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1953-08-01 第16回国会 衆議院 決算委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月一日(土曜日)     午後二時二十一分開議  出席委員    委員長代理 理事 安井 大吉君    理事 天野 公義君 理事 松山 義雄君    理事 町村 金五君 理事 吉田 賢一君    理事 山本 正一君       有田 二郎君    田中 角榮君       池田 清志君    杉村沖治郎君  出席政府委員         総理府事務         官         (調達庁総務部         長)      山内 隆一君         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      柳沢 英蔵君         通商産業事務官         (企業局長)  中野 哲夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局特殊財         産課長)    根本  守君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         会計検査院事         務官         (検査第四局         長)      大沢  実君         日本開発銀行総         務部長事務取扱 西沢 正則君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 七月三十一日  委員天野公義君辞任につき、その補欠として庄  司一郎君が議長指名委員に選任された。 八月一日  委員庄司一郎君、平井義一君及び山中貞則君辞  任につき、その補欠として天野公義君、飯塚定  輔君及び小坂善太郎君が議長指名委員に選  任された。 同日  天野公義君及び山本正一君が理事補欠当選し  た。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事互選  昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十五年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十五  年度政府関係機関収入支出決算     —————————————
  2. 安井大吉

    安井委員長代理 それではこれより決算委員会を開会いたします。  本日は委員長が出席できかねますので、理事の私が委員長の委嘱を受けましてその職務を代行いたしますから、さよう御了承願います  この際理事補欠選任についてお諮りいたします。去る三十一日理事天野公義君及び三十日理事山本正一君がそれぞれ委員を辞任いたされましたのでその補欠選任を行わねばなりません。先例により委員長から指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安井大吉

    安井委員長代理 御異議なしと認め、委員に再任されました天野君及び山本君を理事に御指名いたします。     —————————————
  4. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この際発言を許していただきまして、一言申し上げておきたいことがあります。  それは私どもが所属する社会党におきましては、昨日の本会議における会期延長の決定が無効であると確信いたしております。これは国会法その他の法律によりましても、また議院の慣例によりましても明らかに無効であるという結論を持つております。そこで無効の決議をなすべく手配をいたしておりまするし、かつそれにつきましても議運の方へもそれぞれの手配をいたしております。そこですでに無効であると信じておりますので、当委員会会期のないときに該当いたしまするので、開かないように要請方を先刻の理事会において委員長まで申し出で、その議に上せてもらつたのでありますが、結局他の理事の諸君がそれに同意いたされませんので、やむを得ず本委員会に私は出席することになりました。それはさような根本の信念、確信は持つておりますけれども、委員会が公正に運営され、調査されるように望む意味におきまして、私は委員会に出席し、参加しておるのであります。一言申し上げました次第であります。
  5. 安井大吉

    安井委員長代理 今の吉田君のお話は拝承いたしておきます。  本日は昭和二十五年度決算検査報告書第三百七十三ページから第三百九十一ページにわたる第三の公団関係以下計五十八件を便宜一括議題として会計検査院当局から説明を求めます。会計検査院大沢説明員
  6. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 公団関係の総説に記述してありますところは、二十五年度検査報告締切りの場合の現状を記述いたしたのでありますが、その後公団清算を結了いたしましたので、この際公団全般経理の概要を御報告申し上げたいと思います。  公団は、御承知の通り、二十二年の五月に産業復興公団設立されましてから逐次二十二年度中に十五の公団が発足いたしました。これを概略申しますと、貿易関係公団が四つ、配給関係公団が八つ、そのほかに産業復興公団船舶公団及び価格調整公団、この十五の公団が発足して、それぞれの業務を行つて来たのでありますが、二十四年の四月一日に石油配給公団及び食糧原材料貿易公団解散となりまして、清算に入りました。その後逐次解散されまして、二十六年の四月一日には全十五の公団解散いたしました。その清算はその後進捗いたしまして、二十七年、昨年の八月に鉱工品及び繊維両貿易公団清算結了とともに全公団清算が結了した次第であります。その二十二年から清算結了の二十七年までの各公国の業務状態を総括して申しますると、この間に十五公回においてあげました剰余金は、全部で三百五十六億円ということになつております。そのうち公団設立当初及び特殊な公団においては最後まででありますが、俸給とか事務費というものは別個に一般会計その他の会計から交付するという建前をとつておりまして、そのために交付したのが二百五十九億でありますので、それを差引きますと、純剰余金は九十七億となつた次第であります。  元来公団は当初から配給統制とかその他でいわば損益なしに業務を行うという趣旨で発足したのでありますが、こうした九十七億という大きな剰余金が出ましたのは、これは一つには二十二、三年のころにありましたところの価格差益処理規則が廃止になりまして、公定価格値上りした分利益公団利益なつておるということ、それからもう一つは、公団解散になりまして、価格統制が撤廃された後の在庫商品値上りによりまして、その販売利益上つた、大体この二つにわけられると、思うのであります。その計数を具体的に区分して申し上げることはできませんが、こうした三つの要因によつて九十七億という厖大な純剰余金を生んで清算は結了した次第であります。  なお公団清算結了のときにおきまして現金は一般会計大蔵省に、貿易公団関係通産省の方へそれぞれ納付いたしました。当時まだ未回収であつた債権大蔵省及び通産省の方へそれぞれ引継いだわけでありまして、その木回収債権引継ぎ総額は八十八億であります。これはそれぞれ大蔵省及び通産省においてその後の処理をなされ、いるわけであります。そのほかにもりほとんど回収困難と思われる債権簿外にいたしまして、引継いだ分は四幅九千万円ほどあります。大体こういうような状態公団全部の清算が結了いたしたわけでありまして。その間におきまして会計検査院検査いたしまして、不当事項あるいは不正事項等によりまして、公団損失を来していると認定いたしました数字は、総額で三十四億という数字が出ております。それはその後各方面で回収されましたので、少し統計は古いのでありますが、二十六年十月現在におきまして十八億というものは回収されて。十五、六億というものは当時において未回収なつております。この損失はその後それぞれ公団残務整理あるいは引継がれた大蔵省通産省の方でさらに回収をされておりまして、たしかその後三千万円ほどのものが回収されているというように見てまります。この三十四億という公団損失と認められる金額、このうちにはいわゆる職員不正行為によるものというものが、六億一千三十九万円あります。このうち同じ二十六年十月現在では、三億八千七百万円が回収されまして、二億二千三百万円が未回収ということになつております。これもその後不正行為関係では約一千万円のものが入金しているというように考えております。  大体、公団のおおまかな点を申し上げまして、個々の問題はたくさんになりますので、これを大約して申しますと、この二十五年度の検査報告に提げてありますものは。一つ売掛金その他の未収債権が非常に多いという点と、もう一つ職員不正行為が非常にたくさん掲げられておるわけであります。この職員不正行為は、一般官庁に比べますと、非常に多いという感じがいたすのでありまして、その原因は結局公団という組織が設立当初から法律上一年というような短期間の生命を持つて生れて来た。従つてその職員公団解散後にどうなるかというような生活上の不安その他がありまして、ほんとうにおちついて仕事ができなかつたのではなかろうかという感じが非常にするわけであります。とにかくそうした事情があるにせよ、非常に不正行為が多かつたということは遺憾なことと思つております。  なお、未収債権の多いのも逐次掲げておるのでありますが、そのうちのおもなものをかいつまんで申し上げますれば、まず三百七十五ページに掲げてあります一〇五六から一〇六〇までの分は、これは食糧配給公団末端機関、いわゆるお米屋さんでありますが、当時代位配給所といつておりましたが、この代位配給所あるいは委託配給所というところで米を売つて、その代金の売上げをとりながらも、それを本部に回収して来ずに、その間において他に流用した等のために未収なつておる。これは毎月々々の報告を各公団支部なり支局なりで十分に把握しておれば、こうしてたくさんたまるまで放擲しておかなくても済んだのではなかろうかと思つております。ここに掲げてある未回収金はその後若干は回収されておりますので、現状は多少減つておりますが、一〇五八号は全額回収されております。その他の分につきましては。まだ相当の未回収残額があります。  それから三百七十六ページの一〇六一号に掲げてありますのは、公団があまり価値のない抵当物件抵当といたしまして、根抵当を設置しまして、そうして売掛けを継続しておつたために、一千万円にのぼる売掛金が累増しまして、これが回収困難になり、しかも抵当物件先順位抵当権が設定されていたというような状態で、検査報告には千五十四万七千円とありますが。その後調査の結果。この数字は千二百万円という売掛金がこげつきまして、これは現状におきましても、全然回収をされていないような状況であります。あと同じような事態がありますが、個別の問題は御質問に応じまして御説明いたすことにいたしまして、おもなものにつきまして御説明申し上げました次第であります。  なお続まして三百九十一ページに復興金融金庫の件が出ておりますが、これが六件ほど出ておりますのは、すべて金庫の方が抵当権を設定すべきであつたのに、設定を怠つておる間に、他の銀行先順位抵当権を設定された、こういう事態でありまして、その後復金業務を引継がれた開発銀行におきまして、相当それぞれの処理をされまして、あるいは先順位を取消すとかその他の方法相当処理はされております。まだ処理のなされていないのもありますが、この復興金融金庫融資につきまして、融資残高に対してはすみやかに抵当権を設定して、その担保力を増さなければならぬということは常々主張して参つたところでありまして、復興金融金庫当時から、さらに引継ぎまして開発銀行になりまして、その方に鋭意努力された跡が出ております。最近二十八年三月の状態によりますと、未収債権のうち、件数にしまして八三%、金額にしまして九四%というものは抵当権が設定されております。その他のものについて、あるいは抵当物権のないのもありましようし、その他のものもありましようが、なおそれぞれ努力されておることと思つております。その抵当権をすみやかに設定されないと、ここに出ているような問題がまた繰返されるのではなかろうかという懸念がありましたが、ただいま申しましたように、相当なパーセンテージまで抵当権が設定されて、こうした問題はこれからはあまり起つて来ないのではないかと考えられる次第であります。  以上で復興金融金庫の御説明を終りまして、ちよつと恐縮でございますが、飛びまして、三百九十七ページの商工組合中央金庫の点が一件検査報告に掲げてありますが、これは商工組合中央金庫八王子出張所長がその地位を利用しまして、本来ならばできないところの手形の支払い保証、そうした方法によりまして資金的便宜を与えまして、二千四百万円というものを貸し付け、そうしてこれは金庫としましてはやむを得ず貸付金に振りかえておるのでありますが、これは四十五万円が回収されただけで、そのほかの分は回収されていない、こういう状態であります。  連合国軍人等住宅公社の分は第二局長の方から御説明申し上げます。
  7. 安井大吉

