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1953-07-22 第16回国会 衆議院 決算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十二日(水曜日)     午後三時五十六分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 天野 公義君 理事 柴田 義男君    理事 吉田 賢一君 理事 安井 大吉君       有田 二郎君    山中 貞則君       細迫 兼光君    山田 長司君       春日 一幸君    熊本 虎三君       杉村沖治郎君    冨吉 榮二君  出席政府委員         外務事務官         (経済局長)  黄田多喜夫君         大蔵事務官         (為替局長)  東條 猛猪君         通商産業事務官         (企業局長)  中野 哲夫君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君  委員外出席者         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 七月二十二日  委員和精一君及び舘林三喜男君辞任につき、  その補欠として飯塚定輔君及び池田清志君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  朝鮮向輸出物資に対する対米債権に関する件     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  この際昨日理事会で御協議のあつた参考人招致に関してお諮りいたします。日本国有鉄道決算審議に関しては、種々検討を要する事項があるのでありますが、検査報告書三日二十八ページ、概説中に記載のある日本交通公社乗車券代売代金に対する延滞償金に関する件は、ただいま審査中で、いまだ納得のできない案件でありますので、次会審査の際に、参考人として交通公社会長高田寛君及び同社専務三原種雄君の出席を願い、参考人として意見を聴取してはいかがかと存じます。また東京構内八重洲口本屋建設中の、株式会社鉄道会館に対する鉄道用地貸付等に関しては、前会に審査したのでありますが、これまたその外貌すら判然しない関係上、次の方々を招致して、参考人とし、説明を聴取してはいかがと思います。すなわち株式会社鉄道会館会長澁澤敬三君、同取締役社長加賀山之雄君、同専務立花次郎君、同専務伊藤滋君、以上の諸君を参考人として招致したく存じます。右の二件の参考人を指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中彰治

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定し、その手続委員長に御一任願います。  なお監督的地位にある石井運輸大臣並びに長崎国鉄総裁出席要求しておきます。
  4. 柴田義男

    柴田委員 ちよつとそこへつけ加えていただきたいと思いますのでお願いいたしますが、交通公社の問題に関する資料を求めておつたのでございますが、われわれの手元に配付を受けました資料によりますと、交通公社東京、千葉、高崎、水戸、この四箇所の分の徴収の状況等報告を持つておりますが、このほかに交通公社全国の出張所でございましようか、こういう全国交通公社で、乗車券販売等でどれだけ売つておるか、こういう資料を、急速に委員長のおはからいによりまして、国有鉄道の方にお申出を願いたい、こう存じます。
  5. 杉村沖治郎

    杉村委員 私もただいまのことを要請しよう思つたのですが、なお今の柴田委員の申されたほかに、先に出されました交通公社に対する代売金数額が出ておりますが、これは昭和二十六年の三月まで出ておるのであります。しかるに私ども国鉄の、こちらの八重洲ビルの問題、これらを検討してみますと、いろいろな角度から検討してみなければならないのでありまして、昭和二十六年以降今日までの代売代金取立て状況はどういうふうになつているか。これについてすべて表にして出してもらいたい。あわせてこの間申請しましたように、交通公社預金をしておるということでありまするから、その以外に公社の各年度、各月におけるところの預金通帳を全部提出さしていただきたいと思います。
  6. 柴田義男

    柴田委員 もう一つけ加えてお願いしたいことは、われわれが仄聞しておるところによりますと、交通公社は、交通公社としての不動産等を相当大きなものを持つておるように聞いておるのであります。この交通公社販売乗車券代金を相当長い間延納しておる反面、交通公社の所有として、あるいは観光ホテル等方々に買収しておる事実があるのであります。これに関しまして、概略でけつこうでありまするが、交通公社が持つておるのは、たとえば東京にどれだけの坪数でどれだけの建物、あるいは名古屋にどれだけの坪数でどれだけの建物、これは鉄道局管内けつこうでございますから、その資料要求をやはりいたしたいと思います。
  7. 田中彰治

    田中委員長 お諮りしますが、土地建物そういうものについて、十万円以上くらいのものを出させましようか。
  8. 杉村沖治郎

    杉村委員 その点につきましては、私は、交通公社がこの乗車券代売行為以外にいかなる事業をしておるか、その事業形態というものを知りたい。そうしてその事業形態のいわゆる財産目録とか貸借対照表というようなものか、会社でありますからあろうと思う。そういうものもさしつかえない範囲において願いたい。これは国鉄が黙つて見てるはずはありません。少くともこれだけの莫大なる金を扱わせるのでありますから、常に国鉄はこの交通公社財産目録貸借対照表に留意しておることは当然であろうと思うのであります。またそれらのものは、国鉄にもとつてあるのだろうと思う。そういうものを出していただけばおのずから交通公社事業内容もわかつて来るであろうと思うのでありまするから、金額等のことでなく、そういつたすなわち会社財産状態を知るための貸借対照表財産目録というようなものを提出さしていただきたいと思います。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 つけ加えまして、鉄道関係のことですが、鉄道関係の方は、問題になつております土地貸借についての契約書、その他関係書類を全部持参あるいは資料を写して、必要なもの適当なものを資料として提出すること、こういう趣旨をつけ加えて申し入れておいてほしいと思います。さようにおはからいを願います。
  10. 田中彰治

    田中委員長 それでは今の吉田賢一君、柴田義男君、杉村沖治郎君の要求に対して委員長がとりはからうことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 田中彰治

    田中委員長 御異議なしと認め、そういうようにおとりはからいいたします。
  12. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は、国鉄八重洲口建物建設についてであります。すなわち本日の午前検証に行つたところでありますが、これはただいま吉田委員からも賃貸借云々というようなことがあつたのですが、昨日の委員会で、賃貸借契約はまだ成立しておらないということが明らかであります。なぜならば土地使用坪数もわかつておりません。賃料もわかつておりません。従つて賃料もとつておりません。でありますから賃貸借契約は成立しておらないものと私は思うのであります。さらに昨日国鉄から資料として提出されましたところの営旅第一八四三号、昭和二十七年九月二十五日付株式会社鉄道会館発起人代表加賀山之雄殿、日本国有鉄道長崎惣之助、こういうあて名発送人の名前でつくられて出されたところのこの文書を見ますと、賃貸借契約ようには思われないのであります。合同経営みたいなふうにしかとれません。かよう状態で、国家財産をうやむやのうちにこういうふうに使用収益させてしかも国鉄は一文も金をとつておらないで、すでにこのできているところの株式会社鉄道会館の方は、今日検証した通り、あの通りの商店にみな貸付をして相当な金を徴収しておることは、昨日の委員会においても国鉄の供述しておるところであります。かようなことをして、権利関係も何もはつきりしておらないのにもかかわらず、国家財産をこのよう会社がかつてに人に貸して金をとつているということで、このまま進んで行くとどういうことになつてしまうのだか、後に非常な問題が起るのではあるまいかと思います。そこで私たちは、この建築工事進行等については、何らかの方法をもつて監督官庁をしてこれを一時中止せしめるか、何らかの方法をとらなければ、後に取返しのつかないような大きな複雑な問題が起るのではあるまいかと思います。これについて何らかの方法をもつて処理する必要があると考えますが、各委員意見を求めます。
  13. 田中彰治

    田中委員長 実は委員長として、先ほど理事会にお諮りして、本日は間に合いませんから、明日この委員会全体の決議といたしまして、国有財産を守る上において契約の履行されておらないのに、第三者があそこに建物を建てて、そうしてその次の第三者にどんどん貸し与えて行くことは、国有財産の保全にならないから、保全する意味工事を一時中止するよう勧告するという決議文を今つくらせておりますから、これは明日委員会で読み上げまして、皆さんの御決議を得たいと考えております。  なお本日株式会社鉄道会館建設現場の視察を行いました結果、問題が非常に重視され、幾多の疑惑の点がありますので、これを徹底的に調査し、国有財産使用の当を得ない点を指摘し擁護いたしたいと思いますので、本委員会にただちに法律的研究機関を設ける。二、厳重調査をする調査機関を設ける。三、これらの資料を収集総合し、編纂する部を設置する。四、活動一切に対する確実な記録を保全して行く、右のごとき組織をつくり、公明厳正な措置要求する方法を講じたいと思いますから、前記趣旨の実現のため、これが実施につきお諮りをいたす次第でありますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 田中彰治

    田中委員長 御異議なしと認め、実施に着手することにいたします。書式については委員長及び理事に御一任願いたいと思いますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 田中彰治

    田中委員長 では後刻決定いたしたいと思います。  そこで、先ほどの杉村沖治郎君の提案でありますが、ぜひともこの決議案をもつて勧告して、この工事を一時中止させ、そしてこれを公平な入札によつて第三者にあらためてさすというような方向に、委員会調査しつつ持つて行きたい、委員長は一応こう考えておりますが、これに対して御異議ありませんか。
  16. 山中貞則

    山中(貞)委員 その結論については私も異議はございませんが、ただいま委員長の方からお諮りになりました、各種の部等を結成いたしまして綿密なる調査の過程を経て、それらの断を下さすべきかいなかが判明いたすだろうと思いますので、その最終的な決定については、本日決定したかのごとき取扱いをされぬようにお願いいたしたいと思います。
  17. 田中彰治

    田中委員長 先ほど申しました通り、そういう方法調査進あて行つて、結果が出ればそうしたいと考えております。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 田中彰治

    田中委員長 それでは、この問題は本日にこの程度にいたします。     —————————————
  19. 田中彰治

    田中委員長 前回に引続きまして、本日は対米債権の問題について審議いたします。  つきましては本日吉田総理出席要求しておきましたが、参議院予算委員会出席のため、出席いたしかねる旨の回答に接しました。従いまして、吉田総理出席は次の機会にされるよう委員長から厳重に交渉いたしますから、委員各位事情御賢察の上、とくと御了察願いたいのであります。従つて本日は緒方副総理が代理として出席される予定になつております。さらに岡崎外務大臣岡野通産大臣出席されますので、引続き審議に入りたいと思います。それでは質疑を願います。
  20. 柴田義男

