○大沢
会計検査院説明員 ただいま
委員長から御指示のあ
つた件について、
説明申し上げます。三百四十六ページの一〇二四号の間でありますが、これは青森の建築区やりもしない工事をや
つたことにし、金を約百六万円ほど捻出いたしまた。そしてそのうちの約六十万円というものは、過去において行
つた工事手直しまたは追加工事を行いまし。それから約十五万円のものは、建区で修繕工事をする場合の資材を購入いたしました。それから残りの三十ほどを会議費その他に使用した、こういう事態であります。なぜこういうことをしたかといいますと、まず第一に過去において行
つた工事の手直しとかあるいは追加工事というものを表面に出すということは、当時の建築区の技術所としては、何か自分がへまをや
つたように思われるので、それが心苦しか
つたというような
事情があ
つたようでありますが、とにかくそうした
事情によりまして、成規の工事名称でない、ほかの工事をや
つたようにして金を出して、その追加工事を行
つた。それから資材の購入は建築区の権限ではなくて、それぞれ資材事務所の方で購入して配給することに
なつておりますが、手元に資材があ
つた方がすべてにおいて都合がいいというような
理由もありまして、工事を行
つたことにして資材を購入して待つてお
つたというのが六十万円と約十五万円、そのほか残りの三十万円程度は会議費、接待費での他に使用した、こういう事態であります。こうした架空名義で金を使うということに関しましては、絶対にこれを慎まなければ、明朗な経理ということとはできないのであります。
事情の一部には困つてや
つたというようなこともありましようが、全体としてきわめて不当な経理である、こう見ている次第であります。
次に一〇二五号の問題でありますが、これは松山から八幡浜の方へ参り心す予讃線の下灘、喜多灘という駅の刑ののりの切取工事でありますが、これは断層帯に沿つておりますために、旭盤が非常に悪くて線路の片側ののり宏、ときどき崩壊して線路に故障を生ずるというので、そののり面の土砂一約三万立米、その前にもたしか一万一米ほど切つておりますが、合せて四万立米ほどの土砂を切りと
つたわけですが、現地の
情勢から見て、それだけ切りとつてもまた地下水が押して棄て、そののり面がはらみ出して、また危険な
状態に
なつておるというような
状態でありますので、こうした場合には、むしろ何とかここへ押して来るところの水をどこかで抜くような工法をと
つた方がよか
つたのではなかろうか。現に鉄道部内におきましても、工事の
あとにこうした方面の専門の研究がされております鉄道技術研究所の方の調査によりましても、この点は切取でなくて水抜きの工法をと
つた方が適当でなか
つたか、こういう結論が、爾後ではありますが出ております。事実その後の工事におきましては、この水抜きの工法で工事をされている。こういう
状態でありますので、当時の計画においてそうした工法がとられた方が適当でなか
つたかと考えられる次第であります。
次の一〇二六号の問題は一浜名湖の例の弁天島から
向うに参ります橋梁でありますが、この浜名橋梁が明治年間の建造で相当老朽して、補強をしなければならないというので、八橋脚あるのですが、それをそれぞれ補強したのでありますが、そのうちの四つの橋脚に対しましては、根元に捨石をやつて補強しようとした工法をと
つたのでありますが、橋脚の根元はすでにピラミット型に相当土砂がたまつておりますので、そこへ捨石しても、直接の橋脚そのものの洗掘防止には役立つでありましようが、振動防止には
あまり役立たぬのではなかろうか、むしろ固めるならば、周囲に杭でも打つて、そしてその中の石が動かないようにして、そして振動防止に役立たせるというような工法をと
つた方がよか
つたのではなかろうか、その工事費を計算しましても、捨石をするのとほぼ同じくらいな経費を使いますれば、杭打ちで相当な補強ができたのではなかろうかと考えられる次第であります。これも爾後ではありますが、鉄道技術研究所で補強した結果を調べましたところが、この捨石だけを行
つた部分については、補強の振動防止の効果が現われていないというような結果が出ております。なおこの橋梁はその後全部新規の橋梁につけかえまして、現在はもうこれ以上の補強は必要ないというような
状態に
なつておると承知しております。
次の一〇二七号、これは例の瀬田の鉄橋の両側、これを線路のつけかえで工事を行
つたうちの、こちら側といいますか、草津方面の方の工事の仕方が少し妥当でなか
つたのではないかと思われる事態であります。この瀬田川の瀬田橋梁の大津側の工事を施行いたしまするときには、まず