    安井委員長代理 第二局長上村説明員説明を求めます。
  8. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 連合国軍人等住宅公社について御説明申し上げます。  本公社は二十五年にできまして、二十六年度一ぱいでなくなりまして、大蔵省一般会計に引継がれております。検査報告に掲げましたうち、一一 ○八号と一一〇九号について御説明申し上げます。  一一〇八号は、連合国軍人等住宅公社横浜支部鹿島建設ほか八会社住宅を請負わせたものでありまして、その工事費が十二億になつております。これは四百六十戸建設するものでありまして、当初は予定価格と同額の九億七千余万円で契約されたものでありますが、その後資材、工法等についてしばしば設計変更が行われました結果、十二億余万円に契約なつたものであります。その内容について見ますと、正式に仕様書に記載されてある規格以上の良質材を使用するとか、あるいはその他工法変更するというような関係がありまして、そのために七千六百余万円工事費が増額になつておるような状況であります。これは契約から申しますと、契約通り施工すればよろしいわけでありますが、現地における軍のさしずによつて、いろいろの変更が加えられたわけでありまして、正式に申しますと、軍の正式変更命令によつてさような措置がとらるべきものでありますが、現地における交渉が必ずしも十分でなかつたというような点からいたしまして、かような事態が生じたものと思います。  なお当初の工事費五億七千余万円について見ますと、他の支所におきましては、調達庁で定められました設計工事数量、そういうものによつてつておるのでありますが、横浜におきましては一三%から一九%を過大に計算し、あるいは誤つて二戸建建築をする場合に、一戸建の建築費の二倍にするというようなことがございまして、五千万円が過大に予定価格に積算されておるとしいうふうに考えられます。  また仙台支部におきましても、ほぼ同じような四億六千余万円で契約されまして、予定価格はそれとほぼ同様でありますが、その内容におきましても、工事の単価、数量等を過大に見積られたようなものがありまして、結局において五千万円が予定価格において高価になつておるというような事態があります。ただいま申し上げました点は予定価格については申し上げたものでありまして、実際の契約にあたりましては入札になつて一般競争に付せられておりますので、予定価格は非常に甘いということは申し上げられますが、結果的にははたして予定価格変更した場合にできたかどうかという疑問はありますが、予定価格について非常に考慮すべき点があつたという点を申しておるのであります。  それから一一〇九番の問題でありますが、これは仙台支部鹿島建設外会社に請負わせた住宅用上水道新設工事の問題であります。その第一点は、水槽関係鉄塔工事でありますが、この鉄塔工事設計が必ずしも十分でなかつたために途中から屈曲を生じた事態であります。これは調べてみますと、実施せられた設計によりますと、大体水槽断面積平方センチ七十キロが大体限界でありますが、本件はその上に載せられまする水槽の満水時の荷重はそれの約七・三倍になつているという状況でありまして、設計がよくなかつたということでありまして、このために三百八十余万円を補修するとすれば要すると当局者で計算されているわけであります。  その次の第二点の問題は、鋳鉄管の問題でありまして、鋳鉄管につきまして、輸送費として百六十余万円を予定価格に計上されておりますが、鋳鉄管の単位は統制価格におきまして輸送費が一応その中に包含されてるわけであります。さらにその上に輸送費として予定価格に積算されたわけであります。この点については注意いたしました結果、両者の見積り内訳によりますと、百六十万円が百三十余万円に積算されておりますので、それを当局において減額するという措置をとられて、現在においてはこれは回収済みなつております。そのほかの点については御質問に応じてお答えいたします。
  9. 安井大吉

    安井委員長代理 ただいまの説明に対して政府当局並びに冬関係当局において、特に補足説明を必要とされる向きに対しては、この際発言を許します。
  10. 山内隆一

    山内(隆)政府委員 ただいま会計検査院から御説明がありました一一〇八番から一一一〇番につきまして、ごく簡単に調達庁の立場を申し上げたいと思います。  最初一一〇八番について申し上げます。本工事米軍側で作成した仕様書図面によつて競争入札をいたしたのでございますが、普通国内工事の場合と違いまして、入札時の現場の軍監督官の裁量により施行する部分が、きわめて多かつたのであります。入札前極力軍と折衝しまして、このいろいろの問題を確定してから臨んだのでありますが、着工後間もなく軍の監督官が更迭しまして、前のとりきめを無視いたして進めておりましたので、当局としてはこれが是正に極力力を尽したのでございますが、ここに御指摘のようなことになりましたので、まことに遺憾に存じております。また予定価格の作成につきましては、当時急速に仕事を進めざるを得なかつたために生じたとは申しながら、これまた遺憾に存ずるところであります。ただ二回の入札によつても落札いたしませんで、随意契約なつたので、その折衝の際に相互の見積り内容を検討いたしまして、不適当なところは是正いたした次第でおりもして、その点御了承願いたいと思います。  それから一一〇九番でありますが、仙台支部の三沢の工事の問題であります。高架水槽につきましては、米軍から示された設計図が、隣接地点にある既設のものと同様でありましたこと、及び仕事が急がれていたために、これを検査するためには技術的に数週間もかかる予想がありましたので、そのまま施行をいたした次第であります。この点まことに遺憾に存じておりますが、既設のものについて幾分屈曲している事例があるので、事前に発見できたのではないかという検査院の御意見もございましたが、これも本件事故が生じたので、念のためにトランシツトで調査しました結果、初めて判明したような次第でありまして、既設のものに事故がないと思つておりましたので、あと工事につきましても事前に発見することができなかつた次第でございます。  それから鋳鉄管輸送費につきましては、検査院指摘通りで申訳ございません。これはすでに全額回収済みでございますことを申し添えておきます。  それから一一一〇番でございますが、これは局の経理課のごく下の雇員と、同じく部外者一名とによつて小切手を偽造された事件でございます。事件発生以来極力回収に努めましてあらゆる努力をいたし、これが親戚等も十分調べまして、その親戚についての回収方努力もいたしたのでございますが、いかんせん資力が乏しいので、現在までのところ回収額は五十四万二百円でありまして、現在残額が百十八万七千八百円となつております。この事件の発生した名古屋局におきましては、今日でもなおいろいろその回収に力をいたしておりますが、当人らはすでに刑期を済ませておりますけれども、経済的に困窮はなはだしいので、なかなかこの残額についての完収は容易でないと思つております。しかし簡易裁判所におきましては和解が成立して、債権ははつきりいたしておりますので、今後も引続いて極力これが回収に努めたいと思つております。なお当時名古屋におきましては、かようなことを繰返さないために、いろいろこの小切手返還取扱い方法あるいは監督者監督方法等も改めまして、将来かようなことが絶対にないような仕組みのもとに進めているような次第でございます。
  11. 安井大吉

