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1953-08-03 第16回国会 衆議院 決算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月三日(月曜日)     午後二時五分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 天野 公義君 理事 松山 義雄君    理事 安井 大吉君 理事 吉田 賢一君       藤田 義光君    細迫 兼光君       山田 長司君    大矢 省三君       熊本 虎三君    杉村沖治郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 緒方 竹虎君        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (企業局長)  中野 哲夫君  委員外出席者         会計検査院事務官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 八月三日  委員山本正一君辞任につき、その補欠として山  本勝市君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  閉会中の審査申出に関する件  委員派遣承認申請に関する件  朝鮮輸出物資に対する対米債権に関する件     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  議事に入るに先だちお諮りいたします。かねて審議を継続いたしております日本国有鉄道株式会社鉄道会館に関する件につきまして、さき国鉄総裁長崎惣之助君を証人として喚問することをお諮りいたしたのでありますが、当日病気出頭できないため、その証言を求めるに至らなかつたのであります。つきましては、本事案解明のため、右総裁長崎惣之助君の病気全快を待つて、同人を証人として重ねて当委員会出頭を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中彰治

    田中委員長 御異議なしと認め、規則第五十三条により出頭を求める手続をとります。     —————————————
  4. 田中彰治

    田中委員長 次にお諮りいたします。去る七月三十日の理事会におきまして、閉会審査の申出につきまして協議いたしました結果、今国会におきまして本委員会決算に関する各般の問題を熱心に審議いたしたのでありますが、重大案件が続出いたしました関係上、会期中に審議並びに調査を完了するに至らない状態にあります。つきましては事案重要性にかんがみまして、調査未了のまま次回国会に持ち越しますことは、諸般事情考えますと、調査上不利益と思われますので、閉会中も引続き究明すべきが妥当であるという意見の一致を見たのであります。つきましては、その目的を達するために、一応次のように手続をとつておきたいのであります。すなわち昭和二十五年度並びに二十六年度決算及び株式会社鉄道会館に対する鉄道用地貸付等に関する件、並びに朝鮮に関する対米債権問題につき調査検討いたすべく、閉会審査申出書を成規手続として、議長まで提出いたしたいと存ずるのであります。従いまして、右の通りとりはからうに御異議ありませんか     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田中彰治

    田中委員長 御異議なきものと認め、さよう手続きをいたします。     —————————————
  6. 田中彰治

    田中委員長 次に委員派遣についてお諮りいたします。ただいま決定閉会中の審査事項が院議により決定いたしますと、審査の一方法として現地に出向き、事情調査する必要も生じて参るかと思います。御承知のごとく、委員派遣には議長承認を必要とする次第でありまして、具体的の調査事案につきましては、追つて理事会にお諮りいたします予定でありますので、この際は委員現地派遣につき、承認要求手続をとることとし、派遣委員の選定、日時、調査地等決定に関しましては、委員長及び理事に御一任願いたいのでありますが、右御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 田中彰治

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。なお閉会中の審査予定日は、後日理事会において協議の上、決定いたしたいと思いますから、御了承願います。     —————————————
  8. 田中彰治

