運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-07-13 第16回国会 衆議院 決算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十三日(月曜日)     午後一時五十分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 天野 公義君 理事 松山 義雄君    理事 柴田 義男君 理事 熊本 虎三君       大久保武雄君    坊  秀男君       安井 大吉君    齋木 重一君       細迫 兼光君    杉村沖治郎君       吉田 賢一君  出席国務大臣         通商産業大臣  岡野 清豪君  出席政府委員         通商産業事務官         (企業局長)  中野 哲夫君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君  委員外出席者         会計検査院事務         総長      池田  直君         参  考  人         (元外国為替管         理委員会委員長 木内 信胤君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 七月十三日  委員阿部五郎君辞任につき、その補欠として齋  木重一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人より意見聴取の件  朝鮮輸出に対する対米債権に関する件     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 ただいまから決算委員会を開会いたします。  本日は前会に引続き朝鮮向け輸出物資に対する対米債権に関する件を議題とし、審議を続行いたします。  審議に入るに先立ちまして、本件に関する参考人の指定をお諮りいたします。元外国為替管理委員会委員長木内信胤君を本件に対する参考人として指名いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中彰治

    田中委員長 御異議なしと認め、日君を参考人に決定いたしました。  前会において岡野通産大臣から本件米債権について説明があり、かつ通産省当局とも種々質疑応答いたしたのでありますが、いまだその真相を把握することができない状態であります。そこで本委員会はその決議に基きまして、本日内閣総理大臣及び外務大臣の御出席をお願いいたした次第であります。しかるに偶然にも本日宮中におきまして午餐会があり、総理大臣及び外務大臣はこれに出席され、引続き昨日来朝いたしましたロバートソン米国務次官補重要会談をすることになり、出席ができかねるとの連絡がありました。事情まことにやむを得ないと思いますので、次会に御出席を願うこととし、本日は通産省及び外務省当局並びに木内参考人につき質疑をいたすようにとりはからいたいと思いますが、御異議ありませんか、
  4. 柴田義男

    柴田委員 ただいま私どもは最も重要な問題を審議いたしておりますのに、総理大臣の御出席がないという理由の中の一点の宮中における午餐会に御出席ということ、これはやむを得ないことだと存じますけれども、その後の時間は、私ども把握しております範囲におきましては、ロバートソンとの会合の時間のお約束を聞いておりません。はたしてロバートソンとのお約束の時間が何時に会われるのか、はつきりとお確かめ願いたいと思います。
  5. 天野公義

    天野委員 その問題は政府側から通告があつた通りだとわれわれは了承するのであります。今回は総理大臣出席は見送つて関係当局質疑を続行していただきたいと思います。
  6. 柴田義男

    柴田委員 宮中の御陪食が済みましたあとの時間は、総理大臣は明いておるじやないかとわれわれは想像するのであります。ロバートソンとお会いになるという時間がすでに確実であるならば、これはまたやむを得ないのでありますけれどもロバートソンとの会合の時間はわれわれはまだ聞いておりません。はたして本日お会いになる予定の時間があるのかどうか、まつたく疑問に存ずるのであります。少くも本決算委員会は非常に日時が少いのであります。われわれは良心的に最も真剣にこの問題を論議し、究明し、はつきりと把握いたしますならばいいのでありますが、前の委員会におきましても、われわれはしばしば通商当局あるいは岡野通産大臣あるいは会計検査院等に、いろいろな角度からこの問題を伺つたのでありますけれども、どうしても納得できない点が多々ございますので、最後に首相出席を要求したのであります。どうかロバートソンとの会談の時間がないのであれば、率直に御出席を要求いたすのであります。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私どもはこの委員会におきまして、総理を呼びましたゆえんのものは、過日来から懸案になつております対米債権真相、将来にわたる政府の方針あるいは現内閣吉田首相の覚悟、そういつた問題につきまして重要な点をすみやかに解明する大きなかぎとなるものと思いますので、呼ぶことに同意したわけでありますので、今柴田委員からいろいろ強い要望がありましたごとくに、委員長におきましても何か適切な措置をとられまして、委員会の強い意向首相に伝達していただきまして、最も早い時間に当委員会出席するようしかるべき措置をとられることを要望いたします。
  8. 天野公義

    天野委員 総理宮中後の問題につきましては委員長も御承知のことと思いますので、事外交に関する問題でもございますので適当な委員長のおはからいのほどをお願いいたします。
  9. 田中彰治

    田中委員長 それでは委員長として皆さんにお諮りいたします。本日は公平に委員長が考えましても、総理の御日程が無理だと思いますから、次会には必ず来ていただく、しかし自由党の方でも総理をこの委員会に出さないように相当熱心に運動がされておるという——これはうわさでありますが、そういうことを委員長も耳にしております。そこでこの次総理がこの委員会おいでにならないようでは、四千七百万ドルのみの問題ではありません。今出ておる四千七百万ドルといえども、これは国民一人に対して赤ちやんから明日なくなられる方に割当てても、二百五十円程度にわたる重大な問題であります。そのほかにガリオア問題についても二十一億ドルからの重大な問題を含んでおります。もしこれを決算委員会が誤るならば日本国民は百億円ずつ七十七年間この金を払わなければならない。これを決算委員会がうまく料理いたしますならば、国民がそれだけ軽くなるのであります。こういう状態から……(天野委員委員長委員長」と呼ぶ)お黙りください。——こういう状態から私の方は総理出席にならなければ、少くともこの委員会として皆さんにお諮りして、総理がこういう重大な問題に出て来ないというようなことを、ビラとか発刊物をもつてこれを国民に知らしめて、堂々とこの委員会総理委員長の職権として呼ぶことを皆さんにお諮りいたしますがいかがですか。     〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  10. 天野公義

    天野委員 ただいまの委員長の御発言はきわめて不穏当なものと考えます。問題の処理というものは、問題を糾明してそしてもつてその結論が出た後において、この委員会に諮つて問題を処理して行くのが委員長の正しい務めであると思うのでございます。それをただいまの委員長の御発言を承りますと、多分に主観的な意見が食い込まれておるやに考えるのでございます。これは委員長としてきわめて不穏当な意見であり、われわれ委員意向を無視した意見であると考えるのであります。ぜひこの際委員長の今の御発言をお取消し願いたい。もう一つは、自由党として吉田総理をこの委員会に呼ばないような運動が行われておるというような御発言がございましたけれども、そういう運動をわれわれはしたことはございません。一体どういう証拠がございますか。
  11. 田中彰治

    田中委員長 証拠を出せと言われれば、出します。
  12. 天野公義

    天野委員 そういう運動は一切われわれはいたしたことはございません。それをそういうことがあるかのごとき御発言委員長席においてされるということはきわめて不穏当でございます。この両点について委員長取消しを要求いたします。
  13. 杉村沖治郎

    杉村委員 ただいま委員長発言されたことは、この間の決算委員会におきまして委員会全員意見として一致したことを、委員長が本日繰返えされたまでにすぎないと思うのであります。その後吉田総理国会を軽視して、今日までの実績においてまことに国民の代表に答うるに不親切、冷淡なところがあるので、この決算委員会にも出てもらうことを言うても、あるいは出て来ないのではなかろうかというようなことを懸念いたしたので、この間本委員会において満場一致ただいま委員長が言うたようなことを決定したのであります。ところがなるほど本日は事情を伺えば、宮中午餐会というようなことで、事情やむを得ないというような話でありますけれども、そのロバートソンとの会談が今日昼から晩まで続くわけじやないだろうと思う。そうしたならば一時間かそこいらでありましようから、本来であつたならば、その後の時間をどうするのか別に予定がないのであるならば、私はこの委員会出席せられるのが当然であると考えるのである。しかるにこの点については何らの通告もないというようなことは、やはり今日までの総理国会に対する軽視の態度が現われておる。この間われわれが決議したことを本日委員長が繰返したことはまことに適当であつて、何ら取消す必要がないと思います。
  14. 柴田義男

    柴田委員 先ほど天野委員から自由党総理出席を決して阻止しないと言われたが、これは当然阻止すべきではございませんけれども、一昨日われわれ委員会を開いた直後におきまして、天野委員みずからが何とか総理出席をもう少し延ばしてくれぬかというお話を現になしておるのである。それははたして天野氏個人が言つたのかどうか。少くとも自由党から出ておられる理事である天野氏が総理出席をいくらでも延ばそうとする意図があることは、すなわち自由党がそういうことを考えておるということは当然なことであつて委員長の今の発言に対しましては何ら取消す理由はないし、われわれ委員会意思だと思うのでありますから、どうかわれわれの意思をくんで委員長におきまして善処せられたいと存ずるものであります。
  15. 天野公義

    天野委員 ただいま柴田委員から私のことについて言われましたけれども、大体問題の取扱いをいたす場合には、委員会運営といたしましては理事会をもつて議題の大体の取扱いをきめ、委員会にはかつて行くというのが委員会の建前でございます。しかるに委員長におかれましては往々単独にこの問題を取り上げ、また議事進行等にも(「単独じやない」と呼ぶ者あり)単独をもつて進めるような傾向があるのであります。先ほど柴田委員の言われたことにつきましても、私は本問題は理事会において適宜取扱つていただきたいという議事進行についての発言をいたしたのでございますが、その際も委員長は取上げていただけなかつた。その後の理事会におきましては、私は何も総理を呼ぶということに反対をいたしておるのではございません。問題の性質上各責任ある当局答弁その他を求めて、問題の所在を明確にした後において総理を呼んでやつた方が、この委員会としての正しい行き道ではないか、このように考えて、委員会でそのような発言をいたしたわけでございます。何も私は総理を呼んではならぬというようなことも言つた覚えはございませんし、またその他の行動をとつたことはございません。その点を付言しておきます。
  16. 田中彰治

    田中委員長 天野君に委員長としてお答えをいたします。総理大臣を呼ぶということはこの全員にお諮りして決定されたことであります。それだから今理事会を開いて別にきめる必要はありません。天野委員はときどきものを誤解される。たとえば土曜日の日に私が二十七年度の予備費の承認の報告をするとき、(天野委員委員長々々々」と呼ぶ)あなたが来られて、理事会に通つておらぬことをやつてはいかぬと言われた。そのときに私は官報を持つて来て見せて、あなたはそれを承認した。(天野委員委員長々々々」と呼ぶ)もう少しお聞きなさい。もう一つ、この決算委員会をあなたは何とごらんになりますか。国民が泣いて血税を納めたものを予算委員会争つて、何十億というむだ使いがあるじやありませんか。しかもここに今出ておる金でも幾らありますか。こういうものをあなた方政府に対しまして督励されて、これをむだのないようにして、国民の税金を軽くするようにされるのが、私は議員の職務だと思う。あなたがこれに対して委員長に取消せとは何を取消すのですか。
  17. 天野公義

    天野委員 予備費の問題につきましては私どもちやんと了承しておつたのでございます。ある委員から予備費の問題でないようなことを言われたので、委員長のところに確かめに行つただけのことでございまして、何も予備費の問題について云々いたしたわけではございません。その点を御了承願いたい。それから決算委員会運営について、私は何もこれを遷延したりまたは妨害するようなことは一切したことはございません。むしろこの委員会の促進を願つている一人でございます。行政上のいろいろな欠陥はどんどん糾明して行くのがあたりまえだ。何もそれをどうこうというわけではございません。ただいろいろな御意見委員長の立場において言われるならば、委員会にはかつてその結論によつて言われるのが当然だと思う。私見と同じようなことを委員長から言われたということはきわめて不穏当であるということを申し上げているわけであります。従つて先ほど言われたことはお取消しを願いたい。
  18. 田中彰治

    田中委員長 委員長私見を申しません。
  19. 安井大吉

    安井委員 過半来のこの会における審議は今ちようど審議半ばであります。ことにこの委員会において通産大臣から債権は確認しておると言われ、しかしてそれに対する二百億の支払いについてはどこに払つたか調書を出せということで、数々の書類提出を迫つておる実情であります。総理大臣がここに出席して答弁することはもちろんでありますが、ただこの過程を静かに考えてみますれば、今日この時総理大臣が五なければ解決しないという問題ではないと思います。天野委員が申されるように、この問題は十分検討することにやぶさかではない。しかしその過程においていまだ調査すべき事項が残つておる。それらの事項を見た上でもおそくはないのではないか、こういうことなのであつて委員長の言われるように、自由党総理出席を阻止しておるというようなことは、これは委員長の独断であると思わざるを得ないのでありまして、その言葉ははなはだ遺憾に思います。自由党としては決して総理大臣出席を拒んでおるものではありません。同時に多くの書類に対して十分なる検討をした上で総理大臣出席を求めるということが、決算委員のとるべき冷静にして慎重なる態度と考えるのでありますから、どうか提出書類を十分提出せしめ、十分検討して、しかして何だびでも総理大臣を呼ぶことに私も賛成であります。
  20. 田中彰治

    田中委員長 安井委員ちよつと申し上げますが、この前安井委員おいでになりませんからそういう発言をされるのであるが、総理大臣を呼ぶのは満場一致で可決したことであります。書類はたくさん提出することをちやんと申し込んであります。それからあなたはどういうことをお考えになつておるか知りませんが、ほかの方々総理大臣を呼んでくれというのは、総理質問するだけの問題があるから呼ぶのであつて、この委員会はそういうことまであなたから干渉を受ける必要はありません。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 議事進行について。ただいま闘わされた議論はよくわかるのですが、この際通産大臣も多数の政府委員出席しておることでもあり、また委員もずいぶんそろつておりますので、最初申し上げた本委員会首相出席への強い要望につきまして、しかるべき方法を御決定願つて、すみやかに審査に入るようにおとりはからい願いたい。
  22. 田中彰治

    田中委員長 それではお諮りいたします。総理大臣を呼ぶ方法その他については委員長に一任するに賛成方々起立を求めます。     〔賛成者起立
  23. 田中彰治

    田中委員長 賛成多数。決定いたします。
  24. 天野公義

    天野委員 議事進行総理を呼ばれるのはもちろん委員長政治力にまつといたしまして、先ほど委員長が言われた自由党云々その他委員長私見にわたる点はぜひ取消しを願いたい。取消す意思はございませんか。
  25. 田中彰治

    田中委員長 ありません。
  26. 天野公義

    天野委員 それでは後刻速記録を取調べの上問題といたします。
  27. 田中彰治

    田中委員長 それは御自由です。  吉田賢一君。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 通産大臣にお尋ねします。     〔天野委員委員長々々々」と呼び、「発言中だ」と呼ぶ者あり〕     〔天野委員質問通告は先に出してある、違うじやありませんか、委員部を通してちやんと出してありますよ、公平にやつてもらいましよう」と呼ぶ〕
  29. 田中彰治

    田中委員長 少しも違いません。来ておりません。     〔天野委員「絶対に出してあります」と呼ぶ〕
  30. 田中彰治

    田中委員長 今初めて質問通告がありました。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいま問題になつておりまする米国に対する日本政府の例の四千七百万ドルの債権につきまして、重ねて二、三お尋ねしたいのであります。  まず第一には、これは対韓輸出物代金につきまして、GHQにおける日本政府の繰越し受取り勘定の積極的な債権ありという確認に基くものと聞いております。そこでまず輸出しまする各般の石炭その他の物資につきましてわが国の政府におきましては、この間の資料によりますと、合計六千五百四十万ドル、これに見合いするような円貨が物の代金として支払われておるように計算されておるのであります。そうしてこれを収買いたしまして、GHQに売る。これが朝鮮へ参りまして、結局ドル勘定GHQの専権に属するもののようでありますので、その帳じりの結末が今問題になつております四千七百万ドル、こういうようになつておるというように了解しております。でありますからその際に内地メーカー取扱い業者等々、あるいは団体その他に対しまして、今申しましたような数字金額が支払われておるかのように思います。まずその金額につきまして、さように了承していいかどうか、お尋ねしておきます。
  32. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。私その債権内容の詳しい数字は一度見ましたけれどもはつきりと覚えておりません。結局四千七百万ドルというものがバランスとしてはつきり出て来た。そうしてその内容は、今お説の通りに記憶しておりますが、はつきりした御答弁政府委員から申し上げます。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞きますのは、四千七百万ドルというものはこれは受取るべき勘定のしりであります。だからその前には出入りがあります。内地業者メーカーその他からたくさんに買入れましたものを売つたわけですから、たくさん買入れるのには代金を払わなければなりません。これは円払いでありますから、この円払い総計六千五百四十万ドルに該当する、と言うのは少し正確でない言い方かもしれませんけれども、要するに金物資に対する円払い総額は四千七百万ドルよりはるかに越えたもので、輸出の総量に対する円代金であります。その代金は結局何ぼくらいになるものでありましようか、あるいは石井さんでもいいかと思いますが……。
  34. 中野哲夫

