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1953-07-29 第16回国会 衆議院 経済安定委員会 第21号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十八年七月二十九日(水曜日) 午後二時三十八分
開議
出席委員
委員長
佐伯
宗義
君
理事
小笠
公韶君
理事
加藤
宗平
君
理事
武田信之助
君
理事
栗田
英男
君
理事
阿部 五郎君
理事
山本 勝市君 秋山
利恭
君 迫水 久常君 神戸 眞君 石村 英雄君 小林 進君
杉村沖治郎
君 中村 時雄君
出席政府委員
総理府事務官
(
経済審議庁計
画部長
)
佐々木義武
君
総理府事務官
(
経済審議庁調
査部長) 須賀 賢二君
委員外
の
出席者
通商産業事務官
(
公益事業局次
長) 森
誓夫君
専 門 員
圓地與
四松君 専 門 員
菅田清治郎
君
—————————————
七月二十九日
委員飛鳥田
一
雄右
及び
稲富稜人君辞任
につき、 その
補欠
として
鈴木茂三郎
君及び
杉村沖治郎
君 が議長の指名で
委員
に選任された。 同日
加藤宗平
君が
理事
に
補欠
当選した。
—————————————
本日の
会議
に付した事件
理事
の互選
電源開発
の
経過
並びに
計画
に関する件
昭和
二十八
年度
年次経済報告
に関する件
—————————————
佐伯宗義
1
○
佐伯委員長
これより
会議
を開きます。 この際
理事
の
補欠選挙
につきお諮りいたします。去る二十四日
理事加藤業平
君が
委員
を辞任せられ、翌二十五日再任せられましたので、これに伴い同君を再び
理事
に
補欠
選任いたしたいと存じますが、御
異議
がございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
佐伯宗義
2
○
佐伯委員長
それでは、さよう
決定
いたします。 次に、昨日に引続き本日はまず
電源開発
の
経過
並びに
計画
に関し、
政府委員
より説、明を求めます。
佐々木政府委員
。
佐々木義武
3
○
佐々木政府委員
御
要求
によりまして、
電源開発
の諸問題に関しましてお話申し上げたいと思います。ただいまお
手元
に差上げた
資料
は
二つ
ございますが、初めの
昭和
二十七
年度
電源開発設備資金調達実績
並びに二十八
年度
調達見込
という表がございますので、この表からまず御
説明
申し上げたいと思います。
昭和
二十七
年度
すなわち昨
年度
でありますが、
所要資金
は全部で
実績
は千二百十三億使
つて
ございます。そのうち
電力会社
の
部分
が九百九十億、
電源開発会社
の方は五十八億、
自家用分
が百八億、
公営
が五十七億、合せまして千二百十三億に
なつ
てございます。その中で
政府資金
として出しておるのが五百十九億、その他が六百九十四億と
なつ
ております。 二十八
年度
でありますが、今のところの
計画
といたしましては、
電力会符
に対しては千百七十五億見込んでおりまして、
電源開発会社
には二百億、二百億の
内訳
は百五十億が
投資特別会計
から、五十億が
資金運用部資金
から出す
予定
に
なつ
てございます。それから
自家用
でございますが、三十億は
開発銀行
から出しまして、
開発
をやる
事業者
が自分で六十億負担して、計九十億の
資金
で
開発
することに
なつ
てございます。
公営
と申しますのは、主として県で
建設
しております
電力事業
でございますが、この八十億とありますのは、
資金運用部資金
から出す分でございまして、その他十五億とございますのは、県で公募する分として十五億を計上したのでありまして、計九十五億を計上してございます。それを合せますと、千五百六十億が全
資金量
でありまして
政府
から七百十億、その他市中その他でまかなう分が八百五十億という構成でございます。なお註にございますように、二十八
年度
の
電源開発会社分
は、二百億の
資金
のほかに、さらに昨
年度
から操越されている分が約三十三億ございまして、もう
一つ
は、今度の
建設
にあたりまして、大
規模
の特殊な
土木機械等
を
アメリカ側
から借りまして、それを使うことに
なつ
ておりますので、この外資に見合う分十八億を織り込みますと、二百五十一億の
予定
になりまして、全体といたしましては、千六百十一億円という
計算
にたります。 なお将来の問題でありますが、前々から御
説明
申し上げております
通り
、五箇年で大体五百五十万キロワットの
増設
をやるわけでございますが、その
所要資金
は毎年千六百億という
予定
でございます。二十八年から始ま
つた
わけですが、二十九、三十、三十一、三十二
年度
まで
年間
千六百億ぐらいの
予定
で、五百五十万キロワットの
増設
をすることに
なつ
ております。その五百五十万キロワットの
増設分
に対しましては、現在まで昨
年度
から大半の
地点
には
着手
をしてございまして、今後
新規
のものなしに、去年からの
継続分
を完成するだけで、五百五十万キロワットをはるかに越すような
数字
に
なつ
ておりますので、従来の金額をそのまま押し進めて参りますと、
所要
の
計画
は完成するというふうに考えるのでございます。五百五十万キロワットでございますから、
年間
約九十万キロワット
平均
で新設をして行くわけでございます。 九十万キロワットという
数字
はどういう
数字
かと申しますと、戦前満洲、朝鮮あるいは台湾、
内地等
を合せまして
最高年度
におきましてま九十万キロワット年に出した年はほとんどございません。終戦後から今までの
経過
を申し上げますと、
水力分
に限
つて
申し上げますが、二十六
年度
までに完成いたしました
水力
は、たしか
年平均
にして五万キロぐらいの
平均
で出しております。従いまして
年間
九十万キロワットというものを毎年出すことは非常に
厖大
な
計画
でございまして、しかもその
厖大
な画期的な
計画
がすでに
着手
に入りまして、その達成も確実に見通されるという状況にあるのでございます。なおこの千六百億の
所要資金
が全
日本
の
設備資金
に対してどういう
割合
になるかと申しますと、大体三割から三割五分という
割合
を占めておりますので、
日本
の全
産業
におきます
建設
の中でいかに電気のウエートが大きいかということが、その点から推してもおわかりのことかと存じます。
資金計画
につきましては大体その程度にいたしまして、次にもう
一つ
の表であります
只見川
の
資料
でございますが、
経過
から御
説明
申し上げましてその案の
内容
をお話申し上げたいと思います。 本年の六月二十三日並びに二十九日の両日にわたりまして、第八回、第九回の
電源開発調整審議会
を開催いたしまして、その二日にわたりまして今までの諸案、すなわち
OCI案
あるいは
会社試案
あるいは
新潟
県案あるいは福島県側の
意見等
を詳細に
報告
を聴取し、これに対する
質疑応答
を
行つた
わけでございますが、二十九日の第九回の
審議会
で各
委員
の方から、問題は非常に技術的であり、経済的な問題が
中心
であるから、
幹事会
で
——幹事会
と申しますのは、
審議会
の中で
関係各省
の
局長クラス
の
人たち
で構成しておるわけでございますが、その
幹事会
で十分技術的、経済的に
調査
を進めてもらいたいという御付託がございましたので、爾後正式には三回
幹事会
を開催いたしまして、主として
開発会社
並びに
新潟
県側の意向をさらに
調査
もし
検討
も加えたわけでございます。なぜ
二つ
の案をと
つた
かと申しますと、
OCI案
は、
会社試案
並びに
新潟
県案の
二つ
に包含されますので、この
二つ
を
対象
にとれば大体問題が尽きますから、この
二つ
を
中心
にいたしまして
検討
を深めたわけでございます。
検討
いたしました
内容
は、全
体計画
と第一期の
着手地点
の選定という
二つ
に大体わけまして、全
体計画
といたしましては、ただいま申し上げました両案の中で、特に
建設単価
、それから
需給調整
上の諸懸案の問題、三番目には
工事
の
実施
上どういうふうなことが難点に
なつ
ておるかという点、それから
運転維持
上
——
と申しますのは、故障の際とか、あるいはピーク時に対する
運転
の
調整
の問題とかい
つた
維持
、
運転士
の
観点
及び
只見川沿い
の
下流
の
既設発電所
に与える
影響
、それから
灌漑用水確保
上の
観点
、それから
森林資源
の
開発
及び治水上の
観点
、
早期開発
上の
観点
、こういう諸種の
観点
から、いろいろ両案を計数の
整理基準
を合せまして、両案を同じベースで比較できるようにいたしまして、あるいは技術的な
工事工相等
を厳密に
調査
いたしました結果、両
体計画
といたしましては、
開発会社案
の方がいいのではなかろうかというふうな一応の
調査
の
成果
が出たわけでございます。 次に第一期の
計画
といたしまして、しからば第一次の
着工地点
をいかに選ぶべきかという問題に関しましては、
電力需給
上の問題から、あるいは
発電効果
の問題から
——発電効果
と申しますのは、
建設単価
あるいは
事業収益率
あるいは
渇水期
における
電力量
、
早期開心
の
効果
、こういうふうな諸点を
中心
にいたしまして
発電
の
効果
がどうなるかという点、第三点は
総合開発
上の
効果
という点でございます。第四点は
資金
の見通し、第五点としてその他ということで、
維持運転
上の
問題等
からいろいろ比較いたしました一その比較いたしました
対象
は、第一期の
地点
として、どういう
対象
を選んだかと申しますと、六つの
組合せ
を考えましていろいろ各案を比較したわけであります。第一は黒又第一、第二、第三、
奥只見
、これは
新潟
県の
分水案
であります。次に
B案
として、
奥只見
四台、
田子倉
三台、黒又第一、これは
会社案
であります。Cといたしまして
奥只見
三台、
田子倉
二台、黒又第一、これを三番目といたしましてDは、
奥只見
三台、
田子倉
二台、黒又第一、
上野尻
。Eは
奥只見
四台、黒又第一、
上野尻
、淹、Fは
田子倉
三台、黒又第一、
上野尻
。こういうような諸案をいろいろかみ合せて考えまして、そうして先ほど申しました
内容
につきまして
検討
を加えました結果、
D案
と申しますか、
奥只見
三台、
田子倉
二台、黒又第一、
上野尻
、この
組合せ
があらゆる点から第一期に
着手
するのが一番合理的であるというふうな
成果
が出た次第であります。ただその中で
上野尻
の
方はちようど東北電力
が今や
つて
おります
開発
のまん中でありまして、
開発会社
で
着手
するのには不適当なものでございますから、
開発会社
といたしましては
奥只見
三台、
田子倉
二台、黒又第一を選ぶのが至当だと思われるというふうな
調査
の
成果
を出したわけでございます。一方
電源開発促進法
の第三条によりますと、「
内閣総理大臣
は、
国土
の総合的な
開発
、
利用
及び
保全
、
