○帆足
委員 政府当局の
答弁がかくのごとく軽率であ
つて、速記録に照して二つの
答弁がま
つたく違うのに、一致しておると言われるような御
答弁があることは遺憾しごくです。先日の渡航課長の勢いたるや意気揚々たるもので、おそらくあれは自分が警視庁の外事課長のように錯覚しておられたのじやないか。もつとも旧憲法の時代に高文試験を通
つて来られたのだから、新憲法の方の勉強が十分にできていないことは了察いたしますが、やはり時勢もかわりましたから、どうか新憲法の精神でや
つていただきたいということをお願いすることも、そう無理なことではないと思います。今日欧米
局長の御
答弁は正式の御
答弁であ
つたという次官の明朗なるお答えをいただいて、さすがに良識ある次官の御
答弁だと思
つて、大いに敬意を新たにする次第でありますが、そういうような御趣旨でありましたら、私は過去は過去として深くとがめませんが、今後起ります問題について至急善処していただきたい。何となれば欧米
局長は、さらにこうまで言
つておるのです。この旅券法の問題については、「法の盲点というよりは、実は法の解釈についていろいろ考えができ、また
国際情勢を織り込んだ微妙な
関係もありますので、
国民の方に釈然と行かないという印象を与えたことは、
政府としてはなはだ残念であります。」こう申しておりますし、私はこれについて裁判所に
異議を申し立てておりますが、裁判所でも、帆足さん、この問題についてはほんとうに苦労しておりますと言
つておる。これは法制局の専門家の皆さんもそう言いましたし、法学雑誌も賛否こもごものうち、私に賛成の方が九割というのが客観的事実であります。最高裁判所に参れば私が必ず勝つということは、ほとんどすべての輿論が一致しておるような状況であります。ここで百歩を譲りましても、ボーダー・ラインのものでありますから、われわれの善意も御理解いただきたいと思う。こういうことのために、一国の国
会議員たる者を一歩も海外に出さないというような極刑に処するということをどうしてお考えになるのか、その点で私は警視庁の外事課の錯覚があるということを申したのであります。
なお南君の問題について一言お尋ねいたしますが、あれが最後的判断だとすれば、法務大臣と御協議の上でなくてはならぬと思いますが、法務大臣といつ御協議に
なつたのかお答え願いたい。なお旅券の請求についてお願いいたしました人は、やはり飛行機の旅程のことがありますから、それに間に合うような——私は少くとも出発の一週間前に文書をも
つて最後的回答をするというような親心をも
つて——実に多くの人がこの問題で困
つておりまして、単にこういう鉄のカーテンのかなたにも多少連関がある問題とひつかか
つた人たちと、普通のそういうことと
関係ない旅行におきましても非常にお困りに
なつております。従いまして渡航課の手をふやすとか、書類をもう少し能率化するとかしまして、予防注射をいたしましたり、かばんを買
つたり、あるいはわかれを惜しんだり、準備が必要でございます。従いましてそういうことも御考慮くださいまして、行く人の身に
なつて、この渡航課の事務のやり力をこの際次官の方で御検討に
なつて改めていただきたい。そうして政治上の
意見の相違でも——法の解釈としてもし違いがあるならばやむを得ませんが、それでもやはり一週間前に最後の決断を下して、それらの方々があきらめて裁判所に提訴するとか、こういうふうにするのが私は明朗なる民主国家としての行く道じやないかと思います。野党であ
つても与党であ
つても、やはり共通のルールとして法律は尊重いたさなければなりません。法の尊重ということを私は第一に考えていただきたいということを切にお願いいたしまして、本日次官がせつかく欧米
局長の
答弁が正しいとおつしや
つてくださいましたので、ほかの
議事のおさしつかえにもなりますから、これで
質問を打切りまして、
あとでまた上りますから御善処をお願いいたします。