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大沢会計検査院説明員 それではただいま御指摘になりました
番号のものを御
説明申し上げます。
最初に三百二十ページの九九六号について御
説明します。これはいわゆる
たばこを包装するときの
機械でありますが、
新生と
バットの例の二十本
入りの分を包装しますあの
機械が当時の
製造計画から比べてたくさん買い過ぎたのではなかろうか、こういう
趣旨であります。
計算の
方法は文書でここに記述してありますが、結局四百九億本という
製造計画、それを各一台の
包装能力から割り出しますと、全体で
所要量は二百七十三台で足りる。それに急にまた増産する必要が起きた場合の
予備を二割見込みましても三百二十八台で足りる。それから当時保有していた稼働できる
台数、これを引きますと約二十五、六台不足である、こういうことになるわけでありまして、その程度のものを
購入しておかれればよか
つたんではなかろうかと思われるのに対しまして七十五台を
購入された。結局約五十台というものは不急の
購入であ
つたのではなかろうかという
趣旨であります。もちろんこの
製造数量というものは各人の嗜好に応じまして、その都度
製造計画も変更されなければならない点がありますから、かつちりと
計算の
数量だけを準備しておくということだけでは
融通がきかなくて困る場合もあろうかと思いますが、この二割という
予備を見込んでおりますれば、大体急に増産する場合にもそれで間に合うのではなかろうか。なお
機械そのものも四、五箇月で製造できるものでありますから、そうして二十本
入りの
新生、バツトの方の
需要がどんどん
増加するという見通しがあればそのときに注文されてもおそくはないのではなかろうか、こう感ずる次第であります。なおその後の
たばこの推移は御
承知の
通り光とかあるいはピースとかいうようないわゆる十本
入りのものが非常に
需要が増大しまして、
バット、
新生の方は比較的伸びていないというような
関係で、この
包装機もその後相当の
台数が稼働せずに保有されているというような
状態に
なつております。
次に九九七号の問題は、二十六年三月、
年度末に
亜麻仁油を相当
多量公社は
購入されたのでありますが、その
購入された理由は
朝鮮動乱その他で将来
インキ原料たる
亜麻仁油が不足するのではなかろうか、だからこの際
公社が
購入して、そうして
インキ製造業者に社給するというような
方法でその需給の非常に逼迫するようなことを避けよう、こういう
趣旨でされたのでありますが、二十六年三月、当時の
亜麻仁油の
情勢はどういう
情勢であ
つたかというと、主としてこれは
通産省当局の方で調査いたしましたところによりますと、二十五年の十二月、
本件購入前でありますが、そのころは非常に品薄に
なつて事実
亜麻仁油の
価格も相当騰貴しているという
状態でありましたのが、その後二十六年二月までにその
原料たる
亜麻仁が相当
多量輸入されておる。そのために当分の間は
亜麻仁油の供給の方はあまり不自由はないというような
状態でありまして、
価格も十二月、一月と上
つて来ておりましたが、たしか二月ごろまでは上
つて来てお
つたと思いますが、その後三月、四月と
下り気味に
なつて来たというような
状態でありますので、当時において急遽
年度末に
多量の
亜麻仁油を
購入されたのは、少し
購入方針としてまずか
つたのではなかろうかという
趣旨で掲げてある次第であります。
次に九九八号、これはやはり
年度末に
多量の
物品を
購入したという問題でありますが、これも二十六年の三月ごろ契約されまして、まず第一の問題としましては、
新光鋼材ほか三
会社から
鋼材を全部で千六百二十トンほど
購入された。それからほかに
森川商店から
亜鉛鍍、鉄板を五十トンほど
購入された、それはその
年度、つまり二十五
年度としては何ら
引当てのないものを、一応
備蓄用という名義で
多量に
購入されたわけであります。
それからそのほかにも、第二に書いてありますように、
日興産業から床板を五千坪、
秩父セメントほか三
会社から
セメント三千トン、あるいは第三に書いてありますように、
鉄道用品工業からリノリユームを三千三百坪というように、二十五
年度としては
所要の
引当てのない
鋼材その他を
多量に
購入された。そうしたいわば一種の
予算消化としてこういう
方針をとられたことは妥当ではないという点が一点一であります。
それからもう一つは、その中の
物品の
納入状況を見ますと、
新光鋼材から納入しました
鋼材は
年度末までに
納入素たということに
なつてそれぞれ
代金の決済は終
つておるのでありますが、実際の
引取はずつと遅れまして、二十六年の八、九月ごろまでにかか