    田中委員長 本日はさき審議未了となつております対米債権に関する問題を議題として、その調査を続行いたします。それではこれより質疑を願います。吉田賢一君。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は大蔵大臣に伺いますが、もし大蔵大臣の問題についての答弁が、他の事務当局の方が適当とおぼしめす箇所がありましたならば、それはしかるべく願つてよいと思います。  対米債権が四千七百万ドルありということについては、これは総司令部係官確認もあり、また政府当局答弁によりましても、われわれはその存在しておりますこと、ことにそれは商業上の債権であるという趣旨も了承するのであります。かつ外務大臣は、その債権のあることを前提といたしまして、昨年の六月ごろより、しばしばアメリカ大使館の方へ向つて交渉をし、あるいは別の方法をもちまして新木大使通知連絡もあつた、かような御説明を聞くのであります。ところで私は、この債権をほんとうに交渉を進めて解決しようといたしますると、どうしても、そこにガリオア勘定について、国会憲法上の関係を結末をつけておかなければ、交渉は不可能に陥るのでないかと思うのであります。といいますのは、総司令部におきましては、昨年四月十九日、係官が、日本政府に向つて該債務のあることを承認した。しかし、当時マーケット局長は、新聞声明におきまして、この日本の対米債券解決は、ガリオア勘定解決するときに、解決されるであろう、こういう趣旨のことを声明で述べております。そこでどうしても、ガリオア勘定考慮をしないで、一方的に債権だけを、解決するということは、あるいは不可能に陥ると思います。このガリオア勘定なるものが、単純な贈与であるならば、問題はないと思います。ところが先般の当委員会の副総理の御答弁によりましても、法律上の債務であるとはおつしやつておりません。また大蔵大臣にしましても、その他にいたしましても、政府当局は、法律上の債務なりと明確な答弁はいたしておりません。それは、もつともなことであります。といいますのは、申すまでもなく、憲法の八十五条によりまして、国が債務負担しまするときには、国会承認を経なければなりません。国会承認を経てから、債務であるということを主張せねばならぬ関係にあるわけであります。そういたしますると、ガリオアがもし単純な贈与であるというふうに、アメリカ政府意思表示でもある場合には、これは問題はない。また日本政府におきまして、単純な贈与であるいとうことの確信を持つておられるならば、これもこの際問題にせぬでいいと思いますが、その性質が必ずしも明確でないという階段らしくわれわれは了解するのであります。しますると、ガリオア関係債務であるか、単純な贈与であるかをきめなければならぬ。もし、債務であるとするならば、これは国会承認を経る、そういう関係にあるのに、それを無視して、対米交渉を進めるということは困難でないか。現に対米交渉をしておるということは、その点について、一体どう考えておられるのだろうか、事実、行為は矛盾して来はしないだろうか、矛盾というよりも行き詰まつてしまいはしないだろうか、そういうふうに考えるのであります。それで、いわば対米債権について外交交渉前提要件が以上の趣旨において満たされそのてないと、完全に解決し得ないということに、論理上も、法律上も、憲法上も明らかに言い得るのではないか、こう思われますので、その点についての御所信を伺いたい。
  10. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 対米債務債権関係は、ガリオアの問題もひつくるめまして、ただいま吉田委員から御指摘通りであろうと考えます。西ドイツでありますとか、イタリアでありますとか、そういう戦時中アメリカ反対側にまわつてつた諸国始末につきましても、そういう国々におきまして、ガリオアの決済につきましても、いろいろな当事国の間の事情によつて、決済仕方がいろいろ違つておるようであります。今御指摘のように、すべての債権債務を一緒にでなければ解決ができないのではないか、ただ政府といたしましては、日本債権確認されたものにつきまして、交渉をしたことのあることは、先般予算委員会で申し上げた通りでありますが、解決見通しにつきましては、今御指摘通りであろうと考えます。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は見通しの問題もさることですけれども、債務であるとわれわれが確認をする際には、憲法上の手続をしておかねばならぬ。この憲法上の問題を度外視しては、あるいは債務であるかどうかわからぬのという考えが一部にあるとするならば、また他国の例からいたしますならば、またマーケツト局長意見に徴してみるならば、その点考慮せねばなりませんので、どうしても一応憲法上の問題について、正確にその結論を得ておくという必要があろうと考えます。そこでもしそういうふうに、国の債務憲法国会承認を経なければならぬということになる以上は、次にはガリオア勘定につきまして、その実体を明確にするということについて、各般資料国会に提出するという用意をしておかなければならぬ。かりに五分の一にしろ、あるいは二十四年四月以降の見返りの積立てた約五千万ドルのそれのみに限るといたしましても、またそれ以下であるといたしましても、やはり全体としまして、終戦後二十七年の平和条約の発効に至りますまでのあらゆる資料を整頓して、そうして入つたものが幾ら、処分したものが幾ら、残つたものが幾ら、何に使われた、また出入り関係につきまして、物の関係とか、あるいは資金関係勘定関係ほどを明確に整頓しておくのでないと、私はたとい一万円の債権なりとも国会承認を求めるということはできないと思いますが、どうも先般来のこの委員会における政府側説明答弁を聞いておりますと、そういう関係を調整し、もしくは資料を整頓し、もしくは関係を整理するということは不可能に近い大作業であるということがしばしば繰返されておる。はたしてそうであるならば、今日の政府の事務的の能力と規模におきましては、その債務であろうとなかろうにかかわらず、国会に向つて承認を求めるということの準備ができないということになるおそれがあります。現にこの委員会もしばしばガリオア勘定の内容につきまして、いろいろな資料の提出を求めましたけれども、容易ならざる大作業であるということで、これの実現ができておらぬのであります。そういう点から考えまして、今のガリオアを、国会におきましてたとい幾らかでも債務を認めるというような、たとえばドイツにおける三割七分五厘を認めたというような例——国民感情といたしましては、全部零にしてもらいたいという声もありますけれども、かりに幾分でも債務承認という段階を予想しまするならば、国会への各般準備というものは政府にできておらなければならぬ、そういう点はどうにもならないじやないかということが一つと、そういうことであるから、四千七百万ドルの債権は認められたけれども、長らく国会へ顔を出すことなく、報告することもなしに済んで来たのではないだろうか。大体憲法及び財政法の規定によりましても、債権は必ず国会報告しなければならない。報告しなければならないものが報告されていないというのは、やはりそういう各般証拠物準備もないということに原因するのではないだろうか。こうも考えられる。この二点についていかにお考えになりますか。御所見を伺いたい。
  12. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 東京において資料を整え得るものは整えております。但しワシントン資料と照合を要するものについては、ただいままだ準備中でありまして、ここですつかり完成しておるということは申し上げかねるかと思いますが、なお詳しいことは、政府委員からお答えいたします。
  13. 中野哲夫

