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島上委員 今度の総会で、
政府代表はこういう報告をしております。二年前にILOに再
加盟を許されたことは非常に感謝にたえない、この御好意にこたえるために、その期間——再
加盟を許されてから後のことをさしておると思いますが、
政府は非常に進歩的な労働運動を完成することによ
つて、諸君の御好意に報いる努力をしておる、こういうことを育
つて、労働組合法、労働基準法及び職業安定法等、非常にりつぱなものを持
つておる、それから乏しい予算の中から失業保険、健康保険、災害補償等を初め、その他社会保障計画を樹立するために懸命の努力をしておる、こういうような報告をしておる。この報告を聞いた者は、まことに
日本はけつこうな国だと思
つているに違いないと思うのですが、しかし事実はこれと相遠いものがあ
つて——相遠いというよりはむしろ逆でありまして、国際労働機構に再
加入を許された後に、例の労働
関係調整法を改悪したり——これはわれわれの立場から見れば明らかに改悪ですが、先般の電気産業及び石炭鉱業労働者に対する組合活動の自由の拘束をやつたというような、少くとも今まで与えておつた自由を拘束する法的な措置をと
つておるのに、そういうことはこの報告では
一つも言
つていない。しかし同
会議に出席した労働者の代表からは、そういう実際の事実を率直に報告されておりますので、良識ある
世界の代表者諸君は、このいずれが正しいかを判断しておると存じますが、こういうような表面の体裁のいいことばかり言
つて、実際はそれとは反対のことをやるようなことでは、せつかく
加入し、また
条約を
批准しても何にもならぬということになるのではないかと私
ども心配されるのです。
そこで、今
条約批准については積極的に出したい、しかし長い間の空間もあつたことであるし、さしあた
つて最も工安な三件の
批准を求める、こういう炎話でしたが、もちろん私
どもも百余件の勧告を一挙に全部やる、そういうようなことを望んでおるわけではありません。今出されているこの三つの
条約も、もちろん重要なものではないということは言えませんけれ
ども、もつと基本的に重要なものかあると思います。たとえば労働時間に関する
条約、これは
日本は特殊条項を認められておりますが、私
どもは、少くとも今日の
日本では、その特殊条項の廃止を要求して、
世界の水準と同様のものとして、その
条約を改正するとともに、その改正した
条約を
批准して国内に
実施する、そういう段階に来ておると思う。そういうことや、
条約二十六条による最低賃金制の創設に関する
条約、それから今回出されておる
団結権及び団体
交渉に関する
条約というものが出されておりますが、前年度の総会で、
条約八十七号で、結社の自由及び
団結権の擁護に関する
条約というものが採択されております。私
どもの解釈するところによれば、この結社の自由及び
団結権の擁護に関する
条約、第八十七号、これこそが今回出された
団結権及び団体
交渉に関する
条約よりも前に
批准しなければならない基礎的なものではないか、こういうふうに解釈しております。こういうふうに拾
つてみますと、幾つかのきわめて重要な
条約が
批准されないままに放置されておりますが、これに対してすみやかに
批准しようというお考えがあるかどうか、ひとつ承りたいと思います。