つておる。九月のたしか末にようよう全部納入されておるという
状態でありますが、そのときになりまして、初め契約した
数量が、実物が足りないで代品を納めさせるというような事態も生じまして、
購入をしたときにはつきりとこれだけの
数量を
購入したとい
つて、
代金を支払われたときの
検収その他が十分でなか
つたのではなかろうかという感じもするわけであります。
それから
セメントも三千トン、
引取つた引取つたと申しますか、こちらのものにしたとして
検収されて支払
つておるのでありますが、この
セメントは、
秩父セメントその他いわゆる
セメント会社の
タンクの中にありまして、どれが
公社のものかというはつきりした
区分がなくて、ただ
タンクの中の三千トンというものが
公社のものだという
検収をされて、
代金を支払
つておるのでありまして、これなども
検収の
方法としては妥当ではないのではないか、こう感じまして、
検査報告に掲げておる次第であります。なおここに掲げてあります
鋼材、
セメントその他は、二十六
年度に大半
使用されまして、二十七
年度にかけても
使用されて、現在ではその残りはほとんどないというように聞いております。
次に三百二十四ページの一〇〇一号について御
説明申し上げます。第九九九号以下に掲げてありますのは、主として
公社のいわゆる製品その他の
保管の
方法に対して検討した結果でありますが、大体
公社が自分で所有されておる
社庫、それから
倉庫として全体を借りておられる
借入れの
倉庫、そのほかに
営業倉庫に寄託しておるもの、こうあるわけでありますが、これは常識から考えてもわかりますように、まず
社庫をフルに活用する、それから
借入れ倉庫なども借り入れておる限りはこれをフルに活用する、
営業倉庫に
保管することは
必要最小限度にとどめなければならない、こう考えるのでありまして、事実
公社の方でもその線に沿うて大いに努力されておるわけでありますが、ここに掲げておりますのは、その点において
計画が十分でなか
つたのではなかろうかと思われるものであります。一〇〇一号は
尾道出張所で
福田某というのに、いわゆる
営業倉庫でありますが、これに
保管料を相当
多量に支払
つているわけでありますが、当時のこの
尾道出張所管内の
倉庫の
状況を見ますと、
公社の
社有の
倉庫、それから
倉庫を借り入れておるところの
借入れ倉庫、この方に大体
余力としまして、その
最高貯蔵量と
貯蔵能力との間の
差額を見ますと、約三千トンから五千トンほどの
貯蔵余力があるのでありますから、この範囲において、
公社の
倉庫あるいは
借入れ倉庫に入れることによ
つて、
営業倉庫への
寄託保管料というものが節約できたのではなかろうか、こう感ずる次第でありまして、
保管料を払いました六千トンというもののうちの約二、三千トンは、少なくともこの
方法で
保管できたのではなかろうか、
営業倉庫に寄託して
保管料を払う必要はなか
つたのではなかろうかという
趣旨でありまして、もしも
検査院の指摘しておりますように、
社有倉庫または
借入れ倉庫をフルに利用したとしますれば、約九十三万円ほど
保管料が節約できたのではなかろうかと考える次第であります。
次に三百二十五ページの一〇〇二号、これは塩の回送の問題でありますが、札幌の
地方局管内の
函館支局から、大阪の
地方局の
管内各所に向けて
粉砕塩を二千場三百トンほど回送させて、四百万円ほどの回送費を支払
つておるものがあるのでありますが、これは二十六年三月でありますが、当時の大阪の
地方局管内で
粉砕塩をわざわざ函館から回送しなければならない
状態であ
つたかどうかということを検討してみますと、大阪の管内には二月末に
粉砕塩が五千トンほど在庫しておりました。それからこの五千トンというのは、大体大阪
地方局管内の三箇月分くらいの
数量になるわけでありますが、これで間に合
つたのではないか、それを配給すればわざわざ函館から回送しなくとも済んだのではなかろうかという感じがいたします。なおこれが相当の
予備ということを考えまして、それを手放しては困るというような事情があるといたしますれば、
粉砕塩にしますところの輸入の原塩というものが、神戸、大阪方面に二月末に一万一千トンほどありまして、これはもちろん神戸、大阪で
使用するものばかりではなくて、それぞれ各方面に回送するものでありますが、この回送予定
数量というものを
差引きましても、その後の輸入の予定
数量とにらみ合せてみますと、大阪管内で管内にある
粉砕塩を
使用しても間に合
つたのではなかろうか、わざわざ多額の運送賃をかけて函館から回送する必要はなか
つたのではなかろうか、こう感ずる次第でありまして、もしも大阪のものをそれぞれ管内に送