    中野政府委員  お答え申し上げます。ただいま吉田委員から御質問に相なりました第一点につきましては、ガリオア援助債権であろうが債権でなかろうが、将来交渉のためには、これの基礎となるべき少くとも日本側資料は、最大これを網羅、整備しておかなければならないではないか、その準備なくしては、将来債権とも債務ともきめる交渉自体が成立しないではないかという御質問でございますが、その点はまつたお話通りだと思います。そこで私ども事務当局といたしましては、前回のこの委員会でも申し上げました通り、またただいま副総理から御答弁のありました通り終戦後今日までの資料を極力準備をいたしておる状態でございます。特に昭和二十四年の四月から援助物資特別会計ができまして、見返り資金を積み立てるということになりました以後のものは、完璧に資料があると思いますが、それ以前につきましても、今後極力努力いたしまして、整備をいたすつもりでございます。
  14. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十四年三月以前のところが、むしろ問題の核心を蔵しておるのでございまして、その以後につきましては、資料整備されておるということにつきましては、私も議論するつもりはごうもございません。そこでやはり問題は、それ以前のことが、債権債務、あるいは贈与を受けたかどうか、また四千七百万ドル債権ということになりますから、どうしてもそれ以前のとびらを開いて、その中を明確にするということを相手に向つて明らかにする。しかし同時に、それ以前に、国会に向つてそれを明らかにしなければならない。国会に向つては、対米交渉が進んで行くうちに何とか整備しますというのでは、私は政府責任上いかがかと思います。これはあなたを責めるわけでにないけれども、政府としてはあらゆる手段をもつて終戦後二十四年三月まで不明であつたと今日言われておるところの、資料整備、整頓ということについては、この国会で問題になりましたときには、すでに各般資料が整頓されるという努力をしておかなければならなかつたと思います。この点については、そういう資料整備を怠つてつたという一つの怠慢の責任は、免れないのではないかとすら、私は思うのであります。しかしこれは中野さんを責める意味ではないのです。非常に困難なところを、あなた方は四千七百ドルを確認さしたりだから、これは認める。しかし、それはあるいは五千万ドルになるかもしれない、六千万ドルになるかもしれないということさえ、今日われわれは考えておる。それはそれとして、とにかく資料国会へ十分整備して出さなければガリオア勘定がはたしてどんな性格であるかということを、国会確認し、最終の意思表示をするわけに行きません。そういう用意が、全然今日までできていない。だからどうにもならない。四千七百万ドルがぽつと出たけれども、それを基礎づける各般のものがどうにも準備できていないということになります。ですから、その点については、やはり政府にもつと何とか方法はなかつたものだろうか。怠慢ということがきつければ、ほかの言葉でもいいけれども、ドルは司令部勘定し、円建政府勘定しておつたのだから、よくわからなかつたというものの、終戦後の混乱の経過にかんがみて、それも手伝つておるだろうけれども、当時はどさくさだつたからというのでは、国会の弁解にならないと思います。どうしてもこの点は、一応国会に対してまことに済まなかつたということになるのじやないかと思うのです。この点について、副総理の御感想はいかがですか。
  15. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 ガリオア始末につきましてこれを債務と認める場合にはもちろんのこと、今御指摘のありました資料につきまして、政府におきまして自信のあるものを整え得ました際におきましては、国会に御報告をいたしたいと考えております。
  16. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の伺いました点は、今後なさることについては、それはごもつともなことでありますが、今日までできておりませんことについては、やはり政府においてもつとなすべき手を打たなかつたという責めを免れないのではないかと思いますが、副総理所見いかん、こういうことであります。
  17. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 政府といたしましても、できるだけの準備はしておつたつもりでありますが、なおさらに一層の努力をいたしまして、早く国会報告のできるだけの資料を整うべきであつた、それができなかつたことは、非常に遺憾に存じます。
  18. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは次に、政府としては、一体この対米債権をどう処理しようとしておられるのか。外務大臣は、向う東京駐在大使館当局折衝しておるとおつしやるけれども、今申しましたガリオア勘定が、国会において何らの処理をせられずに、向う側がこれを贈与であると確認をしていないのに、対米債権処理段階に入つておるという外務大臣答弁であります。また緒方総理は、できるだけ早く国会に向つて各般資料を整えて出そうという御意思でありますが、しかし政府といたしまして、対米債権をどう処理しようとなさるのか。今のような面を解決せずして折衝しておつても、これは私は進まないと思います。進めようとせずして、ただ単に口をきいているということであれば、これは国会国民を欺瞞することになります。やはり国民としては、事実の経緯にかんがみまして、ガリオア勘定も妥当なる収め方に解決をしたい、また商業債権として確認された以上は、商業債権として、国家経済のそれぞれの利益のためにこれを生かして処理してもらいたい、こういうのが、おそらくこの問題に対する国民の要望するところであろうと思う。国民の負託を受けておる政府としては、具体的に一体どうするのか。今のような問題がひつかかつておるのですから、ただ大使館交渉しておるというだけでは、私は問題は解決しないと思います。どうしようと思うかということにつきまして、ただいまの問題でありますところを含めまして、ひとつ政府最後の御方針のあるところとして御答弁を願いたいのです。
  19. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 この問題は、債権債務関係がいろいろ結線いたしておりますし、こちら側の資料も十分に整えた上、ワシントンにおいて折衝を重ねまして、最後決定をしなければならぬのではないかと考えております。その処理方法につきましては、先般来お話のありましたように、これは贈与考えておつたし、また考えられておつた面もありますが、いずれにしましても、この解決の結果は国民負担になりますので、政府といたしましては、全幅の努力を尽しまして、できるだけ国民負担として残るものが少くなるようにいたしたいと考えております。
  20. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと吉田君にお諮りいたしますが、大蔵大臣は三時から外交関係について向う人たちと会見なさるそうですから、大蔵大臣質問される方があれば、ちよつとそれを先に……。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 副総理はかまいませんか。
  22. 田中彰治