最初に、鉄道部内の東京操機工事事務所という、主として機械力を利用しての工事事務所があるのでありますが、そこの工事事務所で付近の配線敷等から土砂をとりまして、それを大体築堤の線に沿うて土砂をまず積んで置いた。そしてその後請負に出しまして、これをもとにしまして築堤を行
つたのでありますが、操機工事事務所が積んで置いた土砂そのものを、築堤に直す場合に土がよく混和してなじんでいるように築堤すればよか
つたのでありますが、それをただ形を整えて、土と士との間をまくこねまわすといいますか、なじませましてだんだんと築堤して行く、こういう工法をとるべきであ
つたのが、その点が不十分だ
つたのではなかろうかと思われる点と、その上の芝植え、それから土羽打ち、こうした工事が十分に行われていなか
つたのではなかろうかと思われますのは、工事ができ上たつころに現場を見ましても、方々に亀裂がありまして、そしてみぞのようなものが相当できてお
つた。これはもちろんその後手直しをしたのでありますが、そういうような状況でありますので、工事の施行方法に少し欠けるところがあ
つたのではなかろうか、その結果一昨年の七月の台風の場合に、この草津寄りの方の築堤は相当の崩壊を来しまして一時列車も不通になりました。これをその後応急工事を行つて改修し、なお本復旧工事をやつておるというような
状態でありまして、当初の工事の施行が妥当でなか
つたのではないかと思われる案件であります。もちろんよくなじませて築堤をし、筋芝、土羽打ちを十分やつておつても、あの災害でありますから、あるいは崩壊したかもしれませんが、こうしたことをしておけばあるいはまた崩壊を免れたのではなかろうかと思われる次第であります。
次の一〇二八号、これは図面入りで詳しく書いてありますが、
ちよつとおわかりにくいかと思いますので簡単に申しますれば、志免炭鉱の下層の炭を採掘する場合に、三本の坑道で十分であろうと思われるのを、四本の坑道を掘
つた。その一本はもちろんあ
つた方がいいが、なくても済んだのではないかと思われる事態であります。御承知の
通り、炭を掘ります場合に、運搬坑道と連れになりますところの排気坑道、この二つで行つておるのでありますが一
本件の場合は、その採炭のための運搬坑道のほかに探炭坑道を一つ掘りまして、そしてそれにまた連れとし
て排気坑道を一つけた、こういう事態でありまして、
検査院が考えますのは、探炭坑道が必要であるとしますれば、それを掘るのはいいが、それに応じた連れの排気坑道は、むしろ運搬坑道の排気坑道として、利用しようとする坑道を同じように掘り進めて行けば、それが探炭坑道の排気坑道の役もなすのであるから、三本で間に合
つたのではなかろうか、そうして施設費も相当節約できたのではなかろうか、こう考える次第であります。鉱山保安の場方の監督官庁である福岡の通産局へ当初提出しました施業集を見ましても、三本の坑道を掘鑿することに計画しまして、通産局の方の承認も得ておるような次第であります。四本をつくられたのは、非常にガスの多い炭鉱であるので、その点の鉱山保安を非常に考慮された次第ではありますが、三本で間に合
つたのではなかろうかという考えでここに掲げた次第であります。
次の一〇二九号は、やはり志免の炭鉱のエアコンプレッサーの問題でありますが、この志免の炭鉱には、坑内の通気用としましてエア・コンプレッサーが中小合せまして十三台、約二千百五十馬力を現在備えつけてあるのでありますが、それでは不時の場合にあぶない、予備が必要であるというので、予備のエア・コンプレッサーを備えつけるという場合に、元の海軍時代に購入してそのまま使つていなか
つた四千馬力の大きなエア・コンプレッサーが二台あ
つたのでありますが、これを約二百九十三万円を費しまして改造いたしまして、予備としまして二千馬力のエア・コンプレッサー二基を装備したのであります。しかしながら、この炭鉱全体で現在二千百五十馬力で大体動いておるので、予備が必要だとしますれば、小型のエア・コンプレッサーを備えつければよか
つたのではなかろうか。この大型に改造するために約三百万円を使うよりも、小型のコンプレッサーの百馬力、百五十馬力というようなものを調達されれば、あるいは他に鉄道部内でそういうものがあ
つたかもしれないし、よしやなくて購入しても、その金は百万円以内で足りたのではないかと考えます。こういう大型の一ア・一ンプレツサ三雲く改造したこの改造工事は、不経済な改造工事ではなか
つたか、こう考える次第であります。その後の使用状況を見ましても、この改造しました二基のうち一基は、二十七
年度中に全部で十二時間ほど稼動しておりますが、一基は全然稼動していないような