    安井委員長代理 以上各案件に対しまして、各関係機関別に順次質疑を願います。吉田委員
  12. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まず一般的にお尋ねしたいのでありますが、三百七十三ページの公団の総括的な御説明のうち、各公団解散時における売掛金その他債権は五百八十二億八千九百余万円であつた、二十六年三月末には百九十九億四千万余円になつているという記載であります。御説明によると、二十六年の四月一日には全公団解散なつております。そこでまずこの各公団における売掛金などの残債権などはどれほどであつたか、各公団ごとについての数字を御説明願いたい。
  13. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 ただいま資料を探しておりまして、公団別のそのときに五百何十億なり百九十億に該当する数字はちよつとお待ち願いますが、その後この売掛金は逐次解消されまして、清算結了の場合に大蔵省なり通産省へ引継いだ債権というものは八十八億ありまして、その公団別内訳はわかつております。一番多いのは配炭公団の分が十七億、それから油糧砂糖配給公団というのがありましたが、それが十四億、原材料貿易公団というのが十六億、十億を越す債権を引継いだのはその三つでありまして、そのほかに食糧貿易公団が九億という債権を引継いでおります。それから食糧配給公団は八億七千八百万円、あとはずつと下りまして、産業復興公団は五億三千八百万円、こういうようにそれぞれの債権を、貿易公団の分は通産省の方へその他の分は大蔵省の方へ引継いでいる次第であります。
  14. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大蔵省管財局特殊財産課長根本説明員が見えておりますね。今検査院の方から御説明になりましたが、その十五公団の持つております残余財産は全部一応大蔵省が引継いでおるのでありますか、いかがですか。
  15. 根本守

    根本説明員 さようでございます。貿易公団を除きました十一公団につきましては、全部大蔵省残余財産として引継ぎを済ましております。
  16. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 残余財産大蔵省が全部引継ぐというのが建前とは違いますか、いかがですか。
  17. 根本守

  18. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、通産省大蔵省とわけて伺うことにいたします。  大蔵省におきましてこの残余債権のうち、今検査院の方の御説明になりました分に該当するその債権は、どういう措置がとられて現在どうなつておりますか。それの御説明を願います。
  19. 根本守

    根本説明員 債権としまして引継ぎましたものは、大蔵省管財局におきましてこれの整理に従事いたしておるわけであります。
  20. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大体数字を入れて説明してください。
  21. 根本守

    根本説明員 それで各地方におきましては、財務局財務部におきまして実際の徴収に当つておるわけでございますが、大蔵省引継ぎました総額は六十一億九百万円という数字なつております。それでその徴収でございますが、二十五年度におきましては一億二百万円、二十六年度におきましては六億七千九百万円、二十七年度におきましてはまだ計数が確定いたしておりませんが約十三億五百万円ということでございます。また……。
  22. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 回収ですか。
  23. 根本守

    根本説明員 はあそうです。その他の残余財産でございますが、これは各公団にございまして、一番大きなものは船舶公団から引継ぎました共有船舶でございます。これが現在百二隻ばかりございますが、これも管財局におきまして管理運営をいたしておるわけでございます。  大体以上でございます。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方で六十一億九百万円の、かような売掛金並びに債権を引継いでおられるのだが、厖大な金額で驚くほかはないのです。これは売掛金が大部分なのでしようか、それともそうでない債権が多いのでしようか、その辺の区別をちよつと伺つておきたい。
  25. 根本守

    根本説明員 売掛金が大部分でございますが、それの遅延損害金その他が相当つております。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大蔵省におきましては、こういう六十億円の売掛代金、債権公団から引継いだ後、かようなものがなぜ発生したのであろうという点、言いかえますると、六十億円の大部分が売掛代金で回収ができないので引継いだのであろうとわれわれは想像するのです。回収ができれば、公団といえども回収して、きちんと清算を済ますべきであります。それができないから引継いでいるので、一応は国家へ損害をかけているわけなのであります。六十億円からの損害をかけたのでありまするから、実に大きな問題として考えなければならぬと思います。大蔵省はその際この種の大きなとれない売掛金が発生したのはなぜだろう、こういうことについて相当深く研究をなさつておるものとわわれわれは推測いたします。さような研究をされましたでしようか。何かそこによつて来るところについて相当行政上参考となるべきものもあつたであろうと思う。その原因などについての大蔵省の持つておる所見を伺つておきたい。
  27. 根本守

    根本説明員 六十一億の債権のほとんど全部が不良債権であろうというふうな御意見でございますが、これはすでに徴収済みの債権が二十億ばかりありますように、全然とれない債権というわけではないのでございまして、まだ相当残余を余しておりますが、本年度の予算にも計上してありますように、二十八年度におきましては十億を予定しておるような次第でありまして、われわれといたしましては万全の努力を払つておる次第であります。そこで、それにしましても、不良債権とわれわれが考えられるようなものは相当あるというわけでございますが、この原因がどこにあるかということは、住宅公団清算につきまして大蔵省監督をいたし、あるいは清算の結了につきまして大蔵大臣が承認を与えるというふうなことから、清算につきましては十分タツチをして参つたわけであります。結論といたしましては、結局各公団は、先ほど会計検査院からお話がありましたように、設立当初からすでに廃止されることがきまつてつたというふうな特殊な状況のもとに生れておつた機関である。そういうことから職員の身分というものが、本人たちから考えますれば非常にあやふやなものであつたというふうなことが、不正事件を多く発生さした原因ではなかろうか、そういうふうにまず根本的には考えられるわけでありますが、その間には正常な経理が行われなかつたこと、国の会計とは違つた経理が行われたこと、あるいは売掛代金の預託金、業務勘定に属する預金が職員の出し入れの自由にまかされておつたこと、そういうふうなこともございまして、会計制度の欠陥ということがまず考えられる第二の点であろうと思います。それから批難事項に指摘されております商品代金の回収当を得ないものにいたしましても、あるいは資金管理当を得ないものとして指摘を受けましたものにいたしましても、大部分が食糧配給公団に属するものでございます。これは食糧配給公団が非常に厖大な機構を持つてつた——全国九万の職員があつたわけでございますが、全国に二万箇所の配給所があつた。平均いたしましても、わずかな人員で一つの配給所が守られておつた。そういうふうなところで不正が生じやすい、あるいは売掛代金の本部への送付が容易にできないというふうな事態が、そういうところから惹起したのではなかろうか、そういうふうに考えておる次第でございます。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはその後のこの種の財産の管理あるいは処理の衝に当つておるあなたに、そういう説明を伺うのはあるいは無理かもわからぬ。で、やはりあとからの政府側の説明は、いかなる場合でも大同小異、あなたと同じようなことをおつしやるのです。それは戦後思想の混乱であるとか、あるいは永続しない施設であるとか、あるいはなれない職員であつたとか、その間の職員側の乱雑な面等を指摘されるのは、この委員会における大体共通した傾向なんです。しかしまだふしぎなことには、しからば監督側、たとえば食糧公団にしましても、農林省であろうと、あるいはその他にいたしましても、油糧公団あるいは配給公団鉱工品公団、石油公団等々いろいるありますが、その乱雑なといいまするか、長くなかろうところの公団に勤める職員が、従つて素質があまりよくなかつたということも、一つの原因としてうなづけますけれども、かえつて根本は引締めて行かねばならぬところの監督の政府側におきまして、相当な手落ちがあつたんじやなかつたかと思う。あまり長続きしない公団ならば、そのつもりで監督すればいい。また乱雑ないろいろな要素の職員が入つて来るならば、それはそれでまた規律を立てればいい。かかつてすべて政府の責任にあつたことを課長であるあなたに質疑応答をすることは適当でないと思います。思いますけれども、やはりその点は省みて自分のことを言わなければならぬことを落としておられるのではないかと思う。これはやはり政府側においてもつとなすべきことをしておつたならば、こんなことは起らなかつたであろう。かく八億とか十億とか、配炭公団十七億というようなことを平気で報告せられますけれども、数十億円の売掛金が未回収なつたまま大蔵省に引継がれる、またその他の省に引継がれるということは、これは行政の始末としましては、実に醜悪なものであると私は思う。でありますから、政府側における指導監督業務の指揮監督等が適切を欠いておつたという面については、これはあなた方の方では格別議論にはならぬでしようが、あなたにそれを聞くことはどうかと思うのだが、検査院はそういう点についてはいかなる御所見がありましようか。
  29. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 ただいまの青田委員の御意見でありますが、私ももう一つ加えまして、本件に関しましては公団が発足いたしまして、公団というものの運営がどうなるかということに対しまして、いわば政府当局もはつきりした方針がなかつたのではないか。現にこれは二十二年の検査報告にも当時はこんとんたる状態を示してありますが、と同時にはなはだ申訳ない次第でありますが、会計検査院といたしましても、公団検査というものがどうあるべきかということに対して、相当こんとんとした状態である。そういうことからいたしまして、いわば従来商社として経営しておつたいろいろな貿易組合とか、あるいは配給会社とかいうような会社で経営しておつたものの職員が、そのまま引継がれる、その経理組織がそのまま引継がれて公団となりましたので、公団というものがその点でどうやつていいのかという明確な点がはなはだ早く確立できなかつた。この点に非常に遺憾な点があつたと思います。会計検査院検査の面からも非常に遺憾な点があつたと、私自身今になつて反省しております。そういう点で監督に当られるそれぞれの所管省も十分でなかつたと私も考えております。一つには、これは商社のころは売掛ということが行われておつた。それが公団なつても法律は全然ありませんので、その習慣といいますか、それが依然として行われておつた。しかも配給公団などにおきますと、まず配給ということが一つの問題になつて、それぞれ所管の省の方からは、配給の円滑化ということが相当主張される。そうするとわれわれ検査の目から言うと、そんな金の入らぬやつならば配給をとめたらいいじやないか、こんなことはよく検査の際に出たのでありますが、いやこれは配給ということが至上命令だ、売掛金徴収あとなつても配給はしなければならぬというような状態にあつたために、売掛金の滞納が増加したということが一つの傾向ではなかつたかと思います。この点は二十四年の十二月に公団の物品売払いについても、政府の物品売払いと同様に前納でなければ売渡してはならないということが法律上明定されました。これがもつと早く公団発足の当初からあれば、こうした売掛金の累増は、あるいは防げたのではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第であります。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大蔵省根本説明員に一応伺つておきますが、これはやはり過去のことでありますけれども、大蔵省といたしましては、六十一億円の売掛金等の債務を引継ぎましたその跡始末だけの問題じやなしに、さかのぼつて原因を究明しまして、そこにやはり地方、中央をも含んで綱紀頽廃の事実があつたかなかつたかというところまで、決算委員会としては追究すべき任務もあり、責任も持つておるわけであります。ところが、あなたが来られているだけで、管財局長は来ていない。大蔵省の首脳部も来ておらない。そういうようなことで他の省の——やはり省の監督が最も適切であつたならば、この厖大な損害が加わつておらなかつたであろうという見解等についての説明はできぬのです。これはやはり委員会の運営の上におきましても遺憾でありますので、そのことはそういうふうに申しておつたということをぜひお伝えを願いたいと思うのです。あなたが取立てのようなお仕事をやつておられるかもしれませんけれども、問題はそういうことじやないのです。もつと深いところを究明しなければならぬと思いますので、以上をあなたにお伝えいただくことを御依頼申し上げておきます。  そこで、回収の問題でありますが、一言伺つておきますが、全部が不良ではないのであつて相当回収の見込みがあるというお説でありますけれども、やはりこういうものは全体として不良であるという認識に立たなければいかぬと私どもは考えます。やはり、ここで不良であるとかないとかいう議論はなすべきでないと思う。やはり相当な人員がなければこんな処理はできますまい。また何ほどかの経費が伴わなければこの処理はできませんから、そういうことも考えるのであります。そこで少し末端になりますけれども、伺つておきますが、相当の経費やら人員がなければこの六十一億余万円の総額の結末、解決ができないかと思うのですが、それにつきまして、あなたのできるだけの要点の御説明を願つておけばと思いますが……。
  31. 根本守