    中野政府委員 吉田委員の御質問に対して、そのうち石炭買上げ代金を申し上げます。これは昭和二十一年から始まりまして、昭和二十五年に入りましても若干ございました。これを全部入れますと、三十四億四千万円余に相なつております。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 通産大臣には少しお待ち願いまして、その数字を少し固めて行きましてからお尋ねした方が便宜かと思います。石井振興部長にお尋ねしますが、この円払い資金はいろいろな方面から出たようでありますが、この円払いに使いました資金の内訳、概数につきまして一応御説明をお願いしておきたいと思います。
  36. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 昭和二十年、終戦直後からございましたのは、為替交易資金特別会計の中の貿易勘定でございます。これは基金五千万円をもつて運営いたしておつたのであります。それから昭和二十一年に相なりまして、貿易資金特別会計が設置されまして、一般会計からの繰入れ九億五千万円、これで昭和二十四年の三月三十一日まで石炭あるいは雑貨、機械類その他の輸出回転基金として使つてつたのでございます。それから昭和二十四年に相なりまして、一般会計から四百億の繰入れを受けたのであります。これは御承知のドツジ顧問の御意見によります特別会計運転資金見合い資金一般会計から繰入れなければならぬというインベントリー・ファイナンスの理論に従いまして、一般会計からこれを繰入れていただいたのであります。従いまして一般会計から、為替交易資金貿易資金及び貿易特別三会計を通じまして繰入れを受けました金額は四百十億円でございます。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この買入れにつきましての資金、いわゆる特別会計における資金と名目のつくものであつてもなくてもよろしいが、要するにその代金に充当した金であります。代金に充当した金には、予算委員会におきましては、援助物資の売払い代金が含まれておるような御説明がありましたが、それを一通り説明を願つておきたい。
  38. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 これは当初は回転資金でございますから、貿易特別会計が成立いたしまするまで、すなわち昭和二十四年三月三十一日までは、一般会計及び為替交易特別会計から十億のもとを入れていただきまして、これを回転してやつて参つてつたわけであります。すなわち輸入品が入つて参りますれば、これを国内に放出いたしまして、輸出品あるいは輸入諸掛り等を支払いまする財源に充てておつたわけでございます。支出総額は私の概数によりますと、昭和二十一年度収入総額五十六億、支出総額五十六億、昭和二十二年度五百四十七億が収入され、五百三十八億が支出されております。二十主年度におきましては二千四百五十九億が収入され、二千四百七十二億が支出されております。二十四年度に相なりまして、これは貿易特別会計で、資金会計ではございません。歳入歳出にいたして立つてあるのでございますが、収入二千八百五十三億、支出二千八百三十九億、昭和二十五年度に相なりまして、収入千五百六十九億、支出千五百十五億、これは前年度からの繰越しといつたようなものを除きまして、いわゆる純計でございます。すなわち昭和二十一年度から昭和二十五年度まで為替交易資金貿易資金及び貿易特別三会計を通じまして資金を受入れました収入総額が七千四百七十四億、支出いたしました総計七千四百十億、このように相なつております。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 趣旨はわかりましたが、そのうちのアメリカからの援助物資の売払い代金は何ほどを組まれておるかについて御説明願いたい。
  40. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 昭和二十四年四月一日以降に受入れましたものは、はつきりいたしておるのでございます。総額八億五千万ダラーに相当するものでございます。二十三年度まで、すなわち二十四年三月三十一日までの分につきましては、援助によりまして入りましたものと、それから私どもが物を輸出いたしましたその手取金で買い入れましたもの、輸入いたしましたものとの区別がなかつたのであります。すなわち外国商品日本の港に入着いたしたものは、総司令部から、日本政府は何月何日どこそこに入港いたしましたどのような商品を受取ることを命ぜらるという指令が発せられまして、これをすべて受取つて国内マル公その他の価格で放出いたしておつたのであります。一本レートもありませんし、為替資金の出し入れば日本側がやつておりませんでした関係上、援助によつて入りましたものなのか、商業ベースで買い入れたものであるか、その区別は一本レートが設定されるまではなかつたのでございます。従いまして、私どもがただいま申し上げました昭和二十一、二十二、二十三の三年度を通じましての三千五十二億といいます収入金の大部分は、輸入品国内に放出いたしました収入金でございますけれども、これのうち援助の分が何ほどであり、商業ベース輸出した輸出代金、外貨でわれわれが購入したものは何ぼであるかという区別はつかないように相なつておるのでございます。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この委員会といたしましては、最終の決算関係につきまして、金額資金物資会計の結末について、その性格を明らかにしておかねばいかぬことは申すまでもございません。この事件はいろいろ対外関係に大きな影響がありますので、その辺も考えつつ、われわれも審査を進めたいと思うのであります。ところで、国会におきまして、今四千七百万ドルの対米債権が、予算委員会におきましても数回、総理初め外務、通産大臣などからの発言があり、あなたの御発言もありましたが、おそらくは国会議員全体がまだ釈然としておらぬと思うのです。当委員会におきましても、前会あなたその他多くの方の説明を聞いたのですけれどもはつきりしない面が多分にあります。それはどこにあるのだろうというと、この外国から入つて参りました物資の買却の代金と、ガリオア、イロア関係がどういうふうに交錯しておるのだろうか。この点につきまして、政府当局はつきりした発言をなされぬ事情があるのじやないかということすら、いろいろと推測がたくましゆうされますので、ここはひとついろいろ折衝等の責任の衝に当られた石井政府委員は、その間の厖大な資料の整理検討の結果、十分に御承知のことでありますので、結論は大臣から聞くとしまして、あなたにおいてその内容をいま少し具体的に出してもらつた方が、この審査がどちらになりますとも、明確に結論づける上において非常に大事な点であると思いますので、都合によりましたら私は秘密会の要求ということまで用意しておるくらいでありますが、ひとつできるだけその辺ははつきりと御説明を願いたいと思います。
  42. 柴田義男

    柴田委員 岡野通産大臣はまだ時間が相当ございましようか。ございますならば、今の順序を追つての御質疑でいいと思いますが、もし時間がございませんでしたら、通産大臣に対する質問をお許し願いたいと思います。
  43. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 ただいま吉田先生の御発言まことにごもつともでございまして、私どもといたしましては、国内におきましては、現金会計の面は会計法の定むるところにより、物品についての出し入れ、出納につきましては、すべて物品会計規則の定むるところによりまして整理をいたし、かつその結果につきましては、会計検査院の厳重なる検査を受、かつ物品会計につきましては物品出納計算書によつて、現金の収支につきましては現金の収入支出の計算書を調製いたしまして、本国会にも提出いたしておるところであります。この間に処しまして、どうして援助物資が何ぼ入つたかということが日本政府にわからないかといわれる御疑問まことにごもつともなのでありますが、ただいま申し上げました通り日本がみずから外貨を持つことはできなかつたという当時の事情、これはややくだいて申し上げませんと、おわかりにならぬと思うのでありますが、占領直後から当分の間、わが国は各国と国際関係が敵国扱いと相なつてつたのであります。従いまして日本みずからが外貨を保有いたしますれば、国際公法の原則によりまして、すべてこれを没収されるという立場にあつたわけであります。たとえば朝鮮に品物を輸出いたします。そしてそれがナシヨナル・シテイ銀行の預金であると仮定いたしますと、その預金はいつ何どきたりとも連合国によつてこれを没収し得る、こういう国際法的な立場に立つてつたわけであります。従いましてかくのごとき事態を避けるために、総司令部がいわば信託的に日本の外貨の出し入れを管理いたしたのであります。これが司令部の商業勘定と申す勘定であります。日本流に申し上げますれば、歳入歳出外の現金出納官吏が置かれたと了解してほぼ間違いないような勘定でございます。こういたしまして、日本輸出いたしましたもののかわり金は司令部が管理し、それによつて海外から日本に必要なものを輸入いたしておつたのであります。同時にアメリカ政府から日本援助物資物資の形で入つてつたのでありますが、この貿易の開始されました当初、商業勘定によつて輸出されましたもののかわり金で輸入しました物資も、それからアメリカからのいわばあてがいぶちである援助物資も、同じように日本側に受取りを命ぜられておつた。このものは援助関係の品物であるぞ、このものはお前たちがかせいだ金で輸入したものであるぞという区別をいたさずに、日本側に引渡されておつたのであります。従いましてわれわれは、昭和二十年から二十三年一本レートができ上りますまでに、相当量の輸入をいたしております。この数字は物量では、何が何トン、小麦が何トン、塩が何トン、鉄鉱石が何トンという数字は明らかにし得るのであります。しかしこのうち援助で行われたものがどれだげであり、それから私どもの血と汗でかせぎ出した輸出代金で買つたものが何ぼであるかという区別は、しるしがつけてなかつたのであります。この点御疑問まことにごもつともでございますけれども日本政府は外貨の出し入れにつきまして、何ら口をはさむ権限がなかつたという当時の事情からして、このような事態を生じたのでありまして、この点は特に申し上げまして御了得を願いたいと存ずる次第でございます。
  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいま石井政府委員の御説明によりますと、ガリオア、イロアの内容、数量の割合がはつきりしないままに、外国のものを処分した代金内地の収買代金に振り向けられる、こういうことになつております。そこで大臣といたしましては、このガリオア、イロアの計算、これがどういう性質になるかはその次の問題といたしまして、今の八億五千万ドルというものは、やはり相当ガリオア勘定が含まれておるのじやないかというようなこともお考えになつておりませんでしようか。その辺については全然おわかりにならぬということになるのでしようか。
  45. 岡野清豪

    岡野国務大臣 先ほど石井政府委員から申し上げました通り、二十四年四月一日以降に見返資金特別会計というものができました。それまでは向うの命令でどうせいこうせいということでやつてつたのでございまして、その以後は向こうからガリオア、イロアで来たものを見返資金特別会計で集計しろということで来ました。私の記憶では八億四千七百万ドルと覚えておりますが、見返り資金勘定、それははつきりガリオア、イロアで受けて内地の金に換算して積み立てておるわけでございます。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいまの私の質疑を訂正します。今問題になつておりますのは二十四年四月までの問題でありますが、二十四年四月以降のガリオア、イロアの勘定関係については、これは問題になつております四千七百万ドルとは何ら関係ないことでありますから、それは百万ドルに上ろうと千万ドルに上ろうと関係ありません。そうしますと二十一億ドル余りというものの差引残高が二十一年ないし二十四年三月までのガリオア、イロア勘定の数額というふうに御了解になつておるものと見ていいのですか。
  47. 岡野清豪

    岡野国務大臣 向うで二十一億五千万ドルくらいの援助額がある、こういうふうに言われておるのでございます。しかしわれわれとしてガリオア、イロアでもらつたものは証明かつく、同時に向うともきつちり話が合うであろうというものは、二十四年四月一日、に見返資金特別会計ができて積み立てた八億四千七百万ドルであつて、二十一億五千万ドルから八億四千七百万ドルを引いたものが、先ほど申し上げましたように、ガリオアで来たのか正常貿易でやつたのか、向うに外貨を握られ、あちらの命令でわれわれが仕事をしておつたということでわからない、こういうことでございます。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この間大臣が御説明になりまして、四千七百万ドルは日本の対米債権であるということを確認されるようなお言葉がございましたが、二十四年三月以前のガリオア、イロア勘定に何ほどか含まれておるということになれば、百分の一か百分の九十九か存じませんけれども、その何ほどかは四千七百万ドルと差引関係にもなるということはお考えになつておるのでしようか。これはガリオア、イロアの性質というものを一応前提にしないといけないことですけれども通産大臣としてはそれに全然かかわることなく四千七百万ドルは日本の商業債権としてアメリカ政府に対して確実に持つておるものである。従つてガリオア、イロアの勘定がどうなるにかかわらず、このたび問題になつておるのは、日本の商業債権として日本政府は保持しておるのである。こういうふうな御意思なのでしようか。
  49. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ただいま私が申し上げましたように、二十四年四月一日からはガリオア、イロアははつきりしておりますけれども、今の四千七百万ドルが起きましたのは終戦直後から二十四年ごろまでのことでございます。そこでどうしてこれがコマーシヤル・ベースの債権であるか、私の考えますことは、日本業者から物を買つて朝鮮へ送つたという日本人に対するはつきりした支払いの証書がございます。これは結局日本が金を出して、それだけのものを買つて朝鮮へ送つたことになるのですから、これは日本商業ベースによつてつておる債権である。しかしながら会計の方から申しますと、その会計を操作いたしますときには、先ほど石井君が申し上げましたように、ガリオア、イロアの資金も入りましようし、普通の貿易の資金も入りましてこんがらがつておりますから、その以前のことを考えますならば、日本勘定を清算するとすれば、その会計は二つのことにわかれなければならない。ガリオア、イロアと正常貿易が、今はつきりわかりませんので、関係があるともないともいわれませんけれども、私が普通の債権であると申しますことは、完全に日本の円をもつて日本の商売人に払つて受取証を持つておる、しかもそれが朝鮮に行くものである、こういうことを認定します以上は、われわれとしてはわれわれの物資朝鮮へ送つたので、正常な買入れ手段によつてつてつたものでございますから、これはこちらにもらわなければならぬ。そうすると、いろいろの勘定をバランスしてみると、四千七百万ドルに値するだけの勘定がなければならぬ、こういうことで確認したわけでございます。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは資料を要求しておつたのだが来ておりませんが、二十七年四月二十日の日本経済新聞の一面に、マーケット局長の声明内容が総司令部渉外局十九日発表として出ております。この末文に「韓国および琉球との特別勘定に関しては、これら両国の民間救済のため当初日本から買付けた分の支払は日本の対米ガリオア債務を最終的に清算する場合に処理されるであろう、」ということがうたわれておりますが、この関連はどう御解釈になりますか。
  51. 岡野清豪

    岡野国務大臣 特別会計の、いわゆる外貨資金会計が、ガリオア、イロアと普通の正常貿易とが一緒になつておりますから、それを清算するときでなければ——清算というよりは、向うでも相当に日本に金を渡しておるのだから、これと一緒に関連して考えるだろう、こういう声明だとわれわれは思つております。しかしわれわれの立場としてはガリオア、イロアと純然たる貿易上の債権は性格において違つております。ですから、ごつちやにすべきものではないと考えておる次第であります。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、今は外交関係においては外務大臣、国の資産の関係においては大蔵大臣の所管かと存じますが、しかしいずれにしても、債権はこれだけあるというこの金額を確認されたということは、当時の通産省の御努力の結果であります。そこで、これは総理にも聞かねばならぬと思うのですが、あなたの通産大臣としてのお立場としては、明らかな商業債権であり、ガリオア勘定とは、その性質のいかんにかかわらず、まつたく別にすべき商業的性質のものであるという前提に立つてのお考えらしいのですが、そうするとこれはアメリカ政府に対して日本は商業上の債権の支払い方を堂々と申し出、何も現実に払つてもらわなくてもよいのですが、ドルの不足している今日でありますから、要するにこれが商業上取得した国の資産であるということになる以上は、すみやかに国家のために活用することが、この内閣一つの責任ではないかと考えますが、通産大臣としてのお考えはどうですか。
  53. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは商業的の債権でございましてガリオアとかイロアのように向うから援助してくれておるものとは性格が違いますので、通産大臣に関する限りは、これは商業債権として御請求を申し上げることと考えております。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なおその点につきましては、所管の各大臣について政府の意のあるところを明らかにせねばならぬと考えます。そこでいま一点お尋ねしまするが、この資産は、大臣も重ねて言明されましたが、明らかに外国政府に対する国の商業上の資産である。しかもこれを債務者側である総司令部が確認したのは昨年の四月十八、九日であります。そうするとこれは日本の国の財産に帰属するものと私ども考えるのであります。あれからしばしば国会が開かれ、十三国会もあり、十五国会もこの間ございましたが、政府といたしましてはこれらの重大なる国の債権、ことにドル関係におきましてはきわめて大きな関係があると温いまするが、そういうものを国会の方へ御報告になつたのでしようか、あるいは報告することがなかつたのでしようか。大臣は就任前の時期もありまするからどうかと思いますが、その点についてはいかがでありますか。
  55. 岡野清豪

    岡野国務大臣 先般来、大蔵省の仕事でございましようが、いろいろ調べてみたところによりますと、請求権を取扱うかということにつきましては、会計法によれば七月三十一日までに決算報告を出さなければならぬということになつておりますので、昨年の四月十八日の債権というようなものは、この七月三十一日までに決算報告を出す、その中へ入るものだと思つております。詳しいことは存じませんから、政府委員より的確な御答弁をさせたいと存じます。
  56. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 本外貨債権は外国為替替管理委員会の保有しておる外貨債権と考えるのでございます。ところが債権の確定いたしましたのは昨年の四月十八日でございますので、これは昭和二十七年の同会計の決算に明らかにされるところではないかと考えておるのでございますが、そういたしますと、会計年度の区分によりまして、決算報告は翌年の七月三十一日までに明らかにして報告するということに相なつておるわけでございます。
  57. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞きますのは、それの方法の問題ではないのでありまして、憲法の九十一条によりましても、あるいは財政法の四十六条によりましても、内閣は国の財政状態について年に二回以上でありましたか、国会に報告をしなければ、ならぬという義務がある。今の決算の関係におきまして七月末までにということはこれは別途の道ではないかと思うのです。私はこの種のものはやはりもつと適当な機会に出されるべき幾多の機会があつただろうと思うのです。ことに外国為替特別委員会もございましたし、いろいろな機関があつて帳じりは明らかになつておるが、しかし国会だけは現われることなしに、国会によつてやかましく言われて出て来たというのが実情でありますが、大臣は就任日が浅いといわれればそれまででありますが、通産省としてはきわめて大きな数年来の懸案であるこの点について、大臣はどうお考えになりましようか。
  58. 岡野清豪

    岡野国務大臣 政府はいろいろセクシヨンが違つておりまして残念ですが、われわれといたしましては昨年の四月十八日に債権を確認しまして、そしてこの勘定は外為委員会が受継ぎ、さらに大蔵省の為替局がこれを引継いでおるわけであります。それから外務省といたしましてはこれに対する交渉をしておるわけでありまして、いろいろ事情もありましようけれども、私どもといたしましては確認ということについて一つの仕事があり、同時にその確認した材料を十分保存して行くということが一つの責任でありまして、あとは外務、大蔵の仕事に関係することでございますから、責任ある御答弁は正確に申し上げかねます。
  59. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 他は後ほど質問することにいたします。
  60. 柴田義男

