○山本(勝)
委員 関連の質問をいたしますが、私は御承知の
通り与党ではありません。しかしながら他の野党の諸君の質問を聞いておると、この点に関する限りはかなり私の
考えと違
つておりますので、関連の質問を求めたのであります。私はこういうふうな
考えで、
岡野長官ないし
通産大臣が
考えておられるのではないかと思うのです。それを野党の諸君が猛烈に質問しておりますけれ
ども、そこに誤解というか、そういうものがあるのではないか、あるいは
説明の不足があるのではないか、私はこういうふうに解釈しておるのですが、それでいいかどうかをお答え願いたい。
独占禁止法の
改正でありますが、
独占禁止法そのものは
自由競争の秩序を
確保するにある。これが法益である。ところで今回の
改正は、
カルテルを
認めるとい
つたようなことから何か
自由競争を制限するといいますか、本来の
独占禁止法の目的から申しますと
反対の方向に
改正をするというふうに野党の諸君はと
つておられるようであります。あるいは野党以外でもそう
考えておられる方があるかもしれませんが、私はそのように
考えていない。この
改正は
独占を奨励する目的で
改正しようとするのでない。これは明らかだ。また
競争の秩序そのものを制限する目的でもない。ただ破滅的な
競争を防いで、真の
意味における
競争の秩序を全うさせようとするところにねらいがある。こういうふうに私は解釈しておる。私はかねがね申しておりますけれ
ども、個人々々が白兵戦をやる、一騎打ちをやる、チヤンバラをやるとい
つたような、そういう
競争だけを
競争と
考えれば、確かに集団をなして
競争をするということは
競争ということになりませんけれ
ども、先ほど来野党の諸君も申しましたように
カルテルを結んだところで
根本的に
競争がなくなるものではないのです。ただある
程度競争を制約する。制約をするから破滅的
競争は防がれる。それには間違いありませんけれ
ども、
競争そのものは否定できない。結局破滅的
競争が秩序のある
競争に形態をかえるだけであります。これは決して私の個人的な
意見ではありません。こういう席で申し上げますと恐縮でありますけれ
ども、やはり
世界的に権威のある
カルテルないし
競争に関する
学者が、たとえばドイツのゲオルク・ハルムという人などは
競争という題目で学位をとり、
競争という題目で
世界に名をなしたのでありますけれ
ども、このハルムが
競争の形態は変化する、
カルテルによ
つて競争を防ぐということは破滅的なる
競争を防ぐのであ
つて、決して
競争を否定するものではない。むしろそれによ
つてこそ破滅が防げて、真の
意味における
競争の秩序は運転して行くのだ、こういう
見解があ
つて、私はそれが正しいと思
つておるのです。そういうふうに解すから私はこの
改正を是認しようとするのでありますが、そのように解してさしつかえないかどうか。もし私の質問の
意味が御了解願えなければ重ねて申しますが、破滅的
競争を防ごう、これは
岡野大臣の
答弁を聞いておりますと、たびたびこれをやらなければ破滅する、
混乱に陥る、破滅的
競争という言葉は使いませんけれ
ども、ねらいはそこにある。破滅を防ごうとするのであ
つて、
独占を奨励しようとするのじやないのだと言われておることから、これを学問的に申しますと、そういうような表現になるのではないか、こう
考えて助け舟をあえて出すわけではありませんけれ
ども、
競争といえばただやたらにそれだけが破滅的
競争の
競争だ、集団的な戦いは、戦いでなくて、チャンバラだけが戦いだとい
つたような
考えをどんどん言われておると、私も立
つて一言弁護ではありませんが、申し上げざるを得ない。まだ幾らもありますから、論争してもよろしい。