    根本説明員 本件公団債権整理に要しております人員と予算でございますが、人員は、財務局財務部におきまして徴収を担当いたしております者が全部で五百名でございます。ただこれは公団債権整理だけではありませんので、国有財産の売払代、あるいは貸付料の徴収、そういう財務局で管財関係徴収に従事しているのが五百名というわけでございます。費用でございますが、全体の数字を明らかにいたしておりませんが、債権回収に要しております旅費が年間四百万円見当であります
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 旅費だけ頭を出しただけではわかりませんが、全体の何%ぐらいそういつた処理に対する費用に充てられるのか、それを聞けばいいと思いますが……。
  33. 根本守

    根本説明員 全体の数字は現在のところ、わかりかねます。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、やはり六十一億円が過去におきましては、まだ七億円何がしかとれておらぬことになります。——二十七年度の方は予定の十三億何がしかは回収したと、こうおつしやつたのでありますか。
  35. 根本守

    根本説明員 そうです。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは二十億になりますね。この問題につきましては、さようなあらゆる角度からさらに綱紀問題として御反省あらんことを望んでおきまして、私は次に移ります。  この食糧公団でありますが、これはたくさんのうちの一つだけ例をあげて質疑しておきたいと思います。この種の問題は、やはりほかの省の場合にも、物資を売るというときによくありましたし、特に農林省関係におきまして、食糧売渡しについては、なかなか出て来るので、この場合、さらに明確にして指摘してみたいと思うのです。一〇六一号というのは、澱粉部におきまして代金を受取ることなしに品物を先渡ししてしまつて、しこうして売掛金一千五十四万円が滞つてしまつた。しかも法律の規定によるならば、代金し受取つた後に品物を渡さなければならぬことになつております。もし代金延納の場合には確実な担保を提供させねばならぬ、こういうことになつているにかかわらず、千万円以上を代金なしで商品を渡してしまつたということは、これは通常の取引とは私ども考えられません。商売人の場合でもこういうことはしないと思いますが、ましてや法律の規定を侵してこれをやつておる事実であります。これはきわめて乱暴な例が指摘されておるものと私ども考えるのでありますが、ずいぶんたくさんにこういう例をしばしば聞かされておりますので、こういうことにつきまして、何か特に御説明を願うことがありましたら、ひとつ聞いておきたいのですがいかがですか。これも大蔵省の方であつたら詳しいことは御存じないということに帰するのですか、根本さんどうですか。
  37. 根本守

    根本説明員 当時の法規に違反をして、代金の授受がないにもかかわらず品物を渡した例でございますが、これはまたことに遺憾なことでございまして、こういう例はほかの公団にも相当あるようでございますが、これにつきましては、過去の監督官庁の問題でございまして、現在その監督官庁がどうということは、われわれとしては言えない立場にございますので、われわれといたしましては、債権回収努力するということで問題の整理をはかりたいというふうに考えておる次第であります。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかし債権整理をするということの場合には、やはりめんどうであつても、よつてつた原因を究明されて、そうして適切に処理をするということが、やはり財政の跡始末としては私は当然であろうと思う。そうして国家に対して、究極において何ほどの損害になつた、こういうことを明らかにいたしまして、あなたの方として清算が結了するのが、これが筋の通る順序だろうと思う。原因をきわめることなくして、ただそれだけ債権が残つているから取立てるというような行き方は、私は決してりつぱなあり方でないと思います。そういうこともさらに人間や経費がいるといえば別ですけれども、公団から引継ぐときには一覧してすぐわかるのでありますから、そういうことにつきましても、相当深い考慮がなければならぬと思うのだが、あなたとしてはどうも説明のできないようなお立場であるからやむを得ません。しいて深く追究しようとは思いません。  そこで私は油糧砂糖配給公団、三百八十三ページこれについて伺つてみます。これは担保もとらないで、四億七千万円のものの荷渡しを二十六年の三月にしておるのであります。担保もとらないで四億七千万円もの砂糖を渡すということは、相当乱暴でないかと思うのであります。こういうことの結果一億三千三百余万円を会計検査院指摘なさつて、実地調査をしたときに回収がまだできていないことがわかり、厳重な注意を受けたというようなことにこれはなつておる。これも実に乱暴と言おうか、めちやな取引と申さなければならぬのであります。こういうことにつきましてこれは何かいきさつでもあつたのだろうか、これらの組合とこの油糧砂糖配給公団職員との間に不正な結託でもあつたことに原因するのか、どういうことがこういうことに至らしめたのだろうか、このことについてなお一応御説明を聞きたいと思います。
  39. 根本守

    根本説明員 この背後に不正な行為等があつたのではないかという御質問でありまりが、私の知り得ております範囲では、そういうことはなかつたようであります。相当大きな金額を残したわけでございますが、これも整理が進捗しておりまして、本年の五月末の現在では二千百万円の未収残額なつておる状況でございます。漸次回収が完結し得る見込みであります。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二千百万円は、そうするといつごろに完結のお見込みが立つておりますか。
  41. 根本守

