○木村(忠)
政府委員 局内の
秩序の問題について御
質問がございました。先ほど
大瀧参考人からもその点についてのお話がありました。われわれといたしましては、
局内秩序の問題は非常に厳重に考えておるのであります。普通ならば、
引揚者が
帰つて来られまして、あの
局内において入国について必要なる
手続をされる、あるいは
援護を受けられるについて必要なる
手続をとられる、その間におきましてできるだけの自由な時間を持たれるようにいたしたい、そうして、これを出迎える方方につきましては、できるだけ自由にお出迎えのできるようにいたしたいというのが、
国民といたしましては本来の気持でございます。ただ、まことに遺憾なことでございますけれ
ども、その間におきまして、他の意図をも
つて政治的なる活動をするがためにこれに出入をする傾向がなきにしもあらずというような
状況でございますので、
援護庁といたしましては、第一次から、この
局内に出入することにつきまして相当厳重なる態度をとることにいたしたのでございます。第一次の場合におきましては、それでも、ここに入る者につきましては、ある程度のゆるやかな考えを持
つておりました。大体のそういう制限を設けておきますれば、これを守るものという
立場をとりまして、入局いたします者につきましては、従来から引揚
援護について協力をいたして来られた各種の
団体並びに今次の
引揚げにつきまして協力せられました
団体、これだけの
団体につきまして、出迎えといたしまして各
団体二名ずつの入局を認めるということにいたしました。その他の者の入局はお断りいたしたのであります。そのために一般の出迎えをいたしまする
方々の気持を阻害してはならないというふうに考えましたので、一般出迎えのためには、従来はそういう場所を設けてなか
つたのでありまするけれ
ども、一般の出迎えのために、従来
局内でありました場所を囲いをいたしまして、これを局外扱いにいたしまして、そこにおいて一般の出迎えができるようにいたしました。入局者の制限をいたしますると同時に、一般の出迎えも、
局内の
秩序を乱さない限りできるような措置をと
つたのであります。第一次の
状況によりますると、
局内におきまして相当多数の人がここに
許可を受けずに入りまして、これがどういう方法で入
つたかということにつきましては、いろいろな方法をも
つて入
つて参つたのでありまするけれ
ども、たとえば、船に乗りまして、船からただちに
帰国者と一緒に上陸のランチでも
つて上
つて来るというような方法をと
つた人もあるようでありまするし、あるいは、入局の
許可の腕章をたらいまわしにして入
つた人もあ
つたように聞いております。そういういろいろな方法で入
つて参りまして、
局内におきまして各種の文書を散布いたしました。散布いたしておりまする現場を見つけました場合におきましては、これに対して相当の処置をとることができるのでありまするけれ
ども、何人がこれを散布したものであるかという証拠が全然ない。御承知の通りに、
舞鶴援護局におきましては、従来あの施設におきまして千人以上の職員がおりまして、あれを維持してお
つたのであります。現在は正規の職員が百八十四人、それに臨時職員が約二百人、合計四百人ばかりの者で、あの施設を維持、経営いたしておるのでございます。従いまして、
帰国者、
引揚者の
お世話をいたすだけで手一ぱいでありまして、これに対しましてはそういう取締りをいたしまするのには、きわめて手薄であります。その手薄なのに乗じまして、各種の政治活動が行われる。はなはだしきに至りましては、資金カンパまでや
つた者があるようでございます。これは、
現実にそれをや
つておりまする現場を見たと言う者もあるようでございまするが、これは、はつきりいたしておりません。しかし、明らかに文書をもちまして資金カンパをいたしておることは、配布されておりました文書によ
つて明らかでございます。そういうような状態でありましたので、さらに第二次以降におきましては、これが取締りにつきまして相当強硬な態度をとらなければならぬということになりまして、第一次に出しました入局
許可証を全部やめまして、新たに入局の