電力
の
需給
その他
電源開発
の円滑な
実施
を図るため必要な
事項
を考慮し、
電源開発基本計画
を立案し、
電源開発調整審議会
の議を経て、これを
決定
しなければならない。」こういうふうにありますので、先ほど来御
説明
申し上げましたのは、第九回、第十回の
審議会
は
付議事項
を審議したのではなくて、従来ありました
只見
に関する諸般の
報告
を受け、それに対する
質疑
を
行つた
ということでございまして、正式にこの
促進法
に基いてやりましたのはきのう開催いたしました第十一回の
電源開発調整審議会
でございます。話が前後いたしましたが、そういうように第九回の
審議会
で
幹事会
に付託されまして、それに基きまして先ほど申しました諸案の
比較検討
を行うのと相並行いたしまして、
総理大臣
がみずから立案して、そして
電源開発調整審議会
にかける、こういう
規定
に
なつ
ておりますから、
政府案
を同時に
作成
すべきだ。しかもその
政府案
の
作成
はあくまでもこの法案の
趣旨
に兼つかりまして、
国土
の
総合開発
、
利用
及び
保全
、
電力
の
需給
その他
電源開発
の円滑な
施行
という、単に
只見川
あるいは
電力
という
観点
のみならず、もう少し大きい
視野
からこの問題を
政府案
として考える
ベきだ
という御指示がございまして、先ほど申しました諸案の
検討
と相並行しまして
政府案
の
作成
に入
つた
わけでございます。そういたしまして、ほぼ
審議会
から依頼されました諸案の
比較研光
が完成いたしますのと相前後いたしまして、
政府案
も
作成
いたしました。そして
大臣
にお諮りいたしましたところが、その後
総理大臣
の御
決裁
をいただきましてそして正式に御
決裁
をいただいたものですから、
政府案
としてこれを
電源開発調整審議会
に昨日の午後おかけいたしまして、
政府
の
原案通り
全
委員
が御賛成いたしまして
決定
したわけでございます。
経過
は以上の
通り
でございますが、
政府案
の
内容
につきましては、ただいまお
手元
に差上げました「
只見川
、
黒又川綜合計画
の概要」というのがございまして、これをごらんくださればおおむねわかりますが、なお
質問
に応じまして詳細に御
説明
申し上げたいと思います。全
体計画
の考え方といたしましては、
開発会社案
とはほとんど差異がございません。ただ一番違う点は、
会社案
が
田子倉
という
地点
から最
渇水
時に一部
分水
するというのに対しまして、
政府案
は
奥只見
という
地点
から常時これを
分水
する。その量は七千二百万トンでございますが、七千三百万トンのうちで、三千万トンは
豊水期
に放
つて
おくと
無効放流
になりますので、
奥只見
から還元しまして、そうして特に四千三百万トンを黒又系統の水に流すというふうな案に
なつ
ておるのでございます。そういたしまして、第一次の
着工地点
といたしましては、先ほど申しました
結論
とほぼ同じでありまして、
奥只見
三台、
田子倉
二台、黒又第一というのを第一期の
着工地点
とし、
奥只見
より
黒又川
の
分水トンネル
もあわせ施工するというようなことにいたしてございます。 なぜ
会社案
をとらないで
政府案
というものができたかという問題に関しましてお話申し上げたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、第三条の非常に
視野
の大きい、
大所高所
に立
つた
目から
基本計画
というものを立案せなければいかぬ。
電源開発株式会社
の
当該年度
における
着工地点
並びに
基本様式
というものは
基本計画そのもの
でありまするから、
従つて只見川
の問題の処理に関しましては、
総理大臣
がみずから立案して出すことは申すまでもございません。そしてこういう
大所高所
に立
つて
先ほどの
会社案
を
検討
してみますと、まず技術的に一番目につきます点は
田子倉
から
分水
いたしますと、その
分水
は何ら
発電所
をつくるのではなくて、もつと
下流
の方に黒又第一、第二という
発電所
をつくりまして、
ちようど落差
の途中から
利用
するようなかつこうに
なつ
ておりますから、黒又全
水系
のほぼ半分くらいの
落差
しか
利用
してないのであります。従いましてもう少しこれを少量の水で常時流すことによ
つて
、全
黒又川
の
水系
の
落差
並びに
水量
というものを完全に
利用
するすべはないものかというのが初めの着想でございまして、その結果いろいろ
検討
してみました。現地に人を出し、実際
調査
をいたして
検討
いたしました結果、
奥只見
から一部
分水
した方がもつともつと効率的に
完全利用
ができる。
工事
的にも可能だという
結論
に達したものですから、その技術的な
検討
を基礎にいたしまして、さらに経済的な面、すなわち全
発電量並び
に
建設コスト
の
計算
をいたしましたところが、
会社案
に比較いたしまして
発電量
は約一億六千万キロワツばかり多くなり、
建設コスト
も、
会社案
の方の二十五再七十銭に対し、
政府
で
検討
した結果
黒又川
の全
水系
を
利用
しますと、
只見
、黒又全部を合せまして
建設コスト
が二十五円六十六銭ということで、
コスト
も安い。
従つて
これは経済的にベターであるという点が第二点に出て来たわけであります。第二点としまして
総合開発
の、面からいたしまして、
会社案
の方はどちらかと申しますと、信濃川の
下流
の
農業開発
あるいは将来大きくなるであろう
工業開発
、あるいは水道あるいは
舟運等
に使用する水に対して
割合
に消極的な
態度
でございましたので、これをさらに積極的に取上げまして、そうして黒又の水と、
奥只見
から
分水
する四千三百万トンの水でさらに
弾力性
を持たして、将来に備えようという点が
一つ
でございます。もう
一つ
は、黒又
水系
の
上流部
は、御
承知
のように
人跡未踏
でございまして、ほとんど人が入
つた
ことのないような
森林
地帯でございますので、ここの
建設
をやりますと、中流以下の
開発
と違いまして、それだけ
森林
の
開発面
ではプラスになる。御
承知
のように
下流沿い
の
森林
は
——
ほとんど
日本全国
と申しますか、主として今後も
開発
は
奥地森林
の
開発
ということになるわけでございますから、その
要求
にも合致するのじやなかろうかというので、
総合開発
という
観点
からも
政府案
の方が適切であるわけであります。 最後の第四案は、と申しましても、
本流沿い
の
発電所
に大きい
影響
を与えると、経済的に見ましても非常に不利な点が出て参りますから、その点を
検討
した上でございますが、四千三百万トンの水を流すだけでは、
本流
の少くとも本名、上田の現在
開発
しつつある、あるいはすでに
開発
されました
発電所
に対しては何ら
影響
はございません。将来
下流
の全部の
計画
を完全に完成した場合、約四十三億キロワット・
アワー
になりますが、それに対しまして
分水
した結果どういう
影響
があるかと申しますと、約二千七百万キロワット・
アワー
の減少になりますから、〇・六%の
影響
はありますが、先ほど申しましたように、黒又、
只見
全部を総合してみますと、
発電量
はもちろんふえます。
コスト
も安いという
結論
でございますから、国家的な立場に立
つて
考えますと、その方がよりいいという
結論
に達しましたので、これを
政府案
といたしまして詳細に
資料
も
作成
し、先ほど申しましたように
大臣
から
総理
の
決裁
を得まして、正式に
政府案
として
審議会
に
付議
上、昨日
決定
を見た次第でございます。
経過
を申し上げますと以上の
通り
でございまして、案の
内容等
あるいはまだ
説明
が不十分かと思いますが、試みに
分水
の量を
新潟
県案と比較しますと、
新潟
県の方は
奥只見
の現
水量
の七五%を
分水
してもらいたいという案でございます。それに対しまして
政府案
は、先ほど申しました四千三百万トンというのは大体三%くらいでございます。わずかの量であります。 以上の
通り
であります。
佐伯宗義
4
○
佐伯委員長
以上で
説明
は終りました。昨日
政府委員
より
説明
のありました
昭和
二十八
年度
年次経済報告
、
国土総合開発
の
経過
・並びに
計画
に関する件及び本日
説明
ありました
電源開発
の
経過
並びに
計画
に関する件について
質疑
の通告がありますのでこれを許します。
栗田英男
君。
栗田英男
5
○
栗田委員
今の御
説明
で
質問
があるのですが、これは
基本計画
がきのうきま
つた
わけですか。
佐々木義武
6
○
佐々木政府委員
基本計画
と申しまして、
只見
の
政府案
が
総理
の御内諾を得ましたのは大分前でございますが、正式な書類で完全に御
決裁
の判をいただいたのは日曜日でございます。
栗田英男
7
○
栗田委員
そうするとその
基本計画
の
内容
というものはすでに
公表
したのですか、それともまだしませんか。
佐々木義武
8
○
佐々木政府委員
基本計画
は御
承知
のように
長期計画
が
一つ
でございます。もう
一つ
は各
担当者
、すなわち九
電力
あるいは県営あるいは
自家発等
の各部門に関しまして、
当該年度
の
所要資金等
が
一つ
の項目に
なつ
ております。もう
一つ
は、今申し上げました
電源開発株式会社
がやる
地点
あるいは
規模
、
方式等
をきめるのが
一つ
でございます。従いまして先ほど申しました第二番目の項にあります二十八
年度
資金計画
に見合う
決定
は実はまだしてございません。なぜかと申しますと、
予算
がまだきま
つて
おりませんから、
計画
としてはありまするけれども、
予算
がきまり次第
審議会
を開催いたしまして、正式に
決定
して
公表
されることと思います。
電源開発株式会社
の分に関しましては、ただいま申し上げましたように
只見
をきめまして、そして
公表
できる段取りに
なつ
ております。
栗田英男
9
○
栗田委員
そうすると今あなたのお話だと、
予算
がきま
つて
ないから
電源開発
の
基本計画
はできてないというけれども、結局本
年度
の
電源開発
の
基本計画
というものはまだ
一つ
もできてないわけですか。
佐々木義武
10
○
佐々木政府委員
できてないのでなくて、できているのです。ただ
審議会
の議を経て正式に
公表
するというところまでは行
つて
いない。なぜかと申しますと
予算
でどういうことが起るかわかりませんから、
予算
がきまりましたあとではつきり
審議会
の議を経て
公表
する、こういうことでございます。
栗田英男
11
○
栗田委員
今まで
予算
もきま
つて
ない、
従つて電源開発
の
基本計画
も正式に
公表
しておらないというと、
電源開発
の
基本計画
はまだきま
つて
ないのだから、今までの
臨時予算
に対しまして、
電源開発
あるいは他の九
電力
に対して全然金が出てないわけであるけれども、それが出ているかどうか。
佐々木義武
12
○
佐々木政府委員
今まで
暫定予算