    根本説明員 これは相手方が四軒ばかりあるのでございますが、まず一軒、福岡県砂糖卸協同組合というのがございます。これにつきましては完済いたしておるのでございます。それからその次の宮崎県砂糖卸協同組合というのがございます。これは五月末の未収残額が千二百四十七万九千円ございまして、和解調書を作成しておりまして、その和解調書によりますと、二十七年の十月末までに入らなければならないことになつておるわけですが、これは和解条項を履行しておりませんので、あるいは強制手段をとらなければならないのではないか、そういうふうに考えております。それからその次の山口県砂糖卸商業協同組合でございますが、これも二十七年十月末までということになつておりますが、現在の未収が三百八十七万一千円ということであります。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこであなたの方の聞き及んだところでは何ら不正がなかつたようであるけれども、しかしなおその後だんだんと回収されておるようであるけれども、二十六年の三月一箇月の間に、三つの組合に対して四億七千万円という大きな売付をして、担保もとつておらずということになつております。その後やはり何億円という金が——少くともその年の八月までは、三億四千万円というものは買い主の方が、かつてに無償で利用ができる状態にあつたわけです。たいへんなこれは損害でないかと思います。こういうことにつきましては、担保をとらなかつたのならば利息でもとつたのでしようか。担保をとらずに四億七千万円を売り付けて、そうして代金の回収がかく長引いて行くということは、何かそこに因縁がないということはできぬと思うのだが、なかつたろうと思うということなら、これはあなたと問答してもらち明かぬことなんですが、普通はないことであろうと思います。検査院は担保をとらざりし原因について、何か調査されて発見された事実はなかつたでしようか。
  43. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 当時文書で検査院が承知いたしましたのは、担保をとるべきことになつている、銀行支払い保証なり約束手形を徴するということになつておるのに、なぜとつていないかというこちらの推問に関しましては、当時市中銀行支払い保証なり約束手形を相手方に要求した、ところが、それが金額が多額で銀行が難色を示したためにとれなかつた、だから遺憾ながらそれはとらなかつた、こういう回答でありますが、はなはだ妥当でない措置であると考えております。担保はとれなければ渡さなければいいのでありまして、とれなくて渡したという措置はきわめて妥当でないと思つております。なお当時なぜ担保をとらずに渡したかというその内情に対しては、ちよつと調査したものもございません。
  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 鉱工品貿易公団について、私は質疑する意思はございません。  やはりこの問題はその点が一番大切なことだろうと思うのですが、担保とらずに三つの組合に四億円以上のものが渡されるということは普通の想像ではできぬので、何らかの危険を招来するということは見やすい道理でないかと思うのであります。そこでこういうことにつきましては、もう公団がなくなつているのでありますから、さようなおそれは今日はもうないかと思いまするけれども、これはやはり当時におきまして、この点につきましては格別の規定とか、訓令とかがあつたわけではなかつたのでしようか。この問題に対する一番大きな原因である失敗のもとは、私はこの点にあると思われるのですが、そういう規定もなかつたのでありましようか、なお念のために承つておきたいと思います。
  45. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 私から申し上げますが、二十六年三月、本件売渡し当時は国の物品の売渡しに関する法律というのが公団にも適用されまして、前納かあるいは確実な担保を徴さなければ渡してはならない、こういうことになつておりまして、本件が担保をとらずして荷渡ししたということは、違法な行為であつたわけであります。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういうときは、やはりすぐ適切な措置でもとつた事実でもあるのでしようか。つまりそういうことをなしたことは不法であり、あるいは不当であつたという場合に、発見すればただちに適切な措置がとられねばならぬと思いますが、さような措置はなかつたのでしようか。
  47. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 ただいま適切な措置というお言葉でありますが、とにかく残つておるものはすみやかに回収しろということは強硬に申し入れたわけであります。その他処罰の問題になりますと、当時におきましては、こうした場面におきまして会計検査院が懲戒を要求するとかいうような規定がございませんでしたので、そうした面のいわゆる個人的な処罰問題には触れておりません。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞きたいのは、これは公団の代表者がおれば事まことに適切な答弁が得られるのですけれども、あなたの方が後日お調べになつた際、公団の側におきましてさような無謀な売渡しをしましたことについて、何か措置をとつたような事実はありましたでしようか、いかがでしたか、その点だけ……。
  49. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 当時非常に遺憾であるから、きわめて早くこれをとるということの回答はいただきましたが、今のお話だとまだ二千万円残つております。相当回収していると思いますが、個人的なものに対して処置をとつたということは当時聞いておりません。ちよつと資料がはつきりいたしませんので、あるいは内部的な処置をとつたかもしれませんが、今ある資料でははつきりいたしません。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 管財局の方は、ただいまの点について何か資料はありませんか。
  51. 根本守

    根本説明員 ただいま資料の手持ちがございませんので、ちよつとわかりかねます。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 こういうことは後日におきましても、やはり大蔵省当局といたしましては、輸入砂糖ならば農林省関係ですから、農林大臣に大蔵大臣から適当な通告をするとか、何とかさような行政的な道があるのではないかと思いますが、その点について御説明できれば聞きたい。
  53. 根本守

    根本説明員 引継ぎましたあとで、当時の監督上の問題につきまして、大蔵大臣から行政的な措置監督官庁の長に申し出るということは、ちよつと筋がないのではないか、そういうふうに考えております。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながら過去において、行政上の措置当を得なかつたので国に何億円かの損害をかけた。なるほど後日回収されたといたしましても、しかし何億円という金もしくは金相当のものが、担保なしに買主の方においては自由に処分ができて、利用し得たのでありますから、さような不始末に対しまして、たとい過去のことであつたにしろ、ここは支出の最高の責任の方に対して、つまり予算を執行したもしくは監督をしたその行政の当局に対しまして、相当な道が講ぜられねばならぬと思うのであります。そして注意するとか、何かの要求をするとか、懲戒を求めるとか、何とか方法があると思うのですが、こういうことについて過去のものだからとれるものをとつたらいいので、とれないものはとれなければしかたがないのだ、こういうことになつてしまえば、これは跡始末がつかぬことになります。言いかえますと、あなたの方は六十一億円の売掛代金を引継いだ、これとても一生懸命努力して今やつと二十億円——四十億円はそのまま見込みがあるやらないやらわからぬということになつても、過去に対しましては格別に監督側のそういう方面に対して何らの措置もとれないとするならば、これはまことに結末がついたようで、ほんとうに正しくつかぬように考えられるのであります。これもあなたの御答弁をいただくことは無理かと思うのでありますが、こういうことにつきましては、行政当局間の問題でありまするが、同時に国家の財政経理上の重要な案件であろうと思いますので、会計検査院当局の御所見を伺うことにいたしましよう。
  55. 安井大吉

    安井委員長代理 今吉田委員の御質問はまことに同感であつて、当時の監督者は農林省であつて、その跡始末を今大蔵省がしておる。会計検査院はこんなに悪い事項を摘発しても、その人に対する処分権、懲罰というようなことについて手が出ないから、自然にこういうものは検査を受けた監督官庁に責任がありながら、なおかつ会計検査院を恐れているというだけであつて、自分の部下のやつたことをかばわなければならぬといつたようなことになるから、むしろ会計検査院検査をして、この程度のものならば懲罰に値する、あるいは罰俸をくれるとか、懲戒処分に付すとか、被免するとか、告発するとか、そういうような実権を会計検査院が持たなければ、会計検査院はせつかくかようなものをやつてもにらみがきかない、効果がない、こういうことは今のお話に私も同感である。会計検査院としては、こういうものに対して処分権とかあるいは人に対する監督の強い一つのにらみをきかせる力を持たなければならぬ。会計検査院自体がこういう問題について意見を述べ、そういう意見を持つてつたことがあつたか、あるいは持ちつつあるか、その方が会計検査院の機能を発揮して未然に事を防止する原因になる。会計検査院の存在価値の意義があると不正もなくなる、国がよくなる、国民もそれがために利益を享受する、こういつたようなことについて根本的な会計検査院のしつかりしたものがなければ、ただ勘定して見て足りない、損失だ、未払いだ、こういうことに終つてしまつてはきわめて効果が少いので、労して益がないと思う。吉田委員質問にあわせて、私も会計検査院がそういうような点において、過去においてそういうことをやつたが通らなかつた、あるいはそれに対して今どう考えているかというような御意見があれば伺つておきたい。
  56. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 昭和二十二年に会計検査院法が新しく生れます場合に、検査院内部においてまずその点が問題になつたのであります。その結果会計検査院法の第三十一条であつたかと思いますが、国の会計事務を処理する職員が、故意または重大な過失によりまして著しく国に損害を与えたときは、懲戒処分の要求ができるという規定が生まれたわけであります。これによりましていわゆる国の会計におきましては、故意または重大な過失の場合には、懲戒処分の要求の発動ができるということになつております。当時においては、まだ公団というような新しい組織が生れて来ることがあまり考えられていなかつたものですから、その規定は国の会計事務を処理するというようにきわめて限定された規定にたしかなつていたと思います。それは公団などあるいはその後新しくできました公社というものには適用できません。そこでこれは司令部側からも、どうしても予算執行の場合の職員は、全面的にもう少し懲戒処分というものを会計検査院に与えなければいかぬという示唆がありまして、昭和二十五年七月だつたと思いますが、予算執行職員等の責任に関する法律というものができまして、これは予算執行つまり歳出の部面でありますが、出す方の部面におきましては故意または過失によつて国に損害を与えたというような場合に、会計検査院は懲戒処分の要求ができる。これももちろん要求のできる相手方の職は限定されておりますが、ほぼ支出の面においてはその要求ができることになつております。ところがその場合も、歳入の面におきましては、その分の規定が漏れていたということで、金をとる方あるいは物品の管理の面におきましては、国の会計におきましては重大な過失によつて重大な損失を与えた場合は懲戒要求ができますが、公団等における収入の面、物品管理の面においては、ただいまのところは規定はないわけであります。これは国の会計という言葉の拡張解釈でもあるいは済むのではないかという意見もありましたのですが、法は厳格に解釈すべきだという観念で現在は適用がないという解釈をとつております。ただいまこれを拡張する必要があるかどうかというお話でありますが、私自身の所見をここで申し述べさせていただきますれば、むしろ会計検査院といたしましては、いわゆる弁償責任の決定権限があります出納官吏は現金物品をなくした場合に、幾らの弁償責任があるということを決定する権限を持つております。しかしそれは各省各庁へ委任してもいいのであつて、むしろ検査院としては懲戒処分の要求権というものを持つた方が実効があるのではなかろうかという考えを持つております。全般的に検査院全部として、収入の面にまで及ぼすべきであるということは、現在のところまだ議題には上つておりません。
  57. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいまの御説明でありますが、会計検査院法第三十一条に上りますと「会計検査院は、検査の結果国の会計事務を処理する職員が故意又は重大な過失により著しく国に損害を与えたと認めるときは、本属長官その他監督の責任に当る者に対し懲戒の処分を要求することができる。」という規定がございますが、この点の御説明だと思いますが、そうするとこれは対象は国になるわけであります。ただいま問題になりますのは公団でありますから、従つて公団の責任者が今のように四億円も担保なしに売りつぱなしをしようと、あるいは何千万円も金をもらわずに品物を渡そうと、それが犯罪を構成する場合はまた別の司法権の問題がありますけれども、そうでなしに、国に著しく損害をかける結果を来しても、この会計検査院法では今のところどうにもならぬというわけでありますか。
  58. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 そうであります。
  59. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、たとえば今当委員会において問題になつております公共企業体に対する各般の問題につきましても、やはり公共企業体は国ではないのだから同じような論法が適用されて行くということになるわけであります、その点につきましては、これは立法上の問題になりましようから後日われわれも検討して具体的に考えてみたいと思いますが、そうしますと、ただ一に大蔵省の残務処理をしておられる方のみに頼つて行政監督をしておつても、公団というものが、買い、売り、国の予算で仕事をするが、その上の省は、公団がどんなに損害をかけても、——結局六十一億円も損害となつて、大蔵省が背負い込んで跡始末をしつつあるけれども、財政処理監督上の責任としては涼しい顔をして行けるということに帰着するわけなんですか、大蔵省もそういうふうにお考えになつておりますか。
  60. 柳沢英蔵