    田中委員長 副総理はもう少しよろしいそうです。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではもうちよつと副総理質問して、それから大蔵大臣に聞きます。  ただいまの副総理の御答弁はどうも納得しがたいのであります。抽象的に最善を尽して国民利益になるように、国民の欲するように、できるだけ軽いところでというのは、これは異論のないお互いの希望であろうと思います。しかしこれは抽象的なことでは済まされぬと思います。やはりすみやかに具体的にガリオアの問題をきめて行かなければならない。何とか延ばしているうちに、どうにかいいぐあいに行くだろうというような安易な考え方では行くまいと私は思うのです。これは外交上のいろいろな方法の問題もありますから、それももちろん考慮に入れなければいけませんけれども、いずれにしましても、ここまで日本の国論が沸いて来たのでありますから、行政の責任者といたしましては、抽象的な段階ではなくて、具体的に手を打つことを考え段階だろうと思います。そこでワシントンにおいて御交渉になるということは、これも一つ方法であろうと思いますが、また機会あるごとにお互いに了解を深めて行くことも必要でないかと思う。たとえば最近ダレス国務長官朝鮮をたずねるということが伝わつております。ダレス国務長官話合いをなさるということも必要でないかと私は思うのであります。ことにダレス氏は、この三月でありましたか、アメリカホイツテイアー大学における演説におきまして、原則論といたしましては、賠償請求権経済的援助返還請求権というものもいろいろと区別はしておるようでありますけれども、賠償よりも経済的援助返還請求権の方が優先順位を占めておるというような趣旨のことを述べたと伝えられておるのであります。つまり、底意としては、一つ債権的な考え方アメリカ政府が持つておるのじやないかということもうかがわれますので、やはり適当な機会ダレス氏とも懇談をされることも無意味なことではないと思います。あるいはまた先般の石井政府委員説明によりますと、アメリカ朝鮮との間の協定——これはいつでありましたか、その協定趣旨によると、日本の対米債権解決する根拠になるような協定もあるようでありますから、あれやこれやをにらみ合せまして、広汎な外交的手を打つて行くこともこの際考うべきでないかと思います。そういうことにつきましては、政府の大きな外交方針一つのあり方として御考慮されてしかるべきでないかと思いますので、簡単でよろしゆうございますから、お答えが願えればけつこうだと思います。
  24. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 吉田委員の申されます具体的な答え方があるのではないかという意味が、ただいまあげられましたようなダレス氏が朝鮮に参る途中東京に立ち寄つたときに折衝機会があるではないかということでありますならば、そういう機会はあるかもしれませんが、これはまだ東京に立ち寄る事実も未定でございますので、今からそれを予想して、私の品からはつきり肯定的に申し上げることもできぬのであります。もちろん政府といたしましては、この問題に触れてさしつかえない側らかの機会がありますならば、国民負担の角度から見ましてこの処理を十ガ有利の方向に導きたい、かように考えております。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、第十六国会の二十八年度予算説明なり、主計局発表資料によりますと、十一ページにおいて、平和回復前の処理費といたしまして、二十七年度には百十億、二十八年度には百億円の予算が計上されております。その説明といたしまして、この経費は、連合国に対する賠償支払い及びアメリカに対する対日援助費返済その他対外債務処理等々に支払う諸般経費に充てる予定だということになつております。そこで伺いますが、対日援助費返済とは何をさし、何ほどの予算を要求したのであるか、伺いたいと思います。
  26. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 これは過日も、吉田さんに対してでなかつたかもしれませんが、御答弁申し上げたように記憶しておりますが、実はガリオアとかイロアとかいうものの話合いがついて、それで金額条件等がはつきりして国会承認を受ける、それで債務と確定する、こういうような場合等をおもんぱかつたもので、実は連合国に対する賠償支払いということもまだ何もきまつておりません。きまつておらぬけれども、若干のものをこれから計上して行くということがよかろうということから、昭和二十六年の予算以来ずつとこれが毎年計上されております。もちろんどれだけの金額というように予定した数字ではございませんで、まだ賠償のことについてもどれだけの賠償を予期するとか、あるいは対日援助費について幾らを予期するかという時期ではございませんが、二十六年の予算以来こういうものは見てありますので、また話合いが何どきあるかわかりませんので、まあ漠然とではございますが、一応そういうものが計上しておるわけであります。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は前の当委員会において大蔵大臣の御答弁は聞いておつたのでありますが、これをもつとはつきりさせておかなければ、大蔵省のこの問題に対する考え方がどうもきまつておらぬという危険がありますので、重ねて伺つてみたのであります。と言いますのは、まだきまつておらぬけれども、きまつたときに支払うために二十六年以来計上しておるのだということでありますが、私は予算の精神というものはそんなものじやないと思います。財政法の十七条によりますと、毎会計年度におきまして、各所管にかかる歳出について見積り書をつくつて、これを大蔵大臣に送るということになつておりますから、従つて日援助費が含まれておる以上は、それだけの一定金額が見積られて、大蔵省の方に書類が送付されるということが筋でなければならぬ。何ぼかわからぬけれども、もし話がついたときに払わなくちやならぬから組むというような、そんな予算は私はないと思う。そんな予算承認するというようなことは、そもそも一体あり得ることでしようか。財政法には予備費というものもあり、憲法にも予備費というものがあるわけですが、予備費とはまた違いましよう。しかし項目をきめまして、使うところの費目をちやんときめまして、予算要求するときに——少くとも対日援助費債務なりやいなやということは、これは大きな問題で、国会承認も何もしておらぬ。しておらぬにもかかわらず、政府大蔵大臣にそういう要求をして、話がついたときのためにあらかじめ準備しておくということは、これは予算編成の精神を無視するものであつて予算に非常に精通しておられる主計局長ともあろう人が、どうしてこんなことを見のがしてしまつたか、こう思うのですが、いかがですか。
  28. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 お尋ねの趣旨は一応ごもつともとも存ずるのでございます。この問題は昭和二十六年度及び二十七年度、今年で三回目なのでございますが、平和が発効した上まするとともに、これに関連して善後措置としていろいろなことが起ることが想像せられたのでございます。ガリオア賠償の問題もそうでございまするし、外債の支払いも同様でございますし、そのほか従来終戦処理費として占領下においてやつてつた仕事が、今度は独立国となり……。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 対日援助費だけの御説明でけつこうです。
  30. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 そういつたようなことでいろいろな問題がある。これを一応予備費で処理をするということは一つ考え方ではございますが、予備費はその発生がまつたく予測されないものについてその財源を確保する、こういう意味合いのものであるわけでございます。これが予備費であるかないかという問題でありますが、形式上は予備費ではございませんので、そういつた場合が起つた場合にはこれから出そう。この積算の問題でありますが、これは財政法の附則の一条の二という規定がございまして、ものによりましてはこの予算の積算の基礎というものはすべて目に区分いたしまして、そうして予定経費要求吉で出すのでございますが、当分の間そういつた内容の不確定な積算のはなかなか困難なようなものにつきましては、積算の基礎である目を示さないで予算を積算しておくことができる、こういう建前になつておりますので、こういつた特殊の事態を処理するためにできた法令でもあり、またそういたすことが適当であると考えて、いわば一つかみと申しますか、そういつたかつこうで予算を置きまして、立法のたびごとにその経費をあらためて目に直す、こういう措置をやつておるわけでございます。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、具体的には対日援助費というものは何を大体想定しておられたのですか。
  32. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 対日援助費というのはガリオアでありまして、それが将来交渉の結果額が確定するということを考えておつたのであります。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ガリオアであるならば、これは憲法国会承認を経なければ債務が確定しないのでありますから、そういつたことになつてから組んでもおそくない。そういつたことの全然ありもしないときに交渉が始められるはずもなし、また交渉が始まつて日本がそれを支払うべき理由はないのでありますから、そういう手続前提にならなければ、債務であるということが確定しないのであります。確定しないものをあらかじめ掲げることは、これは財政法の濫用じやないですか。そういつた予算というものはもちろん予備費ではないと思う。そういつた予算の組み力というものは、予算の方で予算が通過しておるから、また前に数年間こういうことを継続しておつたからとはいえ、これは私は実にいいかげんに消化してしまつた悪い例である、こう考えるのです。ガリオア問題はここでも、憲法上必要なる手続を経なければ国の債務とはならぬということを大蔵大臣は言明しておられる。そういうことがきまつてから予算に計上して、何がおそいのでございましようか。何十億円になるか知らぬけれども、たとい一億円たりとも、やはり明確にならざるものは予算に組むべきじやありません。いいかげんな項目で法律の条件を満たす、その可能性がまだはつきりしないようなものと私は組むべきじやないと思う。大きなミスとしてこれは率直にお認めにならねば、私はこの論争は尽きぬと思う。
  34. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 予算に計上する場合にもいろいろあるわけでありますが、予算はすべて法令の規定あるいは契約その他の有効な基因行為がありませんと支出できないのであります。かりに予算が計上されおりましても、それを使用する権限がなければできないのでありまして現在予算に計上されておりますものにはいろいろなものがありますが、このガリオアは具体的なそういつた例でございまして、外債の問題につきましても、外債をいかなる条件で支払うかということはきまつておりませんでしたが、昨年それがきまりまして、平和回復善後処理費から出したわけであります。つまり具体的な金額が確定しなくても、しかしそういうものが起り得べき場合においては、その所定の手続をとつた上で使用するためにこのような経費を計上することは許されておると考えておるのでございまして、この問題につきまして予算委員会等におきましていろいろ御議論があつた点もありまするが、そういうことを御説明申し上げておつた次第でございます。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣に伺います。およそ百億円のうち五十億円か何ぼか対日援助費が入つておるか知りませんが、対日援助費が今おつしやるごとくガリオア勘定であるとすれば、ガリオア勘定は六月にドル勘定で二十一億余りとかいうことをアメリカ政府が言つておるのですが、それに見合わす意味か何か知りませんけれども、突然何十億円か百億円のうちに組んで、事実数年間使つたこともない、こんな盲腸みたような、いりもしないようなものを今ごろ予算に組むということは、私は実に予算編成の越権だろうと思う。こういうことが平気でやられるならば、何で一体百億円以内という計算をなさつたのだろう、百億というのは一体どこから出て来たのか、これについて大臣いかにお考えになりますか。
  36. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 百億は賠償支払いとか、今お話のあつた日援助費返済か、その他いろいろなものにつきまして見ておるのでありまして、前年度より十億減つておるわけでありますが、これは私の率直な言葉で言えば、大つかみに百億、こう見たものと私は思います。ただ吉田さん御承知の通り、ここに予算としては一応こういうものを見ておいても、これを使用する場合にはみんな法令とか契約とかその他いろいろな基因行為がいるのでありますから、この点についてはつきりしないものはやれないのですから、一応この程度のものは現在の日本として予定しておくということが、平和回復善後処理費等のなくなつた今日としてはいいんじやないか、こういうようなところで大つかみに百億というものが認められたものと思います。個々の場合については、実は私、賠償支払いを何ぼ見ておるか、対日援助費を何ぼ見ておるか、対外債務を何ぼ見ておるかというような計数はよく存じませんが、前年百十億だからことしは百億見ておるということで出て来ておると思いますが、私の説明が不十分な点は事務当局主計局長から御説明申し上げることにいたします。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣はガリオア勘定の性質についてはしばしば御答弁になりまして、大体本委員会におきましても政府のお考えのところはわかるのでありますが、これは説明だけでありまするから非常に重大とは考えません。また実害は今までなかつたのですからこれもよい。しかしながら考え方としてこういう考えがあるならば、これは私はたいへんだと思うのが一つ、それから今のように、国会承認をあらためて経ねばならぬような手続がさらに、かりに債務であるとしても、いるのでありますから、そういうものは今後、その他の連合国に対する各般経費に百億円組むというのであるならば、私は対日援助費返済というその説明は省いておくことが穏当であろうと思います。この次にさようになさる御意思がございませんか、それなら私はいいと思います。
  38. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 吉田さんの御意見にまことにごもつともに思われる点もありますので、これは一ぺんよく検討させていただきたいと思います。これも率直に言うと、二十六年から続いておるものですから、そのまま実はことしもやつたわけでありますが、あるいはこの対日援助費の問題等が急速に解決するような見込みでもつきますれば、その辺の兼ね合いもございまするので、ひとつよく検討させていただきます。
  39. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいまの問題に関連してお伺いします。河野主計局長の著書の「財政雑記」の中を読んでみましても、私は先ほどの主計局長の御答弁ならば、これは予備費で組んでよろしいのじやないか、どうしてわざわざこういう費目を設けたかということをいま一度お伺いしたい。二十六年度の予算説明の中では、対日援助費ということよりも、むしろ外債の支払いということを中心目標にされたように私たちは記憶いたしておりますが、大分本日の答弁は、その当時の説明と齟齬しておるように了解しますが、この点に関する大臣のお考えをお伺いします。
  40. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 この点はむしろ当事者である河野主計局長答弁の方が御満足が行くと存じますので、主計局長をして答弁させます。
  41. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 予備費とどう違うかということでありますが、予備費でありますと、これがいかなる予算外あるいは予算の費目の上でどういうものが不足するか、あるいは予算外に生ずるものがどういうものがあるかわからない、つまり発生が予測されないといつたものについて予備費を置いているわけでありますが、ことしの予算には災害対策予備費というものが載つておりまして、これも予備費でございますが、これは災害対策のために出される予備費でありますが、一応災害が発生するといつても、それがどういうような規模で、どういうような対策を講じなければならぬといつたことが予定されないといつた意味で予備費というものを計上いたしております。しかし理論上の問題といたしまして、平和回復善後処理費というものを予備費で計上することも決して不可能ではないと私は思います。しかしながらかりにそういつた場合が年内に起つて来たといつた場合に、財源を特定いたしておきませんと、ほかの経費に使つてしまう、あるいはその場合に大きな補正予算を組まなければならぬ、こういつた財政上の技術的な面の問題におきましても、いろいろな困難が出て来るのじやないか。独立いたして平和回復に関連していろいろな経費の必要が起つて来ることがあらかじめ予想せられる場合に、予算上の財源を備えておくという意味におきまして、こういつた経費を置くことは、私は財政法上決して違法でないと考えております。  それから第二点の問題でございますが、昭和二十六年のときにも、これは外債ということを申し上げましたが、たしか平和の回復が近きにあるので、そういつた関係のいろいろな経費を支弁ずるためであるというふうに申し上げておつたと思います。それから二十六年度百億で、これが全額繰越しになりまして、二十七年度百十億と十億ふえましたのは、私どもが考えておりましたのは、接収せられた家屋が解除になりまして、その解除のための原状回復の経費をふやすという意味で十億計上いたしたわけであります。それから二十七年度としまして一番多く出ましたのは外債の問題でございまして、これも年度内に処理できるかどうか実はわからなかつたわけでありますが、幸いに処理できましたので、この経費から出しておるわけであります。ガリオアにつきましては、ただいままで申し上げました通り、その段階には至りませんが、かりにそういつた場合の財源的処理に困つても困りまするので、そういつた経費考え方をいたしておるわけであります。
  42. 藤田義光