で出しておりまするのは
継続
の分のみ出してございまして、
新規
の分には出してございません。
栗田英男
13
○
栗田委員
しかしながら
基本計画
というのは
継続
の分も
新規開発地点
もともに
基本計画
の
内容
に包含されなければならないでしよう。
従つて新規
の場合にもあるいはまた
継続事業
の場合にも、
年度
の初めにおいて
基本計画
というものはつくらなければならないのじやないですか。
佐々木義武
14
○
佐々木政府委員
お説の
通り
でありまして、
新規分
と
継続分
をわけて
公表
することに
なつ
てございます。しかしながら
新規分等
に関しましては、ただいま申し上げましたような事情でございますが、案はできておるのでありまして、いつでも
決定
できるように
なつ
ておるのでございますが、
予算
が正式にきまらぬうちに
審議会
で
決定
して
公表
して、そしてそれが違う、また修正ということになりますると、手続上も困難でございますから、むしろ
予算
がはつきりきま
つた
際にこれを
公表
すべきだというふうな
態度
で臨んだのでございます。
継続分
に関しましては去年からの
継続
でございますから、
工事
をやめるわけに行きませんので、
最小限度
の
工事
は
継続
できるようにしたのでございます。
栗田英男
15
○
栗田委員
しかしそれは
電源開発促進法
の建前から行けば、今のように
継続事業
の分もとりあえず
基本計画
として発表して、それからたとえば
奥只見
のような
新規
の
開発地点
の場合が
決定
したときにはまた次に
公表
するというような方法をとることが
電源開発促進法
の
趣旨
じやないですか。
佐々木義武
16
○
佐々木政府委員
継続
の分のみは
予算
がきまらぬでも、
審議会
でその分だけと
つて
来て
決定
、
公表
するというのがあるいは順序かと思いますが、そういうこともあろうかと思いますが、
継続分
に関しましては去年
公表
いたしまして、その分に関しましては法の
規定
に従いまして
意見
のある者はそれぞれ
意見
を出して、正式に
事業
として発足いたしておりますので、本
年度
の
暫定予算
から出してそのまま施工した次第でございます。今後
公表
するのは詳細の
部分
に関しましては
施行令
の第三条にもあります
通り
、
新規
の分の総
わく
はもちろん出しますけれども、
資金
その他第二条の第二項にありますようなものはもちろん出しますが、さらに
参考資料
として詳細な分を発表するのは、その分に間しましては
新規地点
の分を
公表
することに
なつ
ております。
栗田英男
17
○
栗田委員
これは必ずしも
電源開発
の分が
決定
をしなくも、
継続事業
に関連をしてやはり何というか付属というのかあるいは付録としてつけるというのか、九
電力会社
の
開発地点等
も、大体どの辺に手をつけるのかということをやはりわれわれは詳細に
研究資料
にしなければならぬと思う。この
電源開発
の
基本計画
というものは、
新規分
がまだ
決定
を見なか
つた
ならば、
継続事業
の分と、
継続事業
にまた関連する九
電力
の分もやはり早急に
公表
しなければならぬと思うのですが、その点はどうですか。
佐々木義武
18
○
佐々木政府委員
継続分
に関しましては、先ほど申しましたように去年正式に
公表
いたしまして、
公表済み
でございます。従いまして二十八
年度
の総
わく
といたしましての
資金計画等
は、
審議会
の議を経なければなりませんが、九
電力会社等
で今
年度
新しく
着手
する分に関しましては、ただいま申し上げましたように、
予算
がはつきりきま
つて
から
審議会
の議を経まして
地点
の
公表
をいたします。
栗田英男
19
○
栗田委員
大体
電源開発会社
は本
年度
において今の
只見川
の
開発
、
黒又川
の
開発
にどのくらいの金をつぎ込む
予定
ですか。
佐々木義武
20
○
佐々木政府委員
本
年度
は大体二十五億の
予定
でございます。
栗田英男
21
○
栗田委員
今あなたが
説明
したこの表の中で
電源開発会社
の中の
政府
というのは二百億ですか。
佐々木義武
22
○
佐々木政府委員
そうでございます。
栗田英男
23
○
栗田委員
資料
として配付された
電源開発会社
の
事業計画
を見ますると
株式払込金
が百五十億と
なつ
ておりますが、ここで
政府
の
投資
二百億と
会社
の
事業計画
の百五十億と、五十億の差がありますが、この点はどうですか。
佐々木義武
24
○
佐々木政府委員
この二百億円の
内訳
は、先ほども申しましたが百五十億が
投資特別会計
からの出資ということになる
予定
でございます。あとの五十億は
資金運用部資金
からの融資という手順になると
承知
しております。なおそのほかに備考で御
説明
申し上げましたように、二十七
年度
からの繰越し分が三十三億ございまして、さらにそれに外国からの機械の導入に伴う借款の分が約十八億ございまするから本
年度
全体として二百五十一億円という
予算
で目下
工事
を進めておるのでございます。その中で今までありました
継続分
に関しましてはどんどん仕事を進めておるのでありますから、
新規
の分といたしまして、本
年度
まず第一点、
奥只見
、
田子倉
、
黒又川
の三
地点
を選びましてそれに
着手
するその
所要資金
は大体二十五億、こういうふうに考えております。
栗田英男
25
○
栗田委員
この
事業計画
の違いを
説明
してもらいたいのですが、
電源開発株式会社
の
事業計画
を見ると、後期繰越金が十億七千万円に
なつ
ております。それから国内として五十億円、外資として三十億円ということに
なつ
ておりますが、この後期繰越金の十億七千万円と国内の五十億というのはどういう融資なのか。なお外資の三十億というのはどこから入るのか、この点の御
説明
をお願いいたします。
佐々木義武
26
○
佐々木政府委員
国内の五十億の分は、先ほど申し上げましたように
資金運用部資金
から
開発銀行
といたしまして融資ということになる
予定
であります。 それから外資の三十億というのは、先ほど申しましたように、今度の佐久間の
開発
に関しまして大きい機械を購入いたしました。その購入代金を三箇年の期間で借りておりますので、その
資金
に見合うのが、大体初めは三十億という
予定
でございますが、私どもの考えでは十八億というふうに見込んでございます。 もう一点、株式の百五十億というのは、先ほど申し上げましたように
投資特別会計
から出資をするということに
なつ
ております。
栗田英男
27
○
栗田委員
そうすると百五十億円の株式の払込金というのは、この株券というものは大蔵省か何かで保管しておるわけですか。 それからもう一点は、この五十億というのは
電源開発株式会社
に対して開銀が融資するということはちよつとおかしいのですが、あなたは開銀で融資と言いましたが、その点どうですか。
森誓夫
28
○森
説明
員 ただいまの
開発会社
に対する初
年度
出資は五十億でありますが、これは
開発銀行
から出資を便宜上いたしたのであります。当時まだ
電源開発促進法
が通
つて
おりませんでしたときに、
予算
をきめなければならなか
つた
関係上、
開発銀行
から初
年度
は出すという便宜的な措置をと
つた
のであります。
従つて
二十八
年度
は正確に
政府
出資となることに
なつ
ております。なお
開発銀行
からの出資が初
年度
の分は
政府
出資と同じ
効果
があるのだということは
電源開発促進法
に記載せられております。それから株券は
開発銀行
出資という形に
なつ
ているものは、
開発銀行
が株主としてその株券を持
つて
おるという状態でございます。
栗田英男
29
○
栗田委員
そうするとこの
株式払込金
という、百五十億円というのは
開発銀行
がその株券を持
つて
いるのですか。そうではないでしよう。
森誓夫
30
○森
説明
員 この百五十億円は
政府
の出資でございますから、
政府
が株を持
つて
おります。
栗田英男
31
○
栗田委員
そうすると今言
つた
五十億円というものは、今
佐々木政府委員
は開銀が融資するということを言
つた
んですが、五十億というのは開銀は融資はしませんよ。一度その点をよく研究してください。
森誓夫
32
○森
説明
員 借入金の国内五十億円というのは預金部
資金
の借入れでございまして、間違いでございます。
栗田英男
33
○
栗田委員
そこで
新規
工事
の分に二十五億だか振り向けると言いましたね。この二十五億というのは
電源開発株式会社
の
事業計画
の中にもありますが、この二十五億というものはいわゆる前
年度
からの
工事
、たとえば佐久間とか、御母衣とか、こういうところに振り向ける関係上、
只見川
を
開発
ということに
決定
しても、二十八
年度
の繰込みというものは新たに財源を探して来なければならないというような話をしばしば耳にするのですが、はたしてこの
計画
通り
二十五億というものがただちに
只見川
に使えるものかどうか、この点に対して御
説明
を願いたい。
森誓夫
34
○森
説明
員 現在の見通しでは
開発会社
が二十八
年度
に使用し得る
資金
はただいま提出されました
資料
にございますようでありますが、その中でやはり二十五億くらいのものは
新規
に使える、
新規
の
開発
に使えることに
なつ
ておりますので、今後の進行のいかんにもよりますが、大体今の見通しとしては三十五億は
新規
の
開発
に向け得るものと見ております。
栗田英男
35
○
栗田委員
実はこの点に関しまして新聞発表がはたしてどうかわかりませんが、この二十五億という
新規
工事
というものも、新たに
只見川
の方に振り向ける財源的余裕がもうないのだということを
電源開発
当局が声明をいたしておる新聞も私は見ておるのですが、この点はどうですか。
森誓夫
36
○森
説明
員 そういうことはどういう根拠に立
つて
開発会社
から申したのか知りませんが、われわれとしては二十八
年度
の
資金計画
で
新規
に二十五億のものは使い得ると考えております。
栗田英男
37
○
栗田委員
それから先ほどOCIの
資料
の点に
佐々木政府委員
は触れたのですが、このOCIの
報告
書というものを
政府
は正式に受領したのですか。
佐々木義武
38
○
佐々木政府委員
OCIに
調査
を依頼いたしました正式の機関は当時の公益
事業
委員
会でありまして、それはたしか一昨年の八月と記憶しておりますが、正式に
結論
が出ましたのは昨年の五月でございます。当時まだ公益
事業
委員
会がございましたので、公益
事業
委員
会がこれを受理いたしまして、爾後それを通産省が引継ぎまして、現在通産省としては、その引継いだのを今度の
審議会
に正式に
報告
をしたこういうかつこうに
なつ
ております。
栗田英男
39
○
栗田委員
これは森次長にお尋ねをいたしますが、そうすると、OCIの
報告
書を昨年の五月に受継いで、これを
政府
機関が正式に発表したというのは、今度の
電源開発調整審議会
に初めて発表したということになるのですか。
森誓夫
40
○森
説明