    柴田委員 通産大臣にお伺いしたいのでありますが、いろいろ話を承つておりますと、ガリオア、イロアとは全然性質を異にしておるので、これは別個に商業債権として国がその権利を持つておる、こういうことを予算委員会でも当委員会でもしばしば言われておる。外務大臣の御答弁を承りますと、確認はしてないが、やはりガリオア、イロアとの関連があるというようなことを予算委員会で言われておる。通産省の中におきましても、石井政府委員中野さんの御答弁には食い違いがある。どうも一貫性をわれわれは見出せないのであります。私ども最も懸念されますのはその点である。国がりつぱに持つておる債権であつたならば、なぜ交渉をもつと積極的になさらないのか。もう一ぺん交渉なさるにいたしましても、通産大臣予算委員会においては、ワシントンにおいて日本の外交当局者が交渉しておると御答弁なさつておる。一方外務当局の御答弁を承りますと、日本の大使館で交渉しておるということで、ここにも食い違いを発見するのであります。これが大きな問題となつておる一つは、そういう点が非常に疑問視されておることだと思います。また会計検査院当局から承りましても、たとえば当時の状態は、輸出関係の外貨勘定は総司令部勘定に属しておつたために予算に計上ができなかつた、こういう御答弁をされておる。しからば総司令部勘定に関する覚書あるいは指令等が、現在でも残つておるでありましようから、そういう点を御明示願いたいと存ずるのであります。
  61. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。ワシントンで新木大使が交渉しておるということは、ただいままで私は申しておりません。と申しますことは、こういうことが誤伝されたのかどうかわかりませんが、新木大使が赴任しますときに、通産省から、新木大使にこういう債権があるから覚えておつてくれよということを文書をもつて通告したわけであります。しかし通産省は外交機関でありませんから、これは非公式なものでありまして、その一週間から十日くらい後に、外務省に対して正式の通告として、新木大使にこれを伝達せられたい、それにはこういう確認書があつて四千七百万ドルの受取勘定があるからということを通告してある、こういうことを申し上げたわけでありまして、向うで新木大使が交渉しておるだろうということは、私は申しておりません。それから外務大臣の方では新木大使が向うで話はしたらしいけれども要領を得なかつたのだ。それでこちらの一番よくわかつておる日本内地において駐日大使館と外務省との間でこれを交渉しつつある、こういうふうに外務大臣は言つておられるわけでございます。
  62. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、新木大使はワシントンで、実際問題といたしまして、そういう交渉をやつておらぬのでございましようか。
  63. 岡野清豪

    岡野国務大臣 実は私どもは片だよりでございまして、そういうことを外務省を通じて正式に新木大使に申込みましたけれども、そういうことがあつたかなかつたかということは私よく存じません。
  64. 柴田義男

    柴田委員 もう一つ通産大臣に承つておきますが、ガリオア、イロアという問題が、たとえば同じような問題が、ドイツにもイタリアにもございましようが、こういう場合の援助物資というものは、そのままやはり全額を払つていない。ドイツとイタリアの例をわれわれ仄聞いたしまするに、大体三分の一ないし四分の一にこれを切り捨ててもらつておる、こういうふうに聞いておるのでございますが、日本の場合の援助物資はそのまま債務として残つておるということはどうお考えでございましようか。それからこれはまだ何の交渉の過程にもない。そうしてアメリカも日本に対してはつきりと貸しがある、こう考えていないとも聞いておるのでございまするが、その点に対しまして通産大臣はどういうようにお考えでございましようか。
  65. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。このガリオア、イロアにつきましては、まだ何も話合いができておりませんから、どういうふうになつておりますか存じませんけれども、しかし外国の例を見ますれば、出て行つた金全額を回収しておる例はないということを私承つております。
  66. 柴田義男

    柴田委員 ただいま通産大臣から外国の例もわれわれの考えておることと同様のことをお考えのようでございまするので、その点は別といたしまして、昭和二十四年の政令が廃止になる前とあととの関係が、この問題に関しましてどういう処理を通産大臣はおとりになるお考えで、ございましようか。
  67. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは通産大産といたしましては対外債務をいかにして処理するかということは私まだよく存じておりません。しかし通産省の立場ばかりで今までものを考えて来ておりますので、いずれまた政府の方針がどうであるかということはあらためてお答えをさしていただきたいと思います。
  68. 柴田義男

    柴田委員 今、今日の状態で約二百億と仮定されます。それが今日の経済情勢の場合において、二百億と申しておりまするが、これは実際の物資輸出いたしましたのは、昭和二十年十月から二十五年三月までである、こういうことになりますると、当時の経済状態と今日を見ますると、物によつては十倍あるいは数倍ということは常識でございます。そういたしますると、国民に対しまして莫大な負担を与えるという結果に陥るのでございまするが、これらに関しまして通産大臣はどういうお考えをお持ちでございましようか。
  69. 岡野清豪

    岡野国務大臣 通産大臣といたしますれば、こういう債権が早くわれわれの手元に返つて来れば日本も経済的に利益になる、こう考えております。
  70. 柴田義男

    柴田委員 そういうことはどなたもはつきりとわかると思いますが、経済状態というものは日とともに動いて行つております。それから債権があると申しましても、そのままの過程をたどつておりますならば、いつそれが現金化されるかということが非常に懸念されるのであります。いかなる方途をとつて積極的な交渉をなさる御意思か、承りたいと思います。
  71. 岡野清豪

    岡野国務大臣 できるだけ外務省にお願いいたしまして、早くこれを結末がつくようにいたしたいと存じております。
  72. 柴田義男

    柴田委員 会計検査院の方に承りたいのでございますが、先ほど申しましたように、当時の司令部勘定に属しておつたために、この外貨の債権というものは、今日まで数年間決算委員会等にも報告ができなかつた、こういうようなことを前の委員会にも御答弁がございましたが、どういう根拠からそういうことをおつしやられるのか。あるいはまた司令部勘定に関する覚書、指令というものがどういうことになつておるか、検査院の立場から御明示を願いたいと思います。
  73. 池田直

    ○池田会計検査院説明員 外貨勘定司令部が昔から管理いたしておりました。本件関係いたしております部分が、いかなる根拠によつてそうなつたかという御質問と思いますが、先ほどもちよつと石井政府委員から関連して御説明があつたかとも思いますが、外為関係の取引によりまして取得いたします外貨の関係、これは国際法上の根拠に基きまして日本としては取得できない。そうした関係から司令部の方で終戦後の日本政府の貿易に関しまする勘定は、すべて信託的にアメリカの方で管理した、こういうふうなことになりまして、特に会計検査院といたしましては、それに関するメモランダム等の書類は今日まで拝見しておりませんが、事実占領行政において国際法の根拠等に基いて、そういうような事態になつていかんともいたし方なかつたという関係のものに承知をいたしております。
  74. 柴田義男

    柴田委員 どうも今のお答えがちよつとわれわれは不徹底でございまするが、昭和二十五年の政令第四〇号で、たとえば連合国の最高司令部勘定に属する外国為替等にかかわる権利義務の所属に関する政令を拝見いたしますると、決してそういう今の御答弁のようなものではない。総司令部勘定に属してはおつたでありましようが、外国為替に関する権利義務は、昭和二十四年十二月一日において外国為替特別会計に属しておつて、扱いはやつてつたでございましよう。しかるに外国為替の特別会計という会計があつたはずでございます。この特別会計による何年度にその貸借がはつきり掲載されておるのかどうかということを、会計検査院がお調べでございましようから、その年度がいつの年度に掲載されておりましたろうか承りたいと思います。
  75. 池田直

    ○池田会計検査院説明員 ただいま問題になつておりまする債権関係が、初めて国の会計のバランス・シートの上に現われ出したのは、ただいま御指摘の通り昭和二十五年三月、政令第四〇号が制定されまして、これが二十四年の十二月一日から適用されることになつております。この政令の規定によりまして連合国最高司令官清算勘定は、二十四年の十一月三十日現在におきまして、外国為替特別会計に引継がれることになつ関係から、問題のいわゆる債権が初めて国の方の会計関係して参つたわけであります。
  76. 柴田義男

    柴田委員 どうもはつきりわれわれ納得ができないのです。外国為替特別会計は、昭和二十六年法律第五十六号で外国為替資金特別会計法の失効と同時に、昭和二十六年四月一日かに廃止されておると記憶しております。そういたしますれば、その権利義務はどこに引継がれたのか、こういうことでありまするが、その点をもう一度明確にお答え願いたいとい思ます。
  77. 池田直

    ○池田会計検査院説明員 資金特別会計の方の会計の経理は、資金特別会計の規定に明らかにされておりますが、その規定に明らかにされている事項に、本件の問題の債権が該当していなかつたわけなんであります。ところが先ほど申し上げましたように、二十五年の三月二十九日政令第四十号によりまして、初めて従来司令部の方で管理いたしておりました外貨勘定の一部分が日本政府の外為特別会計で取扱うようになつて参りまして、問題が生じて来たような次第であります。
  78. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、昭和二十五年の政令四十号施行は三月でございますね。
  79. 池田直

    ○池田会計検査院説明員 さようでございます。
  80. 柴田義男

    柴田委員 そういたしまして、この債権は、昭和二十年から二十五年の三月までの間に発生した債権でございます。しからばその権利はどこの省に属しておるのでございましようか。
  81. 池田直

    ○池田会計検査院説明員 当時は総理府であります。会計の管理は総理府で管理いたしておりました。
  82. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますると、外国為替特別会計もしくは外国為替資金特別会計に一切が表示されていなければならぬ、こうわれわれは思いますが、その御調査を検査院でおやりになつたのでございましようか。
  83. 池田直

    ○池田会計検査院説明員 会計検査院といたしましては、当時の外為特別会計の管理いたしております為替、外貨等につきましては検査をいたしております。ただ本件関係が、連合国の勘定の方から引継がれなければ、会計検査院といたしましても、これまでに御説明いたしました通り司令部の方で管理いたしておる受払いの関係がわからないので、どの程度のものが引継がれるかどうかもわからなかつたので、外為の方の検査といたしましても、この関係はわかり得なかつたわけであります。ただ千六百万ドルの金が一応バランス・シートの上の面に現われましたことは承知いたしております。
  84. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、会計検査院が二十五年、二十六年の決算に掲載できなかつたというのは、会計検査院が怠慢であつたのかどうか、会計検査院は怠慢ではなかつたけれども、何か政治的な魔力によつてそれを殺したものであるかどうか、この点を伺いたい。
  85. 池田直

    ○池田会計検査院説明員 会計検査院といたしましては、何かの魔力によつてこの関係が伏せられたということにつきましては、全然わかりません。ただ会計検査院が、本件につきましてもつと早くこうした数字をキャッチすべきではなかつたかどうかという関係、結局怠慢であつたかどうかにつきましては、先ほども申し上げました通り、外貨関係の受払いは、実は司令部でやつておりました関係で、いろいろの角度から会計検査院といたしましても十二分に注意はいたさなければらなかつた関係はもちろんございますが、当時の実情といたしましては、このような、いわゆる対米債権なるものが早急に検査院として発見できなかつたということは、事情やむを得ないように私は考えております。
  86. 柴田義男

    柴田委員 どうもまだふに落ちない点がたくさんあるのでございます。会計検査院は、前の委員会でも申しましたように、内閣に独立をいたしまして最も正しい見地からごらんにならなきやならぬ、こういうことは私から申し上げるまでもなく、会計検査院御自身が御承知だということをお答えでございました。しかるに今の御答弁等を承つて総合いたしますと、どうも納得に行かない点が多々ございます。そこで二十五、六年の決算に掲上しなかつたという理由は、債権が不確実であつたというふうに解釈してよろしゆうございましようか。
  87. 池田直

    ○池田会計検査院説明員 これがバランス・シートの上に現われなかつたということにつきましては、この債権が不確実かどうかという関係よりも、むしろ司令部の方がそれまで一手に受払い関係を処理いたしておりましたので、日本政府といたしましても、確実にこの受払いの適正をつかむだけの立場になかつた、従いまして会計検査院といたしましても、これを明確にする手段がなかつた、こういうふうな関係にあります。
  88. 柴田義男

    柴田委員 今現象だけをとらえて議論しておるようなことでは決してございません。少くも輸出業者から物をとつて、それを韓国に輸出をさした、そういたしまして、それに対する支払いは邦貨をもつてつております。それが特別会計に厳然と残つております。その支払いに対しましては、会計検査院ははつきり認められた。そうして今度は債権に対しては不確実だということは、どういう観点から不確実でございましようか、もう少し具体的にお答え願いたい。
  89. 池田直

    ○池田会計検査院説明員 この債権が不確実ということの関係でございますが、会計検査院といたしまして今日まで調査いたし幸した結果によりますれば、対韓国向けの石炭代その他の関係は、現在の調査の段階におき、ましては、四千七百万ドルに相当する、いわゆる今日称せられております対米債権なるものは、この意味におきましては数字は明確にいたしております。
  90. 杉村沖治郎

    杉村委員 関連して。この間私から池田説明員に伺つたのですが、なるほどそれは司令部の方で扱つてつたかしれませんけれども、円貨はその都度日本政府が支払つてつたのでありましよう。それだから、円貨で日本政府が支払つてつたなれば、その円貨の支払い責任者である口日本政府の所在、そういうものはわかつておるはずじやございませんか。
  91. 池田直

    ○池田会計検査院説明員 石炭代の対内関係におきます支払いの関係は、この前の委員会におきましても御説明申し上げたと思いますが、配炭公団になりましてからは、配炭公団が一手に各炭鉱業者から石炭を買い取りまして、本件のような輸出いたしまする石炭は、これを鉱工品貿易公団が受取りまして、鉱工品貿易公団の方から配炭公団に支払いをいたす、鉱工品貿易公団は直接政府の貿易の実務代行をする関係で実際上外国の方の輸出の手続その他の関係もあるわけでございますが、ただいま問題になつております石炭等の会計の負担は、結局貿易特別会計の方で負担をするわけです。従つてその外貨の関係の受取りは、先ほど来お話の通り、結局アメリカの方から受取らなければならないということにはなつておりますが、それが政府の管理に入つている関係になります。
  92. 杉村沖治郎

    杉村委員 今のあなたの御説明は例を石炭にとつたので、石炭のことについては配炭公団、鉱工品貿易公団、それから政府の貿易庁、これから外国へ行く、こういうことになるのですが、このうちの円貨の支払いは、貿易庁が配炭公団に払つたのですか、鉱工品貿易公団が貿易庁から受取つて配炭公団に払つたのですか、どちらなのですか。あまりくどくないように簡単に答えてください。
  93. 池田直

    ○池田会計検査院説明員 鉱工品貿易公団が貿易特別会計の方からかわり金を受けまして、これを鉱工品貿易公団が配炭公団に支払つた、こういうふうなことになつております。
  94. 杉村沖治郎

    杉村委員 その経緯がわかればそのときの数額がわからぬというはずはないではありませんか。貿易庁はもとより、鉱工品公団にしても、配炭公団にしても、いずれも政府の管理下にある役所でありましよう。その役所から輸出業者に金を支払つた。その支払つた数額等がわからないというはずはないと私は思うのですが、いかがでしよう。
  95. 池田直

    ○池田会計検査院説明員 お話の通り石炭に関しましては、韓国に輸出しました二百数十万トンでございますか、この関係の総体の金につきましては、配炭公団と鉱工品貿易公団、それから貿易特別会計との関係におきましてわかります。ただ配炭公団がどの業者から買つた分か、いつ政府の手を経て韓国の方へ行つたかがわからないような、照会できないような仕組みに書類がなつてつた。それが今から対照できるようにはなつていないのです。
  96. 杉村沖治郎

    杉村委員 どうもそこのところが何だかはつきりしないで口ごもつてしまうように聞えるのですが、金を払うのですから、払つたならばその支払いが正当であるかどうかということをあなたの方では検査されるわけでしよう。数量に対しての円貨を支払つておるのだから、その数額は正しいか正しくないかははつきりそのときわかつているのであつて、記帳がないというはずはない。そこのところを煙幕というわけではないでしようがあまりいろいろおつしやられないで、ずばりとひとつ答えてもらいたい。
  97. 池田直

    ○池田会計検査院説明員 御不審はごもつともに存じますが、配炭公団が各業者から買い取ります場合の支払いは、これは一業者ごとに厳格に見る必要がありますし、検査院といたしましても、証拠書類について見たわけでございます。しかしこれが鉱工品貿易公団または貿易特別会計関係におきましては、総体について受払いの決済が間違いなければ、会計検査院といたしましても、各業者別を丹念に見るということまでは、その当時必要を感じていなかつたわけでございます。総体についての決済に注意をいたしたのであります。
  98. 杉村沖治郎

    杉村委員 会計検査院については、なお少し伺いたいのですが、どうも通産大臣がお急ぎのようですから、通産大臣に伺いますが、この四千七百万ドルのアメリカに対する債権は、四月十八日にアメリカにおいても確認されておる。日本の官庁においてもはつきりしておつて、これが日本の財産であることは通産大臣も先ほどお認めになつておられますが、この日本の財産であるという債権が確定しておりますのは昭和二十七年の四月十八日でありますから、前十五国会の予算編成に何らかこれが関係のあつたものではあるまいかと思われますが、その点いかがお考えになりますか。
  99. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。私は財政当局ではありませんので、はつきりしたことはわかりませんけれども債権であることは通産省が確認いたしまして、これは取立ててしかるべきものだということになりまして、それをどういうふうに予算などに組み込むかというようなことは、これは財政技術の上でございまして、ちよつと私にはわかりかねます。
  100. 杉村沖治郎