許可の方法をかえたのでございます。そして、それとともに、入局につきまして、門の守衛のやり方を厳重にいたしました。なお、
局内におきまして巡視をさせまして、そしていろいろな非違のないようにするということをはか
つたのであります。その後におきましてとられました方法というのは、私
たちにはよくわからぬのでありますが、外から文書を持ち込んだ者がございまして、これを、取上げたこともございます。
現実に取上げましたものは、これは中でまくのではないのだというので、これを外へ持ち帰
つたという者もございます。それから、中にはだれも持ち込まないのに、いつの間にか文書が中に入
つて来ておるという妙な状態が現われて来たのであります。これにつきましては、いろいろな想像ができるのでありまするけれ
ども、ともかくも、外から入
つて来た人は、何ら物を持
つて来ないのでありまするけれ
ども、いつの間にか文書が中へ入
つて来ておるというような妙な状態がございまして、第二次以降におきましては、相当外の文書が
局内において配布されております。なお、
船内におきましては、相当多数の各種の文書が配布されております。これらの文言つきましては、われわれといたしまして、はなはだ適当でないというふうに考えますので、二
団体等には直接口頭をも
つて申入れをいたしましたところ、そういうことはしないというふうに言明されるのであります。そういうようなことでも
つて、はつきりと、だれがまいたか、まいた現場をとらえてないというようなことで、現在まで逐次取締りは強化いたしておりまするけれ
ども、なおこれが全然跡を絶つに至
つていない。ただ、第一次、第二次、第三次と逐次これが取締りは徹底されて来ておる。第四次に至りまして、先ほどお話いたしましたように、これがまた新たなる
事態が出て
参つたのでありまして、これに対しましてどういうふうな対策をとるかということにつきまして、私といたしましては今後考えなければならぬというふうに考えております。なお、
局内におきまする旗、のぼり等の取扱いでございまするが、旗、のぼり等は、
局内に持ち入りますことは、各府県の名称をしるしました旗、のぼり、それから
帰国者の名前を書きました旗、のぼり、これは持ち込みを許しております。それから、
日本の国旗はこれを持ち込むことを許しております。その他の旗、のぼりは、一切外部から中へ持込みますることは認めておりません。従来も、中共からの引揚、げがございましてからは、そういう事実は全然ないのであります。ただ、第一次の際に、北鮮系の朝鮮人と思われまする者が、船でも
つて侵入して来まして、しばらく旗を振
つてお
つたという事実がございます。旗を三旒か四旒持
つて来まして振
つてお
つた。その後警察官等に依頼いたしまして退去させまして、その後は中に入れませんので、船の上で旗を振
つてお
つたというような
実情でございます。その後は、二次も三次もそういう事実が全然ないようでございます。今次は、
帰国いたしました
人々が
赤旗を三本持
つて振
つてお
つたのであります。従来
援護庁といたしまして、
引揚者自身に対しましては、
国内の
事情もあまりよくおわかりになりませんのでございますので、できるだけこれに対しましては口頭でも
つて説得をいたしまするように努めておるのでございます。先般の
白山、
白龍が入りまして、
高砂を迎えましたときの
状況でございまするが、これは、一応拒否したのでございまするけれ
ども、強行して中へ入り、しかも入りましてじやまをしない、
秩序を守るというようなことでも
つて入
つて参つたのであります。あそこまで入
つてしまいますると、局といたしましては、これを、どうするという強制力が、口頭による以外にないのでありまして、結局黙認の形にな
つてしま
つたということに相なるのであります。われわれといたしましては、ああいうような
状況をはなはだ遺憾であると思うのでありますが、
帰国者に対しまして、従来非常に手ぬるいと申しまするか、取扱いといたしましては、
引揚者本人の問題でございまするので、
援護局といたしましては非常に遠慮いたしておるというような現状であります。これが今後、どういうふうにしたらいいかということにつきましては、十分検討しなければならぬというふうに考えております。