員 OCIから正式の
報告
が出ましたときに、それを相当部数印刷いたしまして、これを要路のそれぞれ関係の深い方々に全部配付いたしてございます。
栗田英男
41
○
栗田委員
それは配付はいたしましたでしようが、要するにOCIの
報告
を受けて、これはOCIの
報告
であるとい
つて
、
政府
が責任を持
つて
発表したのはいつかということであります。
森誓夫
42
○森
説明
員 これは通産省が
電力
行政を担当する以前、つまり公益
事業
委員
会の時代のことでございまして、正確にいつそういう
公表
があ
つた
かということについては、私はただいま存じません。必要でありましたならば、後ほど
調査
してお答え申し上げます。
栗田英男
43
○
栗田委員
OCIに一億の
——
これはもちろん
只見川
以外の川も含んであるのですが、一億の金をかけて
調査
をしたことはしたのですが、その結果がどう
なつ
たということは、おそらく
政府
機関は正式に発表いたしておらないと、今日まで私は記憶している。
従つて
正式にあるいは公益
事業
委員
会から受継いで、公益
事業
局でこういうものを正式の文書として
政府
が発表したか、あるいはOCIの
報告
書というものを完全に受入れたかどうかということは、まだ
決定
をされておらないように私は思うのでありまして、この点ひとつ責任ある
調査
をいたしまして、当
委員
会に御
報告
を願いたいと思います。 それから今までこの
只見川
の、特に
分水案
に対しましては、
調査
が非常に不十分であるとか、
工事
をするのに非常に危険であるとかいうような否定的
態度
が多か
つた
。もちろん
本流
案ばかり力を入れて、
分水案
に対しましては
調査
をいたさなか
つた
のでありますが、このたび特に
政府案
として突如として六キロの隧道をつく
つて
、たとい多少であるともこの
分水案
を採用したということは、今日まで
分水案
に対する
資料
はきわめて不足であるということを
政府
は声を大にして宣伝してお
つた
にかかわらず、突如豹変して
分水案
にして、しかも六キロの隧道をつくるということを
決定
したのですが、はたして地質の検査や何か、そういうものも万金なのかどうか、この点に関してお聞きしたい。
佐々木義武
44
○
佐々木政府委員
新潟
の方の
調査
の不十分だというのは、OCIの
報告
に載
つて
いるだけでありまして、
政府
としてはそういう点をはつきり言
つた
ことはありません。
調査
の結果を申し上げますと、
新潟
県案の方は、四十キロのトンネルで水を流すという関係がございまして、別にダムをつくる案ではございません。ですから、
調査
の主力は主としてそのトンネルをつくる地形並びに地質の状況いかんという点が第一の主眼になります。第二点は向うの
農業開発
上の問題がありますから、信濃川
下流
の農業関係用水の
調査
いかん、こういう
二つ
の問題が
新潟
県案に対する
調査
の主眼かと心得ております。 そこで前者の地形並びに地質の
調査
に関しましては、二十二年から二十四年にかけまして、当時の安定本部の中に河川
総合開発
協議会というものがございまして、ここから相当の金を出しまして、そして商工省に依頼し、商工省が当時の日発に
調査
を依頼いたしまして、一応踏査その他は行
つて
おります。しかも先ほど問題になりました。CIの
調査
の際にも、
日本
の一番優秀な地質学者がそれぞれ動員されまして、あの地帯の地質並びに地形の
調査
をしてございます。従いまして、立案上それほど困難だということは考えておりません。 それから農業関係の
調査
に関しましては、同じく二十四年、二十六年と覚えておりますが、安定本部の河川
総合開発
協議会の方から農林省を通じ、あるいは金沢事務所の農地事務局に依頼いたしまして向うの
調査
をさせまして、これも
資金
を出しまして、
調査
書類が出てございます。ですから、この
調査
の方も十分してございます。 それから第三番目の今度の六キロのトンネルの問題でございますが、このトンネルは、向うで地形が悪い点は十一キロ、
奥只見
から湯之谷第一という
地点
に行く
地点
で一番悪い地質とおぼしき
地点
がございまして、それ以外の
地点
は、あの地区に関してはそれほど問題がないのでございます。そこで今度黒又の方へ流す地形地質に関しましては、非常に良質の地形地質でございますので問題がないことが
一つ
と、それから
分水
量が非常にわずかであ
つて
、しかも
新潟
県の
分水案
のように、百メートルあるいは百二十メートルというような高圧の隧道ではございませんから、その点は全然御心配がないというように考えております。
小林進
45
○小林(進)
委員
ちよつと関連してお聞きしますが、この
只見川
の問題についてきのう
政府
の案が固ま
つて
、閣議
決定
をしたというのでありますが、一体この閣議
決定
はもはや不動のものであるかどうか、これをひとつ、あなたが自信がなければよろしゆうございますが、自信があ
つた
らお答え願いたい。何かきようの新聞では、
新潟
県の方では受入れたが、福島の方は何ですか、回答を留保したとかいうことであります。これに関して確信ある御回答ができたらお願いしたいと思います。
佐々木義武
46
○
佐々木政府委員
先ほどその点はるる御
説明
申し上げたのでございますが、もう一ぺん重ねて御答弁申し上げます。 これは
電源開発促進法
の第三条に明瞭にうた
つて
ございまして、
総理
が自分で
基本計画
を立案し、
電源開発調整審議会
の議を経て、これをきめるというのですから、法律の建前から行きますと、閣議の
決定
その他はいらないのでございます。しかし問題が問題でございますから、きのう閣議にかけまして、そして全員これを了承いたしまして、その結果、はつきり
政府案
といたしまして、
審議会
にさらに自信を持
つて
付議
したわけでございます。
栗田英男
47
○
栗田委員
そうすると、今のあなたの
説明
からいいますと、結局両県知事の
意見
は聞く必要がないということになるのかどうか。要するに、知事の
意見
を聞くことはなくて、何でもかまわない、
総理大臣
が
基本計画
をつく
つて
、
電源開発調整審議会
の議を経て
決定
して、
公表
すればいいということになるのかどうか。
佐々木義武
48
○
佐々木政府委員
先ほど申し落しましたが、第九回、第十回両回ともに、法の第十一条に、必要があるときには、両県知事の出席を求めなければならないとありまするから、これに基きまして両県知事をお呼びいたしまして、案の
内容
並びに
意見
、考え方等を十分にお聞きしてございます。なお昨日、これは私そこまで知りませんが、新聞の報ずるところによります。と、
総理大臣
が両県知事をお呼びに
なつ
て、協力方をお願いしたというふうに書いてございますが、これはむしろ
大臣
でないと、私自体わかりませんから。
栗田英男
49
○
栗田委員
そうするとこうなりますか。今のように
基本計画
について、両県知事が不満であるけれども、
電源開発調整審議会
でこれを
決定
して
公表
するということになると、結局第三条の第三項によ
つて
「
公表
の日から三十日以内に、政令の定めるところにより、国の行政機関の長にその
意見
を申し出ることができる。」ということをやるわけですか。
佐々木義武
50
○
佐々木政府委員
この
異議
の申立てに関しましては、別にだれが
異議
の申立てをしてはいかぬという制限がなくて、利害関係を有するものはだれでもできるというかつこうに
なつ
てございますから、そういう
異議
申立てと申しますか、
意見
の申出を、必要とならば、当然あるいはするかと思いますけれども、別に
政府
といたしましては拘束する何ものもございません。
栗田英男
51
○
栗田委員
非常に無理に今はまとま
つた
かもしれないけれども、またこの案を国へ持
つて
帰る、そう
なつ
て来ると、いろいろおのおのの県で反対があるということになりますると、この第三条の第三項が問題に
なつ
て来る。いよいよ
公表
されてから
意見
を申し出るということになるかもわからない。そうなると第四項によ
つて
、「国の行政機関の長は、これをしんしやくして必要な措置を講じなければならない。」ということが出ておるのだけれども、一体今までこのようなことがあ
つた
か。今まで
電源開発調整審議会
において、他の
電源開発
地点
に対して
公表
されてから国の行政機関の長に
意見
を申し出た場合があ
つた
か。またこういう申出があ
つた
場合において、行政機関の長はこれをしんしやくしてどのような措置を講じたことがあ
つた
か。この点に関してお伺いしたい。
佐々木義武
52
○
佐々木政府委員
去年の秋第一回の
公表
をいたしまして、爾後追加
公表
を幾つかいたしたのですが、それに対しまして、法の
規定
に基きまして
意見
の申立てをいたしましたのは、大体三十件を越しておると思います。三十数件あると記憶しておりますが、それは主務官庁の方にそれぞれ
意見
の申し立てをするように
なつ
ております。
従つて
問題によ
つて
は通商
産業
省、問題によ
つて
は
建設
省というふうに来ておりまして、各省でそれぞれ単価に処理できるものは処理をし、あるいは各省と協議をしまして、そこで解決するものは解決するというふうに
なつ
ておりまして、それぞれや
つて
ございますが、各省で、ある
一つ
の主務官庁の協議がととのわなくて、第四条の
規定
に基いて
調整
審議会
に調停を依頼するという件はまだ一件もございません。
栗田英男
53
○
栗田委員
只見川
問題に関してこのような前例があるかどうか。この点に関しましてお伺いいたします。
佐々木義武
54
○
佐々木政府委員
昨年の上田、本名の許可に対しまして、東京
電力
の方から
意見
の申入れがあ
つた
と記憶しております。詳しいことは通産当局の方からお聞き願いたいと思います。
栗田英男
55
○
栗田委員
通産省の方へお尋ねいたしますが、東京
電力
から
意見
の申立てがあ
つて
、その後行政機関の長はこれに対してどのような処置をと
つた
か。
森誓夫
56
○森
説明
員 東京
電力
から上田、本名の
事業
許可といますか、設備
内容
の変更処分に対しまして、
異議
の申立てがあ
つた
のでございますが、これは大本は東北
電力
に対する水利権の設定が適法なりやいなかという問題でありまして、目下それは係争中でありまするので、行政官庁として特にこれを取上げて独自の見解でこれをさばくということはいたさないという旨のことを東京
電力
へ回答いたした次第であります。
栗田英男
57
○
栗田委員
ただいま
黒又川
の
調査
のお話を承
つた
のですが、私はこの
奥只見
から
黒又川
に対する
分水
計画
というのは、おそらく
政府
も前から考えてお
つた
案じやないかと思うのです。そこで
電源開発株式会社
案に対して非常に急転してこのような
政府案
に
なつ
たのでありますが、
黒又川
の
政府案
を
決定
するために現実的にどの程度の
調査
をいたしましたか。その点につきまして……。
佐々木義武
58
○
佐々木政府委員
黒又川
の
調査
は、第一
黒又川
の
発電
地点
に
予定