    柴田委員 外務大臣と副総理の御出席があるようでございますが、大蔵大臣の御出席はございませんでしようか。私といたしましては、対米債権の問題は外為委員会の問題にも関連がございますし、現在の大蔵省所管に移つている部分が大部分でございますので、大蔵大臣の御出席を要望いたす次第であります。
  21. 田中彰治

    田中委員長 大蔵大臣参議院予算委員会に出ておられますので、できれば少しでもいいから御出席を願いたい、こういうぐあいにとりはからいますが、もし出席されなければ、この次の委員会には必ず出席さすように、委員長から要請しておきます。
  22. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今御出席なつている政府委員は、だれだれが見えておりますか。
  23. 田中彰治

    田中委員長 中野さん、束條さん……。大臣が来るまで少し待ちましようか。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 少しやつておきましよう為替局長お尋ねしますが、対米債権として司令部が昨年の四月十九日確認したと答弁がありました、例の四千七百余万ドルの債権処理、管理の問題でありますが、外為会計に引継がれているという説明委員会で聴取したのでありますが、外為会計は、その後大蔵省為替局に一切引継がれておると思います。そこで為替局としまして、つまり大蔵省として、この四千七百万ドルの債権は、その後どういうふうに処置をなさつたか、どういう資産としてお扱いになつているか、この点をあなたから伺いたい。
  25. 東條猛猪

    東條政府委員 ただいまのお尋ねは、四千七百万ドルの、いわゆる対米債権外為会計に引継がれているであろう。しからばその後の処理てんまつはどうなつているかという御趣旨と拝承いたしたのでありますが、第一段の外為会計に引継いでいるかどうかという点でございますが、吉田委員お尋ね引継ぎという意味を、たとえば資産課目計上する——これは計上の仕方はいろいろあると思いますが、計上ということが引継ぎの御趣旨でございますならば、現在の外為会計は引継いでおりません。これは御承知通り昭和二十五年の三月ぐらいに、約一千六百万ドル見当の金につきましては、一応仮勘定として整理をして置くようにという司令部指令がございまして、いわゆる仮勘定整理をいたしたのでありますが、その後さらに指令がございまして、右申し上げました一千六百万ドルは勘定から落したわけであります。それで一応司令部指令によつて記帳いたしておりました帳簿から落ちております。その後御承知ように、外国為替特別会計ができたのでありますが、右の次第でございますので、外国為替特別会計といたしましても記帳いたしておりません。その後できました外国為替資金特別会計は、外国為替特別会計を引継ぐことになりましたが、これまた帳簿上では引継いでおりません。しかしながら今申し上げましたのは、いわば政府帳簿上の整理の問題を申し上げているのでございまして、これは魔次通産省方面から御説明申し上げましたように、帳簿上の記帳があつてもなくても、政府といたしましては、いわゆる四千七百万ドルの債権確認と申しますか、確保と申しますか、そういうことにはできるだけの措置を講じているわけでありまして、もちろん大蔵省政府の一員といたしまして、通産省方面と協力いたしまして、そのことに当つているわけであります。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 輸出入の外貨勘定については、これは総司令部が専管しておつたような御説明を受けているのであります。専管しておつた司令部外貨勘定じりは、日本法律によれば、昭和二十四年の十二月に外為会計ができ、同時に外為委員会も設置されておりますが、当然その会計にそれは引継ぐなら引継がれるべき性質ではないでしようか。といいますのは、かりに司令部がこれを勘定し、記帳しているといえども、究極は日本受取勘定として、四千七百万ドル残があつたということか確認されたわけでありますから、そうしたら、そういう債権は、日本法律によつて設置されました外為会計に、当然帰属すべきものでないかと思うのですが、その点に対する御見解はどうなのですか。
  27. 東條猛猪

    東條政府委員 司令部整理手続がどうであろうと、実質的に日本輸出によつて生じた債権なんだから、外為特別会計に引継がれるべきではなかろうかという点が御趣旨の第一点かと思いますが、これは吉田委員承知ように、いわゆる外為特別会計昭和二十四年十二月に設置されましたときに、どういう資産をこの外国為替特別会計整理するかという規定があるわけであります。それで二つばかりの問題があろうかと思います。第一点は、経理日本政府引継ぎを完了した勘定ということになつておるわけであります。今まで申し上げましたように、外国為替特別会計ができますまでに、すでに約千六百万ドルの債権は、司令部の命令に従つて落ちておるわけであります。つまり帳簿から落ちておりますので、右申しましたよう法律上の観点から、外国為替特別会計資産勘定計上すべきであるという法律解釈はただちには出て参らない、かように存ずるわけであります。そこで勘定に上つて参りませんから、事実上日本輸出代金と考うべきものであるにかかわらず、資産科目に上らないのはおかしいじやないかということで、通産省がいろいろと実態的な収支のしりを円の面からしぼり上げて、右の千六百万ドルではないのだ、約四千七百万ドルくらいの受取勘定があるのだということで、折衝を四月まで続けられ、その後外務当局がいろいろと考えておられるというのが、本件のてんまつなつておるわけであります。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 さようにいたしますと、昨年四月十九日総司令部において確認した瞬間、それから以後このドル資産というものは、しからばどこに帰属することになるのですか。
  29. 東條猛猪

    東條政府委員 御承知ように、確認を受けた債権の履行の時期の問題、そういう点は外交折衝に残されておる問題であります。そういういろいろの現在の交渉段階からして、はたして明確な資産勘定として計上すべきかという時期の問題が一つあると思います。それからもう一つはかりに計上すべしということになりました場合に、これを外為特別会計計上すべきものであるか、一般会計計上すべきものであるかということについては、先ほど申し上げた当時の司令部指令でこの資産を一応引落しておる、従つて法律あるいは政令の上では、特別会計所属資産ということに断定してきめることも、なかなかむずかしい状況がある。あるいは一般会計所管として計上すべきではなかろうかという考え方もあり得るわけです。今までの政府考え方としては、現在の交渉段階において、いかなる形式にもせよ一応時期の問題としてもどうであろうかというので、一般会計によりましても、特別会計によりましても、いわゆる資産としては計上しておりません。しかしこれは申すまでもなく、帳簿上の整理の問題としてそうなつておるということを申し上げておるのでありまして、四千七百万ドルの確認の問題、あるいはその後のいろいろな折衝の問題で、政府として努力を続けておるわけであります。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいま一つの重点として、アメリカ政府代表日本商業債権であることを確認したのにかかわらず、日本政府自身資産であるやらないやら、どこの主管に属するやらどうやらわからぬというのが、今のお答えの趣旨であろうと私は察する。大蔵省は、私大体において国の財産、国の資産主管省であると考えております。それで特に外国政府に対する債権ですから、為替局長に伺つておるのです。そのあなたがそれが財産であるか、債権であるかまだわからんような御答弁だが、一体大蔵省省議としてそういうことをきめておるのですか、どうなのです。通産大臣は国務大臣として商業債権であるということを明確に言つておる。それであなたの方がもつと詳しいから、詳しい点を聞きたいと思つたのだが、頭から否定なさる傾向である。それは大蔵省省議できめたことを代表して言つておられるのですか。
  31. 東條猛猪

    東條政府委員 あるいは申し上げようが悪かつたかもしれませんが、私どもは決して債権なつているということを否定しているのではありません。債権としては確認してございます。しかしながらその債権帳簿整理をすべきときについて、いかなる時期に、いかなる記帳をいたすべきかということは、よほど検討を要するという趣旨のことを申し上げた次第であります。
  32. 柴田義男

    柴田委員 この前、日にちは忘れましたが、速記録をお調へくださいますとわかると思いますけれども、この問題に関して、外国為替勘定連合軍最高司令部勘定に属しておつた、こういうことを承つてつた。それから、外貨債権として、二十五年度以前の年度決算には計上ができなかつたという御説明であつた。そういうことから総司令部勘定に関する覚書の資料等があればその資料をいただきたいということを申し入れておつたわけでございます。その資料をお持ちになつておりましたら伺いたいと思います。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 為替局長に聞きますが、外国政府に対する日本政府のただいまのような貿易上の債権がある場合には、それは一応あなたの局が主管することに原則としてなるのじやないのですか。この問題についてはなお他の事情も若干あつて、そこであなたの方としてはいずこに登録すべきか、所管すべきかまだ問題であるというのならわかるのです。それを私は大蔵大臣に聞きたいと思つておるのです。つまりこの種の財産については、どういうふうに国の資産として登録をすることが一番適当かということについては、検査院意見大蔵大臣意見を最終的にきめてもらいたい、その意見を聞きたいと思うのですが、そういうことならわかる、ただ原則的にはこれを一応登録し、勘定として記録しておくべき主管局はあなたの方ではないのでしようか。
  34. 東條猛猪

    東條政府委員 吉田委員仰せ通りでありまして、昭和二十四年の十二月一日、いわゆる外国為替特別会計が設置せられまして以後の外貨取引は、すべてこの特別会計で一元的に処理することに相なつております。それでございますから、これ以降の新たな取引でございますれば、これはもう御指摘の通りでございます。ただ、先ほどの私の申し上げ方がちよつと悪かつたかと思いますが、いわゆる資産と申しましても、これは貸借対照表意味で実は申し上げておるのでありますが、外為会計貸借対照表にこの四千七百万ドルを計上すべきかどうかという特定の問題になりますと、今仰せになりましたようないろいろな事情がありまして、それは過去の法令の関係、あるいは引継ぎ関係司令部指令等をよほど厳格に検討いたしませんと、ただちには結論を出しにくいのではないかと思います。この問題は実は長い問題でございますので、私の方でも通産省法制局あたりとも連絡し十分検討いたしております。  それから、貸借対照表記帳するとかしないという技術問題を離れまして、全体の外貨債権あるいは外貨債権の問題は、ただいま仰せ通り、これは大蔵省為替局といたしましても非常に重大な関心事であります。私どもの方がこの外貨資金の問題につきましては責任部局でございますので、この四千七百万ドル問題につきましても、たといその帳簿記載外為会計でありましようと、あるいはどこの会計でありましようと、実質的に外貨収入の手取りをもたらすかもたらさないかという意味では、非常に重大問題でございますから、通産省でこの四千七百万ドル問題をいろいろと処理せられるにあたりましても、当時の外為委員会大蔵省で申し上げますれば大蔵省理財局という、いわば今日の為替局の前身のこの二つ部局は常に連絡を緊密にいたしまして、意見、相談もし、また協議もいたしておるのであります。その意味におきまして、この外貨に関する問題だけを事柄の趣旨として、大蔵省為替局が非常に重大な責任を負うているのじやないかということにつきましては、仰せ通りでございます。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでもう一点尋ねておきますが、外為会計貸借対照表資産に載せないということについての最も大きな理由としてお考えになつておつたのに大体どの点でありましようか。
  36. 東條猛猪

