鉄骨造モルタル塗りの建物その他の堅牢な施設をしたのに対し、大蔵、建設両省は、東京都とともに、何らの
措置を講じなか
つたものである。しかして、使用期限経過後においても、会社は許可条件を無視して返還に応ぜず、不当使用を継続し、そのため該地の移管を受けた大蔵省は、会社に対し、期限を定め施設を撤去し、原状に回復した上返還せしめる趣旨の省議決定したものであるが、本件は国有財産の管理または処分上きわめて重視すべき
事件と認められるので、
決算委員会においても原状に回復の上、再び公園として公共の用に供し得る
よう具体策を立てすみやかにこれが実現を期すべきである旨決議し、大蔵、建設両大臣に通知したものである。
以上、不当と認めるもの一般特別両会計及び
政府関係機関を通じ総計千百二十二件であ
つてうち職員の不正行為によるもの百九十余件、二億七百余万円また架空経理によ
つて、経費を目的外に使用したり、別途に資金を保有する等事実に沿わない経理をしたもの七十余件、五億円に上る等きわめて悪質の
事件が前
年度に比して、かえ
つて増加している。
右は
会計検査院の検査報告に掲記されたもののみであるが、
会計検査院の実地検査箇所が全検査箇所の約二四%にすぎず、検査は必ずしも徹底していない点等より見て、不当事項はさらに多数に上るものと推定する。
終戦後すでに数年を経過し、世情
ようやく安定を得た二十五
年度において、
国民の
血税をおもな財源とする国及び
政府関係機関の会計上、なおかくのごとく不当経理の多いことは、まことに遺憾にたえない
ところである。
本院は連年不正不当の原因を
指摘、究明して、
政府に対し改善の
措置を要望したにかかわらず、いまだその成績の見るべきものがないのは、
政府の
措置きわめて緩漫かつ不徹底なるによるといわざるを得ない。
政府は
予算執行の適正化について、
熱意をも
つて対処し、上下を通じて責任観念を高揚し、も
つて国民の付託にこたえるべきである。
以上でございます。