される箇所に関しましては、昨年通産省が
調査
してございます。第二の
地点
に関しましては、六月の二十何日かと記憶しておりますが、地質の大家の方、あるいは通産省の方が主になりまして、
開発会社
の技術者等を合せまして現地に
調査
に行
つて
おります。第三、第四の
地点
に関しましては、この七月の六日か七日と記憶しておりますが、
調査
に入りまして、
調査
をしております。
栗田英男
59
○
栗田委員
あとの
質問
者もありますので、
質問
は次に保留いたします。この
只見川
及び
黒又川
の総合
計画
を
検討
する上においても、この
資料
ではわれわれとして最終的判断ができません。そこでさらに
政府
は
決定
をいたしました相当の根拠となるところの
計画
なり、
資料
を早急に当
委員
会に御提出を願いたいと思います。
佐々木義武
60
○
佐々木政府委員
御
趣旨
に沿えるようにいたしたいと思います。
栗田英男
61
○
栗田委員
そのほか、岡野経審長官が、五百五十万キロの
電源開発
計画
をつくるという施設演説をいたしたのでありますが、これも
内容
を
検討
し
大臣
に
質問
をいたしてみますると、さつぱり
大臣
はわか
つて
おりませんので、おそらくこの問題に関しましても、なお詳細に当
委員
会といたしましては
検討
する必要がありますので、次の
委員
会において十分当
委員
会が研究できますように、この五百五十万キロの
電源開発
に関する
開発
方式あるいは
地点
等の問題、またこの
電源開発
と
国土
開発
との総合性の問題、あるいは
電力
再編成後における功罪、さらに
電源開発株式会社
にはたして今後
電源開発
というものがまかせられるかどうか、この点、あるいは今後の
電力
料金の問題、あるいは
電力
還元問題を含む再編成の問題、あるいは
電源開発
の現況と
電力需給
の問題、あるいは今後ダム
建設
等によ
つて
生ずるところのもろもろの補償
問題等
に関しまして、
政府
はどのような考え方を持
つて
おるか。これらに関する
政府
の詳細なる
資料
を当
委員
会に御提出を願いたいと思うのであります。
佐々木義武
62
○
佐々木政府委員
ただいまのお話によりますと、経済審議庁の所管する
事項
のみならず、通産省側の所管する
事項
もございますので、両省で相談いたしまして御希望の
資料
を漏れなく出したいと考えております。
栗田英男
63
○
栗田委員
最後に、これは通産省にお聞きしたいと思うのでありますが、この
電源開発株式会社
が附帯
事業
をするということは、もちろん附帯
事業
をしてはいかぬということではありませんが、今日伝えられておるような磐城セメントと
電源開発株式会社
が手を握
つて
、佐久間ダムの
開発
に要するセメントの工場をつくりたい。しかもそれがためには借金するのに
電源開発株式会社
はこれを保証してもらいたいというようなことが出ておるのでありますが、このような
計画
がはたして許可をしてくれということで通産省に
——
今日は出ておらないかもしれませんけれども、か
つて
出たことがあるかどうか、この点に関しまして通産省からお答えを願いたいと思います。
森誓夫
64
○森
説明
員
開発会社
がセメント工場を兼営しようという
計画
につきまして、は正式にその書類が出たという記憶はございませんが、非公式ないろいろな
資料
はいただいております。正式にこれを
決定
したという記憶はないのでございます。実質的には詳細な先方の
計画
がわれわれのところに参
つて
おりまして、十分
検討
できる状態にはございます。
電源開発
だけの角度から申しますと、ああいうことをやれば確かに
発電
コスト
が安くなりましてよいのでありますけれども、それ以外の角度から見ていろいろ批判の点もございます。そういう点もあわせ考えて行かなければいけないと思
つて
おりますが、どうもこの問題につきましては
決定
をいたしていないと存じます。
栗田英男
65
○
栗田委員
この
電源開発株式会社
がセメント工場を経営するということはこれは非常な重大な問題でありまして、しかもこれを磐城セメントと提携をして、ある期間
電源開発株式会社
が経営して、ダムの
建設
が終
つた
ならばまたこれを磐城セメントに払い下げるというような経営方針というものは、私は非常な疑惑が持たれると思う。しかもこの
電源開発
の金というものはほとんど国家
投資
であり、貴重なるところの税金によ
つて
行われたものでありまして、われわれはこの
電源開発会社
なり、磐城セメントと
計画
というものに対して非常な関心を持
つて
おるのでありまして、いかなる
計画
を
行つた
かということも、われわれ当
委員
会といたしましても研究をしなければなりませんので、通産省がお持ちに
なつ
ておるところの詳細なる
資料
というものもあわせて当
委員
会に御提出を願いたい。
委員長
においておとりはからいを願いたいと思います。
山本勝市
66
○山本(勝)
委員
私は
年次経済報告
に関して二、三の点をお伺いいたしたいと思うのであります。なおこのことは経済審議庁長官が経済政策に関する基本方針を述べられた場合にも出て来た問題でありますが、
日本
経済の現状分析において鉱工業の生産は百何十パーセントまで上
つた
とか、消費水準は九七%まで
行つた
とか、その他いろいろな経済指標を掲げられておりますが、その中でずば抜けて復興のおそいとされておるものが貿易でございます。特需を含めても戦前の三割六分にすぎないというので、この
数字
、指標を見ましても、これだけが飛び離れた低い。ここに私は
一つ
の疑問を持つのであります。こまかい研究をしてみたわけではありませんけれども、しかし生産は戦前よりもふえておる、そうして消費はどうかというと、消費はほとんど戦前のレベルである、こういうことになりますと、生産したものから年々の消費を引いたものの残りは蓄積にまわ
つて
おるか、外国に輸出されておるということが想定される。生産の戦前よりもふえた数量
割合
は大体人口の増加の率とほぼ並行しておる。こういうのでありますから、簡単に申しますと、生産と消費というもののバランスは戦前と同じということになる。そうすると生産から消費を引いた残りは蓄積にまわるか、あるいは外国に輸出するかということになるのではないかと思うが、蓄積の方はこれは戦前よりも少いということは一般の常識に
なつ
ておる。資本の蓄積が少い。そうすると残りの貿易だけがずば抜けて少いということは、これはどこかに
計算
に間違いがあるのじやないかという感じがするのであります。これは研究をしていただきたいのでありますが、ほかのいろいろな方面で発表いたしております経済指標を見ましても、たとえば三菱経済研究所だとか、あるいは東洋経済であるとか、ダイヤモンド等で発行しておるものをよくよく見ると、たいていは経済審議庁の発表したものが元で、それによ
つて
かれこれ言
つて
おるにすぎない。そこで経済審議庁の
調査
が正しいかどうかということが問題になるのでありますが、私は今ここで経済審議庁の
調査
が間違
つて
おると言う勇気はありません。その勇気はありませんけれども、常識上考えて、実際貿易もほぼ戦前の水準の近くに行
つて
おるのではないか、特需を含めて三割六分というのではなしに、ほぼ戦前の水準まで行
つて
おるのではないか。ドイツの場合をここに引いてありますが、それによれば戦前の三割増しに
なつ
ておるという。それが
日本
だけが三割六分ということがあり得るかどうか。これがもしどこかに
計算
の間違いがあるとしたら、これは私だけの勘ですが、戦前においては、つまり基準
年度
になりました
昭和
九年
——
十一年の場合にはドルと円との比率はほぼ実勢に沿うてお
つた
。ところが今日の三百六十円という為替レートはひどく実勢から離れておる。もしこれを実勢に引直して
計算
したら、存外こういう結果は出ないで、ほぼ戦前に近いほど貿易数量が出て来るのではなかろうか、こういうふうなことを考える。これは今ただちに
——
実はこの
委員
会が始まる前にその疑問を廊下へ出てさかんに聞いてお
つた
のでありますが、今すぐここで思いつきの御答弁を求めるよりも一応研究してもら
つて
、はつきり、私の疑惑は間違いだ、この点でこう
なつ
ておるのだということをお示し願えばありがたいと思うのですが、どうも私はそう思う。先ほど審議庁の方に、一体
昭和
九年から十一年、このときの
日本
の輸出額はドルでどれくらいあ
つた
のだと言いますと、それはちやんと統計に出ておる七億八千三百万ドルであります。ところがこの七億八千万ドル余の輸出額、これはドルの
計算
でありますけれども、ドル自身の価値が三分の一あまりに下
つて
おるということでありますから、もしその価値を今日の価値に引直しますと、七億八千万ドルといいますと、大体二十六億九千万ドルばかりになる。そうすると戦前の
日本
の輸出はドルに
計算
しますと、二十六億九千万ドルであ
つた
のではないか、この
報告
では、貨幣価値に直すと四十六億ドルと書いてありますが、四十六億ドルということになりますと、三割六分という
数字
が出て来たのではないか、もしこれがほんとうに七億八千万ドルという輸出を、アメリカのドル自身の貨幣価値が下
つて
いるから、これを今の価値に直してみると、二十六億九千万ドル、そうするとそれだけでも三割六分じやなしに、今日の
日本
の貿易は特需を含みますと、約二十億ドル増しておるのでありますが、二十六億八千万ドルが二十億ドル増しておるのでありますから、何割になりますか、八割か、八割以上に相なるであろう。しかも戦前のこの七億八千万ドルという輸出は、台湾、朝鮮、南洋その他の、今日は
日本
から離れておりますけれども、当時
日本
の
国土
であ
つた
ところからの輸出は、これは引いた
計算
なのか、あるいは引かない
計算
なのか、これをもう一ぺん承りたい。もしこれがそういうものを含みての輸出額であるとしますと、私はそういうものがなく
なつ
てし
なつ
た後の
日本
の今日の輸出が、かりにポンドを含めて二十億ドル以上といたしますると、これはほぼ戦前以上の輸出に
なつ
ておるという
結論
も言い得ないではない。こまかい
数字
のことはどつちでも動くかしれませんけれども、そういう疑問が起るのでありますけれども、こういう疑問を起す余地はないものかどうか、もしありとしたならば、ひとつ御
検討
願いたい。
須賀賢二
67
○須賀
政府委員
ただいまの御
質問
の点に関しましては、私もここで完全に御了解が行きますように、実はお答えいたしかねるのでありますが、ただ現在の
日本
の輸出の水準が戦前に比較いたしましてどういう関係に
なつ
ているかという点につきましては、これもある総合的な指数で判断いたしますことは、かなりめんどうなのでありますが、現在は私の方で
計算
をいたしました輸出数量指数が唯一の材料として使われているようでございます。それがただいま山本
委員
からお話になりました
昭和
二十七年については約三割程度ということに
なつ
ているわけでありますが、この
計算
のやり方は
報告
書の付表にもついておりますが、付表の九ページにありますように、二十七年におきましては、輸出金額が基準年次に比較いたしまして、これはドル建の