    杉村委員 それは予算編成技術の上で通産大臣におわかりにならないとおつしやられるならば、もうそれ以上聞く必要もありませんが、その四千七百万ドルの財産は、どこの所管に、どういうふうに計上されておりましたか、それを伺いたい。
  101. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは当時の外為委員会が持つておる財産になるはずだと思います。それから外為委員会がなくなりました母上は、大蔵省の為替局の々に入つておることと私は考えております。
  102. 杉村沖治郎

    杉村委員 当時のことはそれは外為であつたかもしれませんが、現在は大蔵省の所管になつておると思うということでございますか。それはまだはつきりしたことはわからないのですか。
  103. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私ははつきりしたことは存じませんが、多分仕事の性質上そうなつておるだろうと考えております。
  104. 杉村沖治郎

    杉村委員 本日いただきましたこの文書は通産省からいただいたものですが、これにはちやんとあなたの方の役所でお認めになつておるのですから、この文書をつくるときには通産省はつきりとこれを認めておるわけです。それなのにその後この財産がどこへ行つてしまつたのかわからぬというのは、一体通産省としてどういうことか、四千七百万ドル、二百億の財産の行方がはつきりしないということは少しどうかと思いますが、いかがでありましようか。
  105. 岡野清豪

    岡野国務大臣 この書類は私この前に原文を見たのでございますが、印刷にしてからは見ません。しかし財産を確保しまして、そして請求権ができた債権であるということは、その債権を取扱うところの官庁、すなわち外為委員会に通達を出しております。それからこれを取立ててもらう性質上外務省の方へもまわしております。それからその当時一般の会計をつかさどつておりますところの大蔵省、当時は理財局でございましたが、その理財局の方にも通達しております。さらに念を入れまして外貨の取扱いをしておる日銀の方へも通達しております。これらはみなちやんと公式の文書で通達しておることになつております。
  106. 杉村沖治郎

    杉村委員 それは通達はそうなんですけれども、そんなに方々に所管があるようではかけ持ちになつてしまつて、どこの責任においてこの債権の取立てをしたらいいかわからない。実はきようもこの書類をいただいたので、それらの点はお答え願えるかと思つて伺つたのです。この間このことについて大臣に聞いてもさつぱりわからぬので、しかたがないから吉田首相に来てもらわなければならぬということになつたのも、やはりここに基因しておるのでありまして、どうも通産大臣が自分の方の所管で、ある程度こういうふうに債権を確認して、その上確認した債権の所在がどこだかここではつきりお答えができないというのは、同じ内閣におつていささかどうも国の財産の扱いがそまつではないかと思うのですが、いかがですか。
  107. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私の申し上げ方がまずかつたかもしれませんが、私の方としましては今まで貿易に関する仕事をしておりましたものですから、その貿易に関する仕事の方で今までの債権を整理いたしましてそして債権が確立した。債権が確立しましたらこれを持つべき勘定のところ、すなわち外為委員会に通知する、そして外為委員会がこれを処理すべきものだ、こう考えております。ところが外為委員会はその後なくなりましたために、どうなつたかと申せば、結局大蔵省がこれを引継いでおる。こういうことになります。
  108. 杉村沖治郎

    杉村委員 そういう経過ではあつたかしれませんけれども本件予算委員会においてもあれだけの問題となつて、非常に国民が関心を持つて聞いておる。そしてこの決算委員会におきましても、先般来本件につきましてはほんとうにこれをはつきりしたいというところからかようにいろいろとお尋ねいたしておるのでございます。実は私は、この債権はこういうふうになつてこうなつておるというくらいのことは今日までお調べして来ていただいて御答弁が願えるのじやなかつたかと思つてつたのですが、それにもかかわらず今日になつてもなお大臣のそのような御答弁ではいささかもの足りませんので、今後もう少しはつきり調べていただきたいと思います。
  109. 柴田義男

    柴田委員 総司令部勘定が廃止になつて日本政府に引継ぎをされたと聞いたのでございますが、そういたしますとこの勘定はいかなる書類を整えてどこの省に一番最初に移つたのでございましようか。それはただちに通産省に移つたのでありましようか。どこか別な省をくぐつて通産省に移つたのかどうかということを承りたい。
  110. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは通産省が事務を受取つておりましたものですから、通産省がすべての証憑書類を持つておりまして、証憑が固まりまして、そして向うと話をしまして、そして確認をされた以上は外為に移つたわけであります。
  111. 柴田義男

    柴田委員 そうしますと、やはり輸出業者に対して支払いをいたしました場合の証拠書類というものも一切通産省にございますね。
  112. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ただいま全部とりそろえてございます。
  113. 柴田義男

    柴田委員 先ほど決算関係の方でも伺つた問題と関連がございますが、そういう証拠が画然と備わつておるといたしますならば、たとえば配炭公団を経由して石炭の問題が処理された、そういたしますと、その配炭公団の書類を調査いたしますとどのメーカーには幾らという内訳がはつきりわからなければならぬわけでございますが、そういう点がおわかりでございましようか。
  114. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいま私の方にございます書類といたしましては、配炭公団で物を買い入れましてその金を払いましたときには、配炭公団がそれに対して受取り書を出しております。その受取り書に明細表がついておれば、配炭公団にいかなるものを納めたかということははつきりトレースできるわけでございます。
  115. 杉村沖治郎

    杉村委員 ただいま大臣のお答えになりました、はつきりしておるという点をこの間の委員会で資料として御提出願うように申し上げておいたのですが、どうして御提出くださらなかつたのでしようか。
  116. 中野哲夫

    中野政府委員 ただいま御指摘の資料の御要求は、私どもつておりまして目下整理中でございます。但しきようそのうちの一部分を例として持つてつたものがございますので、石井君から御説明申し上げます。
  117. 田中彰治

    田中委員長 中野政府委員に申し上げますが、資料を書類で各委員に出すようにこちらが要求したのですから、あなたの説明される資料について言つておるのではありません。
  118. 中野哲夫

    中野政府委員 目下整理中でございますから、でき次第提出いたします。     〔委員長退席、柴田委員長代理着席〕
  119. 細迫兼光

    細迫委員 迂遠な質疑でありまして、また話が小さくなりますが、荏苒このまま放置いたしますれば、物価の変動による損失も莫大でありますが、利子だけでもなかなかばかにならぬのであります。こういうものは確認せられた後においては当然利子はつくものでありますか。国内法によりますれば当然にはつかないのではないか、請求というような一つの法律行為を行わないと利子はつかないように思うのでありますが、外国貿易との関係においてそういうことはどうなつておるか。もし何らかの法律行為を必要とするならば、さつそくそれをなさつていたたきたいのですが、あるいは所管が大蔵省ということになつておればそつちでやるべきだというようなお考えであるかもしれません。しかし当事者は、その点についてはくろうとの通産省でありますから、一つ内閣としてとにかく通産省が責任を持つてそういう手段を講ぜられても、あえて行き過ぎではないと思いますので、その点大臣から御答弁願いたいと思います。
  120. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お説しごくごもつともでございますけれども、残念ながら利子をつけるという契約までできておりません。
  121. 細迫兼光

    細迫委員 従来の慣例はどうなつておりますか。
  122. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは今までない例でございまして、向うではガリオアを二十一億も出しておるのだから、このくらいの債権というような気持もあつたのでございましよう。この確認をいたしますのには相当困難がございまして、通産省の役人が非常な努力をいたしてどうにかごうにか確認させたまででございまして、これに対していつまでに払え、同時にそれが遅れたならば年何歩の利子をつけるとかというところまでは力が及ばなかつたわけであります。
  123. 細迫兼光

    細迫委員 しかしこれははつきり商業債権として認められたという御答弁を承つておるのでありますが、特別に確認を受けたから前例のないものだという御答弁は通らぬと思います。そういう商業債権となれば、普通の貿易じりの債権と同一じやないかと私は思うのですが、これと同種類のものの前例はどうなつておるか、利子をとりそこねないような適当な手段は当然とられなくてはならぬと思うのであります。利子と申しますかあるいは損害と申しますか、どういう御意向でありましようか。御説明願いたい。
  124. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。お説は私もその通りと思いますが、この四千七百万ドルをでつち上げるまでの苦心と申しますのは非常なものでありまして、そのときにこれに支払い期限をつけるとか、その支払い期限が過ぎましてからあと延滞利子をとるというところまでは事実上不可能であつたということは御了承願いたいと思います。
  125. 細迫兼光

    細迫委員 では商業債権とは本質上認められないということになるんじやないですか。
  126. 岡野清豪

    岡野国務大臣 日本が占領せられておりました当時の占領軍の総司令部とわれわれとの関係でいたしましたことでございまして、商業債権ということだけは確認をいたしましたけれども、それが情勢の勢いといたしまして、商業債権に違いはありませんけれども、お説のようなことまででき得なかつたことは、これは遺憾に存じます。
  127. 細迫兼光

    細迫委員 従来でき得なかつたこと、並びにここまでこぎつけられたことは御苦心をお察しするにあまりありますが、これから利子あるいは損害金を失わないような方法がありとするならば、抜け目なく、遅滞なくその方法をとろうとする御意思がありますかいなか。
  128. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは外交交渉に移して、ただいまは交渉中でございまして、その点もわれわれといたしまして、商業債権と認める以上はそういう希望は持ちたい、またそういうことにしていただくことに善処いたしたいと存じます。
  129. 柴田義男

    柴田委員長代理 田中君。
  130. 田中彰治

    田中(彰)委員 大臣にちよつとお尋ねいたしますが、この前の委員会石炭が悪くて返されたようなものがないというお話を聞いたのですが、そういうものはないのでしようか。
  131. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私よく存じませんから石井君からひとつ答弁いたさせます。
  132. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 石炭につきましてはクレームはございません。
  133. 田中彰治

    田中(彰)委員 それでは一九四七年、すなわち昭和二十二年七月に七百五十トン、金額にして七十七万一千六百五十円、一九四七年の八月に八百トソ、百三十万七百八十円、こういう石炭朝鮮から日本に返つておるが、これはどうなつたのですか。
  134. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 それは積越しになりましたが、貿易特別会計でまだ金を払つていない前で、ございましたので、輸出がなかつたことといたしまして整理いたしました。従つて正式なクレームとして受付けたものではございません。
  135. 田中彰治

    田中(彰)委員 先ほどの説明を聞いていると、朝鮮石炭を送られるときには、日本から業者にも金を払つてあるはずです。それからもちろん朝鮮に船に積んでやるのですから、金が済んでおるのに、それを返つたから輸出したものと認めないというのは、朝鮮へ一ぺん行つてつて来たのだから、これはおかしくないですか。
  136. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 お説の通りの扱いになるわけでありますけれども、事実問題といたしましては、積み出しましてから支払いまでの間には、相当の期間がございます。それでその支払い手続きが完了いたしますまでに積みおろされましたものにつきましては、つまり新しいものを積み出させるという方途を講じまして、金を支払い、またはそれをとりもどすというような重複処理を避けております。
  137. 田中彰治

    田中(彰)委員 石炭を私は相当知つておるはずなんだが、炭鉱屋というのはそう大した資本はないのだから、その当時は公団に納めたときに全部前金ですでにもらつておるわけだ。それを公団に積み置かれて、朝鮮へ行つて、そうしてこれがもどされた。そういうような船賃とか、もどされたとか、そういうものの帳面はありますか。これは今ないとおつしやつたが、返つたものじやないですか、返つたものは悪質で返つたものじやないとおつしやつたが、あるならば、この帳面を見せてもらいたい。通産省の中にこれはありますか。今大臣に聞いたら書類はあると言いましたが、あるならこの次の委員会に出してもらいましよう。
  138. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 個別的なことでございますので、よく調査をいたしまして御答弁申し上げたいと思いますが、この点につきましては、われわれの方は配炭公団に金を払つている関係でございますことを御了承願いたいと思います。
  139. 田中彰治

    田中(彰)委員 配炭公団だろうが、どこだろうが、朝鮮石炭をやるときに、ちやんと円で金を払つておるのだから、これがもどれば船賃は幾らとか、もどつた石炭をどこからどこへ返すというはつきりした処置がなければ、四千七百万ドルというものは石炭についてはあてにならぬじやないか、この前の委員会へ出されたあの表にこういうものは書いてないのじやないですか。それを抜かしたような表はあてにならぬじやありませんか、それを御説明願いましよう。
  140. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 先方に送り出されましても、品質不適当で返されましたようなものにつきましては、アメリカへの債権として請求いたしておらないのでございます。
  141. 田中彰治

    田中(彰)委員 先ほどあなたは返されたものはないとおつしやつた日本の金で支払つてそうしてちやんと船に載せてやつて、向うで悪質だからといつて、また積みかえて返つて来た。それはどういうわけですか。それは返つたのじやないですか、それを御答弁願います。
  142. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 つまり品質粗悪で返されましたものの債権関係は、本対米債権には関係がないということを申し上げたのでございまして、ただいまお説のように一応出まして、もちろんわが方で配炭公団に金を払つてございますれば、それは金をとりもどしまして石炭を返すわけでございますけれども、そのような場合に配炭公団に対して金が未払いでございますれば、金の支払いをやらないだけで整理をしておくということでございます。
  143. 田中彰治

    田中(彰)委員 おかしいですね。私はその当時の公団の状況も知つているんだが、向うに積んで行くときには金を払つたでしよう。ところが向うに行つて悪質だというので返された。あなたは返されたものはないとおつしやつたが、私に月日とトン数と金額まで言われてあなたはお認めになつた。そうすると返つたものはないということはうそですね。そうとつていいですか。
  144. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 私の申し上げましたのは、アメリカ側にこちらの債権として請求をし、その債権が向うから認められずして品質が悪かつたから値引きをせいとか、これは債権として認めがたいというようなクレームがなかつたということを申し上げたわけであります。
  145. 田中彰治

    田中(彰)委員 私はあなたにそういうことを聞いておりません。悪質で返された石炭があつたかないかということを聞いたところが、あなたはないとおつしやつた。だから私が月日とトン数をちやんとあなたに申し上げた。そうしたらあなたはそれをお認めになつた。今度は公団に金を払つてないと言う。金を払つていないかどうかということは、私の方はここに領収書を持つておるんだが、あなたの方でそういう領収書を出してもらいましよう。
  146. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 ただいま個別の何月何日という日にちのお示しの問題につきましては、これは取調べて御回答申し上げますということを先ほどから申し上げております。
  147. 田中彰治

    田中(彰)委員 それでは大臣にお伺いいたしますが、ガリオア資金で二十一億一千五百万ドルという債務があると政府はおつしやつたのですが、これは事実なんですか。この内容は……。
  148. 岡野清豪

    岡野国務大臣 それは向うに調書か何かございまして、その中に二十一億五千万ドル日本に出しておるということがございましたので、われわれはその内容は承服しておりませんけれども、少くとも相当な額のイロア、ガリオアを受けておることは事実でございますから、独立国としてはこれは払えれば払いたい、債務と心得よう、こういうようなことになつておるわけであります。
  149. 田中彰治

    田中(彰)委員 アメリカ政府の発表によると、一九四八年十二月現在で、ガリオアが大体十六億七千三百九十万ドル、こういうぐあいになつておりますが、日本政府は二十一億ドルと認めておる。この食い違い、私らは証拠を持つておるのだが、どういうわけでこういう内容が違うのですか。
  150. 岡野清豪

    岡野国務大臣 日本政府は二十一億五千万ドルの債務を持つておるとは考えておりません。これは債務はどのぐらいになるかわからないのです。それで二十一億五千万ドルというものが向うの調書の中に出ておりましたから、向うではこういうことを言うのだろうということを言つておりましたが、しかしわれわれが債務と認めて、払える時期が来たら払おうと考えておることは、それは幾らになるか、ただいまのところははつきりわかつておりません。
  151. 田中彰治

    田中(彰)委員 しかしおかしいですな。先ほども聞いておるのですが、少くとも日本政府においては二十一億あると言つておるのでしよう。それが向うは一九四八年十二月現在で十六億七千三百九十万ドルしかないと言つておるんですね。これは非常に大きな食い違いですね。その内容はどういうわけでこういうぐあいに食い違うのですか。
  152. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 ただいま四十八年というお話でございましたろうか。
  153. 田中彰治

    田中(彰)委員 四十九年。
  154. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 四十九年でございますれば、まだその後の援助を受けた額がございますので、二十一億ドルといいますのは、昭和二十六年、一九五一年の夏ごろまでの数字でございます。
  155. 田中彰治

    田中(彰)委員 この食い違いに対しては、国民は重大な関心を持つておる問題であります。私の方はアメリカのこのときの精算書を持つておる。通産省にはそれもあるとおつしやるのだから、通産省の精算書を、委員長におかれては、今すぐ脚に合わなければ、この次までに出していただくようにお願いいたしておきます。
  156. 柴田義男

    柴田委員長代理 さようとりはからいます。
  157. 田中彰治

    田中(彰)委員 もう一度御説明申し上げますが、それの内容がわかつておればなおさらけつこうなんですが、アメリカが日本に第八軍を通じて払い下げた物資は、ガリオアについているのですか。その物資の中に旧日本軍から押収した物資が相当あるのですが、これは一体どのくらいあるのですか。おわかりのはずですからちよつとお聞きしたい。
  158. 中野哲夫

    中野政府委員 突然の御質問でございますが、ただいま手元にその数字をつかんでおりませんから、次会までにその数字を調査してはつきりお答え申し上げます。
  159. 田中彰治

    田中(彰)委員 これは十六億でも二十億でもいい、あなた方ではガリオアを取扱つておるのだが、私はこういうものを持つておりますが、あなたの方でそういうものを出せますか。出せる自信があるなら書類を要求しますが、どうですか。
  160. 中野哲夫

    中野政府委員 旧日本軍からアメリカ軍が押収したものを、日本に払い下げるというようなものは、私どもはガリオアあるいはイロアと考えておりませんので、ただいま御指摘の点は、ただいまのところ、そういうものはガリオア、イロアに入つていないものと思わざるを得ません。
  161. 田中彰治