    ○藤田委員 大蔵大臣にはいずれまた日をあらためてお聞きしたいと思いますが、ただいまの吉田委員質問に対しまして、大づかみに百億というふうに了解して、前二年度に計上しておるから、それをそのまま盲判を押したような意味の御答弁がありましたが、そういうふうに了解してよろしゆうございますかどうか。  また主計局長の御答弁によると、外債というものは大体わくがきまつておりますが、そのほかのものは、支出の目標、金額等がはつきりしておりません。ましてやガリオア等の性格に対しても疑問がありますにもかかわらず、これを大体予備費と区別して、わざわざ独立の項目をつくられたということに関して私はどうもはつきりしない。外債だけを目標にし、あるいは接収家屋の解除を目標にしておるならば、ほかの平和回復善後処理費というような名目にする必要はないのじやないか、かように考えておりますが、この点に関しまして、何か大臣は前年度こういう費目があつたから、そのままそれをことしになつて十億減る理由も確かめないでこれを了承されて、国会に出されたのかどうか、お聞きしておきます。
  43. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 これは私は大づかみと申し上げましたけれども、これは私もよく了承して大づかみに出したという意味でございまして、御承知のように、連合国に対する賠償問題につきましては、フイリピンの沈船を初め、賠償もだんだん具体化して参つおるということであります。また対日援助費の問題にいたしましても、これは西独の方でもイタリアの方でも解決しておりまして、だんだん日本としてもこの問題を解決するところに歩を進めて来ておる。従つて本年度内にはこういう問題が相当らちがあいて行くであろう、但し賠償幾らにきまるか、こういう問題は、これを正確に数字的にあげることはむずかしい、また対日援助費の問題につきましても、これを正確に数字的にあげるのがむずかしいから、その意味で大づかみに申し上げておるのでありますが、これらの問題が、いずれももうよその例から見まして、あまり遠からぬうちにだんだん解決するように向つておることは、これは藤田さんもよく御承知であろうと思います。そういう意味でこれを計上いたしております。従つて私は、十億というのは、百億でなければいかぬ、こういうふうに正確に考え意味ではございませんけれども、これを計上することは予算措置上必要であろうと考えて計上した次第であります。
  44. 藤田義光