計算
でありますが、ドル建収支で基準年次に比較いたしまして三割五分程度、二十七年は多く
なつ
ている。
昭和
九
——
十一年を一〇〇といたしまして、二十七年は一三五と
なつ
ているわけでございます。それに対しまして輸出の単価の方は基準年次を一〇〇といたしますと、二十七年におきましては四三〇に
なつ
ております。約四倍余り高く
なつ
ているわけであります。それで金額の方は一・三倍にしか
なつ
ておりませんのに、単価の方が四・三倍ということに
なつ
ておりますので、それを割りますと、数量指数としては三割一分四厘というものが出て参るわけであります。一応これが輸出の数量的な比較として用いられているわけであります。ただこの指数がはたして正しいかどうかということにつきましては、この指数を数年前安定本部当時に推計いたしまして発表いたしました以後、いろいろ批判があるわけでありますが、まだこういう点についてこれを修正するような、具体的な批判
検討
が出ておりませんので、批判がありながら、この指数は現在なお使われているわけであります。おもな問題点といたしましては、戦前と戦後の輸出商品の
内容等
が非常に違
つて
おりまして、そういうものを指数化いたします際に、ウエートをフイッシャー算式で割
つた
りいたします関係で、結局最後に現われて来る指数そのものが実態をどの程度に反映しているかということにつきましては、検計を要するのでありますが、この点不十分ながら使用いたしているわけであります。それはまあ、それといたしまして、人口も伸び、鉱工業生産、農業生産等の伸びの比較において輸出数量の水準が少し低過ぎやしないかという御疑問でありますが、この点は私どもとしても端的にお答え申し上げるまでの研究はいたしておりません。具体的に研究してお答えできるようになお
検討
してみたいと考えております。
山本勝市
68
○山本(勝)
委員
そうすると数量指数というものは基準年次に比べて一〇〇・〇一というのですか。
須賀賢二
69
○須賀
政府委員
この表をちよつと見ていただきますとよくわかりますが、九ページの表にありますように、この総合のところの金額で一三五というのは、基準年次の七億八千万ドル程度の輸出に対しまして、現在十二億ドルほどの輸出に
なつ
ております。その
割合
が、一三五ということに
なつ
ております。
山本勝市
70
○山本(勝)
委員
輸出価格の単価が基準年次に比べて三・七倍に上
つた
。私はここに非常に疑問がある。
日本
の物価が国内において二百倍とか三百五十倍とかい
つて
おるときに、外国に売る物の価格がわずかに四倍足らずだということは、ドル建に
計算
するときの為替比率が問題になる。いくらなんでも輸出価格がわずか四倍だ、それはほんとうのことかどうかということに疑問がある。これを換算するときのやり方はどういうふうにして換算するのですか。
須賀賢二
71
○須賀
政府委員
この単価指数を出します際のやり方は、現実に
昭和
九、十、十一年におきまして、綿布でありますと、綿布一梱り何ドル、それから現在の現実の輸出価格綿布一梱り何ドルということで、実際の取引価格によりましてその
割合
を指数化して言
つて
いるわけであります。
山本勝市
72
○山本(勝)
委員
それは
日本
貨で幾らというのを三百六十で割
つて
ドルに
計算
したのでしようか。
須賀賢二
73
○須賀
政府委員
そうじやないのでありまして、実際の輸出におきますドル建表示価格の
割合
でございます。
山本勝市
74
○山本(勝)
委員
そうするとやはり実際に数量が減
つて
おるのですか。
須賀賢二
75
○須賀
政府委員
これは個々の物資につきまして見ましてもわかるのでございますが、昨日御
説明
申し上げました際にも申し上げましたように、綿布でありますと基準年次には現実に約二十数億ヤールの輸出をしておりましたが、現在十億ヤールを切
つて
おるというような状態に
なつ
ておりまするし、また生糸でありますと現在大体戦前の十四、五パーセントの輸出しかいたしておりません。生糸、綿製品等は昔から
日本
の輸出の大宗でありますが、そういうものが大幅に減
つて
おりまして、これに対して去年あたり輸出の伸びました鉄鋼でありますとか、あるいは一部の金属製品とい
つた
ものがそれを十分に取返してないというような姿に
なつ
ておるわけでありまして、数量の面から見ましても現実にこれは減
つて
おるように私どもは考えておるわけであります。
山本勝市
76
○山本(勝)
委員
特需、つまり朝鮮特需を輸出と見て、それでも三割六分ということに実際なるのでしようか。
須賀賢二
77
○須賀
政府委員
これはここには
数字
は出ておりませんが、特需の中で商品貿易に当りますものがどのくらいあるかということは厳密には
計算
が出ておりませんが、大体客観的には昨年あたりの特需八幡ドルに対して、商品貿易の分は大体半分か半分強というふうに見ておるようであります。それを入れまして大体数量水準としましては三割六分くらいの
計算
に一応
なつ
ておるわけでございます。
山本勝市
78
○山本(勝)
委員
個々の貨幣価値を現在の価格に引直すと
昭和
九年ないし十一年の輸出
規模
は四十億ドルになるという、その四十億というのはどこから出て来たのですか。
須賀賢二
79
○須賀
政府委員
四十億ドルということは、大体の
計算
といたしましては基準年次の輸出額が約八億ドルでありますから、それを四・三倍いたしますと、これは先ほどの表の輸出の単価指数が現在四三〇でございますから四・三倍、単価はドル建で四・三倍に上
つて
おるという
計算
になるのであります。四・三倍いたしますと大体三十四億二千くらいの
計算
になりますが、その辺輸出にも多少の幅もありますから、大体大ざつばに四十億ドルくらい……。
山本勝市
80
○山本(勝)
委員
先ほどのお話では三・七倍というのは、これはどういうところから来たんですか。
須賀賢二
81
○須賀
政府委員
三・七倍と申し上げましたのは
昭和
二十八年一月の単価が三百七十七倍であ
つた
のでありますが、ただいまの二十七年における金額倍率をとりますと、
平均
いたしましたものが二十七年はこの表にありますように四・三倍でありますので、二十七年の
平均
をと
つた
わけであります。二十八年の一月だけではたまたま一箇月の
数字
でありますから、それは適当でなかろうかと思
つて
その点は訂正いたしたいと思います。
山本勝市
82
○山本(勝)
委員
最後に一言だけ申し上げますが、もしこの貿易の方が特需を含めても三割六分だ、こういうことにもし間違いないとすれば、ほかの生産指数の方に間違いがあるか、あるいは消費指数に間違いがあるか、どこかに間違いがあるに違いないと私は思う。生産がふえて、そうして生産に対する消費の水準としては元の九七%にも達しない。ただ人口がふえたということから生産のふえた比率と人口のふえた率とを考えて、生産と消費の関係はちつともかわらぬということがもし間違いないとすると、しかも蓄積が戦前に比べて四分の一と言われる、そうしてなお輸出が三割六分ということが、どうも私はどこかに
計算
の間違いがあるのではないか、こういうように考えるので、今いろいろ御
説明
ありましたけれども、私自身も一々貿易品についてこの品物がふえたとか、品物が減
つた
ということを一々当
つて
みた上での
結論
でなくて、今申しましたような
観点
からどうもおかしい、いくら
日本
とドイツは違うと申しましてもドイツで三割もふえているようなことはあるまい。各国もおそらく
日本
のようなことはあるまい。それが
日本
において、特需を抜いての
計算
ならばまだわかりますけれども、特需を貿易の中へ含めて三割六分というのは、どうもどこかに間違いがあるのではないか、こういうふうに思うので、一応疑問として御研究を願いたいと思います。 それからこの白書の中の三十九ページの「食糧増産への期待」という項目のところで、「戦前にくらべれば、現在相当麦を食べているわけで」ということを書いております。この文章ですと、戦前よりも今日の方が国民が麦をよけいに食
つて
いるというふうにとれるが、そういう意味でしようか。
須賀賢二
83
○須賀
政府委員
これはただいまお話のありました
通り
の意味でございまして、現在の国民が消費いたしております主食の米と麦の
割合
を比較いたしますと、戦前よりも麦を食
つて
いる
割合
が高いという意味でございます。
山本勝市
84
○山本(勝)
委員
麦を食う
割合
は戦前より今の方が多いというのですね。これは
数字
的に調べたのではなく私の勘ですが、農村あるいは地方の都市をずつと全部見まして
——
大都市は別でありましようが、しかし農村においては戦前においては大体米と麦と半々にまぜて食
つて
お
つた
。相当の大地主でも大体麦を常食にしてお
つた
。それが御
承知
の
通り
、
昭和
一三、四年のころからの統制の結果、配給制度になり、供出制度になり、そうしてお百姓もみんな米を食うということに
なつ
て参
つた
。それが終戦後だんだんやみ取引も
割合
大目に見られる結果、あるいは麦の統制が一
部分
はずれるというようなことから、またその他の事情もありすすが、だんだんまた麦を幾らか食うようには
なつ
て来ておりますけれども、しかし戦前の
昭和
九—十一年の
平均
に比べて、今日の方が米に対して麦の消費率の方が多いということは、実際問題として逆に
なつ
ているのではないか、私はそういうふうに思うが、そうでないというはつきりした根拠がありましようか。
須賀賢二
85
○須賀
政府委員
これは国民全体の消費の関係を総合してみなければいけないわけですが、
一つ
の御判断の材料として申し上げますと、大体米の生産量そのものは、現在と九、十、十一年と比べれば、若干はふえておりますが、数年を
平均
いたしました生産量というものは、それほどかわ
つて
おりません。ごくわずかしかふえておらないわけでございます。それに対しまして外米
——
いわゆる昔は朝鮮、台湾米でありますが、外からの米の輸入量というものは、戦前の九、十、十一年ぐらいの
平均
量は、大体朝鮮、台湾米合せまして一千万石ないし一千二百万石ぐらいを入れてお
つた
。ところが現在の外米の輸入量は御
承知
の
通り
に百万トンでございまして、百万トンと申しますと玄米に換算いたしまして大体六百六十万石ぐらいしか輸入しておらぬわけであります。それに対しまして人口は先ほど申し上げましたように二割五分ばかりふえておりますので、人口と米の生産量と米の輸入量との関係から見ましても、米の消費量は相対的に下
つて
いるとみなければならぬわけでございます。それから現実に小麦、大麦等の輸入量を見ましても、戦前に比較いたしますと上
つて
おるわけであります。この面から麦の消費量はふえておまりす。それから都市における米の消費量は、やみの関係は別にいたしますが、配給量といたしましては、外米、内地米を通じまして大体半月分しか配給をしておらぬ現状でありますので、その面からも麦の需要は相当ふえておると思うのであります。それから私の方で別途調ベました材料によりますと、副食の関係を見ますと、みそとしようゆの消費量が、基準年次に比較いたしましてかなり減
つて