    東條政府委員 先ほどもちよつと申し上げたかと思いまするが、外国為替特別会計ができましたときに、こういうものを外国為替特別会計帳簿記載しろということが、法律がございまして、政令できまつてつたわけでございます。そこに、その当時すでに司令部から日本政府に正式に経理引継ぎ、移管を受けた左記債権ということになつておるわけでありますが、私どもは、当時の情勢からいつて法律解釈としましては、その貸借に該当しないのではなかろうか、あるいは該当しないおそれがどうもありそうだというふうに考えておるわけでございます。その後この外国為替特別会計外国為替資金特別会計になり、今日の特別会計を形づくつて来ておりますので、これは純法律論を申し上げては恐縮でありますが、法律なり政令の一つの解釈として、そういういきさつから見て、貸借対照表資産科目にこの対米債権の四千七百万ドルを計上することはあるいは妥当ではないのではなかろうか、こういう解釈があるという趣旨を申し上げたつもりでございます。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 こまかくなるようですけれども、なおそれは確かめておかなければいけないと思いますが、やはり何らかの形であなたの局がこの債権を一応扱つておかないと、扱う場所がないというのでは四千七百万ドルという日本政府債権がどこか宙に迷つていることになります。これは最も警戒すべき現象でありまして、国の重大な資産政府のどこを探しても記帳されておらぬということでは、これはたいへんだと思いますので、そこで、何らかの形でもし貸借対照表資産に載らなければ適当な方法を講ずる、そういう用意をあなたは局長としてしなければならぬじやないかと思われますがどうですか。
  38. 東條猛猪

    東條政府委員 二つばかり考え方がありはせぬかと思います。外国為替資金特別会計でなくして一般会計ではなかろうかという解釈が一つと、それから、いや一般会計ではないのだ、外国為替資金特別会計へやはり記帳すべきだということになりましても、それがいわゆる資産のバランスシートではなくて、いわばこういう債権があるのだ、——正式の資産ということになりますと、御承知ように財政法、会計法に非常に厳格な規定がございますので、一般のほんとうの意味資産ではないのだが、いわばそれに準ずる債権なんだという意味におきまして、宙にと申しますか、そういう整理をしておく、そういう二つ考え方があるのではなかろうかと思います。いずれにしましても、四千七百万ドルというこの債権は、仰せようにいつまでも宙に浮くというような、何と申しますか、広い意味での国の資産整理勘定は適当でない、かように考えます。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 やはりこの委員会におきまして、その点についての一応の結末をつける必要があると考えておりますが、そこで、一般会計に属しよう特別会計に載ろうとそういうことはともかくとしまして、大蔵省大蔵省として省内でこの対米債権問題について御相談くださつて大臣がもしこの対米債権ありとすれば——ないという前提に立てばこれはもう問題はありません。他の大臣はありと言うし、どこもみなありという考えで今日まで進んで来ております。そこで大蔵大臣としては、大蔵省代表政府代表して、この対米債権はいずれに登録させるかということについて、ひとつ省内でよく御協議をくださつて、もうあと一、二回で結末をつける空気に今ありますから、大蔵大臣としてその点についての答弁を用意していただくようにあなたからおはからいを願います。これを御希望申し上げておきます。
  40. 東條猛猪

    東條政府委員 まことにごもつともな御要望でございますのでお答え申し上げる必要はないかと思いますが、念のために大蔵省内の今までの模様を申し上げますと、申し上げるまでもなく、この問題は非常に重要な問題でございまして、大蔵省だけでなくて、通産省やその他政府の全体の法規解釈の問題でございますので、法制局あたりとも相談して結論を出すことになつております。御趣旨のほどは大蔵大臣にもよく伝えることにいたします。
  41. 柴田義男

    柴田委員 関連して伺いたいと思いますが、そういたしますと、政令四十号の一項は、「昭和二十四年十一月三十日における左に掲げる連合国最高司令官総司令部勘定に属する外国為替等に係る権利義務は、同年十二月一日において外国為替特別会計に属するものとして取扱う。」ということになつており、一、二、三、四と並んでおりまするが、このうちのどの勘定にこれは属するものでございましようか、為替局長から伺いたいと思います。
  42. 東條猛猪

    東條政府委員 今も吉田委員に御説明を申し上げておいたのでありますが、いわゆる総司令部から日本政府に正式に経理の移管があつて、左記勘定ということに該当するということにもしきまれば、これはもちろん特別会計に何らかの意味記帳する必要はございますが、そうではないのではなかろうかということで、実は今大蔵省でも通産省や法制局といろいろと相談いたしておるということをさつき申し上げたのであります。もし法規の解釈の問題といたしまして——いや、その法規の解釈上入れるべきだということが正しいといたしますれば、その清算勘定というところに該当するのではなかろうかと私は存じますが、ただ、今申し上げておりまするように、そう断定を下すのには疑義があるということを先ほどから申し上げているわけであります。
  43. 柴田義男

    柴田委員 これだけ大きな問題になつて、いまさらそういう態度を大蔵省がとるとはまつたくわれわれ了解に苦しむものであります。われわれのごとき為替勘定に関しましてはまつたくずぶのしろうとでさえも、たとえば一の項には連合国最高司令官商業勘定、二の項には連合国最高司令官綿製品勘定、三の項には連合国最高司令官清算勘定、四の項はベルギー通貨地域現金勘定という四つに分類されているので、そのうち少くとも一の項に属する連合国最高司令官の商業勘定であるということを想像されております。しかも通産大臣すらも商業勘定として確実にこれが確保されたということを当委員会においてお答えになつている、そういう場合におきまして、大蔵省為替局長が、本日の答弁を承つておりますと、まつたく奇怪しごくだ、断じてわれわれは承服できない。こういう点で重ねて大蔵当局の所信を伺つておるのであります。おそらく吉田同僚議員もそういう点を伺つておると、こう思うのであります。ただいままでの為替局長の非常な御親切な答弁ではありますけれども、まだどこかわれわれ委員会を欺瞞するよう答弁としか受取れない。ほんとうに大蔵省が良心的に立ち返つて、間違つてつたならば間違いである。こうやるべきであるという所信を披瀝される責任があるではないかとわれわれは考えるのでありますが、これに対しまして、もう一度あらためて承りたいと思います。
  44. 東條猛猪

    東條政府委員 私は通産大臣商業債権だということをおつしやつているのではないと思います。商業勘定だということは、私は実は予算委員会ちよちよいのぞいておりますが、仰せられておらぬのではなかろうか、そこで私どもの解釈といたしましては、いわゆる商業債権の技術的な、いわゆる勘定の仕訳のやり方といたしまして、今仰せように四つの勘定があるわけでありますが、この対朝鮮関係は御承知ように、オープン勘定でございまして、その政令に該当するとすれば四つのカテゴリーのある商業債権の中の第三の清算勘定に属するところの商業債権だというふうに解釈するのが、政令の建前上適当である。あるいは私の申し上げることが多少言葉が足りないで誤解をいただくとたいへん恐縮でありますが、そういうようにお考え願いたいと思います。
  45. 柴田義男

    柴田委員 私どももしろうとなので、商業債権だと、こう通産大臣がおつしやることは——われわれはこの政令四十号というものも、委員部からの御提出で今初めて拝見したのでございますから、あるいは私の解釈が誤りであるかもしれません。ただ連合国最高司令官の商業勘定という科目があるから、商業債権であればこの科目に準ずるものではないか、こう考えざるを得なかつたのであります。もう一つの問題は、商業債権といたしまして、日本から韓国に送り出しましたものは六千七百七十六万ドル余とわれわれは覚えている。一方今度は向うから輸入された金額は一千八百三十四万ドル余と覚えておるのでありますが、この金額に相違はないでしようか。通産省政府委員の方、お覚えでございますれば、お知らせ願いたいと思います。
  46. 中野哲夫

    中野政府委員 先般御説明申し上げましたただいまの数字で相違ないと思います。
  47. 柴田義男

    柴田委員 この数字に誤りがないといたしますれば、これを差引きますと、四千九百四十一万ドル余になるように存ぜられます。そうしてその不足の分が二百三十五万ドルぐらいございますが、この関係はどうなつておりましようか。
  48. 中野哲夫

    中野政府委員 今の二百万ドル余は、前回にも申し上げました通り、五十円と百二十五円のレートの適用の問題がございまして、われわれの方で五十円評価を初め主張したのですが、あまりに円高ではないか、そういうことで、当時の他の物質なども勘案しまして百二十五円と訂正いたしたので、それだけの差額が生じたのであります。
  49. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、芝浦で火災を起して積荷をしておつた船が焼失したということをわれわれは聞いておつたのですが、その場合に、その船にどれだけの品物があつて政府はこれに対してどれだけを補償しておりましようか。
  50. 中野哲夫

    中野政府委員 ただいま御質問の芝浦で火災を起しましたことについては、私は詳細存じません。調べてお答えいたしますが、当時の公団あるいは船舶運営会との間で合理的な解決がしてあるものと存じます。
  51. 柴田義男

    柴田委員 私どもはしろうとで、またこれがへたな調査をやつたのかもしれませんが、芝浦で火災を起して積荷をしておつた船が焼失した。これに満載されておつた物質の金額も二百三十五万ドルであると記憶しております。そういたしますと、今の不足の金額というものは、こういうところにカバーされて政府がごまかしておるのでございましようか。ごまかしでなくて、レートの勘定によつて同じ金額の二百三十五万ドルという差額が生じたのでございましようか。その点伺いたいと思います。
  52. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 芝浦におきまして遭難いたしましたのは、第二白鐵丸という船だつたと私は記憶いたしておるのでありますが、これに対しまして、約千八百万円ほどの積荷の損害がございました。これはもちろん保険がついておつたものでございますから、その共同海損分担金は保険会社から当時の貿易特別会計に入つております。そのドル価格は、これは後になつてわかつたのでございますけれども、二十五万ドルか三十五万ドル程度ではなかつたかと私は記憶いたしております。
  53. 柴田義男