    田中(彰)委員 それではこれは一体何に入るのですか。何の款に入るのですかちよつとお聞きします。
  162. 中野哲夫

    中野政府委員 突然の御質問でございますので、何に入つておるかというのは次会までに取調べて御回答申し上げます。
  163. 田中彰治

    田中(彰)委員 それではもう一点お聞きしますが、第八軍から払い下げた米軍の食糧、それから自動車、その他の物資はどのくらいありますか。これは外貨でなく、円貨でおわかりのはずですからお答え願います。
  164. 中野哲夫

    中野政府委員 第八軍から払下げを受けました食糧、自動車等は、ガリオア、イロアではありませんで、CM、QM——CMと申しますのはわれわれは余剰物資、QMというのは軍払下げ品と心得ております。この両者を合せまして、私ども概算約一億六千万ドルと心得ておりますので、そのうちの一部に含まれておるものと考えております。
  165. 田中彰治

    田中(彰)委員 私の今持つておる証拠から見ますと、これは全部イロア、ガリオアの一部に含まれておる。この金が未回収になつて、今あなた方の方で密閉されておるように思いますが、これに対して今一億何万ドルとおつしやつたが、そういうはつきりした証拠があるのでしようから、次会証拠を出していただくように委員長にお願いいたします。
  166. 柴田義男

    柴田委員長代理 とりはからいます。
  167. 田中彰治

    田中(彰)委員 貿易特別会計の赤字を何で埋めていたか、私はガリオア資金で埋めていたと思うのですが、この赤字を何でお埋めになつたか。
  168. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 貿易資金特別会計及び貿易特別会計におきましては、先ほど申し上げました通り一般会計及び他特別会計から合計四百十億の繰入れを受けたのでございますが、昭和二十五年度及び二十六年、二十七年にわたりまして総計四百八十三億の他会計への繰もどし並びに一般会計の歳計剰余を残しておるのでございます。お説の通り、かくのごとき剰余を残し得ましたゆえんのものは、円資金でまかなわれました物資国内に放出して、その円収入等があつたからでございます。
  169. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうすると、貿易特別会計の赤字を、今のガリオア及びイロアのそういうもので埋めたことはないとおつしやるのですね。
  170. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 赤字を埋めたことがないというのではございませんで、貿易特別会計は、一般会計その他から四百十億お世話になつた。それに対しまして四百八十七億繰りもとしておるわけでございます。返しておるわけでございます。その差額は、ガリオア、イロアの円によつたものが繰りもどされておると申したので、赤字という趣旨がよくわかりませんけれども貿易特別会計の清算じりにおきましては、少くとも赤字は生じておらないのでございまして、黒字に相なつておるわけでございます。
  171. 田中彰治

    田中(彰)委員 これを売つた未回収のものが、政府とあらゆる商社の中に何十億とあるはずですが、そういうようなものに対して、あなたの方で弁解されるならば、証拠書類があるのでしようから、この書類も私の方に持つているものと合せますから申していただきましよう。  次に貿易関係の業務の一括取扱いは、昭和二十五年四月、通産省の臨時物資業務局でやつていたのですが、現在は援助物資課でこれを取扱つておる。このときに、アメリカ連邦生産委員会の払い下げはどのくらいあるか、これは有償なんですからガリオアの中に入つておらないはずですが、これはどのくらいのものが日本輸入されて、どういうぐあいになつておるか、この説明ちよつとお聞きしたい。
  172. 中野哲夫

    中野政府委員 ただいま御質問の点は、おそらくSP、余剰財産といわれておるものかと存じますが、それについては、私どもは契約によつて買い入れたものでございまして、買入れ金額は、ドルで約千四百万ドル、邦貨にいたしまして五十億程度と考えております。
  173. 田中彰治

    田中(彰)委員 これに対しては、有償物資ですから、ガリオアの中に入つておらぬという一点を明らかにしてもらうこと、もう一つ、これは相当民間にも払い下げしてあるのですから、これの収支計算をぜひとも出していただきたい。あなたの方にこういうものがあるはずです。これは委員長にお願いしておきます。  もう一つ。ガリオアを円貨にして約七千億円、そのうちいろいろなものを民間に売るのに、その金が入つておらない。ところがあなたの方は納入通告書を出されますが、この納入通告書は延滞利子がつくだけであつて、相手方の財産を差押えたり、あるいはくれなくてもこの納入通告書では何もできない。それがために四、五十億の不明なものがあると私は見ておるが、こういう納入通告書を出したところが今どのくらいありますか。それがわかりますか。
  174. 中野哲夫

    中野政府委員 対日援助物資、ガリオア、イロア等の物資は、毎回申し上げます通り貿易特別会計で処理いたしておるのでございますが、今日なお債権の未回収のもの、その他残務がございますので、ただいま私の方で残務整理を続行中でございます。
  175. 田中彰治

    田中(彰)委員 私は残務整理も聞いておるのですが、納入通告書は、つまりお前のところへこういうものを納入したから早く金を払えというような通告書が出ておるわけです。それが何件ぐらいどういうところに出ておるかということをちよつとお伺いしたい。
  176. 中野哲夫

    中野政府委員 詳細は次会に御説明いたしたいと思いますが、援助物資特別会計の未収債権は二十八年四月一日現在で、延滞利子を含めて六億三千三百万円ぐらいに相なつております。
  177. 田中彰治

    田中(彰)委員 私は約五十億あると見て、それの計数を調べているのですが、あなたの方で言われたのは、私の方のものと合せても、確かな答弁のできる責任のあるものですか、それをお伺いします。
  178. 中野哲夫

    中野政府委員 私の方で残務整理として集計いたしたもので、責任の負えるものでございます。
  179. 田中彰治

    田中(彰)委員 少しぐらいの違いならばいいが、もしこれが何十億というものが違つて来たとしたら、あなた方の今までの数字が全部だめになりますが、そういう責任を負いますか、私の方はちやんとした証拠をもつて聞いているので、あなた方に空虚な質問をしておるのではない。この点はあなたでなくて大臣から伺つておきましよう。
  180. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。私はお説の点はこうじやないかと思つておりますが、SPで、商売として取引したものがやはり千四百万ドルあつたのでございます。それでその千四百万ドルは、大体先ほど申し上げましたように、五十億程度のものでございまして、これにつきましては貿易特別会計残務処理費というものがございまして、二十四年、五年は貿易特別会計で払つております。それから二十六年に参りまして貿易特別会計残務処理費というもので払つております。それから二十七年度は平和回復処理費というもので払つて、だんだん払いつつある次第で、ございまして多分その五十億ぐらいとおつしやるのは、この分じやないかと思います。その六億との関係は私よくわかりませんが、事務当局から御説明いたします。
  181. 田中彰治

    田中(彰)委員 あなたの方ではそうやつて抗弁を振つておられますが、実際申し上げますと、そのガリオアの中に、八軍を通じて払い下げした物資中に日本の軍隊から押収した物資も相当あり、あるいは八軍から払い下げた米軍の古自動車その他のようなものが、みんなこれにまじつておる。そうして貿易特別会計の赤字をこういうようなものでいいかげんに詰めてしまつて、ほとんどあなた方は明確な書類は私の方におそらく出せないと思う。もう一つは、今度アメリカの軍でなく連邦生産委員会から払い下げた品物などは、ほとんど民間に貸してしまつて、今そうして通告書は行つておるけれども通告書がどこにどのくらい行つているか、あるいはこの整理というものがほとんど私はできておらぬと思う。そこでそういうような点をあなた方が言を左右になさらぬで、大臣なども下の者がみんなそういうぐあいにごまかしておるのだから、こういう点を大臣がもつとよく係からお調べになつてもらいたい。それでこの委員会はこれを徹底的に、私は国民の血税をこういうぐあいにごまかしておるのだから、やらなくちやならないと思う。私の方も全部いろいろなものを持つて来ます。きようは総理も大臣もおいでにならぬから、重要な発言を私の方はまだここでとめておる。そういうようなものが出ますと、おそらく私はこれで政府がなくなるのではないかと思う。そういうような重大な問題がここに伏在しておるのだから、そういう点をよくお考えになつて、間違いのないものを出していただきたい。  それからもう一つ、この納入通告書も、これの有する力といいましようか、権利といいましようか、納入通告書を出して、向うが払わなかつた場合に、これに対してどういう権能を持つておるのか。納入通告書を出しても金を払つて来ない場合には、これに対してあなた方はどういう処置をされたのか。これについて法律的な根拠を私は伺いたいと思う。
  182. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 貿易特別会計の整理をいたしました一員として申し上げますと、これは私どもが自動車その他のものを払い下げました場合には、すべて民法上の契約によつて払い下げたわけでございます。従いまして民法上の手続き、すなわち公正証書をつくりますとか、あるいは和解をいたしますとか、さもない場合は強制執行をいたさなければならない、そういう手続きによつて取立つておるものでございます。  私の聞くところによりますと、SPに属しまする自動車等を地方の公共団体に払い下げた。たとえば横浜市でありますとか、東京都でありますとか、あるいは兵庫県というような公共団体に払い下げたものにつきまして、各公共団体等がその予算化等の関係からなかなか払えないというのがございましたのが一つ。これを強制執行にいたすわけには参りません。そのような関係で未収になつておるものがありますことは記憶いたしております。取扱い方といたしましては、すべて民事上の債権として取扱つておると思います。
  183. 田中彰治

    田中(彰)委員 あなたの方で公正証書などはおそらくなくて、ただ払い下げて納入通告書だけ出しておる。ところがあなたの方でこれを今まで裁判等をやつておられましようか。あそこに品物を納めたという納入通告書の証拠がなければ差押えはできない。ところがこの納入通告書は法的な根拠を持つておらない。そこでこれによつて強制執行の差押え、そういうものをいたすときには私は相当複雑な法的の手続をしなくちやならぬ。これはあなたの方で四十九億近くのものが未回収になつておるから、納入通告書と上つてそういうものはやられておるはずなのです。納入通告書でそういうことをやられるときには、一体どういう手続をとられるのですか。納入通告書によつて、払わぬで利払いもしないでほつたらかしておいた場合には、法律的な手続をとられたのか。法律的な手続をとるには納入通告書というものを根拠としないからできないわけだ。たといいわゆる契約書をやつても、納入通告書によつて納入したといつて、向うから受けたということがなければできないわけです。それをどういうことをやつておられますか伺いたい。
  184. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 自動車その他を払い下げましたときには、契約書それから品物の受渡書、先方の受取があるわけでございまして、それに基いて一々納入告知書を切つておるわけであります。従いましてこれは先方が品物を受取つたという証書によつてつておるわけでございまして、私どもがただ確たる根拠がなく納入告知書を切らしたというようなわけのものではございません。
  185. 田中彰治

    田中(彰)委員 私が聞いておるのは、納入通告書をあなた方が法的にどのくらいの価値のあるものだと思つておられるかということを聞いておるのです。
  186. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 御説の通り、一片の請求書だけでなかなか払つて参らぬのは、先ほども申し上げましたように、公共団体等の場合でございますと、なおさら事がはかどらぬわけでございまして、私ども担当いたしております当時は、それぞれ係官を派するなり、あるいは先方を呼び出すなりいたしまして、それぞれ協定をいたして、たとえば延納を認めるとかあるいは適当な期日を支払期日に指定するとかいうようなことをいたしまして、回収に努めておつた次第でございます。
  187. 田中彰治

    田中(彰)委員 今裁判とかそういうものになつておるのはどのくらいありますか。少くともあなた方の数字を私が聞いても、未回収のものは六億以上あるのです。私どもの方では四十九億くらいある。そこでそういうものは何件くらい督促し、どういう手続をとつて、どういうことをしたかということはおわかりのはずであります。それをお聞きします。
  188. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 正確を期する必要があると存じますので、資料をもつてお答えいたしたいと存じます。
  189. 田中彰治

    田中(彰)委員 少くとも国民が税金を納めなければ差押えされるのですぞ。競売されるのですぞ。脱税すれば刑務所に入れられるのですぞ。そういうぐあいにして国民が泣いて税金を納めておるのに、あなた方が何十億という品物を貸して、それがとれない、これに対して今ここでこういう問題が起きておるときに、これをあなた方が調べておおきにならぬということはない。これはガリオアとか、四千七百万ドルとか、今こうやつて私らが枝つ葉の質問をしておるが、最後にはあなた方はこれでくくられるのだ。それがどうしてもわからないのか。私が今質問したのに対して、あなた方は答えられないのじやないか。どうして四千七百万ドルのものがあつたのか。ガリオアの十六億とか二十一億に対して、こういうものはこうなつておるとか、ああなつておるということがわからないのじやないか。一体あなた方はそれで済むのですか。
  190. 中野哲夫

    中野政府委員 貿特等におきまして未収債権があるということにつきましては、私どもただいま御指摘の御趣旨のように、平生まことに申訳なく存じております。ただいまの石井君のお答えがそれを軽視しておるというふうに響きましたとすれば、それは言葉が足りなかつたと思いますが、これにつきましては強制執行をいたすような場合もございます。しかしすぐそういう挙に出ますよりも、延払いとか、そういうふうにした方が、より国家に損害を与えないで済むのじやないかとか、ケースごとにいろいろな事情がございますので、その点は目下私の方の係で日夜苦心をいたしておるような状況でございます。その点、ただいまただちにここで御答弁できないのは私どもまことに遺憾といたすところでございますが、正確を期する意味におきまして、次会においてそのことを書面をもつて御回答申し上げたい、かように存ずるのであります。
  191. 田中彰治

    田中(彰)委員 私は大臣に御忠告申し上げておきますが、実は契約書などの入つておるものもありますが、入つておらぬものが多いのです。そして納入通告書というものは、そのまま持つてつてもなかなか執行権をくれない。それには外国からどういうものが入つた、どういうぐあいに売つたというようないろいろ複雑な書類をつけなければならないのに、その書類をなくしてしまつてないのです。ほんとうの通産省の内部を申しますと、そういう状態です。そのためにとれないで非常に困つて憂慮しておるものが相当な金額あるということを、私どもは調べておる。こういう点は、下の係官をよくお調べになるとわかりますから、この次に大臣が来られたときに、私の方もこれに対してりつぱな数字的なものを出しますから、大臣の方も説明ができるようにひとつよくお取調べを願いたい。  それから最後に会計検査院に聞きますが、今まで私が申し上げたことは、会計検査院の方がすでにお調べになつておらなければならないのに、実にルーズなんです。こういうものに対して一体会計検査院はどういうぐあいに心得えておられるか。こうだとか、ああだとか、りくつはいりません。私が出したものだけでも、私らが言うのじやなくて、あなた方が調べられて、つまり批難事項としてここに持つておいでになるのがほんとうなんです。それをあなた方がここへ出さないから、われわれが調べたのだが、一体これに対して会計検査院は何ともないと思つておるのか。どういう考えでおられるのか。会計検査院のほんとうの隠さない気持をお聞きしたい。
  192. 池田直

    ○池田会計検査院説明員 ただいまお話の収納未済の関係についてでございますが、会計検査院といたしましては、公団時分から収納未済が非常に多かつた関係上、納入告知書その他に関しましての関係書類の不備につきましても、相当目についておりました。そうした関係につきまして、決算検査上、公団あるいは貿易会計の収納未済等につきましては、請求価格等のわからないものについても、バランス・シートの上その他においては、概算でもいいから載つけてくれ、こうした鮮度で相当強く検査をして参つたような次第でございます。各年度の検査報告にも、清算の遅延あるいは収納未済のことにつきまして、総括的には毎年記述して参つております。ただいま御質問の具体的の問題につきましては、あるいは漏れておる点もあろうと思いますが、御趣旨の通りの方針で検査院としては勉強いたしておるつもりございますが、将来一層徹底いたしたい、こういうように存ずる次第であります。
  193. 田中彰治

    田中(彰)委員 きようはこのくらいにしておきますが、この次には私の方も証拠を持つて参りますから、もつとあなた方も勉強なすつて、私は気が短かいから間違つておるとここで怒りますから、どうかひとつよく勉強されて私の質問答弁できるようにしていただきたいと思います。
  194. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣おわかりでなければほかの政府委員でもよろしいが、昭和二十三年度の商工省所管の特別会計歳入歳出決定計算書の二百二十八ページに、今の公団に関する貸付と回収の数字が上つております。公団につきましては、四つの公団についていろいろな疑獄すら起りましたことは、世上明らかなことであります。ところでこの受払いの方の計算書でありますが、払いの方に、貿易公団に対する貸付金といたしまして、二十二年度、二十三年度合計して二千百四億余円になります。ところがこれが受入れの方におきましては、貸付金の返還の合計は一千五百十八億円ということになつておりまして、約五百億円というものが未回収に終つておりますが、それはその後どういうふうになつたのか、この際一応御報告を伺つておきたいと思います。
  195. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 貿易公団は、貿易特別会計から借入れを受けて、それによつて輸出物資業者に支払いその他をやつてつたわけでありますが、これらの貸付金は、二十五年度において大部分、二十六年度にまたがつて残余を回収いたしまして、全部貿易特別会計並びに一般会計に返済されております。なお申し添えますれば、これらの貸付金につきましては、当時会計法の規定によりまして日歩一銭ずつの利子の操作をいたしておつたわけであります。
  196. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、いずれの公団にいたしましても、この貸付金は全部返還終了済みなんですか。
  197. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 さようでございます。
  198. 杉村沖治郎