    ○藤田委員 大蔵大臣に対する質問を保留します。正確に百億ということを考えて計上したものではないということでは、大蔵大臣予算をつくられるのに際しまして、不正確な予算を編成されたというふうにただいまの答弁からは私了解しますが、よろしゆうございますね。いずれ日をあらためてこの点は詳細に伺います。
  45. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ちよつとお答えしておきます。不正確にやつたわけではありません。最も正確を期しておりますが、ただ賠償等で、これは先方と話合いのあることであつて、この点は賠償幾ら幾らときまつたものではない、また対日援助費につきましても、これから向う交渉し合つて話をするわけでございますから、この金額がきまつたわけではない、こういう意味を申し上げておるのであつて、いわゆる正確というのは、何十何億何千万ということでしようが、そういうことでないという意味を申し上げておるのでありますから、この点ひとつ誤解のないようにお願いしておきます。
  46. 藤田義光

    ○藤田委員 日本を長年占領いたしておりましたマツカーサー元帥に当院といたしましては感謝決議をいたしております。おそらく敗戦国が占領軍の司令官に感謝決議をするというようなことは、後世の歴史家にとつては、あるいは醜態と笑われるかもしれない。それをわれわれがあえて議をいたしました一つの大きな理由は、ガリオア、イロアの資金による対日援助の問題であります。ところがこの問題に関しましては、当委員会の論議を中心に対米債権債務として大きく浮び上つて来ておるのでございます。私は今後具体化するであろうMSAの援助の問題に関連いたしまして、何か副総理の手元で情報をお持ちになつておるかどうか。言葉をかえれば、イロア、あるいはガリオア資金の対米債務の返還に関連しまして、MSA援助の一部と帳消しになるようなことは予想されないかどうか。こういうことも相当国民が関心を持つておりますので、この機会にお伺いしておきたいと思います。
  47. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 今藤田委員から御質問の点につきましては私特別に何も情報を持つておりませんが、従いまして私が申し上げることは想像でありますが、MSAに関連してかりに援助があつた場合、それとガリオア債務に類するものとの相殺は、相手によつて時には違うのじやないかと私は考えます。国の支出としての帳じりにおきましてはそういうことも考えられるかと思いますが、項目としては別なカテゴリーに属するのではないか。ただしかし初めに申し上げましたように、まだ何の情報も持つておりません。
  48. 藤田義光