    柴田委員 私どもが知つている範囲では第二白鐵丸、そうしてドル勘定で二百三十五万ドルと聞いておるのであります。そういたしますと、今の輸入の分が千八百三十四万ドル、輸出が六千七百七十六万ドルで、差引四千九百四十一万ドル余が対米債権だと心得ておる、そうして今度は現在の対米債権が四千七百五万ドルだ、こういうことになつております。そうすると、これを差引いてみますと、二百三十五万ドルという、日本政府が損失しなければならない数字が残るのであります。それをこの白鐵丸の火災におんぶさせてしまつたのではないかという疑いを持たざるを得ない、金額が同じだから疑いを持つたのです。ただいま石井政府委員の御説明によりますと、積荷が三十五万ドル、こういうことになりますると、二百万ドルというものはどこへ行つたのでありましようか、その点を承りたいと思います。
  54. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 御指摘の第二白鐵丸というのが正確な名前であつたかと存じますが、これが約三十万ドル程度の積荷を積みまして海難にあつた従つて品物は朝鮮まで参らなかつたわけでございます。そこでその積荷に対しまして再出荷命令が参りまして、再出荷の分の船積書類も上り、第一回の積荷の船積書類も上りましたために、これが重複記帳に相なりました。そうしてその重複記帳分だけを、私どもが書類で調べているうちにわかりましたので、わが方の債権からこれを除いたという関係でございまして、この白鐵丸にひつかけて他のものを解決したというようなことは、私の記憶では全然ございません。
  55. 杉村沖治郎

    杉村委員 ただいまのお答えの、第二白鐵丸の火災による沈没の、いわゆる朝鮮向けの積荷の全損額の負担は二百三十五万九千八百七十五ドル八十セート、こういうようにわれわれの調べにはなつておるのでありますが、このたびの四千七百五万六千二十七ドルという数字が出て来るのは、つまり第二白鐵丸の今申し上げた朝鮮向け積荷の全損のドルを差引いた額がそうなのではありませんか、そうでないと数字が出て来ないと申しますことは、まず第一に石炭の輸出額が、三千二百八万四千三百八十七ドル、石炭以外の枕木であるとか、木材、車輌等の輸出額が三千五百六十七万七千五十四ドル八十二セント、総計六千七百七十六万一千四百三十三ドル三十八セント、こうなる。それから日本が輸入しておるものがある、かますであるとか、ほしこ、麻薬、鉱産物、これを合せると、九百八十三万一千六百十九ドル六十七セント。それから経済協力関係の支払い分が、二百五十二万ドル、五百九十九万九千九百十ドル三十九セントとなつておる、これを差引きますと、四千九百四十一万五千九十三ドル三十七セントになる。ところがここで今の第二白鐵丸が芝浦で火災でやけて沈没してその朝鮮向けの積荷が二百三十五万九千八百七十五ドル八十セントとなるから、これを引きますると、四千七百五万六千二十七ドル五十七セント、こういう数字になつて来るのですが、今のあなた方のお話ではどうもこの間から政府通産大臣その他が認めておるという数字が出て来ないのですが、私の今言うたところの数字ではそういうふうな数字が出て来るのですが、あなた方がどういう計算で四千七百五万六千ドルというものが出て来たのか、あなた方の計算をひとつ聞かしてもらいたい。
  56. 中野哲夫

    中野政府委員 ただいま御質問の第二白鐵丸の積荷の損害が二百三十万ドルかどうかという点は、どの資料からお示しに相なりましたか存じないのでございますが、その点は私の方で早速当時の事情を調べて正確な数字を申し上げたいと思います。ただ私ここでの推定では、さように二百三十数万ドルというような大きな数字ではなかつたものと確信いたします。そこでただいまお問い合せの、しからば通産省として四千七百万ドルを出した計算の基礎ということでございますが、これは先回も申し上げました通り、石炭の輸出が三千二百八万ドル、それ以外の物資の輸出が三千五百六十七万ドル、合計いたしまして六千七百七十六万ドルでございます。それに対しまして朝鮮から輸入いたしましたのり等が九百八十三万ドルに相なつておるのでございます。その後アメリカ側から現金で二百五十二万ドル、及び五百九十九万ドルというものを受けております。その合計が千八百三十四万ドルに相なります。そうしますと先ほど申し上げました六千七百七十六万ドルから千八百三十四万ドルを差引きました数字が先ほどもお話に出ました四千九百四十一万ドル余に相なるのでございます。この中から先ほども申し上げました五十円のレートで見るか百二十五円のレートで見るか、これは結論として日本側が妥協して、百二十五円に見るということに向うと意見が一致いたしたのでございますが、その差額が二百三十五万ドルございますので、それだけ取り前が少くなる。そうしますとその差引四千七百六十万ドルという数字が出ておるのでございまして、この数字の作成につきましては、当時通産省が中心となりまして、資料に基き関係各省とも相談いたしまして、また向うの司令部の係官等と数次にわたつてつき合せをいたしました結果まとまりました数字のものでございます。
  57. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうすると今の私の申し上げたことと違うところは、要するに私のあなたに問うたことは積荷の全損が二百三十五万ドルと言つたのですが、あなたの方はドルの換算率の関係だ、こういうふうに聞いてよろしいのですか。
  58. 中野哲夫

    中野政府委員 結論から申しますればさようなことに相なりますが、その積荷の問題につきましては正確な数字はあとう限り当時の事情を調べて御回答申し上げまするが、二百三十万ドルという数字でなしにただいまわれわれがつかんでおりまする数字は三十五万ドル余というふうに相なつておるのでございます。
  59. 杉村沖治郎

    杉村委員 いま一つ伺いたいのですが、この前これは文書で出していただくことになつておつたように私は記憶しておるのですが、朝鮮に送つたところの石炭が不良のために返されて来た。それでその返されたところの石炭をどういうふうに処理したか、すなわち朝鮮に送つたときにはすでに輸出業者に金が払つてあるのであります。それが朝鮮に行つてから今度は内地に返されたなれば政府がすでに業者に支払つた円貨をどういうふうに処理されたか、取返したか、その石炭は業者に返したのか、さらに朝鮮に輸送中の往復の運賃等の計算、それらの損失等はどういうふうになつておりますか。この前その点を伺つたのでしたが、お答えが次会ということで延びておつたのですが、その点について伺いたい。
  60. 中野哲夫

    中野政府委員 ただいまお尋ねの点について経緯を申し上げたいと思います。昭和二十二年の七月でございますが、第十三雲洋丸というのが石炭を千二百トン積みまして釜山に参つたのでございます。釜山で揚げ荷を始めたのでございますが、その千二百トンのうち四百五十トンは荷揚げを完了いたしましたが、残りの七百五十トンにつきましては、炭質が不良であるというためで向うが受取りません。従つてこれは揚げ荷を中止いたしたのでございます。そのまま持ち帰りまして、昭和二十二年の七月に若松で積みもとしております。この石炭代千二百トンの代価は百二十九万三百六十円に相なります。そのうち七百五十トン分は今申し上げました通りこれを持ちもどりました分ですが、これの代金が七十一万一千六百五十円であります。そうしますと、その差額五十七万八千七百十円だけを支払えばよい、こういうことに相なるわけでございます。もう一つ日本から釜山に持つて参りました千二百トン分の運賃諸掛りを見なければなりません。それらを合せますと当時の記録によりますと、それが四十三万五千八百八十三円に相なるのでございます。釜山から今度若松へ持つてつたのは七百五十トンでございます。これの運賃諸掛りを入れますと、二十八万円に相なるのでございます。従いまして先ほど申しました五十七万八千七百十円というものは支払い超過に相なつておりまするので、これを特別会計といたしましては、公団から繰りもどしまして計上しております。運賃諸掛りにつきましては、特別会計が当時負担をしてこれを経理しておるような次第でございます。
  61. 杉村沖治郎

    杉村委員 その運賃を特別会計が負担するというのはどういうわけでありますか。つまり輸出したものが、品物が悪いために向うから返されて来たならば、それは輸出をした者の責任ではありませんか。その輸出した者の責任に基くところのこういうたくさんな運送賃を政府が負担する義務はないじやありませんか。単に炭の代金だけを返さしてそれでいいというりくつはないと思いますが、いかがでありますか。
  62. 中野哲夫

    中野政府委員 当時は石炭に限らずその他の物資につきましても、内地の業者は積出港渡しでございまして、途中の船は、政府が貿易資金の運用によりまして、船をチヤーターいたしまして向うへ送つてつたわけでございます。あるいは御指摘のように、今日から見ますと考えられぬような感じもただいま私どもいたしますが、当時は政府がチャーターをして積出港渡しで受取つて政府輸出と申しますか向うへ持つてつたので、それは政府特別会計で経費として負担した、こういうように理解いたします。
  63. 杉村沖治郎

    杉村委員 どうもその点われわれには納得できないのです。それは政府はそういうことではないかもしれませんが、政府に損害を加えたのではありませんか。その石炭が完全なものであつたならば、そういう余分な運賃は政府が負担しなくてもよろしいのでありましよう。向うからちやんと業者に支払つたところの炭の代金もとれるし、何ら心配ない。また向うから船が帰つて来るなら、帰り荷も積んで来れるでありましよう。それをそういう不良炭を業者が出して、こういうたくさんの金を——それは日本の全経済から見ればさほどではないかもしれませんが、五十七万八千円とかいうこういう莫大な金を、そういういいかげんなものを出して、政府が金をとらぬ先に、政府はその人に先に金を払つておる。そうしてその石炭が不良なためにそういう運賃まで政府が、いかにチャーターしてどうだとかいつても、それは業者が政府に損害を与えたのじやありませんか。それを政府が負担するということは、あなたのその理論はちよつとわれわれには納得できないのですがね。
  64. 中野哲夫