    杉村委員 大臣にひとつ伺つておきたいのでありますが、ガリオア、イロアを債務として受入れておるように先ほどお答えになつたようですが、そう伺つておいてよろしいですか。
  199. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これはまあ債務と心得るという政府の考え方になつております。しかし債務と心得るのだけれども、債務の金額は決定しておりません。そう御了承願つておきます。     〔柴田委員長代理退席、委員長着席〕
  200. 杉村沖治郎

    杉村委員 このガリオア、イロアの受入れはどこで受入れておりますか。
  201. 中野哲夫

    中野政府委員 これは当時の貿易に関する特別会計でございます。
  202. 杉村沖治郎

    杉村委員 政府はこれを債務と心得て受入れておつたとすれば、その数額において、今田中委員が伺つたときに十六億と二十一億というような食い違いがあり、今まだはつきりしておらないというようなことを言われるのでありますが、もうこの間からこれが問題になつておるのだから、その数額がわからないはずはないと思うのですが、いかがですか。
  203. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは御説の通りロジックが合わないのでありますけれども、あれを受けておりますときには援助されておるものと考えておつたのでありますが、いよいよ独立するということになりまして、国の体面として、やはり債務として払えるだけのものは払つて行こうじやないかということで債務と考えたわけでございます。それで債務とは考えておりますけれども、しかし占領時代のことでございますからわかりませんで、先ほど申し上げましたように向うの調査の中には二十一億五千万ドルと書いてあるし、また四八年の暮には十七億六千万ドルということに出ておりますが、その辺のところははつきりいたしませんのは事実であります。ただはつきりいたしていると見得るものは、日米両国間で、今後は入つたものは積み立てて、日本の財政資金に使おうという、見返り資金制度ができましてから入つて来たものは、日本もアメリカも一致しておるわけでございます。その額は八億四千七百万ドルに達しております。しかしそれ以前のものは実はガリオア、イロアで入つて来たのか、何で入つて来たのかわかりませんし、また正常貿易の形で入つて来たものもやはり貿易公団でこれをいろいろ処分したりなんかしたこともございますので、どうしても向うとはつきりつけ合せをしなければ、どのくらいの額に上るかということはただいまのところわからない次第であります。
  204. 杉村沖治郎

    杉村委員 向うとはそれははつきりしないかもしれないが、少くとも日本政府としてはそれは計算をすればはつきりするわけではございませんか。
  205. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私が今まで調べましたところによりますと、二十四年四月一日以前の勘定は、日本政府でははつきりわからないのでございます。
  206. 杉村沖治郎

    杉村委員 はつきりわからないというのは、つまり戦災救済金というようなことでくれるのだろうというようなことで、いいかげん何でももらつておけばいいのだという程度で、帳簿の上にちやんと記帳をしなかつたのでわからないのですか。取扱い官庁がはつきりしないでわからないのですか。どういう理由でわからないのでありますか。
  207. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 先ほど吉田先生の御質問にもお答え申し上げました通り、物で何トンあるいは何袋、綿花でございますれば何俵受取つたかという数額は、はつきりいたしておるのでございます。またそれを私どもが当時のマル公で何円に売り渡しましたかの数額はすべてはつきりいたしております。ただわかりませんのは、その棉花なら棉花を百俵受取つた、これはアメリカの援助資金で買いつけたものなのか、わが方が生糸を輸出しておりますその輸出した生糸の代金で買つたものかの区別がわからない。従いまして、物の関係は物品会計規則によりまして厳重な検査を受けるわけでございます。また円の関係ではこれまた会計法に従いまして厳重な検査を受けておるのでございます。また受取つた品物の数量また払い出しました数量、この関係はすべてわかつておるのでございますが、ただアメリカが、何年何月どこそこに入港した船の綿花は援助だとかりに申しましても、援助であるかどうかはわが方の生糸の売上げ代金でそれを払つてないかどうかということを調べてからでなければ返事ができない、こういう関係に立つておるわけでございます。従いまして一本レートができます前の段階の分は、援助の分と商業勘定の分が一本になつておりまして、ただちに明らかにならぬということを申し上げているわけでございます。
  208. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうするとざつくばらんに言えば、要するにその当時の整理がいいかげんであつたということになるわけですね。あなたの言うように物の数量等がはつきりわかつておれば、それはなるほど日本の金で幾らになるかということも評価をすればわかるとともに、外国の相場にしてもわかる。ただそれの区別がわからないということになるわけですね。いわゆる輸出したものと輸入したものとの区別がわからなかつたということになる。区別がわからなかつたということは、政府当局がいいかげんに取扱つてつたはつきり明らかに区別をしてないのでやつてつた、こういうことに聞いていいのですか。
  209. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 ただいまの御質問、当時の政府当局といたしましては決していいかげんに整理いたしたというわけではございません。ただ外国から輸入されましたものは、すべて国内の公定価格によつて国民に放出するというだけで整理をいたしておつたのでございまして、これが何ドルに相当するかということは、当時日本側ではわからなかつたのでございます。
  210. 杉村沖治郎

    杉村委員 しかし評価の点はわからないとしても、もらつたものか買つたものかぐらいの区別はつきそうじやありませんか。それを聞いておるんです。
  211. 中野哲夫

    中野政府委員 逆に申し上げますと、こういうことは当時としては常識として許されないのでございますが、横浜に綿がついてこれを引取るときに、これは援助物資か貿易物資かということを向うが明らかにしないうちは、こちらは受取らぬということは、当時の事情としてはできなかつたわけでありまして、やはりそのまま受取らなければならなかつた。その点御了解できませんでしようか。
  212. 杉村沖治郎

    杉村委員 向うが明らかにしなければ受取らぬと言えば、それは明らかになつたかもしれないということは、どうも適当な答弁じやないと思いますね。向うから来たものかもらつたものか買つたものかわからなかつたならば、その後にでも聞いたらいい。いくらアメリカが大尽の国であつても、何でも無制限にくれるはずがない。それを尋ねればよかつたのだが、何といつてもその点は怠慢であつたということになるのじやありませんか。
  213. 中野哲夫

    中野政府委員 これは確たる証拠も握らずにこういうことを申し上げると、またおしかりをいただくかもわかりませんが、当時日本の占領に伴つてたくさんの軍用船が参つております。アメリカ政府の内部計算としては、お話のようなことがあつたかもしれないが、こちらに参りますときは、想像でございますが、向うが渡す場合においても、物によつては渡す側でもはつきり区別がつかなかつたという事情もあつたのではないかと思われますので、御参考までにお答えいたします。
  214. 柴田義男

    柴田委員 通産大臣一つ伺いたいと思いますことは、今盛んに問題になつておりますガリオア、イロアの問題でありますが、当時のマッカーサー総司令官は日本の占領政策の一つとして、たとえば戦後の混乱状態の際に、たくさんの兵隊をもつて莫大な費用を投ずるよりも、援護物資日本に持つて来た、こういうようにもわれわれは想像されるのでありますが、政府のお考はどうでありましようか。
  215. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。私は、マッカーサーがどういう考えでやつたかよく存じません。また想像もしたことはございません。少くも日本は非常に困つておる、もしそれが暴動にでもなつたら占領政策に影響するから、ある程度援助しておいた方がいいだろうということはあつたかと思います。しかし当時日本が困つてつたことは事実でございますが、同時にアメリカは日本を平和に治めて行きたいと考えていたことも事実でございましようから、その意味におきましてわれわれの困つたことを助けてくれて、占領政策遂行上にこれを利用されたということも想像し得ることでございます。
  216. 柴田義男

    柴田委員 そうすれば、これは日本の債務だ、どうしても今の対米債権との相殺になるという疑問が生ずるわけはないと思いますが、この点大臣はどうお考えになりますか。
  217. 岡野清豪

    岡野国務大臣 疑問は出ることはないと私考えますが、マーケットがこの確認を最後にいたしました新聞声明は、いずれガリオア、イロアなんかとあわせて最終的に精算されるものであろうということでありましたので、われわれといたしまして、ははあ、向うのお考えはそうじやないかと想像される非常な根拠になるわけであります。しかし幾たびか申し上げますように、ガリオア、イロアは向うの援助物資でありまして、われわれはこれに援助を受けておりましたけれども、独立しました以上は、この援助というものは、永久に援助されたものでもらつたのだということは、独立国の名誉として私どもは忍び得ないことでございますから、あるいは即座に払えないかもしれない。あるいは長年かかるかもしれませんけれども、債務としてこれを返して行つた方が、独立国の名誉である。さような考えから、債務と心得ておるのであります。そこで債務と心得ておるということになれば、向うでマーカツトが声明しましたものと関連するから、それと一緒にやられる。すなわち経済的に見えますれば、向うも貸金あり、こちらも貸金ありで、そうすれば、いよいよ決済するときには、お互いにその方面を関連し合つて話が出ることだろうとは思いますけれども、しかし私自身の考えといたしましては、元々の考え方はガリオアは援助で来たのだ。それから四千七百万ドルというものは商業上の債権である。従つてこれは性格をはつきりいたして、そして外務当局において交渉される場合には、その性格を区別して交換すべきものだ、こう私は考えております。
  218. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は今の柴田君の質問に関連しまして、ぜひ総理のほんとうの心境を聞いて見なければならぬと思つておりますが、なおこの際通産大臣に伺つておきます。このガリオア援助あるいはイロア援助というものは、これはしばしば進駐軍の方の声明といいますか、それでは、少くとも国民全体に与えた印象というものは、これは援助していただいた、同情していただいた、占領地に対する非常なる好意である、こういうようなことが、一般の国民の持つている、この物資に対する感情でありました。そういう意味で今日まで経過しておりますので、われわれといたしましては、日本の財政経済の現状及び将来にかんがみまして、軽卒にこれを返すべき債務なりということを中外に表明することは、これはいかがなものかと思います。やはり苦しいときは苦しい、ありがたかつたことはありがたかつた、好意は好意というふうに、われわれは率直な気持をもちまして、真に贈与していただいたならば、まことにありがとうございましたと言うて、礼を述べるべき時期と方法は、将来外交上あるのでありますから、何もただ面目にかけて、名誉にかけて払うのだというようなことを、大きな声で言う必要はなかろうと思います。二十一億ドルといたしましたならば、それは日本としては莫大な数字で、とても払うことはできません。ほんとうに払うということになつたならば、これはたいへんなことだろうと思います。そこで現内閣は軽卒にそういうことを言わるべきでないと思うのだが、一体そういう発言の根拠は、閣議ででもきまつたのでしようか。あるいはあなた御自身がお考えになつているにすぎないのですかどうですか。
  219. 田中彰治

    田中委員長 通産大臣ちよつと御忠告申し上げておきますが、このガリオアは四種類あることをお調べになつておりますか。日本に対するマツカーサーの占領政策は、先ほど柴田委員が言われたように、すなわち鉄砲だまと軍隊をたくさん日本に持つて来ないかわりに日本にくれたのだということは、はつきりしているのですよ。それをあなたの方で債務だとうつかり言われると、これは責任問題になりますから、それは注意された方がいいと思いますよ。これは重大問題です。二十一億もらえるものをそんなことを言われるのは……。そのつもりで吉田さんに答えてください。
  220. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは私はつきり調べて御答弁申し上げますけれども、池田大蔵大臣時代に、大蔵大臣が国会で債務と心得ておりますということを、はつきり言つておるはずであります。しかしこの点は、今速記録を持つておりませんから、よく調べて御答弁申し上げます。それまで保留いたしたいと思います。
  221. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいまの問題は、日本の将来にとりましても非常に重大なことでありますし、国民全体の関心の高い問題でありますから、これは総理への質問に送ることにいたします。
  222. 田中彰治

    田中委員長 ちよつとお諮りいたしますが、本巨万外国為替管委員会委員長を勤められました、木内信胤君をここへ参考人として呼んでおりますから、これに対して御質問をしていただきたいと思います。
  223. 柴田義男

    柴田委員 元の外国為替委員会委員長木内さんが、わざわざ参考人として御出席を願いましたので、私ども非常にありがたく存ずるものでございますが、この貿易特別会計と外国為替特別委員会との関連性というものを、一応お知らせ願いたいと思います。
  224. 木内信胤

    木内参考人 外国為替管委員会と、貿易特別会計の関連でございますが、私実は昨日速達をいただきまして、この問題ということは伺つたのですが、大分忘れておりますので、あるいは間違いを起すかもしれませんし、それからあの委員会は、御承知のように四人の委員でやつておりましたので、おのおの分担しておりました。私は全体のことを見るのが職務でありましたので、会計のことはあまりよく知らないので、あるいは間違いを申すかもしれませんが、その場合には、気がつきましたら、あとで訂正する機会をお与え願いたいと思います。  私ども委員会ができましてから、しばらくして司令部勘定受継ぎということが始まりました。委員会ができましたのが、二十四年の三月十六日だつたと思いますが、夏ごろになりまして、司令部会計を勉強に行つたのです。日本銀行の方がおもですが、司令部に行きまして、司令部がどういう記帳をしているか勉強しまして、それで初めてその年のたしか十一月一日だつたと思いますが、それから司令部の記帳をわが方において代行するという姿になつたのです。それから、目付ははつきり存じませんが、多分翌年の二十五年一月一日と思いますが、あるいは十二月一日あたりであつたかもしれませんが、そのころから円、ドルその他の外貨、もしくは輸入のために払う外貨という新しい勘定は、今度は自分で記帳するという関係になりました。従いまして、そのときから新しい勘定を自分のものとして記帳するものと、依然として司令部勘定を代行して記帳している、つまり平たく言えば、あちらのアシスタント、手助け人になつたようなわけですが、その勘定と、二つ並行して勘定をしておりました。それからしばらくたちまして、いよいよ講和も間近いというので、最初にドル勘定、ポンド勘定、向うがこちらに渡していいと認めたものは、相当な形式をもつて、つまり書類をサインして、司令部から受継いだわけです。最後に、ここで問題になつておりますのは、朝鮮のオープン勘定だと思いますが、オープン勘定というものはたくさんございましたが、一々検査を済ませて、逐次引継いだのであります。その全体の引継ぎというものは、非常な時間がかかりました。これは今の御質問と直接関係がございませんが、要するに司令部と私どもはどういう関係にあつたかということを御承知願いませんと、話がこんがらかると思つて申したわけです。  一方司令部司令部で、占領の当初は、自分で貿易をやつていたようなものですが、だんだん日本側に公団あるいは貿易庁といつたふうなものができ、さらに日本側には貿易特別会計と称するものができたわけです。これが御承知通り初めこちらは円だけで記帳している、向うはドルだけで記帳している、同じ商品使つても円の記帳とドルの記帳とは必ずしもマッチしない状態でしばらく来たわけです。それから結局、最初に申しました通り、司会部の勘定は整理済みになつて受取つたのですから、受取つたときには貿易特別会計の方は為替特別会計に外貨を渡してしまえば、それで責任が済むと申しますか、少くともその範囲の勘定が整理されたことになる、でありますから、私ども貿易特別会計に対しては徐々に整理を待つて、整理された外貨を受取つてつたと記憶します。
  225. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、朝鮮向けの物資、あるいはまた朝鮮向けと限りませんが、それにかかわらずいろいろな国とも貿易をやつてつたわけでございますが、そういう場合は初めはその貿易庁の貿易特別会計で処理をしまして、その上に外為特別委員会の万に書類をまわすような組織になつておるものでございましようか、その点を承りたい。
  226. 木内信胤

    木内参考人 私どもの方は、今申しました通り司令部の事務を代行した関係において一つの部分がありまして、それが今問題になる部分でありますが、その部分に対しては別途それに関連する仕事で、貿易特別会計において、日本側においてなされた、何か貿易特別会計で取引が行われると、その書類が為替管理委員会にまわるということではございません。但し司令部の方で記帳が起りますのは、司令部の代行者として記帳いたしましたなら、こちらの貿易特別会計の方へ聞けばただちに照合ができたのかもしれません。また照合すべきだつたかもしれませんが、そういう照合は当時しなかつた。私ども司令部の方の記帳を命ぜられるがままにやつていたわけです。ですから貿易特別会計の方で何かありましても、取引があつた場合にその書類は為替会計の方へはまわりませんでした。
  227. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、外為委員会の方では実際の問題として、どういう品物を他の国に貿易しておつたかということはおわかりにならない組織なのでございますか。
  228. 木内信胤

    木内参考人 今申しました二十五年一月ですか、あるいは二十五年十二月一日ですか、その辺のところから新しい貿易関係は記帳いたしました。これは貿易庁の手を離れてやつておりました。貿易庁がお扱いになつたものは私どもにはわからない組織であります。
  229. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今柴田委員からお尋ねになつておりましたが、貿易特別会計は二十四年の四月から発足したのではないですか。それでこの問題になつておりますのは大部分が暦年二十四年の三月までございますが、それは貿易特別会計には関係ないのではないでしようか。
  230. 木内信胤

    木内参考人 二十四年の三月十六日にスタートしたのでありまして、政府の機関でありますから会計を持つたのです。私はその点記憶が非常に不鮮明であつて申訳ありませんが、最初しばらくの間はごくわずかな資金ちようだいして、ほとんど大きな動きは一つもなかつた。つまり貿易に関する会計としては日本側には貿易特別会計があつただけであります。それがだんだんに今言つた司令部勘定を引継ぐに従いまして、会計の名前も途中で二度もかわりまして、大きな資金ちようだいし、扱う数字が非常に大きくなつたわけです。発足当時の二十四年はしばらくの間はほとんど貿易に関する記帳はございません。
  231. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 木内さんに引続いてお聞きしますが、あなたの方の外為特別委員会で、司令部の方において日本に対して対朝鮮向け輸出入貿易に日本が売越しになつている、それが何がしのドルの債務があるという計算を御承知になつたのはいつでございましようか。
  232. 木内信胤