おるのであります。これはやはり小麦の消費量がパンのような形で消費せられるものがかなりふえたことと関係をしておるのではないか。みそとしようゆの消費量が基準
年度
に比較いたしまして現実にかなり減
つて
おるのでございます。そういう面からも麦の消費が相対的にふえておると見られるのではないかと思います。
山本勝市
86
○山本(勝)
委員
これは私も
数字
がないのですから、どつちがどうということは言えないのですけれども、全国で四割何分の人口の
割合
を占めておる農村では、だれがなんと言
つて
も、戦前に比べて今日においては米の自家消費量というものはふえております。それから配給米は半月分ということを言われましたけれども、配給米はそうかもしれませんが、実際にはやみ米として非常にたくさんの米が消費されておるのであるから、
日本
国民の消費率において、戦前よりも、小麦と大麦の消費率の
割合
がふえており、米の
割合
が減
つて
おるというただいままでの
説明
だけでは、なお了解しがたいのであります。 もう一点ちよつとお伺いいたしたいのは、消費水準の問題であります。消費水準が
平均
して戦前の九七%ということに
なつ
ております。これは根拠があ
つて
九七%という
数字
が出たに相違ございませんが、これも私の勘ですけれども、
日本
人の消費生活は、なるほど過去の蓄積は減
つて
おります。しかし日常の衣食住に使うところの実際の消費生活というものは、住宅だけは前よりも悪く
なつ
ておることを私は認めますけれども、しかしその他のもの
——
簡単に申しますと、戦前と今日と比べて、たとえば国会を見ましても、戦前の国
会議
員と今日の国
会議
員を比べると、国
会議
員の生活の消費水準というものは、歳費等は別にいたしまして、議員会館、議員宿舎、自動車などというように、はるかに上
つて
おることは、争う余地がない。ところが国会だけかといいますと、毎日々々国会の周囲にあの大きなバスで数え切れぬほどの見学団がや
つて
参りますが、千葉とか茨城とか、福島とか、山形とか、各地からどんどん押しかけて来る。それから町村長たちの陳情団もどんどん押しかけて来る。靖国神社の参拝もけつこうなことですけれども、か
つて
はなか
つた
ようなことが今日非常に行われておる。こういうことも全部消費水準というか、消費生活の中に入れて考えると、どうも私は
日本
人の消費水準というものは、例外はありましようが、
平均
戦前よりも上
つて
おるのではないか、これは私の勘です。私は埼玉県ですけれども、埼玉県あたりの農村へ行きましても、昔はきせるでタバコを吸
つて
お
つた
のでありますが、今日きせるでタバコを吸
つて
おる者は、まず一人もありません。そうしてこの間も農村の青年諸君が来ましたけれども、これは実にりつぱな開襟シヤツを着て、服を着て、くつをはいて、おそらく昔なら学校の校長さんでもむずかしか
つた
ような服装をみんなしておる。そうして四十何人全部そろいの弁当を食
つて
おります。それが悪いとかいいとかいうことを言うのではありません。とにかく
日本
人の消費水準は、蓄積にまわす分は減
つて
おりますけれども、実際に消費する分はふえておるのではないか。そこにおいて、
日本
の今後の再建を考え、もつとそういう消費水準を下げる余地があるのではないかという対策を考える場合に、大きな関係を持
つて
来る。この表を見ましても、都市が減
つて
、農村は幾らかふえておる。
平均
して九七%というのでありますが、私はむしろ落ちておる方は農村の地主とか、あるいは都市においては特殊の斜陽族の人々は別といたしまして、全体として私は消費水準は上
つて
おる。こういう勘がしてしかたがないのです、これはほかの
委員
の方々の御
意見
も実は承りたいのであります。私のこういう考え方に考慮の余地がないものかどうか、一応審議庁の方の御
意見
を承りたいと思います。
須賀賢二
87
○須賀
政府委員
消費水準がはたして戦前との比較において、生活の実態をどの稍度現わしておるかということにつきましては、非常に判断のむずかしい問題であるということは昨日申し上げたのでおりますが、これはいろいろな材料をいろいろ合せまして、単に消費水準の家計費だけから出しました指数でなしに、もつとほかの材料で
継続
した結果もつき合せまして、判断をしなければならぬと考えております。その
一つ
の方法といたしまして、この白書の二百四十ページのところに、「生活物資供給量の変遷」というのを出しておりますが、これは「国民一人当生活物資供給量指数」いわゆる物の供給量の面から見た指数でありまして、これを総合いたしますと、
昭和
九—十一年を一〇〇といたしまして、
昭和
二十七年では一〇三ということに
なつ
ております。この面から見ますと、ただいま山本
委員
からお話のありましたように、ごくわずかでありますが、戦前を越えておるというようなことに
なつ
ております。ただ
内容
的に見ますと、光熱費でありますとか、その他という欄ですが、これは今のいわゆる雑費関係であります。簡単な旅行をいたしましたり、映画を見たり、芝居を見たりする修養娯楽といような面へ使われる金でありますが、その辺は戦前よりもオーバーしておるというような形に
なつ
ておりましてそういう面からは戦前を越えておるのではなかろうかというただいまのお話は、こういう材料から見ますと、あるいはそういう面もあるのではないかと考えております。物資供給量の方からはそういう材料が一応出ております。ただこの指数そのものは生活水準そのものの指数に比較いたしますと、指数の正確度はやや劣りまして、たとえば商品になりますと、在庫の関係等が非常につかみにくいのでありまして、実際にその
年間
に国民に購入された量というものを正確につかむことが非常にむずかしいのであります。そういう点もありまして、多少指数の正確度は劣りますが、一応私の方で試算いたしましたものからは、こういうものが出ておるのでごいざます。
山本勝市
88
○山本(勝)
委員
もう
一つ
、たとえば全国に中学校というものができましたが、昔は中学校へ行くなんというのは、村でも何人の人しか行かなか
つた
。今日すべての者が中学校へとにかく行く、こういうことは生活水準の
計算
の中へ入
つて
おるのでしようか。
須賀賢二
89
○須賀
政府委員
教育費の負担のようなものは、やはり生活水準の指数の中に入
つて
おります。それは雑費という欄に出ておるわけでございまして、二十七年では全国では一一四、戦前に対して一四%越えた
数字
に
なつ
ております。こういう面ではやはり現在の方が戦前の水準を上まわ
つて
おるというような
数字
が現実に出ております。
山本勝市
90
○山本(勝)
委員
それは個々の家庭で支出した教育費というものの
計算
じやないですか。国家から出したり、あるいは府県から出したり、村から出したり、そういうものを享受するものは結局は国民である。国民の生活の
内容
に入
つて
おる。そのほかついでに申しますけれども、近ごろ農村へ行きましても、昔なら村長は半日は畑で働いて、半日役場へ行
つて
役場の仕事をやるというのが普通であ
つた
のですが、今日は村長などというものは役場におるということはほとんど少い。たいていはあちこちに集会があ
つた
とか陳情があ
つた
とかいうことで行
つて
おる。行けば酒も飲んでおる。校長などでも昔はよほど大きな学校でなければ専任の校長はいなか
つた
。ところが今日の校長は授業というものは持
つて
いなくて、しかも学校にはほとんどいない。どの点から考えても、そういう費用は校長自身のさいふの消費の帳面から見ましても、それは出て来ません。村長の家計費を見ても出て来ません。しかし結局国民の消費生活というものの
内容
に
なつ
ておるので、そういうものを全部含めてみると、どうも
日本
人の生活程度は上
つて
おると私は思うのですが、そういうもの一切含めて九七%というものが出て来たのですか。
須賀賢二
91
○須賀
政府委員
先ほどの教育費の点は、確かにお話の
通り
これは家計費から出しております教育費でありまして、それ以外のものは含んでおりません。それから家計費に載りません消費というものは、これも消費水準には出て参らないのであります。これは戦前と戦後の家計費の倍率を物価指数で割
つた
だけのものであります。家計外消費というものは出て参りません。それらを含めて生活水準がどういうふうに
なつ
ておるかということは、なかなか現在私どもの
手元
では出ないのであります。先ほど申し上げました一人当り生活物資の供給量指数というようなものが、消費水準指数を若干上まわ
つて
おりますような点も、ややそういう点がある程度反映しておるのではないだろうか。ただこれは推測でありまして、確実に
数字
的な材料に基きましてそれを判断いたすことは、現在私どもの
手元
では困難な状態であります。
佐伯宗義
92
○
佐伯委員長
阿部五郎君。
阿部五郎
93
○阿部
委員
電気についてちよつとお伺いしたいと思
つた
のですが、それより先に山本さんのお尋ねがあ
つた
ようですから、ついでに聞いておきたい。過日の経済白書は私まだ拝見しておらぬのですが、ちよつと目次を見ましたら、化学繊維並びに食糧なんかの増産
計画
が盛られておるようでありますが、食糧増産をあの
計画
によ
つて
いたしますと、もちろんこれは主として土地改良をやることによ
つて
やるのでありましようが、土地改良をや
つて
食糧増産を実現させますと、たとえば電気で水を揚げて灌漑する、こういうようなことが主として行われますが、そういうことがたちまち米の生産費に響いて来るのであります。現在のところでも、最近この二、三年のうちに電気で水を揚げて灌漑する施設をや
つた
ところの実例を見ますと、多いところでは反当二千円を越える
電力
代を負担しなければならぬことに
なつ
ております。少いところでも千円くらいというのはざらであります。こういうものが米の生産費にたちまち響いて来ますし、また
建設
のための国庫補助金は別といたしましても、地元の負担があります。のみならず、その負担は農民の蓄積した資本をも
つて
することはできませんから、これは主として金融を仰いでおるのでありますが、その金利の負担もあります。そういうふうにいたしまして、あの食糧増産
計画
を実現したとしましたならば、それによ
つて
起るところの食糧の生産費の増加というものをいかに御
計算
に
なつ
ておられるのであろうか。
従つて
それが米価に響いて来なければなりませんが、食糧増産を完成した場合に、あれだけの
計画
を五年なら五年かか
つて
や
つた
場合に、そのときに出た米の生産費並びにそれに
従つて
起るところの米価をどういうふうにごらんに
なつ
ておるのであるか、その点を伺
つて
おきたいと思います。
須賀賢二
94
○須賀
政府委員
ただいまのお尋ねの点につきましては、食糧増産
計画
の具体的な
内容
にまたがる問題でありまして、実は私どもの方でそこまで深く入
つて
おりませんので、まことにか
つて
でございますが、農林当局なり何なりその所管のところからお聞きをいただきたいのでございます。
阿部五郎
95
○阿部
委員
そうすると、化学繊維に関しましても、そういう増産をや
つた
場合の生産費及びその製品の価格、こういうことについてはお答え願うわけに行きませんか。
須賀賢二
96