    中野政府委員 ただいまお話の点ごもつともと思います。当時これは向うへ出した石炭でございますから、これが向うへ着きましてから発見されたので、申すなれば隠れた貸しがあとで発見された。そうしますと、平常の場合は、隠れた貸しによる損害は、売手と申しますか、荷主が負担するのが、買手といいますか、ただいまの場合では、貿易特別会計が負担すべきかというような条項が当時つけてありますれば、ただいまの御指摘のような点は、政府が、申すなれば損をせずに済んだのかと思いますが、当時そういう隠れたる貸しについての損失をどこが負担するかというような点が一般的にはつきりきめてなかつたというよう事情にあるわけでございます。その点が定められておれば、御指摘のようなことは起らなかつたということは申し得るのではないか、かように考えます。
  65. 杉村沖治郎

    杉村委員 どうも隠れた貸しがあつたことについてきめてなかつたが、貸しがあつたから出した本人に返したのでしよう。炭につきましては貸しを認めて輸送賃については認めないのですか。そこをいま少しすつきりそれは実際誤つた、とるべきであつたというふうにおつしやられるなら、それ以上は私は追求いたしませんけれども、どうもあなたのお答えは、炭は貸しがあつたから炭代は返させたというが、それによつて与えられた損害はどうなるか。その今の場合であれば、なるほど七百五十トンですか、七百五十トンだけは返つたが、七百五十トンだけでなく千二百トン全部返つたらどうなるか。千二百トンの石炭が全部余分だつたら、その行つたり来たりの船は全部むだでありましよう。そうして千二百トンの前に払つた円貨は当然返させるのがあたりまえではないか。それから千二百トン積んで行つた船の往復賃はその人の負担にすべきがあたりまえではないか。あまりにもあなたのおつしやることは、常識的にも、法律論を抜きにしても、ちよつとどうかと思われますがいかがですか。
  66. 中野哲夫

    中野政府委員 御趣旨にもつともに存じます。
  67. 柴田義男

    柴田委員 先ほどの問題になりますが、この輸出されました金額も相違がない、輸入された金額にも相違がない、こういたしますと差引きが四千九百四十一万ドル余になつた。こういう差引勘定が成立した後に、そのドル換算というものについて、またそこで交渉がされたのでございますか。
  68. 中野哲夫

    中野政府委員 当時の事情を取調べますと、この五十円と百二十五円の換算がえがきまつてような数字に相なつたのでございますが、ただいまの御質問は、いわゆる三条件の一つのレートの問題がこの後起つたか、こういう御趣旨だろうと思いますが、それはそうではなくて、実態がそういう五十と百二十五との開きが、百二十五ということにきまつたあとには、全然レートの問題は起つてないのでございます。逆に申しますと、私どもが今日確信しておるところによりますと、あの三条件の一つのレートの問題につきましては、この差引計算によつて解決されたと信じているような次第であります。
  69. 柴田義男

    柴田委員 そうしますと、このレートの換算の問題でございますが、これも向うから提示された三条件の第三に、一ドル百二十五円の交換レートであるというのは、われわれから考えますれば、あまりにも一方的な押しつけであると考えられる。この当時の状況からいいましても、円貨が低落状態にあつたことはどなたも否定ができないと思います。今日は三百六十円対一ドル、これが常識で実際の日本の諸物価、日本の円貨を計算いたしますれば、四百円対一ドルかもしれません。こういう円貨が低落状態にあつた場合に、昭和二十年から昭和二十五年にわたる長い期間において発送いたしました輸出物資を最後に計算いたします場合に、百二十五円の交換レートとしたほんとうの根本的な原因というものがどこにあつたか、もう一度通産当局のお答えを願いたいと思います。
  70. 中野哲夫

    中野政府委員 このレートのいずれを適用するかということで問題になりました日本商品の円価は二億六千五百八十四万三千円余りでございます。私の方といたしましては、外資をたくさんもらいたいわけでございますので、当時軍票レートがたしか五十円でございましたから、五十円で換算して三百九十三万ドルほしいということを申したわけでございます。それに対して向うはただいま御指摘のようなこともございまして、インフレになつて円安になつておるので、五十円というレートは少し円高過ぎるのではないか、自分の方は損するわけだというので、百二十五円という当時の線を勘案しまして向うが申し入れて来たわけであります。その点についてしばしば折衝を遂げまして、そこで百二十五円というものが当時として妥当であろう、こういうことで妥結をいたしたような経過に相なつております。
  71. 柴田義男

    柴田委員 この問題はこれで議論をいたしませんが、私どもはどうしても納得ができない。と申しますことは、円価が低落過程にあつた時代である。そうして百二十五円で一ドル計算をやるということは、日本の外交の大ミスである。しかも通産省の皆さんも——こういう交換レートをきめたということは、通産省が中心になつたのか、外務省が中心になつたのかわかりませんが、交渉の任に当つた人は、あまりにも経済的に無能であつたと言わざるを得ない。きめてしまつたからやむを得ないといたします。だからこれ以上もう議論はいたしません。ただその三項目の条件の一つといたしまして、あのときの船積みの到着証明の文書を要求されておるとわれわれは聞いておりましたが、船積みをやつて向うが受取つたという証拠がございませんか。その点を承りたいと思います。
  72. 中野哲夫

    中野政府委員 船積みの書類は前回お答え申しました通り通産省において整理し、厳重に保管をしております。
  73. 柴田義男

    柴田委員 これは単に日本から出荷いたしましたというだけの問題でなしに、向うで受取つたという文書が正確にございますか。もう一度念を押して伺います。
  74. 中野哲夫

    中野政府委員 こちらから積み出しました場合の積荷の書類には、向うが受取つた場合に受取つたという内容を記載することになつております。これは船長が日本へ持つて来て貿易庁に出すということになつておりますから、御懸念のようなことはないのでございます。
  75. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、このいわゆる対米債権ですが、今のお答えのように四千七百五万六千二十七ドル五十七セントという金額は絶対にかわりございませんか。
  76. 中野哲夫

    中野政府委員 絶対にかわりないと確信いたしております。
  77. 杉村沖治郎

    杉村委員 先ほどお尋ねいたしました石炭の持ち帰りですが、石炭のほかにラジオ、カン詰、そういうものがあつたようにこの間聞いておつたのですが、石炭の持ち帰りとどういうよう関係にあるか、ひとつお答え願いたい。
  78. 中野哲夫

    中野政府委員 御質問の通り当時クレームといたしまして正式に取上げられたものに、ラジオ類が三十五万ドル、綿花が二万ドル、あきカンが八百ドルというようなものがございます。これらは正式クレームの手続をいたしまして解決済みでございます。先ほど石炭でたいへん綿密なことを申し上げましたが、こまかい点は取調べてからでないとただいますぐにはお答えできかねます。
  79. 杉村沖治郎

    杉村委員 それではこれもひとつお取調べ願つてお答え願います。  それから支払つた代金はどうなつておるか、船賃などはどうなつておるか、これらもこの前のと一緒にお答え願えるかと思つていましたが、ございませんでしたので、お取調べになつて御答弁願います。  それからもう一つつておきますが、そうすると石炭の船賃は総計幾らになりますか。先ほど聞いたのは二十八万円でしたか、七百五十トンの分ですね。
  80. 中野哲夫

    中野政府委員 申し上げます。船賃というものと水先案内料と海上保険とを入れまして行きには千二百トン積んで、四十三万五千八百八十三円かかりました。今度釜山から若松へ七百五十トン持ち帰つたわけでありますが、それも海上運賃、滞船料、その他を入れまして二十八万円に相なつておりますので、合計七十一万円余りに相なつております。
  81. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは七百五十トン持ち帰つた船賃は、二十八万円ということになつておるわけですね。そうすると七百五十トンのいわゆる損失輸送賃は幾らになりますか。五十何万ですか。全部を負担させるということはどうかと思うが、七百五十トンに対するところの船賃は、水先案内料その他を入れて幾らになりますか。
  82. 中野哲夫

    中野政府委員 御指摘の通り七百五十トンだけ持ち帰りまして、その差額は有効に運送されたわけですから、残りの二十八万円だけ……。
  83. 杉村沖治郎

    杉村委員 往復でしよう。二十八万円の往復で五十六万円ですか。
  84. 中野哲夫

    中野政府委員 そういう勘定なつております。
  85. 杉村沖治郎

    杉村委員 そこでこの石炭を出した人はだれですか。石炭を出した人を調べて、文書で出してもらうことになつておりましたね。円貨を支払つた支払先の人間を調べて文書で出すようにこの前おつしやつていましたね。
  86. 中野哲夫

    中野政府委員 石炭につきましては文書で資料として差上げたと思うのでございまするが、当時の仕組から申しますると、この石炭も若松から出荷をいたしておるのでございます。それでその出荷主は日本石炭株式会社であつたわけであります。その日本石炭株式会社は当時若松港において三菱鉱業、貝島炭礦、古河鉱業、北九州石炭、この四つの会社を使いまして積み出しておつた、こういうことに相なつておりまするので、御不満かとは存じまするが、その日本石炭株式会社なり実務取扱い機関がどこの末端の山から買つたかということは貿易庁としては、従つて通産省としてはつまびらかにできないわけであります。
  87. 杉村沖治郎

    杉村委員 そこまで聞けばいいのです。日本石炭株式会社が、要するに三菱外二、三の山から出した石炭ということはわかつていますね、そうするとその下の方の石炭がどこから出たか知らないが、少くとも三菱あたりから出た石炭が朝鮮まで行つて不良炭ということで返つて来て、そうしてあなた方が七百五十トンは代金を返さしたというのだから、うそはないでしよう、もちろん返したのだろうと思いますか、しかし少くともここに三菱その他の大きな会社が五十六万円というものをもうけておることになるわけです。あなた方のさきのお答えによつても、この五十六万円はこれが負担しなければならぬ金でしよう、その会社が出した石炭が悪いために返つて来た船賃ですから、石炭の代を返すと同時に、その船賃もこちらに返さなければならぬ、それを返さないでそのままにしたということは、三菱その他の二、三の会社がこの五十六万円の運賃をもうけておる、国に損害を与えてそれつばなしになつておつた、こういうことになるのじやないでしようか。
  88. 中野哲夫