    ○柳沢政府委員 ただいまの吉田委員の御質問でありますが、もちろん金を出すのは国庫大臣としての立場でありまして、未収金の整理をするという直接の仕事大蔵省管財局の方でやつておりますから、主計局の方におきましてはそういう事務には直接関係いたしておりませんが、今の御質問に関連いたしまして、実は国庫大臣の立場におきましても、あの当時における公団等の収入金取扱いにつきましては、非常に当を得ておらない措置が多かつた関係もありますので、それに関しまして、公団等の予算及び決算の暫定措置に関する法律というものを昭和二十四年につくりました。その十五条にこういう規定がございます。「公団等の予算の執行について必要な手続その他細目については、大蔵大臣が、主務大臣にはかつて定める。」こういうような法律をつくりまして、それに基いて公団の収入金及び支出金の取扱規則というものを各公団に適用せしむるように制定いたしたのであります。その当時は、御指摘のように、公団等の収入金取扱いがきわめて当を得ておらない措置が多かつたので、大蔵大臣としてもそれに対する措置を講ずるようにいたしまして、二十六年に今申し上げた省令をつくつて、国の経理と同じような取扱いをいたさせるようにいたしました。今御質問になりました延納の関係、物を引渡します場合に必ず担保をとる、あるいは利息をとるとか、事前に代金をとりまして物を引渡す、こういう原則につきましては、先ほど検査院からお話がありましたように、昭和二十四年に法律ができまして、この法律は当然公団にも適用がありますが、それでも守られないような事項もありますので、この省令におきまして特に注意的に規定いたしました。ちよつと読んでみますと、その第六条では、「公団は、商品その他の資産を売却するときは、国の所有に属する物品の売払代金の納付に関する法律」これは今申し上げた法律であります。「第五条に規定する場合を除き、前項の公団預託金払込請求書による払込の確認をした後、買受人に引渡をしなければならない。」こういう規定を設けて実行させるようにいたしたわけであります。  なお申し上げますれば、公団監督につきましては、これは私の記憶が違つておるかもしれませんが、公団設立されました当初は経済安定本部が監督の責任を負つておりまして、もちろん主務大臣は第一次的な監督の権限を持つておりますが、第三次的な監督の権限は経済安定本部が持つていたわけであります。従いまして大蔵大臣といたしましては、当時は財務諸表の承認の際に協議を受けるという程度のものであつたのでありますが、しかしあまり経理状況がひどかつたので、先ほど申し上げたような法的措置を講じまして、公団の適正な経理について多少でも力を尽したい、こういう関係なつております。
  61. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは柳沢さんに重ねて伺いますが、今根本説明員説明によると、大蔵省が引継いだ売掛金等だけですでに六十一億に上つておるのでありますが、六十一億円のうちでまだ二十億円しか回収されておらない。四十一億円は未回収なんですが、すでに数年経過しておる。四十一億とか六十億とかいうものは非常に厖大な支出というように見なければいかぬと思う。そうすると今の御説明によると、公団内部の物品の売渡し等についていろいろと規定を設けられて、その弊害を駆除するためにはたいへんけつこうだと思う。しかしそれならばさらに進んで、そもそも国の予算執行の責任は公団が負うのではない。公団というのはやはり出先のものだから各省が負わなければならぬのが本質だと思う。そうすると各省の監督の責任者についてもつと厳格に何らかの監督上の責任関係に関する規定が設けられることによつて、この問題はもつと解決の仕方があつたのではないかと思うのです。とかく予算の執行、いろいろな経費の支出につきましても、末端の会計課長とか、あるいは会計職員とかを責めることは厳重であるが、上の方の監督の面についてはとかく考え方が甘いと思う。これがやはり国の会計財政が乱れる一つのもとだと思います。もつと上の方を引締めるようなことをやりましたら、こんなたくさんの問題は起らぬと思う。それは国民は知らぬのですよ。大蔵省が六十億円も売り放したやつを、金もようとらずに引継いでおることを知りましたら、ばからしくて税金なんか払いはしません。知らぬければこそこれは済んでおるのです。狭い決算委員会で、国会の中でやつているだけでありますから。ですから私はもとをもつと引締めろという意味におきまして——これもあなたは主計課長でおられるのでして、政府の当局者じやありませんから、あなたと問答することはどうかと思いますけれども、やはりそこまで手を広げて行つて、ほんとうに財政の正しいあり方をかつちりする法規ないしはその他のものをつくつて監督することにしなければだめだと思います。あとでこんな始末をどんな説明を聞いても何にもならないことです。実に遺憾でありますということを百ぺん繰返されても、今後注意しますと言つても、今後公団はありはしません。だから今後注意しますという態度などはおよそ意味がないのです。だからただ一つの例として、六十億円からの振りかけられた国の損害を跡始末しつつある現状をいかに考えるかという点が、私は主題にならねばいかぬと思うのであります。その意味におきまして、監督の責任の方に対して相当厳格に望むということでして行かなければためだと思います。これはやはり今問題になつております公共企業体の財政について同じようなことが言えますので、あわせて類推していろいろと考えに広くさせられるわけであります。そういうことを思いまするので、あなたにそれについて御説明をたつて求めようとしませんけれども、できましたら、別の機会でもいいのだから、大蔵省としてこういう問題をもつと統一して、同の資産を管理するという責任があるのですから……。管財局であるとかあるいは主税局であるとかいうようなそれぞれの部局は別といたしまして、大蔵省としては統一して抜本的な対策を考えるということで臨んでほしいと思います。事務当局の方はそれぞれ立案の一番大事なところにおられるのですから、何らか御準備でもあつたらたいへんけつこうだと思いますので、そういうことでもございましたら、ひとつこの機会にひろうしていただいて御説明つたらたいへんにいいと思います。
  62. 安井大吉