    ○藤田委員 四千七百万ドルの対米債権処理に関しましては、全国民が非常な関心を抱いているのでございますが、大体この事務的な処理外交的な交渉がいつごろまでに終る予定でございますか、お伺いしておきたいと思います。
  49. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 この債権につきましてはアメリカ側におきまして確認をいたしておりますので、あとはこれをどう処理するか、それはいつの時期かということでありますが、おそらくこれはガリオアその他錯綜いたしております日本アメリカの間のすべての債権債務処理する場合に行われるのではないかと考えております。もちろん今おあげになりました四千七百万ドルの債権ガリオア債務に類するもの、この間には性質上の違いがありますけれども、そういうものはやはり両方の国の間の交渉といたして、同じような時期にすべてのことが処理されるのではないかという、これは私だけの見通しでございます。
  50. 藤田義光

    ○藤田委員 吉田内閣の副総理としてひとつこの機会に権威のある御答弁をぜひお願いしたいのでありますが、それは全部の債権債務を一緒に処理するということでございますが、すでに独立しましてから一年半を経過いたしております今日におきまして、この問題はよほど迅速しかも適正に運営されませんと、国民感情にも悪影響があるということが憂慮されるのでありまして、この際副総理としましては、大体いつごろまでにこういう問題は処理を終らせたいというような、おそらく具体的な構想も一応お持ちではないかと思いますので、この機会に副総理個人の見解としてでもけつこうでございますが、大体いつごろまでに交渉を終らせたいお気持でありますかどうですか、伺いたいと思います。
  51. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 これは東京ワシントンとの間に往復をして——書類の往復あるいは間接交渉等ではなかなか敏速にかつ的確に参りませんので、今お話のようにすでに独立後一年以上を経過いたしておりますので、なるべく早くこれをワシントンにおいて処理いたしたいと考えまして、先般来あるいは向井前大蔵大臣でありますとか、その他の人々の米国出張を考えておつたのでありますが、まだその問題は決定しておりません。でありますが、政府といたしましてはできるだけ早い機会にこれらのすべての問題を、アメリカとの間に円満にかつ日本国民負担の上にできるだけ有利に処理いたしたいと考えている次第でございます。
  52. 藤田義光

    ○藤田委員 先般の新聞が報道しておりましたが、これらの問題に関連しまして吉田総理が渡米されるのではないかということもいわれております。私は非常に事は重大でありまして、国務多端でありますが、この問題の早急な解決のためには、それほどの外交的な手段を講ずることも必要ではないかと考えている一人であります。もし総理がどうしても渡米不可能ということになれば、前大蔵大臣等ではなくて、現役の副総理あたりでもぜひとも出かけて、早急な解決をすべきではないかというふうに考えておりますが、新聞に吉田総理の渡米の情報が出ておりますから、おそらくこれは火のないところに煙は立たぬわけでありまして、何か具体的な計画があるように私たちも承つておりますが、この計画に関しましてお伺いしたいと思います。それからいつごろ交渉を終るかの問題でございますが、私がお尋ねしているのは、大体二十八年度内くらいに終りたい、あるいは二十九年度前半くらいには終りたいという大まかな見通しでもけつこうでございますが、この際ありましたならば総理の渡米問題と関連してお伺いしておきたいと存じます。
  53. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 総理の渡米問題につきましては、先般予算委員会におきまして総理自身の口から、もしこれがアメリカ日本との間の問題の処理に役に立つならばいつでも行きたいという意味のことを言つてつたと思います。これは総理の気持にはあると信じますが、ただその時期つまりこちらの国会あるいは先方の暑中休暇でありますとか、あるいはその他よくアメリカ政府責任者は海外に出るようなことがありますので、そういうものを見究めなければこつちだけで決定はできないのじやないかと考えております。それからかりに何人かワシントンに参りますとして、その処理はおよそいつごろになるか。これは私から申し上げるだけの見通しを持ちませんが、かりに初め政府で計画しておりましたように、今ごろ人を派遣し得るといたしますならば、おそらくはそう長い時間を経ずして解決ができるのではないか。二十八年度以内に解決することは不可能ではないであろうという想像を持つております。
  54. 藤田義光

    ○藤田委員 日本国会におきましては対米債権債務の問題が非常に論議されておりますが、去る六月末に終りましたアメリカ国会におきましては、対日債権債務の問題がほとんど論議されておらない。私はこういう点からしましても、日本外交交渉による対米債権折衝等がほとんど行われていないのじやないかというふうに考えているのであります。また対日債務が論議されないのは、ガリオア、イロア資金等に関しまして、最近日本に放出するときにはアメリカ国会において盛んに論議されておりますが、ところがその処理に関しましてほとんど論議がないところからしまして、私たちは、おそらくアメリカ国会としましては、これらは名実ともに日本に対する無償援助ではないか、というように了解しておつたのでありますが、アメリカ国会において論議が全然出ていないという点に関しまして、この際緒方総理のお気持をお伺いしたいのであります。日本の駐米大使もりつぱな方が行つておられますが、何もこれらの大問題を国会処理するために働きかけられるというようなこともなかつたのかどうか。この点も国民の一人として非常に心配いたしておりますので、この際お伺いしておきたいと思います。
  55. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 この問題につきましては、先般予算委員会におきまして野党側の御質問に対しまして、大蔵大臣からお答えのできるだけをお答えしたと考えますが、今の朝鮮貿易の帳じりの四千七百万ドルの問題につきましても、新木大使の赴任の当時に訓令を与えまして、その後外務省と在東京アメリカ大使館の間に往復していることも事実であります。ただその後どういうふうに発展しているかということにつきましては、私ここでお答えをいたすだけの情報を持つておりません。
  56. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 緒方総理ちよつと尋ねたいのですが、この間対米債権の問題につきまして、外務省の経済局長がここへ来られたときに伺つたところによりますると、対米債権支払い方の交渉アメリカに向つてした、こういう話であつたのです。したとするなればどういうアメリカ側の回答があつたのか、こういうことを尋ねましたところが、どうも回答の内容はここではちよつと発表しかねる、こういうことを申されましたので、われわれは実は外務大臣に出てもらつて、その点を伺いたいと思つてつたのでありますが、機会がまだありませんので、本日は副総理がここへ見えておりますから、そういうことについて、副総理は何か外務大臣あるいは総理等の間において聞いておることはございませんですか。
  57. 緒方竹虎