    中野政府委員 重ねてお答え申し上げまするが、当時の契約といたしましては、法律的に申しますると、日本貿易特別会計がそういう負担をするという建前になつておつたわけでございまするから、法律的に申しまして国庫が損失を受けたものには相なりにくいものと考える次第であります。
  89. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうすると、さつきあなたが私に答えてくれて、私が言つた通りだというふうに答えたから、私はそれ以上追求しなかつたのだが、またかわつちやつた、それではおかしいじやありませんか。千二百トンこの石炭が向うから全部が不良で荷上げができなくて返つて来て、三菱その他に返したならば、千二百トンのために政府が払つた円価は当然こちらへ返さなければならぬでしよう、そうしたならば、その千二百トンを往復した損害も払わなければならないでしようが、それを払わなくてもいいという契約があるとあなたはおつしやつた委員長その書類を提出さしていただきたい。
  90. 中野哲夫

    中野政府委員 お答え申し上げます。先ほど御趣旨を了承申し上げますと申しましたのは、先ほども触れました通り、今日の考え方からすれば、当時隠れたる瑕疵の負担区分について明確な規定を置けばかかることが起らなかつたのではないか、こういう御指摘の点について……。
  91. 杉村沖治郎

    杉村委員 規定がなかつたなれば負担するのがあたり前じやありませんか。
  92. 田中彰治

    田中委員長 契約書にも、不良な石炭を送つてつて来た運賃を政府が弁償するなんてことはないですよ、そういうものはないのですから、それよりもまことに申訳なかつたで済ましなさい。
  93. 杉村沖治郎

    杉村委員 どうなのですか、船賃は政府が損するなんてそんなばかばかしい約束があるはずがない。約束がないのなら、常識的にも船賃は悪いものを出したものが負担すべきじやありませんか。
  94. 中野哲夫

    中野政府委員 先ほど答弁申し上げた通りでございます。
  95. 杉村沖治郎

    杉村委員 そういうことだつたら私がさつき問うたように、いわゆる三菱その他二、三の会社がこの五十六万幾らという船賃を政府に損害をかけたということになるじやありませんかと言うのです。それに返事ができないのですか。
  96. 中野哲夫

    中野政府委員 当時損失を受けたということは言えると思います。
  97. 柴田義男

    柴田委員 為替局長ちよつと承りますが、二十四年十一月三十日現在の外国為替特別会計諸残高表というものをいただいておるのですが、これで拝見いたしますと、私どもはしろうとでどうしてもわからぬのでございますが、資本金の四十億四千万円それから借入金の二十四億、国庫繰替金の二十四億、オープン勘定十四億百万円、米ドル建十四億百万円、英ポンド建ゼロ、未払債務その他六百二十五億七百万円、合計七百三億四千八百万円、貸方がこういうふうになつていて、借方が同じ金額になつておりますが、この二十四年十一月三十日現在の諸勘定残高表には今の対米債権が入つておりましようか、入つておりませんか。
  98. 東條猛猪

    東條政府委員 お答え申し上げます。先ほどもちよつと申し上げたかと存じますが、一応約一千六百万ドルのいわゆる対韓国関係のオープン勘定関係債権司令部指令計上したのでありますが、その後さらに司令部から指令がありまして、それを落せという指令が参つたわけであります。従つて約一千六百万ドルというものは、いわば記帳いたしておりました帳面からは落ちたわけでございます。この外国為替特別会計昭和二十四年十一月一日から発足をいたしましたに伴いまして、司令部からこれらの負債を引継ぎまして、当時の外為委員会のつくりました貸借対照表には従つてこの一千六百万ドルというものは計上いたしておらないわけであります。  なお申し上げるまでもないことでございますが、この一千六百万ドルが落ちたことがおかしいのではなかろうかということで、通産省が中心になりまして、証憑書類を整備の上で司令部と話合いました結果がこの今回の四千七百万ドルでありますので、この貸借対照表には四千七百万ドルをもちろん計上しておらない、こういう帳簿上の関係なつておるわけであります。
  99. 柴田義男

    柴田委員 そうしますと、この残高表によりましては、対米債権というものは一銭も計算に入つておらない、こうわれわれは承知してよろしゆうございますか。
  100. 東條猛猪

    東條政府委員 ただいまお読みになつておりますところの諸勘定残高表には一銭も入つておりません。
  101. 熊本虎三

    ○熊本委員 先ほどの杉村君の質問の続きですが、日本石炭鉱業株式会社取引の対象となつて積んで行つたものが不良で返つて来た、こういう話で綿密に言えば五十六万円の輸送賃を損させておる、こういう話でございましたが、三菱、貝島、古河というような炭鉱は大体わかりますが、北九州石炭というのはどういう性格のどんな会社でしようか。
  102. 中野哲夫

    中野政府委員 お答え申し上げます。御質問の北九州石炭株式会社と申しますのは、北九州の中小炭鉱の共同販売会社ではないかと想像されるのでございます。
  103. 熊本虎三

    ○熊本委員 私想像するのに、いやしくも天下の三菱や貝島や古河というようなものが不良品を積み出そうとは考えられない、そしてそれがもし誤つた場合にはそれらの名誉にかけても国の輸送料を損させて知らぬ顔の半兵衛をするほどのあつかましい会社ではない、こう思う。そこで問題は残つたところの北九州石炭株式会社、こういうものに相なろうかと思う。従つてその北九州石炭は何かとこうお尋ねいたしますと、中小炭鉱が何か一緒になつたのではないかというような御答弁でございますが、その内容をひとつお調べ願いたい。
  104. 中野哲夫

    中野政府委員 石炭局等に依頼いたしまして次会までに調べてお答え申し上げます。
  105. 熊本虎三

    ○熊本委員 至急にこれに包含される会社の名簿及び荷物を出しましたこれらの数量、これをお調べ願つて書類の提出を願いたいと思います。
  106. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は一転しまして外務省の経済局長が見えておるから同つておきたいと思います。これはあるいは重ねて大臣に聞く点がありますが、そのつもりでお願いしたいと思います。  このたび問題になつておる対米四千七百余万ドルのこの債権については、外務省はどう処理するかということを省議できめておりますか、どうですか。
  107. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 本件に関しましてはたしか昨年の十月かあるいは十二月くらいであつたかと思いますけれども、本件の存在並びに経緯を説明いたしまして交渉をいたしております。別に省議でどういうことをきめたということはございませんけれども、そういう経緯で交渉いたしております。
  108. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますとこの債権は、アメリカの政府に対して債権を行使することができるものだという前提で交渉することにしたのですか、その辺の御見解を承りたい。
  109. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 さようであります。
  110. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方が通産省から昨年の七月詳細な経緯を書いた通知を受けておりますが、日付は七月の九日であつたと思いますが、いつごろにさよう交渉をすることに——十月に交渉することにきめたとおつしやるのですか。この債権には三項の条件的なものが末尾に付せられてあるのは、通産省からの経緯の通知の末尾に書いてあるのでもちろん明らかでありますが、これは条件は満たされておるということになつたのですか。
  111. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 向うからの手紙には三つの条件が満たされたならばということが書いてあることも承知いたしておりますので、その点は満たされたとか満たされていないとかいうことには触れることなしに、過去の経緯とそれから本件の本質的な存在ということで交渉いたしております。
  112. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 通産省当局のこの委員会における答弁では、完全に満たされていると確信しているという答弁であるのであります。やはり政府は一体の関係で外交の処理はせにやならぬものと思う。通産省においてすでに条件が満たされているというのにかかわらず、外務省においてはそれを確かめないのはどういうわけですか。
  113. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 本件四千七百万幾らというものが全的に存在するという前提のもとになされていると思います。但しその条件が満たされているかいないかということには触れておりませんので、そういうことに触れる必要なしに全的に満たされているという前提のもとに交渉しております。
  114. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは答弁について大臣がおられぬからいろいろと責任のあることは申しにくいのならば大臣に御答弁を聞きたい。これらの問題につきましては何回も繰返してこの委員会では通産当局からは聞いておる。でありますからこの三点は確かめる必要があるとかないとかいうようなことは、およそ誠意のない所為であります。  それでは聞きますが、一体この対米債権なるものは国の債権としては、国の資産としてはどういう性格のものですか。
  115. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 交渉いたしております前提といたしましては、むろんこれがわが方のアメリカに対するところの債権であるという前提のもとにやつております。それがどういう種類の債権であるかというようなことは別に触れておりません、それだけやつております。
  116. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それはいよいよおかしい、あなたはやはり誠意をもつてお答えにならなければいかぬ。やはり日本の国の財産である、日本の国が外国の政府に対して有する債権であれば、相当法律的の根拠がなければならぬと思う。一体日本の国の財産債権というものに法律の根拠なくして債権と認定し得る根拠理由があるのでありますか、外務大臣はどうなのですか。
  117. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 経緯にかんがみまして、向うの方からも三つの条件をつけまして、サブスタンシヤルに認めるということを言つて来ておりますので、それに基きましてこれがわが方がアメリカに対するところの債権であるという前提のもとに交渉をいたしております。
  118. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そんなことを聞いているのではない、およそ国の財産なるものは動産も不動産も債権もいろいろあります。有体の財産、無体の財産もある。ところがあなたはそういう条件を研究することなしに突然外国にぶつかつて行こうということをおつしやるならば、そういうことを調べる必要はないとおつしやるなら、この国の資産なるものは一体何に基いて国の資産とあなたらは認定したのかということです。法律の根拠なくして国の資産と認定し得ることは、大臣といえどもできないものであると思う。
  119. 田中彰治

    田中委員長 あなたがわからないのなら大臣に来てもらつたらどうですか。
  120. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 私が今まで申し上げた以外には……。
  121. 田中彰治