    安井委員長代理 私からひとつ……。今吉田委員のお話のように、大体検査の時期とこれを報告して議会にかかるときまで数年を経過して、当時の責任者はおらない、自然にその責任も軽んぜられ、人はその公団を去り役所を去つてしまつているというようなところに、この検査の効果が減殺されている。今東京駅の問題を例にとりましても、あの駅の事務の不正というか疑惑というものは、時期が早いから、今検査をああやかましく言うことは、将来の経営施設の上に非常な利益をもたらし、あるいは一種の災害予防にもなるわけです。こういつたように、三年も過ぎ去つたあとでこんなことをする——会計検査院はもつと事件に当面して、その生きた事件を生きて報告して、生きて処理するといつたようなことについて、こういうように何年もたつてでなければ検査に着手ができないのか報告ができないのか、こういう点に遺憾を感じておらないのか、こういうお考えはどうですか。
  63. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 ただいま御指摘の点は再三御指摘になりました点でございますが、会計検査院といたしましては、ただいま問題になつております一〇九一号を見ましても、二十六年八月の実地検査でこのことを確認いたしました。検査報告を内閣に回付して国会に提出しましたのは二十六年の十二月か、あるいは二十七年の一月になりましても、十日ごろと思います。昨年の一月には国会に提出したのであります。もつと早くしろという御要望ももちろんあると思いますが、やはり決算を一応確認いたしまして検査報告を出しますと、三月の決算が主計局で締め切られますのが七月三十一日、昨日でございます。それを検査院の方へ回付されますのが十一月であります。それを大至急確認すると同時に、こういう事項をとりまとめて昼夜兼行で十二月一ぱいに仕上げまして、目途は十二月三十一日までに内閣に送付するということでありますが、多少遅れて翌年の一月になつている、こういう現状でありまして、技術的と申し上げてはなんですが、個々の問題がその都度国会に報告できるという制度でありますれば、個々の問題が固まり次第ということになりますが、決算を確認して検査報告を提出しろ、こういうことになると、どうしても決算が終つてから約半年、技術的にこれ以上狭めることはできないのではなかろうかと私自身は考えております。
  64. 安井大吉

    安井委員長代理 現行制度のもとにおいてはそういうことはやむを得ない、しかし会計検査院が機能を発揮するにおいてはこれでは陳腐である、本日の抜けた仕事あとで始末しているといつたようなかつこうになるから、これに対してこの規定をもつと生かすような意見を持つて行く意思を聞いたのでありますが、答弁はいりません。一応そういうような点も改正等の意見の場合には考えられることが、未然にすべてのものを防ぐゆえんだと考えるのです。しかしあなたにお聞きしてもあなただけできまるわけではないし、そういう意味をひとつ含んで改正等に参考にしていただきたいと考えております。
  65. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 開発銀行の総務部長見えておりますか。——ちよつとお尋ねいたします。一一〇二号ないし一一〇七号までの復興金融金庫債権保全処置当を得なかつた件でありますが、この融資先は相当信用のあつたもののみなんでしようか、あるいはそうではなくして、その後営業しておらぬようなものも含まれているのでしようか、一応その点を先に伺つてみたいと思います。
  66. 西沢正則

    ○西沢説明員 ただいまのお話は、ここにあげられております六件のものについて営業中かどうかというお話でございますが、融資の当初におきましては、信用確実なものと認めて融資したものでございます。しかしその後の経済界の変動その他によりまして、現在休業しておりますものもございます。
  67. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 融資当時におきまして、すでに相当休業をしておる、そういうものはなかつたのでしようか。もしくは間もなく休業あるいは不良状態に陥つたというのはなかつたのでしようか。
  68. 西沢正則

    ○西沢説明員 融資当時におきましては、それぞれ営業中であつたものでございます。  それではその後の状態を申し上げたいと思います。
  69. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そう詳しくはいりません。私の聞きたいのは個々の問題ではありませんから……。私の伺いたいのは、抵当権の設定につきまして、手続を怠つたため、ほかの者が抵当権を設定したので債権保全のために非常に不利に陥つたという問題のようでありますが、適切な通常の抵当権設定等の手続をとることをせざりし事情がどこにあつたのだろうかということを聞くために、今の点を聞たいのであります。もし営業がすでに傾いておるような場合、しかしながら融資の必要があつたという場合と、そうでなくしてさらに積極的に設備を増設するとか、あるいは基幹産業の育成のためにもつと新しい施設をするとか何とかいうことが、いずれあつたのだろうと思います。そういう点について御説明があれば承りたいと思うのであります。
  70. 西沢正則

    ○西沢説明員 それでは復金融資しておりました当時の状況を一応お話申し上げます。  御承知のように、戦災復旧資金というような色彩が非常に強い、それが使命の大部分であるという建前から、金を出すということを非常に急がれておつた状況でございます。従つて金融機関の建前から申しますと、まず担保の設定を終つてしかる後に金を出すというのが常道かと思いますが、当時は資金を出すことの方がより先に要請されておつたという事情が一つございます。それからまた当時は新旧勘定等がございまして、勘定が分離されておりまして、復金から出します新勘定の融資については、旧勘定を担保に入れることができないという状況にあつたわけでございます。そういう点も一つございます。それからまた賠償に指定されておつた物件、こういうようなものもございまして、これに担保権をつけるということについては、法律的な効果について疑義があるというような事情もあつたわけでございます。  それからさらにもつと大きな原因は、二十四年に復興金融金庫が新しい融資を停止したということによつて、それから続く融資と申しますか、なおその企業に必要な資金を供給する道が絶たれたということによつて、他の金融機関に依存しなければならない状態なつたわけでございますが、そういう関係で新しく融資を仰がなければならない銀行に対して、さきに担保権を提供したといつたふうな事情もあつたかと思います。そういつた事情が担保権が後順位なつた原因であろうかと考えております。
  71. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そして非常に不利な状態に陥つたという指摘を受けておりますが、その後これらは状態を回復されたのでしようかどうか、これだけ伺つておきます。
  72. 西沢正則

    ○西沢説明員 その後の回収状況を申し上げます。最初の山口慶八氏は二十六年十月以降において二千百十三万四の回収をしております。それから麓氏の件につきましては百八万三千円、寿工業につきましては二百三十七万六千円、国武合名会社につきましては四百三十六万五千円、日本理化土木につきましては五十八万八千円の回収がございます。最後の日本油機製造につきましては二十七年十月に完済となつております。
  73. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今のはそれでよろしゆうございます。次は連合国軍人等住宅公社のことをちよつと伺つておきます。一一〇八号であります。これは最初に鹿島建設などに請負わせました請負工事費が十二億四千万円、結局それだけ払つたことになつておりますが、最初は九億七千百余万円でありました。ところがそれが十二億四千六百万円に増額いたしておりますが、検査院の御説明によりますと、いろいろ設計内容変更などがあつたらしいのであります。そこで調達庁の御説明があつたのですが、こういう設計変更をしまして、従つて請負代金が増額するというような場合には、これは占領軍のするところだからやむを得ないと一口に言つてしまえばそれまでだろうけれども、しかしやはり何らか相当正規な厳格な設計変更についての要求の手続があつたのではないだろうか、とすれば、そういう手続はされていたのだろうか、そういうことをされずに簡略してこれをやつてしまつたのであろうか、その辺はどういうことが一番大きな原因であつたのであろうか、それをひとつ伺いたい。
  74. 山内隆一

    山内(隆)政府委員 お答えいたします。今の問題は正規の設計変更なしにあのような形で仕上げておるところが一つの批難の点になつておりますが、調達庁としましては、軍の最初の仕様書設計図に基いて工事を施工することが当然なことであります。ところが最初の入札の前の説明会におきましても、すでに軍が自分で書いたものを持つて来た以外に、口頭でかなりいろいろの指示をされるのであります。その後になつ入札をしましても、軍の監督官の場合によりましては、たびたび現場に設計変更相当するような指示をされるのであります。そのたびに調達庁としての取扱いは——最初においてはもちろんでありますが、入札後におきましても口頭による設計変更指示等には従わない、取扱つてはいけないということを強く調達局及び第一線の出張所には指示してあるのであります。従いまして局としても、出張所の現場担当官としましても、現場の軍の監督官に向つては、正式な設計変更にしてもらいたい、あるいは陳情を出してもらいたい、あるいは正式の陳情を出せなければ、せめて書いたものメモでもいいからもらいたい、こういうことを強く要望するのであります。今の事件につきましても非常に力強く再三再四交渉したのでありますが、どうしても聞き入れません。そんなような関係でやむを得ず設計変更があつたものとして取扱つたことが今日の批難のもとになつているのでありまして、事情はさようなわけでありますので、御了承願いたいと思います。
  75. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただ金額が九億七千万円から十二億四千万円ということになつております。かなり大きな金額でありまするので、こういう場合は連合軍の住宅公社の立場といたしましても、また調達庁の立場といたしましても、これは出先の在日兵站部でありまするか、そういう出先の占領軍の意向にかかわらず、もう一つ上部の方へでも交渉するというような余地はなかつたものでしようか。まことにその辺は今日から考えましても遺憾にたえぬと思うのですが、それはいかがでございましようか。
  76. 山内隆一