    木内参考人 今申しました司令部の代行者としてではありますが、記帳しておりました。従いまして、たとえば朝鮮に対して日本債権であるか債務であるかということは帳簿を見ればわかるわけです。それがあるときに千六百万あつたものがそれはないことにするのだ、これはあると思つたのはあやまちであつたということを言われまして、当時は代行者ですから、こちらは権利を主張したりする立場にないので、言われるままに記帳するのでありますが、書類がなければ記帳もしませんが、正確な資料をもつて記帳するわけでありまして、それで千六百万円を引落した。責任において債務を記帳した。ところがそれは間違いであつて金額は千六百万円はないということがこのころの終りじやないのですか。
  233. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いつごろさようなことがあつたのですか。
  234. 木内信胤

    木内参考人 それは実はきようここで先ほど伺つたのですが、もし間違いでありましたら通産省の方に御訂正を願いたい。二十六年の一月にメモで千六百万円を引落した、それからそれは引落すのも困るのだが、実は金額が多いはずだということを通産省の方がなさつて、それを認めさせたのがその年の四月十八日、向うが確認と称することになつたわけです。
  235. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますとあなたの万は二十六年一月になりまして、総司令部の方が対日本の借越しが千六百万円あると思うということがわかつて、一旦それは取消しを命ぜられ、再びまたその数字が生きて来た、こういう順序になる御説明らしいのでありますが……。
  236. 木内信胤

    木内参考人 取消した方は記憶があるのですが、それを復活するということは私全然記憶がない。さつき申し上げた通り、当時私直接その係でありませんでしたのではつきりは覚えておりませんが、同僚のものが朝鮮の現状についていろいろ話をしたのをうろ覚えに覚えております。その結果これは私の方もこの取消しはおかしいのではないかということを——とにかく取消すと言われたが、よく調べてみたらどうかということも通産あたりにも申し上げたことと思う。それから通産省の方が大いに勉強なすつて、今の確認というところにこぎ着けた、しかしながら確認されたからといつて、その記帳を復活しろという御依頼はどちらからもいただきませんから、記帳は復活したことはないと思います。私の記憶にはございません。
  237. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、あなたの方では外為委員会が設置されましたのが二十四年の三月でしたか、二十七年の七月にはもう廃止になつたのですね。そこで廃止になりました七月に、二、三箇月前の二十七年四月十八日に、ここで問題になつている四千七百何がしの債務が確認されておりましたのですが、そのときには五月、六月、七月とあなたの委員会が存在する間に、その方へ、その帳じりといいますか、今の勘定につきまして、あなたの方が清算をしたり、あるいは貸借対照表を作成したりなさる上におきまして、司令部からドル勘定として渡つて参りましたものがあなたの方の最終の計算には記帳されたことがあるのですか、それがなしに終つておるのでしようか、それはいかがですか。
  238. 木内信胤

    木内参考人 今申しましたように、私の記憶では記帳されることはなかつたと思います。
  239. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは石井さんの方へ向つてお尋ねいたしますが、これらの問題はもう少し究明してみたいと思います。そこで、ただいまの御説明によりますと、二十六年一月に司令部の方から千六百万ドルというものが一応認められておつて、それがまた取消され、また生きて来て、ふえて四千七百万ドルになつたという経緯をたどつているらしいのですが、どうしてまたこれは取消されたりふえたりするようなことになつたのでしようか。取消されるということは、何かそこにガリオア、イロアの勘定とのこんがらがつた面があるというふうな事情になるのでしようか、その点を伺つておきたい。
  240. 木内信胤

    木内参考人 先ほどの司令部との引継ぎ関係について申し落したことが一つございまして、それが今の御質問と関連があると思いますから申しますが、司令部は私ども勘定に実はだんだんに金を渡して来た、これはもう大丈夫と思うのを大体概算して渡して来たのです。最後に自分みずから検査をいたしまして、つまり司令部の係官の責任解除のためにオーデイツトをしまして、それで渡したのです。ところが、そのオーデイツトは実は二段構えであつたのであります。自分の内部でだれか検査官を指名して自己検査をして、これで間違いがないということを確めて、それで最後の数字はこうだというように、まあ私はりつぱな態度だと思いますが、非常にていねいな態度をとつたのでありますが、この第一回の自己検査をしましたあとに、さらに専門家を呼びまして、それがまた徹底的な検査をしまして、それで債務があるなしということになつたのであります。ところで私今思うのですが、その債務のあるなしということは、司令部から見ますれば日本ばかりが問題ではないので、朝鮮が問題なのです。朝鮮に対して債権であるかどうかということが問題なのです。その相手の朝鮮とは、韓国であるのか朝鮮におけるアメリカ軍であるのか存じませんが、ドルですからあちらからドルをもらわなければならぬものが、いろいろな関係上これは朝鮮からはとれないはずのものだということになれば、この債権日本側からはあると思つているのだが——自分たちは日本側債権だ、すなわち司令部朝鮮に対する債権はすなわち日本側債権だ、この問題に関する限りはそう思つてもいいと思いますが、その債権は、自己検査なりその専門家の検査で思えば、ないと思うのが至当である、それでこれはないと思うべしという司令を出すかもしれません。それは日本の貿易関係司令部関係ばかりから見てはいけないのじやないかということは、私はちよつと気がついたのです。要するに、先方はオーデイツトなるものを二回もやりまして、それで締め繰りをつけた、その過程において千六百万ドルの取消しということがあつたのではないか。これは実は私、先ほど申した通り、きのうはがきをいただいて、きよう元の仲間と会つて記憶を新たにして来たのですから、十分な研究をしてございませんので、はなはだ申訳ありませんが、私はそういうふうに考えております。
  241. 柴田義男

    柴田委員 関連して木内さんに伺いたいと思いますが、政令四十号の公布を受けましたのは二十五年の三月二十九日でございまして、外為の管理委員会が設立されたのが二十四年三月と今承つたのですが、この公布を受けました政令の内容を拝見いたしますと、たとえば連合国最高司令官の商業勘定、連合国最高司令官の綿製品の勘定、連合国最高司令官の清算勘定、その他あるようでございますが、これらの項目のものは完全に外為管理委員会にお引継ぎになつたのでございましようか。
  242. 木内信胤

    木内参考人 その点は私最も自信がないので、この政令は非常にむずかしい政令なんです。外為なるものは二十四年の三月十六日にすでにできているのです。それからこの政令は、あくる年の二十五年の三月の末に出ている政令です。その間、さつき申し上げました通りに、最初は小さな会計でしたが、徐々に帳簿に載る数字は大きくなつて来たわけです。ところがこの政令は、バツクして、さかのぼつて二十四年の十一月三十日をもつてバランスをどうしろ、それからそのあくる日の十二月一日からの勘定は自分のものと思え、こういう政令なんです。私はどういう関係でその政令が出たのか今ちよつと記憶がないので、はなはだ相済みませんが、要するにこれは一つの擬制です。しかし、私がさつき申し上げたように、その政令は、要するに十二月の初めには、司令部の代行者として、この四つの勘定以外のものまで全部記帳してありますが、そのうち四つの勘定は、日本自体の債権債務であると思つていいのではないかというのがこの政令の意味なのです。ところが外為会計日本会計でありますから、もとは円建であります。円を払つてドルを持つたという関係なので、円とドルの対応記帳がない場合はないのです。ところがこの商業勘定その他に対応記帳がありませんので、やむを得ずこれは仮受けだ、これは真にもらつた自分の勘定ではない、仮に受けたんだという形で、対応の円記帳なしで整理したものと思います。このところは、私はつきり覚えませんから、あるいは間違いを申しているかもしれません。
  243. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、その当時その四つの項目ができてその権利義務の所属は外為管理委員会に移るべき性質のものであつたけれども、その金額等が不正確であつたということに考えていいのでしようか。この対米債権金額的に不正確であつたということですか。
  244. 木内信胤

    木内参考人 対米債権というものは徐々に移管されたのでありまして、その移管にについては、先方は最後的には、今言つたような検査までして行かしたわけでありますが、中間においては、このくらいのものは日本に渡してもいい、これは確かに日本債権と思つてもよろしいということと、こういう勘定は自分の方にも経費その他があつて、それは差引かなければならぬということで、これはとりもどしがないように、大事をとつてシユアーなところたけをよこしたわけてあります。そういうふうにだんだん来たわけであります。ですから昭和二十四年の十二月ごろは、日本がそういう勘定をもらうとか、そういう思想がない時代であり、ただ記帳しており、その記帳はこちらにあります。今の代行者として記帳はしておりますから、そのうちの日本自体の勘定と見ていいと思うものは、むしろ経理の都合上自分のもののごとく経理しろということであつたのかとも思いますが、私はこの政令がなぜ出たのか、その立法理由はつきり記憶しませんので、これはどなたかほかに覚えている方があつたらお聞き願いたい。私ははつきり覚えておりません。
  245. 柴田義男

    柴田委員 ただ、きようの質疑応答によつて大体御想像がつくと思いますが、会計検査院から承つても、あるいは通産省当局から承つても、この問題は当時の状況はあげて総司令部が自由におやりになつてつたのだ、それでどうもはつきりした金額がつかめなかつたというように、今日までの御答弁がなつておる。ただ、今日現状におきましては、四千七百万ドルということが決定されたわけなんで、その過程におきまして、どうもその金額のつかみ方が不正確である、こういうような問題が今盛んに質疑応答を重ねている根本的な原因であるのであります。それでこの政令四十号によりますし、今御説明のように、外為替管理委員会は二十四年三月発足し、この政令は二十五年の三月二十九日に公布された、そうして今度は、それを押えた期日というのは、昭和二十四年の十二月一日をもつて、この四つの項目のものの権利所属が決定されておる。こういうことでありますと、そこが非常にめんどうなんでございますが、要は、外為委員会が総司令部から書類を引継がれました場合に、どれだけの対米債権が残つてつたか、この一点を金額的に御記憶ございませんでしたら、概算でもけつこうでございますが、お知らせ願いたいと思います。
  246. 木内信胤

    木内参考人 外為は最後には今申しました通り、対米債権というか、ドル、キヤツシユは徐々に引継いで来たのです。総額幾らもらつたということは、当時の記録によればはつきりわかります。しかしそれはドルのキヤツシユでありまして、これは朝鮮の旧オープン勘定と称するものであります。オ—プン勘定は、整理の上において余つておるものがあるならば、ドル・キヤツシユでもらうというのが建前ではありました。千六百万ドル残つてつたのだが、それはゼロにしろというお達しがあつて、その記帳をさつき御説明した通りした。全額が幾らであつたかということは、調べればわかるのでありますが、覚えておりませんが、それとこの問題とは少し関係がないように私は思います。
  247. 柴田義男

    柴田委員 そうしますと、当時の外国為替管委員会の一切の資料というものは、現在大蔵省の為替局にございましようか。大蔵省関係はいらつしやつておりませんか。
  248. 田中彰治

    田中委員長 来ておりません。
  249. 柴田義男

    柴田委員 それでおわかりの方がありましたら、承りたい。
  250. 木内信胤

    木内参考人 当時の記帳は、外国為替管委員会の代行者として、日本銀行が記帳したのであります。それで為替管理委員会がなくなりまして、責任は大蔵省に引継がれたわけでありますが、書類は大蔵省に日本銀行から運ばない限り、大蔵省のかわりに日本銀行が保管しておることと私は承知しております。
  251. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、参考資料といたしまして、委員長のはからいで、外為管理委員会から引継いだ書類の所在を追究していただきたいと思います。そうしてその書類が発見されましたならば、当然本委員会にその御提出を御要求願いたいと思います。
  252. 田中彰治

    田中委員長 とりはからいます。
  253. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 外為委員会におきまして、昨年四月二十日前後に、通産大臣から、今問題になつておる対米四千七百五万ドルの債権が、司令部において確認されたという内容の通知を受けたことは、御記憶ありますか。通産大臣もみなそう言つておりますが、御記憶があれば、それをもとにしてお尋ねしたいのです。
  254. 木内信胤

    木内参考人 今申しました通り、千六百万ドルをゼロにしろということがあつて、これはもう少し研究を要するのではないかというようなことを、日本側で話し合つたときは、為替管理委員会の者も、記帳を預かつております関係上、現に消す人は私の同僚ですから、そういうことを申した。従つてそれが一年以上の日子を経て、もつと大きな金額として確認されたというときには、当然この通知を受けたものと思います。しかし私個人は記憶しておりませんでした。今ここで、来たはずだということを伺つたのですが、多分受けたでしよう。しかしそういうふうに一係官が多少の条件つきで確認したということであつて、私ども会計にそれをプラスとして記帳せよ、ないしはその取立ての責任を持てというお話は、どこからもございません。それがあれば、私は確実に覚えております。
  255. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはあなたの方へ取立て云々とか、そういう強い意味において、何か通産大臣から意思表示があつたやいなやの問題ではないのであります。ただ問題は、外国為替資金特別会計法によりましても、たとえば第十二条第二項には、前項の予算には貸借対照表、損益計算書等の財産目録を添付しなければならぬ、こういうことになつております。でありますから、財産目録の内容あるいは貸借対照表の内容には、外為委員会としては、やはり未収ドル債権とか、未収対米債権とか、何か未了の債権のごとき記載をすべきやいなやが、重要な問題になつて来なければならぬ。そこでお尋ねするのでございますが、何も貸借対照表なんかつくつておらぬとおつしやつておられますが、やはりつくるべきではないだろうか。こういう重要な、今に換算すれば二百億円にも達するようなものについて、司令部の方において一係官か何か知りませんが、それはスキヤツプの代表であろうとわれわれは判断いたしますので、そういう方面から、政府との交渉の結果確認の何かをもらつたという通知を、通産大臣は各省大臣へも発送しておるのでありますから、そういう重大な通知を受けたあとだから、あなたの方では当然その後つくられた貸借対照表、財産目録に記載すべきではないかと思います。どうも御記憶がなかつたとおつしやるので、重ねてこの疑念を晴らしたいのですが、それはどういうものでしようか。
  256. 木内信胤

    木内参考人 外為会計司令部勘定の記帳というものは、司令部の指令で一々したものであります。これが日本側に完全に移つて、初めて私どもの方は円の受払いを伴つて記帳した。ところがこの会計は、実はきようまでは覚えて来なかつたのですが、今いろいろ伺つておりますと、そうでなければならぬと思われる点は、千六百万ドルというバランスを残していたところが、それを向うの落度の結果か何か存じませんが、なかるべかりしものだという指令が来て、落したのが、二十六年の一月、それからその復活という話、いわゆる確認があつたのが、翌年の四月、それからしばらくして、この問題はお前の方も心配してくれたが、ここまでこぎつけたのだよという程度の御通知をいただいたかと思います。しかしながらこれは円の払出しがなければ、私どもの方では外貨の記帳はできない。単にそういう不確定な債権ありとしては——さつきお話がありました財産目録といいますか、バランス・シートはつくるのです。それは正確にできておるわけですが、そのバランス・シートに載せるには、確定した債権でなければ載せられませんから、こういうぺンデイングなものをぺンデイングなものとしてそこまでしたということを、承つたのをもつてどもは終つた。七月ごろに承つたのじやないか。四月からしばらくたつてからです。いずれにしろ、四月から私ども会計がなくなる七月までの期間において、そういう御通知はいただいたようです。しかしさればといつて、記帳するほどしつかりしたものとは私どもは思わなかつたのであります。
  257. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 検査院にお尋ねします。若干の条件がついておりまして条件付債権というか、法律的にはそういうのものであるかもしれませんけれども、すでに通産大臣が国の債権として各所管大臣に通知しているような、そういう一種の資産を構成したものとわれわれは判断するのですが、そういうものはそれぞれ所管省庁において貸借対照表に当然載せるべきものではないか。条件つきなら条件つきでもいいだろうと思うのです。条件つきなら条件つきとして登記しなければ、机の引出しに置かねばならぬことになつてしまいますので、これはやはり国の財産の管理のあり方としては、私はきわめて憂慮すべきものであると思います。もし今木内さんがお述べになるようなお考え方で大蔵省がおり、そういうお考え方で通産省がおられるといたしましたら、一係官が未確定債権として机の中に放り込んでしまう危険があつて国会の承認を求め、国会に報告すべき国の財産管理状態というものが、やみからやみへ経過して行くという危険があると思うのであります。これについていかにお考えになるか、検査院の説明を伺います。
  258. 池田直