    田中委員長 このついでに言つておきますが、自由党の諸君からも聞いてもらいたい、この事件は非常に複雑しております。これが当時円とドルの関係がわからないから、そういう書類を提出しろというのだが、書類的にできないのです。だからなるべく早く済ましてしまおうという、ほかの事件もありますから、私は委員長として、野党諸君にしかられるか知りませんが、相当簡明にしているつもりなのだ。しかるに少し甘い顔をしていると外務大臣通産大臣も出て来ない。あなた方そういうつもりなら委員長から書類を全部まとめてやりますよ。私の力でやつた答弁できますか。この次必ず大臣が出て来なければ委員長は知りませんよ。通産大臣にも外務大臣にも言つておきなさい。国民が迷惑してこれだけのことをやつておるのに、少し甘い顔を見せるとすぐにみなそういうことをやる。あなたの方も少し言つておきなさい。あなた方がいけない。(「委員長横暴だ。」と呼ぶ者あり)横暴じやないですよ。
  122. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 経済局長は私のお尋ねする趣旨を御理解くださつておるのですか。
  123. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 どういう法律的な根拠に基いての債権か、あるいはどうかとおつしやつているように伺うのでございますけれども、われわれといたしましてはこれは国の有する債権だということで交渉いたしておるというふうに御答弁申し上げております。
  124. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はいやしくもやはり日本の国がこの間まで占領しておつたアメリカに対して四千七百万ドルの債権交渉をしようというときには、相当慎重にその債権の性質——債権は完全に行使できるものかどうか、交渉の経緯において条件が付せられてあつたならばそれが満たされておるのかどうかというようなことは、やはり少くとも外務省が交渉するということで、外務大臣か、あなたが局長であるならばあなたがこの点については綿密に正確な検討をし、そして確信を持つてなさるのが私は順序だろうと思うのです。そこでこのような条件については通産省では明快に簡単に答弁なさつておるのに、あなたの方ではそんなものを調べる必要はないからというような、ずさんな、ぞんざいな御答弁だから私は掘り下げてこの債権について法律的な根拠を伺つておる。およそ日本の国には憲法があります。憲法があつて財政法があります。憲法あるいは財政法などには財産のことについては相当詳細な規定がある、そういうようなことについてもあなたの方では十分に研究したものと思う。国内的な関係においてこれを発動する場合に、対外的にはどうあればいいかというようなことを研究なさつたと思うのだ。それでしようがないから、私もそこまで行く必要もないと思つたんだけれどもつてみる。ほんとうならばやはり通産省と——通産省の方の証拠書類は一切持つておる。そうして証拠書類は整理してある。でありますからマーカツト局長が行きますときにもいろいろなことを声明しておるのですから、交渉については条件が遵守されたかいなやというようなことは当然調べておくことが私は事務当局の責任だと思う。それで聞いたんです。ところがそれについてはどうもあなたの方はそんなものを調べる必要はない、債権だから経過から考えて交渉したのだ、こうおつしやるのです。それらの点につきましては重ねてまた大臣からも聞くとして、時間も大事でありますからもう少し進みましよう。いつどこへどんな交渉をなさつたでしようか。(「くたびれたよ。」と呼ぶ者あり)疲れましたね。疲れましたけれども、もう少し聞かぬとちよつとくぎをさしたことになりますので言つておきたいんですが、お互いに大切な時間で、五回も六回もやれませんので、できるだけ要点について、全力をあげて答えてください。わからぬところはわからぬと言つてください。
  125. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 東京におきまして私がアメリカの大使館と交渉をいたしております。
  126. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 わかりました。私が聞くのはどういう交渉をなさつたか、こう言つておるのであります。
  127. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、本件債権の存在と、それからその経緯というものを向うに申しまして、それの交渉をいたしているわけであります。
  128. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それはこの債権をつまり支払つてもらいたいという目的なのか、確認をしてもらいたいという目的なのか、確認をしてもらいたいというのであれば、一体まだ確認されておらぬという前提なのか、その辺も聞いておきたいのです。
  129. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 確認されているという前提のもとに本件の解決処理交渉をいたしているのであります。
  130. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 解決処理はわかります。趣旨、内容、目的はどうなんです。
  131. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 つまりこういう種類の債権日本にあるのだぞ、それからその経緯はこうこうだということ向うに話します。それでこれを何とか早く円満に解決しようということを交渉いたしている次第であります。
  132. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 解決でありますから、何とか円満に解決しようでは私は解決にはならぬだろうと思う。何とか円満にということは、それは何とかしてあらゆる方法で円満にということはしごくけつこうなことであります。しかし内容がなければなりません。筋がなければなりません。だからそういう円満というのではなしに、具体的内容を示さずにですか、その辺はどうなのでしようか。
  133. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 本件は複雑でございますので、ただちに円満なる解決を見るというわけには行きません。いまだほとんど出発点におけると同じような論議を重ねているという状況であります。
  134. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は複雑とか何とか、そういう批判を聞くんじやないのです。あなたが交渉なさるときにこちらの希望、こちらの条件、こちらの目的を達しようとするものについて具体的にお示しになつたのかどうか、そういうことを示すことなしに、何かぼやつとあいさつでもなさる、そんなことであつたのにすぎないのか、それを確かめたい。すでに十月といいましたらもうしばらくで一年になります。
  135. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 十月に交渉いたしまして以来、随時折があるごとに言つておるのでございますけれども、こちらの希望はむろん支払いを求めたいというのが希望でございますが、先方にもいろいろな言い分と申しますか、主張がございますので、いまだ解決を見ないという状態であります。
  136. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はやはり日本の国の利益のために最善の外交交渉が望みたいのであります。でありますから、必ずしも何もかもぶちまけてそれで利益とも思いませんので、そういう含みのことはわかります。わかりますが、やはり交渉をしたということをおつしやるのだから、具体的に相当なところまでつつ込んで聞いておかなければならぬ、こういうことになるわけであります。そこでもう一ぺん確かめておきますが、この辺の経緯全体は大臣が来ればもつと明確な線が出るのでしようか。たとえば外務省の方針についての根本の腹はこうだあるいはこういういうようなことが話題になつたのだというような、あなたが今おつしやつたことだけではこれは別に何もないわけでありますが、大臣ではもつと明確な線が出ますか、その点どうです。
  137. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 大臣お尋ねくださいませんと、私からただいま御質問になりました件に関しまして、大臣つたらそれ以上のことを言うかどうかということは私から御返答申し上げかねます。
  138. 熊本虎三

    ○熊本委員 ちよつと関連して聞いておきますが、この交渉を昨年の十月から始めて、そうしてあなただけが折衝に行かれておるのか、その他大臣等が一回でもこれを中心にして交渉に行かれたことがあるかどうか、その点だけ聞いておきたいと思います。
  139. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 主として私がやりまして、私がやりましたことは大臣に御報告いたしております。
  140. 熊本虎三

    ○熊本委員 主としてではなくて、あなたが主としてやられていることはわかるのですが、大臣がこの問題を中心にして特に折衝の任に当られたことが一回でもありますかということです。
  141. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 私からはそれを申し上げることはできません。おやりになつているかもしれませんけれども、伺つておりません。
  142. 杉村沖治郎

    杉村委員 この問題について大臣出席を求めて質問するのですが、そのときに、大臣が来られないで、政府委員をと言われることがあるかもしれないので、あなたは、大臣がそういうふうに言つたときには、ただいま申し上げた以外のことの質問の答弁ができますか、それを伺つておきます。
  143. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 私の聞き知つておりますことは全部申し上げております。
  144. 杉村沖治郎

    杉村委員 要するに、この四千七百万ドルの債権の性質であるとか、それを請求した経緯であるとかというようなことは今吉田委員が問うたけれども、きわめて不明確なんだが、われわれが大臣に問うたときに、その点は政府委員にと言われたら、やはりあなたの答えはその通りの範囲を出ませんか。
  145. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 私は知り得ておることを全部申し上げておりますので、そういう種類の御質問がありましても、その通りのことを申し上げるよりほかにしかたがありません。
  146. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なお重ねてまたあなたに来てもらいますが、この債権交渉につきましては、あなたはやはり大臣から相当内容についての指示はお受けになつておるのだろうと思いますが、その辺いかがですか。
  147. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 本件の経緯とそれから存在ということを大臣にもむろん申し上げまして、それで大臣等と御相談の上で交渉いたしております。
  148. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それからアメリカには今日本の大使が行つておりますが、大使の方へこの問題について連絡はいたしましたかどうか。もし連絡したならば、その趣旨内容についてはどうか。それから今こちらへ駐在しているアメリカの大使館との交渉等について、なおアメリカへそれを連絡しておりますかどうか、それはどうですか。
  149. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 昨年のたしか七月の終りころくらいだつたろうと思いますけれども、こういう問題があるということをワシントンの方へは言つてつてあります。それからあとの、こつちで交渉をいたしておりますことについてどういう経過であるということはまだ向うには言つてつておりません。
  150. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで、去る本月六日にあらためて外務省からアメリカヘこの債権についての申入れをしたとか、その当時新聞は伝えましたが、そういう申入れをしましたか。
  151. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 日付をはつきり覚えているわけじやございませんけれども、本件が国会で問題になりましたときには、こういう問題が起つているということに関してはむろん話合いをいたしました。
  152. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ところが、聞けば昨年の十月から交渉を開始しておるのに、本月になつて、日付は忘れたけれども国会においてこれが問題になつておるということを言つたのでは、どうもわれわれ国民としては、実に政府はこの問題について熱意がないという感じしか受けぬのであります。すでに去年から十箇月も経過しております。国会で問題が起つたというようなことをよそごとのように伝えられたというような感じしか受けませんが、国会は国民の代表としてこの問題は重大事として扱つておる。そこで、去年来の懸案であります交渉がどういうことになるかということは、われわれしろうとながら考えられる筋でありますが、それでは、その後積極的なお話合いはせずなんですか。
  153. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 御質問が、そういうことがあつたそうだがどうかとおつしやるので、そういうふうに簡単にお答えいたしましたけれども、むろんただいまおつしやつたよう趣旨を伺うと話し合つております。
  154. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それならばそれに対する回答があつたかどうか、あつたとすれば、その回答の内容はいかがですか。大体の概要、アウト・ラインだけでけつこうですから伺いたい。
  155. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 向うの回答の内容を申し上げることははばかるのでございますけれども、最近向う側と話し合いましたときにも、まだ急速なる進展を見るというふうな徴候はございませんでした。ほかの向う側の言い分もございますので、やはりそういうこととにらみ合せてやるという、元のままの状態であります。
  156. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしこの問題は、すでに国民が公開の国会において堂々と論議されているのでありまするから、先方の回答の内容をここで言うことがはばかるということは私はどうかと思うのです。さほどに先方のおつしやることを隠すということは必要なかろうと思うのでございます。あなたはいずれその結果を大臣に言つただろうから、言えなければ、これは大臣に聞いてもいいと思うのだが、言つては悪いほど、それほど重大な内容なんでしよう
  157. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 先ほど申し上げました通り、内容を私から申し上げるという自由を持ちませんので、これは大臣にでも伺つていただきたいと思います。
  158. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは質疑は大臣に継続する方がいいと思いますから、私はこの程度でやめておきます。
  159. 田中彰治