○須賀
政府委員
化学繊維につきましても同様でございます。
阿部五郎
97
○阿部
委員
それでは電気について伺いたいのですが、まず第一に
電源開発会社
が現在藩主しておる
水力
発電
の
地点
、そのおのおのの
規模
のごく概略、それから現在
計画
中の
開発
に着工せんとしつつある
地点
とその
計画
の概要を伺いたい。
佐々木義武
98
○
佐々木政府委員
ただいま
開発会社
で
着手
しておる
地点
は、御母衣、これは庄川です。北海道の糠平、西吉野、これは奈良県と和歌山県の県境にございます。猿ケ石、胆沢、これは岩手県の北上川でございます。それから天竜川の佐久間、秋葉、北海道の幾春別、こういう
地点
でございまして、おのおのの出力を申し上げますと、御母衣は十四万二千キロ、糠平は十四万九千百キロ、西吉野は四万五千四百キロ、猿ケ石は二万七千キロ、胆沢は一万四千六百キロ、佐久間は三十六万キロ、秋葉は八万六千キロ、幾春別は三万三千三百キロ、合計八十五万七千四百キロでございます。ただこの中で秋葉
地点
に関しましてはまだボーリング等の
成果
がはつきり出ませんので、ただいまのところでは佐久間
地点
に主力を注ぎまして、秋葉というのは佐久間の
下流
にありますが、その方はまだ夫
着手
でございます。
阿部五郎
99
○阿部
委員
今のはすでに着工なさ
つて
いる
部分
であろうと思います。それからキロワット数は最大数でありましよう。そうしますと、着工せんとするもの、
計画
中のものをおつしや
つて
いただきたい。
佐々木義武
100
○
佐々木政府委員
計画
中のものを申し上げますと、昨年の秋に
電源開発
審議会
で
開発会社
に
開発
地を指定いたしまして、そこを
調査
してもらいたい
——
これは確実にその
会社
にやらすかどうか、その
成果
を見なければわかりません。またほかの
会社
にやらせた方が適当かどうか、
調査
の結果を待つわけであります。ただいま
調査
を指定しております
地点
は、紀伊の熊野川、琵琶湖、四国の吉野川、九州の球磨川でございます。
只見
も
調査
中でございましたが、きのうきまりましたので、その四箇
地点
残りましたが、先月二十八日の第八回
審議会
で、四国の四万十川、奈半利川、それから中国の郷川、この三箇
地点
を追加いたしまして、その
調査
の済み次第、あるいは経済の許す限り、着工にかかりたい、こういうふう
なつ
もりでございます。
阿部五郎
101
○阿部
委員
電源開発会社
と
国土総合開発
計画
との関係ですが、
国土総合開発
計画
の特定地域に指定された
部分
における電源の
開発
は、
電源開発会社
がやることになると思
つて
さしつかえございませんか。
佐々木義武
102
○
佐々木政府委員
国土総合開発
審議会
で指定しました
地点
を
電源開発株式会社
が必ずやるということは、全然きま
つて
おりません。その中であるいは大
規模
であ
つた
り、あるいは
実施
が困難であ
つた
り、あるいはそれが数県にまたが
つて
いる関係上
開発会社
でや
つた
方がよろしいというような、
開発会社
のやる
地点
に関しましては
促進法
に明示しておりまして性格をはつきりしておりますから、その性格に見合いましてそうして必要な
地点
を選んでいると思
つて
おります。但し先ほど申し上げました
地点
は、ほとんど全部と言
つて
もよいほど特定地帯の
地点
の中に入
つて
おります。それから先ほど申し上げました
調査
地点
のほとんど大
部分
も、特定地域に入
つて
おります。
阿部五郎
103
○阿部
委員
あの
国土総合開発
計画
に基いて
調査
地点
として指定された場合において、その
電源開発
の
調査
をする場合においては、
電源開発株式会社
が
調査
の衝に当ることになるのでございますか。
佐々木義武
104
○
佐々木政府委員
電源開発株式会社
の
調査
地点
は、ただいま申し上げましたように、
審議会
で一応指定いたしまして、そしてさつきも申しました数箇
地点
を
調査
しておるのでございまして特定地帯の
総合開発
計画
の一環として
調査
しているわけではございません。その方は別途
調査
費は
建設
省の方につきまして、
建設
省の方からああいう
計画
を立案するための
調査
費を出すのでございます。
阿部五郎
105
○阿部
委員
わかりました。そうすると先ほどお話のありました
調査
地点
として
電源開発
審議会
において指定された
地点
は、
電源開発株式会社
が
調査
の衝に当
つて
おられるわけなんでございますか。
佐々木義武
106
○
佐々木政府委員
その
通り
でございます。ただその際
開発会社
の性格から申しまして、単に
電力
という面のみから問題を取上げるのではなくて、やはり
総合開発
というものを頭に置きながら
調査
を進めることは事実でございます。
阿部五郎
107
○阿部
委員
そうしますと、現在
開発会社
が
調査
しつつある
地点
であ
つて
、
調査
の結果
開発
すべしという
結論
が出た場合においては、
電源開発会社
みずからが
開発
に当ると思うてよろしゆうございましようか。
佐々木義武
108
○
佐々木政府委員
調査
の指定は、いかなる方式で、いつから、どういう段取りで、どういう
規模
、様式でやるかということを
調査
するのでありまして、
担当者
が必ずしも
開発会社
でやるというふうには限らないのでございます。と申しますのは、
促進法
の第十三条第二項に
規定
がございまして、
開発会社
がやりたいと思う
地点
がかりにありまして、その
地点
に
開発会社
以外のもの、
従つて
九
電力
とか、あるいは県とか、あるいは自家発とかいうふうなものが、自分でそれをやりたいというので、先願しておる場合に、
審議会
においてその先願の
事項
をまず
検討
いたしまして、その
計画
が至当であ
つて
、そうして
実施
が可能だという判定を下した場合には、その
地点
は
開発会社
がや
つて
はいけないというふうに、先願優先の思想をと
つて
おります。
開発会社
がこの
地点
をやりたいという
地点
があ
つて
も、その
地点
にほかの
会社
の先願がございますれば、それとにらみ合せまして、先願の
事項
が妥当であれば、そちらにやらせるのが至当であるが、
開発会社
の資力その他の面から見て、
開発会社
にやらした方がよりベターだということになれば、
開発会社
にやらすということはあります。従いまして
調査
をやらしたからとい
つて
、必ずしも全部それを
開発会社
がやるというふうに、事前に断定することはできないと思います。
阿部五郎
109
○阿部
委員
そういたしますと、その
調査
地点
は
審議会
で指定せられて、その
調査
を
開発会社
がなさ
つて
——
その
調査
たるや、ボーリングをや
つた
り、測量をや
つた
り、相当巨額の経費を必要とする
調査
でありましようが、それだけの
投資
を
開発会社
がしておいて、そうしてその結果それを、先願があ
つた
からとい
つて
、
自家用
とかあるいは九
電力会社
、こういう方面に渡してしまうということになると、そこの経費関係は一体どうなるのでございましようか。
佐々木義武
110
○
佐々木政府委員
ただいままでのところでは、まだそういうケースはございませんが、将来そういうケースがかりに起きた場合には、その処分に関しましては、おそらく従来の例から申しますと、
開発
担当者
が、それ以外の方が
調査
をした場合は、その
調査
の
成果
を買い取るなりして整理することに
なつ
ておりまして、かりにそういう場合があ
つた
としても、
開発会社
が必ずしもその負担を最後まで負うというよりも、
調査
の
成果
を引継ぐとい
つた
ような関係に相なろうかと思います。
阿部五郎
111
○阿部
委員
大体わかりましたが、
開発会社
というのは大体国家資本によ
つて
できておるのであ
つて
、すなわち国民のものであると言
つて
さしつかえないのですが、多分の経費を使
つて
調査
して、それを私的な企業にそのまま渡してしまうようなことがあ
つて
はならないと思いますが、その点、これはあなたにお聞きしてもどうかと思いますけれども、よほど慎重に扱
つて
、一般公衆のものであるところの
開発会社
に負担をかけるようなことがあ
つて
はならぬと思いますが、そこについてもつと確かなとりきめはないのでございましようか。
佐々木義武
112
○
佐々木政府委員
お説のように、
開発会社
はほとんど国の金で
事業
をや
つて
いる関係上、
調査
したものは相なるべくは
開発会社
が自分で担当するというのが至当なのではなかろうか、従いまして、
調査
の
地点
を指定する場合にも、大体
開発会社
がやるにふさわしい
地点
だという
地点
を選んで
調査
させておる関係上、原則論的に申しますと、
開発会社
がやるのが順序かと思います。しかしただいま申しましたように、そういう法律に
なつ
ておりますので、審査の結果あるいは必ず全部絶対にそうなると事前に予想することはできませんから、ただいま申し上げましたようなことに
なつ
た次第でございます。
佐伯宗義
113
○
佐伯委員長
石村英雄君。
石村英雄
114
○石村
委員
今の、
開発会社
が
調査
せられるのは、
審議会
の方の
調査
せいという命令でおやりになるのですか。
佐々木義武
115
○
佐々木政府委員
開発会社
が
調査
地点
を選定する際には、法の建前から申しますと、
審議会
でそれを指定しなければならぬという法律的な根拠は全然ございません。従いまして
調査
費を組んで、その際には主務官庁の許可がいりますから、主務官庁で許可をすれば、従いまして通産省が許可をすればそれで済むはずのものでございます。ところが御
承知
のように、
電源開発
の
対象
は法律で明記してございまして、その性格に合う所なりやいなやという判断に関しましては、主務官庁のみでこれを判断するよりも、むしろ各省が協議し、
審議会
でそれをさらに審議いたしまして、そうしてこれならば金をかけて
調査
させても価値のあるものだ、性格に合致するというような
地点
を御審査いただきまして、そうして指定いたした方が万全の策だと思いますので、行政的にはそういう慎重な処置をと
つて
おる次第でございます。
石村英雄
116
○石村
委員
くどいようですが、そういたしますと、
調査
するということは
電源開発会社
がまず発意するわけですね。
従つて電源開発
会社
とすれば、
調査
の結果やらないということもありましようが、大体自分のところでやろうという下心があ
つて
調査
を発議したというように、これは常識的な解釈かもしれませんが、そう受取
つて
いいでしようか。
佐々木義武
117
○
佐々木政府委員
調査
地点
に指定する際には、
審議会
だけでか
つて
にきめるわけではありません。事前に十分
会社
側の方とお打合せをしまして、
審議会
にかけてきめるのでございますから、お説のような気持であることは事実かと思います。
佐伯宗義
118
○
佐伯委員長
御
質問
ございませんか。 それでは本日はこれにて散会いたします。なお次会は公報をも
つて
お知らせいたします。 午後四時四十九分散会