○辻(文)
委員 今詳細に御
報告を願
つたのでありますけれ
ども、私も御一緒に参りましたから、根本的にそういう原因がどこから起るかというようなことを申し上げます。
ちようど今の御
報告のように、駅でおりて、まつすぐ、ただちに埠頭に参りましたところが、女の若い
人たちが多くて、それに男のリーダーあるいは女のリーダーの
人たちが
赤旗を振
つて、そうしてその言葉の中には、徳田盟主万歳というような極端な言葉もあ
つた。かようなことが第一印象で、私は今の御
報告のような感じを受けたのであります。しかも、
家族の
人たちは、その埠頭の――埠頭は埠頭ですけれ
ども、次のところに並んでおられる。こういう
状況であります。これはどういうことかということを第一印象に受けた。しかし私は、個人としても一
委員としても考えたことは、こういうことならば、あるいは本元の
援護局自体でいかなる受入れ方をしているか、そつがあるようなことがありはしないか、いわゆる落度があるようなこともありはしないか、あるいはこちらに
帰還するのを、お迎えしてお連れするその間でも、船内の待遇その他にあるいは不満に思われるようなことがありはしないか、まず根源的にはかようなことを一応腹に入れて、しかも事実においてお帰りになる大半がどういう考えを持
つておられるか、向うの
状況というようなもの、あるいは向うの慣習というようなもの、もう
一つは、一部の
人たちがどういう教育を受けておられるか、かようなことものぞき得るものならばのぞいて、誤たないところの善処をしなければならぬということを第一印象に受けたのであります。
そこで、まだ私
どもが行
つたときは
白龍の方々がお上がりにな
つておるところで、私
ども三班の範囲ではなか
つたのでありますけれ
ども、お迎えをいたして、
援護局の方に参りました。そうして、
援護局の
局長その他の方々からいろいろな
事情をお伺いすると同時に、第二班の
代表の方々もおいででございましたので、御一緒に、第二班の
有田さんから御
報告があ
つたようなことも参考にお伺いを申し上げて、そうして私
どもは
援護局内を拝見したのであります。ところが、
援護局としては、
帰還者の待遇あるいは将来の子弟の教育問題というようなことについても、単行本な
どもこさえておられますし、まことに親切であ
つた。職業紹介のごときも、ちやんとそごに各係がおられまして、そうしていかにやるかという
手段もできてお
つた。かような
状態のものに対して業務拒否をしておるということは、――私なんかは、御存じのように、党の性格としても、本来ならばもつとやれ、なぜせぬかと言う方でありますけれ
ども、一応これには少々の疑問を持たざるを得ないというような感じを持
つたのであります。ですから、船の方に行きたいということも申し上げたところが、先ほどの御
報告のように、あなた方がおいでにな
つたら、ひよつとしたらまた
代表を出せとかなんとか
言つて、お困りになりませんかということでしたから、お互いに話上合
つて、そんなことは平気じやないか、われわれは何しに来たのか、しかも国家の金を使
つて来たのだから、そのくらいのことはやるのが当然だ、暴力に訴えられるのならば、そのときはそのときの話だからとい
つて、参
つたのであります。まず男一に
代表の方方にお会いして、御苦労さんでしたということを申し上げて、そうして船内の待遇その他を見たのですが、一番底の方におられる方々が少々熱いので、この方々がそういう不満の感じを受けられたのではないかというような感じもしたのですけれ
ども、炊事をすることも自治的にやられたそうでして、すべてのそういうことはやはり尽せるだけのことは、まず今の国内情勢から申し上げたら、できてお
つたという感じが私はいたしました。そこで、先ほど御
報告のように、私
どもは部屋々々を歩きまして、御病人がどうであるか、どういう御病人であるか――新聞に出ておりましたように、めでたい御病人もおりましたけれ
ども、大半は肺を冒されておる方々が多い。しかも若い方々が多い。これらの方々にも将来に対する光明を失われないような言葉をかげながら、皆さんに御苦労さまでございましたということを申し上げて来た。ところが、さつきの御
報告のように、さらにつけ加えて申し上げるならば、非常に
感謝のまなざしで私
どもを迎えてくれた。その中のごく少数の
人たちは、やはりものも言わない、そつぽを向いているという形であ
つたということは事実であります。埠頭でさような
赤旗を振
つておられる併合に、私が小さな
子供の人に、あなたは
日本から行
つた人か、向うで生れた人かということを聞きましても、決して返事をしない。おとなの人はむろん、青年
諸君に言えばむろん返事をしない。ここで私
どもが考えたのは、やはり二つの道に考えなきやならぬ、たとえば、共産教育を受けて、さようなことで腹に用心をして言わない人と、それから、そういう小さな人は、向うの国情によ
つて一つの恐怖を持
つておる、もし
自分が何か言
つたら、非常にひどい目にあう、――リンチを受けるとかなんとかいうことから、親が何にも言うなということを言いつけておるから言わぬのだ、かような二つの印象を私は深く受けたのであります。船内でも、それに即して私が御婦人の方にお聞きいたしますと、やはり郷土の
なつかしいということは、中年以上の方はみなそうです。しかしながら、
一つの
団体行動としてさような訓練と申し上げるか、申合せと申し上げるか、船内からすでに引続いてさようなことがあ
つたことは事実なんですから、こういうことで御一緒にや