    田中委員長 黄田政府委員ちよつとお聞きしておきますが、交渉された債権は、こういう種類の債権で、こういうもので、こうで、こういうことになつているというような内容を、一言でいいですが、今ここであなたは説明できますか。説明できなければできないでいいですが、どうですか。
  160. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 それは、終戦後何年まででございましたか、その間に司令部日本政府のために交易を行つた、そのうち朝鮮に関する部分においては、主として石炭と化学薬品と言うようなものを向うに送り、海産物等をこつちに持つて来た、その勘定は全部司令部がやつていた、その日本側の輸出超過と申しますか、受取り分か、勘定によれば四千何百万ドルか残つている。そういう経緯とそれからそういう問題があるということを向うに申しまして、交渉いたしておるのであります。
  161. 杉村沖治郎

    杉村委員 ただいま、向うの回答を言うことはここでははばかるということを言われたのですが、これは非常に重大なことです。四千七百万ドルの日本の取り分があるということはアメリカの方からちやんと認めて来ている。その債権について、日本の外務省がそれを払つてもらいたいということについての交渉をしたのだが、その返事をここで言うのをはばかるというのは、あなたの主観的判断に基いてはばかるというのであるか、それとも、それは公表するなよと大臣から言われておるためにはばかるのか、両者のいずれでありますか。
  162. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 大臣から口どめされておることはございません。但し、本件はこれだけ問題になつておるのでありますから、というふうなことがあれば、大臣からおつしやるだろうと私は思うのでございます。
  163. 杉村沖治郎

    杉村委員 あなたは大臣から口どめされてないのであつたなれば、何ゆえにあなたの主観的な考えくらいで国会に対してはばかるというのですか。あなたはわれわれに対してどういう考えをもつて答えておるのですか。あまりにもそれはこの委員会を侮辱しませんか。
  164. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 委員会を侮辱するがごとき考えは毛頭ございません。但しこれもやはり外交交渉の内容でございますので、こつちがごう言つておるということは私限りでも申し上げることができますけれども、向うがどう言つているかということに関しましては、やはり今の段階では私から申し上げることはできません。
  165. 杉村沖治郎

    杉村委員 向う側がこちらに債権があることを認めて、それを請求した、こう言つてつて、その返事ができないと言うが、そんなこと少しもはばかるところないと思う。それはアメリカからいろいろ、MSAの関係などがあるので、そんなことを言うとあるいは、ガリオアの問題もあり——われわれはガリオアなど債務とは考えておりませんけれども、そういうことをこちらで言うと、お前の方で請求するなら、あれを債務としてとるぞとでも言うのですか、どうなんですか。そんなことは少しもはばかるところはないと思う。あなたの主観でははばかると言うが、外交上どんなことではばかるのか。こちらが債権を主張して、向うがそれを認めて、その返事をはばかるというのはおかしいじやありませんか。一体あなたはどんな考えでそういうことを言うのか、どうもわれわれは判断ができませんけれども、そんなことは外交でも何でもないのですよ。請求したものについて向うがいやだというのか。またアメリカは、日本に対して貸分があるから相殺するというのか。どうだというのですか。そんなこと何も秘密にする必要はないでしよう
  166. 田中彰治

    田中委員長 黄田政府委員、そんなこと言われてもいいじやありませんか。そんな秘密外交を守らぬでもいいですよ。
  167. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 われわれといたしましては、むろん早く本件を解決したいと思つておるのでありますけれども、先ほど来申し上げましたように、向うにも向うの言い分があります。それはあまり申し上げたくないということをさつきから申し上げたのでありますけれども、たとえば向うがわれわれに対して有しているところの債権というものとの関連においても、本件が問題になりましたので、そういうこともからみ合つておるのであります。
  168. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますとやはり、ガリオア勘定対日援助物資というものが、アメリカの日本に対して返還を要求すべき債権なりという、さような主張がその交渉の上にアメリカの指針から出て来たわけですか。
  169. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 ガリオアとかイロアというものの総額が幾らあるかということは、むろん何もはつきりきまつたものがあるわけではありませんけれども、とにかく何がしかのものがある。見返り資金というものを積み立ててからでも、発表した数字がございますけれども、そういうものが幾らかあるというふうなことから、それとの関連においてもやはり考えたいということは向う側の申分の中にもあります。
  170. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私どもは何も。アメリカに対して、ことさらに筋の通らないことを外務省にしてもらいたくありません。やはりお互いに筋の通るところで、また実情に即して適当な結論を得たいと思うのであります。そこで先般来この委員会におきましても、ガリオアその他の物資をアメリカからの対日援助についての債務と認めるべきものか、あるいはそうでないのか適当な考え方かというようなことについて幾多の論議をいたして来たのでありますが、この委員会の大体の空気は、ガリオア、イロアの物資勘定につきましては、これは商業的なクレジットのよう部分があればさようなものは除きまして、大部分のものはやはり贈りものというか、いただいたものというふうに理解しておる。過去数回の国会の決議に徴しても、そういう理解を持つておるというのが大体の空気であります。そこで私どもはほんとうに返すべきものがあるなら返す、あるいはいただくべきものがあるならばいただくというふうな筋を立てたい。そういうところに一つの問題があるわけです。そこで何ほどかでも向うへ商業的に支払わなければならぬものがあるのなら、それは支払うベきものとして明らかにし、そしてこつちが受取るべきものならば受取る。ただちにそれを受取ることはどうかということであるならば、国のために活用するという方法も実はあるわけでありますから、その辺についての政府のほんとうの腹のあるところの交渉の経緯を聞こうというのが、少くともわれわれの考えなんです。でありますから、あなたから今のアメリカ大使館との交渉において債権が若干芽を吹いて出て来たというようなことを聞きますと、それを明らかにしなければならぬ、こういうことになつて来るわけであります。しかしだんだん時間がたちますので、きようはそこまで深くは行きません。行きませんけれども、やはりそういうことが障害になつて今後交渉は進展しないということなんですか。それだけ聞いておきましよう
  171. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 そういう問題もひつくるめまして至急に解決したいという努力をいたしております。
  172. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 次会は外務大臣を中心にしまして、外務省のとつた措置交渉の方針なり目的なり、あるいは内容なり経緯なりについて相当詳細に答弁するようにしてもらいたいと思いますから、あなたからも大臣委員会の空気なり質疑の方向をよく伝えてもらいたいと思う。同時に委員長にお願いしますが、われわれはいつまでも繰返すわけに行きませんから、委員長から外務大臣に対し、その辺について責任を持つて明確にひとつ委員会答弁せられるよう、申入れをしていただくようにおはからい願いたいと思います。これできようは私終ります。
  173. 山中貞則

    山中(貞)委員 ただいままでの質疑応答を聞いておりますと、どうも答弁される側の見解あるいは資料の統一というものができておらない。私どもでさえ隔靴掻痒の感を非常に強くいたします。これでは野党諸君の円滑に議事を進めようとする意思がかりにあつたとしても進まぬだろうと思う。(「かりにとは何だ」と呼ぶ者あり)そこで関係各省は、政治的な考慮や立場によつて発言しなければならぬ種類のものは別といたしまして、限られた機関と限られた問題についてのはつきりした案件でありますから、事務的な打合せの後にすみやかにその機会を得られ、そして統一された結論を持つて出て来てもらいたい。私は自由党としてかように申し上げるのです。従つて、なるべくすみやかに関係事務当局は相互の調整をして、はつきりした数字的な資料をもつて議事の円滑化に資せられるよう委員長の方からおとりはからい願いたいと思います。
  174. 田中彰治

    田中委員長 そのようにとりはからいます。
  175. 柴田義男

    柴田委員 今の山中委員の御発言と同様に、私どもも丁に当局者を攻撃しようなどという考え方は毛頭ないということは再三披瀝しておるのであります。今日の御答弁を承つておりましても、外務当局が御出席になりますと通産当局の御答弁と違つて来る、あるいはまた大蔵省のお考えとも違つて来ておる。こういうことではいつまでたつてもこの問題は堂々めぐりをやつておるにすぎません。だから山中委員からもお述べくださいましたように、統一された方針、一貫した方針でわれわれに所信を述べていただきたい、こう存じます。
  176. 田中彰治

    田中委員長 政府委員に申し上げますが、私も審議が遅れていますからなるべく早くしたい、簡明に説明してもらつて、簡単に片づけて行きたい、こう考えておる。ところがあなた方の答弁は初めはいいかげんなことを言つてつて、こつちが質問していじめるとその次からどうやら合つて来るというようなわけで、答弁が下手とか上手ということは問題でありません、いわば決算委員会を、従来通り決算委員会ように、答弁のけいこ場とか居眠り場所のように考えておられると、私もこれは国民の代表者として委員諸君と諮つて、超党派的にこの決算委員会で徹底的にやらなければならぬ。私もこれを、自由党の諸君からも言われておるから、早くきまりをつけたいと思つておる。これは去年の八月以後の通産省の問題をこれに関連して調べると、通産省は参りますよ。そこで私の方はちやんとそういうものを握つておるのだから、ひとつよくやられて——古いことは言訳が立つでしようが、八月以後のことは言訳は立ちませんよ。ですから早くきまりをつけるようにしてもらいたい。次の会には大臣を必ずここへよこしていただきたい。たとえば時間が短かくというなら、短かいうちに帰しますから、どうぞそういうふうにお願いします。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後六時十二分散会