状態でありまして、その程度のものならば、小型の予備を購入しておいた方がよか
つたのではないかということが結果的にも考えられる次第であります。
次に三百五十五ページの一〇三二号でありますが、これもまた志免炭鉱の問題でありますが、これは志免炭鉱で採炭いたしまして、普通の
石炭はそれぞれ国鉄部内の用途に充てるわけでありますが、沈澱微粉炭は国鉄プロ。ハーの用途には使用できないので、沈澱微粉炭を共済組合
物資部あるいはその他のものに売つておるわけでありますか、この売る場合の引渡し方法が、坑内から巻上炭車で貯炭場まで上げて、そのときにその数量で引渡すということに
なつていて、その数量はあけた炭車の数で計算するということに
なつておるのでありますが、
記録をたどつてみますと、人夫賃の払う方の炭車の巻上げ数量というものから
向うに引渡したと推定される数量を計算しますと、一万一千九百四トンになるのに、この微粉炭を売つて代金を収納した方の数量は一万一千四百三トン相当分ということに
なつておりまして、その間に五百一トンというものの養い違いがあるというような
状態でありまして、これはその引渡しのときの
確認ということが十分行われていなか
つたのじやないか、こう考える次第であります。
次の三百五十六ページの一〇三四号でありますが、これは同種類のものを購入されるのに随意
契約によ
つたために非常に割高のものを購入しているという事能でありまして、そこの表の上下に対照的に掲げてありますのでよくおわかりのことと思いますが、たとえばこの表の
最初にあります補充券発売日報というのを見ますと、一般競争
契約で買
つたときには、ウス二号上質の紙を使つて一冊当り六十八円で
上つている。ところがこれを随意
契約で購入した分はウス二号中質の紙を使つて一冊当り百四十円に当つている。随意
契約によ
つたために非常に高価なものを購入している、こういう事態であります。そのほか表に掲げてあるのを上下対照していただけばおわかりくださることと思いますが、随意
契約によ
つたために非常に高く
なつている。何も随意
契約によるほど緊要な必要その他はなか
つたのではないかという点で、購入方法が妥当でなか
つたと考える次第でございます。
次の一〇三五号から一〇四一号まで掲げてありますのは、国鉄部内の資材の管理が非常に乱れているという点を掲げてあるのでありまして、一〇三五号は、新小岩の工場用品庫で、部内の職員が部外者と結託いたしまして、ガラスとかパイプその他約二百万円のものを横領して部外者に引渡してしま
つた、こういう事態であります。
一〇三六号は、同じような事態で、横浜用品庫で、鋼材、鋼板、空ドラムカン等約百万円のものを引渡してしま
つたという事態であります。
一〇三七号は、大宮工場用品庫で、一電気銅とか、黄銅棒とか、パイプとか、
総額約百五万円のものを同じく引渡してしま
つたという事態であります。
それから一〇三八号は、汐留用品庫で、これもうつかりした話でありますが、部外者にすず二トン、約三百三十万円のものを詐取されてしま
つたという事態であります。
一〇三九号は、隅田川用品庫で鋼くず四トン、約二万円のものを部外者に不正に引渡してそれが処分されているという事態であります。
一〇四〇号は、大宮工場で鋼材、銑鉄、鉄くず等約三百五十万円のものが同じように部外者に引渡されている。それからまた鋼くず、鉄くず約六十トン、三十万円のものが部外者に詐取されているという事態であります。
それから一〇四一号は、これは交換した問題でありまして、大宮の工場用。品庫で、絶縁電線八千五百メートルをボイル油七百二十リットルと交換してしまつている。これは評価を見ますと、大体引渡した方は十五万円ほど、
受取つた方は十二万円ほどで、こちらの国鉄としては不利な交換に
なつています。それから大井工場でアルミ線をボイル油と交換しておるのでありますが、これも引渡したアルミ線は約八十万円で、ボイル油の方は十二万円ほどで、相当不利な交換をやつています。それから橋本の自動車工場で、同じように電線一万メートル、これは十八万円ほどのものでありますが、これをボイル油二本、約六万円のものと交換しています。もともと交換いうこと自体は国の物品
会計においては原則として禁ぜられておるのでありますが、国有鉄道の場合はその法規の制約は多少ゆるく
なつているので、別に法規上禁ぜられておるわけではありませんが、こういう非常な不利な交換処分を行つているということはきわめて妥当でない方法と考える次第であります。
以上のように、国鉄の資材の管理というものが乱れているということをここに
検査報告に掲げておる次第でありまして、少し簡単過ぎたかとも思いますが、一応御指示の案件の概略の
説明を終ります。