    山内(隆)政府委員 お答えいたします。現地の軍の担当官に交渉して、正式にオーダーを出してもらうことはもちろんでありますが、それでなおなかなか現地の担当官が聞かない場合には、申すまでもなくもつと上の方に移しまして、この一一〇八につきましては、GHQまで持ち出して交渉いたしたのであります。そこで軍の方としても正式のオーダーを出さないけれども、もつともだというのでその金額を了承されたような次第でありまして、お言葉の通り調達庁としてはできるだけ正しい手続によつて努力はして参つておるつもりでありますが、軍の監督官の性格よつてなかなか聞かない場合がありますので、ときたまこういうような不始末がありますことを非常に遺憾に存じております。
  77. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 こういうことはやはり公社の責任者が日本政府に対しまして何らかの責任関係があるから、これは総理府の監督かと思いまするが、そうしますと調達庁長官ということですか、そういう行政の監督側において公社の責任関係を明らかにするとか何とかあつてしかるべきだと思うのですが、これもさつきの話と同じことで、公団なり、また公社が占領中できたものだから、それに対する各般の財政経理等についてのいろいろな法律その他の規定、いろいろなものが不備でありしたことにも、一つ原因があるようにもあるいは解釈できるのかもしれませんけれども、何かそこにもう一つ欠けたところがあつて、これを悪く言えば、やはりそこに公社の方では非常にだらしなく、そうして責任を占領軍の方に負わすというようなこともなし得るのですから、といいますのは、たとえば九億七千万円が十二億四千万円ということになりましたら、三億円ほどのことでありまして、口では三億円ですが、たとえば三億円の物資をよけいに購入するということになりましたら、かなり大きな利権も伴うという結果もありますので、そういうようなこともあれこれ考えますと、やはり厳格に公社の責任者が責任を負つて、上に対し、また調達局に対し、総理府に対し、日本政府に対しまして、財政経理上の筋の通つた責任を負つて行くという道が十分にできておらなかつたということが、一つの原因ではないかと今日からは考えられるのであります。あるいは向うさんだけが悪いようなふうにどうもとられがちで、どうもそういうふうな説明をなされるきらいがあるわけでありますが、その辺につきまして厳格に監督をすべき立場、その方面において原因を求めるのが至当な解釈になるのではないかと思うのですが、いかがなものですか。
  78. 山内隆一

    山内(隆)政府委員 これはまことにごもつともに存じます。ただ調達庁公社との関係は、本日いろいろ議題に上つております各省と公団という関係よりも、もつときわめて密接でありまして、あるいは密接という言葉はまだ不適当であつて、完全に一体のものであると申し上げていいほどの間柄になつております。というのは、住宅公社というのは、事務費というものは一銭もないのであります。ただ事業費として見返り資金から七十数億借りて設備をするという使命を持つておりまして、公社は一人も人間を持つておりませんで、役員から事務員と何もない、要するに事務費が一文もないというかわつた公社でありまして、従つて公社の役員、事務員は、全部本部なら調達庁の本庁の幹部が兼ねる、地方なら各局の幹部、さらに末端の機関でありますと末端の長が兼ねる、あるいは必要な人が兼務でもつて仕事をやるというような形でありまして、公社はこのたくさんの二千三百戸の住宅建設の使命をもつて生れましたが、あらためて公社の責任の者から全部調達庁長官にまた依頼をするというふうな形で、調達庁という官庁がみずから設営したような形になつておりますが、今のような事態について責任問題というのが当然考えられなければならぬものですが、公社という団体に対する責任を問うのではなくて、みずからやつておりますから、役所の中で事務的に非常に不都合なものについては注意をするとか、いろいろ中の監督仕事をいたしましたわけで、その間に多少の手落ちがあれば、むしろ調達庁長官、つまり調達庁の幹部の責任というようなことに相なるわけでございます。
  79. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この連合国軍人等住宅公社は、二十五年に廃止されたと思いますが、これは資産とか負債とかそういうものについては、あと始末はどこでどうやつて、ただいまどうなつておるのでありましようか、
  80. 山内隆一

    山内(隆)政府委員 お答えいたします。先ほどもお尋ねに対して申し上げたことでありますが、公社は二十七年三月三十一日に廃止をいたしまして、その残余は全部調達庁が引継いで整理をいたしておるような次第でございます。
  81. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 残余財産とか資産とか負債とか、そういつたものはどういうことになつたか。それを伺つているわけです。
  82. 山内隆一

    山内(隆)政府委員 公社住宅初め財産は全部国有になりまして、そのかわり今度公社で借りている見返り資金からの借金はやはり政府が肩がわりをしたという形になつております。
  83. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 見返り資金から借りておりました債務はどれほどあつたのですか。今どうなつておりますか。融資総額それから償還の状況、もう零になつておりますか、あるいは残になつておりますか。
  84. 山内隆一

    山内(隆)政府委員 見返り資金から借りましたものは、二千三戸の建設用として七十四億借り入れました。それから家賃は公社が直接入居者からドルでもらつてつたわけであります。二十六年五月、正式にPD、調達命令でまたこれを接収の形式をとりまして、二十六年七月ごろから終戦処理費から必要な経費は支出をいたしております。二十七年三月三十一日公社を廃止しまして、見返り資金からの借入れのそのときは七十億を一般会計に引継いで、一般会計で借りた形になつたわけであります。それから二十七年度大蔵省で防衛支出金から約十億円特別会計に返済をいたしました。それから二十八年度は約八億八千万円程度返済の十定でございます。
  85. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、この住宅はただいま国有の不動産になつている、とこういうように了承していいんですか。
  86. 山内隆一

    山内(隆)政府委員 全部国費でいたしております。いろいろの維持費等は国費でもつて経営をいたしております。
  87. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この住宅公社のつくりましたすべての住宅は目下国有の財産なつているか、こう聞いたのです。
  88. 山内隆一

    山内(隆)政府委員 先ほど申しました通り、今は住宅その他の公社財産は全部国有となつております。
  89. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、これはやはり大蔵省管財局の特殊財産課の所管に属するものとは違うのですか。その点はいかがですか。
  90. 根本守

    根本説明員 管財局の特殊財産課の所管に属するものではないと思います。
  91. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この国有財産の主管省はどこですか。
  92. 山内隆一

    山内(隆)政府委員 普通財産として大蔵省管財局が管理いたしております。
  93. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その後占領の状態がなくなつたのですが、この普通財産は目下やはりアメリカの兵隊の使用ということになつているのであります。その使用状態、つまりどういうふうに建物を使用さしているか御説明を願いたい。
  94. 山内隆一

    山内(隆)政府委員 現在は駐留軍の住宅なつております。あるいは呉地区に若干あるものについては連合国軍が入つているかとも存じますが、今ちよつと明確なことは申し上げられません。
  95. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この家賃とかその他につきましては、行政協定の範囲でやることになるのですか。その辺はどうなんですか。
  96. 山内隆一

    山内(隆)政府委員 国有財産につきましては、駐留軍に無償で提供するということになつておりますので、現在は無償でございます。
  97. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますとこの管理費用つまり主として修理と思いますが、修理保存の費用はどういうふうにして支弁することになるのですか。
  98. 山内隆一

    山内(隆)政府委員 調達庁は現在そういうものの管理をいたしておらないのでありますが、アメリカの駐留軍が直接に調達をしているということに今なつておりますので、駐留軍みずから現実のいたみを直すとかそれぞれいたしているわけであります。
  99. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 総計で何ぼほど家屋があり、またその坪数は総計どのくらいになりますか。
  100. 山内隆一

    山内(隆)政府委員 地区といたしましては三十四箇所になつておりまして、建物の総坪数は六万七千八十六・九坪。
  101. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これの時価総額はどれほどになるか。国有財産ということである以上は、時価どのくらいの財産かはつきりしていると思いますが、どれほどの国有財産か。
  102. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 私の方からお答えさせていただきます。二十七年四月一日公社が廃止されたとき引継いだ財産価格で申し上げます。今私の方で持つております資料は、建物と工作物とが一緒になつておりますが、大部分は建物と思いますが、その不動産価格が六十八億七千三百余万円、こういうことになつております。
  103. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと六十八億円、二十七年四月というとまだ一年あまりですから当時とあまりかわつていないと思いますが、六十八億円相当の国有の建物及び工作物ですか、これは駐留軍に無償で使用せしめておるというのは、何か条約が、どういう根拠によるのでしようか、その点御説明願いたい。
  104. 山内隆一

    山内(隆)政府委員 行政協定で国有の財産については無償で提供するということになつておるかと思います。
  105. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは私はこれで大体質疑を終ることにいたします。
  106. 安井大吉

    安井委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がございませんようですから、それでは本日はこの程度とし、次会は明後三日午後一時から開会いたす予定であります。議題は追つて公報に発表いたしますから御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十二分散会