    緒方国務大臣  私は黄田経済局長と、アメリカ大使館のウエアリング参事官との間に交渉しておるということは承知しておりますけれども、それ以上の具体的内容はまだ聞いておりません。まだ結論には達していないと考えます。
  58. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 しかしこれは非常に重大な問題でありますから、外務大臣が承知しておれば、外務大臣総理にそのようなことは報告しておるのではないかと思うのでありますが、そういうようなことは総理報告しないで、ただ外務大臣が自分の心の中にしまつておくというようなことは、どうも内閣統一の点からいつてどうかと思うのでありますが、その点はどうですか。
  59. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 はつきりした見通しを持ちました場合とか、あるいは何か結論に達しました場合には、外務大臣はむろん即刻総理報告いたすと思いまするが、今御指摘の問題については、事実私は何も聞いておりません。
  60. 田中彰治

    田中委員長 委員諸君にお諮りいたしますが、本会議が始まりましたから………。
  61. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私一点だけ伺いたいのですが、対日援助物資の処分関係におきまして、通産省の批難事項、二十六年度報告番号八三五号、二百二十八ページの事件で、すでに本委員会において論議されることになつておりますが、これに関連する御説明だけ聞いておきたい、こう思います。
  62. 中野哲夫

    中野政府委員 お答え申し上げます。ただいま御質問の件は昭和二十六年度で、対日援助物資特別会計の執行につき、御指摘通り、会計検査院から批難を受けている問題でございます。この問題につきましては、二十六年度の御審議の際とくと当時の事情を申し上げまして、御了解を得たいと思つてつたのでありますが、ただいま御質問でございますので、概要申し上げたいと思います。援助物資としていろいろな物があつたのでございますが、そのうち本件は石油の援助物資、つまりガリオアによつて輸入したという問題でございまして、当時の通産省は、これは昭和二十六年に入港いたした石油について起つた問題でありますが……。
  63. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 数額をおつしやつてください。
  64. 中野哲夫

    中野政府委員 その前に全貌を申し上げますと、援助物資の石油を通産省が、援助物資特別会計から出先に売渡しました数量は、船数にして約九十ぱい分、二十八万キロリットルに及んでおりまして、当時の価格にいたしまして十七億九千六百万円余に上つているので、このうち大半の物資の売払い代金につきましては契約通り収納をいたしておつたのでございまするが、昭和二十六年六月に最後ガリオア石油といたしまして二隻アメリカから船が入つてつたのでございます。御承知の通り、二十六年七月からは、対日援助物資はアメリカとして完全に終止符を打つた、こういうことに相なつておりまするが、その最後の二隻分について代金の滞納が起つたのであります。これにつきましては当時の役所として、監督の不行届きというような点がございまして、まことに遺憾と考えておるのでございます。それでその後会計検査院御指示もありまして、いろいろ私の方の局の援助物資課において回収に努めました結果、本年の五月にはこの最後の二隻分、数量にいたしますと約三万二千キロリツター、代金にいたしまして、当時の売買価格において二億一千七百万円でございます。この代金全額の徴収を了したのでございます。またこの代金について納入遅延をいたしましたので、その延滞利息といたしまして約九千七百十万円余りが残つておるのでございまするが、この分も来る十月末まで毎月おおむね二千万円ずつこういうことで分割払いを命じまして、誓約書もとり、またこれを確実ならしめる意味におきまして約束手形も取付けておるような状態でございます。  なおもう一つ申し加えておかなければならぬと存じまするのは、会社側が引渡し前に無断使用した、これは当時タンクが足りない、あるいはなるべく船がついてから品物を輸送費をかけたりしないというために、当時の制度といたしまして、吉田委員も御承知の通り、出保管の制度をこの油についてもとつてつたのでありますが、それが一時無断使用せられた分が生じました。これについては初めからの出保管契約によりまして違約金をとるという建前になつておりました。この分が累計七百八十八万円余りになりまするが、これにつきましてもこの十月までに完済する、こういうことにいたしておるのでございます。七月分までの月別の納入金もわれわれの方に入つておりまして、間違いなくこの十月までに延滞利息及びただいま申し上げました違約金も完納に相なるものと確信を持つているような状態でございます。しかしながらいずれにいたしましてもかような金額が当時いろいろな事情があるにせよ、元金並びに延滞利息がかように長年月を要して取立てるようなことになりました点につきましては、私ども遺憾に存じているような次第であります。
  65. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今のは弁解でありますが、ひとつ事実そのものを検査院に御説明願い、それできようは終りたいと思います。簡単に願えませんか。
  66. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 御説明いたします。事態は結局代金が入らないのに品物を引渡されたために、代金が収納未済で残つている次第であります。そういう事態がどうして起つたかということでありますが、これは御承知のように、予決令の第七十三条に、国に属する財産を売払う場合には、代金をまずとつて、しかる上に品物を引渡す、こういうことになつております。なお国の所有に属する物品の売払代金の納付に関する法律というものがありまして、本件のような事態は確実な担保をとりまして、六箇月間の延納が認められておるような次第でありますが、さような措置もとられなかつたために、かような事態が起つたものでございます。事実関係はこれに記載してある通りでございます。
  67. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは次の機会に詳しくお尋ねいたします。
  68. 田中彰治

    田中委員長 中野政府委員にお尋ねします。全部決済は済んでいるんですね。
  69. 中野哲夫

    中野政府委員 この十月に全部済みます。
  70. 田中彰治

    田中委員長 本日はこれで散会いたします。     午前三時二十七分散会