つておられるという印象を非常に深く受けた。
そこで、今のようなことで、私
どもは、まず十三分とは申し上げられないけれ
ども、一応の予備知識を受けましたので、一足お先にというよりも、並行して私
どもははとばの方に帰
つて、そうして
援護局の方に行
つて、さらにいろいろの
事情をお聞きして、その
あとに感じたのは、それではお迎えをしておる方々はどんなお考えを持
つておられるかということになりまして、一応そこまで私
どもはお聞きしてみようということで、そろ
つて行
つたのであります。最初各部屋々々で三、四お聞きしたところが、その
家族の中に、極端に申し上げれば、あす帰りたいと
思つてこの雨の中で待
つているんだが、あす汽車が出るかしらんというようなことまでも心配しておられた。そこで、私
どもは、形式的じやなしに心から
国会を
代表してお迎えに来ておりますので、何らあなた方の行動について干渉すべきところはないのである、またその他の権限を持
つておらぬ、委譲されておらぬのですから、私
どもが現地でかような
要望があ
つたからとい
つて個人の考え方をお話するわけにも参りません、それは越権のさたである、こういうことで、さつきの御
報告のようにお話をしてみたところが、実に皆さんが、ぜひ帰らしてほしい、何とかわれわれを早く会わしてそうして故郷に帰してもらうような方法はないかということでございましたから、事務的なことはできるだけ簡素にやれるようにすることは
局長にも私
どもは念を押しておきましよう、こういうことで、率直にそういうことがありましたので、これでは全体的に話が通じているか通じていないかの問題も考えられましたので、マイクで、おのおのお迎えをしたということと、現実に数年間向うさんに置かれて、誤
つた軍国主義であろうとも御苦労をされた、また残
つておる方々もその通りである、それに対する
感謝と、私
どもが将来どうしなければならぬかというような問題を、お互いに特別
委員までつく
つて検討をしておりますということで、皆さん、そういうことですから、まず早くお帰りになりたいという方は、ゆがめられないように、温情で抱いてお連れ帰りにな
つた方がよろしいでしようということを放送したのであります。決して干渉ではございません。またわれわれがこうしなさいと、役所
とつないでいいかげんなことをしたのでもないのであります。同時に、さようなことを言
つたところが、各部屋々々から、今度は分割的に、船の中の話を聞きたい、ですからみんな来いということで、手わけをしてお話に参りました。参りましたら、その中に、やはり組合出身の方々で一、二は、この
要望についてもその他についても当然であろうというようなことを
言つておられた方もあ
つたのですが、大半は、ぜひ連れて帰りたい、向うの国情とは違うし、連れて帰
つてふところに抱いたら、
日本の様子もわか
つて、
日本が戦後どうな
つているかということもわか
つて、みんなそれぞれ立ち上ることを考えるであろうという御希望でしたから、これはそういうふうになす
つたらよろしかろうということで、私も
引揚げた。
こういうことを総合して考えますと、先ほどの御
報告のように、
援護局としても十分諸般の細部にわたるまで神経を使
つて、そうしてあやまちのないようにしていただきたいということが
一つであります。それから、もう
一つは、
田中委員からさつきお話にな
つてお
つたようなことも私が気がついておりました。
援護局で聞いたそういう疑いを受けるよな仕方、あるいは捜査の仕方をやるようなことはないのか、これは私聞いたのです。ところが、これは占領下ではさようなことはございました、しかしながら現実としては私
どもはさような誤解を受けないように業務執行の場合もや
つておりますので、その点は御安心ください、こういうことでございました。しかし、この一万円を三万円にする
要求に対してはどういう気持を持
つておられるか、またどこに根底があ
つて算定をされたかということも一応知りたいと思いましたので、それも私、
引揚げた方、それから
援護局、あるいは日赤の工藤さん、こういう方々にも念のためにお聞きをいたしましたところが、これは今後の問題でありますから、お互いに
委員の方々も考えてくださらなければならぬことがあるということでした。それは、向うで乗船するまでの期間ずいぶん滞在をさせられた。その場合にやはり相当の金がい
つたことは、これはもう工藤さんたちのお話の中にもあ
つたようであります。今後こちらでどうして暮すかというのみでなく、そうなりますと、ただちに乗船できなか
つた原因がどこにあるかということをさらに深く私
どもは研究してみなければならない。ただいま決議文のようなものも読まれた。これは、日赤は別ですけれ
ども、三
団体の中の二
団体の方々は、純真に物事を運んでおられるでありましようが、その中に、あるいは運営あるいはその過程において、心になくても、現実の運営の上に間違
つたことにな
つておらぬかということは、私
どもは真剣に考えなければならぬ。ですからこの問題については、今後各
委員の方々も心されて、さような方々を再びここにお呼びいただいて、忌憚なく、懇談の姿でもよいし、あるいは場合によ
つては、記録に残しておかなければならぬ場合は、さようにとりはからいくださいまして、今後に備えていかに私
どもがするかという、確実な誤らないところの善処すべき根底をひ
とつつく
つていただきたいと希望申し上げる次第であります。
ただいまの御
報告に補足をいたすつもりで、気持の上の問題も加えて申し上げましたので、御了承願いたいと思います。