    ○池田会計検査院説明員 ごもつともな御意見であります。当初千六百万ドルの関係は、司令部の方から外為の委員会の方にメモランダムによりまして御通知がありました関係で、外為特別会計のバランス・シートの仮勘定の未収債権として一応計上されました。これがまた、先ほど来お話になつております通り、二十六年の一月に至りまして、やはり司令部のメモランダムによりまして落された。そこまでは規定通りにそういうような関係等によりまして動いていたのであります。その後この四千七百万ドルの関係が表面に出て参つたのでありますが、この四千七百万ドルの関係はただいま問題になつております千六百万ドルも含めての問題でありますが、これが先ほど来お話になつている二十五年三月の政令四十号の所定の、連合国最高司令部勘定に属します外国為替等にかかる権利義務ということに、はつきりなりますと、お話の通り、外為会計の方のバランス・シートの上に載るわけでございます。ところがこれに関しましては、今木内さんからもいろいろお話がありました通り、円勘定その他いろいろの関係もありまして、このままでは今の御意見通りでありまして、そのままにすることはいろいろ考究すべき問題もあるので、外為の方のバランス・シートの上に掲げるか、あるいはこれを一般会計債権として何らか整理する必要があるかどうか、こうした関係について会計検査院としてもいろいろ検討を加えて参つておるような次第でございます。外為関係の方のバランス・シートが一応考えられますが、外為関係のバランス・シートの様式は、一に現在では大蔵大臣が定めることになつております。この大蔵大臣が今定めております様式によりますと、本件の問題になつておりますいわゆる対米債権なるものは、完全にはすぐ当てはまる様式がございません。従いましてただいま御心配の点もごもつともでありますし、これを一般会計の方の関係の、国の資産として何らかの形において整理しようといたしましても、現在そうした関係を整理する様式がございません。貸付金あるいは預金部資金等の運用に関する関係の財産につきましては、それぞれの会計等におきまして勘定の整理がきちんときまつておりますが、ただいま問題になつております性質の債権につく請求権につきましては、整理する適当な規定がないわけであります。従いまして会計検査院といたしましては、現在決定的な御意見は申し上げかねる次第でありますが、外為会計の貸借対照表の註にでもこれを記載しておけば、国民の心配も除かれるのではないかという考え方域外には、今これといつて、特に決定的な整理の方法を御説明申し上げるまでには至つておりません。
  259. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではいずれ大蔵大臣に、その所管でありますから最終的な御意見を聞くことにいたしまして、今の御説明につきまして、私どもいただいた決算の検査院報告等によりましても、国の債権というものについてはどうもはつきりしたものが見当らぬのでありますが、これは価か法規的な欠陥にでも基くのでしようか。われわれは債務のことはずいぶん聞きますが、国の債権については、国会の論議になることも少かつたし、出て来るものにもあまり見ないのでありますが、これは何か法律上の欠陥でもあるのか、制度上の欠陥にでもよるのですか、いかがでしようか。
  260. 池田直

    ○池田会計検査院説明員 ごもつともでございます。国の債務に関する状況につきましては、決算に国の債務に関する調査を作成して、政府国会提出することになつておりますので、それによりまして一応国の債務に関する関係は出て参ります。なお国の財政状況等に関しまして国有財産に関する関係も、やはり国有財産法その他の関係法規によりまして、ちやんと国会提出され、国民に周知させることになつております。お話の通り、国の債権のことにつきましては、各特別会計にそれぞれの規定がありまして、それによりまして一定の様式によつて示された国の債権の状況はわかりますが、全体的に国の債権を一目瞭然に国有財産の報告書に明示するような報告の形におきましては、現在財政法その他の規定には国会に出すようにはなつておりません。その関係におきまして今御要望のようなことは、今の建前ではちよつとわからなくなつております。なお先ほど憲法あるいは財政法の規定によりまして、国の財政状況等について、政府はたびたび国会または国民に周知させなければならないという規定がありますが、これも格別この種の債権関係等につきまして周知できるような様式はきまつておりません。そんな建前に現在なつております。
  261. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もう一点だけ伺つて、私は質疑を打切ります。石井政府委員に伺いますが、さつき私が指摘いたしておきました商工省所管の、昭和二十一年ないし二十三年間における貿易資金受払い計算書のうちの受けの方におきまして、輸入商品売却代がある。これは合計いたしますと、二十一年が二十六億三千余万円、二十二年が二百二十九億余万円、二十三年が七百七十八億余万円、合計一千三十三億余万円ということになつております。この輸入商品売却代について御説明ができれば伺いたいのです。これとガリオア、イロア勘定との関連を明らかにすることによつて、それでガリオア、イロア勘定と、今問題になつております四千七百五万ドルの対米債権との関係が明確に結論づけられるだろうと思うのであります。
  262. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 二十一年度、二十二年度、二十三年度におきまして輸入商品売却代として計上してありますのは、これは援助で入つたものも、それから商議勘定、すなわちわれわれの輸出品手取金輸入いたしましたものも、両方とも、この受入れ項目の中に整理してあります。
  263. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 するとやはり話は同じことのぐるぐるまわりになるので、それでは御説明にならぬということになります。
  264. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 吉田先生にお伺いしたいと思いますが、この輸入商品売払い代金の中に、援助によつたものの売上げが幾らあり、商業勘定輸入したものの売上げが幾らあるかという御質問でございましようか。
  265. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もちろんガリオア、イロア勘定といいますか、その問題と、今問題になつております四千七百五万ドルの対米債権との関連において、外国からの輸入物資払渡し代金入、この入というものには内地から対韓輸出向けの商品への円払い代金が充当されておりますので、その説明はだんだんとあつたわけであります。そこで外国から入つて来たものといえば、これが二十一年ないし三年ですから、あなたの方で集計された全部であろうと思います。要するに今の一切の御説明は、ここへ集約されておると思うのです。だからこの数字内容が明らかになりましたならば、対韓輸出品円払い代金のうち、ガリオア、イロアの部分がはたして若干でもあるのか、相当あるのか、非常にたくさんあるのか、もしくは四千七百万ドルというようなもの以上になるのかという辺が明らかになつて参りまして、国民の疑惑も一掃されると思いますので、できるだけここは数字を立てて明らかにしてみたいと思うのであります。ただし今詳しい御説明ができぬようでしたならば、時間もおそいから、相当慎重に御調査になつて、詳しいことがわかつてからでもよいです。今と同じでしたら次にしていただきたい。
  266. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 ただいまの御質問はまことにごもつともでございます。われわれも何とかしてこれを明確にいたしたいのでございます。すなわち二十一年度に売り上げた輸入商品の売却代二十六億三千九百万円というもののうち、援助によつたものが何ぼあつたのか、商業勘定によつたものが何ぼあつたのかということを、二十二年、二十三年についても同様のことを明らかにいたしたいのでございますけれどもこれは何べん申し上げましても、当時商業勘定の分も、援助勘定の分も全部、たとえばジヤパニーズ・ガヴアメント・イズ・デイレクテツド・ツー・テイク・デリバリー・オフ・コツトン、何百俵というふうに来たのであります。何百俵のコットンが横浜に着いたから引取れという形で来ておりまして、それがガリオアで参つたものか、イロアで参つたものか全然区別がついておらなかつたのであります。それですから、その内容商品一千個あるいは一俵ごとの収入の原因になりました商品の動きというものは、すべて明らかになつておるのでありますけれども、その資金的なソースが援助資金によるものであるか、あるいはわれわれの生糸等を輸出いたしましたものの代金輸入いたしたものなるやは、終局的に申しますと、援助物資と称するものの請求書をアメリカから取寄せまして、それを一品ごとに当りまして、われわれの方の金は払つてなかつたということを確認する作業をやらなければ、区別がつかないということでございます。
  267. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたがそうはおつしやいますけれども、あなたらは通産省の代表者として——あなたもずいぶん御努力になつたと聞くのですが、やはり総司令部に対して一千六百万ドルというものを一旦切られて零にせられたものを、さらにいろいろと交渉の結果四千七百万ドルになつた。そうしますと相当の根拠を明確に示してなさつたに違いないと思う。しこうしてこの外国から入つた品物を売却した中で、もし百%ガリオア、イロア勘定に属するとなつたら、そうあなたの方で計算されたのだから、いろいろな証憑書類全部を一々点検してこの数字が出たに間違いないのです。もしその際に今のガリオア勘定というものがこれの百%占めるというようなことになるのであるならば、日本通産省の四千七百万ドル確認さすということへの努力はなさらなんだはずだ。そうするとやはりここにどのくらいの割合か、まつたくまつ暗でわからぬのだ、その勘定は零かもしれないし、あるいはどの程度かわからぬというのでは対外交渉——重大な国の債権を決定するという、アメリカの債務を確認さすというような大きな交渉をするには軽卒であつたと私は思うのであります。そこで相当の根処、確信を持つてやられたと思います。殊に前の高橋通産大臣のごときは、書簡を出して交渉をしておられたという説明があつたくらいでしたから、その内容は今おつしやるくらい漠然としたものではなくて、相当根拠があつて説明せられたのでなければならない。外国から入つたものの処分代金というものはこれ以外にないのでありますから、この内容が全然わからぬというのはどうも国会としては納得しにくいのです。そこで同じことを繰返してもしかたがありませんから、もし今の御説明なら——たとえを引いて御説明になりますので、たとえではなしに、アメリカに対して交渉なさるような意気込みを持つてその根拠を明確にして、四千七百万ドルが、通産大臣が言うがごとく、日本のりつぱな商業債権であるということの裏づけの一つとして、この代金内容を解明する、こういう御努力が願いたいと思います。ですから今日でなくてよろしいから次会まで御用意願いたい。
  268. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 まことにごもつともなお話でありまして、私どもも内部的にはそういう努力を従来も重ねて参つたのであります。ただここで申し上げておきたいと思いますことは、この四千七百万ドルの対米債権の法律的性質と経済的な基礎であります。経済的な背景と申しますか、これについての考察をして見なければならぬと思うのであります。債権の発生原因は申すまでもなく明らかに商取引に基くものでありまして、法律的には援助と何ら関係がないのであります。しかしながら経済的にこれを見ますと、それはいまだもつて日本国民の税負担で支弁されたものではないのであります。と申しますことは、昨日来申し上げておりますように、四百十億円の繰入れをて、一般会計に御迷惑をかけましたけれども、四百八十三億円を繰りもとしているのでございます。貿易特別会計はそれだけではありません。なおただいま木内委員長から申し上げましたように、外為特別会計に対しまして約二億ドルに上る外貨を原始的に、すなわち無償で引継いでいるのであります。でありますから経済的に見ますと、この債権の根拠になる円払いというものは、日本国民の税負担で行われたかといえば、そこまで行つておらないのであります。でありますから、換言すれば、米国からの援助物資国内に放出いたしまして、その代金で調達したものを朝鮮に送つてつたことで生じたものと経済的に見れば言えないことはないのであります。そこでわれわれはもつぱらこの債権の法律的性質に着目いたしまして、それを根拠といたして関係の資料を整備して、アメリカ側にこれを認めさせたのであります。もちろん司令部内部におきましても経済的に見れば、これは日本の腹の痛んだ債権ではないということを、財政を担当している係官などは言つてつたのであります。そうでありましよう。たとえばリード氏あたりをとつてみれば、お前らは一般会計から幾ら出してもらつた、四百十億だろう、それはすべて返せるじやないか、というような主張もあつたのであります。しかしこの関係を知つております人々は割に少かつたのであります。私どもは、そういう経済的なバツクはとにもかくにもあれ、法律的にはわれわれの品物をエキスポートしたものの代価であるから、これを払えという形で、今吉田先生のおつしやられるように、経済的に見ると、この商品代を分析すれば、アメリカからの援助物資を放出して、それで買つたものを送つたその代金ではないかというような点も、いろいろあげつらわれるわけではございますけれども、そういうものは抜きにいたしまして、とにもかくにもわれわれは輸出したのである、これに対するしつかりした証明がある、これを認めようという態度で一貫いたしまして、この債権をアメリカ側に確認さしたのであります。従いまして、今回の論議におきまして、一昨日予算委員会において申し上げましたように、四百十億円の繰入れと四百八十三億円の繰りもどし、こういう関係からいたしまして、この債権を構成するベースはどこにあつたかということ、経済的な負担者はだれであつたかということは、国会で明らかになつたのであります。こういうことが明らかにされますことは、もちろんこの対米債権の交渉に何らエフエクトを及ぼさないかもしれません。しかしエフエクトを及ぼすかもしれません。われわれ政府委員として申し上げますことは、まことに失礼ではありますけれども総理が外交は簡単でないとおつしやいましたことは、この辺の配慮もあつたことかとお察し申し上げておる次第であります。そこで先ほど木内君から、この債権につきましては、あまり確定したものでないというお話がございました。また昨日河野先生からの御質問で、行きがけに担当官が署名して来ただけのものであるというお話もあつたわけであります。正確には速記によつて調べねばわかりませんけれども、そういうようなお話がありますので、私は直接関係がございますか、ございませんかわかりませんが、一九四九年三月二十九日に発効いたしました金融財政処理に関する米韓基本条約の第二条の存在することを、この際特に申し上げておきたいと思うのであります。これは米国政府は一九四五年九月七日から本条約発効の目までの間において、日本から朝鮮輸出された代価から同期間中朝鮮から日本輸出された代価を差引きたる残額を決済すべきことを約す、こう書いてあるのであります。従いまして、一九四九年三月当時というのは、ただいま古田先生からおつしやいました、いわばはなはだ不明確な整理の行われました最終期でございます。この当時すでに米国務省におきましても、この債権の額はともあれ、その存在は知つてつたわけでありまして、われわれといたしましては、その認めておる債権内容を明らかにした、このように考えておる次第でございます。
  269. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたのその御決意なり意気は壮といたします。ただ問題になりますのは、総理にしても、予算委員会における答弁なんかを見てみますと、とかくガリオア、イロアの問題が尾を引いておるのです。これはやはり全体を通じまして見られる空気でもあります。もしその点について明確に線を引いて、私が提示しました問題の内容のいかんにかかわらず、債権として堂々とアメリカに交渉し得るというのであれば、第一外為委員会木内さんの方においても、もつと積極的な態度がなければならぬ。それからまた大蔵省においても、やはり国の財産の管理の責任として、もつとすみやかに積極的な態度がなければならぬ。内閣そのものといたしましても、ドル不足の今日、再言するわけではありませんけれども、こういう問題の処置は最も適切に敏活に、かつ公明正大に堂々と、やはりアメリカに向つて交渉せなければいかぬ。各般の観点からいたしまして、何かガリオア勘定とのそれが、みずから幽霊のように尾を引いておるようなことが、国会において出て来るものですから、国民としては一層疑惑を感じます。おそらくすべての国民は、もし四千七百万ドルが商業勘定であつて、この輸入した物資の売却が、ガリオアの勘定があるないにかかわらず、これは堂々と主張していいということの理解がつきますならば、一体政府において何しておつたかということになるべきだと思います。やはりそこは外交にしろ何にかかわらず、外国に対しては公明正大に行かなくちやならぬと思いますので、内に顧みて若干でもそういう批判が出るようなときは、その批判の対象については十分に解明の努力を尽すことが、私は国会の責任だと思う。そういう意味におきまして、あなたにこの問題を尋ねるのですけれども、あなたとしては、この内容はどうしてもぐるぐるまわりで説明はつかぬ。それにかかわらず今おつしやつたような状況でもあるし、商業債権であるから、心配なしに堂々と請求できるのだというような御説明であります。これは一応政府委員の御意見として伺つておいて、各所管大臣また総理大臣によつて、ほんとうの意のあるところを聞かなくちやならぬと思いますので、一応きようはこの程度にしておきたいと思います。なおこれにつきましては、もつと解明したいと思いますので、保留しておきます。
  270. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと委員長としてお聞きしますが、物を買つて朝鮮へ送つたときは、円でもつて立てかえて払つたのでしよう。
  271. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 さうでございます。
  272. 田中彰治

    田中委員長 今あなたは、国民の税金でもないし、国家に迷惑をかけておらぬとおつしやいましたが、まだガリオアはもらつたとは決定しておらぬのですよ。そうすればガリオアからの物を売つて、その金でやつても、迷惑がかかるのは国民にかかる。それをあなたのような観点を持たれると、とんでもないことです。
  273. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 ですからそれは、とも言えないことはないと断わつています。
  274. 柴田義男

    柴田委員 私も今委員長の言われたのと同じことを考えて、この問題を大いに糾明しなければならぬと思つております。少くとも通産省政府委員ともあられる方が、日本の内部における金の操作がいかなる種類の金であつても、全部が国民の金であるという認識に立つていない。こんなべらぼうなことはない。だからこの問題に対しましては大いに糾明しなければなりませんが、本日は非常に時間も過ぎておりますので、保留して、次の機会に譲りたいと思います。
  275. 田中彰治

    田中委員長 委員諸君にお諮りしますが、これをはつきりする上において、こういう資料をとりたいと思います。貿易特別会計の項目別収入額及び項目別支出額、同特別会計設置より外国為替特別会計移管までのもの、貿易特別会計のうちガリオア物資の品目別数量及び同上品目別売りさばき収入額と総司令部発注による韓国送りの品目別輸出数量、それから開発銀行創設以来一億円以上の融資先別の一覧表、それから輸入銀行創設以来一億円以上の融資先の一覧表、こういうものを一応とつて、ひとつ参考に調べたいと思いますが、委員の御所見いかがですか。
  276. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の貿易特別会計というと、二十四年の四月から発足したもので、この問題のあとになつております。あれは交易資金特別会計とかいつて、何か名前が違うのです。
  277. 田中彰治

    田中委員長 ここには貿易特別会計と……。
  278. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 貿易特別会計というのは昭和二十四年四月から始まつている。
  279. 田中彰治

    田中委員長 貿易特別会計のうちガリオア物資の品目ですよ。
  280. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 貿易特別会計昭和二十四年の四月から始まつておりますから、その前の交易資金特別会計ですか……。
  281. 田中彰治

    田中委員長 今援助物資特別会計になつているそうです。これらのうち、ガリオア物資の品目別数量及び同上品目、売りさばき収入額……。
  282. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは私も賛成いたしますが、ただ問題は、昭和二十五年の三月以前、もつと正確に言うと昭和二十四年の三月まで、これが正確だと思います。二十四年の四月から、二十五年の三月までは若干顔を出しておりますけれども、これはちよつとですから、大部分は終戦後から二十四年の三月末までです。
  283. 田中彰治

    田中委員長 それではどうですか、ガリオア物資のものを一応出してもらおうじやないですか。
  284. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 出してもらいましよう。資料の作成に非常な日時を要することになるならば、出すことをできるだけ早くしてもらつて、やはり審査は審査で進めてやりましよう。
  285. 田中彰治

    田中委員長 これは参考にちよつととつてみたいのです。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  286. 田中彰治

    田中委員長 それでは本日はこの程度にいたしまして、次に継続いたすことにいたします。  これにて散会いたします。     午後五時三十二分散会