つたといたしますれば、函館から送るのに比べまして約四百万円ほどのものは節約できたのではなかろうか、こういうふうに感ずる次第であります。
それからずつと飛ばしまして、三百三十四ページの一〇一五号、輸入塩の
購入価格の算定の問題でありますが、これは塩の輸入をいたします場合に、各貿易商社と契約いたしまして、これに輸入委託という形式で輸入いたしておるわけでありますが、その場合に
公社がこの貿易
会社に支払う
代金というものを分析しますと、向うにドルで払うところの塩の
代金と、輸入します場合の手数料、それから雑費というようなものに分析されるわけでありますが、この雑費の中に銀行諸掛りというものを加算されておる。これはつまり輸入業者が相手方にいろいろ折衝して信用状を開設して、相当の資金が必要となる。それから最後にこちらに輸入しましてそれぞれ
公社倉庫に納められ、
公社から
代金の決済を受けるまでの間は、いわば輸入業者が銀行から金を借りて資金の立てかえをしなければならないので、その間の金利を
計算に入れるため、この銀行諸掛りというものを
計算して支払
つておるわけであります。そこで
検査院が指摘しておりますのは、その銀行の諸掛りの
計算が甘過ぎるのではなかろうかという点であります。計数はここの報告に詳しく書いてある
通りでありますが、かいつまんで申し上げますれば、この銀行諸掛りを
計算する場合に、特殊のものは別として、例を遠海塩のエジプトの方から入る
数量の一番多いものにと
つてみますと、
公社の方では、遠海塩について信用状を開設しましてから
公社が、
代金の
支払いをするまでというものが、大体百十
—日かかるであろうという
計算でこの銀行諸掛りが
計算されておるわけでありますが、実際にどれくらいかか
つておるかと申しますと、平均約七十日で信用状開設から
公社の
代金決済までが終
つておる。こうした結果から見ましても、
公社の銀行諸掛りの期間
計算が甘過ぎたのではなかろうかというように感ずる次第であります。
内容を分析してみますと、たとえば日本の港に入
つて陸揚げが終
つてから
公社が
代金の決済をするまでの日数を二十一日と
計算しておるのでありますが、御
承知の
支払い遅延防止法その他によりまして、大体
公社の決済は二週間以内、十四日間くらいで決済が終
つておるというような点から、日数が延びておる。あるいは向うの船積港で船積みが終
つてから出港するまでを十四日ほど
計算をと
つておるのでありますが、大体船積みから出港までそう日数がかかるということは、ちよつと常識上おかしいのではないかという感じがいたします。詳上い実情は別といたしまして大ざつぱに考えたところでも、そうしたところで
最初の
計算が甘過ぎたのではなかろうかという感じがします。そうしてその結果から見ても、実績から見ましても、それが非常に甘か
つたということが結果づけられているわけであります。もちろんこれは実費
計算を初めからやるということになりますと、いわば勉強した業者はそれだけに報いられないということになりますので、すべてを実績
計算でやるということは困難な点でもあり、またあまり感心した
方法ではないと思うのでありますが、
最初の予定というものが少し甘過ぎたのではなかろうかという感じがするわけであります。それからなおこの金利の
計算も年五%ということで
計算されておるのでありますが、その後貿易の方の外貨の
代金決済の方式がかわりまして、その分に対しましては二分五厘の金利で、これは外国為替資金でありますが、その方で融資するということになりますので、五%が二五%に引下
つたならば、この銀行諸掛りの
計算もその率で
計算すべきではなか
つたかという感じがするわけであります。一つの大きな契約の中の一因子を取上げた問題ではありますが、すべてのそれぞれの
計算が妥当でなければならないことは当然でありまして、本件の銀行諸掛りの
計算というものは多少甘過ぎた。なおあとに
なつての訂正がすみやかにされるべきであ
つたと思うのですが、たとえば
最初の船が、今申し上げました例で申し上げますならば、百十一日かかるという
計算をと
つておりましたのが、実際支払われるまでの日数を
計算すれば当然わかることでありますが、たとえばこれが八十日で終
つてお
つた、次の船も七十五日で終
つたというような
状態でありますれば、
年度途中なりその他においてこの日数というものをもう一度再検討されて、短縮するというような
方法をとられる余地はあ
つたのではなかろうか、こう感ずる次第であります。なお先ほど申しましたように、金利そのものが引下げられれば、その後はこれによ
つてまた
計算されるべきではなか
つたろうか、こう感ずる次第で、輸入諸掛りの見積りが妥当でなか
つたと思いまして、
検査報告に掲げておる次第であります。
以上
委員長から御指摘のあ
つた件だけを御
説明申し上げました。